説明

原料特性の監視付き液体食品調製装置または飲料調製装置

容器(1)は、食品または飲料原料などの分配可能な物質を蓄えるためのキャビティと、分配可能な物質の1つ以上の特性を測定して、そのような特性をキャビティの外部に送信するための装置(10)とを備える。装置(10)は、測定された特性を表わす信号、特に音声および/または電磁波信号をキャビティの外部に無線通信するようになっている送信器(15、16)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、その特性が制御され/監視されるべき物質、特に食品または飲料原料を収容するようになっており、例えば液体食品調製装置または飲料調製装置において使用できる容器に関する。
【背景技術】
【0002】
液体食品調製装置および飲料調製装置は、家庭であろうとオフィスであろうと非常に一般的となってきている。色々な飲料特定品、特にコーヒーおよび/またはミルクベース飲料を調製して供給できる装置に対する需要がある。
【0003】
簡単な飲料分配器が国際公開第2006/044782号パンフレットに開示される。この分配器は、飲料を収容するためのタンクを有する。タンクは、飲料中に浸る容量液位センサを有する。容量センサは、電気配線を介してタンクの内側から外側に出て、分配器の外側に配置されるディスプレイユニットに接続される。
【0004】
例えば、装置は、コーヒーカプセルまたはポッドを抽出するため、および、泡立ちミルクを供給するために、したがって、エスプレッソコーヒー、カプチーノ、および、マッキアートのいずれも調製できる可能性を与えるために存在する。
【0005】
一般的に言えば、ミルク含有液体食品または飲料を家庭用装置またはオフィス用装置を用いて調製できる2つの可能性が存在する。粉末ミルクまたはフレッシュミルクのいずれかが使用されてもよい。
【0006】
そのような装置においてフレッシュミルクを調整するため、特にミルクを泡立てるために、様々なシステムが知られている。そのような従来技術のシステムは、例えば、独国特許第1131372号明細書、独国特許第1554670号明細書、独国特許第19611450号明細書、独国特許第19624648号明細書、独国特許第19719784号明細書、独国特許第4037366号明細書、独国特許第8915094号明細書、独国特許第202007009537号明細書、独国特許第102004063285号明細書、欧州特許第0 344 859号明細書、欧州特許第0 480 928号明細書、欧州特許第607 759号明細書、欧州特許第0 813 834号明細書、欧州特許第0 085 757号明細書、欧州特許第1 197 175号明細書、欧州特許第1 223 839号明細書、欧州特許第1 597 992号明細書、欧州特許第1 716 796号明細書、欧州特許第1 731 065号明細書、欧州特許第1 827 188号明細書、仏国特許第769 848号明細書、仏国特許第2 708 185号明細書、米国特許第2,932,493号明細書、米国特許第3,182,975号明細書、米国特許第3,356,349号明細書、米国特許第4,162,855号明細書、米国特許第4,537,332号明細書、米国特許第4,479,908号明細書、米国特許第5,133,247号明細書、5,265,519号明細書、米国特許第5,295,431号明細書、米国特許第5,473,972号明細書、米国特許第6,318,247号明細書、米国特許第6,712,497号明細書、米国特許第7,322,282号明細書、米国特許出願公開第2002/0134248号明細書、国際公開第90/10411号パンフレット、国際公開第96/22830号パンフレット、国際公開第03/003888号パンフレット、国際公開第2004/043213号パンフレット、国際公開第2006/050900号パンフレット、国際公開第2006/122916号パンフレット、国際公開第2008/046837号パンフレット、および、PCT/EP08/056349に開示されている。
【0007】
特に、欧州特許第0 344 859号明細書および欧州特許第0 813 834号明細書は、ミルクの開放器あるいは容器を有し、上記容器内で蒸気−空気パイプ装置が発泡のためにミルクを汲み上げ吸引する発泡システムを開示する。欧州特許第0 480 928号明細書は、装置のミルク発泡装置へミルクを供給するためにミルクカートンを収容するビンを有するカプチーノ機を開示する。
【0008】
通常は周囲温度に保たれるそのようなシステムでのミルクの劣化を回避するため、魔法瓶を使用して、ミルクを長期間にわたって許容温度に維持することができる。そのような魔法瓶に4℃のミルクを充填することにより、ミルクを約8時間にわたって維持できる場合がある。しかしながら、実際には、魔法瓶内に収容されるミルクを未だ飲むことができるか否かをユーザが所定の期間に知ることは難しい。
【0009】
他の解決策が米国特許第5,473,972号明細書に開示されている。この特許は、上記ミルク容器と協働する発泡装置を有するカプチーノ機を開示しており、ミルク容器は、ミルクが腐るのを防止するためにミルク容器を一のカプチーノ調製と次のカプチーノ調製との間で冷蔵庫内に配置できるように装置から取り外しできる。しかしながら、この解決策は、ユーザが使用するミルクが所定期間に冷蔵庫の外に長い時間にわたって放置されたために上記ミルクが既に腐っている可能性があることをユーザに保証するものではない。
【0010】
仏国特許第2 708 185号明細書は、ミルク容器のための冷蔵システムをカプチーノ機に含めることによりミルクが腐るのを防止できることを教示する。この解決策は、専らコーヒー装置に専用の冷蔵システムの使用を伴い、したがって、比較的高価であり、比較的高い恒久的エネルギ消費量も必要とする。
【0011】
英国特許第2 417 116号明細書は、バイオメトリックユーザ認証システムを備えるロック機構を有する薬剤分配システムを開示する。上記システムは、データをRFIDによって記憶して送信する制御装置を有する。上記分配システムによって収容される薬剤はRFIDタグによって認証され、それにより、許可されて認証された人だけがシステムによってそのタグを介して特定された薬剤にアクセスできる。
【0012】
独国特許第20 2005 015 851号明細書は、食品トレイを運ぶための断熱輸送体を有する文書化システムを開示する。輸送体およびトレイは、誘導可能な多層材料から形成されており、RFIDトランスポンダを伴う温度センサを含む。要求時、RFIDトランスポンダは、トランスポンダが組み込まれ登録される輸送体のID、または、トランスポンダ内の現在の温度指標を与える。
【0013】
米国特許出願公開第2006/0191919号明細書は、加熱食品を収容するとともに温度センサと、検出温度を表示するためのディスプレイとを備えるカップ、ボウル、ボトル、やかん、または、たらいを開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の好ましい目的は、ミルクなどの劣化し得る物質を収容するためのシステムであって、そのような物質の使用を劣化時に防止するようになっているシステムを提供することである。
【0015】
本発明の他の好ましい目的は、ミルクなどの劣化し得る液体食品を収容するための既存のシステムに後付けできるシステムであって、劣化したそのような液体食品の消費のための使用を防止するようになっているシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
より一般的には、本発明は、食品または飲料原料などの分配可能な物質、特にミルクなどの液体、または、他の温度劣化し得る物質を収容するためのキャビティと、分配可能な物質の1つ以上の特性を測定して、そのような特性をキャビティの外部に送信するための装置と、を備える容器に関する。
【0017】
本発明によれば、前記装置は、測定された前記特性を表わす信号、特に音声および/または電磁波信号をキャビティの外部に無線通信するようになっている送信器を備える。例えば、超音波信号が無線通信のために使用されてもよい。電磁波信号は、低周波、高周波、または、超高周波、一般的には30kHz〜3GHz、特に100〜1000kHz、例えば120〜150kHzの範囲の周波数を有してもよい。例えば、約125または135kHzの周波数を選択してもよい。
【0018】
一般に、キャビティは、キャビティ内の物質を環境から分離するために実質的に閉塞されあるいは閉塞可能である。例えば、通常は、閉塞されたキャビティは、例えばダクトを組み込むあるいはダクトに接続される出口、特に要求時に物質を供給するための閉塞可能な出口を有する。閉塞されたキャビティは、閉塞可能な蓋、または、キャビティに物質を充填するあるいは補充するための入口を有してもよい。この場合、装置は、この閉塞されたあるいは閉塞可能なキャビティ内に完全に封入させることができる。
【0019】
無線信号通信にしたがって、前記装置は、通常は、無線電源システムと共に配置される。
【0020】
容器のキャビティの内部から外部への無線通信のための前記装置を設けることにより、容器のキャビティに介入するあるいは上記キャビティを開放する必要なく、または、例えば通信ケーブルまたは電源ケーブルを介して外部からキャビティ内に延びる装置を使用する必要なく、キャビティ内の物質を監視することができる。そのため、物質の特性の測定に起因して、容器のキャビティの外部のファクタによる物質の汚染、変質、または、障害が起こらずあるいは実質的に起こらない。また、そのような測定・送信装置は、容器の既存の構造を変更することなくあるいは大きく変更することなく既存の容器に後付けすることができる。
【0021】
例えば、送信器は、無線信号を通信するためのアンテナを含む。上記送信器は、可視域の光信号であってもよい光信号または赤外光あるいは紫外光信号を通信するための光電素子を含んでもよい。
【0022】
一実施形態において、この装置は、装置内に収容されるバッテリなどの自律電源によって給電されるようになっている。一般に、バッテリは、送信器および測定装置に給電するのに適している。例えば、無線超音波通信で動作する装置は、そのような自律給電と組み合わされてもよい。
【0023】
他の実施形態において、装置は、キャビティの外部からの入力電磁信号、特に無線信号によって誘導される電流によって給電されるようになっている。また、光学的な入力信号によって電流を誘導することも考えられる。同様に、この入力電流は、送信器および測定装置に給電するために使用されてもよい。一般に、入力電流は、送信器で誘導された後、装置内の測定装置へ通信される。
【0024】
例えば、送信・測定装置は、RFIDのような電源と信号通信技術とを組み込む。装置のアンテナを介した入力無線信号により(または、光電コンバータを介した入力光信号により)誘導される電流は、装置の測定装置を給電し且つ測定された特性を表わす信号をアンテナ(または、発光体)を介して容器の外部に戻すために必要な電力を供給する。一般に、装置は、入力・出力信号を処理するようになっているCMOS回路などの集積回路を含む。変形において、装置は、無線音声または超音波通信装置と組み合わされる例えばRFID型の電磁的に誘導される電源装置を含んでもよい。
【0025】
別言するならば、装置は、遠隔無線電源のための構成を含んでもよい。
【0026】
そのような誘導電源装置は幾つかの利点を伴う。特に、装置は、バッテリ(または、外部給電ケーブル)を何ら動作させる必要がなく、また、ユーザによるバッテリ交換がどんなときも必要とされない。装置は、例えば洗浄を簡単にするために容易に封入されてもよくあるいは完全に防水されてもよい。これは、ユーザによる装置内へのアクセスがどんなときも必要とされず、したがって、そのようなアクセスが全く与えられてはならないからである。また、装置に給電するために機械的な接触が必要とされず、そのため、摩耗率が減少される。
【0027】
装置が初期セットアップのみを必要とし、この後、この後付けされた装置を取り扱うために特に行なわれるユーザによる更なる作業を殆ど必要としないため、これは、分配可能な物質を収容するための既存の容器に装置を後付けする場合に特に有益である。そのため、ユーザは、一般に、自分が以前にしていたようにシステムを使用し続け、一方、システム自体は、特に分配可能な物質の品質制御に関連する更なる利点を与える。
【0028】
無線通信装置のために利用され得る能動的および受動的なRFID技術は、良く知られており、特に売り物を追跡して監視するために、物品、物体、動物、更には人間を追跡する技術において広まっている。これについては、例えば米国特許第4,384,288号明細書、5,874,896号明細書、および、6,172,609号明細書を参照されたい。
【0029】
一般的に、送信器は測定・送信装置からおよび/または上記装置に無線情報を通信するための、および/または無線電力エネルギをこの装置に供給するための、アンテナを備える。
【0030】
一実施形態において、測定・送信装置は、上記1つ以上の特性を測定するための液位センサおよび/または温度センサ、特に、閉じられたキャビティの底部に配置される温度センサおよび/または液位センサを備える。
【0031】
キャビティは、キャビティからの物質の出口のための通路、特に閉塞可能な通路を有することができる。また、キャビティは、物質の入口のための開口、特に、取り外し可能な蓋で覆われる開口を有してもよい。測定・送信装置をこの取り外し可能な蓋に固定することができる。例えば、容器は、物質、一般的には液体食品または飲料物質などの液体のための管状出口を有する。
【0032】
キャビティは、物質を周囲温度よりも高いあるいは低い温度に維持するために断熱されてもよい。キャビティは、特に、魔法瓶のような容器などの真空フラスコ内に形成される。
【0033】
本発明の他の態様は、分配器、例えば液体食品の飲料分配器、特に茶および/またはコーヒー装置に関連する。
【0034】
例えば、分配器は、コーヒー、茶、または、スープ装置であり、特に、供給されるべき飲料または液体食品の原料、例えば挽いたコーヒーを収容するカプセルに熱水または冷水または他の液体を通過させることにより飲料または液体食品を供給するための装置である。用語“カプセル”は、密閉されたアルミニウムまたはプラスチックカプセルおよび/またはフィルタポッドなどの抽出/浸出チャンバ内に挿入されるようになっているポーション食品原料を収容する任意のタイプの適切なパッケージを意味する。
【0035】
容器のキャビティ内に収容される物質は、分配器を用いて液体食品または飲料を調製するプロセスで使用される液体ミルクなどの温度劣化し得る食品物質であってもよい。測定・送信装置は、劣化し得る食品物質の温度および液位を測定して、そのような劣化し得る食品物質を含む液体食品または飲料の分配を、キャビティ内でのその液位が更なる液体食品または飲料調製を可能にしない最小液位に達したときあるいはその温度が劣化をもたらすレベル、例えばミルクに関しては10または15℃を超える温度に達したときに停止するようになっているのが都合良い。
【0036】
分配器は、分配可能な物質、特にミルクなどの液体、または、他の温度劣化し得る物質の供給のための前述した容器と、容器のキャビティの外部に配置され、上記1つ以上の特性を表わす無線信号、特に音声および/または電磁波信号を容器のキャビティの内側に位置される送信器から受けるようになっているトランスデューサとを備える。
【0037】
分配器のトランスデューサは、上記容器の送信器から無線信号を受けるためのアンテナを含んでもよい。前述したように、送信器とトランスデューサとの間に光信号通信を配置することもできる。
【0038】
有利な実施形態において、装置は、キャビティの外部からの入力電磁信号、特に無線信号によって誘導される電流により給電されるようになっており、入力電磁信号が特に分配器のトランスデューサによって発せられる。
【0039】
分配器は、物質の特性を監視して、監視された特性が閾値に達するときに容器からの分配可能な物質の分配を許容しあるいは防止するようになっていてもよく、例えばコントローラまたはプロセッサを有してもよい。一般に、分配器は、物質がキャビティ内で最小液位に達するときおよび/または物質が最大または最小温度を超える温度を有するときに容器からの分配可能な物質の分配を防止するようになっている。分配器は、そのような特性を永久にあるいは定期的に監視するようになっていてもよく、あるいは、特に分配可能な物質を分配するための要求に基づいてそのような特性を断続的に監視するようになっていてもよい。
【0040】
一実施形態では、分配器がハウジングを有し、分配器のトランスデューサがハウジング内に組み込まれる。一般に、そのような分配器は一体のトランスデューサを伴って製造される。
【0041】
他の実施形態では、分配器がハウジングを有し、分配器のトランスデューサがハウジングの外部に配置される。一般に、分配器のトランスデューサは、分配器の製造後、その後の段階で分配器内にあるいは分配器上に後付けされる。
【0042】
本発明の更なる他の態様は、物質の1つ以上の特性を測定して、そのような特性を通信するための装置、特に、前述した容器または前述した分配器のための装置に関する。本発明によれば、装置は、これらの特性を表わす信号、特に音声および/または電磁波信号を装置の外部に無線通信するようになっている送信器を備える。
【0043】
ここで、概略図面を参照して本発明について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る容器の斜視図を示している。
【図2】図1に示される容器の蓋の斜視図を示しており、蓋には測定・送信装置が固定される。
【図2a】図2に示される測定・送信装置を伴う容器の蓋の分解図を示している。
【図3】図2および図2aに示される測定・送信装置の斜視図を示している。
【図4】本発明に係る分配器内に収容される容器を示している。
【図4a】本発明に係る分配器内に収容される容器を示している。
【図5】本発明に係る分配器内に収容される容器を示している。
【図5a】本発明に係る分配器内に収容される容器を示している。
【図6】本発明に係る他の分配器内に収容される容器を示している。
【図7】本発明に係る他の分配器内に収容される容器を示している。
【図7a】本発明に係る他の分配器内に収容される容器を示している。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1は、閉じられた内部キャビティを画定する蓋2を有する本発明に係る容器1を示している。容器1は、ミルクなどの温度劣化し得る液体を収容するための魔法瓶のような容器などの真空フラスコを含む。
【0046】
例えば、容器のキャビティは、熱いあるいは冷たい発泡または非発泡ミルクそれ自体あるいはミルク含有飲料中の熱いあるいは冷たい発泡または非発泡ミルクを分配するためのオプションを含む製茶用装置またはコーヒーメーカーなどの飲料調製装置で用いる冷蔵庫からの約4℃の新鮮なミルクで満たされてもよい。食中毒を避けるためあるいは単に劣化したミルクの分配を避けるため、そのようなミルクは、その温度が10〜15℃を超えた時点で使用されるべきではない。真空フラスコでは、そのようなミルクが一般に約8時間にわたって許容できる温度に維持され得る。劣化ミルクの分配を避けるため、容器は、容器の閉じられたキャビティ内のミルクの温度を監視するための装置を含む。
【0047】
また、容器の蓋2は、容器のキャビティから液体の出口のために使用される吸引チューブまたはストロー(図示せず)のための蓋2の外側上端面の略溝2aへと延びる略管状垂直出口通路3を有する。そのような吸引チューブは、キャビティの底部へと延びることが好ましい。吸引チューブまたはストローは、容器1からの液体の循環を促進するためのベンチュリまたはポンプ装置と協働してもよい。
【0048】
図2および図2aに示されるように、容器の内部キャビティの上部を画定する蓋2の内面は、分配可能な物質の1つ以上の特性を測定して該特性を容器1の外部に送信するための装置10を保持する。測定される特性は、一般に、物質、例えばミルクの温度、および、容器のキャビティ内での物質の液位である。
【0049】
図2aに示されるように、装置10はベース11を有しており、上記ベースは、蓋2の内側に適合するとともに、蓋2の対応するネジ付きチューブ3に組み付けられる管状ネジ部材12により蓋2に固定される。あるいは、ベース11は、蓋2に対してクリップ留めされあるいは圧力嵌めされてもよい。装置10は、洗浄のために蓋2から取り外すことができるのが好ましい。
【0050】
このように、装置10は、蓋2によって覆われるときに容器のキャビティ内に完全に封入される。すなわち、容器1の外部に延出される装置10の部品、コネクタはない。それどころか、装置10は、容器1の内側に完全に隠され、容器1の外面との接続のために容器の壁または蓋2を貫通する通路を何ら必要としない。
【0051】
図3はこの測定・送信装置10を更に詳しく示している。本発明によれば、装置10は、ループを形成して集積電子回路16に接続されるアンテナ15を有する送信器を含む。
【0052】
温度センサ17、例えば熱電対ベースまたは熱抵抗ベースまたはサーミスタベースのセンサ、あるいは、温度の測定を可能にする任意の他のシステム、および、液位センサ18も回路16に接続される。温度および液位センサ17、18は、容器1内に収容される液体の特性として容器のキャビティ内の温度および液位を測定するための標準的なセンサであってもよい。例えば、液位センサ18は、容量型のセンサであり、容器のキャビティ内の液体の液位が液位センサ18よりも下側を通過する時を検出する。
【0053】
送信器15、16は、これらの特性、すなわち、容器1内の液体の温度および液位を表わす無線信号の無線送信のために、容器の閉じられたキャビティの外部に配置される。
【0054】
また、装置10は、容器のキャビティの外部からの入力無線信号によってアンテナ15に誘導された後に回路16に導かれる電流によって給電されるようになっている。この誘導電流は、送信器15、16を給電するだけでなくセンサ17、18も給電し、それにより、送信器15、16がセンサ17、18により測定される温度および液位を表わす無線信号をアンテナ15を介して発することができるようにする役目を果たす。
【0055】
このため、装置10は、製造中に容器1内に取り付けることができ、または、その後の段階で容器の構造を変更する必要なく容器1に加えられあるいは後付けされることが可能となる。すなわち、容器1に、または、装置10が容器1に後付けされる場合には容器1の機械部品に、穴を貫通して穿孔する必要がない。
【0056】
また、図3に破線で示される回路16およびセンサ17、18は、センサ17、18を底部または容器のキャビティに近い高さに位置させるような態様で、ベース11から容器1のキャビティの下方へ延びるチューブ13内に封入される。
【0057】
同じ参照符号が同じ要素を示す図4〜図7aは、本発明に係る分配器のハウジング20内に取り付けられる際の先の図に示される装置10を有する容器1を示している。
【0058】
図4〜図5aに部分的に示される分配器は、内蔵型無線周波数トランスデューサ30を組み込む。図4aは、図4に部分的に示される分配器のAA線に沿う断面図を示している。図5aは、図5に部分的に示される分配器に印される円Xにより画定される細部の拡大図を示している。
【0059】
分配器は、容器1を分配器内に収容するためのキャビティ21を伴うハウジング20を有する。また、ハウジング20は、スイッチやボタン等、例えばマスターまたはメインスイッチおよび分配スイッチなどのユーザインタフェース(図示せず)の通過のための開口22,23と、前述した吸引チューブまたはストローと協働して例えば冒頭で挙げられた従来技術に開示されるベンチャー装置による容器のキャビティからの液体の循環を促進するための蒸気ダクト(図示せず)の通過のための開口24とを有する。
【0060】
トランスデューサ30は、ハウジング20の内側に配置されるとともに、容器のキャビティ5の外部に配置されるアンテナ31を有する。アンテナ31は、測定・送信装置10のアンテナ15よりも垂直上側のハウジングキャビティ21の上端に配置される。
【0061】
アンテナ31は、無線信号を復調して対応する電気信号をコネクタ33を介して分配器のコントローラまたはプロセッサ(図示せず)へ送信するための電子回路32に接続される。ハウジング20内のアンテナ31および回路32は、無線信号を蓋2およびハウジング20を通じて装置10のアンテナ15および回路16とやりとりするようになっている。
【0062】
また、アンテナ31および回路32は、容器のキャビティ5内の液体6の所望の特性を測定し、これらの特性をセンサ17、18によって対応する電気信号へと変換し、これらの信号を回路16によって変調し、それを表わす無線信号をアンテナ15を介してアンテナ31へ発するべく回路16およびセンサ17、18を給電するのに十分な電流をアンテナ15に誘導するための信号を発するようになっている。アンテナ31により受信される信号は、その後、回路32によって復調されて、コネクタ33を介して分配器のコントローラまたはプロセッサへ通信される。
【0063】
液体6の測定された特性が臨界値に達したこと、例えば液体6の温度が高すぎることあるいは液体6の液位が低すぎてセンサ18の下側を通過してしまっていることを示す信号をコントローラまたはプロセッサが回路32から受けると、分配器は、容器1のキャビティ5に適切な特性を有する液体6が補充されるまで、液体6を含む任意の液体食品または飲料の分配を停止するようになっている。
【0064】
図6〜図7aに示される分配器は、無線周波数トランスデューサ30が分配器のハウジング20に後付けされる、分配器の変形を示している。特に、図6は、分配器のハウジング20に後付けされるトランスデューサ30の位置を示している。図7aは、図7の断面に部分的に示される分配器に表示される円Yにより画定される細部の拡大図を示している。
【0065】
分配器の製造時にハウジング20内に取り付けられた図4a〜図5aに示されるトランスデューサ30とは異なり、図6〜図7aに示されるトランスデューサ30は、分配器の組み付け後に分配器のハウジング20の外部に後付けされる。
【0066】
特に、トランスデューサ30はアンテナループ31を有しており、上記アンテナループは、容器1がキャビティ21内の所定位置にあるときに容器1と直接に対向するように例えば接着によりハウジング20のキャビティ21内に固定される。アンテナ31は、アンテナ15、31間での無線信号の送信を最適化するために装置10のアンテナループ15と略平行に上記アンテナループ15よりも垂直上側に配置されるよう位置決めされるのが好ましい。
【0067】
先と同様に、アンテナ31は電子回路32に接続され、また、電子回路32はコネクタ33を介してコントローラまたはプロセッサ(図示せず)に接続される。しかしながら、トランスデューサ30は後付けされるため、コネクタ33は、分配器の外部インタフェース(図示せず)を介して分配器のコントローラまたはプロセッサに接続されてもよい。インタフェースは、任意の標準的なものであってもよく、例えばUSB、RS232、または、IEEEインタフェースであってもよく、また、販売業者のパラメータ化用にあるいはサービス用に設定されてもよい。この場合、分配器のプログラムは、装置10の存在によって与えられる新たな機能性を組み込むように更新されてもよい。更新プロセスは、トランスデューサ30によってあるいは分配器の同じまたは異なるインタフェースを介して別個に開始されてもよい。
【0068】
電子回路32は、任意の適切な場所、特にハウジング20の外部の場所に接着されあるいはテープで貼り付けられあるいは例えばマグネットを用いて固定されボックス内に収容される。
【0069】
これらの図に示される装置の変形では、当業者に明らかなように、測定・送信装置は、分配器内または分配器上に配置される対応するトランスデューサから誘導される電流が給電される代わりに、装置のベース内に収容され得るバッテリによって給電されてもよい。同様に、光信号または音声信号によって無線通信が行なわれてもよい。更に、装置は、前述したように外部光源によって給電されてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品または飲料原料その他の分配可能な物質、特にミルクなどの液体、または、他の温度劣化し得る物質を収容するためのキャビティと、
前記分配可能な物質の1つ以上の特性を測定して、前記1つ以上の特性を前記キャビティの外部に送信するための装置(10)と
を備える容器(1)において、
前記装置が、前記1つ以上の特性を表わす信号、特に音声および/または電磁波信号を前記キャビティの外部に無線通信するよう構成された送信器(15、16)を備えることを特徴とする、容器。
【請求項2】
前記キャビティが閉塞されておりまたは閉塞可能であり、前記装置が前記キャビティ内に完全に封入される、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記送信器が無線信号を通信するためのアンテナを含む、請求項1または2に記載の容器。
【請求項4】
前記装置が、無線給電できるよう構成されており、特に、前記装置内に収容されるバッテリなどの自律電源によって給電されるよう構成されており、または、前記キャビティの外部からの入力電磁信号、特に無線信号によって誘導される電流によって給電されるよう構成されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の容器。
【請求項5】
前記装置が、前記1つ以上の特性を測定するための液位センサおよび/または温度センサ、特に、閉じられた前記キャビティの底部に配置される温度センサおよび/または液位センサを備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の容器。
【請求項6】
前記キャビティが、前記物質の入口のための開口、特に、取り外し可能な蓋で覆われる開口を有し、この取り外し可能な蓋には随意的に測定・送信装置が固定される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の容器。
【請求項7】
前記キャビティが断熱され、前記キャビティが特に魔法瓶のような容器などの真空フラスコ内に形成される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の容器。
【請求項8】
食品または飲料原料その他の分配可能な物質、特にミルクなどの液体、または、他の温度劣化し得る物質の供給のための請求項1〜7のいずれか一項に記載の容器(1)と、
前記容器のキャビティの外部に配置され、前記1つ以上の特性を表わす無線信号、特に音声および/または電磁波信号を前記容器のキャビティの内部に配置される前記送信器(15、16)から受けるよう構成されたトランスデューサ(30)と
を備える分配器。
【請求項9】
前記トランスデューサが、前記送信器から無線信号を受けるためのアンテナを含む、請求項8に記載の分配器。
【請求項10】
前記装置が、前記キャビティの外部からの入力電磁信号、特に無線信号によって誘導される電流により給電されるよう構成されており、前記入力電磁信号が特に前記トランスデューサによって発せられる、請求項8または9に記載の分配器。
【請求項11】
前記1つ以上の特性を監視して、前記1つ以上の特性の1つが閾値に達するときに前記容器からの前記分配可能な物質の分配を許容しあるいは防止するよう構成されており、前記分配器が、随意的に、前記特性を永久にあるいは定期的に監視するよう、または、特に前記物質を分配するための要求に基づいて前記特性を断続的に監視するよう構成されている、請求項8〜10のいずれか一項に記載の分配器。
【請求項12】
前記物質が前記キャビティ内で最小液位に達するときおよび/または前記物質が最大または最小温度を超える温度を有するときに前記分配可能な物質の前記容器からの分配を防止するよう構成されている、請求項11に記載の分配器。
【請求項13】
ハウジングを有し、
前記トランスデューサが前記ハウジング内に組み込まれ、または前記ハウジングの外部に配置され、前記トランスデューサが特に前記分配器内に、または前記分配器上に後付けされる、請求項8〜12のいずれか一項に記載の分配器。
【請求項14】
飲料または液体食品用の分配器であり、特にコーヒー、茶、または、スープ用の装置、例えば前記分配可能な液体としてミルクそれ自体またはミルク含有飲料または液体食品中のミルクを供給するための装置である、請求項8〜13のいずれか一項に記載の分配器。
【請求項15】
物質の1つ以上の特性を測定して、前記1つ以上の特性を通信するための装置、特に、請求項1〜7のいずれか一項に記載の容器または請求項8〜14のいずれか一項に記載の分配器のための装置において、前記1つ以上の特性を表わす信号、特に音声および/または電磁波信号を当該装置の外部に無線通信するよう構成された送信器を備えることを特徴とする装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図4a】
image rotate

【図5】
image rotate

【図5a】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図7a】
image rotate


【公表番号】特表2012−501278(P2012−501278A)
【公表日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−519106(P2011−519106)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【国際出願番号】PCT/EP2009/058545
【国際公開番号】WO2010/009975
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】