説明

印刷装置

【課題】脱気の遅れに起因するインクの不吐出を抑制できる印刷装置を提供する。
【解決手段】両面印刷装置1は、振動により水性インク50を吐出する圧電部材を含むインクジェットヘッド27と、インクジェットヘッド27に水性インク50を供給するためのインクボトル21、下部タンク22、循環ポンプ2 3、フィルター25、上部タンク26、及び、配管28と、インクジェットヘッド27に供給される水性インク50を脱気するための脱気部24の脱気ポンプ24aと、脱気ポンプ24aを制御する制御部7とを備え、制御部7は、印刷ジョブの画像データから算出された印刷時間が所定数以上の場合は脱気ポンプ24aを駆動して水性インク50を脱気する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱気手段を有するインク供給手段を備える印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクを吐出するためのインクジェットヘッドと、インクジェットヘッドにインクを供給するインク供給手段を備えた印刷装置が知られている。このような印刷装置は、画像を印刷する際に、圧電素子等による圧力をインクジェットヘッド内部のインクに作用させる。これにより、インクが吐出されて印刷用紙等に画像が印刷される。
【0003】
このような印刷装置では、インクに溶存する気体が多いと、印刷中の温度上昇や圧力変化により溶存気体が気泡として発生する。そして、発生した気泡がインクに作用した圧力を吸収するために、インクの不吐出といった問題があった。そこで、インクに溶存する気体を低減するための脱気手段が設けられた印刷装置が知られている。
【0004】
特許文献1には、インクを循環させるインク循環機構と、インクの気体溶存量を取得する溶存気体量取得部と、インク循環機構の途中部に設けられてインクの経路を分岐させる三方弁と、三方弁により分岐された一方の経路に設けられた脱気装置と、脱気装置によるインクの圧力損失を補償する圧力損失補償部とを備えたインクジェット型の印刷装置が開示されている。
【0005】
この印刷装置では、印刷開始後に、インクに溶存する気体の量が多いと判定した場合には、三方弁を制御して、インクを脱気装置が配置された経路へと流す。これにより、インクは脱気された後、インクジェットヘッドへと供給される。また、脱気装置を経由するインクは、圧力損失が生じるので、圧力損失補償部によってインクの圧力が調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−190703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の印刷装置のように印刷開始後に脱気の判定を行う方法では、インク内の気体の溶存量が多いと判定された後では脱気の開始が遅い場合もあり、インクの不吐出が発するといった課題がある。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するために創案されたものであり、脱気の遅れに起因するインクの不吐出を抑制できる印刷装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る印刷装置は、振動によりインクを吐出する圧電部材を含むインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドに供給されるインクを脱気するための脱気部と、脱気処理の判定のために予め設定された判定パラメータの閾値と、インク内の気泡生成の原因となる物理量の制御パラメータの定義域と、を関連付けた閾値テーブルを格納した記憶部と、前記脱気部の駆動を制御する制御部とを備え、前記制御部は、印刷ジョブの画像データから当該判定パラメータの値を算出し、当該値が前記記憶部から読み出した閾値テーブルに記載の閾値以上の場合には、前記脱気手段を駆動することを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明においては、前記判定パラメータを、印刷ジョブの画像データから算出された印刷時間とすることができる。
【0011】
また、前記印刷装置は、前記インクジェットヘッドのインクの温度を検出する温度検出部をさらに備え、前記制御パラメータを、前記温度検出部によって検出されたインクの温度として、前記制御部は、前記検出されたインクの温度が、前記閾値テーブルに記載された定義域であるインクの温度区間のうちどの区間に属するかを判定して、当該判定された温度区間に対応した閾値を用いて、脱気処理の判定を行うことができる。
【0012】
或いは、前記制御パラメータを、印刷ジョブの画像データから算出された前記圧電部材の振動数として、前記制御部は、前記算出された振動数が、前記閾値テーブルに記載された定義域である前記圧電部材の振動数区間のうちどの区間に属するかを判定して、当該判定された振動数区間に対応した閾値を用いて、脱気処理の判定を行うこともできる。
【0013】
或いは、前記印刷装置は、前記インクジェットヘッドのインクの温度を検出する温度検出部をさらに備え、前記制御パラメータを、前記温度検出部によって検出されたインクの温度と、印刷ジョブの画像データから算出された前記圧電部材の振動数との組として、前記制御部は、前記検出されたインクの温度が、前記閾値テーブルに記載された定義域であるインクの温度区間のうちどの区間に属するか、前記算出された振動数が、前記閾値テーブルに記載された定義域である前記圧電部材の振動数区間のうちどの区間に属するかを判定して、当該判定された温度区間と振動数区間の組に対応した閾値を用いて、脱気処理の判定を行うこともできる。
【0014】
或いは、前記印刷装置は、印刷用紙を搬送する搬送部をさらに備え、前記制御パラメータを、前記搬送部の駆動振動数として、前記制御部は、前記駆動振動数の現在値が、前記閾値テーブルに記載された定義域である前記搬送部の駆動振動数区間のうちどの区間に属するかを判定して、当該判定された駆動振動数区間に対応した閾値を用いて、脱気処理の判定を行うこともできる。
【0015】
また、前記印刷装置は、印刷用紙を搬送する搬送部をさらに備え、前記制御部は、前記脱気部を駆動する際には、通常の印刷における印刷速度よりも遅い印刷速度で印刷するように、前記搬送部を制御することもできる。
【0016】
また、前記制御部は、前回の印刷終了からの時間間隔が閾値未満の場合、前回の印刷時間と今回の印刷時間との和を前記印刷時間として設定することもできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、脱気処理の判定のために予め設定された判定パラメータの閾値と、インク内の気泡生成の原因となる物理量の制御パラメータの定義域と、を関連付けた閾値テーブルを予め格納させ、印刷ジョブ時に画像データから当該判定パラメータの値を算出し、当該値が前記閾値テーブルに記載の閾値以上の場合に脱気手段を駆動するような構成としたことによって、脱気の遅れに起因するインクの不吐出を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態による両面印刷装置の全体概略図である。
【図2】図1に示す両面印刷装置におけるインク循環機構の概略図である。
【図3】図1に示す両面印刷装置の制御系を説明するためのブロック図である。
【図4】印刷時間の閾値をインクの温度と関連付けた閾値テーブルの一例である。
【図5】第1実施形態による印刷処理を説明するフローチャートである。
【図6】第2実施形態による印刷処理を説明するフローチャートの一部である。
【図7】印刷時間の閾値を圧電部材の振動数と関連付けた閾値テーブルの一例である。
【図8】第3実施形態による印刷処理を説明するフローチャートの一部である。
【図9】印刷時間の閾値をインクの温度と圧電部材の振動数との組と関連付けた閾値テーブルの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態による水性インク用のインクジェット型両面印刷装置について説明する。尚、ここでいう水性インクとは、水分を含むインクのことであり、O/W(Oil in Water)型及びW/O(Water in Oil)型のエマルションインクをも含む概念である。
【0020】
図1は、第1実施形態による両面印刷装置の全体概略図である。図2は、インク循環機構の概略図である。図3は、両面印刷装置の制御系を説明するためのブロック図である。図4は、印刷時間の閾値をインクの温度と関連付けた閾値テーブルの一例である。以下の説明において、ユーザが位置する図1の紙面表方向を前方とする。また、図1に記載の上下左右方向は、当該ユーザから視た上下左右と一致している。
【0021】
尚、図1の太線で示す経路が、印刷用紙が搬送される搬送経路である。搬送経路のうち実線及び点線で示す経路が通常経路RCである。搬送経路のうち一点鎖線で示す経路が、反転経路RRである。搬送経路のうち二点鎖線で示す経路が、給紙経路RSである。
【0022】
図1に示すように、両面印刷装置1は、給紙部2と、印刷部3と、乾燥部4と、排紙部5と、反転部6と、制御部7とを備えている。
【0023】
給紙部2は、印刷用紙PAを給紙するものである。給紙部2は、搬送経路の最も上流側に配置されている。給紙部2は、複数の給紙台11と、複数対の給紙ローラ12とを備えている。給紙ローラ12は、何れかの給紙台11から給紙経路RSに沿って印刷用紙PAを搬送して印刷部3へと給紙する。
【0024】
印刷部3は、印刷用紙PAを搬送しつつ、印刷用紙PAに画像を印刷する。印刷部3は、給紙部2の下流側に配置されている。印刷部3は、レジストローラ15と、ベルト搬送部16と、4個のインク循環機構17と、熱交換器18とを備えている。
【0025】
レジストローラ15は、給紙部2または反転部6から搬送される印刷用紙PAをベルト搬送部16へと搬送する。ベルト搬送部16は、レジストローラ15から搬送された印刷用紙PAを吸引しつつ、乾燥部4へと搬送する。
【0026】
インク循環機構17は、水性インク50を一方向に循環経路内で循環させつつ供給して、水性インク50を吐出して画像を印刷するものである。4個のインク循環機構17には、それぞれ異なる色(例えば、黒、シアン、マゼンダ、イエロー)の水性インク50が循環される。
【0027】
図2に示すように、各インク循環機構17は、インクボトル21と、下部タンク22と、循環ポンプ23と、脱気部24と、フィルター25と、上部タンク26と、インクジェットヘッド27と、水性インク50の流路を形成する配管28と、温度センサ29と、キャップ30とを備えている。尚、インクボトル21と、下部タンク22と、循環ポンプ23と、フィルター25と、上部タンク26と、配管28とによってインク供給手段が構成されている。
【0028】
インクボトル21には、供給用の水性インク50が溜められている。
【0029】
下部タンク22には、インクボトル21から配管28を介して供給された水性インク50が一時的に溜められる。また、下部タンク22には、配管28を介してインクジェットヘッド27から排出された水性インク50が一時的に溜められる。下部タンク22は、上部タンク26及びインクジェットヘッド27よりも下方に配置されている。下部タンク22は、内部を大気圧に開放するための開放バルブ22aを有する。
【0030】
循環ポンプ23は、下部タンク22に溜められている水性インク50を配管28を介して、上部タンク26へと流すものである。これにより、水性インク50が、図2の矢印Aで示す方向に循環経路内を循環して、インクジェットヘッド27に供給される。
【0031】
脱気部24は、インクジェットヘッド27へと供給される水性インク50に溶存する気体を脱気するものである。脱気部24は、脱気ポンプ24aを有する。これにより、脱気部24は、インク循環流路の一部を低圧にして、水性インク中の気体を脱気する。
【0032】
フィルター25は、水性インク50に含まれる埃等を除去するものである。
【0033】
上部タンク26は、インクジェットヘッド27に供給する水性インク50を一時的に溜めるものである。上部タンク26には、水性インク50とともに空気が充填されている。上部タンク26は、配管28を介して、溜められた水性インク50をインクジェットヘッド27へと供給する。上部タンク26は、内部を大気圧に開放するための開放バルブ26aを有する。
【0034】
インクジェットヘッド27は、印刷用紙PAへ水性インク50を吐出して、画像を印刷するものである。インクジェットヘッド27は、上部タンク26よりも下方に配置されている。インクジェットヘッド27は、水性インク50を吐出するための圧力を作用させる圧電部材を有する。インク循環時には、インクジェットヘッド27に溜められた水性インク50は、配管28を介して、下部タンク22へと流れる。
【0035】
温度センサ29は、インクジェットヘッド27の内部の水性インク50のインクの温度Tを検出するものである。温度センサ29は、検出したインクの温度Tを制御部7へと出力する。
【0036】
キャップ30は、インクジェットヘッド27の下面を封止するものである。キャップ30は、インクジェットヘッド27の下面を覆うように構成されている。キャップ30は、印刷時は、図2に示す位置に配置され、非印刷時は、インクジェットヘッド27の下面の直近に配置される。
【0037】
熱交換器18は、4つのインク循環経路17をそれぞれ流れる水性インク50の間で熱を交換させるものである。熱交換器18により、4色の水性インク50の温度が平均化される。
【0038】
乾燥部4は、印刷済みの印刷用紙PAを乾燥しつつ搬送する。乾燥部4は、印刷部3の下流側に配置されている。乾燥部4は、乾燥炉31と、3対の搬送ローラ32と、加熱送風部33とを備えている。
【0039】
乾燥炉31は、印刷用紙PAをガイドしつつ、加熱送風部33から送られる加熱気体を貯溜するものである。乾燥炉31の内部には、印刷用紙PAの通常経路RCの一部を構成する搬送空間(図示略)が形成されている。搬送ローラ32は、乾燥炉31の内部の印刷用紙PAを搬送する。
【0040】
排紙部5は、印刷済みの印刷用紙PAを排紙して、積層する。排紙部5は、乾燥部4の下流側に配置されている。排紙部5は、通常経路RCの最も下流側に配置されている。排紙部5は、切替機構35と、2対の排紙ローラ36と、排紙台37とを備えている。
【0041】
切替機構35は、通常経路RCと反転経路RRとの間で印刷用紙PAの搬送経路を切り替るものである。排紙ローラ36は、印刷用紙PAを排紙台37へと排紙するものである。
【0042】
反転部6は、片面が印刷された印刷用紙PAを反転させて印刷部3へと搬送するものである。反転部6は、複数対の反転ローラ41と、フリッパ42と、スイッチバック部43とを備えている。
【0043】
反転ローラ41は、切替機構35を介して、乾燥部4から搬送される片面印刷済みの印刷用紙PAをスイッチバック部43へと一度搬送する。また、反転ローラ41は、スイッチバック部43から戻る印刷用紙PAを、フリッパ42を介して、印刷部3へと搬送する。
【0044】
制御部7は、両面印刷装置1の制御全般を司るものである。図3に示すように、制御部7は、種々のプログラムを実行するCPU51と、各情報が一時的に記憶されるRAM52と、基本プログラム等が記憶されているROM53と、印刷用プログラム、脱気用プログラム等が記憶されているHDD54と、入出力を行うためのI/Oポート55とを備えている。
【0045】
HDD54には、図4に示すように、インクの温度幅ΔT(n=1,2,・・・)(=T〜T,T〜T,T〜T,・・・)と印刷時間の閾値Th(n=1,2・・)とを1対1に対応付けた閾値テーブルTb1が記憶されている。第1実施形態では、制御部7は、印刷時間PTの閾値Thをインクの温度Tと関連付けることにより脱気の要否を判定する。この判定基準は、印刷時間PTが閾値Thよりも長く、圧電部材の総振動回数Nが大きいほど、圧電部材の発熱によりインクの温度Tが上昇して、溶存できなくなった気体が気泡化しやすくなる傾向があることと、印刷時間TPが長いと圧電部材の振動によりインク室内が減圧状態となる時間も長くなるため、溶存気体が気泡化しやすくなる傾向があることから導入した。そして、これらの場合には、脱気処理が要と判定される必要がある。ここで、総振動回数Nとは、1回の印刷ジョブ実行のために必要なインクジェットヘッド27内の圧電部材の振動の総回数、即ち、インクジェットヘッド27からの水性インクの液滴の総吐出数のことである。また、HDD54には、脱気完了を判定するための脱気時間VTの閾値ThVが記憶されている。また、HDD54には、前回の印刷終了時刻PTE及び印刷時間PTAが記憶されている。
【0046】
I/Oポート55には、給紙部2、乾燥部4、排紙部5及び反転部6が入出力可能に接続されている。また、I/Oポート55には、画像データを入力するためのパーソナルコンピュータ等の外部機器(図示略)が接続されている。
【0047】
更に、I/Oポート55には、印刷部3のレジストローラ15と、ベルト搬送部16とが接続されている。これにより、制御部7は、印刷用紙PAを搬送する速度と関連する印刷速度を制御する。尚、制御部7は、脱気する場合には、通常の印刷速度(第2の印刷速度)よりも遅い印刷速度(第1印刷速度)にて印刷した後、通常印刷速度にて印刷する。
【0048】
また、I/Oポート55には、4個のインク循環機構17とが接続されている。より詳細には、I/Oポート55には、インク循環機構17の循環ポンプ23、脱気ポンプ24a、インクジェットヘッド27、及び、温度センサ29が接続されている。これにより、制御部7は、循環ポンプ23を制御して、水性インク50を循環させる。
【0049】
制御部7は、画像印刷中に、脱気ポンプ24aを制御して、水性インク50を脱気する。具体的には、制御部7は、インクの温度Tが幅ΔTに属するときに、印刷時間PTが印刷時間の閾値Th以上の場合には、脱気ポンプ24aを駆動して、水性インク50を脱気しつつ、画像を印刷する。一方、制御部7は、印刷時間PTが閾値Th未満の場合には、脱気ポンプ24aを駆動せずに、画像を印刷する。
【0050】
制御部7は、インクジェットヘッド27のドライバ(図示略)に、画像データに対応したタイミングで所定の吐出信号を送信する。これにより、インクジェットヘッド27は、水性インク50の液滴を印刷用紙PAに吐出する。尚、図3において、4個のインク循環機構17のうち3個のインク循環機構17を省略して記載しているが、4個のインク循環機構17は、同じ構成及び同じ接続状態である。
【0051】
(印刷処理)
次に、上述した第1実施形態による両面印刷装置1の印刷動作について説明する。図5は、両面印刷装置の印刷処理を説明するフローチャートである。
【0052】
図5に示すように、最初に、制御部7は、入力された印刷ジョブの画像データから総振動回数Nを算出する。更に、制御部7は、算出した総振動回数Nに基づいて今回の印刷ジョブに要する印刷時間PTを算出する(ステップS1)。詳細には、印刷時間PTは、印刷ジョブの画像データから算出された総振動回数N以外に、両面印刷装置1によって決められた印刷用紙PAの搬送速度VPと、ノズルによる水性インク50の吐出速度VIから算出される。
【0053】
制御部7は、HDD54に記憶されている前回の印刷終了時刻PTEと現在の時刻CTから前回と今回の印刷ジョブ間の時間間隔ΔPTを算出する(ステップS2)。
【0054】
次に、制御部7は、時間間隔ΔPTがHDD54に記憶されている時間間隔の閾値ThD以上か否かを判定する(ステップS3)。制御部7は、時間間隔ΔPTが閾値ThD以上と判定すると(ステップS3:Yes)、ステップS5の処理を実行する。一方、制御部7は、時間間隔ΔPTが閾値ThD未満と判定すると(ステップS3:No)、今回の印刷時間PTに前回の印刷時間PTAを足して算出した和を新たな印刷時間PTとして設定する(ステップS4)。時間間隔ΔPTが所定値を超える場合、水性インク50の粘性等を考慮して水性インク50を循環させるようにしている。これは、前回の印刷終了からの時間間隔ΔPTが短く閾値ThD未満の場合、水性インク50の不吐出を抑制するためには、前回と今回の印刷ジョブが連続していると考えた方が好ましいからである。
【0055】
次に、制御部7は、ステップS5では、循環ポンプ23を駆動する。これにより、図2に示すように、水性インク50は、下部タンク22、循環ポンプ23、脱気部24、フィルター25、上部タンク26、インクジェットヘッド27及び配管28により構成される循環経路内で矢印A方向に循環される。
【0056】
次に、制御部7は、温度センサ29から入力されたインクの温度Tが属する温度幅ΔTに対応する印刷時間PTの閾値Thを、HDD54に記憶されている閾値テーブルTb1から抽出して設定する(ステップS6)。それは、インクの温度Tに応じて気泡が影響する印刷時間PTが異なるからである。図4に示す閾値テーブルTb1の例では、インクの温度TがΔT=T〜Tに属する場合には、印刷時間PTの閾値としてThが設定される。
【0057】
次に、制御部7は、印刷時間PTが閾値Th以上か否かを判定する(S7)。
【0058】
制御部7は、印刷時間PTが閾値Th以上でないと判定すると(ステップS7:No)、脱気ポンプ24aを駆動することなく、ステップS8の通常画像印刷処理を実行する。ここで、印刷時間PTが閾値Th以上でないとは、印刷時間PTが短く、印刷中に水性インク50に溶存する気体がほとんど気泡とならないため、脱気する必要がないことを意味する。
【0059】
以下、図1を参照して、制御部7が給紙部2〜反転部6を制御して実行する通常画像印刷処理(ステップS8)による印刷動作について説明する。まず、未印刷の印刷用紙PAは、給紙台11の何れかから給紙ローラ12により給紙経路RSに沿って、印刷部3へと搬送される。印刷部3では、印刷用紙PAは、レジストローラ15によって搬送された後、ベルト搬送部16に搬送される。そして、印刷用紙PAが、ベルト搬送部16によって通常印刷速度にて搬送されつつ、画像が、インク循環機構17のインクジェットヘッド27から吐出された水性インク50によって印刷用紙PAに印刷される。尚、制御部7は、給紙ローラ12、レジストローラ15、搬送ローラ32等の回転数を制御することによって印刷速度を制御する。印刷後、印刷用紙PAは、通常経路RCに沿って、ベルト搬送部16によって更に搬送されて、乾燥部4の乾燥炉31へと搬入される。
【0060】
乾燥部4では、印刷用紙PAは、乾燥炉31の内面によってガイドされつつ、加熱気体が充填された乾燥炉31の内部の搬送空間を搬送ローラ32によって搬送される。これにより、水性インク50によって湿った印刷用紙PAが乾燥炉31の内部で乾燥される。この後、印刷用紙PAは、乾燥炉31から排出される。
【0061】
ここで、片面印刷の場合は、印刷用紙PAは、排紙部5へと搬送される。排紙部5では、印刷用紙PAは、切替機構35によりガイドされつつ、排紙ローラ36によって排紙台37に排紙される。
【0062】
一方、両面印刷動作では、印刷用紙PAは、切替機構35によって反転部6の反転経路RRへとガイドされる。反転部6では、印刷用紙PAは、フリッパ42にガイドされつつ、反転ローラ41によってスイッチバック部43へと一時的に搬入される。この後、スイッチバック部43から戻された印刷用紙PAは、フリッパ42にガイドされつつ、反転ローラ41によって印刷部3へと再給紙される。
【0063】
印刷部3では、印刷用紙PAの未印刷面が、インクジェットヘッド27側に向けられてベルト搬送部16によって搬送される。これにより、画像が、インクジェットヘッド27によって、印刷用紙PAの未印刷面に印刷される。この後、両面印刷された印刷用紙PAは、乾燥部4によって乾燥された後、排紙部5へと搬送される。
【0064】
この後、制御部7は、画像データの印刷枚数と印刷した印刷枚数に基づいて印刷終了か否かを判定する(ステップS9)。制御部7は、印刷終了と判定すると(ステップS9:Yes)、ステップS16の処理を実行する。
【0065】
次に、制御部7は、ステップS16において、循環ポンプ23を停止する(ステップS16)。これにより、インク循環機構17での水性インク50の循環が終了する。
【0066】
次に、制御部7は、次回の印刷のために、印刷動作の終了時間PTE及び印刷時間PTAをHDD54に記憶する(ステップS17)。
【0067】
これにより、印刷処理が終了する。
【0068】
一方、制御部7は、ステップS7において、印刷時間PTが閾値Th以上と判定すると(ステップS7:Yes)、脱気部24の脱気ポンプ24aを駆動する(ステップS10)。これにより、インク循環機構17を循環する水性インク50が脱気される。ここで、印刷時間PTが閾値Th以上であるとは、印刷時間PTが長いために、印刷中に水性インク50に溶存する気体が大量の気泡となり、水性インク50の不吐出が生じる確率が高いことを意味する。
【0069】
次に、制御部7は、低速画像印刷処理を実行する(ステップS11)。低速画像印刷処理とは、上述した通常画像印刷処理よりも印刷速度が遅い印刷速度にて画像を印刷する処理である。この低速画像印刷処理により、インクジェットヘッド27での発熱を抑制して、水性インク50に溶存する気体が気泡となることを抑制する。尚、低速画像印刷処理は、印刷速度以外は上述した通常画像印刷処理と同じため動作説明は省略する。
【0070】
次に、制御部7は、脱気時間VTが閾値ThVを経過したか否かを判定する(ステップS12)。制御部7は、脱気時間VTが閾値ThVを経過したと判定すると(ステップS12:Yes)、給紙ローラ12、レジストローラ15、搬送ローラ32等の回転数を上げて、低速印刷速度よりも速い通常印刷速度によって通常画像印刷処理を開始する(ステップS13)。尚、脱気時間VTが閾値ThVを経過したことは、水性インク50に溶存する多くの気体が脱気されて、通常印刷速度による通常画像印刷処理を実行しても水性インク50の不吐出が生じる確率が低いことを意味する。
【0071】
次に、制御部7は、印刷枚数が所定枚数に達して印刷終了と判定すると(S14:Yes)、脱気ポンプ24aを停止する(ステップS15)。これにより、水性インク50の脱気が終了する。
【0072】
次に、制御部7は、上述したステップS16及びステップS17を処理する。これにより、印刷処理が終了する。
【0073】
(両面印刷装置の効果)
次に、上述した両面印刷装置1の効果について説明する。
【0074】
上述したように両面印刷装置1では、制御部7が印刷時間PTと閾値Thと比較して、水性インク50の脱気の要否を判定している。換言すると、制御部7は、脱気の要否を予測して、脱気部24の脱気ポンプ24aを駆動している。このため、脱気開始が遅れることに起因する印刷中の水性インク50の不吐出を抑制できる。また、従来のように、印刷開始後に水性インク50に溶存している気体の量を検出してインク脱気開始が遅れてインク不吐出が多発する問題もない。これにより、印刷された画像品質を向上させることができるとともに、印刷中の強制停止を抑制できる。
【0075】
また、両面印刷装置1では、制御部7が印刷時間PTと閾値Thとを比較した結果、脱気が不要と判定すると、脱気ポンプ24aを駆動させずに印刷を行う。このため、両面印刷装置1は、脱気ポンプ24aの電力消費を低減して、省電力化を実現することができる。
【0076】
また、両面印刷装置1では、制御部7は、印刷時間PTの閾値Thをインク不吐出に影響の大きいインクの温度Tに関連付けることによって脱気の要否を判定している。これにより、第1実施形態の両面印刷装置1では、印刷時間PTが短い場合であっても、インクの温度Tが高く、インクジェットヘッド27の発熱が大きくなることによって生じる水性インク50の不吐出を抑制できる。逆に、印刷時間PTが長い場合であっても、インクの温度Tが小さく、インクジェットヘッド27の発熱が小さい場合には、脱気ポンプ24aを駆動させることなく画像が印刷される。これにより、第1実施形態では、両面印刷装置1の省電力化を実現できる。
【0077】
また、両面印刷装置1では、脱気が必要な場合、制御部7は、最初、通常画像印刷処理よりも印刷速度の遅い、水性インク50中の気体が気泡になりにくい低速画像印刷処理によって印刷する。これにより、両面印刷装置1は、脱気の進行を待つことなく画像印刷を開始することができるので、印刷完了までの時間を短縮することができる。
【0078】
また、両面印刷装置1では、前回の印刷時刻と今回の印刷時刻との時間間隔が短い場合、制御部7が前回の印刷時間PTと今回の印刷時間PTAとを足した和を印刷時間PTとして、脱気の要否を判定している。これにより、両面印刷装置1は、短時間に連続して異なる印刷ジョブが実行されても、脱気の要否を精度よく判定することができるので、水性インク50の不吐出を抑制できる。
【0079】
(第2実施形態)
次に、上述した実施形態の印刷処理を変更した第2実施形態について説明する。図6は、第2実施形態による印刷処理を説明するフローチャートの一部である。図7は、印刷時間の閾値を圧電部材の振動数と関連付けた閾値テーブルの一例である。尚、上述した実施形態と同様の構成には、同じ符号を付けて説明を省略する。また、上述した実施形態の印刷処理と同様のステップには、同じステップ番号を付与して説明を省略する。
【0080】
図6に示すように、第2実施形態における印刷処理では、ステップS1の処理の後、制御部7は、入力された印刷ジョブの画像データに基づいて、振動数fを算出する。ここで、振動数fとは、単位時間当たりの圧電部材の振動数を表す(ステップS21)。振動数fが大きくなると、インクジェットヘッド27の圧電部材での発熱が大きくなり、水性インク50に生じる気泡が増加する。第2実施形態では、HDD54には、図7に示すように、圧電部材の振動数幅Δf(n=1,2,・・・)(=f〜f,f〜f,f〜f,・・・)と印刷時間の閾値Th(n=1,2,・・・)とを1対1に対応付けた閾値テーブルTb2が記憶されている。
【0081】
次に、制御部7は、第1実施形態と同様に、ステップS2〜ステップS5の処理を実行する。
【0082】
次に、制御部7は、HDD54に記憶された印刷時間の閾値テーブルTb2から、画像データから算出された圧電部材の振動数fが属する振動数幅Δf(n=1,2,・・・)に対応する印刷時間の閾値Thを抽出して設定する(ステップS22)。例えば、図7に示すように、第2実施形態における印刷時間の閾値テーブルTb2では、振動数fが幅Δf=f〜fに属する場合には、印刷時間の閾値ThとしてThが設定される。
【0083】
この後、制御部7は、第1実施形態の印刷処理と同様のステップS7以降の処理を実行する。
【0084】
上述したように、第2実施形態では、制御部7は、印刷時間PTの閾値Thをインク不吐出に影響の大きい振動数fに関連付けることによって脱気の要否を判定している。これにより、第2実施形態の両面印刷装置1は、印刷時間PTが短い場合であっても、振動数fが大きく、インクジェットヘッド27の発熱が大きくなることによって生じる水性インク50の不吐出を抑制できる。
【0085】
逆に、印刷時間PTが長い場合であっても、振動数fが小さく、インクジェットヘッド27の発熱が小さい場合には、脱気ポンプ24aを駆動させることなく画像が印刷される。これにより、第2実施形態は、両面印刷装置1の省電力化を実現できる。
【0086】
(第3実施形態)
次に、上述した実施形態の印刷処理を変更した第3実施形態について説明する。図8は、第3実施形態による印刷処理を説明するフローチャートの一部である。図9は、印刷時間の閾値をインクの温度と圧電部材の振動数との組と関連付けた閾値テーブルの一例である。第3実施形態では、HDD54には、図9に示すように、インクの温度幅ΔT(n=1,2,・・・)と圧電部材の振動数幅Δf(n=1,2,・・・)(=f〜f,f〜f,f〜f,・・・)の組と印刷時間の閾値Th(n=1,2,・・・)とを1対1に対応付けた閾値テーブルTb3が記憶されている。尚、上述した実施形態と同様の構成には、同じ符号を付けて説明を省略する。また、上述した実施形態の印刷処理と同様のステップには、同じステップ番号を付与して説明を省略する。
【0087】
図8に示すように、第3実施形態における印刷処理では、制御部7が、第2実施形態と同様に、ステップS1、S21、S2〜S5の処理を実行する。
【0088】
次に、制御部7は、HDD54に記憶された印刷時間の閾値テーブルTb3から、温度センサ29から入力されたインクの温度Tが属する温度幅ΔTと、画像データから算出された圧電部材の振動数fが属する振動数幅Δfの組と1対1に対応する印刷時間の閾値Thを抽出して設定する(ステップS23)。例えば、図9に示すように、第3実施形態における印刷時間の閾値テーブルTb3では、インクの温度Tがインクの温度幅ΔT=T〜Tに属し、且つ、振動数fが単位振動数幅Δf=f〜fに属する場合には、印刷時間の閾値ThとしてThが設定される。
【0089】
この後、制御部7は、第1実施形態の印刷処理と同様のステップS7以降の処理を実行する。
【0090】
上述したように、第3実施形態では、制御部7は、印刷時間PTの閾値Thをインクの温度Tと、印刷ジョブの画像データから算出された振動数fと関連付けることによって脱気の要否を判定している。これにより、第3実施形態では、第1実施形態と第2実施形態の効果を併せ持つことができる。
【0091】
以上、実施形態を用いて本発明を詳細に説明したが、本発明は本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載及び特許請求の範囲の記載と均等の範囲により決定されるものである。以下、上記実施形態を一部変更した変更形態について説明する。
【0092】
上述した実施形態を構成する各部材の形状、配置、数値、材料等は適宜変更可能である。また、上述した実施形態を組み合わせてもよい。
【0093】
上述した実施形態では、水性インク用のインクジェット型両面印刷装置に本発明を適用したが、溶剤系の油性インク用のインクジェット型両面印刷装置や、片面印刷装置等の他のインクジェット型印刷装置に本発明を適用してもよい。
【0094】
上述した実施形態では、インク循環機構を備えた印刷装置に本発明を適用した例を示したが、インクを循環させることなく、インクジェットヘッドにインクを供給する印刷装置に本発明を適用してもよい。
【0095】
上述した実施形態では、印刷ジョブの画像データから算出された印刷時間PTが閾値Th(n=1,2,・・・)を超えるか否かで脱気ポンプを駆動するか否かを判定していたが、別の方法によって脱気ポンプの駆動を判定してもよい。例えば、印刷ジョブの画像データから算出された振動数fが閾値を超えるか否かで脱気ポンプを駆動するか否かを判定してもよい。また、ベルト搬送部16の駆動振動数fDが閾値を超えるか否かで脱気ポンプを駆動するか否かを判定してもよい。ここで、駆動振動数fDとは、印刷用紙の搬送方向に沿ってライン毎に印刷していく場合、単位時間当たりに印刷されるラインの数のことである。駆動振動数fDは、印刷ジョブの画像データから算出された振動数fに基づいて算出される。例えば、駆動周波数fDは、圧電部材の総振動回数N、インクの吐出速度VI、インクジェットヘッドが走査する全ライン数、印刷時間等から算出される。
【0096】
制御部7が、インクの色毎に脱気の要否を判定するように構成してもよい。この場合、各色のインクの温度、各色のインクに対する圧電部材の総振動回数N、振動数f、各画像データにおける各色のインクの印字率、各色の1画素当たりのドロップ数等に基づいて脱気の要否を判定することが好ましい。
【0097】
上述した実施形態では、印刷時間PTの閾値Thを閾値テーブルTb1〜Tb3から抽出したが、制御部7が、インクの温度T、総振動回数N、又は振動数fに基づいて印刷時間の閾値を印刷開始前に予め算出するように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明によれば、脱気処理の判定のために予め設定された判定パラメータの閾値と、インク内の気泡生成の原因となる物理量の制御パラメータの定義域と、を関連付けた閾値テーブルを予め格納させ、印刷ジョブ時に画像データから当該判定パラメータの値を算出し、当該値が前記閾値テーブルに記載の閾値以上の場合に脱気手段を駆動するような構成としたことによって、脱気の遅れに起因するインクの不吐出を制御可能な印刷装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0099】
1 両面印刷装置
3 印刷部
7 制御部
17 インク循環機構
18 熱交換器
21 インクボトル
22 下部タンク
22a 開放バルブ
23 循環ポンプ
24 脱気部
24a 脱気ポンプ
25 フィルター
26 上部タンク
26a 開放バルブ
27 インクジェットヘッド
28 配管
29 温度センサ
50 水性インク
51 CPU
52 RAM
53 ROM
54 HDD
55 I/Oポート
PA 印刷用紙
PTA 前回印刷時間
PTE 前回印刷終了時間
A 単位振動数
T インク温度
PT 印刷時間
Th 印刷時間閾値
ΔPT 時間間隔
ThD 時間間隔閾値
VT 脱気時間
ThV 脱気時間閾値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動によりインクを吐出する圧電部材を含むインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドに供給されるインクを脱気するための脱気部と、
脱気処理の判定のために予め設定された判定パラメータの閾値と、インク内の気泡生成の原因となる物理量の制御パラメータの定義域と、を関連付けた閾値テーブルを格納した記憶部と、
前記脱気部の駆動を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、印刷ジョブの画像データから当該判定パラメータの値を算出し、当該値が前記記憶部から読み出した閾値テーブルに記載の閾値以上の場合には、前記脱気部を駆動することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記判定パラメータは、印刷ジョブの画像データから算出された印刷時間であることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記インクジェットヘッドのインクの温度を検出する温度検出部をさらに備え、
前記制御パラメータは、前記温度検出部によって検出されたインクの温度であり、
前記制御部は、前記検出されたインクの温度が、前記閾値テーブルに記載された定義域であるインクの温度区間のうちどの区間に属するかを判定して、当該判定された温度区間に対応した閾値を用いて、脱気処理の判定を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記制御パラメータは、印刷ジョブの画像データから算出された前記圧電部材の振動数であり、
前記制御部は、前記算出された振動数が、前記閾値テーブルに記載された定義域である前記圧電部材の振動数区間のうちどの区間に属するかを判定して、当該判定された振動数区間に対応した閾値を用いて、脱気処理の判定を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記インクジェットヘッドのインクの温度を検出する温度検出部をさらに備え、
前記制御パラメータは、前記温度検出部によって検出されたインクの温度と、印刷ジョブの画像データから算出された前記圧電部材の振動数との組であり、
前記制御部は、前記検出されたインクの温度が、前記閾値テーブルに記載された定義域であるインクの温度区間のうちどの区間に属するか、前記算出された振動数が、前記閾値テーブルに記載された定義域である前記圧電部材の振動数区間のうちどの区間に属するかを判定して、当該判定された温度区間と振動数区間の組に対応した閾値を用いて、脱気処理の判定を行うことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の印刷装置。
【請求項6】
印刷用紙を搬送する搬送部をさらに備え、
前記制御パラメータは、前記搬送部の駆動振動数であり、
前記制御部は、前記駆動振動数の現在値が、前記閾値テーブルに記載された定義域である前記搬送部の駆動振動数区間のうちどの区間に属するかを判定して、当該判定された駆動振動数区間に対応した閾値を用いて、脱気処理の判定を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項7】
印刷用紙を搬送する搬送部をさらに備え、
前記制御部は、前記脱気部を駆動する際には、通常の印刷における印刷速度よりも遅い印刷速度で印刷するように、前記搬送部を制御することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記制御部は、前回の印刷終了からの時間間隔が閾値未満の場合、前回の印刷時間と今回の印刷時間との和を前記印刷時間として設定することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−88437(P2011−88437A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212553(P2010−212553)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】