印鑑照合システム
【課題】照合結果のばらつきを抑える仕組みを備えた印鑑照合システムを提供する。
【解決手段】印鑑サーバは、読み取られた印鑑の印影イメージであるマスタ印影イメージと、印鑑を照合する操作者を識別するための操作者識別情報とを対応付けて格納する印鑑情報記憶部と、操作者識別情報と、過去に操作者が印鑑を照合した際の照合情報と、照合情報に関する傾向を示す統計情報とを対応付けて蓄積する照合情報記憶部と、操作者識別情報に基づいて統計情報を取得し、その傾向から操作者が印鑑を照合した際の特徴を推定し、操作者に対するアドバイス情報を出力する特徴推定部とを備え、印鑑照合クライアントは、操作者識別情報に基づいて取得したマスタ印影イメージと、操作者が印鑑を照合した際に読み取られた印鑑の印影イメージである被照合印影イメージとを照合し、照合の結果と共に特徴推定部が出力したアドバイス情報を操作者に出力する印鑑照合部と、を備える。
【解決手段】印鑑サーバは、読み取られた印鑑の印影イメージであるマスタ印影イメージと、印鑑を照合する操作者を識別するための操作者識別情報とを対応付けて格納する印鑑情報記憶部と、操作者識別情報と、過去に操作者が印鑑を照合した際の照合情報と、照合情報に関する傾向を示す統計情報とを対応付けて蓄積する照合情報記憶部と、操作者識別情報に基づいて統計情報を取得し、その傾向から操作者が印鑑を照合した際の特徴を推定し、操作者に対するアドバイス情報を出力する特徴推定部とを備え、印鑑照合クライアントは、操作者識別情報に基づいて取得したマスタ印影イメージと、操作者が印鑑を照合した際に読み取られた印鑑の印影イメージである被照合印影イメージとを照合し、照合の結果と共に特徴推定部が出力したアドバイス情報を操作者に出力する印鑑照合部と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関等において顧客が提示した印鑑や紙面上に捺印された印影の真偽の判定に用いられる印鑑照合システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、金融機関では業務効率の向上のために、印鑑照合業務に印鑑照合システムが取り入れられている。多くの印鑑照合システムでは、顧客が提示した印鑑や書類上に捺印された印影(被照合印影)をイメージスキャナで読み取った被照合印影イメージに対し、印鑑の届出時にイメージスキャナで読み取り登録したマスタ印影イメージをデータベースから参照し、両者を比較することによって照合を行っている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−202514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来例のような印鑑照合システムでは、最終的に印鑑照合がOKであるかNGであるかはオペレータの目視確認による判断に委ねているものも多々ある。ここで、OK/NGの判断が多少正確さに欠けたり、印影のかすれ・にじみ・よごれ等を無意識の内に見落としていたりすることが多いオペレータが印鑑照合した場合と、判断が正確で見逃しポイントがないオペレータが印鑑照合した場合とでは照合結果にばらつきが生じてしまう。印鑑照合を行うオペレータの違いによって照合結果が異なるのは好ましくなく、誰が照合しても同じ結果を出せることが最も好ましい。ここで、照合結果のばらつきは、オペレータの判断ミスに起因するものであり、オペレータの判断ミスをなくし、照合結果のばらつきを抑えることができれば、照合結果の信頼性をより一層高めることができる。
【0005】
本発明の目的は、照合結果のばらつきを抑える仕組みを備えた印鑑照合システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の目的を達成するために、本発明は、印鑑に関する情報を記憶する印鑑サーバと前記印鑑を照合する印鑑照合クライアントとが互いにネットワークで接続された印鑑照合システムであって、前記印鑑サーバは、あらかじめ読取装置から読み取られた前記印鑑の印影イメージであるマスタ印影イメージと、前記印鑑を照合する操作者を識別するための操作者識別情報とを対応付けて格納する印鑑情報記憶部と、前記操作者識別情報と、過去に前記操作者が前記印鑑を照合した際の照合情報と、前記照合情報に関する傾向を示す統計情報とを対応付けて蓄積する照合情報記憶部と、前記操作者識別情報に基づいて前記統計情報を取得し、取得した前記統計情報が示す傾向から前記操作者が印鑑を照合した際の特徴を推定し、前記操作者に対するアドバイス情報を出力する特徴推定部とを備え、前記印鑑照合クライアントは、前記操作者識別情報に基づいて前記印鑑情報記憶部から前記マスタ印影イメージを取得し、取得した前記マスタ印影イメージと、前記操作者が印鑑を照合した際に前記読取装置から読み取られた前記印鑑の印影イメージである被照合印影イメージとを照合し、前記照合の結果と共に前記特徴推定部が出力した前記アドバイス情報を前記操作者に出力する印鑑照合部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、オペレータの判断ミスによる照合結果のばらつきを抑えることができ、照合結果の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態による印鑑照合システム構成図である。
【図2】本発明の実施の形態による印鑑照合システム構成図である。
【図3】本発明の実施の形態による印鑑照合プログラムの処理フローである。
【図4】本発明の実施の形態によるオペレータ照合情報蓄積の処理フローである。
【図5】本発明の実施の形態によるオペレータ特徴推定の処理フローである。
【図6】本発明の実施の形態によるオペレータ照合情報照会プログラムの処理フローである。
【図7】本発明の実施の形態によるオペレータ特徴統計取得の処理フローである。
【図8】本発明の実施の形態による口座選択画面例である。
【図9】本発明の実施の形態による印鑑照合画面例である。
【図10】本発明の実施の形態によるNG理由入力画面例である。
【図11】本発明の実施の形態によるオペレータ指定画面例である。
【図12】本発明の実施の形態による指定オペレータ照合情報照会時の期間指定画面例である。
【図13】本発明の実施の形態による指定オペレータ情報閲覧画面例である。
【図14】本発明の実施の形態によるオペレータ照合情報個別照会画面例である。
【図15】本発明の実施の形態によるオペレータ統計情報閲覧画面例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる印鑑照合システムの実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
図1および図2は、本実施の形態における印鑑照合システム1000の構成を示す図である。本実施例における印鑑照合システム1000は、集中管理センタ等に設置された印鑑サーバ端末101と、各営業店に設置された印鑑クライアント端末102と、同じく各営業店に設置された管理者向け端末103とを含んで構成される。
【0011】
印鑑サーバ端末101は、印鑑届出時にイメージスキャナ等の入力装置で読み取ったマスタ印影イメージおよび関連する口座情報を対応付けて蓄積する印鑑情報データベース201と、各オペレータの印鑑照合時の情報をオペレータ単位(例えば、オペレータを一意に識別するためのオペレータのログインID等の単位)で取得し蓄積するオペレータ照合情報データベース202と、オペレータ照合情報データベース202に蓄積された情報を元に各オペレータの特徴を推定するオペレータ特徴推定プログラム203とを内部に備え、ネットワーク接続された各営業店設置の印鑑クライアント端末や管理者向け端末からのデータ参照または登録の要求に応える。
【0012】
印鑑クライアント端末102は、顧客が提示した印鑑または紙面上に捺印された印影をイメージスキャナ206によって読み込んだ被照合印影イメージと印鑑情報データベース201から参照したマスタ印影イメージとを印鑑照合する印鑑照合プログラム204を内部に備え、各オペレータに対して端末の画面上での印鑑照合機能を提供する。管理者向け端末103は、オペレータの印鑑照合時に印鑑照合プログラムが取得しオペレータ照合情報データベース202に登録したオペレータ照合情報およびそれを元にオペレータ特徴推定プログラム203で推定されたオペレータ特徴を照会するオペレータ照合情報照会プログラム205を内部に備え、管理者に対して各オペレータの照合情報の閲覧機能を提供する。
【0013】
以下、本実施例における印鑑照合システム1000が備える機能を説明する。本実施例の印鑑照合システム1000は、各オペレータが印鑑クライアント端末を用いて印鑑照合業務をする際の情報をオペレータ照合情報として取得し、データベースに蓄積する機能を備える。また、蓄積したオペレータ照合情報の利用方法として、各オペレータの印鑑照合時に、それまでの印鑑照合で蓄積したオペレータ照合情報からオペレータの特徴を推定し、推定した特徴を用いてアドバイスおよびオペレータのOK/NG判断の妥当性チェックを行う機能を備える。また、管理者に対して各オペレータのオペレータ照合情報およびオペレータ特徴を表示する機能を備える。以下、これらの機能を利用したときの具体的な処理の流れを説明する。
【0014】
続いて、印鑑照合時におけるオペレータ照合情報の取得方法を図3、図4、図5の処理フローを用いて説明する。なお、図3における印鑑照合時におけるオペレータ照合情報の取得方法の処理は、S302、S303、S306〜S308、S314〜S317の順に処理される。
【0015】
まず、オペレータが印鑑照合業務を開始すると、印鑑クライアント端末102内部の印鑑照合プログラム204は口座選択画面(図8)を表示する(S302)。口座選択画面では、印鑑照合する印鑑のマスタ印影イメージが登録されている口座の店番、科目、口座番号を入力するためのフィールド801があり、これらがオペレータにより入力され、照会ボタン802が押下されると、印鑑照合プログラム204は、マスタ印影イメージを含む口座情報を印鑑情報データベース201から照会し、その口座情報を取得する。
【0016】
マスタ印影イメージが取得されると、印鑑照合プログラム204は、印鑑照合画面(図9)に遷移させる(S303)。印鑑照合画面では、マスタ印影イメージと、被照合印影イメージと、両者の重ね合わせイメージを並べて表示する印影表示部902が備えられ、印鑑照合プログラム204は、口座選択画面から遷移した段階では、マスタ印影イメージのみを表示する。次に、オペレータにより被照合印影読取ボタン905が押下されると、印鑑照合プログラム204は、イメージスキャナから被照合印影イメージを読み取り、被照合印影イメージを表示する(S306)。続いてオペレータにより印鑑照合開始ボタン906が押下されると、印鑑照合プログラム204は、重ね合わせイメージを表示する(S307)。
【0017】
オペレータは、これらのイメージを参考に印鑑照合がOKかNGかを判断する。オペレータにより判断結果入力部904でOK/NGのどちらかが選択され印鑑照合完了ボタン907が押下されると、印鑑照合プログラム204は、オペレータ照合情報として、照合日時、印鑑照合がOKかNGかの判断結果、印鑑照合開始ボタン906を押下してから印鑑照合完了ボタン907を押下するまでにかかった時間(判断にかかった時間)、プログラムが内部で計算した照合率、印影のかすれ・にじみ・よごれの有無、などを一時的に取得する(S308)。このとき、印鑑照合プログラム204は、オペレータの判断結果が照合OKかNGをチェックし(S314)、照合NGの場合、NG理由入力画面(図10)を表示する(S315)。
【0018】
NG理由入力画面では、オペレータはNG理由の入力を行う。ここで、NG理由の入力方法は、予めテンプレートとして用意した回答群からラジオボタンによる単一選択をするかチェックボックスによる複数選択をするかどちらとしてもよく、あるいはテキストボックスによる手入力としてもよい。オペレータによりNG理由が入力され、NG理由入力完了ボタン1002が押下されると、印鑑照合プログラム204は、オペレータ照合情報としてNG理由も一時的に取得する(S316)。
【0019】
オペレータの判断結果が照合OKの場合には、印鑑照合プログラム204は、NG理由取得は行わない。最後に、一時的に取得したオペレータ照合情報を印鑑サーバ端末に送信し(S317)、印鑑照合業務を終了する。このS317の処理が終了すると、印鑑サーバ端末101は、図4に示す処理を行う。
【0020】
オペレータ照合情報を受け取った印鑑サーバ端末101は、図4に示すオペレータ照合情報登録処理を行う。まず、オペレータ特徴推定プログラム203は、例えば、オペレータのログインID等をキーにして、オペレータ照合情報をオペレータ照合情報データベース202に登録し(S401)、次に、指定オペレータ特徴推定を行う(S402)。
【0021】
図5に示す指定オペレータ特徴推定は、オペレータ特徴推定プログラム203内で行われ、指定したオペレータ(例えば、ログインID等を用いてログインしたオペレータ)が過去に印鑑照合した際のオペレータ照合情報をオペレータ照合情報データベース202から読み込み(S501)、データが存在するかチェックし(S502)、データが存在した場合は、その統計を取ることでオペレータの照合時の特徴を推定する(S503)。
【0022】
推定される特徴は、オペレータの照合の正確さや、照合の早さ、オペレータが印鑑照合時に見逃しがちなポイント(以下、見逃しポイント)などで、例えば、オペレータの印鑑照合OK/NG判断とプログラムが内部で計算した照合率の一致度合を見ることで照合の正確さを推定したり、照合OK/NGの判断にかかった時間の平均から平均照合判断時間を推定したり、印影のかすれがある場合でもOKとしている印鑑照合ケースが頻繁に見られる場合には、印影のかすれを見逃しポイントだと推定したりする。また、オペレータ特徴推定プログラム203は、印影のにじみ、よごれ等についても同様に見逃しポイントかどうか推定を行う。
【0023】
続いて、S503の処理が終了すると、図4に戻り、オペレータ特徴推定プログラム203は、推定したオペレータ特徴をオペレータ照合情報データベース202に登録し(S403)、オペレータ照合情報登録処理を終了する。なお、指定オペレータ特徴推定およびオペレータ特徴のデータベース登録の実施タイミングは、前述したタイミングに限らず、例えば、一日に一回まとめて行う等、定期的に行うこととしてもよい。
【0024】
次に、印鑑照合時におけるオペレータ照合情報の利用方法を、図3の処理フローを用いて説明する。なお、図3における印鑑照合時におけるオペレータ照合情報の利用方法の処理は、S301、S303〜S305、S309〜S313の順に処理される。
【0025】
前述の方法で取得したオペレータ照合情報はオペレータに対する照合アドバイス表示およびオペレータのOK/NGの判断結果に対しての妥当性チェックに利用される。オペレータ照合情報の利用時は、オペレータが印鑑照合システムにログインし印鑑照合業務を開始すると、印鑑クライアント端末102内部の印鑑照合プログラム204は、ログインしたオペレータのオペレータ特徴を、ログインID等をキーとして、オペレータ照合情報データベース202から読み込む(S301)。
【0026】
オペレータに対する照合アドバイスは、印鑑照合画面表示(S303)のタイミングで、印鑑照合プログラム204が、オペレータ特徴が読み込めているかチェックし(S304)、読み込めている場合に、推定したオペレータの印鑑照合時の特徴を元に作成し、図9に示した印鑑照合画面内に表示する(S305)。ここで表示される情報は、例えば、かすれを見落としがちと特徴を推定したオペレータに対して「かすれを見落としがちではありませんか?印影がかすれていないか注意してみましょう。」など、例えば、主にオペレータの見逃しがちなポイントを注意するような内容である。以上によりオペレータに対し、今まで無意識の内に見逃していたポイントなどを認識させ、これを改善するよう常に意識させる。これによりオペレータが判断ミスをする要因をなくしていけば、オペレータはより正確に印鑑照合できるようになり、照合結果のばらつきを抑えることができる。
【0027】
オペレータのOK/NG判断の妥当性チェックは、印鑑照合プログラム204が、オペレータ照合情報(照合OK/NGの判断結果、判断にかかった時間、照合率、印影のかすれ・にじみ・よごれの有無)を一時的に取得した直後のタイミングで、オペレータ特徴が読み込めているかチェックし(S309)、読み込めている場合に行う(S310)。ここで、推定したオペレータの特徴と一時的に取得したオペレータ照合情報を比較することにより、オペレータの判断結果が妥当かどうかを判断する。
【0028】
例えば、そのオペレータの印鑑照合OK/NGの平均判断時間に比べ、明らかに判断にかかった時間が短く、オペレータの印鑑照合OK/NG判断とプログラムが内部で計算した照合率の一致度合が低い場合は、オペレータの操作ミスで印鑑照合OK/NGを判断する前に印鑑照合完了ボタン押下してしまった、または、集中力が低下している等、何らかの理由により正しく印鑑照合ができていない可能性があると判断する(S311)。この場合は、オペレータに対し、正しく印鑑照合できていない可能性がある旨の注意メッセージを表示し(S312)、再照合を行うかどうかを確認する(S313)。オペレータが再実施を行うとした場合、印鑑照合開始前の処理に戻り再度照合を行う。以上に挙げた処理により、オペレータが操作ミスや集中力低下に起因する判断ミスから誤って印鑑照合をしてしまうことを防ぐことができ、照合結果のばらつきを抑えることができる。
【0029】
また、オペレータが印鑑照合部を利用して印鑑照合する際、オペレータ照合情報として、例えば、判断結果(OK/NG)、NG理由、OK/NGの判断時間、照合率、かすれ・にじみ・よごれの有無を取得し、オペレータ照合情報データベースに蓄積し、蓄積したオペレータ照合情報を元に、オペレータ特徴推定部が各オペレータの特徴を推定し、オペレータ照合情報データベースに蓄積し、オペレータの照合判断は正確か、照合にどのくらい時間をかけるか、照合時に見逃しがちなポイント(例:印影のかすれ)はないか、などの特徴を推定し、推定された各オペレータの特徴は、各オペレータの次の印鑑照合時に、印鑑照合部でフィードバックさせ、そのオペレータが印鑑照合時に気をつけるポイントをアドバイスとして表示させるのに利用したり、オペレータが普段の照合時に比べ明らかに早く照合判断を下したときなど判断ミスの可能性がある場合に注意喚起を行うため、オペレータの判断ミスを改善し、照合結果のばらつきを抑えることができる。
【0030】
最後に、管理者に向けたオペレータ照合情報の利用方法を、図6、図7の処理フローを用いて説明する。管理者向け端末103内部のオペレータ照合情報照会プログラム205が起動されると、オペレータ照合情報照会プログラム205は、全オペレータの特徴の統計情報をオペレータ照合情報データベース202から読み込んだ後(S601)、オペレータ指定画面(図11)を表示する(S602)。ここで、読み込む全オペレータの特徴の統計情報は、図7に示すように、前もって印鑑サーバ端末101内部のオペレータ特徴推定プログラム203が、各オペレータの特徴をオペレータ照合情報データベース202から読み込み(S701)、その統計を取り(S702)、同データベースに登録(S703)したものとする。
【0031】
なお、全オペレータの特徴の統計情報は、例えば、一日に一回夜間に更新するなどして定期的に統計情報を最新のものにする。オペレータ指定画面では、管理者はオペレータ照合情報の閲覧対象として、指定したオペレータのオペレータ照合情報を閲覧するか、全オペレータの照合統計情報を閲覧するかを選択するフィールド1101を備える。オペレータ照合情報照会プログラム205は、オペレータ指定画面からの画面遷移時、管理者によってオペレータ指定されているかチェックし(S603)、指定がある場合は、期間指定画面(図12)に遷移させる(S604)。
【0032】
同画面で管理者により照会する期間が指定されると、指定された期間内の指定オペレータの照合情報に対して、オペレータ特徴推定プログラム203は、前述したS402におけるオペレータ照合情報取得の流れと同様の手順で指定オペレータの特徴推定を行い(S606)、指定オペレータ情報閲覧画面(図13)に遷移させる(S607)。オペレータ特徴推定プログラム203は、指定オペレータ情報閲覧画面では、指定された期間内の指定オペレータの情報を表示する。表示する情報は、指定された期間内の指定オペレータの特徴や、指定オペレータに対してのアドバイスの観点(どんなアドバイスをすればいいか)などとする。
【0033】
また、ここで、管理者によりオペレータ照合情報個別照会ボタン1305が選択されると、オペレータ特徴推定プログラム203は、オペレータ照合情報個別照会画面(図14)に遷移させる(S609)。ここでは、オペレータ照合情報の1件1件を照会することができ、オペレータ照合情報の他、マスタ印影イメージ、被照合印影イメージなどを表示する。
【0034】
オペレータ指定画面で管理者により全オペレータの照合統計情報の閲覧が選択された場合、オペレータ特徴推定プログラム203は、オペレータ統計情報閲覧画面(図15)に遷移させ、全オペレータの照合統計情報を表示する(S605)。表示する統計情報は、各オペレータの平均判断時間を横軸、印鑑照合の正確さ(オペレータの判断とプログラムが内部で計算した照合率の一致度合)を縦軸に取り、各オペレータの印鑑照合の早さと正確さのバランスをそれぞれプロットした分布図や、全オペレータの平均かすれ認識率、平均にじみ認識率、平均よごれ認識率等とする。
【0035】
以上に挙げた処理において閲覧できる情報を元に、管理者はより深くオペレータの印鑑照合業務の実態を知ることができる。例えば、管理者はオペレータの特徴推定することによってオペレータの特徴を知ることができ、更に、期間指定して特徴推定を行い、オペレータの昔の特徴と今の特徴をそれぞれ推定し比較すれば、昔あった悪いクセが直っているかいないか、新しく悪いクセがついていないか等を知ることができる。これらの情報を元に管理者が的確なアドバイスをオペレータに対して行えば、オペレータが自らの悪いクセを改善するよう意識し、より正確に印鑑照合できるようになり、照合結果のばらつきを抑えることができる。
【0036】
すなわち、管理者に対し、オペレータ照合情報データベースに蓄積した各オペレータのオペレータ照合情報およびオペレータ特徴を閲覧できる機能を提供することで、管理者はオペレータの照合の実態をより深く知ることができ、その情報を元に管理者がオペレータに対して的確なアドバイスを行うことで、オペレータが判断ミスを起こす要因をなくしていくことによって、照合結果のばらつきを抑えることができる。
【0037】
上述した実施の形態にかかるオペレータ特徴推定プログラム203、印鑑照合プログラム204、オペレータ照合情報照会プログラム205等のプログラムは、実際のハードウェアとしては、例えば、上述した機能を実現するモジュール構成となっており、各装置(印鑑サーバ端末101、印鑑クライアント端末102、管理者向け端末103)のCPU(プロセッサ)等の演算装置が、不図示のROMからこれらのプログラムを読み出して実行している。
【0038】
なお、本発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0039】
1000 印鑑照合システム1000
101 印鑑サーバ端末
102 印鑑クライアント端末
103 管理者向け端末
201 印鑑情報データベース
202 オペレータ照合情報データベース
203 オペレータ特徴推定プログラム
204 印鑑照合プログラム
205 オペレータ照合情報照会プログラム
206 イメージスキャナ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関等において顧客が提示した印鑑や紙面上に捺印された印影の真偽の判定に用いられる印鑑照合システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、金融機関では業務効率の向上のために、印鑑照合業務に印鑑照合システムが取り入れられている。多くの印鑑照合システムでは、顧客が提示した印鑑や書類上に捺印された印影(被照合印影)をイメージスキャナで読み取った被照合印影イメージに対し、印鑑の届出時にイメージスキャナで読み取り登録したマスタ印影イメージをデータベースから参照し、両者を比較することによって照合を行っている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−202514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来例のような印鑑照合システムでは、最終的に印鑑照合がOKであるかNGであるかはオペレータの目視確認による判断に委ねているものも多々ある。ここで、OK/NGの判断が多少正確さに欠けたり、印影のかすれ・にじみ・よごれ等を無意識の内に見落としていたりすることが多いオペレータが印鑑照合した場合と、判断が正確で見逃しポイントがないオペレータが印鑑照合した場合とでは照合結果にばらつきが生じてしまう。印鑑照合を行うオペレータの違いによって照合結果が異なるのは好ましくなく、誰が照合しても同じ結果を出せることが最も好ましい。ここで、照合結果のばらつきは、オペレータの判断ミスに起因するものであり、オペレータの判断ミスをなくし、照合結果のばらつきを抑えることができれば、照合結果の信頼性をより一層高めることができる。
【0005】
本発明の目的は、照合結果のばらつきを抑える仕組みを備えた印鑑照合システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の目的を達成するために、本発明は、印鑑に関する情報を記憶する印鑑サーバと前記印鑑を照合する印鑑照合クライアントとが互いにネットワークで接続された印鑑照合システムであって、前記印鑑サーバは、あらかじめ読取装置から読み取られた前記印鑑の印影イメージであるマスタ印影イメージと、前記印鑑を照合する操作者を識別するための操作者識別情報とを対応付けて格納する印鑑情報記憶部と、前記操作者識別情報と、過去に前記操作者が前記印鑑を照合した際の照合情報と、前記照合情報に関する傾向を示す統計情報とを対応付けて蓄積する照合情報記憶部と、前記操作者識別情報に基づいて前記統計情報を取得し、取得した前記統計情報が示す傾向から前記操作者が印鑑を照合した際の特徴を推定し、前記操作者に対するアドバイス情報を出力する特徴推定部とを備え、前記印鑑照合クライアントは、前記操作者識別情報に基づいて前記印鑑情報記憶部から前記マスタ印影イメージを取得し、取得した前記マスタ印影イメージと、前記操作者が印鑑を照合した際に前記読取装置から読み取られた前記印鑑の印影イメージである被照合印影イメージとを照合し、前記照合の結果と共に前記特徴推定部が出力した前記アドバイス情報を前記操作者に出力する印鑑照合部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、オペレータの判断ミスによる照合結果のばらつきを抑えることができ、照合結果の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態による印鑑照合システム構成図である。
【図2】本発明の実施の形態による印鑑照合システム構成図である。
【図3】本発明の実施の形態による印鑑照合プログラムの処理フローである。
【図4】本発明の実施の形態によるオペレータ照合情報蓄積の処理フローである。
【図5】本発明の実施の形態によるオペレータ特徴推定の処理フローである。
【図6】本発明の実施の形態によるオペレータ照合情報照会プログラムの処理フローである。
【図7】本発明の実施の形態によるオペレータ特徴統計取得の処理フローである。
【図8】本発明の実施の形態による口座選択画面例である。
【図9】本発明の実施の形態による印鑑照合画面例である。
【図10】本発明の実施の形態によるNG理由入力画面例である。
【図11】本発明の実施の形態によるオペレータ指定画面例である。
【図12】本発明の実施の形態による指定オペレータ照合情報照会時の期間指定画面例である。
【図13】本発明の実施の形態による指定オペレータ情報閲覧画面例である。
【図14】本発明の実施の形態によるオペレータ照合情報個別照会画面例である。
【図15】本発明の実施の形態によるオペレータ統計情報閲覧画面例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる印鑑照合システムの実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
図1および図2は、本実施の形態における印鑑照合システム1000の構成を示す図である。本実施例における印鑑照合システム1000は、集中管理センタ等に設置された印鑑サーバ端末101と、各営業店に設置された印鑑クライアント端末102と、同じく各営業店に設置された管理者向け端末103とを含んで構成される。
【0011】
印鑑サーバ端末101は、印鑑届出時にイメージスキャナ等の入力装置で読み取ったマスタ印影イメージおよび関連する口座情報を対応付けて蓄積する印鑑情報データベース201と、各オペレータの印鑑照合時の情報をオペレータ単位(例えば、オペレータを一意に識別するためのオペレータのログインID等の単位)で取得し蓄積するオペレータ照合情報データベース202と、オペレータ照合情報データベース202に蓄積された情報を元に各オペレータの特徴を推定するオペレータ特徴推定プログラム203とを内部に備え、ネットワーク接続された各営業店設置の印鑑クライアント端末や管理者向け端末からのデータ参照または登録の要求に応える。
【0012】
印鑑クライアント端末102は、顧客が提示した印鑑または紙面上に捺印された印影をイメージスキャナ206によって読み込んだ被照合印影イメージと印鑑情報データベース201から参照したマスタ印影イメージとを印鑑照合する印鑑照合プログラム204を内部に備え、各オペレータに対して端末の画面上での印鑑照合機能を提供する。管理者向け端末103は、オペレータの印鑑照合時に印鑑照合プログラムが取得しオペレータ照合情報データベース202に登録したオペレータ照合情報およびそれを元にオペレータ特徴推定プログラム203で推定されたオペレータ特徴を照会するオペレータ照合情報照会プログラム205を内部に備え、管理者に対して各オペレータの照合情報の閲覧機能を提供する。
【0013】
以下、本実施例における印鑑照合システム1000が備える機能を説明する。本実施例の印鑑照合システム1000は、各オペレータが印鑑クライアント端末を用いて印鑑照合業務をする際の情報をオペレータ照合情報として取得し、データベースに蓄積する機能を備える。また、蓄積したオペレータ照合情報の利用方法として、各オペレータの印鑑照合時に、それまでの印鑑照合で蓄積したオペレータ照合情報からオペレータの特徴を推定し、推定した特徴を用いてアドバイスおよびオペレータのOK/NG判断の妥当性チェックを行う機能を備える。また、管理者に対して各オペレータのオペレータ照合情報およびオペレータ特徴を表示する機能を備える。以下、これらの機能を利用したときの具体的な処理の流れを説明する。
【0014】
続いて、印鑑照合時におけるオペレータ照合情報の取得方法を図3、図4、図5の処理フローを用いて説明する。なお、図3における印鑑照合時におけるオペレータ照合情報の取得方法の処理は、S302、S303、S306〜S308、S314〜S317の順に処理される。
【0015】
まず、オペレータが印鑑照合業務を開始すると、印鑑クライアント端末102内部の印鑑照合プログラム204は口座選択画面(図8)を表示する(S302)。口座選択画面では、印鑑照合する印鑑のマスタ印影イメージが登録されている口座の店番、科目、口座番号を入力するためのフィールド801があり、これらがオペレータにより入力され、照会ボタン802が押下されると、印鑑照合プログラム204は、マスタ印影イメージを含む口座情報を印鑑情報データベース201から照会し、その口座情報を取得する。
【0016】
マスタ印影イメージが取得されると、印鑑照合プログラム204は、印鑑照合画面(図9)に遷移させる(S303)。印鑑照合画面では、マスタ印影イメージと、被照合印影イメージと、両者の重ね合わせイメージを並べて表示する印影表示部902が備えられ、印鑑照合プログラム204は、口座選択画面から遷移した段階では、マスタ印影イメージのみを表示する。次に、オペレータにより被照合印影読取ボタン905が押下されると、印鑑照合プログラム204は、イメージスキャナから被照合印影イメージを読み取り、被照合印影イメージを表示する(S306)。続いてオペレータにより印鑑照合開始ボタン906が押下されると、印鑑照合プログラム204は、重ね合わせイメージを表示する(S307)。
【0017】
オペレータは、これらのイメージを参考に印鑑照合がOKかNGかを判断する。オペレータにより判断結果入力部904でOK/NGのどちらかが選択され印鑑照合完了ボタン907が押下されると、印鑑照合プログラム204は、オペレータ照合情報として、照合日時、印鑑照合がOKかNGかの判断結果、印鑑照合開始ボタン906を押下してから印鑑照合完了ボタン907を押下するまでにかかった時間(判断にかかった時間)、プログラムが内部で計算した照合率、印影のかすれ・にじみ・よごれの有無、などを一時的に取得する(S308)。このとき、印鑑照合プログラム204は、オペレータの判断結果が照合OKかNGをチェックし(S314)、照合NGの場合、NG理由入力画面(図10)を表示する(S315)。
【0018】
NG理由入力画面では、オペレータはNG理由の入力を行う。ここで、NG理由の入力方法は、予めテンプレートとして用意した回答群からラジオボタンによる単一選択をするかチェックボックスによる複数選択をするかどちらとしてもよく、あるいはテキストボックスによる手入力としてもよい。オペレータによりNG理由が入力され、NG理由入力完了ボタン1002が押下されると、印鑑照合プログラム204は、オペレータ照合情報としてNG理由も一時的に取得する(S316)。
【0019】
オペレータの判断結果が照合OKの場合には、印鑑照合プログラム204は、NG理由取得は行わない。最後に、一時的に取得したオペレータ照合情報を印鑑サーバ端末に送信し(S317)、印鑑照合業務を終了する。このS317の処理が終了すると、印鑑サーバ端末101は、図4に示す処理を行う。
【0020】
オペレータ照合情報を受け取った印鑑サーバ端末101は、図4に示すオペレータ照合情報登録処理を行う。まず、オペレータ特徴推定プログラム203は、例えば、オペレータのログインID等をキーにして、オペレータ照合情報をオペレータ照合情報データベース202に登録し(S401)、次に、指定オペレータ特徴推定を行う(S402)。
【0021】
図5に示す指定オペレータ特徴推定は、オペレータ特徴推定プログラム203内で行われ、指定したオペレータ(例えば、ログインID等を用いてログインしたオペレータ)が過去に印鑑照合した際のオペレータ照合情報をオペレータ照合情報データベース202から読み込み(S501)、データが存在するかチェックし(S502)、データが存在した場合は、その統計を取ることでオペレータの照合時の特徴を推定する(S503)。
【0022】
推定される特徴は、オペレータの照合の正確さや、照合の早さ、オペレータが印鑑照合時に見逃しがちなポイント(以下、見逃しポイント)などで、例えば、オペレータの印鑑照合OK/NG判断とプログラムが内部で計算した照合率の一致度合を見ることで照合の正確さを推定したり、照合OK/NGの判断にかかった時間の平均から平均照合判断時間を推定したり、印影のかすれがある場合でもOKとしている印鑑照合ケースが頻繁に見られる場合には、印影のかすれを見逃しポイントだと推定したりする。また、オペレータ特徴推定プログラム203は、印影のにじみ、よごれ等についても同様に見逃しポイントかどうか推定を行う。
【0023】
続いて、S503の処理が終了すると、図4に戻り、オペレータ特徴推定プログラム203は、推定したオペレータ特徴をオペレータ照合情報データベース202に登録し(S403)、オペレータ照合情報登録処理を終了する。なお、指定オペレータ特徴推定およびオペレータ特徴のデータベース登録の実施タイミングは、前述したタイミングに限らず、例えば、一日に一回まとめて行う等、定期的に行うこととしてもよい。
【0024】
次に、印鑑照合時におけるオペレータ照合情報の利用方法を、図3の処理フローを用いて説明する。なお、図3における印鑑照合時におけるオペレータ照合情報の利用方法の処理は、S301、S303〜S305、S309〜S313の順に処理される。
【0025】
前述の方法で取得したオペレータ照合情報はオペレータに対する照合アドバイス表示およびオペレータのOK/NGの判断結果に対しての妥当性チェックに利用される。オペレータ照合情報の利用時は、オペレータが印鑑照合システムにログインし印鑑照合業務を開始すると、印鑑クライアント端末102内部の印鑑照合プログラム204は、ログインしたオペレータのオペレータ特徴を、ログインID等をキーとして、オペレータ照合情報データベース202から読み込む(S301)。
【0026】
オペレータに対する照合アドバイスは、印鑑照合画面表示(S303)のタイミングで、印鑑照合プログラム204が、オペレータ特徴が読み込めているかチェックし(S304)、読み込めている場合に、推定したオペレータの印鑑照合時の特徴を元に作成し、図9に示した印鑑照合画面内に表示する(S305)。ここで表示される情報は、例えば、かすれを見落としがちと特徴を推定したオペレータに対して「かすれを見落としがちではありませんか?印影がかすれていないか注意してみましょう。」など、例えば、主にオペレータの見逃しがちなポイントを注意するような内容である。以上によりオペレータに対し、今まで無意識の内に見逃していたポイントなどを認識させ、これを改善するよう常に意識させる。これによりオペレータが判断ミスをする要因をなくしていけば、オペレータはより正確に印鑑照合できるようになり、照合結果のばらつきを抑えることができる。
【0027】
オペレータのOK/NG判断の妥当性チェックは、印鑑照合プログラム204が、オペレータ照合情報(照合OK/NGの判断結果、判断にかかった時間、照合率、印影のかすれ・にじみ・よごれの有無)を一時的に取得した直後のタイミングで、オペレータ特徴が読み込めているかチェックし(S309)、読み込めている場合に行う(S310)。ここで、推定したオペレータの特徴と一時的に取得したオペレータ照合情報を比較することにより、オペレータの判断結果が妥当かどうかを判断する。
【0028】
例えば、そのオペレータの印鑑照合OK/NGの平均判断時間に比べ、明らかに判断にかかった時間が短く、オペレータの印鑑照合OK/NG判断とプログラムが内部で計算した照合率の一致度合が低い場合は、オペレータの操作ミスで印鑑照合OK/NGを判断する前に印鑑照合完了ボタン押下してしまった、または、集中力が低下している等、何らかの理由により正しく印鑑照合ができていない可能性があると判断する(S311)。この場合は、オペレータに対し、正しく印鑑照合できていない可能性がある旨の注意メッセージを表示し(S312)、再照合を行うかどうかを確認する(S313)。オペレータが再実施を行うとした場合、印鑑照合開始前の処理に戻り再度照合を行う。以上に挙げた処理により、オペレータが操作ミスや集中力低下に起因する判断ミスから誤って印鑑照合をしてしまうことを防ぐことができ、照合結果のばらつきを抑えることができる。
【0029】
また、オペレータが印鑑照合部を利用して印鑑照合する際、オペレータ照合情報として、例えば、判断結果(OK/NG)、NG理由、OK/NGの判断時間、照合率、かすれ・にじみ・よごれの有無を取得し、オペレータ照合情報データベースに蓄積し、蓄積したオペレータ照合情報を元に、オペレータ特徴推定部が各オペレータの特徴を推定し、オペレータ照合情報データベースに蓄積し、オペレータの照合判断は正確か、照合にどのくらい時間をかけるか、照合時に見逃しがちなポイント(例:印影のかすれ)はないか、などの特徴を推定し、推定された各オペレータの特徴は、各オペレータの次の印鑑照合時に、印鑑照合部でフィードバックさせ、そのオペレータが印鑑照合時に気をつけるポイントをアドバイスとして表示させるのに利用したり、オペレータが普段の照合時に比べ明らかに早く照合判断を下したときなど判断ミスの可能性がある場合に注意喚起を行うため、オペレータの判断ミスを改善し、照合結果のばらつきを抑えることができる。
【0030】
最後に、管理者に向けたオペレータ照合情報の利用方法を、図6、図7の処理フローを用いて説明する。管理者向け端末103内部のオペレータ照合情報照会プログラム205が起動されると、オペレータ照合情報照会プログラム205は、全オペレータの特徴の統計情報をオペレータ照合情報データベース202から読み込んだ後(S601)、オペレータ指定画面(図11)を表示する(S602)。ここで、読み込む全オペレータの特徴の統計情報は、図7に示すように、前もって印鑑サーバ端末101内部のオペレータ特徴推定プログラム203が、各オペレータの特徴をオペレータ照合情報データベース202から読み込み(S701)、その統計を取り(S702)、同データベースに登録(S703)したものとする。
【0031】
なお、全オペレータの特徴の統計情報は、例えば、一日に一回夜間に更新するなどして定期的に統計情報を最新のものにする。オペレータ指定画面では、管理者はオペレータ照合情報の閲覧対象として、指定したオペレータのオペレータ照合情報を閲覧するか、全オペレータの照合統計情報を閲覧するかを選択するフィールド1101を備える。オペレータ照合情報照会プログラム205は、オペレータ指定画面からの画面遷移時、管理者によってオペレータ指定されているかチェックし(S603)、指定がある場合は、期間指定画面(図12)に遷移させる(S604)。
【0032】
同画面で管理者により照会する期間が指定されると、指定された期間内の指定オペレータの照合情報に対して、オペレータ特徴推定プログラム203は、前述したS402におけるオペレータ照合情報取得の流れと同様の手順で指定オペレータの特徴推定を行い(S606)、指定オペレータ情報閲覧画面(図13)に遷移させる(S607)。オペレータ特徴推定プログラム203は、指定オペレータ情報閲覧画面では、指定された期間内の指定オペレータの情報を表示する。表示する情報は、指定された期間内の指定オペレータの特徴や、指定オペレータに対してのアドバイスの観点(どんなアドバイスをすればいいか)などとする。
【0033】
また、ここで、管理者によりオペレータ照合情報個別照会ボタン1305が選択されると、オペレータ特徴推定プログラム203は、オペレータ照合情報個別照会画面(図14)に遷移させる(S609)。ここでは、オペレータ照合情報の1件1件を照会することができ、オペレータ照合情報の他、マスタ印影イメージ、被照合印影イメージなどを表示する。
【0034】
オペレータ指定画面で管理者により全オペレータの照合統計情報の閲覧が選択された場合、オペレータ特徴推定プログラム203は、オペレータ統計情報閲覧画面(図15)に遷移させ、全オペレータの照合統計情報を表示する(S605)。表示する統計情報は、各オペレータの平均判断時間を横軸、印鑑照合の正確さ(オペレータの判断とプログラムが内部で計算した照合率の一致度合)を縦軸に取り、各オペレータの印鑑照合の早さと正確さのバランスをそれぞれプロットした分布図や、全オペレータの平均かすれ認識率、平均にじみ認識率、平均よごれ認識率等とする。
【0035】
以上に挙げた処理において閲覧できる情報を元に、管理者はより深くオペレータの印鑑照合業務の実態を知ることができる。例えば、管理者はオペレータの特徴推定することによってオペレータの特徴を知ることができ、更に、期間指定して特徴推定を行い、オペレータの昔の特徴と今の特徴をそれぞれ推定し比較すれば、昔あった悪いクセが直っているかいないか、新しく悪いクセがついていないか等を知ることができる。これらの情報を元に管理者が的確なアドバイスをオペレータに対して行えば、オペレータが自らの悪いクセを改善するよう意識し、より正確に印鑑照合できるようになり、照合結果のばらつきを抑えることができる。
【0036】
すなわち、管理者に対し、オペレータ照合情報データベースに蓄積した各オペレータのオペレータ照合情報およびオペレータ特徴を閲覧できる機能を提供することで、管理者はオペレータの照合の実態をより深く知ることができ、その情報を元に管理者がオペレータに対して的確なアドバイスを行うことで、オペレータが判断ミスを起こす要因をなくしていくことによって、照合結果のばらつきを抑えることができる。
【0037】
上述した実施の形態にかかるオペレータ特徴推定プログラム203、印鑑照合プログラム204、オペレータ照合情報照会プログラム205等のプログラムは、実際のハードウェアとしては、例えば、上述した機能を実現するモジュール構成となっており、各装置(印鑑サーバ端末101、印鑑クライアント端末102、管理者向け端末103)のCPU(プロセッサ)等の演算装置が、不図示のROMからこれらのプログラムを読み出して実行している。
【0038】
なお、本発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0039】
1000 印鑑照合システム1000
101 印鑑サーバ端末
102 印鑑クライアント端末
103 管理者向け端末
201 印鑑情報データベース
202 オペレータ照合情報データベース
203 オペレータ特徴推定プログラム
204 印鑑照合プログラム
205 オペレータ照合情報照会プログラム
206 イメージスキャナ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印鑑に関する情報を記憶する印鑑サーバと前記印鑑を照合する印鑑照合クライアントとが互いにネットワークで接続された印鑑照合システムであって、
前記印鑑サーバは、
あらかじめ読取装置から読み取られた前記印鑑の印影イメージであるマスタ印影イメージと、前記印鑑を照合する操作者を識別するための操作者識別情報とを対応付けて格納する印鑑情報記憶部と、
前記操作者識別情報と、過去に前記操作者が前記印鑑を照合した際の照合情報と、前記照合情報に関する傾向を示す統計情報とを対応付けて蓄積する照合情報記憶部と、
前記操作者識別情報に基づいて前記統計情報を取得し、取得した前記統計情報が示す傾向から前記操作者が印鑑を照合した際の特徴を推定し、前記操作者に対するアドバイス情報を出力する特徴推定部とを備え、
前記印鑑照合クライアントは、
前記操作者識別情報に基づいて前記印鑑情報記憶部から前記マスタ印影イメージを取得し、取得した前記マスタ印影イメージと、前記操作者が印鑑を照合した際に前記読取装置から読み取られた前記印鑑の印影イメージである被照合印影イメージとを照合し、前記照合の結果と共に前記特徴推定部が出力した前記アドバイス情報を前記操作者に出力する印鑑照合部と、
を備えることを特徴とする印鑑照合システム。
【請求項2】
前記照合情報には、前記操作者による前記印鑑の照合の正確性と、前記印鑑の照合の妥当性を判断するまでに要した判断時間と、前記マスタ印影イメージと前記被照合印影イメージとの照合率とを含み、
前記印鑑サーバは、前記特徴推定部が、前記印鑑の照合の正確性と前記判断時間と前記照合率とに基づいて、前記操作者が印鑑を照合した際の特徴を推定し、前記操作者に対するアドバイス情報を出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の印鑑照合システム。
【請求項3】
前記印鑑照合クライアントは、前記印鑑の照合の妥当性の可否に関する可否情報の入力を受け付ける入力受付部をさらに備え、
前記印鑑照合部は、前記可否情報の入力が受け付けられるまでに要した時間を求め、求めた前記時間を前記印鑑サーバに送信し、
前記印鑑サーバは、前記特徴推定部が、前記印鑑照合クライアントから受信した前記時間に基づいて前記判断時間を算出する、
ことを特徴とする請求項2に記載の印鑑照合システム。
【請求項4】
前記統計情報を前記印鑑照合システムの管理者向けに表示する表示部と、
前記照合情報記憶部に蓄積された前記統計情報を前記印鑑サーバから取得し、取得した前記統計情報を前記表示部に表示させる照会制御部と、を備えた管理者端末を、
さらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の印鑑照合システム。
【請求項1】
印鑑に関する情報を記憶する印鑑サーバと前記印鑑を照合する印鑑照合クライアントとが互いにネットワークで接続された印鑑照合システムであって、
前記印鑑サーバは、
あらかじめ読取装置から読み取られた前記印鑑の印影イメージであるマスタ印影イメージと、前記印鑑を照合する操作者を識別するための操作者識別情報とを対応付けて格納する印鑑情報記憶部と、
前記操作者識別情報と、過去に前記操作者が前記印鑑を照合した際の照合情報と、前記照合情報に関する傾向を示す統計情報とを対応付けて蓄積する照合情報記憶部と、
前記操作者識別情報に基づいて前記統計情報を取得し、取得した前記統計情報が示す傾向から前記操作者が印鑑を照合した際の特徴を推定し、前記操作者に対するアドバイス情報を出力する特徴推定部とを備え、
前記印鑑照合クライアントは、
前記操作者識別情報に基づいて前記印鑑情報記憶部から前記マスタ印影イメージを取得し、取得した前記マスタ印影イメージと、前記操作者が印鑑を照合した際に前記読取装置から読み取られた前記印鑑の印影イメージである被照合印影イメージとを照合し、前記照合の結果と共に前記特徴推定部が出力した前記アドバイス情報を前記操作者に出力する印鑑照合部と、
を備えることを特徴とする印鑑照合システム。
【請求項2】
前記照合情報には、前記操作者による前記印鑑の照合の正確性と、前記印鑑の照合の妥当性を判断するまでに要した判断時間と、前記マスタ印影イメージと前記被照合印影イメージとの照合率とを含み、
前記印鑑サーバは、前記特徴推定部が、前記印鑑の照合の正確性と前記判断時間と前記照合率とに基づいて、前記操作者が印鑑を照合した際の特徴を推定し、前記操作者に対するアドバイス情報を出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の印鑑照合システム。
【請求項3】
前記印鑑照合クライアントは、前記印鑑の照合の妥当性の可否に関する可否情報の入力を受け付ける入力受付部をさらに備え、
前記印鑑照合部は、前記可否情報の入力が受け付けられるまでに要した時間を求め、求めた前記時間を前記印鑑サーバに送信し、
前記印鑑サーバは、前記特徴推定部が、前記印鑑照合クライアントから受信した前記時間に基づいて前記判断時間を算出する、
ことを特徴とする請求項2に記載の印鑑照合システム。
【請求項4】
前記統計情報を前記印鑑照合システムの管理者向けに表示する表示部と、
前記照合情報記憶部に蓄積された前記統計情報を前記印鑑サーバから取得し、取得した前記統計情報を前記表示部に表示させる照会制御部と、を備えた管理者端末を、
さらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の印鑑照合システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−221942(P2011−221942A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92997(P2010−92997)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
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