説明

印刷装置

【課題】ユーザの手間を軽減し、所要時間をより短した、被記録媒体における皺やゴミなどの障害物を検出する印刷装置を提供する。
【解決手段】インクジェットプリンタ1では、印刷が実行されると、待機位置(動作状態301)からプラテン5が搬送される。そして、記録終了位置72が記録実行位置91まで来ると(動作状態304)、クリアランスセンサ機構8による検出が開始され、記録開始位置71が記録実行位置91まで来ると検出は終了し(動作状態306)、プラテン5の搬送も停止される。そして、搬送方向が逆になり、印刷が開始される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関するものであり、詳細には、被記録媒体における皺やゴミなどの障害物を検出する印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、被記録媒体を支持するプラテンを備え、プラテンを記録手段の移動する方向と直行する方向に搬送させて、布帛等の被記録媒体に印刷を行うインクジェット記録装置において、被記録媒体である布帛等にゴミや埃といった異物が付着していたり、被記録媒体が皺になっていたりして、記録結果に悪影響を及ぼすことを防ぐために、記録を実行する前に異物や皺を検出する検出手段を備えたインクジェット記録装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−199507公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載のインクジェット記録装置に備えられた検出手段を有するような印刷装置では、検出手段によりプラテン全体を検出していた。この場合には、記録される記録領域がプラテンの一部である場合に、異物の検出をする必要のない領域まで検出を行ってしまい、無駄な時間がかかるという問題点があった。また、記録領域以外の部分に襟やポケットなどがある場合には、これらが検出手段に検出されてしまうため、襟やポケットがプラテン上に載らないように注意して被記録媒体をセットしたり、記録領域の検出が終了し、襟やポケット部分の検出が開始される前に検出を中止させたりするという手間がかかるという問題点があった。
【0004】
本発明は、上述の問題点を解決するためになされたものであり、ユーザの手間を軽減し、所要時間をより短くした、被記録媒体における皺やゴミなどの障害物を検出する印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明の印刷装置では、記録データに基づいて被記録媒体にインクを噴射して記録を行うノズル面を具備する記録手段と、前記ノズル面に対向して配置され、前記被記録媒体を前記ノズル面と間隔をあけて支持するプラテンと、前記記録手段により記録が実行される記録実行位置へ前記プラテンを搬送する搬送手段とを備えた印刷装置において、前記プラテンに支持された前記被記録媒体の前記ノズル面に接触する接触部位を検出する検出手段と、前記プラテンのサイズ及び前記記録データの示す前記記録手段による記録を行う記録領域に基づいて前記検出手段により検出を行う検出範囲を決定する検出範囲決定手段と、当該検出範囲決定手段により決定された前記検出範囲を前記検出手段により検出する検出制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に係る発明の印刷装置では、請求項1に記載の発明の構成に加えて、複数種類の前記プラテンを交換可能であり、前記記録データには使用すべき前記プラテンのサイズ又はプラテン種類が含まれており、前記検出範囲決定手段は、前記記録データに指定されている前記プラテンのサイズ又は前記プラテン種類に応じたサイズに基づいて前記検出範囲を決定することを特徴とする。
【0007】
また、請求項3に係る発明の印刷装置では、請求項1又は2に記載の発明の構成に加えて、複数種類の前記プラテンを交換可能であり、当該印刷装置に設置されている前記プラテンの種類を検出するプラテン種類検出手段と、前記プラテンの種類ごとに当該プラテンのサイズを記憶したプラテンサイズ記憶手段とを備え、前記検出範囲決定手段は、前記プラテン種類検出手段により検出された前記プラテンのサイズを前記プラテンサイズ記憶手段から読み出して、前記検出範囲を決定することを特徴とする。
【0008】
また、請求項4に係る発明の印刷装置では、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明の構成に加えて、前記検出範囲は、前記プラテンにおける、前記記録手段による記録が終了する記録終了位置から、前記記録手段による記録が開始される記録開始位置までの間であり、前記検出範囲決定手段は、前記プラテンのサイズ及び前記記録データに示された前記記録領域に基づいて、前記記録手段による記録のための動作を開始する前に前記プラテンが待機される待機位置から、前記記録開始位置が前記記録実行位置にくる第一検出終了位置まで、前記プラテンを搬送する第一終了搬送量を算出する第一終了搬送量算出手段と、前記プラテンのサイズ及び前記記録データに示された前記記録領域に基づいて、前記待機位置から、前記記録終了位置が前記検出手段による検出が行われる記録実行位置にくる第一検出開始位置まで、前記プラテンを搬送する第一開始搬送量を算出する第一開始搬送量算出手段とを備え、前記検出制御手段は、前記待機位置から前記第一検出開始位置まで前記プラテンが前記搬送手段により搬送された際に前記検出手段による検出を開始し、さらに前記第一検出終了位置まで前記プラテンが前記搬送手段により搬送された際に前記検出手段による検出を終了させることを特徴とする。
【0009】
また、請求項5に係る発明の印刷装置では、請求項4に記載の発明の構成に加えて、当該印刷装置における基準となる基準プラテンのサイズが設けられており、前記基準プラテンの記録可能範囲の上端が前記記録位置にくる基準記録開始位置まで当該基準プラテンを前記待機位置から搬送する際の基準記録開始搬送量を記憶する基準記録開始搬送量記憶手段を備え、前記第一終了搬送量算出手段は、前記記録データに指定されている前記プラテンの搬送方向のサイズ又は前記プラテン種類に応じた搬送方向のサイズ又は前記プラテンサイズ記憶手段から読み出された前記プラテンの搬送方向のサイズと前記基準プラテンの搬送方向のサイズとの差の半分と、前記プラテンの上端から前記記録領域の上端までの距離との和を算出し、前記基準記録開始搬送量記憶手段に記憶されている前記基準記録開始搬送量から前記和を引いた距離を前記第一終了搬送量とし、前記記録データには記録を実行する際の前記プラテンの搬送量が示されており、前記第一開始搬送量算出手段は、前記記録データに示された前記記録領域上端から下端まで記録を実行する際の前記プラテンの搬送量の総和に基づいて算出された値を前記記録領域の距離とし、前記第一終了搬送量から当該記録領域の距離を引いたものを前記第一開始搬送量とすることを特徴とする。
【0010】
また、請求項6に係る発明の印刷装置では、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明の構成に加えて、前記記録手段により記録を行うために前記プラテンが前記搬送手段により前記記録実行位置へ搬送される際の搬送方向の下流側の前記プラテンの端を下端とし、前記検出範囲は、前記プラテンの下端から、前記プラテンにおける前記記録手段による記録が開始される記録開始位置までの間であり、前記検出範囲決定手段は、前記プラテンのサイズ及び前記記録データに示された前記記録領域に基づいて、前記記録手段による記録のための動作を開始する前に前記プラテンが待機される待機位置から、前記記録開始位置が前記記録実行位置にくる第二検出終了位置まで、前記プラテンを搬送する第二終了搬送量を算出する第二終了搬送量算出手段とを備え、前記検出制御手段は、前記プラテンの前記待機位置からの前記搬送手段による搬送が開始される際に前記検出手段による検出を開始し、前記待機位置から前記第二検出終了位置まで前記プラテンが前記搬送手段により搬送された際に前記検出手段による検出を終了させることを特徴とする。
【0011】
また、請求項7に係る発明の印刷装置では、請求項6に記載の発明の構成に加えて、当該印刷装置における基準となる基準プラテンのサイズが設けられており、前記基準プラテンの記録可能範囲の上端が前記記録位置にくる基準記録開始位置まで当該基準プラテンを前記待機位置から搬送する際の基準記録開始搬送量を記憶する基準記録開始搬送量記憶手段を備え、前記第二終了搬送量算出手段は、前記記録データに指定されている前記プラテンの搬送方向のサイズ又は前記プラテン種類に応じた搬送方向のサイズ又は前記プラテンサイズ記憶手段から読み出された前記プラテンの搬送方向のサイズと前記基準プラテンの搬送方向のサイズとの差の半分と、前記プラテンの上端から前記記録領域の上端までの距離との和を算出し、前記基準記録開始搬送量記憶手段に記憶されている前記基準記録開始搬送量から前記和を引いた距離を前記第二終了搬送量とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明の印刷装置では、検出手段は、プラテンに支持された被記録媒体のノズル面に接触する接触部位を検出し、検出範囲決定手段は、プラテンのサイズ及び記録データの示す記録手段による記録を行う記録領域に基づいて検出手段により検出を行う検出範囲を決定し、検出制御手段は、検出範囲決定手段により決定された検出範囲を検出手段により検出することができる。したがって、必要な部分のみを検出範囲とすることができるので、検出時間を短縮することができる。また、被記録媒体の記録領域外に突出する部分があったとしても、検出手段により検出されることがないので、記録品質にかかわらない部分において接触を検出して処理が中断することがなく、スムーズに印刷処理を行うことができる。
【0013】
また、請求項2に係る発明の印刷装置では、請求項1に記載の発明の効果に加えて、検出範囲決定手段は、記録データに指定されているプラテンのサイズ又はプラテン種類に応じたサイズに基づいて検出範囲を決定することができる。したがって、複数の種類のプラテンを使用可能な印刷装置においても、それぞれのプラテンに応じた検出範囲を決定できるので無駄のない検出範囲を設定することができる。
【0014】
また、請求項3に係る発明の印刷装置では、請求項1又は2に記載の発明の効果に加えて、プラテン種類検出手段は、印刷装置に設置されているプラテンの種類を検出し、プラテンサイズ記憶手段は、プラテンの種類ごとにプラテンのサイズを記憶し、検出範囲決定手段は、プラテン種類検出手段により検出されたプラテンのサイズをプラテンサイズ記憶手段から読み出して、検出範囲を決定することができる。したがって、複数の種類のプラテンを使用可能な印刷装置においても、それぞれのプラテンに応じた検出範囲を決定できるので無駄のない検出範囲を設定することができる。
【0015】
また、請求項4に係る発明の印刷装置では、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、プラテンにおける、記録手段による記録が終了する記録終了位置から、記録手段による記録が開始される記録開始位置までの間が検出範囲とされており、検出範囲決定手段の第一終了搬送量算出手段は、プラテンのサイズ及び記録データに示された記録領域に基づいて、記録手段による記録のための動作を開始する前にプラテンが待機される待機位置から、記録開始位置が記録実行位置にくる第一検出終了位置まで、プラテンを搬送する第一終了搬送量を算出し、第一開始搬送量算出手段は、プラテンのサイズ及び記録データに示された記録領域に基づいて、待機位置から、記録終了位置が検出手段による検出が行われる記録実行位置にくる第一検出開始位置まで、プラテンを搬送する第一開始搬送量を算出することができる。また、検出制御手段は、待機位置から第一検出開始位置までプラテンが搬送手段により搬送された際に検出手段による検出を開始し、さらに第一検出終了位置までプラテンが搬送手段により搬送された際に検出手段による検出を終了させることができる。したがって、記録領域のみを検出範囲とすることができるので、記録結果に影響しない領域を検出手段により検出しない。よって、検出時間を短縮し、記録品質にかかわらない部分において接触を検出して処理が中断することがなく、スムーズに印刷処理を行うことができる。
【0016】
また、請求項5に係る発明の印刷装置では、請求項4に記載の発明の効果に加えて、基準記録開始搬送量記憶手段は、基準プラテンの記録可能範囲の上端が記録位置にくる基準記録開始位置まで基準プラテンを待機位置から搬送する際の基準記録開始搬送量を記憶することができる。また、第一終了搬送量算出手段は、記録データに指定されているプラテンの搬送方向のサイズ又はプラテン種類に応じた搬送方向のサイズ又はプラテンサイズ記憶手段から読み出されたプラテンの搬送方向のサイズと基準プラテンの搬送方向のサイズとの差の半分と、プラテンの上端から記録領域の上端までの距離との和を算出し、基準記録開始搬送量記憶手段に記憶されている基準記録開始搬送量から和を引いた距離を第一終了搬送量とすることができる。そして、記録データには記録を実行する際のプラテンの搬送量が示されており、第一開始搬送量算出手段は、記録データに示された記録領域上端から下端まで記録を実行する際のプラテンの搬送量の総和に基づいて算出された値を記録領域の距離とし、第一終了搬送量から記録領域の距離を引いたものを第一開始搬送量とすることができる。したがって、プラテンのサイズに基づいて検出範囲を決定することができる。
【0017】
また、請求項6に係る発明の印刷装置では、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、プラテンの下端から、プラテンにおける記録手段による記録が開始される記録開始位置までの間が検出範囲とされており、検出範囲決定手段の第二終了搬送量算出手段は、プラテンのサイズ及び記録データに示された記録領域に基づいて、記録手段による記録のための動作を開始する前にプラテンが待機される待機位置から、記録開始位置が記録実行位置にくる第二検出終了位置まで、プラテンを搬送する第二終了搬送量を算出することができる。また、検出制御手段は、プラテンの待機位置からの搬送手段による搬送が開始される際に検出手段による検出を開始し、待機位置から第二検出終了位置までプラテンが搬送手段により搬送された際に検出手段による検出を終了させることができる。したがって、プラテンの下端から記録領域の下端まで、及び、記録領域を検出範囲とすることができるので、記録領域の上端からプラテンの上端までは検出範囲外とされ、検出手段により検出しない。よって、検出時間を短縮し、記録品質にかかわらない部分において接触を検出して処理が中断することがなく、スムーズに印刷処理を行うことができる。
【0018】
また、請求項7に係る発明の印刷装置では、請求項6に記載の発明の効果に加えて、基準記録開始搬送量記憶手段は、基準プラテンの記録可能範囲の上端が記録位置にくる基準記録開始位置まで基準プラテンを待機位置から搬送する際の基準記録開始搬送量を記憶することができる。また、第二終了搬送量算出手段は、記録データに指定されているプラテンの搬送方向のサイズ又はプラテン種類に応じた搬送方向のサイズ又はプラテンサイズ記憶手段から読み出されたプラテンの搬送方向のサイズと基準プラテンの搬送方向のサイズとの差の半分と、プラテンの上端から記録領域の上端までの距離との和を算出し、基準記録開始搬送量記憶手段に記憶されている基準記録開始搬送量から和を引いた距離を第二終了搬送量とすることができる。したがって、プラテンのサイズに基づいて検出範囲を決定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の第一の実施の形態及び第二の実施の形態を図面を参照して説明する。第一の実施の形態及び第二の実施の形態においては、本発明の印刷装置の一例であるインクジェットプリンタ1は、被記録媒体であるTシャツ等の布帛に記録(印刷)を行うインクジェット式の印刷装置について説明する。このインクジェットプリンタ1では、被記録媒体をプラテン5(図1参照)に設置して印刷が行われる。そこで、印刷が行われる前に、被記録媒体を設置したプラテン5上にゴミや埃等の異物が載っていたり、被記録媒体に皺が寄っていたりしないかをクリアランスセンサ機構8を用いて検出し、異物や皺が検出された際には、エラー表示を行い、印刷を中止する。そこで、ユーザは異物を除去したり、皺を伸ばしたりして、被記録媒体を整えてから印刷を実行することにより、印刷品質に異物や皺が影響を及ぼすのを防ぐことができる。
【0020】
第一の実施の形態では、このクリアランスセンサ機構8で、実際に印刷が行われる範囲(記録領域)の検出が行われる(図13参照)。そして、第二の実施の形態では、プラテン5の下端から記録領域の下端側の端まで及び記録領域の検出が行われる(図16参照)。まず、第一の実施の形態及び第二の実施の形態に共通するインクジェットプリンタ1の構成について、図1乃至図12を参照して説明する。その後、各実施の形態におけるクリアランスセンサ機構8による異物や皺の検出について詳述する。
【0021】
まず、図1を参照して、インクジェットプリンタ1の全体の構成について説明する。図1は、インクジェットプリンタ1の外観斜視図である。本実施の形態では、インクジェットプリンタ1は、入力された画像情報等に基づいてTシャツ等の布帛への印刷を行うための業務用インクジェットプリンタである。
【0022】
図1に示すように、インクジェットプリンタ1は、左右方向を長手方向とする略直方体形状の筐体2を有し、その底面の略中央に、前後方向に向かう二本のレール3が列設されている。二本のレール3は、筐体2の垂直方向に立ち上げられた図示外の基部上にそれぞれ支持されており、その上部に、レール3に沿って筐体2の前後方向に移動可能な平板状のプラテン支持台(図示外)を支えている。そして、プラテン支持台の略中央に垂直に立ち上げられた支柱の上端には、取り換え可能なプラテン5が固定されている。
【0023】
プラテン5は、平面視、筐体2の前後方向を長手方向とする略長方形状の板体であり、その上面に、例えばTシャツなどの布帛からなる被記録媒体を水平に載置するためのものである。プラテン5の上面には、印刷面を緊張状態にして載置されるTシャツ等の載置位置が印刷中にずれたりしないようにするため、滑り止め部材(図示外)が設けられている。また、プラテン5とプラテン支持台との間の略中間の位置にて支柱に固定されたトレー4は、プラテン5の上面と略平行な底面を有し、平面視、その外周がプラテン5より一回り大きめに構成されたトレーである。このトレー4は、利用者がTシャツ等をプラテン5に載置する際に、Tシャツの袖などを受けて筐体2の底面には落ちないように保護するためのものである。なお、プラテン5は、一種類でなく、その形及びサイズの異なる複数種類のプラテンが準備されておりプラテン支持台において交換することができる。
【0024】
また、プラテン支持台を移動させるためにレール3が設けられたプラテン駆動機構6の後端部にはプラテン駆動モータ7が設けられて、このプラテン駆動モータ7の駆動によって、プラテン支持台がレール3に沿って筐体2の前後方向に移動する。すなわち、プラテン駆動モータ7の駆動軸と、レール3の前端部(筐体2の前面側にあたるレール3の端部)付近に設けられたプーリー(図示外)との間に駆動ベルトが架け渡されており、その駆動ベルトに固定されたプラテン支持台が、プラテン駆動モータ7の駆動によってレール3に沿って筐体2の前後方向に往復移動されるようになっている。なお、本実施の形態では、レール3の前端部が印刷開始前のプラテン5の「待機位置」とし、レール3の前端部をプラテン5の搬送の下流側、後端部をプラテン5の搬送の上流側とする。
【0025】
また、筐体2の前後方向の略中央で、かつ、プラテン5の上方の位置にて、筐体2の両側面間には、インクジェットヘッド21を搭載したキャリッジ20の移動を案内するためのガイドレール9が架設されている。このガイドレール9の左端付近に設けられたキャリッジモータ24と、右端付近に設けられたプーリー25との間に架設されているキャリッジベルト26は、ガイドレール9よりも下方の位置にて筐体2の左右にわたって配置されている。キャリッジベルト26はキャリッジ20の背面に固定されており、キャリッジモータ24の駆動によって、同じく背面に設けられた係合部に係合されたガイドレール9に沿って、キャリッジ20が筐体2の左右方向に往復移動されるようになっている。キャリッジモータ24はDCモータであり、ガイドレール9に設けられたリニアエンコーダ(図示外)からの出力に基づき、キャリッジ20の位置検出が行われる。
【0026】
また、ガイドレール9よりも前方近傍の位置にて筐体2の左右にわたってクリアランスセンサ機構8が設けられている。クリアランスセンサ機構8は、印刷開始時にプラテン5がレール3に沿ってレール3の前端部から後端部へ(下流側から上流側へ)移動する際に、プラテン5に載置された被記録媒体の皺やゴミなどの障害物(異物)を検出する。そのため、検出後、印刷までの間に埃等が落ちることを防ぐために、クリアランスセンサ機構8は、ガイドレール9の前方に配置されている必要があり、ガイドレール9のなるべく近くに配置されることが望ましい。
【0027】
キャリッジ20は、略直方体形状を有し、その底面に圧電式の4つのインクジェットヘッド21を搭載している。4つのインクジェットヘッド21は、例えばシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のカラーインクのそれぞれに対応して設けられており、各インクを噴射するための、例えば128個のチャンネル(図示外)をそれぞれ備えている。各チャンネルはインクジェットヘッドのノズル面211(図7参照)に開口する噴射ノズルを備えている。各噴射ノズルは前記レール3の延びる方向(プラテンの搬送方向又は副走査方向と称する)に平行な方向に所定間隔毎に配列されている。そして、各チャンネルには、各々個別に駆動される圧電アクチュエータ(図示外)が設けられており、各チャンネルに対応してインクジェットヘッド21のノズル面211に設けられた微細な噴射ノズル(図示外)から下向きに、インクの液滴が噴射される。4つのインクジェットヘッド21は、前記ガイドレール9の延びる方向(主走査方向と称する)に平行な方向に沿って並べられ、且つ各々のインクジェットヘッド21のインク噴射位置は前記副走査方向に沿った位置が互いに同じ位置となるように前記キャリッジ20に取り付けられる。4つのインクジェットヘッドからインクを噴射しながらキャリッジ20が主走査方向に移動することにより、Tシャツなどの被記録媒体に1ライン分の印刷を行う1ライン印刷と、Tシャツなどの被記録媒体を支持するプラテン5を副走査方向に1行分搬送するラインフィードとを交互に行うことにより、被記録媒体に所望の画像を印刷するのである。
【0028】
インクジェットプリンタ1の左側面には、各インクを収容したインクカートリッジを着脱可能に収容するためのインクカートリッジ収容部30がそれぞれ設けられている。そして、各インクカートリッジ収容部30と、各インクジェットヘッド21とはインク供給用チューブ10によってそれぞれ連結され、各インクカートリッジ収容部30に収容されたインクは、各々連結された各インク供給用チューブ10によって、各チャンネルにインクが供給されるようになっている。図1では、CMYK方式(シアン,マゼンタ,イエロー,ブラック)による4種類のインクのインクカートリッジ収容部30が設けられ、各々のインクカートリッジ収容部30のインク供給口にインク供給用チューブ10が装着されている。インク供給用チューブ10は、ポリエチレン等からなる可撓性のチューブであり、インクジェットプリンタ1において、キャリッジ20の移動等に対応して屈曲や捩れが生じるような柔軟性を有する。
【0029】
図1に示す4本のインク供給用チューブ10a〜10dは、各インクカートリッジ収容部30からガイド部材40及びチューブ支持部材60を経由して、各色のインクジェットヘッド21に接続されている。ガイド部材40は、筐体2の左右方向の略中央であって、プラテン5の上方の位置に設けられ、キャリッジ20の背後において4本のインク供給用チューブ10a〜10dを支持するものである。また、チューブ支持部材60は、キャリッジ20の上端に設けられて4本のインク供給用チューブ10a〜10dを支持するものである。そして、このチューブ支持部材60を経由して、各インク供給用チューブ10a〜10dはチューブ支持部材60の手前直下に存在する各色のインクジェットヘッド21に装着されて、インクジェットヘッド21内にインクが供給される。
【0030】
キャリッジ20がガイドレール9の右端に移動した位置には、各インクジェットヘッド21のノズル面に対して密着・離脱が可能な吸引キャップ23を有するパージユニット22が設けられている。パージユニット22には吸引ポンプ(図示外)が設けられており、各吸引キャップ23がインクジェットヘッド21に密着しているときに、吸引キャップ23を介してインクの吸引を行うことが可能となっている。また、印刷が行われないときには吸引キャップ23でインクジェットヘッド21のノズル面が覆われ、インクの乾燥が防止されている。
【0031】
また、筐体2の右側手前の位置には、インクジェットプリンタ1の操作を行うための操作パネル28が設けられている。この操作パネル28には印刷ボタン281が設けられており、この印刷ボタン281の押下により印刷が開始される。そして、筐体2の内部には、インクジェットプリンタ1の制御を行うCPU110等を備えた制御部100(図示外)が設けられているが、詳細は後述する。
【0032】
なお、図示しないが、レール3の前端部付近には、印刷実行時に筐体2の背面から前面方向へ移動されるプラテン5が移動方向の終点にあることを検出するためのフォトセンサが設けられている。このフォトセンサは発光部と受光部とを備え、発光部から出射された光を受光部で受光したか否かに基づき被検出体の検出を行う。そして、プラテン支持台の下面には、これらのフォトセンサの発光部と受光部との間を遮ってフォトセンサによるプラテン5の位置の検出を行うための遮蔽板が突設されている。プラテン駆動モータ7はステッピングモータであり、フォトセンサの発光部と受光部との間に、図示しない遮蔽板が位置することによって検出されるプラテン5の終点の位置を基準とし、プラテン駆動モータ7の駆動制御に基づくプラテン5の位置検出が行われるように構成されている。
【0033】
記録を行う場合には、ユーザは、待機位置に配置されているプラテン5に被記録媒体(Tシャツなど)をセットし、印刷実行ボタンを押下する。すると、待機位置のプラテン5が上流側(レール3の後端側)に搬送され、プラテン5上の記録開始位置がガイドレール9の直下となる位置で搬送が停止される。そして、プラテン5の搬送方向は上流から下流(レール3の後端側から前端側)へ向かう方向に変更され、記録が開始され、インクジェットヘッド21により1ライン記録が行われた後に、1ライン分プラテン5が搬送される。そして、記録、搬送が繰り返され、すべてのラインの記録が終了したら、プラテン5は待機位置まで搬送される。そこで、ユーザはプラテン5から被記録媒体を取り外すことができる。
【0034】
次に、図2乃至図4を参照して、インクジェットプリンタ1の電気的構成について説明する。図2は、インクジェットプリンタ1の電気的構成を示すブロック図であり、図3はROM120の構成を示す模式図であり、図4は、RAM130の構成を示す模式図である。図2に示すように、インクジェットプリンタ1の制御部100には、インクジェットプリンタ1全体の制御を司るCPU110が設けられ、CPU110には、バス115を介して、CPU110が実行する各種の制御プログラムや制御プログラムで使用する値等を記憶したROM120と、データを一時的に記憶するRAM130とが接続されている。また、CPU110には、インクジェットヘッド21の各チャンネルに設けられた圧電アクチュエータを駆動させるためのヘッド駆動部140と、キャリッジモータ24やプラテン駆動モータ7を駆動させるためのモータ駆動部145と、パーソナルコンピュータ(以下、PCという)90に接続するための通信制御部150とがバス115を介して接続されている。さらに、モータ駆動部145には、クリアランスセンサ機構8に備えられたソレノイド87が接続されて、ソレノイド87の動作を制御する。また、入力検知部160には、操作パネル28や図示外のフォトセンサが接続されている。また、入力検知部160には、クリアランスセンサ機構8に備えられたセンサ88が接続されて、センサ88の凹陥部の内部で伝搬されるセンサ光によって隠蔽部材85が検出される(図5乃至図8参照)。
【0035】
次に、図3を参照して、ROM120の記憶エリアについて説明する。ROM120には、図3に示すように、プラテン情報テーブル記憶エリア121及び基準記録開始搬送量記憶エリア122等が設けられている。プラテン情報テーブル記憶エリア121には、IDが割り当てられているプラテン5のサイズやオフセット量が記憶されている。そして、基準記録開始搬送量記憶エリア122にはクリアランスセンサ機構8の検出範囲を決定する際に使用される基準記録開始搬送量が記憶されている。
【0036】
次に、図4を参照して、RAM130の記憶エリアについて説明する。RAM130には、図4に示すように、印刷データ記憶エリア131、プラテンオフセット情報記憶エリア132、印刷開始位置情報記憶エリア133、終了搬送量記憶エリア134、開始搬送量記憶エリア135等が設けられている。RAM130には、印刷データ記憶エリア131には、PC90から受信した印刷データが記憶される。そして、プラテンオフセット情報記憶エリア132、印刷開始位置情報記憶エリア133、終了搬送量記憶エリア134、開始搬送量記憶エリア135には、クリアランスセンサ機構8の検出範囲を決定する際に使用される値が記憶される。
【0037】
次に、図5乃至図8を参照して、クリアランスセンサ機構8の構成について説明する。図5は、クリアランスセンサ機構8の外観斜視図である。図6は、クリアランスセンサ機構8の正面図である。図7は、クリアランスセンサ機構8の右側面図である。図8は、被記録媒体に障害物が存在する場合のインクジェットプリンタ1の模式右側面図である。
【0038】
図5、図6に示すように、クリアランスセンサ機構8では、筐体2の両側面間に設けられる軸部材81が、筐体2の左端部に固定された基部82と、筐体2の左端部に固定された基部83とに軸支されて、基部82と基部83とに軸支された軸線のまわりを回動可能に設けられている。また、軸部材81は、プラテン5が搬送される位置の上方に、プラテン5の搬送される方向と直交する方向に設けられており、またプラテン5の表面に対して平行になっている。一方、軸部材81は、キャリッジ20を左右方向に往復移動させるためのガイドレール9と並行して、平面視、キャリッジ20が走査するガイドレール9の前方向近傍に設けられている。
【0039】
そして、軸部材81から突出された羽根である板状部材84が、軸部材81に形成されており、板状部材84は軸部材81の軸線方向を長手とする略長方形の形状をなしている。この板状部材84がキャリッジ20の走査位置からみてプラテン5の搬送方向の上流に、かつ、プラテン5の上方に接近して設けられる。詳細には、図7に示すように、プラテン5が板状部材84の直下を搬送される際には、軸部材81から板状部材84が垂下され、板状部材84の下端部とプラテン5の表面とが3.7〜4.2mm離間している。また、軸部材81から垂下された板状部材84の下端部は、インクジェットヘッド21のノズル面211より略0.5mmプラテン側に存在する。よって、軸部材81から垂下された板状部材84の下端部は、インクジェットヘッド21のノズル面211とプラテン5の表面の範囲内に存在する。
【0040】
なお、板状部材84の下端部をインクジェットヘッド21のノズル面211より略0.5mmプラテン側の位置とし、また、板状部材84の下端部とプラテン5の表面との高度差を3.7〜4.2mmとしたのは、被記録媒体である布帛(Tシャツ)等の厚みや、インクジェットヘッド21のノズル面と被記録対象との印刷距離等を考慮して、各種の実験や研究を行った結果に基づいている。なお、板状部材84の軸線方向への長さは、プラテン5の左右方向の幅よりも若干広くなっている。
【0041】
このように、軸部材81から垂下される板状部材84は、プラテン5の左右方向に渡るカーテン状の検出部材として形成されて、その直下を搬送されるプラテン5に載置されたTシャツ等に皺やゴミが存在する場合は、板状部材84の下端部にその皺やゴミが接触するようにしている。そして、Tシャツ等の皺やゴミが接触すると、板状部材84は軸部材81の軸線のまわりを、プラテン5が搬送される動力により自然回動するように構成されている。
【0042】
また、筐体2の左端部に固定された基部83には、正面視、軸部材81の右端部に隠蔽部材85が設けられている。隠蔽部材85は略長方形の板状の形状をなしており、軸部材81に対して直交に設けられている。また、隠蔽部材85の略長方形の面は、筐体2の前後方向と並行であって、正面視、上下方向を長手方向に設けられている。そして、軸部材81は隠蔽部材85の下端部において接合されている。よって、隠蔽部材85の略長方形の面が伸びる垂直方向は、軸部材81から突出された板状部材84が垂下する方向と、軸部材81の軸線方向のまわりに180°をなしている。
【0043】
そして、隠蔽部材85の略長方形の面の上端部は、基部83に設けられたフォトセンサであるセンサ88により隠蔽されている。センサ88には凹陥部が設けられており、この凹陥部の内部の側面間でセンサ光が伝搬されている。センサ88の凹陥部は下方向に開口するように設けられており、隠蔽部材85の略長方形の面の上端部が、この凹陥部に非接触に嵌め込まれる遊嵌状態となっている。そして、この凹陥部の内部の側面間で伝搬されるセンサ光が、隠蔽部材85によって遮断又は非遮断されることによって、センサ88は隠蔽部材85の有無を検出する。
【0044】
また、正面視、軸部材81の右端部には、板状部材84が垂下する方向に対して軸部材81の軸線方向のまわりを180°回転させた方向に、軸部材81から突出された羽根である荷受部材86が設けられている。荷受部材86は略長方形の板状の形状をなし、軸部材81から垂直方向に突出するとともに、隠蔽部材85と直交するように接合されている。この荷受部材86には、スプリング89の一端が接合されるとともに、スプリング89の他端は基部83に接合されている。このスプリング89の作用により、通常時は荷受部材86が軸部材81から垂直に起立した状態に保持される。それとともに、荷受部材86と一体をなす隠蔽部材85も垂直方向に保持されて、その上端部はセンサ88の凹陥部の内部に遊嵌されてセンサ光を遮断(隠蔽)する。また、荷受部材86からみて、軸部材81の軸線方向に対して180°回転させた方向に突出する板状部材84が、軸部材81から垂直方向に垂下した状態で保持される。
【0045】
一方で、正面視、荷受部材86の背後において、ソレノイド87が基部83に設けられている。ソレノイド87は、コイルに電流が流れる際に発生する磁気作用を利用して、電気的エネルギーを機械的直線運動に変換させて、突起部分である可動部材87aを前後方向へ伸縮動作させるものである。可動部材87aにはバネ87bが巻かれており、このバネ87bの作用によって、ソレノイド87の非動作時には、可動部材87aが筐体2の正面方向(前方向)に伸ばされた状態に保持される。
【0046】
そして、ソレノイド87は、その動作時には可動部材87aを筐体2の背面方向(後方向)へ吸引動作させて、可動部材87aの突出した部分が短くなるように保持される。ここで、インクジェットヘッド21による印刷が実行された場合には、吸引動作を中断して可動部材87aを開放する。すると、バネ87bの作用によって、可動部材87aは筐体2の正面方向(前方向)に伸ばされた状態に戻される。
【0047】
ソレノイド87の可動部材87aが筐体2の正面方向(前方向)に伸ばされると、可動部材87aは荷受部材86の背面に当接して、荷受部材86を筐体2の正面方向(前方向)に押圧することになる。すると、荷受部材86は軸部材81の軸線方向のまわりを筐体2の正面方向(前方向)に傾斜する。荷受部材86が傾斜すると、荷受部材86と接合されている隠蔽部材85も、軸部材81の軸線方向のまわりを筐体2の正面方向(前方向)に傾斜する。逆に、荷受部材86からみて、軸部材81の軸線方向に対して180°反対の方向に突出する板状部材84は、軸部材81の軸線方向のまわりを筐体2の背面方向(後方向)に傾斜するように構成されている。
【0048】
このような構成により、クリアランスセンサ機構8により異物や皺の検出を行う際には、ソレノイド87の可動部材87aが吸引されて、可動部材87aの突出した部分が短くなるように保持され、板状部材84が軸部材81から垂直方向に垂下した状態で保持される。そして、クリアランスセンサ機構8による検出を行わない際には、ソレノイド87の可動部材87aが筐体2の正面方向(前方向)に伸ばされ、板状部材84は、軸部材81の軸線方向のまわりを筐体2の背面方向(後方向)に傾斜される。そして、板状部材84が軸部材81から垂直方向に垂下した状態である場合に、センサ88において凹陥部の内部の側面間のセンサ光の伝搬が隠蔽部材85により遮断された状態となり、異物や皺を検出していない状態とされる。一方、センサ88においてセンサ光の伝搬が遮断されていない状態は異物や皺を検出している状態とされる。
【0049】
次に、図9乃至図11を参照して、インクジェットプリンタ1において印刷を実行する元のデータとなる印刷データについて説明する。この印刷データは、PC90で作成されて、インクジェットプリンタ1へ送信され、インクジェットプリンタ1ではこの印刷データに載せられている情報に基づいて、ヘッド駆動部140やモータ駆動部145を制御して印刷を実行する。なお、図9は、印刷データ200の全体の構成を示す模式図であり、図10は、印刷データ中のヘッダデータ220の詳細な構成を示す構成図であり、図11は、印刷データのグラフィックデータ240の構成を示す模式図である。
【0050】
まず、図9を参照して、印刷データ200の全体の構成について説明する。印刷データ200は、図9に示すように、JobStart210,ヘッダデータ220,グラフィックデータ送信開始230,グラフィックデータ240,グラフィックデータ送信終了250,ジョブドット総量値260,JobEnd270で構成されている。
【0051】
JobStart210には印刷データの先頭を示す文字列がセットされている。そして、ヘッダデータ220には、当該印刷データで使用するのに適しているプラテン5の種類、又は、サイズが指定されている。このヘッダデータ220については、図10を参照して後述する。そして、グラフィックデータ送信開始230には、この後に、実際の印刷を行うためにインクジェットヘッド21の128個の各チャネルを制御するためのグラフィックデータが続くことを示す文字列がセットされており、グラフィックデータ240には、インクジェットヘッド21の128個の各チャネルを制御するためのグラフィックデータがセットされており、グラフィックデータ送信終了250には、グラフィックデータが終了したことを示す文字列がセットされている。なお、グラフィックデータ240については、図11を参照して後述する。そして、ジョブドット総量値260には、K,Y,C,Mの4色の各々の色について使用されるインクのドット総量がセットされる。そして、JobEnd270には、印刷データの終了を示す文字列がセットされている。なお、印刷データでは各情報が16進数で表されている。
【0052】
次に、図10を参照して、ヘッダデータ220について説明する。図10に示すように、ヘッダデータ220には、解像度指定エリア221,プラテンサイズ指定エリア222,プリント枚数指定エリア223が設けられている。各エリアの頭には何を示すエリアであるかを指定するコマンド欄、当該コマンドに関する情報がどれだけの長さ(何バイト)続くかを示すコマンド長欄が設けられている。そして、その後ろにコマンド長の示すバイト数分情報がセットされている。
【0053】
解像度指定エリア221には、縦の解像度を示す縦欄、横の解像度を示す横欄が設けられている。図10に示す例では、コマンド「@1」であり、16進数で「4001」がセットされている。コマンド長は4バイトである。そして、縦の解像度、横の解像度共に(2)であり、これは本実施の形態では600dpiを示している。そして、プラテンサイズエリア222には、コマンド欄,コマンド長欄の他に、ID欄,プラテンサイズ(縦)欄,プラテンサイズ(横)欄,プラテンオフセット(縦)欄,プラテンオフセット(横)欄が設けられている。プラテンサイズ(縦)欄には、適しているプラテンの縦サイズがセットされ、プラテンサイズ(横)欄には、適しているプラテンの横サイズがセットされる。そして、オフセット欄には、インクジェットプリンタ1には基準となるプラテン(基準プラテン)とのオフセット量がセットされる。なお、インクジェットプリンタ1に予め登録されているプラテン5については、ROM120のプラテン情報テーブル記憶エリア121にプラテンサイズ及びオフセット量が記憶されているので、ID欄に使用するプラテン5を示すコードのみがセットされる場合もある。
【0054】
IDの割り当てられているプラテンについての情報は、ROM120のプラテン情報テーブル記憶エリア121に記憶されている。このプラテン情報テーブル記憶エリア121については、図12を参照して後述する。また、インクジェットプリンタ1には基準となるプラテン(基準プラテン)が1つ登録されており、プラテンオフセット欄には、基準プラテンと当該プラテンの中心を重ねた際の、基準プラテンと当該プラテンとの差のサイズがセットされる。図10に示す例では、コマンド「@2」であり、16進数で「4002」がセットされており、コマンド長は9バイトである。ID欄にはIDがセットされていないことを示す「FF」がセットされており、プラテンサイズ(縦)欄には「1770」がセットされており、6000ピクセルを示している。そして、プラテンサイズ(横)欄には「1C20」がセットされており7200ピクセルを示している。そして、プラテンオフセット(縦)欄及びプラテンオフセット(横)欄には「04B0」がセットされており1200ピクセルを示している。
【0055】
そして、プリント枚数指定エリア223には、印刷枚数がセットされている。図10に示す例では、コマンド「@5」であり、16進数で「4005」がセットされており、コマンド長は2バイトである。そして、枚数欄には「1」がセットされており1枚印刷することを示している。
【0056】
次に、図11を参照して、グラフィックデータ240について説明する。図11に示すように、グラフィックデータ204には、1ライン目欄,2ライン目欄,・・・というように各ラインごとの記録領域、インクジェットヘッド21の128個の各チャネルを制御するためのグラフィックデータ、プラテン駆動モータ7の駆動量や駆動方向が記憶されている。1ライン目には、領域指定欄が2つ、LF実行欄、方向欄、第1ラスタ欄〜第128ラスタ欄が設けられている。領域指定欄には、コマンド欄、コマンド長欄、右欄、左欄が設けられている。図11に示すように、コマンドは「@c」であり、16進数で「400C」がセットされており、コマンド長は4バイトである。
【0057】
この領域指定欄では、プラテン5上の左右の印刷範囲を左右のオフセット量で指定するものである。この領域指定コマンドはキャリッジ20を最適に移動させるために、1つ先のラインの情報が先行して送られる。つまり、1ライン目欄には、1ライン目と2ライン目のデータがセットされており、2ライン目欄には3ライン目のデータがセットされている。左欄及び右欄にセットされているオフセット量は、印刷範囲の端からプラテンの端までの距離であるが、ここでは実際に使用されるプラテンではなく、データ処理の高速化のためにプラテンの横サイズが32の倍数となるような仮想的なプラテン(仮想プラテン)においてのオフセット量がセットされている。図11に示す例では、右のオフセット量は「0051」がセットされており、648ピクセルを示している。そして、左のオフセット量は「004F」がセットされており、632ピクセルを示している。ここでの仮想プラテンの横サイズは、望ましいプラテンの横サイズが6000ピクセルであるので、それに近い32の倍数として、両端にそれぞれ32ピクセルを足した「32+6000+32」に、「(6000+31)/32」の商の整数部分から「6000」を引いた値「16」を加えたもの、すなわち、「32+6000+32+16=6080」としている。
【0058】
また、LF実行欄には、コマンド欄、コマンド長欄、送り量欄が設けられている。コマンドは「@9」であり、16進数で「4009」がセットされており、コマンド長は2バイトである。そして、送り量として「0708」がセットされており、1800ピクセルを示している。この送り量は、基準プラテンの端からどれだけの位置を記録開始位置とするかを示すもので、図11の例では、1800ピクセル(600dpiでは3インチ)の位置が記録開始位置とされる。なお、個々でLF実行欄がない場合には、プラテンの端から印刷が開始されることとを示している。
【0059】
そして、方向欄及び第1ラスタ欄〜第128ラスタ欄が続く。図示しないが各欄には、コマンド欄及びコマンド長欄が設けられており、その後に情報がセットされている。なお、第1ラスタ欄にはインクジェットヘッド21の1個目のチャネルのための情報としてK(ブラック)、Y(イエロー)、C(シアン)、M(マゼンタ)の順に各色のラスタデータがセットされており、第2ラスタ欄には2個目のチャネルのための情報がセットされ、128個目のチャネルまでの情報がセットされている。そして、2ライン目の情報が続き、当該印刷データの最終ラインまでの情報が継続する。
【0060】
次に、図12を参照して、プラテン情報テーブル記憶エリア121について説明する。このプラテン情報テーブル記憶エリア121は、ROM120に設けられており、IDの割り当てられたプラテンのサイズ及び基準プラテンとのオフセット量が記憶されている。図12に示すように、プラテン情報テーブルプラテン種別欄,ID欄,サイズ(横)欄,サイズ(縦)欄,オフセット(横)欄,オフセット(縦)欄が設けられている。図12に示す例では、プラテン種別「ラージ」と「スモール」の情報が記憶されており、「ラージ」のIDは「0」、横サイズは14インチ、縦サイズは16インチ、横のオフセットは0インチ、縦のオフセットも0インチである。つまり、基準プラテンと「ラージ」プラテンは同じサイズということとなる。そして、「スモール」のIDは「1」、横サイズは10インチ、縦サイズは12インチ、横オフセットは2インチ、縦オフセットは2インチとなっている。
【0061】
次に、図13乃至図15を参照して、第一の実施の形態でのクリアランスセンサ機構8による被記録媒体上の異物や皺の検出動作について説明する。まず、図13を参照して、プラテン5が搬送されて、どのような領域においてクリアランスセンサ機構8による検出が行われるかを説明する。図13は、プラテン5の搬送の動作状態図である。なお、図13における上側がプラテン5の搬送方向の上流側であり、図1におけるレール3の後端部側となり、図13における下側がプラテン5の搬送方向の下流側であり、図1におけるレール3の前端部側となる。
【0062】
プラテン5は、動作状態301、動作状態302、動作状態303、動作状態304、動作状態305、動作状態306の順に、下流側から上流側に(図13における下から上に)移動する。動作状態301〜306における実線の略長方形がプラテン5の平面図であり、プラテン5より一回り大きい点線で示した略長方形が基準プラテン50の平面図である。なお、プラテン5の中心と基準プラテン50の中心は一致している。そして、プラテン5の内側の斜線で塗りつぶされた略長方形の領域が印刷が行われる領域である記録領域55である。また、動作状態305,306における網掛けで塗りつぶされた略長方形の領域がクリアランスセンサ機構8により検出が行われた領域である検出済領域56である。そして、記録領域55の下流側の一辺が記録開始位置、上流側の一辺が記録終了位置であり、これは、基準プラテン50上での位置であり、プラテン5(基準プラテン50)の移動と共に移動する。
【0063】
そして、動作状態301は印刷実行前にプラテン5が待機する待機位置を示しており、動作状態304はクリアランスセンサ機構8による検出が開始される時のプラテン5の位置である検出開始位置を示しており、動作状態305はクリアランスセンサ機構8における検出が終了する位置である検出終了位置を示している。なお、動作状態305は、印刷が開始される印刷開始位置でもあり、この位置まで搬送されたプラテン5は、下流側から上流側への搬送方向を、上流側から下流側への搬送方向に変更されて、下流方向へ搬送されつつ、印刷が行われる。
【0064】
そして、図13における中央に横方向に引かれた2本の平行線は、上流側の実線がキャリッジ20が移動する記録実行位置91を示しており、下流側の実線がクリアランスセンサ機構8の軸部材81が架設されている検出位置92を示している。なお、図13においては、2本の線を見やすくするために記録実行位置91と検出位置92とを離しているが、実際には、プラテン5上におけるインクジェットヘッド21の移動軌跡と、クリアランスセンサ機構8の軸部材81との位置は近接している。また、検出位置92より下流側の一点鎖線は、待機位置における基準プラテン50の下端の位置である基準待機位置93である。
【0065】
図13に示すように、待機位置に配置されているプラテン5(動作状態301)は、そして、動作状態302,303のように上流方向に搬送される。そして、動作状態304のように、記録終了位置72が記録実行位置91までくると、クリアランスセンサ機構8のソレノイド87が可動部材87が吸引されて、板状部材84が軸部材81から垂直方向に垂下する。すなわち、検出が開始される。そして、動作状態305のように、さらにプラテン5が上流方向に搬送されると、記録領域55の上流側の端から検出済みとなってゆき、動作状態306のように記録領域55の下流側の端が記録実行位置91までくると、記録領域55のすべての領域が検出済みとなるので、検出は終了し、プラテン5の搬送は停止する。この後は、プラテン5が下流方向へ搬送されて、印刷が実行される。
【0066】
次に、図14及び図15のフローチャートを参照して、印刷データをPC90から受信した際のインクジェットプリンタ1のCPU110における制御について説明する。図14は、印刷データをPC90から受信した際のインクジェットプリンタ1のCPU110における制御のフローチャートであり、図15は、図14に示したフローチャートの中で行われる位置計算処理のフローチャートである。
【0067】
まず、印刷データ受信処理が行われる(S1)。ここでは、PC90から受信した印刷データがRAM130の印刷データ記憶エリア131に記憶される。そして、位置計算処理が行われる(S2)。この位置計算処理では、クリアランスセンサ機構8を動作させる位置(プラテン5の搬送量)が算出される。
【0068】
図15に示すように、位置計算処理では、まず、「プラテンオフセット情報」が取得される(S31)。具体的には、印刷データ200のヘッダデータ220のプラテンサイズエリア222のプラテンオフセット(縦)欄の値が印刷データ記憶エリア131から読み出される。プラテンサイズエリア222においてプラテンサイズ欄及びプラテンオフセット欄に値がセットされておらず、ID欄にIDがセットされている場合には、セットされているIDのプラテンのオフセットの情報がROM120のプラテン情報テーブル記憶エリア121のオフセット(縦)欄から読み出される。そして、読み出された値をヘッダデータ220の解像度指定エリア221の縦欄で指定されている解像度で割った値が「プラテンオフセット情報」としてRAM130のプラテンオフセット情報記憶エリア132に記憶される。この「プラテンオフセット情報」は、プラテン5の下端と基準プラテン50の下端との差である。すなわち、プラテン5と基準プラテン50との縦方向の差の半分である。図10,11で示す例では、オフセット情報が1200ピクセル、解像度が600dpiなので、1200/600=2インチとなる。
【0069】
そして、「印刷開始位置情報」が算出される(S32)。印刷データ200のグラフィックデータ240の1ライン目のLD実行欄の送り量欄の値を、ヘッダデータ220の解像度指定エリア221の縦欄で指定されている解像度で割った値が「印字開始位置情報」としてRAM130の印刷開始位置情報記憶エリア133に記憶される。この「印字開始位置情報」は、プラテン5における下端から記録領域の下端側の端までの距離である。図10,11に示す例では、送り量が1800ピクセル、解像度が600dpiなので、1800/600=3インチとなる。なお、1ライン目にLD実行欄がなく、プラテンの上端から印刷が開始される場合には「0」とされる。
【0070】
そして、「終了搬送量」が算出される(S33)。具体的には、まず、S31で算出されたプラテンオフセット情報の値に、S32で算出された印字開始位置情報の値が加算される。そして、基準プラテンが待機位置にある場合の下端の位置から、基準プラテンの下端が印刷位置まできた時のプラテンの位置である「基準記録開始位置」における基準プラテンの下端の位置(すなわち、印刷位置)までの距離(基準記録開始搬送量)がROM120の基準記録開始搬送量記憶エリア122から読み出される。この基準記録開始搬送量は、基準プラテンのサイズとインクジェットプリンタ1の待機位置により決定するので、インクジェットプリンタ1につき1つの値となり、予めROM120の基準記録開始搬送量記憶エリア122に記憶されている。そして、プラテンオフセット情報の値と印字開始位置情報の値との和が基準記録開始搬送量から減算される。この値が「終了搬送量」としてRAM130の終了搬送量記憶エリア134に記憶される。この「終了搬送量」は、基準プラテンを検出終了位置(印刷開始位置)まで搬送する際の搬送量である。図10,11に示す例では、基準記録開始搬送量が18インチであったとすると、18−(2+3)=13インチとなる。
【0071】
そして、「開始搬送量」が算出される(S34)。具体的には、印刷データ200のグラフィックデータのすべてのラインのLF実行欄の値を加算した値(総和)が算出される。この総和は、ラインフィードの総合値であり、この値にインクジェットヘッドの副走査方向に沿ったインク吐出幅を加算した長さが記録領域の縦方向の長さとなる。尚、この算定方法はインク吐出幅と1ライン送り量とが同じ場合に適用されるものであり、ライン印刷をライン毎に互いに重なるように実施する場合には、その重なり部分に関する補正を行って記録領域の縦方向(搬送方向)の長さを求めることとなる。S33で求められた終了搬送量からこの記録領域の縦方向の長さを減算した値が「開始搬送量」としてRAM130の開始搬送量記憶エリア135に記憶される。
【0072】
このようにして、位置計算処理が行われたら(S2)、印刷ボタンが押下されたか否かの判断が行われる(S3)。印刷ボタンが押下されるまでは待機する(S3:NO、S3)。そして、印刷ボタンが押下されたら(S3:YES)、プラテン5の搬送が開始される(S4)。そして、開始搬送量記憶エリア135に記憶されているだけの距離が搬送され、記録終了位置72が記録実行位置91まで来たら(図11における動作状態304参照)(S5:YES)、クリアランスセンサ機構8のソレノイド87に可動部材87を吸引せる指示が与えられ、板状部材84が軸部材81から垂直方向に垂下することにより検出が開始される(S6)。そして、異物や皺を検出しているか否かの判断が行われる(S7)。センサ88においてセンサ光を検知していれば、異物や皺を検出しているので(S7:YES)、操作パネル28にエラー表示(例えば、エラーランプの点灯)が行われ(S19)、印刷が中止される。
【0073】
クリアランスセンサ機構8により異物や皺が検出されなければ(S7:NO)、待機位置から終了搬送量記憶エリア134に記憶されている距離だけ搬送され、記録開始位置71が記録実行位置91まで到達したか否かの判断が行われる(S8)。そして、まだ記録開始位置71が記録実行位置91まで到達していなければ(S8:NO)、S7へ戻り、クリアランスセンサ機構8の検出の判断が行われる(S7)。そして、クリアランスセンサ機構8による異物や皺の検出がないまま(S7:NO)、記録開始位置71が記録実行位置91まで到達すれば(S8:YES)、クリアランスセンサ機構8のソレノイド87に可動部材87の吸引を停止させる指示が与えられ、板状部材84が筐体2の背面方向(後方向)に傾斜されて、検出が終了する(S9)。
【0074】
そして、プラテン5における記録開始位置71が記録実行位置91に来るまで、プラテン5が搬送されたので、搬送は終了され(S10)、キャリッジ20がフラッシング位置に移動される(S11)。そして、インクのフラッシング処理が行われ(S12)、キャリッジモータ24の駆動により、キャリッジ20がガイドレール9を移動しながら、印刷データのグラフィックデータのラスタ欄の値に基づいて、インクジェットヘッド21からインクを吐出させて印刷が行われる、1ライン分のキャリッジ走査が行われる(S13)。そして、1ラインの印刷が終了したら、LF実行欄の送り量欄の値に基づいて、プラテン5が上流から下流に向かって搬送される(S14)。そして、次のコマンドが読み出され、印刷データのグラフィックデータ240の処理が終了しグラフィック送信終了250が読み出されたか否かにより、印刷が終了したか否かの判断が行われる(S15)。印刷が終了していなければ(S15:NO)、S13へ戻り、次のラインのキャリッジ操作が行われ(S13)、プラテンの搬送が行われる(S14)。S13〜S15の処理が繰り返し実施され、印刷が終了したら(S15:YES)、プラテン5が待機位置まで搬送(アンロード)される(S16)。そして、本処理は終了する。
【0075】
このようにして、第一の実施の形態のインクジェットプリンタ1では、記録終了位置72が記録実行位置91まで来ると、クリアランスセンサ機構8による検出が開始され、記録開始位置71が記録実行位置91まで来ると検出は終了し、プラテン5の搬送も停止され、印刷が即座に行われる。したがって、異物や皺の検出の必要な記録領域55についてのみ検出が行われ、プラテン5が検出終了位置(印刷開始位置)(図13に示す動作状態306)よりも上流側へ搬送されることがないので、無駄な搬送時間をかけることなく印刷を行うことができる。また、襟やポケットや飾りのあるような被印刷媒体を印刷する場合であっても、その部分の検出を行う際に印刷を中止したりする必要がない。
【0076】
なお、上記第一の実施の形態におけるインクジェットヘッド20が「記録手段」に該当し、プラテン駆動機構6が「搬送手段」に該当し、クリアランスセンサ機構8が「検出手段」に該当する。そして、図14に示すフローチャートのS2(図15の位置計算処理)の処理を実施するCPU110が「検出範囲決定手段」に相当し、図14に示すフローチャートのS5,S6,S8,S9の処理を実行するCPU110が「検出制御手段」に相当する。そして、終了搬送量が「第一終了搬送量」に該当し、開始搬送量が「第一開始搬送量」に該当し、図13に示す動作状態306の位置が「第一検出終了位置」に該当し、ROM120の基準記録開始搬送量記憶エリア122が「基準記録開始搬送量記憶手段」に該当する。そして、図15に示す位置計算処理のS33の処理を実施するCPU110が「第一終了搬送量算出手段」に相当し、S34の処理を実施するCPU110が「第一開始搬送量算出手段」に相当する。
【0077】
次に、図16及び図17を参照して、第二の実施の形態でのクリアランスセンサ機構8による被記録媒体上の異物や皺の検出動作について説明する。まず、図16を参照して、プラテン5が搬送されて、どのような領域においてクリアランスセンサ機構8による検出が行われるかを説明する。図16は、プラテン5の搬送の動作状態図である。なお、図16における上側がプラテン5の上流側であり、図1におけるレール3の後端部側となり、図16における下側がプラテン5の下流側であり、図1におけるレール3の前端部側となる。
【0078】
プラテン5は、動作状態401、動作状態402、動作状態403、動作状態404、動作状態405、動作状態406の順に、下流側から上流側に(図16における下から上に)移動する。第一の実施の形態の図13と同様、動作状態401〜406における実線の略長方形がプラテン5の平面図であり、プラテン5より一回り大きい点線で示した略長方形が基準プラテン50の平面図である。なお、プラテン5の中心と基準プラテン50の中心は一致している。そして、プラテン5の内側の斜線で塗りつぶされた略長方形の領域が印刷が行われる領域である記録領域55である。また、動作状態405,406における網掛けで塗りつぶされた略長方形の領域がクリアランスセンサ機構8により検出が行われた領域である検出済領域58である。そして、記録領域55の下流側の一辺が記録開始位置、上流側の一辺が記録終了位置であり、これは、基準プラテン50上での位置であり、プラテン5(基準プラテン50)の移動と共に移動する。
【0079】
そして、動作状態401は印刷実行前にプラテン5が待機する待機位置を示しており、動作状態404はクリアランスセンサ機構8による検出が開始される時のプラテン5の位置である検出開始位置を示しており、動作状態405はクリアランスセンサ機構8における検出が終了する位置である検出終了位置を示している。なお、動作状態405は、印刷が開始される印刷開始位置でもあり、この位置まで搬送されたプラテン5は、下流側から上流側への搬送方向を、上流側から下流側への搬送方向に変更されて、下流方向へ搬送されつつ、印刷が行われる。
【0080】
そして、第一の実施の形態の図13と同様、図16における中央に横方向に引かれた2本の平行線は、上流側の実線がキャリッジ20が移動する記録実行位置91を示しており、下流側の実線がクリアランスセンサ機構8の軸部材81が架設されている検出位置92を示している。なお、図16においては、2本の線を見やすくするために記録実行位置91と検出位置92とを離しているが、実際には、プラテン5上におけるインクジェットヘッド21の移動軌跡と、クリアランスセンサ機構8の軸部材81との位置は近接している。また、検出位置92より下流側の一点鎖線は、待機位置における基準プラテン50の下端の位置である基準待機位置93である。
【0081】
図16に示すように、待機位置に配置されているプラテン5(動作状態401)は、そして、動作状態402,403のように上流方向に搬送される。第二の実施の形態では、搬送が開始されると、クリアランスセンサ機構8のソレノイド87が可動部材87が吸引されて、板状部材84が軸部材81から垂直方向に垂下して、検出が開始される。そして、動作状態403,404,405のように、さらにプラテン5が上流方向に搬送されると、記録領域55の上流側の端から検出済みとなってゆき、動作状態406のように記録領域55の下流側の端が記録実行位置91までくると、記録領域55のすべての領域が検出済みとなるので、検出は終了し、プラテン5の搬送は停止する。この後は、プラテン5が下流方向へ搬送されて、印刷が実行される。
【0082】
次に、図17のフローチャートを参照して、印刷データをPC90から受信した際のインクジェットプリンタ1のCPU110における制御について説明する。図17は、印刷データをPC90から受信した際のインクジェットプリンタ1のCPU110における制御のフローチャートである。
【0083】
まず、印刷データ受信処理が行われる(S51)。ここでは、PC90から受信した印刷データがRAM130の印刷データ記憶エリア131に記憶される。そして、位置計算処理が行われる(S52)。この位置計算処理については、第一の実施の形態と同様なので、図13のフローチャートを参照した説明を引用して省略する。ただし、S34で算出される「開始搬送量」は使用されない。
【0084】
位置計算処理が行われ、「プラテンオフセット情報」,「印字開始位置情報」,「終了搬送量」が算出されたら(S52)、印刷ボタンが押下されたか否かの判断が行われる(S53)。印刷ボタンが押下されるまでは待機する(S53:NO、S53)。そして、印刷ボタンが押下されたら(S53:YES)、プラテン5の搬送が開始される(S54)と共に、クリアランスセンサ機構8のソレノイド87に可動部材87を吸引せる指示が与えられ、板状部材84が軸部材81から垂直方向に垂下することにより検出が開始される(S56)。つまり、プラテン5の上流側の端から検出が行われることとなる。そして、異物や皺を検出しているか否かの判断が行われる(S57)。センサ88においてセンサ光を検知していれば、異物や皺を検出しているので(S57:YES)、操作パネル28にエラー表示(例えば、エラーランプの点灯)が行われ(S69)、印刷が中止される。
【0085】
クリアランスセンサ機構8により異物や皺が検出されなければ(S57:NO)、待機位置から終了搬送量記憶エリア134に記憶されている距離だけ搬送され、記録開始位置71が記録実行位置91まで到達したか否かの判断が行われる(S58)。そして、まだ記録開始位置71が記録実行位置91まで到達していなければ(S58:NO)、S57へ戻り、クリアランスセンサ機構8の検出の判断が行われる(S57)。そして、クリアランスセンサ機構8による異物や皺の検出がないまま(S57:NO)、記録開始位置71が記録実行位置91まで到達すれば(S58:YES)、クリアランスセンサ機構8のソレノイド87に可動部材87の吸引を停止させる指示が与えられ、板状部材84が筐体2の背面方向(後方向)に傾斜されて、検出が終了する(S59)。
【0086】
そして、プラテン5における記録開始位置71が記録実行位置91に来るまで、プラテン5が搬送されたので、搬送は終了され(S60)、キャリッジ20がフラッシング位置に移動される(S61)。そして、インクのフラッシング処理が行われ(S62)、キャリッジモータ24の駆動により、キャリッジ20がガイドレール9を移動しながら、印刷データのグラフィックデータのラスタ欄の値に基づいて、インクジェットヘッド21からインクを吐出させて印刷が行われる、1ライン分のキャリッジ走査が行われる(S63)。そして、1ラインの印刷が終了したら、LF実行欄の送り量欄の値に基づいて、プラテン5が上流から下流に向かって搬送される(S64)。そして、印刷データのグラフィックデータ240の処理が終了し、グラフィック送信終了250が読み出されたか否かにより、印刷が終了したか否かの判断が行われる(S65)。印刷が終了してなければ(S65:NO)、S63へ戻り、次のラインのキャリッジ操作が行われ(S63)、プラテンの搬送が行われる(S64)。S63〜S65の処理が繰り返し実施され、印刷が終了したら(S65:YES)、プラテン5が待機位置まで搬送(アンロード)される(S66)。そして、本処理は終了する。
【0087】
このようにして、第二の実施の形態のインクジェットプリンタ1では、プラテン5の搬送の開始と共にクリアランスセンサ機構8による検出が開始され、記録開始位置71が記録実行位置91まで来ると検出は終了し、プラテン5の搬送も停止され、印刷が即座に行われる。したがって、異物や皺の検出の必要な記録領域55についてのみ検出が行われ、プラテン5が検出終了位置(印刷開始位置)(図16に示す動作状態406)よりも上流側へ搬送されることがないので、無駄な搬送時間をかけることなく印刷を行うことができる。
【0088】
なお、上記第二の実施の形態のインクジェットプリンタ1では、インクジェットヘッド20が「記録手段」に該当し、プラテン駆動機構6が「搬送手段」に該当し、クリアランスセンサ機構8が「クリアランスセンサ機構8」に該当する。そして、図17に示すフローチャートのS52(図15の位置計算処理)の処理を実施するCPU110が「検出範囲決定手段」に相当し、図17に示すフローチャートのS56,S58,S59の処理を実行するCPU110が「検出制御手段」に相当する。そして、終了搬送量が「第二終了搬送量」に該当し、図16に示す動作状態406の位置が「第二検出終了位置」に該当し、ROM120の基準記録開始搬送量記憶エリア122が「基準記録開始搬送量記憶手段」に該当する。そして、図15に示す位置計算処理のS33の処理を実施するCPU110が「第二終了搬送量算出手段」に相当する。
【0089】
尚、本発明の印刷装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0090】
上記第一実施の形態及び第二の実施の形態では、印刷データ200において望ましいプラテン5の種類(ID)又はサイズを指定しており、そのプラテン5のプラテンオフセット量を用いてクリアランスセンサ機構8による検出範囲を決定しているが、印刷データ200により指定されたプラテン5ではなく、インクジェットプリンタ1に実際に設置されているプラテン5の種類を検出して、そのプラテンのプラテンオフセット量を用いて検出範囲を決定してもよい。この場合、プラテン5を設置するプラテン支持台には、プラテンの種類を識別するためのプラテン識別センサ(「プラテン種類検出手段」に該当する)が備えられている。これは、例えば、4つの接触型スイッチがプラテン5の一部と接触する位置に設けられている。プラテン5には、プラテン支持台に設置した際にいずれかの接触型スイッチに接触する位置に突出部が設けられており、この突出部の位置をプラテンの種類により異なるものとしている。そして、ROM120のプラテン情報テーブル記憶エリア121には、図12に示す項目に加えて、接触型スイッチの対応を記憶する欄が設けられる(「プラテンサイズ記憶手段」に該当する)。例えば、ID「1」のスモールプラテンでは、「1001(第一の接触スイッチオン、第二の接触スイッチオフ、第三の接触スイッチオフ、第四の接触スイッチオン」というように各スイッチのオフオンの状態が記憶される。そして、位置計算処理のS31でプラテンオフセット情報を算出する際には、接触スイッチの状態が読み込まれ、その結果に応じたオフセット量がプラテン情報テーブル記憶エリア121から読み出されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】インクジェットプリンタ1の外観斜視図である。
【図2】インクジェットプリンタ1の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】ROM120の構成を示す模式図である。
【図4】RAM130の構成を示す模式図である。
【図5】クリアランスセンサ機構8の外観斜視図である。
【図6】クリアランスセンサ機構8の正面図である。
【図7】クリアランスセンサ機構8の右側面図である。
【図8】被記録媒体に障害物が存在する場合のインクジェットプリンタ1の模式右側面図である。
【図9】印刷データ200の全体の構成を示す模式図である。
【図10】印刷データ中のヘッダデータ220の詳細な構成を示す構成図である。
【図11】印刷データのグラフィックデータ240の構成を示す模式図である。
【図12】プラテン情報テーブル記憶エリア121の構成を示す模式図である。
【図13】プラテン5の搬送の動作状態を示す図である。
【図14】印刷データをPC90から受信した際のインクジェットプリンタ1のCPU110における制御のフローチャートである。
【図15】位置計算処理のフローチャートである。
【図16】プラテン5の搬送の動作状態を示す図である。
【図17】印刷データをPC90から受信した際のインクジェットプリンタ1のCPU110における制御のフローチャートである。
【符号の説明】
【0092】
1 インクジェットプリンタ
6 プラテン駆動機構
8 クリアランスセンサ機構
20 キャリッジ
21 インクジェットヘッド
24 キャリッジモータ
28 操作パネル
50 基準プラテン
55 記録領域
56 検出済領域
58 検出済領域
71 記録開始位置
72 記録終了位置
84 板状部材
87 ソレノイド
88 センサ
90 PC
91 記録実行位置
92 検出位置
301〜306 動作状態
401〜406 動作状態
100 制御部
110 CPU
120 ROM
130 RAM
121 プラテン情報テーブル記憶エリア
122 基準記録開始搬送量記憶エリア
131 印刷データ記憶エリア
132 プラテンオフセット情報記憶エリア
133 印刷開始位置情報記憶エリア
134 終了搬送量記憶エリア
135 開始搬送量記憶エリア
200 印刷データ
204 グラフィックデータ
211 ノズル面
220 ヘッダデータ
221 解像度指定エリア
222 プラテンサイズエリア
240 グラフィックデータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録データに基づいて被記録媒体にインクを噴射して記録を行うノズル面を具備する記録手段と、前記ノズル面に対向して配置され、前記被記録媒体を前記ノズル面と間隔をあけて支持するプラテンと、前記記録手段により記録が実行される記録実行位置へ前記プラテンを搬送する搬送手段とを備えた印刷装置において、
前記プラテンに支持された前記被記録媒体の前記ノズル面に接触する接触部位を検出する検出手段と、
前記プラテンのサイズ及び前記記録データの示す前記記録手段による記録を行う記録領域に基づいて前記検出手段により検出を行う検出範囲を決定する検出範囲決定手段と、
当該検出範囲決定手段により決定された前記検出範囲を前記検出手段により検出する検出制御手段とを備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
複数種類の前記プラテンを交換可能であり、
前記記録データには使用すべき前記プラテンのサイズ又はプラテン種類が含まれており、
前記検出範囲決定手段は、前記記録データに指定されている前記プラテンのサイズ又は前記プラテン種類に応じたサイズに基づいて前記検出範囲を決定することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
複数種類の前記プラテンを交換可能であり、
当該印刷装置に設置されている前記プラテンの種類を検出するプラテン種類検出手段と、
前記プラテンの種類ごとに当該プラテンのサイズを記憶したプラテンサイズ記憶手段とを備え、
前記検出範囲決定手段は、前記プラテン種類検出手段により検出された前記プラテンのサイズを前記プラテンサイズ記憶手段から読み出して、前記検出範囲を決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記検出範囲は、前記プラテンにおける、前記記録手段による記録が終了する記録終了位置から、前記記録手段による記録が開始される記録開始位置までの間であり、
前記検出範囲決定手段は、
前記プラテンのサイズ及び前記記録データに示された前記記録領域に基づいて、前記記録手段による記録のための動作を開始する前に前記プラテンが待機される待機位置から、前記記録開始位置が前記記録実行位置にくる第一検出終了位置まで、前記プラテンを搬送する第一終了搬送量を算出する第一終了搬送量算出手段と、
前記プラテンのサイズ及び前記記録データに示された前記記録領域に基づいて、前記待機位置から、前記記録終了位置が前記記録実行位置にくる第一検出開始位置まで、前記プラテンを搬送する第一開始搬送量を算出する第一開始搬送量算出手段とを備え、
前記検出制御手段は、前記待機位置から前記第一検出開始位置まで前記プラテンが前記搬送手段により搬送された際に前記検出手段による検出を開始し、さらに前記第一検出終了位置まで前記プラテンが前記搬送手段により搬送された際に前記検出手段による検出を終了させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項5】
当該印刷装置における基準となる基準プラテンのサイズが設けられており、
前記基準プラテンの記録可能範囲の上端が前記記録位置にくる基準記録開始位置まで当該基準プラテンを前記待機位置から搬送する際の基準記録開始搬送量を記憶する基準記録開始搬送量記憶手段を備え、
前記第一終了搬送量算出手段は、
前記記録データに指定されている前記プラテンの搬送方向のサイズ又は前記プラテン種類に応じた搬送方向のサイズ又は前記プラテンサイズ記憶手段から読み出された前記プラテンの搬送方向のサイズと前記基準プラテンの搬送方向のサイズとの差の半分と、前記プラテンの上端から前記記録領域の上端までの距離との和を算出し、前記基準記録開始搬送量記憶手段に記憶されている前記基準記録開始搬送量から前記和を引いた距離を前記第一終了搬送量とし、
前記記録データには記録を実行する際の前記プラテンの搬送量が示されており、
前記第一開始搬送量算出手段は、
前記記録データに示された前記記録領域上端から下端まで記録を実行する際の前記プラテンの搬送量の総和に基づいて算出された値を前記記録領域の距離とし、前記第一終了搬送量から当該記録領域の距離を引いたものを前記第一開始搬送量とすることを特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記記録手段により記録を行うために前記プラテンが前記搬送手段により前記記録実行位置へ搬送される際の搬送方向の下流側の前記プラテンの端を下端とし、
前記検出範囲は、前記プラテンの下端から、前記プラテンにおける前記記録手段による記録が開始される記録開始位置までの間であり、
前記検出範囲決定手段は、
前記プラテンのサイズ及び前記記録データに示された前記記録領域に基づいて、前記記録手段による記録のための動作を開始する前に前記プラテンが待機される待機位置から、前記記録開始位置が前記記録実行位置にくる第二検出終了位置まで、前記プラテンを搬送する第二終了搬送量を算出する第二終了搬送量算出手段とを備え、
前記検出制御手段は、前記プラテンの前記待機位置からの前記搬送手段による搬送が開始される際に前記検出手段による検出を開始し、前記待機位置から前記第二検出終了位置まで前記プラテンが前記搬送手段により搬送された際に前記検出手段による検出を終了させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項7】
当該印刷装置における基準となる基準プラテンのサイズが設けられており、
前記基準プラテンの記録可能範囲の上端が前記記録位置にくる基準記録開始位置まで当該基準プラテンを前記待機位置から搬送する際の基準記録開始搬送量を記憶する基準記録開始搬送量記憶手段を備え、
前記第二終了搬送量算出手段は、
前記記録データに指定されている前記プラテンの搬送方向のサイズ又は前記プラテン種類に応じた搬送方向のサイズ又は前記プラテンサイズ記憶手段から読み出された前記プラテンの搬送方向のサイズと前記基準プラテンの搬送方向のサイズとの差の半分と、前記プラテンの上端から前記記録領域の上端までの距離との和を算出し、前記基準記録開始搬送量記憶手段に記憶されている前記基準記録開始搬送量から前記和を引いた距離を前記第二終了搬送量とすることを特徴とする請求項6に記載の印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−216502(P2007−216502A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−39342(P2006−39342)
【出願日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】