説明

印字装置及び印字方法

【課題】搬送手段の摩耗により用紙が蛇行して搬送された場合であっても、用紙への印字が適切に行われるようにし、印字品質を維持する。
【解決手段】検出手段としての用紙端検出センサ10a,10bにより、搬送手段としてのプラテンローラ6による用紙としてのラベル1の搬送時の蛇行によって生じる、印字手段としての印字ヘッド5の印字位置におけるラベル1の傾きが検出されると、制御手段としての制御部11により、記憶手段としてのRAMに展開されるドット画像が用紙端検出センサ10a,10bによって検出された傾きに合わせられ、その傾きが合わせられたドット画像に応じた印字データに基づき、印字ヘッド5によるラベル1への印字が行われるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙搬送時における用紙蛇行に伴う印字位置の修正に適した印字装置及び印字方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、印字装置として、たとえば帯状の台紙上に所定間隔で貼り付けられているラベルに対し、商品名、値段、バーコード等を印字するラベルプリンタが知られている。このようなラベルプリンタは、たとえば印字ヘッドに対して対向配置されているプラテンローラの回転により、帯状の台紙上のラベルが印字ヘッドとプラテンローラとの間に送り出され、印字ヘッドによりラベルへの印字が行われるようになっている。
【0003】
ところで、このようなラベルプリンタにあっては、ラベルへの印字頻度等に応じて、プラテンローラが摩耗することがある。このようにプラテンローラに摩耗が生じると、プラテンローラを回転させるためのステッピングモータへのステップパルスに応じたプラテンローラの回転によるラベルの搬送距離が短くなったり、ラベルの搬送が蛇行したりして印字ヘッドによるラベルへの印字が適切に行われないことがある。
【0004】
このようなプラテンローラの摩耗による不具合を解消するようにしたものとして、特許文献1では、ステッピングモータに印加する紙送りパルスの時間間隔が補正値に応じて設定される第1の計時手段と、印字ヘッドに対して印字起動を行う印字パルスの時間間隔が設定される第2の計時手段とを独立して設け、補正値算出手段で求められたプラテンローラが摩耗することによりラベルを所定間隔搬送するステッピングモータへ供給するパルス数との比として求められた補正値に基づき、プラテンローラの摩耗量が多くなると、第1の計時手段の時間間隔が短くなるように補正されるようにしたラベルプリンタを提案している。
【0005】
【特許文献1】特開11−268358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に示されているラベルプリンタによれば、プラテンローラの摩耗によりラベルの搬送距離が短くなっても、その摩耗量に応じてステッピングモータに印加する紙送りパルスの時間間隔が補正されることで、ラベルの搬送距離の短くなった分が補正され、ラベルの正しい位置に印字が行われるようになっている。
【0007】
ところで、このようなラベルプリンタでは、プラテンローラの摩耗が均一であればラベルの搬送距離の補正によりラベルの正しい位置に印字が行われるものと考えられるが、プラテンローラの摩耗が不均一、すなわちプラテンローラが偏摩耗してしまうと、ラベルが蛇行して搬送されてしまい、最悪な場合、ラベルに対しての印字が傾いてしまい、印字品質が劣化してしまうおそれがある。
【0008】
このような症状が生じた場合、印字ヘッド及びプラテンローラの調整や交換が必要となるばかりか、そのメンテナンスが完了するまでラベルプリンタを使用できないおそれも生じかねない。
【0009】
このようなことから、プラテンローラの摩耗によりラベルが蛇行して搬送された場合であっても、ラベルへの印字が適切に行われて印字品質が維持されるようなラベルプリンタの開発が望まれていた。
【0010】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解決することができる印字装置及び印字方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の印字装置は、用紙に対して印字を行う印字装置であって、前記用紙に対して印字すべき印字データがドット画像に展開されて記憶される記憶手段と、該記憶手段に記憶されている前記ドット画像に応じた印字データに基づき、前記用紙に対して印字を行う印字手段と、該印字手段に対して対向配置され、前記用紙を前記印字手段の印字位置まで搬送する搬送手段と、該搬送手段による前記用紙の搬送時の蛇行によって生じる、前記印字手段の印字位置における前記用紙の傾きを検出する検出手段と、前記記憶手段に展開される前記ドット画像に応じた印字データに基づき、前記印字手段に対して印字を行わせる制御手段とを備え、前記制御手段は、前記検出手段によって検出された傾きに合わせ、前記記憶手段に展開される前記ドット画像を傾けることを特徴とする。
また、前記制御手段は、前記検出手段によって前記用紙の傾きが繰り返し検出された場合、又は前記検出手段によって検出された前記用紙の傾きが徐々に大きくなった場合、前記用紙への印字を停止し、光及び/又は音によって警告を促すようにすることができる。
本発明の印字方法は、用紙に対して印字を行う印字方法であって、前記用紙に対して印字すべき印字データがドット画像に展開されて記憶される記憶手段と、印字手段により、記憶手段に記憶されている、前記用紙に対して印字すべき印字データを展開したドット画像の印字データに基づき、前記用紙に対して印字を行う工程と、前記印字手段に対して対向配置される搬送手段により、前記用紙を前記印字手段の印字位置まで搬送する工程と、検出手段により、前記搬送手段による前記用紙の搬送時の蛇行によって生じる、前記印字手段の印字位置における前記用紙の傾きを検出する工程と、制御手段により、前記記憶手段に展開される前記ドット画像に応じた印字データに基づき、前記印字手段に対して印字を行わせる工程とを有し、前記制御手段は、前記検出手段によって検出された傾きに合わせ、前記記憶手段に展開される前記ドット画像を傾けることを特徴とする。
本発明の印字装置及び印字方法では、検出手段により、搬送手段による用紙の搬送時の蛇行によって生じる、印字手段の印字位置における用紙の傾きが検出されると、制御手段により、記憶手段に展開されるドット画像が検出手段によって検出された傾きに合わせられ、その傾きが合わせられたドット画像に応じた印字データに基づき、印字手段による用紙への印字が行われる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の印字装置及び印字方法によれば、制御手段により、記憶手段に展開されるドット画像が検出手段によって検出された傾きに合わせられ、その傾きが合わせられたドット画像に応じた印字データに基づき、印字手段による用紙への印字が行われるようにしたので、搬送手段の摩耗により用紙が蛇行して搬送された場合であっても、用紙への印字が適切に行われることから、印字品質を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本実施形態では、検出手段により、搬送手段による用紙の搬送時の蛇行によって生じる、印字手段の印字位置における用紙の傾きが検出されると、制御手段により、記憶手段に展開されるドット画像が検出手段によって検出された傾きに合わせられ、その傾きが合わせられたドット画像に応じた印字データに基づき、印字手段による用紙への印字が行われるようにした。
【0014】
このようにすると、搬送手段に偏摩耗が生じ、用紙が蛇行して印字位置まで搬送された場合であっても、用紙への印字が適切に行われることから、印字品質が維持されることになる。
【0015】
また、制御手段により、検出手段によって用紙の傾きが繰り返し検出された場合、又は検出手段によって検出された用紙の傾きが徐々に大きくなった場合、用紙への印字が停止され、光及び/又は音によって警告が促されるようにすることで、印字手段及び搬送手段の調整時期や交換時期を確実に知らせることが可能となる。
【実施例】
【0016】
以下、本発明の実施例について説明する。図1は、本発明の印字装置をラベルプリンタに適用した場合の一実施例を示す図である。
【0017】
同図に示すラベルプリンタは、たとえば印字面とは反対側に剥離可能な接着面を有した複数のラベル1を剥離可能に仮着している台紙2がロール状に巻回されたラベル連続体3を回転自在に支持する供給軸4と、ラベル1に印字を行う印字ヘッド5と、ラベル1を印字ヘッド5に押圧するプラテンローラ6と、ベルト8を介してプラテンローラ6に回転駆動力を与えるステッピングモータ7とを備えている。
【0018】
また、ラベルプリンタは、印字すべきラベル1の基準位置となるラベル1のギャップ(ラベル1間の台紙2のみの部分)を検出する発光部9a及び受光部9bを有する透過型の用紙検出センサ9と、ラベル1の蛇行を検出する用紙端検出センサ10a,10bと、印字ヘッド5による印字動作やステッピングモータ7による駆動等を制御する制御部11とを備えている。
【0019】
ここで、制御部11は、用紙端検出センサ10a,10bによる検出結果に応じてラベル1の傾き(傾斜角度)を算出し、その算出した傾き(傾斜角度)に合わせて印字ヘッド5によるラベル1に対しての印字が制御されるが、その詳細については後述する。
【0020】
なお、用紙検出センサ9にあっては、発光部9a及び受光部9bを有する透過型となっているが、これに限らず、反射型であってもよい。
【0021】
図2及び図3は、用紙端検出センサ10a,10bを説明するための図である。まず、図2(a)に示すように、用紙端検出センサ10a,10bは、反射型であり、ラベル1を仮着している台紙2の幅方向に離間して、印字ヘッド5及びプラテンローラ6から等距離上流側に位置して設けられている。これらの用紙端検出センサ10a,10bは、台紙2の裏面側に印刷等で付されている検出マーク2a,2bを検出するものであり、プラテンローラ6の近傍に配置されている。
【0022】
なお、用紙端検出センサ10a,10bにあっては、反射型に限らず、たとえばラベル1のギャップ(ラベル1間の台紙2のみの部分)を検出する透過型であってもよい。この場合は、台紙2の裏面側に付される検出マーク2a,2bは不要である。
【0023】
ここで、それぞれの用紙端検出センサ10a,10bは、ラベル1の搬送に応じて検出マーク2a,2bを検出することになるが、ラベル1の搬送に蛇行が生じていない場合は、それぞれの用紙端検出センサ10a,10bによる検出マーク2a,2bの検出が同時刻で行われるため、たとえば図3(a)に示すように、それぞれの用紙端検出センサ10a,10bからの検出出力が一致することになる。
【0024】
これに対し、たとえば図2(b)に示すように、ラベル1の搬送に蛇行が生じると、ラベル1の先端の辺がプラテンローラ6の中心軸(印字位置でもある)aに対して矢印b方向に傾くことになる。なお、ラベル1の搬送時の蛇行は、図2(b)では図中下側に生じている場合で示しているが、図中上側にも生じることになる。この場合、ラベル1の先端の辺はプラテンローラ6の中心軸(印字位置でもある)aに対して矢印c方向に傾くことになる。
【0025】
また、このようなラベル1の搬送時に蛇行が生じるとき、それぞれの用紙端検出センサ10a,10bによる検出マーク2a,2bの検出に差を生じることになり、たとえば図3(b)に示すように、それぞれの用紙端検出センサ10a,10bによる検出出力に時間差dが生じる。
【0026】
このようなラベル1の搬送時の蛇行により、ラベル1の先端の辺がプラテンローラ6の中心軸(印字位置でもある)aに対して傾いた状態で印字ヘッド5により印字が行われると、ラベル1への印字が傾いてしまい、印字品質が劣化してしまうことになる。
【0027】
そこで、制御部11により、用紙端検出センサ10a,10bによる検出結果に応じてラベル1の傾き(傾斜角度)が算出され、その算出した傾き(傾斜角度)に合わせて印字ヘッド5によるラベル1に対しての印字が制御されることで、ラベル1への印字が適正に行われるようにしている。
【0028】
図4は、制御部11の詳細について説明するための図である。
【0029】
同図に示すように、制御部11は、CPU11a、ROM12、RAM13、モータ制御部14、印字制御部15、センサ制御部16、用紙端検出センサ制御部17、外部インタフェース18、インタフェース19を備えている。
【0030】
CPU11aは、ROM12に記憶されている制御プログラムに従って動作し、各部を制御する。ここで、CPU11aは、図3(b)で説明したように、ラベル1の搬送の蛇行により、用紙端検出センサ10a,10bによっての検出結果に時間差dが生じると、その時間差dを基にラベル1の傾き(傾斜角度)を算出し、RAM13に展開されるドット画像をその算出した傾き(傾斜角度)に合わせて傾けるように制御する。
【0031】
このようにすることで、上述したように、ラベル1の先端の辺がプラテンローラ6の中心軸(印字位置でもある)aに対して傾いても、そのラベル1の傾きに合わせた印字ヘッド5による印字が行われるため、ラベル1への印字の傾きが解消される。
【0032】
なお、このようなラベル1の搬送時の蛇行による傾きは、主としてプラテンローラ6の偏摩耗によって生じることになるが、用紙端検出センサ10a,10bによる検出結果の時間差dが繰り返し生じた場合、プラテンローラ6の調整や交換が必要となることが予測されるため、ランプやブザー等による光及び/又は音によって警告を促すようにすることができる。
【0033】
また、用紙端検出センサ10a,10bによる検出結果の時間差dが徐々に大きくなるときにも、同様に、プラテンローラ6の調整や交換が必要となることが予測されるため、ランプやブザー等による光及び/又は音によって警告を促すようにすることができる。
【0034】
ROM12には、CPU11aの動作に必要な制御プログラム等が格納されている。RAM13は、印字すべき文字、図形、バーコード等の印字データがドット画像に展開される描画メモリである。ここで、これらの印字データがドット画像に展開されるとき、上述したように、用紙端検出センサ10a,10bによっての検出結果の時間差dを基に算出されたラベル1の傾き(傾斜角度)の傾きに合わせて傾けられる。
【0035】
モータ制御部14は、ステッピングモータ7にパルス信号を供給し、ステッピングモータ7を駆動させる。印字制御部15は、RAM13に展開されたドット画像の印字データに対応する制御信号を生成して印字ヘッド5に供給し、印字動作を行わせる。センサ制御部16は、用紙検出センサ9の検出動作を制御するとともに、用紙検出センサ9からの検出結果を受け取り、CPU11aに供給する。
【0036】
用紙端検出センサ制御部17は、用紙端検出センサ10a,10bの検出動作を制御するとともに、用紙端検出センサ10a,10bからの検出結果を受け取り、CPU11aに供給する。
【0037】
次に、ラベルプリンタによる印字方法について説明する。
【0038】
まず、図5に示すように、印刷の指定枚数を含めた印字開始の指示があると(ステップS1)、RAM13に印字データがドット画像に展開された後(ステップS2)、ステッピングモータ7にパルス信号が供給され、ステッピングモータ7の駆動によりプラテンローラ6が回転することで、ラベル1が印字ヘッド5の印字位置まで搬送される(ステップS3)。
【0039】
このとき、用紙端検出センサ10a,10bにより、台紙2の裏面側に付されている検出マーク2a,2bが検出されると、制御部11のCPU11aによりそれぞれの用紙端検出センサ10a,10bによる検出結果に時間差dがあるかどうかが判断される(ステップS4)。
【0040】
ここで、上述したように、それぞれの用紙端検出センサ10a,10bによる検出結果に時間差dがなければ(ステップS4:NO)、ラベル1の先端の辺がプラテンローラ6の中心軸(印字位置でもある)aに対して傾きを生じていないため、RAM13に展開された通常のドット画像の印字データに基づき、印字ヘッド5によるラベル1への印字が行われる(ステップS5)。
【0041】
ラベル1への印字が完了すると、指定枚数の印字が完了したかどうかが判断され(ステップS6)、指定枚数の印字が完了していない場合は(ステップS6:NO)、ステップS3に戻り、指定枚数の印字が完了した場合は(ステップS6:YES)、終了となる。
【0042】
ここで、ステップS4において、CPU11aにより、それぞれの用紙端検出センサ10a,10bによる検出結果に時間差dがあると判断された場合(ステップS4:YES)、その時間差dを基にラベル1の傾き(傾斜角度)が算出され(ステップS7)、RAM13に展開されるドット画像がその算出した傾き(傾斜角度)に合わせて傾けられる(ステップS8)。
【0043】
そして、その傾けられたドット画像の印字データに基づき、印字ヘッド5によるラベル1への印字が行われる(ステップS9)。これにより、ラベル1の先端の辺がプラテンローラ6の中心軸(印字位置でもある)aに対して傾いても、そのラベル1の傾きに合わせた印字ヘッド5による印字が行われるため、ラベル1への印字の傾きが解消される。
【0044】
ここで、最初に、それぞれの用紙端検出センサ10a,10bによる検出結果に時間差dがあると判断された場合は、検出結果の時間差が繰り返し生じておらず(ステップS10:NO)、しかも検出結果の時間差が徐々に大きくなっていないため(ステップS11:NO)、ステップS3に戻り、次のラベル1が印字ヘッド5の印字位置まで搬送される。
【0045】
ここで、次のラベル1への印字が行われるとき、CPU11aにより、再度、それぞれの用紙端検出センサ10a,10bによる検出結果に時間差dがあると判断された場合(ステップS4:YES)、その時間差dを基にラベル1の傾き(傾斜角度)が算出され(ステップS7)、RAM13に展開されるドット画像がその算出した傾き(傾斜角度)に合わせて傾けられる(ステップS8)。
【0046】
なお、先に判断された時間差dと次に判断された時間差dとが同じである場合は、先にRAM13に算出による傾き(傾斜角度)に合わせて傾けられているドット画像の再傾けは不要であり、そのまま先にRAM13に展開されているドット画像の印字データに基づき、印字ヘッド5によるラベル1への印字が行われる(ステップS9)。これにより、次に印字すべきラベル1の先端の辺がプラテンローラ6の中心軸(印字位置でもある)aに対して傾いても、そのラベル1の傾きに合わせた印字ヘッド5による印字が行われるため、次のラベル1に対してもその印字の傾きが解消される。
【0047】
以降、CPU11aにより、繰り返し、それぞれの用紙端検出センサ10a,10bによる検出結果に時間差dがあると判断された場合(ステップS10:YES)、プラテンローラ6の調整や交換が必要となることが予測されるため、ラベル1への印字が停止され、ランプやブザー等による光及び/又は音によって警告が促される(ステップS11)。
【0048】
また、CPU11aにより、用紙端検出センサ10a,10bによる検出結果の時間差dが徐々に大きくなったと判断された場合(ステップS12:YES)、同様に、プラテンローラ6の調整や交換が必要となることが予測されるため、ラベル1への印字が停止され、ランプやブザー等による光及び/又は音によって警告が促される(ステップS11)。
【0049】
このように、本実施例では、検出手段としての用紙端検出センサ10a,10bにより、搬送手段としてのプラテンローラ6による用紙としてのラベル1の搬送時の蛇行によって生じる、印字手段としての印字ヘッド5の印字位置におけるラベル1の傾きが検出されると、制御手段としての制御部11により、記憶手段としてのRAM13に展開されるドット画像が用紙端検出センサ10a,10bによって検出された傾きに合わせられ、その傾きが合わせられたドット画像に応じた印字データに基づき、印字ヘッド5によるラベル1への印字が行われるようにした。
【0050】
このようにすると、プラテンローラ6に偏摩耗が生じ、ラベル1が蛇行して印字位置まで搬送された場合であっても、ラベル1への印字が適切に行われることから、印字品質を維持することができる。
【0051】
また、本実施例では、制御部11により、用紙端検出センサ10a,10bによってラベル1の傾きが繰り返し検出された場合、又は用紙端検出センサ10a,10bによって検出されたラベル1の傾きが徐々に大きくなった場合、ラベル1への印字が停止され、光及び/又は音によって警告が促されるようにしたので、印字ヘッド5及びプラテンローラ6の調整時期や交換時期を確実に知らせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
ラベルプリンタに限らず、普通紙等に印字を行う他の印字装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の印字装置をラベルプリンタに適用した場合の一実施例を示す図である。
【図2】図1の用紙端検出センサを説明するための図である。
【図3】図1の用紙端検出センサを説明するための図である。
【図4】図1の制御部の詳細について説明するための図である。
【図5】図1のラベルプリンタによる印字方法について説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
1 ラベル
2 台紙
2a,2b 検出マーク
3 ラベル連続体
4 供給軸
5 印字ヘッド
6 プラテンローラ
7 ステッピングモータ
8 ベルト
9 用紙検出センサ
9a 発光部
9b 受光部
10a,10b 用紙端検出センサ
11 制御部
11a CPU
12 ROM
13 RAM
14 モータ制御部
15 印字制御部
16 センサ制御部
17 用紙端検出センサ制御部
18 外部インタフェース
19 インタフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に対して印字を行う印字装置であって、
前記用紙に対して印字すべき印字データがドット画像に展開されて記憶される記憶手段と、
該記憶手段に記憶されている前記ドット画像に応じた印字データに基づき、前記用紙に対して印字を行う印字手段と、
該印字手段に対して対向配置され、前記用紙を前記印字手段の印字位置まで搬送する搬送手段と、
該搬送手段による前記用紙の搬送時の蛇行によって生じる、前記印字手段の印字位置における前記用紙の傾きを検出する検出手段と、
前記記憶手段に展開される前記ドット画像に応じた印字データに基づき、前記印字手段に対して印字を行わせる制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記検出手段によって検出された傾きに合わせ、前記記憶手段に展開される前記ドット画像を傾ける
ことを特徴とする印字装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記検出手段によって前記用紙の傾きが繰り返し検出された場合、又は前記検出手段によって検出された前記用紙の傾きが徐々に大きくなった場合、前記用紙への印字を停止し、光及び/又は音によって警告を促すことを特徴とする請求項1に記載の印字装置。
【請求項3】
用紙に対して印字を行う印字方法であって、
前記用紙に対して印字すべき印字データがドット画像に展開されて記憶される記憶手段と、
印字手段により、記憶手段に記憶されている、前記用紙に対して印字すべき印字データを展開したドット画像の印字データに基づき、前記用紙に対して印字を行う工程と、
前記印字手段に対して対向配置される搬送手段により、前記用紙を前記印字手段の印字位置まで搬送する工程と、
検出手段により、前記搬送手段による前記用紙の搬送時の蛇行によって生じる、前記印字手段の印字位置における前記用紙の傾きを検出する工程と、
制御手段により、前記記憶手段に展開される前記ドット画像に応じた印字データに基づき、前記印字手段に対して印字を行わせる工程とを有し、
前記制御手段は、前記検出手段によって検出された傾きに合わせ、前記記憶手段に展開される前記ドット画像を傾ける
ことを特徴とする印字方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−190268(P2009−190268A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−33350(P2008−33350)
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】