印刷物キャリヤ設備の運転方法
【課題】輪転機の操作側及び駆動側の折り部で種類の異なる印刷物を製作する際に、その種類の異なる印刷物をカウンタースタッカーで混在させることなく、しかも効率的にカウンタースタッカーに搬入できる印刷物キャリヤ設備の運転方法の提供。
【解決手段】操作側及び駆動側のキャリヤライン２ａ，２ｂのうち一方のみを使用する片出し時と両方を使用する両出し時のそれぞれについて、脱荷コンベア３ａ〜３ｂの接続の切換えによって行うことができる、使用するカウンタースタッカーＣＳ１〜３の組合せパターンであるキャリヤパターンを予め複数パターン設定し、異なる種類の印刷物の印刷の開始及び終了に時間差がある場合、それに応じて両出し時におけるキャリヤパターンと片出し時におけるキャリヤパターンとで相互にパターン移行する。パターン移行時にはカウンタースタッカーに種類の異なる印刷物が混在して搬入されることがないようなパターン選択を行う。
【解決手段】操作側及び駆動側のキャリヤライン２ａ，２ｂのうち一方のみを使用する片出し時と両方を使用する両出し時のそれぞれについて、脱荷コンベア３ａ〜３ｂの接続の切換えによって行うことができる、使用するカウンタースタッカーＣＳ１〜３の組合せパターンであるキャリヤパターンを予め複数パターン設定し、異なる種類の印刷物の印刷の開始及び終了に時間差がある場合、それに応じて両出し時におけるキャリヤパターンと片出し時におけるキャリヤパターンとで相互にパターン移行する。パターン移行時にはカウンタースタッカーに種類の異なる印刷物が混在して搬入されることがないようなパターン選択を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、輪転機の折り部で製作された印刷物をカウンタースタッカーに搬入する印刷物キャリヤ設備の運転方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
例えば新聞を印刷する輪転機は、巻取紙から引き出した連続紙を供給する給紙部と、連続紙に印刷を行う印刷部と、印刷後の連続紙を切断して折り畳み印刷物（新聞）としての頒布形状にする折り部とを備える。この輪転機の折り部で製作された印刷物は印刷物キャリヤ設備にてカウンタースタッカーに搬入される。そして、カウンタースタッカーで所定の部数毎に積層整理された後、自動梱包され、所定の発送ラインに搬出される。
【０００３】
一般的な輪転機は、操作側と駆動側の２セットの折り部を備える。そして従来は、印刷物の頁数及びカラー印刷面の頁数に応じて、２セットの折り部の両方又は一方を使用するようにしていた。
【０００４】
これに対して、近年、２セットある折り部のうち一方の折り部が使用されない場合、その一方の折り部を有効に活用するため、種類の異なる印刷物を同時に印刷して、２セットの折り部で種類の異なる印刷物を並行して製作することが提案されている（特許文献１，２参照）。
【０００５】
このように２セットの折り部で種類の異なる印刷物を製作する場合、これを最終的に所定の部数毎に自動梱包し、所定の発送ラインに搬出するには、折り部の後工程設備である印刷物キャリヤ設備において、カウンタースタッカーでの異種印刷物の混在を防止しつつ、効率的な運転方法を実施することが求められるが、これまでその具体的な運転方法については提案がなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００６】
【特許文献１】特許第３４２２４１６号公報
【特許文献２】特開２００８−２０１０４９号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
本発明が解決しようとする課題は、輪転機の操作側及び駆動側の折り部で種類の異なる印刷物を製作する際に、その種類の異なる印刷物をカウンタースタッカーで混在させることなく、しかも効率的にカウンタースタッカーに搬入できる印刷物キャリヤ設備の運転方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明の運転方法は、輪転機の操作側の折り部で製作された印刷物を搬送する操作側のキャリヤラインと、輪転機の駆動側の折り部で製作された印刷物を搬送する駆動側のキャリヤラインと、操作側又は駆動側のキャリヤラインに切換え可能に接続される複数の脱荷コンベアと、複数の脱荷コンベアに対して個別に接続された複数のカウンタースタッカーとを備えた印刷物キャリヤ設備において、操作側及び駆動側の折り部で種類の異なる印刷物を製作する際の運転方法であって、操作側及び駆動側のキャリヤラインのうち一方のみを使用する片出し時と両方を使用する両出し時のそれぞれについて、脱荷コンベアの接続の切換えによって行うことができる、使用するカウンタースタッカーの組合せパターンであるキャリヤパターンを予め複数パターン設定し、一方の印刷物の製作を先に開始し、他方の印刷物の製作を後で開始する場合、他方の印刷物の製作が開始されるまでは、片出し時におけるキャリヤパターンのいずれかを選択し、他方の印刷物の製作を開始する前に、両出し時におけるキャリヤパターンのいずれかを選択し、この両出し時におけるキャリヤパターンを選択する際に、片出し時におけるキャリヤパターンによってカウンタースタッカーに搬入された印刷物と両出し時におけるキャリヤパターンによって前記カウンタースタッカーに搬入される印刷物の種類が同じとなるようなキャリヤパターンを選択し、操作側及び駆動側の折り部で両方の印刷物が並行して製作され、その後、一方の印刷物の製作が先に終了する場合、両方の印刷物が並行して製作されている間は、両出し時におけるキャリヤパターンのいずれかを選択し、一方の印刷物の製作が終了したら、片出し時におけるキャリヤパターンのいずれかを選択し、この片出し時におけるキャリヤパターンを選択する際に、両出し時におけるキャリヤパターンによってカウンタースタッカーに搬入された印刷物と片出し時におけるキャリヤパターンによって前記カウンタースタッカーに搬入される印刷物の種類が同じとなるようなキャリヤパターンを選択することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【０００９】
輪転機において一種類の印刷物を製作する場合、上述のとおり、印刷物の頁数に応じて操作側及び駆動側の折り部の両方又は一方を使用するようにしていた。したがって、キャリヤパターンも、折り部の使用状況に応じて両出し時におけるキャリヤパターン又は片出し時におけるキャリヤパターンを選択するようにしていた。すなわち、一種類の印刷物の製作を前提とした従来の運転方法では、両出し時におけるキャリヤパターンと片出し時におけるキャリヤパターンとは、完全に独立したものとして扱われており、相互にパターン移行することは行われていなかった。
【００１０】
これに対して本発明では、種類の異なる印刷物を取り扱うに当たり、それぞれの印刷物の印刷速度や印刷部数に差があるため、印刷の開始及び終了に時間差が生じることに鑑み、操作側及び駆動側の折り部で製作された種類の異なる印刷物をそれぞれカウンタースタッカーに効率的に搬入できるよう、両出し時におけるキャリヤパターンと片出し時におけるキャリヤパターンとで相互にパターン移行するようにした。そして、パターン移行時にカウンタースタッカーに種類の異なる印刷物が混在して搬入されることがないようなパターン選択を行うようにした。
【００１１】
したがって、本発明の運転方法によれば、種類の異なる印刷物をカウンタースタッカーで混在させることなく、しかも効率的にカウンタースタッカーに搬入できる。
【図面の簡単な説明】
【００１２】
【図１】本発明の運転方法を実施する印刷物キャリヤ設備の概略構成図で、（ａ）は平面図、（ｂ）は側面図である。
【図２】図１の印刷物キャリヤ設備においてキャリヤパターンを選択するための操作盤の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【００１３】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【００１４】
図１は、本発明の運転方法を実施する印刷物キャリヤ設備の概略構成図で、（ａ）は平面図、（ｂ）は側面図である。
【００１５】
図１に示す印刷物キャリヤ設備は、輪転機の操作側の折り部１ａで製作された印刷物を搬送する操作側のキャリヤライン２ａと、輪転機の駆動側の折り部１ｂで製作された印刷物を搬送する駆動側のキャリヤライン２ｂと、操作側のキャリヤライン２ａ又は駆動側のキャリヤライン２ｂに切換え可能に接続される３台の脱荷コンベア３ａ〜３ｃと、脱荷コンベア３ａ〜３ｂに対してつぶし装置４ａ〜４ｃを介して個別に接続されたカウンタースタッカーＣＳ１〜３とを備えている。
【００１６】
操作側の折り部１ａ及び駆動側の折り部１ｂではそれぞれ種類の異なる印刷物を製作しており、操作側の折り部１ａで製作された印刷物は操作側のキャリヤライン２ａに、駆動側の折り部１ｂで製作された印刷物は駆動側のキャリヤライン２ｂに搬入され、搬送される。
【００１７】
キャリヤライン２ａ，２ｂで搬送される印刷物は、キャリヤライン２ａ，２ｂの途中３箇所に設けられている脱荷部５ａ〜５ｃのいずれかにおいて脱荷され、脱荷コンベア３ａ〜３ｃのいずれかに搬送される。脱荷部５ａ〜５ｃはそれぞれ脱荷コンベア３ａ〜３ｃと一対一の関係で対応させて配置されている。すなわち、脱荷部５ａで脱荷された印刷物は脱荷コンベア３ａに、脱荷部５ｂで脱荷された印刷物は脱荷コンベア３ｂに、脱荷部５ｃで脱荷された印刷物は脱荷コンベア３ｃに、それぞれ搬送される。
【００１８】
脱荷コンベア３ａ〜３ｃは首振り式のいわゆるスイングコンベアからなり、首を振ることで、操作側のキャリヤライン２ａ又は駆動側のキャリヤライン２ｂに切換え可能に接続される。脱荷コンベア３ａ〜３ｃは上述のとおり、脱荷部５ａ〜５ｃで脱荷された印刷物を搬送する。脱荷コンベア３ａ〜３ｃで搬送された印刷物は、つぶし装置４ａ〜４ｃを介してカウンタースタッカーＣＳ１〜３に積層される。なお、つぶし装置４ａ〜４ｃは、カウンタースタッカーＣＳ１〜３内での印刷物の荷姿を良くするため、上下のローラで印刷物の折り目をつぶすものである。
【００１９】
カウンタースタッカーＣＳ１〜３は、脱荷コンベア３ａ〜３ｃに対して一対一の関係で個別に接続されている。すなわち、脱荷コンベア３ａからの印刷物はカウンタースタッカーＣＳ１に、脱荷コンベア３ｂからの印刷物はカウンタースタッカーＣＳ２に、脱荷コンベア３ｃからの印刷物はカウンタースタッカーＣＳ３に、それぞれ搬入される。印刷物は、カウンタースタッカーＣＳ１〜３で所定の部数毎に積層整理された後、自動梱包され、所定の発送ラインに搬出される。
【００２０】
以上説明したように、図１に示す印刷物キャリヤ設備では、脱荷コンベア３ａ〜３ｃが操作側のキャリヤライン２ａ又は駆動側のキャリヤライン２ｂに切換え可能に接続されるので、それぞれのキャリヤライン２ａ，２ｂにて搬送される印刷物について、使用するカウンタースタッカーの組合せパターンであるキャリヤパターンが複数設定可能である。本発明の運転方法では、操作側及び駆動側のキャリヤライン２ａ，２ｂのうち一方のみを使用する片出し時と両方を使用する両出し時のそれぞれについて、キャリヤパターンを予め複数設定し、複数のキャリヤパターンから運転条件に応じて特定のキャリヤパターンを選択する。
【００２１】
図２は、複数のキャリヤパターンから特定のキャリヤパターンを選択するための操作盤の構成を示す。
【００２２】
図２に示す操作盤は、タッチパネル式の表示画面からなり、その画面上側に図１の印刷物キャリヤ設備が模式的に表示されている。なお図２において、図１の印刷物キャリヤ設備の各構成と対応する箇所には、図１と同じ符号を付している。
【００２３】
操作盤の画面下側に、キャリヤパターンが選択スイッチとして表示されており、その選択スイッチにタッチすることで、対応するキャリヤパターンが選択される。
【００２４】
図２の例では、３台のカウンタースタッカーＣＳ１〜３に対し、小束を上流側のカウンタースタッカーで処理する条件で片出し時に７パターン、両出し時に８パターンの合計１５のキャリヤパターンが予め設定されており、これらのキャリヤパターンが選択スイッチとして表示されている。
【００２５】
図２に表示されている片出し時のキャリヤパターンは、片出し時において使用するカウンタースタッカーを表しており、例えば「ＣＳ１，２」はカウンタースタッカーＣＳ１及びＣＳ２を使用すること、「ＣＳ１，２，３」はすべてのカウンタースタッカーＣＳ１〜３を使用すること、「ＣＳ１」はカウンタースタッカーＣＳ１のみを使用することを表している。
【００２６】
一方、図２に表示されている両出し時のキャリヤパターンは、両出し時において使用するカウンタースタッカーを表しており、上段に操作側のキャリヤライン２ａに接続されるカウンタースタッカーを示し、下段に駆動側のキャリヤライン２ｂに接続されるカウンタースタッカーを示している。例えば上段に「ＣＳ１，２」が示され、下段に「ＣＳ３」示されているキャリヤパターン（選択スイッチ）は、操作側のキャリヤライン２ａにカウンタースタッカーＣＳ１及びＣＳ２が接続され、駆動側のキャリヤライン２ｂにカウンタースタッカーＣＳ３が接続されるキャリヤパターンであることを表している。なお、明細書では、両出し時のキャリヤパターンは、操作側と駆動側をセミコロン（；）で区切り、「操作側；駆動側」と表記する。例えば、上記例示のキャリヤパターンは「ＣＳ１，２；ＣＳ３」と表記する。
【００２７】
以下、図１及び図２を参照して本発明の運転方法の実施例を説明する。
【００２８】
本発明では、輪転機の操作側の折り部１ａ及び駆動側の折り部１ｂでそれぞれ種類の異なる印刷物を製作し、操作側の折り部１ａで製作した印刷物を操作側のキャリヤライン２ａで搬送し、駆動側の折り部１ｂで製作した印刷物を駆動側のキャリヤライン２ｂで搬送する。このように種類の異なる印刷物を取り扱う場合、それぞれの印刷物の印刷速度や印刷部数に差があるため、印刷の開始及び終了に時間差が生じる。
【００２９】
本発明の運転方法は、種類の異なる印刷物の印刷の開始及び終了に時間差が生じる場合において、効率的かつ適切なキャリヤパターンの選択手順を提供する。
【００３０】
まず、操作側で印刷物の製作を先に開始し、その後、駆動側で印刷物の製作を開始する場合の運転方法を説明する。
【００３１】
この場合、駆動側で印刷物の製作が開始されるまでは、片出し時におけるキャリヤパターンのいずれかを選択する。このキャリヤパターンの選択は図２の操作盤にて行う。例えば、「ＣＳ１，２」の選択スイッチをタッチしてキャリヤパターン「ＣＳ１，２」を選択する。
【００３２】
その後、駆動側での印刷物製作の準備が完了したら、図２の操作盤においてそのことを示す「駆側」ランプ１０ｂが点灯すると共に、操作側及び駆動側で種類の異なる印刷物が製作されることを示す「操・駆別印刷」ランプ１１が点灯する。
【００３３】
この「操・駆別印刷」ランプ１１の点灯を確認後、駆動側で印刷物の製作を開始する前に、両出し時におけるキャリヤパターンのいずれかを選択する。このとき、片出し時におけるキャリヤパターンによってカウンタースタッカーに搬入された印刷物と両出し時におけるキャリヤパターンによって前記カウンタースタッカーに搬入される印刷物の種類が同じとなるようなキャリヤパターンを選択する。すなわち、操作側及び駆動側で製作された異なる印刷物が混在しないようにする。
【００３４】
図２の操作盤では、この選択を容易にするため、選択可能なキャリヤパターンであることを示す両出し時ＣＳ選択の選択可ランプ１３が点灯する。選択可ランプ１３は、それぞれキャリヤパターンの選択スイッチの横に配置されており、そのキャリヤパターンが選択可能であるときに点灯する。例えば、片出し時におけるキャリヤパターンとして「ＣＳ１，２」が選択されている場合、両出し時におけるキャリヤパターンとしては「ＣＳ１，２；ＣＳ３」が選択可能であり、その選択スイッチの横の選択可ランプ１３が点灯する。そしてオペレータは、選択可ランプ１３の点灯を見て、「ＣＳ１，２；ＣＳ３」の選択スイッチをタッチして選択する。オペレータが選択スイッチをタッチしてキャリヤパターンを選択すると、「ＣＳ１，２」の選択スイッチ及び「ＣＳ１，２；ＣＳ３」の選択可ランプ１３は消灯する。
【００３５】
ここで、片出し時におけるキャリヤパターンが「ＣＳ１，２，３」である場合は、そのまま両出し時のキャリヤパターンに移行することはできない。そのまま移行すると、カウンタースタッカー内で種類の異なる印刷物が混在することになるからである。したがって、片出し時におけるキャリヤパターンが「ＣＳ１，２，３」である場合は、キャリヤパターンを変更する際に、カウンタースタッカーＣＳ１〜３のうち少なくとも一つのカウンタースタッカー内の印刷物を搬出して空にし、そのカウンタースタッカーにはいずれの印刷物も搬入可能な状態とした上で、キャリヤパターンを変更する。
【００３６】
例えば、カウンタースタッカーＣＳ３を空にすれば、両出し時におけるキャリヤパターンとしては「ＣＳ１，２；ＣＳ３」が選択可能となる。実際にカウンタースタッカーＣＳ３を空にする際には、片出し時においてキャリヤパターンを「ＣＳ１，２，３」から「ＣＳ１，２」に変更し、カウンタースタッカーＣＳ３に印刷物が搬入されないようにした上で、カウンタースタッカーＣＳ３から印刷物を搬出する。その後、両出し時におけるキャリヤパターンとして「ＣＳ１，２；ＣＳ３」を選択する。
【００３７】
次に、駆動側で印刷物の製作を先に開始し、その後、操作側で印刷物の製作を開始する場合の運転方法を説明する。
【００３８】
この場合、図２の操作盤の片出し時ＣＳ選択の選択スイッチから、使用する片出し時のキャリヤパターンを選択する。
【００３９】
その後、操作側での印刷物製作の準備が完了したら、図２の操作盤においてそのことを示す「操側」ランプ１０ａが点灯すると共に、操作側及び駆動側で種類の異なる印刷物が製作されることを示す「操・駆別印刷」ランプ１１が点灯する。
【００４０】
この「操・駆別印刷」ランプ１１の点灯を確認後、現在使用している駆動側のキャリヤライン２ｂに接続されたカウンタースタッカーと、操作側のキャリヤライン２ａに接続されるカウンタースタッカーとの、両出しで組合せ可能なキャリヤパターンの選択可ランプ１３が点灯する。
【００４１】
例えば、駆動側での片出し時におけるキャリヤパターンが「ＣＳ３」である場合、両出し時におけるキャリヤパターンとしては「ＣＳ１，２；ＣＳ３」、「ＣＳ１；ＣＳ３」又は「ＣＳ２；ＣＳ３」が選択可能であり、これらのキャリヤパターンを選択する選択スイッチの横の選択可ランプ１３が点灯する。オペレータは、上記３パターンのうちいずれかを選択する。オペレータがいずれかのキャリヤパターンを選択すると、片出し時ＣＳ選択の選択スイッチ及び両出し時ＣＳ選択の選択可ランプ１３は消灯する。
【００４２】
次に、操作側及び駆動側で両方の印刷物が並行して製作され、その後、駆動側での印刷物の製作が先に終了する場合の運転方法を説明する。
【００４３】
この場合、図２の操作盤の両出し時ＣＳ選択の選択スイッチから、使用する両出し時のキャリヤパターンを選択する。
【００４４】
その後、駆動側での印刷物の製作が終了したら、現在使用されている両出しのキャリヤパターンで操作側のキャリヤライン２ａに接続されているカウンタースタッカーと同じキャリヤパターンの片出し時ＣＳ選択の選択可ランプ１２が点灯する。
【００４５】
例えば、両出し時におけるキャリヤパターンが「ＣＳ１，２；ＣＳ３」である場合、片出し時におけるキャリヤパターンとしては「ＣＳ１，２」が選択可能であり、このキャリヤパターンを選択する選択スイッチの横の選択可ランプ１２が点灯する。オペレータがこのキャリヤパターンを選択すると、選択可ランプ１２及び「ＣＳ１，２；ＣＳ３」の選択スイッチは消灯する。
【００４６】
なお、上述のように片出し時のキャリヤパターン「ＣＳ１，２」を選択すると、残りのカウンタースタッカーＣＳ３は、予備として操作側のキャリヤライン２ａに接続される。
【００４７】
次に、操作側及び駆動側で両方の印刷物が並行して製作され、その後、操作側での印刷物の製作が先に終了する場合の運転方法を説明する。
【００４８】
この場合も、図２の操作盤の両出し時ＣＳ選択の選択スイッチから、使用する両出し時のキャリヤパターンを選択する。
【００４９】
その後、操作側での印刷物の製作が終了したら、現在使用されている両出しのキャリヤパターンで駆動側のキャリヤライン２ｂに接続されているカウンタースタッカーと同じキャリヤパターンの片出し時ＣＳ選択の選択可ランプ１２が点灯する。
【００５０】
例えば、両出し時におけるキャリヤパターンが「ＣＳ１，２；ＣＳ３」である場合、片出し時におけるキャリヤパターンとしては「ＣＳ３」が選択可能であり、このキャリヤパターンを選択する選択スイッチの横の選択可ランプ１２が点灯する。オペレータがこのキャリヤパターンを選択すると、選択可ランプ１２及び「ＣＳ１，２；ＣＳ３」の選択スイッチは消灯する。
【００５１】
なお、上述のように片出し時のキャリヤパターン「ＣＳ３」を選択すると、残りのカウンタースタッカーＣＳ１，２は、予備として駆動側のキャリヤライン２ａに接続される。
【００５２】
このように本発明の運転方法では、種類の異なる印刷物の印刷の開始及び終了に時間差がある場合、両出し時におけるキャリヤパターンと片出し時におけるキャリヤパターンとで相互にパターン移行する。そして、パターン移行時にカウンタースタッカーに種類の異なる印刷物が混在して搬入されることがないようなパターン選択を行う。これによって、種類の異なる印刷物をカウンタースタッカーで混在させることなく、しかも効率的にカウンタースタッカーに搬入できる。
【００５３】
なお、実施例では、３台のカウンタースタッカーを備える印刷物キャリヤ設備に本発明の運転方法を適用したが、カウンタースタッカーの台数が２台又は４台以上であっても本発明の運転方法を適用することはできる。
【符号の説明】
【００５４】
１ａ 操作側の折り部
１ｂ 駆動側の折り部
２ａ 操作側のキャリヤライン
２ｂ 駆動側のキャリヤライン
３ａ〜３ｃ 脱荷コンベア
４ａ〜４ｃ つぶし装置
５ａ〜５ｃ 脱荷部
ＣＳ１〜３ カウンタースタッカー
１０ａ 「操側」ランプ
１０ｂ 「駆側」ランプ
１１「操・駆別印刷」ランプ
１２，１３ 選択可ランプ
【技術分野】
【０００１】
本発明は、輪転機の折り部で製作された印刷物をカウンタースタッカーに搬入する印刷物キャリヤ設備の運転方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
例えば新聞を印刷する輪転機は、巻取紙から引き出した連続紙を供給する給紙部と、連続紙に印刷を行う印刷部と、印刷後の連続紙を切断して折り畳み印刷物（新聞）としての頒布形状にする折り部とを備える。この輪転機の折り部で製作された印刷物は印刷物キャリヤ設備にてカウンタースタッカーに搬入される。そして、カウンタースタッカーで所定の部数毎に積層整理された後、自動梱包され、所定の発送ラインに搬出される。
【０００３】
一般的な輪転機は、操作側と駆動側の２セットの折り部を備える。そして従来は、印刷物の頁数及びカラー印刷面の頁数に応じて、２セットの折り部の両方又は一方を使用するようにしていた。
【０００４】
これに対して、近年、２セットある折り部のうち一方の折り部が使用されない場合、その一方の折り部を有効に活用するため、種類の異なる印刷物を同時に印刷して、２セットの折り部で種類の異なる印刷物を並行して製作することが提案されている（特許文献１，２参照）。
【０００５】
このように２セットの折り部で種類の異なる印刷物を製作する場合、これを最終的に所定の部数毎に自動梱包し、所定の発送ラインに搬出するには、折り部の後工程設備である印刷物キャリヤ設備において、カウンタースタッカーでの異種印刷物の混在を防止しつつ、効率的な運転方法を実施することが求められるが、これまでその具体的な運転方法については提案がなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００６】
【特許文献１】特許第３４２２４１６号公報
【特許文献２】特開２００８−２０１０４９号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
本発明が解決しようとする課題は、輪転機の操作側及び駆動側の折り部で種類の異なる印刷物を製作する際に、その種類の異なる印刷物をカウンタースタッカーで混在させることなく、しかも効率的にカウンタースタッカーに搬入できる印刷物キャリヤ設備の運転方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明の運転方法は、輪転機の操作側の折り部で製作された印刷物を搬送する操作側のキャリヤラインと、輪転機の駆動側の折り部で製作された印刷物を搬送する駆動側のキャリヤラインと、操作側又は駆動側のキャリヤラインに切換え可能に接続される複数の脱荷コンベアと、複数の脱荷コンベアに対して個別に接続された複数のカウンタースタッカーとを備えた印刷物キャリヤ設備において、操作側及び駆動側の折り部で種類の異なる印刷物を製作する際の運転方法であって、操作側及び駆動側のキャリヤラインのうち一方のみを使用する片出し時と両方を使用する両出し時のそれぞれについて、脱荷コンベアの接続の切換えによって行うことができる、使用するカウンタースタッカーの組合せパターンであるキャリヤパターンを予め複数パターン設定し、一方の印刷物の製作を先に開始し、他方の印刷物の製作を後で開始する場合、他方の印刷物の製作が開始されるまでは、片出し時におけるキャリヤパターンのいずれかを選択し、他方の印刷物の製作を開始する前に、両出し時におけるキャリヤパターンのいずれかを選択し、この両出し時におけるキャリヤパターンを選択する際に、片出し時におけるキャリヤパターンによってカウンタースタッカーに搬入された印刷物と両出し時におけるキャリヤパターンによって前記カウンタースタッカーに搬入される印刷物の種類が同じとなるようなキャリヤパターンを選択し、操作側及び駆動側の折り部で両方の印刷物が並行して製作され、その後、一方の印刷物の製作が先に終了する場合、両方の印刷物が並行して製作されている間は、両出し時におけるキャリヤパターンのいずれかを選択し、一方の印刷物の製作が終了したら、片出し時におけるキャリヤパターンのいずれかを選択し、この片出し時におけるキャリヤパターンを選択する際に、両出し時におけるキャリヤパターンによってカウンタースタッカーに搬入された印刷物と片出し時におけるキャリヤパターンによって前記カウンタースタッカーに搬入される印刷物の種類が同じとなるようなキャリヤパターンを選択することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【０００９】
輪転機において一種類の印刷物を製作する場合、上述のとおり、印刷物の頁数に応じて操作側及び駆動側の折り部の両方又は一方を使用するようにしていた。したがって、キャリヤパターンも、折り部の使用状況に応じて両出し時におけるキャリヤパターン又は片出し時におけるキャリヤパターンを選択するようにしていた。すなわち、一種類の印刷物の製作を前提とした従来の運転方法では、両出し時におけるキャリヤパターンと片出し時におけるキャリヤパターンとは、完全に独立したものとして扱われており、相互にパターン移行することは行われていなかった。
【００１０】
これに対して本発明では、種類の異なる印刷物を取り扱うに当たり、それぞれの印刷物の印刷速度や印刷部数に差があるため、印刷の開始及び終了に時間差が生じることに鑑み、操作側及び駆動側の折り部で製作された種類の異なる印刷物をそれぞれカウンタースタッカーに効率的に搬入できるよう、両出し時におけるキャリヤパターンと片出し時におけるキャリヤパターンとで相互にパターン移行するようにした。そして、パターン移行時にカウンタースタッカーに種類の異なる印刷物が混在して搬入されることがないようなパターン選択を行うようにした。
【００１１】
したがって、本発明の運転方法によれば、種類の異なる印刷物をカウンタースタッカーで混在させることなく、しかも効率的にカウンタースタッカーに搬入できる。
【図面の簡単な説明】
【００１２】
【図１】本発明の運転方法を実施する印刷物キャリヤ設備の概略構成図で、（ａ）は平面図、（ｂ）は側面図である。
【図２】図１の印刷物キャリヤ設備においてキャリヤパターンを選択するための操作盤の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【００１３】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【００１４】
図１は、本発明の運転方法を実施する印刷物キャリヤ設備の概略構成図で、（ａ）は平面図、（ｂ）は側面図である。
【００１５】
図１に示す印刷物キャリヤ設備は、輪転機の操作側の折り部１ａで製作された印刷物を搬送する操作側のキャリヤライン２ａと、輪転機の駆動側の折り部１ｂで製作された印刷物を搬送する駆動側のキャリヤライン２ｂと、操作側のキャリヤライン２ａ又は駆動側のキャリヤライン２ｂに切換え可能に接続される３台の脱荷コンベア３ａ〜３ｃと、脱荷コンベア３ａ〜３ｂに対してつぶし装置４ａ〜４ｃを介して個別に接続されたカウンタースタッカーＣＳ１〜３とを備えている。
【００１６】
操作側の折り部１ａ及び駆動側の折り部１ｂではそれぞれ種類の異なる印刷物を製作しており、操作側の折り部１ａで製作された印刷物は操作側のキャリヤライン２ａに、駆動側の折り部１ｂで製作された印刷物は駆動側のキャリヤライン２ｂに搬入され、搬送される。
【００１７】
キャリヤライン２ａ，２ｂで搬送される印刷物は、キャリヤライン２ａ，２ｂの途中３箇所に設けられている脱荷部５ａ〜５ｃのいずれかにおいて脱荷され、脱荷コンベア３ａ〜３ｃのいずれかに搬送される。脱荷部５ａ〜５ｃはそれぞれ脱荷コンベア３ａ〜３ｃと一対一の関係で対応させて配置されている。すなわち、脱荷部５ａで脱荷された印刷物は脱荷コンベア３ａに、脱荷部５ｂで脱荷された印刷物は脱荷コンベア３ｂに、脱荷部５ｃで脱荷された印刷物は脱荷コンベア３ｃに、それぞれ搬送される。
【００１８】
脱荷コンベア３ａ〜３ｃは首振り式のいわゆるスイングコンベアからなり、首を振ることで、操作側のキャリヤライン２ａ又は駆動側のキャリヤライン２ｂに切換え可能に接続される。脱荷コンベア３ａ〜３ｃは上述のとおり、脱荷部５ａ〜５ｃで脱荷された印刷物を搬送する。脱荷コンベア３ａ〜３ｃで搬送された印刷物は、つぶし装置４ａ〜４ｃを介してカウンタースタッカーＣＳ１〜３に積層される。なお、つぶし装置４ａ〜４ｃは、カウンタースタッカーＣＳ１〜３内での印刷物の荷姿を良くするため、上下のローラで印刷物の折り目をつぶすものである。
【００１９】
カウンタースタッカーＣＳ１〜３は、脱荷コンベア３ａ〜３ｃに対して一対一の関係で個別に接続されている。すなわち、脱荷コンベア３ａからの印刷物はカウンタースタッカーＣＳ１に、脱荷コンベア３ｂからの印刷物はカウンタースタッカーＣＳ２に、脱荷コンベア３ｃからの印刷物はカウンタースタッカーＣＳ３に、それぞれ搬入される。印刷物は、カウンタースタッカーＣＳ１〜３で所定の部数毎に積層整理された後、自動梱包され、所定の発送ラインに搬出される。
【００２０】
以上説明したように、図１に示す印刷物キャリヤ設備では、脱荷コンベア３ａ〜３ｃが操作側のキャリヤライン２ａ又は駆動側のキャリヤライン２ｂに切換え可能に接続されるので、それぞれのキャリヤライン２ａ，２ｂにて搬送される印刷物について、使用するカウンタースタッカーの組合せパターンであるキャリヤパターンが複数設定可能である。本発明の運転方法では、操作側及び駆動側のキャリヤライン２ａ，２ｂのうち一方のみを使用する片出し時と両方を使用する両出し時のそれぞれについて、キャリヤパターンを予め複数設定し、複数のキャリヤパターンから運転条件に応じて特定のキャリヤパターンを選択する。
【００２１】
図２は、複数のキャリヤパターンから特定のキャリヤパターンを選択するための操作盤の構成を示す。
【００２２】
図２に示す操作盤は、タッチパネル式の表示画面からなり、その画面上側に図１の印刷物キャリヤ設備が模式的に表示されている。なお図２において、図１の印刷物キャリヤ設備の各構成と対応する箇所には、図１と同じ符号を付している。
【００２３】
操作盤の画面下側に、キャリヤパターンが選択スイッチとして表示されており、その選択スイッチにタッチすることで、対応するキャリヤパターンが選択される。
【００２４】
図２の例では、３台のカウンタースタッカーＣＳ１〜３に対し、小束を上流側のカウンタースタッカーで処理する条件で片出し時に７パターン、両出し時に８パターンの合計１５のキャリヤパターンが予め設定されており、これらのキャリヤパターンが選択スイッチとして表示されている。
【００２５】
図２に表示されている片出し時のキャリヤパターンは、片出し時において使用するカウンタースタッカーを表しており、例えば「ＣＳ１，２」はカウンタースタッカーＣＳ１及びＣＳ２を使用すること、「ＣＳ１，２，３」はすべてのカウンタースタッカーＣＳ１〜３を使用すること、「ＣＳ１」はカウンタースタッカーＣＳ１のみを使用することを表している。
【００２６】
一方、図２に表示されている両出し時のキャリヤパターンは、両出し時において使用するカウンタースタッカーを表しており、上段に操作側のキャリヤライン２ａに接続されるカウンタースタッカーを示し、下段に駆動側のキャリヤライン２ｂに接続されるカウンタースタッカーを示している。例えば上段に「ＣＳ１，２」が示され、下段に「ＣＳ３」示されているキャリヤパターン（選択スイッチ）は、操作側のキャリヤライン２ａにカウンタースタッカーＣＳ１及びＣＳ２が接続され、駆動側のキャリヤライン２ｂにカウンタースタッカーＣＳ３が接続されるキャリヤパターンであることを表している。なお、明細書では、両出し時のキャリヤパターンは、操作側と駆動側をセミコロン（；）で区切り、「操作側；駆動側」と表記する。例えば、上記例示のキャリヤパターンは「ＣＳ１，２；ＣＳ３」と表記する。
【００２７】
以下、図１及び図２を参照して本発明の運転方法の実施例を説明する。
【００２８】
本発明では、輪転機の操作側の折り部１ａ及び駆動側の折り部１ｂでそれぞれ種類の異なる印刷物を製作し、操作側の折り部１ａで製作した印刷物を操作側のキャリヤライン２ａで搬送し、駆動側の折り部１ｂで製作した印刷物を駆動側のキャリヤライン２ｂで搬送する。このように種類の異なる印刷物を取り扱う場合、それぞれの印刷物の印刷速度や印刷部数に差があるため、印刷の開始及び終了に時間差が生じる。
【００２９】
本発明の運転方法は、種類の異なる印刷物の印刷の開始及び終了に時間差が生じる場合において、効率的かつ適切なキャリヤパターンの選択手順を提供する。
【００３０】
まず、操作側で印刷物の製作を先に開始し、その後、駆動側で印刷物の製作を開始する場合の運転方法を説明する。
【００３１】
この場合、駆動側で印刷物の製作が開始されるまでは、片出し時におけるキャリヤパターンのいずれかを選択する。このキャリヤパターンの選択は図２の操作盤にて行う。例えば、「ＣＳ１，２」の選択スイッチをタッチしてキャリヤパターン「ＣＳ１，２」を選択する。
【００３２】
その後、駆動側での印刷物製作の準備が完了したら、図２の操作盤においてそのことを示す「駆側」ランプ１０ｂが点灯すると共に、操作側及び駆動側で種類の異なる印刷物が製作されることを示す「操・駆別印刷」ランプ１１が点灯する。
【００３３】
この「操・駆別印刷」ランプ１１の点灯を確認後、駆動側で印刷物の製作を開始する前に、両出し時におけるキャリヤパターンのいずれかを選択する。このとき、片出し時におけるキャリヤパターンによってカウンタースタッカーに搬入された印刷物と両出し時におけるキャリヤパターンによって前記カウンタースタッカーに搬入される印刷物の種類が同じとなるようなキャリヤパターンを選択する。すなわち、操作側及び駆動側で製作された異なる印刷物が混在しないようにする。
【００３４】
図２の操作盤では、この選択を容易にするため、選択可能なキャリヤパターンであることを示す両出し時ＣＳ選択の選択可ランプ１３が点灯する。選択可ランプ１３は、それぞれキャリヤパターンの選択スイッチの横に配置されており、そのキャリヤパターンが選択可能であるときに点灯する。例えば、片出し時におけるキャリヤパターンとして「ＣＳ１，２」が選択されている場合、両出し時におけるキャリヤパターンとしては「ＣＳ１，２；ＣＳ３」が選択可能であり、その選択スイッチの横の選択可ランプ１３が点灯する。そしてオペレータは、選択可ランプ１３の点灯を見て、「ＣＳ１，２；ＣＳ３」の選択スイッチをタッチして選択する。オペレータが選択スイッチをタッチしてキャリヤパターンを選択すると、「ＣＳ１，２」の選択スイッチ及び「ＣＳ１，２；ＣＳ３」の選択可ランプ１３は消灯する。
【００３５】
ここで、片出し時におけるキャリヤパターンが「ＣＳ１，２，３」である場合は、そのまま両出し時のキャリヤパターンに移行することはできない。そのまま移行すると、カウンタースタッカー内で種類の異なる印刷物が混在することになるからである。したがって、片出し時におけるキャリヤパターンが「ＣＳ１，２，３」である場合は、キャリヤパターンを変更する際に、カウンタースタッカーＣＳ１〜３のうち少なくとも一つのカウンタースタッカー内の印刷物を搬出して空にし、そのカウンタースタッカーにはいずれの印刷物も搬入可能な状態とした上で、キャリヤパターンを変更する。
【００３６】
例えば、カウンタースタッカーＣＳ３を空にすれば、両出し時におけるキャリヤパターンとしては「ＣＳ１，２；ＣＳ３」が選択可能となる。実際にカウンタースタッカーＣＳ３を空にする際には、片出し時においてキャリヤパターンを「ＣＳ１，２，３」から「ＣＳ１，２」に変更し、カウンタースタッカーＣＳ３に印刷物が搬入されないようにした上で、カウンタースタッカーＣＳ３から印刷物を搬出する。その後、両出し時におけるキャリヤパターンとして「ＣＳ１，２；ＣＳ３」を選択する。
【００３７】
次に、駆動側で印刷物の製作を先に開始し、その後、操作側で印刷物の製作を開始する場合の運転方法を説明する。
【００３８】
この場合、図２の操作盤の片出し時ＣＳ選択の選択スイッチから、使用する片出し時のキャリヤパターンを選択する。
【００３９】
その後、操作側での印刷物製作の準備が完了したら、図２の操作盤においてそのことを示す「操側」ランプ１０ａが点灯すると共に、操作側及び駆動側で種類の異なる印刷物が製作されることを示す「操・駆別印刷」ランプ１１が点灯する。
【００４０】
この「操・駆別印刷」ランプ１１の点灯を確認後、現在使用している駆動側のキャリヤライン２ｂに接続されたカウンタースタッカーと、操作側のキャリヤライン２ａに接続されるカウンタースタッカーとの、両出しで組合せ可能なキャリヤパターンの選択可ランプ１３が点灯する。
【００４１】
例えば、駆動側での片出し時におけるキャリヤパターンが「ＣＳ３」である場合、両出し時におけるキャリヤパターンとしては「ＣＳ１，２；ＣＳ３」、「ＣＳ１；ＣＳ３」又は「ＣＳ２；ＣＳ３」が選択可能であり、これらのキャリヤパターンを選択する選択スイッチの横の選択可ランプ１３が点灯する。オペレータは、上記３パターンのうちいずれかを選択する。オペレータがいずれかのキャリヤパターンを選択すると、片出し時ＣＳ選択の選択スイッチ及び両出し時ＣＳ選択の選択可ランプ１３は消灯する。
【００４２】
次に、操作側及び駆動側で両方の印刷物が並行して製作され、その後、駆動側での印刷物の製作が先に終了する場合の運転方法を説明する。
【００４３】
この場合、図２の操作盤の両出し時ＣＳ選択の選択スイッチから、使用する両出し時のキャリヤパターンを選択する。
【００４４】
その後、駆動側での印刷物の製作が終了したら、現在使用されている両出しのキャリヤパターンで操作側のキャリヤライン２ａに接続されているカウンタースタッカーと同じキャリヤパターンの片出し時ＣＳ選択の選択可ランプ１２が点灯する。
【００４５】
例えば、両出し時におけるキャリヤパターンが「ＣＳ１，２；ＣＳ３」である場合、片出し時におけるキャリヤパターンとしては「ＣＳ１，２」が選択可能であり、このキャリヤパターンを選択する選択スイッチの横の選択可ランプ１２が点灯する。オペレータがこのキャリヤパターンを選択すると、選択可ランプ１２及び「ＣＳ１，２；ＣＳ３」の選択スイッチは消灯する。
【００４６】
なお、上述のように片出し時のキャリヤパターン「ＣＳ１，２」を選択すると、残りのカウンタースタッカーＣＳ３は、予備として操作側のキャリヤライン２ａに接続される。
【００４７】
次に、操作側及び駆動側で両方の印刷物が並行して製作され、その後、操作側での印刷物の製作が先に終了する場合の運転方法を説明する。
【００４８】
この場合も、図２の操作盤の両出し時ＣＳ選択の選択スイッチから、使用する両出し時のキャリヤパターンを選択する。
【００４９】
その後、操作側での印刷物の製作が終了したら、現在使用されている両出しのキャリヤパターンで駆動側のキャリヤライン２ｂに接続されているカウンタースタッカーと同じキャリヤパターンの片出し時ＣＳ選択の選択可ランプ１２が点灯する。
【００５０】
例えば、両出し時におけるキャリヤパターンが「ＣＳ１，２；ＣＳ３」である場合、片出し時におけるキャリヤパターンとしては「ＣＳ３」が選択可能であり、このキャリヤパターンを選択する選択スイッチの横の選択可ランプ１２が点灯する。オペレータがこのキャリヤパターンを選択すると、選択可ランプ１２及び「ＣＳ１，２；ＣＳ３」の選択スイッチは消灯する。
【００５１】
なお、上述のように片出し時のキャリヤパターン「ＣＳ３」を選択すると、残りのカウンタースタッカーＣＳ１，２は、予備として駆動側のキャリヤライン２ａに接続される。
【００５２】
このように本発明の運転方法では、種類の異なる印刷物の印刷の開始及び終了に時間差がある場合、両出し時におけるキャリヤパターンと片出し時におけるキャリヤパターンとで相互にパターン移行する。そして、パターン移行時にカウンタースタッカーに種類の異なる印刷物が混在して搬入されることがないようなパターン選択を行う。これによって、種類の異なる印刷物をカウンタースタッカーで混在させることなく、しかも効率的にカウンタースタッカーに搬入できる。
【００５３】
なお、実施例では、３台のカウンタースタッカーを備える印刷物キャリヤ設備に本発明の運転方法を適用したが、カウンタースタッカーの台数が２台又は４台以上であっても本発明の運転方法を適用することはできる。
【符号の説明】
【００５４】
１ａ 操作側の折り部
１ｂ 駆動側の折り部
２ａ 操作側のキャリヤライン
２ｂ 駆動側のキャリヤライン
３ａ〜３ｃ 脱荷コンベア
４ａ〜４ｃ つぶし装置
５ａ〜５ｃ 脱荷部
ＣＳ１〜３ カウンタースタッカー
１０ａ 「操側」ランプ
１０ｂ 「駆側」ランプ
１１「操・駆別印刷」ランプ
１２，１３ 選択可ランプ
【特許請求の範囲】
【請求項１】
輪転機の操作側の折り部で製作された印刷物を搬送する操作側のキャリヤラインと、輪転機の駆動側の折り部で製作された印刷物を搬送する駆動側のキャリヤラインと、操作側又は駆動側のキャリヤラインに切換え可能に接続される複数の脱荷コンベアと、複数の脱荷コンベアに対して個別に接続された複数のカウンタースタッカーとを備えた印刷物キャリヤ設備において、操作側及び駆動側の折り部で種類の異なる印刷物を製作する際の運転方法であって、
操作側及び駆動側のキャリヤラインのうち一方のみを使用する片出し時と両方を使用する両出し時のそれぞれについて、脱荷コンベアの接続の切換えによって行うことができる、使用するカウンタースタッカーの組合せパターンであるキャリヤパターンを予め複数パターン設定し、
一方の印刷物の製作を先に開始し、他方の印刷物の製作を後で開始する場合、他方の印刷物の製作が開始されるまでは、片出し時におけるキャリヤパターンのいずれかを選択し、他方の印刷物の製作を開始する前に、両出し時におけるキャリヤパターンのいずれかを選択し、この両出し時におけるキャリヤパターンを選択する際に、片出し時におけるキャリヤパターンによってカウンタースタッカーに搬入された印刷物と両出し時におけるキャリヤパターンによって前記カウンタースタッカーに搬入される印刷物の種類が同じとなるようなキャリヤパターンを選択し、
操作側及び駆動側の折り部で両方の印刷物が並行して製作され、その後、一方の印刷物の製作が先に終了する場合、両方の印刷物が並行して製作されている間は、両出し時におけるキャリヤパターンのいずれかを選択し、一方の印刷物の製作が終了したら、片出し時におけるキャリヤパターンのいずれかを選択し、この片出し時におけるキャリヤパターンを選択する際に、両出し時におけるキャリヤパターンによってカウンタースタッカーに搬入された印刷物と片出し時におけるキャリヤパターンによって前記カウンタースタッカーに搬入される印刷物の種類が同じとなるようなキャリヤパターンを選択する印刷物キャリヤ設備の運転方法。
【請求項２】
キャリヤパターンを片出し時から両出し時のものに又は両出し時から片出し時のものに変更する際に、少なくとも一つのカウンタースタッカー内の印刷物を搬出し、当該カウンタースタッカーにはいずれの印刷物も搬入可能な状態として、キャリヤパターンを選択する請求項１に記載の印刷物キャリヤ設備の運転方法。
【請求項１】
輪転機の操作側の折り部で製作された印刷物を搬送する操作側のキャリヤラインと、輪転機の駆動側の折り部で製作された印刷物を搬送する駆動側のキャリヤラインと、操作側又は駆動側のキャリヤラインに切換え可能に接続される複数の脱荷コンベアと、複数の脱荷コンベアに対して個別に接続された複数のカウンタースタッカーとを備えた印刷物キャリヤ設備において、操作側及び駆動側の折り部で種類の異なる印刷物を製作する際の運転方法であって、
操作側及び駆動側のキャリヤラインのうち一方のみを使用する片出し時と両方を使用する両出し時のそれぞれについて、脱荷コンベアの接続の切換えによって行うことができる、使用するカウンタースタッカーの組合せパターンであるキャリヤパターンを予め複数パターン設定し、
一方の印刷物の製作を先に開始し、他方の印刷物の製作を後で開始する場合、他方の印刷物の製作が開始されるまでは、片出し時におけるキャリヤパターンのいずれかを選択し、他方の印刷物の製作を開始する前に、両出し時におけるキャリヤパターンのいずれかを選択し、この両出し時におけるキャリヤパターンを選択する際に、片出し時におけるキャリヤパターンによってカウンタースタッカーに搬入された印刷物と両出し時におけるキャリヤパターンによって前記カウンタースタッカーに搬入される印刷物の種類が同じとなるようなキャリヤパターンを選択し、
操作側及び駆動側の折り部で両方の印刷物が並行して製作され、その後、一方の印刷物の製作が先に終了する場合、両方の印刷物が並行して製作されている間は、両出し時におけるキャリヤパターンのいずれかを選択し、一方の印刷物の製作が終了したら、片出し時におけるキャリヤパターンのいずれかを選択し、この片出し時におけるキャリヤパターンを選択する際に、両出し時におけるキャリヤパターンによってカウンタースタッカーに搬入された印刷物と片出し時におけるキャリヤパターンによって前記カウンタースタッカーに搬入される印刷物の種類が同じとなるようなキャリヤパターンを選択する印刷物キャリヤ設備の運転方法。
【請求項２】
キャリヤパターンを片出し時から両出し時のものに又は両出し時から片出し時のものに変更する際に、少なくとも一つのカウンタースタッカー内の印刷物を搬出し、当該カウンタースタッカーにはいずれの印刷物も搬入可能な状態として、キャリヤパターンを選択する請求項１に記載の印刷物キャリヤ設備の運転方法。
【図１】
【図２】
【図２】
【公開番号】特開２０１０−２７５０８７（Ｐ２０１０−２７５０８７Ａ）
【公開日】平成２２年１２月９日（２０１０．１２．９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−１３０９５２（Ｐ２００９−１３０９５２）
【出願日】平成２１年５月２９日（２００９．５．２９）
【出願人】（５９１００５３１６）西研グラフィックス株式会社 (19)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年１２月９日（２０１０．１２．９）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年５月２９日（２００９．５．２９）
【出願人】（５９１００５３１６）西研グラフィックス株式会社 (19)
【Ｆターム（参考）】
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