説明

印刷装置

【課題】印刷装置において、転写媒体に形成された画像と、被印刷体に印刷された画像を、簡単な構成で検査できるようにする。
【解決手段】転写媒体12に画像を形成する画像形成部15と、転写媒体12に形成した画像を被印刷体2に転写させる転写部16とを備えた構成において、転写媒体12の画像情報及び被印刷体2の画像情報を取得する画像情報取得部21と、画像情報取得部21によって取得された画像情報を検査する画像情報検査部23とを設けた。さらに、転写媒体12の画像情報を画像情報取得部21に取得させる転写媒体画像情報取得状態と、被印刷体2の画像情報を画像情報取得部21に取得させる被印刷体画像情報取得状態とを、切り換え部22によって切り換える構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写媒体を用いて被印刷体に画像を印刷する印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばIDカード、ICカード等の被印刷体に印刷を行う方法として、中間転写方式が知られている(特許文献1、2参照)。この方法は、先ず元画像(原稿画像)の画像情報に基づき、中間転写ベルト(転写媒体)上に画像を形成(一次転写)し、この画像を中間転写媒体から被印刷体に転写(二次転写)することにより、被印刷体に画像を印刷するものである。一次転写は、例えばインクシート、サーマルヘッド、プラテンローラ等を用いた熱転写方式、又は、感光体ドラム等を用いた電子写真方式等によって行われる。二次転写は、例えばヒートローラ等を用いて行われる。
【0003】
このような印刷方法では、例えば熱転写方式によって一次転写を行う場合、インクシートと中間転写ベルトとの間、サーマルヘッドとインクシートの裏側との間にごみ(塵埃)が挟まることにより、中間転写ベルト上の画像に不良(いわゆる転写抜け)が発生するおそれがある。そのような転写不良の画像が中間転写ベルトから被印刷体に二次転写されると、被印刷体に転写された画像も不良になる。即ち、印刷不良が生じ、被印刷体を無駄に廃棄処分することになり、経済性が悪くなる。特に、比較的高価な被印刷体(例えばICカード等の高機能なもの)に印刷を行う場合は、被印刷体の廃棄は製造コストの増大を招きやすいため、印刷不良の発生を極力排除することが望ましい。
【0004】
上記のような印刷不良を防止するため、一次転写の後、二次転写を行う前に、中間転写ベルトに形成された画像の画像情報を、撮像素子(CCDセンサ)を用いて取得し、CPU等によって元画像の画像情報と比較することで、画像を検査し、問題がないと判別された場合にのみ、二次転写を行う構成が提案されている(特許文献1参照)。また、二次転写後、被印刷体に印刷された画像の画像情報を取得し、画像を検査する構成も提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−283598号公報
【特許文献2】特開2005−271297号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の構成では、中間転写ベルト上の画像に問題が無いと判別されても、二次転写の際に印刷不良が生じるおそれがあり、そのような印刷不良を発見できず、印刷不良の被印刷体を次工程へ受け渡してしまうおそれがあった。なお、特許文献2の構成を特許文献1の構成に適用することで、被印刷体に印刷された画像の検査を可能にすることも考えられるが、この場合、印刷装置の部品点数の増加、構造の複雑化等を招き、印刷装置の小型化や低廉化を図ることが難しくなる懸念があった。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、転写媒体に形成された画像と、被印刷体に印刷された画像を、簡単な構成で検査できる印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明によれば、被印刷体に画像を印刷する印刷装置であって、転写媒体に画像を形成する画像形成部と、前記転写媒体に形成した画像を被印刷体に転写させる転写部と、前記転写媒体の画像情報及び前記被印刷体の画像情報を取得する画像情報取得部と、前記画像情報取得部によって取得された画像情報を検査する画像情報検査部とを備え、前記転写媒体の画像情報を前記画像情報取得部に取得させる転写媒体画像情報取得状態と、前記被印刷体の画像情報を前記画像情報取得部に取得させる被印刷体画像情報取得状態とを切り換える切り換え部を設けたことを特徴とする、印刷装置が提供される。
【0009】
前記切り換え部には、光を反射させる反射体を備えても良い。また、前記画像情報取得部には撮像素子を備え、前記撮像素子の受光部は、前記転写媒体に対して向かい合い、かつ、前記被印刷体に対して向かい合わない位置に設けても良い。そして、前記転写媒体画像情報取得状態においては、前記反射体は、前記転写媒体と前記受光部との間を光学的に遮断しない位置に配置され、かつ、前記被印刷体から前記反射体に向かう光を前記受光部に向かわない方向に反射させるように配置され、前記被印刷体画像情報取得状態においては、前記反射体は、前記転写媒体と前記受光部との間を光学的に遮断する位置に配置され、かつ、前記被印刷体から前記反射体に向かう光を前記受光部に向かう方向に反射させるように配置される構成としても良い。
【0010】
さらに、前記転写媒体を搬送する転写媒体搬送機構と、前記被印刷体を搬送する被印刷体搬送機構とを備えても良い。前記転写媒体搬送機構は、前記転写媒体に画像が形成される画像形成位置と、前記転写媒体の画像情報が前記画像情報取得部に取得される転写媒体画像情報取得位置と、前記転写媒体に形成された画像が前記被印刷体に転写される転写位置とに、前記転写媒体を移動させる構成としても良い。前記被印刷体搬送機構は、前記転写媒体から前記被印刷体に画像が転写される被転写位置と、前記被印刷体の画像情報が前記画像情報取得部に取得される被印刷体画像情報取得位置とに、前記被印刷体を移動させる構成としても良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、切り換え部の切り換えにより、転写媒体に形成された画像を検査可能な状態と、被印刷体に印刷された画像を検査可能な状態とを切り換えることができる。転写媒体の画像情報を取得する画像情報取得部と、被印刷体の画像情報を取得する画像情報取得部を、個別に設ける必要が無く、両者を兼用できる。即ち、部品点数が少ない簡単な構造で、転写媒体の画像だけでなく、被印刷体の画像も検査することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明にかかる実施形態を説明する。図1に示す印刷装置1は、被印刷体2(IDカード)に対して画像の印刷とラミネートフィルム3(保護層)によるラミネート処理を行う装置(IDカードプリンタ)である。この印刷装置1は、被印刷体2を搬送する被印刷体搬送機構11と、転写媒体としての中間転写ベルト12を搬送する転写媒体搬送機構13(ベルト搬送機構)とを備えている。また、中間転写ベルト12に設けられているラミネートフィルム3に画像を形成する一次転写を行う画像形成部15(一次転写部)と、中間転写ベルト12から被印刷体2に画像を転写させる二次転写、及び、被印刷体2にラミネートフィルム3を接着させるラミネート処理を行う転写部16(二次転写部)とを備えている。さらに、中間転写ベルト12(転写画像)の画像情報及び被印刷体2(印刷画像)の画像情報を取得する画像情報取得部21、中間転写ベルト12の画像情報を画像情報取得部21に取得させる状態(転写媒体画像情報取得状態)と被印刷体2の画像情報を画像情報取得部21に取得させる状態(被印刷体画像情報取得状態)とを切り換える切り換え部22、画像情報取得部21によって取得された画像情報を検査する画像情報検査部23を備えている。印刷装置1の各部の動作は、主制御部25(ホストコンピュータ)の制御命令によって制御される構成になっている。
【0013】
被印刷体2は、例えば合成樹脂等からなる略長方形の平板状をなし、表面(図1においては上面)に画像が印刷され、また、ラミネートフィルム3が接着されるようになっている。ラミネートフィルム3は、例えば合成樹脂等からなる透明フィルムである。
【0014】
被印刷体搬送機構11は、複数のフィードローラ31を備えている。フィードローラ31は、被印刷体2の搬送方向(被印刷体搬送方向D、図示の例では右側から左側に向かう横向きの方向)において複数並べて設けられており、また、上下方向において互いに対向する位置にそれぞれ設けられている。即ち、被印刷体2をフィードローラ31によって両面側(上下)から挟んで保持し、各フィードローラ31を回転させながら搬送する構成になっており、上下に対向するフィードローラ31同士の間に形成された隙間が、被印刷体2が通過する搬送路32となっている。また、図示はしないが、被印刷体搬送機構11には、フィードローラ31を回転させるローラ駆動機(例えば電気モータ、動力伝達系等を有する構成)が設けられている。
【0015】
搬送路32の途中には、被印刷体2に対して二次転写及びラミネート処理が行われる被転写位置としての処理位置PC1と、被印刷体2の画像情報が画像情報取得部21によって取得される被印刷体画像情報取得位置PC2が設けられている。即ち、印刷体搬送機構11は、被処理体2を処理位置PC1と被印刷体画像情報取得位置PC2に移動させるようになっている。処理位置PC1は、中間転写ベルト12の搬送経路の下方に設けられている。一方、被印刷体画像情報取得位置PC2は、処理位置PC1よりも左側(被印刷体搬送方向Dにおいて下流側)、また、中間転写ベルト12の搬送経路よりも左側(平面視において中間転写ベルト12に重ならない位置)に位置している。
【0016】
搬送路32の出口側(被印刷体画像情報取得位置PC2よりも左側)には、画像情報検査部23において問題が無いと判別された被印刷体2を回収する良品回収部33と、画像情報検査部23において問題があると判別された被印刷体2を回収する不良品回収部34が設けられている。
【0017】
図2に示すように、中間転写ベルト12は、ベルト本体36と、前述したラミネートフィルム3とを備えた二層構造になっている。ベルト本体36は、細長い帯状の透明シートによって形成されている。ラミネートフィルム3は、ベルト本体36の一面(表面)に複数枚、ベルト本体36の長さ方向において一列に並べて保持されている。
【0018】
図1に示すように、転写媒体搬送機構13は、中間転写ベルト12の基端部側(未使用の部分)を保持する繰り出しローラ41と、中間転写ベルト12の先端部側(使用済みの部分)を保持する巻き取りローラ42とを備えている。さらに、中間転写ベルト12をガイドする複数のガイドローラ43を備えている。また、図示はしないが、繰り出しローラ41、巻き取りローラ42を互いに同期させながら回転させるローラ駆動機(例えば電気モータ(DCモータあるいはステッピングモータ)、動力伝達系等を有する構成)が設けられている。
【0019】
繰り出しローラ41、巻き取りローラ42、ガイドローラ43は、中間転写ベルト12の搬送方向(第一の転写媒体搬送方向DB1、第二の転写媒体搬送方向DB2)に対して垂直な向き(横向き)にして備えられた回転中心軸を中心として、それぞれ回転可能に設けられている。ガイドローラ43は、中間転写ベルト12の搬送経路(長さ方向)において複数個所に設けられている。即ち、中間転写ベルト12は、これらのガイドローラ43に架け渡された状態で、所定の搬送経路に沿って配設されている。また、ベルト本体36を内側、ラミネートフィルム3を外側に向けた状態で配設されている。
【0020】
また、図示の例では、中間転写ベルト12は、繰り出しローラ41の外周面に巻き付けられ、繰り出しローラ41から右側に向かって引き出され、横向きに設けられており、その先端部側は、下方に向かって縦向きに延設されている。その下方においては、右側から左側に向かうように、横向きに方向転換されている。即ち、搬送路32の上方において、被印刷体搬送方向Dに対して略平行に設けられている。さらにその先端部側は、搬送路32側から上方に向かって立ち上げられるように、縦向きに設けられ、上端部分において、巻き取りローラ42の外周面に巻きつけられて保持されている。
【0021】
かかる転写媒体搬送機構13においては、繰り出しローラ41、巻き取りローラ42を所定方向(図示の例では左回転方向)に回転させることにより、中間転写ベルト12を第一の転写媒体搬送方向DB1に沿って搬送できるようになっている。第一の転写媒体搬送方向DB1は、繰り出しローラ41側から右向き、下向き、左向き(被印刷体搬送方向Dと同じ方向)、上向き(被印刷体搬送方向Dに対して略垂直方向)の順に方向転換される。また、繰り出しローラ41、巻き取りローラ42を前記所定方向とは逆方向(図示の例では右回転方向)に回転させることにより、中間転写ベルト12を第一の転写媒体搬送方向DB1に対して逆向きの搬送方向、即ち第二の転写媒体搬送方向DB2に搬送することもできる。第二の転写媒体搬送方向DB2は、巻き取りローラ42側から下向き、右向き、上向き、左向きの順に方向転換される。
【0022】
また、転写媒体搬送機構13は、中間転写ベルト12(ラミネートフィルム3)に一次転写が行われる画像形成位置PB1と、中間転写ベルト12の画像情報が画像情報取得部21によって取得される転写媒体画像情報取得位置PB2と、二次転写及びラミネート処理に用いられる転写位置PB3とに、中間転写ベルト12(ラミネートフィルム3)を移動させることができる。図示の例では、画像形成位置PB1は、中間転写ベルト12の基端部側(第一の転写媒体搬送方向DB1が右向きの部分)に位置している。転写媒体画像情報取得位置PB2は、中間転写ベルト12の先端部側(第一の転写媒体搬送方向DB1が上向きの部分)に位置しており、また、上方から見た平面視において、処理位置PC1と被印刷体画像情報取得位置PC2の間に位置している。なお、転写媒体画像情報取得位置PB2に配置された中間転写ベルト12は、搬送路32を通過する被印刷体2に対して略垂直に配置されるようになっている。転写位置PB3は、中間転写ベルト12の基端部側と先端部側との間(第一の転写媒体搬送方向DB1が左向きの部分)において、処理位置PC1の上方(平面視において処理位置PC1と重なる位置)に設けられている。因みに、画像形成位置PB1ではベルト本体36が下側、ラミネートフィルム3が上側に向けられ、転写媒体画像情報取得位置PB2ではベルト本体36が右側、ラミネートフィルム3が左側に向けられ、転写位置PB3ではベルト本体36が上側、ラミネートフィルム3が下側に向けられるようになっている。
【0023】
画像形成部15は、画像形成位置PB1に配置されたラミネートフィルム3に対して転写を行うように配置されており、公知の熱転写方式(熱昇華式又は熱溶融式)による転写を行う構成となっている。即ち、サーマルヘッド51、中間転写ベルト12を支持するプラテンローラ52、インクシート53を供給するインクシート繰り出しローラ55、インクシート53を巻き取るインクシート巻き取りローラ56を有している。
【0024】
サーマルヘッド51は、画像形成位置PB1に配置された中間転写ベルト12の表面側(上方)に設けられている。プラテンローラ52は、サーマルヘッド51に対して中間転写ベルト12を挟んで対向する位置、即ち、中間転写ベルト12の裏面側(下方)に設けられている。インクシート53は、インクシート繰り出しローラ55から引き出され、サーマルヘッド51と中間転写ベルト12の間に通されて、インクシート巻き取りローラ56に巻きつけられた状態で保持されている。また、図示はしないが、インクシート53の表面(中間転写ベルト12に対向する下面)には、複数種類のインク層として、例えばイエロー(Y)のインク層、マゼンタ(M)のインク層、シアン(C)のインク層が、インクシート53の長さ方向においてこの順に、繰り返し塗布されている。
【0025】
転写部16は、転写位置PB3に設けられた中間転写ベルト12から処理位置PC1に設けられた被印刷体2に対して転写が行われるように配置されている。この転写部16は、ヒートローラ65とプラテンローラ66(バックアップローラ)を備えている。ヒートローラ65は、転写位置PB3に位置する中間転写ベルト12の裏面側(上方)に設けられている。プラテンローラ66は、ヒートローラ65に対して中間転写ベルト12と搬送路32を挟んで対向する位置、即ち、搬送路32の下方に設けられており、処理位置PC1に配置された被印刷体2を下方から支持するようになっている。また、図示はしないが、転写部16には、ヒートローラ65、プラテンローラ66を駆動するローラ駆動機が設けられている。かかるローラ駆動機には、ヒートローラ65をプラテンローラ66に対して昇降(近接及び離隔)させる昇降機、ヒートローラ65あるいはプラテンローラ66を回転させる電気モータ等が備えられている。
【0026】
画像情報取得部21は、中間転写ベルト12に光を照射する転写媒体用光源71、被印刷体2に光を照射する被印刷体用光源72、撮像を行う撮影機73(カメラ)を備えている。
【0027】
転写媒体用光源71は、転写媒体画像情報取得位置PB2に配置された中間転写ベルト12に対して、中間転写ベルト12の表面側(左側)から光を照射するように配置されている。また、転写媒体画像情報取得位置PB2に配置された中間転写ベルト12の裏面側には、例えば白色面(画像を構成するインクとは異なる色彩を有する面)を有する補助板74が、中間転写ベルト12の裏面に白色面を近接させた状態で設けられている。このような補助板74を設けると、中間転写ベルト12を透過した光が、中間転写ベルト12の裏側に設置されている機器類等に照射されることを防止できる。即ち、中間転写ベルト12の裏側に設置されている機器類等が、中間転写ベルト12を通して撮影機73によって撮像されることを防止でき、中間転写ベルト12と白色面のみを撮像することができる。従って、中間転写ベルト12の画像情報を良好に取得できる。
【0028】
被印刷体用光源72は、被印刷体画像情報取得位置PC2に配置された被印刷体2に対して、被印刷体2の表面側(上方)から光を照射するように配置されている。
【0029】
撮影機73には、受光レンズ81(凸レンズ)、撮像素子(固体撮像素子)としてのCCDセンサ82(Charge Coupled Device Image Sensor)が備えられている。また、撮影機73は、画像情報検査部23に対して信号ライン等を介して接続されており、CCDセンサ82の検出信号によって得られた画像情報を、画像情報検査部23に対して送信するようになっている。
【0030】
受光レンズ81は、転写媒体画像情報取得位置PB2に配置された中間転写ベルト12の左方、かつ、搬送路32よりも上方に設けられている。受光レンズ81の光軸は、転写媒体画像情報取得位置PB2に配置された中間転写ベルト12に対して略垂直に交わるように、また、被印刷体画像情報取得位置PC2に配置された被印刷体2に対して略平行になるように設けられている。
【0031】
CCDセンサ82としては、例えばエリアセンサ(二次元イメージセンサ)を用いることができる。CCDセンサ82の受光部82a(受光面)は、転写媒体画像情報取得位置PB2に配置された中間転写ベルト12に対して、受光レンズ81を挟んで向かい合う位置、即ち、被印刷体画像情報取得位置PC2に配置された被印刷体2に対して向かい合わない位置に設けられている。また、受光レンズ81の光軸上に配置されている。
【0032】
切り換え部22は、光を反射させる反射体91(ミラー)と、撮影機73(受光レンズ81、受光部82a)に対する反射体91の配置を変える反射体移動機92を備えている。
【0033】
反射体91は、例えば略平板状をなしており、一方の平面は、光路を屈折させる反射面91aとなっているが、他方の平面(反射面91aの裏側)は、光路を遮断する遮断面91bとして機能する。また、反射体91は、平面視においては転写媒体画像情報取得位置PB2に配置された中間転写ベルト12と撮影機73との間、かつ、被印刷体画像情報取得位置PC2に配置された被印刷体2に重なる位置に備えられ、さらに、支持軸93(回転中心軸)を中心として回転可能に支持されている。この支持軸93は、受光レンズ81の光軸よりも上方かつ反射体91の左方に設けられている。
【0034】
反射体移動機92は、例えば電気モータ等を備えており、支持軸93を回転させることにより、反射体91を支持軸93と一体的に、支持軸93を中心として回転させる構成になっている。かかる反射体移動機92の作動により、反射体91は、受光レンズ81の光軸の上方に退避した位置に配置される第一の反射位置PR1(図1において実線で示した位置)と、受光レンズ81の光軸に対して交差する第二の反射位置PR2(第一の反射位置PR1から支持軸93を中心として下方に約45°回転させた位置、図1において一点鎖線で示した位置)とに移動することができる。これにより、転写媒体画像情報取得状態と被印刷体画像情報取得状態を、選択的に切り換えることができる。
【0035】
第一の反射位置PR1に配置された状態、即ち、転写媒体画像情報取得状態では、反射体91は、転写媒体画像情報取得位置PB2に配置された中間転写ベルト12と受光レンズ81(受光部82a)との間から退避する。換言すれば、当該中間転写ベルト12と受光レンズ81(受光部82a)との間を、光学的に遮断しないように配置される。反射面91aは下面となり、また、被印刷体画像情報取得位置PC2に配置された被印刷体2に対して略平行になる。即ち、被印刷体画像情報取得位置PC2に配置された被印刷体2から反射面91aに向かう光を下方に(受光レンズ81、受光部82aに向かわない方向に)向かって反射させるようになっている。
【0036】
第二の反射位置PR2に配置された状態、即ち、被印刷体画像情報取得状態では、反射体91は、第一の反射位置PR1よりも下方に位置し、転写媒体画像情報取得位置PB2に配置された中間転写ベルト12と受光レンズ81との間に侵入させられる。換言すれば、当該中間転写ベルト12と受光レンズ81(受光部82a)との間を、遮断面91bによって光学的に遮断するように配置される。反射面91aは、遮断面91bの左側に配置され、また、受光レンズ81の光軸に対して約45°をなすように、左上方から右下方に向かって傾斜した姿勢になる。即ち、被印刷体画像情報取得位置PC2に配置された被印刷体2から反射面91aに向かう光を、受光レンズ81(受光部82a)に向かって反射させるように配置される。
【0037】
画像情報検査部23は、主制御部25に対して信号ライン等を介して接続されており、主制御部25に記憶されている元画像の画像情報を、主制御部25から受信するように構成されている。この画像情報検査部23には、図示はしないが、例えばCPU(中央演算処理装置)、記憶媒体等が設けられている。記憶媒体には、予め設定された認識アルゴリズムに基づいて作成されたプログラムが記憶されている。即ち、画像情報検査部23は、プログラムを実行し、画像取得部73から受信した画像情報と元画像の画像情報を、認識アルゴリズムに従って比較することにより、撮影機73から受信した画像情報(中間転写ベルト12の画像情報又は被印刷体2の画像情報)の良否を判別する機能を有している。
【0038】
主制御部25は、例えば公知の汎用コンピュータ等によって構成されており、図示はしないが、CPU、記憶媒体等を有している。主制御部25の記憶媒体には、元画像の画像情報等が記憶される。また、主制御部25には、印刷装置1に設けられている各機能要素(例えば、被印刷体搬送機構11のローラ駆動機、転写媒体搬送機構13のローラ駆動機、画像形成部15のコントローラ、転写部16のローラ駆動機、転写媒体用光源71、被印刷体用光源72、切り換え部22の反射体移動機92等)が信号ライン等を介して接続されている。即ち、主制御部25から各機能要素に対して制御信号が送信され、かかる制御信号に従って各機能要素が作動し、これにより、印刷装置1全体の動作が自動的に制御されるようになっている。
【0039】
次に、以上のように構成された印刷装置1における印刷方法について説明する。先ず、転写媒体搬送機構13の駆動により、中間転写ベルト12が繰り出しローラ41から第一の転写媒体搬送方向DB1に沿って引き出され、画像形成位置PB1にラミネートフィルム3が供給される(図3参照)。そして、画像形成部15の作動により、一次転写、即ち、ラミネートフィルム3に対する印刷が行われる。
【0040】
かかる一次転写においては、図3に示すように、画像形成位置PB1に配置されているベルト本体36の裏面側に、プラテンローラ52が当接される。また、サーマルヘッド51の下降によって、インクシート53が裏面側(上面側)から押さえ付けられ、ラミネートフィルム3の被転写面(上面)に対して、インクシート53の表面に形成された3種類のインク層のうちいずれか1種、例えばイエローのインク層が当接させられる。こうして、中間転写ベルト12とインクシート53がプラテンローラ52とサーマルヘッド51との間に挟まれた状態で、中間転写ベルト12は第一の転写媒体搬送方向DB1(右向き)に移動させられ、インクシート53はインクシート繰り出しローラ55側からインクシート巻き取りローラ56側に、中間転写ベルト12に伴って移動させられる。また、サーマルヘッド51は、主制御部25に記憶されている元画像の画像情報に基づいて発熱させられる。即ち、インクシート53がサーマルヘッド51によって加熱されることで、中間転写ベルト12に近接させられているインク層のインクが昇華され、インクシート53の表面からラミネートフィルム3に熱転写される。これにより、ラミネートフィルム3上に単色画像(イエローの画像)が形成される。
【0041】
その後、サーマルヘッド51が上昇させられ、インクシート53が中間転写ベルト12から一旦離隔させられ、中間転写ベルト12が第二の転写媒体搬送方向DB2(左向き)に移動させられ、元の位置に戻される。次に、サーマルヘッド51の下降によって、単色画像が形成されたラミネートフィルム3に、他の種類のインク層、例えばマゼンタのインク層が当接させられる。そして、上述したイエローのインクと同様にして、マゼンタのインクが熱転写される。その後、同様にシアンのインクが熱転写される。こうして、中間転写ベルト12は、画像形成位置PB1において第一の転写媒体搬送方向DB1、第二の転写媒体搬送方向DB2に沿って複数回往復移動させられ、ラミネートフィルム3上には、元画像の画像情報に基づいて、イエローの単色画像、マゼンタの単色画像、シアンの単色画像が重ねて形成される。これにより、ラミネートフィルム3上にカラー画像が形成され、一次転写が終了する。
【0042】
画像形成部15による一次転写が終了すると、画像が形成されたラミネートフィルム3は、第一の転写媒体搬送方向DB1に搬送され、後述する二次転写に用いられる前に、図4に示すように、転写媒体画像情報取得位置PB2に移動させられ、ここで画像の検査が行われる。転写媒体画像情報取得位置PB2においては、ベルト本体36の裏面に補助板74が近接させられ、中間転写ベルト12には、転写媒体用光源71から発光された光が照射される。すると、中間転写ベルト12から受光レンズ81(受光部82a)に向かって光が反射される。即ち、ラミネートフィルム3にインクが転写されている部分(透明でない部分)においては、インクの色彩(種類)に応じた波長の光が反射される。インクが転写されていない部分(透明な部分)においては、補助板74の色彩に応じた波長の光が反射され、中間転写ベルト12を透過して、受光レンズ81に向かって出射される。
【0043】
一方、かかる画像の検査を行う際、切り換え部22は転写媒体画像情報取得状態にされる。即ち、反射体91は第一の反射位置PR1に配置される。従って、転写媒体画像情報取得位置PB2に配置されたラミネートフィルム3と受光レンズ81との間は、光学的に遮断されておらず、中間転写ベルト12から反射された光は、反射体91の下方を通過して、受光レンズ81に入射する。そして、受光レンズ81によって集束され、CCDセンサ82の受光部82aによって受光される。こうして、CCDセンサ82によって光が検出され、光電変換が行われることにより、ラミネートフィルム3に形成されている画像に応じた電気信号、即ち、ラミネートフィルム3(中間転写ベルト12)の画像情報が取得される。
【0044】
なお、ラミネートフィルム3の画像情報を取得する間に、例えば被印刷体用光源72から被印刷体画像情報取得位置PC2に向かって光が照射されたとしても、この転写媒体画像情報取得状態においては、被印刷体画像情報取得位置PC2から上方に向かう光が受光レンズ81に入射することはなく、CCDセンサ82に受光されることもない。即ち、被印刷体画像情報取得位置PC2から上方に向かう光は、受光レンズ81に入射しないように、反射面91aによって下方に反射される。従って、例えば被印刷体画像情報取得位置PC2に位置する被印刷体2の画像情報等が混合して取得されるおそれは無く、ラミネートフィルム3の画像情報を選択的に、正確に取得することができる。
【0045】
こうして画像情報取得部21によって取得された画像情報は、画像情報検査部23に送られ、画像情報検査部23において、元画像の画像情報と比較される。これにより、画像情報の良否(転写不良の有無)が判別され、その検査結果が主制御部25に送信される。主制御部25は、検査結果に基づいて、転写媒体搬送機構13の駆動等を制御する。即ち、検査の結果、画像情報に問題が無いと判別された場合は、その画像が形成されているラミネートフィルム3は、図5に示すように、転写媒体画像情報取得位置PB2から第二の転写媒体搬送方向DB2に沿って移動させられ、転写位置PB3の右側(ヒートローラ65、プラテンローラ66よりも右側、二次転写の開始位置)に供給される。そして、後述する二次転写に用いられる。一方、画像情報に問題がある(転写不良がある)と判別された場合は、その画像が形成されているラミネートフィルム3は、後述する二次転写に用いられることはない。この場合、画像が形成された他のラミネートフィルム3が、転写媒体画像情報取得位置PB2に移動させられ、上述した方法と同様にして、画像の検査が行われ、その結果、画像情報に問題が無いと判別された場合は、そのラミネートフィルム3が転写位置PB3に供給され、後述する二次転写に用いられる。即ち、転写画像の画像情報に問題が無いと判別されたラミネートフィルム3のみが、後述する二次転写に用いられる。
【0046】
以上のようにして、ラミネートフィルム3に対して一次転写、画像の検査等が行われる一方で、被印刷体搬送機構11においては、被印刷体搬送機構11の搬入側(図示の例では右側)からフィードローラ31の間に、被印刷体2が搬入される。被印刷体2は、略水平に保持されながら、フィードローラ31の回転によって被印刷体2の長さ方向(被印刷体搬送方向D)に搬送され、処理位置PC1の右側(ヒートローラ65、プラテンローラ66よりも右側、二次転写の開始位置)に供給される。
【0047】
こうして、被印刷体2が処理位置PC1の右側に配置され、画像検査機構21による検査が行われたラミネートフィルム3が転写位置PB3の右側に配置されると、転写部16の作動により、二次転写とラミネート処理が開始される。二次転写においては、図6に示すように、被印刷体2は被印刷体搬送方向Dに移動させられて処理位置PC1に供給され、被印刷体2の下面に対してプラテンローラ66が当接させられる。また、ヒートローラ65が下降して、転写位置PB3に供給された中間転写ベルト12のベルト本体36に、上方から当接させられる。中間転写ベルト12は、ヒートローラ65によって押し下げられ、被印刷体2に接触させられる。こうして、被印刷体2と中間転写ベルト12が、プラテンローラ66とヒートローラ65との間に挟み込まれ、被印刷体2に対してラミネートフィルム3の下面が押さえ付けられ、ヒートローラ65によって加熱押圧される。すると、ラミネートフィルム3は、被印刷体2の上面に対して加熱圧着され、ベルト本体36から剥離して、被印刷体2と共に移動する。また、ラミネートフィルム3の下面に形成されていた画像が、被印刷体2の上面に熱転写される。即ち、被印刷体2のラミネート処理と二次転写が並行して行われる。こうして、中間転写ベルト12と被搬送体2が互いに同じ速度で搬送され、ヒートローラ65によって加熱押圧が連続的に行われることにより、ラミネートフィルム3は、被印刷体2に対して左端部側から右端部側に向かって次第に接着させられていく。
【0048】
転写部16によるラミネート処理及び二次転写が終了すると、被印刷体2は、図7に示すように、処理位置PC1から被印刷体画像情報取得位置PC2に移動させられる。そして、被印刷体2に印刷された画像の検査(最終検査)が行われる。被印刷体画像情報取得位置PC2においては、被印刷体2に対して被印刷体用光源72から発光された光が照射される。すると、被印刷体2から上方(反射体91)に向かって光が反射される。即ち、被印刷体用光源72から発光された光が、ラミネートフィルム3を透過して被印刷体2の上面に照射され、インクが転写されていない部分とインクが転写されている部分から、それぞれの色彩に応じた波長の光が反射され、ラミネートフィルム3を透過して出射する。
【0049】
一方、この最終検査においては、切り換え部22は被印刷体画像情報取得状態に切り換えられる。即ち、反射体91が第二の反射位置PR2に配置される。従って、被印刷体2から反射された光は、反射面91aによって左側に向かって反射され、受光レンズ81に入射し、CCDセンサ82に受光される。こうして、被印刷体2の画像情報が取得される。
【0050】
なお、被印刷体2の画像情報を取得する間に、例えば転写媒体用光源71から転写媒体画像情報取得位置PB2に向かって光が照射されたとしても、被印刷体画像情報取得状態においては、転写媒体画像情報取得位置PB2から受光レンズ81側に向かう光が、受光レンズ81に入射することはなく、CCDセンサ82に受光されることもない。即ち、転写媒体画像情報取得位置PB2から受光レンズ81側に向かう光は、遮断面91bによって遮断される。従って、例えば転写媒体画像情報取得位置PB2に位置する中間ベルト12の画像情報等が混合して取得されるおそれは無く、被印刷体2の画像情報を選択的に、正確に取得することができる。
【0051】
画像情報取得部21によって取得された画像情報は、画像情報検査部23に送られ、元画像の画像情報と比較される。これにより、被印刷体2の画像情報の良否(印刷不良の有無)が判別され、その検査結果が主制御部25に送信される。主制御部25は、検査結果に基づいて、被印刷体搬送機構11の駆動等を制御する。即ち、検査の結果、画像情報に問題が無いと判別された場合は、その画像が形成されている被印刷体2は、搬送路32から搬出された後、良品回収部33に送られる。画像情報に問題があると判別された場合は、その画像が形成されている被印刷体2は、搬送路32から搬出された後、不良品回収部34に送られる。
【0052】
こうして、印刷装置1においては、被印刷体2を連続的に製造することができる。使用済みの中間転写ベルト12(ベルト本体36と、転写不良のラミネートフィルム3)は、巻き取りローラ42によって巻き取られることにより回収される。
【0053】
以上に説明したように、かかる印刷装置1によれば、切り換え部22の切り換えにより、中間転写ベルト12に形成された画像を検査できる状態(転写媒体画像情報取得状態)と、被印刷体2に印刷された画像を検査できる状態(被印刷体画像情報取得状態)とを切り換えることができる。即ち、中間転写ベルト12に対する転写不良も被印刷体2に対する印刷不良も、確実に識別することができ、ひいては、印刷装置1による印刷処理の信頼性を高めることができる。
【0054】
また、中間転写ベルト12の画像情報を取得する画像情報取得部と、被印刷体2の画像情報を取得する画像情報取得部を、個別に設ける必要が無く、両者を兼用できる。即ち、一台の撮影機73で、中間転写ベルト12の画像情報と被印刷体2の画像情報を選択的に取得できる。さらに、中間転写ベルト12の画像情報を検査する画像情報検査部と、被印刷体2の画像情報を検査する画像情報検査部を、個別に設ける必要が無く、一個の画像情報検査部23によって両者を兼用できる。従って、部品点数(撮影機の台数、画像情報検査部の個数)等が少ない簡単な構造にすることができる。ひいては、印刷装置1の小型化、低廉化を図ることができる。
【0055】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0056】
例えば、以上の実施形態では、画像形成部15における一次転写は、熱転写方式によって行うとしたが、かかるものに限定されず、様々な方式によって行うことができる。例えば感光体ドラム等を用いた電子写真方式等によって行っても良い。
【0057】
また、一次転写において用いられるインク(インクシート53に塗布されているインク)は、イエロー、マゼンタ、シアンの3色であるとしたが、インクの組み合わせはこれらには限定されず、例えば3色以外の複数色(例えばイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(K)の4色)であっても良い。また、単色のインクのみであっても良い。即ち、印刷装置1は、カラー印刷を行うものであっても良いし、モノクロ印刷を行うものであっても良い。
【0058】
また、被印刷体2や中間転写ベルト12の構成も、以上の実施形態には限定されない。例えば被印刷体2は、IDカードには限定されず、ICチップ(集積回路)を備えたICカード、その他のカード類であっても良く、さらに、コピー紙等の紙類、パスポート等の冊子状のもの、樹脂フィルム等であっても良い。中間転写ベルト12は、ラミネートフィルム3を備えないものでも良い。即ち、画像形成部15においては、ベルト本体36の表面に対して直接的に一次転写を行い、転写部16においては、ラミネート処理等は行わず、ベルト本体36から被印刷体2に対する画像の二次転写のみを行うようにしても良い。
【0059】
中間転写ベルト12、被印刷体2、受光レンズ81の間における光学系の構成や、切り換え部22による切り換えの方法は、以上の実施形態に示したものには限定されない。例えば受光レンズ81(受光部82a)は、中間転写ベルト12に対して向かい合う位置ではなく、図8に示すように、被印刷体2に対して向かい合う位置に配置しても良い。そして、転写媒体画像情報取得状態においては、反射体91が被印刷体2と受光レンズ81の間を光学的に遮断し、中間転写ベルト12から反射体91に向かう光が受光レンズ81に向かって反射される構成としても良い。被印刷体画像情報取得状態においては、反射体91が被印刷体2と受光レンズ81の間を光学的に遮断しないように配置され、中間転写ベルト12から反射体91に向かう光が受光レンズ81に向かわない方向に反射される構成としても良い。
【0060】
また、撮影機73は、受光レンズ81と撮像素子としてCCDセンサ82(エリアセンサ)を備える構成としたが、撮影機73の構造や撮像素子の種類はかかるものに限定されない。例えば撮像素子は、一次元イメージセンサ(ラインセンサ、リニアセンサ)であっても良い。その場合、画像情報を取得する際は、中間転写ベルト12又は被印刷体2を撮像素子に対して移動させながら(即ち、撮像素子が中間転写ベルト12又は被印刷体2を相対的に走査(スキャン)するように制御しながら)、連続的に撮像を行えば良い。これにより、二次元の画像情報を取得することができる。
【0061】
以上の実施形態では、画像情報検査部23において画像情報に問題があると判別されたラミネートフィルム3は、二次転写に用いられず、巻き取りローラ42によって回収されるとしたが、例えば、ラミネートフィルム3に形成された画像を修復して、正常な画像に直し、二次転写に用いることができる構成にしても良い。例えば、画像情報検査部23において画像情報に問題があると判別されたラミネートフィルム3を、転写媒体画像情報取得位置PB2から画像形成位置PB1に戻し、画像形成部15において、当該ラミネートフィルム3に対して修復用画像を追加して転写するようにしても良い。なお、そのような修復用画像は、例えば画像情報検査部23において認識された画像情報(元画像の画像情報とラミネートフィルム3の画像情報との差分)を利用して、公知の方法で生成することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、印刷装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本実施形態にかかる印刷装置の構成を説明する説明図である。
【図2】中間転写ベルトの構成を説明する斜視図である。
【図3】ラミネートフィルムに一次転写を行う工程における印刷装置の状態を示した説明図である。
【図4】ラミネートフィルムに形成された画像の検査を行う工程における印刷装置の状態を示した説明図である。
【図5】ラミネートフィルムを転写位置PB3に移動させる工程を示した説明図である。
【図6】二次転写及びラミネート処理を行う工程を示した説明図である。
【図7】被印刷体に印刷された画像の検査を行う工程における印刷装置の状態を示した説明図である。
【図8】別の実施形態にかかる印刷装置を示した説明図である。
【符号の説明】
【0064】
B1 画像形成位置
B2 転写媒体画像情報取得位置
B3 転写位置
C1 処理位置(被転写位置)
C2 被印刷体画像情報取得位置
1 印刷装置
2 被印刷体
3 ラミネートフィルム
11 被印刷体搬送機構
12 中間転写ベルト(転写媒体)
13 転写媒体搬送機構
15 画像形成部
16 転写部
21 画像情報取得部
22 切り換え部
23 画像情報検査部
36 ベルト本体
82 CCDセンサ
82a 受光部
91 反射体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印刷体に画像を印刷する印刷装置であって、
転写媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記転写媒体に形成した画像を被印刷体に転写させる転写部と、
前記転写媒体の画像情報及び前記被印刷体の画像情報を取得する画像情報取得部と、
前記画像情報取得部によって取得された画像情報を検査する画像情報検査部とを備え、
前記転写媒体の画像情報を前記画像情報取得部に取得させる転写媒体画像情報取得状態と、前記被印刷体の画像情報を前記画像情報取得部に取得させる被印刷体画像情報取得状態とを切り換える切り換え部を設けたことを特徴とする、印刷装置。
【請求項2】
前記切り換え部は、光を反射させる反射体を備えることを特徴とする、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記画像情報取得部は撮像素子を備え、
前記撮像素子の受光部は、前記転写媒体に対して向かい合い、かつ、前記被印刷体に対して向かい合わない位置に設けられ、
前記転写媒体画像情報取得状態においては、前記反射体は、前記転写媒体と前記受光部との間を光学的に遮断しない位置に配置され、かつ、前記被印刷体から前記反射体に向かう光を前記受光部に向かわない方向に反射させるように配置され、
前記被印刷体画像情報取得状態においては、前記反射体は、前記転写媒体と前記受光部との間を光学的に遮断する位置に配置され、かつ、前記被印刷体から前記反射体に向かう光を前記受光部に向かう方向に反射させるように配置されることを特徴とする、請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記転写媒体を搬送する転写媒体搬送機構と、前記被印刷体を搬送する被印刷体搬送機構とを備え、
前記転写媒体搬送機構は、前記転写媒体に画像が形成される画像形成位置と、前記転写媒体の画像情報が前記画像情報取得部に取得される転写媒体画像情報取得位置と、前記転写媒体に形成された画像が前記被印刷体に転写される転写位置とに、前記転写媒体を移動させ、
前記被印刷体搬送機構は、前記転写媒体から前記被印刷体に画像が転写される被転写位置と、前記被印刷体の画像情報が前記画像情報取得部に取得される被印刷体画像情報取得位置とに、前記被印刷体を移動させることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−246707(P2008−246707A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−87678(P2007−87678)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000001225)日本電産コパル株式会社 (755)
【Fターム(参考)】