原核生物フェニルアラニンアンモニアリアーゼの組成物、及び、その組成物を用いる癌の治療方法
本発明は、原核生物により産生されるフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)の変異体であって、そのような原核生物PAL変異体は、野生型PALと比較して、高いフェニルアラニン変換活性、及び/又は、低減された免疫原性を有する。本発明は、原核生物PALの組成物、及び生物学的に活性のあるフラグメント、突然変異体、変異体又はその類縁体、並びに、癌の治療を含む治療目的のそのような組成物の製造方法、精製方法及び使用方法を提供する。
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
原核生物フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)変異体、及び医薬として許容し得るキャリアを含む医薬組成物であって、該PAL変異体が、野生型PALと比較して、高いフェニルアラニン変換活性、及び/又は、低減された免疫原性を有し、かつ、該医薬として許容し得るキャリアが安定化剤を含む、前記医薬組成物。
【請求項2】
前記PAL変異体の1以上のアミノ酸残基が、他のアミノ酸残基によって置換されており、該置換が、野生型PALと比較して、フェニルアラニン変換活性を増加させ、及び/又は、免疫原性を低減させる、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記PAL変異体の1以上のシステイン残基が、セリン残基によって置換されている、請求項2記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記PAL変異体が、アナベナ バリアビリスPAL(AvPAL)変異体である、請求項3記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記AvPAL変異体の位置64、318、503及び565の1以上のシステイン残基が、セリン残基によって置換されている、請求項4記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記AvPAL変異体の位置565のシステイン残基が、セリン残基によって置換されている、請求項5記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記AvPAL変異体の位置503及び565のシステイン残基が、セリン残基によって置換されている、請求項5記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記PAL変異体が、更に水溶性ポリマーを含む、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記水溶性ポリマーがポリエチレングリコールである、請求項8記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記PAL変異体がAvPAL変異体であり、かつ、AvPAL変異体とポリエチレングリコールの比が、約1:3(1:3 AvPAL:PEG)である、請求項9記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記AvPAL変異体の位置503及び565のシステイン残基が、セリン残基によって置換されている、請求項10記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記医薬として許容し得るキャリアが安定化剤を含む、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記安定化剤が、L−フェニルアラニン、又はその構造類縁体である、請求項12記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記安定化剤がL−フェニルアラニンである、請求項12記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記安定化剤がtrans−桂皮酸である、請求項12記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記安定化剤が安息香酸である、請求項12記載の医薬組成物。
【請求項17】
AvPAL変異体、及び医薬として許容し得るキャリアを含む医薬組成物であって、該AvPAL変異体の位置503及び565のシステイン残基が、セリン残基によって置換されており(配列番号11)、該AvPAL変異体が、更に水溶性ポリマーであるポリエチレングリコールを含み、AvPAL変異体とポリエチレングリコールの比が、約1:3であり、かつ、該医薬として許容し得るキャリアが安定化剤である、前記医薬組成物。
【請求項18】
前記安定化剤が、L−フェニルアラニン、又はその構造類縁体である、請求項17記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記安定化剤が、L−フェニルアラニン、trans−桂皮酸及び安息香酸からなる群より選択される、請求項17記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記安定化剤がL−フェニルアラニンである、請求項19記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記安定化剤がtrans−桂皮酸である、請求項19記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記安定化剤が安息香酸である、請求項19記載の医薬組成物。
【請求項23】
PAL変異体及び医薬として許容し得るキャリアを含む医薬組成物の治療有効量を、患者に投与することを含む癌の治療方法であって、
a)該PAL変異体が、野生型PALと比較して、高いフェニルアラニン変換活性、及び/又は、低減された免疫原性を有し;かつ、
b)該PAL変異体が、該患者の血液、血清又は血漿中のフェニルアラニン濃度を検出感度未満から20μM〜60μMの範囲に低減させるのに有効である、前記方法。
【請求項24】
前記PAL変異体の1以上のアミノ酸残基が、他のアミノ酸残基によって置換されており、該置換が、野生型PALと比較して、フェニルアラニン変換活性を増加させ、及び/又は、免疫原性を低減させる、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記PAL変異体の1以上のシステイン残基が、セリン残基によって置換されている、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記PAL変異体がAvPAL変異体である、請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記AvPAL変異体の位置64、318、503及び565の1以上のシステイン残基が、セリン残基によって置換されている、請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記AvPAL変異体の位置565のシステイン残基が、セリン残基によって置換されている、請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記AvPAL変異体の位置503及び565のシステイン残基が、セリン残基によって置換されている、請求項27記載の方法。
【請求項30】
前記PAL変異体が、更に水溶性ポリマーを含む、請求項23記載の方法。
【請求項31】
前記水溶性ポリマーがポリエチレングリコールである、請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記PAL変異体がAvPAL変異体であり、かつ、AvPAL変異体とポリエチレングリコールの比が、約1:3(1:3 AvPAL:PEG)である、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記AvPAL変異体の位置503及び565のシステイン残基が、セリン残基によって置換されている、請求項32記載の方法。
【請求項34】
AvPAL変異体及び医薬として許容し得るキャリアを含む医薬組成物の治療有効量を、患者に投与することを含む癌の治療方法であって、
a)該AvPAL変異体の位置503及び565のシステイン残基が、セリン残基によって置換されており(配列番号11);
b)該AvPAL変異体が、更に水溶性ポリマーであるポリエチレングリコールを含み、AvPAL変異体とポリエチレングリコールの比が、約1:3であり;
かつ、該AvPAL変異体が、該患者の血液、血清又は血漿中のフェニルアラニン濃度を検出感度未満から約20μM〜60μMの範囲に低減させるのに有効である、前記方法。
【請求項35】
前記医薬として許容し得るキャリアが安定化剤を含む、請求項23又は34記載の方法。
【請求項36】
前記安定化剤が、L−フェニルアラニン、又はその構造類縁体である、請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記安定化剤が、L−フェニルアラニン、trans−桂皮酸及び安息香酸からなる群より選択される、請求項35記載の方法。
【請求項38】
前記安定化剤がL−フェニルアラニンである、請求項37記載の方法。
【請求項39】
前記安定化剤がtrans−桂皮酸である、請求項37記載の方法。
【請求項40】
前記安定化剤が安息香酸である、請求項37記載の方法。
【請求項41】
前記癌が、肺癌、脳又は中枢神経系癌、結腸癌、前立腺癌、腎臓癌、転移性黒色腫、頭頸部癌、卵巣癌、子宮癌、急性骨髄白血病、急性リンパ芽球性白血病、骨髄腫、小児癌、及び、耐性癌からなる群より選択される、請求項23又は34記載の方法。
【請求項42】
前記癌由来の細胞の増殖及び/又は生存が、フェニルアラニンの制限又は欠乏に感受性を有する、請求項23又は34記載の方法。
【請求項43】
更に癌治療剤又は標的癌治療剤を含んだ医薬組成物の治療有効量を投与することを含む、請求項23又は34記載の方法。
【請求項44】
更に前記患者にタンパク制限食を投与することを含む、請求項23又は34記載の方法。
【請求項45】
前記患者の血液、血清又は血漿中のフェニルアラニン濃度を、検出感度未満から約20μM未満の範囲に低減させる、請求項23又は34記載の方法。
【請求項46】
前記患者の血液、血清又は血漿中のフェニルアラニン濃度を、検出感度未満から約10μM未満の範囲に低減させる、請求項45記載の方法。
【請求項47】
前記患者がヒトである、請求項23又は34記載の方法。
【請求項1】
原核生物フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)変異体、及び医薬として許容し得るキャリアを含む医薬組成物であって、該PAL変異体が、野生型PALと比較して、高いフェニルアラニン変換活性、及び/又は、低減された免疫原性を有し、かつ、該医薬として許容し得るキャリアが安定化剤を含む、前記医薬組成物。
【請求項2】
前記PAL変異体の1以上のアミノ酸残基が、他のアミノ酸残基によって置換されており、該置換が、野生型PALと比較して、フェニルアラニン変換活性を増加させ、及び/又は、免疫原性を低減させる、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記PAL変異体の1以上のシステイン残基が、セリン残基によって置換されている、請求項2記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記PAL変異体が、アナベナ バリアビリスPAL(AvPAL)変異体である、請求項3記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記AvPAL変異体の位置64、318、503及び565の1以上のシステイン残基が、セリン残基によって置換されている、請求項4記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記AvPAL変異体の位置565のシステイン残基が、セリン残基によって置換されている、請求項5記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記AvPAL変異体の位置503及び565のシステイン残基が、セリン残基によって置換されている、請求項5記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記PAL変異体が、更に水溶性ポリマーを含む、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記水溶性ポリマーがポリエチレングリコールである、請求項8記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記PAL変異体がAvPAL変異体であり、かつ、AvPAL変異体とポリエチレングリコールの比が、約1:3(1:3 AvPAL:PEG)である、請求項9記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記AvPAL変異体の位置503及び565のシステイン残基が、セリン残基によって置換されている、請求項10記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記医薬として許容し得るキャリアが安定化剤を含む、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記安定化剤が、L−フェニルアラニン、又はその構造類縁体である、請求項12記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記安定化剤がL−フェニルアラニンである、請求項12記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記安定化剤がtrans−桂皮酸である、請求項12記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記安定化剤が安息香酸である、請求項12記載の医薬組成物。
【請求項17】
AvPAL変異体、及び医薬として許容し得るキャリアを含む医薬組成物であって、該AvPAL変異体の位置503及び565のシステイン残基が、セリン残基によって置換されており(配列番号11)、該AvPAL変異体が、更に水溶性ポリマーであるポリエチレングリコールを含み、AvPAL変異体とポリエチレングリコールの比が、約1:3であり、かつ、該医薬として許容し得るキャリアが安定化剤である、前記医薬組成物。
【請求項18】
前記安定化剤が、L−フェニルアラニン、又はその構造類縁体である、請求項17記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記安定化剤が、L−フェニルアラニン、trans−桂皮酸及び安息香酸からなる群より選択される、請求項17記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記安定化剤がL−フェニルアラニンである、請求項19記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記安定化剤がtrans−桂皮酸である、請求項19記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記安定化剤が安息香酸である、請求項19記載の医薬組成物。
【請求項23】
PAL変異体及び医薬として許容し得るキャリアを含む医薬組成物の治療有効量を、患者に投与することを含む癌の治療方法であって、
a)該PAL変異体が、野生型PALと比較して、高いフェニルアラニン変換活性、及び/又は、低減された免疫原性を有し;かつ、
b)該PAL変異体が、該患者の血液、血清又は血漿中のフェニルアラニン濃度を検出感度未満から20μM〜60μMの範囲に低減させるのに有効である、前記方法。
【請求項24】
前記PAL変異体の1以上のアミノ酸残基が、他のアミノ酸残基によって置換されており、該置換が、野生型PALと比較して、フェニルアラニン変換活性を増加させ、及び/又は、免疫原性を低減させる、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記PAL変異体の1以上のシステイン残基が、セリン残基によって置換されている、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記PAL変異体がAvPAL変異体である、請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記AvPAL変異体の位置64、318、503及び565の1以上のシステイン残基が、セリン残基によって置換されている、請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記AvPAL変異体の位置565のシステイン残基が、セリン残基によって置換されている、請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記AvPAL変異体の位置503及び565のシステイン残基が、セリン残基によって置換されている、請求項27記載の方法。
【請求項30】
前記PAL変異体が、更に水溶性ポリマーを含む、請求項23記載の方法。
【請求項31】
前記水溶性ポリマーがポリエチレングリコールである、請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記PAL変異体がAvPAL変異体であり、かつ、AvPAL変異体とポリエチレングリコールの比が、約1:3(1:3 AvPAL:PEG)である、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記AvPAL変異体の位置503及び565のシステイン残基が、セリン残基によって置換されている、請求項32記載の方法。
【請求項34】
AvPAL変異体及び医薬として許容し得るキャリアを含む医薬組成物の治療有効量を、患者に投与することを含む癌の治療方法であって、
a)該AvPAL変異体の位置503及び565のシステイン残基が、セリン残基によって置換されており(配列番号11);
b)該AvPAL変異体が、更に水溶性ポリマーであるポリエチレングリコールを含み、AvPAL変異体とポリエチレングリコールの比が、約1:3であり;
かつ、該AvPAL変異体が、該患者の血液、血清又は血漿中のフェニルアラニン濃度を検出感度未満から約20μM〜60μMの範囲に低減させるのに有効である、前記方法。
【請求項35】
前記医薬として許容し得るキャリアが安定化剤を含む、請求項23又は34記載の方法。
【請求項36】
前記安定化剤が、L−フェニルアラニン、又はその構造類縁体である、請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記安定化剤が、L−フェニルアラニン、trans−桂皮酸及び安息香酸からなる群より選択される、請求項35記載の方法。
【請求項38】
前記安定化剤がL−フェニルアラニンである、請求項37記載の方法。
【請求項39】
前記安定化剤がtrans−桂皮酸である、請求項37記載の方法。
【請求項40】
前記安定化剤が安息香酸である、請求項37記載の方法。
【請求項41】
前記癌が、肺癌、脳又は中枢神経系癌、結腸癌、前立腺癌、腎臓癌、転移性黒色腫、頭頸部癌、卵巣癌、子宮癌、急性骨髄白血病、急性リンパ芽球性白血病、骨髄腫、小児癌、及び、耐性癌からなる群より選択される、請求項23又は34記載の方法。
【請求項42】
前記癌由来の細胞の増殖及び/又は生存が、フェニルアラニンの制限又は欠乏に感受性を有する、請求項23又は34記載の方法。
【請求項43】
更に癌治療剤又は標的癌治療剤を含んだ医薬組成物の治療有効量を投与することを含む、請求項23又は34記載の方法。
【請求項44】
更に前記患者にタンパク制限食を投与することを含む、請求項23又は34記載の方法。
【請求項45】
前記患者の血液、血清又は血漿中のフェニルアラニン濃度を、検出感度未満から約20μM未満の範囲に低減させる、請求項23又は34記載の方法。
【請求項46】
前記患者の血液、血清又は血漿中のフェニルアラニン濃度を、検出感度未満から約10μM未満の範囲に低減させる、請求項45記載の方法。
【請求項47】
前記患者がヒトである、請求項23又は34記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4−1】
【図4−2】
【図5A−E】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13A−B】
【図14A−B】
【図15A−B】
【図16A−B】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図17D】
【図18】
【図19】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4−1】
【図4−2】
【図5A−E】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13A−B】
【図14A−B】
【図15A−B】
【図16A−B】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図17D】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2010−536759(P2010−536759A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521043(P2010−521043)
【出願日】平成20年8月15日(2008.8.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/009765
【国際公開番号】WO2009/025760
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(509193898)ビオマリン プハルマセウトイカル インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月15日(2008.8.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/009765
【国際公開番号】WO2009/025760
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(509193898)ビオマリン プハルマセウトイカル インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】
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