説明

印刷制御装置,印刷制御方法,プログラム,および記録媒体

【課題】 プリンタ等の印刷装置が、今すぐに印刷物として得る必要がないジョブの印刷を、他のジョブの印刷と同じタイミングにまとめて行えるようにすることで、消費電力を少なくする。
【解決手段】 プリンタのCPU32は、特定な指示により、プリンタのエンジン部38による待機状態での印刷を禁止させて、その印刷のジョブをHDD(記憶手段)37に保存させ、待機状態から稼動状態(例えば今すぐに印刷物として得る必要がある他のジョブの印刷時)に遷移したときに、HDD37に保存したジョブの印刷をエンジン部38によって続けて実施させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プリンタ,デジタル複写機,デジタル複合機,ファクシミリ装置等の印刷装置(画像形成装置)に搭載する印刷制御装置、その印刷制御装置における印刷制御方法、上記印刷制御装置を制御するコンピュータに必要な機能(この発明に係わる機能)を実現させるためのプログラム、およびそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の印刷装置として、印刷時以外で待機状態(省電力モード)にすることで、電力消費を少なくする機能を備えているものが既に知られている。
しかし、このような機能があっても、印刷するタイミングがジョブ各々で異なると、稼動状態と待機状態を行き来し、遷移させるために電力が発生してしまう。印刷完了後、すぐに待機状態とはならず、しばらく稼動状態であることから、トータルとして稼動状態が長く、待機状態の時間が短く、電力消費を少なくすることができない。
【0003】
そこで、特許文献1に開示されている技術を利用することが考えられる。
特許文献1には、消費電力を抑える要求と、印刷待ちをしないようにする要求のバランスを取る目的で、複数プリンタが存在する環境で、印刷ジョブを一度蓄積し、ある閾値のジョブ数まで印刷処理を行い、閾値を越えた時に節電状態である別のプリンタに印刷指示をする構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のものでも、上述したような問題は解消できていない。つまり、印刷するタイミングがジョブ各々で異なると、稼動状態と待機状態を行き来し、遷移させるために電力が発生してしまう。印刷完了後、すぐに待機状態とはならず、しばらく稼動状態であることから、トータルとして稼動状態が長く、待機状態の時間が短く、電力消費を少なくすることができない。
【0005】
この発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、印刷装置が、今すぐに印刷物として得る必要がないジョブの印刷を、他のジョブの印刷と同じタイミングにまとめて行えるようにすることで、消費電力を少なくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記の目的を達成するため、以下に示す印刷制御装置、その印刷制御装置における印刷制御方法、上記印刷制御装置を制御するコンピュータに実行させるプログラム,およびそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供する。
【0007】
この発明による印刷制御装置は、印刷装置を待機状態にして電力消費を少なくする機能を有する印刷制御装置であって、特定な指示により、上記印刷装置による待機状態での印刷を禁止させる印刷禁止指示手段と、該印刷禁止指示手段によって禁止させられた印刷のジョブを記憶手段に保存させるジョブ保存指示手段と、上記印刷装置が待機状態から稼動状態に遷移したときに、上記記憶手段に保存されたジョブの印刷を上記印刷装置に続けて実施させる印刷実施指示手段とを設けたものである。
【0008】
なお、上記印刷実施指示手段に、上記印刷装置が稼動状態の場合、指定された所定時間内に限り、上記記憶手段に保存されたジョブの印刷を上記印刷装置に実施させる手段を備えてもよい。この場合、上記所定時間を指定する所定時間指定手段を設けるとよい。
また、上記印刷実施指示手段に、上記印刷装置が上記待機状態から上記稼動状態に遷移しなくても、上記記憶手段に保存されたジョブの数が指定された所定数に達した場合に、該ジョブの印刷を上記印刷装置に実施させる手段を備えてもよい。この場合、上記所定数を指定する所定数指定手段を設けるとよい。
【0009】
さらに、上記印刷実施指示手段に、上記印刷装置が上記待機状態から上記稼動状態に遷移しなくても、該待機状態になってからの期間が指定された所定期間を経過した場合に、該記憶手段に保存されたジョブの印刷を上記印刷装置に実施させる手段を備えてもよい。この場合、上記所定期間を指定する所定期間指定手段を設けるとよい。
さらにまた、上記印刷実施指示手段に、上記印刷装置が上記待機状態から上記稼動状態に遷移しなくても、該印刷装置内の印刷に用いる像担持体の温度が指定された所定温度に達した場合に、該記憶手段に保存されたジョブの印刷を上記印刷装置に実施させる手段を備えてもよい。この場合、上記所定温度を指定する所定温度指定手段を設けるとよい。
【0010】
また、上記印刷実施指示手段に、上記印刷装置が上記待機状態から上記稼動状態に遷移しなくても、該待機状態への遷移後の時間が指定された所定時間を越えていない場合に、該記憶手段に保存されたジョブの印刷を上記印刷装置に実施させる手段を備えてもよい。この場合、上記所定時間を指定する所定時間指定手段を設けるとよい。
さらに、上記印刷実施指示手段が、上記記憶手段に保存されたジョブの印刷を指定された優先度に従って上記印刷装置に実施させてもよい。この場合、上記優先度をジョブ毎に指定する優先度指定手段を設けるとよい。
【0011】
この発明による印刷制御方法は、印刷装置を待機状態にして電力消費を少なくする機能を有する印刷制御装置における印刷制御方法であって、特定な指示により、上記印刷装置による待機状態での印刷を禁止させる印刷禁止指示工程と、該印刷禁止指示工程によって禁止させられた印刷のジョブを記憶手段に保存させるジョブ保存指示工程と、上記印刷装置が待機状態から稼動状態に遷移したときに、上記記憶手段に保存されたジョブの印刷を上記印刷装置に続けて実施させる印刷実施指示工程とを有するものである。
【0012】
この発明によるプログラムは、印刷制御装置を制御するコンピュータに、上述した印刷制御装置を構成する各手段としての機能を実現させるためのプログラムである。
この発明による記録媒体は、上記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、印刷制御装置が、特定な指示により、印刷装置による待機状態での印刷を禁止させて、その印刷のジョブを記憶手段に保存させ、印刷装置が待機状態から稼動状態(例えば今すぐに印刷物として得る必要がある他のジョブの印刷時)に遷移したときに、記憶手段に保存されたジョブの印刷を印刷装置に続けて実施させることにより、印刷装置は、今すぐに印刷物として得る必要がないジョブの印刷を他のジョブの印刷と同じタイミングにまとめて行うことができる。よって、稼動状態と待機状態の行き来が少なくなり、待機状態の時間が長くなるため、消費電力を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明による印刷制御装置としての機能を有するプリンタを含む印刷システムのネットワーク構成例を示す図である。
【図2】図1のクライアントPC1〜3のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【図3】図1のクライアントPC1〜3のソフトウェア構成例を示すブロック図である。
【図4】図1のカラープリンタ5,モノクロプリンタ6のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【0015】
【図5】図1のカラープリンタ5,モノクロプリンタ6のソフトウェア構成例を示すブロック図である。
【図6】図1のクライアントPC1〜3がカラープリンタ5又はモノクロプリンタ6に印刷を行わせる際の図3に示したソフトウェアを構成する各プログラム間の通信シーケンスの一例を示す図である。
【図7】図3のプリンタドライバ104の入力部105によってディスプレイに表示される機能設定画面の構成例を示すレイアウト図である。
【図8】図1のカラープリンタ5,モノクロプリンタ6がジョブの印刷/蓄積を行う際の図5に示したソフトウェアを構成する各プログラム間の通信シーケンスの一例を示す図である。
【0016】
【図9】図5の印刷データ解析部205による解析処理を示すフロー図である。
【図10】図1のカラープリンタ5,モノクロプリンタ6が稼動中に遷移した時に印刷を行う際の図5に示したソフトウェアを構成する各プログラム間の通信シーケンスの一例を示す図である。
【図11】図1のカラープリンタ5,モノクロプリンタ6が稼動中に印刷を行う際の図5の印刷判定部208による印刷判定処理の一例を示すフロー図である。
【図12】図1のカラープリンタ5,モノクロプリンタ6が待機中に印刷を行う際の図5の印刷判定部208による印刷判定処理の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
〔プリンタシステムの構成〕
まず、この発明による印刷制御装置としての機能を有するプリンタを含む印刷システムの構成について、図1を参照して説明する。
図1は、その印刷システムのネットワーク構成例を示す図である。
【0018】
この印刷システムは、複数のクライアントPC1〜3と、プリントサーバ4と、カラープリンタ5と、モノクロプリンタ6とを備えている。それらの機器の接続は、LAN(ローカルエリアネットワーク)等のネットワーク7を介して行うが、RS−485規格等に準拠したシリアル接続や、SCSI(Small Computer System Interface)規格等に準拠したパラレル接続等によって行ってもよい。
【0019】
クライアントPC1〜3は、パーソナルコンピュータ等のホストコンピュータであり、ユーザ操作(ユーザによる入力装置の操作)により、アプリケーションプログラム(以下「アプリケーション」又は「アプリ」と略称する)を用いて印刷データを含む印刷ジョブ(印刷要求)を作成し、それをプリントサーバ4,カラープリンタ5,又はモノクロプリンタ6へ送信する。
プリントサーバ4は、各クライアントPC1〜3からの印刷ジョブを受け取り、カラープリンタ5又はモノクロプリンタ6へ送信する。
【0020】
カラープリンタ5は、印刷制御装置としての機能を有する印刷装置であり、各クライアントPC1〜3のいずれか又はプリントサーバ4から印刷ジョブを受け取り(受信し)、カラー(フルカラー等)印刷処理を実行する。つまり、印刷ジョブに基づいてカラーの画像データを可視画像として用紙等の印刷媒体に印刷(画像形成)する。
モノクロプリンタ6は、印刷制御装置としての機能を有する印刷装置であり、各クライアントPC1〜3のいずれか又はプリントサーバ4から印刷ジョブを受け取り、モノクロ印刷を実行する。つまり、印刷ジョブに基づいてモノクロの画像データを可視画像として印刷媒体に印刷する。
【0021】
なお、カラープリンタ5やモノクロプリンタ6にプリントサーバの機能を備えてもよい。また、プリント(印刷)機能のみを有するカラープリンタ5やモノクロプリンタ6に代えて、プリント機能の他にコピー機能等の他の機能も有するデジタル複写機,デジタル複合機,ファクシミリ装置等の印刷装置(画像形成装置)を使用してもよい。
【0022】
〔クライアントPCのハードウェア構成〕
次に、図1のクライアントPC1〜3のハードウェア構成について、図2を参照して具体的に説明する。
図2は、そのクライアントPC1〜3のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【0023】
クライアントPC1〜3(以下「機器」ともいう)はそれぞれ、CPU11,ディスプレイインタフェース(以下「インタフェース」を「I/F」という)12,RAM13,チップセット14,15,ハードティスク装置(以下「HDD」という)16,ネットワークI/F17,マウス18,キーボード19,およびモデム20を備えている。
CPU11は、後述するプログラムに従って機器全体を統括的に制御する中央処理装置である。
【0024】
ディスプレイI/F12は、外部に接続されたモニタ(ディスプレイ)を使ってユーザに機器の状態等の情報を表示するための信号を出力するものである。
RAM13は、CPU11がプログラムを実行するために作業するワークメモリや、印刷ジョブの印刷データを生成する印刷データメモリ等として使用する読み書き可能なメモリである。
チップセット14は、CPU11,ディスプレイI/F12,およびRAM13を高速な内部バスで接続し、また外部の汎用バス21とのデータ交換も行うものである。
【0025】
HDD16は、汎用バス21に接続されたメモリデバイスであり、OS(オペレーティングシステム)や、各種制御を実現するためのプログラムおよびデータなどを格納している。
ネットワークI/F17は、外部機器(他のクライアントPCやプリントサーバ4,カラープリンタ5,モノクロプリンタ6等)とネットワーク7を介してデータをやり取りするためのインタフェースである。
【0026】
チップセット14,HDD16,およびネットワークI/F17は、内部バスよりも低速な汎用バス21でつながれている。
チップセット15は、それらチップセット14,HDD16,およびネットワークI/F17と更に低速なバス22やポートとデータ交換を行う。
マウスポートやキーボードポートでは、外部に接続されたマウス18やキーボード19によりユーザ操作による入力を受け付ける。また、モデムポートでは、外部のモデム20に接続された電話回線(公衆回線)によりFAX通信等が可能になっている。
【0027】
〔クライアントPC1〜3のソフトウェア構成〕
次に、図1のクライアントPC1〜3のソフトウェア構成について、図3を参照して説明する。なお、ソフトウェアを構成する各プログラムによる処理や制御は、実際には図2のCPU11がプログラムに従って動作することによって実行するが、説明の都合上、プログラムが処理を実行するものとする。以後も、プログラムが何らかの処理や制御を行うものとして説明を行う場合には、同様とする。
【0028】
図3は、図1のクライアントPC1〜3のソフトウェア構成例を示すブロック図である。
クライアントPC1〜3ではそれぞれ、OS(オペレーティングシステム)101、例えばマイクロソフト社のWindows(登録商標)が動作しており、アプリケーション102,ネットワークI/F103,およびプリンタドライバ104が印刷制御時に動作する。
【0029】
プリンタドライバ104は、この発明に関わる機能を実現するための機能(印刷条件を含む)の設定を行う入力部105と、カラープリンタ5又はモノクロプリンタ6用の印刷データを作成する描画部106とを備えている。なお、説明の都合上、この実施形態では、印刷データをビットマップ状の印刷描画データ(画像データ)とするが、印刷描画データを生成するためのPDL(プリンタ記述言語)等によって構成されていても勿論よい。
【0030】
〔カラープリンタ,モノクロプリンタのハードウェア構成〕
次に、図1のカラープリンタ5,モノクロプリンタ6のハードウェア構成について、図4を参照して具体的に説明する。
図4は、そのカラープリンタ5,モノクロプリンタ6のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【0031】
カラープリンタ5(以下「機器」ともいう)およびモノクロプリンタ6(以下「機器」ともいう)はそれぞれ、オペレーションパネル31,CPU32,ASIC(Application Specific Integrated Circuit)33,RAM34,ROM35,ネットワークI/F36,HDD37,およびエンジン部38を備えている。それらのうち、CPU32,ASIC33,RAM34,ROM35,ネットワークI/F36が、印刷制御装置としての機能を果す。
オペレーションパネル31は、エンジン部38や外部機器に対する動作要求(印刷要求,送信要求等)をユーザ操作によって入力するための各種の操作キー(操作スイッチ又は操作ボタンともいう)およびLCD又はCRT等の表示器を有する操作部である。
【0032】
CPU32は、後述するプログラムに従って機器全体を統括的に制御する中央処理装置である。このCPU32は、自己に内蔵されているモジュールおよび自己にASIC33を介して接続されている各種デバイスの入出力を制御したり、後述するエンジン部38による印刷処理を実現するためのプリンタアプリを実行することもできる。このCPU32はまた、プログラムを実行して機器を制御することにより、この発明に関わる印刷禁止指示手段,ジョブ保存指示手段,印刷実施指示手段,所定時間指定手段,所定数指定手段,所定期間指定手段,所定温度指定手段,所定時間指定手段,および優先度指定手段としての機能を果たすこともできる。
【0033】
ASIC33は、CPU32,RAM34,ROM35,ネットワークI/F36,オペレーションパネル31をそれぞれ接続するための複数のI/F等からなる多機能デバイスボードであり、CPU32の制御対象となるデバイスの共有化を図り、アーキテクチャの面からアプリケーション等の開発の高効率化を支援するICである。このASIC33は、ここでは画像処理用のハードウェア要素を備えている。
【0034】
RAM34は、CPU32がプログラムを実行するために作業するワークメモリや、印刷ジョブの印刷データ(印刷描画データ)を展開する際に使用する印刷描画メモリ等として使用する読み書き可能なメモリ(記憶手段)である。
ROM35は、ブートプログラム,印刷制御を含む各種制御を実現するための各種プログラムおよびデータなどを格納している読み出し専用メモリである。
【0035】
ネットワークI/F36は、外部機器(クライアントPC1〜3,プリントサーバ4等)とネットワーク7を介してデータをやり取りするためのインタフェースである。
HDD37は、OSや、この発明に関わる各種制御を実現するための各種プログラムおよびデータなどを格納している補助記憶装置(記憶手段)である。また、印刷データをスプールするスプールメモリ等としても使用する。なお、HDD以外の記憶手段を設け、それをスプールメモリとして使用することもできる。
【0036】
エンジン部38は、機器がカラープリンタであれば、印刷データ(印刷描画データ)をカラーの可視画像として印刷媒体上に印刷する印刷機構部(画像形成手段)である。機器がモノクロプリンタであれば、印刷データをモノクロの可視画像として印刷媒体上に印刷する印刷機構部である。なお、印刷データがPDLによって構成されている場合、印刷媒体にカラー又はモノクロの可視画像を印刷するためのビットマップ状の印刷描画データに変換する必要がある。
【0037】
〔カラープリンタ,モノクロプリンタのソフトウェア構成〕
次に、図1のカラープリンタ5,モノクロプリンタ6のソフトウェア構成について、図5を参照して説明する。
図5は、そのカラープリンタ5,モノクロプリンタ6のソフトウェア構成例を示すブロック図である。
【0038】
カラープリンタ5,モノクロプリンタ6ではそれぞれ、OS201が動作しており、ネットワークI/F202,およびプリンタアプリ203が印刷制御時に動作する。
プリンタアプリ203は、印刷データ受付部204,印刷データ解析部205,印刷データ蓄積部206,印刷状態管理部207,印刷判定部208,印刷描画実行部209,および印刷描画データスプール部210を備えている。
【0039】
印刷データ受付部204は、印刷描画データを含むジョブ(印刷ジョブ)を受け付けるプログラムである。
印刷データ解析部205は、印刷データ受付部204によって受け付けた印刷ジョブの内容を解析して、その印刷ジョブが待機中(省電力モード時)に印刷しないジョブであるかどうかを判別し、そのジョブであれば機能設定情報を抽出するプログラムである。
印刷データ蓄積部206は、印刷データ解析部205からの機能設定情報と印刷描画データをHDD37に蓄積して保管するプログラムである。
印刷状態管理部207は、稼動状態(稼動中)か待機状態(待機中)かを監視するプログラムである。
【0040】
印刷判定部208は、印刷データ蓄積部206と印刷状態管理部207から印刷データ蓄積部206によってHDD37に蓄積保管されている印刷すべきジョブ(印刷ジョブ)を判定し、それを印刷描画データスプール部210へ送出し、印刷描画実行部209へ印刷描画データによる印刷を依頼するプログラムである。
印刷描画実行部209は、印刷描画データ(印刷描画データスプール部210によってHDD37にスプールされた印刷描画データを含む)による印刷を実行するプログラムである。
印刷描画データスプール部210は、印刷描画データをHDD37にスプールさせるプログラムである。
【0041】
〔クライアントPCの各プログラム間の通信シーケンス〕
次に、図1のクライアントPC1〜3がカラープリンタ5又はモノクロプリンタ6に印刷を行わせる際の図3に示したソフトウェアを構成する各プログラム間の通信シーケンスについて、図6を参照して説明する。なお、ここでは、モノクロプリンタ6を印刷先として選択するものとする。
図6は、その各プログラム間の通信シーケンスの一例を示す図である。なお、この図を含む各図において、ステップを「S」と略記している。
【0042】
アプリケーション102は、ユーザ操作(入力装置である図2のマウス18やキーボード19を用いたユーザによる操作)による文字入力によってディスプレイ上で文書データ等の印刷データを作成したり、HDD16内の印刷データを読み出してディスプレイ上に表示させる。その後、印刷の指示があった場合に、プリンタドライバ104の入力部(ドライバ入力部)105に対する呼び出し要求をOS101を介してプリンタドライバ104の入力部105へ通知する(S101,S102)。
【0043】
プリンタドライバ104の入力部105は、ユーザI/F(ドライバUI)を有しており、上記の呼び出し要求を受けると、ドライバUIによってディスプレイ上に機能設定画面を表示させ、その機能設定画面に対するユーザ操作によって機能の設定(印刷先の選択を含む)を行い、その設定が完了した時に、その機能設定情報をOS101を介してアプリケーション102へ通知する(S103,S104)。
アプリケーション102は、プリンタドライバ104の入力部105に対する呼び出し要求に対して、機能設定情報を受け取ると、その機能設定情報を付加した印刷データをOS101を介してプリンタドライバ104の描画部106へ通知する(S105,S106)。
【0044】
プリンタドライバ104の描画部106は、その印刷データを受け取ると、それをモノクロプリンタ6用の印刷描画データに変換し、それをOS101へ通知する(S107)。
OS101は、その印刷描画データを受け取ると、その印刷描画データ(実際にはその印刷描画データを含む印刷ジョブ)をネットワークI/F103によってモノクロプリンタ6へ送信させ、印刷処理を行わせる(S108,S109)。
【0045】
〔機能設定画面〕
次に、図3のプリンタドライバ104の入力部105によってディスプレイに表示される機能設定画面について、図7を参照して説明する。
図7は、その機能設定画面の構成例を示すレイアウト図である。
この機能設定画面に対するユーザ操作(実際にはその操作によって生成される操作信号)により、印刷先に対して、待機中(待機状態)に印刷しない設定や、印刷ジョブ毎の優先度の設定(指定)、待機中でも印刷を実施する設定を行うことができる。待機中でも印刷を実施する設定を行う場合、以下の(1)〜(4)に示すような設定も行える。
【0046】
(1)待機中から稼動中(稼動状態)に遷移しなくても、保存されたジョブの数(ジョブのスタック数)が指定された所定数(指定ジョブ数)に達した場合に、そのジョブの印刷を印刷させる(指定ジョブ数以上のジョブスタックで印刷する)。この設定を行う場合、指定ジョブ数の指定も行える。
(2)待機中から稼動中に遷移しなくても、待機中になってからの期間が指定された所定期間(指定期間)を経過した場合に、保存されたジョブの印刷を実施させる(指定期間以上で印刷する)。この設定を行う場合、指定期間(分)の指定も行える。
【0047】
(3)待機中から稼動中に遷移しなくても、印刷先内の印刷に用いる感光体(像担持体)の温度が指定された所定温度(指定温度)に達した場合に、保存されたジョブの印刷を実施させる(感光体温度が指定温度以上で印刷する)。この設定を行う場合、指定温度(℃)の指定も行える。
(4)待機中から稼動中に遷移しなくても、待機中への遷移後の時間が指定された所定時間(指定時間)を越えていない場合に、保存されたジョブの印刷を実施させる(待機状態になってからの時間が指定時間以内で印刷する)。この設定を行う場合、指定時間(分)の指定も行える。
【0048】
また、機能設定画面に対するユーザ操作により、印刷先に対して、稼動中における印刷条件の設定を行うこともできる。つまり、稼動中の場合、指定された所定時間(指定時間)内に限り、保存されたジョブの印刷を実施させる(指定時間内で印刷をする)設定を行うことができる。この設定を行う場合、指定時間(その開始時刻を含む)の指定も行える。
【0049】
なお、上述した印刷ジョブ毎の優先度(優先順位)の設定や、待機中に印刷しない設定を行う場合の指定ジョブ数,指定期間,指定温度,指定時間の指定、稼動中における印刷条件の設定を行う場合の指定時間の指定を、機能設定画面に対するユーザ操作ではなく、オペレーションパネル31に対するユーザ操作(実際にはその操作によって生成される操作信号)によって行うこともできる。
【0050】
なお、現在の時刻は、時刻計測を行うリアルタイムクロック回路等の時計手段を用いることによって得ることができる。あるいは、プログラム(但しUNIX(登録商標)系のOSに限る)によるソフト的な時計手段を用いることもできる。UNIX系のOSは、時刻情報を1970年1月1日0:00からの経過秒として持っているため、秒をカウントできるカウンタがあれば、そのカウンタを用いて時刻計測を行い、現在の時刻を取得することも可能になる。
【0051】
〔プリンタのジョブの印刷/蓄積を行う際の各プログラム間の通信シーケンス〕
次に、図1のカラープリンタ5,モノクロプリンタ6がジョブの印刷/蓄積を行う際の図5に示したソフトウェアを構成する各プログラム間の通信シーケンスについて、図8,図9を参照して説明する。
図8は、その各プログラム間の通信シーケンスの一例を示す図である。
図9は、図5の印刷データ解析部205による解析処理を示すフローチャートである。
【0052】
印刷データ受付部204は、定期的にOS201を介してネットワークI/F202に対して印刷データ受信依頼を通知する(S201,S202)。
ネットワークI/F202は、その印刷データ受信依頼を受けた時にクライアントPC1〜3のいずれかから直接又はプリンタサーバ4を介して印刷描画データを含む印刷ジョブが送られてくると、その印刷ジョブを受信し、OS201を介して印刷データ受付部204へ通知する(S203,S204)。
【0053】
印刷データ受付部204は、印刷データ受信依頼に対して印刷ジョブを受け付けると、それを含む印刷データ解析依頼を印刷データ解析部205へ通知する(S205)。
印刷データ解析部205は、その印刷データ解析依頼を受けると、図9に示すように、その印刷データ解析依頼に含まれている印刷ジョブを解析して、その印刷ジョブが待機中に印刷しないジョブ(特定な指示)であるかどうかを判別し、そのジョブでなければ印刷描画データを含む印刷指示を印刷描画実行部209へ通知する(S206)。待機中に印刷しないジョブである場合には、そのジョブから機能設定情報を抽出して、その機能設定情報とそれ以外の情報である印刷描画データとを印刷データ蓄積部206へ通知する(S207,S208)。この場合、エンジン部38による待機中での印刷を禁止させることになる。
【0054】
印刷描画実行部209は、印刷データ解析部205から印刷指示を受けると、それに含まれている印刷描画データをエンジン部38へ送信して印刷を行わせる。なお、印刷データ解析部205から印刷描画データではなくそれに変換する前の印刷データの場合には、その印刷データをビットマップ上の印刷描画データに変換した後、エンジン部38へ送信するとよい。
印刷データ蓄積部206は、印刷データ解析部205から機能設定情報と印刷描画データとを受け取ると、それらを対応付けてHDD37に蓄積させる。なお、印刷データ解析部205から印刷描画データに変換する前の印刷データを受けた場合には、その印刷データを機能設定情報と共にHDD37に蓄積させるとよい。
【0055】
〔プリンタの稼動中に遷移した時に印刷を行う際の各プログラム間の通信シーケンス〕
次に、図1のカラープリンタ5,モノクロプリンタ6が稼動中に遷移した時に印刷を行う際の図5に示したソフトウェアを構成する各プログラム間の通信シーケンスについて、図10を参照して説明する。
図10は、その各プログラム間の通信シーケンスの一例を示す図である。
【0056】
印刷判定部208は、定期的に印刷状態要求を印刷状態管理部207へ通知する(S301)。
印刷状態管理部207は、その印刷状態要求を受けると、稼動状態か待機状態かを監視し、その結果(印刷状態)を印刷判定部208へ通知する(S302)。
印刷判定部208は、印刷状態要求に対してその結果を受け、稼動中であれば機能設定情報要求を印刷データ蓄積部206へ通知する(S303)。
【0057】
印刷データ蓄積部206は、その機能設定情報要求を受けると、HDD37内の機能設定情報を検索し、その機能設定情報があれば、それをHDD37から読み出して印刷判定部208へ通知する(S304)。
印刷判定部208は、機能設定情報要求に対して機能設定情報を受けると、必要に応じて印刷描画データ要求を印刷データ蓄積部206へ通知する(S305)。
印刷データ蓄積部206は、その印刷描画データ要求を受けると、HDD37から先に読み出した機能設定情報に対応する印刷描画データをHDD37から読み出して印刷判定部208へ通知する(S306)。
【0058】
印刷判定部208は、印刷描画データ要求に対して印刷描画データを受けると、その印刷描画データを印刷描画データスプール部210へ送出して、HDD37へのスプールを行わせた後、印刷指示を印刷描画実行部209へ通知する(S307,S308)。
印刷描画実行部209は、印刷判定部208から印刷指示を受けると、印刷描画データスプール部210によってHDD37にスプールされた印刷描画データを読み出し(取得し)、その印刷描画データをエンジン部38へ送信して印刷を行わせる(S309)。なお、HDD37から印刷描画データではなくそれに変換する前の印刷データを読み出した場合には、その印刷データをビットマップ上の印刷描画データに変換した後、エンジン部38へ送信するとよい。
【0059】
〔稼動中に遷移した時の印刷判定部による処理〕
次に、図1のカラープリンタ5,モノクロプリンタ6が稼動中に印刷を行う際の図5の印刷判定部208による印刷判定処理について、図11を参照して説明する。
図11は、その印刷判定部208による印刷判定処理の一例を示すフローチャートである。
印刷判定部208は、定期的に図11の処理ルーチンを開始し、まずステップS1の処理へ進む。
【0060】
ステップS1では、印刷状態要求を印刷状態管理部207へ通知することにより、その印刷状態管理部207から受ける監視結果(印刷状態)が稼動中であるか待機中であるかを判断し、待機中であればそのまま処理を終了するが、稼動中であればステップS2の処理へ進む。
ステップS2では、HDD37内の各機能設定情報のうち、先頭の機能設定情報を取得する。つまり、その機能設定情報を取得するための機能設定情報要求を印刷データ蓄積部206へ通知することにより、その印刷データ蓄積部206から先頭の機能設定情報を取得する。この機能設定情報は、1ジョブ分だけ取得した後、HDD37から削除する。
【0061】
次に、ステップS3の処理へ進み、取得した機能設定情報より、稼動中における印刷条件の指定時間であるプリント時間(Print time)の設定の有無をチェックし、プリント時間が設定されていなければそのままステップS4の処理へ進む。
プリント時間が設定されている場合には、現在の時刻がプリント時間内であるか否かをチェックし、そうであればステップS4の処理へ進む。現在の時刻がプリント時間内でなければ、ステップS5の処理へ進む。
【0062】
ステップS4では、先に取得した機能設定情報を印刷指示対象ジョブとしてRAM34に貯める。
ステップS5では、機能設定情報を全て取得(検索)したかどうかをチェックする。
そして、機能設定情報を全て取得していない場合には、ステップS2の処理へ戻って、次の機能設定情報を取得し、以後ステップS5で機能設定情報を全て取得したと判断するまで、ステップS2〜S5の処理を繰り返し行う。
【0063】
機能設定情報を全て取得した場合には、ステップS6の処理へ進み、RAM34に貯めた各印刷指示対象ジョブ(機能設定情報)をそれらに含まれている優先度(プライオリティ)に応じてソートする。
次に、ステップS7の処理へ進み、RAM34上でソートした各印刷指示対象ジョブのうち、先頭の(最も優先度が高い)印刷指示対象ジョブの印刷描画データを取得する。つまり、その印刷描画データを取得するための印刷描画データ要求を印刷データ蓄積部206へ通知することにより、その印刷データ蓄積部206から先頭の印刷指示対象ジョブの印刷描画データを取得する。
【0064】
次に、ステップS8の処理へ進み、取得した印刷指示対象ジョブの印刷描画データを印刷描画データスプール部210へ送出して、HDD37へのスプールを行わせた後、ステップS9の処理へ進み、印刷指示を印刷描画実行部209へ通知して、HDD37にスプールさせた印刷描画データによる印刷を行わせる。
その後、ステップS10の処理へ進み、RAM34上でソートした各印刷指示対象ジョブの印刷が全て終了したかどうかをチェックし、まだ終了していなければステップS7の処理へ戻って、次の(次に優先度が高い)印刷指示対象ジョブの印刷描画データを取得し、以後ステップS10で各印刷指示対象ジョブの印刷が全て終了したと判断するまで、ステップS7〜S10の処理を繰り返し行う。
【0065】
〔待機中の印刷判定部による処理〕
次に、図1のカラープリンタ5,モノクロプリンタ6が待機中に印刷を行う際の図5の印刷判定部208による印刷判定処理について、図12を参照して説明する。
図12は、その印刷判定部208による印刷判定処理の一例を示すフローチャートである。
印刷判定部208は、待機中に定期的に(所定間隔で)図12の処理ルーチンを開始し、まずステップS21の処理へ進む。
【0066】
ステップS21では、HDD37内の各機能設定情報のうち、先頭の機能設定情報を取得する。つまり、その機能設定情報を取得するための機能設定情報要求を印刷データ蓄積部206へ通知することにより、その印刷データ蓄積部206から先頭の機能設定情報を取得する。
次に、ステップS22の処理へ進み、取得した機能設定情報より、HDD37へのジョブのスタック数が指定ジョブ数である最大ジョブカウント数(Max Job count)より大きいか否かを判断し、大きい場合にはステップS26の処理へ、大きくない場合にはステップS23の処理へそれぞれ進む。
【0067】
ステップS23では、取得した機能設定情報より、待機中になってからの期間(Receive Job time)が指定期間である最大待ち時間(Max wait time)を経過したか否かを判断し、経過した場合にはステップS26の処理へ、経過していない場合にはステップS24の処理へそれぞれ進む。
ステップS24では、取得した機能設定情報より、印刷に用いる感光体の温度が指定温度(Temperature)(℃)より高いか否かを判断し、高い場合にはステップS26の処理へ、高くない場合にはステップS25の処理へそれぞれ進む。
【0068】
ステップS25では、取得した機能設定情報より、待機中への遷移後の時間が指定時間である待機状態時間(Waiting status time)(min)を越えていないかどうかを判断し、越えていない場合にはステップS26の処理へ、越えている場合にはステップS28の処理へそれぞれ進む。
ステップS26では、取得した機能設定情報を印刷指示対象ジョブとしてRAM34に貯める。
【0069】
次に、ステップS27へ進み、印刷指示対象ジョブとしてRAM34に貯めた機能設定情報(該当する機能設定情報)をHDD37から削除する。
続いて、ステップS28の処理へ進み、機能設定情報を全て取得(検索)したかどうかをチェックし、機能設定情報を全て取得していない場合には、ステップS21の処理へ戻って、次の機能設定情報を取得し、以後ステップS28で機能設定情報を全て取得したと判断するまで、ステップS21〜S28の処理を繰り返し行う。
機能設定情報を全て取得した場合には、ステップS29の処理へ進む。
【0070】
ステップS29〜S33の処理は、図11のステップS6〜S10の処理と同様なので、説明を省略する。
なお、印刷データ蓄積部206は、印刷ジョブ毎の印刷描画データと機能設定情報をHDD37に蓄積する際に、その機能設定情報を、例えば表1に示すように登録テーブル(機能設定テーブル)として蓄積して登録する。
【0071】
【表1】

【0072】
このように、プリンタ(印刷装置)が、特定な指示により、待機状態での印刷を禁止して、その印刷のジョブをHDD(記憶手段)に保存し、待機状態から稼動状態(例えば今すぐに印刷物として得る必要がある他のジョブの印刷時)に遷移したときに、HDDに保存したジョブの印刷を続けて実施することにより、今すぐに印刷物として得る必要がないジョブの印刷を他のジョブの印刷と同じタイミングにまとめて行うことができる。よって、稼動状態と待機状態の行き来が少なくなり、待機状態の時間が長くなるため、消費電力を少なくすることができる。
【0073】
また、稼動状態の場合、指定時間内に限り、HDDに保存したジョブの印刷を実施するようにすれば、例えば指定時間を夜間の時間とすれば、夜間は電力が安くなるため、更に消費電力を少なくすることができる。
さらに、待機状態から稼動状態に遷移したときに、HDDに保存(スタック)したジョブをまとめて印刷すると、時間がかかりすぎ、ユーザの業務等に支障を来たす場合があるため、待機状態から稼動状態に遷移しなくても、HDDに保存したジョブの数が指定数に達した場合に、そのジョブの印刷を実施するようにすれば、待機状態から稼動状態に遷移したときに、HDDに保存したジョブをまとめて印刷しても、時間がかかりすぎることがなくなり、ユーザの業務等に支障を来たすことがない。
【0074】
さらにまた、待機状態から稼動状態に遷移しなくても、待機状態になってからの期間が指定期間を経過した場合に、HDDに保存したジョブの印刷を実施するようにすれば、1日以上は待てないなどのユーザの事情等も考慮することができる。
また、印刷に用いる像担持体(感光体)の温度を上げるのに電力を使うため、待機状態から稼動状態に遷移しなくても、像担持体の温度が指定温度に達した場合に、HDDに保存したジョブの印刷を実施するようにすれば、電力消費の更なる抑制につながる。
【0075】
また、稼動状態から数秒以内なら、まだ印刷指示をして待機状態から稼動状態に遷移させても、大きな電力消費とはならないため、待機状態から稼動状態に遷移しなくても、待機状態への遷移後の時間が指定時間を越えていない場合に、HDDに保存したジョブの印刷を実施するようにすれば、電力消費の一層の抑制につながる。
さらに、稼動中まで待つが、稼動中になったなら優先して印刷して欲しいというようなユーザの要望がある場合、HDDに保存したジョブの印刷を指定優先度に従って実施するようにすることにより、ユーザの要望に応えることができる。
【0076】
〔この発明に関わるプログラム〕
このプログラムは、機器(印刷制御装置又はその機能を持つ印刷装置)を制御するコンピュータ(CPU)に、この発明に関わる印刷禁止指示手段,ジョブ保存指示手段,印刷実施指示手段,所定時間指定手段,所定数指定手段,所定期間指定手段,所定温度指定手段,所定時間指定手段,および優先度指定手段としての機能をそれぞれ実現させるためのプログラムであり、このようなプログラムをコンピュータに実行させることにより、上述したような作用効果を得ることができる。
【0077】
このようなプログラムは、はじめから機器に備えるROM、あるいは不揮発性メモリ(フラッシュROM,EEPROM等)、あるいはHDD(ハードディスク装置)などの記憶手段に格納しておいてもよいが、記録媒体であるCD−ROM、あるいはメモリカード,フレキシブルディスク,MO,CD−R,CD−RW,DVD+R,DVD+RW,DVD−R,DVD−RW,又はDVD−RAM等の不揮発性記録媒体(メモリ)に記録して提供することもできる。それらの記録媒体に記録されたプログラムを機器にインストールしてCPUに実行させるか、CPUにそれらの記録媒体からこのプログラムを読み出して実行させることにより、上述した各手順を実行させることができる。
さらに、ネットワークに接続され、プログラムを記録した記録媒体を備える外部機器あるいはプログラムを記憶手段に記憶した外部機器からダウンロードして実行させることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0078】
以上の説明から明らかなように、この発明によれば、印刷装置が、今すぐに印刷物として得る必要がないジョブの印刷を他のジョブの印刷と同じタイミングにまとめて行うことができるため、稼動状態と待機状態の行き来が少なくなり、待機状態の時間が長くなり、消費電力を少なくすることができる。したがって、低消費電力の印刷装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0079】
1〜3:クライアントPC 4:プリントサーバ 5:カラープリンタ
6:モノクロプリンタ 7:ネットワーク 11,32:CPU
12:ディスプレイI/F 13,34:RAM 14,15:チップセット
16,37:HDD 17,36,103,202:ネットワークI/F
18:マウス 19:キーボード 20:モデム 31:オペレーションパネル
33:ASIC 35:ROM 38:エンジン部 101,201:OS
102:アプリケーション 104:プリンタドライバ 105:入力部
106:描画部 203:プリンタアプリ 204:印刷データ受付部
205:印刷データ解析部 206:印刷データ蓄積部 207:印刷状態管理部
208:印刷判定部 209:印刷描画実行部 210:印刷描画データスプール部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0080】
【特許文献1】特開2006−088590号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置を待機状態にして電力消費を少なくする機能を有する印刷制御装置であって、
特定な指示により、前記印刷装置による待機状態での印刷を禁止させる印刷禁止指示手段と、
該印刷禁止指示手段によって禁止させられた印刷のジョブを記憶手段に保存させるジョブ保存指示手段と、
前記印刷装置が待機状態から稼動状態に遷移したときに、前記記憶手段に保存されたジョブの印刷を前記印刷装置に続けて実施させる印刷実施指示手段とを設けたことを特徴とする印刷制御装置。
【請求項2】
前記印刷実施指示手段は、前記印刷装置が稼動状態の場合、指定された所定時間内に限り、前記記憶手段に保存されたジョブの印刷を前記印刷装置に実施させる手段を有することを特徴とする請求項1に記載の印刷制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷制御装置において、
前記所定時間を指定する所定時間指定手段を設けたことを特徴とする印刷制御装置。
【請求項4】
前記印刷実施指示手段は、前記印刷装置が前記待機状態から前記稼動状態に遷移しなくても、前記記憶手段に保存されたジョブの数が指定された所定数に達した場合に、該ジョブの印刷を前記印刷装置に実施させる手段を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の印刷制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の印刷制御装置において、
前記所定数を指定する所定数指定手段を設けたことを特徴とする印刷制御装置。
【請求項6】
前記印刷実施指示手段は、前記印刷装置が前記待機状態から前記稼動状態に遷移しなくても、該待機状態になってからの期間が指定された所定期間を経過した場合に、該記憶手段に保存されたジョブの印刷を前記印刷装置に実施させる手段を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の印刷制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の印刷制御装置において、
前記所定期間を指定する所定期間指定手段を設けたことを特徴とする印刷制御装置。
【請求項8】
前記印刷実施指示手段は、前記印刷装置が前記待機状態から前記稼動状態に遷移しなくても、該印刷装置内の印刷に用いる像担持体の温度が指定された所定温度に達した場合に、該記憶手段に保存されたジョブの印刷を前記印刷装置に実施させる手段を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の印刷制御装置。
【請求項9】
請求項8に記載の印刷制御装置において、
前記所定温度を指定する所定温度指定手段を設けたことを特徴とする印刷制御装置。
【請求項10】
前記印刷実施指示手段は、前記印刷装置が前記待機状態から前記稼動状態に遷移しなくても、該待機状態への遷移後の時間が指定された所定時間を越えていない場合に、該記憶手段に保存されたジョブの印刷を前記印刷装置に実施させる手段を有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の印刷制御装置。
【請求項11】
請求項10に記載の印刷制御装置において、
前記所定時間を指定する所定時間指定手段を設けたことを特徴とする印刷制御装置。
【請求項12】
前記印刷実施指示手段は、前記記憶手段に保存されたジョブの印刷を指定された優先度に従って前記印刷装置に実施させることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の印刷制御装置。
【請求項13】
請求項12に記載の印刷制御装置において、
前記優先度をジョブ毎に指定する優先度指定手段を設けたことを特徴とする印刷制御装置。
【請求項14】
印刷装置を待機状態にして電力消費を少なくする機能を有する印刷制御装置における印刷制御方法であって、
特定な指示により、前記印刷装置による待機状態での印刷を禁止させる印刷禁止指示工程と、
該印刷禁止指示工程によって禁止させられた印刷のジョブを記憶手段に保存させるジョブ保存指示工程と、
前記印刷装置が待機状態から稼動状態に遷移したときに、前記記憶手段に保存されたジョブの印刷を前記印刷装置に続けて実施させる印刷実施指示工程とを有することを特徴とする印刷制御方法。
【請求項15】
印刷制御装置を制御するコンピュータに、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の印刷制御装置を構成する各手段としての機能を実現させるためのプログラム。
【請求項16】
請求項15に記載されたプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−214697(P2010−214697A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62687(P2009−62687)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.EEPROM
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】