説明

印刷媒体を精密に切断することができる熱昇華型プリンタシステム及びそれを用いる印刷方法

【課題】印刷媒体を精密に切断することができる熱昇華型プリンタシステム及びそれを用いる印刷方法を提供する。
【解決手段】印刷媒体を精密に切断するための熱昇華型プリンタシステム30は、送り機構32、サーマルプリントヘッド36、センサ38、切断機構40、及び制御ユニット42を有する。紙送り機構32は印刷媒体を移動させるために使用され、サーマルプリントヘッド36は、イメージ領域を印刷媒体上に対応して形成するよう、リボンの少なくとも1つの染料領域を印刷媒体上に転写するために使用される。センサ38は印刷媒体上の認識マークを検出するために使用され、切断機構40は印刷媒体を切断するために使用される。制御ユニット42は、センサ38が認識マークを検出するときに印刷媒体を切断するために切断機構40を制御するために使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱昇華型プリンタシステム及び印刷方法に関し、より具体的には、印刷媒体を精密に切断することができる熱昇華型プリンタシステム及びそれを用いる印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
両面印刷機能を備える従来の熱昇華型プリンタは、印刷媒体をサーマルプリントヘッドが置かれた位置に移動させるため、ゴムローラを備える送り機構を駆動するためのモータを利用する。その後、サーマルプリントヘッドはリボン上の染料を印刷媒体に転写する。染料の転写の完了後、モータは、印刷媒体を切断機構が置かれた位置に移動させるために、送り機構を駆動し続ける。印刷イメージのある印刷媒体の長さを物理的イメージの長さと一致させるために、切断機構は印刷媒体を切断するために用いられる。従って、使用者にとって切断した印刷媒体を手に入れることは容易で便利である。
【0003】
印刷媒体を切断するために長さを計算する従来の方法は、ステッピングモータの移動ステップをゴムローラの半径とともに伝動システムのギヤ比に従って印刷媒体が移動する長さに変換することである。従って、熱昇華型プリンタは、印刷媒体を物理的なイメージの長さに適合させるために、印刷媒体が移動した距離に従って印刷媒体を切断するために切断機構を制御することができる。しかし、ゴムローラと印刷媒体との間のスリップ及びステッピングモータの異常作動の両方は、印刷媒体が移動した長さの計算の誤りをもたらすことがある。結果として、印刷イメージのある印刷媒体の長さは物理的なイメージの長さに適合しない。
【0004】
さらに、ゴムローラと印刷媒体との間のスリップの問題を解決するための旧来の解決策は、印刷媒体を保持するためにステッピングモータにより駆動される突出部(spur)を有する金属ローラを用いることである。ローラ上の突出部により印刷媒体は穴を開けられるため、印刷媒体とローラとの間の動きはスリップ無しの純粋な回転をもたらす。しかし、このような設計は印刷の品質に影響を及ぼすために印刷媒体の表面を破損し、両面印刷にとってさらに悪い。従って、印刷媒体を精密に切断することができるとともに良質な印刷を伴う印刷機構のための設計はプリンタ産業において重要な問題となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述の欠点を解決するために、印刷媒体を精密に切断することができる熱昇華型プリンタシステム及びそれを用いる印刷方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
特許請求の範囲に記載の本発明によれば、本発明の熱昇華型プリンタシステムは、印刷媒体を移動させる送り機構と、イメージ領域を印刷媒体上に対応して形成するよう、リボンの少なくとも1つの染料領域を印刷媒体上に転写するサーマルプリントヘッドと、イメージ領域が認識マークから第1の距離だけ離れており、印刷媒体上の認識マークを検出するセンサと、印刷媒体を切断する切断機構であって、センサから第2の距離だけ離れた切断機構と、センサが認識マークを検出するときに印刷媒体を切断するために切断機構を制御する制御ユニットと、を有する。
【0007】
特許請求の範囲に記載の本発明によれば、リボンは少なくとも1つの認識染料領域をさらに有し、サーマルプリントヘッドは、認識マークを印刷媒体上に対応して形成するために、リボンの少なくとも1つの認識染料領域を印刷媒体上に転写するために用いられる。
【0008】
特許請求の範囲に記載の本発明によれば、センサは赤外線センサである。
【0009】
特許請求の範囲に記載の本発明によれば、送り機構はゴムローラ伝動システムである。
【0010】
特許請求の範囲に記載の本発明によれば、熱昇華型プリンタシステムは、切断機構から印刷媒体を排出する用紙排出機構をさらに有する。
【0011】
特許請求の範囲に記載の本発明によれば、第1の距離は第2の距離と略等しい。
【0012】
特許請求の範囲に記載の本発明によれば、印刷媒体を精密に切断するための印刷方法は、少なくとも1つの染料領域をリボンに形成することと、印刷媒体を移動させるために送り機構を利用することと、イメージ領域を印刷媒体上に対応して形成するよう、送り機構が印刷媒体を移動させているときに少なくとも1つの染料領域を印刷媒体上に転写することと、イメージ領域は認識マークから第1の距離だけ離れており、印刷媒体上の認識マークを検出するためにセンサを利用することと、切断機構はセンサから第2の距離だけ離れており、センサが印刷媒体上の認識マークを検出するときに印刷媒体を切断するために切断機構を制御することと、を有する。
【0013】
特許請求の範囲に記載の本発明によれば、印刷方法は、リボンに少なくとも1つの認識染料領域を形成すること、及び認識マークを対応して形成するために、送り機構が印刷媒体を移動させているときに少なくとも1つの認識染料領域を印刷媒体に転写すること、をさらに有する。
【0014】
特許請求の範囲に記載の本発明によれば、印刷方法は、切断機構から印刷媒体を排出するための用紙排出機構を利用することをさらに有する。
【0015】
要約すれば、本発明の熱昇華型プリンタシステム及び印刷方法は、センサが認識マークを検出するときにその切断機構を利用する。言い換えれば、従来技術のステッピングモータの移動ステップをゴムローラの半径とともに伝動システムのギヤ比に従って印刷媒体が移動する長さに変換する代わりに、本発明は印刷媒体を切断するよう切断機構を制御するために印刷媒体上の認識マークをセンサが検出するかどうかを利用する。従って、本発明は、ゴムローラと印刷媒体との間のスリップ及びステッピングモータの異常作動の問題を避けることができる。その結果、本発明は、印刷媒体の表面の破損を避けるために印刷媒体を保持するとともに運ぶためのゴムローラを利用することができる。このように、本発明のリボンは、熱昇華型プリンタの切断の精度を高めることができるうえに印刷品質も維持する。
【0016】
本発明のこれらの及び他の目的は、様々な図及び図面で説明される好適な実施形態の以下の詳細な説明を読んだ後に当業者にとって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は本発明の好適な実施形態による熱昇華型プリンタの機能ブロック図である。
【図2】図2は本発明の好適な実施形態による切断機構の概略図である。
【図3】図3は本発明の好適な実施形態によるリボンの一部の概略図である。
【図4】図4は本発明の好適な実施形態による印刷媒体の印刷側の一部の概略図である。
【図5】図5は本発明の他の実施形態によるリボンの一部の概略図である。
【図6】図6は本発明の別の実施形態によるリボンの一部の概略図である。
【図7】図7は本発明の好適な実施形態による印刷方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1を参照されたい。図1は本発明の好適な実施形態による熱昇華型プリンタ30の機能ブロック図である。図1に示すように、熱昇華型プリンタ30は、送り機構32、サーマルプリントヘッド36、センサ38、切断機構40、及び制御ユニット42を有する。送り機構32は一枚の紙等の印刷媒体44を移動させるために使用され、サーマルプリントヘッド36はリボン34上の染料を印刷媒体44上に転写するために使用される。図2と図3を参照されたい。図2は本発明の好適な実施形態による切断機構40の概略図である。図3は本発明の好適な実施形態によるリボン34の一部の概略図である。図3に示すように、リボン34は少なくとも1つの染料領域341を有することができる。この実施形態では、印刷品質を維持するために、送り機構32は、印刷媒体44の表面の破損を避けるためのゴムローラ伝動システムにできることが好ましい。
【0019】
図4を参照されたい。図4は本発明の好適な実施形態による印刷媒体44の印刷側の一部の概略図である。図1乃至4に示すように、イメージ領域441を印刷媒体44上に対応して形成するために、サーマルプリントヘッド36は少なくとも1つの染料領域341を印刷媒体44上に転写するために使用される。加えて、各染料領域341は、図3に示す4つの染料ゾーン3411のような、複数の染料ゾーン3411を有することができる。実用的な応用では、複数の染料ゾーン3411は、イエロー染料ゾーン3411a、マゼンタ染料ゾーン3411b、シアン染料ゾーン3411c、及びオーバーコートゾーン3411dを有することができる。イメージ領域441は、上述の複数の染料ゾーン3411を用いて個々にあるいはまとめて熱を転写する方法で形成することができるうえ、イメージ領域441上に転写された染料を保護するためにイメージ領域441上に対応する保護層を形成することもできる。
【0020】
そのうえ、リボン34は、少なくとも1つの認識領域343と少なくとも1つの分離領域345とをさらに有する。分離領域345は、異なる染料領域341を分離するために染料領域341側に形成される。再度図3を参照されたい。図3に示すように、認識領域343は分離領域345上に形成される。言い換えると、この実施形態では、分離領域345は2つの隣接する染料領域341の間に位置するので、認識領域343も2つの隣接する染料領域341の間に位置する。リボン34上の認識領域343の配置が上述の実施形態で述べたものに限定されないことに留意されたい。例えば、図5を参照されたい。図5は本発明の他の実施形態によるリボン34’の一部の概略図である。図3及び図5に示すように、リボン34’と上述のリボン34の主な違いは、図5に示すように認識領域343が複数の染料ゾーン3411の1つの上に形成されることである。例えば、認識領域343は、図5に示すように、マゼンタ染料ゾーン3411b上に形成することができる。他方、図6を参照されたい。図6は本発明の別の実施形態によるリボン34’’の一部の概略図である。図3及び図6に示すように、リボン34’’と上述のリボン34の主な違いは、図6に示すように認識領域343が2つの隣接する染料領域3411a、3411b、3411c、3411dの間に形成されることである。言い換えると、認識領域343は分離領域345上に形成するまたは対応する染料領域341により覆われる範囲の中に形成することができる。上述の認識領域343にどのようなデザインが採用されるかに関しては、実用的な要求次第である。
【0021】
実用的な応用では、認識領域343は赤外線を吸収することができる暗色染料で作られる。例えば、暗色染料はK(ブラック)−レジン(K−Resin)材料で作られ得る。さらに、認識マーク443を形成するために、サーマルプリントヘッド36はリボン34上の認識領域343を印刷媒体44上に転写することができる。イメージ領域441は認識マーク443から第1の距離X1離れている。本発明の印刷媒体44上に認識マーク443を形成する方法が上述の実施形態で述べたものに限定されないことに留意されたい。例えば、上述の実施形態で述べたリボン34上の認識領域343をサーマルプリントヘッド36により転写することの代わりに、認識マーク443を印刷媒体44上に直接形成することができる。
【0022】
さらに、本発明の熱昇華型プリンタ30のセンサ38は印刷媒体44上の認識マーク443を検出するために使用され、切断機構40は印刷媒体44を切断するために使用される。センサ38は切断機構40から第2の距離X2離れている。実用的な応用では、センサ38は好ましくは赤外線センサにすることができ、第1の距離X1は第2の距離X2と略等しくすることができる。加えて、熱昇華型プリンタ30は、印刷と切断に熱昇華型プリンタ30を用いる際の紙詰まりを避けるため、印刷媒体44を切断機構40から離れるように駆動するための用紙排出機構46をさらに有することができる。実用的な応用では、用紙排出機構46はゴムローラ伝動システムにできることが好ましい。
【0023】
印刷媒体44を精密に切断する印刷方法のより詳細な説明が次のように提供される。図7を参照されたい。図7は本発明の好適な実施形態による印刷方法のフローチャートである。図7に示すように、印刷方法は以下のステップを有する。
ステップ100: 少なくとも1つの染料領域341をリボン34に形成する。
ステップ102: 印刷媒体44を移動させるために送り機構32を利用する。
ステップ104: イメージ領域441を印刷媒体44上に対応して形成するよう、送り機構32が印刷媒体44を移動させているときに少なくとも1つの染料領域341を印刷媒体44上に転写する。
ステップ106: 印刷媒体44上の認識マーク443を検出するためにセンサ38を利用する。
ステップ108: センサ38が印刷媒体44上の認識マーク443を検出するときに印刷媒体44を切断するために切断機構44を制御する。
ステップ110: 終了。
【0024】
最初に、少なくとも1つの染料領域341が熱昇華型プリンタシステム30のリボン34に形成される。印刷プロセスの間、熱昇華型プリンタシステム30の送り機構32は印刷媒体44を移動させる。さらに、イメージ領域441を印刷媒体44上に対応して形成するために、送り機構32が印刷媒体44を移動させているときに、サーマルプリントヘッド36がリボン34上の染料領域341を印刷媒体44上に転写する。
【0025】
印刷媒体44の切断に関しては、センサ38が印刷媒体44上の認識マーク443を検出するときに制御ユニット42は印刷媒体44を切断するために切断機構40を制御する。同時に、切断された印刷媒体44は切断機構40から離れるように用紙排出機構46により駆動される。イメージ領域441と認識マーク443との間の第1の距離X1はセンサ38と切断機構40との間の第2の距離X2と略等しいので、センサ38が印刷媒体44上の認識領域343を検出するときに切断機構40の切断位置はイメージ領域441のちょうど端になる。このようにして、印刷媒体44を切断するための切断精度を向上させるよう、切断された印刷媒体44の長さは印刷媒体44上のイメージ領域441の長さと正確に一致する。
【0026】
従来技術と比較すると、本発明の熱昇華型プリンタシステム及び印刷方法は、センサが認識マークを検出するときに印刷媒体を切断するためにその切断機構を利用する。言い換えれば、本発明は、従来技術のステッピングモータの移動ステップをゴムローラの半径とともに伝動システムのギヤ比に従って印刷媒体が移動する長さに変換する代わりに、印刷媒体を切断するよう切断機構を制御するための印刷媒体上の認識マークをセンサが検出するかどうかを利用する。従って、本発明は、ゴムローラと印刷媒体との間のスリップ及びステッピングモータの異常作動の問題を避けることができる。その結果、本発明は、印刷媒体の表面の破損を避けるために印刷媒体を保持するとともに運ぶためのゴムローラを利用することができる。このように、本発明のリボンは、熱昇華型プリンタの切断の精度を高めることができるうえに印刷品質も維持する。
【0027】
当業者は、本発明の教示を維持しながら本装置および方法の多くの修正及び変更を行うことができることを容易に気付くであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体を移動させる送り機構と;
イメージ領域を前記印刷媒体上に対応して形成するよう、リボンの少なくとも1つの染料領域を前記印刷媒体上に転写するサーマルプリントヘッドと;
前記イメージ領域が認識マークから第1の距離だけ離れており、前記印刷媒体上の前記認識マークを検出するセンサと;
前記印刷媒体を切断する切断機構であって、前記センサから第2の距離だけ離れた切断機構と;
前記センサが前記認識マークを検出するときに前記印刷媒体を切断するために切断機構を制御する制御ユニットと;を有する、
熱昇華型プリンタシステム。
【請求項2】
前記リボンは少なくとも1つの認識染料領域をさらに有し、前記サーマルプリントヘッドは、前記認識マークを前記印刷媒体上に対応して形成するために、前記リボンの前記少なくとも1つの認識染料領域を前記印刷媒体上に転写するために用いられる、
請求項1に記載の熱昇華型プリンタシステム。
【請求項3】
前記センサは赤外線センサである、
請求項1に記載の熱昇華型プリンタシステム。
【請求項4】
前記送り機構はゴムローラ伝動システムである、
請求項1に記載の熱昇華型プリンタシステム。
【請求項5】
前記切断機構から前記印刷媒体を排出する用紙排出機構をさらに有する、
請求項1に記載の熱昇華型プリンタシステム。
【請求項6】
前記第1の距離は前記第2の距離と略等しい、
請求項1に記載の熱昇華型プリンタシステム。
【請求項7】
少なくとも1つの染料領域をリボンに形成することと;
印刷媒体を移動させるために送り機構を利用することと;
イメージ領域を前記印刷媒体上に対応して形成するよう、前記送り機構が前記印刷媒体を移動させているときに前記少なくとも1つの染料領域を前記印刷媒体上に転写することと;
前記イメージ領域は認識マークから第1の距離だけ離れており、前記印刷媒体上の前記認識マークを検出するためにセンサを利用することと;
切断機構が前記センサから第2の距離だけ離れ、前記センサが前記印刷媒体上の前記認識マークを検出するときに前記印刷媒体を切断するために前記切断機構を制御することと;を有する、
印刷媒体を精密に切断するための印刷方法。
【請求項8】
印刷方法は、前記リボンに少なくとも1つの認識染料領域を形成すること、及び前記認識マークを対応して形成するために、前記送り機構が前記印刷媒体を移動させているときに前記少なくとも1つの認識染料領域を前記印刷媒体上に転写すること、をさらに有する、
請求項7に記載の印刷方法。
【請求項9】
前記切断機構から前記印刷媒体を排出するための用紙排出機構を利用することをさらに有する、
請求項7に記載の印刷方法。
【請求項10】
前記第1の距離は前記第2の距離と略等しい、
請求項7に記載の印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−224074(P2012−224074A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148390(P2011−148390)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(509036311)誠研科技股▲ふん▼有限公司 (5)
【Fターム(参考)】