印刷装置及び印刷方法
【課題】ユーザーによる印刷条件の設定し忘れに起因した印刷ミスを抑制することができる印刷装置及び印刷方法を提供する。
【解決手段】印刷装置に設けられるコンピューター60は、印刷条件の初期値を記憶する初期値記憶部74と、印刷条件の設定操作がなされた場合には該印刷条件に基づきプリンター部20を制御する一方、印刷条件の設定操作がなされない場合には初期値記憶部74に記憶される印刷条件の初期値に基づきプリンター部20を制御する駆動制御部83と、印刷条件の初期値を変更するか否かの判定に用いられる判定情報を取得し、該取得した判定情報が設定条件を満たすか否かを判定する情報取得部79と、判定情報が設定条件を満たすと判定された場合に、初期値記憶部74に記憶される印刷条件の初期値を設定条件に対応する印刷条件に変更する初期値変更部80と、を有する。
【解決手段】印刷装置に設けられるコンピューター60は、印刷条件の初期値を記憶する初期値記憶部74と、印刷条件の設定操作がなされた場合には該印刷条件に基づきプリンター部20を制御する一方、印刷条件の設定操作がなされない場合には初期値記憶部74に記憶される印刷条件の初期値に基づきプリンター部20を制御する駆動制御部83と、印刷条件の初期値を変更するか否かの判定に用いられる判定情報を取得し、該取得した判定情報が設定条件を満たすか否かを判定する情報取得部79と、判定情報が設定条件を満たすと判定された場合に、初期値記憶部74に記憶される印刷条件の初期値を設定条件に対応する印刷条件に変更する初期値変更部80と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体に対して印刷を施す印刷装置及び印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷装置を備えるシステムとして、例えば特許文献1に記載のシステムが提案されている。この特許文献1には、ユーザーからのヘルプ要求に対して、現在のシステムの状態だけではなく、過去のシステムの状態の履歴をも利用してディスプレイに表示させるヘルプメッセージを決定する旨が記載されている。
【0003】
ところで、印刷装置の一例としてのプリンターには、印刷する用紙(媒体)のサイズ及び種類などの印刷条件の初期値が予め設定されている。そのため、ユーザーによって印刷条件が設定されない状態で印刷指令がプリンターの制御装置に入力された場合には、予め設定された印刷条件の初期値に基づき、用紙に対して印刷が施されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−216516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、印刷条件の初期値として、用紙サイズはA4サイズに、用紙の種類は普通紙に設定されている。この状態で、例えば葉書に印刷を施す場合には、印刷条件のうち用紙サイズを葉書サイズに設定する必要がある。しかしながら、印刷条件を変更し忘れた場合には、印刷条件の初期値に基づいた印刷が行われる。この場合、ユーザーが所望する状態で用紙に印刷が施されないため、用紙が無駄となってしまう。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザーによる印刷条件の設定し忘れに起因した印刷ミスを抑制することができる印刷装置及び印刷方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、媒体に対して印刷を施すべく駆動する印刷駆動部と、該印刷駆動部を制御する印刷制御部とを備えた印刷装置において、前記印刷制御部は、印刷条件の初期値を記憶する初期値記憶手段と、印刷条件の設定操作がなされた場合には該印刷条件に基づき前記印刷駆動部を制御する一方、印刷条件の設定操作がなされない場合には前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値に基づき前記印刷駆動部を制御する印刷制御手段と、印刷条件の初期値を変更するか否かの判定に用いられる判定情報を取得する情報取得手段と、前記情報取得手段によって取得された判定情報が設定条件を満たすか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって、前記情報取得手段によって取得された判定情報が設定条件を満たすと判定された場合に、前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値を、前記設定条件に対応する印刷条件に変更する初期値変更手段と、を有する。
【0008】
上記構成によれば、印刷条件の初期値を変更するか否かの判定に用いられる判定情報が取得されると、該判定情報が設定条件を満たすか否かが判定される。そして、判定情報が設定条件を満たすと判定された場合には、印刷条件の初期値が、設定条件に対応する印刷条件に変更される。そのため、印刷を行う前にユーザーが印刷条件を変更しない場合であっても、設定条件に対応する印刷条件に基づき印刷が行われる。したがって、ユーザーによる印刷条件の設定し忘れに起因した印刷ミスを抑制することができる。
【0009】
本発明の印刷装置において、前記情報取得手段は、判定情報として時期を取得する時期取得手段を含み、前記判定手段は、前記時期取得手段によって取得された時期が時期条件を満たすか否かを判定し、前記初期値変更手段は、前記判定手段によって、前記時期取得手段によって取得された時期が時期条件を満たすと判定された場合に、当該時期条件に対応する印刷条件に、前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値を変更する。
【0010】
上記構成によれば、印刷条件の初期値は、取得された時期特有の印刷条件に変更される。そのため、印刷条件を時期特有の印刷条件として印刷を行う予定であるユーザーが印刷条件を変更し忘れた場合であっても、印刷条件の設定し忘れに起因した印刷ミスを抑制することができる。
【0011】
本発明の印刷装置において、前記情報取得手段は、前記印刷装置で使用する言語が表す地域情報を取得する地域情報取得手段を含み、前記判定手段は、前記時期取得手段及び前記地域情報取得手段によって取得された時期及び地域情報が時期条件を満たすか否かを判定し、前記初期値変更手段は、前記判定手段によって、前記時期取得手段及び前記地域情報取得手段によって取得された時期及び地域情報が時期条件を満たすと判定された場合に、当該時期条件に対応する印刷条件に、前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値を変更する。
【0012】
時期特有の印刷条件は、印刷装置が使用される地域の生活習慣の関係上、地域毎に異なる可能性がある。そこで、本発明では、地域情報取得手段によって取得される地域情報が示す言語に基づき、印刷装置が使用される地域が特定される。そして、印刷条件の初期値は、取得された時期及び地域情報に特有の印刷条件に変更される。そのため、印刷条件を時期特有の印刷条件として印刷を行う予定であるユーザーが印刷条件を変更し忘れた場合であっても、印刷条件の設定し忘れに起因した印刷ミスを抑制することができる。
【0013】
本発明の印刷装置において、前記印刷制御部は、前記判定手段によって、前記時期取得手段によって取得された時期が時期条件を満たすと判定された場合に、取得された時期を報知する報知処理を行う報知制御手段をさらに有し、前記初期値変更手段は、前記報知処理によって報知された時期のうち、選択された時期が満たす時期条件に対応する印刷条件に、前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値を変更する。
【0014】
上記構成によれば、印刷条件の初期値を時期特有の印刷条件に変更可能な場合には、その旨をユーザーに報知させる。こうした報知の結果、ユーザーによって選択された時期に特有の印刷条件が、印刷条件の初期値とされる。すなわち、印刷条件の初期値は、ユーザーの意図に沿った条件とされる。そのため、ユーザーは、時期を選択するだけで、印刷条件を設定することなく時期特有の印刷条件で印刷を印刷装置に行わせることができる。
【0015】
本発明の印刷装置において、前記情報取得手段は、前記判定情報として、設定操作された印刷条件とその設定回数とを関連付けて管理する回数管理手段を含み、前記判定手段は、前記回数管理手段によって管理される印刷条件の設定回数が最も多いという回数条件を満たすか否かを判定し、前記初期値変更手段は、前記判定手段によって、前記回数管理手段によって管理される設定回数が回数条件を満たすと判定された場合に、当該回数条件に対応する印刷条件に、前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値を変更する。
【0016】
上記構成によれば、ユーザーによって印刷条件が設定された場合には、その履歴が回数管理手段によって保管される。すなわち、回数管理手段は、印刷条件の設定回数を、印刷条件毎に管理している。そして、印刷条件の初期値は、管理される各印刷条件のうち回数条件を満たした印刷条件に変更される。つまり、印刷条件の初期値は、ユーザーによる印刷条件の過去の設定履歴に基づいた条件とされる。そのため、印刷前に印刷条件を設定しなくても、ユーザーの意図に沿った印刷条件で印刷が行われる確率が高くなる。したがって、ユーザーによる印刷条件の設定し忘れに起因した印刷ミスを抑制することができる。
【0017】
本発明の印刷装置において、前記回数条件は、前記回数管理手段によって管理される設定回数が予め設定された回数基準値以上であって且つ設定回数が最も多いという条件である。
【0018】
上記構成によれば、回数基準値以上の設定回数の印刷条件がある場合には、該印刷条件に、印刷条件の初期値が変更される。ここで、回数基準値を、ユーザーによる印刷条件の設定の傾向を適切に把握するために設定された値とした場合には、ユーザーの意図に反して、印刷条件の初期値が不用意に変更されることを回避することができる。
【0019】
本発明の印刷装置において、前記情報取得手段は、時期を取得する時期取得手段を含み、前記判定手段は、前記時期取得手段によって取得された時期が時期条件を満たすか否かを判定し、前記初期値変更手段は、前記判定手段によって、前記時期取得手段によって取得された時期が時期条件を満たすと判定された場合には、前記時期条件に対応する印刷条件に、前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値を変更する。
【0020】
上記構成によれば、時期特有の印刷条件に印刷条件の初期値を変更可能な場合には、回数条件を満たす印刷条件が前記回数管理手段で管理されているか否かに関係なく、印刷条件の初期値が時期特有の印刷条件に変更される。これは、時期特有の印刷条件とは、その時期で最も利用される可能性の高い印刷装置の使い方に対応した条件であるためである。すなわち、ユーザーは、印刷条件を、時期特有の印刷条件に変更する手間を省くことができる。そのため、ユーザーによる印刷条件の設定し忘れに起因した印刷ミスを抑制することができる。
【0021】
本発明の印刷装置において、前記印刷条件は、印刷される媒体のサイズ、媒体の種類、縁あり印刷か縁なし印刷か、印刷品質及び印刷時の色彩のうち少なくとも一つを含む。
印刷される媒体のサイズ、媒体の種類、縁あり印刷か縁なし印刷か、印刷品質及び印刷時の色彩は、印刷を行う際に必要な印刷条件である。そこで、本発明では、印刷される媒体のサイズ、媒体の種類、縁あり印刷か縁なし印刷か、印刷品質及び印刷時の色彩のうち少なくとも一つの印刷条件が、設定条件に対応する印刷条件とされる。
【0022】
本発明の印刷装置において、前記印刷制御部は、前記印刷装置に設けられた表示装置を制御する表示制御手段と、前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値から印刷条件を変更するためであって且つ互いに表示態様の異なる第1画面及び第2画面を前記表示装置に表示させるための第1のデータ及び第2のデータを記憶する画面記憶手段と、さらに有し、前記表示制御手段は、前記第1のデータ及び第2のデータのうち、選択された画面に対応するデータを前記画面記憶手段から取得し、該取得したデータに基づいた画面を前記表示装置に表示させる。
【0023】
上記構成によれば、印刷条件を設定するための画面は複数用意されており、何れの画面を表示装置に表示させるかは、ユーザーによって選択される。そのため、ユーザーは、自身で選択した画面を視認しつつ印刷条件を設定するができる。
【0024】
本発明の印刷装置において、前記印刷制御部は、前記印刷装置を使用するユーザーを識別する識別手段と、ユーザー毎の印刷条件を管理する識別管理手段と、をさらに有し、前記初期値変更手段は、前記識別手段によって識別されたユーザー用の印刷条件を前記識別管理手段から取得し、該取得した印刷条件に、前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値を変更する。
【0025】
上記構成によれば、印刷装置を使用するユーザーを識別できた場合には、印刷条件が、ユーザー特有の条件に設定される。そのため、ユーザーは、印刷装置を利用する度に、印刷条件を自身の用途に合わせて設定しなくてもよい。したがって、ユーザーによる印刷条件の設定し忘れに起因した印刷ミスを抑制することができる。
【0026】
本発明の印刷装置において、前記識別手段は、前記印刷装置に通信可能に接続されたホスト装置から受信した情報に基づき、前記印刷装置を使用するユーザーを識別し、該識別したユーザー用の印刷条件を前記識別管理手段から取得し、該取得した印刷条件と前記ホスト装置から受信した情報に含まれる印刷条件とが異なる場合には、印刷条件の選択を促す旨の制御指令を前記ホスト装置に送信し、前記印刷制御手段は、前記識別手段から前記ホスト装置に制御指令が送信された場合には、前記ホスト装置から受信した印刷条件及び前記識別管理手段によって管理される印刷条件のうち、前記制御指令の返答として受信した情報に基づいた印刷条件を選択し、該選択した印刷条件に基づき前記印刷駆動部を制御する。
【0027】
上記構成によれば、ホスト装置から受信した画像データに基づいた印刷を行う場合において、ホスト装置から受信した情報に基づき印刷装置を利用するユーザーを識別できたときには、受信した情報に含まれる印刷条件と識別管理手段で管理するユーザー特有の印刷条件とが比較される。この比較の結果、同一ではない場合には、ホスト装置でユーザーが印刷条件を設定し忘れた、又は設定ミスを起こした可能性があるため、どちらの印刷条件で印刷を行うかの選択を促す旨の制御指令がホスト装置に送信される。そして、ホスト装置での選択結果を受信すると、受信した情報に基づいて印刷条件が選択され、該選択された印刷条件に基づき印刷が行われる。したがって、印刷ミスを減らすことができる。
【0028】
本発明の印刷方法は、印刷条件の設定操作がなされた場合には該印刷条件に基づき媒体に対して印刷処理を施す一方、印刷条件の設定操作がなされない場合には初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値に基づき前記印刷処理を施す印刷ステップと、印刷条件の初期値を変更するか否かの判定情報を取得させる情報取得ステップと、前記情報取得ステップで取得した判定情報が設定条件を満たすか否かを判定させる判定ステップと、前記判定ステップで、前記情報取得ステップで取得した判定情報が設定条件を満たすと判定した場合に、前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値を、前記設定条件に対応する印刷条件に変更させる初期値変更ステップと、を有する。
【0029】
上記構成によれば、上記印刷装置と同等の作用・効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の印刷装置の一実施形態である複合機を示す斜視図。
【図2】複合機の電気的構成を示すブロック図。
【図3】コンピューターの機能構成の要部を示すブロック図。
【図4】(a)(b)(c)(d)は表示装置に表示される画面を示す模式図。
【図5】(a)(b)は表示装置に表示される画面を示す模式図。
【図6】時期及び仕向け国と印刷条件との対応関係を示すテーブル。
【図7】印刷条件と設定回数との対応関係を示すテーブル。
【図8】初期値設定処理ルーチンを説明するフローチャート。
【図9】印刷処理ルーチンを説明するフローチャート。
【図10】コンピューターの機能構成の要部を示すブロック図。
【図11】コンピューターの機能構成の要部を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図9に基づいて説明する。
図1に示すように、印刷装置の一例としての複合機11は、媒体の一例としての用紙Pに対して印刷を施す印刷機能と、該印刷機能以外の他の機能の一例としての画像読み取り機能とを実行可能である。こうした複合機11の本体ケース12の上面は、画像読み取りを行う原稿(図示略)を設置する原稿台13となっている。また、本体ケース12には、原稿台13を覆うことが可能なカバー14が開閉可能に設けられている。こうした本体ケース12の下側部分は用紙Pに対して印刷を施す印刷駆動部の一例としてのプリンター部20であると共に、本体ケース12の上側部分は原稿台13に設置された原稿の画像読み取りを行うスキャナー部30となっている。
【0032】
図1及び図2に示すように、プリンター部20は、用紙Pを本体ケース12内に給紙する自動給紙装置(ASF(Auto Sheet Feeder))21と、自動給紙装置21によって本体ケース12内に給紙された用紙Pに対して印刷を施すインク噴射部22とを備えている。自動給紙装置21には、本体ケース12の後面部に配置されると共に印刷前の用紙Pがセットされるサポート211と、本体ケース12の前面に配置されると共に該本体ケース12から排出された用紙Pを受け取る排出部212とが設けられている。インク噴射部22には、用紙Pに対してインク滴を吐出する記録ヘッド221が設けられている。そして、サポート211にセットされた用紙Pは、自動給紙装置21によって本体ケース12内に給紙されると、インク噴射部22によって印刷が施される。その後、印刷済みとなった用紙Pは、自動給紙装置21によって本体ケース12内から排出部212に排出される。
【0033】
スキャナー部30は、原稿台13にセットされた原稿に光を照射するランプ31と、原稿の画像を画像データとして取得するCCD(電荷結合素子)32と、CCD32を走査(移動)させるためのスキャナー駆動部33とを備えている。原稿台13上にセットされた原稿から画像データを取得するための画像読み取り動作(「スキャン動作」ともいう。)時には、ランプ31から原稿台13を通して原稿に光が照射され、該原稿からの反射光をCCD32にて検出することで原稿の画像が画像データとして読み取られる。そして、読み取られた画像データは制御装置50(図2参照)に転送される。
【0034】
本体ケース12の前面において排出部212の側方には、記憶媒体の一例としてのメモリーカードMCをセットするためのスロット15が設けられている。このスロット15にセットされたメモリーカードMCからは、該メモリーカードMCに記憶される画像データが制御装置50に読み取られる。すなわち、本実施形態の複合機11では、該複合機11のスロット15にセットされたメモリーカードMCに記憶された画像データに基づいた印刷を、外部装置などを介在させることなく行うことが可能である。
【0035】
また、本体ケース12の前面において排出部212よりも上側には、複合機11の駆動条件などを設定する際にユーザーが設定操作する操作パネル40が設けられている。この操作パネル40の幅方向中央部には、ディスプレイを有する表示装置41が設けられている。この表示装置41には、制御装置50から指示された情報に基づいた画面が表示される。なお、ディスプレイとしては、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、タッチパネル式のディスプレイが挙げられる。
【0036】
また、操作パネル40において表示装置41の側方には、電源ボタン、印刷/スキャンを開始するスタートボタン及び実行中の動作を中止するストップボタンなどの各種ボタンで構成される操作部42が設けられている。そして、操作部42からは、ユーザーによるボタン操作(即ち、入力操作)に応じた情報が制御装置50に入力される。
【0037】
次に、本実施形態の複合機11の電気的構成について図2を参照して説明する。なお、図2では、明細書の説明理解の便宜上、スロット15の図示を省略している。
図2に示すように、複合機11の制御装置50は、コンピューター60と各種ドライバー回路(図示略)とを備えている。コンピューター60には、プリンター部20、スキャナー部30及び操作パネル40が、プリンターI/F51、スキャナーI/F52及びユーザーI/F53を介して電気的に接続されている。また、コンピューター60には、スロット15にセットされたメモリーカードMCがメモリーカードI/F54を介して電気的に接続されている。
【0038】
コンピューター60は、CPU61、ROM62、不揮発性メモリー63、RAM64、ASIC((Application Specific IC(特定用途向けIC))65、及び図示しないリアルタイムクロックなどで構成されている。ROM62は、各種制御プログラム及び各種データなどを記憶している。不揮発性メモリー63は、ファームウェアプログラムを始めとする各種プログラム及び印刷処理に必要な各種データなどを記憶している。RAM64は、メモリーカードMCから入力された画像データやスキャナー部30で読み取った画像データなどを記憶するようになっている。
【0039】
こうしたコンピューター60は、図示しないドライバー回路を介してプリンター部20及びスキャナー部30を制御している。例えば、コンピューター60を備える制御装置50は、RAM64に一時記憶される印刷データに基づきプリンター部20を制御し、用紙Pに対して画像を印刷している。したがって、本実施形態では、コンピューター60が、印刷制御部として機能する。
【0040】
次に、本実施形態のコンピューター60について図3を参照して説明する。
図3に示すように、コンピューター60は、画面記憶部71、表示制御部72、条件入力受付部73、初期値記憶部74、印刷条件設定部75、条件記憶部76、仕向け国管理部77、時計78、情報取得部79、初期値変更部80、報知制御部81、画像データ記憶部82及び駆動制御部83を備えている。これら各機能部71〜83は、ハードウェア及びソフトウェアのうち少なくとも一方により実現されるものである。
【0041】
画面記憶部71は、表示装置41に表示させる各種画面用の画面データを記憶している。画面記憶部71に記憶される画面データは、複合機11に実行させる機能を選択させるための画面用のデータ、及び選択された機能の駆動条件(例えば、印刷機能の場合における印刷条件)を設定させるための画面用のデータである。表示制御部72は、画面記憶部71から読み出した画面データに基づいた画面を表示装置41に表示させる。本実施形態では、画面記憶部71は、通常設定用の画面データ(第1のデータ)と、簡易設定用の画面データ(第2のデータ)とを記憶している。そして、表示制御部72は、ユーザーによる操作に基づき、通常設定用の画面データ又は簡易設定用の画面データを選択的に読み出し、該読み出した画面データに基づいた画面を表示装置41に表示させる。
【0042】
表示制御部72及び条件入力受付部73には、ユーザーによる操作部42の操作内容に応じた情報が入力される。このとき、表示制御部72は、入力された情報に基づき表示装置41に表示させる画面を変更する。具体的には、表示制御部72は、入力された情報に基づいた画面データを画面記憶部71から読み出し、該読み出した画面データに対応する画面を表示装置41に表示させる。つまり、表示制御部72は、複合機11を駆動させる際に必要な各種条件の設定をユーザーに促している。例えば、用紙Pに対して印刷させる場合、表示制御部72は、印刷に必要な印刷条件の設定をユーザーに促している。したがって、本実施形態では、画面記憶部71が画面記憶手段として機能すると共に、表示制御部72が表示制御手段として機能する。なお、印刷条件としては、例えば、用紙サイズ(A4サイズ、葉書サイズなど)、用紙Pの種類(普通紙、再生紙など)、縁あり印刷か縁なし印刷か、印刷品質(高詳細モード又はドラフトモード)、印刷時の色彩(カラー又はモノクロ)が挙げられる。
【0043】
条件入力受付部73は、ユーザーによる操作部42の操作によって印刷条件が設定された場合、該設定された印刷条件に関する情報を受け付け、該情報を印刷条件設定部75及び情報取得部79に出力する。また、条件入力受付部73は、ユーザーによる操作部42の操作によって印刷を開始させる旨が入力された場合、その旨を駆動制御部83に出力する。
【0044】
ここで、上記通常設定用の画面データに基づいた第1画面の一例としての画面について図4を参照して説明する。
図4(a)に示す画面は、複合機11で実行可能な各種機能のうち何れか一つの機能を選択させるための機能選択用画面である。表示制御部72は、各機能のうち例えば印刷機能及び画像読み取り機能の一種である「コピー機能」が選択された場合には、図4(b)に示すように、コピー、即ち印刷を行う際に変更する印刷条件を選択するための画面データを画面記憶部71から読み出し、該画面データに基づいた画面を表示装置41に表示させる。この状態で例えば「用紙設定」が選択されると、表示制御部72は、図4(c)に示すように、用紙サイズを設定するための画面データを画面記憶部71から読み出し、該画面データに基づいた画面を表示装置41に表示させる。
【0045】
そして、例えば用紙サイズがA5サイズに設定され、その後、バックが選択されると、表示制御部72は、図4(d)に示すように、一つ前に表示していた画面(即ち、図4(b)に示す画面)を表示装置41に表示させる。この状態で印刷時の色彩としてモノクロが設定された後に、印刷がスタートされると、印刷する用紙PのサイズをA5サイズと設定し、スキャナー部30で読み取った画像データに基づいた画像が用紙Pにモノクロ印刷される。
【0046】
次に、上記簡易設定用の画面データに基づいた第2画面の一例としての画面について図5を参照して説明する。
図5(a)に示す画面は、複合機11で実行可能な各種機能のうち何れか一つの機能を選択させるための機能選択用画面である。この機能選択用画面は、通常設定用の場合と同一画面である。そして、機能として「コピー機能」が選択されると、表示制御部72は、図5(b)に示すように、コピー、即ち印刷を行う際に変更する印刷条件を選択するための画面データを画面記憶部71から読み出し、該画面データに基づいた画面を表示装置41に表示させる。図5(b)に示す画面は、一回の選択操作で、複数の印刷条件を設定させることが可能である。
【0047】
そして、例えば、「A4モノクロ1枚」が選択されると、印刷条件に関して、用紙サイズがA4サイズとされ、印刷時の色彩がモノクロとされ、印刷枚数が1枚とされる。この状態で、印刷がスタートされると、印刷する用紙PのサイズをA4サイズと設定し、スキャナー部30で読み取った画像データに基づいた画像が用紙Pにモノクロ印刷される。なお、図5(b)に示す画面の「詳細変更」が選択されると、表示制御部72は、図6に示す画面を表示装置41に表示させる。
【0048】
図3に戻り、初期値記憶部74は、印刷条件の初期値(「デフォルト値」ともいう。)を記憶している。ユーザーによる印刷条件の設定操作がなされない場合には、初期値記憶部74に記憶される印刷条件の初期値に基づき印刷が行われる。本実施形態では、用紙サイズの初期値がA4サイズに設定されると共に、用紙の種類の初期値が普通紙に設定され、さらに、縁あり印刷又は縁なし印刷の初期値が縁あり印刷に設定されている。また、印刷品質の初期値が高詳細モードに設定されると共に、印刷時の色彩の初期値がカラーに設定されている。したがって、本実施形態では、初期値記憶部74が、初期値記憶手段として機能する。そして、複合機11の電源ボタンがオンとなって複合機11への電力供給が開始されると、初期値記憶部74に記憶される印刷条件の初期値は、条件記憶部76にコピーされる。
【0049】
印刷条件設定部75は、条件入力受付部73から入力された情報に基づき、条件記憶部76に記憶される印刷条件を変更する。例えば、条件記憶部76に記憶される用紙サイズがA4サイズである一方で、ユーザーによる操作部42の操作によって用紙サイズが葉書サイズに設定された場合、印刷条件設定部75は、条件記憶部76に記憶される用紙サイズをA4サイズから葉書サイズに変更する。
【0050】
仕向け国管理部77は、複合機11が出荷された出荷地域の一例としての仕向け国(「出荷国」ともいう。)を特定するための国情報を管理している。この仕向け国管理部77は、情報取得部79から国情報が要求された場合、管理している国情報を情報取得部79に出力する。なお、国情報は、複合機11が出荷される段階で用意された情報である。もちろん、ユーザーに国情報を設定させるようにしてもよい。また、複合機11に図示しないホスト装置が接続された場合には、仕向け国管理部77は、ホスト装置から送信されたデータから仕向け国を推定し、該推定した仕向け国を特定するための国情報を管理するようにしてもよい。
【0051】
さらに、複合機11は、表示装置41のディスプレイに表示させる言語をユーザーに設定させるための言語設定機能を有している。そして、仕向け国管理部77では、言語設定機能によって設定された言語が使用される国を特定し、該国を仕向け国としてもよい。この場合、仕向け国を特定するための国情報は、複合機11で使用する言語が表す地域情報に相当する。
【0052】
なお、表示装置41のディスプレイには、仕向け国管理部77で管理される国情報が示す仕向け国で使用される言語(例えば、公用語)で文字が表示される。
時計78は、図示しないリアルタイムクロックを含んだ構成となっている。こうした時計78は、計時を行っている。そして、時計78は、情報取得部79から時刻情報(時期情報)が要求された場合、現時点の時刻を特定するための時刻情報を情報取得部79に出力する。例えば、時計78で示される時刻(時期)が「12月10日の10時5分」であった場合、「12月10日の10時5分」を特定するための時刻情報が情報取得部79に出力される。なお、このとき、時計78は、「12月10日」を特定するための時刻情報を情報取得部79に出力してもよいし、「12月」を特定するための時刻情報を情報取得部79に出力してもよい。
【0053】
情報取得部79は、時期・国取得部791と、回数管理部792とを有している。時期・国取得部791には、時期や仕向け国に特有の印刷条件を管理するための時期・国テーブルT1(図6参照)が設けられている。こうした時期・国取得部791は、複合機11の電源ボタンがオン操作されたタイミングで、仕向け国管理部77に対して国情報を要求すると共に、時計78に対して時刻情報を要求する。そして、時期・国取得部791は、要求に対する返答として仕向け国管理部77から入力された国情報が示す仕向け国(例えば、日本)を取得する。同様に、時期・国取得部791は、要求に対する返答として時計78から入力された時刻情報が示す時刻を取得する。したがって、本実施形態では、時期・国取得部791が、複合機11で使用する言語が表す地域情報として仕向け国を取得する地域情報取得手段、及び現在の時期を取得する時期取得手段として機能する。
【0054】
また、時期・国取得部791は、取得した時期や仕向け国に対応する印刷条件が時期・国テーブルT1にあるか否かを判定する。すなわち、仕向け国管理部77及び時計78から取得した国情報及び時刻情報が、印刷条件の初期値を変更するか否かを判定するために用いられる判定情報に相当する。そして、時期・国取得部791は、取得した時期や仕向け国に対応する印刷条件が時期・国テーブルT1にある場合には、該印刷条件を初期値変更部80に出力する。言い換えると、時期・国取得部791は、取得した時期及び仕向け国(判定情報)が、設定条件の一例としての時期条件を満たすか否かを判定し、満たすと判定した場合には印刷条件の初期値の変更を許可する。ここでいう「時期条件」とは、時期・国テーブルT1にある印刷条件に対応する時期及び仕向け国のことを示している。例えば、取得した時期及び仕向け国が「11月」及び「日本」である場合において、11月の日本に特有の印刷条件が時期・国テーブルT1にあるときには、取得された判定条件が時期条件を満たすとされる。したがって、本実施形態では、時期・国取得部791を備える情報取得部79が、判定手段としても機能する。
【0055】
回数管理部792には、条件入力受付部73から入力される情報、即ちユーザーによって設定された印刷条件に関する情報に基づき更新される回数テーブルT2(図7参照)が設けられている。この回数テーブルT2は、ユーザーによって設定された設定回数を印刷条件毎に管理している。例えば、ユーザーが印刷品質をドラフトモードに設定した場合、回数テーブルT2に記憶される各設定回数のうち、ドラフトモードに対応する設定回数が「1」だけインクリメントされる。したがって、本実施形態では、回数管理部792が、ユーザーによって設定操作された印刷条件とその設定回数とを関連付けて管理する回数管理手段として機能する。
【0056】
また、回数管理部792は、各印刷条件のうち、予め設定された回数基準値(例えば100)以上となる設定回数の印刷条件があるか否かを判定する。すなわち、回数管理部792は、回数テーブルT2に記憶される各印刷条件の設定回数を判定情報として読み出し(取得し)、設定回数が回数基準値以上となるという回数条件を満たした印刷条件があるか否かを判定する。そして、回数管理部792は、回数条件を満たした印刷条件が回数テーブルT2にある場合には、該印刷条件を初期値変更部80に出力する。言い換えると、回数管理部792は、設定条件の一例としての回数条件を満たす印刷条件があるか否かを判定し、満たす印刷条件があると判定した場合には印刷条件の初期値の変更を許可する。
【0057】
なお、例えば用紙サイズに関する印刷条件について、用紙サイズを第1のサイズ(例えばA4サイズ)にするという第1印刷条件の設定回数と、用紙サイズを第2のサイズ(例えば葉書サイズ)にするという第2印刷条件の設定回数とが共に回数基準値以上となることがある。この場合、回数管理部792は、設定回数が最も多いという回数条件を満たした印刷条件に、印刷条件の初期値が変更されることを許可する。したがって、本実施形態では、回数管理部(回数管理手段)792及び時期・国取得部(地域情報取得手段、時期取得手段)791を備える情報取得部79が、判定手段としても機能すると共に、情報取得手段として機能する。
【0058】
本実施形態では、印刷条件の初期値をユーザーによって設定された過去の印刷条件に基づいた条件とすることにより、複合機11がユーザーにとって使い勝手のよい装置とされる。このためには、ユーザーによる印刷条件の設定の傾向を、適切に把握する必要がある。そこで、本実施形態では、回数基準値を設け、設定回数が回数基準値未満である場合には、ユーザーによって設定された過去の印刷条件に基づいた印刷条件の初期値の変更が禁止される。つまり、回数基準値は、ユーザーによる印刷条件の設定の傾向を適切に把握するために設けられた判定値である。こうした回数基準値を設けることにより、ユーザーの意図に反して、印刷条件の初期値が不用意に変更されることが回避される。
【0059】
ここで、時期・国テーブルT1及び回数テーブルT2について図6及び図7を参照して説明する。
まず始めに、時期・国テーブルT1について説明する。
【0060】
図6に示すように、時期・国テーブルT1は、時期及び仕向け国と印刷条件とを対応付けて記憶している。例えば、第1の印刷条件には、時期として「9月〜11月」が対応付けられると共に、仕向け国として「日本」が対応付けられている。「9月〜11月」という時期の日本では、運動会が開催されるため、写真印刷がよく利用される。つまり、第1の印刷条件は、写真印刷を行うための印刷条件である。例えば、第1の印刷条件では、用紙サイズが写真(L判)に、用紙の種類が「インクジェット用」に、縁あり印刷又は縁なし印刷が縁なし印刷に、印刷品質が高詳細モードに、印刷時の色彩がカラーに設定される。
【0061】
また、第2の印刷条件には、時期として「10月〜12月」が対応付けられると共に、仕向け国として「日本」が対応付けられている。「10月〜12月」という時期の日本では、年賀状の作成に複合機11がよく利用される。つまり、第2の印刷条件は、葉書に印刷を行うための印刷条件である。例えば、第2の印刷条件では、用紙サイズが葉書サイズに、用紙の種類が「インクジェット用」に、縁あり印刷又は縁なし印刷が縁あり印刷に、印刷品質が高詳細モードに、印刷時の色彩がカラーに設定される。
【0062】
また、第3の印刷条件には、時期として「10月〜12月」が対応付けられると共に、仕向け国として「米国」が対応付けられている。「10月〜12月」という時期の米国では、クリスマスカードの作成に複合機11がよく利用される。つまり、第3の印刷条件は、写真印刷を行うための印刷条件である。例えば、第3の印刷条件では、用紙サイズが写真(L判)に、用紙の種類が「インクジェット用」に、縁あり印刷又は縁なし印刷が縁なし印刷に、印刷品質が高詳細モードに、印刷時の色彩がカラーに設定される。
【0063】
次に、回数テーブルT2について説明する。
図7に示すように、回数テーブルT2は、各種印刷条件と設定回数とを対応付けて記憶している。例えば、用紙サイズをA4サイズにするという印刷条件の設定回数は「120回」とされている。これは、ユーザーによる操作部42の操作によって用紙サイズがA4サイズに設定されて印刷された回数が「120回」に達したことを示している。また、用紙サイズを葉書サイズにするという印刷条件の設定回数は「30回」とされると共に、用紙サイズを写真(L判)サイズにするという印刷条件の設定回数は「10回」とされ、さらに、用紙サイズを写真(2L判)サイズにするという印刷条件の設定回数は「0(零)回」とされる。
【0064】
用紙の種類を普通紙にするという印刷条件の設定回数は「80回」とされると共に、用紙の種類を厚紙にするという印刷条件の設定回数は「0(零)回」とされる。また、用紙の種類を再生紙にするという印刷条件の設定回数は「10回」とされると共に、用紙の種類をインクジェット用にするという印刷条件の設定回数は「30回」とされる。縁あり印刷又は縁なし印刷を縁あり印刷にするという印刷条件の設定回数は「40回」とされると共に、縁なし印刷にするという印刷条件の設定回数は「120回」とされる。印刷品質を高詳細モードにするという印刷条件の設定回数は「20回」とされると共に、ドラフトモードにするという印刷条件の設定回数は「110回」とされる。印刷時の色彩をカラーにするという印刷条件の設定回数は「160回」とされると共に、モノクロにするという印刷条件の設定回数は「0(零)回」とされる。
【0065】
なお、上述した印刷条件毎の設定回数は、ユーザーが印刷条件を変更する毎に適宜変更される値である。
図3に戻り、初期値変更部80は、回数管理部792及び時期・国取得部791から印刷条件の初期値を変更させるための情報、即ち変更情報が入力された場合に、初期値記憶部74に記憶される印刷条件の初期値を変更する。例えば、用紙サイズを葉書サイズとするという印刷条件の設定回数が回数基準値以上になった場合、初期値変更部80には、回数管理部792から、用紙サイズの初期値を葉書サイズに変更させる旨が入力される。すると、初期値変更部80は、入力された情報(この場合、葉書サイズ)が初期値記憶部74に記憶される用紙サイズの初期値(この場合、A4サイズ)と一致するか否かを判定し、一致しない場合には用紙サイズの初期値をA4サイズから葉書サイズに変更する。
【0066】
また、時期・国取得部791から時期や仕向け国に特有の印刷条件が入力された場合、初期値変更部80は、その旨を報知制御部81に出力する。すると、報知制御部81は、印刷条件の初期値を、時期や仕向け国に特有の印刷条件に変更することに関する諾否をユーザーに選択させる報知処理を行う。すなわち、報知制御部81は、表示装置41に、時期・仕向け国又はそれに相当する情報を表示させる。そして、印刷条件の初期値を時期や仕向け国に特有の印刷条件に変更してよい旨がユーザーによる操作部42の操作によって入力されると、初期値変更部80は、初期値変更部80に記憶される各印刷条件の初期値を、時期や仕向け国に特有の各印刷条件に変更する。したがって、本実施形態では、初期値変更部80が、初期値変更手段として機能する。また、報知制御部81が、報知制御手段として機能する。
【0067】
画像データ記憶部82には、メモリーカードMCから入力された画像データ、及びスキャナー部30から入力された画像データが記憶される。
駆動制御部83は、印刷を開始させる旨が条件入力受付部73から入力された場合に、条件記憶部76に記憶される印刷条件及び画像データ記憶部82に記憶される画像データに基づき、プリンター部20を制御する。こうした駆動制御部83は、動力源制御部831及び画像処理部832を有している。動力源制御部831は、プリンター部20に設けられる各種モーターを制御する。また、画像処理部832は、画像データを印刷データに変換し、記録ヘッド221からのインクの吐出態様を制御する。したがって、本実施形態では、駆動制御部83が、印刷制御手段として機能する。
【0068】
上述したように、本実施形態では、印刷条件の初期値は、時期及び仕向け国に応じた印刷条件に変更されたり、ユーザーによる印刷条件の過去の設定履歴に基づき変更されたりする。そこで次に、本実施形態のコンピューター60が実行する各種処理ルーチンのうち、印刷条件の初期値の設定に関する初期値設定処理ルーチンについて図8に示すフローチャートを参照して説明する。
【0069】
さて、初期値設定処理ルーチンは、複合機11の電源ボタンがオン操作されてからオフ操作されるまでの間、予め設定された所定周期毎に実行される。まず始めに、コンピューター60は、複合機11の電源ボタンがオン操作されて初めて初期値設定処理ルーチンが実行されるか否かを判定する(ステップS10)。初めてである場合(ステップS10:YES)、コンピューター60は、時刻情報及び国情報を取得する(ステップS11)。この点で、本実施形態では、ステップS11が、印刷条件の初期値を変更するか否かの判定情報として時期及び仕向け国を取得させる情報取得ステップに相当する。続いて、コンピューター60は、取得した時刻情報が示す時期と国情報が示す仕向け国に対応する印刷条件が時期・国テーブルT1にあるか否かを判定する(ステップS12)。この点で、本実施形態では、ステップS12が、取得した時期及び仕向け国が時期条件を満たすか否かを判定させる判定ステップに相当する。
【0070】
取得した時期及び仕向け国に対応する印刷条件が時期・国テーブルT1にない場合(ステップS12:NO)、コンピューター60は、その処理を後述するステップS19に移行する。一方、取得した時期及び仕向け国に対応する印刷条件が時期・国テーブルT1にある場合(ステップS12:YES)、コンピューター60は、時期特有の印刷条件がある旨を表示装置41に表示させる報知処理を行う(ステップS13)。例えば、時期が「11月」で仕向け国が「日本」である場合、コンピューター60は、年賀状用の第2の印刷条件、及び運動会用の第1の印刷条件を初期値として設定可能である旨を表示装置41に表示(報知)させる。そして、コンピューター60は、表示装置41に報知させた印刷条件のうち何れか一つの印刷条件が選択されたか否かを判定する(ステップS14)。未だ何れの印刷条件もユーザーに選択されていない場合(ステップS14:NO)、コンピューター60は、何れか一つの印刷条件が選択されるまでステップS14の判定処理を繰り返し実行する。
【0071】
一方、何れか一つの印刷条件が選択された場合(ステップS14:YES)、コンピューター60は、選択された印刷条件が時期特有の印刷条件(例えば、年賀状用の第1の印刷条件)であるか否かを判定する(ステップS15)。選択された印刷条件が時期特有の印刷条件ではない場合(ステップS15:NO)、コンピューター60は、ユーザーが印刷条件の初期値の変更を希望していないと判断し、その処理を後述するステップS19に移行する。一方、選択された印刷条件が時期特有の印刷条件である場合(ステップS15:YES)、コンピューター60は、変更フラグFLGをオンにセットする(ステップS16)。この変更フラグFLGは、印刷条件の初期値が時期及び仕向け国に応じた印刷条件に設定されたか否かを判断するためのフラグである。なお、変更フラグFLGは、電源ボタンがオンになった直後にラムクリアされると「オフ」にリセットされる。
【0072】
そして、コンピューター60は、取得した時期及び仕向け国に対応する印刷条件を時期・国テーブルT1から取得する(ステップS17)。そして、コンピューター60は、印刷条件の初期値をステップS17で取得した印刷条件に変更し(ステップS18)、その処理を後述するステップS19に移行する。したがって、ステップS18が、取得した時期が時期条件を満たすと判定した場合に、当該時期条件に対応する印刷条件に印刷条件の初期値を変更させる初期値変更ステップに相当する。
【0073】
ステップS19において、コンピューター60は、印刷条件の初期値を取得し、該初期値を印刷条件に設定する。すなわち、取得した時期及び仕向け国に対応する印刷条件が時期・国テーブルT1にある場合には、時期・国テーブルT1から取得された印刷条件、即ち取得した時期及び仕向け国に対応する印刷条件が、印刷条件とされる。一方、取得した時期及び仕向け国に対応する印刷条件が時期・国テーブルT1にない場合には、電源ボタンがオン操作された時点で初期値記憶部74に記憶されていた印刷条件の初期値が、印刷条件とされる。その後、コンピューター60は、初期値設定処理ルーチンを一旦終了する。
【0074】
その一方で、今回の実行が、電源ボタンがオン操作されてから初めての実行ではない場合(ステップS10:NO)、コンピューター60は、変更フラグFLGがオフであるか否かを判定する(ステップS20)。変更フラグFLGがオンである場合(ステップS20:NO)、コンピューター60は、印刷条件の初期値が時期特有の印刷条件に設定されているため、初期値設定処理ルーチンを一旦終了する。一方、変更フラグFLGがオフである場合(ステップS20:YES)、コンピューター60は、印刷条件の初期値が時期特有の印刷条件ではないため、ユーザーによる操作部42の操作によって印刷条件が変更されたか否かを判定する(ステップS21)。印刷条件が変更されていない場合(ステップS21:NO)、コンピューター60は、初期値設定処理ルーチンを一旦終了する。一方、印刷条件が変更された場合(ステップS21:YES)、コンピューター60は、回数テーブルT2に記憶される各設定回数のうち、変更された印刷条件の設定回数を「1」だけインクリメントする(ステップS22)。例えば、用紙サイズが写真(L判)サイズに設定された場合、コンピューター60は、写真(L判)サイズの設定回数を「10回」から「11回」に変更する(図7参照)。
【0075】
続いて、コンピューター60は、設定回数が回数基準値(例えば100回)以上となる印刷条件が回数テーブルT2にあるか否かを判定する(ステップS23)。したがって、本実施形態では、ステップS23が、過去に設定されたことのある印刷条件の設定回数(判定情報)が回数基準値以上であるという回数条件を満たすか否かを判定させる判定ステップに相当する。設定回数が回数基準値以上となる印刷条件が回数テーブルT2にない場合(ステップS23:NO)、コンピューター60は、初期値設定処理ルーチンを一旦終了する。
【0076】
一方、設定回数が回数基準値以上となる印刷条件が回数テーブルT2にある場合(ステップS23:YES)、コンピューター60は、設定回数が回数基準値以上となる印刷条件の内容が印刷条件の初期値の内容と異なるか否かを判定する(ステップS24)。例えば、設定回数が回数基準値以上となる用紙サイズ(印刷条件)がA4サイズである場合、コンピューター60は、現時点で初期値に設定されている用紙サイズがA4サイズであるか否かを判定する。そして、設定回数が回数基準値以上となる印刷条件の内容が印刷条件の初期値の内容と同一である場合(ステップS24:NO)、コンピューター60は、印刷条件の初期値を変更する必要がないため、初期値設定処理ルーチンを一旦終了する。
【0077】
一方、設定回数が回数基準値以上となる印刷条件の内容が印刷条件の初期値の内容と異なる場合(ステップS24:YES)である場合、コンピューター60は、印刷条件の初期値を変更する(ステップS25)。例えば、設定回数が回数基準値以上となる用紙サイズ(印刷条件)がA4サイズである場合、コンピューター60は、用紙サイズの初期値をA4サイズとする。したがって、本実施形態では、ステップS25が、初期値変更ステップに相当する。その後、コンピューター60は、初期値設定処理ルーチンを一旦終了する。
【0078】
ところで、各種印刷条件の中には、内容を変更することにより、他の印刷条件の内容も変更する印刷条件も存在する。例えば、用紙サイズの初期値を写真(L判)サイズや写真(2L判)サイズとした場合、写真印刷が行われる可能性が非常に高い。そのため、印刷品質を高詳細モードとするという印刷条件の設定回数が回数基準値未満であっても、印刷品質の初期値は高詳細モードに変更される。同様に、印刷時の色彩をカラーにするという印刷条件の設定回数が回数基準値未満であっても、印刷時の色彩の初期値はカラーに変更される。また、縁あり印刷又は縁なし印刷かが縁なし印刷とした場合、印刷品質の初期値は高詳細モードに自動的に設定される。
【0079】
また、仕向け国が「日本」であって、取得される時期が「12月」である場合、印刷条件の初期値は、葉書印刷用の第2の印刷条件となっている。しかし、取得される時期が「1月」になると、時期・国テーブルT1には、取得された時期に特有の印刷条件がないことになる。そのため、時期が「1月」になって初めて複合機11の電源ボタンがオン操作された場合、印刷条件の初期値は、回数テーブルT2に基づき、即ちユーザーの過去の設定履歴に基づいた条件に変更される。ただし、設定回数が回数基準値以上となる印刷条件が回数テーブルT2に記憶されていない場合には、複合機11が出荷された際にイニシャルとして記憶されていた印刷条件が、印刷条件の初期値に設定される。
【0080】
次に、用紙Pに対して印刷を施す際にコンピューター60に実行される印刷処理ルーチンについて、図9に示すフローチャートを参照して説明する。
さて、印刷処理ルーチンは、コンピューター60に印刷指令が入力された場合に実行される。そして、印刷処理ルーチンにおいて、コンピューター60は、条件記憶部76から各種印刷条件を取得する(ステップS30)。続いて、コンピューター60は、取得した印刷条件に基づいた印刷処理を行う(ステップS31)。この点で、本実施形態では、ステップS31が、印刷ステップに相当する。そして、印刷処理が完了すると、コンピューター60は、印刷処理ルーチンを終了する。
【0081】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)印刷条件の初期値を変更するか否かの判定に用いられる判定情報が取得されると、該判定情報が設定条件を満たすか否かが判定される。そして、判定情報が設定条件を満たさないと判定された場合には、初期値記憶部74で記憶される印刷条件の初期値が変更されない。一方、判定情報が設定条件を満たすと判定された場合には、初期値記憶部74で記憶される印刷条件の初期値が設定条件に対応する印刷条件に変更される。そのため、印刷を行う前にユーザーが印刷条件を変更しない場合であっても、設定条件に対応する印刷条件に基づき印刷が行われる。したがって、ユーザーによる印刷条件の設定し忘れに起因した印刷ミスを抑制することができる。
【0082】
(2)取得した時期に特有の印刷条件が時期・国テーブルT1にある場合には、印刷条件の初期値が時期特有の印刷条件に変更される。そのため、時期特有の印刷条件を設定した上で印刷を行う予定であるユーザーが印刷条件を変更し忘れた場合であっても、印刷条件の設定し忘れに起因した印刷ミスを抑制することができる。
【0083】
(3)時期特有の印刷条件は、複合機11が出荷された仕向け国の生活習慣の関係上、仕向け国毎に異なる可能性がある。例えば、10月〜12月において日本では、年賀状を送るという慣習がある関係上、葉書への印刷に複合機11が利用される可能性が高い。しかし、日本以外の他国では、年賀状を送るという慣習がないため、10月〜12月で葉書への印刷に複合機11が利用される可能性が高くなるとは限らない。そこで、本実施形態の時期・国テーブルT1では、複数の印刷条件を、時期及び仕向け国に対応付けて管理している。そして、取得した時期及び仕向け国に対応する印刷条件が時期・国テーブルT1にある場合には、印刷条件の初期値を時期特有の印刷条件に変更することが許可される。そのため、時期特有の印刷条件を設定した上で印刷を行う予定であるユーザーが印刷条件を変更し忘れた場合であっても、印刷条件の設定し忘れに起因した印刷ミスを抑制することができる。
【0084】
(4)取得した時期に対応する印刷条件が時期・国テーブルT1にある場合には、その旨が表示装置41に表示される。このとき、時期に対応する印刷条件が複数ある場合には、何れの印刷条件を印刷条件の初期値にするかの選択をユーザーに促す。そして、ユーザーによって選択された時期に特有の印刷条件が、印刷条件の初期値とされる。すなわち、印刷条件の初期値は、ユーザーの意図に沿った条件とされる。その一方で、時期特有の印刷条件に変更しないとユーザーがした場合には、印刷条件の初期値が時期特有の印刷条件に変更されない。そのため、印刷条件の初期値は、ユーザーが印刷条件の設定を行わなくても、ユーザーの意図に沿った条件となっている確率が高い。そのため、ユーザーによる印刷条件の設定し忘れに起因した印刷ミスを抑制することができる。
【0085】
(5)ユーザーによる操作部42の操作によって印刷条件が設定された場合には、その履歴が回数管理部792によって保管される。すなわち、回数管理部792は、印刷条件の設定回数を印刷条件毎に管理している。そして、印刷条件の初期値は、管理される各印刷条件のうち回数条件を満たした印刷条件に変更される。つまり、印刷条件の初期値は、ユーザーによる印刷条件の過去の設定履歴に基づいた条件とされる。そのため、印刷前に印刷条件を設定しなくても、ユーザーの意図に沿った印刷条件で印刷が行われる確率が高くなる。したがって、ユーザーによる印刷条件の設定し忘れに起因した印刷ミスを抑制することができる。
【0086】
(6)回数基準値以上の設定回数の印刷条件がある場合には、該印刷条件に、印刷条件の初期値が変更される。回数基準値は、ユーザーによる印刷条件の設定の傾向を適切に把握するために設定された判定値である。こうした回数基準値を設けることにより、ユーザーの意図に反して、印刷条件の初期値が不用意に変更されることを回避することができる。
【0087】
(7)時期特有の印刷条件に印刷条件の初期値を変更可能な場合には、回数基準値以上の設定回数の印刷条件があっても、印刷条件の初期値が時期特有の印刷条件に変更される。これは、時期特有の印刷条件とは、その時期で最も利用される可能性の高い印刷装置の使い方に対応した条件であるためである。そのため、ユーザーによる印刷条件の設定し忘れに起因した印刷ミスを抑制することができる。
【0088】
(8)本実施形態では、印刷条件を設定するための画面は2種類用意されており、何れの画面を表示装置41に表示させるかは、ユーザーによって選択される。つまり、ユーザーは、自身で選択した画面を視認しつつ印刷条件を設定することになる。その結果、ユーザーは、自身によって使いやすい画面を視認しつつ印刷条件を設定することができる。
【0089】
(9)特に、簡易設定用の画面(図5参照)は、少ない操作回数で、印刷条件の設定を完了させることができる。そのため、複合機11を使い慣れていないユーザー(特に、年配のユーザー)の場合には印刷条件の設定し忘れや設定ミスを減らすことができ、ひいては印刷ミスの抑制に貢献できる。
【0090】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・実施形態において、コンピューター60で、複合機11を利用するユーザーを識別可能である場合には、印刷条件の初期値をユーザー毎に設定してもよい。例えば、図10に示すように、コンピューター60は、機能部分として、識別手段の一例としてのユーザー識別部100をさらに備えている。また、初期値記憶部74は、各ユーザー(例えば、Aさん、Bさん、Cさん)の印刷条件の初期値を個別に記憶している。この点で、初期値記憶部74が、ユーザー毎の印刷条件を管理する識別管理手段としても機能する。そして、ユーザー識別部100は、何れのユーザー(例えば、Aさん)が利用しているかを識別できた場合には、Aさん用の印刷条件の初期値を初期値記憶部74から取得し、該取得した印刷条件の初期値を条件記憶部76に記憶させる。この結果、Aさん用の印刷条件の初期値に基づき印刷が行われる。
【0091】
なお、ユーザーの識別方法の一例としては以下に示す方法が考えられる。すなわち、印刷条件の初期値が用意されているユーザー若しくはユーザーに相当するサムネイル画像などを表示装置41に表示させる。そして、ユーザーの選択を、操作部42の操作によって行わせ、該操作結果に基づき、使用するユーザーを識別させる。
【0092】
このように構成した場合、複合機11を使用するユーザーを識別できた場合には、印刷条件が、ユーザー特有の条件に設定される。そのため、ユーザーは、複合機11を利用する度に、印刷条件を自身の用途に合わせて設定しなくてもよい。したがって、ユーザーによる印刷条件の設定し忘れに起因した印刷ミスを抑制することができる。また、こうした構成は、一台の複合機11を複数人で利用する場合には、非常に効果的である。
【0093】
また、この際には、回数テーブルT2をユーザー毎に設けてもよい。このように構成すると、例えばAさんが複合機11を使用中である場合には、Aさん用の回数テーブルT2を用いて、Aさん用の印刷条件の初期値を変更するか否かが判断される。
【0094】
・実施形態において、ホスト装置から送信された画像データに基づいた印刷を複合機11に行わせてもよい。複合機11には、図11に示すように、ネットワークを介して複数のホスト装置HCが接続されている。こうした場合、複合機11のユーザー識別部100は、画像データと共にホスト装置HCのプリンタードライバーPDから送信されるIPアドレスなどによって、画像データがどのホスト装置HC(即ち、ユーザー)から送信されたのかを識別することができる。もちろん、印刷時にホスト装置HCから送信される情報には、印刷条件に関する情報も含まれている。
【0095】
また、ユーザー識別部100は、複合機11を識別するユーザー(ホスト装置HC)と共に、送信されてきた印刷条件を取得する。そして、ユーザー識別部100は、送信されてきた印刷条件と、初期値記憶部74に記憶されるユーザー(例えば、Aさん)の印刷条件の初期値とを比較し、異なっている場合には複合機11に送信した印刷条件とAさんの印刷条件の初期値との選択を促す制御指令をホスト装置HCに送信する。その後、制御指令の返答として受信した情報に基づき、ユーザー識別部100は、何れの印刷条件を採用するかを判断し、採用する印刷条件を条件記憶部76に記憶させる。その後、条件記憶部76に記憶される印刷条件に基づき印刷が行われる。
【0096】
このように構成した場合、ホスト装置HC側でユーザーが印刷条件の設定を間違えた場合、印刷が開始される前に、ユーザーにその間違いを気付かせることができる。そのため、印刷条件の設定ミスに伴う印刷ミスの発生を減少させることができる。
【0097】
・実施形態において、印刷条件を設定する際に表示装置41に表示させる画面として、通常設定用の画面のみを用意するようにしてもよい。
・実施形態において、回数基準値を設けなくてもよい。この場合、設定回数の最も多い印刷条件が、印刷条件の初期値とされることになる。
【0098】
・上記実施形態では、設定回数を印刷条件の種類毎にカウントしている。しかし、用紙サイズ、用紙の種類、縁あり印刷か縁なし印刷か、印刷品質及び印刷時の色彩で、一つの印刷条件としてもよい。すなわち、回数テーブルT2は、時期・国テーブルT1と同様に、複数の印刷条件とそれらの設定回数を関連付けて記憶してもよい。例えば、第1の印刷条件は、用紙サイズがA4サイズ、用紙の種類が普通紙、縁あり印刷か縁なし印刷かが縁あり印刷、印刷品質がドラフトモード、印刷時の色彩がモノクロとされる条件とする。また、第2の印刷条件は、用紙サイズがA4サイズ、用紙の種類が普通紙、縁あり印刷か縁なし印刷かが縁なし印刷、印刷品質が高詳細モード、印刷時の色彩がカラーとされる条件とする。
【0099】
このように回数テーブルT2を構成とした場合において、用紙サイズがA4サイズ、用紙の種類が普通紙、縁あり印刷か縁なし印刷かが縁あり印刷、印刷品質がドラフトモード、印刷時の色彩がモノクロという印刷条件がユーザーによる操作によって設定されたときには、第1の印刷条件の設定回数が「1」だけインクリメントされる。
【0100】
・実施形態において、直近の所定回数(例えば100回)の中で最も多い設定回数の印刷条件に、印刷条件の初期値を設定してもよい。例えば、印刷条件をユーザーが設定した直近の100回の中で、用紙サイズをA4とした回数が20回で、用紙サイズを葉書サイズとした回数が80回である場合には、用紙サイズの初期値を葉書サイズとしてもよい。
【0101】
・実施形態において、回数テーブルT2を、時期毎(例えば、1月毎)に個別に設けてもよい。このように構成すると、印刷条件の初期値を、月毎に自動的に変更させることができる。この場合、時期・国テーブルT1を設けなくてもよい。
【0102】
・実施形態において、ステップS15の判定結果が否定(即ち、NO)である場合には、その処理をステップS23に移行させてもよい。
・実施形態において、回数管理部792を省略してもよい。この場合、ユーザーによる印刷条件の過去の設定履歴に基づき印刷条件の初期値を変更することができなくなる。しかし、時期・国テーブルT1を用いて、取得した時期に特有の印刷条件に、印刷条件の初期値を設定することができる。
【0103】
・実施形態において、仕向け国を取得しなくてもよい。この場合、日本に出荷される複合機11の時期・国テーブルT1には、第3の印刷条件を用意しなくてもよい(図6参照)。
【0104】
・実施形態において、取得した時期に特有の印刷条件が時期・国テーブルT1に一つだけある場合には、時期特有の印刷条件に変更してもよいか否かを選択させるための報知処理を行わなくてもよい。すなわち、取得した時期に特有の印刷条件が時期・国テーブルT1に一つだけある場合には、印刷条件の初期値を時期特有の印刷条件に自動的に変更させてもよい。
【0105】
・実施形態において、取得した時期に特有の印刷条件が時期・国テーブルT1にある場合には、取得した時期に特有の印刷条件を、初期値記憶部に記憶させるのではなく、条件記憶部76に記憶させてもよい。この場合であっても、ユーザーが印刷条件を一切設定しなくても、取得した時期に特有の印刷条件に基づき印刷が行われる。つまり、ここでいう「印刷条件の初期値」とは、ユーザーが印刷条件を一切設定していない状態で、条件記憶部76に記憶されている印刷条件のことを示している。
【0106】
・実施形態において、上記ステップS13の報知処理は、音声による報知処理であってもよい。もちろん、上記ステップS13の報知処理は、画面による報知と音声による報知とを組み合わせた処理であってもよい。
【0107】
・実施形態において、時期・国取得部791を省略してもよい。このように構成しても、印刷条件の初期値を、ユーザーによる印刷条件の過去の設定履歴に基づいた印刷条件とすることができる。
【0108】
・実施形態において、取得した判定情報に基づき初期値を変更可能な印刷条件は、用紙サイズだけであってもよいし、用紙の種類だけであってもよく、さらに、縁あり印刷か縁なし印刷かだけであってもよい。また、上記印刷条件は、印刷品質だけであってもよいし、印刷時の色彩だけであってもよい。また、上記印刷条件は、用紙サイズ、用紙の種類、縁あり印刷か縁なし印刷か、印刷品質及び印刷時の色彩のうち少なくとも一つであってもよい。例えば、上記印刷条件は、用紙サイズ及び用紙の種類でもよい。
【0109】
・実施形態では、印刷装置を、印刷機能とそれ以外の他の機能とを実行可能な複合機に具体化したが、印刷装置を印刷機能しか有しないプリンターに具体化してもよい。
・実施形態において、プリンター部20は、ドットインパクト方式、レーザー方式などの他の印刷方式で媒体に印刷できる印刷駆動部であってもよい。
【0110】
・実施形態において、印刷される媒体は、布や樹脂フィルム、樹脂シート、金属シートなどの任意の媒体であってもよい。
・実施形態において、印刷装置を、インク以外の他の流体を噴射したり吐出したりする流体噴射装置に具体化してもよい。また、印刷装置を、微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に具体化してもよい。この場合、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態を言い、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状体、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散または混合されたものなどを含む。なお、流体は、トナーなどの粉粒体でもよい。また、ここでいう流体には、気体のみからなるものは含まないものとする。
【0111】
次に、上記実施形態及び別の実施形態から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)前記情報取得手段は、印刷条件を時期毎に対応付けて記憶する条件記憶手段をさらに含み、
前記判定手段は、前記時期取得手段によって取得された時期に対応する印刷条件を前記条件記憶手段が記憶している場合に、当該時期が時期条件を満たすと判定し、
前記初期値変更手段は、前記判定手段によって、前記時期取得手段によって取得された時期が時期条件を満たすと判定された場合に、取得された時期に対応する印刷条件を前記条件記憶手段から取得し、該取得した印刷条件に、前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値を変更することを特徴とする印刷装置。
【0112】
(ロ)前記判定手段は、前記回数管理手段によって管理される印刷条件のうち設定回数が前記回数基準値以上となる印刷条件がある場合に、当該設定回数が回数条件を満たすと判定し、
前記初期値変更手段は、前記判定手段によって、前記回数管理手段によって管理される設定回数が前記回数条件を満たすと判定された場合に、該回数条件を満たす印刷条件を前記回数管理手段から取得し、該取得した印刷条件に、前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値を変更することを特徴とする印刷装置。
【0113】
(ハ)前記第2画面は、前記表示装置に前記第1画面を表示させた状態で印刷条件を前記印刷条件の初期値から変更させる場合よりも、少ない操作で印刷条件の変更を完了させることが可能な簡易設定用の画面であることを特徴とする印刷装置。
【0114】
(ニ)前記情報取得ステップは、判定情報として時期を取得させる時期取得ステップを含み、
前記判定ステップでは、前記時期取得ステップで取得した時期が時期条件を満たすか否かを判定させ、
前記初期値変更ステップでは、前記判定ステップで、前記時期取得ステップで取得した時期が時期条件を満たすと判定した場合に、当該時期条件に対応する印刷条件に、前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値を変更させることを特徴とする印刷方法。
【0115】
(ホ)前記情報取得ステップは、ユーザーの設定操作によって印刷条件が入力された場合に、該印刷条件を取得させると共に、該印刷条件の設定回数を計数させる印刷条件取得ステップを含み、
前記判定ステップでは、過去に設定されたことのある印刷条件の設定回数が予め設定された回数基準値以上であるという回数条件を満たすか否かを判定させ、
前記初期値変更ステップでは、前記判定ステップで、前記印刷条件取得ステップで計数した設定回数が前記回数条件を満たすと判定した場合に、当該設定回数に対応する印刷条件に、前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値を変更させることを特徴とする印刷方法。
【符号の説明】
【0116】
11…印刷装置の一例としての複合機、20…印刷駆動部の一例としてのプリンター部、41…表示装置、60…印刷制御部の一例としてのコンピューター、71…画面記憶手段としての画面記憶部、72…表示制御手段としての表示制御部、74…初期値記憶手段、識別管理手段としての初期値記憶部、79…情報取得手段、判定手段としての情報取得部、791…時期取得手段、地域情報取得手段としての時期・国取得部、792…回数管理手段としての回数管理部、80…初期値変更手段としての初期値変更部、81…報知制御手段としての報知制御部、83…印刷制御手段としての駆動制御部、100…識別手段としてのユーザー識別部、HC…ホスト装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体に対して印刷を施す印刷装置及び印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷装置を備えるシステムとして、例えば特許文献1に記載のシステムが提案されている。この特許文献1には、ユーザーからのヘルプ要求に対して、現在のシステムの状態だけではなく、過去のシステムの状態の履歴をも利用してディスプレイに表示させるヘルプメッセージを決定する旨が記載されている。
【0003】
ところで、印刷装置の一例としてのプリンターには、印刷する用紙(媒体)のサイズ及び種類などの印刷条件の初期値が予め設定されている。そのため、ユーザーによって印刷条件が設定されない状態で印刷指令がプリンターの制御装置に入力された場合には、予め設定された印刷条件の初期値に基づき、用紙に対して印刷が施されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−216516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、印刷条件の初期値として、用紙サイズはA4サイズに、用紙の種類は普通紙に設定されている。この状態で、例えば葉書に印刷を施す場合には、印刷条件のうち用紙サイズを葉書サイズに設定する必要がある。しかしながら、印刷条件を変更し忘れた場合には、印刷条件の初期値に基づいた印刷が行われる。この場合、ユーザーが所望する状態で用紙に印刷が施されないため、用紙が無駄となってしまう。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザーによる印刷条件の設定し忘れに起因した印刷ミスを抑制することができる印刷装置及び印刷方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、媒体に対して印刷を施すべく駆動する印刷駆動部と、該印刷駆動部を制御する印刷制御部とを備えた印刷装置において、前記印刷制御部は、印刷条件の初期値を記憶する初期値記憶手段と、印刷条件の設定操作がなされた場合には該印刷条件に基づき前記印刷駆動部を制御する一方、印刷条件の設定操作がなされない場合には前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値に基づき前記印刷駆動部を制御する印刷制御手段と、印刷条件の初期値を変更するか否かの判定に用いられる判定情報を取得する情報取得手段と、前記情報取得手段によって取得された判定情報が設定条件を満たすか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって、前記情報取得手段によって取得された判定情報が設定条件を満たすと判定された場合に、前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値を、前記設定条件に対応する印刷条件に変更する初期値変更手段と、を有する。
【0008】
上記構成によれば、印刷条件の初期値を変更するか否かの判定に用いられる判定情報が取得されると、該判定情報が設定条件を満たすか否かが判定される。そして、判定情報が設定条件を満たすと判定された場合には、印刷条件の初期値が、設定条件に対応する印刷条件に変更される。そのため、印刷を行う前にユーザーが印刷条件を変更しない場合であっても、設定条件に対応する印刷条件に基づき印刷が行われる。したがって、ユーザーによる印刷条件の設定し忘れに起因した印刷ミスを抑制することができる。
【0009】
本発明の印刷装置において、前記情報取得手段は、判定情報として時期を取得する時期取得手段を含み、前記判定手段は、前記時期取得手段によって取得された時期が時期条件を満たすか否かを判定し、前記初期値変更手段は、前記判定手段によって、前記時期取得手段によって取得された時期が時期条件を満たすと判定された場合に、当該時期条件に対応する印刷条件に、前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値を変更する。
【0010】
上記構成によれば、印刷条件の初期値は、取得された時期特有の印刷条件に変更される。そのため、印刷条件を時期特有の印刷条件として印刷を行う予定であるユーザーが印刷条件を変更し忘れた場合であっても、印刷条件の設定し忘れに起因した印刷ミスを抑制することができる。
【0011】
本発明の印刷装置において、前記情報取得手段は、前記印刷装置で使用する言語が表す地域情報を取得する地域情報取得手段を含み、前記判定手段は、前記時期取得手段及び前記地域情報取得手段によって取得された時期及び地域情報が時期条件を満たすか否かを判定し、前記初期値変更手段は、前記判定手段によって、前記時期取得手段及び前記地域情報取得手段によって取得された時期及び地域情報が時期条件を満たすと判定された場合に、当該時期条件に対応する印刷条件に、前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値を変更する。
【0012】
時期特有の印刷条件は、印刷装置が使用される地域の生活習慣の関係上、地域毎に異なる可能性がある。そこで、本発明では、地域情報取得手段によって取得される地域情報が示す言語に基づき、印刷装置が使用される地域が特定される。そして、印刷条件の初期値は、取得された時期及び地域情報に特有の印刷条件に変更される。そのため、印刷条件を時期特有の印刷条件として印刷を行う予定であるユーザーが印刷条件を変更し忘れた場合であっても、印刷条件の設定し忘れに起因した印刷ミスを抑制することができる。
【0013】
本発明の印刷装置において、前記印刷制御部は、前記判定手段によって、前記時期取得手段によって取得された時期が時期条件を満たすと判定された場合に、取得された時期を報知する報知処理を行う報知制御手段をさらに有し、前記初期値変更手段は、前記報知処理によって報知された時期のうち、選択された時期が満たす時期条件に対応する印刷条件に、前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値を変更する。
【0014】
上記構成によれば、印刷条件の初期値を時期特有の印刷条件に変更可能な場合には、その旨をユーザーに報知させる。こうした報知の結果、ユーザーによって選択された時期に特有の印刷条件が、印刷条件の初期値とされる。すなわち、印刷条件の初期値は、ユーザーの意図に沿った条件とされる。そのため、ユーザーは、時期を選択するだけで、印刷条件を設定することなく時期特有の印刷条件で印刷を印刷装置に行わせることができる。
【0015】
本発明の印刷装置において、前記情報取得手段は、前記判定情報として、設定操作された印刷条件とその設定回数とを関連付けて管理する回数管理手段を含み、前記判定手段は、前記回数管理手段によって管理される印刷条件の設定回数が最も多いという回数条件を満たすか否かを判定し、前記初期値変更手段は、前記判定手段によって、前記回数管理手段によって管理される設定回数が回数条件を満たすと判定された場合に、当該回数条件に対応する印刷条件に、前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値を変更する。
【0016】
上記構成によれば、ユーザーによって印刷条件が設定された場合には、その履歴が回数管理手段によって保管される。すなわち、回数管理手段は、印刷条件の設定回数を、印刷条件毎に管理している。そして、印刷条件の初期値は、管理される各印刷条件のうち回数条件を満たした印刷条件に変更される。つまり、印刷条件の初期値は、ユーザーによる印刷条件の過去の設定履歴に基づいた条件とされる。そのため、印刷前に印刷条件を設定しなくても、ユーザーの意図に沿った印刷条件で印刷が行われる確率が高くなる。したがって、ユーザーによる印刷条件の設定し忘れに起因した印刷ミスを抑制することができる。
【0017】
本発明の印刷装置において、前記回数条件は、前記回数管理手段によって管理される設定回数が予め設定された回数基準値以上であって且つ設定回数が最も多いという条件である。
【0018】
上記構成によれば、回数基準値以上の設定回数の印刷条件がある場合には、該印刷条件に、印刷条件の初期値が変更される。ここで、回数基準値を、ユーザーによる印刷条件の設定の傾向を適切に把握するために設定された値とした場合には、ユーザーの意図に反して、印刷条件の初期値が不用意に変更されることを回避することができる。
【0019】
本発明の印刷装置において、前記情報取得手段は、時期を取得する時期取得手段を含み、前記判定手段は、前記時期取得手段によって取得された時期が時期条件を満たすか否かを判定し、前記初期値変更手段は、前記判定手段によって、前記時期取得手段によって取得された時期が時期条件を満たすと判定された場合には、前記時期条件に対応する印刷条件に、前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値を変更する。
【0020】
上記構成によれば、時期特有の印刷条件に印刷条件の初期値を変更可能な場合には、回数条件を満たす印刷条件が前記回数管理手段で管理されているか否かに関係なく、印刷条件の初期値が時期特有の印刷条件に変更される。これは、時期特有の印刷条件とは、その時期で最も利用される可能性の高い印刷装置の使い方に対応した条件であるためである。すなわち、ユーザーは、印刷条件を、時期特有の印刷条件に変更する手間を省くことができる。そのため、ユーザーによる印刷条件の設定し忘れに起因した印刷ミスを抑制することができる。
【0021】
本発明の印刷装置において、前記印刷条件は、印刷される媒体のサイズ、媒体の種類、縁あり印刷か縁なし印刷か、印刷品質及び印刷時の色彩のうち少なくとも一つを含む。
印刷される媒体のサイズ、媒体の種類、縁あり印刷か縁なし印刷か、印刷品質及び印刷時の色彩は、印刷を行う際に必要な印刷条件である。そこで、本発明では、印刷される媒体のサイズ、媒体の種類、縁あり印刷か縁なし印刷か、印刷品質及び印刷時の色彩のうち少なくとも一つの印刷条件が、設定条件に対応する印刷条件とされる。
【0022】
本発明の印刷装置において、前記印刷制御部は、前記印刷装置に設けられた表示装置を制御する表示制御手段と、前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値から印刷条件を変更するためであって且つ互いに表示態様の異なる第1画面及び第2画面を前記表示装置に表示させるための第1のデータ及び第2のデータを記憶する画面記憶手段と、さらに有し、前記表示制御手段は、前記第1のデータ及び第2のデータのうち、選択された画面に対応するデータを前記画面記憶手段から取得し、該取得したデータに基づいた画面を前記表示装置に表示させる。
【0023】
上記構成によれば、印刷条件を設定するための画面は複数用意されており、何れの画面を表示装置に表示させるかは、ユーザーによって選択される。そのため、ユーザーは、自身で選択した画面を視認しつつ印刷条件を設定するができる。
【0024】
本発明の印刷装置において、前記印刷制御部は、前記印刷装置を使用するユーザーを識別する識別手段と、ユーザー毎の印刷条件を管理する識別管理手段と、をさらに有し、前記初期値変更手段は、前記識別手段によって識別されたユーザー用の印刷条件を前記識別管理手段から取得し、該取得した印刷条件に、前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値を変更する。
【0025】
上記構成によれば、印刷装置を使用するユーザーを識別できた場合には、印刷条件が、ユーザー特有の条件に設定される。そのため、ユーザーは、印刷装置を利用する度に、印刷条件を自身の用途に合わせて設定しなくてもよい。したがって、ユーザーによる印刷条件の設定し忘れに起因した印刷ミスを抑制することができる。
【0026】
本発明の印刷装置において、前記識別手段は、前記印刷装置に通信可能に接続されたホスト装置から受信した情報に基づき、前記印刷装置を使用するユーザーを識別し、該識別したユーザー用の印刷条件を前記識別管理手段から取得し、該取得した印刷条件と前記ホスト装置から受信した情報に含まれる印刷条件とが異なる場合には、印刷条件の選択を促す旨の制御指令を前記ホスト装置に送信し、前記印刷制御手段は、前記識別手段から前記ホスト装置に制御指令が送信された場合には、前記ホスト装置から受信した印刷条件及び前記識別管理手段によって管理される印刷条件のうち、前記制御指令の返答として受信した情報に基づいた印刷条件を選択し、該選択した印刷条件に基づき前記印刷駆動部を制御する。
【0027】
上記構成によれば、ホスト装置から受信した画像データに基づいた印刷を行う場合において、ホスト装置から受信した情報に基づき印刷装置を利用するユーザーを識別できたときには、受信した情報に含まれる印刷条件と識別管理手段で管理するユーザー特有の印刷条件とが比較される。この比較の結果、同一ではない場合には、ホスト装置でユーザーが印刷条件を設定し忘れた、又は設定ミスを起こした可能性があるため、どちらの印刷条件で印刷を行うかの選択を促す旨の制御指令がホスト装置に送信される。そして、ホスト装置での選択結果を受信すると、受信した情報に基づいて印刷条件が選択され、該選択された印刷条件に基づき印刷が行われる。したがって、印刷ミスを減らすことができる。
【0028】
本発明の印刷方法は、印刷条件の設定操作がなされた場合には該印刷条件に基づき媒体に対して印刷処理を施す一方、印刷条件の設定操作がなされない場合には初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値に基づき前記印刷処理を施す印刷ステップと、印刷条件の初期値を変更するか否かの判定情報を取得させる情報取得ステップと、前記情報取得ステップで取得した判定情報が設定条件を満たすか否かを判定させる判定ステップと、前記判定ステップで、前記情報取得ステップで取得した判定情報が設定条件を満たすと判定した場合に、前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値を、前記設定条件に対応する印刷条件に変更させる初期値変更ステップと、を有する。
【0029】
上記構成によれば、上記印刷装置と同等の作用・効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の印刷装置の一実施形態である複合機を示す斜視図。
【図2】複合機の電気的構成を示すブロック図。
【図3】コンピューターの機能構成の要部を示すブロック図。
【図4】(a)(b)(c)(d)は表示装置に表示される画面を示す模式図。
【図5】(a)(b)は表示装置に表示される画面を示す模式図。
【図6】時期及び仕向け国と印刷条件との対応関係を示すテーブル。
【図7】印刷条件と設定回数との対応関係を示すテーブル。
【図8】初期値設定処理ルーチンを説明するフローチャート。
【図9】印刷処理ルーチンを説明するフローチャート。
【図10】コンピューターの機能構成の要部を示すブロック図。
【図11】コンピューターの機能構成の要部を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図9に基づいて説明する。
図1に示すように、印刷装置の一例としての複合機11は、媒体の一例としての用紙Pに対して印刷を施す印刷機能と、該印刷機能以外の他の機能の一例としての画像読み取り機能とを実行可能である。こうした複合機11の本体ケース12の上面は、画像読み取りを行う原稿(図示略)を設置する原稿台13となっている。また、本体ケース12には、原稿台13を覆うことが可能なカバー14が開閉可能に設けられている。こうした本体ケース12の下側部分は用紙Pに対して印刷を施す印刷駆動部の一例としてのプリンター部20であると共に、本体ケース12の上側部分は原稿台13に設置された原稿の画像読み取りを行うスキャナー部30となっている。
【0032】
図1及び図2に示すように、プリンター部20は、用紙Pを本体ケース12内に給紙する自動給紙装置(ASF(Auto Sheet Feeder))21と、自動給紙装置21によって本体ケース12内に給紙された用紙Pに対して印刷を施すインク噴射部22とを備えている。自動給紙装置21には、本体ケース12の後面部に配置されると共に印刷前の用紙Pがセットされるサポート211と、本体ケース12の前面に配置されると共に該本体ケース12から排出された用紙Pを受け取る排出部212とが設けられている。インク噴射部22には、用紙Pに対してインク滴を吐出する記録ヘッド221が設けられている。そして、サポート211にセットされた用紙Pは、自動給紙装置21によって本体ケース12内に給紙されると、インク噴射部22によって印刷が施される。その後、印刷済みとなった用紙Pは、自動給紙装置21によって本体ケース12内から排出部212に排出される。
【0033】
スキャナー部30は、原稿台13にセットされた原稿に光を照射するランプ31と、原稿の画像を画像データとして取得するCCD(電荷結合素子)32と、CCD32を走査(移動)させるためのスキャナー駆動部33とを備えている。原稿台13上にセットされた原稿から画像データを取得するための画像読み取り動作(「スキャン動作」ともいう。)時には、ランプ31から原稿台13を通して原稿に光が照射され、該原稿からの反射光をCCD32にて検出することで原稿の画像が画像データとして読み取られる。そして、読み取られた画像データは制御装置50(図2参照)に転送される。
【0034】
本体ケース12の前面において排出部212の側方には、記憶媒体の一例としてのメモリーカードMCをセットするためのスロット15が設けられている。このスロット15にセットされたメモリーカードMCからは、該メモリーカードMCに記憶される画像データが制御装置50に読み取られる。すなわち、本実施形態の複合機11では、該複合機11のスロット15にセットされたメモリーカードMCに記憶された画像データに基づいた印刷を、外部装置などを介在させることなく行うことが可能である。
【0035】
また、本体ケース12の前面において排出部212よりも上側には、複合機11の駆動条件などを設定する際にユーザーが設定操作する操作パネル40が設けられている。この操作パネル40の幅方向中央部には、ディスプレイを有する表示装置41が設けられている。この表示装置41には、制御装置50から指示された情報に基づいた画面が表示される。なお、ディスプレイとしては、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、タッチパネル式のディスプレイが挙げられる。
【0036】
また、操作パネル40において表示装置41の側方には、電源ボタン、印刷/スキャンを開始するスタートボタン及び実行中の動作を中止するストップボタンなどの各種ボタンで構成される操作部42が設けられている。そして、操作部42からは、ユーザーによるボタン操作(即ち、入力操作)に応じた情報が制御装置50に入力される。
【0037】
次に、本実施形態の複合機11の電気的構成について図2を参照して説明する。なお、図2では、明細書の説明理解の便宜上、スロット15の図示を省略している。
図2に示すように、複合機11の制御装置50は、コンピューター60と各種ドライバー回路(図示略)とを備えている。コンピューター60には、プリンター部20、スキャナー部30及び操作パネル40が、プリンターI/F51、スキャナーI/F52及びユーザーI/F53を介して電気的に接続されている。また、コンピューター60には、スロット15にセットされたメモリーカードMCがメモリーカードI/F54を介して電気的に接続されている。
【0038】
コンピューター60は、CPU61、ROM62、不揮発性メモリー63、RAM64、ASIC((Application Specific IC(特定用途向けIC))65、及び図示しないリアルタイムクロックなどで構成されている。ROM62は、各種制御プログラム及び各種データなどを記憶している。不揮発性メモリー63は、ファームウェアプログラムを始めとする各種プログラム及び印刷処理に必要な各種データなどを記憶している。RAM64は、メモリーカードMCから入力された画像データやスキャナー部30で読み取った画像データなどを記憶するようになっている。
【0039】
こうしたコンピューター60は、図示しないドライバー回路を介してプリンター部20及びスキャナー部30を制御している。例えば、コンピューター60を備える制御装置50は、RAM64に一時記憶される印刷データに基づきプリンター部20を制御し、用紙Pに対して画像を印刷している。したがって、本実施形態では、コンピューター60が、印刷制御部として機能する。
【0040】
次に、本実施形態のコンピューター60について図3を参照して説明する。
図3に示すように、コンピューター60は、画面記憶部71、表示制御部72、条件入力受付部73、初期値記憶部74、印刷条件設定部75、条件記憶部76、仕向け国管理部77、時計78、情報取得部79、初期値変更部80、報知制御部81、画像データ記憶部82及び駆動制御部83を備えている。これら各機能部71〜83は、ハードウェア及びソフトウェアのうち少なくとも一方により実現されるものである。
【0041】
画面記憶部71は、表示装置41に表示させる各種画面用の画面データを記憶している。画面記憶部71に記憶される画面データは、複合機11に実行させる機能を選択させるための画面用のデータ、及び選択された機能の駆動条件(例えば、印刷機能の場合における印刷条件)を設定させるための画面用のデータである。表示制御部72は、画面記憶部71から読み出した画面データに基づいた画面を表示装置41に表示させる。本実施形態では、画面記憶部71は、通常設定用の画面データ(第1のデータ)と、簡易設定用の画面データ(第2のデータ)とを記憶している。そして、表示制御部72は、ユーザーによる操作に基づき、通常設定用の画面データ又は簡易設定用の画面データを選択的に読み出し、該読み出した画面データに基づいた画面を表示装置41に表示させる。
【0042】
表示制御部72及び条件入力受付部73には、ユーザーによる操作部42の操作内容に応じた情報が入力される。このとき、表示制御部72は、入力された情報に基づき表示装置41に表示させる画面を変更する。具体的には、表示制御部72は、入力された情報に基づいた画面データを画面記憶部71から読み出し、該読み出した画面データに対応する画面を表示装置41に表示させる。つまり、表示制御部72は、複合機11を駆動させる際に必要な各種条件の設定をユーザーに促している。例えば、用紙Pに対して印刷させる場合、表示制御部72は、印刷に必要な印刷条件の設定をユーザーに促している。したがって、本実施形態では、画面記憶部71が画面記憶手段として機能すると共に、表示制御部72が表示制御手段として機能する。なお、印刷条件としては、例えば、用紙サイズ(A4サイズ、葉書サイズなど)、用紙Pの種類(普通紙、再生紙など)、縁あり印刷か縁なし印刷か、印刷品質(高詳細モード又はドラフトモード)、印刷時の色彩(カラー又はモノクロ)が挙げられる。
【0043】
条件入力受付部73は、ユーザーによる操作部42の操作によって印刷条件が設定された場合、該設定された印刷条件に関する情報を受け付け、該情報を印刷条件設定部75及び情報取得部79に出力する。また、条件入力受付部73は、ユーザーによる操作部42の操作によって印刷を開始させる旨が入力された場合、その旨を駆動制御部83に出力する。
【0044】
ここで、上記通常設定用の画面データに基づいた第1画面の一例としての画面について図4を参照して説明する。
図4(a)に示す画面は、複合機11で実行可能な各種機能のうち何れか一つの機能を選択させるための機能選択用画面である。表示制御部72は、各機能のうち例えば印刷機能及び画像読み取り機能の一種である「コピー機能」が選択された場合には、図4(b)に示すように、コピー、即ち印刷を行う際に変更する印刷条件を選択するための画面データを画面記憶部71から読み出し、該画面データに基づいた画面を表示装置41に表示させる。この状態で例えば「用紙設定」が選択されると、表示制御部72は、図4(c)に示すように、用紙サイズを設定するための画面データを画面記憶部71から読み出し、該画面データに基づいた画面を表示装置41に表示させる。
【0045】
そして、例えば用紙サイズがA5サイズに設定され、その後、バックが選択されると、表示制御部72は、図4(d)に示すように、一つ前に表示していた画面(即ち、図4(b)に示す画面)を表示装置41に表示させる。この状態で印刷時の色彩としてモノクロが設定された後に、印刷がスタートされると、印刷する用紙PのサイズをA5サイズと設定し、スキャナー部30で読み取った画像データに基づいた画像が用紙Pにモノクロ印刷される。
【0046】
次に、上記簡易設定用の画面データに基づいた第2画面の一例としての画面について図5を参照して説明する。
図5(a)に示す画面は、複合機11で実行可能な各種機能のうち何れか一つの機能を選択させるための機能選択用画面である。この機能選択用画面は、通常設定用の場合と同一画面である。そして、機能として「コピー機能」が選択されると、表示制御部72は、図5(b)に示すように、コピー、即ち印刷を行う際に変更する印刷条件を選択するための画面データを画面記憶部71から読み出し、該画面データに基づいた画面を表示装置41に表示させる。図5(b)に示す画面は、一回の選択操作で、複数の印刷条件を設定させることが可能である。
【0047】
そして、例えば、「A4モノクロ1枚」が選択されると、印刷条件に関して、用紙サイズがA4サイズとされ、印刷時の色彩がモノクロとされ、印刷枚数が1枚とされる。この状態で、印刷がスタートされると、印刷する用紙PのサイズをA4サイズと設定し、スキャナー部30で読み取った画像データに基づいた画像が用紙Pにモノクロ印刷される。なお、図5(b)に示す画面の「詳細変更」が選択されると、表示制御部72は、図6に示す画面を表示装置41に表示させる。
【0048】
図3に戻り、初期値記憶部74は、印刷条件の初期値(「デフォルト値」ともいう。)を記憶している。ユーザーによる印刷条件の設定操作がなされない場合には、初期値記憶部74に記憶される印刷条件の初期値に基づき印刷が行われる。本実施形態では、用紙サイズの初期値がA4サイズに設定されると共に、用紙の種類の初期値が普通紙に設定され、さらに、縁あり印刷又は縁なし印刷の初期値が縁あり印刷に設定されている。また、印刷品質の初期値が高詳細モードに設定されると共に、印刷時の色彩の初期値がカラーに設定されている。したがって、本実施形態では、初期値記憶部74が、初期値記憶手段として機能する。そして、複合機11の電源ボタンがオンとなって複合機11への電力供給が開始されると、初期値記憶部74に記憶される印刷条件の初期値は、条件記憶部76にコピーされる。
【0049】
印刷条件設定部75は、条件入力受付部73から入力された情報に基づき、条件記憶部76に記憶される印刷条件を変更する。例えば、条件記憶部76に記憶される用紙サイズがA4サイズである一方で、ユーザーによる操作部42の操作によって用紙サイズが葉書サイズに設定された場合、印刷条件設定部75は、条件記憶部76に記憶される用紙サイズをA4サイズから葉書サイズに変更する。
【0050】
仕向け国管理部77は、複合機11が出荷された出荷地域の一例としての仕向け国(「出荷国」ともいう。)を特定するための国情報を管理している。この仕向け国管理部77は、情報取得部79から国情報が要求された場合、管理している国情報を情報取得部79に出力する。なお、国情報は、複合機11が出荷される段階で用意された情報である。もちろん、ユーザーに国情報を設定させるようにしてもよい。また、複合機11に図示しないホスト装置が接続された場合には、仕向け国管理部77は、ホスト装置から送信されたデータから仕向け国を推定し、該推定した仕向け国を特定するための国情報を管理するようにしてもよい。
【0051】
さらに、複合機11は、表示装置41のディスプレイに表示させる言語をユーザーに設定させるための言語設定機能を有している。そして、仕向け国管理部77では、言語設定機能によって設定された言語が使用される国を特定し、該国を仕向け国としてもよい。この場合、仕向け国を特定するための国情報は、複合機11で使用する言語が表す地域情報に相当する。
【0052】
なお、表示装置41のディスプレイには、仕向け国管理部77で管理される国情報が示す仕向け国で使用される言語(例えば、公用語)で文字が表示される。
時計78は、図示しないリアルタイムクロックを含んだ構成となっている。こうした時計78は、計時を行っている。そして、時計78は、情報取得部79から時刻情報(時期情報)が要求された場合、現時点の時刻を特定するための時刻情報を情報取得部79に出力する。例えば、時計78で示される時刻(時期)が「12月10日の10時5分」であった場合、「12月10日の10時5分」を特定するための時刻情報が情報取得部79に出力される。なお、このとき、時計78は、「12月10日」を特定するための時刻情報を情報取得部79に出力してもよいし、「12月」を特定するための時刻情報を情報取得部79に出力してもよい。
【0053】
情報取得部79は、時期・国取得部791と、回数管理部792とを有している。時期・国取得部791には、時期や仕向け国に特有の印刷条件を管理するための時期・国テーブルT1(図6参照)が設けられている。こうした時期・国取得部791は、複合機11の電源ボタンがオン操作されたタイミングで、仕向け国管理部77に対して国情報を要求すると共に、時計78に対して時刻情報を要求する。そして、時期・国取得部791は、要求に対する返答として仕向け国管理部77から入力された国情報が示す仕向け国(例えば、日本)を取得する。同様に、時期・国取得部791は、要求に対する返答として時計78から入力された時刻情報が示す時刻を取得する。したがって、本実施形態では、時期・国取得部791が、複合機11で使用する言語が表す地域情報として仕向け国を取得する地域情報取得手段、及び現在の時期を取得する時期取得手段として機能する。
【0054】
また、時期・国取得部791は、取得した時期や仕向け国に対応する印刷条件が時期・国テーブルT1にあるか否かを判定する。すなわち、仕向け国管理部77及び時計78から取得した国情報及び時刻情報が、印刷条件の初期値を変更するか否かを判定するために用いられる判定情報に相当する。そして、時期・国取得部791は、取得した時期や仕向け国に対応する印刷条件が時期・国テーブルT1にある場合には、該印刷条件を初期値変更部80に出力する。言い換えると、時期・国取得部791は、取得した時期及び仕向け国(判定情報)が、設定条件の一例としての時期条件を満たすか否かを判定し、満たすと判定した場合には印刷条件の初期値の変更を許可する。ここでいう「時期条件」とは、時期・国テーブルT1にある印刷条件に対応する時期及び仕向け国のことを示している。例えば、取得した時期及び仕向け国が「11月」及び「日本」である場合において、11月の日本に特有の印刷条件が時期・国テーブルT1にあるときには、取得された判定条件が時期条件を満たすとされる。したがって、本実施形態では、時期・国取得部791を備える情報取得部79が、判定手段としても機能する。
【0055】
回数管理部792には、条件入力受付部73から入力される情報、即ちユーザーによって設定された印刷条件に関する情報に基づき更新される回数テーブルT2(図7参照)が設けられている。この回数テーブルT2は、ユーザーによって設定された設定回数を印刷条件毎に管理している。例えば、ユーザーが印刷品質をドラフトモードに設定した場合、回数テーブルT2に記憶される各設定回数のうち、ドラフトモードに対応する設定回数が「1」だけインクリメントされる。したがって、本実施形態では、回数管理部792が、ユーザーによって設定操作された印刷条件とその設定回数とを関連付けて管理する回数管理手段として機能する。
【0056】
また、回数管理部792は、各印刷条件のうち、予め設定された回数基準値(例えば100)以上となる設定回数の印刷条件があるか否かを判定する。すなわち、回数管理部792は、回数テーブルT2に記憶される各印刷条件の設定回数を判定情報として読み出し(取得し)、設定回数が回数基準値以上となるという回数条件を満たした印刷条件があるか否かを判定する。そして、回数管理部792は、回数条件を満たした印刷条件が回数テーブルT2にある場合には、該印刷条件を初期値変更部80に出力する。言い換えると、回数管理部792は、設定条件の一例としての回数条件を満たす印刷条件があるか否かを判定し、満たす印刷条件があると判定した場合には印刷条件の初期値の変更を許可する。
【0057】
なお、例えば用紙サイズに関する印刷条件について、用紙サイズを第1のサイズ(例えばA4サイズ)にするという第1印刷条件の設定回数と、用紙サイズを第2のサイズ(例えば葉書サイズ)にするという第2印刷条件の設定回数とが共に回数基準値以上となることがある。この場合、回数管理部792は、設定回数が最も多いという回数条件を満たした印刷条件に、印刷条件の初期値が変更されることを許可する。したがって、本実施形態では、回数管理部(回数管理手段)792及び時期・国取得部(地域情報取得手段、時期取得手段)791を備える情報取得部79が、判定手段としても機能すると共に、情報取得手段として機能する。
【0058】
本実施形態では、印刷条件の初期値をユーザーによって設定された過去の印刷条件に基づいた条件とすることにより、複合機11がユーザーにとって使い勝手のよい装置とされる。このためには、ユーザーによる印刷条件の設定の傾向を、適切に把握する必要がある。そこで、本実施形態では、回数基準値を設け、設定回数が回数基準値未満である場合には、ユーザーによって設定された過去の印刷条件に基づいた印刷条件の初期値の変更が禁止される。つまり、回数基準値は、ユーザーによる印刷条件の設定の傾向を適切に把握するために設けられた判定値である。こうした回数基準値を設けることにより、ユーザーの意図に反して、印刷条件の初期値が不用意に変更されることが回避される。
【0059】
ここで、時期・国テーブルT1及び回数テーブルT2について図6及び図7を参照して説明する。
まず始めに、時期・国テーブルT1について説明する。
【0060】
図6に示すように、時期・国テーブルT1は、時期及び仕向け国と印刷条件とを対応付けて記憶している。例えば、第1の印刷条件には、時期として「9月〜11月」が対応付けられると共に、仕向け国として「日本」が対応付けられている。「9月〜11月」という時期の日本では、運動会が開催されるため、写真印刷がよく利用される。つまり、第1の印刷条件は、写真印刷を行うための印刷条件である。例えば、第1の印刷条件では、用紙サイズが写真(L判)に、用紙の種類が「インクジェット用」に、縁あり印刷又は縁なし印刷が縁なし印刷に、印刷品質が高詳細モードに、印刷時の色彩がカラーに設定される。
【0061】
また、第2の印刷条件には、時期として「10月〜12月」が対応付けられると共に、仕向け国として「日本」が対応付けられている。「10月〜12月」という時期の日本では、年賀状の作成に複合機11がよく利用される。つまり、第2の印刷条件は、葉書に印刷を行うための印刷条件である。例えば、第2の印刷条件では、用紙サイズが葉書サイズに、用紙の種類が「インクジェット用」に、縁あり印刷又は縁なし印刷が縁あり印刷に、印刷品質が高詳細モードに、印刷時の色彩がカラーに設定される。
【0062】
また、第3の印刷条件には、時期として「10月〜12月」が対応付けられると共に、仕向け国として「米国」が対応付けられている。「10月〜12月」という時期の米国では、クリスマスカードの作成に複合機11がよく利用される。つまり、第3の印刷条件は、写真印刷を行うための印刷条件である。例えば、第3の印刷条件では、用紙サイズが写真(L判)に、用紙の種類が「インクジェット用」に、縁あり印刷又は縁なし印刷が縁なし印刷に、印刷品質が高詳細モードに、印刷時の色彩がカラーに設定される。
【0063】
次に、回数テーブルT2について説明する。
図7に示すように、回数テーブルT2は、各種印刷条件と設定回数とを対応付けて記憶している。例えば、用紙サイズをA4サイズにするという印刷条件の設定回数は「120回」とされている。これは、ユーザーによる操作部42の操作によって用紙サイズがA4サイズに設定されて印刷された回数が「120回」に達したことを示している。また、用紙サイズを葉書サイズにするという印刷条件の設定回数は「30回」とされると共に、用紙サイズを写真(L判)サイズにするという印刷条件の設定回数は「10回」とされ、さらに、用紙サイズを写真(2L判)サイズにするという印刷条件の設定回数は「0(零)回」とされる。
【0064】
用紙の種類を普通紙にするという印刷条件の設定回数は「80回」とされると共に、用紙の種類を厚紙にするという印刷条件の設定回数は「0(零)回」とされる。また、用紙の種類を再生紙にするという印刷条件の設定回数は「10回」とされると共に、用紙の種類をインクジェット用にするという印刷条件の設定回数は「30回」とされる。縁あり印刷又は縁なし印刷を縁あり印刷にするという印刷条件の設定回数は「40回」とされると共に、縁なし印刷にするという印刷条件の設定回数は「120回」とされる。印刷品質を高詳細モードにするという印刷条件の設定回数は「20回」とされると共に、ドラフトモードにするという印刷条件の設定回数は「110回」とされる。印刷時の色彩をカラーにするという印刷条件の設定回数は「160回」とされると共に、モノクロにするという印刷条件の設定回数は「0(零)回」とされる。
【0065】
なお、上述した印刷条件毎の設定回数は、ユーザーが印刷条件を変更する毎に適宜変更される値である。
図3に戻り、初期値変更部80は、回数管理部792及び時期・国取得部791から印刷条件の初期値を変更させるための情報、即ち変更情報が入力された場合に、初期値記憶部74に記憶される印刷条件の初期値を変更する。例えば、用紙サイズを葉書サイズとするという印刷条件の設定回数が回数基準値以上になった場合、初期値変更部80には、回数管理部792から、用紙サイズの初期値を葉書サイズに変更させる旨が入力される。すると、初期値変更部80は、入力された情報(この場合、葉書サイズ)が初期値記憶部74に記憶される用紙サイズの初期値(この場合、A4サイズ)と一致するか否かを判定し、一致しない場合には用紙サイズの初期値をA4サイズから葉書サイズに変更する。
【0066】
また、時期・国取得部791から時期や仕向け国に特有の印刷条件が入力された場合、初期値変更部80は、その旨を報知制御部81に出力する。すると、報知制御部81は、印刷条件の初期値を、時期や仕向け国に特有の印刷条件に変更することに関する諾否をユーザーに選択させる報知処理を行う。すなわち、報知制御部81は、表示装置41に、時期・仕向け国又はそれに相当する情報を表示させる。そして、印刷条件の初期値を時期や仕向け国に特有の印刷条件に変更してよい旨がユーザーによる操作部42の操作によって入力されると、初期値変更部80は、初期値変更部80に記憶される各印刷条件の初期値を、時期や仕向け国に特有の各印刷条件に変更する。したがって、本実施形態では、初期値変更部80が、初期値変更手段として機能する。また、報知制御部81が、報知制御手段として機能する。
【0067】
画像データ記憶部82には、メモリーカードMCから入力された画像データ、及びスキャナー部30から入力された画像データが記憶される。
駆動制御部83は、印刷を開始させる旨が条件入力受付部73から入力された場合に、条件記憶部76に記憶される印刷条件及び画像データ記憶部82に記憶される画像データに基づき、プリンター部20を制御する。こうした駆動制御部83は、動力源制御部831及び画像処理部832を有している。動力源制御部831は、プリンター部20に設けられる各種モーターを制御する。また、画像処理部832は、画像データを印刷データに変換し、記録ヘッド221からのインクの吐出態様を制御する。したがって、本実施形態では、駆動制御部83が、印刷制御手段として機能する。
【0068】
上述したように、本実施形態では、印刷条件の初期値は、時期及び仕向け国に応じた印刷条件に変更されたり、ユーザーによる印刷条件の過去の設定履歴に基づき変更されたりする。そこで次に、本実施形態のコンピューター60が実行する各種処理ルーチンのうち、印刷条件の初期値の設定に関する初期値設定処理ルーチンについて図8に示すフローチャートを参照して説明する。
【0069】
さて、初期値設定処理ルーチンは、複合機11の電源ボタンがオン操作されてからオフ操作されるまでの間、予め設定された所定周期毎に実行される。まず始めに、コンピューター60は、複合機11の電源ボタンがオン操作されて初めて初期値設定処理ルーチンが実行されるか否かを判定する(ステップS10)。初めてである場合(ステップS10:YES)、コンピューター60は、時刻情報及び国情報を取得する(ステップS11)。この点で、本実施形態では、ステップS11が、印刷条件の初期値を変更するか否かの判定情報として時期及び仕向け国を取得させる情報取得ステップに相当する。続いて、コンピューター60は、取得した時刻情報が示す時期と国情報が示す仕向け国に対応する印刷条件が時期・国テーブルT1にあるか否かを判定する(ステップS12)。この点で、本実施形態では、ステップS12が、取得した時期及び仕向け国が時期条件を満たすか否かを判定させる判定ステップに相当する。
【0070】
取得した時期及び仕向け国に対応する印刷条件が時期・国テーブルT1にない場合(ステップS12:NO)、コンピューター60は、その処理を後述するステップS19に移行する。一方、取得した時期及び仕向け国に対応する印刷条件が時期・国テーブルT1にある場合(ステップS12:YES)、コンピューター60は、時期特有の印刷条件がある旨を表示装置41に表示させる報知処理を行う(ステップS13)。例えば、時期が「11月」で仕向け国が「日本」である場合、コンピューター60は、年賀状用の第2の印刷条件、及び運動会用の第1の印刷条件を初期値として設定可能である旨を表示装置41に表示(報知)させる。そして、コンピューター60は、表示装置41に報知させた印刷条件のうち何れか一つの印刷条件が選択されたか否かを判定する(ステップS14)。未だ何れの印刷条件もユーザーに選択されていない場合(ステップS14:NO)、コンピューター60は、何れか一つの印刷条件が選択されるまでステップS14の判定処理を繰り返し実行する。
【0071】
一方、何れか一つの印刷条件が選択された場合(ステップS14:YES)、コンピューター60は、選択された印刷条件が時期特有の印刷条件(例えば、年賀状用の第1の印刷条件)であるか否かを判定する(ステップS15)。選択された印刷条件が時期特有の印刷条件ではない場合(ステップS15:NO)、コンピューター60は、ユーザーが印刷条件の初期値の変更を希望していないと判断し、その処理を後述するステップS19に移行する。一方、選択された印刷条件が時期特有の印刷条件である場合(ステップS15:YES)、コンピューター60は、変更フラグFLGをオンにセットする(ステップS16)。この変更フラグFLGは、印刷条件の初期値が時期及び仕向け国に応じた印刷条件に設定されたか否かを判断するためのフラグである。なお、変更フラグFLGは、電源ボタンがオンになった直後にラムクリアされると「オフ」にリセットされる。
【0072】
そして、コンピューター60は、取得した時期及び仕向け国に対応する印刷条件を時期・国テーブルT1から取得する(ステップS17)。そして、コンピューター60は、印刷条件の初期値をステップS17で取得した印刷条件に変更し(ステップS18)、その処理を後述するステップS19に移行する。したがって、ステップS18が、取得した時期が時期条件を満たすと判定した場合に、当該時期条件に対応する印刷条件に印刷条件の初期値を変更させる初期値変更ステップに相当する。
【0073】
ステップS19において、コンピューター60は、印刷条件の初期値を取得し、該初期値を印刷条件に設定する。すなわち、取得した時期及び仕向け国に対応する印刷条件が時期・国テーブルT1にある場合には、時期・国テーブルT1から取得された印刷条件、即ち取得した時期及び仕向け国に対応する印刷条件が、印刷条件とされる。一方、取得した時期及び仕向け国に対応する印刷条件が時期・国テーブルT1にない場合には、電源ボタンがオン操作された時点で初期値記憶部74に記憶されていた印刷条件の初期値が、印刷条件とされる。その後、コンピューター60は、初期値設定処理ルーチンを一旦終了する。
【0074】
その一方で、今回の実行が、電源ボタンがオン操作されてから初めての実行ではない場合(ステップS10:NO)、コンピューター60は、変更フラグFLGがオフであるか否かを判定する(ステップS20)。変更フラグFLGがオンである場合(ステップS20:NO)、コンピューター60は、印刷条件の初期値が時期特有の印刷条件に設定されているため、初期値設定処理ルーチンを一旦終了する。一方、変更フラグFLGがオフである場合(ステップS20:YES)、コンピューター60は、印刷条件の初期値が時期特有の印刷条件ではないため、ユーザーによる操作部42の操作によって印刷条件が変更されたか否かを判定する(ステップS21)。印刷条件が変更されていない場合(ステップS21:NO)、コンピューター60は、初期値設定処理ルーチンを一旦終了する。一方、印刷条件が変更された場合(ステップS21:YES)、コンピューター60は、回数テーブルT2に記憶される各設定回数のうち、変更された印刷条件の設定回数を「1」だけインクリメントする(ステップS22)。例えば、用紙サイズが写真(L判)サイズに設定された場合、コンピューター60は、写真(L判)サイズの設定回数を「10回」から「11回」に変更する(図7参照)。
【0075】
続いて、コンピューター60は、設定回数が回数基準値(例えば100回)以上となる印刷条件が回数テーブルT2にあるか否かを判定する(ステップS23)。したがって、本実施形態では、ステップS23が、過去に設定されたことのある印刷条件の設定回数(判定情報)が回数基準値以上であるという回数条件を満たすか否かを判定させる判定ステップに相当する。設定回数が回数基準値以上となる印刷条件が回数テーブルT2にない場合(ステップS23:NO)、コンピューター60は、初期値設定処理ルーチンを一旦終了する。
【0076】
一方、設定回数が回数基準値以上となる印刷条件が回数テーブルT2にある場合(ステップS23:YES)、コンピューター60は、設定回数が回数基準値以上となる印刷条件の内容が印刷条件の初期値の内容と異なるか否かを判定する(ステップS24)。例えば、設定回数が回数基準値以上となる用紙サイズ(印刷条件)がA4サイズである場合、コンピューター60は、現時点で初期値に設定されている用紙サイズがA4サイズであるか否かを判定する。そして、設定回数が回数基準値以上となる印刷条件の内容が印刷条件の初期値の内容と同一である場合(ステップS24:NO)、コンピューター60は、印刷条件の初期値を変更する必要がないため、初期値設定処理ルーチンを一旦終了する。
【0077】
一方、設定回数が回数基準値以上となる印刷条件の内容が印刷条件の初期値の内容と異なる場合(ステップS24:YES)である場合、コンピューター60は、印刷条件の初期値を変更する(ステップS25)。例えば、設定回数が回数基準値以上となる用紙サイズ(印刷条件)がA4サイズである場合、コンピューター60は、用紙サイズの初期値をA4サイズとする。したがって、本実施形態では、ステップS25が、初期値変更ステップに相当する。その後、コンピューター60は、初期値設定処理ルーチンを一旦終了する。
【0078】
ところで、各種印刷条件の中には、内容を変更することにより、他の印刷条件の内容も変更する印刷条件も存在する。例えば、用紙サイズの初期値を写真(L判)サイズや写真(2L判)サイズとした場合、写真印刷が行われる可能性が非常に高い。そのため、印刷品質を高詳細モードとするという印刷条件の設定回数が回数基準値未満であっても、印刷品質の初期値は高詳細モードに変更される。同様に、印刷時の色彩をカラーにするという印刷条件の設定回数が回数基準値未満であっても、印刷時の色彩の初期値はカラーに変更される。また、縁あり印刷又は縁なし印刷かが縁なし印刷とした場合、印刷品質の初期値は高詳細モードに自動的に設定される。
【0079】
また、仕向け国が「日本」であって、取得される時期が「12月」である場合、印刷条件の初期値は、葉書印刷用の第2の印刷条件となっている。しかし、取得される時期が「1月」になると、時期・国テーブルT1には、取得された時期に特有の印刷条件がないことになる。そのため、時期が「1月」になって初めて複合機11の電源ボタンがオン操作された場合、印刷条件の初期値は、回数テーブルT2に基づき、即ちユーザーの過去の設定履歴に基づいた条件に変更される。ただし、設定回数が回数基準値以上となる印刷条件が回数テーブルT2に記憶されていない場合には、複合機11が出荷された際にイニシャルとして記憶されていた印刷条件が、印刷条件の初期値に設定される。
【0080】
次に、用紙Pに対して印刷を施す際にコンピューター60に実行される印刷処理ルーチンについて、図9に示すフローチャートを参照して説明する。
さて、印刷処理ルーチンは、コンピューター60に印刷指令が入力された場合に実行される。そして、印刷処理ルーチンにおいて、コンピューター60は、条件記憶部76から各種印刷条件を取得する(ステップS30)。続いて、コンピューター60は、取得した印刷条件に基づいた印刷処理を行う(ステップS31)。この点で、本実施形態では、ステップS31が、印刷ステップに相当する。そして、印刷処理が完了すると、コンピューター60は、印刷処理ルーチンを終了する。
【0081】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)印刷条件の初期値を変更するか否かの判定に用いられる判定情報が取得されると、該判定情報が設定条件を満たすか否かが判定される。そして、判定情報が設定条件を満たさないと判定された場合には、初期値記憶部74で記憶される印刷条件の初期値が変更されない。一方、判定情報が設定条件を満たすと判定された場合には、初期値記憶部74で記憶される印刷条件の初期値が設定条件に対応する印刷条件に変更される。そのため、印刷を行う前にユーザーが印刷条件を変更しない場合であっても、設定条件に対応する印刷条件に基づき印刷が行われる。したがって、ユーザーによる印刷条件の設定し忘れに起因した印刷ミスを抑制することができる。
【0082】
(2)取得した時期に特有の印刷条件が時期・国テーブルT1にある場合には、印刷条件の初期値が時期特有の印刷条件に変更される。そのため、時期特有の印刷条件を設定した上で印刷を行う予定であるユーザーが印刷条件を変更し忘れた場合であっても、印刷条件の設定し忘れに起因した印刷ミスを抑制することができる。
【0083】
(3)時期特有の印刷条件は、複合機11が出荷された仕向け国の生活習慣の関係上、仕向け国毎に異なる可能性がある。例えば、10月〜12月において日本では、年賀状を送るという慣習がある関係上、葉書への印刷に複合機11が利用される可能性が高い。しかし、日本以外の他国では、年賀状を送るという慣習がないため、10月〜12月で葉書への印刷に複合機11が利用される可能性が高くなるとは限らない。そこで、本実施形態の時期・国テーブルT1では、複数の印刷条件を、時期及び仕向け国に対応付けて管理している。そして、取得した時期及び仕向け国に対応する印刷条件が時期・国テーブルT1にある場合には、印刷条件の初期値を時期特有の印刷条件に変更することが許可される。そのため、時期特有の印刷条件を設定した上で印刷を行う予定であるユーザーが印刷条件を変更し忘れた場合であっても、印刷条件の設定し忘れに起因した印刷ミスを抑制することができる。
【0084】
(4)取得した時期に対応する印刷条件が時期・国テーブルT1にある場合には、その旨が表示装置41に表示される。このとき、時期に対応する印刷条件が複数ある場合には、何れの印刷条件を印刷条件の初期値にするかの選択をユーザーに促す。そして、ユーザーによって選択された時期に特有の印刷条件が、印刷条件の初期値とされる。すなわち、印刷条件の初期値は、ユーザーの意図に沿った条件とされる。その一方で、時期特有の印刷条件に変更しないとユーザーがした場合には、印刷条件の初期値が時期特有の印刷条件に変更されない。そのため、印刷条件の初期値は、ユーザーが印刷条件の設定を行わなくても、ユーザーの意図に沿った条件となっている確率が高い。そのため、ユーザーによる印刷条件の設定し忘れに起因した印刷ミスを抑制することができる。
【0085】
(5)ユーザーによる操作部42の操作によって印刷条件が設定された場合には、その履歴が回数管理部792によって保管される。すなわち、回数管理部792は、印刷条件の設定回数を印刷条件毎に管理している。そして、印刷条件の初期値は、管理される各印刷条件のうち回数条件を満たした印刷条件に変更される。つまり、印刷条件の初期値は、ユーザーによる印刷条件の過去の設定履歴に基づいた条件とされる。そのため、印刷前に印刷条件を設定しなくても、ユーザーの意図に沿った印刷条件で印刷が行われる確率が高くなる。したがって、ユーザーによる印刷条件の設定し忘れに起因した印刷ミスを抑制することができる。
【0086】
(6)回数基準値以上の設定回数の印刷条件がある場合には、該印刷条件に、印刷条件の初期値が変更される。回数基準値は、ユーザーによる印刷条件の設定の傾向を適切に把握するために設定された判定値である。こうした回数基準値を設けることにより、ユーザーの意図に反して、印刷条件の初期値が不用意に変更されることを回避することができる。
【0087】
(7)時期特有の印刷条件に印刷条件の初期値を変更可能な場合には、回数基準値以上の設定回数の印刷条件があっても、印刷条件の初期値が時期特有の印刷条件に変更される。これは、時期特有の印刷条件とは、その時期で最も利用される可能性の高い印刷装置の使い方に対応した条件であるためである。そのため、ユーザーによる印刷条件の設定し忘れに起因した印刷ミスを抑制することができる。
【0088】
(8)本実施形態では、印刷条件を設定するための画面は2種類用意されており、何れの画面を表示装置41に表示させるかは、ユーザーによって選択される。つまり、ユーザーは、自身で選択した画面を視認しつつ印刷条件を設定することになる。その結果、ユーザーは、自身によって使いやすい画面を視認しつつ印刷条件を設定することができる。
【0089】
(9)特に、簡易設定用の画面(図5参照)は、少ない操作回数で、印刷条件の設定を完了させることができる。そのため、複合機11を使い慣れていないユーザー(特に、年配のユーザー)の場合には印刷条件の設定し忘れや設定ミスを減らすことができ、ひいては印刷ミスの抑制に貢献できる。
【0090】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・実施形態において、コンピューター60で、複合機11を利用するユーザーを識別可能である場合には、印刷条件の初期値をユーザー毎に設定してもよい。例えば、図10に示すように、コンピューター60は、機能部分として、識別手段の一例としてのユーザー識別部100をさらに備えている。また、初期値記憶部74は、各ユーザー(例えば、Aさん、Bさん、Cさん)の印刷条件の初期値を個別に記憶している。この点で、初期値記憶部74が、ユーザー毎の印刷条件を管理する識別管理手段としても機能する。そして、ユーザー識別部100は、何れのユーザー(例えば、Aさん)が利用しているかを識別できた場合には、Aさん用の印刷条件の初期値を初期値記憶部74から取得し、該取得した印刷条件の初期値を条件記憶部76に記憶させる。この結果、Aさん用の印刷条件の初期値に基づき印刷が行われる。
【0091】
なお、ユーザーの識別方法の一例としては以下に示す方法が考えられる。すなわち、印刷条件の初期値が用意されているユーザー若しくはユーザーに相当するサムネイル画像などを表示装置41に表示させる。そして、ユーザーの選択を、操作部42の操作によって行わせ、該操作結果に基づき、使用するユーザーを識別させる。
【0092】
このように構成した場合、複合機11を使用するユーザーを識別できた場合には、印刷条件が、ユーザー特有の条件に設定される。そのため、ユーザーは、複合機11を利用する度に、印刷条件を自身の用途に合わせて設定しなくてもよい。したがって、ユーザーによる印刷条件の設定し忘れに起因した印刷ミスを抑制することができる。また、こうした構成は、一台の複合機11を複数人で利用する場合には、非常に効果的である。
【0093】
また、この際には、回数テーブルT2をユーザー毎に設けてもよい。このように構成すると、例えばAさんが複合機11を使用中である場合には、Aさん用の回数テーブルT2を用いて、Aさん用の印刷条件の初期値を変更するか否かが判断される。
【0094】
・実施形態において、ホスト装置から送信された画像データに基づいた印刷を複合機11に行わせてもよい。複合機11には、図11に示すように、ネットワークを介して複数のホスト装置HCが接続されている。こうした場合、複合機11のユーザー識別部100は、画像データと共にホスト装置HCのプリンタードライバーPDから送信されるIPアドレスなどによって、画像データがどのホスト装置HC(即ち、ユーザー)から送信されたのかを識別することができる。もちろん、印刷時にホスト装置HCから送信される情報には、印刷条件に関する情報も含まれている。
【0095】
また、ユーザー識別部100は、複合機11を識別するユーザー(ホスト装置HC)と共に、送信されてきた印刷条件を取得する。そして、ユーザー識別部100は、送信されてきた印刷条件と、初期値記憶部74に記憶されるユーザー(例えば、Aさん)の印刷条件の初期値とを比較し、異なっている場合には複合機11に送信した印刷条件とAさんの印刷条件の初期値との選択を促す制御指令をホスト装置HCに送信する。その後、制御指令の返答として受信した情報に基づき、ユーザー識別部100は、何れの印刷条件を採用するかを判断し、採用する印刷条件を条件記憶部76に記憶させる。その後、条件記憶部76に記憶される印刷条件に基づき印刷が行われる。
【0096】
このように構成した場合、ホスト装置HC側でユーザーが印刷条件の設定を間違えた場合、印刷が開始される前に、ユーザーにその間違いを気付かせることができる。そのため、印刷条件の設定ミスに伴う印刷ミスの発生を減少させることができる。
【0097】
・実施形態において、印刷条件を設定する際に表示装置41に表示させる画面として、通常設定用の画面のみを用意するようにしてもよい。
・実施形態において、回数基準値を設けなくてもよい。この場合、設定回数の最も多い印刷条件が、印刷条件の初期値とされることになる。
【0098】
・上記実施形態では、設定回数を印刷条件の種類毎にカウントしている。しかし、用紙サイズ、用紙の種類、縁あり印刷か縁なし印刷か、印刷品質及び印刷時の色彩で、一つの印刷条件としてもよい。すなわち、回数テーブルT2は、時期・国テーブルT1と同様に、複数の印刷条件とそれらの設定回数を関連付けて記憶してもよい。例えば、第1の印刷条件は、用紙サイズがA4サイズ、用紙の種類が普通紙、縁あり印刷か縁なし印刷かが縁あり印刷、印刷品質がドラフトモード、印刷時の色彩がモノクロとされる条件とする。また、第2の印刷条件は、用紙サイズがA4サイズ、用紙の種類が普通紙、縁あり印刷か縁なし印刷かが縁なし印刷、印刷品質が高詳細モード、印刷時の色彩がカラーとされる条件とする。
【0099】
このように回数テーブルT2を構成とした場合において、用紙サイズがA4サイズ、用紙の種類が普通紙、縁あり印刷か縁なし印刷かが縁あり印刷、印刷品質がドラフトモード、印刷時の色彩がモノクロという印刷条件がユーザーによる操作によって設定されたときには、第1の印刷条件の設定回数が「1」だけインクリメントされる。
【0100】
・実施形態において、直近の所定回数(例えば100回)の中で最も多い設定回数の印刷条件に、印刷条件の初期値を設定してもよい。例えば、印刷条件をユーザーが設定した直近の100回の中で、用紙サイズをA4とした回数が20回で、用紙サイズを葉書サイズとした回数が80回である場合には、用紙サイズの初期値を葉書サイズとしてもよい。
【0101】
・実施形態において、回数テーブルT2を、時期毎(例えば、1月毎)に個別に設けてもよい。このように構成すると、印刷条件の初期値を、月毎に自動的に変更させることができる。この場合、時期・国テーブルT1を設けなくてもよい。
【0102】
・実施形態において、ステップS15の判定結果が否定(即ち、NO)である場合には、その処理をステップS23に移行させてもよい。
・実施形態において、回数管理部792を省略してもよい。この場合、ユーザーによる印刷条件の過去の設定履歴に基づき印刷条件の初期値を変更することができなくなる。しかし、時期・国テーブルT1を用いて、取得した時期に特有の印刷条件に、印刷条件の初期値を設定することができる。
【0103】
・実施形態において、仕向け国を取得しなくてもよい。この場合、日本に出荷される複合機11の時期・国テーブルT1には、第3の印刷条件を用意しなくてもよい(図6参照)。
【0104】
・実施形態において、取得した時期に特有の印刷条件が時期・国テーブルT1に一つだけある場合には、時期特有の印刷条件に変更してもよいか否かを選択させるための報知処理を行わなくてもよい。すなわち、取得した時期に特有の印刷条件が時期・国テーブルT1に一つだけある場合には、印刷条件の初期値を時期特有の印刷条件に自動的に変更させてもよい。
【0105】
・実施形態において、取得した時期に特有の印刷条件が時期・国テーブルT1にある場合には、取得した時期に特有の印刷条件を、初期値記憶部に記憶させるのではなく、条件記憶部76に記憶させてもよい。この場合であっても、ユーザーが印刷条件を一切設定しなくても、取得した時期に特有の印刷条件に基づき印刷が行われる。つまり、ここでいう「印刷条件の初期値」とは、ユーザーが印刷条件を一切設定していない状態で、条件記憶部76に記憶されている印刷条件のことを示している。
【0106】
・実施形態において、上記ステップS13の報知処理は、音声による報知処理であってもよい。もちろん、上記ステップS13の報知処理は、画面による報知と音声による報知とを組み合わせた処理であってもよい。
【0107】
・実施形態において、時期・国取得部791を省略してもよい。このように構成しても、印刷条件の初期値を、ユーザーによる印刷条件の過去の設定履歴に基づいた印刷条件とすることができる。
【0108】
・実施形態において、取得した判定情報に基づき初期値を変更可能な印刷条件は、用紙サイズだけであってもよいし、用紙の種類だけであってもよく、さらに、縁あり印刷か縁なし印刷かだけであってもよい。また、上記印刷条件は、印刷品質だけであってもよいし、印刷時の色彩だけであってもよい。また、上記印刷条件は、用紙サイズ、用紙の種類、縁あり印刷か縁なし印刷か、印刷品質及び印刷時の色彩のうち少なくとも一つであってもよい。例えば、上記印刷条件は、用紙サイズ及び用紙の種類でもよい。
【0109】
・実施形態では、印刷装置を、印刷機能とそれ以外の他の機能とを実行可能な複合機に具体化したが、印刷装置を印刷機能しか有しないプリンターに具体化してもよい。
・実施形態において、プリンター部20は、ドットインパクト方式、レーザー方式などの他の印刷方式で媒体に印刷できる印刷駆動部であってもよい。
【0110】
・実施形態において、印刷される媒体は、布や樹脂フィルム、樹脂シート、金属シートなどの任意の媒体であってもよい。
・実施形態において、印刷装置を、インク以外の他の流体を噴射したり吐出したりする流体噴射装置に具体化してもよい。また、印刷装置を、微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に具体化してもよい。この場合、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態を言い、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状体、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散または混合されたものなどを含む。なお、流体は、トナーなどの粉粒体でもよい。また、ここでいう流体には、気体のみからなるものは含まないものとする。
【0111】
次に、上記実施形態及び別の実施形態から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)前記情報取得手段は、印刷条件を時期毎に対応付けて記憶する条件記憶手段をさらに含み、
前記判定手段は、前記時期取得手段によって取得された時期に対応する印刷条件を前記条件記憶手段が記憶している場合に、当該時期が時期条件を満たすと判定し、
前記初期値変更手段は、前記判定手段によって、前記時期取得手段によって取得された時期が時期条件を満たすと判定された場合に、取得された時期に対応する印刷条件を前記条件記憶手段から取得し、該取得した印刷条件に、前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値を変更することを特徴とする印刷装置。
【0112】
(ロ)前記判定手段は、前記回数管理手段によって管理される印刷条件のうち設定回数が前記回数基準値以上となる印刷条件がある場合に、当該設定回数が回数条件を満たすと判定し、
前記初期値変更手段は、前記判定手段によって、前記回数管理手段によって管理される設定回数が前記回数条件を満たすと判定された場合に、該回数条件を満たす印刷条件を前記回数管理手段から取得し、該取得した印刷条件に、前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値を変更することを特徴とする印刷装置。
【0113】
(ハ)前記第2画面は、前記表示装置に前記第1画面を表示させた状態で印刷条件を前記印刷条件の初期値から変更させる場合よりも、少ない操作で印刷条件の変更を完了させることが可能な簡易設定用の画面であることを特徴とする印刷装置。
【0114】
(ニ)前記情報取得ステップは、判定情報として時期を取得させる時期取得ステップを含み、
前記判定ステップでは、前記時期取得ステップで取得した時期が時期条件を満たすか否かを判定させ、
前記初期値変更ステップでは、前記判定ステップで、前記時期取得ステップで取得した時期が時期条件を満たすと判定した場合に、当該時期条件に対応する印刷条件に、前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値を変更させることを特徴とする印刷方法。
【0115】
(ホ)前記情報取得ステップは、ユーザーの設定操作によって印刷条件が入力された場合に、該印刷条件を取得させると共に、該印刷条件の設定回数を計数させる印刷条件取得ステップを含み、
前記判定ステップでは、過去に設定されたことのある印刷条件の設定回数が予め設定された回数基準値以上であるという回数条件を満たすか否かを判定させ、
前記初期値変更ステップでは、前記判定ステップで、前記印刷条件取得ステップで計数した設定回数が前記回数条件を満たすと判定した場合に、当該設定回数に対応する印刷条件に、前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値を変更させることを特徴とする印刷方法。
【符号の説明】
【0116】
11…印刷装置の一例としての複合機、20…印刷駆動部の一例としてのプリンター部、41…表示装置、60…印刷制御部の一例としてのコンピューター、71…画面記憶手段としての画面記憶部、72…表示制御手段としての表示制御部、74…初期値記憶手段、識別管理手段としての初期値記憶部、79…情報取得手段、判定手段としての情報取得部、791…時期取得手段、地域情報取得手段としての時期・国取得部、792…回数管理手段としての回数管理部、80…初期値変更手段としての初期値変更部、81…報知制御手段としての報知制御部、83…印刷制御手段としての駆動制御部、100…識別手段としてのユーザー識別部、HC…ホスト装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に対して印刷を施すべく駆動する印刷駆動部と、該印刷駆動部を制御する印刷制御部とを備えた印刷装置において、
前記印刷制御部は、
印刷条件の初期値を記憶する初期値記憶手段と、
印刷条件の設定操作がなされた場合には該印刷条件に基づき前記印刷駆動部を制御する一方、印刷条件の設定操作がなされない場合には前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値に基づき前記印刷駆動部を制御する印刷制御手段と、
印刷条件の初期値を変更するか否かの判定に用いられる判定情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段によって取得された判定情報が設定条件を満たすか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって、前記情報取得手段によって取得された判定情報が設定条件を満たすと判定された場合に、前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値を、前記設定条件に対応する印刷条件に変更する初期値変更手段と、を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記情報取得手段は、判定情報として時期を取得する時期取得手段を含み、
前記判定手段は、前記時期取得手段によって取得された時期が時期条件を満たすか否かを判定し、
前記初期値変更手段は、
前記判定手段によって、前記時期取得手段によって取得された時期が時期条件を満たすと判定された場合に、当該時期条件に対応する印刷条件に、前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値を変更することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記情報取得手段は、前記印刷装置で使用する言語が表す地域情報を取得する地域情報取得手段を含み、
前記判定手段は、前記時期取得手段及び前記地域情報取得手段によって取得された時期及び地域情報が時期条件を満たすか否かを判定し、
前記初期値変更手段は、
前記判定手段によって、前記時期取得手段及び前記地域情報取得手段によって取得された時期及び地域情報が時期条件を満たすと判定された場合に、当該時期条件に対応する印刷条件に、前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値を変更することを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記印刷制御部は、前記判定手段によって、前記時期取得手段によって取得された時期が時期条件を満たすと判定された場合に、取得された時期を報知する報知処理を行う報知制御手段をさらに有し、
前記初期値変更手段は、前記報知処理によって報知された時期のうち、選択された時期が満たす時期条件に対応する印刷条件に、前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値を変更することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記情報取得手段は、前記判定情報として、設定操作された印刷条件とその設定回数とを関連付けて管理する回数管理手段を含み、
前記判定手段は、前記回数管理手段によって管理される印刷条件の設定回数が最も多いという回数条件を満たすか否かを判定し、
前記初期値変更手段は、前記判定手段によって、前記回数管理手段によって管理される設定回数が回数条件を満たすと判定された場合に、当該回数条件に対応する印刷条件に、前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値を変更することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記回数条件は、前記回数管理手段によって管理される設定回数が予め設定された回数基準値以上であって且つ設定回数が最も多いという条件であることを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記情報取得手段は、時期を取得する時期取得手段を含み、
前記判定手段は、前記時期取得手段によって取得された時期が時期条件を満たすか否かを判定し、
前記初期値変更手段は、
前記判定手段によって、前記時期取得手段によって取得された時期が時期条件を満たすと判定された場合には、
前記時期条件に対応する印刷条件に、前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値を変更することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記印刷条件は、印刷される媒体のサイズ、媒体の種類、縁あり印刷か縁なし印刷か、印刷品質及び印刷時の色彩のうち少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1〜請求項7のうち何れか一項に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記印刷制御部は、
前記印刷装置に設けられた表示装置を制御する表示制御手段と、
前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値から印刷条件を変更するためであって且つ互いに表示態様の異なる第1画面及び第2画面を前記表示装置に表示させるための第1のデータ及び第2のデータを記憶する画面記憶手段と、さらに有し、
前記表示制御手段は、前記第1のデータ及び第2のデータのうち、選択された画面に対応するデータを前記画面記憶手段から取得し、該取得したデータに基づいた画面を前記表示装置に表示させることを特徴とする請求項1〜請求項8のうち何れか一項に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記印刷制御部は、
前記印刷装置を使用するユーザーを識別する識別手段と、
ユーザー毎の印刷条件を管理する識別管理手段と、をさらに有し、
前記初期値変更手段は、
前記識別手段によって識別されたユーザー用の印刷条件を前記識別管理手段から取得し、該取得した印刷条件に、前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値を変更することを特徴とする請求項5〜請求項7のうち何れか一項に記載の印刷装置。
【請求項11】
前記識別手段は、
前記印刷装置に通信可能に接続されたホスト装置から受信した情報に基づき、前記印刷装置を使用するユーザーを識別し、
該識別したユーザー用の印刷条件を前記識別管理手段から取得し、該取得した印刷条件と前記ホスト装置から受信した情報に含まれる印刷条件とが異なる場合には、印刷条件の選択を促す旨の制御指令を前記ホスト装置に送信し、
前記印刷制御手段は、
前記識別手段から前記ホスト装置に制御指令が送信された場合には、
前記ホスト装置から受信した印刷条件及び前記識別管理手段によって管理される印刷条件のうち、前記制御指令の返答として受信した情報に基づいた印刷条件を選択し、
該選択した印刷条件に基づき前記印刷駆動部を制御することを特徴とする請求項10に記載の印刷装置。
【請求項12】
印刷条件の設定操作がなされた場合には該印刷条件に基づき媒体に対して印刷処理を施す一方、印刷条件の設定操作がなされない場合には初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値に基づき前記印刷処理を施す印刷ステップと、
印刷条件の初期値を変更するか否かの判定情報を取得させる情報取得ステップと、
前記情報取得ステップで取得した判定情報が設定条件を満たすか否かを判定させる判定ステップと、
前記判定ステップで、前記情報取得ステップで取得した判定情報が設定条件を満たすと判定した場合に、前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値を、前記設定条件に対応する印刷条件に変更させる初期値変更ステップと、を有することを特徴とする印刷方法。
【請求項1】
媒体に対して印刷を施すべく駆動する印刷駆動部と、該印刷駆動部を制御する印刷制御部とを備えた印刷装置において、
前記印刷制御部は、
印刷条件の初期値を記憶する初期値記憶手段と、
印刷条件の設定操作がなされた場合には該印刷条件に基づき前記印刷駆動部を制御する一方、印刷条件の設定操作がなされない場合には前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値に基づき前記印刷駆動部を制御する印刷制御手段と、
印刷条件の初期値を変更するか否かの判定に用いられる判定情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段によって取得された判定情報が設定条件を満たすか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって、前記情報取得手段によって取得された判定情報が設定条件を満たすと判定された場合に、前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値を、前記設定条件に対応する印刷条件に変更する初期値変更手段と、を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記情報取得手段は、判定情報として時期を取得する時期取得手段を含み、
前記判定手段は、前記時期取得手段によって取得された時期が時期条件を満たすか否かを判定し、
前記初期値変更手段は、
前記判定手段によって、前記時期取得手段によって取得された時期が時期条件を満たすと判定された場合に、当該時期条件に対応する印刷条件に、前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値を変更することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記情報取得手段は、前記印刷装置で使用する言語が表す地域情報を取得する地域情報取得手段を含み、
前記判定手段は、前記時期取得手段及び前記地域情報取得手段によって取得された時期及び地域情報が時期条件を満たすか否かを判定し、
前記初期値変更手段は、
前記判定手段によって、前記時期取得手段及び前記地域情報取得手段によって取得された時期及び地域情報が時期条件を満たすと判定された場合に、当該時期条件に対応する印刷条件に、前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値を変更することを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記印刷制御部は、前記判定手段によって、前記時期取得手段によって取得された時期が時期条件を満たすと判定された場合に、取得された時期を報知する報知処理を行う報知制御手段をさらに有し、
前記初期値変更手段は、前記報知処理によって報知された時期のうち、選択された時期が満たす時期条件に対応する印刷条件に、前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値を変更することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記情報取得手段は、前記判定情報として、設定操作された印刷条件とその設定回数とを関連付けて管理する回数管理手段を含み、
前記判定手段は、前記回数管理手段によって管理される印刷条件の設定回数が最も多いという回数条件を満たすか否かを判定し、
前記初期値変更手段は、前記判定手段によって、前記回数管理手段によって管理される設定回数が回数条件を満たすと判定された場合に、当該回数条件に対応する印刷条件に、前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値を変更することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記回数条件は、前記回数管理手段によって管理される設定回数が予め設定された回数基準値以上であって且つ設定回数が最も多いという条件であることを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記情報取得手段は、時期を取得する時期取得手段を含み、
前記判定手段は、前記時期取得手段によって取得された時期が時期条件を満たすか否かを判定し、
前記初期値変更手段は、
前記判定手段によって、前記時期取得手段によって取得された時期が時期条件を満たすと判定された場合には、
前記時期条件に対応する印刷条件に、前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値を変更することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記印刷条件は、印刷される媒体のサイズ、媒体の種類、縁あり印刷か縁なし印刷か、印刷品質及び印刷時の色彩のうち少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1〜請求項7のうち何れか一項に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記印刷制御部は、
前記印刷装置に設けられた表示装置を制御する表示制御手段と、
前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値から印刷条件を変更するためであって且つ互いに表示態様の異なる第1画面及び第2画面を前記表示装置に表示させるための第1のデータ及び第2のデータを記憶する画面記憶手段と、さらに有し、
前記表示制御手段は、前記第1のデータ及び第2のデータのうち、選択された画面に対応するデータを前記画面記憶手段から取得し、該取得したデータに基づいた画面を前記表示装置に表示させることを特徴とする請求項1〜請求項8のうち何れか一項に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記印刷制御部は、
前記印刷装置を使用するユーザーを識別する識別手段と、
ユーザー毎の印刷条件を管理する識別管理手段と、をさらに有し、
前記初期値変更手段は、
前記識別手段によって識別されたユーザー用の印刷条件を前記識別管理手段から取得し、該取得した印刷条件に、前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値を変更することを特徴とする請求項5〜請求項7のうち何れか一項に記載の印刷装置。
【請求項11】
前記識別手段は、
前記印刷装置に通信可能に接続されたホスト装置から受信した情報に基づき、前記印刷装置を使用するユーザーを識別し、
該識別したユーザー用の印刷条件を前記識別管理手段から取得し、該取得した印刷条件と前記ホスト装置から受信した情報に含まれる印刷条件とが異なる場合には、印刷条件の選択を促す旨の制御指令を前記ホスト装置に送信し、
前記印刷制御手段は、
前記識別手段から前記ホスト装置に制御指令が送信された場合には、
前記ホスト装置から受信した印刷条件及び前記識別管理手段によって管理される印刷条件のうち、前記制御指令の返答として受信した情報に基づいた印刷条件を選択し、
該選択した印刷条件に基づき前記印刷駆動部を制御することを特徴とする請求項10に記載の印刷装置。
【請求項12】
印刷条件の設定操作がなされた場合には該印刷条件に基づき媒体に対して印刷処理を施す一方、印刷条件の設定操作がなされない場合には初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値に基づき前記印刷処理を施す印刷ステップと、
印刷条件の初期値を変更するか否かの判定情報を取得させる情報取得ステップと、
前記情報取得ステップで取得した判定情報が設定条件を満たすか否かを判定させる判定ステップと、
前記判定ステップで、前記情報取得ステップで取得した判定情報が設定条件を満たすと判定した場合に、前記初期値記憶手段に記憶される印刷条件の初期値を、前記設定条件に対応する印刷条件に変更させる初期値変更ステップと、を有することを特徴とする印刷方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−131107(P2012−131107A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284833(P2010−284833)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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