説明

原子炉の検査、保守及び修理のための装置及び方法

【課題】原子炉の検査、保守及び修理を実行する装置及び方法を提供する。
【解決手段】原子炉を検査する装置200は軌道204、アーム202、固定装置206及びエフェクタ208からなる。アーム202は収縮長さ及び伸長長さを有してもよい。伸長長さは収縮長さの2倍を超えてもよい。軌道204はアーム202を移動ためのモータを含む。原子炉の検査、保守又は修理を実行する方法は、装置200を形成するために、固定装置206、軌道204、アーム202及びエフェクタ208を動作自在に結合することと、装置200を原子炉に挿入することと、装置200を原子炉の内部に固定することと、装置200を動作させることとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子炉の検査、保守及び修理を実行する装置及び方法に関する。更に、本発明は、原子炉圧力容器と炉心シュラウドとの間のダウンカマーアニュラスの内部のように限定された領域内において原子炉の検査、保守及び修理を実行する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来の沸騰水型軽水炉(「BWR」)の典型的な原子炉圧力容器(「RPV」)100を示した部分切取り断面図である。BWRの動作中、RPV100内部を循環する冷却水は、炉心102において発生する核分裂により加熱される。給水は給水入口104及び給水スパージャ106(RPV100の内部に周囲に沿って給水を散布するための複数の開口部を含むリング形パイプ)を経てRPV100の内部に受入れられる。給水スパージャ106からの給水は、ダウンカマーアニュラス108(RPV100と炉心シュラウド110との間の環状領域)を通って下方へ流れる。
【0003】
炉心シュラウド110は、炉心102を包囲するステンレス鋼の円筒である。炉心102は多数の燃料束集合体112(例えば、図1に示されるように2つの2×2アレイ)を含む。燃料束集合体112の各アレイは、その最上部でトップガイド114により支持され、底部では炉心支持板116により支持される。トップガイド114は燃料束集合体112の最上部を側方から支持し、制御棒を挿入するための正しい燃料‐チャネル間隔を維持する。
【0004】
冷却水はダウンカマーアニュラス108を通って下方へ流れ、炉心下部プレナム118に流入する。炉心下部プレナム118に入った冷却水は、炉心102を通って上方へ流れる。冷却水は燃料束集合体112に流入し、そこで沸騰境界層が形成される。水と蒸気との混合物は炉心102から流出し、シュラウドヘッド122の下方で炉心上部プレナム120に入る。炉心上部プレナム120は、炉心102から流出する蒸気と水との混合物と、スタンドパイプ124に流入する蒸気と水との混合物の間を隔離する。スタンドパイプ124はシュラウドヘッド112の頂上部に配置され、炉心上部プレナム120と流体連通している。
【0005】
蒸気と水との混合物はスタンドパイプ124を通って流れ、蒸気分離器126(例えば、軸流遠心型であってもよい)に入る。蒸気分離器126は、蒸気と水との混合物を液体水と蒸気とにほぼ分離する。分離された液体水は混合プレナム128において給水と混合する。その後、この混合物はダウンカマーアニュラス108を経て炉心102に戻る。分離された蒸気は蒸気乾燥器130を通過し、蒸気ドーム132に入る。乾燥された蒸気は蒸気出口134を経てRPV100から取出され、タービン及び他の機器(図示せず)において使用される。BWRは、要求される出力密度を実現するために必要な炉心102を通過する強制対流を発生する冷却材再循環系を更に含む。水の一部は、再循環水出口136を経てダウンカマーアニュラス108の下端部から吸い上げられ、遠心再循環ポンプ(図示せず)により、再循環水入口140を経て複数のジェットポンプ構体138(そのうち1つの構体のみが示される)の中へ強制的に送り込まれる。ジェットポンプ構体138は炉心シュラウド110の周囲に沿って配分され、要求される炉心流れを発生する。典型的なBWRは16〜24個の入口ミキサを含む。
【0006】
図1に示されるように、従来のジェットポンプ構体138は、通常、1対の入口ミキサ142を含む。各入口ミキサ142にはエルボ144が溶接されている。エルボ144は、再循環ポンプ(図示せず)から入口上昇管146を介して加圧駆動水を受取る。入口ミキサ142の一例は、入口ミキサ軸に関して周囲方向に互いに等しい角度で配分された5つ1組のノズルを含む。各ノズルは、出口において半径方向内側へ先細りの形状を有する。ジェットポンプは、それらの先細ノズルにより作動される。5つの二次入口開口部はノズル出口の半径方向外側にある。従って、ノズルから水のジェットが発出するにつれて、ダウンカマーアニュラス108からの水は二次入口開口部を経て入口ミキサ142の中へ引き込まれ、再循環ポンプからの冷却水と混合される。その後、冷却水はディフューザ148に流入する。
【0007】
炉心シュラウド110は、例えば、シュラウドヘッド122を支持するシュラウドヘッドフランジ(図示せず)、シュラウドヘッドフランジに上端部が溶接された上部シュラウド壁(図示せず)、上部シュラウド壁の底端部に溶接されたトップガイド支持リング(図示せず)、上端部がトップガイド支持リングに溶接され、シュラウド中央装着溶接部により接合された2つ又は3つの縦に積み重ねられたシェル部分(図示せず)を含む中央シュラウド壁(図示せず)、並びに中央シュラウド壁の底端部及び下部シュラウド壁(図示せず)の上端部に溶接された環状炉心支持板支持リング(図示せず)を含んでもよい。シュラウド全体は、下部シュラウド壁の底部に溶接されたシュラウド支持体(図示せず)と、内径においてシュラウド支持体に溶接され且つ外径においてRPV100に溶接された環状ジェットポンプ支持板(図示せず)とにより支持される。
【0008】
通常、炉心シュラウド110及び関連する溶接部の材料は、炭素含有量を低減したオーステナイトステンレス鋼である。シュラウド中央装着溶接部を含むシュラウド周囲溶接部の熱の影響を受けるゾーンは、残留溶接応力を有する。従って、シュラウド中央装着溶接部及び他の周囲溶接部には、粒界応力腐食割れ(IGSCC)を発生しやすいメカニズムが存在する。
【0009】
任意のシュラウド周囲シーム溶接部の熱の影響を受けるゾーンにおけるIGSCCは、トップガイド114及びシュラウドヘッド122を垂直方向及び水平方向に支持する炉心シュラウド110の構造的一体性を低減する。特に、亀裂を発生した炉心シュラウド110は、冷却材喪失事故(LOCA)又は地震荷重により引き起こされる危険を増大する。LOCAの間、RPV100からの冷却材が失われると、シュラウドヘッド122の上方の圧力が失われ、炉心シュラウド110の内部、すなわち、シュラウドヘッド122の下方の圧力が上昇する。その結果、シュラウドヘッド122及びシュラウドヘッド122がボルト留めされている炉心シュラウド110の上方部分に対する揚力が増加する。炉心シュラウド110の周囲溶接部の全体に亀裂が入ると、LOCAの間に発生する揚力は、炉心シュラウド110を亀裂領域に沿って分離させ、原子炉冷却材の漏れという望ましくない事態を引き起こす。また、IGSCCによって炉心シュラウド110の溶接ゾーンに障害が起こった場合、地震荷重による整列のずれの危険があり、炉心102及び制御棒要素に損傷が発生する。これは、制御棒の挿入及び安全な運転停止に悪影響を及ぼすであろう。
【0010】
従って、炉心シュラウド110の構造的一体性及び修理の必要性を判定するために、炉心シュラウド110を定期的に検査する必要がある。超音波検査は、原子炉構成要素の亀裂を検出する周知の技術である。検査の際の第1の関心領域は、水平及び/又は垂直シュラウド中央装着溶接部の位置における炉心シュラウド110の外面である。しかし、炉心シュラウド110に接近するのは容易ではない。機器で検査できるのは、炉心シュラウド110の外側とRPV100の内側との間の環状空間の隣接するジェットポンプ構体138の間に限られる。走査作業で検査できるのは、炉心シュラウド110とジェットポンプ構体138との間の狭い空間の中に更に限定され、この空間は場所によっては約0.5インチの幅である。検査領域の放射能の濃度は高く、検査領域は、作業員の作業用プラットフォームから50フィート以上下方の水中に位置する場合もある。その結果、多くの場合、炉心シュラウド110及び/又はRPV100の検査、並びにダウンカマーアニュラス108の内部の他の検査、保守及び修理は困難且つ複雑である。
【0011】
炉心シュラウド110を検査するという問題を解決する方法は、前述のように、例えば、米国特許第5,586,155号公報(「’155号特許」)(特許文献1)において提案されている。'155号特許の開示は、本明細書中に参考として取入れられている。しかし、提案された方法は、本発明に類似するような原子炉の検査、保守及び修理のための装置及び方法を含まない。
【特許文献1】米国特許第5,586,155号公報
【特許文献2】米国特許第4,025,053号公報
【特許文献3】米国特許第4,436,694号公報
【特許文献4】米国特許第4,718,519号公報
【特許文献5】米国特許第5,176,362号公報
【特許文献6】米国特許第5,364,071号公報
【特許文献7】米国特許第5,784,425号公報
【特許文献8】米国特許第5,988,594号公報
【特許文献9】米国特許第6,375,161B2号公報
【特許文献10】米国特許第6,916,058B2号公報
【特許文献11】米国特許第7,092,477B2号公報
【発明の開示】
【0012】
本発明は、原子炉の検査、保守及び修理を実行する装置及び方法に関する。更に、本発明は、原子炉圧力容器と炉心シュラウドとの間のダウンカマーアニュラスの内部のような限定された領域において原子炉の検査、保守及び修理を実行する装置及び方法に関する。
【0013】
一実施形態においては、原子炉を検査する方法は、検査装置を形成するために、固定装置、第1の軌道、アーム及びエフェクタを動作自在に結合すること;検査装置を原子炉に挿入すること;検査装置を原子炉の内部に固定すること;及び/又は検査装置を動作させることを含んでもよい。アームは収縮長さを有してもよい。アームは伸長長さを有してもよい。伸長長さは収縮長さの2倍を超えてもよい。
【0014】
別の実施形態においては、原子炉に対して保守を実行する方法は、保守装置を形成するために、固定装置、第1の軌道、アーム及び1つ以上のツールを動作自在に結合すること;保守装置を原子炉に挿入すること;保守装置を原子炉の内部に固定すること;及び/又は保守装置を動作させることを含んでもよい。アームは収縮長さを有してもよい。アームは伸長長さを有してもよい。伸長長さは収縮長さの2倍を超えてもよい。
【0015】
更に別の実施形態においては、原子炉を修理する方法は、修理装置を形成するために、固定装置、第1の軌道、アーム及び1つ以上のセンサ、1つ以上のツール、又は1つ以上のセンサ及び1つ以上のツールを動作自在に結合すること;修理装置を原子炉に挿入すること;修理装置を原子炉の内部に固定すること;及び/又は修理装置を動作させることを含んでもよい。アームは収縮長さを有してもよい。アームは伸長長さを有してもよい。伸長長さは収縮長さの2倍を超えてもよい。
【0016】
更に別の実施形態においては、原子炉を検査する装置は第1の軌道、アーム、固定装置、及び/又はエフェクタを含んでもよい。アームは第1の軌道に動作自在に結合されてもよい。固定装置は第1の軌道に動作自在に結合されてもよい。エフェクタはアームに動作自在に結合されてもよい。アームは収縮長さを有してもよい。アームは伸長長さを有してもよい。伸長長さは収縮長さの2倍を超えてもよい。
【0017】
更なる実施形態においては、原子炉を検査する装置は第1の軌道、アーム、固定装置、及び/又はエフェクタを含んでもよい。アームは第1の軌道に動作自在に結合されてもよい。固定装置は第1の軌道に動作自在に結合されてもよい。エフェクタはアームに動作自在に結合されてもよい。第1の軌道は、第1の軌道に対してアームを移動するように構成される1つ以上のモータを含んでもよい。
【0018】
更なる別の実施形態においては、原子炉に対して保守を実行する装置は第1の軌道、アーム、固定装置、及び/又は1つ以上のツールを含んでもよい。アームは第1の軌道に動作自在に結合されてもよい。固定装置は第1の軌道に動作自在に結合されてもよい。1つ以上のツールはアームに動作自在に結合されてもよい。アームは収縮長さを有してもよい。アームは伸長長さを有してもよい。伸長長さは収縮長さの2倍を超えてもよい。
【0019】
更に別の実施形態においては、原子炉に対して保守を実行する装置は第1の軌道、アーム、固定装置、及び/又は1つ以上のツールを含んでもよい。アームは第1の軌道に動作自在に結合されてもよい。固定装置は第1の軌道に動作自在に結合されてもよい。1つ以上のツールはアームに動作自在に結合されてもよい。第1の軌道は、第1の軌道に対してアームを移動するように構成される1つ以上のモータを含んでもよい。
【0020】
更に別の実施形態においては、原子炉を修理する装置は第1の軌道、アーム、固定装置、1つ以上のセンサ、及び/又は1つ以上のツールを含んでもよい。アームは第1の軌道に動作自在に結合されてもよい。固定装置は第1の軌道に動作自在に結合されてもよい。1つ以上のセンサ、1つ以上のツール、又は1つ以上のセンサ及び1つ以上のツールはアームに動作自在に結合されてもよい。アームは収縮長さを有してもよい。アームは伸長長さを有してもよい。伸長長さは収縮長さの2倍を超えてもよい。
【0021】
付加的な実施形態においては、原子炉を修理する装置は第1の軌道、アーム、固定装置、1つ以上のセンサ、及び/又は1つ以上のツールを含んでもよい。アームは第1の軌道に動作自在に結合されてもよい。固定装置は第1の軌道に動作自在に結合されてもよい。1つ以上のセンサ、1つ以上のツール、又は1つ以上のセンサ及び1つ以上のツールはアームに動作自在に結合されてもよい。第1の軌道は、第1の軌道に対してアームを移動するように構成される1つ以上のモータを含んでもよい。
【0022】
別の付加的実施形態においては、原子炉の検査、保守又は修理を実行するためのキットは第1の軌道、アーム、及び/又は固定装置を含んでもよい。アームは第1の軌道に動作自在に結合されるように構成されてもよい。固定装置は第1の軌道に動作自在に結合されるように構成されてもよい。アームは収縮長さを有してもよい。アームは伸長長さを有してもよい。伸長長さは収縮長さの2倍を超えてもよい。
【0023】
更に別の付加的実施形態においては、原子炉の検査、保守又は修理を実行するためのキットは第1の軌道、アーム、及び/又は固定装置を含んでもよい。アームは第1の軌道に動作自在に結合されるように構成されてもよい。固定装置は第1の軌道に動作自在に結合されるように構成されてもよい。第1の軌道は、第1の軌道に対してアームを移動するように構成される1つ以上のモータを含んでもよい。
【0024】
上記の面及び利点及び/又は他の面及び利点は、添付の図面と関連して以下の実施形態の詳細な説明を読むことにより、より明らかになり且つより容易に理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
添付の図面を参照して、実施形態を更に詳細に説明する。しかし、実施形態は多くの異なる形態で実現されてもよく、本明細書中に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。それらの実施形態は、本開示が完全且つ完璧であり、範囲を当業者に十分に伝達するように提供される。
【0026】
ある構成要素が別の構成要素の「上にある」、別の構成要素に「接続される」、別の構成要素に「結合される」又は別の構成要素に「固定される」と述べられる場合、その構成要素は他の構成要素のすぐ上にあるか、他の構成要素に直接接続されるか、他の構成要素に直接結合されるか又は他の構成要素に直接固定されてもよいし、あるいはそれらの構成要素の間に介在する構成要素が存在してもよいことは理解されるであろう。これに対し、ある構成要素が別の構成要素の「すぐ上にある」、別の構成要素に「直接接続される」、別の構成要素に「直接結合される」又は別の構成要素に「直接固定される」と述べられる場合には、それらの構成要素の間に介在する構成要素は存在しない。本明細書中で使用される用語「及び/又は」は、関連して列挙される項目のうち1つ以上の任意の組合せ及び全ての組合せを含む。
【0027】
本明細書中において、第1、第2、第3などの用語は種々の要素、構成要素、領域、層及び/又は部分を説明するために使用されるが、それらの要素、構成要素、領域、層及び/又は部分はそれらの用語によって限定されるべきではないことが理解されるであろう。それらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、層又は部分を別の要素、構成要素、領域、層又は部分と識別するために使用されるにすぎない。従って、以下に説明される第1の要素、構成要素、領域、層又は部分は、実施形態の教示から逸脱することなく第2の要素、構成要素、領域、層又は部分と呼ばれてもよい。
【0028】
本明細書中、「下」、「下方」、「下部」、「上方」、「上部」などの空間に関連する用語は、説明の便宜上、1つの構成要素及び/又は特徴と別の構成要素及び/又は特徴、あるいは他の構成要素及び/又は特徴との図面に示されるような関係を説明するために使用されてもよい。空間に関連する用語は、図に示される向きに加えて、使用中又は動作中の装置の異なる向きを含むことが意図される。
【0029】
本明細書中で使用される用語は特定の実施形態を説明する目的にのみ使用され、限定的な意味を持つことを意図されない。本明細書中で使用される単数形「a」、「an」及び「the」は、特に指示されない限り複数形も含むことが意図される。更に、用語「具備する」及び/又は「含む」は、本明細書中で使用される場合、記載される特徴、数字、ステップ、動作、要素及び/又は構成要素の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、数字、ステップ、動作、要素及び/又は構成要素の存在又は追加を除外しないことが更に理解されるであろう。
【0030】
別途指定のない限り、本明細書中で使用される全ての用語(技術科学用語を含む)は、実施形態が属する分野の当業者により一般に理解される意味と同一の意味を有する。一般に使用される辞書において定義される用語などの用語は、関連技術の説明におけるそれらの用語の意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、別途指示のない限り、理想化された意味又は過度に形式的な意味で解釈されるべきではないことが更に理解されるであろう。
【0031】
次に、添付の図面に示される実施形態を参照して説明する。図中、同一の図中符号は同一の構成要素を示す。
【0032】
図2は、一実施形態に係る原子炉の検査、保守及び修理を実行する装置を示した斜視図である。図2に示されるように、原子炉の検査、保守及び/又は修理のための装置200はアーム202、第1の軌道204、固定装置206及び/又はエフェクタ208を含んでもよい。アーム202は第1の軌道204に動作自在に結合されてもよい。固定装置206は第1の軌道204に動作自在に結合されてもよい。エフェクタ208はアーム202に動作自在に結合されてもよい。
【0033】
装置200は、検査、保守及び/又は修理の全範囲又は限定された範囲について移動の数を減少できる。その結果、少なくとも部分的に、装置200は検査サイクルを短縮し且つ/又は検査計画を簡略化できる。
【0034】
アーム202は収縮長さ及び伸長長さを有してもよい。伸長長さは収縮長さの2倍を超えてもよい。例えば、伸長長さは収縮長さの約2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、5.5倍、6倍、6.5倍、7倍、7.5倍、8倍又はそれを超える長さであってもよい。これに加えて又はその代わりに、第1の軌道204は、第1の軌道204に対してアーム202を移動するように構成される1つ以上のモータを含んでもよい。
【0035】
アーム202は第1の軌道204に対して移動するように構成されてもよい。例えば、アーム202は第1の軌道204に沿って移動し、アーム202と第1の軌道204との動作自在の結合部210に対して移動し且つ/又は第1の軌道204に対して回転するように構成されてもよい。
【0036】
エフェクタ208は1つ以上のセンサを含んでもよい。例えば、1つ以上のセンサは少なくとも1つのカメラ、少なくとも1つのビデオカメラ、少なくとも1つの変換器、少なくとも1つの超音波変換器及び/又は1つ以上のスキャナを含んでもよい。1つ以上のセンサのうち少なくとも1つは、例えば、接触及び/又は圧力、水分、温度、pH、導電率及び/又は化学物質の存在及び/又は濃度を感知してもよい。これに加えて又はその代わりに、エフェクタ208は、原子炉を洗浄するためのツール、原子炉構成要素を捜索及び/又は検索するためのツール、溶接ツール及び/又は放電加工(「EDM」)ツールなどの1つ以上のツールを含んでもよい。
【0037】
一実施形態においては、装置200は、アダプタ構体212に結合された長いポール(図示せず)の端部で原子炉の中に挿入されてもよい。原子炉の上方にある作業員用プラットフォームから原子炉自体までの距離があること、作業員用プラットフォーム及び原子炉の領域では放射線に暴露されること及び装置200が原子炉に挿入された時点で原子炉に水がほぼ一杯に満たされていることのうち1つ以上を理由として、ポールは少なくとも部分的に約60フィート〜80フィートの長さであってもよい。原子炉内部において必要に応じて装置200を位置決めするために、1人以上の作業員がポールを制御してもよい。その位置は、例えば、第1の軌道204、エフェクタ208及び/又は調整自在の足部214のうち1つ以上が炉心シュラウド110とほぼ接触し且つ/又は固定装置206がRPV100とほぼ接触する状態で、炉心シュラウド110の外側とRPV100の内側との間に設定されてもよい。装置200は、遠隔操作車両(「ROV」)(図示せず)、ケーブル/チェーンホイスト(図示せず)又はそれに類似する装置を使用して、原子炉に挿入されてもよい。検査装置200が原子炉に挿入される場合、アーム202は第1の軌道204とほぼ平行になるまで回転されてもよい。そのように平行にすると、1人以上の作業員が装置200を原子炉内で迅速に位置決めするのに有用である。
【0038】
一実施形態においては、装置200が適正に位置決めされた後、第1の軌道204、エフェクタ208及び/又は調整自在の足部214のうち1つ以上を炉心シュラウド110に強制的に接触させ、それにより装置200を所定の位置に固定するために、1人以上の作業員は固定装置206によりRPV100に圧力を加えてもよい。また、装置200は、例えば、炉心シュラウド110及び/又はシュラウドヘッドフランジ(図示せず)に結合されるか、あるいは原子炉の蒸気ダム(図示せず)に乗り上げるように配置されてもよいマスト、スキャンアーム又はそれと同等の部材の形態をとる固定装置206により所定の位置に固定されてもよい。
【0039】
装置200が所定の位置に固定されたならば、エフェクタ208はアーム202及び第1の軌道204を使用して必要に応じて位置決めされてもよい。例えば、第1の軌道204が垂直の向きに固定されたと仮定すると、動作自在の結合部210を上下動させるため(及びそれによってエフェクタ208を上下動させるため)にアーム202は第1の軌道204に沿って移動されてもよく、(エフェクタ208と動作自在の結合部210との距離を変えるために)アーム202は動作自在の結合部210に対して移動されてもよく、且つ/又は第1の軌道204に対するアーム202の角度を変えるため(及びそれによってエフェクタ208の角度位置を変えるため)にアーム202は第1の軌道204に対して回転されてもよい。アーム202及びエフェクタ208は薄型であるため、エフェクタ208はROVなどの他の装置が入り込めない限られた空間にも入り込むことができる。
【0040】
エフェクタ208は、それらの「自由度」のうち任意の自由度で独立して位置決めされてもよく、又は2つ以上の自由度で同時に位置決めされてもよい。これに加えて又はその代わりに、エフェクタ208は上記の自由度以外の「自由度」を有してもよい。そのいくつかの例は、以下のアーム202の説明中に含まれる。
【0041】
装置200はケーブル管理システムを更に含んでもよい。ケーブル管理システムは、例えば、装置200に動力(すなわち、電力、空気圧動力及び/又は液圧(水圧)動力)を供給し、装置200に制御信号を供給し且つ/又は1人以上の作業員に装置200からのセンサ信号を供給してもよい1本以上のアンビリカルケーブル(図示せず)を管理するのを助ける。1本以上のアンビリカルケーブルは、作業員用プラットフォームから装置200及び/又はエフェクタ208に到達してもよい。第1の軌道204はケーブル管理システムの少なくとも一部分を含んでもよい。同様に、アーム202はケーブル管理システムの少なくとも一部分を含んでもよい。一実施形態においては、第1の軌道204はケーブル管理システムの第1の部分を含んでもよく、アーム202はケーブル管理システムの第2の部分を含んでもよい。
【0042】
図3は、図2の装置のアームを示した展開斜視図であり、図4は、図3のアームを示した背面展開斜視図である。図3及び図4に示されるように、アーム202は第2の軌道300、クロスバー302、ガイドブロック304、ガイド306及び/又は308、ローラブラケット310、312及び/又は314、ローラ316、318及び/又は320、及び/又はエフェクタブラケット322を含んでもよい。
【0043】
第2の軌道300は3つ以上の部分を含んでもよい。通常、それらの部分は積み重なっているため、部分の数が多いほど第2の軌道300は厚くなる。
【0044】
第2の軌道300の各部分は、1つ以上の標準曲率半径で製造されてもよい。しかし、第2の軌道300の曲率半径は炉心シュラウド110、RPV100などの曲率半径に厳密に整合しなくてもよい。例えば、エフェクタ208が炉心シュラウド110、RPV100などと直接接触する必要がない場合には、曲率半径は一致しなくてもよい。これに加えて又はその代わりに、エフェクタ208がエフェクタブラケット322を使用してアーム202に動作自在に結合されてもよく、炉心シュラウド110、RPV100などに向かうようにエフェクタ208に影響を与えるために、エフェクタブラケット322はばねを装荷されるか又はそれと同等の手段が講じられてもよいという理由により、曲率半径は一致しなくてもよい。
【0045】
一実施形態においては、クロスバー302は主に構造支持体として機能してもよい。前述の自由度に加えて、エフェクタ208は付加的な自由度を有してもよい。例えば、エフェクタ208は、ジンバル又は他の任意の装置を使用してアーム202に動作自在に結合されてもよい。一実施形態においては、エフェクタ208は、アーム202上の任意の場所でアーム202に動作自在に結合されてもよい。
【0046】
先に述べた通り、アーム202はケーブル管理システムの少なくとも一部を含んでもよい。その部分は、例えば、ガイドブロック304、ガイド306及び/又は308、ローラブラケット310、312及び/又は314、並びにローラ316、318及び/又は320のうち1つ以上を含んでもよい。
【0047】
図5は、図3のアーム202の第2の軌道300を示した正面斜視図であり、図6は、図5の第2の軌道300を示した平面図であり、図7は、図6の第2の軌道300を示した背面図である。図8は、図7の第2の軌道300を示した第1の詳細図であり、図9は、図7の第2の軌道300を示した第2の詳細図であり、図10は、図7の第2の軌道300を示した第3の詳細図である。図5〜図9に示されるように、第2の軌道300は第1の部分500、第2の部分502、第3の部分504及び/又は第4の部分506を含んでもよい。第4の部分506は第1の軌道204に固定されてもよい。
【0048】
第1の部分500はバックボーン900、上部ギヤラック902、上部レール904及び/又は下部レール906を含んでもよい。第2の部分502はバックボーン908、下部ギヤラック910、1つ以上の内側ローラ912及び/又は1つ以上の外側ローラ914を含んでもよい。第3の部分504はバックボーン916、内側上部ギヤラック918、外側上部ギヤラック920、内側上部レール922、内側下部レール924、外側上部レール926及び/又は外側下部レール928を含んでもよい。第4の部分506はバックボーン930、下部ギヤラック932及び/又は1つ以上のローラ(図示せず)を含んでもよい。
【0049】
図9において、第1の部分500の上部レール904及び下部レール906は、V字形レールとして示される。他の形状も可能であるが、第2の部分502の1つ以上の内側ローラ912は、上部レール904及び下部レール906の一方又は双方に乗り上げる。同様に、第3の部分504の内側上部レール922及び内側下部レール924はV字形レールとして示される。他の形状も可能であるが、第2の部分502の1つ以上の外側ローラ914は、内側上部レール922及び内側下部レール924の一方又は双方に乗り上げる。同様に、第3の部分504の外側上部レール926及び外側下部レール928はV字形レールとして示される。他の形状も可能であるが、第4の部分506の1つ以上のローラ(図示せず)は、外側上部レール926及び外側下部レール928の一方又は双方に乗り上げる。第2の軌道300が外側上部ギヤラック920の駆動により伸長又は収縮された場合に第2の部分500が第3の部分504により駆動されるように、上部ギヤラック902及び内側上部ギヤラック918は、第1の遊び歯車(図示せず)により結合されてもよい。同様に、第2の軌道300が外側上部ギヤラック920の駆動により伸長又は収縮された場合に第2の部分502が第4の部分506により駆動されるように、下部ギヤラック910及び下部ギヤラック932は、第2の遊び歯車(図示せず)により結合されてもよい。このように、第2の軌道300が外側上部ギヤラック920の駆動により伸長又は収縮された場合、第1の部分500、第2の部分502及び第3の部分504は第4の部分506に対して全て同時に移動してもよい。第1の実施形態においては、この同時移動の範囲は部分間で比例する。第2の実施形態においては、同時移動の範囲は部分間で同一である。図8は、第1の部分500に装着されたレールアジャスタ800を示す。図10は、第3の部分504に装着されたレールアジャスタ1000を示す。そのようなレールアジャスタは、上下の1対のレール(すなわち、第1の部分500の上部レール904及び下部レール906)の間の張力を機械的に調整できる。
【0050】
別の実施形態においては、原子炉の検査、保守及び/又は修理のための装置200はアーム202、第1の軌道204、固定装置206及び/又はエフェクタ208を含んでもよい。アーム202は、第2の軌道300の湾曲とは逆の湾曲を有する第2の軌道を含んでもよい。この場合、装置200は、例えば、第1の軌道204、エフェクタ208及び/又は調整自在の足部214のうち1つ以上がRPV100とほぼ接触し且つ/又は固定装置206が炉心シュラウド110とほぼ接触する状態で、炉心シュラウド110の外側とRPV100の内側との間に位置決めされてもよい。装置200は、例えば、RPV100の内面を検査するために使用されてもよい。更なる実施形態においては、原子炉の検査、保守及び/又は修理のための装置200はアーム202、第1の軌道204、固定装置206及び/又はエフェクタ208を含んでもよい。アーム202は、ほぼまっすぐな第2の軌道を含んでもよい。この場合、装置200は、例えば、原子炉内部のほぼ平坦な任意の面を検査するために使用されてもよい。
【0051】
更に別の実施形態においては、原子炉の検査、保守及び/又は修理のための装置200はアーム202、第1の軌道204、固定装置206及び/又はエフェクタ208を含んでもよい。アーム202は1つ以上の第2の軌道を含んでもよい。1つ以上の第2の軌道のうち少なくとも1つは湾曲した軌道であってもよい。これに加えて又はその代わりに、1つ以上の第2の軌道のうち少なくとも1つは、ほぼまっすぐな軌道であってもよい。これに加えて又はその代わりに、1つ以上の第2の軌道のうち少なくとも1つは少なくとも3つの部分を含んでもよい。一実施形態においては、少なくとも3つの部分は、アーム202を収縮長さまで収縮させ且つ/又はアーム202を伸長長さまで伸長させるように構成されてもよい。
【0052】
図11は、図2の装置200の第1の軌道204を示した展開斜視図であり、図12は、図11の第1の軌道204を示した背面展開斜視図であり、図13は、図11の第1の軌道204の第1の部分を示した背面展開斜視図であり、図14は、図11の第1の軌道204の第2の部分を示した背面展開斜視図である。
【0053】
図11〜図14に示されるように、第1の軌道204は第1のモータ1200、第2のモータ1202及び/又は第3のモータ1204を含んでもよい。第1の軌道204は第1の軸1206、第2の軸1208及び/又は第3の軸1210を更に含んでもよい。更に、第1の軌道204は第1のレール1212及び/又は第2のレール1214を含んでもよい。
【0054】
第1の軌道204の他の構成要素はケース1216、モータボックス1218、モータボックスキャップ1220、上部支持板1222、上部支持側板1224、回転ブロック構体1226、ケーブルガード1228、ケーブルガイド1230及び1232、プーリ1234及び1236、二重プーリ構体1238及び/又はギヤ1240を含んでもよい。回転ブロック構体1226と関連するギヤ1240は、図3及び図11に最も明瞭に示される。
【0055】
更に、第1の軌道204は、例えば、1つ以上の玉軸受、ブラケット、ケーブルガイド、キャップ、駆動歯車、ガスケット、遊び歯車、止めナット、マイタ歯車、ピニオン、ねじ、シール、軸延長部分、スペーサ、座金及びウォーム歯車などの当業者には周知である別の構成要素(図11〜図14に示される)を含んでもよい。一実施形態においては、第1の軌道204は、第1のモータ1200、第2のモータ1202及び第3のモータ1204の各々に対して3つの歯車、すなわち、ピニオン歯車、遊び歯車及びウォーム歯車を含む(モータはピニオン歯車を回転させ、ピニオン歯車は遊び歯車を回転させ、遊び歯車はウォーム歯車を回転させる)。
【0056】
第1の実施形態においては、第1の軌道204は、第1の軌道204に対してアーム202を移動するように構成される1つ以上のモータ(すなわち、第1のモータ1200、第2のモータ1202及び/又は第3のモータ1204)を含んでもよい。第2の実施形態においては、第1の軌道204は、第1の軌道204に沿ってアーム202を移動するように構成される1つ以上のモータを含んでもよい。第3の実施形態においては、第1の軌道204は、動作自在の結合部210に対してアーム202を移動するように構成される1つ以上のモータを含んでもよい。第4の実施形態においては、第1の軌道204は、第1の軌道204に対してアーム202を回転するように構成される1つ以上のモータを含んでもよい。第5の実施形態においては、第1の軌道204は第1のモータ1200、第2のモータ1202及び第3のモータ1204を含んでもよく、第1のモータ1200は動作自在の結合部210に対してアーム202を移動するように構成され、第2のモータ1202は第1の軌道204に沿ってアーム202を移動するように構成され、第3のモータ1204は第1の軌道204に対してアーム202を回転するように構成される。
【0057】
前述のように、第1の軌道204はケーブル管理システムの少なくとも一部分を含んでもよい。その部分は、例えば、ケーブルガード1228、ケーブルガイド1230及び1232、プーリ1234及び1236及び/又は二重プーリ構体1238のうち1つ以上を含んでもよく、並びに先に挙げた当業者には周知である別の構成要素のうちいくつかを含んでもよい。
【0058】
一実施形態においては、ケーブル管理システムのアンビリカルケーブルはケーブルガイド1230とプーリ1234との間を通り、次にケーブルガイド1232とプーリ1236との間を通り、第1の軌道204を通って二重プーリ構体1238に至り、その後、ガイドブロック304の下方並びにガイド306及び308のうち一方又は双方の周囲を通り、エフェクタ208に達するが、その際、任意にローラ316、318及び320のうち1つ以上に接触する。第1の実施形態においては、ケーブルガイド1230とプーリ1234との間を通るアンビリカルケーブルに対して張力が維持される。第2の実施形態においては、張力はほぼ一定に維持される。第3の実施形態においては、開閉滑車構造を使用して、張力はほぼ一定に維持される。
【0059】
第1のモータ1200及び第1の軸1206は、アーム202を動作自在の結合部210に対して移動させるように駆動してもよい。この移動はアーム202を伸張する(すなわち、第1の部分500、第2の部分502、第3の部分504及び第4の部分506を積み重ね状態から引き伸ばす)ためのものであってもよく、あるいは移動はアーム202を収縮して(すなわち、第1の部分500、第2の部分502、第3の部分504及び第4の部分504を積み重ねて)もよい。一実施形態においては、アーム202は動作自在の結合部210の一方の側又は他方の側のいずれかへ伸長してもよく、それにより、装置200の使用に更に融通性が加えられる。
【0060】
先に述べた通り、第2の軌道300は3つ以上の部分を含んでもよい。例えば、第2の軌道300は3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又は9つ以上の部分を含んでもよい。部分の数は奇数であってもよく、又は偶数であってもよい。使用できる部分の数は、本質的に、第2の軌道300、第1のレール1212及び第2のレール1214を構成するために使用される材料の強度の関数である(伸長された第2の軌道300の荷重が第1の軸1206、第2の軸1208及び/又は第3の軸1210の性能に影響を及ぼし、その結果、第1のモータ1200、第2のモータ1202及び/又は第3のモータ1204の性能に影響を及ぼすのを有効に防止するために、第1のレール1212及び第2のレール1214は、伸長された第2の軌道300の全荷重をほぼ支持する)。
【0061】
第2のモータ1202及び第2の軸1208は、アーム202を第1の軌道204に沿って移動するように駆動してもよい。この「垂直」移動は第1のレール1212及び/又は第2のレール1214により案内されてもよい。
【0062】
第3のモータ1204及び第3の軸1210は、アーム202を第1の軌道204に対して回転するように駆動してもよい。駆動列は、例えば、ギヤ1240を含んでもよい。回転は時計回り方向であってもよく、又は反時計回り方向であってもよい。従って、アーム202は第1の軌道204に対して任意の角度位置まで回転駆動されてもよい。前述のように、装置200を原子炉に挿入する場合(及び装置200を原子炉から取出す場合)、アーム202は第1の軌道204とほぼ平行に回転されてもよい。アーム202は第1のモータ1200/第1の軸1206、第2のモータ1202/第2の軸1208、又は第3のモータ1204/第3の軸1210により個別に駆動されてもよい。これに加えて又はその代わりに、アーム202は第1のモータ1200/第1の軸1206、第2のモータ1202/第2の軸1208及び/又は第3のモータ1204/第3の軸1210の任意の組合せにより同時に駆動されてもよい。
【0063】
図15は、図2の装置200の固定装置206を示した斜視図であり、図16は、図15の固定装置206を示した背面斜視図である。図15及び図16に示されるように、固定装置206はベース1500、複数の脚部1502及び/又は1つ以上の空気圧ピストン又は油圧ピストン1504を含んでもよい。図15及び図16の固定装置206は、単一の駆動ポイントから伸長するのが好都合である。当業者には周知であるように、1つ以上の空気圧ピストン又は油圧ピストン1504は、多様な構成でベース1500及び/又は複数の脚部1502に対して位置決めされ、向きを規定され且つ/又は結合されてもよい。
【0064】
第1の実施形態においては、固定装置206はシザージャッキであってもよい。第2の実施形態においては、固定装置206は1つ以上のシザージャッキを含んでもよい。第3の実施形態においては、固定装置206は1つ以上の油圧シリンダ及び/又は1つ以上の空気圧シリンダを含んでもよい。第4の実施形態においては、固定装置206は1つ以上の油圧ピストン及び/又は1つ以上の空気圧ピストンを含んでもよい。通常、原子炉の液圧系統は水圧式であり、油圧系統及び空気圧系統は厳格な清浄度基準及び純度基準に適合しなければならない。
【0065】
別の第1の実施形態においては、原子炉を検査する方法は、検査装置を形成するために、固定装置、第1の軌道、アーム及びエフェクタを動作自在に結合することと、検査装置を原子炉に挿入することと、検査装置を原子炉の内部に固定することと、検査装置を動作させることとを含んでもよい。
【0066】
別の第2の実施形態においては、原子炉を動作させる方法は、原子炉の動作を停止することと、先に説明したように原子炉を検査することと、原子炉を始動することとを含んでもよい。
【0067】
別の第3の実施形態においては、原子炉に対して保守を実行する方法は、保守装置を形成するために、固定装置、第1の軌道、アーム及び1つ以上のツールを動作自在に結合することと、保守装置を原子炉に挿入することと、保守装置を原子炉の内部に固定することと、保守装置を動作させることとを含んでもよい。
【0068】
別の第4の実施形態においては、原子炉を動作させる方法は、原子炉の動作を停止することと、先に説明したように原子炉に対して保守を実行することと、原子炉を始動することとを含んでもよい。
【0069】
別の第5の実施形態においては、原子炉を修理する方法は、修理装置を形成するために、固定装置、第1の軌道、アーム及び1つ以上のセンサ、1つ以上のツール、又は1つ以上のセンサ及び1つ以上のツールを動作自在に結合することと、修理装置を原子炉に挿入することと、修理装置を原子炉の内部に固定することと、修理装置を動作させることとを含んでもよい。
【0070】
別の第6の実施形態においては、原子炉を動作させる方法は、原子炉の動作を停止することと、先に説明したように原子炉を修理することと、原子炉を始動することとを含んでもよい。
【0071】
上記の6つの実施形態の各々において、アームは収縮長さ及び伸長長さを有してもよく、伸長長さは収縮長さの2倍を超えてもよい。
【0072】
実施例を特定して示し且つ説明したが、特許請求の範囲により定義される本発明の趣旨の範囲から逸脱せずに、それらの実施形態に対し形態及び詳細に関して種々の変更を実施してもよいことは当業者により理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】従来のBWRにおける典型的なRPVを示した部分切取り断面図である。
【図2】一実施形態に係る原子炉の検査、保守及び修理装置を示した斜視図である。
【図3】図2の装置のアームを示した展開斜視図である。
【図4】図3のアームを示した背面展開斜視図である。
【図5】図3のアームの第2の軌道を示した正面斜視図である。
【図6】図5の第2の軌道を示した平面図である。
【図7】図6の第2の軌道を示した背面図である。
【図8】図7の第2の軌道を示した第1の詳細図である。
【図9】図7の第2の軌道を示した第2の詳細図である。
【図10】図7の第2の軌道を示した第3の詳細図である。
【図11】図2の装置の第1の軌道を示した展開斜視図である。
【図12】図11の第1の軌道を示した背面展開斜視図である。
【図13】図11の第1の軌道の第1の部分を示した背面展開斜視図である。
【図14】図11の第1の軌道の第2の部分を示した背面展開斜視図である。
【図15】図2の装置の固定装置を示した斜視図である。
【図16】図15の固定装置を示した背面斜視図である。
【符号の説明】
【0074】
100…原子炉圧力容器、110…炉心シュラウド、200…装置、202…アーム、204…第1の軌道、206…固定装置、208…エフェクタ、210…動作自在の結合部、300…第2の軌道、500…第1の部分、502…第2の部分、504…第3の部分、1200…第1のモータ、1202…第2のモータ、1204…第3のモータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉の検査、保守又は修理を実行する方法において、
装置(200)を形成するために、固定装置(206)、第1の軌道(204)、アーム(202)及びエフェクタ(208)を動作自在に結合して検査装置(200)を構成する工程と;
前記装置(200)を前記原子炉に挿入する工程と;
前記装置(200)を前記原子炉の内部に固定する工程と;
前記装置(200)を動作させる工程とを有し、
前記アーム(202)は収縮長さを有し、
前記アーム(202)は伸長長さを有し、
前記伸長長さは前記収縮長さの2倍を超えることを特徴とする方法。
【請求項2】
原子炉を検査する検査装置(200)において、
第1の軌道(204)と;
アーム(202)と;
固定装置(206)と;
エフェクタ(208)とを具備し、
前記アーム(202)は前記第1の軌道(204)に動作自在に結合され、
前記固定装置(206)は前記第1の軌道(204)に動作自在に結合され、
前記エフェクタ(208)は前記アーム(202)に動作自在に結合され、
前記アーム(202)は収縮長さを有し、
前記アーム(202)は伸長長さを有し、
前記伸長長さは前記収縮長さの2倍を超えることを特徴とする検査装置(200)。
【請求項3】
前記第1の軌道(204)は、前記第1の軌道(204)に対して前記アーム(202)を移動するように構成される1つ以上のモータ(1200、1202、1204)を具備することを特徴とする請求項2記載の装置(200)。
【請求項4】
前記第1の軌道(204)は、前記第1の軌道(204)に沿って前記アーム(200)を移動するように構成される1つ以上のモータ(1200、1202、1204)を具備することを特徴とする請求項2記載の装置(200)。
【請求項5】
前記第1の軌道(204)は、前記アーム(202)と前記第1の軌道(204)との動作自在の結合部に対して前記アーム(202)を移動するように構成される1つ以上のモータ(1200、1202、1204)を具備することを特徴とする請求項2記載の装置(200)。
【請求項6】
前記第1の軌道(204)は、前記第1の軌道(204)に対して前記アーム(202)を回転するように構成される1つ以上のモータ(1200、1202、1204)を具備することを特徴とする請求項2記載の装置(200)。
【請求項7】
ケーブル管理システムを更に具備することを特徴とする請求項2記載の装置(200)。
【請求項8】
前記アーム(202)は1つ以上の第2の軌道(300)を具備することを特徴とする請求項2記載の装置(200)。
【請求項9】
前記1つ以上の第2の軌道(300)のうち少なくとも1つは少なくとも3つの部分を含むことを特徴とする請求項8記載の装置(200)。
【請求項10】
前記エフェクタ(208)は1つ以上のセンサを具備することを特徴とする請求項2記載の装置(200)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−2946(P2009−2946A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−153672(P2008−153672)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(508177046)ジーイー−ヒタチ・ニュークリア・エナージー・アメリカズ・エルエルシー (101)
【氏名又は名称原語表記】GE−HITACHI NUCLEAR ENERGY AMERICAS, LLC
【Fターム(参考)】