印刷装置
【課題】解凍後の画像データについて効率よく部分印刷を実行可能な印刷装置を提供する。
【解決手段】印刷装置は、各画像データごとに、先頭ラインからの印刷不要範囲に関する指定情報を取得する取得部と、第1解凍回路72及び第2解凍回路73の一方の解凍部が、一の画像データに対する解凍処理を完了する前に、他方の解凍部が、次の画像データのうち前記印刷不要範囲に対する解凍処理を開始し、印刷部37が、印刷不要範囲内のラインデータに基づく印刷を実行しないよう、並列解凍制御を実行する。
【解決手段】印刷装置は、各画像データごとに、先頭ラインからの印刷不要範囲に関する指定情報を取得する取得部と、第1解凍回路72及び第2解凍回路73の一方の解凍部が、一の画像データに対する解凍処理を完了する前に、他方の解凍部が、次の画像データのうち前記印刷不要範囲に対する解凍処理を開始し、印刷部37が、印刷不要範囲内のラインデータに基づく印刷を実行しないよう、並列解凍制御を実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮データを解凍する解凍部を有する印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置には、解凍回路を備え、圧縮された画像データ(以下、圧縮データという)を、この解凍回路により解凍し、解凍後の画像データに基づき印刷処理を行うことが可能なものがある(特許文献1参照)。具体的には、解凍回路は、上記画像データを構成する各ラインデータを、それよりも先に解凍されたラインデータ及び上記圧縮データ(例えば各ラインデータと先に解凍されたラインデータとの差異データ)に基づき生成していく。そして、印刷装置は、生成された各ラインデータに基づきシートに画像を印刷する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−103113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の上記印刷装置は、圧縮データを解凍した後の画像データに基づく全体画像をそのまま印刷するものであり、当該全体画像の一部だけを印刷する、部分印刷を実行することができなかった。このため、このような解凍後の画像データを部分印刷する際の具体的に処理については、なおさら十分な検討がされていなかった。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、解凍後の画像データについて効率よく部分印刷を実行可能な印刷装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための手段として、第1発明に係る印刷装置は、画像データを構成する各ラインデータを、それよりも前のラインデータ及び圧縮データに基づき生成していく解凍処理を行う第1解凍部及び第2解凍部と、前記第1解凍部及び前記第2解凍部の少なくとも一方により生成されたラインデータに基づきシートに画像を印刷する印刷部と、前記各画像データごとに、先頭ラインからの印刷不要範囲に関する指定情報を取得する取得部と、前記第1解凍部及び前記第2解凍部の一方の解凍部が、一の画像データに対する解凍処理を完了する前に、他方の解凍部が、次の画像データのうち前記印刷不要範囲に対する解凍処理を開始し、前記印刷部が、前記印刷不要範囲内のラインデータに基づく印刷を実行しないよう、並列解凍制御を実行する制御部と、を備える。
【0007】
この発明によれば、圧縮データに基づき、印刷不要範囲を除いた部分印刷を行うことができる。また、印刷装置は、一の画像データの解凍処理中に、次の画像データの印刷不要範囲の解凍処理を並行して開始するため、一の画像データの印刷終了時から次の画像データの印刷開始までの時間が短くなり、部分印刷を効率よく行うことができる。
【0008】
第2発明は、第1発明の印刷装置であって、前記制御部は、前記他方の解凍部が、前記印刷不要範囲に対する解凍処理後、前記次の画像データのうち印刷必要範囲に対する解凍処理を実行するよう、制御する。
【0009】
この発明によれば、各画像データは共通の解凍部にて解凍することになるため、第1解凍部と第2解凍部への各頁の画像データの割振処理が複雑化することを抑制することができる。
【0010】
第3発明は、第1発明の印刷装置であって、前記制御部は、前記一方の解凍部が、前記一の画像データに対する解凍処理後、前記次の画像データのうち印刷必要範囲に対する解凍処理を実行するよう、制御する。
【0011】
この発明によれば、一方の解凍部を印刷必要範囲専用とし、他方の解凍部を印刷不要範囲専用とすることができる。
【0012】
第4発明は、第1から第3のいずれか一つの発明の印刷装置であって、前記一の画像データに対する解凍処理完了から前記次の画像データに対する印刷処理開始までの処理可能時間内に、前記印刷不要範囲に対する解凍処理を完了可能であるかどうかを判断する判断部を備え、前記制御部は、前記判断部が肯定判断した場合には、前記一の画像データに対する解凍処理完了後に、前記一方の解凍部または前記他方の解凍部が、前記印刷不要範囲に対する解凍処理を開始するよう、非並列解凍制御を実行する。
【0013】
この発明によれば、処理可能時間が比較的に長い場合には、印刷不要範囲に対する解凍処理を、一の画像データに対する解凍処理完了後に実行すること(非並列解凍制御)により処理負担を軽減することができる。一方、処理可能時間が比較的に短い場合には、印刷不要範囲に対する解凍処理を、一の画像データに対する解凍処理完了前から開始すること(並列解凍制御)により高速印刷処理に対応することができる。
【0014】
第5発明は、第1から第4のいずれか一つの発明の印刷装置であって、前記印刷部にて片面が印刷されたシートを反転させて、再び前記印刷部に搬送する反転機構を備え、前記制御部は、複数頁分の画像データを前記反転機構により両面印刷する場合、前記片面に印刷すべき頁画像データに対する解凍処理を、その前頁の画像データに対する解凍処理完了後に開始するよう、非並列解凍制御を実行し、前記片面の裏側の他面に印刷すべき頁画像データに対する解凍処理を、その前頁の画像データに対する解凍処理完了前に開始するよう、前記並列解凍制御を実行する。
【0015】
この発明によれば、シートの片面に印刷した後、当該シートを反転機構により反転させて再び印刷部に搬送するまでの時間は比較的に短い。そこで、この時間に並列解凍制御を実行するようにした。
【0016】
第6発明は、第1から第5のいずれか一つの発明の印刷装置であって、ユーザが前記印刷不要範囲を指定するための指定部を備え、前記取得部は、前記指定部から前記指定情報を取得する構成である。
この発明によれば、ユーザの希望により、印刷不要範囲を指定することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、解凍後の画像データについて効率よく部分印刷を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態1に係る印刷システムの電気的構成を示すブロック図
【図2】プリンタの内部構成を示した概略図
【図3】印刷部の内部構成を示すブロック図
【図4】範囲指定画面を示す簡略図
【図5A】1頁目画像を例示する模式図
【図5B】2頁目画像を例示する模式図
【図6】部分印刷処理のフローチャートを示す図
【図7】第1解凍印刷処理のフローチャートを示す図
【図8】第2解凍印刷処理のフローチャートを示す図
【図9】第1解凍回路と第2解凍回路の動作を示すタイムチャート
【図10】実施形態2の第1解凍印刷処理のフローチャートを示す図
【図11】第2解凍処理のフローチャートを示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
本発明の実施形態1について図を参照して説明する。
1.印刷システムの電気的構成
図1は、本実施形態の印刷システム1の電気的構成を示すブロック図である。印刷システム1は、端末装置10(例えばパーソナルコンピュータ)とプリンタ30(印刷装置の一例)とを備える。
【0020】
端末装置10は、CPU11、ROM12、RAM13、ハードディスクドライブ14、キーボードやポインティングデバイス等を有する操作部15、液晶ディスプレイ等を有する表示部16、通信回線20に接続されるネットワークインターフェイス17等を備えている。ハードディスクドライブ14には、OSや、印刷用のデータを作成可能なアプリケーションソフト、プリンタ30を制御するためのプリンタドライバなどの各種プログラムが記憶されている。
【0021】
プリンタ30は、CPU31(取得部、制御部、判断部の一例)、ROM32、RAM33、ハードディスクドライブ34、操作部35(指定部の一例)、表示部36、印刷部37、搬送機構38、スキャナ部39、ファクシミリ部40、ネットワークインターフェイス21等を備えている。ROM32には、プリンタ30の動作を制御するための各種プログラムや、後述する印刷処理を実行するための印刷制御プログラム等が記録されており、CPU31は、ROM32から読み出したプログラムに従って、その処理結果をRAM33に記憶させながら、プリンタ30の動作を制御する。
【0022】
操作部35は、複数のボタンを備え、ユーザによって印刷開始の指示などの各種の入力操作が可能である。表示部36は、液晶ディスプレイやランプ等を備えており、各種の設定画面や動作状態等を表示することが可能である。印刷部37は、例えば電子写真方式により、画像データに基づく画像をシートW(用紙、OHPシートなど)に印刷する。ネットワークインターフェイス21は、通信回線20を介して外部の端末装置10等に接続されており、相互にデータ通信が可能となっている。
【0023】
スキャナ部39は、図示しない原稿の画像を読み取って、印刷部37で処理可能な画像データを生成する。ファクシミリ部40は、図示しない外部のファクシミリ装置からファクシミリデータを受信し、当該ファクシミリデータに基づき、印刷部37で処理可能な画像データを生成する。スキャナ部39やファクシミリ部40にて生成された画像データは、圧縮されてハードディスクドライブ34に格納される。なお、搬送機構38については後述する。
【0024】
2.プリンタの内部構成
図2はプリンタ30の内部構成を示した概略図である。
プリンタ30は、供給トレイ41、搬送機構38、上述の印刷部37、定着器43及び排出トレイ45等を備えている。供給トレイ41は、プリンタ30の底部に設けられており、複数枚のシートWが収納可能とされている。
【0025】
搬送機構38は、ピックアップローラ47、レジストレーションローラ49,49、シート搬送用のベルト51、及び、反転機構53等を備える。ピックアップローラ47は、供給トレイ41に収納されたシートWを1枚ずつ取り出してレジストレーションローラ49,49へと搬送する。レジストレーションローラ49,49は、搬送されてきたシートWの姿勢を整えて、所定のタイミングでベルト51上に送り出す。
【0026】
印刷部37は、ベルト51により搬送されるシートWに対し、所定の印刷位置Xにて、画像データに基づく画像(モノクロ画像、カラー画像)を形成する。画像が形成されたシートWは、定着器43で熱定着され、排出トレイ45上へと排出される。なお、供給トレイ41からのシートWを印刷位置Xに導くための経路(図2の実線矢印部分)を、印刷搬送パスP1という。
【0027】
反転機構53は、排出ローラ55、反転搬送パスP2(図2の点線矢印部分 反転経路の一例)、フラッパ59、複数の反転搬送ローラ61等を備えている。両面印刷が実行されると、シートWが、供給トレイ41から印刷位置Xへと供給され、印刷部37により裏面(供給トレイ41に収納されていたときの下面)に画像が印刷され、その後、一旦排出ローラ55まで搬送される。そして、当該排出ローラ55の逆回転により、シートWは、フラッパ59、反転搬送パスP2、複数の反転搬送ローラ61、レジストローラ49を介して搬送され、表裏が反転された状態でベルト51上に送り出される。そして、そのシートWは印刷部37により表面(供給トレイ41に収納されていたときの上面)に画像が印刷された後に排出トレイ45上へと排出される。
【0028】
3.圧縮データについて印刷部の内部構成
印刷部37は、圧縮データを解凍し、その解凍後の画像データ(ドットパターンデータ)について印刷を実行することができる。この圧縮データは、先頭ラインデータと、その次以降の各ラインに対するコマンドデータ(各ラインデータとその直前のラインデータとの差異データ)とを有する。また、圧縮データは、複数頁の画像データを、各頁ごとに圧縮したものであり、印刷部37は、この圧縮データを各頁画像データ単位で解凍することができる。
【0029】
なお、圧縮データは、上記端末装置10から受信したものでもよいし、上記スキャナ部39やファクシミリ部40にて生成されたものでもよいし、予めハードディスクドライブ34に格納されていたものでもよい。更には、例えばUSBメモリなど、プリンタ30が直接アクセス可能な外部メモリに格納されたものでもよい。CPU31は、圧縮データに基づく印刷を実行する際、当該圧縮データをRAM33に一時的に格納する。
【0030】
4.印刷部の内部構成
図3は印刷部37の内部構成を示すブロック図である。
印刷部37は、DMAC(Direct Memory Access Control)71、第1解凍回路72、第2解凍回路73、バッファメモリ74、メモリ制御部75、露光制御回路76を備える。なお、これらの回路は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)で構成されている。
【0031】
DMAC71は、CPU31からの指示を受けて、RAM33に対するデータの書き込みおよび読出しを制御するものであり、圧縮データに基づく印刷を実行する際、このRAM33に格納された圧縮データを、解凍回路72,73に転送する。
【0032】
各解凍回路72,73は、その転送された圧縮データを解凍し、ドットパターンデータとしての画像データを生成する。具体的には、各解凍回路72,73は、各頁画像データについて、先頭ラインデータと、その次の2番目ラインに対応するコマンドデータとに基づき、2番目ラインデータを生成する。続いて、2番目ラインデータ(前のラインデータの一例)と、その次の3番目ラインに対するコマンドデータとに基づき、4番目ラインデータを生成する。そして、これらを繰り返すことにより1頁分の画像データを生成することができる。
【0033】
バッファメモリ74は、例えばSRAM(Static Random Access Memory)によって実現されており、メモリ制御部75は、当該バッファメモリ74に対するデータの書き込みおよび読出しを制御する。メモリ制御部75は、各解凍回路72,73により解凍された画像データを、バッファメモリ74に書き込む。また、メモリ制御部75は、バッファメモリ74内の各ラインデータを、それぞれの書き出しタイミングごとに順次、露光制御回路76に転送する。
【0034】
露光制御回路76は、転送されたラインデータに基づき図示しない露光装置(例えばボリゴンスキャニング方式や、LED方式などの光源をオンオフさせる。これにより、印刷部37は、露光装置による露光パターンに応じた画像をシートWに印刷する。
【0035】
5.印刷範囲の指定
プリンタ30は、解凍後の画像データに基づく全体画像の一部を範囲指定して、その範囲指定した部分について印刷(部分印刷)を行うことができる。特に、全体画像の一部を、当該全体画像の印刷サイズよりも小さいシートWに印刷したいときに有効である。ユーザは、例えば、操作部35および表示部36(指定部の一例)を利用して範囲指定を行うことができる。より具体的には、ユーザが操作部35にて部分印刷を指定すると、CPU31は範囲指定画面を表示部36に表示させる。
【0036】
図4は範囲指定画面を示す簡略図である。この範囲指定画面には、全体画像の領域に対応した矩形図81、その矩形図中の任意の範囲を選択するための選択ボタン82、および、頁変更ボタン83が設けられている。ユーザは、頁変更ボタン83をタッチして部分印刷したい画像の頁を指定する。そして、各選択ボタン82をタッチすることにより、そのタッチされた選択ボタン82に対応する領域を、印刷必要範囲として指定することができる。選択されなかった領域は印刷不要範囲として指定されたことになる。そして、この指定情報をCPU31が取得する。このときCPU31は「取得部」として機能する。
【0037】
ここで、下記説明では次の点を前提にする。但し、この前提を満たさなくても本発明を適用可能である。
以下、次のことを前提とする。
(1)圧縮データは、例えば1頁目画像データおよび2頁目画像データをそれぞれ圧縮したものを有する。図5A,図5Bには1頁目画像および2頁目画像がそれぞれ簡略化して描かれている。1頁目画像は画像A、画像Bおよび画像Cからなり、2頁目画像は画像D、画像Eおよび画像Fからなる。なお、各図中の紙面上方向を画像の上方向とする。
【0038】
(2)1頁目画像のうち画像Bのみ、2頁目画像のうち画像Eのみを、1枚のシートWに両面印刷する。なお、両面印刷をする場合、シートWは、反転機構53により、搬送方向における前後方向が逆転した状態で再び印刷位置へと搬送される。このため、2頁目画像が、シートWの裏面に対し、その上端から下端に向かう方向(画像Dから画像Fに向かう方向 図5Bの印刷方向)に印刷されるとすると、1頁目画像は、シートWの表面に対し、その下端から上端に向かう方向(画像Cから画像Aに向かう方向 図5Aの印刷方向)に印刷されることになる。
【0039】
「21方式」の両面印刷を実行する。21方式は、印刷の開始から終了まで一貫してシートW1枚ごとに裏面の印刷と表面の印刷とを連続で行うものである。例えば6頁分の画像を3枚分のシートWに両面印刷する場合、プリンタ30は、次の順序で印刷を行う。
2頁目画像(1枚目シートW1の裏面)
1頁目画像(1枚目シートW1の表面)
4頁目画像(2枚目シートW2の裏面)
3頁目画像(2枚目シートW2の表面)
6頁目画像(3枚目シートW3の裏面)
5頁目画像(3枚目シートW3の表面)
【0040】
6.部分印刷処理
図6は部分印刷処理のフローチャートを示す図である。ユーザが、上記範囲指定画面にて印刷必要範囲を指定して印刷を指示する確定操作を行うと、CPU31は、部分印刷処理を実行する。ここで、プリンタ30は、第1解凍回路72および第2解凍回路73の両方を利用して印刷を行う「ダブル解凍印刷(並列解凍制御の一例)」と、第1解凍回路72および第2解凍回路73のいずれか一方のみを利用して印刷を行う「シングル解凍印刷(非並列解凍制御の一例)」とを選択的に実行することができる。
【0041】
そこで、CPU31は、まずダブル解凍印刷は必要かどうかを判断する(S1)。例えば一頁目の画像データに対する解凍(または印刷)処理完了から次頁目の画像データに対する印刷処理開始までの処理可能時間(図9参照)内に、当該次頁目の先頭ラインからの印刷不要範囲に対する解凍処理を完了可能であるかどうかを判断する。このときCPU31は「判断部」として機能する。
【0042】
この判断結果は、シートWの搬送間隔(印刷位置にシートWが搬送されてから、次にシートが搬送されるまでの時間間隔)、印刷速度、上記印刷不要範囲のデータ量などによって異なり得る。従って、これらの要素の少なくともいずれか1つ、または、2つ以上の要素からなる組み合わせパターンに基づき判断することができる。本実施形態では、例えば片面印刷が指定されている場合には、シートWの搬送間隔は比較的長いため、上記処理可能時間内に印刷不要範囲に対する解凍処理を完了可能であるとみなし、ダブル解凍印刷は不要であると判断する(S1:NO)。
【0043】
この場合、CPU31はシングル解凍印刷を実行する(S5)。具体的には、各頁の圧縮データを、例えば第1解凍回路72のみで順次解凍し、シートWに印刷していくよう、印刷部37を制御する。この制御によれば、2頁目の圧縮データの解凍処理が完了しない限り、1頁目の圧縮データの解凍処理は一切開始されない。
【0044】
一方、両面印刷が指定されている場合には、特に裏面印刷完了から表面印刷開始までの処理可能時間が短いため、当該処理可能時間内に印刷不要範囲に対する解凍処理を完了不可であるとみなし、ダブル解凍印刷は必要であると判断する(S1:YES)。
【0045】
この場合、CPU31はダブル解凍印刷を実行する(S5)。このダブル解凍印刷では、第1解凍回路72を利用する第1解凍印刷処理(裏面印刷)、および、第2解凍回路73を利用する第2解凍印刷処理(表面印刷)を並列的に実行する。
【0046】
(1)第1解凍印刷処理
図7は第1解凍印刷処理のフローチャートを示す図である。CPU31は、偶数頁カウンタNを「2」に初期化し(S101)、N頁目の印刷可能タイミングが到来するまで待機する(S103:NO)。なお、この印刷可能タイミングは、最初の2頁目の場合は、第1解凍印刷処理の開始時であり、4頁目以降の場合は、その直前に実行されている第2解凍印刷処理の完了時である。
【0047】
そして、印刷可能タイミングが到来したときには(S103:YES)、N頁目の圧縮データに対する解凍処理を第1解凍回路72に実行させ、当該圧縮データ全体(図5Bの画像D,E,F)が解凍された時点で、シートWを供給トレイ41或いはレジストレーションローラ49から搬送し始めるよう搬送機構38を制御する。その後、シートWが印刷位置に搬送されたときに、当該シートWにN頁目の印刷必要範囲(画像E)を印刷するよう印刷部37を制御する(S105)。このため、第1解凍印刷処理では、圧縮データに対する解凍処理の途中で、シートWが印刷位置に搬送されてしまうことはない。
【0048】
次に、未印刷の偶数頁が残っていれば(S107:YES)、偶数頁カウンタNに「2」を加算して(S109)、S103に戻る。一方、未印刷の偶数頁が残っていなければ(S107:NO)、本第1解凍印刷処理を終了する。
【0049】
(2)第2解凍印刷処理
図8は第2解凍印刷処理のフローチャートを示す図であり、図9は第1解凍回路72と第2解凍回路73の動作を示すタイムチャートである。CPU31は、奇数頁カウンタMを「1」に初期化し(S201)、M頁目の圧縮データのうち先頭ラインからの印刷不要範囲(図5Aの画像C)に対する解凍処理を第2解凍回路73に実行させ(S203)、その後、M頁目の印刷可能タイミングが到来するまで待機する(S205:NO)。なお、この印刷可能タイミングは、その直前に実行されている第1解凍印刷処理の完了時である。
【0050】
そして、印刷可能タイミングが到来したときには(S205:YES)、M頁目の圧縮データのうち、先頭ラインからの印刷不要範囲に対する解凍処理は終了しているため、印刷必要範囲(画像B)に対する解凍処理から開始することができる。そして、反転機構53により反転されたシートWが印刷位置に搬送されたときに、当該シートWにM頁目の画像Bを印刷するよう印刷部37を制御する(S207)。このため、第2解凍印刷処理では、先頭ラインからの印刷不要範囲に対する解凍処理の途中で、シートWが印刷位置に搬送されてしまうことを回避することができる。
【0051】
次に、未印刷の奇数頁が残っていれば(S209:YES)、奇数頁カウンタMに「2」を加算して(S211)、S203に戻る。一方、未印刷の奇数頁が残っていなければ(S209:NO)、本第2解凍印刷を終了する。そして、第1解凍印刷処理および第2解凍印刷処理の両方が終了したときに、本部分印刷処理を終了する。
【0052】
7.本実施形態の効果
圧縮データは、既に予め指定された範囲の各頁画像(全体画像)に基づく画像データを圧縮したものである。しかも、上述したように、圧縮データは、各頁画像ごとに、その先頭ラインデータから順次解凍せざるを得えない。このため、従来、圧縮データに基づき部分印刷することについては十分な検討がされていなかった。
【0053】
しかしながら、本実施形態によれば、圧縮データに基づき、印刷不要範囲を除いた部分印刷を行うことができる。しかも、プリンタ30は、偶数頁の画像データ(一の画像データの一例)の解凍処理中に、奇数頁の画像データ(次の画像データの一例例)の印刷不要範囲の解凍処理を並行して開始するため、偶数頁の画像データの印刷終了時から奇数頁の画像データの印刷開始までの時間を短くすることができる。つまり、解凍後の画像データについて効率よく部分印刷を実行することができる。
【0054】
また、第1解凍回路72は偶数頁の圧縮データを解凍し、第2解凍回路73は奇数頁の圧縮データを解凍する。このように、各頁の圧縮データは、印刷必要範囲および印刷不要範囲のいずれも共通の解凍回路にて解凍されるため、第1解凍回路72と第2解凍回路73とに対する圧縮データの割振処理が複雑化することを抑制することができる。
【0055】
また、処理可能時間に比較的に長い場合には、シングル解凍印刷を実行することにより処理負担を軽減することができる。一方、処理可能時間が比較的に短い場合には、ダブル解凍印刷を実行することにより高速印刷処理に対応することができる。
【0056】
<実施形態2>
図10,11は実施形態2を示す。前記実施形態1との相違は、ダブル解凍印刷の処理内容にあり、その他の点は前記実施形態1と同様である。従って、実施形態1と同一符号を付して重複する説明を省略し、異なるところのみを次に説明する。
【0057】
本実施形態2では、第1解凍回路72が、偶数頁の圧縮データ全体、および、奇数頁の圧縮データのうちの印刷必要範囲に対する解凍処理を実行し、第2解凍回路73は、奇数頁の圧縮データのうちの印刷不要範囲に対する解凍処理だけを実行する。
【0058】
(1)第1解凍印刷処理
図10は第1解凍印刷処理のフローチャートを示す図である。CPU31は、頁カウンタLを、21方式において最初の処理頁番号である「2」に初期化し(S301)、L頁目の印刷可能タイミングが到来するまで待機する(S303:NO)。なお、この印刷可能タイミングは、最初の2頁目のときは、第1解凍印刷処理の開始時であり、それ以降は、その直前に実行されている頁に対する解凍処理の完了時である。
【0059】
そして、印刷可能タイミングが到来したときには(S303:YES)、現在処理中の頁が偶数頁であれば(S305:NO)、L頁目の圧縮データに対する解凍処理を第1解凍回路72に実行させ、当該圧縮データ全体(図5Bの画像D,E,F)が解凍された時点で、シートWを供給トレイ41或いはレジストレーションローラ49から搬送し始めるよう搬送機構38を制御する。その後、シートWが印刷位置に搬送されたときに、当該シートWにN頁目の印刷必要範囲(画像E)を印刷するよう印刷部37を制御する(S311)。
【0060】
次に、未印刷頁が残っていれば(S313:YES)、頁カウンタLを21方式の印刷順位に従って変更して(S315)、S303に戻る。一方、未印刷頁が残っていなければ(S313:NO)、本第1解凍印刷処理を終了する。
【0061】
一方、現在処理中の頁が奇数頁であれば(S305:YES)、先頭ラインの再設定情報に基づき、印刷必要範囲中の先頭ラインを、この第1解凍印刷処理において最初に処理すべき先頭ラインとして新たに設定する(S307)。この再設定情報は、奇数頁の圧縮データのうち先頭ラインからの印刷不要範囲の最終ラインデータ、および、それ以降のコマンドデータを含む。最終ラインデータは、第2解凍回路73による解凍処理で生成されたものである。
【0062】
次に、奇数頁の圧縮データのうち、上記印刷不要範囲に対する解凍処理は第2解凍回路73にて終了しているため、印刷必要範囲(画像B)に対する解凍処理から開始することができる。そして、反転機構53により反転されたシートWが印刷位置に搬送されたときに、当該シートWに奇数頁の画像Bを印刷するよう印刷部37を制御し(S309)、S313に進む。
【0063】
(2)第2解凍処理
図11は第2解凍処理のフローチャートを示す図である。CPU31は、奇数頁カウンタMを「1」に初期化し(S401)、M頁目の圧縮データのうち先頭ラインからの印刷不要範囲(図5Aの画像C)に対する解凍処理を第2解凍回路73に実行させる(S403)。その後、この解凍処理の結果に基づき上述の再設定情報を取得する(S405)。
【0064】
そして、未印刷の奇数頁が残っていれば(S407:YES)、奇数頁カウンタMに「2」を加算して(S409)、S403に戻る。一方、未印刷の奇数頁が残っていなければ(S407:NO)、本第2解凍印刷を終了する。そして、第1解凍印刷処理および第2解凍処理の両方が終了したときに、本部分印刷処理を終了する。
【0065】
このような構成であっても、上記実施形態1と同様、解凍後の画像データについて効率よく部分印刷を実行することができる。しかも、第2解凍回路73を、奇数頁の圧縮データの印刷不要範囲に対する専用回路とすることができる。
【0066】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も本発明の技術的範囲に含まれる。特に、各実施形態の構成要素のうち、最上位の発明の構成要素以外の構成要素は、付加的な要素なので適宜省略可能である。
(1)上記各実施形態では、矩形図により大雑把に範囲指定したが、本発明はこれに限られない。例えば圧縮データに基づき低画質画像を表示部36に表示させ、その低画質画像を見ながら範囲指定する構成であってもよい。また、プリンタ30以外の外部機器で範囲指定がされ、その指定情報が付加された圧縮データをプリンタ30が取得する構成であってもよい。
【0067】
(2)上記各実施形態では、複数頁画像データについて両面印刷する場合にダブル解凍印刷を実行したが、本発明はこれに限られない。例えば複数の独立の画像データに基づき片面印刷を行う場合でも、シートWの搬送間隔が短い連続印刷時にダブル解凍印刷を実行してもよい。
【0068】
(3)上記実施形態では、電子写真方式の画像形成装置を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、インクジェット方式の画像形成装置であってもよい。
【符号の説明】
【0069】
30...プリンタ
31...CPU
35...操作部(指定部)
37...印刷部
53...反転機構
W...シート
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮データを解凍する解凍部を有する印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置には、解凍回路を備え、圧縮された画像データ(以下、圧縮データという)を、この解凍回路により解凍し、解凍後の画像データに基づき印刷処理を行うことが可能なものがある(特許文献1参照)。具体的には、解凍回路は、上記画像データを構成する各ラインデータを、それよりも先に解凍されたラインデータ及び上記圧縮データ(例えば各ラインデータと先に解凍されたラインデータとの差異データ)に基づき生成していく。そして、印刷装置は、生成された各ラインデータに基づきシートに画像を印刷する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−103113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の上記印刷装置は、圧縮データを解凍した後の画像データに基づく全体画像をそのまま印刷するものであり、当該全体画像の一部だけを印刷する、部分印刷を実行することができなかった。このため、このような解凍後の画像データを部分印刷する際の具体的に処理については、なおさら十分な検討がされていなかった。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、解凍後の画像データについて効率よく部分印刷を実行可能な印刷装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための手段として、第1発明に係る印刷装置は、画像データを構成する各ラインデータを、それよりも前のラインデータ及び圧縮データに基づき生成していく解凍処理を行う第1解凍部及び第2解凍部と、前記第1解凍部及び前記第2解凍部の少なくとも一方により生成されたラインデータに基づきシートに画像を印刷する印刷部と、前記各画像データごとに、先頭ラインからの印刷不要範囲に関する指定情報を取得する取得部と、前記第1解凍部及び前記第2解凍部の一方の解凍部が、一の画像データに対する解凍処理を完了する前に、他方の解凍部が、次の画像データのうち前記印刷不要範囲に対する解凍処理を開始し、前記印刷部が、前記印刷不要範囲内のラインデータに基づく印刷を実行しないよう、並列解凍制御を実行する制御部と、を備える。
【0007】
この発明によれば、圧縮データに基づき、印刷不要範囲を除いた部分印刷を行うことができる。また、印刷装置は、一の画像データの解凍処理中に、次の画像データの印刷不要範囲の解凍処理を並行して開始するため、一の画像データの印刷終了時から次の画像データの印刷開始までの時間が短くなり、部分印刷を効率よく行うことができる。
【0008】
第2発明は、第1発明の印刷装置であって、前記制御部は、前記他方の解凍部が、前記印刷不要範囲に対する解凍処理後、前記次の画像データのうち印刷必要範囲に対する解凍処理を実行するよう、制御する。
【0009】
この発明によれば、各画像データは共通の解凍部にて解凍することになるため、第1解凍部と第2解凍部への各頁の画像データの割振処理が複雑化することを抑制することができる。
【0010】
第3発明は、第1発明の印刷装置であって、前記制御部は、前記一方の解凍部が、前記一の画像データに対する解凍処理後、前記次の画像データのうち印刷必要範囲に対する解凍処理を実行するよう、制御する。
【0011】
この発明によれば、一方の解凍部を印刷必要範囲専用とし、他方の解凍部を印刷不要範囲専用とすることができる。
【0012】
第4発明は、第1から第3のいずれか一つの発明の印刷装置であって、前記一の画像データに対する解凍処理完了から前記次の画像データに対する印刷処理開始までの処理可能時間内に、前記印刷不要範囲に対する解凍処理を完了可能であるかどうかを判断する判断部を備え、前記制御部は、前記判断部が肯定判断した場合には、前記一の画像データに対する解凍処理完了後に、前記一方の解凍部または前記他方の解凍部が、前記印刷不要範囲に対する解凍処理を開始するよう、非並列解凍制御を実行する。
【0013】
この発明によれば、処理可能時間が比較的に長い場合には、印刷不要範囲に対する解凍処理を、一の画像データに対する解凍処理完了後に実行すること(非並列解凍制御)により処理負担を軽減することができる。一方、処理可能時間が比較的に短い場合には、印刷不要範囲に対する解凍処理を、一の画像データに対する解凍処理完了前から開始すること(並列解凍制御)により高速印刷処理に対応することができる。
【0014】
第5発明は、第1から第4のいずれか一つの発明の印刷装置であって、前記印刷部にて片面が印刷されたシートを反転させて、再び前記印刷部に搬送する反転機構を備え、前記制御部は、複数頁分の画像データを前記反転機構により両面印刷する場合、前記片面に印刷すべき頁画像データに対する解凍処理を、その前頁の画像データに対する解凍処理完了後に開始するよう、非並列解凍制御を実行し、前記片面の裏側の他面に印刷すべき頁画像データに対する解凍処理を、その前頁の画像データに対する解凍処理完了前に開始するよう、前記並列解凍制御を実行する。
【0015】
この発明によれば、シートの片面に印刷した後、当該シートを反転機構により反転させて再び印刷部に搬送するまでの時間は比較的に短い。そこで、この時間に並列解凍制御を実行するようにした。
【0016】
第6発明は、第1から第5のいずれか一つの発明の印刷装置であって、ユーザが前記印刷不要範囲を指定するための指定部を備え、前記取得部は、前記指定部から前記指定情報を取得する構成である。
この発明によれば、ユーザの希望により、印刷不要範囲を指定することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、解凍後の画像データについて効率よく部分印刷を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態1に係る印刷システムの電気的構成を示すブロック図
【図2】プリンタの内部構成を示した概略図
【図3】印刷部の内部構成を示すブロック図
【図4】範囲指定画面を示す簡略図
【図5A】1頁目画像を例示する模式図
【図5B】2頁目画像を例示する模式図
【図6】部分印刷処理のフローチャートを示す図
【図7】第1解凍印刷処理のフローチャートを示す図
【図8】第2解凍印刷処理のフローチャートを示す図
【図9】第1解凍回路と第2解凍回路の動作を示すタイムチャート
【図10】実施形態2の第1解凍印刷処理のフローチャートを示す図
【図11】第2解凍処理のフローチャートを示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
本発明の実施形態1について図を参照して説明する。
1.印刷システムの電気的構成
図1は、本実施形態の印刷システム1の電気的構成を示すブロック図である。印刷システム1は、端末装置10(例えばパーソナルコンピュータ)とプリンタ30(印刷装置の一例)とを備える。
【0020】
端末装置10は、CPU11、ROM12、RAM13、ハードディスクドライブ14、キーボードやポインティングデバイス等を有する操作部15、液晶ディスプレイ等を有する表示部16、通信回線20に接続されるネットワークインターフェイス17等を備えている。ハードディスクドライブ14には、OSや、印刷用のデータを作成可能なアプリケーションソフト、プリンタ30を制御するためのプリンタドライバなどの各種プログラムが記憶されている。
【0021】
プリンタ30は、CPU31(取得部、制御部、判断部の一例)、ROM32、RAM33、ハードディスクドライブ34、操作部35(指定部の一例)、表示部36、印刷部37、搬送機構38、スキャナ部39、ファクシミリ部40、ネットワークインターフェイス21等を備えている。ROM32には、プリンタ30の動作を制御するための各種プログラムや、後述する印刷処理を実行するための印刷制御プログラム等が記録されており、CPU31は、ROM32から読み出したプログラムに従って、その処理結果をRAM33に記憶させながら、プリンタ30の動作を制御する。
【0022】
操作部35は、複数のボタンを備え、ユーザによって印刷開始の指示などの各種の入力操作が可能である。表示部36は、液晶ディスプレイやランプ等を備えており、各種の設定画面や動作状態等を表示することが可能である。印刷部37は、例えば電子写真方式により、画像データに基づく画像をシートW(用紙、OHPシートなど)に印刷する。ネットワークインターフェイス21は、通信回線20を介して外部の端末装置10等に接続されており、相互にデータ通信が可能となっている。
【0023】
スキャナ部39は、図示しない原稿の画像を読み取って、印刷部37で処理可能な画像データを生成する。ファクシミリ部40は、図示しない外部のファクシミリ装置からファクシミリデータを受信し、当該ファクシミリデータに基づき、印刷部37で処理可能な画像データを生成する。スキャナ部39やファクシミリ部40にて生成された画像データは、圧縮されてハードディスクドライブ34に格納される。なお、搬送機構38については後述する。
【0024】
2.プリンタの内部構成
図2はプリンタ30の内部構成を示した概略図である。
プリンタ30は、供給トレイ41、搬送機構38、上述の印刷部37、定着器43及び排出トレイ45等を備えている。供給トレイ41は、プリンタ30の底部に設けられており、複数枚のシートWが収納可能とされている。
【0025】
搬送機構38は、ピックアップローラ47、レジストレーションローラ49,49、シート搬送用のベルト51、及び、反転機構53等を備える。ピックアップローラ47は、供給トレイ41に収納されたシートWを1枚ずつ取り出してレジストレーションローラ49,49へと搬送する。レジストレーションローラ49,49は、搬送されてきたシートWの姿勢を整えて、所定のタイミングでベルト51上に送り出す。
【0026】
印刷部37は、ベルト51により搬送されるシートWに対し、所定の印刷位置Xにて、画像データに基づく画像(モノクロ画像、カラー画像)を形成する。画像が形成されたシートWは、定着器43で熱定着され、排出トレイ45上へと排出される。なお、供給トレイ41からのシートWを印刷位置Xに導くための経路(図2の実線矢印部分)を、印刷搬送パスP1という。
【0027】
反転機構53は、排出ローラ55、反転搬送パスP2(図2の点線矢印部分 反転経路の一例)、フラッパ59、複数の反転搬送ローラ61等を備えている。両面印刷が実行されると、シートWが、供給トレイ41から印刷位置Xへと供給され、印刷部37により裏面(供給トレイ41に収納されていたときの下面)に画像が印刷され、その後、一旦排出ローラ55まで搬送される。そして、当該排出ローラ55の逆回転により、シートWは、フラッパ59、反転搬送パスP2、複数の反転搬送ローラ61、レジストローラ49を介して搬送され、表裏が反転された状態でベルト51上に送り出される。そして、そのシートWは印刷部37により表面(供給トレイ41に収納されていたときの上面)に画像が印刷された後に排出トレイ45上へと排出される。
【0028】
3.圧縮データについて印刷部の内部構成
印刷部37は、圧縮データを解凍し、その解凍後の画像データ(ドットパターンデータ)について印刷を実行することができる。この圧縮データは、先頭ラインデータと、その次以降の各ラインに対するコマンドデータ(各ラインデータとその直前のラインデータとの差異データ)とを有する。また、圧縮データは、複数頁の画像データを、各頁ごとに圧縮したものであり、印刷部37は、この圧縮データを各頁画像データ単位で解凍することができる。
【0029】
なお、圧縮データは、上記端末装置10から受信したものでもよいし、上記スキャナ部39やファクシミリ部40にて生成されたものでもよいし、予めハードディスクドライブ34に格納されていたものでもよい。更には、例えばUSBメモリなど、プリンタ30が直接アクセス可能な外部メモリに格納されたものでもよい。CPU31は、圧縮データに基づく印刷を実行する際、当該圧縮データをRAM33に一時的に格納する。
【0030】
4.印刷部の内部構成
図3は印刷部37の内部構成を示すブロック図である。
印刷部37は、DMAC(Direct Memory Access Control)71、第1解凍回路72、第2解凍回路73、バッファメモリ74、メモリ制御部75、露光制御回路76を備える。なお、これらの回路は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)で構成されている。
【0031】
DMAC71は、CPU31からの指示を受けて、RAM33に対するデータの書き込みおよび読出しを制御するものであり、圧縮データに基づく印刷を実行する際、このRAM33に格納された圧縮データを、解凍回路72,73に転送する。
【0032】
各解凍回路72,73は、その転送された圧縮データを解凍し、ドットパターンデータとしての画像データを生成する。具体的には、各解凍回路72,73は、各頁画像データについて、先頭ラインデータと、その次の2番目ラインに対応するコマンドデータとに基づき、2番目ラインデータを生成する。続いて、2番目ラインデータ(前のラインデータの一例)と、その次の3番目ラインに対するコマンドデータとに基づき、4番目ラインデータを生成する。そして、これらを繰り返すことにより1頁分の画像データを生成することができる。
【0033】
バッファメモリ74は、例えばSRAM(Static Random Access Memory)によって実現されており、メモリ制御部75は、当該バッファメモリ74に対するデータの書き込みおよび読出しを制御する。メモリ制御部75は、各解凍回路72,73により解凍された画像データを、バッファメモリ74に書き込む。また、メモリ制御部75は、バッファメモリ74内の各ラインデータを、それぞれの書き出しタイミングごとに順次、露光制御回路76に転送する。
【0034】
露光制御回路76は、転送されたラインデータに基づき図示しない露光装置(例えばボリゴンスキャニング方式や、LED方式などの光源をオンオフさせる。これにより、印刷部37は、露光装置による露光パターンに応じた画像をシートWに印刷する。
【0035】
5.印刷範囲の指定
プリンタ30は、解凍後の画像データに基づく全体画像の一部を範囲指定して、その範囲指定した部分について印刷(部分印刷)を行うことができる。特に、全体画像の一部を、当該全体画像の印刷サイズよりも小さいシートWに印刷したいときに有効である。ユーザは、例えば、操作部35および表示部36(指定部の一例)を利用して範囲指定を行うことができる。より具体的には、ユーザが操作部35にて部分印刷を指定すると、CPU31は範囲指定画面を表示部36に表示させる。
【0036】
図4は範囲指定画面を示す簡略図である。この範囲指定画面には、全体画像の領域に対応した矩形図81、その矩形図中の任意の範囲を選択するための選択ボタン82、および、頁変更ボタン83が設けられている。ユーザは、頁変更ボタン83をタッチして部分印刷したい画像の頁を指定する。そして、各選択ボタン82をタッチすることにより、そのタッチされた選択ボタン82に対応する領域を、印刷必要範囲として指定することができる。選択されなかった領域は印刷不要範囲として指定されたことになる。そして、この指定情報をCPU31が取得する。このときCPU31は「取得部」として機能する。
【0037】
ここで、下記説明では次の点を前提にする。但し、この前提を満たさなくても本発明を適用可能である。
以下、次のことを前提とする。
(1)圧縮データは、例えば1頁目画像データおよび2頁目画像データをそれぞれ圧縮したものを有する。図5A,図5Bには1頁目画像および2頁目画像がそれぞれ簡略化して描かれている。1頁目画像は画像A、画像Bおよび画像Cからなり、2頁目画像は画像D、画像Eおよび画像Fからなる。なお、各図中の紙面上方向を画像の上方向とする。
【0038】
(2)1頁目画像のうち画像Bのみ、2頁目画像のうち画像Eのみを、1枚のシートWに両面印刷する。なお、両面印刷をする場合、シートWは、反転機構53により、搬送方向における前後方向が逆転した状態で再び印刷位置へと搬送される。このため、2頁目画像が、シートWの裏面に対し、その上端から下端に向かう方向(画像Dから画像Fに向かう方向 図5Bの印刷方向)に印刷されるとすると、1頁目画像は、シートWの表面に対し、その下端から上端に向かう方向(画像Cから画像Aに向かう方向 図5Aの印刷方向)に印刷されることになる。
【0039】
「21方式」の両面印刷を実行する。21方式は、印刷の開始から終了まで一貫してシートW1枚ごとに裏面の印刷と表面の印刷とを連続で行うものである。例えば6頁分の画像を3枚分のシートWに両面印刷する場合、プリンタ30は、次の順序で印刷を行う。
2頁目画像(1枚目シートW1の裏面)
1頁目画像(1枚目シートW1の表面)
4頁目画像(2枚目シートW2の裏面)
3頁目画像(2枚目シートW2の表面)
6頁目画像(3枚目シートW3の裏面)
5頁目画像(3枚目シートW3の表面)
【0040】
6.部分印刷処理
図6は部分印刷処理のフローチャートを示す図である。ユーザが、上記範囲指定画面にて印刷必要範囲を指定して印刷を指示する確定操作を行うと、CPU31は、部分印刷処理を実行する。ここで、プリンタ30は、第1解凍回路72および第2解凍回路73の両方を利用して印刷を行う「ダブル解凍印刷(並列解凍制御の一例)」と、第1解凍回路72および第2解凍回路73のいずれか一方のみを利用して印刷を行う「シングル解凍印刷(非並列解凍制御の一例)」とを選択的に実行することができる。
【0041】
そこで、CPU31は、まずダブル解凍印刷は必要かどうかを判断する(S1)。例えば一頁目の画像データに対する解凍(または印刷)処理完了から次頁目の画像データに対する印刷処理開始までの処理可能時間(図9参照)内に、当該次頁目の先頭ラインからの印刷不要範囲に対する解凍処理を完了可能であるかどうかを判断する。このときCPU31は「判断部」として機能する。
【0042】
この判断結果は、シートWの搬送間隔(印刷位置にシートWが搬送されてから、次にシートが搬送されるまでの時間間隔)、印刷速度、上記印刷不要範囲のデータ量などによって異なり得る。従って、これらの要素の少なくともいずれか1つ、または、2つ以上の要素からなる組み合わせパターンに基づき判断することができる。本実施形態では、例えば片面印刷が指定されている場合には、シートWの搬送間隔は比較的長いため、上記処理可能時間内に印刷不要範囲に対する解凍処理を完了可能であるとみなし、ダブル解凍印刷は不要であると判断する(S1:NO)。
【0043】
この場合、CPU31はシングル解凍印刷を実行する(S5)。具体的には、各頁の圧縮データを、例えば第1解凍回路72のみで順次解凍し、シートWに印刷していくよう、印刷部37を制御する。この制御によれば、2頁目の圧縮データの解凍処理が完了しない限り、1頁目の圧縮データの解凍処理は一切開始されない。
【0044】
一方、両面印刷が指定されている場合には、特に裏面印刷完了から表面印刷開始までの処理可能時間が短いため、当該処理可能時間内に印刷不要範囲に対する解凍処理を完了不可であるとみなし、ダブル解凍印刷は必要であると判断する(S1:YES)。
【0045】
この場合、CPU31はダブル解凍印刷を実行する(S5)。このダブル解凍印刷では、第1解凍回路72を利用する第1解凍印刷処理(裏面印刷)、および、第2解凍回路73を利用する第2解凍印刷処理(表面印刷)を並列的に実行する。
【0046】
(1)第1解凍印刷処理
図7は第1解凍印刷処理のフローチャートを示す図である。CPU31は、偶数頁カウンタNを「2」に初期化し(S101)、N頁目の印刷可能タイミングが到来するまで待機する(S103:NO)。なお、この印刷可能タイミングは、最初の2頁目の場合は、第1解凍印刷処理の開始時であり、4頁目以降の場合は、その直前に実行されている第2解凍印刷処理の完了時である。
【0047】
そして、印刷可能タイミングが到来したときには(S103:YES)、N頁目の圧縮データに対する解凍処理を第1解凍回路72に実行させ、当該圧縮データ全体(図5Bの画像D,E,F)が解凍された時点で、シートWを供給トレイ41或いはレジストレーションローラ49から搬送し始めるよう搬送機構38を制御する。その後、シートWが印刷位置に搬送されたときに、当該シートWにN頁目の印刷必要範囲(画像E)を印刷するよう印刷部37を制御する(S105)。このため、第1解凍印刷処理では、圧縮データに対する解凍処理の途中で、シートWが印刷位置に搬送されてしまうことはない。
【0048】
次に、未印刷の偶数頁が残っていれば(S107:YES)、偶数頁カウンタNに「2」を加算して(S109)、S103に戻る。一方、未印刷の偶数頁が残っていなければ(S107:NO)、本第1解凍印刷処理を終了する。
【0049】
(2)第2解凍印刷処理
図8は第2解凍印刷処理のフローチャートを示す図であり、図9は第1解凍回路72と第2解凍回路73の動作を示すタイムチャートである。CPU31は、奇数頁カウンタMを「1」に初期化し(S201)、M頁目の圧縮データのうち先頭ラインからの印刷不要範囲(図5Aの画像C)に対する解凍処理を第2解凍回路73に実行させ(S203)、その後、M頁目の印刷可能タイミングが到来するまで待機する(S205:NO)。なお、この印刷可能タイミングは、その直前に実行されている第1解凍印刷処理の完了時である。
【0050】
そして、印刷可能タイミングが到来したときには(S205:YES)、M頁目の圧縮データのうち、先頭ラインからの印刷不要範囲に対する解凍処理は終了しているため、印刷必要範囲(画像B)に対する解凍処理から開始することができる。そして、反転機構53により反転されたシートWが印刷位置に搬送されたときに、当該シートWにM頁目の画像Bを印刷するよう印刷部37を制御する(S207)。このため、第2解凍印刷処理では、先頭ラインからの印刷不要範囲に対する解凍処理の途中で、シートWが印刷位置に搬送されてしまうことを回避することができる。
【0051】
次に、未印刷の奇数頁が残っていれば(S209:YES)、奇数頁カウンタMに「2」を加算して(S211)、S203に戻る。一方、未印刷の奇数頁が残っていなければ(S209:NO)、本第2解凍印刷を終了する。そして、第1解凍印刷処理および第2解凍印刷処理の両方が終了したときに、本部分印刷処理を終了する。
【0052】
7.本実施形態の効果
圧縮データは、既に予め指定された範囲の各頁画像(全体画像)に基づく画像データを圧縮したものである。しかも、上述したように、圧縮データは、各頁画像ごとに、その先頭ラインデータから順次解凍せざるを得えない。このため、従来、圧縮データに基づき部分印刷することについては十分な検討がされていなかった。
【0053】
しかしながら、本実施形態によれば、圧縮データに基づき、印刷不要範囲を除いた部分印刷を行うことができる。しかも、プリンタ30は、偶数頁の画像データ(一の画像データの一例)の解凍処理中に、奇数頁の画像データ(次の画像データの一例例)の印刷不要範囲の解凍処理を並行して開始するため、偶数頁の画像データの印刷終了時から奇数頁の画像データの印刷開始までの時間を短くすることができる。つまり、解凍後の画像データについて効率よく部分印刷を実行することができる。
【0054】
また、第1解凍回路72は偶数頁の圧縮データを解凍し、第2解凍回路73は奇数頁の圧縮データを解凍する。このように、各頁の圧縮データは、印刷必要範囲および印刷不要範囲のいずれも共通の解凍回路にて解凍されるため、第1解凍回路72と第2解凍回路73とに対する圧縮データの割振処理が複雑化することを抑制することができる。
【0055】
また、処理可能時間に比較的に長い場合には、シングル解凍印刷を実行することにより処理負担を軽減することができる。一方、処理可能時間が比較的に短い場合には、ダブル解凍印刷を実行することにより高速印刷処理に対応することができる。
【0056】
<実施形態2>
図10,11は実施形態2を示す。前記実施形態1との相違は、ダブル解凍印刷の処理内容にあり、その他の点は前記実施形態1と同様である。従って、実施形態1と同一符号を付して重複する説明を省略し、異なるところのみを次に説明する。
【0057】
本実施形態2では、第1解凍回路72が、偶数頁の圧縮データ全体、および、奇数頁の圧縮データのうちの印刷必要範囲に対する解凍処理を実行し、第2解凍回路73は、奇数頁の圧縮データのうちの印刷不要範囲に対する解凍処理だけを実行する。
【0058】
(1)第1解凍印刷処理
図10は第1解凍印刷処理のフローチャートを示す図である。CPU31は、頁カウンタLを、21方式において最初の処理頁番号である「2」に初期化し(S301)、L頁目の印刷可能タイミングが到来するまで待機する(S303:NO)。なお、この印刷可能タイミングは、最初の2頁目のときは、第1解凍印刷処理の開始時であり、それ以降は、その直前に実行されている頁に対する解凍処理の完了時である。
【0059】
そして、印刷可能タイミングが到来したときには(S303:YES)、現在処理中の頁が偶数頁であれば(S305:NO)、L頁目の圧縮データに対する解凍処理を第1解凍回路72に実行させ、当該圧縮データ全体(図5Bの画像D,E,F)が解凍された時点で、シートWを供給トレイ41或いはレジストレーションローラ49から搬送し始めるよう搬送機構38を制御する。その後、シートWが印刷位置に搬送されたときに、当該シートWにN頁目の印刷必要範囲(画像E)を印刷するよう印刷部37を制御する(S311)。
【0060】
次に、未印刷頁が残っていれば(S313:YES)、頁カウンタLを21方式の印刷順位に従って変更して(S315)、S303に戻る。一方、未印刷頁が残っていなければ(S313:NO)、本第1解凍印刷処理を終了する。
【0061】
一方、現在処理中の頁が奇数頁であれば(S305:YES)、先頭ラインの再設定情報に基づき、印刷必要範囲中の先頭ラインを、この第1解凍印刷処理において最初に処理すべき先頭ラインとして新たに設定する(S307)。この再設定情報は、奇数頁の圧縮データのうち先頭ラインからの印刷不要範囲の最終ラインデータ、および、それ以降のコマンドデータを含む。最終ラインデータは、第2解凍回路73による解凍処理で生成されたものである。
【0062】
次に、奇数頁の圧縮データのうち、上記印刷不要範囲に対する解凍処理は第2解凍回路73にて終了しているため、印刷必要範囲(画像B)に対する解凍処理から開始することができる。そして、反転機構53により反転されたシートWが印刷位置に搬送されたときに、当該シートWに奇数頁の画像Bを印刷するよう印刷部37を制御し(S309)、S313に進む。
【0063】
(2)第2解凍処理
図11は第2解凍処理のフローチャートを示す図である。CPU31は、奇数頁カウンタMを「1」に初期化し(S401)、M頁目の圧縮データのうち先頭ラインからの印刷不要範囲(図5Aの画像C)に対する解凍処理を第2解凍回路73に実行させる(S403)。その後、この解凍処理の結果に基づき上述の再設定情報を取得する(S405)。
【0064】
そして、未印刷の奇数頁が残っていれば(S407:YES)、奇数頁カウンタMに「2」を加算して(S409)、S403に戻る。一方、未印刷の奇数頁が残っていなければ(S407:NO)、本第2解凍印刷を終了する。そして、第1解凍印刷処理および第2解凍処理の両方が終了したときに、本部分印刷処理を終了する。
【0065】
このような構成であっても、上記実施形態1と同様、解凍後の画像データについて効率よく部分印刷を実行することができる。しかも、第2解凍回路73を、奇数頁の圧縮データの印刷不要範囲に対する専用回路とすることができる。
【0066】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も本発明の技術的範囲に含まれる。特に、各実施形態の構成要素のうち、最上位の発明の構成要素以外の構成要素は、付加的な要素なので適宜省略可能である。
(1)上記各実施形態では、矩形図により大雑把に範囲指定したが、本発明はこれに限られない。例えば圧縮データに基づき低画質画像を表示部36に表示させ、その低画質画像を見ながら範囲指定する構成であってもよい。また、プリンタ30以外の外部機器で範囲指定がされ、その指定情報が付加された圧縮データをプリンタ30が取得する構成であってもよい。
【0067】
(2)上記各実施形態では、複数頁画像データについて両面印刷する場合にダブル解凍印刷を実行したが、本発明はこれに限られない。例えば複数の独立の画像データに基づき片面印刷を行う場合でも、シートWの搬送間隔が短い連続印刷時にダブル解凍印刷を実行してもよい。
【0068】
(3)上記実施形態では、電子写真方式の画像形成装置を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、インクジェット方式の画像形成装置であってもよい。
【符号の説明】
【0069】
30...プリンタ
31...CPU
35...操作部(指定部)
37...印刷部
53...反転機構
W...シート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを構成する各ラインデータを、それよりも前のラインデータ及び圧縮データに基づき生成していく解凍処理を行う第1解凍部及び第2解凍部と、
前記第1解凍部及び前記第2解凍部の少なくとも一方により生成されたラインデータに基づきシートに画像を印刷する印刷部と、
前記各画像データごとに、先頭ラインからの印刷不要範囲に関する指定情報を取得する取得部と、
前記第1解凍部及び前記第2解凍部の一方の解凍部が、一の画像データに対する解凍処理を完了する前に、他方の解凍部が、次の画像データのうち前記印刷不要範囲に対する解凍処理を開始し、前記印刷部が、前記印刷不要範囲内のラインデータに基づく印刷を実行しないよう、並列解凍制御を実行する制御部と、を備える印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記制御部は、前記他方の解凍部が、前記印刷不要範囲に対する解凍処理後、前記次の画像データのうち印刷必要範囲に対する解凍処理を実行するよう、制御する、印刷装置。
【請求項3】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記制御部は、前記一方の解凍部が、前記一の画像データに対する解凍処理後、前記次の画像データのうち印刷必要範囲に対する解凍処理を実行するよう、制御する、印刷装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の印刷装置であって、
前記一の画像データに対する解凍処理完了から前記次の画像データに対する印刷処理開始までの処理可能時間内に、前記印刷不要範囲に対する解凍処理を完了可能であるかどうかを判断する判断部を備え、
前記制御部は、前記判断部が肯定判断した場合には、前記一の画像データに対する解凍処理完了後に、前記一方の解凍部または前記他方の解凍部が、前記印刷不要範囲に対する解凍処理を開始するよう、非並列解凍制御を実行する、印刷装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の印刷装置であって、
前記印刷部にて片面が印刷されたシートを反転させて、再び前記印刷部に搬送する反転機構を備え、
前記制御部は、複数頁分の画像データを前記反転機構により両面印刷する場合、前記片面に印刷すべき頁画像データに対する解凍処理を、その前頁の画像データに対する解凍処理完了後に開始するよう、非並列解凍制御を実行し、前記片面の裏側の他面に印刷すべき頁画像データに対する解凍処理を、その前頁の画像データに対する解凍処理完了前に開始するよう、前記並列解凍制御を実行する、印刷装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の印刷装置であって、
ユーザが前記印刷不要範囲を指定するための指定部を備え、
前記取得部は、前記指定部から前記指定情報を取得する構成である、印刷装置。
【請求項1】
画像データを構成する各ラインデータを、それよりも前のラインデータ及び圧縮データに基づき生成していく解凍処理を行う第1解凍部及び第2解凍部と、
前記第1解凍部及び前記第2解凍部の少なくとも一方により生成されたラインデータに基づきシートに画像を印刷する印刷部と、
前記各画像データごとに、先頭ラインからの印刷不要範囲に関する指定情報を取得する取得部と、
前記第1解凍部及び前記第2解凍部の一方の解凍部が、一の画像データに対する解凍処理を完了する前に、他方の解凍部が、次の画像データのうち前記印刷不要範囲に対する解凍処理を開始し、前記印刷部が、前記印刷不要範囲内のラインデータに基づく印刷を実行しないよう、並列解凍制御を実行する制御部と、を備える印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記制御部は、前記他方の解凍部が、前記印刷不要範囲に対する解凍処理後、前記次の画像データのうち印刷必要範囲に対する解凍処理を実行するよう、制御する、印刷装置。
【請求項3】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記制御部は、前記一方の解凍部が、前記一の画像データに対する解凍処理後、前記次の画像データのうち印刷必要範囲に対する解凍処理を実行するよう、制御する、印刷装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の印刷装置であって、
前記一の画像データに対する解凍処理完了から前記次の画像データに対する印刷処理開始までの処理可能時間内に、前記印刷不要範囲に対する解凍処理を完了可能であるかどうかを判断する判断部を備え、
前記制御部は、前記判断部が肯定判断した場合には、前記一の画像データに対する解凍処理完了後に、前記一方の解凍部または前記他方の解凍部が、前記印刷不要範囲に対する解凍処理を開始するよう、非並列解凍制御を実行する、印刷装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の印刷装置であって、
前記印刷部にて片面が印刷されたシートを反転させて、再び前記印刷部に搬送する反転機構を備え、
前記制御部は、複数頁分の画像データを前記反転機構により両面印刷する場合、前記片面に印刷すべき頁画像データに対する解凍処理を、その前頁の画像データに対する解凍処理完了後に開始するよう、非並列解凍制御を実行し、前記片面の裏側の他面に印刷すべき頁画像データに対する解凍処理を、その前頁の画像データに対する解凍処理完了前に開始するよう、前記並列解凍制御を実行する、印刷装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の印刷装置であって、
ユーザが前記印刷不要範囲を指定するための指定部を備え、
前記取得部は、前記指定部から前記指定情報を取得する構成である、印刷装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−5828(P2011−5828A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153922(P2009−153922)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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