説明

印刷機器管理装置及びプログラム

【課題】ネットワークに接続された複数の印刷機器を管理する印刷機器管理装置において、ユーザにとって適切な印刷機器を推奨できるようにする。
【解決手段】印刷機器管理装置10において、複数の印刷機器それぞれの印刷機能を示す情報と単位時間当たりの印刷可能枚数とを少なくとも含む性能情報を取得する性能情報取得部21と、複数の印刷機器それぞれが環境に対して与える負荷の指標となる、性能情報とは異なる環境負荷情報を取得する環境負荷情報取得部22と、複数の印刷機器それぞれの利用状況を示す利用状況情報を取得する利用状況情報取得部23とを設け、上記性能情報と上記環境負荷情報と上記利用状況情報とをそれぞれ、印刷機器毎にHDD16に蓄積する蓄積部24と、HDD16に蓄積された性能情報と環境負荷情報と利用状況情報とを参照して、推奨する印刷機器を選択し、その選択した印刷機器をユーザに通知する印刷機器推奨部25とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ネットワークに接続された複数の印刷機器を管理する印刷機器管理装置及びコンピュータに、上記のような印刷機器を管理させるための機能を実現させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワーク環境の普及に伴い、オフィスなどでは、LAN(Local Area Network)等を用いて複数のパーソナルコンピュータ(PC)をプリンタやMFPなどの複数の印刷機器にネットワーク接続して、複数ユーザで共有して利用するようになってきている。
そしてネットワーク接続された複数の印刷機器を集約して管理するために、複数のPCのうち1台を管理用の端末としたり、別途サーバなどをネットワーク接続して、これを専用の管理端末にして、複数の印刷機器の集約管理を行うようなことが行われている。
【0003】
そして、このような集約管理下においては、例えば、管理対象の複数の印刷機器を、ユーザ設定によってグルーピングしたり、又はIPアドレスやモデル名など機器固有の情報によって自動的にグルーピングしたりして、ユーザに示す技術が知られている。
また、複数の印刷機器の最適配置を提案する技術として、特許文献1には、複数の印刷機器の推奨印刷枚数と実際の総印刷枚数とに基づいて印刷状況値を算出し、この印刷状況値を閾値と比較して、利用程度を判定し、この利用程度に基づいて複数の印刷機器のネットワーク上での最適配置を提案することが開示されている。
【0004】
また、複数の印刷機器の最適配置を提案する別の技術として、特許文献2には、最適配置提案装置が、所定のタイミングに各機器にポーリング等によって利用状況情報取得要求を行って、各機器から利用状況情報を取得し、その取得した利用状況情報を用いて最適配置提案処理を実行することが開示されている。
また、複数の印刷機器の最適配置を提案するさらに別の技術として、特許文献3には、最適配置案生成部が、累積利用状態テーブルと、機器について設定される設定上限と、機器が提供することができる機能情報とを考慮して管理する機器の中から、最適配置を計算し、リストまたは論理接続図としてディスプレイ装置に表示することが開示されている。
【0005】
一方で特許文献4には、環境負荷を考慮して、印刷実行時に管理対象となっている複数の印刷機器の中からCO排出量が少ない印刷機器を優先的に使用させるように推奨する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献4に記載の手法では、印刷機器の性能情報を考慮していないので、例えば印刷速度が遅いものを推奨してしまうといった不都合が生じることがあった。また、印刷機器の利用状況情報を考慮していないので、キューに実行すべきジョブが溜まっており、印刷開始までに時間がかかるような印刷機器を推奨してしまうこともあった。また、既に印刷した枚数が推奨される印刷枚数を超えているにも関わらず、その印刷機器を推奨してしまうといった不都合が生じることもあった。
このため、推奨した印刷機器のCO排出量が少なかったとしても、上記のような不都合が生じるおそれがあり、ユーザにとってより適切な印刷機器を推奨することができないという問題があった。
特許文献1乃至3に記載の手法では、環境負荷を考慮していないため、CO排出量の多い機器を優先的に推奨してしまう場合があるという問題があった。
【0007】
この発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、ネットワークに接続された複数の印刷機器を管理する印刷機器管理装置において、ユーザにとって適切な印刷機器を推奨できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、この発明による印刷機器管理装置は、ネットワークに接続された複数の印刷機器を管理する印刷機器管理装置であって、上記複数の印刷機器それぞれについて、その印刷機器が備える印刷機能を示す情報と上記印刷機器の単位時間当たりの印刷可能枚数とを少なくとも含む性能情報を取得する性能情報取得手段と、上記複数の印刷機器それぞれについて、環境に対して与える負荷の指標となる、上記性能情報とは異なる環境負荷情報を取得する環境負荷情報取得手段と、上記複数の印刷機器それぞれの利用状況を示す利用状況情報を取得する利用状況情報取得手段と、上記性能情報取得手段が取得した上記性能情報と上記環境負荷情報取得手段が取得した上記環境負荷情報と上記利用状況情報取得手段が取得した上記利用状況情報とをそれぞれ、上記複数の印刷機器毎に対応付けて記憶手段に蓄積する蓄積手段と、上記記憶手段に蓄積された上記性能情報と上記環境負荷情報と上記利用状況情報とを参照して、推奨する印刷機器を選択し、その選択した印刷機器をユーザに通知する印刷機器推奨手段とを設けたものである。
【0009】
また、この発明のプログラムは、コンピュータを、ネットワークに接続された複数の印刷機器を管理する印刷機器管理装置として機能させるためのプログラムであって、そのコンピュータを、上記複数の印刷機器それぞれについて、その印刷機器が備える印刷機能を示す情報と上記印刷機器の単位時間当たりの印刷可能枚数とを少なくとも含む性能情報を取得する性能情報取得手段と、上記複数の印刷機器それぞれについて、環境に対して与える負荷の指標となる、上記性能情報とは異なる環境負荷情報を取得する環境負荷情報取得手段と、上記複数の印刷機器それぞれの利用状況を示す利用状況情報を取得する利用状況情報取得手段と、上記性能情報取得手段が取得した上記性能情報と上記環境負荷情報取得手段が取得した上記環境負荷情報と上記利用状況情報取得手段が取得した上記利用状況情報とをそれぞれ、上記複数の印刷機器毎に対応付けて記憶手段に蓄積する蓄積手段と、上記記憶手段に蓄積された上記性能情報と上記環境負荷情報と上記利用状況情報とを参照して、推奨する印刷機器を選択し、その選択した印刷機器をユーザに通知する印刷機器推奨手段として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
以上のようなこの発明の印刷機器管理装置によれば、ネットワークに接続された複数の印刷機器を管理する印刷機器管理装置において、ユーザにとって適切な印刷機器を推奨できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の一実施形態である印刷機器管理装置のネットワーク接続例を示す図である。
【図2】図1に示した印刷機器管理装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【図3】図1に示した印刷機器管理装置の機能構成例を示す機能ブロック図である。
【図4】印刷機器の推奨を指示された場合に、図2に示したCPUが実行する推奨処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】図4の処理結果に基づき生成する推奨機器の通知画面の一例を示す図である。
【図6】利用量に基づくグルーピング指示がなされた場合に、図2に示したCPUが実行するグルーピング処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】図6のグルーピング処理によるグルーピングの結果の表示例を示す図である。
【図8】CPUが実行する別の推奨処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
図1は、この発明の一実施形態である印刷機器管理装置10のネットワーク接続例を示す図である。
図1に示すように、印刷機器管理装置10は、ネットワーク20によりクライアント端末30,40(以下、代表して符号「30」を用いる)及び複数の印刷機器A〜Hと接続されている。
【0013】
この印刷機器管理装置10は、印刷機器A〜Hを管理する機能を有する装置であり、例えば、管理対象となる印刷機器A〜Hを管理するために必要なソフトウェアを搭載したプリントサーバとして構成することができる。この場合、この印刷機器管理装置10は、印刷機器A〜Hそれぞれのプリンタドライバ(あるいは、印刷機器A〜Hに共通して使用可能な汎用のプリンタドライバ)を備え、クライアント端末30から送信される印刷内容を示すデータを、印刷機器が印刷実行可能な形式のデータに変換して各印刷機器A〜Hの何れかに送信して印刷させることができる。
【0014】
ネットワーク20は、この実施形態においてはLAN(Local Area Network)であり、LANケーブルやスイッチングハブなどにより印刷機器管理装置10、クライアント端末30及び印刷機器A〜Hを物理的に相互接続している。しかし、有線、無線を問わず、任意のプロトコルにより通信を行うネットワークを適用可能である。例えば、データセンターなどに設置される管理サーバを印刷機器管理装置10として用い、インターネットを介してクライアント端末30や印刷機器A〜Hと通信させるようにしてもよい。
【0015】
クライアント端末30は、ハードウェアとしては公知のPCであり、ユーザの操作に従い、印刷機器管理装置10に対し各種要求を行ったり印刷指示を行ったりする機能を備える。
なお、上記の要求には、例えば、印刷機器管理装置10に対し、管理する印刷機器の中から推奨する印刷機器の提示を求めたり、管理する印刷機器を所定の基準に従ってグルーピングして提示することを求めたりすることを含む。
【0016】
印刷機器A〜Hは、給紙部、画像形成部及び定着部等を備え、印刷出力可能なプリンタやMFPである。この印刷機器A〜Hは、プリンタやMFPが混在しているものとし、それぞれの性能や印刷機能は、同じでも異なっていてもよいが、少なくとも複数の機種が含まれることが好ましい。
【0017】
次に、図1に示した印刷機器管理装置10のハードウェア構成について、図2を参照して説明する。図2は、図1に示した印刷機器管理装置10のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、印刷機器管理装置10は、CPU11、ROM12、RAM13、I/Oポート14、通信I/F15、HDD(ハードディスク装置)16及び記憶媒体ドライブ17を備え、これらがシステムバス19により接続されている。
【0018】
このうちCPU11は、この印刷機器管理装置10全体を統括制御する中央制御装置であり、ROM12やHDD16に記憶された所要のプログラムを実行することにより、性能情報取得手段、環境負荷情報取得手段、利用状況情報取得手段、蓄積手段及び印刷機器推奨手段等の各手段として機能し、後述するようなこの実施形態の特徴に係る種々の機能を実現する。
【0019】
ROM12は、CPU11が実行するプログラムを記憶する不揮発性記憶手段である。RAM13は、CPU11が実行するプログラムを展開し、各種機能を実行する際のワークメモリとして使用する読み書き可能な記憶手段である。
【0020】
I/Oポート14は、キーボードやマウス等の外部入力手段やディスプレイなどの表示手段と接続するためのインタフェースである。
通信I/F15は、この印刷機器管理装置10が、クライアント端末30や複数の印刷機器A〜Hとネットワーク接続するためのインタフェースである。この実施形態においては、LANによりネットワーク接続を行っているため、例えばイーサネット(登録商標)方式の通信を行うためのネットワークインタフェースとすることができる。
なお、通信I/F15は、ネットワークの規格や使用する通信プロトコル等に応じて適切なものを用意するものとし、複数の規格に対応させて複数の通信I/F15を設けることも当然可能である。
【0021】
HDD16は、CPU11が実行するプログラムや印刷機器管理装置10の電源がOFFされた後でも保持しておく必要があるパラメータの値等を記憶する書き換え可能な大容量の不揮発性記憶手段である。CPU11が後述する種々の機能を実行することで複数の印刷機器A〜Hから取得する各種情報は、このHDD16に保存することができる。
【0022】
記憶媒体ドライブ17は、記憶媒体18に対する記録又は再生を行う記録再生手段であり、記憶媒体18の種類に応じて適切なドライブが用いられる。
この記憶媒体18は、CD,DVDなどの光ディスク、MOなどの光磁気ディスク、FDなどのフレキシブルディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。この記憶媒体18に種々の機能を実現するためのプログラムを記録させておき、記憶媒体ドライブ17にセットすることにより、そのプログラムを印刷機器管理装置10に読み出させ、HDD16にインストールさせたり、CPU11に実行させたりすることができる。
【0023】
次に、印刷機器管理装置10のCPU11が、ROM12やHDD16に記憶された所要のプログラムを実行することで実現可能な各機能について図3を参照しながら説明する。図3は、図1に示した印刷機器管理装置10の機能構成例を示す機能ブロック図である。
【0024】
図3に示すように、印刷機器管理装置10は、性能情報取得部21、環境負荷情報取得部22、利用状況情報取得部23、蓄積部24、印刷機器推奨部25、推奨利用量計算部26、自動グルーピング計算部27及び印刷機器監視部28を備えている。
なお、これら各部の機能は、上述のようにCPU11が所要のプログラムを実行することで実現可能なものである。
【0025】
まず、性能情報取得部21は、管理対象の印刷機器(ここでは印刷機器A〜H)のそれぞれについて、その性能を示す性能情報を取得する性能情報取得手段である。ここではこの性能情報として、1分当たりの印刷可能枚数(枚/分)を示すipm値(image per minute:以下「印刷速度」という)及び印刷機能(例えば、カラー印刷機能やステープル機能など)の有無の情報を取得するようにしている。これら以外にも、例えば、印刷機器A〜Hが印刷実行可能な形式で1頁目のデータを受信してから、そのデータに基づいて印刷された用紙の後端が機外に出る迄の所要時間を示したファーストプリント時間(秒)や、印刷可能な解像度の情報等も性能情報として取得するようにすることが考えられる。
【0026】
環境負荷情報取得部22は、管理対象の印刷機器のそれぞれについて、環境に対して与える負荷の指標となる環境負荷情報を取得する環境負荷情報取得手段である。ここではこの環境負荷情報として、一週間の標準消費電力量(kWh)を示すTEC(Typical
Electricity Consumption)値を取得するようにしている。
また、環境負荷情報取得部22は、取得したTEC値を、複数の印刷機器A〜Hそれぞれが所定の単位期間(日、週、月又は年)当たりに排出するCO排出量(kg)に換算するとともに、このTEC値を用いて所定の単位期間(日、週、月又は年)当たりの平均消費電力(kW)を計算する。
なお、CO排出量及び平均消費電力も環境負荷情報であるものとする。また、CO排出量の換算は、例えば環境省の換算値(消費電力量1kWh当たりのCO排出量が0.555kg)を用いて換算するようにするとよい。
【0027】
利用状況情報取得部23は、管理対象の印刷機器のそれぞれについて、印刷利用状況の指標となる利用状況情報を取得する利用状況情報取得手段である。ここではこの利用状況情報として、印刷実行予定のジョブ数及び所定期間(日、週、月又は年)当たりに合計何枚の印刷を行ったかを示す合計印刷枚数などを取得するようにしている。
これら性能情報取得部21、環境負荷情報取得部22及び利用状況情報取得部23はそれぞれ、複数の印刷機器A〜Hに個別にアクセスして上述した各情報を取得するようにすることができる。
【0028】
この場合、例えば、ipm値やTEC値などについては、SNMP(Simple Network Management Protocol)プロトコルを使用して、各印刷機器A〜Hが持つMIB(Management Information Base)情報にアクセスして取得したり、ポーリングなどにより各印刷機器A〜Hに順次問合せを行い、印刷機器A〜Hに常駐するSNMPAgentからのTrap発行により取得したりすることが考えられる。
また、ジョブ数については、各印刷機器A〜Hそれぞれにスプールされた状態で溜まっているジョブ数を参照したり、合計印刷枚数については、各印刷機器A〜Hのカウンタを参照して取得することが考えられる。
【0029】
なお、上記のような直接アクセス以外にも、必要な情報を印刷機器A〜Hから定期的に通知させるようにしたり、他の装置が印刷機器A〜Hから収集して蓄積している情報を取得するようにしたりすることも考えられる。印刷機器の仕様に関する情報であれば、印刷機器の機種情報に基づき、メーカのサーバにアクセスして取得することも考えられる。
【0030】
また、性能情報取得部21、環境負荷情報取得部22及び利用状況情報取得部23はそれぞれ、適宜なタイミング(例えば各印刷機器A〜Hの起動時、リブート時や新たな印刷機器がネットワーク接続されたタイミングなど)で各情報を取得するようにする。この際、ジョブ数や合計印刷枚数など値が変化する利用状況情報については、情報が更新される都度あるいは短い期間で定期的に情報を取得するようにし、取得頻度を高めるようにするとよい。このことにより、情報の鮮度を高めることができ、より精度よく後述する印刷機器の推奨を行うことができる。
【0031】
次に、蓄積部24は、性能情報取得部21、環境負荷情報取得部22及び利用状況情報取得部23が取得してきた性能情報、環境負荷情報及び利用状況情報をそれぞれ、印刷機器毎にHDD16に蓄積する蓄積手段である。
印刷機器推奨部25は、HDD16に蓄積された性能情報と環境負荷情報と利用状況情報とを参照して、複数の印刷機器A〜Hの中から推奨する印刷機器を選択し、その選択した印刷機器をユーザに通知する印刷機器推奨手段である。
【0032】
推奨利用量計算部26は、HDD16に蓄積された性能情報に含まれるipm値を参照して、このipm値に対して係数を乗算することにより、各印刷機器A〜Hについて推奨される推奨印刷枚数を計算する推奨利用量計算手段である。この推奨印刷枚数は、実際の合計印刷枚数と比較されて、印刷利用量を求める際に利用されるものである。
なお、上記係数については、各印刷機器A〜Hに対する重み付けや優先度等に応じて、印刷機器管理装置10の管理者が適宜設定できるものとする。
【0033】
自動グルーピング計算部27は、推奨利用量計算部26により計算された推奨印刷枚数と、HDD16に蓄積された利用状況情報に含まれる合計印刷枚数とを比較して、各印刷機器A〜Hの利用量(推奨印刷枚数に対する合計印刷枚数の多寡)を算出し、その利用量の大小に基づいて各印刷機器A〜Hのグルーピングを行い、ユーザに通知する自動グル―ピング手段である。
【0034】
印刷機器監視部28は、管理対象の印刷機器のそれぞれについて、電源OFFであるか、又は省エネモードであるか、又は動作モードであるか又は待機モードであるかを随時監視する印刷機器監視手段である。この実施形態においては、省エネモードとは、節電を考慮して動作モード及び待機モードよりも消費電力が少ない状態でスリープしているモードを意味し、動作モードとは、実際に印刷を実行しているモードを意味し、待機モードとは、すぐに印刷ができるようにスタンバイして待機しているモードを意味するものとする。
【0035】
この印刷機器監視部28の監視結果は、例えば性能情報取得部21、環境負荷情報取得部22及び利用状況情報取得部23が各情報を取得しにいく際に取得先の印刷機器が電源OFFであるか否か判断する際に利用したり、後述する印刷機器の推奨処理において参酌して利用したりすることもできる。
【0036】
以上のような各部を備えた印刷機器管理装置10においては、印刷機器推奨部25が、性能情報と環境負荷情報と利用状況情報とを参照して、管理対象の印刷機器の中から推奨する印刷機器を選択し、その選択した印刷機器をユーザに通知することを一つの特徴としている。
そこで、図4及び図5を参照しながら、CPU11が印刷機器推奨部25の機能により印刷機器を選択する手法及び、推奨する印刷機器をユーザに通知する形式について説明する。
【0037】
図4は、印刷機器の推奨を指示された場合に、図2に示したCPU11が実行する推奨処理の手順を示すフローチャートである。なお、この印刷機器の推奨の指示は、ユーザがクライアント端末30から図示しないGUIなどを用いて行うことができる。また、この指示の前には予め実行したい印刷に係る印刷設定内容の指定か、若しくは実行したい印刷に必要な(印刷機器が備えているべき)印刷機能の選択がなされているものとする。なお、これらの指定や選択がなされていない状態で印刷機器の推奨の指示がなされた場合は、デフォルトの値を用いたり、クライアント端末30のディスプレイにポップアップ表示等を行って、指定や選択を促したりすることが考えられる。
【0038】
印刷機器管理装置10において、ユーザにより印刷機器の推奨が指示されると、CPU11は、所要のプログラムを実行することにより、図4に示す処理を開始する。
この処理において、CPU11はまず、管理対象の印刷機器の中から、指定された印刷設定内容に従った印刷を行うために必要な印刷機能、あるいは必要なものとして選択されている全ての印刷機能を有する印刷機器を、HDD16に蓄積された性能情報に含まれる印刷機能の有無を参照して全て選択する(S11)。
【0039】
ここでの処理は、例えばユーザがカラー印刷及びステープル有の印刷設定内容を指定した場合に、複数の印刷機器A〜Hの中から、カラー印刷及びステープルの両方の印刷機能を有する印刷機器を全て選択するもので、このことによりユーザの所望する印刷機能を有しない印刷機器を推奨する対象から除外することができる。
【0040】
次に、CPU11は、ステップS11で選択した印刷機器について、HDD16に蓄積された環境負荷情報に含まれるCO排出量を参照して、CO排出量が低い順にランキングを行い、ランキング上位の印刷機器をいくつか選択する(S12)。
さらに、CPU11は、ステップS12で選択した印刷機器について、HDD16に蓄積された性能情報に含まれるipm値を参照して、印刷スピードが速い順にランキングを行い、ランキング上位の印刷機器をいくつか選択する(S13)。
【0041】
そして、CPU11は、ステップS13で選択した印刷機器について、HDD16に蓄積された利用状況情報に含まれる印刷実行予定のジョブ数を参照して、ジョブ数が少ない順にランキングを行い、ランキング上位の印刷機器をいくつか選択する(S14)。
このステップS12乃至S14の処理を行うことで、CO排出量が小さく、かつ印刷速度が早く、印刷実行予定のジョブ数が少ない印刷機器を推奨することができる。
【0042】
なお、このステップS12乃至S14の各々の処理で選択する印刷機器の数は、最終的にユーザに推奨する印刷機器の数に応じて定めればよい。例えば、最終的にユーザに推奨する印刷機器の数を2つとした場合、管理対象の印刷機器A〜Hの中で、最初のステップS12の選択で4つにまでしぼり、次のS13で3つ、最後のS14で2つといった具合に最終的に推奨する数に応じて段階的に数をしぼっていくことが考えられる。
あるいは、ユーザが予め、図示しないGUIなどから複数の印刷機器の中から、CO排出量については上位何位までを選択し、印刷速度は上位何位までを選択し、合計ジョブ数については上位何位までを選択するといった具合に、個別に選択する数を指定できるようにしてもよい。
【0043】
次に、CPU11は、ステップS14で選択した印刷機器を推奨する印刷機器としてランキング形式でクライアント端末30のディスプレイに表示させて(S15)、処理を終了する。
【0044】
次に、図5に、上述の図4の処理結果に基づき生成する推奨機器の通知画面の一例を示す。
図5に示す通知画面には、図4の推奨処理の結果、ユーザに推奨することとなった印刷機器C及びFをランキング形式で示しており、ランキング一位の印刷機器Fは、印刷を行うための印刷機能(この例では、カラー及びステープル機能)を備えた印刷機器の中で、最もCO排出量が低く、そのCO排出量が低いものの中で最も印刷速度が速く、かつ印刷実行予定のジョブ数も少ないものである。
【0045】
そして、ユーザは、図5の画面上で印刷機器を選択することにより、推奨された印刷機器C又はFの中から自身の所望する印刷機器を選択し、その印刷機器に対して印刷指示を行うことができる。この印刷指示は、印刷機器に対して直接送信するようにしてもよいし、印刷機器管理装置10がプリントサーバであれば、印刷機器管理装置10を介して送信するようにしてもよい。
【0046】
なお、最終的にランキング形式で推奨する印刷機器の数は、図5に示した二位までに限られる訳ではなく、例えばユーザの設定により、より多くの順位を表示させるようにしてもよい。また、CO排出量(kg/週)については、週当たりの排出量、印刷速度(枚/分)については、毎分当たりのスピードでランキングしているが、別の単位期間を用いた場合の排出量及びスピードを用いてランキングしても構わない。さらに、印刷機能は図示したものに限られないのはもちろんである。
【0047】
以上説明した推奨処理によれば、印刷機器管理装置10が、印刷機器推奨部25の機能により、性能情報と環境負荷情報と利用状況情報とを参照して、管理対象である印刷機器A〜Hの中から推奨する印刷機器を選択し、ユーザに通知することができる。
そして、このことにより、性能情報と環境負荷情報と利用状況情報の全てを考慮してユーザに推奨する印刷機器を選択することができるので、CO排出量が低いだけでなく、印刷速度が速く、かつジョブ数の少ない印刷機器を推奨することができる。
このため、印刷速度が遅いものを推奨してしまったり、あるいはジョブが溜まっており印刷開始までに時間がかかるような印刷機器を推奨してしまったりといった不都合なく、ユーザにとってより適切な印刷機器を推奨することができる。
【0048】
また、予め指定された印刷設定内容と、性能情報とに基づき、初めにステップS11で該指定された印刷設定内容に係る印刷を実行可能な印刷機器を抽出し、その抽出した印刷機器の中から推奨する印刷機器を選択するようにしているため、推奨した印刷機器がユーザの実行したい印刷を実行できないといった不具合を防止することができる。さらに、ランクをつける印刷機器の数を予め絞り込むことができるため、推奨すべき印刷機器を選び出すための処理の負荷を小さいものとすることができる。
またこのとき、予め指定された印刷設定内容として、クライアント端末30等の外部装置から受信した印刷要求に付された印刷設定内容を用いることができるようにすれば、ユーザは、印刷指示と同時に簡単な操作で、印刷機器管理装置10に推奨時に使用させる印刷設定内容を指定することができる。
【0049】
なお、図4のステップS12では、CO排出量が低い順にランキングを行ったが、これに代えて標準消費電力量(kWh)を示すTEC値が低い順又は平均消費電力(kW)が低い順にランキングを行うようにしてもよい。
また、ステップS13では、印刷速度が速い順にランキングを行ったが、これに代えてファーストプリント時間が速い順にランキングを行ってもよい。このことにより、連続印刷よりも最初の一枚目の印刷を早く終了させたいユーザに対してより適切な印刷機器を推奨することができる。
【0050】
また、ステップS14では、合計ジョブ数が少ない順にランキングを行ったが、これに代えて溜まっているジョブを全て消化するのにかかる時間が少ない順にランキングを行ってもよい。このことにより、推奨した印刷機器のジョブ数は1つだが、そのジョブに含まれる頁数が大量にあり印刷終了までに相当時間がかかるといった不都合を解消できる。従って、単に合計ジョブ数が少ない順でランキングを行うより、より適切な印刷機器を推奨することができる。なお、溜まっているジョブを全て消化するのにかかる時間の算出は、例えば合計ジョブ数に含まれる各ジョブの頁数と、1頁の印刷実行に係る時間などから算出するようにするとよい。
【0051】
また、ステップS12乃至14の処理は、必ずしもこの順序で行う必要はなく、ユーザの考慮する重み付けや優先度等に応じて順序を変更してもよい。例えば、大量の連続印刷を行う予定のユーザにとっては、CO排出量よりも印刷速度を重視すると考えられる。そこで、印刷速度を重視して、はじめのステップS12の処理で印刷速度が速い順にランキングした場合、CO排出量が低い印刷機器の中からのみ印刷速度が速いものを選択することになるのを避けることができ、印刷速度が速い印刷機器を最初に選択することができる。
【0052】
また、ステップS15では、推奨する印刷機器をランキング形式でクライアント端末のディスプレイに表示するようにしたが、ランキング一位の印刷機器(図5では、印刷機器F)を自動的に選択して、その選択した印刷機器に印刷実行させるようにしてもよい。この場合、印刷機器管理装置10が、クライアント端末30に印刷内容を示すデータを送信するように要求し、そのデータを取得した印刷機器管理装置10が、そのデータを、ランキング一位の印刷機器が印刷実行可能な形式のデータに変換して送信し印刷させるようにすることが考えられる。このことにより、ユーザが印刷機器を選択する手間を省くことができ、より早く印刷を行うことができる。
【0053】
次に、図6及び図7を参照しながら、印刷機器管理装置10のグルーピング機能について説明する。このグルーピングは、CPU11が自動グルーピング計算部27の機能により行うものである。そして、管理対象の印刷機器A〜Hの利用量をそれぞれ計算して、その利用量に基づいてグルーピングを行い、ユーザに通知するものである。
【0054】
なお、ここでは、利用量について「適正」、「大」及び「小」の三つの度合いを用いて各印刷機器A〜Hをグルーピングするものとする。また、合計印刷枚数と推奨印刷枚数はそれぞれ、1日当たりの合計印刷枚数(枚/日)と1日当たりに推奨される印刷枚数(枚/日)を用いるものとする。
【0055】
図6は、印刷機器のグルーピングを指示された場合に、図2に示したCPU11が実行するグルーピング処理の手順を示すフローチャートである。なお、この印刷機器のグルーピングの指示は、ユーザがクライアント端末30から図示しないGUIなどを用いて行うことができる。
印刷機器管理装置10において、ユーザにより印刷機器のグルーピングが指示されると、CPU11は、所要のプログラムに従って自動グルーピング計算部27の機能を実行し、図6に示す処理を順に開始する。
【0056】
CPU11はまず、HDD16に蓄積された利用状況情報に含まれる合計印刷枚数を参照して、管理対象の印刷機器A〜Hの合計印刷枚数をそれぞれ取得する(S21)。
そして、CPU11は、ステップS21で取得したそれぞれの印刷機器A〜Hについての合計印刷枚数を、予め算出されている各印刷機器A〜Hの推奨印刷枚数とそれぞれ比較する(S22)。
【0057】
そして、CPU11は、推奨印刷枚数と合計印刷枚数の差の絶対値が所定の基準値以内か否かを判断する(S23)。ここでの処理は、例えば、印刷機器Aについての推奨印刷枚数が110枚、取得した合計印刷枚数が100枚、基準値が20枚だったとすると、推奨印刷枚数と合計印刷枚数の差の絶対値が10枚になり、この場合基準値以内であると判断する。
一方で、例えば印刷機器Fについての推奨印刷枚数が130枚、取得した合計印刷枚数が90枚、基準値が20枚だったとすると、推奨印刷枚数と合計印刷枚数の差の絶対値は40枚になり、基準値以内ではないと判断する。
【0058】
このステップS23の処理において、基準値以内か否か判断することにより、それぞれの印刷機器A〜Hの利用量が適正な範囲内か否かの判断を行っている。
そして、CPU11は、ステップS23において基準値以内と判断した印刷機器については(S23のYes方向)、取得した合計印刷枚数が推奨印刷枚数と同等と判断して、利用量が「適正」のグループにグルーピングする(S24)。上述した例だと、印刷機器Aについては、印刷利用量「適正」にグルーピングされる。
【0059】
一方で、CPU11は、ステップS23において基準値以内ではないと判断された印刷機器については(S23のNo方向)、利用量が適正なものではないものとして、ステップS25に進む。
このステップS25においてCPU11は、印刷利用量が適正なものではないと判断した印刷機器について、合計印刷枚数が推奨印刷枚数より大きいか否か判断する。
【0060】
そして、CPU11は、合計印刷枚数が推奨印刷枚数より大きいと判断した印刷機器については(S25のYes方向)、利用量が「大」のグループにグルーピングする(S26)。一方、合計印刷枚数が推奨印刷枚数より小さいと判断した印刷機器については(S25のNo方向)、利用量が「小」のグループにグルーピングする(S27)。
上述の例だと、印刷機器Fについては、推奨印刷枚数と合計印刷枚数の差の絶対値が40枚であり基準値を超えており、かつ合計印刷枚数90枚が推奨印刷枚数130枚よりも小さいので印刷利用量「小」にグルーピングされる。
【0061】
そして、ステップS24、S26及びS27の後に、全ての印刷機器A〜Hについてグルーピングを行ったか否か判断し(S28)、行っていない場合は(S28のNo方向)、次の印刷機器を処理対象として(S29)、ステップS23乃至27の処理を繰り返して、管理対象の全ての印刷機器A〜Hについてグルーピングを行う。
全ての印刷機器についてグルーピングが終了すると(S28のYes方向)、各印刷機器について利用量を利用状況情報に含まれる情報としてHDD16に蓄積するとともに、グルーピング結果をクライアント端末30のディスプレイに表示させて(S30)、処理を終了する。
【0062】
次に、クライアント端末30のディスプレイに表示される、図6の処理によるグルーピングの結果の一例を図7に示す。
図7は、所定の基準値を20枚とした場合のグルーピング結果を示したものであって、グループ名が印刷利用量「適正」、「大」及び「小」の三つのグループに分けられている。このように表示することで、ユーザに各印刷機器A〜Hの利用量の状況を直感的に把握させることができる。
【0063】
以上説明したグルーピング処理によれば、推奨印刷枚数と、合計印刷枚数とを比較して、各印刷機器A〜Hの利用量を計算し、その利用量に基づいて各印刷機器A〜Hのグルーピングを行い、そのグルーピング結果を図7のような表示結果でユーザに通知することができる。
そして、このことにより、ユーザに対して印刷利用量の少ない印刷機器を優先して使用させるように促すことができる。
【0064】
なお、図7に示したグルーピング表示結果を図5に示したランキング表示結果とあわせて表示するようにするとよい。この場合、図6のグルーピング処理は、図4の推奨処理と同時に行って、図4の推奨処理と並行して図6のグルーピング処理を行うようにする。
このようにランキング表示結果とあわせてグルーピング表示結果を表示することにより、ユーザがランキング表示結果を見ながら、各印刷機器についての利用量も参照することができ、推奨される印刷機器の中で利用量が少ない印刷機器を優先して使用するように促すことができる。例えば、図5のランキング一位の印刷機器Fは、図7から利用量も少ないため、ユーザは印刷機器Fを優先して使用すると考えられる。
【0065】
なお、図7に示したその他機器情報には、性能情報、環境負荷情報又は利用状況情報など任意の情報を表示させることができる。また、合計印刷枚数及び推奨印刷枚数は、1日当たりのものを使用したが、他の期間の合計印刷枚数及び推奨印刷枚数を使用してもよいことはもちろんである。また、利用量の算出方法は、上述のものに代えて、推奨印刷枚数に対する合計印刷枚数の割合を求めるようにしてもよい。
【0066】
〔変形例:図8〕
以上で実施形態の説明を終了するが、この発明において、印刷機器管理装置10の構成、CPU11の具体的な処理内容等が前述した実施形態で説明したものに限られないことはもちろんである。
例えば、CPU11が行う図4に示した推奨処理を図8に示す処理にすることができる。
【0067】
この図8の推奨処理が図4と異なる点は、図4のステップS14と対応するS34において、合計ジョブ数を参照する処理に代えて印刷利用量を参照する点であるため、この異なる点を中心に説明する。
図8の処理において、CPU11はまず、ステップS31乃至S33の処理を順に行って、所望の印刷機能を有し、かつCO排出量が低いものの中で印刷スピードが速い印刷機器をいくつか選択する。
【0068】
そして、その選択した印刷機器を、HDD16に蓄積された利用状況情報に含まれる利用量を参照して、利用量が少ない順にランキングを行い、ランキング上位の印刷機器をいくつか選択する(S34)。
ここで、印刷利用量が少ない順にランキングを行うとは、各印刷機器についての推奨印刷枚数に対して合計印刷枚数が少ない順にランキングを行うことをいう。
【0069】
図7の例だと、印刷利用量「小」の中で推奨印刷枚数に対して合計印刷枚数が最も小さい印刷機器Fが一位にランキングされ、次に印刷機器H、Gといった具合にランキングされる。実際には、ステップS33で選択された印刷機器の中でランキングが行われる。
そして、ステップS34で選択した印刷機器を推奨する印刷機器としてランキング形式でクライアント端末30のディスプレイに表示させて処理を終了する。
【0070】
以上説明した図8の推奨処理によれば、利用状況情報として合計ジョブ数に代えて利用量を参照し、推奨する印刷機器を選択することができる。
そして、このことにより、利用量が少ない(推奨印刷枚数に対して合計印刷枚数が小さい)印刷機器を推奨することができるので、利用量が少ない印刷機器を推奨してユーザに優先的に使用させ、その稼働率を上げることが期待できる。
なお、上記の利用量と、図4の処理で参照した合計ジョブ数との双方を参照してもよいことはもちろんである。
【0071】
なお、図4の推奨処理と図8の別の推奨処理はいずれも、ユーザが印刷指示開始前に印刷機器の推奨を指示した場合に行うものとして説明したが、印刷機器管理装置10がユーザからの印刷指示を受け付けた場合(あるいは、ユーザからの印刷指示をモニタしておき、その印刷指示を検知した場合)に、印刷対象として設定してあるデフォルトの印刷機器と同じ印刷機能をもつもので、よりCO排出量が低いもの又は印刷速度が速いもの又はジョブ数が少ないもの等が他にあれば推奨機能を使用するか否かをクライアント端末30のディスプレイに表示して選択させ、その選択により推奨処理を実行してもよい。
このことにより、ユーザの意思に依存することなく、推奨すべき印刷機器がある場合は必ず印刷指示時に推奨機能を利用するか否か選択させることができるので、推奨機能の利用頻度を高めることができる。
【0072】
また、印刷機器監視部28の監視結果を図4の推奨処理及び図8の別の推奨処理に利用するようにするとよい。例えば、図4のステップS11とS12(対応する図8のS31とS32)との間で、監視結果を利用して複数の印刷機器A〜Hの中から現在待機モードにある印刷機器を選択し、その中でCO排出量が低い順にランキングするようにするとよい。
このことにより、省エネモード又は動作モードにある印刷機器を除外することができるので、省エネモードから動作モードに移行するにあたって必要な大きな消費電力を使用せずに済み、かつ現在動作中であってすぐに印刷することのできない印刷機器を推奨してしまうといった不都合を解消できて、より適切な印刷機器を推奨することができる。
【0073】
また、図4の推奨処理と図8の別の推奨処理はいずれも、印刷に必要な印刷機能を有する印刷機器の中でCO排出量が低い順にランキングを行って、その中でさらに印刷スピードが速い順にランキングを行うといった具合に環境に対する負荷を重視した処理順序となっているが、必ずしもこの順序で行う必要はなく、性能情報と環境負荷情報と利用状況情報のうちどれを優先させて処理させるかという順序を予め設定しておけるようにするとよい。
【0074】
例えば、利用状況が低い印刷機器の稼働率を上げたいと思っているユーザは、CO排出量よりも利用状況を重視すると考えられる。そこで、利用状況情報を優先させるような処理順序を行うと、印刷に必要な印刷機能を有する印刷機器の中で利用状況が低い順にランキングを行って、その中でさらに印刷スピードあるいはCO排出量が低い順にランキングを行うことができる。
このため、処理順序を予め設定できるようにしておくことで、CO排出量が低い印刷機器の中からのみ利用状況が低い印刷機器を選択することを避けることができる。
【0075】
また、この発明によるプログラムは、コンピュータに、上述した印刷機器管理装置10の行う印刷機器の推奨機能を実現させるためのプログラムであり、このようなプログラムをコンピュータに実行させることにより、上述したような効果を得ることができる。
【0076】
このようなプログラムは、はじめからコンピュータに備えるROMあるいはHDD等の記憶手段に格納しておいてもよいが、記録媒体であるCD−ROMあるいはフレキシブルディスク、SRAM、EEPROM、メモリカード等の不揮発性記録媒体(メモリ)に記録して提供することもできる。そのメモリに記録されたプログラムをコンピュータにインストールしてCPUに実行させるか、CPUにそのメモリからこのプログラムを読み出して実行させることにより、上述した推奨機能を実行させることができる。
【0077】
さらに、ネットワークに接続され、プログラムを記録した記録媒体を備える外部機器あるいはプログラムを記憶手段に記憶した外部機器からダウンロードして実行させることも可能である。
また、以上説明してきた実施形態及び変形例は、矛盾しない範囲で適宜組み合わせて実施することもできる。
【符号の説明】
【0078】
10:印刷機器管理装置、11:CPU、12:ROM、13:RAM、14:I/Oポート、15:通信I/F、16:HDD、17:記憶媒体ドライブ、18:記憶媒体、21:性能情報取得部、22:環境負荷情報取得部、23:利用状況情報取得部、24:蓄積部、25:印刷機器推奨部、26:推奨利用量計算部、27:自動グルーピング計算部、28:印刷機器監視部、30,40:クライアント端末、A〜H:印刷機器
【先行技術文献】
【特許文献】
【0079】
【特許文献1】特開2009−169764号公報
【特許文献2】特開2009−193178号公報
【特許文献3】特開2010−218245号公報
【特許文献4】特開2010−218418号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続された複数の印刷機器を管理する印刷機器管理装置であって、
前記複数の印刷機器それぞれについて、該印刷機器が備える印刷機能を示す情報と前記印刷機器の単位時間当たりの印刷可能枚数とを少なくとも含む性能情報を取得する性能情報取得手段と、
前記複数の印刷機器それぞれについて、環境に対して与える負荷の指標となる、前記性能情報とは異なる環境負荷情報を取得する環境負荷情報取得手段と、
前記複数の印刷機器それぞれの利用状況を示す利用状況情報を取得する利用状況情報取得手段と、
前記性能情報取得手段が取得した前記性能情報と前記環境負荷情報取得手段が取得した前記環境負荷情報と前記利用状況情報取得手段が取得した前記利用状況情報とをそれぞれ、前記複数の印刷機器毎に対応付けて記憶手段に蓄積する蓄積手段と、
前記記憶手段に蓄積された前記性能情報と前記環境負荷情報と前記利用状況情報とを参照して、推奨する印刷機器を選択し、該選択した印刷機器をユーザに通知する印刷機器推奨手段とを備えたことを特徴とする印刷機器管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷機器管理装置であって、
前記印刷機器推奨手段は、予め指定された印刷設定内容と、前記記憶手段に蓄積された前記性能情報とに基づき、該指定された印刷設定内容に係る印刷を実行可能な印刷機器を抽出し、該抽出した印刷機器の中から前記推奨する印刷機器を選択することを特徴とする印刷機器管理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷機器管理装置であって、
前記印刷設定内容は、外部装置から受信した印刷要求に付された印刷設定内容であることを特徴とする印刷機器管理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の印刷機器管理装置であって、
前記印刷機器推奨手段が、
前記推奨する印刷機器に推奨の度合いを示すランクを付し、該ランクが一位の印刷機器を自動的に選択して、該選択した印刷機器に印刷実行させる手段を備えることを特徴とする印刷機器管理装置。
【請求項5】
コンピュータを、ネットワークに接続された複数の印刷機器を管理する印刷機器管理装置として機能させるためのプログラムであって、
該コンピュータを、
前記複数の印刷機器それぞれについて、該印刷機器が備える印刷機能を示す情報と前記印刷機器の単位時間当たりの印刷可能枚数とを少なくとも含む性能情報を取得する性能情報取得手段と、
前記複数の印刷機器それぞれについて、環境に対して与える負荷の指標となる、前記性能情報とは異なる環境負荷情報を取得する環境負荷情報取得手段と、
前記複数の印刷機器それぞれの利用状況を示す利用状況情報を取得する利用状況情報取得手段と、
前記性能情報取得手段が取得した前記性能情報と前記環境負荷情報取得手段が取得した前記環境負荷情報と前記利用状況情報取得手段が取得した前記利用状況情報とをそれぞれ、前記複数の印刷機器毎に対応付けて記憶手段に蓄積する蓄積手段と、
前記記憶手段に蓄積された前記性能情報と前記環境負荷情報と前記利用状況情報とを参照して、推奨する印刷機器を選択し、該選択した印刷機器をユーザに通知する印刷機器推奨手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−20374(P2013−20374A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152117(P2011−152117)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】