説明

印刷情報設定装置およびその方法

【課題】 画像データを表示する記憶媒体の資源の有効利用を図る。
【解決手段】 プリンタドライバによって表示装置に表示されるデータ入力用のダイアログボックスDBX内に、「高機能印刷」のカードCD4Xが表示される。このカードCD4Xは、ボタンBTがクリックされる毎に「簡単印刷」のカードと切り替わるようにする。これらカードの表示は、いずれのカードが選択された場合にも、データ入力用エリアDAとイラスト表示用エリアIAとを含むベース画像データが表示されるようにして、「高機能印刷」のカードCD4Xへの切替時に限って、拡張データ入力用エリアEDAは表示される構成とする。このため、データ入力用エリアDAとイラスト表示用エリアIAを表わすベース画像データを共用して両カードを表示することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、データ入力用ウィンドウを表示装置に表示して、該データ入力用ウィンドウの表示に従って操作される入力装置からの入力データを取り込むことにより、所定の印刷装置における印刷のための各種情報を設定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、プリンタをコンピュータにつないで、コンピュータで作成した印刷データをプリンタに印刷しようとするとき、コンピュータにプリンタドライバと呼ばれるソフトウェアを組み込む必要がある。プリンタドライバは、プリンタの機能やインターフェース、フォント情報、制御コードなど、プリンタについての各種情報をコンピュータに設定してプリンタをコントロールするコンピュータプログラムであり、印刷しようとするプリンタの機種ごとに用意される。
【0003】
使用者は、コンピュータを操作して、コンピュータに組み込んだプリンタドライバを起動して、各種情報の設定を行なうことができるが、そうした設定を行なうために、ディスプレイにデータ入力用のダイアログボックスを表示して、その表示に従ってキーボードやマウスを操作してデータ入力を行なう。この結果、プリンタドライバに各種情報を設定することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうしたプリンタドライバでは、各種情報により定められる機能の範囲の程度によっては、低機能用、高機能用といった2種類のデータ入力用のダイアログボックスを用意することが望まれていた。コンピュータについての初級者には、低機能用のダイアログボックスを提供し、上級者には、高機能用のダイアログボックスを提供するといった使い分けが可能となる。
【0005】
こうした構成の場合、2種類のダイアログボックスの画像データが必要となり、これら画像データを格納するハードディスク等の記憶媒体の資源を有効に利用することができないといった問題があった。
【0006】
この発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、記憶媒体の資源の有効利用を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決するため、この発明の装置は、
データ入力用ウィンドウを表示制御手段により表示装置に表示して、該データ入力用ウィンドウの表示に従って操作される入力装置からの入力データを取り込むことにより、所定の印刷装置における印刷のための各種情報を設定する印刷情報設定装置において、
前記各種情報により定められる機能の範囲の程度を示すパラメータを入力するパラメータ入力手段と、
前記表示制御手段は、
前記データ入力用ウィンドウ内に基本表示領域と拡張表示領域とを形成して、前記各種情報のうちの所定の情報を入力するための第1群のデータ入力欄を、前記パラメータ入力手段からのパラメータの内容に拘わらず前記基本表示領域に設ける第1制御手段と、
前記所定の情報以外の各種情報を入力するための第2群のデータ入力欄を、前記パラメータ入力手段からのパラメータの内容に応じて必要と判別されたときに限り、前記拡張表示領域に設ける第2制御手段と
を備えることを特徴としている。
【0008】
この構成によれば、印刷のための各種情報により定められる機能の範囲の程度を示すパラメータの内容に応じて、基本表示領域に第1群のデータ入力欄が表示される場合と、基本表示領域に第1群のデータ入力欄が表示され拡張表示領域に第2群のデータ入力欄が表示される場合とに切り替えることができる。したがって、この発明の装置では、上記機能の範囲が異なる2種類のデータ入力用ウィンドウを表示する際に、基本表示領域の表示のための第1群のデータ入力欄を示す画像データを共用することができる。このため、表示に要する画像データの容量が小さくてすみ、この結果、画像データを格納する記憶媒体の資源を有効に利用することができるという効果を奏する。
【0009】
なお、上記印刷装置は、印刷を行なう機能を持つ構成であればよく、プリンタ等の単独の装置であってもよいし、あるいは、特定の装置(例えば、ファクシミリ装置)に内蔵される印刷機構であってもよい。また、後述する発明においても、印刷装置は、同様に単独の装置あるいは特定の装置に内蔵される印刷機構であってもよい。
【0010】
上記構成の印刷情報設定装置において、前記パラメータ入力手段は、前記データ入力用ウィンドウ内にスイッチを表示するスイッチ表示手段と、前記入力装置による前記スイッチの操作によって発生する信号を前記パラメータとして取り込む信号取込手段とを備える構成とすることができる。
【0011】
この構成によれば、作業者はデータ入力用ウィンドウ内のスイッチを入力装置を用いて操作することにより、上記機能の範囲の程度を示すパラメータを入力することができる。したがって、この印刷情報設定装置では、作業者の意志によって上記データ入力用ウィンドウの表示の切替を行なうことが可能である。
【0012】
また、上記印刷情報設定装置において、前記第2制御手段は、前記パラメータが、前記機能の範囲が小さい低機能を示すものであるとき、前記第2群のデータ入力欄を設けることを禁止する禁止手段を備える構成とすることができる。
【0013】
この構成によれば、低機能を示すパラメータが入力されると、データ入力用ウィンドウには第1群のデータ入力欄が設けられた基本表示領域だけが表示される。
【0014】
上記印刷情報設定装置において、前記パラメータが前記低機能を示すものであるとき、前記第1群のデータ入力欄からのデータ入力を助けるための案内情報を、前記データ入力用ウィンドウ内の前記拡張表示領域に設ける第3制御手段を備える構成とすることもできる。
【0015】
この構成によれば、低機能を示すパラメータが入力されると、データ入力用ウィンドウ内の基本表示領域には、第1群のデータ入力欄が表示され、データ入力用ウィンドウ内の拡張表示領域には、そのデータ入力欄からのデータ入力を助けるための案内情報が表示される。このため、低機能用としての利用を図る可能性の高い初級者にとって、表示された案内情報を見ることでデータ入力を容易に行なうことができる。
【0016】
上記印刷制御装置において、前記各種情報の設定に必要な作業を複数のグループに分けて各グループを順序づけることにより得られる作業手順の配列を記憶する記憶手段を備え、前記第1群のデータ入力欄は、前記記憶手段に記憶された作業手順の配列に応じて各データ入力欄の配置が定められたものであり、前記案内情報は、前記各グループ毎に作業を説明する説明文を示すものである構成とすることもできる。
【0017】
この構成によれば、各種情報の設定に必要な作業のグループの順序づけに沿ってデータ入力を行なうことができ、設定する情報を入力しなかったり、設定する情報の項目を間違えたりすることを防止することができる。
【0018】
この発明の方法は、
データ入力用ウィンドウを表示装置に表示して、該データ入力用ウィンドウの表示に従って操作される入力装置からの入力データを取り込むことにより、所定の印刷装置における印刷のための各種情報を設定する印刷情報設定方法において、
(a)前記各種情報により定められる機能の範囲の程度を示すパラメータを入力する工程と、
(b)前記データ入力用ウィンドウ内に基本表示領域と拡張表示領域とを形成して、前記各種情報のうちの所定の情報を入力するための第1群のデータ入力欄を、前記パラメータ入力手段からのパラメータの内容に拘わらず前記基本表示領域に設ける工程と、
(c)前記所定の情報以外の各種情報を入力するための第2群のデータ入力欄を、前記パラメータ入力手段からのパラメータの内容に応じて必要と判別されたときに限り、前記拡張表示領域に設ける工程と
を備えることを特徴とする。
【0019】
この発明の方法によっても、この発明の装置と同様に、画像データを格納する記憶媒体の資源の有効利用を図ることができるという効果を奏する。
【0020】
この発明の記録媒体は、
データ入力用ウィンドウを表示装置に表示して、該データ入力用ウィンドウの表示に従って操作される入力装置からの入力データを取り込むことにより、所定の印刷装置における印刷のための各種情報を設定するためのコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
(a)前記各種情報により定められる機能の範囲の程度を示すパラメータを入力する機能と、
(b)前記データ入力用ウィンドウ内に基本表示領域と拡張表示領域とを形成して、前記各種情報のうちの所定の情報を入力するための第1群のデータ入力欄を、前記パラメータ入力手段からのパラメータの内容に拘わらず前記基本表示領域に設ける機能と、
(c)前記所定の情報以外の各種情報を入力するための第2群のデータ入力欄を、前記パラメータ入力手段からのパラメータの内容に応じて必要と判別されたときに限り、前記拡張表示領域に設ける機能と
をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラムを記録したことを特徴とする。
【0021】
この発明の記録媒体は、この発明の装置およびこの発明の方法と同様に、画像データを格納する記憶媒体の資源の有効利用を図ることができるという効果を奏する。
【0022】
この発明は、以下のような他の態様も含んでいる。その態様は、コンピュータに上記の発明の各工程または各手段の機能を実現させるコンピュータプログラムを通信経路を介して供給するプログラム供給装置としての態様である。こうした態様では、プログラムをネットワーク上のサーバなどに置き、通信経路を介して、必要なプログラムをコンピュータにダウンロードし、これを実行することで、上記の方法や装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以上説明したこの発明の構成・作用を一層明らかにするために、以下この発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。図1はこの発明の一実施例を適用するコンピュータシステムの外観図である。このコンピュータシステムは、コンピュータ10と、周辺機器としてのCRTディスプレイ12およびプリンタ14を備える。コンピュータ10は、コンピュータ本体16とキーボード18とマウス20を備える。なお、このコンピュータ本体16には、フロッピィディスク22の内容を読み取るフロッピィディスクドライブ24が搭載されている。プリンタ14は、インク滴を吐出することにより、用紙の表面にドットを形成する所謂インクジェットプリンタであり、キャリッジを主走査方向に往復動させつつ、用紙を副走査方向に搬送することにより、用紙への画像記録を行なう。
【0024】
図2は、コンピュータシステムのハードウェアの概略構成を示すブロック図である。図示するように、このコンピュータ本体16は、中央演算処理装置としてのCPU30を中心にバスにより相互に接続されたROM31、RAM32、表示画像メモリ33、マウスインタフェース34、キーボードインタフェース35、FDC36、HDC37、CRTC38、プリンタインタフェース39およびI/Oポート40を備える。
【0025】
ROM31は、内蔵されている各種プログラム等を記憶する読み出し専用のメモリである。RAM32は、各種データ等を記憶する読み出し・書込み可能なメモリである。表示画像メモリ33はCRTディスプレイ12に表示する画像の画像データを記憶するメモリである。マウスインタフェース34は、マウス20とのデータ等のやり取りを司るインタフェースである。キーボードインタフェース35は、キーボード18からのキー入力を司るインタフェースである。FDC36は、フロッピィディスクドライブ(FDD)24を制御するフロッピィディスクコントローラである。HDC37は、ハードディスクドライブ(HDD)41を制御するハードディスクコントローラである。CRTC38は、表示画像メモリ33に記憶される表示画像データに基づいてCRTディスプレイ12における画像の表示を制御するCRTコントローラである。プリンタインタフェース39は、プリンタ14へのデータの出力を制御するインタフェースである。I/Oポート40は、シリアル出力のポートを備えており、モデム44に接続されており、このモデム44を介して、公衆電話回線46に接続されている。コンピュータ10は、モデム44を介して、外部のネットワークに接続されており、特定のサーバ48に接続可能となっている。
【0026】
このコンピュータシステムでは、オペレーティングシステムはHDD41に記憶されており、コンピュータ本体16に電源を投入すると、HDD41のブートブロックに書き込まれたローダに従ってRAM32の所定の領域にロードされる。また、プリンタ14の機種毎に用意されるプリンタドライバは、フロッピィディスク22に予め格納されており、所定のインストールプログラムを起動することで、フロッピィディスクドライブ24からコンピュータ本体16にインストールされる。このインストールされたプリンタドライバは、HDD41に記憶されており、コンピュータ本体16に電源を投入したときに、オペレーティングシステムに組み込まれ、RAM32の所定の領域にロードされる。
【0027】
このプリンタドライバをCPU30が実行することによって本発明の各種構成要件は実現される。なお、このプリンタドライバのソフトウェアプログラムは、前述したように、フロッピィディスク22に格納されたものであるが、これに替えて、CD−ROM、光磁気ディスク、ICカード等の他の携帯型記録媒体(可搬型記録媒体)に格納された構成としてもよい。また、前述したソフトウェアプログラムは、外部のネットワークに接続される特定のサーバ48から、ネットワークを介して提供されるプログラムデータをダウンロードして、RAM32またはHDD41に転送することにより得るようにすることもできる。
【0028】
以上説明したハードウェア構成を有するコンピュータシステムによる印刷の様子について次に説明する。図3は、コンピュータ本体16が扱う画像情報から印刷が行なわれるまでの処理の様子を示すブロック図である。図示するように、コンピュータ本体16の内部で動作しているアプリケーションプログラム51により、画像の処理を行いつつビデオドライバ52を介してCRTディスプレイ12に画像を表示している。また、このアプリケーションプログラム51が、印字発令を発行すると、コンピュータ本体16内のプリンタドライバ53が、画像情報をアプリケーションプログラム51から受け取り、これをプリンタ14が印字可能な信号に変換している。
【0029】
図3に示した例では、プリンタドライバ53の内部には、アプリケーションプログラム51が扱っている画像情報をドット単位の色情報に変換するラスタライザ54、ドット単位の色情報に変換された画像情報(階調データ)に対してプリンタ14の発色の特性に応じた色補正を行なう色補正モジュール55、色補正された後の画像情報からドット単位でのインクの有無によりある面積での濃度を表現するいわゆるハーフトーンの画像情報を生成するハーフトーンモジュール56が備えられている。また、プリンタドライバ53の内部には、プリンタ14による印刷のための各種情報を設定する情報設定モジュール57が備えられている。印刷のための各種情報としては、印刷品質、色補正、ハーフトーンの種類等の印刷の基本設定に関するもの、用紙のサイズ、印刷方向等の用紙設定に関するもの等がある。
【0030】
なお、情報設定モジュール57で設定された色補正の情報は、色補正モジュール55に送られ、ハーフトーンの種類の情報は、ハーフトーンモジュール56に送られる。情報設定モジュール57は、ビデオドライバ52を介してCRTディスプレイ12に設定の内容を示す画像を表示している。情報設定モジュール57の内部には、この発明の主要部としての第1制御部57aおよび第2制御部57bが備えられている。情報設定モジュール57を除いた各モジュールの動作は、周知のものなので、説明は原則として省略し、情報設定モジュール57については、以下に説明する。
【0031】
プリンタドライバ53は、その設定を変えることにより、プリンタ14による印刷を種々コントロールすることができるが、作業者は、そうした設定を予め行なっておく必要がある。こうした印刷のための各種情報を設定する作業を実行するのが情報設定モジュール57である。ここでは、この情報設定モジュール57の動作によりCRTディスプレイ12にどのような画面が表示されるかを先に説明する。なお、この説明に当たり、このプリンタドライバが動作するオペレーティングシステムとして、Windows95(マイクロソフト社の商標)を例にとって説明する。
【0032】
作業者は、まずコンピュータ10を次のように操作して、印刷のための各種情報を設定するダイアログボックスをCRTディスプレイ12に表示する。すなわち、[スタート]→[設定]→[プリンタ]の操作を行なうことで、「プリンタ」ウィンドウを開く。次いで、そのウィンドウ上の目的のプリンタのアイコンをダブル・クリックして、そのプリンタについてのウィンドウを開く。その後、そのウィンドウから[プリンタ]→[プロパティ]の操作を行なって、そのプリンタについての各種情報を設定するプロパティのダイアログボックスを表示させる。
【0033】
図4は、その開いたときのダイアログボックスDBXを例示する説明図である。図示するように、ダイアログボックスDBXには、「情報」、「詳細」、「共有」、「簡単印刷」、「ユーティリティ」の5種類のカードCD1,CD2,CD3,CD4,CD5が用意されている。「情報」のカードCD1は、プリンタのコメント等、プリンタについての情報を設定するためのものである。「詳細」のカードCD2は、プリンタが接続されているポート等、プリンタについての詳細な情報を設定するためのものである。「共有」のカードCD3は、ネットワークを通じてプリンタを共有させるための設定を行なうためのものである。「簡単印刷」のカードCD4は、初級者による簡単印刷を目的として基本的な情報だけを設定するためのものである。「ユーティリティ」のカードCD5はインク残量等のプリンタの現在の状態を確認したいときに指示するためのものである。これらカードCD1〜CD5の内のいずれかが、作業者によって、マウス20を操作することにより選択されて、ダイアログボックスDBXに表示される。
【0034】
この図4には、「簡単印刷」のカードCD4が開かれた状態が示されている。図示するように、この「簡単印刷」のカードCD4には、作業者からのデータ入力を受け付けるためのデータ入力用エリアDAが中央に設けられ、その左側に、データ入力用エリアDAから入力された各種情報の内の一部をイラストにより示すイラスト表示用エリアIAが、その右側に、データ入力用エリアDAからのデータ入力を手助けするためのガイダンス文を示すガイダンス表示用エリアGAがそれぞれ設けられている。なお、各エリアDA,IA,GAは、図中破線(画面には実際は表示されていない)にて区分けされた3つの領域にそれぞれ割り当てられている。
【0035】
データ入力用エリアDAは、第1から第4番目の作業を示す4つのデータ入力用パーツP1,P2,P3,P4に分けられている。これらデータ入力用パーツP1〜P4に示される第1から第4番目までの作業は、簡単印刷の設定に必要な作業を4つのグループに分けて各グループを順序づけたものであり、第1番目に原稿サイズを確認する作業が、第2番目にプリンタにセットする用紙を選ぶ作業が、第3番目に印刷の品質を選ぶ作業が、第4番目に印刷する部数を選ぶ作業がそれぞれ割り当てられている。なお、各データ入力用パーツP1〜P4には、その順序づけの番号を示す数字1〜4が明示されている。
【0036】
第1番目のデータ入力用パーツP1には、作業者からのデータ入力を受け付けるデータ入力欄として、「原稿サイズ」、「用紙方向」の2つのデータ入力欄fd1,fd2が設けられている。「原稿サイズ」のデータ入力欄fd1は、コンピュータ10で作成した原稿のサイズを設定するもので、例えば、「A4 210×297mm」、「B5 182×257mm」等の一覧の中から設定される。「用紙方向」のデータ入力欄fd2は、原稿における印刷の方向を示すものであり、「縦」もしくは「横」が設定される。
【0037】
第2番目のデータ入力用パーツP2には、作業者からのデータ入力を受け付けるデータ入力欄として、「用紙サイズ」、「用紙種類」の2つのデータ入力欄fd3,fd4が設けられている。「用紙サイズ」のデータ入力欄fd3は、使用する用紙サイズを設定するもので、例えば、「A4 210×297mm」、「B5 182×257mm」、「洋封筒 120×235mm」、「ハガキ 100×147mm」等の一覧の中から設定される。「用紙種類」のデータ入力欄fd4は、用紙の種類を設定するもので、「普通紙」、「スーパーファイン専用紙」、「専用光沢紙」等の一覧の中から設定される。
【0038】
第3番目のデータ入力用パーツP3には、作業者からのデータ入力を受け付けるデータ入力欄として、「モード設定」、「インク」のデータ入力欄fd5,fd6が設けられている。「モード設定」のデータ入力欄fd5は、スライドレバー形のボタンにより構成されており、これにより、プリンタ14による印刷をどの程度の品質で行なうかが設定される。詳細には、スライドレバーの両端には「きれい」と「速い」の文字が明示されており、スライドレバーの部分をマウス20によりドラックすることにより、「きれい」と「速い」の内のいずれかを選択することができる。
【0039】
なお、このスライドレバー両側の選択肢は、上記のように「きれい」と「速い」といった値ではあるが、これは、第2番目のデータ入力用パーツP2の「用紙種類」の入力欄fd4に「普通紙」が設定されているときのものである。これに対して、「用紙種類」の入力欄fd4に他の用紙種類が設定されている場合には、他の複数の値、具体的には、「よりきれい」、「きれい」、「標準」、「速い」の内から選択した任意の2つの値が表示される。なお、ここで「速い」とは、印刷品質よりも印刷速度を優先した印刷手法で印刷することを意味しており、この「速い」も印刷品質の程度を定める値の一種である。
【0040】
「インク」のデータ入力欄fd6は、プリンタ14に使用するインクの種類を設定するもので、「カラー」と「黒」とが選択肢として用意されている。
【0041】
第4番目のデータ入力用パーツP4には、作業者からのデータ入力を受け付けるデータ入力欄として、「部数」のデータ入力欄fd7が設けられている。「部数」のデータ入力欄fd7は、印刷する部数を設定するものである。
【0042】
作業者は、キーボード18およびマウス20を操作して、第1番目から第4番目までのデータ入力用パーツP1〜P4に備えられる各データ入力欄fd1〜fd7に対してデータを入力する。なお、これらデータ入力欄fd1〜fd7が、特許請求の範囲でいう第1群のデータ入力欄に相当する。
【0043】
イラスト表示用エリアIAは、前述したようにデータ入力用エリアDAから入力された各種情報の内の一部をイラストにより示すもので、具体的には、データ入力欄fd3から入力された「用紙サイズ」と、データ入力欄fd2から入力された「用紙方向」とが少なくとも表現されたイラストが表示される。すなわち、「用紙サイズ」がA4に入力されている場合は、上段のプリンタのイラストの用紙の部分を指示するメッセージmsは、「A4 210×297mm」となり、「用紙方向」が「縦」に入力されている場合には、下段の用紙のイラストに描かれる「A」の文字chは縦方向に表示される。
【0044】
ガイダンス表示用エリアGAは、前述したようにデータ入力用エリアDAからのデータ入力を助けるためのガイダンス文を示すもので、詳しくは、第1番目から第4番目までのデータ入力用パーツP1〜P4で示す前述した第1番目から第4番目までの作業についてのガイダンス文g1,g2,g3,g4がそれぞれ順に表示される。具体的には、各ガイダンス文g1〜g4は、「ステップ1 原稿サイズの確認をします」、「ステップ2 プリンタにセットする用紙を選びます」、「ステップ3 印刷の品質を選びます」、「ステップ4 印刷する部数を選びます」となっている。
【0045】
さらに、「簡単印刷」のカードCD4には、このカードを上級者用の「高機能印刷」のカードに切り替えるボタンBTが設けられている。このボタンBTがマウス20によってクリックされると、「簡単印刷」のカードCD4は、「高機能印刷」のカードに切り替えられる。すなわち、このボタンBTは、設定される情報から定まる機能の範囲の程度を示すパラメータを、範囲の小さい低機能のものと範囲の大きい高機能のものとの間で切り替える指令を入力するためのものである。なお、このボタンBTは、上記データ入力用エリアDAに含まれる。
【0046】
図5は、「高機能印刷」のカードCD4Xが開かれた状態のダイアログボックスDBXを示す説明図である。この「高機能印刷」のカードCD4Xは、上級者による高機能印刷を目的として、「簡単印刷」についての基本情報に加えて拡張された機能についての情報を設定するためのものである。図示するように、「高機能印刷」のカードCD4Xには、「簡単印刷」のカードCD4と共通のデータ入力用エリアDAとイラスト表示用エリアIAとが設けられており、「初期設定」のカードCD4のガイダンス表示用エリアGAに替えて拡張データ入力用エリアEDAが設けられている。
【0047】
拡張データ入力用エリアEDAは、データ入力用エリアDAの各データ入力用パーツP1〜P4をそれぞれ拡張するためのもので、各データ入力用パーツP1〜P4に対応して4分割されている。分割された各領域EP1,EP2,EP3,EP4には、各データ入力用パーツP1〜P4において上級設定として追加される各種データ入力欄がそれぞれ設けられている。なお、この実施例では、最上段の第1番目の領域EP1についてはデータ入力欄は備えられていない。
【0048】
第2番目の領域EP2には、用紙についての追加のデータ入力欄として、「倍率」のデータ入力欄fd11と「センタリング」のデータ入力欄fd12とが設けられている。「倍率」のデータ入力欄fd11は、拡大縮小の倍率を用紙サイズから自動決定される倍率ではない任意の倍率に設定するものである。「センタリング」のデータ入力欄fd12は、用紙における印刷可能な領域を中央に定めるものである。
【0049】
第3番目の領域EP3には、印刷の品質についての追加のデータ入力欄として、「詳細設定」のボタンfd13が設けられている。「詳細設定」のボタンfd13がマウス20によりクリックされると、手動設定を行なうための図示しないダイアログボックスが画面に表示される構成となっている。このダイアログボックスには、「ハーフトーン」、「マイクロウィーブ」、「双方向印刷」、「カラー調整」等の各種データを高精度に設定可能なデータ入力欄が設けられており、これらデータ入力欄から、キーボード18およびマウス20を操作することによりデータを入力することで、詳細なデータ設定が可能となる。
【0050】
第4番目の領域EP4には、印刷する部数に関わる追加のデータ入力欄として、「部単位で印刷」のチェックボックスfd14と「逆順印刷」のチェックボックスfd15とが設けられている。「部単位で印刷」のチェックボックスfd14は、2部以上印刷する場合で、1部毎に印刷するときに指定するものである。「逆順印刷」のチェックボックスfd15は、ページ順の逆の順序で印刷するときに指定するものである。なお、この第4番目の領域EP4には、印刷する部数に関わる情報以外にも、「レイアウト」のデータ入力欄fd16と「スタンプマーク」のデータ入力欄fd17とが設けられている。「レイアウト」のデータ入力欄fd16は、1枚の印刷用紙に割り付けるページ数を設定するものである。「スタンプマーク」のデータ入力欄fd17は、マーク付印刷のスタンプマークについての設定を行なうものである。ここで、マーク付印刷とは、例えば、「マル秘」、「重要」、「至急」等のマーク(これらマークをスタンプマークと呼ぶ)を印刷画面上に自動的に付加する印刷をいう。
【0051】
作業者は、キーボード18およびマウス20を操作して、第2番目から第4番目までの領域EP2〜EP4に備えられる各データ入力欄fd11〜fd17に対してデータを入力する。これらデータ入力欄fd11〜fd17が、特許請求の範囲でいう第2群のデータ入力欄に相当する。
【0052】
なお、この「高機能印刷」のカードCD4Xのデータ入力用エリアDAにも、ボタンBTが設けられている。このボタンBTがマウス20によってクリックされると、「高機能印刷」のカードCD4Xは、図4で示した「簡単印刷」のカードCD4に切り替えられる。
【0053】
上述したCRTディスプレイ12への画面表示は、プリンタドライバ53の情報設定モジュール57を動作することにより、すなわち、CPU30が情報設定モジュール57に対応した処理ルーチンを実行することで行なわれる。この情報設定モジュール57の処理ルーチンについて次に説明する。
【0054】
図6は、その情報設定モジュール57の処理ルーチンのうちのカードCD4に係わる印刷設定処理ルーチンを示すフローチャートである。この印刷設定処理ルーチンは、ダイアログボックスDBXに表示される5種類のカードCD1〜CD5の中からカードCD4のタブがマウス20によってクリックされたときに実行される。
【0055】
図示するように、CPU30は、処理が開始されると、まず、「簡単印刷」のカードCD4もしくは「高機能印刷」のカードCD4Xの画像をCRTディスプレイ12に表示するカード表示処理を実行する(ステップS100)。その後、そのCRTディスプレイ12の表示画面を見た作業者によるキーボード18およびマウス20を用いたデータ入力の操作を受けて、各種データを入力し(ステップS200)、その入力された各種データをRAM32内の印刷設定情報ファイルに記憶する(ステップS300)。ステップS300の実行後、作業者による表示画面中の「OK」のボタンBTOK(図4、図5参照)のクリック操作を待って「リターン」に抜けて処理を終了する。
【0056】
図7および図8は、ステップS100で実行されるカード表示処理ルーチンを示すフローチャートである。この処理ルーチンは所定時間毎に繰り返し実行される。図7に示すように、CPU30は、処理が開始されると、まず、この処理ルーチンの実行がこのプリンタドライバにとって最初の実行であるか否かを判別する(ステップS110)。ここで、最初であると判別されると、カードCD4の外周部分を示す画像データDp0をRAM32(あるいはプリンタドライバの格納されるHDD41)から読み込み(ステップS120)、その外周部分の画像データDp0を表示画像メモリ33に転送する(ステップS130)。
【0057】
図9は、画像データDp0で表わされる画像を示す説明図である。図示するように、画像データDp0は、詳細には、図4で示したカードCD4の外周とタグTG1〜TG4の部分を示す画像の画像データである。なお、この画像データDp0で表わされるカードCD4の画像内は、基本表示領域Ar1と拡張表示領域Ar2とに区分けされている。
【0058】
続いて、CPU30は、カードCD4のベース部分となるベース画像データDp1をRAM32(あるいはプリンタドライバの格納されるHDD41)から読み込み(ステップS140)、そのベース画像データDp1を表示画像メモリ33に転送する(ステップS150)。図10は、ベース画像データDp1で表わされる画像を示す説明図である。図示するように、ベース画像データDp1は、図4で示したカードCD4のデータ入力用エリアDAとイラスト表示用エリアIAとを含む範囲を示す画像データであって、カードCD4のタグ内の文字部分Pt1と、イラスト表示用エリアIA内のイラスト部分Pt2と、データ入力用エリアDA内の各種データ入力欄fd1〜fd7の内部と、ボタンBTの内部とが空欄となった画像の画像データである。ステップS150では、こうしたベース画像データDp1を表示画像メモリ33に格納するが、その格納位置は、ステップS130で転送した外周画像データDp0により形成される基本表示領域Ar1に対応する位置である。
【0059】
図7に戻り、ステップ150の実行後、CPU30は、フラグFを値0にセットする(ステップS160)。続いて、図8に示すように、CPU30は、そのフラグFが値0であるか値1であるかを判別し(ステップS170)、値0であると判別されると、第1拡張画像データDp2をRAM32(あるいはプリンタドライバの格納されるHDD41)から読み込み(ステップS180)、その第1拡張画像データDp2を表示画像メモリ33に転送する(ステップS181)。
【0060】
図11は、第1拡張画像データDp2で表わされる画像を示す説明図である。図示するように、第1拡張画像データDp2は、図4で示した「簡単印刷」のカードCD4のガイダンス表示用エリアGAの画像を表わす画像データである。ステップS181では、この第1拡張画像データDp2を表示画像メモリ33に転送するが、その転送位置は、ステップS130で転送した外周画像データDp0により形成される拡張表示領域Ar2に対応する位置である。
【0061】
続いて、CPU30は、「簡単印刷」の文字列を、上記表示画像メモリ33内のカードCD4のタブ内の文字部分Pt1に転送し、「高機能印刷へ進む」の文字列を、表示画像メモリ33内のカードCD4のボタンBTの内部の部分に転送する処理を行なう(ステップS182)。その後、CPU30は、RAM内に格納された印刷設定情報ファイルから、上記「簡単印刷」のカードCD4のデータ入力欄fd1〜fd7に対応する各種データを読み出して、その各種データの内容を表示画像メモリ33内の画像データの対応する箇所に転送する(ステップS183)。なお、この印刷設定情報ファイルは、図6のステップS300で更新されるものであるが、このプリンタドライバの最初の実行時には予め初期値が用意されているものとする。したがって、ステップS183の最初の実行時に限っては、印刷設定情報ファイルの初期値が表示画像メモリ33に転送されることになる。
【0062】
ステップS183の実行後、CPU30は、CRTC38を動作させて、表示画像メモリ33に記憶される画像データに基づいてCRTディスプレイ12における画像の表示を制御する(ステップS184)。この結果、図4に示した「簡単印刷」のカードCD4の画像がCRTディスプレイ12に表示されることになる。ステップS184の実行後、「リターン」に抜けてこの処理を一旦終了する。
【0063】
一方、図7におけるステップS110で、最初の実行ではないと判別されると、ステップS190に処理を進める。ステップS190では、「簡単印刷」のカードCD4と「高機能印刷」のカードCD4Xとの間を切り替えるカード切替用のボタンBTがマウス20によりクリックされたか否かを判別する。ここで、クリックされたと判別されると、フラグFの値を反転、すなわちフラグFが値0のとき値1に、値1のとき値0に変更する(ステップS191)。その後、処理を前述した図8のステップS170に進める。
【0064】
ステップS170では、前述したようにフラグFが値0であるか値1であるかを判別するが、ここで、値1であると判別されると、ステップS192に処理を進める。ステップS192では、CPU30は、RAM32(あるいはプリンタドライバの格納されるHDD41)から第2拡張画像データDp3を読み込む。その後、CPU30は、第2拡張画像データDp3を表示画像メモリ33に転送する(ステップS193)。
【0065】
図12は、第2拡張画像データDp3で表わされる画像を示す説明図である。図示するように、第2拡張画像データDp3は、図5で示した「高機能印刷」のカードCD4Xの拡張データ入力用エリアEDAであって、各種データ入力欄fd11〜fd17の内部が空欄となった画像の画像データである。ステップS193では、この画像データを表示画像メモリ33に格納するが、その格納位置は、ステップS150で転送した外周画像データDp0により形成される拡張表示領域Ar2に対応する位置である。なお、この格納の際には、拡張表示領域Ar2には、ステップS181で格納した第1拡張画像データDp2が既に格納されており、このステップS193では第2拡張画像データDp3を上書きするようにその格納を行なう。なお、前述したステップS181でも、既に拡張表示領域Ar2に画像データが格納されている場合、新たな画像データを上書きするようにその格納を行なうものとする。ステップS193の結果、表示画像メモリ33には、図5に示した画像にあって、拡張データ入力用エリアEDA内の各種データ入力欄fd11〜fd17の内部が空欄となった画像を示す画像データが用意されることになる。
【0066】
続いて、CPU30は、「高機能印刷」の文字列を、上記表示画像メモリ33内のカードCD4のタブ内の文字部分に転送し、「簡単印刷へ進む」の文字列を、表示画像メモリ33内のカードCD4のボタンBTの内部に転送する処理を行なう(ステップS194)。その後、CPU30は、RAM内に格納された印刷設定情報ファイルから、上記「高機能印刷」のカードCD4Xの拡張データ入力用エリアEDAに用意されたデータ入力欄fd11〜fd17に対応する各種データを読み出して、その各種データの内容を表示画像メモリ33内の画像データの対応する箇所に転送する(ステップS195)。
【0067】
ステップS195の実行後、CPU30は、ステップS183に処理を進めて、前述したように、「簡単印刷」のカードCD4のデータ入力欄fd1〜fd7に対応する各種データを表示画像メモリ33に転送する。その後、ステップS184に処理を進めて、前述したように表示画像メモリ33に記憶される画像データに基づいてCRTディスプレイ12における画像の表示を制御する。ステップS184の実行後、「リターン」に抜けてこの処理を一旦終了する。
【0068】
この結果、図5に例示した「高機能印刷」のカードCD4Xの画像がCRTディスプレイ12に表示されることになる。ステップS198の実行後、「リターン」に抜けてこの処理を一旦終了する。
【0069】
なお、図7におけるステップS190で、ボタンBTのクリックがないと判別された場合には、フラグFが値0であるか値1であるかを判別し(ステップS196)、値0である場合には、図8のステップS183に処理を進め、一方、値1である場合には、図8のステップS195に処理を進める。この結果、表示画像メモリに記憶される画像データの内容はそのままにして、各種データ入力欄(データ入力用エリアDAに含まれるデータ入力欄fd1〜fd7と必要に応じて拡張データ入力用エリアEDAに含まれるデータ入力欄fd11〜fd17)に該当する各種データが表示画像メモリに転送されて、表示画像メモリ33の内容がCRTディスプレイ12に表示される。その後、この処理ルーチンを一旦終了する。
【0070】
こうしてCRTディスプレイ12に表示された「簡単印刷」のカードCD4もしくは「高機能印刷」のカードCD4Xを用いて、その後、前述したようにデータ入力の作業がなされることになる(図6のステップS200)。
【0071】
以上詳述したように、上記印刷設定処理ルーチンによれば、データ入力用のダイアログボックスDBX内に、「簡単印刷」のカードCD4と「高機能印刷」のカードCD4Xとを、ボタンBTがクリックされる毎に切り替えて表示するが、その表示は、いずれのカードCD4,CD4Xの場合にもベース画像データDp1を表示するようにして、「高機能印刷」のカードCD4Xへの切替時に限っては、拡張データ入力用エリアEDAをさらに表示するように構成する。
【0072】
したがって、この実施例では、「簡単印刷」のカードCD4と「高機能印刷」のカードCD4Xとの表示を、データ入力用エリアDAとイラスト表示用エリアIAを表わすベース画像データDp1を共用して行なうことができる。このため、表示に要する画像データの容量が小さくてすみ、画像データを格納するHDD41等の記憶媒体の資源を有効に利用することができるといった効果を奏する。
【0073】
なお、この実施例では、「簡単印刷」のカードCD4において、その拡張表示領域Ar2に、データ入力用エリアDAからのデータ入力を手助けするためのガイダンス文が表示されるように構成されていることから、初級者にとって、表示されたガイダンス文を見ることでデータ入力を容易に行なうことができるという効果も奏する。
【0074】
次に、上記一実施例の変形例について説明する。
【0075】
(1)前記実施例では、画面上のカード切替用のボタンBTがマウス20によりクリックされる毎に、「簡単印刷」のカードCD4と「高機能印刷」のカードCD4Xとが切り替わるように構成されていたが、これに替えて、キーボード18上の所定のキーが押下される毎に、上記カードCD4,CD4Xの切替がなされるように構成してもよい。
【0076】
(2)また、前記実施例では、使用者の操作指令を受けて、「簡単印刷」のカードCD4と「高機能印刷」のカードCD4Xとが度々切り替わるように構成されていたが、これに替えて、プリンタドライバのインストール時に、初級者用か上級者用かをマウス20やキーボード18によって指定するようにして、その指定結果によって、「簡単印刷」のカードCD4もしくは「高機能印刷」のカードCD4Xが以後ずっと表示される構成としてもよい。この構成によれば、プリンタドライバの提供者は、一のプリンタドライバを市場へ提供するだけで、初級者用、上級者用の2種類に対応させることができる。また、上記のように、インストール時にマウス20やキーボード18等のオペレータによる指示を受ける構成に替えて、対応するプリンタの機種に応じて低機能か高機能かを判別する構成としてもよい。即ち、インストール時に、プリンタの機種を示すパラメータに応じて、「簡単印刷」のカードCD4を表示するか「高機能印刷」のカードCD4Xを表示するかをコンピュータ10が自動的に判別する構成とすることもできる。
【0077】
さらに、前記実施例では、「簡単印刷」のカードCD4において空いた拡張表示領域Ar2に、データ入力用エリアDAからのデータ入力を手助けするためのガイダンス文が表示されるように構成されていたが、これに替えて、次のような様々な情報をこの拡張表示領域Ar2に表示する構成としてもよい。
【0078】
(3)図13に示すように、現在設定されている印刷のための各種情報を示した一覧表示欄EAを表示するようにしてもよい。なお、図示の例では、一覧表示欄EAには、「印刷品質のモード」、「解像度」、「ハーフトーン」、「インク」、「マイクロウィーブ」、「双方向印刷」、「左右反転」、「カラー調整」等についての現在の設定内容が示されている。
【0079】
(4)図14に示すように、このプリンタドライバの提供者の商業上の広告を示す広告欄EBを表示する構成としてもよい。
【0080】
(5)また、前記実施例では、ガイダンス文として、第1番目から第4番目までのデータ入力用パーツP1〜P4にそれぞれ対応した4つのガイダンス文g1,g2,g3,g4をそれぞれ順に表示していたが、これに替えて、図15に示すように、データ入力用エリアDAでアクティブとなったデータ入力用パーツ(図15の例では、第2番目のデータ入力用パーツP2)についてのガイダンス文の画像データGP2だけを表示するように構成してもよい。この場合、図示するように、表示のスペースの関係から、ガイダンス文の文字列GP2aに加えてそのガイダンス文を明示するイラストの画像GP2bを表示する構成とすることができる。
【0081】
以上、本発明の種々の実施例を詳述してきたが、本発明は、こうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様にて実施することができる。例えば、前記実施例では、プリンタ14がローカルなコンピュータ10と直接ケーブルに接続されたコンピュータシステムに適用されているが、これに替えて、LAN上のサーバに接続されたプリンタを複数のコンピュータで共有するコンピュータシステムに適用する構成としてもよい。あるいは、インターネットによりつなげられたサーバに接続されたプリンタを、インターネットを介してコンピュータでコントロールするコンピュータシステムに適用する構成としてもよい。前記実施例では、プリンタ14がコンピュータ10に接続されたコンピュータシステムに適用されていたが、これに替えて、印刷機構を内蔵するファクシミリ装置に適用する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】この発明の一実施例を適用するコンピュータシステムの外観図である。
【図2】コンピュータシステムのハードウェアの概略構成を示すブロック図である。
【図3】コンピュータ本体16が扱う画像情報から印刷が行なわれるまでの処理の様子を示すブロック図である。
【図4】「簡単印刷」のカードCD4が開かれた状態のダイアログボックスDBXを示す説明図である。
【図5】「高機能印刷」のカードCD4Xが開かれた状態のダイアログボックスDBXを示す説明図である。
【図6】CPU30により実行される印刷設定処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図7】CPU30により実行されるカード表示処理ルーチンの前半部分を示すフローチャートである。
【図8】カード表示処理ルーチンの後半部分を示すフローチャートである。
【図9】画像データDp0で表わされる画像を示す説明図である。
【図10】ベース画像データDp1で表わされる画像を示す説明図である。
【図11】第1拡張画像データDp2で表わされる画像を示す説明図である。
【図12】第2拡張画像データDp3で表わされる画像を示す説明図である。
【図13】実施例の変形例として一覧表示欄EAが表示された構成を示す説明図である。
【図14】実施例の変形例として広告欄EBが表示された構成を示す説明図である。
【図15】実施例の変形例としてガイダンス文の画像データGP2が表示された構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0083】
10…コンピュータ
12…CRTディスプレイ
14…プリンタ
16…コンピュータ本体
18…キーボード
20…マウス
22…フロッピィディスク
24…フロッピィディスクドライブ
30…CPU
31…ROM
32…RAM
33…表示画像メモリ
34…マウスインタフェース
35…キーボードインタフェース
36…FDC
37…HDC
38…CRTC
39…プリンタインタフェース
40…I/Oポート
41…HDD
44…モデム
46…公衆電話回線
48…サーバ
51…アプリケーションプログラム
52…ビデオドライバ
53…プリンタドライバ
54…ラスタライザ
55…色補正モジュール
56…ハーフトーンモジュール
57…情報設定モジュール
Ar1…基本表示領域
Ar2…拡張表示領域
Dp1…ベース画像データ
Dp2…第1拡張画像データ
Dp3…第2拡張画像データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ入力用ウィンドウを表示制御手段により表示装置に表示して、該データ入力用ウィンドウの表示に従って操作される入力装置からの入力データを取り込むことにより、所定の印刷装置における印刷のための各種情報を設定する印刷情報設定装置において、
前記各種情報により定められる機能の範囲の程度を示すパラメータを入力するパラメータ入力手段と、
前記表示制御手段は、
前記データ入力用ウィンドウ内に基本表示領域と拡張表示領域とを形成して、前記各種情報のうちの所定の情報を入力するための第1群のデータ入力欄を、前記パラメータ入力手段からのパラメータの内容に拘わらず前記基本表示領域に設ける第1制御手段と、
前記所定の情報以外の各種情報を入力するための第2群のデータ入力欄を、前記パラメータ入力手段からのパラメータの内容に応じて必要と判別されたときに限り、前記拡張表示領域に設ける第2制御手段と
を備えることを特徴とする印刷情報設定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷情報設定装置であって、
前記パラメータ入力手段は、
前記データ入力用ウィンドウ内にスイッチを表示するスイッチ表示手段と、
前記入力装置による前記スイッチの操作によって発生する信号を前記パラメータとして取り込む信号取込手段と
を備える印刷情報設定装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の印刷情報設定装置であって、
前記第2制御手段は、
前記パラメータが、前記機能の範囲が小さい低機能を示すものであるとき、前記第2群のデータ入力欄を設けることを禁止する手段
を備える印刷情報設定装置。
【請求項4】
請求項3に記載の印刷情報設定装置において、
前記パラメータが前記低機能を示すものであるとき、前記第1群のデータ入力欄からのデータ入力を助けるための案内情報を、前記データ入力用ウィンドウ内の前記拡張表示領域に設ける第3制御手段
を備える印刷情報設定装置。
【請求項5】
請求項4に記載の印刷情報設定装置において、
前記各種情報の設定に必要な作業を複数のグループに分けて各グループを順序づけることにより得られる作業手順の配列を記憶する記憶手段を備え、
前記第1群のデータ入力欄は、前記記憶手段に記憶された作業手順の配列に応じて各データ入力欄の配置が定められたものであり、
前記案内情報は、前記各グループ毎に作業を説明する説明文を示すものである、印刷情報設定装置。
【請求項6】
データ入力用ウィンドウを表示装置に表示して、該データ入力用ウィンドウの表示に従って操作される入力装置からの入力データを取り込むことにより、所定の印刷装置における印刷のための各種情報を設定する印刷情報設定方法において、
(a)前記各種情報により定められる機能の範囲の程度を示すパラメータを入力する工程と、
(b)前記データ入力用ウィンドウ内に基本表示領域と拡張表示領域とを形成して、前記各種情報のうちの所定の情報を入力するための第1群のデータ入力欄を、前記パラメータ入力手段からのパラメータの内容に拘わらず前記基本表示領域に設ける工程と、
(c)前記所定の情報以外の各種情報を入力するための第2群のデータ入力欄を、前記パラメータ入力手段からのパラメータの内容に応じて必要と判別されたときに限り、前記拡張表示領域に設ける工程と
を備えることを特徴とする印刷情報設定方法。
【請求項7】
データ入力用ウィンドウを表示装置に表示して、該データ入力用ウィンドウの表示に従って操作される入力装置からの入力データを取り込むことにより、所定の印刷装置における印刷のための各種情報を設定するためのコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
(a)前記各種情報により定められる機能の範囲の程度を示すパラメータを入力する機能と、
(b)前記データ入力用ウィンドウ内に基本表示領域と拡張表示領域とを形成して、前記各種情報のうちの所定の情報を入力するための第1群のデータ入力欄を、前記パラメータ入力手段からのパラメータの内容に拘わらず前記基本表示領域に設ける機能と、
(c)前記所定の情報以外の各種情報を入力するための第2群のデータ入力欄を、前記パラメータ入力手段からのパラメータの内容に応じて必要と判別されたときに限り、前記拡張表示領域に設ける機能と
をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項8】
請求項7に記載の記録媒体であって、
前記機能(a)は、
(a1)前記データ入力用ウィンドウ内にスイッチを表示する機能と、
(a2)前記入力装置による前記スイッチの操作によって発生する信号を前記パラメータとして取り込む機能と
を備える記録媒体。
【請求項9】
請求項7または8に記載の記録媒体であって、
前記機能(c)は、
(c1)前記パラメータが、前記機能の範囲が小さい低機能を示すものであるとき、第2群のデータ入力欄を設けることを禁止する機能
を備える記録媒体。
【請求項10】
請求項9に記載の記録媒体であって、
(d)前記パラメータが前記低機能を示すものであるとき、前記第1群のデータ入力欄からのデータ入力を助けるための案内情報を、前記データ入力用ウィンドウ内の前記拡張表示領域に設ける機能
をさらにコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラムを記録した記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−213591(P2007−213591A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−61815(P2007−61815)
【出願日】平成19年3月12日(2007.3.12)
【分割の表示】特願平11−66119の分割
【原出願日】平成11年3月12日(1999.3.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】