説明

印刷装置

【課題】径が大きい印刷用紙ロールであっても印刷用紙の搬送にかかる負荷を軽減して印刷動作を円滑に行い、高い印刷品位を確保できるようにする。
【解決手段】印刷用紙ロールとローラ3との間に配置されたテンションアーム7で印刷用紙ロールから引き出した印刷用紙1に当接してその弛みを取り、また印刷用紙をローラ3で挟持して搬送するとき、駆動手段13によりブレーキアーム11が印刷用紙ロールに当接することを解除させ、印刷用紙ロールの回転の制動を解除するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷用紙に文字等を印刷する印刷装置に関し、特にロール状に巻かれ、連続した印刷用紙を引き出し、その印刷用紙に文字等を印刷する印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の印刷装置を図12の従来の印刷装置の構成を示す側面図に基づいて説明する。
図12において、101は印刷用紙(ロール紙)であり、回転自在なロール紙管102に感熱紙等の印刷用紙をロール状に巻いたものである。
103はプラテンローラ、104は印刷ヘッド、106はフィードローラであり、フィードローラ106で挟持されて搬送される印刷用紙101をプラテンローラ103で印刷ヘッド104に押圧し、印刷ヘッド104は熱を発生させて押圧された印刷用紙101に文字等を印刷する。
【0003】
107はテンションアーム、108は支点、109はテンションローラ、110はテンションスプリングであり、テンションアーム107は端部に設けられた支点108により回動自在になっており、他の端部には印刷用紙101に当接するテンションローラ109が設けられている。テンションスプリング110により付勢されたテンションアーム107のテンションローラ109は印刷用紙101に当接し、印刷用紙101の弛みをなくすようにしている。
【0004】
111はブレーキアーム、112は支点、114は弾性部材であり、ブレーキアーム111は端部に設けられた支点112により回動自在になっており、また弾性部材114で付勢され、印刷用紙101の外周に当接し、ロール紙管102の回転を制動するようにしている。
このように従来の印刷装置は、印刷用紙101に弛みがあった場合、その印刷用紙101の搬送量を充分得ることができず所望の印刷品位を確保することができないことに鑑み、ブレーキアーム111でロール紙管102の回転を制動するとともにテンションアーム107で印刷用紙101の弛みをなくすようにして高い印刷品位を確保するようにしている。
【0005】
また、径が大きいロール紙を使用する場合、そのロール紙の慣性力を考慮し、ロール紙の径が大きいときは制動力が強くなるようにし、またロール紙の径が小さいときは制動力が弱くなるようにするため、ブレーキアームを付勢する弾性部材にばね材を採用し、径が大きいロール紙であっても高い印刷品位を確保できるようにしているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−216432号公報(段落「0034」〜段落「0037」、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の技術においては、径が大きいロール紙を使用する場合、そのロール紙の慣性力が大きいためブレーキアームの制動力を強くするとともにテンションアームによるロール紙の押圧力を増やす必要があるが、増やしたブレーキアームの制動力や径が大きいロール紙の慣性力の作用により、フィードローラの搬送力ではロール紙を充分に搬送することができず印刷品位が悪くなってしまうというという問題がある。
【0007】
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのため、本発明は、ロール状に巻かれた印刷用紙ロールから引き出した印刷用紙をローラで挟持して搬送し、その印刷用紙に印刷する印刷装置において、前記印刷用紙ロールと前記ローラとの間に配置され、印刷用紙ロールから引き出した印刷用紙に当接してその弛みを取るテンションアームと、印刷用紙ロールに当接およびその当接を解除させて印刷用紙ロールの回転を制動およびその制動を解除するブレーキアームと、前記ブレーキアームを印刷用紙ロールに当接およびその当接を解除させる駆動手段とを設け、前記印刷用紙をローラで挟持して搬送するとき、前記駆動手段により前記ブレーキアームが、印刷用紙ロールの回転の制動を解除するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
このようにした本発明は、印刷用紙の搬送にかかる負荷を軽減して印刷動作を円滑に行い高い印刷品位を確保することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明による印刷装置の実施例を説明する。
【実施例】
【0011】
まず、第1の実施例を説明する。
図1は第1の実施例における印刷装置の構成を示す側面図である。
図1において、1は印刷用紙(ロール紙)であり、回転自在なロール紙管2に帯状の感熱紙等をロール状に巻いたものである。このロール紙管2に巻かれた印刷用紙1全体を「印刷用紙ロール」と呼ぶこととする。
【0012】
3はプラテンローラであり、図示しないモータ等の駆動手段により回転自在に構成されたものである。
4は印刷ヘッドであり、サーマルヘッド等で構成されたものである。この印刷ヘッド4は複数の発熱体が印刷用紙1の幅に合わせて配置してあり、その発熱体がプラテンローラ3で押圧された印刷用紙1を加熱することにより印刷を行なうものである。
【0013】
5はカッタであり、印刷ヘッド4で印刷された印刷用紙1を切断するためのものである。
6はフィードローラであり、図示しないモータ等の駆動手段により回転自在に2個のローラで構成されたものである。このフィードローラ6により印刷用紙1を挟持し、回転させることにより印刷用紙1を搬送することができる。
【0014】
このようにプラテンローラ3と印刷ヘッド4、および2個のフィードローラ6で挟持された印刷用紙1は、プラテンローラ3およびフィードローラ6を回転させることにより、図中矢印Aが示す方向に搬送される。
なお、印刷用紙ロールから引き出された印刷用紙1は、印刷ヘッド4により印刷用紙1の幅に合わせて(矢印Aが示す方向と垂直の方向に)配置された複数の発熱体により1ライン(ドット)毎に搬送されながら印刷されるものとする。
【0015】
また、印刷が行なわれた印刷用紙1をカッタ5で切断した場合、カットされた印刷用紙1はフィードローラ6により搬送することができ、またプラテンローラ3と印刷ヘッド4とで挟持された印刷用紙1はプラテンローラ3を回転させることによりフィードローラ6まで搬送させることができるものとする。
7はテンションアームであり、印刷用紙ロールから引き出され、プラテンローラ3と印刷ヘッド4とで挟持された印刷用紙1の弛みを取るためのものである。
【0016】
このテンションアーム7の一の端部は支点8で軸支されて回動自在になっており、他の端部である自由端部に印刷用紙1に当接するテンションローラ9が設けられている。また、テンションアーム7はばね等の弾性部材で構成されるテンションスプリング10で図中矢印Bが示す方向に付勢され、テンションローラ9を印刷用紙1に当接させてその印刷用紙1の弛みを取るようにしている。
【0017】
11はブレーキアームであり、印刷用紙ロールに当接させることにより、その印刷用紙ロールの回転を制動するためのものである。
このブレーキアーム11の略中心部は支点12で軸支されて回動自在になっており、一の端部にソレノイド等の駆動手段13が接続され、他の端部にばね等の弾性部材で構成されるブレーキスプリング14で図中矢印Cが示す方向に付勢されている。このように付勢されたブレーキアーム11は印刷用紙ロールの外周面に当接してその回転を制動するようにしている。
【0018】
一方、駆動手段13でブレーキアーム11の一の端部を図中矢印Dが示す方向に回動させると印刷用紙ロールに当接していたブレーキアーム11は印刷用紙ロールから離れ、その回転の制動を解除する。
このように構成された印刷装置100は、CPU(Central Processing Unit)等の制御手段ならびに演算手段、メモリ等の記憶手段等を有する図示しない制御部を備え、記憶手段に記憶された制御プログラムにしたがって、印刷装置100全体の動作を制御するものとする。
【0019】
上述した構成の作用について説明する。
図2は第1の実施例における印刷動作時の印刷装置を示す側面図である。なお、図1は印刷動作停止時の印刷装置を示している。
印刷動作を停止している印刷装置100は、図1に示すようにブレーキスプリング14で付勢されたブレーキアーム11が印刷用紙ロールに当接してその回転を制動し、またテンションスプリング10で付勢されたテンションアーム7のテンションローラ9が印刷用紙1に当接してその弛みを取るようにしている。
【0020】
印刷装置100が印刷動作を開始すると図2に示すようにブレーキアーム11は駆動手段13により図中矢印Dが示す方向に回動され、印刷用紙ロールに当接していた部分は印刷用紙ロールから離れ、制動を解除してその印刷用紙ロールを回転可能な状態にする。
印刷用紙ロールの制動を解除するとフィードローラ6およびプラテンローラ3を回転させ、印刷用紙1を搬送し、印刷ヘッド4による印刷動作を開始する。
【0021】
印刷用紙1が搬送されるとその印刷用紙1により押圧されたテンションアーム7は図2に示すように矢印Eが示す方向に回動される。このとき、印刷用紙ロールは回転することなく静止した状態のままとなる。
さらに、印刷用紙1を搬送して印刷動作を継続するとやがてテンションアーム7は回動を停止し、印刷用紙ロールは搬送される印刷用紙1により引かれ回転を開始する。このとき、印刷用紙ロールはブレーキアーム11が当接していないため、円滑に回転することができる。
【0022】
なお、テンションアーム7のテンションローラ9が印刷用紙1に当接して取る弛みの量を多く確保するようにし、搬送される印刷用紙1により引かれ印刷用紙ロールが回転を開始しないようにすることが好ましい。
次に、印刷を終了するとフィードローラ6およびプラテンローラ3の回転を停止させ、印刷用紙1の搬送を停止する。
【0023】
フィードローラ6およびプラテンローラ3の回転を停止させると図2に示すようにテンションアーム7はテンションスプリング10で付勢されているため矢印Bが示す方向に回動される。このときテンションアーム7の回動により印刷用紙1が引かれ印刷用紙ロールが図中反時計方向に回転する。
テンションアーム7が回動され印刷用紙1の弛みが取られると駆動手段13の駆動を解除してブレーキアーム11を印刷用紙ロールに当接させ、その回転を制動する。このように印刷用紙ロールの回転を制動することにより、印刷用紙ロールの慣性による不必要な印刷用紙1の送り出しを防止し、弛みの発生を防止することができる。
【0024】
なお、印刷用紙1の搬送を停止してから駆動手段13の駆動を解除するまでの時間は印刷用紙1に弛みを発生させることがない所定の時間とし、図示しない制御部の記憶手段に予め記憶され、その記憶された時間にしたがって制御部がフィードローラ6およびプラテンローラ3の回転および駆動手段13の駆動を制御するものとする。
このように印刷動作中、すなわち印刷用紙1を搬送しているとき、印刷用紙ロールの回転の制動を解除するようにしたので、径が大きい印刷用紙ロールであっても印刷用紙1の搬送、すなわち印刷動作を円滑に行い高い印刷品位を確保することができる。
【0025】
また、ブレーキアーム11が印刷用紙ロールのガイドの役割を果たし、巻き崩れを防止することができる。
以上説明したように、第1の実施例では、印刷動作中に印刷用紙ロールの回転の制動を解除するようにしたことにより、印刷動作を円滑に行い高い印刷品位を確保することができるという効果が得られる。

次に、第2の実施例を説明する。
【0026】
まず、第2の実施例の構成を説明するが第1の実施例の構成と異なる部分を以下に説明する。なお、第1の実施例と同じ部分は同一の符号を付してその説明を省略する。
図3は第2の実施例における印刷装置の構成を示す平面図である。
図3において、21はブレーキアームであり、一の端部に設けた摩擦部材を印刷用紙ロールに当接させることにより、その印刷用紙ロールの回転を制動するためのものである。
【0027】
このブレーキアーム21は支点22で軸支されて回動自在になっており、他の端部にソレノイド等の駆動手段23が接続され、またばね等の弾性部材で構成されるブレーキスプリング24で図中矢印Fが示す方向に付勢されている。このように付勢されたブレーキアーム21は印刷用紙ロールの側面に当接してその回転を制動するようにしている。
一方、駆動手段23でブレーキアーム21の端部25を図中矢印Gが示す方向に回動させると印刷用紙ロールの側面に当接していたブレーキアーム21は印刷用紙ロールから離れ、その回転の制動を解除する。
【0028】
このように構成されたブレーキアーム21等が印刷用紙ロールの側面を挟むように印刷用紙ロールの両側に設けられているものとする。
上述した構成の作用について説明する。
図4は第2の実施例における印刷動作時の印刷装置を示す平面図である。なお、図3は印刷動作停止時の印刷装置を示している。
【0029】
印刷動作を停止している印刷装置100は、図3に示すようにブレーキスプリング24で付勢されたブレーキアーム21が印刷用紙ロールに当接してその回転を制動し、またテンションスプリング10で付勢されたテンションアーム7のテンションローラ9が印刷用紙1に当接してその弛みを取るようにしている。
印刷装置100が印刷動作を開始すると図4に示すようにブレーキアーム21は駆動手段23により図中矢印Gが示す方向に回動され、印刷用紙ロールに当接していた部分は印刷用紙ロールから離れ、制動を解除してその印刷用紙ロールを回転可能な状態にする。
【0030】
印刷用紙ロールの制動を解除するとフィードローラ6およびプラテンローラ3を回転させ、印刷用紙1を搬送し、印刷ヘッド4による印刷動作を開始する。
印刷用紙1が搬送されるとその印刷用紙1により押圧されたテンションアーム7は第1の実施例と同様に回動される。このとき、印刷用紙ロールは回転することなく静止した状態のままとなる。
【0031】
さらに、印刷用紙1を搬送して印刷動作を継続するとやがてテンションアーム7は回動を停止し、印刷用紙ロールは搬送される印刷用紙1により引かれ回転を開始する。このとき、印刷用紙ロールはブレーキアーム21が当接していないため、円滑に回転することができる。
なお、テンションアーム7のテンションローラ9が印刷用紙1に当接して取る弛みの量を多く確保するようにし、搬送される印刷用紙1により引かれ印刷用紙ロールが回転を開始しないようにすることが好ましい。
【0032】
次に、印刷を終了するとフィードローラ6およびプラテンローラ3の回転を停止させ、印刷用紙1の搬送を停止する。
フィードローラ6およびプラテンローラ3の回転を停止させるとテンションアーム7はテンションスプリング10で付勢されているため第1の実施例と同様に回動される。このときテンションアーム7の回動により印刷用紙1が引かれ印刷用紙ロールが第1の実施例と同様に回転する。
【0033】
テンションアーム7が回動され印刷用紙1の弛みが取られると駆動手段23の駆動を解除してブレーキアーム21を印刷用紙ロールに当接させ、その回転を制動する。このように印刷用紙ロールの回転を制動することにより、印刷用紙ロールの慣性による不必要な印刷用紙1の送り出しを防止し、弛みの発生を防止することができる。
なお、印刷用紙1の搬送を停止してから駆動手段23の駆動を解除するまでの時間は印刷用紙1に弛みを発生させることがない所定の時間とし、図示しない制御部の記憶手段に予め記憶され、その記憶された時間にしたがって制御部がフィードローラ6およびプラテンローラ3の回転および駆動手段23の駆動を制御するのは第1の実施例と同様である。
【0034】
このように印刷動作中、すなわち印刷用紙1を搬送しているとき、印刷用紙ロールの回転の制動を解除するようにしたので、印刷用紙1の搬送、すなわち印刷動作を円滑に行い高い印刷品位を確保することができる。
以上説明したように、第2の実施例では、印刷動作中に印刷用紙ロールの回転の制動を解除するようにしたことにより、印刷動作を円滑に行い高い印刷品位を確保することができるという効果が得られる。

次に、第3の実施例を説明する。
【0035】
まず、第3の実施例の構成を説明するが第1の実施例の構成と異なる部分を以下に説明する。なお、第1の実施例と同じ部分は同一の符号を付してその説明を省略する。
図5は第3の実施例における印刷用紙ロールの径が小さいときの印刷装置を示す側面図である。
図5において、31は押圧板であり、テンションスプリング10の端部を押圧するための部材である。この押圧板31でテンションスプリング10の端部を押圧する力を調整することによりテンションアーム7を付勢する力を調整する。
【0036】
32はカムであり、押圧板31に当接してテンションスプリング10の端部を押圧する力を調整するためのものである。例えば、このカム32は楕円筒状のものであり、カム32を回転させることによりテンションスプリング10のストローク量を調整し、テンションアーム7を付勢する力を調整するものである。
34は駆動手段であり、ステッピングモータ等の回転角を制御することができるものである。この駆動手段34の回転軸はカム32の偏心した回転軸33に固着され、駆動手段34の回転角を変化させることでテンションスプリング10の端部を押圧する力を調整し、テンションアーム7を付勢する力を調整することができるようになっている。
【0037】
35は印刷用紙ロール径検知手段であり、光学式センサ等で構成され、印刷用紙ロールの径の大きさを検知するためのものである。この印刷用紙ロール径検知手段35で印刷用紙ロールが所定の径を超えているか否かを検知することができるようになっている。
このように第3の実施例の構成は、押圧板31、カム32、駆動手段34等で構成され、テンションアーム7を付勢する力を調整することにより印刷用紙1を押圧する力を調整する押圧力調整手段および印刷用紙ロールの径の大きさを検知する印刷用紙ロール径検知手段を備えたものである。
【0038】
なお、実施例2で説明した構成に、押圧板31、カム32、駆動手段34等で構成され、テンションアーム7を付勢する力を調整することにより印刷用紙1を押圧する力を調整する押圧力調整手段および印刷用紙ロールの径の大きさを検知する印刷用紙ロール径検知手段を備えるようにしてもよい。
上述した構成の作用について説明する。
【0039】
図5は第3の実施例における印刷用紙ロールの径が小さいときの印刷装置を示す側面図、図6は第3の実施例における印刷用紙ロールの径が大きいときの印刷装置を示す側面図である。なお、図5および図6は印刷動作を停止している状態を示している。
まず、印刷用紙ロール径検知手段35で印刷用紙ロールの径が小さいことを検知しているときの作用を説明する。
【0040】
印刷動作を停止している印刷装置100は、図5に示すようにブレーキスプリング14で付勢されたブレーキアーム11が印刷用紙ロールに当接してその回転を制動し、またテンションスプリング10で付勢されたテンションアーム7のテンションローラ9が印刷用紙1に当接してその弛みを取るようにしている。
ここで、駆動手段34の回転角を調整することによりテンションスプリング10のストローク量が大きくなるようにし、テンションスプリング10がテンションアーム7を付勢する力を小さくする。したがって、テンションアーム7のテンションローラ9が印刷用紙1を押圧する力は弱くなる。
【0041】
次に、印刷用紙ロール径検知手段で印刷用紙ロールの径が大きいことを検知しているときの作用を説明する。
印刷動作を停止している印刷装置100は、図6に示すようにブレーキスプリング14で付勢されたブレーキアーム11が印刷用紙ロールに当接してその回転を制動し、またテンションスプリング10で付勢されたテンションアーム7のテンションローラ9が印刷用紙1に当接してその弛みを取るようにしている。
【0042】
ここで、駆動手段34の回転角を調整することによりテンションスプリング10のストローク量が小さくなるようにし、テンションスプリング10がテンションアーム7を付勢する力を大きくする。したがって、テンションアーム7のテンションローラ9が印刷用紙1を押圧する力は強くなる。
なお、印刷装置100が印刷を停止するときの動作は第1の実施例と同様なのでその説明を省略する。
【0043】
このようにして印刷用紙ロールの径の大きさにより変化する印刷用紙ロールの慣性力に応じてテンションアーム7のテンションローラ9が印刷用紙1を押圧する力を調整することにより、高い印字品位を確保することができる。
以上説明したように、第3の実施例では、第2の実施例の効果に加え、印刷用紙ロールの慣性力に応じてテンションアーム7のテンションローラ9が印刷用紙1を押圧する力を調整することにより、高い印字品位を確保することができるという効果が得られる。

次に、第4の実施例を説明する。
【0044】
まず、第4の実施例の構成を説明するが第1の実施例の構成と異なる部分を以下に説明する。なお、第1の実施例と同じ部分は同一の符号を付してその説明を省略する。
図7は第4の実施例における印刷装置の構成を示す側面図である。
図7において、40はブレーキテンションアームであり、印刷用紙ロールから引き出されプラテンローラ3と印刷ヘッド4とで挟持された印刷用紙1の弛みを取るとともに印刷用紙管2に当接させることにより、その印刷用紙ロールの回転を制動するためのものである。
【0045】
本実施例では、ブレーキテンションアーム40を印刷用紙管2に当接させる例で説明するが、印刷用紙ロールの外周面等に当接させるようにしてもよい。
このブレーキテンションアーム40は支点41で軸支されて回動自在になっており、一の自由端部に印刷用紙1に当接するテンションローラ42が設けられている。また、ブレーキテンションアーム40の他の自由端部はばね等の弾性部材で構成されるブレーキテンションスプリング43で図中矢印Hが示す方向に付勢され、テンションローラ42を印刷用紙1に当接させてその印刷用紙1の弛みを取るようにしている。
【0046】
なお、44は押圧板、45はカム、46は回転軸、47は駆動手段、48は印刷用紙ロール径検知手段であり、第3の実施例で説明した押圧板31、カム32、回転軸33、駆動手段34、印刷用紙ロール径検知手段35と同様なのでその説明を省略する。
上述した構成の作用について説明する。
図8は第4の実施例における印刷動作時の印刷装置を示す側面図である。なお、図7は印刷動作停止時の印刷装置を示している。
【0047】
印刷動作を停止している印刷装置100は、図7に示すようにブレーキテンションスプリング43で付勢されたブレーキテンションアーム40がロール紙管2に当接してその回転を制動し、またそのブレーキテンションアーム40のテンションローラ42が印刷用紙1に当接してその弛みを取るようにしている。
印刷装置100が印刷動作を開始すると図8に示すようにフィードローラ6およびプラテンローラ3を回転させ、図中矢印Aが示す方向へ印刷用紙1を搬送し、印刷ヘッド4による印刷動作を開始する。
【0048】
印刷用紙1を搬送するとその印刷用紙1の押圧力によりブレーキテンションアーム40は図中矢印Kが示す方向に回動され、ロール紙管2に当接していた部分はロール紙管2から離れ、制動を解除して印刷用紙ロールを回転可能な状態にする。このとき、印刷用紙ロールは回転することなく静止した状態のままとなる。
さらに、印刷用紙1を搬送して印刷動作を継続するとやがてブレーキテンションアーム40は回動を停止し、印刷用紙ロールは搬送される印刷用紙1により引かれ回転を開始する。このとき、印刷用紙ロールはブレーキテンションアーム40が当接していないため、円滑に回転することができる。
【0049】
なお、ブレーキテンションアーム40のテンションローラ42が印刷用紙1に当接して取る弛みの量を多く確保するようにし、搬送される印刷用紙1により引かれ印刷用紙ロールが回転を開始しないようにすることが好ましい。
次に、印刷を終了するとフィードローラ6およびプラテンローラ3の回転を停止させ、印刷用紙1の搬送を停止する。
【0050】
フィードローラ6およびプラテンローラ3の回転を停止させると図8に示すようにブレーキテンションスプリング43で図中矢印Hが示す方向に付勢されているため、ブレーキテンションアーム40は矢印Lが示す方向に回動される。このときブレーキテンションアーム40の回動により印刷用紙1が引かれ印刷用紙ロールが図中反時計方向に回転する。
ブレーキテンションアーム40が回動され印刷用紙1の弛みが取られるとブレーキテンションアーム40は印刷用紙ロールに当接し、その回転を制動する。このように印刷用紙ロールの回転を制動することにより、印刷用紙ロールの慣性による不必要な印刷用紙1の送り出しを防止し、弛みの発生を防止することができる。
【0051】
このように印刷動作中、すなわち印刷用紙1を搬送しているとき、印刷用紙ロールの回転の制動を解除するようにしたので、印刷用紙1の搬送、すなわち印刷動作を円滑に行い高い印刷品位を確保することができる。
また、印刷用紙ロールの径が小さいときと大きいときの作用を説明する。
図9は第4の実施例における印刷用紙ロールの径が小さいときの印刷装置を示す側面図である。なお、図7および図8は印刷用紙ロールの径が大きいときの印刷装置を示している。
【0052】
まず、印刷用紙ロール径検知手段48で印刷用紙ロールの径が大きいことを検知しているときの作用を説明する。
印刷動作を停止している印刷装置100は、図7に示すようにブレーキテンションスプリング43で付勢されたブレーキテンションアーム40がロール紙管2に当接してその回転を制動し、またそのブレーキテンションアーム40のテンションローラ42が印刷用紙1に当接してその弛みを取るようにしている。
【0053】
ここで、駆動手段47の回転角を調整することによりブレーキテンションスプリング43のストローク量が小さくなるようにし、ブレーキテンションスプリング43がブレーキテンションアーム40を付勢する力を大きくする。したがって、ブレーキテンションアーム40のテンションローラ42が印刷用紙1を押圧する力は強くなる。
次に、印刷用紙ロール径検知手段48で印刷用紙ロールの径が小さいことを検知しているときの作用を説明する。
【0054】
印刷動作を停止している印刷装置100は、図9に示すようにブレーキテンションスプリング43で付勢されたブレーキテンションアーム40がロール紙管2に当接してその回転を制動し、またそのブレーキテンションアーム40のテンションローラ42が印刷用紙1に当接してその弛みを取るようにしている。
ここで、駆動手段47の回転角を調整することによりブレーキテンションスプリング43のストローク量が大きくなるようにし、ブレーキテンションスプリング43がブレーキテンションアーム40を付勢する力を小さくする。したがって、ブレーキテンションアーム40のテンションローラ42が印刷用紙1を押圧する力は弱くなる。
【0055】
第4の実施例では、印刷動作中に印刷用紙ロールの回転の制動を解除するようにしたことにより、印刷動作を円滑に行い高い印刷品位を確保することができるという効果が得られる。
また、印刷用紙ロールの径の大きさにより変化する印刷用紙ロールの慣性力に応じてブレーキテンションアーム40のテンションローラ42が印刷用紙1を押圧する力を調整することにより、高い印字品位を確保することができるという効果が得られる。
【0056】
さらに、印刷用紙ロールの回転の制動および印刷用紙1の押圧をブレーキテンションアーム40で行うようにしたことにより、印刷装置の製造コストを安価にすることができるという効果が得られる。

次に、第5の実施例を説明する。
【0057】
まず、第5の実施例の構成を説明するが第1の実施例の構成と異なる部分を以下に説明する。なお、第1の実施例と同じ部分は同一の符号を付してその説明を省略する。
図10は第5の実施例における印刷装置の構成を示す側面図である。
図10において、51はワンウェイトルクリミッタであり、支点8に取り付けられテンションアーム7が図中矢印Iで示す方向に回転するトルクを制限するためのものである。このワンウェイトルクリミッタ51は、テンションアーム7が所定の押圧力を超えない押圧力で印刷用紙1に当接するようにするものであり、押圧力制限手段として機能するものである。
【0058】
なお、ブレーキアーム11、駆動手段13、ブレーキスプリング14等は備えない構成で説明するが第1の実施例と同様にブレーキアーム11、駆動手段13、ブレーキスプリング14等を備える構成としてもよい。
上述した構成の作用について説明する。
図11は第5の実施例における印刷動作時の印刷装置を示す側面図である。なお、図10は印刷動作停止時の印刷装置を示している。
【0059】
印刷動作を停止している印刷装置100は、図10に示すようにテンションスプリング10で付勢されたテンションアーム7のテンションローラ9が印刷用紙1に当接してその弛みを取るようにしている。
印刷装置100が印刷動作を開始すると図11に示すようにフィードローラ6およびプラテンローラ3を回転させ、印刷用紙1を搬送する。
【0060】
印刷用紙1が搬送されるとその印刷用紙1により押圧されたテンションアーム7は図11に示すように矢印Eが示す方向に回動される。このとき、印刷用紙ロールは回転することなく静止した状態のままとなる。
さらに、印刷用紙1を搬送して印刷動作を継続するとやがてテンションアーム7は回動を停止し、印刷用紙ロールは搬送される印刷用紙1により引かれ回転を開始する。
【0061】
なお、テンションアーム7のテンションローラ9が印刷用紙1に当接して取る弛みの量を多く確保するようにし、搬送される印刷用紙1により引かれ印刷用紙ロールが回転を開始しないようにすることが好ましい。
次に、印刷を終了するとフィードローラ6およびプラテンローラ3の回転を停止させ、印刷用紙1の搬送を停止する。
【0062】
フィードローラ6およびプラテンローラ3の回転を停止させると図11に示すようにテンションアーム7はテンションスプリング10で付勢されているため矢印Iが示す方向に回動される。このときワンウェイトルクリミッタ51により図中矢印Iが示す方向のトルクが制限されテンションアーム7はゆっくり回動し、その回動により印刷用紙1がゆっくり引かれ印刷用紙ロールが図中反時計方向に回転する。
【0063】
このようにテンションアーム7の支点8にワンウェイトルクリミッタ51を設け、印刷用紙ロールから引き出される印刷用紙の速度を遅くしたことにより、径が大きい印刷用紙ロールであっても、その印刷用紙ロールの慣性による不必要な印刷用紙1の送り出しを防止し、弛みの発生を防止することができる。
以上説明したように、第5の実施例では、ワンウェイトルクリミッタを設け、不必要な印刷用紙の送り出しを防止するようにしたことにより、印刷動作を円滑に行い高い印刷品位を確保することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】第1の実施例における印刷装置の構成を示す側面図
【図2】第1の実施例における印刷動作時の印刷装置を示す側面図
【図3】第2の実施例における印刷装置の構成を示す平面図
【図4】第2の実施例における印刷動作時の印刷装置を示す平面図
【図5】第3の実施例における印刷用紙ロールの径が小さいときの印刷装置を示す側面図
【図6】第3の実施例における印刷用紙ロールの径が大きいときの印刷装置の構成を示す側面図
【図7】第4の実施例における印刷装置の構成を示す側面図
【図8】第4の実施例における印刷動作時の印刷装置を示す側面図
【図9】第4の実施例における印刷用紙ロールの径が小さいときの印刷装置を示す側面図
【図10】第5の実施例における印刷装置の構成を示す側面図
【図11】第5の実施例における印刷動作時の印刷装置を示す側面図
【図12】従来の印刷装置の構成を示す側面図
【符号の説明】
【0065】
1 印刷用紙
2 ロール紙管
3 プラテンローラ
4 印刷ヘッド
5 カッタ
6 フィードローラ
7 テンションアーム
8、12、22、41 支点
9、42 テンションローラ
10 テンションスプリング
11、21 ブレーキアーム
13、23、34、47 駆動手段
14、24 ブレーキスプリング
31、44 押圧板
32、45 カム
33、46 回転軸
35、48 印刷用紙ロール径検知手段
40 ブレーキテンションアーム
43 ブレーキテンションスプリング
51 ワンウェイトルクリミッタ
100 印刷装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状に巻かれた印刷用紙ロールから引き出した印刷用紙をローラで挟持して搬送し、その印刷用紙に印刷する印刷装置において、
前記印刷用紙ロールと前記ローラとの間に配置され、印刷用紙ロールから引き出した印刷用紙に当接してその弛みを取るテンションアームと、
前記印刷用紙ロールに当接およびその当接を解除させて印刷用紙ロールの回転を制動およびその制動を解除するブレーキアームと、
前記ブレーキアームを印刷用紙ロールに当接およびその当接を解除させる駆動手段とを設け、
前記印刷用紙をローラで挟持して搬送するとき、前記駆動手段により前記ブレーキアームが、印刷用紙ロールの回転の制動を解除するようにしたことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1の印刷装置において、
前記ブレーキアームが、印刷用紙ロールの外周面に当接するようにしたことを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項1の印刷装置において、
前記ブレーキアームが、印刷用紙ロールの側面に当接するようにしたことを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項1、請求項2または請求項3の印刷装置において、
前記印刷用紙ロールの径の大きさを検知する印刷用紙ロール径検知手段と、
前記印刷用紙ロール径検知手段が検知した印刷用紙ロールの径の大きさに基づいて前記テンションアームが印刷用紙を押圧する力を増減させる押圧力調整手段とを設けたことを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
ロール状に巻かれた印刷用紙ロールから引き出した印刷用紙をローラで挟持して搬送し、その印刷用紙に印刷する印刷装置において、
前記印刷用紙ロールと前記ローラとの間に配置され、印刷用紙ロールから引き出した印刷用紙に当接してその弛みを取るとともに印刷用紙ロールに当接およびその当接を解除させて印刷用紙ロールの回転を制動およびその制動を解除するブレーキテンションアームと、
前記印刷用紙ロールの径の大きさを検知する印刷用紙ロール径検知手段と、
前記印刷用紙ロール径検知手段が検知した印刷用紙ロールの径の大きさに基づいて前記ブレーキテンションアームが印刷用紙を押圧する力を増減させる押圧力調整手段とを設けたことを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
ロール状に巻かれた印刷用紙ロールから引き出した印刷用紙をローラで挟持して搬送し、その印刷用紙に印刷する印刷装置において、
前記印刷用紙ロールと前記ローラとの間に配置され、印刷用紙ロールから引き出した印刷用紙に当接してその弛みを取るテンションアームと、
前記テンションアームが、所定の押圧力を超えない押圧力で印刷用紙に当接するように制限する押圧力制限手段とを設けたことを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
請求項6の印刷装置において、
前記押圧力制限手段を、ワンウェイトルクリミッタとしたことを特徴とする印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−137805(P2008−137805A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−328425(P2006−328425)
【出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【出願人】(591089556)株式会社 沖情報システムズ (276)
【Fターム(参考)】