説明

印刷装置のウェブ自動装填装置およびウェブ自動装填方法

【課題】
ウェブの自動装填時にユーザが行なう作業の自動化をすすめ、操作ミスの発生を低減して、オペレータが容易かつ確実に操作可能なウェブ自動装填装置を提供する。
【解決手段】
印刷中にウェブバッファを形成するバッファ部の上部に、ウェブの上面側からエア吸引して搬送するバキューム搬送装置を設けることにより、自動装填時にバッファ部を経由しない印刷部へのダイレクトな用紙送行経路形成をおこないウェブを自動装填可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真印刷装置等の連続用紙(ウェブ)印刷装置における用紙自動装填装置および用紙自動装填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の連続用紙ウェブ自動装填技術は例えば特許文献1に示すものであり、これを用いた印刷装置の一例を図5を用いて説明する。従来のウェブ自動装填装置は図に示すように、印刷装置28内において、バッファ部Bに設けられたウェブ1のバッファ量を監視するセンサ24と、前記バッファ部B入口に設けられた用紙バッファ形成用の送込みローラ5と押圧ローラ6を有し、両ローラに挟持搬送されてバッファ部にウェブ1が送り込まれる。
【0003】
バッファ部B後段にウェブ幅方向送行位置を規制するエッジガイド25を設け、ウェブ1の幅方向送行位置を容易に調整可能としている。
【0004】
張力調整ローラ16は板バネ17に支持され、固定ローラ15に押し付けられている。板バネ17のたわみ量を制御することで、張力調整ローラ16に対してウェブ1の固定ローラ15への押付力を変化させる。ウェブ1に発生する張力は固定ローラ15とウェブ1との巻付き角度および張力調整ローラ16の固定ローラ15への押付力によって変化する。その結果、多種多様な仕様を持つウェブに対し適正なウェブ張力を設定できる。
【0005】
衝撃吸収ローラ19はアーム18先端に回転自在に固定され、アーム18の一端は揺動可能に印刷装置28本体に取り付けられている。アーム18はバネ37によりウェブ1に衝撃吸収ローラ19を圧接し、ウェブ1の張力を一定に保つ。ウェブ1はさらに搬送方向下流のドライブローラ20およびプレッシャローラ21からなる搬送部を経て転写部に送り込まれ、ウェブ1上にトナー像を転写定着し印刷を終了する。
【0006】
次に従来の自動ウェブ装填装置の動作を説明する。ウェブ両縁に送り穴の無いロール状ウェブを用いる場合、印刷装置28右側から印刷装置下部にウェブ1先端を通し、ガイドローラ30の外側にウェブ1を掛け、ウェブ1を上方に引張り上げて送込みローラ5にウェブ1をかけ回す。この時押圧ローラ6は解放しておく。さらにウェブ1の先端をエッジガイド25に通した後に固定ローラ15へ巻付ける。この際も固定ローラ15と押圧ローラ16を解放し、ウェブ1を通してから両ローラを再びセットする。ユーザは以上の一連の作業の間腰をかがめて操作を行なわなければならず非常に作業性が悪い。
【0007】
次に、ガイドブロック32を介し、ウェブ1を挟持搬送するドライブローラ20とプレッシャローラ21の間に挟み込み、バッファプレート33及びブリッジ34を水平に回動させた後、ドライブローラ20を駆動させてウェブ自動装填が開始される。
【0008】
転写部22を通過したウェブ1はバッファプレート33へ送り込まれる。バッファプレート33及びブリッジ34は自動装填が開始されてから一定時間が経過するまで水平に保持され、ウェブ1はブリッジ34に設けられた搬送ベルト(図示せず)により定着部35へ送り込まれる。定着部35からの排紙を排紙検出センサ36で確認した後、ウェブ自動装填が完了し、印刷動作が開始される。
【0009】
【特許文献1】特開2002-187660号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来はウェブの自動装填時にユーザが行なう作業が多くかつ作業性が悪いため、ユーザの操作ミスによるウェブ破損等の損紙の発生が起き易かった。又、装填不良によりウェブジャムが発生した場合には再度ウェブをかけ回さねばならず、復旧に多大な時間を費やすなどウェブの自動装填が不確実であった。本発明が解決しようとする課題は、ウェブの自動装填におけるユーザの操作を最小限に留めることによって、確実容易に操作可能な印刷装置のウェブ自動装填装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
印刷中にウェブバッファを形成するバッファ部の上部にウェブを上側からエア吸引搬送するバキューム搬送装置を設け、バッファ部を経由せずに印刷部にダイレクトに給送するウェブの自動搬送経路を形成する。自動装填完了時にはエア吸引を停止させ、ウェブを継続して給送するとともにウェブの自重で落下させバッファを形成する。この時、バキューム搬送装置の前段に設けられたウェブ搬送ローラの駆動を所定時間継続させ、バッファ量検出センサでウェブバッファを検出した後、前記駆動ローラの駆動を停止する制御を行なう。
【発明の効果】
【0012】
発明によれば、ウェブの自動装填をユーザによる最小限の操作で行なうことができ、ユーザの操作ミスによる損紙の発生、発生したジャムの復旧に多大な時間を費やしてしまう等の不具合を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、この実施例に限られることはなく、当業者において置換可能な種々の変形例が含まれる。
【実施例】
【0014】
図1において、印刷装置のウェブガイドテーブル102によりウェブ1は印刷装置128本体に案内される。ウェブ1の幅方向位置は図示しないガイドおよびセンサにより決定される。103はガイドローラであり、ウェブガイドテーブル102に設けられ、用紙供給装置等の前処理装置からウェブ1を印刷装置本体128内部にガイドする。ウェブガイドテーブル102およびガイドローラ103は給紙部の一部を形成する。ウェブガイドテーブル102は印刷中は印刷装置本体に収納される。200は印刷装置128の電源である。各コンポーネントの動作を制御するエンジンコントローラ(図示せず)により、ユーザの操作に従って本発明実施例の自動装填動作を制御する。
【0015】
印刷装置128のウェブ1の引き込み部にモータ104により駆動ベルト104aを介して回転する送込みローラ105と、送込みローラ105に押圧される軸方向に分割された複数個の押圧ローラ106を有し、両ローラによりウェブ1が送り込まれる。
【0016】
図2に送り込みローラ105の構成を詳細に示す。押圧ローラ106はノブ107を回動することにより送込みローラ105の周方向に回動可能である。押圧ローラ106は自動装填開始時には水平にウェブ1を搬送する上方位置にセットされ、自動装填完了後には、印刷中にウェブにループ状バッファを形成する下方位置にセットされる。ウェブガイド板108は押圧ローラ106の回動に連動して自動装填中は次工程にウェブ1をガイドし、印刷中はウェブ1のループ状バッファの外側に配置されるように構成される。
【0017】
次に図3にバキューム搬送装置109の詳細を示す。バキューム搬送装置109は図示しない吸引ブロアと連結されウェブ1の上面をエア吸引搬送する。バキューム搬送装置109は、搬送ベルト110、搬送ベルトガイド111、前記搬送ベルト110に駆動を与える駆動ローラ112、搬送ベルト110に張力を与える従動ローラ113及び吸引ブロアに連結する吸引パイプ114が設けられており、ウェブ1の上面をエア吸引しながら搬送ベルト110にて搬送を行う。
【0018】
図4にバキューム搬送装置9の後段部の構成を説明する。バキュームベルト搬送装置109の後段には、自動装填時にウェブ1を転写部方向にガイドするガイドシャフト126およびガイド板127が設けられている。ガイドシャフト126は固定ローラ115の回転軸に回動自在に設けられている。ガイド板127は、図示しないリンク機構およびソレノイド等のアクチュエータにより移動自在に設けられており、印刷中にはウェブ搬送経路を確保するため実線で示す退避位置にリトラクトされる。
【0019】
次いでウェブ1は、固定ローラ115と張力調整ローラ116からなる張力発生装置の間に送り込まれる。固定ローラ115は回転軸が固定された偏心ローラとして構成され、自動装填中は図示しないアクチュエータにより回動され、張力調整ローラ116と離隔されている。印刷中は、固定ローラ115は回動され張力調整ローラ116と接触する。このとき固定ローラ115は偏心作用により張力調整ローラ116との押し付け力を回動角度により変化させ、ウェブの種類に応じて最適な搬送力に調整することが可能である。
【0020】
ウェブ1はアーム118に固定された衝撃吸収ローラ119を経てドライブローラ121、プレッシャローラ120にて狭持され、ドライブローラ121をモータ138で駆動することにより、トラクタ129を経て転写部122へ送られる。トラクタ129は、送り穴付きウェブに使用され送り穴に係合しウェブ1を搬送する。トラクタ129は送り穴のないウェブを使用する場合にはウェブガイドとして機能する。
【0021】
本発明の感光ドラム123とウェブの転写部は転写ローラ122であり、自動装填中に感光ドラム123と同時に回転させることによりウェブ1の搬送がより確実に行われる。次いでウェブ1は、従来例と同様にバッファプレート133、用紙給送ブリッジ134にて定着部135へ送り込まれる。ウェブ1の先端が排紙部に設けられたセンサ136で検出されると同時にバキューム搬送装置109のエア吸引は停止され、ウェブ1は送込みローラ105で印刷装置128内に給送されつつ自重で落下を始めバッファ形成を開始する。送込みローラ105の駆動はさらに一定の時間継続され、ウェブ1のバッファはバッファ量検出センサ124に検出され、所定量に達したときバッファ送込みローラ105の駆動が停止するように制御する。ウェブ1は以上の過程を経てループ状のバッファを形成しエッジガイド125上に保持される。
【0022】
最後にユーザはこの状態からエッジガイド125の幅方向位置をウェブ幅に合わせて調整し、ガイドシャフト126をエッジガイド125の溝部にセットし自動装填が完了し印刷待機状態となる。このときガイド板127は、同時にバッファ部B外にリトラクトされる。以上のようにガイドシャフト126を自動装填開始時に解除しておくことでエッジガイド部にウェブをかけ回す作業が無くなる。
【0023】
エッジガイド125の用紙幅方向の調整は、ウェブ1の本体装填時に前記ウェブガイドテーブル102に設けられたガイドとセンサによりあらかじめウェブ1の幅を検出可能であるため、この情報に基づき自動で行なっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の自動ウェブ装填装置を設けた印刷装置の模式図である。
【図2】本発明の自動ウェブ装填装置前段部の模式図である。
【図3】本発明の自動ウェブ装填用バキューム搬送装置の平面図である。
【図4】本発明の自動ウェブ装填装置後段部の模式図である。
【図5】従来のウェブ印刷装置の模式図である。
【符号の説明】
【0025】
101…ウェブ
104…駆動源
105…送込みローラ
106…押圧ローラ
109…バキューム搬送装置
115…固定ローラ
116…張力調整ローラ
119…衝撃吸収ローラ
120…プレッシャローラ
121…ドライブローラ
124…バッファ量検出センサ
125…エッジガイド
128…印刷装置
129…トラクタ
136…排紙検出センサ
B…バッファ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続用紙ウェブを用いて印刷部で印刷を行うとともにウェブを前記印刷部に給送する給紙部と印刷後のウェブを排紙する排紙部を有する印刷装置において、印刷部前段にウェブにバッファを与えるバッファ部を有し、前記バッファ部前段に駆動ローラ機構を有し、前記バッファ部の上部にウェブをエア吸引して前記給紙部に搬送するバキューム搬送装置を設けたことを特徴とする自動ウェブ装填装置。
【請求項2】
連続用紙ウェブを用いて印刷部で印刷を行うとともにウェブを前記印刷部に給送する給紙部と印刷後のウェブを排紙する排紙部を有する印刷装置において、印刷部前段にウェブにバッファを与えるバッファ部を有し、前記バッファ部前段に駆動ローラ機構を有し、前記バッファ部の上部にウェブをエア吸引して前記印刷部に搬送するバキューム搬送装置を設けた自動ウェブ装填装置の自動装填方法において、
印刷装置の前記排紙部にウェブ検出手段を設け、ウェブを検出してから所定時間経過後に前記バキューム搬送装置の吸引を停止し、さらに所定時間経過後に前記バッファ部前段の駆動ローラ機構の駆動を停止することを特徴とする自動ウェブ装填装置の自動装填方法。
【請求項3】
請求項1記載の自動ウェブ装填装置において、前記バッファ部の所定のウェブバッファ量検出手段を設け、前記駆動ローラの駆動停止制御を、ウェブの所定バッファ量がバッファ部のウェブバッファ量検出手段に検出されたと同時に行なう事を特徴とする自動ウェブ装填装置。
【請求項4】
請求項1記載の自動ウェブ装填装置において、前記バキューム搬送装置の後段にウェブの幅方向送行位置を規制するエッジガイドと、ウェブに張力を与える張力発生装置を有し、前記張力発生装置からウェブを転写部へ搬送する搬送ローラを有することを特徴とする印刷装置の自動ウェブ装填装置。
【請求項5】
請求項1記載の自動ウェブ装填装置において、前記張力発生装置と前記搬送ローラとの間にウェブに圧接するよう揺動可能に付勢された衝撃吸収ローラを有することを特徴とする印刷装置の自動ウェブ装填装置。
【請求項6】
請求項1記載の自動ウェブ装填装置において、ウェブは両端に送り穴を有し、前記搬送ローラの後段に、ウェブの送り穴に係合しウェブを搬送するトラクタ機構を備えたことを特徴とする印刷装置の自動ウェブ装填装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−203037(P2009−203037A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−48316(P2008−48316)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】