説明

即席デザート調製用液状ベース

【課題】牛乳、豆乳、発酵乳飲料などの乳成分や豆乳成分などを含む飲料を飲食時に混合することにより調製する即席デザート調製用液状ベースであって、乳成分や豆乳成分を含む飲料中に不均一な大きさのゼリーが混在するデザートを即席で調製可能な液状ベースを提供する。
【解決手段】カルシウム反応性ゲル化剤を含み、飲用乳、豆乳、乳酸菌飲料、発酵乳飲料から選ばれる1種以上の飲料と混合することにより調製する即席デザート調製用液状ベースであって、当該飲料と混合する際の液状ベースの粘度を100mPa・s以上とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、即席デザート調製用液状ベースに関するものである。詳細には、牛乳、豆乳、発酵乳飲料などの乳成分や豆乳成分などを含む飲料を飲食時に混合することにより調製する即席デザート調製用液状ベースであって、乳成分や豆乳成分を含む飲料中に不均一な大きさのゼリーが混在するデザートを即席で調製可能な液状ベースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、牛乳と混合して調製する即席デザート用ベースや、果汁と混合してゼリーを調製するための食品ベースなどが知られている(特許文献1〜3)。これらは、ベースにゲル化作用を有する多糖類のほか、甘味成分や風味を構成する成分を配合してあり、いずれも均一なゲル状デザートを作ることを目的としている。また、特に特許文献3には、ベースの粘度が20℃で100mPa・s以下と規定されているものであり、更には、デザートベースの味が決まっているものがほとんどである。よって、これら従来の即席デザート用ベースでは、喫食時に、飲食者や飲食品を提供する者が、デザートを好みの味に調整することは難しく、デザート用ベース自体の風味で、デザートの味が決まってしまうものであった。
【0003】
また、牛乳と混合することで、粘度が50〜300mPa・sとなる乳風味酸性飲料のベース(素材)の粘度が、25℃で100mPa・sのペースト状であることが記載されているものの、ドリンクヨーグルトに更に粘性を持たせたような飲料を作ることを目的とするものである(特許文献4)。更には、牛乳と混合後のゲル状飲料の粘度を800〜3000mPa・sとするものもあるが、牛乳と混合前のベースの粘度については一切開示されていない(特許文献5)。
【0004】
また、K、Ca,Mg,NHの1種以上のイオンを含む常温下の水系にカッパー型カラギーナン水系を添加することを特徴とする、ココア・コーヒー煎液、牛乳、発酵乳、チーズ及び又は果汁系の製法として、カッパー型カラギーナンの水溶液(ゾル)に、牛乳とオレンジ果汁を加えて、室温で10分放置するとゲル状となる食品が記載されている(特許文献6 実施例)。しかし、この方法であると、均一なゲル状食品はできるものの、ゼリー入りデザートなど、乳飲料中に不均一な大きさのゼリーが混在するゼリー含有乳飲料のようなデザートはできなかった。また、カッパー型カラギーナンゾル100gに対して、牛乳とオレンジ果汁の添加量が100〜150gとなっており、ベースの割合が多いため、オレンジ果汁・牛乳の素材の風味がやや弱いものとなる。
【0005】
近年、食の多様化により、デザートとしての最終製品での提供のほかに、家庭にある飲料を用いて、飲食者が自分でデザートの味を調整でき、そのもの自体には味が付与されておらず、固めたり、増粘させたりする機能のみを有する半調製品などの要望も高まっている。また、ファーストフード店や喫茶店などで飲食品を提供する者が、その場で調製可能なデザートを、その店のオリジナリティを持たせた形で手軽に自由に提供できるようにしたいという要望もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−279106号公報
【特許文献2】特開2009-27929号公報
【特許文献3】特開2004-329097号公報
【特許文献4】特開2004−329152号公報
【特許文献5】特開平11−206351号公報
【特許文献6】特開昭58−111649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みて開発されたものであり、乳飲料等中に不均一な大きさのゼリーが混在するゼリー含有飲料を即席に簡便に調製することができる、即席デザート用液状ベースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記従来技術の問題点に鑑み、鋭意研究を重ねていたところ、カルシウム反応性ゲル化剤を含み、飲用乳、豆乳、乳酸菌飲料、発酵乳飲料から選ばれる1種以上の飲料と混合することにより調製する即席デザート調製用液状ベースであって、当該飲料と混合する際の液状ベースの粘度を100mPa・s以上とすることにより、乳飲料や豆乳飲料中に不均一な大きさのゼリーが混在するゼリー含有乳飲料を即席に簡便に調製することができることを見出した。また、粘度は増粘機能を有する成分を含むことにより調整することが好ましく、更には、ゼリーが混在した飲料として楽しむためには、飲料中のゼリーの量を調整することが望ましく、当該液状ベースのデザートへの配合量が、デザート総量に対して50%以下の量となるように調整されていることが望ましいことを見出した。
【0009】
また、飲用乳、豆乳、乳酸菌飲料、発酵乳飲料から選ばれる1種以上の飲料(B群の飲料)に、コーヒー飲料、紅茶飲料、抹茶飲料、緑茶飲料、ココア飲料、果汁飲料、野菜汁飲料、スポーツドリンク、機能性飲料、ニアウォーターから選ばれる1種以上の飲料(A群の飲料)を添加混合して調製する即席デザート調製用液状ベースの場合は、液状ベースとA群を混合したときの粘度が100mPa・s以上となるように調整することが望ましいことを見出した。
【0010】
すなわち本発明は、以下の態様を有する;
項1.カルシウム反応性ゲル化剤を含み、飲用乳、豆乳、乳酸菌飲料、発酵乳飲料から選ばれる1種以上の飲料と混合することにより調製する即席デザート調製用液状ベースであって、当該飲料と混合する際の液状ベースの粘度を100mPa・s以上とすることを特徴とする即席デザート調製用液状ベース。
項2.更に、当該液状ベースに増粘機能を有する成分を含む、項1に記載の即席デザート調製用液状ベース。
項3.当該液状ベースのデザートへの配合量が、デザート総量に対して50%以下の量となるように調整されている項1又は2に記載の即席デザート調製用液状ベース。
項4.カルシウム反応性ゲル化剤を含み、以下に示すA群及びB群の飲料を混合することによりデザートを調製する即席デザート調製用液状ベースであって、当該液状ベースが、A群を混合したときの粘度を100mPa・s以上となるように調整されていることを特徴とする即席デザート調製用液状ベース;
A群:コーヒー飲料、紅茶飲料、抹茶飲料、緑茶飲料、ココア飲料、果汁飲料、野菜汁飲料、スポーツドリンク、機能性飲料、ニアウォーターから選ばれる1種以上の飲料、
B群:飲用乳、豆乳、乳酸菌飲料、発酵乳飲料から選ばれる1種以上の飲料。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、飲用乳、豆乳、乳酸菌飲料、発酵乳飲料から選ばれる1種以上の飲料と混合することにより、乳飲料や豆乳飲料中に不均一な大きさのゼリーが混在するゼリー含有乳飲料を即席に簡便に調製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例2で得られたコーヒーゼリー入り牛乳デザートの外観の写真である。
【図2】対照例2で得られたコーヒーゼリー入り牛乳デザートの外観の写真である。
【図3】実施例3で得られた野菜ゼリー入りドリンクヨーグルトデザートの外観の写真である。
【図4】実施例4で得られたオレンジゼリー入り乳飲料デザートの外観の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.乳飲料/豆乳飲料と混合することにより調製する液状ベース
本発明の即席デザート調製用液状ベースはカルシウム反応性ゲル化剤を含み、飲用乳、豆乳、乳酸菌飲料、発酵乳飲料から選ばれる1種以上の飲料と混合することにより調製する液状ベースであって、当該飲料と混合する際の液状ベースの粘度を100mPa・s以上とすることを特徴とする。
【0014】
本発明の液状ベースに使用できるカルシウム反応性ゲル化剤としては、ペクチン、好ましくはLMペクチン、脱アシル型ジェランガム、カラギナン、好ましくはκ−カラギナン、ι−カラギナン及びアルギン酸ナトリウムから選ばれる1種または2種以上を挙げることができる。これらカルシウム反応性ゲル化剤を使用することで、飲用乳、豆乳、乳酸菌飲料、発酵乳飲料から選ばれる1種以上の飲料の乳成分あるいは豆乳成分と反応してゲル化が起こり、ゼリーを含有する乳成分あるいは豆乳成分含有飲料を調製することが可能となる。
【0015】
更に、飲用乳、豆乳、乳酸菌飲料、発酵乳飲料から選ばれる1種以上の飲料として、飲用乳としては、「乳及び乳成分の成分規格等に関する省令(乳等省令)」で定められているもの全般を挙げることができ、牛乳、特別牛乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳、加工乳、乳飲料を挙げることができる。また、豆乳としては、JAS(日本農林規格)で分類された、豆乳、調製豆乳、豆乳飲料を挙げることができる。
【0016】
また、本発明の液状ベースは、飲用乳、豆乳、乳酸菌飲料、発酵乳飲料から選ばれる1種以上の飲料と混合する際の粘度が、100mPa・s以上(測定温度5℃、回転数60、BL型粘度計使用時)とすることが特徴である。また、粘度の上限としては、液状ベースと飲料とが混合できる限りにおいて特に制限はなく、液状ベースがゲル化せず流動性を有していればよい。
【0017】
また、本発明の液状ベースには、前述のカルシウム反応性ゲル化剤に加えて、増粘機能を有する成分を併用することが好ましい。増粘機能を有する成分を併用することで、前記粘度に調整が容易となり、飲料中に不均一な大きさのゼリーが混在するゼリー含有飲料デザートを簡便に調製できる。増粘機能を有する成分の一例として、ネイティブ型ジェランガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、λ−カラギナン、グァーガム、タマリンドシードガム、マンナン、サイリウムシードガム、マクロホモプシスガム、澱粉、タラガム、カラヤガム、ファーセレラン、発酵セルロース及び大豆多糖類から選ばれる1種又は2種以上を挙げることができる。
【0018】
カルシウム反応性ゲル化剤の液状ベースに対する配合量としては、1〜14質量%、好ましくは、2〜12質量%、更に好ましくは、4〜10質量%を挙げることができる。また、デザートへの最終配合量としては、0.1〜1.2質量%、好ましくは、0.3〜1質量%、更に好ましくは、0.4〜0.8質量%を挙げることができる。
【0019】
増粘機能を有する成分の液状ベースに対する配合量としては、0.02〜2質量%、好ましくは、0.1〜1.2質量%、更に好ましくは、0.5〜1質量%を挙げることができる。また、デザートへの最終配合量としては、0.002〜0.6質量%、好ましくは、0.02〜0.3質量%、更に好ましくは、0.05〜0.2質量%を挙げることができる。
【0020】
カルシウム反応性ゲル化剤と、必要に応じて添加する増粘機能を有する成分の即席デザート調製用液状ベースに対する配合量の総量としては、1.0〜14質量%、好ましくは、2〜12質量%、更に好ましくは、4〜10質量%を挙げることができる。また、デザートへの最終配合量としては、0.1〜1.2質量%、好ましくは、0.3〜1質量%、更に好ましくは、0.4〜0.8質量%を挙げることができる。
【0021】
なお、これら配合量は、飲用乳、豆乳、乳酸菌飲料、発酵乳飲料から選ばれる1種以上の飲料と混合する際の液状ベースの粘度を100mPa・s以上となる範囲で適宜調整する。
【0022】
カルシウム反応性ゲル化剤と増粘機能を有する成分との好ましい組み合わせの一例として、ペクチンとキサンタンガム、ペクチンとグァーガム、脱アシル型ジェランガムとキサンタンガムなどを挙げることができる。カルシウム反応性ゲル化剤と増粘機能を有する成分との配合割合については、前述の粘度の範囲となるように、適宜調整することができる。
【0023】
また、ゼリーが混在した飲料として楽しむためには、飲料中のゼリーの量を調整することが望ましく、当該液状ベースのデザートへの配合量が、デザート総量(質量)に対して、50%以下の量となるように調整されていることが望ましい。液状ベースの最小配合量としては、デザート全量(液状ベース及び飲料の総量)に対して、6質量%程度の量を例示することができる。
【0024】
なお、本発明の液状ベースには、カルシウム反応性ゲル化剤と増粘機能を有する成分以外に、飲用乳、豆乳、乳酸菌飲料、発酵乳飲料から選ばれる1種以上の飲料以外の成分を配合していても良い。例えば、コーヒー、紅茶、抹茶、緑茶、ココア、チョコレート、ココナッツ、果実、果汁、野菜、野菜汁、香料、色素、糖類、甘味料、ゴマ、豆などの風味や色を付与する成分を含んでいても構わない。
【0025】
本発明の液状ベースを使用した即席デザートの調製方法については、特に、液状ベースと飲用乳、豆乳、乳酸菌飲料、発酵乳飲料から選ばれる1種以上の飲料が最終的に混合される方法であれば、特に制限はないが、好ましくは、即席デザート調製用ベースに、飲用乳、豆乳、乳酸菌飲料、発酵乳飲料から選ばれる1種以上の飲料を加え、スプーンなどにより手攪拌で混合すればよい。更には、液状ベースと飲料を混合する際の品温に関しても、常温以下の温度(30℃以下の温度)であれば特に限定はない。更に、ガムシロップなどを加え、甘味の調節も可能である。
【0026】
2.2種類の飲料(下記A群とB群の飲料)と混合することにより調製する液状ベース
また、本発明は、カルシウム反応性ゲル化剤を含み、以下に示すA群及びB群の飲料を混合することによりデザートを調製する即席デザート調製用液状ベースであって、当該液状ベースが、A群と混合したときの粘度が100mPa・s以上となるように調整されていることを特徴とする即席デザート調製用液状ベースに関する;
A群:コーヒー飲料、紅茶飲料、抹茶飲料、緑茶飲料、ココア飲料、果汁飲料、野菜汁飲料、スポーツドリンク、機能性飲料、ニアウォーターから選ばれる1種以上の飲料、
B群:飲用乳、豆乳、乳酸菌飲料、発酵乳飲料から選ばれる1種以上の飲料(以下、このデザート調製用液状ベースを、「A群及びB群の飲料と混合することにより調製する液状ベース」と言う)。
【0027】
なお、A群の飲料としては、上述の通り、乳成分や豆乳成分を含まない、風味付けされた飲料であれば良く、例えば、ビタミン、ミネラル、その他機能性成分が強化された機能性飲料や、香料や甘味料等で風味付けされたニアウォーターなども含まれる。
【0028】
更に、B群の飲料として、飲用乳としては、「乳及び乳成分の成分規格等に関する省令(乳等省令)」で定められているもの全般を挙げることができ、牛乳、特別牛乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳、加工乳、乳飲料を挙げることができる。また、豆乳としては、JAS(日本農林規格)で分類された、豆乳、調製豆乳、豆乳飲料を挙げることができる。
【0029】
なお、例えば、コーヒー牛乳飲料、ミルク紅茶飲料、抹茶ミルク飲料など、予めA群とB群とが混合された飲料を配合しても構わない。
【0030】
A群及びB群の飲料と混合することにより調製する液状ベースの場合は、液状ベースとA群の飲料とを混合した時の粘度を、100mPa・s以上(測定温度5℃、回転数60、BL型粘度計使用時)とすることにより、不均一な大きさのゼリーが分散した乳飲料のような形態のデザートを調製することができる。なお、粘度の上限としては、液状ベースとA群及びB群の飲料とが混合できる限りにおいて特に制限はなく、液状ベースがゲル化せず流動性を有していればよい。
【0031】
A群及びB群の飲料と混合することにより調製する液状ベースに使用できるカルシウム反応性ゲル化剤としては、ペクチン、好ましくはLMペクチン、脱アシル型ジェランガム、カラギナン、好ましくはκ−カラギナン、ι−カラギナン及びアルギン酸ナトリウムから選ばれる1種または2種以上を挙げることができる。これらカルシウム反応性ゲル化剤を使用することで、飲用乳、豆乳、乳酸菌飲料、発酵乳飲料から選ばれる1種以上の飲料の乳成分あるいは豆乳成分と反応してゲル化が起こり、ゼリーを含有する乳成分あるいは豆乳成分含有飲料を調製することが可能となる。
【0032】
また、本発明の液状ベースには、前述のカルシウム反応性ゲル化剤に加えて、増粘機能を有する成分を併用することが好ましい。増粘機能を有する成分を併用することで、前記粘度に調整が容易となり、飲料中に不均一な大きさのゼリーが混在するゼリー含有飲料デザートを簡便に調製できる。増粘機能を有する成分の一例として、ネイティブ型ジェランガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、λ−カラギナン、グァーガム、タマリンドシードガム、マンナン、サイリウムシードガム、マクロホモプシスガム、澱粉、タラガム、カラヤガム、ファーセレラン、発酵セルロース及び大豆多糖類から選ばれる1種又は2種以上を挙げることができる。
【0033】
カルシウム反応性ゲル化剤の液状ベースに対する配合量としては、1〜14質量%、好ましくは、2〜12質量%、更に好ましくは、4〜10質量%を挙げることができる。また、デザートへの最終配合量としては、0.1〜1.2質量%、好ましくは、0.3〜1質量%、更に好ましくは、0.4〜0.8質量%を挙げることができる。
【0034】
増粘機能を有する成分の液状ベースに対する配合量としては、0.02〜2質量%、好ましくは、0.1〜1.2質量%、更に好ましくは、0.5〜1質量%を挙げることができる。また、デザートへの最終配合量としては、0.002〜0.6質量%、好ましくは、0.02〜0.3質量%、更に好ましくは、0.05〜0.2質量%を挙げることができる。
【0035】
カルシウム反応性ゲル化剤と、必要に応じて添加する増粘機能を有する成分の即席デザート調製用液状ベースに対する配合量の総量としては、1.0〜14質量%、好ましくは、2〜12質量%、更に好ましくは、4〜10質量%を挙げることができる。また、デザートへの最終配合量としては、0.1〜1.2質量%、好ましくは、0.3〜1質量%、更に好ましくは、0.4〜0.8質量%を挙げることができる。
【0036】
なお、これらの配合量は、A群の飲料と混合した時の液状ベースの粘度を100mPa・s以上となる範囲で適宜調整する。
【0037】
カルシウム反応性ゲル化剤と増粘機能を有する成分との好ましい組み合わせの一例として、ペクチンとキサンタンガム、ペクチンとグァーガム、脱アシル型ジェランガムとキサンタンガムなどを挙げることができる。カルシウム反応性ゲル化剤と増粘機能を有する成分との配合割合については、前述の粘度の範囲となるように、適宜調整することができる。
【0038】
なお、A群及びB群の飲料と混合することにより調製する液状ベースの場合は、ベース自体に風味を付与せずに、A群やB群の飲料を、飲食者や飲食品を提供する者が自由に選択し、味を調整できることが特徴である。したがって、液状ベースには、甘味、酸味、苦味などを有する呈味成分を含有せず、無味無臭である方が好ましい。
【0039】
また、A群及びB群の飲料自体の風味を活かす方が嗜好的に良好である為、液状ベースの配合量は極力抑える方が好ましく、具体的には、液状ベース、A群及びB群の飲料の総量のうち、液状ベースの配合量を質量比で3分の1以下の配合量に抑えることが望ましい。また、液状ベースの最小の配合量としては、カルシウム反応性ゲル化剤が溶解し、A群及びB群の飲料と混合できる程度の量であれば特に制限はないが、最小配合量としては、デザート全量(液状ベース、A群およびB群の総量)に対して、6質量%程度の量を例示することができる。
【0040】
A群及びB群の飲料と混合することにより調製する液状ベースの場合の即席デザートの調製方法については、特に、液状ベースとA群、B群の飲料が最終的に混合される方法であれば、特に制限はない。
【0041】
なお、液状ベースとA群の飲料とを混合した後、B群の飲料とを混合してデザートを調製した場合は、A群成分を主成分とするゼリーを調製することができ、液状ベースとB群の飲料とを混合した後、A群の飲料とを混合してデザートを調製した場合は、B群成分を主成分とするゼリーを調製することができる。また、液状ベースと、A群、B群の飲料を同時に混合した場合は、A群とB群の混合成分のゼリーを調製することができる。
【0042】
更には、液状ベース中のカルシウム反応性ゲル化剤の配合量を調整することにより、全体的に均一なゼリーデザートや、調製したゼリーを配合するゲル状デザート(ゼリーインゼリー)とすることもできるし、ゼリーを配合する乳飲料(豆乳飲料)デザートとすることもできる。
【0043】
好ましくは、即席デザート調製用ベースに、A群からなる飲料を加え混合した後、B群からなる飲料を加え混合することにより調製する方法を挙げることができる。更に、ガムシロップなどを加え、甘味の調節も可能である。また、液状ベースとA群、B群の飲料の混合方法としては、喫食時に即席に提供できるという利便性が特徴であり、スプーンなどにより手攪拌で混合する方がむしろ、不均一なゼリーが形成されるため望ましい。更には、液状ベースとA群、B群の飲料を混合する際の品温に関しても、常温以下の温度(30℃以下の温度)であれば特に限定はない。
【実施例】
【0044】
以下に、実施例を用いて本発明を更に詳しく説明する。ただし、これらの例は本発明を制限するものではない。なお、実施例中の「部」「%」は、それぞれ「質量部」「質量%」、文中「*」印は、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製、「※」は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標を意味する。なお、粘度測定は、BL型粘度計を使用し、測定温度5℃、回転数60にて行った。
【0045】
実施例1
下記表1に掲げる処方のうち、水、果糖ぶどう糖液糖、イチゴ果汁を撹拌しながら、グラニュー糖、甘味料、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、LMペクチン、ネイティブ型ジェランガム、キサンタンガムの粉体混合物を添加し、80℃10分間加熱撹拌溶解する。色素、香料を添加し、蒸発水を補正後、85℃30分間加熱殺菌を行い、ストロベリー風味の液状ベースを調製した(液状ベースの粘度265mPa・s、pH4.0)。
【0046】
【表1】

【0047】
調製した液状ベースと牛乳(5℃)を40:60で混合してかき混ぜ、デザートを調製した。このデザートは、牛乳中に不均一な大きさのいちごゼリーが入った乳飲料デザートとなった。
【0048】
実施例2〜5の液状ベースの調製
下記表2に掲げる各液状ベース1〜5液処方について、水を攪拌しながらカルシウム反応性ゲル化剤及び増粘機能を有する成分を加え、80℃10分加熱攪拌溶解して、蒸発水を補正して、各100部となるように調整した後、5℃まで冷却して、各液状ベース1〜5を調製した。
【表2】

【0049】
下記表3に掲げる処方のうち、液状ベース1もしくは液状ベース2にブラックコーヒー飲料を加えて均一混合後、市販のガムシロップと冷えた牛乳(5℃)を加えて混合しデザートを調製した(実施例2、対照例2)。
【0050】
【表3】

【0051】
実施例2のデザートは牛乳中に不均一な大きさのコーヒーゼリーが入った乳飲料デザートとなった(図1の写真参照)。また、対照例2のデザートは、細かいコーヒーゼリーが含まれる全体的にゆるくゲル化された乳飲料デザートになり、ゼリーの大きさが小さいため、ゼリーの食感が感じられなかった(図2の写真参照)。
【0052】
実施例3
下記表4に掲げる処方のうち、液状ベース3に市販の野菜ジュースを加えて均一に混合後、冷えた牛乳(5℃)を加えて混合し、デザートを調製した。
【0053】
【表4】

【0054】
このデザートは、牛乳中に不均一な大きさの野菜ゼリーが入った乳飲料デザートとなった(図3の写真参照)。
【0055】
実施例4
下記表5に掲げる処方のうち、液状ベース4に市販のオレンジジュースを加えて均一に混合後、冷えた牛乳(5℃)を加えて混合し、デザートを調製した。
【0056】
【表5】

【0057】
このデザートは、牛乳中に不均一な大きさのオレンジゼリーが入った乳飲料デザートとなった(図5の写真参照)。
【0058】
実施例5
下記表6に掲げる処方のうち、液状ベース5に市販のスポーツドリンクを加えて均一混合後、市販の飲むヨーグルト(5℃)を加えて混合し、デザートを調製した。
【0059】
【表6】

【0060】
このデザートは、不均一なゲルがもったりとした(ゆるくゲル化した)ヨーグルト中に分散したようなデザートとなった。
【産業上の利用可能性】
【0061】
牛乳、豆乳、発酵乳飲料などの乳成分や豆乳成分などを含む飲料を飲食時に混合することにより調製する即席デザート調製用液状ベースであって、乳成分や豆乳成分を含む飲料中に不均一な大きさのゼリーが混在するデザートを即席で調製可能な液状ベースを提供できる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルシウム反応性ゲル化剤を含み、飲用乳、豆乳、乳酸菌飲料、発酵乳飲料から選ばれる1種以上の飲料と混合することにより調製する即席デザート調製用液状ベースであって、当該飲料と混合する際の液状ベースの粘度を100mPa・s以上とすることを特徴とする即席デザート調製用液状ベース。
【請求項2】
更に、当該液状ベースに増粘機能を有する成分を含む、請求項1に記載の即席デザート調製用液状ベース。
【請求項3】
当該液状ベースのデザートへの配合量が、デザート総量に対して50%以下の量となるように調整されている請求項1又は2に記載の即席デザート調製用液状ベース。
【請求項4】
カルシウム反応性ゲル化剤を含み、以下に示すA群及びB群の飲料を混合することによりデザートを調製する即席デザート調製用液状ベースであって、当該液状ベースが、A群と混合したときの粘度が100mPa・s以上となるように調整されていることを特徴とする即席デザート調製用液状ベース;
A群:コーヒー飲料、紅茶飲料、抹茶飲料、緑茶飲料、ココア飲料、果汁飲料、野菜汁飲料、スポーツドリンク、機能性飲料、ニアウォーターから選ばれる1種以上の飲料、
B群:飲用乳、豆乳、乳酸菌飲料、発酵乳飲料から選ばれる1種以上の飲料。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−52(P2011−52A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−145615(P2009−145615)
【出願日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(000175283)三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 (429)
【Fターム(参考)】