説明

原子力設備の施工用準備ユニット、原子力設備の施工システム、および原子力設備の施工方法

【課題】短時間で、且つ容易に装置の位置決め精度の高い施工を行なうことができる。
【解決手段】原子力容器の管台の空間内に進入される装置本体30と、装置本体30を空間内部に進入させるための移動装置と、装置本体30に設けられ、空間内の部材面の溶接部を検出する渦電流探傷検査センサ31と、装置本体30に設けられ、管内面にポンチ痕を行うポンチ打刻部32と、渦電流探傷検査センサ31での検出結果に基づいて移動装置およびポンチ打刻部32を制御して、溶接部に対する相対位置にポンチ痕を打刻させる制御部と、を備えた施工用準備ユニット20とを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力設備の施工用準備ユニット、原子力設備の施工システム、および原子力設備の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原子炉容器の出入口部における管台内部で行なわれる保守作業として、容器側の管台と管との溶接部の表面を削って耐腐食性の高い材料で肉盛溶接をやり直す工事(以下、INLAY工事という)が知られている。
このようなINLAY工事では、INLAY対象部、すなわち溶接すべき部分において事前調査、開先加工、溶接、溶接部平面仕上げ、最終検査の順で作業が進められている。そして、これらの作業が行なわれる管台内部は、人が進入するのが困難な環境下となるため、前記各作業工程に対応した装置(事前調査装置、切削装置、溶接装置、仕上げ装置、検査装置等)に対して原子炉容器の図面寸法からそれぞれの装置固有の位置決め基準を設けていた。
【0003】
ところで、管台内部で行なわれる作業について、例えば特許文献1に記載されている。
特許文献1には、配管の開先裏面側に監視センサが配置され、初層溶接時に溶接機によって開先が溶接されると、この溶接に伴う溶融状態が監視センサによって撮像され、この撮像に伴う情報をモニタの画面上に表示する内面監視装置と自動溶接装置について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−153356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の管台内部で行なわれるINLAY工事においては、以下のような問題があった。
すなわち、各作業に対応した装置をその作業に応じて入れ替えるため、それぞれの装置毎に各装置固有の位置決め基準に応じた位置決めを行うため、多大な時間がかかるという問題があった。
また、装置毎に位置決め誤差(ばらつき)が生じることにより、事前調査、開先加工、溶接、溶接部平面仕上げ、検査の各作業において施工範囲の設定精度が低下し、場合によっては施工範囲がずれてしまうという問題があり、その点で改良の余地があった。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、短時間で装置の位置決め精度の高い施工を行なうことができる原子力設備の施工用準備ユニット、原子力設備の施工システム、および原子力設備の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る原子力設備の施工用準備ユニットでは、空間内に進入される装置本体と、該装置本体を前記空間内部に進入させる移動部と、前記装置本体に設けられ、前記空間内の部材面の対象部位を検出する対象部位検出手段と、前記装置本体に設けられ、前記部材面にマーキングを行うマーキング手段と、前記対象部位検出手段での検出結果に基づいて前記移動部および前記マーキング手段を制御して、前記対象部位に対する相対位置にマーキングさせる制御部と、を備えることを特徴としている。
【0008】
また、本発明に係る原子力設備の施工システムでは、上述した原子力設備の施工用準備ユニットを備えた施工システムであって、該施工用準備ユニットでマーキングされた位置を基準にして前記対象部位に施工を行う施工ユニットを設けていることを特徴としている。
【0009】
また、本発明に係る原子力設備の施工方法では、空間内部に装置本体を進入させる工程と、前記空間内の部材面の対象部位を検出する工程と、検出した前記対象部位に対する部材面の相対位置にマーキングを行う工程と、を有することを特徴としている。
【0010】
本発明では、人が進入するのが困難な環境下となる原子力設備において、空間内部で施工ユニットを用いた工事を行う場合、先ず施工用準備ユニットを移動部により空間内部に進入させ、空間内の部材面の対象部位を対象部位検出手段により検出する。
そして、施工用準備ユニットにおける対象部位を検出した位置において、マーキング手段により部材面にマーキングを行う。このとき、対象部位検出手段とマーキング手段とが装置本体上に設けられ、互いの相対位置が固定値となっているので、部材面に施したマーキングが検出した対象部位の位置に基づいた基準位置となる。そのため、施工ユニットに前記マーキングを基準にして位置調整できる機能(例えば、レーザ発光部やカメラ等)を装備しておくことで、そのマーキングを基準とした施工ユニットの位置決めを精度良く行うことができる。つまり、マーキングと対象部位の位置が固定値となるため、マーキングの位置に合わせて施工ユニットを位置決めすることで、施工ユニットにおいて対象部位に対して精度良く施工することが可能となる。
【0011】
また、各施工ユニットが同一の基準(マーキング)に対して位置決めするので、施工ユニット毎に対象部位を検出して位置決めする従来の場合のように、検出値のバラツキに伴って生じる各施工ユニットの位置決め誤差を防止することができる。したがって、所定の対象部位に対して、異なる施工ユニットにより順次作業を施すような工事を行う場合にあっては、精度の高い施工ができるという利点がある。
しかも、施工ユニット毎に時間のかかる対象部位検出を行う必要がなくなるので、施工範囲設定の迅速化が図れ、作業時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の原子力設備の施工用準備ユニット、原子力設備の施工システム、および原子力設備の施工方法によれば、予め対象部位に対する相対位置にマーキングを施し、このマーキングをその後に作業する施工ユニットの位置決めの基準とすることで、各施工ユニットを高い精度で位置決めすることができる。そのため、施工範囲を迅速に設定することが可能となり、各施工ユニットの位置決めにかかる時間を短縮することができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態による施工システムの概要を示す一部破断した全体斜視図である。
【図2】原子炉容器内の管台部分の詳細を示す斜視図である。
【図3】施工用準備ユニットの移動装置及びマニュピレータの構成を示す斜視図である。
【図4】施工用準備ユニットの装置本体の詳細を示す斜視図である。
【図5】施工用準備ユニットの装置本体の詳細を示す別の角度から見た斜視図である。
【図6】管内面のマーキング状態を模式的に示した側面図である。
【図7】施工ユニットの詳細を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態による原子力設備の施工用準備ユニット、原子力設備の施工システム、および原子力設備の施工方法について、図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、管台作業を行うための施工用準備ユニット20および原子力設備の施工システムを適用するための原子炉容器1であって、原子炉の内部において、上部構造体である上蓋、及び、内部構造体である炉心構造物が取り外され、上部が開口した原子炉容器1を示している。なお、本実施の形態では、原子炉容器1側の管台2と管3との溶接部の内部表面を削って耐腐食性の高い材料で肉盛溶接をやり直す作業(INLAY工事)を適用対象としている。
【0016】
図1に示すように、原子炉容器1には管台2として入口管台2A及び出口管台2Bが少なくとも一組設けられ、それぞれが溶接により配管3に接続されている。本実施の形態では3組設けられており、各組の入口管台2Aから内部に冷却水を取り込むことが可能であるとともに、出口管台2Bから冷却水を排出することが可能となっている。
【0017】
そして、本施工システムでは、下端側が原子炉容器1に上部開口1aから挿入されるとともに、上方へと延出して設けられている有底円筒状の架台11と、原子炉容器1の上方に架設された作業床12と、を備える。
架台11は、原子炉容器1の内部に配置されるプラットフォーム13と、プラットフォーム13と接続されて原子炉容器1の上方へと鉛直方向に沿って配設された略円筒状の接続管路14とを有する。プラットフォーム13は、原子炉容器1の内径よりも小さい外径を有する略円筒状の側壁13aと、側壁13aの下端を閉塞する底板13bと、側壁13aの上端から外周側に張り出して原子炉容器1の上縁に支持されたフランジ13cとを有する。そして、プラットフォーム13は、フランジ13cに形成された固定用孔13dを利用して原子炉容器1に固定されている。
【0018】
また、接続管路14は、下端がプラットフォーム13のフランジ13cに固定されており、プラットフォーム13の側壁13aと接続管路14によって架台11の側壁部11aが構成されており、また、プラットフォーム13の底板13bによって架台11の底部11bが構成されている。また、接続管路14は、上端において作業床12に原子炉容器1の上方となる位置で形成された連絡孔12aと連通している。このため、作業床12上では、連絡孔12aを介して架台11の内部にアクセスすることが可能となっている。
なお、プラットフォーム13のフランジ13cと原子炉容器1の上端との間、また、プラットフォーム13のフランジ13cと接続管路14の下端との間は、それぞれシーリングされており、これにより、原子炉容器1の内部を管台2よりも水位が下側になるように排水しても、原子炉容器1の上方で接続管路14の周囲に満たされた冷却水が原子炉容器1の内部、及び架台11の内部に漏洩してしまうことがない。
【0019】
ここで、図2に示すように、架台11においてプラットフォーム13の側壁13aには、各管台2と連通するアクセス窓15が形成されているとともに、アクセス窓15を開閉可能なアクセス窓開閉扉16が設けられている。アクセス窓開閉扉16は図示しない電動ウインチ等適宜な駆動手段により開閉されるようになっている。
また、各アクセス窓15の内周面には、アクセス窓15と管台2との間の隙間を閉塞する隙間閉塞装置17が設けられている。
【0020】
施工用準備ユニット20は、各種管台作業を行う前に、各種作業を行う基準のない部位に対して装置の基準位置を設ける機能を有している。
図3に示すように、施工用準備ユニット20は、管台2の空間内部R(人が進入困難な環境を有する空間)に挿入される装置本体30と、その装置本体30を空間内部Rに挿入させるための移動装置21(移動部)とからなる。移動装置21は、図示しない昇降装置によって連絡孔12aを介して作業床12上から架台11の内部へ昇降可能に設けられている。
【0021】
移動装置21は、マニュピレータ22を介して接続された施工用準備ユニット20とともに管台2内をスライド移動させることが可能に設けられている。
マニュピレータ22は、複数の関節部22a、22a、…を有する多関節構造で構成されており、これにより、スライド方向L1に平行な軸、及び、該軸に直交する二軸の三軸回りに自在に回転可能となっている。つまり、マニュピレータ22の先端22bに設けられた装置本体30を任意の軸回りに回転移動させることが可能となっている。
【0022】
また、図4及び図5に示すように、施工用準備ユニット20は、図6に示す管台2及び配管3における空間R内の管内面Ra(部材面)の対象部位(ここでは管台2と配管3との境界をなす溶接部T)を検出する渦電流探傷検査センサ31(対象部位検出手段)と、管内面Raにポンチ痕P(マーキング)を行うポンチ打刻部32(マーキング手段)と、が装置本体30に設けられるとともに、渦電流探傷検査センサ31での検出結果に基づいて移動装置21およびポンチ打刻部32を制御して、前記溶接部Tに対する相対位置にポンチ痕Pをマーキングさせる制御部(図示省略)を備えている。
さらに、装置本体30には、前記ポンチ痕Pにレーザ光を当てる第1レーザ変位計33と、そのレーザ光を監視する第1カメラ34と、その第1カメラ34の撮像範囲を照らす照明部34Aとが設けられている。
【0023】
渦電流探傷検査センサ31は、装置本体30に設けられるセンサ台座部35の一部に配置されている。センサ台座部35は、センサ取付面35aを管内面Raに対向させるとともに、管軸Lを中心にして回転可能に設けられ、センサ取付面35aには複数種のセンサ36A〜36Dが取り付けられている。なお、複数種のセンサのうちの1つが上述した渦電流探傷検査センサ31であり、その他のセンサセンサ36A〜36Dとして、例えば板厚測定用センサ(オーバレイ垂直)や、施工する部位に欠陥(空洞)があるかどうか検査するオーバレイ健全性確認用UT検査センサなどが設けられる。
【0024】
さらに具体的に渦電流探傷検査センサ31は、溶接部Tを検出するものであり、コイルが埋め込まれており、管内面Raの材質変化に伴って管内面Raに与えた渦電流の変化を検出し、センサ台座部35の回転により管の周方向の角度を検出する。そして、渦電流探傷検査センサ31によって検出された検査データは、装置本体30を多軸に動かすマニュピレータ22の軸値と合わせ、装置本体30の軸位置に対する溶接部Tの範囲(軸方向と周方向の位置)が特定されるようになっている。
【0025】
ポンチ打刻部32は、渦電流探傷検査センサ31との距離が一定値となる固定位置であって、本実施の形態では渦電流探傷検査センサ31よりもマニュピレータ22側の位置に配置されている。具体的にポンチ打刻部32は、管軸L方向に直交する方向にポンチ軸321が設けられ、そのポンチ軸32Aの先端に棒状のポンチ32Bを有し、センサ台座部35と共に管軸Lを中心にして回転する構成となっている。ポンチ軸32Aには、ポンチ32Bを所定の突出力で突き出すための付勢部材等が組み込まれている。
【0026】
ポンチ32Bとしては、プラントの運転や機器の機能に影響を与えない程度に管内面Raにポンチ痕Pを打刻することができる低応力ポンチが適用されている。なお、マーキング手法としてポンチ痕Pを採用することで、マーキングの視認性、及び耐久性(消えにくさ)をもたせることができる。
また、渦電流探傷検査センサ31の位置とポンチ32Bとの位置は、予め前記図示しない制御部に登録しておく。つまり、ポンチ打刻部32では、渦電流探傷検査センサ31との相対位置を維持したままポンチ痕Pを管内面Raに打刻することができる。そして、このポンチ痕Pが後述する各施工ユニットを作業位置へ位置決めする基準となる。
【0027】
次に、溶接作業等を行うための各施工ユニット40に共通に設けられる位置決め機構Nについて、図面に基づいて説明する。
図7に示すように、各施工ユニット40は、上述したマニュピレータ22と同様に移動装置(図示省略)に設けられた多軸のマニュピレータ41に取り付けられている。この施工ユニット40は、溶接に必要な切削、溶接、仕上げ、検査等の作業毎に応じたユニットが設けられる。より具体的には、施工ユニット40としては、管内面Raの溶接を行う溶接ユニット、管内面Raを切削する切削ユニット、管内面Raの仕上げ加工を行う仕上げ加工ユニット、仕上げ後の管内面Raを検査さする検査ユニットなどが用いられる。
なお、これら各作業装置の詳細な説明は省略し、各施工ユニット40に共通して設けられる前記位置決め機構Nについて説明する。
【0028】
位置決め機構Nは、第2レーザ変位計42と、この第2レーザ変位計42から出射されるレーザ光線を撮像可能に配置された第2カメラ43とを備え、第2カメラ43の映像に基づいて上述した施工用準備ユニット20で基準としたポンチ痕Pにレーザ光線の光軸Mを一致させることで、施工ユニット40の基準位置(作業を行う所定位置)を補正する機能を有している。なお、この位置決め機構Nによる位置決め作業として、大体の位置までの位置決めを対象とする一次位置決めを自動制御で行い、その後の微調整を対象とする二次位置決めを手動で行う方法でもよく、或いは前記一次位置決め及び二次位置決め共に自動で行うようにしても良い。
【0029】
次に、上述したように構成された施工用準備ユニットの作用と、施工システムに基づく施工ユニット40の位置決め方法について、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、人が進入するのが困難な環境下となる管台2及び配管3における空間内部Rで施工ユニット40を用いた工事を行う場合、先ず施工用準備ユニット20を移動装置21とともに架台11内を通過させて作業床12からプラットフォーム13内に挿入し、さらに空間内部Rに進入させ、その管内面Raの溶接部T(対象部位)を渦電流探傷検査センサ31により検出する。
【0030】
そして、図5及び図6に示すように、施工用準備ユニット20における溶接部Tを検出した位置において、ポンチ打刻部32により管内面Raにポンチ痕Pを打刻する。このとき、渦電流探傷検査センサ31とポンチ打刻部32とが装置本体30上に設けられ、互いの相対位置が固定値となっているので、管内面Raに施したポンチ痕Pが検出した溶接部Tの位置に基づいた基準位置となる。
そのため、図7に示す施工ユニット40にポンチ痕Pを基準にして位置調整できる位置決め機構Nが設けられているので、そのポンチ痕Pを基準とした施工ユニット40の位置決めを精度良く行うことができる。つまり、ポンチ痕Pと溶接部Tの位置が固定値となるため、ポンチ痕Pの位置に合わせて施工ユニット40を位置決めすることで、施工ユニット40において溶接部Tに対して精度良く施工することが可能となる。
【0031】
また、各施工ユニット40が同一の基準(ポンチ痕P)に対して位置決めするので、施工ユニット毎に対象部位を検出して位置決めする従来の場合のように、検出値のバラツキに伴って生じる各施工ユニットの位置決め誤差を防止することができる。
したがって、所定の溶接部Tに対して、異なる施工ユニットにより順次作業を施すような工事を行う場合にあっては、精度の高い施工ができるという利点がある。
しかも、施工ユニット40毎に時間のかかる対象部位検出を行う必要がなくなるので、施工範囲設定の迅速化が図れ、作業時間を短縮することができる。
【0032】
上述した本実施の形態による原子力設備の施工用準備ユニット、原子力設備の施工システム、および原子力設備の施工方法では、予め溶接部Tに対する相対位置にポンチ痕Pを施工用準備ユニット20によって施工し、このポンチ痕Pをその後に作業する施工ユニット40の位置決めの基準とすることで、各施工ユニット40を高い精度で位置決めすることができる。そのため、施工範囲を迅速に設定することが可能となり、各施工ユニット40の位置決めにかかる時間を短縮することができる効果を奏する。
【0033】
以上、本発明による原子力設備の施工用準備ユニット、原子力設備の施工システム、および原子力設備の施工方法の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施の形態ではマーキング手段としてポンチ打刻によるポンチ痕Pを採用しているが、これに限定されることはなく、例えばマジック罫書き、罫書き針による罫書き等の手段によりマーキングを施すことも可能である。
【0034】
また、本実施の形態では対象部位検出手段として渦電流探傷検査センサ31を用いているが、このようなセンサに限定されることはなく、例えば、超音波探傷試験を行うためのUT検査センサ等を対象部位検出手段として用いるようにしても良い。
そして、渦電流探傷検査センサ31の取付構造(センサ台座部35の一部に配置する構造)や、渦電流探傷検査センサ31とポンチ打刻部32との距離などの構成についても適宜設定することが可能である。
【0035】
また、工事の対象についても管台2と配管3との接合部(溶接部T)であることに制限されることはなく、原子力設備であればいずれの設備、部位を適用対象とすることができ、またINLAY工事に限定されることはないが、とくに設備の対象が人が進入困難な環境を有する空間内でにおいて好適である。
【0036】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施の形態を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 原子炉容器
2 管台
3 配管
20 施工用準備ユニット
21 移動装置(移動部)
22 マニュピレータ
30 装置本体
31 渦電流探傷検査センサ(対象部位検出手段)
32 ポンチ打刻部(マーキング手段)
32A ポンチ軸
32B ポンチ
33 第1レーザ変位計
34 第1カメラ
35 センサ台座部
40 施工ユニット
42 第2レーザ変位計
43 第2カメラ
M レーザ光軸
N 位置決め機構
P ポンチ痕(マーキング)
R 管内空間
Ra 管内面(部材面)
T 溶接部(対象部位)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間内に進入される装置本体と、
該装置本体を前記空間内部に進入させるための移動部と、
前記装置本体に設けられ、前記空間内の部材面の対象部位を検出する対象部位検出手段と、
前記装置本体に設けられ、前記部材面にマーキングを行うマーキング手段と、
前記対象部位検出手段での検出結果に基づいて前記移動部および前記マーキング手段を制御して、前記対象部位に対する相対位置にマーキングさせる制御部と、
を備えることを特徴とする原子力設備の施工用準備ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の前記原子力設備の施工用準備ユニットを備えた施工システムであって、
該施工用準備ユニットでマーキングされた位置を基準にして前記対象部位に施工を行う施工ユニットを設けていることを特徴とする原子力設備の施工システム。
【請求項3】
空間内に装置本体を進入させる工程と、
前記空間内の部材面の対象部位を検出する工程と、
検出した前記対象部位に対する部材面の相対位置にマーキングを行う工程と、
を有することを特徴とする原子力設備の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−145480(P2012−145480A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4740(P2011−4740)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】