説明

印刷装置および該印刷装置の制御方法

【課題】TEC値を低減する。
【解決手段】印刷データD1に基づいてカラー印刷もしくはモノクロ印刷を実行可能なプリンター100において、印刷データD1から作成されるカラー画像データの画像処理を行うカラー用スクリーン回路と、カラー用スクリーン回路を除いた少なくとも印刷データD1から作成されるモノクロ画像データの画像処理を行うスクリーン回路14Kを含む制御IC10と、で電源の供給経路が分離されており、印刷データD1をカラー印刷するかモノクロ印刷するか判別するモノクロ/カラー判別部M2と、印刷データD1をカラー印刷するときは制御IC10全体に電源を供給し、モノクロ印刷するときはカラー用スクリーン回路の電源をオフし且つその他の制御IC10に電源を供給する電源制御部M3と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置および該印刷装置の制御方法に関し、特に、印刷データに基づいてカラー印刷もしくはモノクロ印刷を実行可能な印刷装置および該印刷装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンターの省エネ基準として、国際エネルギースタープログラムの適合基準であるTEC(Typical Electricity Consumption)値が注目されている。プリンターや複合機のTEC値は、平均的なオフィスの利用形態を想定して製品の消費電力等に基づいて算出する。なお、TEC値では、平均的なオフィスの利用形態として、平日の5日間を稼働とスリープ/オフとの繰り返し、休日の2日間をスリープ/オフ、と想定している。このように、TEC値はスリープ/オフ時と稼働時の双方が影響する値になっており、TEC値を向上するには、スリープ時の消費電力のみならず動作時の消費電力も下げる必要がある。
【0003】
特許文献1には、複数の回路を、常時電源をオンしておく必要がある回路群と常時電源をオンしておく必要のない回路群とで電源分離し、各回路群への電源供給ラインにレギュレーターを配置し、レギュレーターの外部端子から入力する制御信号により、常時電源をオンしておく必要のないときに後者の回路群の電源をオフする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−14782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1は、一般的な電子機器に関する技術あり、プリンターやコピー機などの印刷装置に関する技術ではなかった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、TEC値の低減が可能な印刷装置および該印刷装置の制御方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明にかかる印刷装置では印刷データに基づいてカラー印刷もしくはモノクロ印刷を実行可能な印刷装置において、上記印刷データから作成されるカラー画像データの画像処理を行う第1回路と、上記第1回路を含まず少なくとも上記印刷データから作成されるモノクロ画像データの画像処理を行う回路を含む第2回路と、で電源の供給経路が分離されており、上記印刷データをカラー印刷するかモノクロ印刷するか判別するモノクロ/カラー判別部と、上記印刷データをカラー印刷するときは上記第1回路と上記第2回路とに電源を供給し、上記印刷データをモノクロ印刷するときは上記第2回路に電源を供給し且つ上記第1回路に電源を供給しない電源制御部と、を備える構成としてある。
【0007】
上記構成において、モノクロ/カラー判別部は、上記印刷データをカラー印刷すべきかモノクロ印刷すべきかを、印刷データの内容に基づいて判別する。印刷データの内容としては、印刷ジョブのコマンドや、印刷データに含まれる画像データの各画素データである。このようにして、入力された印刷データについて、カラー印刷とモノクロ印刷のいずれを行うべきか判別されると、電源制御部は、上記印刷データをカラー印刷するときは上記第1回路と上記第2回路とに電源を供給し、上記印刷データをモノクロ印刷するときは上記第2回路に電源を供給し且つ上記第1回路に電源を供給しない。したがって、モノクロ印刷では使用されない第1回路は、モノクロ印刷を行うときに、電源がオフされることになる。むろん、カラー印刷を行うときには、第1回路と第2回路の双方がオンされている。以上のように、印刷データの内容に基づいて第1回路を適宜にオフすることにより、TEC値を適切に低減することができる。
【0008】
また、本発明の選択的な一態様として、上記第1回路は、上記印刷データから作成される画像データの色空間を上記印刷装置の色空間に変換する色変換部と、上記色変換部によって色変換された後の画像データを圧縮する圧縮部と、上記色変換部によって色変換された後の画像データにスクリーン処理を行うスクリーン処理部と、の少なくとも1つを含む構成とすることができる。これらの色変換部と圧縮部とスクリーン処理部は、カラー画像処理とモノクロ画像処理の双方を行っているため、本発明のように、電源分離する対象としてふさわしく、これらについて適宜に第1回路と第2回路とに振り分けて電源分離することにより、TEC値を効率的に低減できる。
【0009】
また、本発明の選択的な一態様として、上記電源制御部は、上記印刷データの入力が無いときは上記第1回路と上記第2回路の電源をオンし、入力された上記印刷データをモノクロ印刷するときに上記第1回路の電源をオフする構成とすることができる。このように構成すると、モノクロ印刷が多用される環境において、ユーザビリティを犠牲にすることなく、効率的にTEC値を低減できる。
【0010】
また、本発明の選択的な一態様として、上記電源制御部は、上記印刷データの入力が無いときは上記第1回路の電源をオフし且つ上記第2回路の電源をオンし、入力された上記印刷データをカラー印刷するときに上記第1回路の電源をオンする構成とすることができる。このように構成すると、カラー印刷が多用される環境において、ユーザビリティを犠牲にすることなく、効率的にTEC値を低減できる。
【0011】
また、本発明の選択的な一態様として、読取対象物の読取面を走査して読取画像データを取得する画像読取部を更に備え、上記モノクロ/カラー判別部は、上記読取画像データがカラー画像データかモノクロ画像データかを判別し、上記電源制御部は、上記読取画像データがカラー画像データのときは上記第1回路と上記第2回路とに電源を供給し、上記読取画像データがモノクロ画像データのときは上記第2回路に電源を供給し且つ上記第1回路に電源を供給しない構成とすることができる。このように構成すれば、スキャナーのような画像読取部を備えた印刷装置において、効率的にTEC値を低減できる。
【0012】
上述した印刷装置は、他の機器に組み込まれた状態で実施されたり他の方法とともに実施されたりする等の各種の態様を含む。また、本発明は上記印刷装置を備える印刷システム、上述した装置の構成に対応した工程を有する制御方法、上述した装置の構成に対応した機能をコンピュータに実現させる制御プログラム、該制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体、等としても実現可能である。これら印刷システム、制御方法、制御プログラム、該制御プログラムを記録した媒体、の発明も、上述した作用、効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施例にかかるプリンターの構成を示すブロック図である。
【図2】プリンターの電源回路とその制御にかかる構成を示すブロック図である。
【図3】印刷データの構成の一例を示す図である。
【図4】電源制御のパターンを説明する図である。
【図5】第1のパターンで行う電源制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】第2のパターンで行う電源制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】変形例1にかかるプリンターの電源回路とその制御にかかる構成を示すブロック図である。
【図8】変形例2にかかるプリンターの構成を示すブロック図である。
【図9】モノクロ/カラー判別回路の行うモノクロ/カラー判別を説明するフローチャートである。
【図10】変形例2にかかるプリンターの電源回路とその制御にかかる構成を示すブロック図である。
【図11】変形例2にかかる電源制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】変形例2にかかる電源制御処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、下記の順序に従って本発明の実施例を説明する。
(1)本実施例の構成:
(2)本実施例の電源制御処理:
(3)各種変形例:
(4)まとめ:
【0015】
(1)本実施例の構成:
図1は、本実施例にかかるプリンターの構成を示すブロック図である。同図示すように、本発明の実施例にかかる印刷装置としてのプリンター100は、ホストコンピューター200と接続されている。ホストコンピューター200は、パーソナルコンピューターなどで構成され、プリンター100へ印刷データD1を供給する。
【0016】
図1に示すプリンター100は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)のトナーを印刷媒体に付着させ、所定のページ記述言語で記述された印刷データD1に含まれる印刷コマンドに従って印刷媒体上にカラーもしくはモノクロで印刷画像を形成する。プリンター100は、制御IC10、ROM20、RAM30、印刷エンジン40、ホストI/F50、電源回路60、等を備えている。電源回路60は、プリンター100の各部に電源を供給している。
【0017】
RAM(Random Access Memory)30は、コマンド解釈前の印刷データD1、コマンド解釈後のビットマップ画像データD2、色変換後のビットマップ画像データの圧縮データD3、等を格納する。印刷データD1は、ホストコンピューター200から印刷ドキュメント単位で送信され、プリンター100に印刷を実行させるための印刷ジョブである。
ホストI/Fは、ホストコンピューターとの通信インターフェースであり、ホストコンピューター200に対して情報を入出力可能であり、ホストコンピューター200から印刷データD1を受信する。むろん印刷データD1の受信元はホストコンピューター200に限るものではない。例えば、プリンター100が外部メモリー等に記憶された画像データを直接にプリンター100に入力するI/Fを備えていて、該画像データに基づいて印刷を行うダイレクト印刷機能を制御IC10が備えていれば、この機能を実現する制御IC10が印刷データD1を作成し、RAM30に格納することになる。
【0018】
制御IC(Integrated Circuit)10は、CPU(Central Processing Unit)11と、メモリーコントローラー12と、色変換・圧縮回路13と、スクリーン回路14と、を備えており、CPU11は、メモリーコントローラー12を介して色変換・圧縮回路13やスクリーン回路14を制御可能になっている。また、メモリーコントローラー12にはRAM30やホストI/F50も接続されており、CPU11は、メモリーコントローラー12を介してRAM30やホストI/F50を制御可能になっている。なお、本実施例において、色変換処理を行う色変換・圧縮回路13が色変換部を構成し、圧縮処理を行う色変換・圧縮回路13が圧縮部を構成し、スクリーン回路14がスクリーン処理部を構成する。
【0019】
メモリーコントローラー12は、CPU11の制御下でDMA(Direct Memory Access)コントローラーとして機能し、メモリーコントローラー12に接続された各部間でCPU11を経由しないDMA転送が可能である。例えば、色変換・圧縮回路13は、受信と送信の2つのDMAチャンネルを占有可能であり、一方のDMAチャンネルを通じてRAM30からビットマップ画像を取得し、他方のDMAチャンネルを通じてRAM30に圧縮画像を書き込むことができる。また、例えば、スクリーン回路14は、DMAチャンネルを通じてRAMから圧縮画像を取得することができる。
【0020】
制御IC10には、ROM(Read Only Memory)20がCPU11と通信可能に接続されており、CPU11は、ROM20に記憶されているプログラムに従ってプリンター100全体の動作を制御する。CPU11がROM20にプログラムを実行することにより、CPU11は、印刷制御部M1、モノクロ/カラー判別部M2、電源制御部M3、等に相当する機能を実現する。
【0021】
印刷制御部M1は、ホストコンピューター200から入力された印刷データD1をRAM30に記憶させる。印刷データD1は、ホストコンピューター200から印刷ドキュメント単位で送信され、プリンター100に印刷を実行させるための印刷ジョブである。ホストコンピューター200から入力された印刷ジョブには、ビットマップ展開するための複数の印刷コマンドが含まれている。ここで、ビットマップ展開とは、印刷コマンドを有する印刷データをビットマップ画像に展開することをいう。
【0022】
印刷制御部M1は、コマンド解釈前の印刷データD1をRAM30から取得し、印刷コマンドに従ってレンダリング処理等を行ってビットマップ展開したビットマップ画像データD2をRAM30に記憶させる。ビットマップ画像データD2は、ビットマップ画像を表すデータであり、ドットマトリクス状やハニカム状に並んだ画素のそれぞれに階調値が格納されたデータである。ビットマップ画像データD2の階調値の色空間は、印刷データD1の内容に依存し、印刷データD1がRGB色空間で表現されていればRGB色空間であり、印刷データD1がCMYK色空間で表現されていればCMYK色空間である。
【0023】
印刷制御部M1は、コマンド解釈が終了すると、色変換・圧縮回路13にビットマップ画像データD2の色変換処理を指示する。ここで、色変換処理とは、ビットマップ画像データD2の各階調値を、プリンター100の搭載するトナーにより再現可能なCMYK色空間の各階調値に変換させる処理をいう。色変換・圧縮回路13は、RAM30から取得したビットマップ画像データD2に色変換処理を行い、色変換後のビットマップ画像データを所定の圧縮アルゴリズムにより圧縮した圧縮画像データD3を作成し、圧縮画像データD3をRAM30に記憶させる。
【0024】
印刷制御部M1は、色変換処理が終了すると、スクリーン回路14に圧縮画像データD3のスクリーン処理を指示する。スクリーン回路14は、RAM30から圧縮画像データD3を取得して展開することにより色変換後のビットマップ画像データを取得し、このビットマップ画像データをスクリーン処理してスクリーン画像データを生成する。そして、スクリーン回路14は、スクリーン画像データを印刷エンジン40へ出力する。例えば、印刷エンジン40にPWM(Pulse Width Modulation;パルス幅変調)処理部があるレーザープリンターの場合、スクリーン画像データをレーザービームによるドット形成に適したパルス信号に変換して出力する。印刷エンジン40は、上記スクリーン画像データに従って印刷用紙といった印刷媒体にトナーのドットを配置し、印刷画像を印刷媒体上に形成する。
【0025】
図2は、プリンターの電源回路とその制御にかかる構成を示すブロック図である。本実施例において、スクリーン回路14はプリンター100に搭載されているトナーの色毎に用意されており、シアンのスクリーン画像データを作成するスクリーン回路14Cと、マゼンタのスクリーン画像データを作成するスクリーン回路14Mと、イエローのスクリーン画像データを作成するスクリーン回路14Yと、ブラックのスクリーン画像データを作成するスクリーン回路14Kと、を備えている。
【0026】
スクリーン回路14C,14M,14Y,14Kを備える制御IC10では、カラー画像を処理する際に必要なスクリーン回路14C,14M,14Y(以下、14C,14M,14Yをまとめてカラー用スクリーン回路と記載する。)と、その他の回路とで電源分離されている。なお、本実施例では、カラー用スクリーン回路が第1回路を構成し、その他の回路が第2回路を構成する。
【0027】
ここで、電源分離とは、電源供給を別々に制御可能に構成されることであり、本実施例では、電源回路60からカラー画像用スクリーン回路への電源供給ラインL1と、その他の回路への電源供給ラインL2を別々に用意し、電源供給ライン上にレギュレーター61,63をそれぞれ介装してある。レギュレーター61,63は、電源回路60で生成された所定電圧(図2では3.3V)を制御IC10の動作電圧の定電圧(図2では1.1V)に変換して出力する、定電圧回路として機能する。
【0028】
電源供給ラインL1に介装されるレギュレーター61は、制御端子Tを備えており、制御端子Tに入力されるレギュレーター制御信号に従って、定電圧の出力のオンオフを切り替え可能である。レギュレーター61は、出力オンを指示するレギュレーター制御信号が制御端子Tに入力されると定電圧を出力し、出力オフを指示するレギュレーター制御信号が制御端子Tに入力されると出力を停止する。いずれのレギュレーター制御信号を出力するかは、モノクロ/カラー判別の結果に基づいて決定される。
【0029】
本実施例において、モノクロ/カラー判別は、モノクロ/カラー判別部M2が行う。ここで、モノクロ/カラー判別は、印刷データD1の印刷におけるカラー印刷の要否に基づいて行われる。
図3は、印刷データD1の構成の一例を示す図である。同図に示すように、印刷データD1は、印刷コマンドや画像印刷コマンドを備えている。印刷コマンドでは、カラー印刷とモノクロ印刷のいずれかを指定することができる。画像印刷コマンドでは、画像印刷コマンドが印刷条件を指定する画像について、カラー印刷とモノクロ印刷のいずれかを指定することができる。そこで、モノクロ/カラー判別部M2は、印刷データD1において、カラー印刷が指定されていればカラー印刷が必要と判断し、モノクロ印刷が指定されていればカラー印刷が不要と判断する。
【0030】
電源制御部M3はモノクロ/カラー判別部M2の判別結果に基づいてレギュレーター61を制御する。電源制御部M3は、本実施例においては、設定レジスター15を介してレギュレーター61を制御している。設定レジスター15は、第1の値が書き込まれると、第1の電圧信号をレギュレーター制御信号として制御端子Tに入力する。すると、レギュレーター61は、定電圧の出力を停止する。また設定レジスター15は、第2の値(≠第1の値)が書き込まれると、第2の電圧信号(≠第1の電圧信号)をレギュレーター制御信号として制御端子Tに入力する。すると、レギュレーター61は、定電圧の出力を開始する。
【0031】
すなわち、電源制御部M3が、設定レジスター15に第1の値が書き込めば、レギュレーター61はカラー用スクリーン回路への電源供給を停止し、設定レジスター15に第2の値を書き込めば、レギュレーター61はカラー用スクリーン回路への電源供給を開始する。また、レギュレーター61の出力ラインにはリセット回路62が接続されており、リセット回路62は、レギュレーター61の出力電圧の立ち上がりを検知すると、カラー用スクリーン回路にリセット信号を出力してリセットさせる。すなわち、レギュレーター61が定電圧の出力停止状態から、定電圧の出力を開始すると、リセット回路62がカラー用スクリーン回路を構成する各スクリーン回路をリセットする。すなわち、設定レジスター15に第1の値が書き込めば、カラー用スクリーン回路の印刷準備が整う。
【0032】
なお、レギュレーター63の出力ラインにもリセット回路64が接続されており、リセット回路64は、レギュレーター63の出力電圧の立ち上がりを検知すると、カラー用スクリーン回路を除く制御IC10の各回路にリセット信号を出力してリセットさせる。すなわち、プリンター100の電源が投入されてレギュレーター63が定電圧の出力を開始すると、リセット回路64がカラー用スクリーン回路を除く制御ICをリセットする。すなわち、プリンター100の電源が投入されると、カラー用スクリーン回路を除く制御IC10の印刷準備が整う。
【0033】
(2)本実施例の電源制御処理:
図4は、電源制御部M3の行う電源制御のパターンを説明する図である。同図に示すように、本実施例では2つの電源制御のパターンが考えられる。第1のパターンでは、通常はカラー用スクリーン回路の電源を切っておき、カラー印刷が必要なときだけカラー用スクリーン回路の電源を入れ、その後、カラー印刷が完了するとカラー用スクリーン回路の電源を切る。一方、第2のパターンでは、通常はカラー用スクリーン回路の電源を入れておき、モノクロ印刷を実行するときだけカラー用スクリーン回路の電源を切り、その後、モノクロ印刷が完了するとカラー用スクリーン回路の電源を入れる。いずれのパターンであっても、スクリーン回路の消費電力を低減できる。
【0034】
図5は、第1のパターンで行う電源制御処理の流れを示すフローチャートである。同図に示す電源制御処理はプリンター100の電源が投入されて、CPU11が起動したときに開始される。処理が開始されると、まず、カラー用スクリーン回路の電源をオフにする(S100)。むろん、プリンター100が起動される時に、カラー用スクリーン回路が電源オフの状態で起動するのであれば、ステップS100は不要である。
【0035】
次に、印刷データD1の入力の有無を判断する(S105)。印刷データD1がホストコンピューター200から入力されるとステップS110に進み(S105:Yes)、印刷データD1の入力を検知しないときはステップS105の判断を繰り返し実行する(S105:No)。ステップS110では、モノクロ/カラー判別部M2の判断に基づいて、入力された印刷データD1でのカラー印刷の要否を判断する。判断の結果、印刷データD1にカラー印刷が必要な場合はステップS115に進み(S110:カラー)、カラー印刷が不要な場合はステップS120に進む(S110:モノクロ)。
【0036】
ステップS115において、電源制御部M3は、設定レジスター15に第2の値を書き込む。すると、設定レジスター15が第2の電圧信号を出力し、レギュレーター61が定電圧の出力を開始するため、カラー用スクリーン回路の電源がオンになる。さらに、レギュレーター61が定電圧の出力を開始すると、リセット回路62がカラー用スクリーン回路にリセット信号を出力し、カラー用スクリーン回路が初期化されてカラー印刷が可能な状態になる。
【0037】
ステップS120において、電源制御部M3は、ステップS105で入力された印刷データD1の印刷が完了したか否か判断し、印刷が完了していればステップS125に進み(S120:Yes)、印刷中であればステップS120の判断を繰り返す(S120:No)。ステップS125では、次の印刷データD1が入力されているか否かを判断し、次の印刷データD1が入力されている場合はステップS130に進み(S125:Yes)、次の印刷データD1が未入力の場合はステップS135に進む(S125:No)。
【0038】
ステップS130では、次の印刷データD1でのカラー印刷の要否を判断し、カラー印刷が必要な場合はステップS115に進み(S130:カラー)、カラー印刷が不要な場合はステップS135に進む(S130:モノクロ)。ステップS135において、電源制御部M3は、設定レジスター15に第1の値を書き込む。すると、設定レジスター15が第1の電圧信号を出力し、レギュレーター61が定電圧の出力を停止するため、カラー用スクリーン回路の電源がオフになる。ステップS135が終了すると、電源制御部M3は、ステップS105に戻り印刷データD1の入力を待機する。
【0039】
以上のように、カラー印刷が必要な時だけカラー用スクリーン回路の電源を入れることにより、カラー印刷が行われないときはカラー用スクリーン回路の消費電力を抑制できる。カラー用スクリーン回路は、制御IC10の中で約10%を占めており、消費電力の約10〜15%を占めるため、カラー用スクリーン回路の電源をオフすることによる消費電力の低減効果は絶大である。
【0040】
図6は、第2のパターンで行う電源制御処理の流れを示すフローチャートである。同図に示す電源制御処理もプリンター100の電源が投入されて、CPU11が起動したときに開始される。処理が開始されると、まず、カラー用スクリーン回路の電源をオンにする(S200)。むろん、プリンター100の起動時に、カラー用スクリーン回路が電源オンの状態で起動しているのであれば、ステップS200は不要である。
【0041】
次に、印刷データD1の入力の有無を判断する(S205)。印刷データD1がホストコンピューター200から入力されるとステップS210に進み(S205:Yes)、印刷データD1の入力を検知しないときはステップS205の判断を繰り返し実行する(S205:No)。ステップS210では、モノクロ/カラー判別部M2の判断に基づいて、入力された印刷データD1でのカラー印刷の要否を判断する。判断の結果、印刷データD1にカラー印刷が不要な場合はステップS215に進み(S210:モノクロ)、カラー印刷が必要な場合はステップS220に進む(S210:カラー)。
【0042】
ステップS215において、電源制御部M3は、設定レジスター15に第1の値を書き込む。すると、設定レジスター15が第1の電圧信号を出力し、レギュレーター61が定電圧の出力を開始するため、カラー用スクリーン回路の電源がオフになる。
【0043】
ステップS220において、電源制御部M3は、ステップS205で入力された印刷データD1の印刷が完了したか否か判断し、印刷が完了していればステップS225に進み(S220:Yes)、印刷中であればステップS220の判断を繰り返す(S220:No)。ステップS225では、次の印刷データD1が入力されているか否かを判断し、次の印刷データD1が入力されている場合はステップS230に進み(S225:Yes)、次の印刷データD1が未入力の場合はステップS235に進む(S225:No)。
【0044】
ステップS230では、次の印刷データD1でのカラー印刷の要否を判断し、カラー印刷が不要な場合はステップS220に進み(S230:モノクロ)、カラー印刷が必要な場合はステップS235に進む(S230:カラー)。なお、ステップS230からステップS220に進んだときは、ステップS225で検知した印刷データD1の印刷中であるか否かを判断することになる。
【0045】
ステップS235において、電源制御部M3は、設定レジスター15に第2の値を書き込む。すると、設定レジスター15が第2の電圧信号を出力し、レギュレーター61が定電圧の出力を開始するため、カラー用スクリーン回路の電源がオンになる。また、レギュレーター61が定電圧の出力を開始すると、リセット回路62がカラー用スクリーン回路にリセット信号を出力するため、カラー用スクリーン回路が初期化され、カラー印刷が可能な状態になる。ステップS235が終了すると、電源制御部M3は、ステップS205に戻り印刷データD1の入力を待機する。
【0046】
以上のように、モノクロ印刷が行われているときにカラー用スクリーン回路の電源をオフするため、カラー印刷が確実に不要なときにカラー用スクリーン回路での消費電力をカットできる。さらに、印刷データD1の入力を待機しているときは、いつでもカラー印刷に対応可能である。よって、消費電力を低減しつつ、カラー印刷が必要な印刷データD1の入力から印刷までのタイムラグを防止できる。
【0047】
(3)各種変形例:
以上説明した実施例は、以下のように変更することも可能である。
(3−1)変形例1:
図7は、変形例1にかかるプリンターの電源回路とその制御にかかる構成を示すブロック図である。変形例1では、図1に示したスクリーン回路14と色変換・圧縮回路13との両方について電源分離を行っている。本変形例1では、上述した実施例と同様に、スクリーン回路14が、スクリーン回路14C、スクリーン回路14M、スクリーン回路14Y、スクリーン回路14K、を備えている。なお、本変形例においても、なお、色変換処理を行う色変換・圧縮回路13が色変換部を構成し、圧縮処理を行う色変換・圧縮回路13が圧縮部を構成し、スクリーン回路14がスクリーン処理部を構成する。
【0048】
さらに、色変換・圧縮回路13が、プリンター100に搭載されている各トナーの色毎に用意されており、シアンのビットマップ画像データを処理する色変換・圧縮回路13C、マゼンタのビットマップ画像データを処理する色変換・圧縮回路13M、イエローのビットマップ画像データを処理するする色変換・圧縮回路13Y、ブラックのビットマップ画像データを処理する色変換・圧縮回路13K、を備えている。なお、本変形例2では、色変換・圧縮回路をまとめて電源分離の対象としたが、むろん、色変換回路と圧縮回路の一方だけを電源分離の対象としてもよい。
【0049】
スクリーン回路14C,14M,14Y,14Kと、色変換・圧縮回路13C,13M,13Y,13Kを備える制御IC10では、カラー画像を処理する際に必要なスクリーン回路14C,14M,14Y並びに色変換・圧縮回路13C,13M,13Y(以下、14C,14M,14Y,13C,13M,13Yをまとめてカラー用画像処理回路と記載する。)と、その他の回路とで電源分離されている。なお、本変形例1では、カラー用画像処理回路が第1回路を構成し、その他の回路が第2回路を構成する。
【0050】
電源回路60において、電源回路60からカラー画像用画像処理回路への電源供給ラインL3と、その他の回路への電源供給ラインL4を別々に用意し、電源供給ライン上にレギュレーター61,63をそれぞれ介装してある。レギュレーター61,63は、電源回路60で生成された所定電圧(図7では3.3V)を制御IC10の動作電圧の定電圧(図7では1.1V)に変換して出力する、定電圧回路として機能する。
【0051】
以上のように構成した変形例1にかかるプリンター100において、上述した実施例と同様の電源制御処理を行うと、スクリーン回路のみならず、色変換・圧縮回路も含むカラー用画像処理回路の電源を適宜オン/オフ切り替えするため、消費電力をさらに低減できる。なお、言うまでもないが、本変形例では、上述した実施例における「カラー用スクリーン回路」の代わりに「カラー用画像処理回路」への電源供給を切替制御することになる。
【0052】
(3−2)変形例2の構成:
図8は、変形例2にかかるプリンターの構成を示すブロック図である。本変形例2にかかるプリンター300は、上述した実施例のプリンター100に、スキャナーユニット370とスキャナー制御部316とを加えてある。このプリンター300では、プリンター100と同様にホストコンピューター200から印刷データD1を入力して印刷する際に上述した電源制御処理を実行可能であり、さらにスキャナーユニット370から入力される読取画像データD5を印刷する際にもモノクロ/カラー判別の結果に基づく電源制御処理を実行可能になっている。
【0053】
なお、図8の符号311,312,313,314,320,330,340,350,360にかかる構成は、図1の符号11,12,13,14,20,30,40,50,60にかかる構成とそれぞれ同様であるため、これら共通な構成については以下での説明を省略することにする。
【0054】
スキャナー制御部316は、制御IC310に含まれており、メモリーコントローラー312に接続されている。スキャナー制御部316は、スキャナーユニット370の制御と、スキャナーユニット370から入力された読取画像データD5に対する各種の画像処理(補正、モアレ除去、エッジ強調等)とを実行可能であり、さらに、読取画像データD5のモノクロ/カラー判別を行うモノクロ/カラー判別回路316aを備えている。なお、本変形例2において、スキャナー制御部316により制御されるスキャナーユニット370、もしくは各種の画像処理を行うスキャナー制御部316とスキャナーユニット370の組合せが画像読取部を構成する。
【0055】
スキャナー制御部316にはスキャナーユニット370が接続されており、スキャナー制御部316は、スキャナーユニット370に読取画像データD5に出力させることができる。スキャナー制御部316は、不図示の操作部やホストコンピューター200等から、スキャナーユニット370によるスキャンやコピーを指示されると、スキャナーユニット370を制御して原稿等の読取対象物における読取面を走査して、読取画像データD5を作成させる。このようにして作成された読取画像データD5について、モノクロ/カラー判別回路316aは、彩度に基づくモノクロ/カラー判別を行う。
【0056】
図9は、モノクロ/カラー判別回路316aの行うモノクロ/カラー判別を説明するフローチャートである。同図では、読取画像データD5を構成する各画素が、R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の3つの要素色の階調値で表現されるものとしてある。モノクロ/カラー判別回路は、まず、読取画像データD5を構成する複数の画素から1つを選択し(S300)、これを着目画素として、この着目画素について彩度判定を行う。
【0057】
彩度判定では、まず、着目画素の階調値を(R,G,B)=(Rn,Gn,Bn)とすると、Rn,Gn,Bnの中から2色の組合せを選択し、選択した2色の差分の絶対値を算出する。そして、この2色の差分の絶対値を全ての組合せについて求めて、最も大きい絶対値と所定の閾値とを比較する(S305)。比較の結果、最も大きい絶対値が所定の閾値よりも大きい場合は(S305:Yes)、着目画素を非モノクロ画素と判断して、非モノクロ画素数をカウントするカウンターmをカウントアップする(S310)。そして、同様の比較を読取画像データD5のすべての画素に順次行って(S300〜S315)、非モノクロ画素と判断された画素数をカウンターmにカウントしていく(S310)。
【0058】
そして、読取画像データD5に非モノクロ画素の占める割合を示す非モノクロ割合を算出する。非モノクロ割合は、読取画像データD5の全画素数(=x画素×y画素)で非モノクロ画素数のカウンターmの値を除することにより算出される。このように算出された非モノクロ割合について、一定割合(例えば70%)を超えたか否か判断する(S320)。その結果、非モノクロ割合が一定割合を超えた場合は(S320:Yes)、読取画像データD5をカラー画像データと判断し(S325)、非モノクロ割合が一定割合以下であれば(S320:No)、読取画像データD5をモノクロ画像データと判断する(S330)。
【0059】
(3−3)変形例2の電源制御処理:
図10は、変形例2にかかるプリンターの電源回路とその制御にかかる構成を示すブロック図である。同図では、スキャナー制御部316に内蔵されているモノクロ/カラー判別回路316aが電源回路360を制御する。同図では、上述した実施例の図2と同様に、制御IC310においてカラー用スクリーン回路とその他の回路とで電源分離されている。なお、電源供給ラインL5は図2の電源供給ラインL1に対応し、電源供給ラインL6は図2の電源供給ラインL2に対応する。また、符号314C,314M,314Y,314K,361,363,364の各構成は、それぞれ、図2の符号14C,14M,14Y,14K,61,63,64の各構成に対応する。
【0060】
ここで、モノクロ/カラー判別回路316aは、図9に例示したモノクロ/カラー判別部M2の判別結果に基づいてレギュレーター361を制御する。特に、プリンター100において、スキャナーユニット370で読み取った読取画像データD5に基づいて行うコピー印刷の際に、モノクロ/カラー判別回路316aがレギュレーター361を制御すると好適である。むろん、モノクロ/カラー判別回路316aで印刷データD1に含まれる画像データを判別してレギュレーター361を制御することにより電源制御処理を行ってもよい。
【0061】
なお、ホストコンピューター200から入力された印刷データD1を印刷するときは、上述した実施例と同様に、CPU311により実現されるモノクロ/カラー判別部M2の判別結果に基づいて電源制御部M3がレギュレーター361を制御する。
【0062】
モノクロ/カラー判別回路316aは、レギュレーター361の制御端子Tと接続されており、第1信号電圧と第2信号電圧(≠第1の電圧信号)をレギュレーター制御信号として入力することができる。モノクロ/カラー判別回路316aが、第1の電圧信号を制御端子Tに入力するとレギュレーター361は定電圧の出力を停止し、第2の電圧信号を制御端子Tに入力すると、レギュレーター361は定電圧の出力を開始する。リセット回路362は、レギュレーター361の出力電圧の立ち上がりを検知すると、カラー用スクリーン回路にリセット信号を出力してリセットさせる。
【0063】
図11は、以上のように構成された変形例2にかかる電源制御処理の流れを示すフローチャートである。同図に示す電源制御処理は、プリンター300のスキャナー制御部316が実行する。なお、同図に示す処理は、上述したパターン1(図5)での電源制御をCPU311が行っている場合に、スキャナー制御部316が実行する電源制御処理である。同図に示す電源制御処理は、プリンター300の電源が投入されて、スキャナー制御部316が起動したときに開始される。
【0064】
処理が開始されると、スキャン指示の有無を判断する(S400)。スキャン指示は、ユーザーの操作入力を受け付けるための不図示の操作部やホストコンピューター200等から入力される。スキャン指示を検知するとステップS405に進み(S400:Yes)、スキャン指示を検知するまではステップS400を繰り返す(S400:No)。
【0065】
次に、読取画像データD5の入力の有無を判断する(S405)。スキャナーユニット370の読み取り走査が完了し、スキャナーユニット370から読取画像データD5が入力されるとステップS410に進み(S405:Yes)、読取画像データD5が入力されていない間はステップS405の判断を繰り返し実行する(S405:No)。なお、本変形例2では、読取画像データD5が読取画像データを構成するのは無論であるが、読取画像データD5は印刷データも構成する。
【0066】
ステップS410では、モノクロ/カラー判別回路316aが、読取画像データD5のコピーにおけるカラー印刷の要否を判断する。ここで、モノクロ/カラー判別回路316aが読取画像データD5をカラー画像データと判断すると、カラー印刷が必要であると判断してステップS415に進み(S410:カラー)、モノクロ/カラー判別回路316aが読取画像データD5をモノクロ画像データと判断すると、カラー印刷が不要であると判断してステップS420に進む(S410:モノクロ)。
【0067】
ステップS415において、モノクロ/カラー判別回路316aは、レギュレーター361に第2の電圧信号を出力する。すると、レギュレーター361は定電圧の出力を開始し、カラー用スクリーン回路の電源がオンになる。また、レギュレーター361が定電圧の出力を開始すると、リセット回路362がカラー用スクリーン回路にリセット信号を出力し、カラー用スクリーン回路が初期化されるため、カラー印刷が可能な状態になる。
【0068】
ステップS420において、スキャナー制御部316は、ステップS405で入力された読取画像データD5の印刷が完了したか否か判断し、印刷が完了していればステップS425に進み(S420:Yes)、印刷中であればステップS420の判断を繰り返す(S420:No)。ステップS425では、モノクロ/カラー判別回路316aが、レギュレーター361に第1の電圧信号を出力する。すると、レギュレーター361は定電圧の出力を停止し、カラー用スクリーン回路の電源がオフになる。ステップS425が終了すると、スキャナー制御部316は、ステップS400に戻り、スキャン指示の入力を待機する。
以上のように、カラーコピーが必要な時だけカラー用スクリーン回路の電源を入れることにより、カラーコピーが行われないときはカラー用スクリーン回路の消費電力を抑制できる。
【0069】
図12は、変形例2にかかる電源制御処理の流れを示すフローチャートである。同図に示す処理は、プリンター300のスキャナー制御部316が実行する。なお、同図に示す処理は、上述したパターン2(図5)の電源制御をCPU311が行っている場合に、スキャナー制御部316が実行する電源制御処理である。同図に示す電源制御処理はプリンター100の電源が投入されて、スキャナー制御部316が起動したときに開始される。
【0070】
処理が開始されると、スキャン指示の有無を判断する(S500)。スキャン指示は、ユーザーの操作入力を受け付けるための不図示の操作部やホストコンピューター200等から入力される。スキャン指示を検知するとステップS505に進み(S500:Yes)、スキャン指示を検知するまではステップS500を繰り返す(S500:No)。
【0071】
次に、読取画像データD5の入力の有無を判断する(S505)。スキャナーユニット370の読み取り走査が完了し、スキャナーユニット370から読取画像データD5が入力されるとステップS510に進み(S505:Yes)、読取画像データD5の入力がされない間はステップS505の判断を繰り返し実行する(S505:No)。ステップS510では、モノクロ/カラー判別回路316aが、読取画像データD5の印刷におけるカラー印刷の要否を判断する。ここで、モノクロ/カラー判別回路316aが読取画像データD5をカラー画像データと判断すると、カラー印刷が必要であると判断してステップS520に進み(S510:カラー)、モノクロ/カラー判別回路316aが読取画像データD5をモノクロ画像データと判断すると、カラー印刷が不要であると判断してステップS515に進む(S510:モノクロ)。
【0072】
ステップS515において、モノクロ/カラー判別回路316aは、レギュレーター361に第1の電圧信号を出力する。すると、レギュレーター361は定電圧の出力を停止し、カラー用スクリーン回路の電源がオフになる。
【0073】
ステップS520において、スキャナー制御部316は、ステップS505で入力された読取画像データD5の印刷が完了したか否か判断し、印刷が完了していればステップS525に進み(S520:Yes)、印刷中であればステップS520の判断を繰り返す(S520:No)。ステップS525において、モノクロ/カラー判別回路316aは、レギュレーター361に第2の電圧信号を出力する。すると、レギュレーター361は定電圧の出力を開始し、カラー用スクリーン回路の電源がオンになる。また、レギュレーター361が定電圧の出力を開始すると、リセット回路362がカラー用スクリーン回路にリセット信号を出力し、カラー用スクリーン回路が初期化されるため、カラー印刷が可能な状態になる。ステップS525が終了すると、スキャナー制御部316は、ステップS500に戻り、スキャン指示の入力を待機する。
【0074】
以上のように、モノクロコピーが行われているときはカラー用スクリーン回路の電源をオフにするため、カラーコピーが確実に不要なときにカラー用スクリーン回路での消費電力をカットしつつ、読取画像データD5の入力の待機中は、いつでもカラーコピーに対応可能になる。よって、消費電力を低減しつつ、カラーコピーが必要な読取画像データD5の入力から印刷までのタイムラグを回避できる。
【0075】
(4)まとめ:
以上説明した実施例によれば、印刷データD1に基づいてカラー印刷もしくはモノクロ印刷を実行可能なプリンター100において、印刷データD1から作成されるカラー画像データの画像処理を行うカラー用スクリーン回路と、カラー用スクリーン回路を除いた少なくとも印刷データD1から作成されるモノクロ画像データの画像処理を行うスクリーン回路14Kを含む制御IC10と、で電源の供給経路が分離されており、印刷データD1をカラー印刷するかモノクロ印刷するか判別するモノクロ/カラー判別部M2と、印刷データD1をカラー印刷するときは制御IC10全体に電源を供給し、モノクロ印刷するときはカラー用スクリーン回路の電源をオフし且つその他の制御IC10に電源を供給する電源制御部M3と、を備える。よって、TEC値の低減が可能となる。
【0076】
また、上記変形例1によれば、印刷データD1に基づいてカラー印刷もしくはモノクロ印刷を実行可能なプリンター100において、印刷データD1から作成されるカラー画像データの画像処理を行うカラー用画像処理回路と、カラー用画像処理回路を除いた少なくとも印刷データD1から作成されるモノクロ画像データの画像処理を行うスクリーン回路14Kや色変換・圧縮回路13Kを含む制御IC10と、で電源の供給経路が分離されており、印刷データD1をカラー印刷するかモノクロ印刷するか判別するモノクロ/カラー判別部M2と、印刷データD1をカラー印刷するときは制御IC10全体に電源を供給し、モノクロ印刷するときはカラー用画像処理回路の電源をオフし且つその他の制御IC10に電源を供給する電源制御部M3と、を備える。よって、さらなるTEC値の低減が可能となる。
【0077】
また、上記変形例2によれば、読取画像データD5に基づいてカラー印刷もしくはモノクロ印刷を実行可能なプリンター300において、読取画像データD5から作成されるカラー画像データの画像処理を行うカラー用スクリーン回路と、カラー用スクリーン回路を除いた少なくとも読取画像データD5から作成されるモノクロ画像データの画像処理を行うスクリーン回路14Kを含む制御IC10と、で電源の供給経路が分離されており、読取画像データD5をカラー印刷するかモノクロ印刷するか判別するモノクロ/カラー判別回路316aと、読取画像データD5をカラー印刷するときは制御IC10の全体に電源を供給し、モノクロ印刷するときはカラー用スクリーン回路をオフし且つその他の制御IC10に電源を供給するスキャナー制御部316と、を備える。コピー機能を備えたプリンターにおいても、TEC値の低減が可能となる。
【0078】
なお、本発明は上述した実施形態や変形例に限られず、上述した実施形態および変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組合せを変更したりした構成、公知技術並びに上述した実施形態および変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組合せを変更したりした構成、等も含まれる。
【符号の説明】
【0079】
100…プリンター、200…ホストコンピューター、10…制御IC、11…CPU、
12…メモリーコントローラー、13,13C,13K,13M,13Y…色変換・圧縮回路、14…スクリーン回路、14C,14M,14Y,14K…スクリーン回路、15…設定レジスター、20…ROM、30…RAM、40…印刷エンジン、50…ホストI/F、60…電源回路、61…レギュレーター、62…リセット回路、63…レギュレーター、64…リセット回路、300…プリンター、311…CPU、312…メモリーコントローラー、316…スキャナー制御部、316a…モノクロ/カラー判別回路、360…電源回路、361…レギュレーター、362…リセット回路、370…スキャナーユニット、D1…印刷データ、D2…ビットマップ画像データ、D3…圧縮画像データ、D5…読取画像データ、L1…電源供給ライン、L2…電源供給ライン、L3…電源供給ライン、L4…電源供給ライン、L5…電源供給ライン、L6…電源供給ライン、M1…印刷制御部、M2…モノクロ/カラー判別部、M3…電源制御部、T…制御端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データに基づいてカラー印刷もしくはモノクロ印刷を実行可能な印刷装置であって、
上記印刷データから作成されるカラー画像データの画像処理を行う第1回路と、上記第1回路を含まず少なくとも上記印刷データから作成されるモノクロ画像データの画像処理を行う回路を含む第2回路と、で電源の供給経路が分離されており、
上記印刷データをカラー印刷するかモノクロ印刷するか判別するモノクロ/カラー判別部と、
上記印刷データをカラー印刷するときは上記第1回路と上記第2回路とに電源を供給し、上記印刷データをモノクロ印刷するときは上記第2回路に電源を供給し且つ上記第1回路に電源を供給しない電源制御部と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
上記第1回路は、上記印刷データから作成される画像データの色空間を上記印刷装置の色空間に変換する色変換部と、上記色変換部によって色変換された後の画像データを圧縮する圧縮部と、上記色変換部によって色変換された後の画像データにスクリーン処理を行うスクリーン処理部と、の少なくとも1つを含む請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
上記電源制御部は、上記印刷データの入力が無いときは上記第1回路と上記第2回路の電源をオンし、入力された上記印刷データをモノクロ印刷するときに上記第1回路の電源をオフする請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
上記電源制御部は、上記印刷データの入力が無いときは上記第1回路の電源をオフし且つ上記第2回路の電源をオンし、入力された上記印刷データをカラー印刷するときに上記第1回路の電源をオンする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の印刷装置。
【請求項5】
読取対象物の読取面を走査して読取画像データを取得する画像読取部を更に備え、
上記モノクロ/カラー判別部は、上記読取画像データがカラー画像データかモノクロ画像データかを判別し、
上記電源制御部は、上記読取画像データがカラー画像データのときは上記第1回路と上記第2回路とに電源を供給し、上記読取画像データがモノクロ画像データのときは上記第2回路に電源を供給し且つ上記第1回路に電源を供給しない請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の印刷装置。
【請求項6】
印刷データに基づいてカラー印刷もしくはモノクロ印刷を実行可能な印刷装置の制御方法であって、
上記印刷装置は、上記印刷データから作成されるカラー画像データの画像処理を行う第1回路と、上記第1回路を含まず少なくとも上記印刷データから作成されるモノクロ画像データの画像処理を行う回路を含む第2回路と、で電源の供給経路が分離されており、
上記印刷データをカラー印刷するかモノクロ印刷するか判別するモノクロ/カラー判別工程と、
上記印刷データをカラー印刷するときは上記第1回路と上記第2回路とに電源を供給し、上記印刷データをモノクロ印刷するときは上記第2回路に電源を供給し且つ上記第1回路に電源を供給しない電源制御工程と、
を備えることを特徴とする印刷装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−194740(P2011−194740A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64824(P2010−64824)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】