説明

印刷可能な単層ポリ塩化ビニリデン構造物

【課題】塩化ビニリデン/塩化ビニルコポリマーと同様の印刷適性を示す、具体的には、幅広い組成のインクに対する親和性を有する塩化ビニリデン/アクリル酸アルキルポリマー組成物から得られるポリマ表面を提供する。
【解決手段】塩化ビニリデンと重合した少なくとも1種のアクリル酸アルキルモノマーに由来する約3.4〜約6.7モル%のmer単位を有し;そして可塑剤を含み、そして以下の組成物特性(1)および(2):(1)少なくとも1種のインクに対する親和性を増大させるのに十分な量の、分子量が最大約70,000ダルトンである少なくとも1種の低分子量塩化ビニルポリマー;および(2)少なくとも1種のインクに対する親和性を増大させるのに十分な量の、少なくとも1種のメタクリルポリマー;の少なくとも1つを含む、少なくとも1種の塩化ビニリデン/アクリル酸アルキルポリマーのポリマー組成物から得られるポリマー表面。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
発明の分野
本発明は、塩化ビニリデンポリマー物品および構造物ならびにその印刷適性、更には関連する組成物ならびに方法に関する。
【背景技術】
【0002】
塩化ビニリデンポリマーを含む組成物であって該塩化ビニリデンが塩化ビニルと、またはエステル,例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピルおよびアクリル酸ブチルと重合しているものは周知である。塩化ビニリデンと塩化ビニルとのポリマーの単層フィルムは長く使用されてきたが、塩化ビニリデンとアクリル酸エステルとのポリマーは一般的に、近年の開発(例えば第WO2006044113号に開示されるような)までは多層構造物の内側層として使用されていた。多層構造物において、塩化ビニリデン/アクリル酸アルキルポリマーよりも印刷に適した層が、一般的に、印刷適性が所望される場合に外側層として使用されている。単層フィルムにおいて使用される塩化ビニリデン/塩化ビニルコポリマーは、一般的には、市販で入手可能なインクで、特別な追加の考慮を必要とせずに印刷可能である。
【0003】
今や、塩化ビニリデン/アクリル酸アルキルポリマーは、単層フィルムにおいて、特にパッケージにおいて使用されており、このようなフィルムは、塩化ビニリデン/アクリル酸アルキル組成物のフィルムにおいて観察されるよりも印刷により適していることが望ましい。塩化ビニリデン/アクリル酸アルキルコポリマーの組成物、フィルムおよび物品であって、単層フィルムにおいて使用するために、市販で入手可能な塩化ビニリデン/塩化ビニルコポリマーと同様の印刷適性を示し、同様に製造される(例えばダブルバブル法により)ものを見出すことが望ましい。具体的には、幅広い組成のインクに対する親和性を有する塩化ビニリデン/アクリル酸アルキルポリマー組成物を有することが望ましい。従って、ポリ塩化ビニリデン組成物,特に、塩化ビニリデンおよびアクリル酸メチルのコポリマーを含む組成物のための添加剤または添加剤パッケージを有することが望ましく、添加剤またはパッケージは、インクへの印刷適性、親和性または接着を、これらを印刷されたパッケージおよび他の印刷された材料のような用途のためにより好適なものとするのに十分に改善する。インクに対する増大した親和性は、好ましくは、より幅広いインク(好ましくは少なくとも1種の非水性または溶媒系のインク、より好ましくはリソグラフィインクよりも低粘度の少なくとも1種のインクが挙げられる)の使用を可能にする。インクの相対的な望ましさは用途に左右され、そして低減されたコスト、所定の設備との適合性、向上した外観、汎用性、何らかの後続のプロセス(例えばリサイクル等)との適合性の少なくとも1つを挙げることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の要約
塩化ビニリデンと重合した少なくとも1種のアクリル酸アルキルモノマーに由来する約3.4〜約6.7モル%のmer単位を有し;そして可塑剤を含み、そして以下の組成物特性(1)および(2):(1)少なくとも1種のインクに対する親和性を増大させるのに十分な量の、少なくとも1種のメタクリルポリマー;および(2)少なくとも1種のインクに対する親和性を増大させるのに十分な量の、分子量が最大約70,000ダルトンである少なくとも1種の低分子量塩化ビニルポリマー;の一方または両方を含む、少なくとも1種の塩化ビニリデン/アクリル酸アルキルポリマーの組成物が、同じ物理的寸法および塩化ビニリデンコポリマー組成物であるがこれらの2つの組成物特性のいずれかを有さないフィルムよりも印刷可能な単層フィルムを形成するのに有用であることを見出した。驚くべきことに、これらの組成物特性は改善された印刷をもたらす。メタクリルポリマーが金属への接着を低下させることが、米国特許第5,202,188号および米国特許第5,759,702号のような文献において報告されており、これは米国特許第5,679,465号のような文献で潤滑剤といわれる。低分子量塩化ビニルポリマーが、袋およびそのシールの強度の改善において使用するために米国特許第3,275,716号において報告されている。エポキシ化大豆油は、塩化ビニリデン/塩化ビニルポリマーフィルム(これは低粘度インクに満足に接着する)よりも大きい濃度で使用されてきた。
【0005】
a.第一の側面において、本発明は、ポリマーブレンド物であって、
b.(a)少なくとも1種の塩化ビニリデンポリマー/アクリル酸アルキルインターポリマー(最大約6.7モル%のアクリル酸アルキルmer単位をポリマー中に有するもの);および
c.(b)可塑剤;ならびに
d.(c)以下の少なくとも1つ
e.(1)好ましくは、本質的にメタクリル酸アルキルエステルモノマー、アクリル酸アルキルエステルモノマー、スチレンモノマーまたはこれらの組合せからなり、インクに対して、その実質的な不存在において実現されるよりも良好な親和性を実現するのに十分な量のモノマー組成物から形成される(すなわち、モノマー組成物に由来するmer単位を有する)少なくとも1種のメタクリルポリマー;および
f.(2)インクに対して、その実質的な不存在において実現されるよりも良好な親和性を実現するのに十分な量の、分子量が最大約70,000ダルトンである少なくとも1種の低分子量塩化ビニルポリマー;
を含むポリマーブレンド物である。
【0006】
組成物は、列挙されるものに加え、任意に添加剤を含む;しかし、質量パーセントは、塩化ビニリデンインターポリマーおよび列挙される種類の添加剤(存在する場合)、(1種以上の各種の可塑剤、低分子量塩化ビニルポリマー、メタクリレートポリマーまたはこれらの組合せの2種以上が挙げられる)の質量から決定されるものである。
【0007】
第2の側面において、本発明は、本発明の実施に従った組成物から形成される単層フィルムおよび該フィルムを含む物品、特に印刷されたフィルムおよび物品を包含する。第3の側面において、本発明は、本発明の実施に従った組成物を含む外側層または外部層を有する多層フィルム、および該フィルムを含む物品、特に印刷されたフィルムおよび物品を包含する。第2および第3の側面において、物品は、好ましくはパッケージまたはその部品であり,例えばオーバーラップ、ソーセージケーシング、袋、および他の容器である。更に、本発明は、表面の少なくとも一部が本発明の実施に従った組成物を含む該表面を有する物品を包含する。更に別の側面において、本発明は、本発明の実施に従った少なくとも1種の組成物を含むポリマー表面であって、好ましくはその上にインクを、好ましくは乾燥インクを伴い、より好ましくは印刷の形態で有するものである。
【0008】
別の側面において、本発明は、本発明の組成物から、フィルムをブローすることまたは物品をブロー成形することを含む、フィルムまたは物品の製造方法を包含する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面
図面なし
発明の詳細な説明
用語の定義:
本明細書で用いる用語「印刷」は、表面にインクを塗布して任意の意図するデザイン(例えば1つ以上の記号、文字、数字、絵柄等)を表面上に残す任意の方法を意味する。本発明の実施において、フレキソ印刷またはグラビア印刷が好ましい。
【0010】
グラビア印刷において、インクは直接シリンダーに適用し、そして該シリンダーからこれを基材に転写する。シリンダーは、インク浴中で回転し、ここでデザインの各セルがインクで浸される。ドクターブレードをシリンダーに対して角度決めして過剰のインクを拭い去り、インクをセルウェル内のみに残す。印刷ローラからの圧力はインクをセルキャビティから引き/出し、そしてこれを基材に転写する。
【0011】
フレキソ印刷において、インクは、平板シリンダーから基材に塗布する。印刷ローラまたはバックアップローラからの圧力が基材をインクで覆われた平板シリンダーと接触させる。インクは、液体のインクの表面張力と基材の表面エネルギーとの差によって基材に転写される。アニロックスロールとして公知の計量シリンダーがインクを平板シリンダーに塗布する。アニロックスロールはインクパン内で回転する。場合によっては、ドクターブレードを用いて過剰のインクをアニロックスロールから除去する。
【0012】
本明細書で用いる用語「インク」は、着色剤および媒体で構成された流体を意味する。着色剤は、染料または顔料である。媒体は、インクの、着色剤をインク貯留容器から基材に運ぶ部分である。媒体は、任意に、レジン、添加剤および溶媒を含む。本発明の実施において、インクは好ましくは溶媒系インク(流体成分が水性である水性インクとは対比され)である。媒体レジンは、媒体溶媒中に溶解している。溶媒は乾燥中に除去され、そしてレジンは着色剤を基材に結合させる。これは筆記、印刷等に使用される。フレキソ印刷インクは、パッケージにおいて使用されるグラビア印刷インクと極めて類似している。これらは速乾性で低粘度を有する。すなわち、粘度が一般的なリソグラフィーインクの粘度よりも低い。これらのインクは、非吸収性基材の表面上にあって溶媒が除去された場合に固化するように配合する。溶媒は、熱、しばしば高温対流気(印刷ユニット間および最後の印刷ユニットの後のトンネルドライヤー内に適用する)で除去される。このようなフレキソインクおよびグラビアインクは、本発明の実施において好ましい。
【0013】
本明細書で用いる用語「インクに対する親和性」または「インクに対する接着」は、表面の特性、すなわち、インクの保持能力またはインクが表面に留まる傾向(特にこれを除去するラビングまたは他の手段の存在下)を説明する。試験手順は、Flexography Principles and Practices,第4版,Flexographic Technical Association発行,第354−358頁(1991)に記載されている。テープ接着試験、スクラッチおよびラビング耐性試験を用いる。本発明のために特に適切な試験は、後述で本発明の例において更に詳細に説明する。インクに対する親和性および接着における相違を正確に反映させるための試験のために、試験に用いるインク自体は、表面親和性における相違をマスクする、印刷される表面に対する十分な親和性を有さないのがよい。好ましくは、試験に用いるインクは、最大約80パーセントの接着を、試験される表面(そのインクに対する親和性が最低限である)に対して有することになる。そうでないと、相対的な性能を測定することは難しい。
【0014】
本明細書で用いる用語「可塑剤」は、ポリマー組成物中に組み入れられて、これから形成されるポリマーまたは最終製品(例えばフィルムまたは繊維)の可撓性、追従性または柔軟性を増大させる物質または材料を意味する。通常、可塑剤は、プラスチックのガラス転移温度を低下させ、これをより柔軟にする。しかし、強度および硬度は、添加される可塑剤の結果としてしばしば低下する。
【0015】
「フィルム」は、シート、不織布もしくは織布等またはこれらの組合せを意味し、長さおよび幅の寸法を有し、そして2つの主面(これらの間が厚みである)を有する。フィルムは、単層フィルム(1層のみ有する)または多層フィルム(2以上の層を有する)であることができる。多層フィルムは、2以上の層で構成されており、好ましくは少なくとも2つの異なる組成物で構成されており、これは有利には実質的にフィルムの長さおよび幅の寸法に延びている。多層フィルムの層は、通常、以下の方法の1つ以上によって共に結合している:ラミネート、共押出し、押出コーティング、蒸着コーティング、溶媒コーティング、エマルションコーティング、または懸濁コーティング。フィルムは、殆どの場合において、厚み約20mil(5×10-4m)以下を有する。本発明を説明するために本明細書で用いる試験フィルムはまたコーティングを包含する。
【0016】
「層」は、本明細書において、構造物の厚みの全部または一部を形成する部材または構成要素を意味し、該構成要素は、好ましくは実質的に構造物と同延であり、そして実質的に均一な組成を有する。
【0017】
本明細書で用いる用語「単層フィルム」は、実質的に1つの層を有するフィルムを意味する。しかし任意に、単層フィルムの1つより多いプライを、隣接するプライ間に1種以上の接着剤を伴いまたは伴わない用途において用いる。よって、フィルムは、これが当該分野で単層プロセスであると考えられるプロセスにおいて形成される場合、例えば共押出し法でなくダブルバブル法によって形成される場合には、本発明の実施に従った組成物の2つの層が互いに隣接して用いられ、または更に層間に接着剤を有する場合であっても、単層と考えられる。接着剤を用いる場合、各出現の厚みは一般的に、これが一部をなす構造物の総厚みの最大約10%、好ましくは最大約5%である。本発明の目的で、製造時に単層であるフィルムは、これがパッケージ(他の材料と隣接、接着または両者を含むことができる)において使用される場合であっても単層と考えられる。
【0018】
「押出し」および「押出す」は、溶融プラスチック材料をダイに通すことによって連続形状を形成し、次いで冷却または化学的に硬化させるプロセスを意味する。ダイを介する押出しの直前に、比較的高粘度のポリマー材料を回転スクリュー内に供給し、これをダイに通す。
【0019】
「共押出し」および「共押出しする」は、押出物を一緒に層流構造に合体させて溶接した後冷却またはチル(すなわちクエンチ)するように配列された2つ以上の口部を有する単一ダイ経由で、2種以上の材料を押出すプロセスを意味する。共押出しはしばしば、他のプロセス(例えばフィルムのブロー、フィルムキャスト、および押出しコーティングのプロセス)の局面として採用される。
【0020】
用語「表面」は、対象物の外側表面または外装、3次元形態の境界(フィルム等)を意味するために用いる。本発明の目的で、対象物の全表面の一部もまた表面という。更に、本発明を説明する目的で、表面という用語は、一度露出した表面が印刷または場合によりコーティングを受けた(例えばインクの上に)後であっても該当するが、露出した表面(すなわちこのようなコーティングの前)をインクに対する親和性または接着についての試験に用いなければならないことは除く。同様に、印刷前に本発明の実施に従った組成物で表面をコートする場合、そのコーティングの外側の境界は、本発明の目的で表面といい、そしてインクに対する相対的な親和性を試験するために用いる。
【0021】
本明細書で用いる用語「加工助剤」は、ポリマーの押出しを改善してフィルムまたは他の形状を形成するのに有用であり、よって押出し加工を補助する添加剤を意味する。
【0022】
「分子量」は、本明細書において、重量平均分子量をダルトン単位で規定する。これは、例えば塩化ビニリデンポリマーの場合、サイズ排除クロマトグラフィによって、ポリスチレン換算を用いて測定する。サンプル調製は、ポリ塩化ビニリデンレジンサンプルをテトラヒドロフラン(THF)中に50℃で溶解させることを含む。約94%超の塩化ビニリデンを含有するレジンサンプルはこの温度では容易に溶解せず、そして高温での溶解は、ポリマー分子量の低下をもたらす可能性がある。従って、約94%超の塩化ビニリデンを含有するレジンサンプルは、1パーセント(%)溶液として、抑制されたTHF中63℃で前溶解させる。サンプルは83℃以下にて4時間で、分子量の損失なく溶解させることができるが、溶解の時間および温度を最低限とすることが望ましい。次いで、分子量の評価のために、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により、Polymer Laboratories Software を Hewlett Packard 1100 クロマトグラフ(2つのカラムを直列で備える)上で用いて、ポリマーを分析する。これらのカラムは5μmスチレン/ジビニルベンゼンコポリマービーズ(Polymer Laboratoriesから商品名PLGel 5μ MIXED−Cで市販で入手可能)を含有する。溶媒は、窒素パージしたHPLCグレードTHFである。流量は1.0ミリリットル/分であり、そしてインジェクションサイズは50マイクロリットルである。分子量の評価は、狭分子量分布ポリスチレン標準(Polymer Labsから商品名Narrow PS set(約3,000,000から2000Mp)で市販で入手可能)をこれらの溶出体積と共に用いることによって推定する。他の方法は当業者の技術の範囲である。ポリマーが市販で入手可能である場合、製造元の文献で与えられる分子量が一般的に許容される。
【0023】
本明細書で用いる用語「mer単位」は、単一反応物質分子、単一モノマー分子に由来するポリマーの部分を意味し;例えば、エチレンによるmer単位は一般式−−CH2CH2−−を有する。
【0024】
本明細書で用いる「ポリマー」は、約100以上のモノマー分子による繰返しmer単位を有する分子であり、該分子は任意に同じまたは異なる。
【0025】
「インターポリマー」または「コポリマー」は、少なくとも2種の反応物質(通常はモノマー)に由来するmer単位を含むポリマーを意味し、ランダム、ブロック、セグメント、グラフト等の、コポリマー、更にターポリマー、テトラポリマー、ならびにトリマーおよびオリゴマーを包含する。
【0026】
本明細書で用いる用語「PVDC」は、ポリ塩化ビニリデンコポリマーを指定する。一般的なPVDCコポリマーとしては、塩化ビニリデン/塩化ビニルコポリマーおよび塩化ビニリデン/アクリル酸アルキルコポリマーが挙げられる。
【0027】
本明細書での全てのパーセント、好ましい量または測定値、その範囲および端点は包含的であり、すなわち「約10未満」は10および約10を包含する。従って「少なくとも」は「と同じまたはこれより大きい」と等価であり、そして「最大で」は従って「と同じまたはこれより小さい」と等価である。特記がない限り、本明細書での数は記載するよりも厳密なものではない。よって、「115」は少なくとも114.5から115.49を包含する。更に、全ての列挙は、列挙の2つ以上のものの組合せを包含する。「少なくとも」、「超」「と同じまたはこれより大きい」としてまたは同様に記載されるパラメータから、「最大で」「以下」「未満」「と同じまたはこれより小さい」としてまたは同様に記載されるパラメータまでの全ての範囲は、各パラメータについて示される選好性の相対程度に関わらず、好ましい範囲である。よって、有利な下限値を最も好ましい上限値と組合せて有する範囲は、本発明の実施のための好ましい範囲である。全ての量、比、比率および他の測定値は、特記、文脈からの黙示または当該分野の慣例がない限り質量基準である。全てのパーセントは、特記、文脈からの黙示または当該分野の慣例がない限り、本発明の実施に従った総組成物基準での質量%である。例におけるものを除き、または特記がある場合を除き、量、パーセント、OH数、官能基等を表し本明細書に記載される全ての数は、全ての場合で、用語「約」によって修飾されることを理解すべきである。特記または他が不可能であることの当業者の理解がない場合、本明細書で記載するプロセスのステップは、任意に、本明細書でのステップの記載における順序とは異なる順序で実施する。更に、ステップは任意に別個に、同時にまたは時間的に重複して、行うことができる。例えば、加熱および混合のようなステップは、当該分野において、しばしば別個、同時、または時間的に一部重複する。特記がない限り、不所望の作用の原因となる可能性がある要素、材料またはステップが、許容できない程度の作用の原因とならないような量または形状で存在する場合、これは本発明の実施について実質的に不存在であると考えられる。更に、用語「許容不可能」および「許容不可能に」は、商業的に有用であることができ、そうでなければ与えられる状況で有用であることができるものからの逸脱を意味し、または既定の制限の範囲外であるものを意味する場合、その制限は具体的な状況および用途で変動し、そして既定(例えば性能仕様)によって設定できる。当業者は、許容可能な制限が、設備、条件、用途、及び他の変数によって変動するが、これらを適用可能である各々の場合において過度の実験を伴わずに決定できることを理解する。幾つかの場合において、1つのパラメータにおける変動および逸脱は別の望ましい結果を実現するために許容可能であることができる。
【0028】
用語「含む(comprising)」は「包含する(including)」「含有する(containing)」または「特徴とする(characterized by)」と同義であり、包含的または開放型(オープンエンド)であり、そして追加の列挙しない要素、材料、手順またはステップを、これらが本明細書で開示されているか否かに関わらず排除しない。用語「本質的に・・・からなる」は、特定した要素、材料、手順またはステップに加えて;列挙しない要素、材料、手順またはステップが、主題の基本的および新規な特徴の少なくとも1つに許容できない程度に物質的に影響しない量で任意に存在することを示す。用語「からなる」は、感知される作用を有しない範囲のもの(よって実質的に不存在である)を除き、記載した要素、材料、手順またはステップのみが存在することを示す。
【0029】
用語「または」は、特記がない限り、列挙した部材を個別に、更に列挙した部材のいくつかまたは全ての任意の組合せで、意味する。
【0030】
温度の表現は、任意に、華氏(°F)単位(その等価の摂氏(℃)とともに)であり、またはより典型的には摂氏(℃)単位のみである。
【0031】
本発明は、少なくとも1種の塩化ビニリデンポリマーの組成物を含む。塩化ビニリデンポリマー(塩化ビニリデンレジン、塩化ビニリデンのインターポリマー、塩化ビニリデンインターポリマー、塩化ビニリデンのコポリマー、およびPVDCとしても公知である)は当該分野で周知である。例えば、米国特許第3,642,743号および第3,879,359号を参照のこと。本明細書で用いる用語「塩化ビニリデンのインターポリマー」「塩化ビニリデンインターポリマー」または「PVDC」は、コポリマー、ターポリマー、およびより高分子のポリマーであって、主成分が塩化ビニリデンであり、任意にそして好ましくは、1種以上のモノ−エチレン性不飽和モノマー(モノ不飽和コモノマー)であって塩化ビニリデンモノマー,例えば塩化ビニル、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルと共重合可能なものを有するものを網羅する。
【0032】
本発明は、塩化ビニリデンポリマー、特にアクリル酸アルキル/塩化ビニリデンポリマー(アクリレートPVDC)に適用可能である。塩化ビニリデンポリマーは、塩化ビニリデンによるモノマー単位(mer単位)および少なくとも1種のアクリル酸アルキルを有する。このようなアクリル酸アルキルとしては、好ましくは、炭素原子1〜5個のアルキル基を有するアクリル酸アルキルおよびこれらの組合せ、好ましくはアクリル酸メチル、アクリル酸エチルもしくはアクリル酸ブチルまたはこれらの組合せ、より好ましくはアクリル酸メチルもしくはアクリル酸ブチルまたはこれらの組合せ、最も好ましくはアクリル酸メチルが挙げられる。代替の態様において、塩化ビニリデンポリマーはまた、任意に、少なくとも1種の追加のモノ−不飽和モノマー(塩化ビニリデンおよびアクリル酸アルキル,例えばメタクリル酸アルキル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、およびこれらの組合せ、好ましくはメタクリル酸アルキル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、またはこれらの組合せと重合可能なもの)を有する。
【0033】
アクリル酸アルキルは、有利には、(総ポリマー質量基準でのモル%として)少なくとも約3.4モル%の量で存在し、好ましくは少なくとも約3.9モル%の量で存在し、より好ましくは少なくとも約4.5モル%、最も好ましくは少なくとも約4.7モル%で存在する。独立に、アクリル酸アルキルは、有利には、ポリマーの最大約6.7モル%、好ましくは最大約6.5モル%、より好ましくは最大約6.3モル%、および最も好ましくは最大約6.0モル%の量で存在する。塩化ビニリデンポリマーのモノマー量の残部は好ましくは塩化ビニリデンであるが、代替の態様において、第2のアクリル酸アルキルが、第1のアクリル酸アルキル,好ましくはアクリル酸ブチルよりも少ない量で存在する(第1のアクリル酸アルキルがアクリル酸メチルである場合)。組合せのアクリル酸アルキルの量についての選好性は、アクリル酸アルキルについて先に列挙したものである。第2の代替の(しかし好ましくはない)態様においては、少なくとも1種の追加のモノ−不飽和モノマー(塩化ビニリデンと重合可能なもの)および少なくとも1種のアクリル酸アルキル(アクリル酸アルキルよりも少ない量,好ましくは総ポリマーの質量基準で最大約5.5モル%、より好ましくは最大約2.0モル%、および最も好ましくは最大約1.0モル%で任意に存在する)である。
【0034】
塩化ビニリデンおよびコモノマーまたはその組合せは、従来、重合(好ましくは懸濁重合)によって組合せている。方法は、少なくとも(a)少なくとも1種の塩化ビニリデンと少なくとも1種のアクリル酸アルキルとを含む組成物を接触させるステップ、および(b)これらが重合するのに有効な条件にこれらを曝露するステップ、を含む。重合は、当該分野の技術(例えば、第US2,968,651号,第US3,007,903号,第US3,879,359号,および第US6,627,679号によって教示されている)の範囲内であるが、所望のポリマー組成物を実現するために必要な特定のモノマーおよびモノマー組成物を、重合条件(例えば:所望の分子量を実現するための、時間、温度、開始剤が挙げられる)の特定の選択と共に用いることを除く。
【0035】
有利には、塩化ビニリデンポリマーが、押出し中の効果的な粘度、フィルム耐久性、および製造生産性に有利な重量平均分子量を有するように重合を行う。粘度および耐久性に有利な分子量を超えると、製造生産性が低下する。分子量は、有利には少なくとも約50,000ダルトン、好ましくは少なくとも約70,000ダルトン、より好ましくは少なくとも約80,000ダルトン、最も好ましくは少なくとも約90,000ダルトンである。分子量は、好ましくは最大約200,000ダルトン、より好ましくは最大約150,000ダルトン、最も好ましくは最大約130,000ダルトンである。
【0036】
本発明の実施に従った少なくとも1種の塩化ビニリデンコポリマーを含有する組成物は、好ましくは、追加的に、少なくとも1種の可塑剤、より好ましくは少なくとも2種の可塑剤を含有する。可塑剤の少なくとも1種は、好ましくはエポキシ可塑剤、すなわち、分子当たり少なくとも1つのエポキシ基を有する可塑剤である。エポキシ可塑剤としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化ひまわり油、エポキシ化植物油、および他のエポキシ化トリグリセリドならびにこれらの組合せ、好ましくはエポキシ化植物油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化大豆油およびこれらの組合せ、より好ましくはエポキシ化大豆油が挙げられる。少なくとも1種の可塑剤は、好ましくは、エポキシ可塑剤ではなく、より好ましくはエステル可塑剤であり、最も好ましくは脂肪族エステル可塑剤である。エステル可塑剤としては、セバシン酸ジブチル、アセチルトリブチルシトレート(ATBC)、他のクエン酸エステル、他のポリマーまたは高分子量エステル油、有利には分子量少なくとも約300のもの、およびこれらの組合せ、好ましくはセバシン酸ジブチル、アセチルトリブチルシトレートおよびこれらの組合せ、より好ましくはセバシン酸ジブチルが挙げられる。
【0037】
可塑剤の総量は、好ましくは少なくとも約4%、より好ましくは少なくとも約5%、最も好ましくは少なくとも約6%、または独立に、好ましくは最大約9%、より好ましくは最大約8%、最も好ましくは最大約7%の可塑剤(ポリ塩化ビニリデン組成物の総質量基準)である。このうち、好ましくは最大約3.5%、より好ましくは最大約3.0%、最も好ましくは最大約2.5%、または独立に少なくとも約0.5%、より好ましくは少なくとも約1.0%、最も好ましくは少なくとも約1.5%(ポリ塩化ビニリデン組成物の総質量基準)の量が、好ましくはエポキシ化油可塑剤である。本発明の実施において、少なくとも2種の可塑剤が好ましくは存在し、より好ましくは少なくとも1種のエポキシ可塑剤および少なくとも1種のエステル可塑剤が存在する。エステル可塑剤またはエステル可塑剤の組合せは、好ましくは、総可塑剤の好ましい量の残部を構成する。
【0038】
更に、1つの好ましい態様において、本発明の実施は、メタクリルポリマーを添加し、これが実質的に不存在のときに得られるよりも大きい親和性をインクに対して実現する(すなわち、添加されるメタクリルポリマーがないこと以外は同じ配合物において)ことを含む。メタクリルポリマーは、少なくとも1種のメタクリル酸アルキルモノマー、またはその組合せを、任意に少なくとも1種のアクリル酸アルキルもしくはスチレンモノマーまたはその組合せとともに含むモノマーから得ることができるポリマーであり;すなわち、メタクリル酸アルキルの1種または複数種のモノマーによる、そして任意にアクリル酸アルキルの1種または複数種のモノマーによるmer単位を有する。好ましくは、メタクリルポリマーは、メタクリル酸メチルを含み、より好ましくは、少なくとも約30質量%、より好ましくは少なくとも約40質量%、最も好ましくは少なくとも約50質量%の量、および少なくとも1種の追加のメタクリルもしくはアクリルのアルキルエステルもしくはスチレンモノマーまたはこれらの組合せを含み、より好ましくは少なくとも1種の追加のメタクリルまたはアクリルのアルキルエステルを含む。アクリル酸アルキルのアルキル基およびメタクリレートモノマーは、少なくとも1個の炭素原子を有し、または独立に好ましくは最大約16個の炭素原子を有し、より好ましくは最大約8個、最も好ましくは最大約4個の炭素原子を有する。好ましいメタクリル酸エステルモノマーおよびアクリル酸エステルモノマー(特にメタクリル酸メチルとの共重合またはインターポリマー化のためのもの)としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルおよびこれらの組合せのようなモノマーが挙げられる。好ましいスチレンモノマーとしては、スチレン、アルファメチルスチレン、パラメチルスチレン、パラtert−ブチルスチレンおよびこれらの組合せのようなモノマーが挙げられる。メタクリレートモノマーおよびアクリレートモノマーならびにこれらの組合せはより好ましい。
【0039】
メタクリルポリマーは、有利には、インクに対する親和性を改善するのに有効な分子量を有し、好ましくは分子量は少なくとも約100,000、より好ましくは少なくとも約150,000、および最も好ましくは少なくとも約200,000、または独立に好ましくは最大約4,000,000、より好ましくは最大約700,000、最も好ましくは最大約400,000ダルトンである。同様に、ガラス転移温度は、有利には、インクに対する親和性を増大させるのに有効な範囲である。メタクリルポリマーは、好ましくは、少なくとも1つのガラス転移温度約105℃未満、より好ましくは約95℃未満、または独立に好ましくは少なくとも約30℃を有する。より好ましくは、メタクリルポリマーは、1つのガラス転移温度約30℃〜約105℃、より好ましくは約30℃〜約95℃を有し、そして第2のガラス転移温度を有し、これは最も好ましくは約40℃未満、より好ましくは約30℃未満である。メタクリルポリマーは、好ましくは、エマルション重合により製造し、そして任意にランダムまたはセグメント化コポリマーのいずれかであり、これは1つ以上のガラス転移温度をもたらす。
【0040】
本発明の実施において、メタクリルポリマー(用いる場合)は、好ましくは、その実質的な不存在において実現されるよりも良好な親和性をインクに対して実現する(すなわち、添加されるメタクリルポリマーがないこと以外は同じ配合物において)のに有効な量で存在する。好ましくは、該量は少なくとも約0.5質量%、より好ましくは少なくとも約0.75質量%、最も好ましくは少なくとも約1.0質量%、または独立に有利には、最大約4質量%、好ましくは最大約3.5質量%、より好ましくは最大約3.0質量%、最も好ましくは最大約2.5質量%(添加剤およびメタクリルポリマーを含む総塩化ビニリデンポリマー組成物の質量基準)である。
【0041】
メタクリルポリマーは、任意に添加でき、そして他の添加剤の添加に従って塩化ビニリデンポリマーと混合(例えば機械混合により)でき、またはポリ塩化ビニリデンポリマー上に凝固させる。これは当業者の技術の範囲内であり、米国特許第6,627,679号(合法な全範囲を参照により本明細書に組入れる)に記載されている。他の添加剤は、任意にメタクリルポリマーと組合せ、そしてこれとともに塩化ビニリデンポリマー上に凝固させる(米国特許第6,627,679号に記載されるように)。
【0042】
本発明の実施において有用な組成物としては、幾つかの態様において、インクに対する親和性を増大させるのに有用な少なくとも1種の低分子量塩化ビニルポリマーが挙げられる。塩化ビニルポリマーは、好ましくは少なくとも約60質量%、より好ましくは少なくとも約70質量%、および最も好ましくは少なくとも約80質量%の塩化ビニルのポリマーであり、少なくとも1種のエチレン性不飽和コモノマーと共重合しており、該エチレン性不飽和コモノマーは、塩化ビニルと共重合可能であり,好ましくは酢酸ビニル、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、エチレン、スチレンモノマー、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸およびこれらの組合せからなる群から、より好ましくは酢酸ビニル、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、エチレン、スチレンモノマー、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、およびこれらの組合せから、そして最も好ましくは酢酸ビニルから、選択され、ここで、該コモノマーまたはこれらの組合せは、総低分子量塩化ビニルポリマーの好ましくは少なくとも約5質量%、より好ましくは少なくとも約7質量%、最も好ましくは少なくとも約10質量%、または独立に好ましくは最大約40質量%、より好ましくは最大約30質量%、最も好ましくは最大約20質量%の量で存在する。
【0043】
塩化ビニルポリマーは、好ましくは、本発明の実施に係るポリマー組成物のインクに対する親和性を増大させるのに有効な分子量を有する。分子量は、好ましくは少なくとも約10,000ダルトン、より好ましくは少なくとも約15,000ダルトン、最も好ましくは少なくとも約20,000ダルトン、または独立に好ましくは最大約70,000ダルトン、より好ましくは最大約50,000ダルトン、最も好ましくは最大約30,000ダルトンである。このような塩化ビニルポリマーはまた、以後「低分子量塩化ビニルポリマー」という。
【0044】
低分子量塩化ビニルポリマーまたはその組合せ(用いる場合)は、組成物のインクに対する親和性を、塩化ビニルポリマーまたは塩化ビニルポリマーの組合せを含まない他は同じ組成物と比べて増大させるのに有効な量で、好ましくは少なくとも約0.5質量%、より好ましくは少なくとも約0.75質量%、最も好ましくは少なくとも約1.0質量%、または独立に好ましくは最大約3質量%、より好ましくは最大約2.7質量%、最も好ましくは最大約2.5質量%(総塩化ビニリデン/アクリル酸アルキルポリマー組成物の)の量で、用いる。塩化ビニルポリマー(メタクリルポリマーのような)は、添加剤をポリマーと組合せるために、当該分野の技術の範囲内の方法で(例えば機械的混合により)添加する。
【0045】
当該分野の技術の範囲内の種々の他の添加剤は、塩化ビニリデンポリマー中に任意に組み入れる。添加剤の種類および量は幾つかの因子に左右される。1つのこのような因子は、組成物の意図される用途である。第2の因子は、添加剤に対する組成物の耐性である。これは、ブレンド物の物理特性が許容できないレベルに不利に影響される前に添加できる添加剤の量である。他の因子は、ポリマー配合およびコンパウンドの当業者に明らかである。
【0046】
例示的な添加剤としては、熱安定剤または温度安定剤、酸捕捉剤、顔料、加工助剤、潤滑剤、フィラー、および酸化防止剤である。これらの添加剤の各々は、当該分野の技術の範囲内であり、そして各々の数種類は市販で入手可能である。好ましくは、塩化ビニリデンポリマー組成物は、本発明の実施に係る添加剤に加え、一般的に用いられる添加剤(例えば列挙する種類の)のみを含有する。
【0047】
例示的な潤滑剤としては、脂肪酸,例えばステアリン酸;エステル,例えば脂肪族エステル、ワックスエステル、グリコールエステル、および脂肪族アルコールエステル;脂肪族アルコール,例えばn−ステアリルアルコール;脂肪族アミド,例えばN,N’−エチレンビスステアルアミド;脂肪酸の金属塩,例えばステアリン酸カルシウム、およびステアリン酸マグネシウム;ならびにポリオレフィンワックス,例えばパラフィン、および酸化ポリエチレンが挙げられる。パラフィンおよびポリエチレンのワックスならびにこれらの特性および合成は、24 Kirk−Othmer Encyc.Chem.Tech.3rd Ed.,Waxes,第473−77頁(J.Wiley&Sons 1980)(参照により本明細書に組入れる)に記載されている。
【0048】
添加剤,例えば可塑剤、メタクリルポリマーおよび塩化ビニルポリマーは、塩化ビニリデンインターポリマー組成物中に、塩化ビニリデンポリマーまたは添加剤に実質的な不利な効果を有さない任意の混合プロセスを用いて、好ましくはドライブレンド法、代替として溶融ブレンドまたは当該分野の技術の範囲内の他の手段によって、簡便に組入れられる。添加剤および成分をポリマーおよび他の添加剤とともに任意の順序で組入れることは本発明の実施の範囲内である。成分を組合せる好ましい方法としては、塩化ビニリデンインターポリマーの重合もしくは終了のステップの間の、重合の一連の流れの中への添加剤のin−situ混合、最終ビニリデンポリマーと前の反応操作における添加剤とのドライブレンド(種々の構成および混合強さのブレンダーでの)、添加剤およびビニリデンインターポリマーの溶融ブレンドもしくは共供給(直接押出機への)等、ならびにこれらの組合せが挙げられる。
【0049】
先に記載したポリ塩化ビニリデン/アクリル酸アルキルポリマーの組成物であって(1)前記した少なくとも1種のメタクリルポリマー、(2)前記した少なくとも1種の低分子量塩化ビニル;または(3)約4〜約9質量%の可塑剤またはこれらの組合せ(エポキシ可塑剤は、組成物の最大約3.5質量%含む)の1つ以上を含むものは本発明の実施に係る組成物である。得られる塩化ビニリデンポリマー組成物は、ポリ塩化ビニリデンの分野の技術の範囲内の任意の用途に対して有用である。これらは、単層フィルム,特に単層フィルムであって印刷可能または印刷されたものを形成するのに特に有用である。このような単層フィルムは、多くの用途において有用であり、例えばパッケージ、容器、シート、ラミネート等またはこれらの組合せが挙げられる。代替の態様において、塩化ビニリデン/アクリル酸アルキル組成物は、任意の物品,例えば単層もしくは多層のフィルム、シート、またはその外側もしくは外装の表面(以下、塩化ビニリデン表面という)に組成物を有する物品を形成するのに有用であり、好ましくは、塩化ビニリデン表面は印刷されている。このような物品は当該分野の技術の範囲内であり、成形、共押出し、押出しコーティング、蒸着コーティング、溶媒コーティング、エマルションコーティング、または懸濁コーティング、ラミネート等の方法を用いて形成される。加えて、本発明の実施に係る塩化ビニリデンポリマー組成物は、これらは材料(例えばインク、特に極性物質)に対してより大きい親和性を有するため、ラミネート、コーティング、共押出しに対して有用であり、好ましくは、塩化ビニリデンポリマー組成物は、極性物質(例えばポリウレタン、ポリエステル、アクリレートまたはアクリルコポリマー等に接触する。
【0050】
物品がフィルム(好ましくは単層フィルム)である好ましい態様において、フィルムは、有利には、厚み少なくとも約1ミクロン(1×10-6m)、好ましくは少なくとも約5ミクロン(5×10-6m)、より好ましくは少なくとも約7ミクロン(7×10-6m)、最も好ましくは少なくとも約20ミクロン(20×1010-6m)を有する。最も一般的な用途において、厚みは有利には最大約500ミクロン(500×1010-6m)、好ましくは最大約300ミクロン(300×1010-6m)、より好ましくは最大約150ミクロン(150×1010-6m)である。
【0051】
組成物は、有利には、当該分野の範囲内の少なくとも1つのフィルム形成方法によるフィルムのために用いる。好ましくは、フィルム形成方法は、フィルムブロー方法、より好ましくは単層ブローフィルム法、最も好ましくは単層ブローフィルム法(ダブルバブル法として当業者に一般的に公知であるもの)である。例えば、フィルムを形成するための、当該分野の技術の範囲内の方法としては、A.T.Widiger,R.L Butler,O.J.Sweeting,ed.,The Science and Technology of Polymer Films,Wiley Interscience,New York,(1971);Kirk−Othmer:Encyclopedia of Chemical Technology,Fourth Edition,Vol.24,New York,John Wiley&Sons Inc.1997,pp.912−913に記載されるもの、およびこれらの中に列挙される文献が挙げられる。一態様において、フィルムブロー法は、好ましくは、(a)本発明の実施に係る組成物を供給するステップ;(b)該組成物を、環状ダイ経由でチューブ形に押出すステップ;(c)押出されたチューブを冷水浴中でクエンチするステップ;および(d)チューブをテープ形状に折畳むステップ;を含み、好ましくは一連のニップロールを、好ましくはコールドタンクの底部で用いる。一態様において、このチューブのサイジングおよび折畳んだテープの幅は、一連のニップロールによるこの押出されたチューブの内側に保持される流体(ソック流体と称する)の体積によって与えられる。コールドタンクニップロールによって折畳まれる前の押出されたチューブ(これの内側にソック流体を伴う)は、「ダブルバブル」プロセスの第1のバブルである。コールドタンク温度は、好ましくは、ポリ(塩化ビニリデン)コポリマーの結晶化核生成を最適化するように選択する。折畳んだテープは、これが冷水タンクから出るに従って温水タンクを通過することにより再加熱され、後続のバブルブロー工程の間に結晶核成長を生じさせる温度まで加熱される。次いで、空気を取り込んで、加温タンクから出る折畳んだテープを押し開けることにより、組成物の安定なバブルをフィルムに形成する。最終フィルムのこの広がったバブルは、ダブルバブルプロセスの第2のバブルである。フィルムバブルは折畳まれ、そして少なくとも1つのロール上に巻き取られる。好ましい態様において、ステップは、(a)ステップ、および(b)から(i)のステップのうち少なくとも3つを含む:(a)本発明の実施に係る組成物を供給するステップ、(b)組成物をチューブ形状に押出すステップ、(c)押出されたチューブの内側に保持される流体の体積を用いて、折畳んだテープの所望の幅に到達するようにチューブをサイジングするステップ、(d)押出されたチューブをクエンチするステップ、(e)チューブをテープ形状に折畳むステップ、(f)折畳んだテープを加温タンク内で再加熱するステップ、(g)組成物のバブルを形成するステップ、(h)フィルムバブルを折畳むステップ、および(i)得られるフィルムを少なくとも1つのロール上に巻き取るステップ。用語「安定なバブル」は、サイズまたは形状がプロセスの第2のバブルにおいて許容できないほどには経時的に変動しないバブルを意味する。
【0052】
1つの好ましい態様において、フィルム(特に単層フィルム)は、少なくとも1種のソーセージケーシング(しばしばチャブという)を形成するのに有用である。ソーセージケーシングは、本発明の実施に従った組成物の、フィルム耐久性、バリア特性、シュリンク、およびケーシング内容物に対する接着性のような特性を利用する。一態様において、フィルムは、加熱されて内容物の周囲にぴったりはめ込まれる際にシュリンクし、内容物の劣化を招来する場合があるバブルを回避するのに十分に接着される。ソーセージケーシングを形成することは、有利には、(a)フィルムのストリップを折り重ねること、(b)シールして側部閉目を形成すること、(c)得られるチューブに充填すること、および(d)所定間隔で切断して閉じることを含む。ストリップは、好ましくは長さが少なくとも約750m連続している。間隔は好ましくは規則的である。ソーセージケーシングの形成は当該分野の技術の範囲内の任意の手段、例えば米国特許第6,713,105B1号および欧州特許第0029316A1号により教示されるものによる。
【0053】
本発明の実施に係る組成物は、好ましくは、インクに対して増大した親和性を有するが、同じ特性が、インク以外のコーティングに対して、隣接するポリマー層(例えばラミネートによって適用されるもの)に、基材に、そして共押出しにおいて、向上した親和性をもたらすと考えられる。
【0054】
本発明の目的および利点を以下の例によって更に説明する。これらの例で列挙する特定の物質およびその量、更に他の条件および詳細を用いて本発明を限定すべきではない。むしろこれらは発明全体の例示である。特記がない限り全てのパーセント、部および比は質量基準である。本発明の例には番号を付し、一方比較サンプル(これは本発明例ではない)はアルファベットで特定する。
【0055】
実施例および比較サンプル:
比較サンプルAおよび実施例1〜7
94.6モル%の塩化ビニリデンと5.4モル%のアクリル酸メチルとのコポリマーおよびそのフィルムを、第WO2006044113 A1号(特に例1)、(米国公開第2009 123678 A1号,これは参照により全部を合法な全範囲で本明細書に組入れる)に開示される手順を用いて作製する(コモノマーが5.4モル%のアクリル酸メチルであり、そして添加剤を表1中に示すように適合させることを除く)。表1中、可塑剤、メタクリレートポリマーおよび塩化ビニルポリマー以外のポリマーへの全ての添加剤を加工助剤という。エポキシ化大豆油の量は、重合より残っているもの(0.15%)およびポリマーに添加するものを含む総量である。表1中に示すエステル可塑剤の量は、ポリマー組成物にジブチルセバケート(DBS)として添加する。メタクリレートポリマーは、19質量%のアクリル酸ブチル、29質量%のメタクリル酸ブチル、および53質量%のメタクリル酸メチルのポリマー(10%の誤差を有し、そして重量平均分子量223,000、標準偏差4000を有し、Arkemaから商品名Plastistrength L 1000にて市販で入手可能)である。
【0056】
低分子量塩化ビニルポリマーは、86質量%の塩化ビニルおよび14質量%の酢酸ビニルのポリマー(分子量約14,000,実験時においてThe Dow Chemical Companyから商品名VYHHにて市販で入手可能)である。ポリマーはまた、“Encyclopedia of PVC,2nd ed,vol.1,第213−215頁,Marcel Dekker inc.,1986発行,に記載されるように形成できる。この文献は更に、第US2,064,565号および第US2,075,429号を列挙する。可塑剤、塩化ビニルポリマーおよびメタクリルポリマーの量を表1中に示す。
【0057】
【表1】

【0058】
押出しフィルムを3溶媒系インク(Jiaozuo Maoyuan Special ink Manufacturing Co.,Ltd.から市販で入手可能)で印刷する。これらの白色、黒色および赤色のインクは、塩化ビニリデン/アクリル酸メチルコポリマーのフィルムは比較的乏しい接着を有するが塩化ビニリデン/塩化ビニルコポリマーに対して良好な接着を有することが公知である。Pamarco Hand Proofer(250ラインアニロックスローラを有する)を製造元の説明書に従って用いてフィルムを印刷する。均一な色濃度を有さないフィルムサンプルは処分する。
【0059】
印刷から24時間後、インク接着は、テープ接着、ラビング耐性(耐摩擦性)およびスクラッチ耐性の試験によって試験する。テープ試験のために、3M(Minnesota Mining and Manufacturing)から商品名3M No.600(長さ約150mm)にて市販で入手可能なテープのストリップを、印刷された表面に手で適用し、そしてテープとインクとの間に閉じ込められた任意のエアを取り除く。5秒後、ストリップを取外し、そして除去されたインクの量を、テープ上のインクを目視検査して、既知インク被覆量を有する印刷サンプルと比較することによって評価する。スクラッチ試験については、印刷された表面を、人差し指の爪の端部を用い、約3ニュートンの力(手によって10ストローク適用する)で1方向に摩擦することによって引っ掻く。損失量を目視検査によって評価する。フィルムのプラスチックの変形なくインクの完全な除去を示すあらゆる領域を不具合と考える。耐摩擦性試験については、印刷された表面を、コートされていない紙片(坪量34グラム/メートル2)で、約1500グラムの力(親指の腹で適用する)で摩擦する。試験は同じ方向での10ストロークからなる。不具合は、摩擦した領域の任意の部分におけるインクの完全な除去として規定する。これらの試験は、Flexography Principles and Practices,4th edition,Flexographic Technical Association発行,第354−358頁(1991)(テープ接着試験が、3M No.600テープ(No.610ではなく)を用いることで、公開される基準とは異なることを除く)に記載される通りである。耐摩擦性試験は、摩擦が(前後振動ではなく)1方向であることで、公開される基準とは異なる。試験のこのような詳細、比較すべき結果(このような詳細が公開される基準に合致することよりも)が、一連の試験を通じて一貫していることがより重要である。結果は相対的なものであるからである。
【0060】
テープ試験の結果を表2に示す。テープ接着試験は、比較サンプルAとして繰り返し、結果を表2に示す。
【0061】
【表2】

【0062】
表2中のデータは、4.9質量%未満のエポキシ化可塑剤(他の有用な特性を達成するために必要な量のエステル可塑剤を用いる)を使用すること、またはメタクリルポリマーを更に4.9質量%のエポキシ化大豆油とともに使用すること、または低分子量ビニルポリマーを使用することは、それぞれ、4.9質量%のエポキシ化大豆油を他の可塑剤と組合せて塩化ビニリデン組成物中で用いるよりも小さいインクの損失をもたらすことを示す。更に、加工助剤の使用の変形は、この結果が一般的な加工助剤を用いても用いなくても得られることを示す。
【0063】
本発明の態様は以下を含む。
1.可塑剤を含み、以下の組成物特性:(1)少なくとも1種のインクに対する親和性を増大させるのに十分な量の、分子量が最大約70,000ダルトンである少なくとも1種の低分子量塩化ビニルポリマー;および(2)少なくとも1種のインクに対する親和性を増大させるのに十分な量の、少なくとも1種のメタクリルポリマー;の少なくとも1つを含む、塩化ビニリデンと重合した少なくとも1種のアクリル酸アルキルモノマーに由来する約3.4〜約6.7モル%のmer単位を有する少なくとも1種の塩化ビニリデン/アクリル酸アルキルポリマーのポリマー組成物。
2.態様1の組成物から製造できるポリマー表面。
3.態様2を表面の少なくとも一部として含み、表面の少なくとも一部が、態様1の少なくとも1種の組成物から製造できるかまたは形成される物品。
4.態様1の組成物から形成される単層のフィルムもしくはシート、多層のフィルム、シートもしくはラミネートであって、態様1の組成物から形成される外部、外装または外側の層を有するものを含む物品であって、態様1の組成物から成形もしくは組立され、または態様1の組成物から形成される部品を含み、態様1の組成物で少なくとも一部がコートされている、態様3の物品。これらの物品の各々はまた、代替の態様において独立に好ましい。
5.別のポリマーまたは他の材料にラミネートされた、これと共押出しされた、またはこの上のコーティングとしての、態様1の組成物を含む物品。
6.パッケージ、パッケージの一部、オーバーラップ、ソーセージケーシング、袋、他の容器またはその一部である、任意の前の態様の物品。
7.態様1の組成物を含みまたはこれから製造できる少なくとも1つの表面が、メタクリルポリマーもしくは塩化ビニルポリマーを有さないかまたは約3.5質量%超のエポキシ可塑剤を有する他は同じである組成物のフィルム、物品または表面よりも大きい親和性または接着性を少なくとも1種のインクに対して有する、先の態様のいずれかのフィルム、物品、または表面。
8.インクまたは印刷を上に有する、先の態様のいずれかのフィルム、物品、または表面。
9.態様のこの列挙における任意の他の態様の組成物を含む表面または任意の他の態様の物品、フィルムもしくは表面にインクを塗布することを含む、印刷方法。
10.塩化ビニリデンポリマー中のアクリル酸アルキルコモノマーの量が少なくとも約3.4、3.9、4.5または4.7モル%のいずれかである、任意の前の態様の組成物、物品、表面、フィルムまたは方法。
11.塩化ビニリデンポリマー中のアクリル酸アルキルコモノマーの量が、最大約6.7、6.5、6.3または6.0モル%のいずれかである、任意の前の態様の組成物、物品、表面、フィルム、または方法。
12.塩化ビニリデンポリマー中のアクリル酸アルキルコモノマーが、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチルまたはアクリル酸メチル、好ましくはアクリル酸ブチルもしくはアクリル酸メチルまたはこれらの組合せ、より好ましくはアクリル酸メチル、の少なくとも1つから選択される、任意の前の態様の組成物、物品、表面、フィルム、または方法。
13.可塑剤の総量が、最大で、可塑剤を含むポリマー組成物の約9、8、または7質量%のいずれかである、任意の前の態様の組成物、物品、表面、フィルム、または方法。
14.可塑剤の総量が、少なくとも、可塑剤を含むポリマー組成物の約4、5、6質量%のいずれかである、任意の前の態様の組成物、物品、表面、フィルム、または方法。
15.総可塑剤が、少なくとも1種のエポキシ可塑剤を含み、好ましくはエポキシ可塑剤がエポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化ひまわり油、エポキシ化植物油、他のエポキシ化トリグリセリドおよびこれらの組合せから選択され;より好ましくはエポキシ化植物油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化大豆油およびこれらの組合せであり、最も好ましくはエポキシ化大豆油である、任意の前の態様の組成物、物品、表面、フィルム、または方法。
16.少なくとも1種のエポキシ可塑剤が、総ポリマー組成物基準で最大約3.5、3.0または2.5質量%のいずれかで存在する、任意の前の態様の組成物、物品、表面、フィルム、または方法。
17.少なくとも1種のエポキシ可塑剤が、総ポリマー組成物基準で少なくとも約0.5、1.0または1.5質量%のいずれかで存在する、任意の前の態様の組成物、物品、表面、フィルム、または方法。
18.組成物が、好ましくはジブチルセバケート、アセチルトリブチルシトレート(ATBC)、他のシトレートエステル、他のポリマーもしくは高分子量エステル油から選択され、有利には分子量少なくとも約300を有し、およびこれらの組合せであり、より好ましくはジブチルセバケート、アセチルトリブチルシトレートおよびこれらの組合せであり、最も好ましくはジブチルセバケートである、少なくとも1種のエステル可塑剤を更に含む、任意の前の態様の組成物、物品、表面、フィルム、または方法。
19.組成物が、少なくとも1種のメタクリルポリマーを含み、そして該メタクリルポリマーが、メタクリル酸メチル(によるmer単位)を、メタクリルポリマーの質量基準で好ましくは少なくとも約30、40または50質量%のいずれかの量で含む、任意の前の態様の組成物、物品、表面、フィルム、または方法。
20.メタクリルポリマーが、メタクリル酸メチル(によるmer単位)を含み、そして少なくとも1種のアクリル酸アルキル、メタクリル酸メチル以外のメタクリレートモノマー(によるmer単位)、スチレンモノマーまたはこれらの組合せを更に含み、好ましくは少なくとも1種の更なるメタクリルアルキルエステルまたはアクリルアルキルエステルを含み、独立に好ましくは、好ましくは少なくとも1もしくは2個の炭素原子のアルキル基、または独立に最大16、8もしくは4個の炭素原子のいずれかを有し、最も好ましくはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルおよびこれらの組合せから選択される、任意の前の態様の組成物、物品、表面、フィルム、または方法。
21.メタクリルポリマーの分子量が、少なくとも約100,000、150,000もしくは200,000ダルトンのいずれかであり、または独立に最大約700,000もしくは400,000ダルトンのいずれかである、任意の前の態様の組成物、物品、表面、フィルム、または方法。
22.メタクリルポリマーのガラス転移温度が、最大約105℃もしくは95℃であり、または独立に好ましくは少なくとも約30℃である、任意の前の態様の組成物、物品、表面、フィルム、または方法。
23.メタクリルポリマーの量が、総ポリマー組成物の質量基準で少なくとも約0.5、0.75または1.0質量%であり;または独立に最大約3.5、3.0または2.5質量%である、任意の前の態様の組成物、物品、表面、フィルム、または方法。
24.組成物が、少なくとも1種の塩化ビニルポリマーを含み、そして塩化ビニルポリマーが、塩化ビニル、および酢酸ビニル、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、エチレン、スチレンモノマー、アクリル酸、メタクリル酸もしくはマレイン酸;の少なくとも1つ;より好ましくは酢酸ビニルもしくはアクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、エチレン、スチレンモノマー、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸およびこれらの組合せ;最も好ましくは酢酸ビニル(によるmer単位)を含む、任意の前の態様の組成物、物品、表面、フィルム、または方法。
25.組成物が、塩化ビニルポリマーの質量基準で少なくとも約5,7もしくは10質量%のいずれか;または独立に最大約40、30または20質量%のいずれか、の量で存在するコモノマーまたはその組合せを有する少なくとも1種の塩化ビニルポリマーを含む、任意の前の態様の組成物、物品、表面、フィルム、または方法。
26.塩化ビニルポリマーの分子量が、少なくとも約15,000もしくは20,000ダルトンのいずれかであり;または独立に最大約30,000、50,000もしくは70,000ダルトンのいずれかである、任意の前の態様の組成物、物品、表面、フィルム、または方法。
27.塩化ビニルポリマーが、総ポリマー組成物基準で少なくとも0.5、0.75または1.0質量%のいずれか;または独立に好ましくは最大約3、2.7もしくは2.5質量%のいずれか、の量で存在する、任意の前の態様の組成物、物品、表面、フィルム、または方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩化ビニリデンと重合した少なくとも1種のアクリル酸アルキルモノマーに由来する約3.4〜約6.7モル%のmer単位を有し;そして可塑剤を含み、そして以下の組成物特性(1)および(2):(1)少なくとも1種のインクに対する親和性を増大させるのに十分な量の、分子量が最大約70,000ダルトンである少なくとも1種の低分子量塩化ビニルポリマー;および(2)少なくとも1種のインクに対する親和性を増大させるのに十分な量の、少なくとも1種のメタクリルポリマー;の少なくとも1つを含む、少なくとも1種の塩化ビニリデン/アクリル酸アルキルポリマーのポリマー組成物から得られるポリマー表面。
【請求項2】
メタクリルポリマーまたは塩化ビニルポリマーを有さない他は同じである組成物のフィルム、物品または表面よりも大きい親和性または接着性を少なくとも1種のインクに対して有する、請求項1に記載のポリマー表面。
【請求項3】
アクリル酸アルキルがアクリル酸メチルである、請求項1に記載のポリマー表面。
【請求項4】
組成物が、少なくとも1種のエポキシ可塑剤および少なくとも1種のエステル可塑剤を含み、そして該エステル可塑剤またはその組合せが、ジブチルセバケート、アセチルトリブチルシトレート(ATBC)、他のシトレートエステル、他のポリマーまたは高分子量エステルオイル、およびこれらの組合せから選択される、請求項1に記載のポリマー表面。
【請求項5】
(1)低分子量塩化ビニルポリマーが、総ポリマー組成物基準で約0.5〜約3質量%の量で存在するか、(2)メタクリレートポリマーが、総ポリマー組成物基準で約0.5〜約3.5質量%の量で存在するか、の少なくとも1つである、請求項1に記載のポリマー表面。
【請求項6】
総可塑剤量が、ポリマー組成物の質量基準で約0.5〜約3.5質量%のエポキシ可塑剤またはエポキシ可塑剤の組合せを含むポリマー組成物基準で、約4〜約9質量%である、請求項5に記載のポリマー表面。
【請求項7】
(1)低分子量塩化ビニルポリマーが、総ポリマー組成物基準で約0.75〜約2.7質量%の量で存在するか、または(2)メタクリレートポリマーが、総ポリマー組成物基準で約0.75〜約3質量%の量で存在するか、の少なくとも1つである、請求項1に記載のポリマー表面。
【請求項8】
メタクリルポリマーが、分子量約100,000〜約400,000を有し、そしてメタクリル酸メチルと:アクリル酸アルキル、異なるメタクリルモノマー、スチレンモノマーまたはこれらの組合せの少なくとも1つであってメタクリルポリマーの約50〜約70質量%の量であるものとのコポリマーである、請求項1に記載のポリマー表面。
【請求項9】
塩化ビニルポリマーが、分子量約15,000〜約50,000ダルトン、ならびに酢酸ビニル、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、エチレン、スチレンモノマー、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、およびこれらの組合せから選択されるコモノマーを有する、請求項1に記載のポリマー表面。
【請求項10】
請求項1に記載の表面を物品の表面の少なくとも一部として含む、物品。
【請求項11】
少なくとも1つの、単層のフィルムもしくはシート、多層のフィルム、シートもしくはラミネート、成形もしくは組立された物品、またはコートされた物品を含む、請求項9に記載の物品。
【請求項12】
印刷を表面上に有する、請求項1〜11のいずれかに記載のポリマー表面または物品。
【請求項13】
請求項1に記載の表面にインクを塗布することを含む、印刷方法。

【公開番号】特開2011−122149(P2011−122149A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−257935(P2010−257935)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】