説明

印刷システム

【課題】 利便性を向上できる印刷システムを提供する。
【解決手段】 メールサーバ12が印刷対象となるデータを含んだ電子メールを受信し、所定の条件によりセキュリティ印刷を行うか、及び一括印刷を行うかを判断して、電子メールとともにその判断結果を予約管理サーバ13に送信する。予約管理サーバ13では、一括印刷の対象となる印刷対象のデータ群に属する印刷データには同一の予約識別子を付し、一括印刷の対象でないデータにはこれと異なる予約識別子を付しておく。ユーザは予約識別子により印刷データの印刷を指示し、予約管理サーバ13は、指示された印刷データがセキュリティ印刷を行うものであるときには、パスワードの入力を求め、入力されたパスワードと発行されたパスワードとが一致したときに印刷処理を開始する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子メールを利用して印刷対象のデータを送受信する印刷システムに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ネットワークの利用が広く普及し、コンピュータ内のデータを外部の高性能プリンタにネットワークを介して出力するという利用態様が考えられている。具体的には、コンビニエンスストア等に配置された複合機(複写機やプリンタの機能を兼ね備えたもの)に対して印刷対象となるデータと印刷指示とを電子メールにて送信し、複合機が受信した電子メールから印刷対象となるデータを抽出して、これを印刷処理する。
【0003】このとき、電子メールにて送信したユーザは、当該複合機からは離れた場所(例えば自宅等)にいるのが普通であるからユーザが取りに来るまでに相応の時間がかかることとなる。そこで、複合機側で受信してすぐに印刷処理を開始すると、印刷結果が放置された状態となり、誤って持ち去られたり、あるいは、破棄されたりする恐れがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように上記従来の印刷システムでは、セキュリティの向上が求められている。そこでユーザが電子メールとともにパスワードを送信し、複合機側では、当該受信した電子メールとパスワードとを関連づけて保持し、パスワードが入力されたときに、そのパスワードに関連づけられた電子メールから印刷対象データを抽出して印刷処理を開始するというように、ユーザ認証を印刷処理前に行い、ユーザが認証されたときにのみ印刷処理を行う等、所定の認証を要する、いわゆるセキュリティ印刷を行うようにしている。
【0005】しかし、どのような場合にもセキュリティ印刷を行うとすれば、例えばコンビニエンス内の端末から印刷対象データを含んだ電子メールを送信したときにも、パスワードが必要となるなど、直ちに印刷結果が得られないこととなる。同様に、企業内に上記従来の印刷システムを配備すると、企業内ユーザに対しても、常にパスワードの入力が要求され、利便性が低い。
【0006】本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、利便性を向上した印刷システムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記従来例の問題点を解決するための本発明は、印刷対象となるデータを電子メールにて送信するクライアント側装置と、前記クライアント側装置から受信される電子メールから印刷対象となるデータを抽出し、当該データを印刷処理するサーバ装置とを含む印刷システムであって、前記サーバ装置が、前記印刷処理に際して、所定の認証を行うか否かを所定の条件に基づいて判断し、前記認証を行うときには、当該認証がなされたときにのみ、前記印刷処理を行うことを特徴としている。
【0008】ここで、前記所定の条件は、前記電子メールの宛先となった電子メールアドレスと、クライアント側の情報と、添付ファイルの情報と、暗号化に関係する情報と、配送経路に関する情報と、のうち、少なくとも1つとの関連において定められる条件であることが好ましい。
【0009】さらに上記従来例の問題点を解決するための本発明は、印刷装置において、印刷対象となるデータを電子メールにて受信する手段と、前記受信した電子メールから印刷対象となるデータを抽出する手段と、印刷処理前に所定の認証を行うか否かを所定の条件に基づいて判断する手段と、を含むことを特徴としている。
【0010】ここで、前記所定の認証を行うと判断したときに、電子メールの送信者側に確認要求を送出し、当該確認要求に対して送信者側から所定の応答が受信されたときには、前記認証を行うことなく、印刷処理を開始することも好ましい。さらに前記所定の条件は、前記電子メールの宛先となった電子メールアドレスと、クライアント側の情報と、添付ファイルの情報と、暗号化に関係する情報と、配送経路に関する情報と、のうち、少なくとも1つとの関連において定められる条件であることも好ましい。
【0011】上記従来例の問題点を解決するための本発明は、少なくとも2つの電子メールアドレスが割当てられた印刷装置であって、印刷対象となるデータを前記少なくとも2つの電子メールアドレスのうち、いずれか宛の電子メールにて受信する手段と、当該受信した電子メールの宛先となった電子メールアドレスとの関係において決定される条件により、印刷処理前に所定の認証を行うか否かを判断する手段と、を備え、前記認証を行うときには、当該認証がなされたときにのみ、前記印刷処理を行うことを特徴としている。ここで印刷対象となるデータの送信者側に、当該送信者側との関係において定められる所定の条件に基づき、前記電子メールアドレスのうち、いずれかを選択的に報知する手段を含むことも好ましい。
【0012】さらに上記従来例の問題点を解決するための本発明は、印刷処理方法であって、クライアント側から印刷対象となるデータを電子メールにて受信する工程と、前記クライアント側装置から受信される電子メールから印刷対象となるデータを抽出し、当該データを印刷処理する工程と、を含み、前記印刷処理に際して、所定の認証を行うか否かを所定の条件に基づいて判断し、前記認証を行うときには、当該認証がなされたときにのみ、前記印刷処理を行うことを特徴としている。
【0013】また、本発明のある態様では、コンピュータにより実行される印刷処理プログラムであって、クライアント側から印刷対象となるデータを電子メールにて受信する手順と、前記クライアント側装置から受信される電子メールから印刷対象となるデータを抽出する手順と、所定の認証を行うか否かを所定の条件に基づいて判断する手順と、を実行させ、前記認証を行うときには、当該認証がなされたときにのみ、前記印刷対象のデータの印刷処理を行わせることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態に係る印刷システムについて図面を参照しながら説明する。本実施の形態の印刷システム10は、図1に示すように、プリンタサーバ11と、メールサーバ12と、予約管理サーバ13と、複数の印刷装置14a,14b…とを含んで構成され、これらの各部はLAN(Local Area Network)により相互に接続されている。この印刷システムは、ネットワークを介して他の印刷システム10b,10c…や端末側システム20に接続されている。端末側システム20は、端末機器21と、メールサーバ22とを含む。ここで、プリンタサーバ11、メールサーバ12、予約管理サーバ13、印刷装置14が、本発明のサーバ装置を構成し、端末側システムが本発明のクライアント装置を構成する。
【0015】本実施の形態では、いずれかの印刷システム(第1システム)が印刷対象のデータ(印刷データ)を受け付けて記憶し、他の印刷システム(第2システム)にて印刷指示を受け付けると、当該指示された第2システムから、第1システムへ印刷データの転送を要求し、これに応答して転送された印刷データを第2システムで印刷出力することとしている。また、複数の印刷装置14a,14b…には、セキュリティ印刷を行う印刷装置と、セキュリティ印刷を行わない印刷装置とが含まれる。ここでは、印刷装置14aがセキュリティ印刷を行い、印刷装置14bはセキュリティ印刷を行わないものとして説明する。
【0016】プリンタサーバ11は、予約管理サーバ13から印刷データと、その印刷データを印刷させる印刷装置14の指定とを受けて、当該指定された印刷装置14に印刷データを送信する。メールサーバ12は、ネットワークを介して送信される電子メールを受信する。このメールサーバ12は、また、受信された電子メールの内容を調べて所定の条件に基づき、セキュリティ印刷を行うか否かを判断する。また、受信された電子メールの内容から他の電子メールに含まれた印刷データと一括して印刷するか否か(一括印刷するか否か)を所定の条件に基づいて判断する。そして、当該受信した電子メールと、その受信時刻、セキュリティ印刷するか否か、及び一括印刷するか否かの判断の結果を含んだ付帯情報とを、予約管理サーバ13に送信する。ここで、一括印刷するか否かの判断の結果には、一括印刷の対象となる印刷データを特定する情報(一括対象特定情報)が含まれる。この一括対象特定情報としては、例えば一括印刷の対象となる印刷データを含んで受信された電子メールの識別子の情報を用いることができる。このメールサーバ12におけるセキュリティ印刷を行うか否か、また一括印刷を行うか否かの判断に用いられる条件については、後に詳しく説明する。すなわち、このメールサーバ12が本発明の電子メールを受信する手段と、所定の認証を行うか否かを所定の条件に基づいて判断する手段と、に相当する。
【0017】予約管理サーバ13は、内部のROM(図示せず)に格納されているプログラムに従って動作しており、電子メールにより印刷データを受け付ける側(上記の第1システム側)の印刷システムでの動作(以下、「受領側動作」と呼ぶ)と、指示により印刷処理を実際に行う側(上記の第2システム側)の印刷システムでの動作(以下、「印刷側動作」と呼ぶ)とを行う。これらの動作は互いに異なるので、以下、これらを分けて説明する。
【0018】(受領側動作)まず、受領側動作について図2を参照しながら説明する。第1システム側の予約管理サーバ13は、メールサーバ12から電子メールを受信して、図2に示す処理(予約処理)を開始し、当該電子メールから、印刷データを抽出する(S1)。つまり、この予約管理サーバ13が本発明の電子メールから印刷データを抽出する手段に相当する。そしてメールサーバ12から電子メールに関連する付帯情報が受信されたか否かを判断し(S2)、付帯情報が受信されているときには(Yesならば)、付帯情報からセキュリティ印刷をするか否かを調べ(S3)、セキュリティ印刷をする場合に(Yesならば)、パスワード(個別パスワード)を発行する(S4)。予約管理サーバ13は、さらに付帯情報から一括印刷するか否かを調べ(S5)、一括印刷しないときには(Noのときには)、予約識別子を発行し(S6)、この予約識別子と印刷データとを関連づけて図3に示すような予約データベースとして記憶する(S7)。そして予約管理サーバ13は、予約識別子を電子メールの送信者(ユーザ)に対して電子メールにて返信するよう、メールサーバ12に指示する(S8)。このとき、処理S4にて発行された個別パスワードがあれば、その個別パスワードも併せて、当該返信される電子メールに含められる。そして予約管理サーバ13は、処理を終了する。
【0019】なお、処理S6にて発行される予約識別子には、第1システムに固有の情報と、印刷データを特定する情報とを含む。一例としては、この予約識別子は、第1システムを特定するアドレス情報と予約番号とから構成される。
【0020】一方、処理S5において一括印刷をする場合(Yesの場合)には、付帯情報に含まれる一括対象特定情報を参照し、新たな予約識別子を発行せずに、一括印刷の対象となる印刷データに付した予約識別子と同じ予約識別子を関連づけて予約データベースに登録する(S9)。この処理S9では、処理S4にて発行された個別パスワードがあれば、当該個別パスワードを印刷データに関連づけて予約データベースに登録する。そして予約管理サーバ13は、処理S8へ移行して処理を続ける。つまり、この場合の予約識別子は、各印刷データを識別するものではなく、一群の印刷データとして一括して印刷処理されるべき印刷データ群を識別するものとなる。
【0021】また処理S2において、付帯情報が受信されていなければ(Noならば)、そのまま処理S6へ移行する。また処理S3において、セキュリティ印刷をしない場合(Noであれば)、予約管理サーバ13は、処理S5に移行して処理を続ける。
【0022】また、予約管理サーバ13は、この予約処理とは別に、予約識別子と転送要求とを受信すると、当該予約識別子に関連づけて予約データベースに登録された印刷データ(複数ある場合には、複数の印刷データのすべて)を転送要求の要求元へ送信する(転送処理)。このとき、個別パスワードが関連づけられた印刷データがあれば、当該個別パスワードも印刷データに併せて送信する。
【0023】(印刷側動作)次に、印刷側動作について説明する。第2システム側の予約管理サーバ13は、予約識別子と印刷の指示との入力をユーザから受けて図4に示す処理を開始し、予約識別子から当該印刷指示の対象となる印刷データを格納している印刷システム(この場合は第1システム)を特定し、その印刷システムに対して予約識別子と転送要求とを送信する(S21)。
【0024】そして、当該転送要求に応じた転送処理により、印刷データが送信されてくると、当該印刷データを受信して記憶し、最初の印刷データ(印刷データが一つだけであれば当該印刷データ)を選択して、この選択した印刷データから順に次の処理を行う。
【0025】まず、選択した印刷データに併せて個別パスワードが受信されているか否かを調べ(S22)、個別パスワードが受信されていれば(Yesならば)、セキュリティ印刷を行うものと判断して、印刷データと個別パスワードとをプリンタサーバ11を介して印刷装置14a(セキュリティ印刷を行う印刷装置)へ送信し(S23)、さらに処理していない印刷データがあるか否かを判断して(S24)、処理していない印刷データがあれば(Yesならば)、次の印刷データを選択して処理S22に戻って処理を続ける。
【0026】一方、処理S24において、処理していない印刷データがなければ(すべての印刷データに対する処理を完了したならば、すなわちNoならば)、処理を終了する。
【0027】また、処理S22において個別パスワードが受信されていなければ(Noならば)、セキュリティ印刷を行わないものと判断して、印刷データをプリンタサーバ11を介して印刷装置14b(セキュリティ印刷を行わない印刷装置)へ送信し(S25)、処理S24に移行して処理を続ける。
【0028】(印刷装置14での処理)次に、印刷装置14の処理について説明する。セキュリティ印刷を行う印刷装置14aは、印刷データと個別パスワードとを予約管理サーバ13から受信して、個別パスワードの入力を求める表示を行い、個別パスワードがユーザから入力されると、入力された個別パスワードと、予約管理サーバ13から受信した個別パスワードとを照合し、照合の結果、入力された個別パスワードと、当該受信した個別パスワードとが一致している場合(照合成功の場合)、印刷データに基づき、印刷処理を行う。また、照合の結果、両パスワードが一致しない場合(照合失敗の場合)、印刷処理を行わない。
【0029】一方、セキュリティ印刷を行わない印刷装置14bは、予約管理サーバ13から印刷データが受信されると、当該印刷データに基づき印刷処理を行う。
【0030】(メールサーバ12におけるセキュリティ印刷の判断条件)ここでメールサーバ12においてセキュリティ印刷を行うか否かの判断を行う際の条件について説明する。メールサーバ12は、受信した電子メールの送信元アドレス(送信者のメールアドレス)やヘッダの情報から、その送信者の氏名や所属ドメイン、拠点、所属企業や所属ISP(Internet Service Provider)などの情報を抽出し、それらの情報に基づいてセキュリティ印刷を行うか否かを決定する。具体的には、メールサーバ12のメールアドレスが「aaa@bb.cc」であるときに、印刷データを含んで受信される電子メールの送信者のメールアドレスが「ppp@qq.rr」であるというように、メールサーバ12と印刷データの送信者とが異なるドメインに属する場合には、セキュリティ印刷を行うと判断し、電子メールの送信者のメールアドレスが「xxx@bb.cc」である場合など、メールサーバ12と印刷データの送信者とが同一のドメインに属する場合に、セキュリティ印刷を行わないと判断する。
【0031】また、メールサーバ12は、添付ファイルの有無や添付ファイルの種別(MIMEヘッダなどから取得できる)、さらには暗号化の有無や電子メールの受信経路の情報(電子メールのヘッダを参照して取得できる)等を利用して、これらを条件としてセキュリティ印刷をするか否かを判断してもよい。なお、暗号化された印刷データについては、メールサーバ12又は予約管理サーバ13又は印刷装置14が当該暗号化された印刷データを複号化して、印刷処理を行う。
【0032】さらにセキュリティ印刷を行わないユーザ(又はセキュリティ印刷を行うユーザ)に関する情報(当該ユーザのメールアドレス)をメールサーバ12に設定しておき、受信した電子メールが当該ユーザから受信されたものである場合に、セキュリティ印刷を行わない(又はセキュリティ印刷を行う)と判断することとしてもよい。
【0033】また、ここで示した各条件の組み合せにより判断してもよい。例えばある例では、送信者の所属企業の情報が事前に登録されたものに合致し、かつセキュリティ印刷を行わないと設定されたユーザに限ってセキュリティ印刷を行わないと判断する。また、別の例では、添付ファイルがテキストファイルであるか、または暗号化されている場合にセキュリティ印刷を行うと判断する。
【0034】(一括印刷の判断条件)さらに、メールサーバ12において一括印刷を行うか否かの判断の条件について説明する。メールサーバ12は、受信した電子メールについて、その送信元のメールアドレスごとに、受信時刻のリストを作成し、各メールアドレスごとの受信時刻の間隔(または送信間隔)を記録する。そして、所定のしきい値より小さい受信間隔で受信された複数の電子メールについて、これを条件に、一括印刷を行うと判断する。
【0035】また、メールサーバ12は、送信元のメールアドレスや添付ファイルの有無、その種類等を条件として一括印刷を行うか否かを判断してもよい。
【0036】なお、これらセキュリティ印刷を行うか否かの判断条件や一括印刷の判断条件は、印刷システムの管理者により変更可能になっていることが好適である。
【0037】[動作]次に、本実施の形態の印刷システムの動作について図5を参照しながら説明する。ユーザからの電子メールを受信する印刷システム(第1システム)のメールサーバ12が、電子メールを受信して(S31)、その電子メールの送信元のメールアドレス、添付ファイルや暗号化、第1システムのドメイン、電子メールの受信経路等の関係において定まる条件により、セキュリティ印刷を行うか否かを判断する(S32)。また、電子メールの受信間隔や送信間隔に関係する条件等により、一括印刷を行うか否かを判断する(S33)。
【0038】例えば、電子メールアドレス「ppp@qq.rr」のユーザが印刷データを含む電子メールを3回に亘り、0時0分0秒、0時0分30秒、0時5分0秒にそれぞれ送信したとする。つまり、最初の電子メールと、2番目の電子メールとの送信間隔は30秒であり、2番目の電子メールと3番目の電子メールとの送信間隔は5分である。このとき、一括印刷をするためのしきい値となる送信間隔の時間が「2分」と設定されているとすると、最初の電子メールと2番目の電子メールとは一括印刷の対象となるが、3番目の電子メールは一括印刷の対象とはならない。また、第1システムのメールサーバ12に対して割当てられる電子メールアドレスが「aaa@bb.cc」であるとすれば、送信者のメールアドレスとは異なるドメインに属するので、例えばこれを条件にセキュリティ印刷をすると判断することになる。
【0039】メールサーバ12は、受信した電子メールとともに、これらの判断の結果を予約管理サーバ13に送信する(S34)。予約管理サーバ13は、各電子メールから印刷データを抽出し(S35)、各印刷データが一括印刷の対象か否かにより、予約識別子を発行して登録する(S36)。つまり、上記の例で言えば、最初の電子メールに含まれる印刷データ(第1データ)と、2番目の電子メールに含まれる印刷データ(第2データ)とに対しては、同一の予約識別子が発行され、3番目の印刷データ(第3データ)に対しては、これらの印刷データに対するのとは異なる予約識別子が発行される。ここで予約識別子は、例えば予約管理サーバ13のURL(Uniform Resource Locator)と、予約番号とから構成される。
【0040】また、この例の場合、セキュリティ印刷を行うこととなるので、ここで個別パスワードを各印刷データごとに発行して登録し、各印刷データに対して発行された予約識別子と個別パスワードとをメールサーバ12に対して送信させる(S37)。そしてユーザは、各印刷データに対して発行された予約識別子と個別パスワードとを電子メールにて受信することになる。
【0041】ユーザが印刷処理を実際に行う印刷システム(第2システム)側へ来訪し、ここで予約管理サーバ13に対して予約識別子を入力する(S41)。ここでユーザが上記第1データ、第2データ、第3データのそれぞれを印刷する場合、第1データと第2データとに共通の予約識別子と、第3データの予約識別子との2つの予約識別子を入力することになる。
【0042】第2システム側の予約管理サーバ13は、この2つの予約識別子のそれぞれを参照して第1システム側の予約管理サーバ13を特定し、第1システム側に対して当該予約識別子に関連づけられた印刷データの転送を要求する(S42)。そして第1システム側の予約管理サーバ13がこれに応答して各印刷データとそれぞれに関連づけられた個別パスワードとを転送する(S43)。
【0043】第2システム側の予約管理サーバ13は、転送された印刷データと個別パスワードとの転送を受けて、個別パスワードが付されているので、セキュリティ印刷を行うと判断し、セキュリティ印刷のための印刷装置14aにプリンタサーバ11を介してこの印刷データを送信する(S44)。そして印刷装置14aがユーザに第1データに対する個別パスワードの入力を求め、ユーザが入力した個別パスワードと第1データとともに転送された個別パスワードとが一致すれば第1データを印刷する。また、第2データと第3データとにも同様の処理を行う。
【0044】[一括パスワード]なお、ここで一括印刷の対象となっている第1、第2データに対してもパスワードは個別に設定されていたため、それぞれに対して個別パスワードの入力を要していた。そこで一括印刷の対象となった印刷データについては、同一のパスワードを一括パスワードとして発行して関連づけておき、印刷処理時に当該一括パスワードが入力され、照合に成功したときには、一括印刷の対象となっている複数の印刷データについて、当該一括パスワードの照合の成功をもって、印刷処理を行ってしまうことが好ましい。
【0045】この場合に、一括印刷の対象となっている印刷データについては、一括パスワードとともに個別パスワードを併せて発行して関連づけておき、印刷を行う側(第2システム側)で、一括パスワードが入力されて照合に成功したときには、一括印刷の対象となった複数の印刷データについて印刷処理を開始し、個別パスワードが入力されて照合に成功したときには、当該個別パスワードに関連づけられた印刷データに対して印刷処理を行うようにするのも好ましい。
【0046】このときには、一括パスワードと個別パスワードとの双方がユーザに通知され、ユーザはいずれかをその場の事情に応じて選択的に利用することができる。
【0047】[事前登録パスワード]ここまでの説明では、予約管理サーバ13が個別パスワードや一括パスワードを発行するとしていたが、これらのパスワードは、ユーザごとに事前に登録されたパスワードとすることもできる。この場合においても、さらに個別パスワードや一括パスワードを発行し、事前に登録されたパスワードとともに、これら発行したパスワードの入力を求め、登録したパスワードと発行したパスワードとの双方の照合に成功したときに、印刷処理を行うようにしてもよい。
【0048】[確認処理]さらにセキュリティ印刷や一括印刷をユーザに確認するようにしてもよい。すなわち、メールサーバ12がセキュリティ印刷を行うと判断したときに、ユーザにセキュリティ印刷を行う旨を通知する電子メールを送信し、ユーザが当該送信された電子メールに対して返信を行ったときに、セキュリティ印刷を行わないと設定する。つまり、ユーザに対して確認がされればセキュリティ印刷をしない趣旨である。
【0049】また、一括印刷の場合にも、ユーザに対して一括印刷の対象となることを電子メールにて通知し、ユーザから返信があったときには、一括印刷の対象としないこととする。同様に、一括印刷の対象とならないことを電子メールにて通知し、ユーザから返信があったときには、一括印刷の対象とする。
【0050】なお、ここでは「返信があったとき」とし、返信される電子メールの内容がどのようなものであっても上記処理を行うとしているが、返信された電子メールの内容に応じて、セキュリティ印刷をするか否か、また、一括印刷を行うか否か、さらには、これらを行うとすれば、どの印刷データをセキュリティ印刷、または一括印刷の対象とするか等の判断を行うこととしてもよい。
【0051】[受信アドレスによるセキュリティ印刷・一括印刷の判断]またメールサーバ12に対して複数の電子メールアドレスを割当てておくのも好ましい。この場合、ある電子メールアドレスにて受信した電子メールに含まれる印刷データはセキュリティ印刷を行うと判断し、また別の電子メールアドレスにて受信したものの場合、一括印刷を行うと判断し、さらに別の電子メールアドレスの場合、セキュリティ印刷と一括印刷とを行い、さらに別の電子メールアドレスの場合には、セキュリティ印刷も一括印刷も行わないなどというように、受信用の電子メールアドレスをセキュリティ印刷や一括印刷の条件として用いることができる。
【0052】このように複数の電子メールアドレスを用いる場合、印刷データを含んだ電子メールを送信しようとするユーザに対して、そのユーザと本実施の形態の印刷システム10との関係において定められる条件で決定されるいずれかの電子メールアドレスを選択的に通知することも好ましい。
【0053】例えばユーザの電子メールアドレスと、印刷システム10の電子メールアドレスとが互いに異なるドメインに属する場合には、そのユーザに対してセキュリティ印刷を行う電子メールアドレスを通知する。
【0054】また、本実施の形態では、セキュリティ印刷を行う印刷装置14aと、セキュリティ印刷を行わない印刷装置14bとを含んだ複数の印刷装置14を用いる場合を例として説明したが、印刷装置14は一台だけであってもよい。この場合、印刷装置14は予約管理サーバ13からセキュリティ印刷を行うか否かの指示(または予約管理サーバ13から印刷データとともにパスワードを受信するか否か)により、セキュリティ印刷を行うか否かを判断し、セキュリティ印刷を行うときには、ユーザにパスワード(個別パスワードや一括パスワード)の入力を求め、受信されたパスワードと入力されたパスワードとの照合に成功した場合にのみ印刷処理を行う。この場合、メールサーバ12と予約管理サーバ13と印刷装置14とを一体の印刷装置として構成することとしてもよい。
【0055】さらに、上述の例では、第1システム側で電子メールを受信し、第2システム側へ印刷データを転送して印刷するとして説明したが、第1システム側で電子メールを受信し、当該第1システム側で印刷指示を受け付けて、その印刷装置14にて印刷処理を実行することもできる。この場合、図5に示した動作の処理S42、S43の転送に関する処理は不要となり、第1システムのみで印刷までの処理が行われる。
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、クライアント側装置が、印刷対象となるデータを電子メールにて送信すると、サーバ装置側で、クライアント側装置から受信される電子メールから印刷対象となるデータを抽出し、印刷処理に際して、所定の認証を行うか否かを所定の条件に基づいて判断し、その認証を行うときには、当該認証がなされたときにのみ、当該データを印刷処理する印刷システムとしているので、事情に応じてユーザ認証を行うか否かが制御され、利便性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る印刷システムの構成及びその接続状態を表すブロック図である。
【図2】 予約管理サーバの受領側動作を表すフローチャート図である。
【図3】 予約データベースの内容の一例を表す説明図である。
【図4】 予約管理サーバの印刷側動作を表すフローチャート図である。
【図5】 本発明の実施の形態に係る印刷システムの動作を表すフローチャート図である。
【符号の説明】
10 印刷システム、11 プリンタサーバ、12 メールサーバ、13 予約管理サーバ、14 印刷装置、20 端末側システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 印刷対象となるデータを電子メールにて送信するクライアント側装置と、前記クライアント側装置から受信される電子メールから印刷対象となるデータを抽出し、当該データを印刷処理するサーバ装置とを含む印刷システムであって、前記サーバ装置が、前記印刷処理に際して、所定の認証を行うか否かを所定の条件に基づいて判断し、前記認証を行うときには、認証がなされたときにのみ、前記印刷処理を行うことを特徴とする印刷システム。
【請求項2】 請求項1に記載の印刷システムにおいて、前記所定の条件は、前記電子メールの宛先となった電子メールアドレスと、クライアント側の情報と、添付ファイルの情報と、暗号化に関係する情報と、配送経路に関する情報と、のうち、少なくとも1つとの関連において定められる条件であることを特徴とする印刷システム。
【請求項3】 印刷対象となるデータを電子メールにて受信する手段と、前記受信した電子メールから印刷対象となるデータを抽出する手段と、印刷処理前に所定の認証を行うか否かを所定の条件に基づいて判断する手段と、を含むことを特徴とする印刷装置。
【請求項4】 請求項3に記載の印刷装置において、前記認証を行うと判断したときに、電子メールの送信者側に確認要求を送出し、当該確認要求に対して送信者側から所定の応答が受信されたときには、前記認証を行うことなく、印刷処理を開始することを特徴とする印刷装置。
【請求項5】 請求項3または4に記載の印刷装置において、前記所定の条件は、前記電子メールの宛先となった電子メールアドレスと、クライアント側の情報と、添付ファイルの情報と、暗号化に関係する情報と、配送経路に関する情報と、のうち、少なくとも1つとの関連において定められる条件であることを特徴とする印刷装置。
【請求項6】 少なくとも2つの電子メールアドレスが割当てられた印刷装置であって、印刷対象となるデータを前記少なくとも2つの電子メールアドレスのうち、いずれか宛の電子メールにて受信する手段と、当該受信した電子メールの宛先となった電子メールアドレスとの関係において決定される条件により、印刷処理前に所定の認証を行うか否かを判断する手段と、を備え、前記認証を行うときには、当該認証がなされたときにのみ、前記印刷処理を行うことを特徴とする印刷装置。
【請求項7】 請求項6に記載の印刷装置において、印刷対象となるデータの送信者側に、当該送信者側との関係において定められる所定の条件に基づき、前記電子メールアドレスのうち、いずれかを選択的に報知する手段を含むことを特徴とする印刷装置。
【請求項8】 クライアント側から印刷対象となるデータを電子メールにて受信する工程と、前記クライアント側装置から受信される電子メールから印刷対象となるデータを抽出し、当該データを印刷処理する工程と、を含み、前記印刷処理に際して、所定の認証を行うか否かを所定の条件に基づいて判断し、前記認証を行うときには、当該認証がなされたときにのみ、前記印刷処理を行うことを特徴とする印刷処理方法。
【請求項9】 コンピュータに、クライアント側から印刷対象となるデータを電子メールにて受信する手順と、前記クライアント側装置から受信される電子メールから印刷対象となるデータを抽出する手順と、所定の認証を行うか否かを所定の条件に基づいて判断する手順と、を実行させ、前記認証を行うときには、当該認証がなされたときにのみ、前記印刷対象のデータの印刷処理を行わせることを特徴とする印刷処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2003−173253(P2003−173253A)
【公開日】平成15年6月20日(2003.6.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−373241(P2001−373241)
【出願日】平成13年12月6日(2001.12.6)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】