説明

印刷版の接着用の感圧接着テープ

【課題】柔軟な印刷版(実質的に“鉛版”とも称する)を貼り付けるために卓越的に適する感圧接着剤及び接着テープの提供。
【解決手段】A.A1)60〜90重量%の、a)5〜25重量%の、少なくとも1つのカルボキシル基を有する、ホモポリマーのガラス転位温度が少なくとも0℃であるようなエチレン性不飽和結合を持つ1種類以上の化合物、b)75〜95重量%の、相応するホモポリマーのガラス転位温度が−20℃より高いアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルをベースとするポリマー成分、A2)10〜40重量%の少なくとも100℃の軟化点を持つ少なくとも1種類の樹脂成分よりなる感圧接着剤とB.少なくとも1種類の二官能性又は多官能性架橋剤とを含む組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感圧接着剤を製造するための組成物、相応する感圧接着剤並びにこの感圧接着剤を塗布した両面接着テープ、特に印刷版の接着用の両面接着テープに関し、該感圧接着剤は極性の表面で非常に低い剥離挙動を示し、容易に位置変更可能であり、そして圧胴に貼り付けた後に印刷版、及び接着テープと印刷版との複合体の辺縁部の持ち上がりが少ない。
【背景技術】
【0002】
印刷工業において、印刷見本によりモチーフを例えば紙に複写するために色々な方法が公知である。一つの可能な方法はいわゆるフレキソ印刷を本質とする。フレキソ印刷の一つの実施形態は、柔軟性のある基体を持つ多層感光性樹脂印刷版を次々に使用しており。この種類の印刷は久しい以前から従来技術に属している。この場合、印刷版は特定の機能を持つ種々のポリマー材料の複数の層で構成されている。例えばFlintGroup社の“nyloflex ACE”印刷版は二つの層、すなわち、感光性レリーフ層及びそれの下の安定化フィルムを有している。
【0003】
フレキソ印刷法では柔軟性のある印刷版が圧胴の上に貼り付けられる。この貼り付けのために一般に、非常に厳しい要求が設定された両面感圧接着テープが使用される。印刷法にとって感圧接着テープは特定の堅さも一定の弾性も有していなければならない。これらの性質は、得られる印刷像が要求に従って所望の結果をもたらすために非常に正確に調整しなければならない。感圧接着剤には、ここでも接着力が同様に十分であるべきであり、従って印刷版が両面感圧接着テープから又は感圧接着テープが胴から剥がれないような接着力が同様に十分にあるべきなので、更に厳しい要求が感圧接着剤に求められている。このことは40〜60℃の高い温度及び早い印刷速度でも当てはまる。これらの性質の他に感圧接着剤は、印刷版が何度も貼り付けられそして位置変更するために剥がさなければならないので、可逆的な感圧接着特定も有していなければならない。この剥離性は長期間(6ケ月まで)にわたって貼り付ける場合にも付与されるべきである。さらに、印刷版は何度も使用されるので、感圧接着テープ及び特に印刷版が破損されることなく、すなわち、大きな力を必要とすることなく除去できることが望ましい。さらに、印刷版及び胴の上に残留物が残るべきでない。従って、総括すれば、この用途に適する両面感圧接着テープは非常に厳しい要求をされている。
【0004】
米国特許第4,380,956A号明細書には、フレキソ印刷法のために印刷版を固定する方法が開示されている。この方法のためには、感圧接着剤も使用されるが、詳細な説明がされていない。
【0005】
英国特許第1,533,431A号明細書では、壊れ易い気泡によって発泡されているエラストマー層を有する両面感圧接着テープが請求されている。該気泡は加圧下にフレキソ印刷で使用している間に押しつぶされてしまう。
【0006】
米国特許第4,574,697A明細書では、支持体として、PET(ポリエチレンテレフタレート)−フィルムに固定されている柔軟性のあるポリウレタンフォームを持つ両面感圧接着テープが請求されている。外側層は感圧接着剤よりなる。
【0007】
上記の感圧接着テープは両面タイプであり、圧胴及び印刷版から除去可能である。同様の製品構造がヨーロッパ特許出願公開第0,206,760A号明細書に記載されている。この場合には柔軟性のある発泡体支持体としてポリエチレン発泡体が使用されている。
【0008】
米国特許第4,574,712A号明細書には、米国特許第4,574,697A号明細書と同様に、同様の感圧接着剤テープ構造が記載されている。感圧接着剤に関して、この場合には、印刷版及び圧胴への接着力が支持体フィルム及び支持体発泡体に対してよりも小さくあるべきであるという制限が設けられている。
【0009】
米国特許第3,983,287A号明細書には、支持体材料として非圧縮性のエラストマーを含有する積層体が記載されている。この圧縮性は圧縮下に崩壊しそしてそれ故に柔軟性を発生させるビーズによって達成される。
【0010】
米国特許第5,613,942A号明細書には、湿った表面に貼り付けるのに特に適する感圧接着テープが記載されている。このような感圧接着テープが印刷版の貼り付けに適していることも記載されている。
【0011】
米国特許第5,476,712A号明細書にも同様に、フレキソ印刷法で使用される両面感圧接着テープが記載されている。この感圧接着テープも熱可塑性エラストマーを含有しており、この場合には、膨張性の微細粒子によって発生するセル状構造が存在している。
【0012】
ヨーロッパ特許出願公開第1,590,383A号明細書には、印刷版を貼り付ける感圧接着テープ及びそれの製造方法が開示されている。この発明は、感圧接着テープ、及び印刷版を貼り付けるための感圧接着剤の製造方法に関し、その際に、感圧接着剤が極性表面上での剥離挙動が非常に小さく、圧胴に貼り付けた後に印刷版、及び版据付テープと印刷版との複合体の辺縁部の持ち上がりが非常に僅かであるべきである。
【0013】
上記の場合には非常に沢山の種々の感圧接着剤が使用される。天然ゴム接着剤は良好な粘着性を有しているが、室温では強い剪断強度がなくポリマー中に存在する二重結合の崩壊の結果として老化する。
【0014】
SIS又はSEBSをベースとする感圧接着剤は一般に非常に柔らかく、粘着性がありそして高温でも軟質化する傾向がある。印刷版を圧胴にSIS又はSEBS含有の感圧接着剤を用いて応力負荷下に貼り付けた場合には、印刷版が、接着力が高いにもかかわらず剥離する傾向がある。
【0015】
これに対してアクリレート感圧接着剤は印刷版を圧胴の上に貼り付けるのにより適しているが、製造過程において被覆後に架橋させなければならない。さらにこの感圧接着剤は沢山のエステル基及びそれから生じる極性によって高い剥離力増加傾向がある。
【0016】
結果として印刷版は非常に高い力を負荷しなければ除去できない。さらに、この接着剤は僅かな堅さを有しており、それ故に印刷版は圧胴に貼り付けた後、長期間にわたって辺縁部が持ち上がない傾向を有するべきである。
【0017】
辺縁部の持ち上がりという現象は市場で入手できる殆ど全ての印刷版用貼り付けテープで知られている問題であり、柔軟性のある印刷版が圧胴に貼り付け(及びその際に必ず生じる変形)の後で平面領域で跳ね返る傾向を有する事実に由来する。辺縁部の持ち上がり傾向は、中でも胴の直径、印刷版の厚さ及びそれの性状、薄く、かつ、弾性力の小さい印刷に使用されない印刷版縁部、(刷版を全面で押し付ける、印刷版が最も高い弾性力を一般に有している)版縁部の所の印刷設計、胴に取り付ける前の印刷版の裏側の掃除、貼り付けるときの版の押し付け及び別のパラメータに依存している。
【0018】
沢山の印刷版を同時に使用する場合には、通例のシームレスに貼り付けられた印刷版同志の間の隙間ヘの要求が常に非常に大きく、特に変わり目が視認できない大型印刷を行う場合にそうである。フレキソ印刷(要するに印刷版による印刷)は、例えばグラビア印刷の様な他の方法とますます競合しており、上述の要求が重要になっている。前記隙間が(印刷物にとって視認できない程に)常に小さくなければならないという事実の他に、印刷されない縁部をそのままに置いておく可能性がもはや存在しない。
【0019】
印刷者は現在この問題を2つ以上の作業段階で印刷行程を実施することによって征服することを試みている。しかしこれは著しく不便で追加的な費用を伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
それ故に本発明の課題は、柔軟な印刷版(実質的に“鉛版”とも称する)を貼り付けるために卓越的に適する感圧接着剤を提供し並びにかゝる感圧接着剤を有する感圧接着テープを提供することであり、その結果柔軟な印刷版をこの様な感圧接着テープで圧胴に貼り付ける場合に、僅かに高い温度の下で長期間保存した後にも辺縁部の持ち上がりがないか又は少なくとも著しく減少している、再び容易に剥離されそして理想的にも良好な位置変更が可能である接着テープを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この課題は驚くべきことに、かつ、当業者に予期できなかったことに、請求項1に記載するような組成物によって得られる感圧接着剤で解決される。別の請求項はこのような感圧接着剤、このような感圧接着剤を有する感圧接着テープ、本発明を更に発展させた技術、並びに所定の目的のために使用するための接着テープのための本発明の感圧接着剤の用途を包含する。
【0022】
従って請求項1は、
A.
A1)60〜90重量%の
a)5〜25重量%(ポリマー成分を基準として)の少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を持つ1種類以上の化合物;このモノマーは相応するホモポリマーのガラス転位温度Tが少なくとも0℃であるように選択し、少なくとも一つのエチレン性不飽和結合を持つ該化合物の一部が更に少なくとも1つのカルボキシル基を有している;
b)75〜95重量%(ポリマー成分を基準として)のアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステル;これらエステルは、相応するホモポリマーのガラス転位温度Tが−20℃より高くないように選択される;
をベースとするポリマー成分
A2)10〜40重量%の少なくとも100℃の軟化点を持つ少なくとも1種類の樹脂成分よりなる感圧接着剤と
【0023】
B.少なくとも1種類の二官能性又は多官能性架橋剤
とを含む、架橋した感圧接着剤を製造するための組成物において、
少なくとも1種類の架橋剤を、架橋剤の架橋活性中心の物質量nとポリマー成分A1の巨大分子の理論的物質量nとの量比V=n/nが1.5〜2.5の間の値をとるような量で添加し、
架橋剤の架橋活性中心の物質量nが、架橋剤の分子当たりの架橋活性中心の数fを乗じそして架橋剤のモル質量Mによって割った架橋剤質量mから得られ、すなわち、n=f×m/M
そしてポリマー成分A1の巨大分子の理論的物質量nが感圧接着剤中のポリマー成分の質量mから,これら成分の数平均分子量Mn,Pによって割って得られる、すなわち、n=m/Mn,Pことを特徴とする、上記組成物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】は本発明の特に有利な一つの実施態様の製品構造を図示している。
【図2】は圧胴に印刷版を接着テープで貼り付けた状態を図示している。
【符号の説明】
【0025】
1・・・感光性樹脂層
2・・・PETフィルム
3・・・版を繋留するための感圧接着剤
4・・・PET−フィルム(5)の粗面化された上面
5・・・ポリエチレンテレフタレート(PET)よりなるフィルム
6・・・PETフィルム(5)の粗面化された下面
7・・・ポリエチレンテレフタレート(PET)よりなるフィルム(5)上の発泡支持体(8)を繋留するための感圧接着剤
8・・・発泡支持体
9・・・圧胴上に貼り付けるための感圧接着剤。
10・・・印刷版、
11・・・圧胴、
12・・・接着テープ、
L・・・印刷版の持ち上がった長さ
【発明を実施するための形態】
【0026】
架橋剤としては、共役、イオン又は配位結合を形成し得る化合物から選択するのが特に有利である。非常に有利な一つの実施形態においては化学線の供給なしに結合を形成することができる。架橋剤の官能性とは反応性架橋の場合に、架橋条件のもとでポリマー分子に共役結合を形成し得る官能基(例えばイソシアネート中のNCO基)の数fを意味する。金属キレート(例えば3つの配位部を持つアルミニウム−(III)−アセチルアセトナート)をベースとする架橋剤の場合には、数fは架橋条件の下で、一つのポリマー分子への(特別な配位)結合を構成し得る使用可能な配位部を意味する。
【0027】
ガラス温度は準静的方法、例えば示差操作熱量測定(DSC)の結果として示す。
【0028】
軟化点はDIN EN1427:2007と同様にして、歴青の代わりに試験用樹脂を用いて報告した。150℃を超える軟化温度については、該説明書の操作8.1b)を同様に使用した。
【0029】
この組成物を架橋させることによって、柔軟な印刷版を圧胴又は印刷スリーブ(“スリーブ”)の上に貼り付けるために使用するのに卓越的に適する感圧接着剤が得られる。この感圧接着剤は、特に、この使用目的で使用するべき両面接着テープの少なくとも片面に塗布することによって使用される。この場合、架橋は架橋剤が有利には完全に反応するまで行うべきであり、特に少なくとも80%の架橋剤転化率、更に好ましくは少なくとも90%の架橋剤転化率まで行う。
【0030】
架橋剤(成分b)としては本発明に従って金属キレート、例えばアルミニウム−又はチタンキレート、多官能性イソシアネート、多官能性アミン、多官能性アルコール又は多官能性エポキシドが明らかに適している。
【0031】
有利に使用される架橋剤の初期質量mは、ポリマー成分の初期質量m及びその数平均分子量Mn,Pから、挿入される相応規定数値によって次のように決められる:

【0032】
架橋した感圧接着剤では、特に架橋反応が十分に完全な転化を達成するまで実施する場合には、ポリマー成分の巨大分子当たり平均1.5〜2.5の架橋位置に相当する架橋密度が近似換算でもたらされる。
【0033】
本発明によれば複数の架橋剤を使用してもよい。複数の架橋剤、特に異なる官能性の複数の架橋剤を使用する場合には、比Vについて請求項1に記載の規定を適用しなければならない:
V=n/n
[式中、nは架橋活性中心の、全ての架橋剤の総和の物質質量である:n=f×mv.1/Mv.1+f×mv.2/Mv.2・・・。ただし指数1は第一の架橋剤の値を意味し、2は第二の架橋剤のそれを意味し、・・・]
相応するホモポリマーのガラス転位温度Tが少なくとも0℃であるように選択される、少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を持つ成分A1)a)のモノマーとしては、成分A1)b)と共重合することができそして相応するガラス転位温度条件を満足するあらゆるビニル官能化化合物を使用することができる。このものは特に得られる感圧接着剤の性質を調整するためにも役立ち得る。
【0034】
成分A1)a)のモノマーを以下に例示する:メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、第二ブチルアクリレート、第三ブチルアクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、第三ブチルフェニルアクリレート、第三ブチルフェニルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、n−ウンデシルアクリレート、ステアリルアクリレート、トリデシルアクリレート、ベヘニルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロペンチルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアクリレート、3,5−ジメチルアダマンチルアクリレート、4−クミルフェニルメタクリレート、シアノエチルアクリレート、シアノエチルメタクリレート、4−ビフェニルアクリレート、4−ビフェニルメタクリレート、2−ナフチルアクリレート、2−ナフチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、3−メトキシアクリル酸メチルエステル、3−メトキシブチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、ブチルジグリコールメタクリレート、ブチルジグリコールメタクリレート、エチレングリコールアクリレート、エチレングリコールモノメチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート350、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート500、プロピレングリコールモノメタクリレート、ブトキシジエチレングリコールメタクリレート、エトキシトリエチレングリコールメタクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルアクリレート、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N−(1−メチルウンデシル)アクリルアミド、N−(n−ブトキシメチル)アクリルアミド、N−(ブトキシメチル)メタクリルアミド、N−(エトキシメチル)アクリルアミド、N−(n−オクタデシル)アクリルアミド、更にN,N−ジアルキル置換アミド類、例えばN,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−第三ブチルアクリアミド、N−第三オクチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、アクリルニトリル、メタクリルニトリル、ビニルエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、エチルビニルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルエステル類、例えば酢酸ビニル、塩化ビニル、ビニルヘロゲニド、ビニリデンクロライド、ビニリデンハロゲニド、ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−ビニルフタルイミド、N−ビニルラクタム、N−ビニルピロリドン、スチレン、α−及びβ−メチルスチレン、α−ブチルスチレン、4−n−ブチルスチレン、4−n−ブチルスチレン、4−n−デシルスチレン、3,4−ジメトキシスチレン、巨大モノマー、例えば2−ポリスチレンエチルメタクリレート(分子量M:4000〜13,000g/mol)、ポリ(メチルメタクリレート)エチルメタクリレート(分子量M:2,000〜8,000g/mol)。
【0035】
相応するホモポリマーのガラス転位温度Tが少なくとも0℃でありそして少なくとも1つのカルボキシル基を持つように選択される、少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を持つ成分A1)a)のモノマーは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を含む群から選択するのが有利である。この場合、アクリル酸を使用するのが特に有利である。
【0036】
成分A1)b)のアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルの意味のモノマーは特に可塑性及び/又は非極性モノマーである。
【0037】
この種類のモノマーでは、4〜14個の炭素原子、特に4〜9個の炭素原子を持つアルキル基を持つアクリル酸及びメタクリル酸エステルを包含するアクリルモノマーを使用するのが有利である。この種類のモノマーの例には、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ペンチルメタクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、n−ヘプチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルオクリレート、イソブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタクリレート、及びそれらの分岐異性体、例えば2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートがある。
【0038】
本発明の感圧接着剤のポリマー成分は有利には約30,000〜約600,000g/mol、特に40,000〜400,000g/mol、中でも50,000〜300,000g/molの数平均分子量を有している。
【0039】
この明細書において数平均分子量Mn,P及び多分散性PDはゲルパーミッションクロマトグラフィー(実験部分参照)によって測定している。
【0040】
本発明に従う感圧接着剤及び従ってそれを製造するための組成(架橋前)には本発明に従って少なくとも1種類の粘着樹脂(成分A2)が混入されている。原則として、ポリマー成分中に溶解する、軟化温度が上述の通り少なくとも100℃であるあらゆる樹脂が使用される。適する粘着樹脂は、幾つか挙げれば、中でもコロホニウム又はコロホニウム誘導体(コロホニウムエステル、例えば不均化又は水素化によって安定化されたコロホニウム誘導体、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、脂肪族、芳香族及び脂肪−芳香族炭化水素樹脂が包含されるポリマーと有利にも相容性のある樹脂を選択するのが有利である。
【0041】
場合によっては感圧接着剤に添加物、例えば可塑剤、充填剤(例えば繊維、カーボンブラック、酸化亜鉛、二酸化チタン、チョーク、中空又は中実ガラスビーズ、他の材料よりなる微小ビーズ、珪酸、珪酸塩)、核形成剤、発泡剤、配合剤及び/又は老化防止剤、例えば第一及び第二酸化剤又は光安定剤の状態のものを添加してもよい。
【0042】
本発明の感圧接着剤系は前述の要求プロフィールを満足しそして特に以下の長所を有していることに特徴がある:
− 感圧接着テープの複数回の再使用性(位置変更性)
− 両面での異なる面への使用
− 基体から満足に残留物なく剥離可能
− 極性の表面でも低い剥離挙動
− 圧胴に貼り付けた後に辺縁部の持ち上がりが低減されているか或いはない。
【0043】
感圧接着剤は使用温度より下にあるガラス転位温度Tを有している。この場合、使用温度は特に印刷工業の要求によって導き出され、特に感圧接着剤は室温よりも低いガラス転位温度Tを有している。前述の及び更に以下で言及する内容に従ってポリマーのガラス転位温度Tを達成するために、モノマーを、Foxの式(T. G. Fox, Bull. Am. Phys. Soc. 1 (1956) 123参照)に類似する以下の式に従ってポリマーについて所望のガラス転移温度Tを得るように選択しそしてモノマー混合物の量組成を有利に選択する。

【0044】
式中、nは使用するモノマーについての順番の番号であり、Wはそれぞれのモノマーnの質量割合(重量%)でありそしてTG,nはそれぞれのモノマーnよりなるホモポリマーのそれぞれのガラス転移温度(K)である。
【0045】
別の有利な特徴は、ポリマー鎖が非常に有利にもグラフトポリマーとして分岐した状態で存在することである。
【0046】
ポリマー成分のポリマーは特に有利には二段階法で製造される。
【0047】
この方法は、基礎となるモノマーを含むモノマー混合物の重合(ポリマー成分A1)及びε<5及びε<10のグラフト活性を有する少なくとも2種類の熱分解性開始剤の使用下に製造するための重合法を包含し、その際にε<5で最初に線重合を行いそして次にε<10でグラフト重合体を製造する。続く段階において、架橋剤の添加下に架橋反応を前述の量で実施するのが有利である。
【0048】
本発明の共重合体を製造するためには、原則としてあらゆるラジカル重合又はラジカル制御重合を使用することができるし、種々の重合法の組合せも使用することができる。慣用の遊離ラジカル重合の他に例えば、この出願で請求するものではないが、ATRP、酸化窒素/TEMPO−制御された重合又はRAFT法も挙げることができる。特に鎖長又はポリマー構造を制御することを可能とするRAFT法も有利である。
【0049】
遊離ラジカル重合のためのラジカル開始剤としてはアクリレートについてのこの目的で知られる慣用のあらゆる開始剤を使用することが可能である。
【0050】
C中心ラジカルの生成はHouben Weyl,“有機化学の方法”、第E19a巻、第60〜147頁に記載されている。この方法は同様に使用することができる。ラジカル源の例には過酸化物、ヒドロペルオキシド及びアゾ化合物があり、代表的なラジカリ開始剤の幾つかの非排他的例としてはペルオキソ二硫酸カリウム、ジベンゾイルペルオキシド、クモールヒドロペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、ジ第三ブチルペルオキシド、アゾジイソ酸ブチロニトリル、シクロヘキシルスルホニルアセチルペルオキシド、ジイソプロピルペルカルボナート、第三ブチルペルオクトエート、ベンズピナコールがある。非常に遊離な一つの辺法においては開始剤は多段階で添加し、その結果転化率が90%以上に高められる。ポリマー中に残留する残留モノマー含有量は10重量%以下に低下し得る。すなわち、僅かの残留モノマー含有量によって、圧胴に貼り付けるためのポリアクリレートの接着技術的性質が著しく改善される。
【0051】
この場合に、初めに使用される開始剤は、ポリマー中で側鎖を形成する傾向が小さく、そのグラフト活性が開始剤を転化するときの反応混合物の温度においてε<5の値より下にあるように選択するのが有利である。
【0052】
絶対グラフト活性(架橋効率)が100モル単位の分解開始剤当たりの化学的側鎖形成数として規定される。van Drumpt 及びOosterwijk [Journal of Polymer Science, Polymer Chemistry Edition 14 (1976) 1495 - 1511] と同様にこれらの数値は、開始剤の規定された溶液中の二量体の測定によって特定される(ドイツ特許出願公開第4,340,297A1号明細書参照)。
【0053】
開始剤の正確に0.1モルの溶液をHe雰囲気でn−ペンタデカン中で分解する。反応時間は、選択された温度で与えられる各開始剤の半減期の10倍に相当するように選択する。それによって開始剤の実質的に完全な崩壊が保証される。次いで生じる二量体のペンタデカンの割合はGLCによって測定する。百分率割合εはグラフト活性の目安として記録される。一般に反応温度は、その温度で試験する開始剤の半減期が15分であるように選択する。
【0054】
グラフト活性のための高いε値は重合の際に側鎖を形成する高い開始剤傾向を意味しており、これに対して小さいε値は特に線状ポリマーをもたらす。
【0055】
この方法の特に有利な一つの実施形態においては、方法経過を次の様に見る:
− 反応溶液として少なくとも50%のモノマー溶液をε<5の値の開始剤の添加下に使用し、
− 50℃〜90℃の温度範囲内でラジカル重合を実施し、
− 該重合の間に少なくとも一度、側鎖形成傾向の小さいラジカル重合用開始剤(実際の反応温度でε<5のグラフト活性)で再活性化し、
− 場合によっては反応を、ポリマーの粘度次第で反応溶液を希釈することによって制御し、
− モノマー混合物を基準として2重量%までの、側鎖形成傾向の高い開始剤(実際の反応温度でε>10のグラフト活性)を用いて、制御された再活性化を行い、
− その際に重合は>90%、特に>95%の転化率まで実施される。
【0056】
低いε値(ε<5)の特に有利な開始剤は、その低いエネルギー含有量のためにラジカルをポリマー鎖の所での水素引抜きが生じないか又は稀にしか水素引抜きが生じない。例にはアゾ開始剤、例えばアゾイソ酪酸ジニトリル又はそれの誘導体、例えば2,2−アゾビス−(2−メチル−ブチロニトリル) (Vazo67(R)、製造元: DuPont)を使用するのが有利である。
【0057】
高い側鎖形成傾向を持つ開始剤(>10の比較的に高いε値)は比較的に低い温度で高いグラフト収率をもたらす。ここではビス−(4−第三ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカルボナート(Perkadox 16(R)、製造元: Akzo Chemie)、ジベンゾイルペルオキシド又はこれらの類似物を使用するのが特に有利である。
【0058】
重合は有機溶剤の存在した又は水の存在した又は有機溶剤及び/又は水の混合物中で実施することができる。重合用溶剤としてはラジカル重合にとって通例に使用されるか又は適するあらゆる溶剤を使用することができ、特にアセトン、酢酸エステル、ベンジン、トルエン又はこれらの溶剤の任意の混合物が特に適する。
【0059】
できるだけ僅かの溶剤を使用するのが特に有利である。重合時間は転化率、温度及び開始作用次第で6〜48時間である。
【0060】
更に本発明は、印刷版、特に多層感光性ポリマー印刷版を圧胴又は印刷スリーブ(スリーブ)に固定するための、両面接着性に仕上げられた接着テープにも関する。
【0061】
本発明の感圧接着テープの一つの有利な実施態様においては、該感圧接着テープが支持体層及び該支持体層の両面の各々の一つの感圧接着剤層で構成されている。
【0062】
特に本発明の接着テープの支持体は、発泡体、又は複数のフィルム、複数の発泡体よりなるか又は少なくとも1つのフィルム及び少なくとも1つの発泡体よりなる複合体であり、該支持体又は複合体には両面に粘着性被覆物が塗布されており、印刷版に面する側には本発明の感圧接着剤が塗工されている。両方の感圧接着剤層のために本発明の感圧接着剤を有利に使用することができる。
【0063】
本発明によれば、発泡した支持体、該発泡した支持体の片面上のポリマーフィルム並びに接着テープの両面上の感圧接着剤のそれぞれの層を有する両面接着テープが適している。この場合、外側の感圧接着剤層の少なくとも1つには本発明の架橋した感圧接着剤が存在するが、両方の感圧接着剤層が本発明に従う感圧接着剤であるのが特に有利である。
【0064】
少なくとも1枚のフィルム及び少なくとも1つの発泡した材料(“発泡体”)よりなる複合体が支持体として使用される場合には、この支持体は有利な実施態様においては接着剤によって積層されていて、従って支持体複合体を形成していてもよい。別の実施態様においては、これらの層はヒートシールによって互いに接合されていてもよい。しかしながら、該支持体複合体を製造するためには、二つの層、特にポリマー特性の層を面接合する他の公知の方法も使用することができる。
【0065】
圧胴に向いた感圧接着テープの面の上に本発明の感圧接着剤を使用するのが有利であり得るが、原則として当業者に知られる他の感圧接着剤も使用することができる。例えばゴムベースの感圧接着剤、合成ゴムベースの感圧接着剤、ポリシリコーン、ポリウレタン、ポリオレフィン又はポリアクリレートをベースとする感圧接着剤が適する。
【0066】
フィルム支持体としては当業者に熟知される材料を使用することができる。特にポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、二軸配向されたポリプロピレン(BOPP)、ポリ塩化ビニル等が使用できる。これらの例示は本願発明を制限するものではない。ポリエチレンテレフタレートよりなるフィルムを使用するのが特に有利である。
【0067】
発泡支持体としては、ポリマー発泡体が特に有利に適し、支持体発泡体は例えばポリオレフィン類、特にポリエチレン又はポリプロピレンよりなるか、ポリウレタンよりなるか又はポリ塩化ビニルよりなる。
【0068】
発泡体を支持体材料として使用する場合には、発泡した支持体の少なくとも片面に更に少なくとも1種類の安定性支持体をもたらし、前述のように説明した支持体複合物を形成するのが特に有利である。該安定性支持体は特に紙又はフィルムであってもよく、特にポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、二軸配向されたポリプロピレン又はポリ塩化ビニルよりなるフィルムが有利である。
【0069】
有利には発泡体支持体の両面に安定性支持体を設けてもよい。
【0070】
一般に支持体材料の粗面化によって感圧接着剤の繋留性を改善するのが有利である。粗面化及びポリマー構造の化学的変性法は支持体材料の湿式化学的エッチングによって行う。該エッチングの他に別の方法でも予備処理することができる。
【0071】
支持体材料は繋留性を改善するために物理的及び化学的に前処理する。物理的処理のためには、フィルムを火炎又はコロナ又はプラズマで処理するのが有利である。化学的前処理のためには、支持体材料にプライマーを塗布する。この場合、特に有利な実施態様においては、反応性プライマーを用いる。プライマー材料としては例えば反応性プライマーが適している。
【0072】
印刷版を貼り付けるために両面感圧接着テープを使用するためには、該感圧接着テープは本発明の特に有利な実施態様においては図1の製品構造を有している。
【0073】
PETフィルム(2)及び感光性樹脂の層(1)で構成される接着テープを印刷版の貼り付けに使用する。
【0074】
層3〜9は発泡した支持体(8)によって圧縮可能で弾性のある、両面接着性版貼り付けテープを形成する。
【0075】
接着テープは、版が接合される側から始まって以下の個々のセクションで構成されている:
3・・・版を繋留するための感圧接着剤
4・・・PET−フィルム(5)の粗面化された上面
5・・・ポリエチレンテレフタレート(PET)よりなるフィルム
6・・・PETフィルム(5)の粗面化された下面
7・・・ポリエチレンテレフタレート(PET)よりなるフィルム(5)上の発泡支持体(8)を繋留するための感圧接着剤
8・・・発泡支持体
9・・・圧胴上に貼り付けるための感圧接着剤。
【0076】
正に印刷工業においては、ここで使用された接着テープが高い柔軟性を有しており、それ故にその厚みが、圧力を負荷したときにある程度変化することができ或いは負荷を除いたときに再び元の状態に戻ることができることが重要である。
【0077】
さらに、発泡した支持体(8)がポリオレフィン、ポリ塩化ビニル(PVC)又はポリウレタ(PU)よりなる場合が有利である。特に有利な一つの実施態様においては発泡加工されたポリエチレン及びポリプロピレンを使用する。さらに、発泡加工された支持体の表面を物理的な前処理、特にコロナ放電処理するのが有利である。
【0078】
さらに、ポリエチレンテレフタレート(PET)よりなるフィルムが5μm〜500μm、特に5μm〜60μmの厚さを有するのが有利である。
【0079】
さらに、本発明の接着テープは片面又は両面に紙又は適当なフィルムよりなる被覆を備えている。特に、長期間の保存及び使用する間の取り扱いを有利に保証するために、両面をシリコーン加工された紙又は両面をシリコーン加工されたフィルム又はシリコーンフィルムを備えているのが有利である。
【0080】
それの特別な性質のための、有利な両面接着性に作製された本発明の接着テープは印刷版、特に感光性樹脂印刷版を圧胴又はスリーブに固定するために使用される。
【0081】
本発明の接着テープはその特別な構造のために特に印刷版を圧胴に接合するのに適する接着力を有している。一方においては印刷版を印刷前に何度も位置変更することを可能とし、もう一方において印刷行程の間、版をしっかり接合することを保証する。
【0082】
本発明の感圧接着剤を塗工した感圧接着テープで貼り付けた印刷版は、該感圧接着テープから、何らの損傷もなく、特に残留物なしにも除かれる。
【0083】
版の支持体層の剥離又は除く間に版の不所望のしわの形成がない。圧胴から接着テープを除いた後にも残留物が残らない。
【0084】
本発明の感圧接着剤は、厚く柔軟性のある印刷版(≧1.7mmの厚さ、特に>2mmの厚さ)を特に貼り付けるために使用する接着テープを製造するのに特に良好に適している。印刷版を貼り付けるための従来技術の接着テープに比較して、ここでは明らかに良好な性質、特に辺縁部の持ち上がりに関して確認できる。もちろん、この性質は薄い印刷版についても優れている。
実験:
数平均分子量の測定:
この明細書における数平均分子量Mn,Pの表示及び多分散性PDはゲルパーミッションクロマトグラフィーにより測定した値である。この測定は、100μLの澄明に濾過された試料(試料濃度:4g/L)について行った。溶離剤としては0.1容量%のトリフルオロ酢酸を含むテトラヒドロフランを使用する。測定は25℃で行った。
【0085】
予備カラムとしてPSS−SDVタイプのカラム(5μ、10オングストローム、ID8.0mm×50mm)を使用する。分離はPSS−SDVタイプのカラム(5μ、10オングストローム並びに10及び10オングストローム、それぞれID8.0mm×300mm)を使用して実施する(Polymer Standards Service社のカラム;Shodex RI71示差屈折計によって検出)。流量は1.0mL/分である。補正はPMMAスタンダード(ポリメチルメタクリレート−キャリブレーション)に対して行った。
【0086】
感圧接着剤の製造:
気化冷却器を備えたラジカル重合用の慣用の2Lガラス製反応器に各実施例について表に掲載した組成のモノマー混合物300g及び200gのアセトン/特殊沸点スピリット60/95(1:1)を装入する。45分間、窒素ガスを攪拌下に反応溶液に通した後に、反応器を58℃に加熱しそして6gのアセトンに溶解した0.15gの2,2’−アゾジ−(2−メチルブチロニトリル(Vazo 67(R)、製造元:DuPont社)を添加する。次いで外部の加熱浴を75℃に加温しそして反応をこの外部温度のもとで常に実施する。1時間の反応時間の後に再度、6gのアセトンに溶解した0.15gのVazo 67(R)を添加する。3時間後に90gのアセトン/特殊沸点スピリット60/95(1:1)で希釈する。5時間30分の反応時間の後に、9gのアセトンに溶解した0.45gのビス−(4−第三ブチルシクロヘキサニル)−ペルオキシ−ジカルボナート(Perkadox 16O 、製造元: Akzo Nobel社)を添加する。7時間の反応時間の後に9gのアセトンに溶解した0.45gのビス−(4−第三ブチルシクロヘキサニル)−ペルオキシ−ジカルボナート(Perkadox 16O 、製造元: Akzo Nobel社)を添加する。10時間の反応時間の後に、90gのアセトン/特殊沸点スピリット60/95(1:1)で希釈する。反応は24時間後に中断しそして室温に冷却する。次いでこのポリマーを相応する量の粘着樹脂(表参照)及び相応する量の(アセトンに溶解した3%濃度溶液として)アルミニウム(III)アセチルアセトナートとブレンドしそしてアセトン/特殊沸点スピリット60/95(1:1)で30%の固形分含有量に希釈する。
【0087】
両面感圧接着テープ複合体の製造:
両面をトリクロロ酢酸でエッチング処理した23μmの厚さのPET−フィルムを、前述の通りに製造された各実施例に記載の感圧接着剤を塗布する。120℃で15分間乾燥した後に30g/mの塗布量となる。この乾燥時に、架橋反応が行われる。こうして被覆された試験体を、両面をシリコーン加工された分離紙で覆う。次いでトランスファー支持体を介して市販のアクリレート感圧接着剤を20g/mの塗布量で前記複合体の未被覆側に積層する。次の段階で500μmの厚さで270kg/mの密度のポリエチレン−エチルビニルアセテート−発泡体を積層する。この発泡体支持体の上に次いでトランスファー支持体を介して前記複合体の未被覆側に50g/mの塗布量で市販のアクリレート感圧接着剤を積層する。
【0088】
印刷反応の貼り付け及び適用:
110mmの直径を有する鋼鉄製胴の上に、市販の接着剤(図1の層9)を有する上記の両面感圧接着テープを貼り付ける。2.54mmの厚さのDuPont Cyrel HOS 社の印刷版を試験すべき接着剤(本発明の実施例或いは比較例;図1の層3)に貼り付ける。印刷版の貼り付いた鋼鉄製胴を次いで印刷機械に据付、150μmの印刷設定で16時間印刷する。
【0089】
23℃で50%の相対湿度で3日間保存した後に、両面接着テープによる印刷版の辺縁部の持ち上がりを測定した。
【0090】
評価:
実施例を評価するために、保存時間の後に柔軟な印刷版が、胴に貼り付けられた接着テープにより持ち上げられるかどうかを観察した。その際に、辺縁部の持ち上がりの目安は印刷版のもはや貼り付いてない部分(持ち上がった印刷版の部分)の、貼り付いてない末端から未だ貼り付いている位置までの測定された接線方向の長さLである(図2参照;10・・・印刷版、11・・・圧胴、12・・・接着テープ、L・・・印刷版の持ち上がった長さ)。
【0091】
接着テープの状態は、説明した試験に従う辺縁部の持ち上がりが5mmより少なく、印刷版から接着テープを除去したときに印刷版上に1%より少ない接着剤残留量でありそして印刷版が取り外されるときに損傷を受けない場合に合格と評価した。
【0092】
【表1】

【0093】
【表2】

【0094】
【表3】

樹脂の説明:
Foralyn 90(R):
部分的に水素化されたコロホニウムのグリセリンエステル、軟化温度84〜92℃(代表的値89℃:製造元表示)(製造元: Eastman Chemical BV)
Sylvares TP 95(R):
テルペンフェノール樹脂、軟化温度92〜98℃(代表的値95℃:製造元表示)(製造元:Arizona Chemical社)
DT 135(R):
中位の極性のテルペンフェノール樹脂、軟化温度135℃(製造元表記)(製造元:DRT Resins社)
Sylvares TP 7042(R):
Al-キレート = アルミニウム-(III)-アセチルアセトナート (3%濃度アセトン溶液)
テルペンフェノール樹脂、軟化温度145〜151℃(代表的値145℃:製造元表記)(製造元:Arizona Chemical社)
架橋剤秤入れ表記はそれぞれ100gのポリマー成分に統一する[各実施例について表に記載した組成(樹脂成分を含まない)の100gのモノマー混合物に相当する]。
n,P =ポリマー成分の数平均分子量
V = nZ/nP : 架橋剤の架橋活性中心の物質量nとポリマー成分A1の巨大分子の理論物質量nとの比
結果は、本発明の感圧接着剤が所定の要求に対して優れて適していることを示している。
【0095】
表1は従来技術の3つの処方例を示している。これらは要求される結果を保証することができない。例R1及びR2は、軟化温度が低過ぎる樹脂を含有している。これらは辺縁部の非常に高い持ち上がりを示すか或いは接着テープを剥がすときに貼り付けられた印刷版が破壊されることがわかる。R3は架橋剤濃度を要求量よりも多く選択した例である。この場合にも辺縁部の高い持ち上がりが確認できる。
【0096】
表2は本発明の一連の例を示しており、それぞれ感圧接着剤の樹脂の割合或いはポリマー成分の組成が本発明の範囲内で変えられている。全ての例が合格の結果を示し、要求全体を満足させている。
【0097】
表3は添加する架橋剤の量の変更結果を示している。架橋剤の架橋活性中心の物質量nとポリマー成分A1の巨大分子の理論物質量nとの比Vが要求される範囲に調整された例は合格の結果をもたらすことが確認できる。小さ過ぎる比Vを選択した場合には、印刷版から接着テープを剥離するときに印刷版上に感圧接着剤の残留物が観察できる。大き過ぎる比Vを選択した場合には、辺縁部の高い持ち上がりが確認できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A.
A1)60〜90重量%の
a)5〜25重量%(ポリマー成分を基準として)の少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を持つ1種類以上の化合物;このモノマーは相応するホモポリマーのガラス転位温度Tが少なくとも0℃であるように選択し、少なくとも一つのエチレン性不飽和結合を持つ該化合物の一部が更に少なくとも1つのカルボキシル基を有している;
b)75〜95重量%(ポリマー成分を基準として)のアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステル;これらエステルは、相応するホモポリマーのガラス転位温度Tが−20℃より高くないように選択される;
をベースとするポリマー成分
A2)10〜40重量%の少なくとも100℃の軟化点を持つ少なくとも1種類の樹脂成分
よりなる感圧接着剤と
B.少なくとも1種類の二官能性又は多官能性架橋剤
とを含む、架橋した感圧接着剤を製造するための組成物において、
少なくとも1種類の架橋剤を、架橋剤の架橋活性中心の物質量nとポリマー成分A1の巨大分子の理論的物質量nとの量比V=n/nが1.5〜2.5の間の値をとるような量で添加し、
架橋剤の架橋活性中心の物質量nが、架橋剤の分子当たりの架橋活性中心の数fを乗じそして架橋剤のモル質量Mによって割った架橋剤質量mから得られ、すなわち、n=f×m/M
そしてポリマー成分A1の巨大分子の理論的物質量nが感圧接着剤中のポリマー成分の質量mから,これら成分の数平均分子量Mn,Pによって割って得られる、すなわち、n=m/Mn,Pことを特徴とする、上記組成物。
【請求項2】
ポリマー成分が約30,000〜約600,000g/mol、特に40,000〜400,000g/mol、中でも50,000〜300,000g/molの分子量Mn,Pを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の組成物を架橋することによって得られる感圧接着剤。
【請求項4】
少なくとも一つの支持体及び二つの外側の感圧接着剤層を有する、柔軟な印刷版を貼り付けるための両面接着テープにおいて、少なくもと一つの外側の感圧接着剤層が請求項3に従う架橋した感圧接着剤であることを特徴とする、上記両面接着テープ。
【請求項5】
両方の外側の感圧接着剤が請求項3に従うものである請求項4に従う接着テープ。
【請求項6】
一つの発泡体支持体及び該発泡体支持体の少なくとも一つの面の上の少なくとも一つの安定化支持体を有する請求項4又は5に記載の接着テープ。
【請求項7】
安定化支持体が紙又はフィルム、特にポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、二軸配向されたポリプロピレン又はポリ塩化ビニルよりなるフィルムである、請求項6に記載の接着テープ。
【請求項8】
発泡した支持体がポリマー発泡体、好ましくはポリウレタン、ポリ塩化ビニル又はポリオレフィンよりなるもの、特に好ましくはポリエチレン又はポリプロピレンよりなるものである、請求項6又は7に記載の接着テープ。
【請求項9】
印刷版、特に多層感光性ポリマー印刷版を圧胴又は印刷スリーブ(スリーブ)上に固定するための、請求項3の接着剤又は請求項4〜8のいずれか一つに記載の接着テープの用途。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−270111(P2009−270111A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−113112(P2009−113112)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【出願人】(509120403)テーザ・ソシエタス・ヨーロピア (118)
【Fターム(参考)】