説明

印刷物

【課題】 入場券,商品券等の各種のチケット類や、様々な商品に付けられるラベル等の印刷物において、この印刷物が真正のものであるか否かを簡単に判定できるようにすると共に、この印刷物の偽造を抑制できるようにする。
【解決手段】 基材10に識別用の表示部11が印刷されてなる印刷物において、上記の表示部と少なくとも接するようにしてマイクロ印刷部12を設けるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、入場券,商品券等の各種のチケット類や、様々な商品に付けられるラベル等の印刷物に係り、上記の印刷物が真正のものであるか否かを簡単に判定できるようにすると共に、その偽造を抑制するようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、入場券,商品券等の各種のチケット類や、様々な商品に付けられるラベル等の印刷物において、その偽物が多く製造され、これにより様々な社会的問題が生じている。
【0003】
このため、近年においては、上記の印刷物の偽造を防止するため、印刷物に特殊な処理を施し、これを専用センサー等により検知して、印刷物の真偽を判定するようにしたものや(例えば、特許文献1参照。)、例えば紙幣等のように、識別用の表示部とは別に微小なマイクロ文字等を印刷したマイクロ印刷部を設け、このマイクロ印刷部を確認して、印刷物の真偽を判定するようにしたもの等が提案されている。
【0004】
しかし、上記のように印刷物に特殊な処理を施し、これを専用センサー等により検知して、印刷物の真偽を判定するためには、専用センサーを常備させておく必要があり、コストが高くつくと共に、様々な場所で簡単に印刷物の真偽を判定することができないという問題があった。
【0005】
また、上記のように識別用の表示部とは別に微小なマイクロ文字等を印刷したマイクロ印刷部を設ける場合、マイクロ印刷部を識別用の表示部と離れて印刷させているため、マイクロ印刷部の存在を容易に確認することができ、このような印刷物の偽造を十分に防止することができないという問題があった。
【特許文献1】特開2003−200646号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、入場券,商品券等の各種のチケット類や、様々な商品に付けられるラベル等の印刷物における上記のような問題を解決することを課題とするものであり、印刷物が真正のものであるか否かを簡単に判定できるようにすると共に、この印刷物の偽造を抑制できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明においては、上記のような課題を解決するため、基材に識別用の表示部が印刷されてなる印刷物において、上記の表示部と少なくとも接するようにしてマイクロ印刷部を設けるようにした。
【0008】
ここで、上記のマイクロ印刷部に印刷する表示としては、例えば、カタカナ,英数字等の各種の文字、☆,*,○,△,〒等の各種の記号や絵柄等を用いることができ、このような文字等の大きさを0.25mm以下にして、印刷部分の高さを0.25mm以下にすることが好ましい。
【0009】
また、上記のマイクロ印刷部の色彩は、このマイクロ印刷部が接する表示部と同じ色彩にすることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
この発明における印刷物においては、上記のように基材に設けられた識別用の表示部と少なくとも接するようにしてマイクロ印刷部を設けたため、このマイクロ印刷部の表示を、例えば拡大鏡等により確認することによって、印刷物の真偽を簡単に判定することができるようになると共に、このマイクロ印刷部が表示部と少なくとも接するようにしているため、このマイクロ印刷部の存在を肉眼で検知することが困難になり、この印刷物の偽造も抑制できるようになる。
【0011】
ここで、この発明の印刷物において、上記のマイクロ印刷部の存在をより肉眼で検知するのがより困難になるようにして、印刷物の偽造も一層抑制するためには、上記のマイクロ印刷部の色彩を、このマイクロ印刷部が接する表示部と同じ色彩にすることが好ましい。
【0012】
また、この発明の印刷物において、上記のマイクロ印刷部に印刷する文字等の表示の大きさが小さいと、マイクロ印刷部の存在を肉眼で検知することがより困難になって、印刷物の偽造がより一層抑制されるようになるため、このマイクロ印刷部に印刷する文字等の大きさを0.25mm以下にすることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明の実施形態に係る印刷物を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、この発明に係る印刷物は、特に下記の実施形態に示したものに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0014】
この実施形態における印刷物においては、図1(A)に示すように、基材10の片面に、帯状になった着色部11aの中にOSPの文字と☆マークからなるマーク部11bが残るようにして識別用の表示部11を印刷すると共に、図2に示すように、この識別用の表示部11における上記の着色部11aの下縁と接触するようにして、この着色部11aと同じ色彩で、微細なOSPの文字と☆マークとが連続したマイクロ印刷部12を印刷するようにした。
【0015】
ここで、上記の基材10としては、印刷物において一般に使用されている様々な材料を用いることができ、例えば、合成紙,コート紙等の各種の紙や、プラスチックフィルム等を用いることができる。
【0016】
また、上記のように基材10の片面に、表示部11とマイクロ印刷部12とを印刷させるにあたっては、表示部11の着色部11aとマイクロ印刷部12とを同じインキを用いて同時に印刷させることが好ましく、例えば、着色部11aとマイクロ印刷部12とを一つの版で印刷できるようにして、同じインキを用いて同時に印刷させることが好ましい。そして、このように表示部11の着色部11aとマイクロ印刷部12とを同じインキを用いて同時に印刷させると、着色部11aとマイクロ印刷部12とを肉眼で区別することが困難になって、マイクロ印刷部12の存在が一層分かりにくくなり、印刷物の偽造をさらに抑制できるようになると共に、印刷に要する時間も短縮されて、印刷物の生産性も向上する。
【0017】
また、上記のように表示部11とマイクロ印刷部12とを印刷させる方法については特に限定されないが、版が基材10に直接接触しないオフセット印刷で印刷すると、印刷に用いる版が長持ちすると共にコストも低減されるため好ましい。
【0018】
そして、この実施形態の印刷物においては、図1(B)に示すように、上記のように表示部11とマイクロ印刷部12とが印刷された基材10の片面と反対側の面に粘着剤層13を設け、この印刷物を上記の粘着剤層13によって商品等に貼り付けるラベルとして用いるようにした。なお、表示部11とマイクロ印刷部12とが印刷された面と反対側の面に粘着剤層13を設けずに、入場券,商品券等のチケット類として利用することも可能である。
【0019】
ここで、この実施形態における印刷物においては、マイクロ印刷部12を印刷するにあたり、微細なOSPの文字と☆マークとが連続したマイクロ印刷部12を、識別用の表示部11における帯状の着色部11aの下縁と接触するようにして印刷させたが、図3に示すように、この微細なOSPの文字と☆マークとが連続したマイクロ印刷部12の一部が、帯状の着色部11aと重なるかのようにして印刷させることもでき、この場合には、さらに着色部11aとマイクロ印刷部12とを肉眼で区別することが困難になって、マイクロ印刷部12の存在が分かりにくくなり、印刷物の偽造をさらに抑制できるようになる。
【0020】
また、上記の実施形態における印刷物においては、上記のように帯状になった着色部11aの下縁と接触するようにして、マイクロ印刷部12を印刷するようにしたが、マイクロ印刷部12を印刷する位置は特にこのような位置に限定されず、図示していないが、上記の着色部11aの上縁と接触するようにして、マイクロ印刷部12を印刷させるようにしたり、また上記のマーク部11bにおける文字や記号の輪郭線と接触するようにして、マイクロ印刷部12をこの輪郭線に沿って印刷させるようにすることも可能である。
【0021】
また、上記の実施形態における印刷物においては、マイクロ印刷部12に、表示部11におけるマーク部11bと同じ文字と記号からなるものを印刷させるようにしたが、マイクロ印刷部12に印刷させる文字や記号は特に限定されず、マーク部11bとは全く異なる文字や記号等を印刷させることも当然可能であり、また上記のような文字や記号等を、必ずしも繰り返して印刷させる必要はなく、マイクロ印刷部12として確認できるものであれば一文字であってもよい。
【0022】
また、上記の実施形態における印刷物においては、基材10の片面に、帯状になった着色部11aの中にOSPの文字と☆マークからなるマーク部11bが残るようにして識別用の表示部11を印刷するようにしたが、例えば、図4及び図5に示すように、基材10の片面にOSPの文字と☆マークからなる識別用の表示部11を印刷させると共に、この表示部11におけるPの文字の縦線部分に接するようにして、表示部11と同じインキを用いて微細なOSPの文字と☆マークとが連続したマイクロ印刷部12を印刷させることも可能である。この場合においても、上記の実施形態の場合と同様に、表示部11とマイクロ印刷部12とを肉眼で区別することが困難になって、マイクロ印刷部12の存在が分かりにくくなり、印刷物の偽造を抑制できるようになる。
【0023】
また、上記のような実施形態における印刷物において、マイクロ印刷部12を設ける位置やマイクロ印刷部12に印刷させる文字や記号等の表示内容を、適当な時期に変更させるように、例えば、印刷に用いる版を適当な時期に変更させるようにすることもできる。そして、このようにマイクロ印刷部12を設ける位置やマイクロ印刷部12に印刷させる文字や記号等の表示内容を、適当な時期に変更させると、現時点においては、とのような表示内容のマイクロ印刷部12がどの位置に設けられているかを検知することが困難になり、印刷物の偽造がさらに抑制されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の一実施形態に係る印刷物を示し、(A)はこの印刷物の概略平面図、(B)はこの印刷物の概略側面図である。
【図2】上記の実施形態における印刷物において、識別用の表示部における着色部の下縁と接触するようにして、マイクロ印刷部を印刷した状態を示した部分拡大説明図である。
【図3】上記の実施形態における印刷物において、識別用の表示部における着色部の下縁と一部重なるかのようにして、マイクロ印刷部を印刷した状態を示した部分拡大説明図である。
【図4】この発明の他の実施形態に係る印刷物の概略平面図である。
【図5】上記の他の実施形態における印刷物において、表示部におけるPの文字の縦線部分に接するようにして、マイクロ印刷部を印刷した状態を示した部分拡大説明図である。
【符号の説明】
【0025】
10 基材
11 表示部
11a 着色部
11b マーク部
12 マイクロ印刷部
13 粘着剤層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材に識別用の表示部が印刷されてなる印刷物において、上記の表示部と少なくとも接するようにしてマイクロ印刷部を設けたことを特徴とする印刷物。
【請求項2】
請求項1に記載した印刷物において、上記のマイクロ印刷部は、このマイクロ印刷部が接する表示部と同じ色彩になっていることを特徴とする印刷物。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載した印刷物において、上記のマイクロ印刷部における印刷部分の高さが0.25mm以下であることを特徴とする印刷物。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載した印刷物が、上記の表示部と反対側の面に粘着剤層が設けられたラベルからなることを特徴とする印刷物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−95830(P2006−95830A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−283941(P2004−283941)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000205306)大阪シーリング印刷株式会社 (90)
【Fターム(参考)】