印刷装置、及び、印刷方法
【課題】印刷画像の画質劣化を抑制すること。
【解決手段】第1イエローノズル群と第2イエローノズル群の繋ぎ目の所定方向の位置が、第1マゼンタノズル群と第2マゼンタノズル群の繋ぎ目の所定方向の位置、及び、第1シアンノズル群と第2シアンノズル群の繋ぎ目の所定方向の位置に対してずれており、第1マゼンタノズル群と第2マゼンタノズル群の繋ぎ目の所定方向の位置と、第1シアンノズル群と第2シアンノズル群の繋ぎ目の所定方向の位置とが、等しい、印刷装置。
【解決手段】第1イエローノズル群と第2イエローノズル群の繋ぎ目の所定方向の位置が、第1マゼンタノズル群と第2マゼンタノズル群の繋ぎ目の所定方向の位置、及び、第1シアンノズル群と第2シアンノズル群の繋ぎ目の所定方向の位置に対してずれており、第1マゼンタノズル群と第2マゼンタノズル群の繋ぎ目の所定方向の位置と、第1シアンノズル群と第2シアンノズル群の繋ぎ目の所定方向の位置とが、等しい、印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、及び、印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置として、ノズルからインクを吐出するヘッドを有するインクジェットプリンター(以下、プリンター)が挙げられる。プリンターの中には、ヘッドを複数繋げて配置し、印刷可能な画像幅を長くしたプリンターがある。
【0003】
ただし、ヘッドに形成されるノズル列のノズル間隔は微小である。そのため、複数のヘッドを繋げて配置する際に、ヘッドの相対位置関係がずれてしまうと、ヘッドの繋ぎ目で印刷される画像部分の濃度が濃くなったり淡くなったりしてしまう。そこで、ヘッドの端部(ノズル列の端部)を重複させたプリンターが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−255175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ヘッドの端部(ノズル列の端部)を重複させることで、ヘッドの繋ぎ目で印刷される画像部分の濃度むらを目立ち難くすることができるが、濃度むらを完全に解消することは難しい。そのため、複数の色インクを吐出するプリンターにおいて、全ての色のヘッドの繋ぎ目の位置を同じにしてしまうと、その繋ぎ目で印刷される画像部分が重なって印刷されてしまい、濃度むらが助長されてしまう虞がある。そうすると、その繋ぎ目で印刷される画像部分が印刷画像上で目立ち、印刷画像の画質が劣化してしまう。
【0006】
そこで、本発明は、印刷画像の画質劣化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決する為の主たる発明は、(A)イエローインクを吐出する複数のノズルが所定方向に並んだ第1イエローノズル群と、イエローインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並び、前記第1イエローノズル群に対して前記所定方向にずれて配置された第2イエローノズル群と、(B)マゼンタインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並んだ第1マゼンタノズル群と、マゼンタインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並び、前記第1マゼンタノズル群に対して前記所定方向にずれて配置された第2マゼンタノズル群と、(C)シアンインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並んだ第1シアンノズル群と、シアンインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並び、前記第1シアンノズル群に対して前記所定方向にずれて配置された第2シアンノズル群と、(D)前記所定方向と交差する方向にノズル群と媒体とを相対移動させながら、前記ノズルからインクを吐出させることによって、前記媒体に画像を印刷させる制御部と、(E)を備え、(F)前記第1イエローノズル群と前記第2イエローノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置が、前記第1マゼンタノズル群と前記第2マゼンタノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置、及び、前記第1シアンノズル群と前記第2シアンノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置に対してずれており、前記第1マゼンタノズル群と前記第2マゼンタノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置と、前記第1シアンノズル群と前記第2シアンノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置とが、等しい、(G)ことを特徴とする印刷装置である。
本発明の他の特徴は、本明細書、及び添付図面の記載により、明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1Aはプリンターの全体構成ブロック図であり、図1Bはプリンターの概略断面図である。
【図2】ある色のヘッド群の下面を説明する図である。
【図3】図3Aは設計通りに短尺ヘッドが配置された場合を説明する図であり、図3Bは短尺ヘッドが離れるように配置された場合を説明する図であり、図3Cは短尺ヘッドが近付くように配置された場合を説明する図である。
【図4】媒体が蛇行して搬送される場合を説明する図である。
【図5】図5A及び図5Bは短尺ヘッドの配置の比較例を説明する図である。
【図6】図6A及び図6Bは本実施形態の短尺ヘッドの配置を説明する図である。
【図7】ある色のテストパターンを説明する図である。
【図8】スキャナーによるテストパターンの読取結果を示す図である。
【図9】図9A及び図9Bは目標指令階調値を算出する様子を示す図である。
【図10】補正値テーブルを説明する図である。
【図11】補正前の階調値に対応する補正値を算出する様子を示す図である。
【図12】図12A及び図12Bは短尺ヘッドの配置の変形例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
===開示の概要===
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかとなる。
【0010】
即ち、(A)イエローインクを吐出する複数のノズルが所定方向に並んだ第1イエローノズル群と、イエローインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並び、前記第1イエローノズル群に対して前記所定方向にずれて配置された第2イエローノズル群と、(B)マゼンタインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並んだ第1マゼンタノズル群と、マゼンタインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並び、前記第1マゼンタノズル群に対して前記所定方向にずれて配置された第2マゼンタノズル群と、(C)シアンインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並んだ第1シアンノズル群と、シアンインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並び、前記第1シアンノズル群に対して前記所定方向にずれて配置された第2シアンノズル群と、(D)前記所定方向と交差する方向にノズル群と媒体とを相対移動させながら、前記ノズルからインクを吐出させることによって、前記媒体に画像を印刷させる制御部と、(E)を備え、(F)前記第1イエローノズル群と前記第2イエローノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置が、前記第1マゼンタノズル群と前記第2マゼンタノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置、及び、前記第1シアンノズル群と前記第2シアンノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置に対してずれており、前記第1マゼンタノズル群と前記第2マゼンタノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置と、前記第1シアンノズル群と前記第2シアンノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置とが、等しい、(G)ことを特徴とする印刷装置である。
このような印刷装置によれば、ノズル群の繋ぎ目で印刷される画像部分を目立ち難くすることができ、印刷画像の画質劣化を抑制することができる。また、所定方向の印字可能幅を出来る限り長くすることができる。
【0011】
かかる印刷装置であって、ブラックインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並んだ第1ブラックノズル群と、ブラックインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並び、前記第1ブラックノズル群に対して前記所定方向にずれて配置された第2ブラックノズル群と、を備え、前記第1ブラックノズル群と前記第2ブラックノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置が、前記第1マゼンタノズル群と前記第2マゼンタノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置、及び、前記第1シアンノズル群と前記第2シアンノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置と、等しいこと。
このような印刷装置によれば、ノズル群の繋ぎ目で印刷される画像部分を目立ち難くすることができ、印刷画像の画質劣化を抑制することができる。また、所定方向の印字可能幅を出来る限り長くすることができる。
【0012】
かかる印刷装置であって、前記ノズルから吐出されるインクは、光の照射により硬化する光硬化型インクであること。
このような印刷装置によれば、ノズル群の繋ぎ目で印刷される画像部分を目立ち難くすることができ、印刷画像の画質劣化を抑制することができる。また、所定方向の印字可能幅を出来る限り長くすることができる。
【0013】
かかる印刷装置であって、所定の濃度を示す指令階調値に基づいて印刷したテストパターンにより、前記交差する方向に沿うドット列を形成する前記媒体上の領域である列領域ごとに算出された補正値を、インクの色ごとに記憶した記憶部を備え、印刷する画像の濃度を示す階調値を前記補正値で補正した階調値に基づいて、前記媒体に画像を印刷すること。
このような印刷装置によれば、ノズル群の繋ぎ目で印刷される画像部分をより目立ち難くすることができ、印刷画像の画質劣化をより抑制することができる。
【0014】
また、(A)イエローインクを吐出する複数のノズルが所定方向に並んだ第1イエローノズル群と、イエローインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並び、前記第1イエローノズル群に対して前記所定方向にずれて配置された第2イエローノズル群と、(B)マゼンタインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並んだ第1マゼンタノズル群と、マゼンタインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並び、前記第1マゼンタノズル群に対して前記所定方向にずれて配置された第2マゼンタノズル群と、(C)シアンインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並んだ第1シアンノズル群と、シアンインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並び、前記第1シアンノズル群に対して前記所定方向にずれて配置された第2シアンノズル群と、を備え、(D)前記第1イエローノズル群と前記第2イエローノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置が、前記第1マゼンタノズル群と前記第2マゼンタノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置、及び、前記第1シアンノズル群と前記第2シアンノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置に対してずれており、前記第1マゼンタノズル群と前記第2マゼンタノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置と、前記第1シアンノズル群と前記第2シアンノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置とが、等しい印刷装置による印刷方法であって、(E)前記所定方向と交差する方向にノズル群と媒体とを相対移動させながら、前記ノズルからインクを吐出させることによって、前記媒体に画像を印刷する印刷方法である。
このような印刷方法によれば、ノズル群の繋ぎ目で印刷される画像部分を目立ち難くすることができ、印刷画像の画質劣化を抑制することができる。また、所定方向の印字可能幅を出来る限り長くすることができる。
【0015】
===印刷システム===
印刷装置をインクジェットプリンター(以下、プリンター)とし、プリンターとコンピューターが接続された印刷システムを例に挙げて、実施形態を説明する。
【0016】
図1Aは、プリンター1の全体構成ブロック図であり、図1Bは、プリンター1の概略断面図である。本実施形態のプリンター1は、紫外線の照射によって硬化する紫外線硬化型インク(光硬化型インクに相当)を吐出することにより、媒体S(例:用紙、布、フィルム)に画像を印刷する。なお、紫外線硬化型インク(以下、UVインク)は、紫外線硬化樹脂を含むインクであり、紫外線の照射を受けると紫外線硬化樹脂において光重合反応が起こることにより硬化する。
【0017】
コンピューター60は、プリンター1と通信可能に接続されており、プリンター1に画像を印刷させるための印刷データをプリンター1に出力する。
【0018】
コントローラー10は、プリンター1の制御を行うための制御ユニットである。インターフェース部11はコンピューター60とプリンター1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU12はプリンター1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー13はCPU12のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。CPU12はユニット制御回路14に従って各ユニットを制御する。なお、プリンター1内の状況を検出器群50が監視し、その検出結果に基づいて、コントローラー10は各ユニットを制御する。
【0019】
搬送ユニット20は、図1Bに示すように、搬送ローラー21A,21Bと搬送ベルト22を有し、媒体Sを搬送方向の上流側から下流側へ搬送するためのものである。媒体Sは、ヘッド群31や紫外線の照射部41,42と対向しながら、搬送ベルト22上を停まることなく一定の速度で搬送される。なお、搬送ベルト22上の媒体Sは吸引吸着又は静電吸着されており、媒体Sの位置ずれが防止されている。
【0020】
ヘッドユニット30は、媒体SにUVインクを吐出するためのものであり、4色のUVインク(YMCK)をそれぞれ吐出する4個のヘッド群31を有する。搬送方向上流側から順に、イエローインクを吐出するイエローヘッド群31(Y)、マゼンタインクを吐出するマゼンタヘッド群31(M)、シアンインクを吐出するシアンヘッド群31(C)、ブラックインクを吐出するブラックヘッド群31(K)が並んでいる。
【0021】
図2は、ある色のヘッド群31の下面を説明する図である。なお、図2は、ヘッド群31の上方からノズルの配列を仮想的に見た図である。各ヘッド群31では、搬送方向と交差する紙幅方向(所定方向に相当)に複数の短尺ヘッド32(1)〜32(n)が並んでいる。各短尺ヘッド32の下面には(媒体Sとの対向面)には、インクを吐出する180個のノズルが紙幅方向に所定の間隔Dおきに並んだノズル列が形成されている。説明のため、紙幅方向奥側の短尺ヘッド32から順に「第1短尺ヘッド32(1)、第2短尺ヘッド32(2)、…」と呼び、ノズル列に属するノズルのうち、紙幅方向奥側のノズルから順に小さい番号を付す(#1〜#180)。
【0022】
また、各ヘッド群31では、短尺ヘッド32の紙幅方向の端部(ノズル列の端部)が重複するように、複数の短尺ヘッド32(1)〜32(n)が配置されている。具体的に説明すると、紙幅方向に並ぶ2つの短尺ヘッド(例:32(1)と32(2))のうち、紙幅方向奥側の短尺ヘッド(例:32(1))の紙幅方向手前側の4個の端部ノズル(例:#177〜#180)の紙幅方向の位置と、紙幅方向手前側の短尺ヘッド(例:32(2))の紙幅方向奥側の4個の端部ノズル(例:#1〜#4)の紙幅方向の位置が、等しい。
【0023】
ゆえに、ヘッド群31の下面では、多数のノズルが紙幅方向に所定の間隔Dおきに並んでいることになる。従って、コントローラー10(制御部に相当)が、ヘッド群31に対して媒体Sを搬送方向(所定方向と交差する方向に相当)に移動させる際に、ノズルからインクを断続的に吐出させることによって、搬送方向に沿う複数のドット列が紙幅方向に並んで印刷され、媒体Sに2次元の画像が印刷される。なお、ノズルからのインク吐出方式は、駆動素子に電圧をかけて、インクが充填された圧力室を膨張・収縮させることによりインクを吐出するピエゾ方式でもよいし、発熱素子を用いてノズル内に気泡を発生させ、その気泡によってインクを吐出させるサーマル方式でもよい。
【0024】
また、以下の説明のため、紙幅方向に並ぶ短尺ヘッド32の端部ノズル(#1〜#4・#177〜#180・黒塗りのノズル)が重複する領域を「重複領域」と呼ぶ。この重複領域が、紙幅方向に並ぶ短尺ヘッド32の繋ぎ目(ノズル列の繋ぎ目)に相当する。
【0025】
照射ユニット40は、媒体Sに着弾したUVインクに向けて紫外線を照射し、UVインクを硬化させるためのものであり、4個の仮照射部41と本照射部42を有する。仮照射部41は、UVインクを完全には硬化しない程度に紫外線を照射し、本照射部42は、最後に、UVインクを完全に硬化するように紫外線を照射する。即ち、UVインクは2段階に分けて硬化される。
【0026】
図1Bに示すように、仮照射部41は、異色のUVインクを吐出するヘッド群31の間に設けられている。そのため、あるヘッド群31から吐出されたUVインクは、そのヘッド群31よりも搬送方向下流側のヘッド群31からUVインクが吐出される前に、仮照射部41によって硬化(半硬化)される。その結果、異色のUVインク間での滲みを防止することができる。
【0027】
なお、紫外線照射の光源として、例えば、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)や、メタルハライドランプ、水銀ランプなどが挙げられる。また、仮照射部41や本照射部42の紙幅方向の長さはヘッド群31の紙幅方向の長さと同程度であり、ヘッド群31から吐出された媒体S上のUVインクに対して紙幅方向の全域に亘って紫外線が照射される。
【0028】
===画像の繋ぎ目の濃度誤差===
図3Aは、設計通りに短尺ヘッド32が配置された場合に形成されるドットの様子を説明する図である。図では、第1短尺ヘッド32(1)で形成されるドットを黒丸(●)で示し、第2短尺ヘッド32(2)で形成されるドットを白丸(○)で示す。本実施形態では、設計上、短尺ヘッド32の紙幅方向における端部ノズル、即ち、重複領域に属するノズル(#177〜#180・#1〜#4)の紙幅方向の位置が等しくなるように、短尺ヘッド32が配置されている。例えば、第1短尺ヘッド32(1)のノズル#177の紙幅方向の位置と、第2短尺ヘッド32(2)のノズル#1の紙幅方向の位置が、等しくなるようにしている。
【0029】
そして、重複領域に属するノズルでは、紙幅方向の位置が等しく、且つ、異なる短尺ヘッド32に属する2つのノズルで、搬送方向に沿う1つのドット列(以下、ラスターライン)を形成するようにする。例えば、第1短尺ヘッド32(1)のノズル#177と第2短尺ヘッド32(2)のノズル#1が搬送方向に交互にドットを形成することによって、1つのラスターラインを形成するようにする。そうすることで、第1短尺ヘッド32(1)で形成する画像と第2短尺ヘッド32(2)で形成する画像の繋ぎ目を目立ち難くすることができる。
【0030】
図3Bは、第1短尺ヘッド32(1)に対して第2短尺ヘッド32(2)が離れるように配置された場合に形成されるドットの様子を説明する図である。図3Aに示すように、第1短尺ヘッド32(1)と第2短尺ヘッド32(2)が設計通りに配置されている場合、第1短尺ヘッド32(1)の重複領域のノズル(#177〜#180)により形成されるドットの紙幅方向の位置と、第2短尺ヘッド32(2)の重複領域のノズル(#1〜#4)により形成されるドットの紙幅方向の位置が、等しくなる。
【0031】
しかし、ノズル列におけるノズル間隔は微小であるため、図3Bに示すように、第1短尺ヘッド32(1)に対して第2短尺ヘッド32(2)が離れるように紙幅方向の手前側にずれて配置されてしまう場合がある。この場合、第1短尺ヘッド32(1)の重複領域のノズルにより形成されるドットに対して、第2短尺ヘッド32(2)の重複領域のノズルにより形成されるドットが、紙幅方向の手前側にずれてしまう。そうすると、重複領域のノズルによりドットが形成されるべき媒体部分のドット密度が小さくなってしまうため(インク吐出量が少なくなってしまうため)、第1短尺ヘッド32(1)による画像と第2短尺ヘッド32(2)による画像の繋ぎ目の濃度が淡くなってしまう。
【0032】
つまり、第1短尺ヘッド32(1)と第2短尺ヘッド32(2)により各々印刷される画像の繋ぎ目部分(即ち、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分)が、印刷画像上において搬送方向に沿った白スジとして視認され、印刷画像の画質が劣化してしまう。
【0033】
図3Cは、第1短尺ヘッド32(1)に対して第2短尺ヘッド32(2)が近付くように配置された場合に形成されるドットの様子を説明する図である。図3Bとは逆に、第1短尺ヘッド32(1)に対して第2短尺ヘッド32(2)が近付くように紙幅方向の奥側にずれて配置される場合がある。
【0034】
即ち、第1短尺ヘッド32(1)の重複領域のノズルにより形成されるドットに対して、第2短尺ヘッド32(2)の重複領域のノズルにより形成されるドットが、紙幅方向の奥側にずれてしまう場合がある。そうすると、重複領域のノズルによりドットが形成されるべき媒体部分のドット密度が大きくなってしまうため(インク吐出量が多くなってしまうため)、第1短尺ヘッド32(1)による画像と第2短尺ヘッド32(2)による画像の繋ぎ目の濃度が濃くなってしまう。
【0035】
つまり、第1短尺ヘッド32(1)と第2短尺ヘッド32(2)により各々印刷される画像の繋ぎ目部分(即ち、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分)が、印刷画像上において搬送方向に沿った黒スジとして視認され、印刷画像の画質が劣化してしまう。
【0036】
このように、紙幅方向に並ぶ短尺ヘッド32の相対位置関係が設計上の相対位置関係からずれてしまうと、短尺ヘッド32の繋ぎ目(重複領域)で印刷される画像部分(画像の繋ぎ目)に濃度誤差が生じてしまう。そうすると、印刷画像に濃度むら(搬送方向に沿うスジ)が生じ、印刷画像の画質が劣化してしまう。
【0037】
図4は、媒体Sが蛇行して搬送される場合に形成されるドットの様子を説明する図である。図4では、紙幅方向に並ぶ短尺ヘッド32の相対位置関係が設計通りであり、第1短尺ヘッド32(1)の重複領域のノズル(#177〜#180)の紙幅方向の位置と、第2短尺ヘッド32(2)の重複領域のノズル(#1〜#4)の紙幅方向の位置とが、等しい。
【0038】
ところで、紙幅方向に並ぶ短尺ヘッド32は、端部が重複するように、搬送方向にずれて配置されている。例えば、第1短尺ヘッド32(1)の方が第2短尺ヘッド32(2)よりも搬送方向の上流側にずれて位置する。よって、図4の左図に示すように、まず、第1短尺ヘッド32(1)が媒体Sにドット(●)を形成する。なお、第1短尺ヘッド32(1)の重複領域のノズルのうちのノズル#178,#180がドットを形成し、第2短尺ヘッド32(2)の重複領域のノズルのうちのノズル#1,#3がドットを形成するとした。
【0039】
そして、第1短尺ヘッド32(1)がドットを形成した後に、媒体Sが紙幅方向の奥側に蛇行しながら搬送されたとする。そうすると、図4の右図に示すように、第2短尺ヘッド32(2)が本来ドットを形成すべき媒体S上の位置よりも紙幅方向の手前側の位置に、第2短尺ヘッド32(2)がドット(○)を形成することになる。即ち、第1短尺ヘッド32(1)に対して第2短尺ヘッド32(2)が離れるように紙幅方向の手前側にずれて配置された場合(図3B)と同様にドットが形成され、第1短尺ヘッド32(1)による画像と第2短尺ヘッド32(2)による画像の繋ぎ目の濃度が淡くなってしまう。
【0040】
逆に、第1短尺ヘッド32(1)と第2短尺ヘッド32(2)の間を媒体Sが紙幅方向の手前側に蛇行しながら搬送された場合(不図示)、第1短尺ヘッド32(1)に対して第2短尺ヘッド32(2)が近付くように紙幅方向の奥側にずれて配置された場合(図3C)と同様にドットが形成されてしまう。
【0041】
このように、紙幅方向に並ぶ短尺ヘッド32の相対位置関係が設計通りであっても、媒体Sが蛇行しながら搬送されると、短尺ヘッド32の繋ぎ目(重複領域)で印刷される画像部分(画像の繋ぎ目)に濃度誤差が生じてしまう。そうすると、印刷画像に濃度むら(搬送方向に沿うスジ)が生じ、印刷画像の画質が劣化してしまう。
【0042】
なお、紙幅方向に並ぶ短尺ヘッド32の相対位置関係のずれにより生じる濃度誤差(図3Bや図3C)であれば、濃度誤差の発生の仕方が一定であるため、濃度誤差を改善し易い。例えば、ラスターラインが印刷される媒体上の領域(列領域)ごとに設定される補正値に基づいて(後述)、画像の繋ぎ目の濃度が淡くなる場合には、画像の繋ぎ目で印刷するドットサイズを大きくしたり、ドット数を増やしたりする。そうすることで、画像の繋ぎ目の濃度を濃く補正することができる。しかし、媒体Sの蛇行搬送により生じる濃度誤差は発生の仕方が一定でないため、補正値に基づく濃度誤差の補正に限界がある。
【0043】
===短尺ヘッド32の配置===
<比較例の配置>
図5A及び図5Bは、短尺ヘッド32の配置の比較例を説明する図である。プリンター1は4色のUVインク(YMCK)ごとにヘッド群31を有し、各ヘッド31群では、短尺ヘッド32が端部を重複させつつ紙幅方向に並んでいる。なお、図では、説明の簡略のため、短尺ヘッド32の数を1色あたり3個とし、また、短尺ヘッド32の繋ぎ目(重複領域)をクロスハッチで示す。
【0044】
図5Aに示す比較例では、4色のUVインク(YMCK)の全てのヘッド群31において、紙幅方向に並ぶ短尺ヘッド32の繋ぎ目(重複領域)の紙幅方向の位置が等しいとする。具体的に言うと、イエローの第1短尺ヘッド32(Y1)と第2短尺ヘッド32(Y2)の繋ぎ目の紙幅方向の位置と、マゼンタの第1短尺ヘッド32(M1)と第2短尺ヘッド32(M2)の繋ぎ目の紙幅方向の位置と、シアンの第1短尺ヘッド32(C1)と第2短尺ヘッド32(C2)の繋ぎ目の紙幅方向の位置と、ブラックの第1短尺ヘッド32(K1)と第2短尺ヘッド32(K2)の繋ぎ目の紙幅方向の位置と、が等しい。
【0045】
ここで、短尺ヘッド32の相対位置関係のずれや媒体の蛇行搬送により、4色(YMCK)全てのヘッド群31において、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分に濃度誤差が生じたとする。そうすると、4色(YMCK)の各短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置が等しい図5Aの比較例では、各色の短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分、即ち、濃度誤差が生じる画像部分が、重ねて印刷されてしまう。
【0046】
そうすると、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分の濃度の淡さや濃さが助長されたり、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分を所望の色で表現することができなかったりしてしまう。例えば、4色(YMCK)の各短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分(画像の繋ぎ目)に「+5%」の濃度誤差が生じるとする。そうすると、4色(YMCK)の画像が重ねて印刷される場合には、画像の繋ぎ目の濃度誤差が「+5%」の約4倍となり、3色(YMC)の画像が重ねて印刷される場合には、画像の繋ぎ目の濃度誤差が「+5%」の約3倍となり、2色(YとM、YとC、MとC)の画像が重ねて印刷される場合には、画像の繋ぎ目の濃度誤差が「+5%」の約2倍となってしまう。そのため、複数色の画像の繋ぎ目が重ねて印刷された部分が、印刷画像上において搬送方向に沿うスジとして視認され易くなり、印刷画像の画質がより劣化してしまう。
【0047】
つまり、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分(画像の繋ぎ目)は濃度誤差が生じ易いにも拘らず、図5Aの比較例のように、4色(YMCK)の全てのヘッド群31について、短尺ヘッド32の繋ぎ目の紙幅方向の位置を等しくしてしまうと、濃度誤差が生じる画像の繋ぎ目が重ねて印刷されてしまい、印刷画像の画質がより劣化してしまう。
【0048】
一方、図5Bに示す比較例では、4色のUVインク(YMCK)の全てのヘッド群31について、短尺ヘッド32の繋ぎ目(重複領域)の位置を紙幅方向にずらしている。
【0049】
具体的に言うと、イエローの第1短尺ヘッド32(Y1)と第2短尺ヘッド32(Y2)の繋ぎ目の位置が紙幅方向の最も奥側に位置し、マゼンタの第1短尺ヘッド32(M1)と第2短尺ヘッド32(M2)の繋ぎ目の位置がイエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置よりも紙幅方向の手前側にずれ、シアンの第1短尺ヘッド32(C1)と第2短尺ヘッド32(C2)の繋ぎ目の位置がマゼンタの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置よりも紙幅方向の手前側にずれ、ブラックの第1短尺ヘッド32(K1)と第2短尺ヘッド32(K2)の繋ぎ目の位置が紙幅方向の最も手前側に位置する。
【0050】
この場合、各色(YMCK)のヘッド群31において、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分に濃度誤差が生じたとしても、その濃度誤差が生じる画像部分が重ねて印刷されてしまうことはなく、紙幅方向にずれて印刷される。よって、図5Bの比較例では、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分の濃度誤差が助長されてしまうことを防止でき、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分を出来る限り所望の色に近付けることができる。
【0051】
しかし、図5Bの比較例では、紙幅方向の最も奥側にずれたイエローの短尺ヘッド32群と、紙幅方向の最も手前側にずれたブラックの短尺ヘッド32群とが、重複する領域でしか、画像を印刷することが出来ない。例えば、イエローの第1短尺ヘッド32(Y1)の紙幅方向奥側のノズルは、紙幅方向の同じ位置に他の色(MCK)のノズルが存在しないため、使用することが出来ない。従って、図5Bの比較例における印字可能幅W2は、短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置をずらさない図5Aの比較例における印字可能幅W1よりも、大幅に短くなってしまう。
【0052】
つまり、図5Bの比較例のように、4色(YMCK)の全てのヘッド群31について短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置を紙幅方向にずらしてしまうと、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分の濃度誤差を抑制することはできるが、紙幅方向の印字可能幅W2が短くなってしまう。言い換えると、図5Bの比較例では、所望の印字可能幅を得るために、短尺ヘッド32の数を増やしたり、ノズル列の長さを長くしたりする必要がある。
【0053】
<本実施形態の配置>
図6A及び図6Bは、本実施形態の短尺ヘッド32の配置を説明する図である。本実施形態では、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目(重複領域)の位置だけが、他の3色(マゼンタ・シアン・ブラック)の短尺ヘッド32の繋ぎ目(重複領域)の位置に対して、紙幅方向にずれている。
【0054】
具体的に言うと、「イエローの第1短尺ヘッド32(Y1)(第1イエローノズル群)と第2短尺ヘッド32(Y2)(第2イエローノズル群)の繋ぎ目の紙幅方向の位置」が、「マゼンタの第1短尺ヘッド32(M1)(第1マゼンタノズル群)と第2短尺ヘッド32(M2)(第2マゼンタノズル群)の繋ぎ目の紙幅方向の位置」と、「シアンの第1短尺ヘッド32(C1)(第1シアンノズル群)と第2短尺ヘッド32(C2)(第2シアンノズル群)の繋ぎ目の紙幅方向の位置」と、「ブラックの第1短尺ヘッド32(K1)(第1ブラックノズル群)と第2短尺ヘッド32(K2)(第2ブラックノズル群)の繋ぎ目の紙幅方向の位置」に対して、紙幅方向の奥側にずれている。
【0055】
なお、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置が、他の3色(マゼンタ・シアン・ブラック)の短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置に対して、紙幅方向の手前側にずれるようにしてもよい。
【0056】
また、マゼンタの第1短尺ヘッド32(M1)と第2短尺ヘッド32(M2)の繋ぎ目の紙幅方向の位置と、シアンの第1短尺ヘッド32(C1)と第2短尺ヘッド32(C2)の繋ぎ目の紙幅方向の位置と、ブラックの第1短尺ヘッド32(K1)と第2短尺ヘッド32(K2)の繋ぎ目の紙幅方向の位置とが、等しい。
【0057】
そのため、本実施形態では、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分(画像の繋ぎ目)は、マゼンタ、シアン、ブラックの各短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分と重なることが無い。よって、4色(YMCK)の全てのヘッド群31について短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置を等しくする図5Aの比較例に比べて、本実施形態では、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分が重なる数の最大数、即ち、濃度誤差が生じる画像部分が重なる数の最大数を、4個から3個に減らすことが出来る。
【0058】
ゆえに、本実施形態では、図5Aの比較例に比べて、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分の濃度誤差が助長されてしまうことを抑制でき、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分を出来る限り所望の色に近付けることができる。そうすると、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分(画像の繋ぎ目)が搬送方向に沿うスジとして視認され難くなり、印刷画像の画質劣化を抑制することが出来る。
【0059】
また、本実施形態では、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置だけが、他の3色(MCK)の各短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置に対してずれているので、4色(YMCK)の各短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置が互いにずれている図5Bの比較例に比べて、紙幅方向の印字可能幅を長くすることができる(W3>W2)。
【0060】
例えば、異なる色の短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置を重複領域の長さ分だけ紙幅方向にずらしたとする。そうすると、短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置を全くずらさない図5Aの比較例に比べて、図5Bの比較例では、重複領域6個分の長さも印字可能幅が短くなってしまう。これに対して、本実施形態では、図5Aの比較例に比べて、重複領域2個分の長さだけしか印字可能幅が短くならない。
【0061】
ゆえに、本実施形態では、図5Bの比較例に比べて、短尺ヘッド32に属するノズルを有効利用することができ、所望の印字可能幅を得るために、短尺ヘッド32の数を増やしたり、ノズル列の長さを長くしたりする必要がなくなる。
【0062】
このように、本実施形態では、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置だけを、他の3色(MCK)の各短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置に対してずらすことで、印刷画像の画質劣化を抑制しつつ、紙幅方向の印字可能幅を出来る限り長くする。
【0063】
また、4色のUVインク(YMCK)のうち、イエロー、マゼンタ、シアンインクは互いに重ねて印刷される確率が高いが、ブラックインクは他の色インクと重ねて印刷されずに単独で印刷される確率が高い。そのため、本実施形態のように、4色のUVインク(YMCK)のうち、ブラックインク以外の色であるイエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置を、他の3色の各短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置に対してずらすようにするとよい。
【0064】
そうすると、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分は単独で印刷され、また、ブラックの短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分は単独で印刷される確率が高いため、マゼンタとシアンの各短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分だけが重なることになる。
【0065】
つまり、ブラック以外のイエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置を他の3色の各短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置に対してずらすことで、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分が重なる数(最大数)、即ち、濃度誤差が生じる画像部分が重なる数(最大数)を、より少なくすることが出来る。言い換えれば、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分が重なってしまう確率を小さくすることができる。
【0066】
また、短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置をずらさずに(即ち、図5Aの短尺ヘッド32の配置にて)、ブラック以外の3色のUVインク(YMC)を種々組み合わせて実際に画像を印刷した。その結果、イエローインク単独で印刷した画像では、画像の繋ぎ目が視認され難いが、イエローインクと他の色インク(MC)を重ねて印刷した画像では、画像の繋ぎ目が視認され易い傾向があった。特に、イエローインクとシアンインクを重ねて印刷した緑の画像において画像の繋ぎ目が視認され易い傾向があった。
【0067】
この理由は定かではないが、イエローインクの輝度値がマゼンタインクやシアンインクの輝度値に比べて高い為にイエローインクが他の色インクと重ねて印刷される際に悪影響を及ぼしたり、人間の目が比較的に緑色に敏感であることが影響したりすると考えられる。また、例えば、実際に印刷したテストパターンに基づいて、列領域ごと(ラスターラインが印刷される媒体上の領域ごと)に補正値を算出する場合に(後述)、イエローのテストパターンは他の色のテストパターンに比べて濃度誤差が視認され難い為、イエローの補正値が他の色の補正値に比べて精度が落ちる傾向がある。そのため、精度の低い補正値に基づいて印刷されたイエローの画像と他の色の画像とが重なることにより、画像の繋ぎ目が視認され易くなるとも考えられる。
【0068】
そこで、本実施形態のように、ブラック以外の3色(YMC)のうち、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置を、他の3色(MCK)の各短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置に対して、紙幅方向にずらすようにするとよい。
【0069】
そうすることで、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分と、他の3色(MCK)の各短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分とが、重なってしまうことを防止できる。その結果、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分をより目立ち難くすることができ、印刷画像の画質劣化をより抑制することができる。特に、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分が視認され易い緑の画像において、イエローとシアンの各短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分が重ならないように印刷することができる。
【0070】
以上をまとめると、本実施形態では、プリンター1が吐出する4色のUVインク(YMCK)のうち、他の色インクと重なった際に、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分が目立ち易いイエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置だけを、他の3色(MCK)の各短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置に対してずらすことで、印刷画像の画質劣化を抑制しつつ、紙幅方向の印字可能幅を出来る限り長くする。
【0071】
また、UVインク(光硬化型インク)は、粘度が高いので媒体上にて濡れ広がり難く、丸い粒状になり易い。そのため、インク吐出量や紫外線の照射条件に誤差が生じると、媒体の埋まりが悪くなる虞がある。そのため、UVインクを使用するプリンター1において、例えば、図3Bに示すように紙幅方向に並ぶ短尺ヘッド32が離れて配置されてしまうと、UVインクによる媒体の埋まりがより悪化してしまう虞がある。ゆえに、UVインクを使用するプリンター1(即ち、ノズルから吐出されるインクが光の照射により硬化する光硬化型インクであるプリンター)では、本実施形態のように、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置を他の色の各短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置に対してずらすことが、より有効となる。
【0072】
また、本実施形態では、短尺ヘッド32(ノズル列)が端部を重複させつつ紙幅方向に並んでいる。そのため、例えば、図3Bに示すように紙幅方向に並ぶ2つの短尺ヘッド32が離れて配置されてしまっても、2つの短尺ヘッド32のうちの一方の短尺ヘッド32(図3Bでは第1短尺ヘッド32(1))によりドットが形成される。ゆえに、本実施形態では、短尺ヘッド32の端部が重複していない場合に比べて、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分をより目立ち難くすることができ、印刷画像の画質劣化をより抑制することができる。
【0073】
また、本実施形態では、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目(重複領域)の位置を、マゼンタ、シアン、ブラックの各短尺ヘッド32の繋ぎ目(重複領域)の位置に隣接させる。即ち、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置を、他の3色(MCK)の各短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置に対して、重複領域の長さ分だけ紙幅方向にずらす。
【0074】
具体的に言うと、図6Bに示すように、イエローの第1短尺ヘッド32(Y1)と第2短尺ヘッド32(Y2)の繋ぎ目の位置よりもノズル間隔Dだけ紙幅方向手前側にずれた位置を、マゼンタ、シアン、ブラックの第1短尺ヘッド32(1)と第2短尺ヘッド32(2)の繋ぎ目の位置にする。即ち、イエローの第2短尺ヘッド32(Y2)のノズル#5の位置を、マゼンタ、シアン、ブラックの第1短尺ヘッド32(1)のノズル#177の位置にする。
【0075】
そうすることで、イエローの短尺ヘッド32群と他の3色(MCK)の短尺ヘッド32群のずれ量を出来る限り短くすることができ、即ち、イエローの短尺ヘッド32群と他の3色の短尺ヘッド32群が重複する領域を出来る限り長くすることができるため、紙幅方向の印字可能幅W3を出来る限り長くすることができる。
【0076】
===濃度誤差の補正値H===
本実施形態のプリンター1は、所定の濃度を示す指令階調値に基づいて印刷したテストパターンにより、ラスターライン(搬送方向に沿うドット列)を形成する媒体上の領域である「列領域」ごとに算出された補正値Hを、インクの色(YMCK)ごとにメモリー13(記憶部に相当)に記憶し、その補正値Hで、印刷する画像の濃度を示す階調値(画像データ)を補正した階調値に基づいて、媒体に画像を印刷する。
【0077】
そうすることで、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分(画像の繋ぎ目)の濃度誤差を低減することができ、印刷画像の画質劣化をより抑制することができる。
また、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分に限らず、ノズルの加工精度の問題(インク吐出量やインク着弾位置のばらつき)によっても、印刷画像に濃度むらが生じる。即ち、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分以外にも濃度誤差が生じる虞がある。よって、列領域ごと、インクの色(YMCK)ごとの補正値Hにより、印刷画像の全域に亘って濃度誤差(濃度むら)を補正することができる。
【0078】
ただし、前述のように、短尺ヘッド32の相対位置関係のずれにより生じる画像の繋ぎ目の濃度誤差は一定であるため、この補正値Hにより補正することができるが、媒体の蛇行搬送により生じる画像の繋ぎ目の濃度誤差は一定でないため、この補正値Hで補正するには限界がある。しかし、本実施形態のプリンター1では、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置を他の3色の各短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置に対してずらすため、媒体の蛇行搬送により生じる画像の繋ぎ目の濃度誤差が助長されてしまうことを抑制できる。
【0079】
また、前述のように、イエローのテストパターンは他の色のテストパターンに比べて濃度誤差が視認され難く、イエローの補正値Hは他の色の補正値Hに比べて精度が落ちる傾向にある。しかし、本実施形態のプリンター1では、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置を他の3色の各短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置に対してずらすため、イエローインクを使用する画像であっても、画像の繋ぎ目を目立ち難くすることができる。
【0080】
<補正値Hの算出方法>
以下、列領域ごと、インクの色(YMCK)ごとの、濃度誤差の補正値Hの算出方法について説明する。なお、補正値Hは、プリンター1の製造工程やメンテナンス時に、プリンター1ごとに算出するとよい。ここでは、補正値Hの算出時にプリンター1に接続されるコンピューターにインストールされている補正値算出プログラムに従って補正値Hが算出されるとする。
【0081】
図7は、ある色のテストパターンを説明する図である。補正値算出プログラムは、まず、プリンター1に、4色のUVインク(YMCK)ごとに、テストパターンを印刷させる。
【0082】
テストパターンは、3種類の濃度の帯状パターンから構成され、3種類の濃度の帯状パターンは、それぞれ一定の階調値の画像データから形成されたものである。なお、画像データは、2次元に並ぶ画素から構成され、各画素の示す濃度を、多段階の階調値(0〜255)で表す。ここでは、階調値の値が低い程、その画素の濃度は淡く、階調値の値が高い程、その画素の濃度は濃いとする。
【0083】
帯状パターンを形成するための階調値を指令階調値と呼び、濃度30%の帯状パターンの指令階調値をSa(76)、濃度50%の帯状パターンの指令階調値をSb(128)、濃度70%の帯状パターンの指令階調値をSc(179)と表す。
【0084】
本実施形態のプリンター1は、ヘッド群31に対して媒体Sを搬送方向に搬送しながらノズルからインクを吐出することによって、画像(テストパターン)を印刷する。よって、テストパターンは、印字可能領域に属するノズルによって印刷されるラスターラインが紙幅方向に並んだ画像となる。例えば、印字可能領域に属するノズル数がN個である場合、テストパターンは紙幅方向に並ぶN個のラスターラインから構成される。言い換えると、テストパターンはN個の列領域から構成される。なお、テストパターンを構成するN個の列領域のうち、紙幅方向奥側の列領域から順に小さい番号(1〜N)を付す。
【0085】
図8は、スキャナーによるシアンのテストパターンの読取結果を示す図である。横軸が列領域番号(1〜N)を示し、縦軸が各列領域の読取階調値(濃度)を示す。以下、シアンの読取結果を例に挙げて説明する。
【0086】
プリンター1がテストパターンを印刷した後、補正値算出プログラムは、そのテストパターンをスキャナーが読み取った結果(読取データ)を取得する。ここで、読取データ上、及び、画像データ上において、媒体の紙幅方向に対応する方向をX方向とし、媒体の搬送方向に対応する方向をY方向とする。また、データ上において、Y方向(媒体の搬送方向)に並ぶ画素の列を「画素列」と呼ぶ。
【0087】
次に、補正値算出プログラムは、テストパターンの読取データ上の「画素列」と、テストパターンが印刷された媒体上の「列領域」とを、一対一で対応させる。そして、補正値算出プログラムは、帯状パターンごとに(3種類の濃度ごとに)、各列領域の読取階調値(濃度)を算出する。具体的に説明すると、補正値算出プログラムは、ある列領域iに対応する画素列に属する画素のうち、ある指令階調値(例:Sb)の帯状パターンに対応する画素の示す読取階調値の平均値を算出し、その算出した平均値を、ある列領域iのある指令階調値(例:Sb)の読取階調値(濃度)とする。
【0088】
その結果、図8に示す読取結果が得られる。各帯状パターンは、各指令階調値(Sa,Sb,Sc)で一様に印刷されたにもかかわらず、列領域ごとに読取階調値(濃度)にばらつきが生じる。例えば、図8のグラフにおいて、i列領域の読取階調値Cbiは他の列領域の読取階調値よりも比較的に低く、淡く視認され、j列領域の読取階調値Cbjは他の列領域の読取階調値よりも比較的に高く、濃く視認される。この各列領域1〜Nの読取階調値のばらつきが、印刷画像に発生する濃度誤差(濃度むら)である。
【0089】
よって、各列領域1〜Nの読取階調値を一定の値に近付けることで、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分の濃度誤差や、ノズルの加工精度の問題により生じる濃度誤差を、改善することができる。
【0090】
そのために、例えば、同一の指令階調値(例:Sb)における全列領域1〜Nの読取階調値の平均値Cbtを「目標値Cbt」に設定する。そして、指令階調値Sbで印刷した際の各列領域1〜Nの読取階調値が目標値Cbtに近づくように、各列領域1〜Nに対応する画像データ(階調値)を補正するための補正値Hを算出する。
【0091】
具体的に説明すると、目標値Cbtよりも読取階調値の低い列領域iに対応する画像データの示す階調値を、指令階調値Sbよりも濃い階調値(高い階調値)に補正する。一方、目標値Cbtよりも読取階調値の高い列領域jに対応する画像データの示す階調値を、指令階調値Sbよりも淡い階調値(低い階調値)に補正する。このように、各列領域1〜Nの読取階調値が目標値Cbtとなるように、指令階調値Sbから補正する階調値を「目標指令階調値Sbt」と呼ぶ。
【0092】
図9Aは、目標値Cbtよりも読取階調値Cbiの低い列領域iの目標指令階調値Sbtを算出する様子を示す図であり、図9Bは、目標値Cbtよりも読取階調値Cbjの高い列領域jの目標指令階調値Sbtを算出する様子を示す図である。横軸が指令階調値を示し、縦軸がテストパターンの読取階調値を示す。グラフには、列領域i,jでの、指令階調値(Sa,Sb,Sc)に対する読取階調値(Cai,Cbi,Cci)の結果がプロットされている。
【0093】
図9Aに示すように、指令階調値Sbに対して列領域iが目標値Cbtにて表されるための目標指令階調値Sbtは、次式(直線BCに基づく線形補間)により算出される。
Sbt=Sb+{(Sc−Sb)×(Cbt−Cbi)/(Cci−Cbi)}
【0094】
同様に、図9Bに示すように、指令階調値Sbに対して列領域jが目標値Cbtにて表されるための目標指令階調値Sbtは、次式(直線ABに基づく線形補間)により算出される。
Sbt=Sa+{(Sb−Sa)×(Cbt−Caj)/(Cbj−Caj)}
【0095】
こうして、補正値算出プログラムは、列領域1〜Nごとに、指令階調値Sbに対する目標指令階調値Sbtを算出した後に、次式により、各列領域1〜Nの指令階調値Sbに対するシアンの補正値Hbを算出する。
Hb=(Sbt−Sb)/Sb
【0096】
補正値算出プログラムは、同様に、他の指令階調値(Sa,Sc)、他の色(YMK)に関しても、各列領域1〜Nの補正値Hを算出する。つまり、補正値算出プログラムは、指令階調値ごと(Sa,Sb,Sc)、インクの色ごと(YMCK)、列領域ごと(1〜N)に、補正値Hを算出する。
【0097】
図10は、補正値テーブルを説明する図である。補正値算出プログラムは、算出した補正値Hを、インクの色ごと(YMCK)に、補正値テーブルにまとめる。補正値テーブルでは、列領域(1〜N)ごとに、3つの指令階調値(Sa,Sb,Sc)と補正値(Ha,Hb,Hc)がそれぞれ対応付けられている。補正値算出プログラムは、この補正値テーブルを、プリンター1のメモリー13に記憶させる。その後、プリンター1はユーザーのもとへ出荷される。
【0098】
<補正値Hによる濃度補正処理>
ユーザーは、プリンター1の使用開始時に、プリンター1に接続するコンピューター60にプリンタードライバーをインストールする。プリンタードライバーは、プリンター1のメモリー13に記憶されている補正値テーブル(図10)を取得する。
【0099】
そして、プリンタードライバーは、各種アプリケーションプログラムからプリンター1に印刷させる画像データを受信すると、プリンター1が印刷を実行するための印刷データを作成する。まず、プリンタードライバーは、解像度変換処理により、受信した画像データの解像度を、プリンター1による印刷時の印刷解像度に変換する。次に、プリンタードライバーは、色変換処理により、RGBデータである画像データを、プリンター1が有するインクの色に対応したYMCKデータに変換する。
【0100】
その後、プリンタードライバーは、補正値テーブルを参照し、列領域ごと、色ごと、指令階調値ごとの補正値Hに基づいて、画像データを構成する各画素の示す階調値(0〜255)を補正する。
【0101】
画素の示す補正前の階調値S_inが指令階調値のいずれかSa,Sb,Scと同じであれば、補正値テーブルに記憶されている補正値Ha,Hb,Hcをそのまま適用することができる。例えば、補正前の階調値S_inがScであれば、補正後の階調値S_outは次式により求められる。
【0102】
S_out=S_in×(1+Hc)
【0103】
図11は、シアンのx番目の列領域に関して補正前の階調値S_inに対応する補正値H_outを算出する様子を示す図である。横軸が補正前の階調値S_inを示し、縦軸が補正前の階調値S_inに対応する補正値H_outを示す。プリンタードライバーは、補正前の階調値S_inが指令階調値(Sa,Sb,Sc)と異なる場合、まず、補正前の階調値S_inに対応する補正値H_outを算出する。
【0104】
例えば、図11に示すように補正前の階調値S_inが指令階調値SaとSbの間であるとき、プリンタードライバーは、指令階調値Saに対応する補正値Haと指令階調値Sbに対応する補正値Hbの線形補間によって、補正前の階調値S_inに対応する補正値H_outを算出する。そして、算出した補正値H_outにより階調値S_inを補正する。
H_out=Ha+{(Hb−Ha)×(S_in−Sa)/(Sb−Sa)}
S_out=S_in×(1+H_out)
【0105】
なお、補正前の階調値S_inが指令階調値Saよりも小さい場合には、最低階調値0と指令階調値Saの線形補間により補正値H_outを算出し、補正前の階調値S_inが指令階調値Scよりも大きい場合には、指令階調値Scと最高階調値255の線形補間によって補正値H_outを算出する。
【0106】
こうして、濃度が淡く視認されてしまう列領域に対応する画素の示す階調値S_inは濃い階調値S_outに補正され、濃度が濃く視認されてしまう列領域に対応する画素の示す階調値S_inは淡い階調値S_outに補正される。
【0107】
その後、プリンタードライバーは、補正値Hに基づいて補正した画像データ(階調値S_out)を、ハーフトーン処理により、高い階調数(0〜255)のデータからプリンター1が表現可能な低い階調数のデータに変換する。そして最後に、プリンタードライバーは、ラスタライズ処理により、マトリクス状の画像データをプリンター1に転送すべき順に並べ替えて、プリンター1に送信する。
【0108】
そして、プリンター1は、受信した印刷データに基づいて印刷を実行する。そうすることで、プリンター1に印刷される画像の濃度誤差を改善することができる。なお、プリンタードライバーの処理をプリンター1内のコントローラー10が実行するようにしてもよい。
【0109】
===変形例===
図12A及び図12Bは、短尺ヘッド32の配置の変形例を説明する図である。前述の実施形態(図6)では、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置を、マゼンタ、シアン、ブラックの各短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置に対してずらしているが、これに限らない。例えば、図12Aに示すように、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置をマゼンタ、シアンの各短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置に対してはずらすが、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置とブラックの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置を等しくしてもよい。
【0110】
この場合であっても、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分と、マゼンタ・シアンの各短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分とが、重なってしまうことを防止できる。また、イエローの画像とブラックの画像が重ねて印刷される確率は低い。よって、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分を目立ち難くすることができる。
【0111】
また、この変形例では、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置とブラックの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置を等しくするため、紙幅方向の印字可能幅W3は前述の実施形態(図6)と同じである。また、この変形例では、4色(YMCK)の各短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置を紙幅方向に2色ずつ分散させることが出来るため、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分が重なる数の最大数を2個にすることが出来る。
【0112】
また、前述の実施形態では、短尺ヘッド32(ノズル列)の端部を重複させているが、これに限らず、短尺ヘッド32(ノズル列)の端部を重複させなくてもよい。例えば、図12Bに示すように、紙幅方向に並ぶ2つの短尺ヘッド(例:32(Y1)と32(Y2))のうち、紙幅方向奥側の短尺ヘッド(例:32(Y1))の最も手前側の端部ノズル#180と、紙幅方向手前側の短尺ヘッド(例:32(Y2))の最も奥側の端部ノズル#1と、の紙幅方向の間隔が、ノズル間隔Dとなるように、短尺ヘッド32を配置してもよい。
【0113】
この場合、紙幅方向奥側の短尺ヘッド(例:32(Y1))の最も手前側の端部ノズル#180と、紙幅方向手前側の短尺ヘッド(例:32(Y2))の最も奥側の端部ノズル#1が、短尺ヘッド32の繋ぎ目に相当し、この繋ぎ目で印刷される画像部分に濃度誤差が生じ易い。よって、図12Bに示すように、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置を、マゼンタ、シアン、ブラックの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置に対してずらすことで、印刷画像の画質劣化を抑制しつつ、紙幅方向の印字可能幅を長くすることができる。
【0114】
また、前述の実施形態では、図6Bに示すように、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置を、他の3色の各短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置に、隣接させているが、これに限らず、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置と、他の3色の各短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置を離してもよい。例えば、イエローの第2短尺ヘッド32(Y2)の紙幅方向の中央部(例:ノズル#90付近)に、マゼンタ、シアン、ブラックの第1短尺ヘッド32(1)と第2短尺ヘッド32(2)の繋ぎ目が位置するようにしてもよい。
【0115】
また、前述のプリンター1は4色のインク(YMCK)を吐出するが、これに限らず、イエロー、マゼンタ、シアンの3色のインクを吐出し、ブラックインクは吐出しないプリンターであってもよい。この場合であっても、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置に対して、マゼンタとシアンの各短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置をずらし、マゼンタとシアンの各短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置を等しくする。
【0116】
===その他の実施の形態===
上記の実施形態は、主として、印刷装置について記載されているが、印刷方法等の開示が含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【0117】
<プリンターについて>
前述の実施形態では、固定されたヘッド群31の下を媒体Sが通過する際にヘッド群31(ノズル)からインクを吐出するプリンター1を例に挙げているが、これに限らない。例えば、移動方向に沿って移動するヘッドからインクを吐出する動作と、移動方向と交差する搬送方向に媒体を搬送する搬送動作と、が繰り返されるプリンターであってもよい。また、例えば、印刷領域に搬送された連続用紙に対して、ヘッドを媒体の搬送方向に移動しながら画像を形成する動作と、ヘッドを紙幅方向に移動する動作と、を繰り返して画像を形成し、その後、未だ印刷されていない媒体部分を印刷領域に搬送するプリンターであってもよい。
【0118】
<インクについて>
前述の実施形態では、プリンター1が使用するインクとして紫外線硬化型インク(UVインク)を例に挙げているが、これに限らない。プリンター1が使用するインクを、例えば、可視光を照射すると硬化するインクとしてもよいし、媒体に浸透する水系インクや有機溶剤系インクとしてもよい。
【符号の説明】
【0119】
1 プリンター、10 コントローラー、11 インターフェース部、
12 CPU、13 メモリー、14 ユニット制御回路、
20 搬送ユニット、21A 搬送ローラー、21B 搬送ローラー、
22 搬送ベルト、
30 ヘッドユニット、31 ヘッド群、32 短尺ヘッド、
40 照射ユニット、41 仮照射部、42 本照射部、
50 検出器群、60 コンピューター
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、及び、印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置として、ノズルからインクを吐出するヘッドを有するインクジェットプリンター(以下、プリンター)が挙げられる。プリンターの中には、ヘッドを複数繋げて配置し、印刷可能な画像幅を長くしたプリンターがある。
【0003】
ただし、ヘッドに形成されるノズル列のノズル間隔は微小である。そのため、複数のヘッドを繋げて配置する際に、ヘッドの相対位置関係がずれてしまうと、ヘッドの繋ぎ目で印刷される画像部分の濃度が濃くなったり淡くなったりしてしまう。そこで、ヘッドの端部(ノズル列の端部)を重複させたプリンターが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−255175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ヘッドの端部(ノズル列の端部)を重複させることで、ヘッドの繋ぎ目で印刷される画像部分の濃度むらを目立ち難くすることができるが、濃度むらを完全に解消することは難しい。そのため、複数の色インクを吐出するプリンターにおいて、全ての色のヘッドの繋ぎ目の位置を同じにしてしまうと、その繋ぎ目で印刷される画像部分が重なって印刷されてしまい、濃度むらが助長されてしまう虞がある。そうすると、その繋ぎ目で印刷される画像部分が印刷画像上で目立ち、印刷画像の画質が劣化してしまう。
【0006】
そこで、本発明は、印刷画像の画質劣化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決する為の主たる発明は、(A)イエローインクを吐出する複数のノズルが所定方向に並んだ第1イエローノズル群と、イエローインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並び、前記第1イエローノズル群に対して前記所定方向にずれて配置された第2イエローノズル群と、(B)マゼンタインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並んだ第1マゼンタノズル群と、マゼンタインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並び、前記第1マゼンタノズル群に対して前記所定方向にずれて配置された第2マゼンタノズル群と、(C)シアンインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並んだ第1シアンノズル群と、シアンインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並び、前記第1シアンノズル群に対して前記所定方向にずれて配置された第2シアンノズル群と、(D)前記所定方向と交差する方向にノズル群と媒体とを相対移動させながら、前記ノズルからインクを吐出させることによって、前記媒体に画像を印刷させる制御部と、(E)を備え、(F)前記第1イエローノズル群と前記第2イエローノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置が、前記第1マゼンタノズル群と前記第2マゼンタノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置、及び、前記第1シアンノズル群と前記第2シアンノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置に対してずれており、前記第1マゼンタノズル群と前記第2マゼンタノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置と、前記第1シアンノズル群と前記第2シアンノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置とが、等しい、(G)ことを特徴とする印刷装置である。
本発明の他の特徴は、本明細書、及び添付図面の記載により、明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1Aはプリンターの全体構成ブロック図であり、図1Bはプリンターの概略断面図である。
【図2】ある色のヘッド群の下面を説明する図である。
【図3】図3Aは設計通りに短尺ヘッドが配置された場合を説明する図であり、図3Bは短尺ヘッドが離れるように配置された場合を説明する図であり、図3Cは短尺ヘッドが近付くように配置された場合を説明する図である。
【図4】媒体が蛇行して搬送される場合を説明する図である。
【図5】図5A及び図5Bは短尺ヘッドの配置の比較例を説明する図である。
【図6】図6A及び図6Bは本実施形態の短尺ヘッドの配置を説明する図である。
【図7】ある色のテストパターンを説明する図である。
【図8】スキャナーによるテストパターンの読取結果を示す図である。
【図9】図9A及び図9Bは目標指令階調値を算出する様子を示す図である。
【図10】補正値テーブルを説明する図である。
【図11】補正前の階調値に対応する補正値を算出する様子を示す図である。
【図12】図12A及び図12Bは短尺ヘッドの配置の変形例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
===開示の概要===
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかとなる。
【0010】
即ち、(A)イエローインクを吐出する複数のノズルが所定方向に並んだ第1イエローノズル群と、イエローインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並び、前記第1イエローノズル群に対して前記所定方向にずれて配置された第2イエローノズル群と、(B)マゼンタインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並んだ第1マゼンタノズル群と、マゼンタインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並び、前記第1マゼンタノズル群に対して前記所定方向にずれて配置された第2マゼンタノズル群と、(C)シアンインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並んだ第1シアンノズル群と、シアンインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並び、前記第1シアンノズル群に対して前記所定方向にずれて配置された第2シアンノズル群と、(D)前記所定方向と交差する方向にノズル群と媒体とを相対移動させながら、前記ノズルからインクを吐出させることによって、前記媒体に画像を印刷させる制御部と、(E)を備え、(F)前記第1イエローノズル群と前記第2イエローノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置が、前記第1マゼンタノズル群と前記第2マゼンタノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置、及び、前記第1シアンノズル群と前記第2シアンノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置に対してずれており、前記第1マゼンタノズル群と前記第2マゼンタノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置と、前記第1シアンノズル群と前記第2シアンノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置とが、等しい、(G)ことを特徴とする印刷装置である。
このような印刷装置によれば、ノズル群の繋ぎ目で印刷される画像部分を目立ち難くすることができ、印刷画像の画質劣化を抑制することができる。また、所定方向の印字可能幅を出来る限り長くすることができる。
【0011】
かかる印刷装置であって、ブラックインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並んだ第1ブラックノズル群と、ブラックインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並び、前記第1ブラックノズル群に対して前記所定方向にずれて配置された第2ブラックノズル群と、を備え、前記第1ブラックノズル群と前記第2ブラックノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置が、前記第1マゼンタノズル群と前記第2マゼンタノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置、及び、前記第1シアンノズル群と前記第2シアンノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置と、等しいこと。
このような印刷装置によれば、ノズル群の繋ぎ目で印刷される画像部分を目立ち難くすることができ、印刷画像の画質劣化を抑制することができる。また、所定方向の印字可能幅を出来る限り長くすることができる。
【0012】
かかる印刷装置であって、前記ノズルから吐出されるインクは、光の照射により硬化する光硬化型インクであること。
このような印刷装置によれば、ノズル群の繋ぎ目で印刷される画像部分を目立ち難くすることができ、印刷画像の画質劣化を抑制することができる。また、所定方向の印字可能幅を出来る限り長くすることができる。
【0013】
かかる印刷装置であって、所定の濃度を示す指令階調値に基づいて印刷したテストパターンにより、前記交差する方向に沿うドット列を形成する前記媒体上の領域である列領域ごとに算出された補正値を、インクの色ごとに記憶した記憶部を備え、印刷する画像の濃度を示す階調値を前記補正値で補正した階調値に基づいて、前記媒体に画像を印刷すること。
このような印刷装置によれば、ノズル群の繋ぎ目で印刷される画像部分をより目立ち難くすることができ、印刷画像の画質劣化をより抑制することができる。
【0014】
また、(A)イエローインクを吐出する複数のノズルが所定方向に並んだ第1イエローノズル群と、イエローインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並び、前記第1イエローノズル群に対して前記所定方向にずれて配置された第2イエローノズル群と、(B)マゼンタインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並んだ第1マゼンタノズル群と、マゼンタインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並び、前記第1マゼンタノズル群に対して前記所定方向にずれて配置された第2マゼンタノズル群と、(C)シアンインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並んだ第1シアンノズル群と、シアンインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並び、前記第1シアンノズル群に対して前記所定方向にずれて配置された第2シアンノズル群と、を備え、(D)前記第1イエローノズル群と前記第2イエローノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置が、前記第1マゼンタノズル群と前記第2マゼンタノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置、及び、前記第1シアンノズル群と前記第2シアンノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置に対してずれており、前記第1マゼンタノズル群と前記第2マゼンタノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置と、前記第1シアンノズル群と前記第2シアンノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置とが、等しい印刷装置による印刷方法であって、(E)前記所定方向と交差する方向にノズル群と媒体とを相対移動させながら、前記ノズルからインクを吐出させることによって、前記媒体に画像を印刷する印刷方法である。
このような印刷方法によれば、ノズル群の繋ぎ目で印刷される画像部分を目立ち難くすることができ、印刷画像の画質劣化を抑制することができる。また、所定方向の印字可能幅を出来る限り長くすることができる。
【0015】
===印刷システム===
印刷装置をインクジェットプリンター(以下、プリンター)とし、プリンターとコンピューターが接続された印刷システムを例に挙げて、実施形態を説明する。
【0016】
図1Aは、プリンター1の全体構成ブロック図であり、図1Bは、プリンター1の概略断面図である。本実施形態のプリンター1は、紫外線の照射によって硬化する紫外線硬化型インク(光硬化型インクに相当)を吐出することにより、媒体S(例:用紙、布、フィルム)に画像を印刷する。なお、紫外線硬化型インク(以下、UVインク)は、紫外線硬化樹脂を含むインクであり、紫外線の照射を受けると紫外線硬化樹脂において光重合反応が起こることにより硬化する。
【0017】
コンピューター60は、プリンター1と通信可能に接続されており、プリンター1に画像を印刷させるための印刷データをプリンター1に出力する。
【0018】
コントローラー10は、プリンター1の制御を行うための制御ユニットである。インターフェース部11はコンピューター60とプリンター1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU12はプリンター1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー13はCPU12のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。CPU12はユニット制御回路14に従って各ユニットを制御する。なお、プリンター1内の状況を検出器群50が監視し、その検出結果に基づいて、コントローラー10は各ユニットを制御する。
【0019】
搬送ユニット20は、図1Bに示すように、搬送ローラー21A,21Bと搬送ベルト22を有し、媒体Sを搬送方向の上流側から下流側へ搬送するためのものである。媒体Sは、ヘッド群31や紫外線の照射部41,42と対向しながら、搬送ベルト22上を停まることなく一定の速度で搬送される。なお、搬送ベルト22上の媒体Sは吸引吸着又は静電吸着されており、媒体Sの位置ずれが防止されている。
【0020】
ヘッドユニット30は、媒体SにUVインクを吐出するためのものであり、4色のUVインク(YMCK)をそれぞれ吐出する4個のヘッド群31を有する。搬送方向上流側から順に、イエローインクを吐出するイエローヘッド群31(Y)、マゼンタインクを吐出するマゼンタヘッド群31(M)、シアンインクを吐出するシアンヘッド群31(C)、ブラックインクを吐出するブラックヘッド群31(K)が並んでいる。
【0021】
図2は、ある色のヘッド群31の下面を説明する図である。なお、図2は、ヘッド群31の上方からノズルの配列を仮想的に見た図である。各ヘッド群31では、搬送方向と交差する紙幅方向(所定方向に相当)に複数の短尺ヘッド32(1)〜32(n)が並んでいる。各短尺ヘッド32の下面には(媒体Sとの対向面)には、インクを吐出する180個のノズルが紙幅方向に所定の間隔Dおきに並んだノズル列が形成されている。説明のため、紙幅方向奥側の短尺ヘッド32から順に「第1短尺ヘッド32(1)、第2短尺ヘッド32(2)、…」と呼び、ノズル列に属するノズルのうち、紙幅方向奥側のノズルから順に小さい番号を付す(#1〜#180)。
【0022】
また、各ヘッド群31では、短尺ヘッド32の紙幅方向の端部(ノズル列の端部)が重複するように、複数の短尺ヘッド32(1)〜32(n)が配置されている。具体的に説明すると、紙幅方向に並ぶ2つの短尺ヘッド(例:32(1)と32(2))のうち、紙幅方向奥側の短尺ヘッド(例:32(1))の紙幅方向手前側の4個の端部ノズル(例:#177〜#180)の紙幅方向の位置と、紙幅方向手前側の短尺ヘッド(例:32(2))の紙幅方向奥側の4個の端部ノズル(例:#1〜#4)の紙幅方向の位置が、等しい。
【0023】
ゆえに、ヘッド群31の下面では、多数のノズルが紙幅方向に所定の間隔Dおきに並んでいることになる。従って、コントローラー10(制御部に相当)が、ヘッド群31に対して媒体Sを搬送方向(所定方向と交差する方向に相当)に移動させる際に、ノズルからインクを断続的に吐出させることによって、搬送方向に沿う複数のドット列が紙幅方向に並んで印刷され、媒体Sに2次元の画像が印刷される。なお、ノズルからのインク吐出方式は、駆動素子に電圧をかけて、インクが充填された圧力室を膨張・収縮させることによりインクを吐出するピエゾ方式でもよいし、発熱素子を用いてノズル内に気泡を発生させ、その気泡によってインクを吐出させるサーマル方式でもよい。
【0024】
また、以下の説明のため、紙幅方向に並ぶ短尺ヘッド32の端部ノズル(#1〜#4・#177〜#180・黒塗りのノズル)が重複する領域を「重複領域」と呼ぶ。この重複領域が、紙幅方向に並ぶ短尺ヘッド32の繋ぎ目(ノズル列の繋ぎ目)に相当する。
【0025】
照射ユニット40は、媒体Sに着弾したUVインクに向けて紫外線を照射し、UVインクを硬化させるためのものであり、4個の仮照射部41と本照射部42を有する。仮照射部41は、UVインクを完全には硬化しない程度に紫外線を照射し、本照射部42は、最後に、UVインクを完全に硬化するように紫外線を照射する。即ち、UVインクは2段階に分けて硬化される。
【0026】
図1Bに示すように、仮照射部41は、異色のUVインクを吐出するヘッド群31の間に設けられている。そのため、あるヘッド群31から吐出されたUVインクは、そのヘッド群31よりも搬送方向下流側のヘッド群31からUVインクが吐出される前に、仮照射部41によって硬化(半硬化)される。その結果、異色のUVインク間での滲みを防止することができる。
【0027】
なお、紫外線照射の光源として、例えば、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)や、メタルハライドランプ、水銀ランプなどが挙げられる。また、仮照射部41や本照射部42の紙幅方向の長さはヘッド群31の紙幅方向の長さと同程度であり、ヘッド群31から吐出された媒体S上のUVインクに対して紙幅方向の全域に亘って紫外線が照射される。
【0028】
===画像の繋ぎ目の濃度誤差===
図3Aは、設計通りに短尺ヘッド32が配置された場合に形成されるドットの様子を説明する図である。図では、第1短尺ヘッド32(1)で形成されるドットを黒丸(●)で示し、第2短尺ヘッド32(2)で形成されるドットを白丸(○)で示す。本実施形態では、設計上、短尺ヘッド32の紙幅方向における端部ノズル、即ち、重複領域に属するノズル(#177〜#180・#1〜#4)の紙幅方向の位置が等しくなるように、短尺ヘッド32が配置されている。例えば、第1短尺ヘッド32(1)のノズル#177の紙幅方向の位置と、第2短尺ヘッド32(2)のノズル#1の紙幅方向の位置が、等しくなるようにしている。
【0029】
そして、重複領域に属するノズルでは、紙幅方向の位置が等しく、且つ、異なる短尺ヘッド32に属する2つのノズルで、搬送方向に沿う1つのドット列(以下、ラスターライン)を形成するようにする。例えば、第1短尺ヘッド32(1)のノズル#177と第2短尺ヘッド32(2)のノズル#1が搬送方向に交互にドットを形成することによって、1つのラスターラインを形成するようにする。そうすることで、第1短尺ヘッド32(1)で形成する画像と第2短尺ヘッド32(2)で形成する画像の繋ぎ目を目立ち難くすることができる。
【0030】
図3Bは、第1短尺ヘッド32(1)に対して第2短尺ヘッド32(2)が離れるように配置された場合に形成されるドットの様子を説明する図である。図3Aに示すように、第1短尺ヘッド32(1)と第2短尺ヘッド32(2)が設計通りに配置されている場合、第1短尺ヘッド32(1)の重複領域のノズル(#177〜#180)により形成されるドットの紙幅方向の位置と、第2短尺ヘッド32(2)の重複領域のノズル(#1〜#4)により形成されるドットの紙幅方向の位置が、等しくなる。
【0031】
しかし、ノズル列におけるノズル間隔は微小であるため、図3Bに示すように、第1短尺ヘッド32(1)に対して第2短尺ヘッド32(2)が離れるように紙幅方向の手前側にずれて配置されてしまう場合がある。この場合、第1短尺ヘッド32(1)の重複領域のノズルにより形成されるドットに対して、第2短尺ヘッド32(2)の重複領域のノズルにより形成されるドットが、紙幅方向の手前側にずれてしまう。そうすると、重複領域のノズルによりドットが形成されるべき媒体部分のドット密度が小さくなってしまうため(インク吐出量が少なくなってしまうため)、第1短尺ヘッド32(1)による画像と第2短尺ヘッド32(2)による画像の繋ぎ目の濃度が淡くなってしまう。
【0032】
つまり、第1短尺ヘッド32(1)と第2短尺ヘッド32(2)により各々印刷される画像の繋ぎ目部分(即ち、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分)が、印刷画像上において搬送方向に沿った白スジとして視認され、印刷画像の画質が劣化してしまう。
【0033】
図3Cは、第1短尺ヘッド32(1)に対して第2短尺ヘッド32(2)が近付くように配置された場合に形成されるドットの様子を説明する図である。図3Bとは逆に、第1短尺ヘッド32(1)に対して第2短尺ヘッド32(2)が近付くように紙幅方向の奥側にずれて配置される場合がある。
【0034】
即ち、第1短尺ヘッド32(1)の重複領域のノズルにより形成されるドットに対して、第2短尺ヘッド32(2)の重複領域のノズルにより形成されるドットが、紙幅方向の奥側にずれてしまう場合がある。そうすると、重複領域のノズルによりドットが形成されるべき媒体部分のドット密度が大きくなってしまうため(インク吐出量が多くなってしまうため)、第1短尺ヘッド32(1)による画像と第2短尺ヘッド32(2)による画像の繋ぎ目の濃度が濃くなってしまう。
【0035】
つまり、第1短尺ヘッド32(1)と第2短尺ヘッド32(2)により各々印刷される画像の繋ぎ目部分(即ち、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分)が、印刷画像上において搬送方向に沿った黒スジとして視認され、印刷画像の画質が劣化してしまう。
【0036】
このように、紙幅方向に並ぶ短尺ヘッド32の相対位置関係が設計上の相対位置関係からずれてしまうと、短尺ヘッド32の繋ぎ目(重複領域)で印刷される画像部分(画像の繋ぎ目)に濃度誤差が生じてしまう。そうすると、印刷画像に濃度むら(搬送方向に沿うスジ)が生じ、印刷画像の画質が劣化してしまう。
【0037】
図4は、媒体Sが蛇行して搬送される場合に形成されるドットの様子を説明する図である。図4では、紙幅方向に並ぶ短尺ヘッド32の相対位置関係が設計通りであり、第1短尺ヘッド32(1)の重複領域のノズル(#177〜#180)の紙幅方向の位置と、第2短尺ヘッド32(2)の重複領域のノズル(#1〜#4)の紙幅方向の位置とが、等しい。
【0038】
ところで、紙幅方向に並ぶ短尺ヘッド32は、端部が重複するように、搬送方向にずれて配置されている。例えば、第1短尺ヘッド32(1)の方が第2短尺ヘッド32(2)よりも搬送方向の上流側にずれて位置する。よって、図4の左図に示すように、まず、第1短尺ヘッド32(1)が媒体Sにドット(●)を形成する。なお、第1短尺ヘッド32(1)の重複領域のノズルのうちのノズル#178,#180がドットを形成し、第2短尺ヘッド32(2)の重複領域のノズルのうちのノズル#1,#3がドットを形成するとした。
【0039】
そして、第1短尺ヘッド32(1)がドットを形成した後に、媒体Sが紙幅方向の奥側に蛇行しながら搬送されたとする。そうすると、図4の右図に示すように、第2短尺ヘッド32(2)が本来ドットを形成すべき媒体S上の位置よりも紙幅方向の手前側の位置に、第2短尺ヘッド32(2)がドット(○)を形成することになる。即ち、第1短尺ヘッド32(1)に対して第2短尺ヘッド32(2)が離れるように紙幅方向の手前側にずれて配置された場合(図3B)と同様にドットが形成され、第1短尺ヘッド32(1)による画像と第2短尺ヘッド32(2)による画像の繋ぎ目の濃度が淡くなってしまう。
【0040】
逆に、第1短尺ヘッド32(1)と第2短尺ヘッド32(2)の間を媒体Sが紙幅方向の手前側に蛇行しながら搬送された場合(不図示)、第1短尺ヘッド32(1)に対して第2短尺ヘッド32(2)が近付くように紙幅方向の奥側にずれて配置された場合(図3C)と同様にドットが形成されてしまう。
【0041】
このように、紙幅方向に並ぶ短尺ヘッド32の相対位置関係が設計通りであっても、媒体Sが蛇行しながら搬送されると、短尺ヘッド32の繋ぎ目(重複領域)で印刷される画像部分(画像の繋ぎ目)に濃度誤差が生じてしまう。そうすると、印刷画像に濃度むら(搬送方向に沿うスジ)が生じ、印刷画像の画質が劣化してしまう。
【0042】
なお、紙幅方向に並ぶ短尺ヘッド32の相対位置関係のずれにより生じる濃度誤差(図3Bや図3C)であれば、濃度誤差の発生の仕方が一定であるため、濃度誤差を改善し易い。例えば、ラスターラインが印刷される媒体上の領域(列領域)ごとに設定される補正値に基づいて(後述)、画像の繋ぎ目の濃度が淡くなる場合には、画像の繋ぎ目で印刷するドットサイズを大きくしたり、ドット数を増やしたりする。そうすることで、画像の繋ぎ目の濃度を濃く補正することができる。しかし、媒体Sの蛇行搬送により生じる濃度誤差は発生の仕方が一定でないため、補正値に基づく濃度誤差の補正に限界がある。
【0043】
===短尺ヘッド32の配置===
<比較例の配置>
図5A及び図5Bは、短尺ヘッド32の配置の比較例を説明する図である。プリンター1は4色のUVインク(YMCK)ごとにヘッド群31を有し、各ヘッド31群では、短尺ヘッド32が端部を重複させつつ紙幅方向に並んでいる。なお、図では、説明の簡略のため、短尺ヘッド32の数を1色あたり3個とし、また、短尺ヘッド32の繋ぎ目(重複領域)をクロスハッチで示す。
【0044】
図5Aに示す比較例では、4色のUVインク(YMCK)の全てのヘッド群31において、紙幅方向に並ぶ短尺ヘッド32の繋ぎ目(重複領域)の紙幅方向の位置が等しいとする。具体的に言うと、イエローの第1短尺ヘッド32(Y1)と第2短尺ヘッド32(Y2)の繋ぎ目の紙幅方向の位置と、マゼンタの第1短尺ヘッド32(M1)と第2短尺ヘッド32(M2)の繋ぎ目の紙幅方向の位置と、シアンの第1短尺ヘッド32(C1)と第2短尺ヘッド32(C2)の繋ぎ目の紙幅方向の位置と、ブラックの第1短尺ヘッド32(K1)と第2短尺ヘッド32(K2)の繋ぎ目の紙幅方向の位置と、が等しい。
【0045】
ここで、短尺ヘッド32の相対位置関係のずれや媒体の蛇行搬送により、4色(YMCK)全てのヘッド群31において、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分に濃度誤差が生じたとする。そうすると、4色(YMCK)の各短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置が等しい図5Aの比較例では、各色の短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分、即ち、濃度誤差が生じる画像部分が、重ねて印刷されてしまう。
【0046】
そうすると、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分の濃度の淡さや濃さが助長されたり、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分を所望の色で表現することができなかったりしてしまう。例えば、4色(YMCK)の各短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分(画像の繋ぎ目)に「+5%」の濃度誤差が生じるとする。そうすると、4色(YMCK)の画像が重ねて印刷される場合には、画像の繋ぎ目の濃度誤差が「+5%」の約4倍となり、3色(YMC)の画像が重ねて印刷される場合には、画像の繋ぎ目の濃度誤差が「+5%」の約3倍となり、2色(YとM、YとC、MとC)の画像が重ねて印刷される場合には、画像の繋ぎ目の濃度誤差が「+5%」の約2倍となってしまう。そのため、複数色の画像の繋ぎ目が重ねて印刷された部分が、印刷画像上において搬送方向に沿うスジとして視認され易くなり、印刷画像の画質がより劣化してしまう。
【0047】
つまり、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分(画像の繋ぎ目)は濃度誤差が生じ易いにも拘らず、図5Aの比較例のように、4色(YMCK)の全てのヘッド群31について、短尺ヘッド32の繋ぎ目の紙幅方向の位置を等しくしてしまうと、濃度誤差が生じる画像の繋ぎ目が重ねて印刷されてしまい、印刷画像の画質がより劣化してしまう。
【0048】
一方、図5Bに示す比較例では、4色のUVインク(YMCK)の全てのヘッド群31について、短尺ヘッド32の繋ぎ目(重複領域)の位置を紙幅方向にずらしている。
【0049】
具体的に言うと、イエローの第1短尺ヘッド32(Y1)と第2短尺ヘッド32(Y2)の繋ぎ目の位置が紙幅方向の最も奥側に位置し、マゼンタの第1短尺ヘッド32(M1)と第2短尺ヘッド32(M2)の繋ぎ目の位置がイエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置よりも紙幅方向の手前側にずれ、シアンの第1短尺ヘッド32(C1)と第2短尺ヘッド32(C2)の繋ぎ目の位置がマゼンタの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置よりも紙幅方向の手前側にずれ、ブラックの第1短尺ヘッド32(K1)と第2短尺ヘッド32(K2)の繋ぎ目の位置が紙幅方向の最も手前側に位置する。
【0050】
この場合、各色(YMCK)のヘッド群31において、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分に濃度誤差が生じたとしても、その濃度誤差が生じる画像部分が重ねて印刷されてしまうことはなく、紙幅方向にずれて印刷される。よって、図5Bの比較例では、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分の濃度誤差が助長されてしまうことを防止でき、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分を出来る限り所望の色に近付けることができる。
【0051】
しかし、図5Bの比較例では、紙幅方向の最も奥側にずれたイエローの短尺ヘッド32群と、紙幅方向の最も手前側にずれたブラックの短尺ヘッド32群とが、重複する領域でしか、画像を印刷することが出来ない。例えば、イエローの第1短尺ヘッド32(Y1)の紙幅方向奥側のノズルは、紙幅方向の同じ位置に他の色(MCK)のノズルが存在しないため、使用することが出来ない。従って、図5Bの比較例における印字可能幅W2は、短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置をずらさない図5Aの比較例における印字可能幅W1よりも、大幅に短くなってしまう。
【0052】
つまり、図5Bの比較例のように、4色(YMCK)の全てのヘッド群31について短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置を紙幅方向にずらしてしまうと、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分の濃度誤差を抑制することはできるが、紙幅方向の印字可能幅W2が短くなってしまう。言い換えると、図5Bの比較例では、所望の印字可能幅を得るために、短尺ヘッド32の数を増やしたり、ノズル列の長さを長くしたりする必要がある。
【0053】
<本実施形態の配置>
図6A及び図6Bは、本実施形態の短尺ヘッド32の配置を説明する図である。本実施形態では、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目(重複領域)の位置だけが、他の3色(マゼンタ・シアン・ブラック)の短尺ヘッド32の繋ぎ目(重複領域)の位置に対して、紙幅方向にずれている。
【0054】
具体的に言うと、「イエローの第1短尺ヘッド32(Y1)(第1イエローノズル群)と第2短尺ヘッド32(Y2)(第2イエローノズル群)の繋ぎ目の紙幅方向の位置」が、「マゼンタの第1短尺ヘッド32(M1)(第1マゼンタノズル群)と第2短尺ヘッド32(M2)(第2マゼンタノズル群)の繋ぎ目の紙幅方向の位置」と、「シアンの第1短尺ヘッド32(C1)(第1シアンノズル群)と第2短尺ヘッド32(C2)(第2シアンノズル群)の繋ぎ目の紙幅方向の位置」と、「ブラックの第1短尺ヘッド32(K1)(第1ブラックノズル群)と第2短尺ヘッド32(K2)(第2ブラックノズル群)の繋ぎ目の紙幅方向の位置」に対して、紙幅方向の奥側にずれている。
【0055】
なお、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置が、他の3色(マゼンタ・シアン・ブラック)の短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置に対して、紙幅方向の手前側にずれるようにしてもよい。
【0056】
また、マゼンタの第1短尺ヘッド32(M1)と第2短尺ヘッド32(M2)の繋ぎ目の紙幅方向の位置と、シアンの第1短尺ヘッド32(C1)と第2短尺ヘッド32(C2)の繋ぎ目の紙幅方向の位置と、ブラックの第1短尺ヘッド32(K1)と第2短尺ヘッド32(K2)の繋ぎ目の紙幅方向の位置とが、等しい。
【0057】
そのため、本実施形態では、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分(画像の繋ぎ目)は、マゼンタ、シアン、ブラックの各短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分と重なることが無い。よって、4色(YMCK)の全てのヘッド群31について短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置を等しくする図5Aの比較例に比べて、本実施形態では、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分が重なる数の最大数、即ち、濃度誤差が生じる画像部分が重なる数の最大数を、4個から3個に減らすことが出来る。
【0058】
ゆえに、本実施形態では、図5Aの比較例に比べて、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分の濃度誤差が助長されてしまうことを抑制でき、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分を出来る限り所望の色に近付けることができる。そうすると、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分(画像の繋ぎ目)が搬送方向に沿うスジとして視認され難くなり、印刷画像の画質劣化を抑制することが出来る。
【0059】
また、本実施形態では、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置だけが、他の3色(MCK)の各短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置に対してずれているので、4色(YMCK)の各短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置が互いにずれている図5Bの比較例に比べて、紙幅方向の印字可能幅を長くすることができる(W3>W2)。
【0060】
例えば、異なる色の短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置を重複領域の長さ分だけ紙幅方向にずらしたとする。そうすると、短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置を全くずらさない図5Aの比較例に比べて、図5Bの比較例では、重複領域6個分の長さも印字可能幅が短くなってしまう。これに対して、本実施形態では、図5Aの比較例に比べて、重複領域2個分の長さだけしか印字可能幅が短くならない。
【0061】
ゆえに、本実施形態では、図5Bの比較例に比べて、短尺ヘッド32に属するノズルを有効利用することができ、所望の印字可能幅を得るために、短尺ヘッド32の数を増やしたり、ノズル列の長さを長くしたりする必要がなくなる。
【0062】
このように、本実施形態では、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置だけを、他の3色(MCK)の各短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置に対してずらすことで、印刷画像の画質劣化を抑制しつつ、紙幅方向の印字可能幅を出来る限り長くする。
【0063】
また、4色のUVインク(YMCK)のうち、イエロー、マゼンタ、シアンインクは互いに重ねて印刷される確率が高いが、ブラックインクは他の色インクと重ねて印刷されずに単独で印刷される確率が高い。そのため、本実施形態のように、4色のUVインク(YMCK)のうち、ブラックインク以外の色であるイエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置を、他の3色の各短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置に対してずらすようにするとよい。
【0064】
そうすると、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分は単独で印刷され、また、ブラックの短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分は単独で印刷される確率が高いため、マゼンタとシアンの各短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分だけが重なることになる。
【0065】
つまり、ブラック以外のイエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置を他の3色の各短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置に対してずらすことで、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分が重なる数(最大数)、即ち、濃度誤差が生じる画像部分が重なる数(最大数)を、より少なくすることが出来る。言い換えれば、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分が重なってしまう確率を小さくすることができる。
【0066】
また、短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置をずらさずに(即ち、図5Aの短尺ヘッド32の配置にて)、ブラック以外の3色のUVインク(YMC)を種々組み合わせて実際に画像を印刷した。その結果、イエローインク単独で印刷した画像では、画像の繋ぎ目が視認され難いが、イエローインクと他の色インク(MC)を重ねて印刷した画像では、画像の繋ぎ目が視認され易い傾向があった。特に、イエローインクとシアンインクを重ねて印刷した緑の画像において画像の繋ぎ目が視認され易い傾向があった。
【0067】
この理由は定かではないが、イエローインクの輝度値がマゼンタインクやシアンインクの輝度値に比べて高い為にイエローインクが他の色インクと重ねて印刷される際に悪影響を及ぼしたり、人間の目が比較的に緑色に敏感であることが影響したりすると考えられる。また、例えば、実際に印刷したテストパターンに基づいて、列領域ごと(ラスターラインが印刷される媒体上の領域ごと)に補正値を算出する場合に(後述)、イエローのテストパターンは他の色のテストパターンに比べて濃度誤差が視認され難い為、イエローの補正値が他の色の補正値に比べて精度が落ちる傾向がある。そのため、精度の低い補正値に基づいて印刷されたイエローの画像と他の色の画像とが重なることにより、画像の繋ぎ目が視認され易くなるとも考えられる。
【0068】
そこで、本実施形態のように、ブラック以外の3色(YMC)のうち、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置を、他の3色(MCK)の各短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置に対して、紙幅方向にずらすようにするとよい。
【0069】
そうすることで、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分と、他の3色(MCK)の各短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分とが、重なってしまうことを防止できる。その結果、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分をより目立ち難くすることができ、印刷画像の画質劣化をより抑制することができる。特に、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分が視認され易い緑の画像において、イエローとシアンの各短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分が重ならないように印刷することができる。
【0070】
以上をまとめると、本実施形態では、プリンター1が吐出する4色のUVインク(YMCK)のうち、他の色インクと重なった際に、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分が目立ち易いイエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置だけを、他の3色(MCK)の各短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置に対してずらすことで、印刷画像の画質劣化を抑制しつつ、紙幅方向の印字可能幅を出来る限り長くする。
【0071】
また、UVインク(光硬化型インク)は、粘度が高いので媒体上にて濡れ広がり難く、丸い粒状になり易い。そのため、インク吐出量や紫外線の照射条件に誤差が生じると、媒体の埋まりが悪くなる虞がある。そのため、UVインクを使用するプリンター1において、例えば、図3Bに示すように紙幅方向に並ぶ短尺ヘッド32が離れて配置されてしまうと、UVインクによる媒体の埋まりがより悪化してしまう虞がある。ゆえに、UVインクを使用するプリンター1(即ち、ノズルから吐出されるインクが光の照射により硬化する光硬化型インクであるプリンター)では、本実施形態のように、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置を他の色の各短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置に対してずらすことが、より有効となる。
【0072】
また、本実施形態では、短尺ヘッド32(ノズル列)が端部を重複させつつ紙幅方向に並んでいる。そのため、例えば、図3Bに示すように紙幅方向に並ぶ2つの短尺ヘッド32が離れて配置されてしまっても、2つの短尺ヘッド32のうちの一方の短尺ヘッド32(図3Bでは第1短尺ヘッド32(1))によりドットが形成される。ゆえに、本実施形態では、短尺ヘッド32の端部が重複していない場合に比べて、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分をより目立ち難くすることができ、印刷画像の画質劣化をより抑制することができる。
【0073】
また、本実施形態では、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目(重複領域)の位置を、マゼンタ、シアン、ブラックの各短尺ヘッド32の繋ぎ目(重複領域)の位置に隣接させる。即ち、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置を、他の3色(MCK)の各短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置に対して、重複領域の長さ分だけ紙幅方向にずらす。
【0074】
具体的に言うと、図6Bに示すように、イエローの第1短尺ヘッド32(Y1)と第2短尺ヘッド32(Y2)の繋ぎ目の位置よりもノズル間隔Dだけ紙幅方向手前側にずれた位置を、マゼンタ、シアン、ブラックの第1短尺ヘッド32(1)と第2短尺ヘッド32(2)の繋ぎ目の位置にする。即ち、イエローの第2短尺ヘッド32(Y2)のノズル#5の位置を、マゼンタ、シアン、ブラックの第1短尺ヘッド32(1)のノズル#177の位置にする。
【0075】
そうすることで、イエローの短尺ヘッド32群と他の3色(MCK)の短尺ヘッド32群のずれ量を出来る限り短くすることができ、即ち、イエローの短尺ヘッド32群と他の3色の短尺ヘッド32群が重複する領域を出来る限り長くすることができるため、紙幅方向の印字可能幅W3を出来る限り長くすることができる。
【0076】
===濃度誤差の補正値H===
本実施形態のプリンター1は、所定の濃度を示す指令階調値に基づいて印刷したテストパターンにより、ラスターライン(搬送方向に沿うドット列)を形成する媒体上の領域である「列領域」ごとに算出された補正値Hを、インクの色(YMCK)ごとにメモリー13(記憶部に相当)に記憶し、その補正値Hで、印刷する画像の濃度を示す階調値(画像データ)を補正した階調値に基づいて、媒体に画像を印刷する。
【0077】
そうすることで、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分(画像の繋ぎ目)の濃度誤差を低減することができ、印刷画像の画質劣化をより抑制することができる。
また、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分に限らず、ノズルの加工精度の問題(インク吐出量やインク着弾位置のばらつき)によっても、印刷画像に濃度むらが生じる。即ち、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分以外にも濃度誤差が生じる虞がある。よって、列領域ごと、インクの色(YMCK)ごとの補正値Hにより、印刷画像の全域に亘って濃度誤差(濃度むら)を補正することができる。
【0078】
ただし、前述のように、短尺ヘッド32の相対位置関係のずれにより生じる画像の繋ぎ目の濃度誤差は一定であるため、この補正値Hにより補正することができるが、媒体の蛇行搬送により生じる画像の繋ぎ目の濃度誤差は一定でないため、この補正値Hで補正するには限界がある。しかし、本実施形態のプリンター1では、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置を他の3色の各短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置に対してずらすため、媒体の蛇行搬送により生じる画像の繋ぎ目の濃度誤差が助長されてしまうことを抑制できる。
【0079】
また、前述のように、イエローのテストパターンは他の色のテストパターンに比べて濃度誤差が視認され難く、イエローの補正値Hは他の色の補正値Hに比べて精度が落ちる傾向にある。しかし、本実施形態のプリンター1では、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置を他の3色の各短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置に対してずらすため、イエローインクを使用する画像であっても、画像の繋ぎ目を目立ち難くすることができる。
【0080】
<補正値Hの算出方法>
以下、列領域ごと、インクの色(YMCK)ごとの、濃度誤差の補正値Hの算出方法について説明する。なお、補正値Hは、プリンター1の製造工程やメンテナンス時に、プリンター1ごとに算出するとよい。ここでは、補正値Hの算出時にプリンター1に接続されるコンピューターにインストールされている補正値算出プログラムに従って補正値Hが算出されるとする。
【0081】
図7は、ある色のテストパターンを説明する図である。補正値算出プログラムは、まず、プリンター1に、4色のUVインク(YMCK)ごとに、テストパターンを印刷させる。
【0082】
テストパターンは、3種類の濃度の帯状パターンから構成され、3種類の濃度の帯状パターンは、それぞれ一定の階調値の画像データから形成されたものである。なお、画像データは、2次元に並ぶ画素から構成され、各画素の示す濃度を、多段階の階調値(0〜255)で表す。ここでは、階調値の値が低い程、その画素の濃度は淡く、階調値の値が高い程、その画素の濃度は濃いとする。
【0083】
帯状パターンを形成するための階調値を指令階調値と呼び、濃度30%の帯状パターンの指令階調値をSa(76)、濃度50%の帯状パターンの指令階調値をSb(128)、濃度70%の帯状パターンの指令階調値をSc(179)と表す。
【0084】
本実施形態のプリンター1は、ヘッド群31に対して媒体Sを搬送方向に搬送しながらノズルからインクを吐出することによって、画像(テストパターン)を印刷する。よって、テストパターンは、印字可能領域に属するノズルによって印刷されるラスターラインが紙幅方向に並んだ画像となる。例えば、印字可能領域に属するノズル数がN個である場合、テストパターンは紙幅方向に並ぶN個のラスターラインから構成される。言い換えると、テストパターンはN個の列領域から構成される。なお、テストパターンを構成するN個の列領域のうち、紙幅方向奥側の列領域から順に小さい番号(1〜N)を付す。
【0085】
図8は、スキャナーによるシアンのテストパターンの読取結果を示す図である。横軸が列領域番号(1〜N)を示し、縦軸が各列領域の読取階調値(濃度)を示す。以下、シアンの読取結果を例に挙げて説明する。
【0086】
プリンター1がテストパターンを印刷した後、補正値算出プログラムは、そのテストパターンをスキャナーが読み取った結果(読取データ)を取得する。ここで、読取データ上、及び、画像データ上において、媒体の紙幅方向に対応する方向をX方向とし、媒体の搬送方向に対応する方向をY方向とする。また、データ上において、Y方向(媒体の搬送方向)に並ぶ画素の列を「画素列」と呼ぶ。
【0087】
次に、補正値算出プログラムは、テストパターンの読取データ上の「画素列」と、テストパターンが印刷された媒体上の「列領域」とを、一対一で対応させる。そして、補正値算出プログラムは、帯状パターンごとに(3種類の濃度ごとに)、各列領域の読取階調値(濃度)を算出する。具体的に説明すると、補正値算出プログラムは、ある列領域iに対応する画素列に属する画素のうち、ある指令階調値(例:Sb)の帯状パターンに対応する画素の示す読取階調値の平均値を算出し、その算出した平均値を、ある列領域iのある指令階調値(例:Sb)の読取階調値(濃度)とする。
【0088】
その結果、図8に示す読取結果が得られる。各帯状パターンは、各指令階調値(Sa,Sb,Sc)で一様に印刷されたにもかかわらず、列領域ごとに読取階調値(濃度)にばらつきが生じる。例えば、図8のグラフにおいて、i列領域の読取階調値Cbiは他の列領域の読取階調値よりも比較的に低く、淡く視認され、j列領域の読取階調値Cbjは他の列領域の読取階調値よりも比較的に高く、濃く視認される。この各列領域1〜Nの読取階調値のばらつきが、印刷画像に発生する濃度誤差(濃度むら)である。
【0089】
よって、各列領域1〜Nの読取階調値を一定の値に近付けることで、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分の濃度誤差や、ノズルの加工精度の問題により生じる濃度誤差を、改善することができる。
【0090】
そのために、例えば、同一の指令階調値(例:Sb)における全列領域1〜Nの読取階調値の平均値Cbtを「目標値Cbt」に設定する。そして、指令階調値Sbで印刷した際の各列領域1〜Nの読取階調値が目標値Cbtに近づくように、各列領域1〜Nに対応する画像データ(階調値)を補正するための補正値Hを算出する。
【0091】
具体的に説明すると、目標値Cbtよりも読取階調値の低い列領域iに対応する画像データの示す階調値を、指令階調値Sbよりも濃い階調値(高い階調値)に補正する。一方、目標値Cbtよりも読取階調値の高い列領域jに対応する画像データの示す階調値を、指令階調値Sbよりも淡い階調値(低い階調値)に補正する。このように、各列領域1〜Nの読取階調値が目標値Cbtとなるように、指令階調値Sbから補正する階調値を「目標指令階調値Sbt」と呼ぶ。
【0092】
図9Aは、目標値Cbtよりも読取階調値Cbiの低い列領域iの目標指令階調値Sbtを算出する様子を示す図であり、図9Bは、目標値Cbtよりも読取階調値Cbjの高い列領域jの目標指令階調値Sbtを算出する様子を示す図である。横軸が指令階調値を示し、縦軸がテストパターンの読取階調値を示す。グラフには、列領域i,jでの、指令階調値(Sa,Sb,Sc)に対する読取階調値(Cai,Cbi,Cci)の結果がプロットされている。
【0093】
図9Aに示すように、指令階調値Sbに対して列領域iが目標値Cbtにて表されるための目標指令階調値Sbtは、次式(直線BCに基づく線形補間)により算出される。
Sbt=Sb+{(Sc−Sb)×(Cbt−Cbi)/(Cci−Cbi)}
【0094】
同様に、図9Bに示すように、指令階調値Sbに対して列領域jが目標値Cbtにて表されるための目標指令階調値Sbtは、次式(直線ABに基づく線形補間)により算出される。
Sbt=Sa+{(Sb−Sa)×(Cbt−Caj)/(Cbj−Caj)}
【0095】
こうして、補正値算出プログラムは、列領域1〜Nごとに、指令階調値Sbに対する目標指令階調値Sbtを算出した後に、次式により、各列領域1〜Nの指令階調値Sbに対するシアンの補正値Hbを算出する。
Hb=(Sbt−Sb)/Sb
【0096】
補正値算出プログラムは、同様に、他の指令階調値(Sa,Sc)、他の色(YMK)に関しても、各列領域1〜Nの補正値Hを算出する。つまり、補正値算出プログラムは、指令階調値ごと(Sa,Sb,Sc)、インクの色ごと(YMCK)、列領域ごと(1〜N)に、補正値Hを算出する。
【0097】
図10は、補正値テーブルを説明する図である。補正値算出プログラムは、算出した補正値Hを、インクの色ごと(YMCK)に、補正値テーブルにまとめる。補正値テーブルでは、列領域(1〜N)ごとに、3つの指令階調値(Sa,Sb,Sc)と補正値(Ha,Hb,Hc)がそれぞれ対応付けられている。補正値算出プログラムは、この補正値テーブルを、プリンター1のメモリー13に記憶させる。その後、プリンター1はユーザーのもとへ出荷される。
【0098】
<補正値Hによる濃度補正処理>
ユーザーは、プリンター1の使用開始時に、プリンター1に接続するコンピューター60にプリンタードライバーをインストールする。プリンタードライバーは、プリンター1のメモリー13に記憶されている補正値テーブル(図10)を取得する。
【0099】
そして、プリンタードライバーは、各種アプリケーションプログラムからプリンター1に印刷させる画像データを受信すると、プリンター1が印刷を実行するための印刷データを作成する。まず、プリンタードライバーは、解像度変換処理により、受信した画像データの解像度を、プリンター1による印刷時の印刷解像度に変換する。次に、プリンタードライバーは、色変換処理により、RGBデータである画像データを、プリンター1が有するインクの色に対応したYMCKデータに変換する。
【0100】
その後、プリンタードライバーは、補正値テーブルを参照し、列領域ごと、色ごと、指令階調値ごとの補正値Hに基づいて、画像データを構成する各画素の示す階調値(0〜255)を補正する。
【0101】
画素の示す補正前の階調値S_inが指令階調値のいずれかSa,Sb,Scと同じであれば、補正値テーブルに記憶されている補正値Ha,Hb,Hcをそのまま適用することができる。例えば、補正前の階調値S_inがScであれば、補正後の階調値S_outは次式により求められる。
【0102】
S_out=S_in×(1+Hc)
【0103】
図11は、シアンのx番目の列領域に関して補正前の階調値S_inに対応する補正値H_outを算出する様子を示す図である。横軸が補正前の階調値S_inを示し、縦軸が補正前の階調値S_inに対応する補正値H_outを示す。プリンタードライバーは、補正前の階調値S_inが指令階調値(Sa,Sb,Sc)と異なる場合、まず、補正前の階調値S_inに対応する補正値H_outを算出する。
【0104】
例えば、図11に示すように補正前の階調値S_inが指令階調値SaとSbの間であるとき、プリンタードライバーは、指令階調値Saに対応する補正値Haと指令階調値Sbに対応する補正値Hbの線形補間によって、補正前の階調値S_inに対応する補正値H_outを算出する。そして、算出した補正値H_outにより階調値S_inを補正する。
H_out=Ha+{(Hb−Ha)×(S_in−Sa)/(Sb−Sa)}
S_out=S_in×(1+H_out)
【0105】
なお、補正前の階調値S_inが指令階調値Saよりも小さい場合には、最低階調値0と指令階調値Saの線形補間により補正値H_outを算出し、補正前の階調値S_inが指令階調値Scよりも大きい場合には、指令階調値Scと最高階調値255の線形補間によって補正値H_outを算出する。
【0106】
こうして、濃度が淡く視認されてしまう列領域に対応する画素の示す階調値S_inは濃い階調値S_outに補正され、濃度が濃く視認されてしまう列領域に対応する画素の示す階調値S_inは淡い階調値S_outに補正される。
【0107】
その後、プリンタードライバーは、補正値Hに基づいて補正した画像データ(階調値S_out)を、ハーフトーン処理により、高い階調数(0〜255)のデータからプリンター1が表現可能な低い階調数のデータに変換する。そして最後に、プリンタードライバーは、ラスタライズ処理により、マトリクス状の画像データをプリンター1に転送すべき順に並べ替えて、プリンター1に送信する。
【0108】
そして、プリンター1は、受信した印刷データに基づいて印刷を実行する。そうすることで、プリンター1に印刷される画像の濃度誤差を改善することができる。なお、プリンタードライバーの処理をプリンター1内のコントローラー10が実行するようにしてもよい。
【0109】
===変形例===
図12A及び図12Bは、短尺ヘッド32の配置の変形例を説明する図である。前述の実施形態(図6)では、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置を、マゼンタ、シアン、ブラックの各短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置に対してずらしているが、これに限らない。例えば、図12Aに示すように、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置をマゼンタ、シアンの各短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置に対してはずらすが、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置とブラックの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置を等しくしてもよい。
【0110】
この場合であっても、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分と、マゼンタ・シアンの各短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分とが、重なってしまうことを防止できる。また、イエローの画像とブラックの画像が重ねて印刷される確率は低い。よって、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分を目立ち難くすることができる。
【0111】
また、この変形例では、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置とブラックの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置を等しくするため、紙幅方向の印字可能幅W3は前述の実施形態(図6)と同じである。また、この変形例では、4色(YMCK)の各短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置を紙幅方向に2色ずつ分散させることが出来るため、短尺ヘッド32の繋ぎ目で印刷される画像部分が重なる数の最大数を2個にすることが出来る。
【0112】
また、前述の実施形態では、短尺ヘッド32(ノズル列)の端部を重複させているが、これに限らず、短尺ヘッド32(ノズル列)の端部を重複させなくてもよい。例えば、図12Bに示すように、紙幅方向に並ぶ2つの短尺ヘッド(例:32(Y1)と32(Y2))のうち、紙幅方向奥側の短尺ヘッド(例:32(Y1))の最も手前側の端部ノズル#180と、紙幅方向手前側の短尺ヘッド(例:32(Y2))の最も奥側の端部ノズル#1と、の紙幅方向の間隔が、ノズル間隔Dとなるように、短尺ヘッド32を配置してもよい。
【0113】
この場合、紙幅方向奥側の短尺ヘッド(例:32(Y1))の最も手前側の端部ノズル#180と、紙幅方向手前側の短尺ヘッド(例:32(Y2))の最も奥側の端部ノズル#1が、短尺ヘッド32の繋ぎ目に相当し、この繋ぎ目で印刷される画像部分に濃度誤差が生じ易い。よって、図12Bに示すように、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置を、マゼンタ、シアン、ブラックの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置に対してずらすことで、印刷画像の画質劣化を抑制しつつ、紙幅方向の印字可能幅を長くすることができる。
【0114】
また、前述の実施形態では、図6Bに示すように、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置を、他の3色の各短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置に、隣接させているが、これに限らず、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置と、他の3色の各短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置を離してもよい。例えば、イエローの第2短尺ヘッド32(Y2)の紙幅方向の中央部(例:ノズル#90付近)に、マゼンタ、シアン、ブラックの第1短尺ヘッド32(1)と第2短尺ヘッド32(2)の繋ぎ目が位置するようにしてもよい。
【0115】
また、前述のプリンター1は4色のインク(YMCK)を吐出するが、これに限らず、イエロー、マゼンタ、シアンの3色のインクを吐出し、ブラックインクは吐出しないプリンターであってもよい。この場合であっても、イエローの短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置に対して、マゼンタとシアンの各短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置をずらし、マゼンタとシアンの各短尺ヘッド32の繋ぎ目の位置を等しくする。
【0116】
===その他の実施の形態===
上記の実施形態は、主として、印刷装置について記載されているが、印刷方法等の開示が含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【0117】
<プリンターについて>
前述の実施形態では、固定されたヘッド群31の下を媒体Sが通過する際にヘッド群31(ノズル)からインクを吐出するプリンター1を例に挙げているが、これに限らない。例えば、移動方向に沿って移動するヘッドからインクを吐出する動作と、移動方向と交差する搬送方向に媒体を搬送する搬送動作と、が繰り返されるプリンターであってもよい。また、例えば、印刷領域に搬送された連続用紙に対して、ヘッドを媒体の搬送方向に移動しながら画像を形成する動作と、ヘッドを紙幅方向に移動する動作と、を繰り返して画像を形成し、その後、未だ印刷されていない媒体部分を印刷領域に搬送するプリンターであってもよい。
【0118】
<インクについて>
前述の実施形態では、プリンター1が使用するインクとして紫外線硬化型インク(UVインク)を例に挙げているが、これに限らない。プリンター1が使用するインクを、例えば、可視光を照射すると硬化するインクとしてもよいし、媒体に浸透する水系インクや有機溶剤系インクとしてもよい。
【符号の説明】
【0119】
1 プリンター、10 コントローラー、11 インターフェース部、
12 CPU、13 メモリー、14 ユニット制御回路、
20 搬送ユニット、21A 搬送ローラー、21B 搬送ローラー、
22 搬送ベルト、
30 ヘッドユニット、31 ヘッド群、32 短尺ヘッド、
40 照射ユニット、41 仮照射部、42 本照射部、
50 検出器群、60 コンピューター
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)イエローインクを吐出する複数のノズルが所定方向に並んだ第1イエローノズル群と、イエローインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並び、前記第1イエローノズル群に対して前記所定方向にずれて配置された第2イエローノズル群と、
(B)マゼンタインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並んだ第1マゼンタノズル群と、マゼンタインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並び、前記第1マゼンタノズル群に対して前記所定方向にずれて配置された第2マゼンタノズル群と、
(C)シアンインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並んだ第1シアンノズル群と、シアンインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並び、前記第1シアンノズル群に対して前記所定方向にずれて配置された第2シアンノズル群と、
(D)前記所定方向と交差する方向にノズル群と媒体とを相対移動させながら、前記ノズルからインクを吐出させることによって、前記媒体に画像を印刷させる制御部と、
(E)を備え、
(F)前記第1イエローノズル群と前記第2イエローノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置が、前記第1マゼンタノズル群と前記第2マゼンタノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置、及び、前記第1シアンノズル群と前記第2シアンノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置に対してずれており、
前記第1マゼンタノズル群と前記第2マゼンタノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置と、前記第1シアンノズル群と前記第2シアンノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置とが、等しい、
(G)ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置であって、
ブラックインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並んだ第1ブラックノズル群と、ブラックインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並び、前記第1ブラックノズル群に対して前記所定方向にずれて配置された第2ブラックノズル群と、を備え、
前記第1ブラックノズル群と前記第2ブラックノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置が、前記第1マゼンタノズル群と前記第2マゼンタノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置、及び、前記第1シアンノズル群と前記第2シアンノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置と、等しい、
印刷装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の印刷装置であって、
前記ノズルから吐出されるインクは、光の照射により硬化する光硬化型インクである、
印刷装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の印刷装置であって、
所定の濃度を示す指令階調値に基づいて印刷したテストパターンにより、前記交差する方向に沿うドット列を形成する前記媒体上の領域である列領域ごとに算出された補正値を、インクの色ごとに記憶した記憶部を備え、
印刷する画像の濃度を示す階調値を前記補正値で補正した階調値に基づいて、前記媒体に画像を印刷する、
印刷装置。
【請求項5】
(A)イエローインクを吐出する複数のノズルが所定方向に並んだ第1イエローノズル群と、イエローインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並び、前記第1イエローノズル群に対して前記所定方向にずれて配置された第2イエローノズル群と、
(B)マゼンタインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並んだ第1マゼンタノズル群と、マゼンタインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並び、前記第1マゼンタノズル群に対して前記所定方向にずれて配置された第2マゼンタノズル群と、
(C)シアンインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並んだ第1シアンノズル群と、シアンインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並び、前記第1シアンノズル群に対して前記所定方向にずれて配置された第2シアンノズル群と、を備え、
(D)前記第1イエローノズル群と前記第2イエローノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置が、前記第1マゼンタノズル群と前記第2マゼンタノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置、及び、前記第1シアンノズル群と前記第2シアンノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置に対してずれており、
前記第1マゼンタノズル群と前記第2マゼンタノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置と、前記第1シアンノズル群と前記第2シアンノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置とが、等しい印刷装置による印刷方法であって、
(E)前記所定方向と交差する方向にノズル群と媒体とを相対移動させながら、前記ノズルからインクを吐出させることによって、前記媒体に画像を印刷する印刷方法。
【請求項1】
(A)イエローインクを吐出する複数のノズルが所定方向に並んだ第1イエローノズル群と、イエローインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並び、前記第1イエローノズル群に対して前記所定方向にずれて配置された第2イエローノズル群と、
(B)マゼンタインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並んだ第1マゼンタノズル群と、マゼンタインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並び、前記第1マゼンタノズル群に対して前記所定方向にずれて配置された第2マゼンタノズル群と、
(C)シアンインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並んだ第1シアンノズル群と、シアンインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並び、前記第1シアンノズル群に対して前記所定方向にずれて配置された第2シアンノズル群と、
(D)前記所定方向と交差する方向にノズル群と媒体とを相対移動させながら、前記ノズルからインクを吐出させることによって、前記媒体に画像を印刷させる制御部と、
(E)を備え、
(F)前記第1イエローノズル群と前記第2イエローノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置が、前記第1マゼンタノズル群と前記第2マゼンタノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置、及び、前記第1シアンノズル群と前記第2シアンノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置に対してずれており、
前記第1マゼンタノズル群と前記第2マゼンタノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置と、前記第1シアンノズル群と前記第2シアンノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置とが、等しい、
(G)ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置であって、
ブラックインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並んだ第1ブラックノズル群と、ブラックインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並び、前記第1ブラックノズル群に対して前記所定方向にずれて配置された第2ブラックノズル群と、を備え、
前記第1ブラックノズル群と前記第2ブラックノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置が、前記第1マゼンタノズル群と前記第2マゼンタノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置、及び、前記第1シアンノズル群と前記第2シアンノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置と、等しい、
印刷装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の印刷装置であって、
前記ノズルから吐出されるインクは、光の照射により硬化する光硬化型インクである、
印刷装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の印刷装置であって、
所定の濃度を示す指令階調値に基づいて印刷したテストパターンにより、前記交差する方向に沿うドット列を形成する前記媒体上の領域である列領域ごとに算出された補正値を、インクの色ごとに記憶した記憶部を備え、
印刷する画像の濃度を示す階調値を前記補正値で補正した階調値に基づいて、前記媒体に画像を印刷する、
印刷装置。
【請求項5】
(A)イエローインクを吐出する複数のノズルが所定方向に並んだ第1イエローノズル群と、イエローインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並び、前記第1イエローノズル群に対して前記所定方向にずれて配置された第2イエローノズル群と、
(B)マゼンタインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並んだ第1マゼンタノズル群と、マゼンタインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並び、前記第1マゼンタノズル群に対して前記所定方向にずれて配置された第2マゼンタノズル群と、
(C)シアンインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並んだ第1シアンノズル群と、シアンインクを吐出する複数のノズルが前記所定方向に並び、前記第1シアンノズル群に対して前記所定方向にずれて配置された第2シアンノズル群と、を備え、
(D)前記第1イエローノズル群と前記第2イエローノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置が、前記第1マゼンタノズル群と前記第2マゼンタノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置、及び、前記第1シアンノズル群と前記第2シアンノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置に対してずれており、
前記第1マゼンタノズル群と前記第2マゼンタノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置と、前記第1シアンノズル群と前記第2シアンノズル群の繋ぎ目の前記所定方向の位置とが、等しい印刷装置による印刷方法であって、
(E)前記所定方向と交差する方向にノズル群と媒体とを相対移動させながら、前記ノズルからインクを吐出させることによって、前記媒体に画像を印刷する印刷方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図7】
【公開番号】特開2012−200920(P2012−200920A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65460(P2011−65460)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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