説明

印刷装置

【課題】原稿においてマーキングペンでのマークやカラーペンでの加筆がされた箇所がある重要ページが印刷された用紙をユーザに簡単に識別させる。
【解決手段】印刷装置1は、原稿の画像を読み取る画像読取部2と、画像読取部2で読み取った原稿の画像データに基づいてページごとに重要ページであるか否かを判定する判定部31と、画像読取部2で読み取った原稿の画像を印刷媒体に印刷する印刷部5と、重要ページが印刷された印刷媒体に付箋を貼付する付箋供給部6とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙等に印刷を行う印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、印刷装置においてコピー機能により印刷を行う場合、原稿の画像をスキャナで読み取って印刷を行う(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ユーザは、マーキングペン(蛍光ペン等)でマークをしたり、赤ペン等のカラーペンで加筆したりしたページを含む原稿を、スキャナで読み取らせてコピーすることがある。そして、このような原稿をコピーしたときに、マークや加筆された箇所があるページが印刷された用紙を重要ページとして識別したい場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−357010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数ページの原稿をコピーした場合、原稿に上記のようにマークや加筆された箇所がある重要ページが含まれていても、他のページの印刷物とともに排紙台上に積載されるため、ユーザは重要ページが印刷された用紙を簡単に識別することができなかった。
【0006】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、原稿においてマーキングペンでのマークやカラーペンでの加筆がされた箇所がある重要ページが印刷された用紙をユーザに簡単に識別させることができる印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る印刷装置の第1の特徴は、原稿の画像を読み取る画像読取部と、前記画像読取部で読み取った原稿の画像データに基づいてページごとに重要ページであるか否かを判定する判定部と、前記画像読取部で読み取った原稿の画像を印刷媒体に印刷する印刷部と、前記重要ページが印刷された印刷媒体に識別体を載置する識別体供給部とを備えることにある。
【0008】
本発明に係る印刷装置の第2の特徴は、前記判定部は、モノクロ原稿として読み取った原稿の画像データにおいて、所定数以上のカラー画素が含まれるページを前記重要ページと判定することにある。
【0009】
本発明に係る印刷装置の第3の特徴は、前記判定部は、原稿の画像データにおいて所定の色相のカラー画素で囲まれる所定の大きさ以上の領域を有するページを前記重要ページと判定することにある。
【0010】
本発明に係る印刷装置の第4の特徴は、前記識別体は、印刷媒体に対する接着性を有する接着部を有し、前記識別体供給部は、前記識別体を印刷媒体に接着することにある。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る印刷装置の第1の特徴によれば、原稿においてマーキングペンでのマークやカラーペンでの加筆がされた箇所がある重要ページが印刷された用紙をユーザに簡単に識別させることができる。
【0012】
本発明に係る印刷装置の第2の特徴によれば、モノクロ原稿として読み取った原稿においてマーキングペンでのマークやカラーペンでの加筆がされた箇所があるページを重要ページと判定することができる。
【0013】
本発明に係る印刷装置の第3の特徴によれば、所定の色相のマーキングペンでマークされた領域を有するページを重要ページと判定することができる。
【0014】
本発明に係る印刷装置の第4の特徴によれば、識別体の脱落を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に係る印刷装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る印刷装置の外観図である。
【図3】付箋供給部の概略構成図である。
【図4】用紙に付箋が貼付された状態を示す図である。
【図5】画素の彩度および色相角の算出方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。以下の図面の記載においては、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、構成部品の構造、配置等を下記のものに特定するものではない。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態に係る印刷装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように本実施の形態に係る印刷装置1は、画像読取部2と、画像処理部3と、操作入力部4と、印刷部5と、付箋供給部6と、制御部7とを備える。
【0018】
画像読取部2は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサを有し、原稿を光学的に読み取り、読み取った原稿の画像データを出力する。
【0019】
画像処理部3は、画像読取部2で読み取って得られたR(赤)、G(緑)、B(青)の画像データを、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の画像データに変換するとともに、印刷部5が解釈可能なデータに変換する処理等を行う。
【0020】
また、画像処理部3は、読み取った原稿の画像データにおける各ページが重要ページであるか否かを判定する判定部31を有する。本実施の形態では、ユーザがマーキングペン(蛍光ペン等)でマークをしたり、赤ペン等のカラーペンで加筆したりしたページを重要ページとする。判定部31は、画像データにおける各画素がカラー画素であるか否かを判定し、この判定結果を用いて、各ページが重要ページであるか否かを判定する。
【0021】
操作入力部4は、各種操作キーと、タッチパネル(いずれも図示せず)とを備え、ユーザの操作を受け付け、ユーザ操作に基づく操作信号を制御部7に出力する。
【0022】
印刷部5は、インクジェット方式等の印刷機構を有し、印刷媒体である用紙に画像を形成する。
【0023】
付箋供給部6は、図2に示すように、印刷装置1の印刷物が積載される排紙部8に設けられ、重要ページが印刷された用紙をユーザに識別させるための識別体としての付箋を供給する。
【0024】
図3は、付箋供給部6の概略構成図である。図3に示すように、付箋供給部6は、ロール状に巻かれたテープ61を引き出して搬送する一対のローラ62を備える。テープ61は、図示下側の面(下面)に、加熱により軟化して用紙に対する接着性を生じる接着剤の層(図示せず)を有する。接着剤としては、用紙に接着しても、その後容易に剥がすことができ、しかも用紙側に接着剤が残らないようなものを用いることが好ましい。
【0025】
ローラ62に対してテープ61の搬送方向の下流側には、テープ61下面の一部を加熱してテープ61に接着部を形成する加熱部63と、テープ61を切断するカッター部64とが設けられている。加熱部63は、図示しない駆動機構によりテープ61に対して接離可能に構成されている。
【0026】
カッター部64は、移動刃64aと、移動刃64aに対向して設けられた固定刃64bと、移動刃64aを移動させるカッターソレノイドSLAとを有する。カッター部64は、所定長さのテープ61の搬送が終了すると、カッターソレノイドSLAに接続された移動刃64aを駆動してテープ61を切断し、接着部が形成された所定長さのテープ61からなる付箋61aを形成する。付箋61aは排紙部8の排紙台上に排出された、重要ページが印刷された用紙P上に載置される。
【0027】
カッター部64に対してテープ61の搬送方向の下流側には、付箋61aを用紙Pに接着させるためのローラ65が設けられている。ローラ65は、図示しない駆動機構により用紙Pの紙面に対する垂直方向および平行方向に移動可能に構成されており、付箋61aを用紙Pに押圧して接着させる。これにより、図4に示すように、用紙Pに付箋61aが貼付される。付箋61aは用紙Pに接着されているので容易には脱落しない。
【0028】
制御部7は、CPU(Central Processing Unit)、CPUの制御プログラム等を格納するメモリ(いずれも図示せず)等から構成され、CPUが制御プログラムに応じた処理を行うことによって、印刷装置1全体の動作を制御するものである。
【0029】
印刷装置1では、ユーザが操作入力部4を操作することにより、原稿においてマーキングペンでのマークやカラーペンでの加筆がされているページである重要ページを印刷した用紙に付箋を貼付するように設定することができる。この付箋貼付設定においては、ユーザが画像読取部2に読み取らせてコピーしようとする読み取り対象の原稿がモノクロ原稿であるかカラー原稿であるかを予め指定しておく。なお、このモノクロ/カラー原稿の指定とは別に、読み取った原稿をモノクロ印刷するかカラー印刷するかを設定することができる。
【0030】
以下、重要ページに付箋を貼付する設定であるときの印刷装置1の動作を説明する。
【0031】
画像読取部2は、原稿を読み取り画像データを出力する。画像処理部3は、画像読取部2から入力されるR,G,Bの画像データをC,M,Y,Kの画像データに変換するとともに、印刷部5で解釈可能なデータに変換する処理等を行う。なお、モノクロ印刷設定がされている場合は、画像処理部3は、R,G,Bの画像データをKのみの画像データに変換する。
【0032】
また、画像処理部3は、判定部31において、各ページが重要ページであるか否かの判定を行う。
【0033】
ここで、ユーザにより読み取り対象の原稿がモノクロ原稿と指定されている場合、判定部31は、画像データにおける各画素がカラー画素であるか否かを判定し、所定数以上のカラー画素が含まれるページを重要ページと判定する。
【0034】
カラー画素の判定方法の一例を説明する。判定部31は、所定の処理が施されたR,G,Bの画像データをY,Cb,Crのデータに変換し、YCbCr空間のCbCr平面においてプロットした画素を示す点と、CbCr平面の原点との間の距離を、画素の彩度として算出する。なお、Yは輝度値、Cb,Crは色差値である。
【0035】
図5に示すような、Cb値がCb1、Cr値がCr1である画素Aの彩度Sは、以下の(数式1)で算出される。
【0036】
S=(Cr1+Cb11/2 …(数式1)
判定部31は、上記(数式1)により算出した彩度Sが、予め設定された閾値S1より大きい画素をカラー画素と判定する。
【0037】
そして、判定部31は、1ページ内に予め設定された所定数以上のカラー画素が含まれるページを重要ページと判定する。このようにして、モノクロ原稿として読み取った原稿においてマーキングペンでのマークやカラーペンでの加筆がされた箇所があるページを重要ページと判定することができる。
【0038】
一方、ユーザにより読み取り対象の原稿がカラー原稿と指定されている場合、判定部31は、画像データにおける各画素がカラー画素であるか否かを判定するとともに、各カラー画素の色相を求め、所定の色相のカラー画素で囲まれる所定の大きさ以上の領域を有するページを重要ページと判定する。
【0039】
この場合、判定部31は、上述したモノクロ原稿指定の場合と同様の方法により各画素がカラー画素であるか否かを判定する。また、判定部31は、CbCr平面における画素を示す点とCbCr平面の原点とを結ぶ線と、Cb軸とのなす角を、画素の色相角として算出する。図5の画素Aの色相角θは、以下の(数式2)で算出される。
【0040】
θ=tan−1(Cr1/Cb1) …(数式2)
なお、図5に示すCbCr平面において各色相R,G,B,C,M,Yは色相角により分けられ、それぞれの色相角範囲は予め決められたものである。例えば、R:20°〜70°、Y:70°〜110°、G:110°〜190°、C:190°〜240°、B:240°〜330°、M:330°〜20°である。
【0041】
判定部31は、カラー画素の判定結果および色相角の算出結果に基づいて、予め設定された所定の色相(例えばY)に属するカラー画素で囲まれる所定の大きさ以上の領域を有するページを重要ページと判定する。このようにして、所定の色相のマーキングペンでマークされた領域を有するページを重要ページと判定することができる。
【0042】
なお、モノクロ原稿指定の場合でも、上記カラー原稿指定の場合と同様に、所定の色相のカラー画素で囲まれる所定の大きさ以上の領域を有するページを重要ページと判定するようにしてもよい。以上が重要ページの判定方法の説明である。
【0043】
制御部7は、画像処理部3から入力される画像データに基づき、印刷を行うよう印刷部5を制御する。この際、制御部7は、判定部31により重要ページと判定されたページを印刷すると、印刷処理を一時的に中断し、付箋供給部6を制御して重要ページが印刷された用紙Pに付箋61aを貼付する。
【0044】
上記説明のように本実施の形態によれば、画像読取部2で読み取った原稿の各ページが、マーキングペンでのマークやカラーペンでの加筆がある重要ページであるか否かを判定し、重要ページが印刷された用紙Pに付箋61aを貼付するので、ユーザは、排紙台上に積載された印刷物の中から、重要ページが印刷された用紙Pを簡単に識別することができる。
【0045】
なお、本実施の形態では、付箋供給部6において接着部を有する付箋61aを用紙Pに貼付したが、識別体は用紙Pに接着する形態に限らず、例えば、接着部のないテープを識別体として重要ページが印刷された用紙P上に載置するようにしてもよい。
【0046】
また、本実施の形態では、R,G,Bの画像データをY,Cb,Crのデータに変換し、これを用いて各画素の彩度Sおよび色相角θを算出する例を示したが、Y,Cb,Crのデータのかわりに、L表示系のL,a,bのデータに変換し、これを用いて各画素の彩度Sおよび色相角θを算出するようにしてもよい。
【0047】
また、本実施の形態では、印刷装置1に付箋供給部6が設けられている形態を示したが、印刷装置1に接続されるフィニッシャ装置に本実施の形態の付箋供給部6を設け、このフィニッシャ装置の付箋供給部6を用いて付箋61aを供給するようにしてもよい。また、本実施の形態の付箋供給部6と同様の機能を有する独立した付箋供給装置を印刷装置1に接続し、この付箋供給装置を用いて付箋61aを供給するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 印刷装置
2 画像読取部
3 画像処理部
4 操作入力部
5 印刷部
6 付箋供給部
7 制御部
8 排紙部
61 テープ
61a 付箋
62 ローラ
63 加熱部
64 カッター部
65 ローラ
P 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部で読み取った原稿の画像データに基づいてページごとに重要ページであるか否かを判定する判定部と、
前記画像読取部で読み取った原稿の画像を印刷媒体に印刷する印刷部と、
前記重要ページが印刷された印刷媒体に識別体を載置する識別体供給部と
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記判定部は、モノクロ原稿として読み取った原稿の画像データにおいて、所定数以上のカラー画素が含まれるページを前記重要ページと判定することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記判定部は、原稿の画像データにおいて所定の色相のカラー画素で囲まれる所定の大きさ以上の領域を有するページを前記重要ページと判定することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記識別体は、印刷媒体に対する接着性を有する接着部を有し、
前記識別体供給部は、前記識別体を印刷媒体に接着することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の印刷装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−133526(P2011−133526A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−290300(P2009−290300)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】