説明

原稿搬送装置、並びに、画像読取装置、及び、画像形成装置

【課題】本発明は、原稿の再引き込み動作を行ったとしても、既に排出トレイ内に排出された原稿が、搬送路に引き込まれることを回避できる自動原稿搬送装置提供することを課題とする。
【解決手段】本発明の自動原稿搬送装置1Aは、原稿Zを載置可能な用紙トレイ10と、原稿Zを一枚ずつ搬出する搬出部20と、搬出部20により搬出された原稿Zを搬送するための搬送ガイド31と原稿Zを反転搬送するための反転用搬送ガイド32とからなる搬送路30と、搬送ガイド31の終端側に設けられ、搬送される原稿Zを排出するための駆動と反転用搬送路上に再搬送するための反転駆動とを行う排出ローラ43を含む搬送部40と、排出された原稿Zを集積する排出トレイ60と、を有し、排出トレイ60に積載された原稿Zと排出ローラ43とを離間させる離間手段70を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿搬送装置、並びに、画像読取装置、及び、画像形成装置に関し、特に、原稿の表面と裏面とを反転させるための反転用の搬送路を有し、その反転用の搬送路に原稿を搬送するために原稿の再引き込み動作(スイッチバック動作)を行う自動原稿搬送装置、並びに画像読取装置、及び、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像読取装置は、一つの読取部により原稿の両面に記載される文字や画像を読み取る場合、原稿の表面を読取部によって読み取り後、原稿の再引き込み動作(スイッチバック動作)により、原稿を反転させて、原稿の裏面の読み取りを行っている。
ここで、原稿の再引き込み動作(スイッチバック動作)とは、下記特許文献1にも記載されるように、原稿の先端側を排出トレイ内に送り出した排出ローラが、原稿の後端側を保持し、逆回転することにより、原稿を反転用の搬送路に搬送する方法のことをいう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−64359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1に開示される発明によれば、排出ローラが後端を保持される原稿の先端側は、排出トレイ内に位置することとなる。よって、従来の画像読取装置は、排出ローラの逆回転、すらわち、再引き込み動作(スイッチバック動作)により、排出ローラにより保持される原稿とともに、排出トレイ内に積載された原稿も、反転用の搬送路内に引き込まれてしまうという問題があった。
また、前記する問題は、画像読取装置に限る問題でなく、再引き込み動作(スイッチバック動作)を行う、原稿搬送装置並びに画像形成装置にとっても、共通する問題であった。
【0005】
そこで、本発明は、前記問題に鑑みて創案された発明であって、原稿の再引き込み動作(スイッチバック動作)を行ったとしても、既に排出トレイ内に排出された原稿が、搬送路に引き込まれることを回避できる自動原稿搬送装置、画像読取装置、および画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明に係る自動原稿搬送装置は、搬送される原稿を排出するための駆動と再引き込みするための反転駆動とを行う排出ローラと、前記排出ローラにより排出された原稿を集積する原稿集積部と、前記排出ローラの駆動に伴って前記原稿集積部に積載された原稿と前記排出ローラとを離間させる離間手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載された原稿読取装置によれば、原稿集積部に積載された原稿を排出ローラから離間させる離間手段が設けられているため、排出ローラが反転駆動、つまり、原稿の再引き込み動作を行ったとしても、原稿集積部に積載された原稿が排出ローラに引きこまれることを防止できる。
【発明の効果】
【0008】
以上、本発明の原稿読取装置によれば、原稿の再引き込み動作(スイッチバック動作)を行ったとしても、既に排出トレイ内に排出された原稿が、搬送路に引き込まれることを回避できる自動原稿搬送装置、画像読取装置、および画像形成装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態における原稿読取装置の側面を断面視した側面断面図である。
【図2】第1実施形態における搬送部と離間手段の一部を平面視した平面図である。
【図3】図2における搬送部と離間手段とをY―Y方向から見た図である。
【図4】第2実施形態の原稿読取装置における離間手段の構成を示す側面図である。
【図5】第2実施形態の原稿読取装置の離間手段において、離間手段が排出トレイの原稿の押出動作を示す側面図である。
【図6】第3実施形態の原稿読取装置における離間手段の構成を示す側面図である。
【図7】第3実施形態の原稿読取装置の離間手段において、離間手段が排出トレイの原稿の押出動作を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態における画像読取装置1Aについて、図1〜図3を参照して説明する。画像読取装置1Aは、原稿Zが担持する文字や図形等の情報を読み取るための装置であり、図1に示すように、用紙トレイ10、搬出部20と、搬送路30と、搬送部40と、排出トレイ60と、離間手段70と、読取部90とを少なくとも備えてなる。
【0011】
用紙トレイ10は、原稿Zを載置するためのものであって、原稿Zを載置可能な大きさを有する平面板状の部材からなり、作業者が原稿Zを載置可能なように、図1に示すように、画像読取装置1Aの上部側であって、筐体の外部側に露出するように設けられている。
【0012】
搬出部20は、用紙トレイ10に載置された原稿Zを搬送路30内に一枚ずつ搬出を行うためのものであって、図1に示すように、ピックアップローラ21と、分離ローラ22と、分離パッド23とからなる。
ピックアップローラ21は、回動自在に軸支されたローラであって、用紙トレイ10に載置された原稿Zの先端側に当接可能な位置に設けられている。
また、ピックアップローラ21は、後記する分離ローラ22の回動に追従するようにベルトが巻架、または、ギヤが連結されている。これにより、分離ローラ22が回動した場合に、ピックアップローラ21も回動し、ピックアップローラ21に当接する原稿Zを、搬送路30内に送り出すこととなる。
分離ローラ22は、ピックアップローラ21により送り出された原稿Zを、後記する分離パッドに圧接した状態で回動し、原稿Zを搬送路30に送り出すためのものであって、図示しないモータの回転軸に軸支されて回動する。これにより、ピックアップローラ21により、二枚以上である複数の原稿Zが送り出された場合、複数の原稿Zのうち、分離ローラ22に当接する上側の原稿Zのみが、搬送路30に搬出させることとなる。
分離パッド23は、分離ローラ22の回動により搬送される上側に位置する原稿Zと、その搬送される上側の原稿Zに対して下に位置する原稿Zとの間に生じる摩擦により、下に位置する原稿Zが搬送路30上に搬送されることを阻止するための部材である。
【0013】
搬送路30は、用紙トレイ10に載置された原稿Zを排出トレイ60へ移送するための経路である搬送ガイド31と、搬送ガイド31を搬送される原稿Zを表裏反転させるため経路である反転用搬送ガイド32と、ブレード33とからなる。
搬送ガイド31は、図1に示すように、断面視で略U字状の搬送路であって、用紙トレイ10に表側を上に向けて載置される原稿Zを、断面視略U字状の搬送路において外周側を向きつつ移送し、排出トレイにおいては、原稿Zの表側を下側に向けて排出するように形成されている。
また、反転用搬送ガイド32は、搬送ガイド31の中間と末端とを結ぶ搬送路であって、排出ローラ43によって、搬送される原稿Zの裏側が、搬送ガイド31の断面視略U字状の搬送路の外周側を向くように設けられている。これによって、原稿Zの反転が可能となり、原稿Zの裏側を読取部90により読み取ることが可能となる。
ブレード33は、搬送ガイド31と反転用搬送ガイド32との通路を開閉するための部材であり、図示しないモータが駆動することによって、搬送ガイド31と反転用搬送ガイド32との通路の一方を開通可能にする。
【0014】
搬送部40は、図1に示すように、搬送路30内に送り出された原稿Zを排出トレイ60までに搬送するためのものであり、搬送ガイド31に送り出された原稿Zを後記する排出ローラ43まで搬送する搬送ローラ41と、搬送ローラ41に対向配置される第1プレッシャローラ42と、排出位置まで搬送された原稿Zを排出または反転用搬送ガイド32に送り出す排出ローラ43、排出ローラ43に対向配置される第2プレッシャローラ44、搬送ローラ41と排出ローラ43とを駆動させるための駆動部47(図2と図3を参照)とからなる。
搬送ローラ41と排出ローラ43とは、図2に示すように、回動自在に設けられている第1シャフト45、第2シャフト46に軸支されており、第1シャフト45と第2シャフト46が回動することによって、搬送路30上の原稿Zを搬送または排出することができる。
また、第1プレッシャローラ42と第2プレッシャローラ44とは、図示しない付勢部材が設けられており、搬送路30上を搬送される原稿Zを搬送ローラ41と排出ローラ43とに圧接させるための部材である。
【0015】
駆動部47は、図2と図3に示すように、駆動ギヤ48と、第1シャフト45に軸支される搬送用ギヤ49と、第2シャフト46に軸支される排出用ギヤ50と、駆動ギヤ48の駆動力を搬送用ギヤ49と排出用ギヤ50とに伝達するための第1伝達ギヤ51〜第5伝達ギヤ55とからなる。
駆動ギヤ48は、図2と図3に示すように、駆動ギヤ48には、隣接して設けられる第1伝達ギヤ51と第5伝達ギヤ55を回動させるための部材であって、第1伝達ギヤ51と第5伝達ギヤ55に形成された歯に歯合する歯(図示しない)が形成されている。また、駆動ギヤ48は、図示しないモータに軸支されており、モータが回動することによって、A方向又はBの方向に回動する。なお、原稿Zを排出トレイに搬送する場合には、駆動ギヤ48は、図3に示すA方向に回動し、反転用搬送ガイド32に、搬送する場合には、図3に示すB方向に回動する。
図2に示すように、搬送用ギヤ49は、第1シャフト45に軸支しているギヤであり、第1伝達ギヤ51〜第4伝達ギヤ54を介して、搬送用ギヤ49が回動することによって、第1シャフト45させるためのものである。
また、排出用ギヤ50は、第2シャフト46に軸支しているギヤであり、第5伝達ギヤ55を介して回動することによって、第2シャフト46を回動させるものである。
【0016】
第1伝達ギヤ51は、駆動ギヤ48の図示しない歯と歯合するギヤであって、図示しないシャフトに回転自在に軸支されている。また、第1伝達ギヤ51を軸支する図示しないシャフトには、図2と図3に示すように、略V字状のレバー56が回転自在に軸支されている。そして、レバー56の上部側には、図3に示すように、第1伝達ギヤ51に歯合する第2伝達ギヤ52と、レバー56の下部側に、第1伝達ギヤ51に歯合する第3伝達ギヤ53と、その第3伝達ギヤ53に歯合する第4伝達ギヤ54とを有している。
これにより、駆動ギヤ48がA方向に回転した場合、第1伝達ギヤ51は、図3によれば反時計回りに回動するとともに、レバー56によって回動自在に軸支される第2伝達ギヤ52が反時計回りに移動して、搬出用ギヤ49に歯合して、搬出用ギヤ49をC方向に回動させる。
また、駆動ギヤ48がB方向に回転した場合、第1伝達ギヤ51は、図3によれば時計回りに回動する。また、時計回りに回動する第1伝達ギヤ51は、第3伝達ギヤ53を介して、レバー56を時計周りに動かし、レバー56の下端部に設けられた第4伝達ギヤ54が搬送用ギヤ49に歯合することとなる。よって、第1伝達ギヤ51と第3伝達ギヤ53と、第4伝達ギヤ54とを介して、搬送用ギヤ49はC方向に回動することとなる。
つまり、当該機構により、駆動ギヤ48がA方向又はB方向のいずれかに回動しても、搬送ローラ41は、常にC方向に回動することとなる。
【0017】
また、第5伝達ギヤ55は、図示しないシャフトに回動自在に軸支しており、駆動ギヤ48と排出用ギヤ50とに歯合するように設けられている。これによって、駆動ギヤ48がA方向に回転した場合、排出用ギヤ50は、図3に示すD方向に回動し、一方、駆動ギヤ48がB方向に回転した場合、排出用ギヤ50は、図3に示すE方向に回動することとなる。
【0018】
排出トレイ60は、図1に示すように、搬送路30上を搬送された原稿Zが載置されるものであって、原稿Zを載置可能な大きさを有する平面板状の部材からなる。
【0019】
離間手段70Aは、図1〜3に図示されるように、トルクリミッタ71と、ラックが形成された押出部72とからなる。
トルクリミッタ71は、図2に示すように、第2シャフト46に軸支されており、第2シャフト46の回動に合わせて、つまり、排出ローラ43の回動に連動して回動する。また、トルクリミッタ71は、図3に示すように、外周面に後記する押出部72に形成されたラックと歯合する図示しない歯が形成されている。また、トルクリミッタ71は、二つの部材間に所定以上のトルクが作用した場合に、このトルクの伝達を遮断できるものであり、トルクリミッタ71は、軸支される第2シャフト46の回動によって受ける力が、歯合する押出部72から受ける力よりも大きい場合に空転して、トルクの伝達を遮断する。
【0020】
また、押出部72は、排出トレイ60内に排出された原稿Zを押し出すことにより、排出ローラ43から離間させるための部材であって、原稿Zを押し出すための平面が形成されており、その平面が排出トレイ60に積載された原稿Zに向かって、進退自在に設けられている。また、押出部72は、排出ローラ43の下側まで延出しており(図2参照)、その延出部分には、トルクリミッタ71に歯合可能なラックが形成されて、トルクリミッタ71の回動によって、押出部72が図3に示すF方向またはG方向に移動するように形成されている。なお、押出部72は、トルクリミッタ71の回動によって、所定の範囲を超えて移動しないように、図示しない係止部材を備えている。
【0021】
読取部90は、搬送路30上を搬送される原稿Zの一方の面に記載される画像の読み取りを行うためのものであって、照射するライン状の光源と、原稿Zから反射する反射光を複数のミラーを介して縮小投影する投影レンズと、その縮小投影された反射光を光電変換し、映像信号として電気的出力を行うラインセンサとを備えてなる。
そのほか、画像読取装置1Aは、分離ローラ22と駆動ギヤ48を回転軸で軸支するモータの回動を制御する図示しない制御部を備えているものとする
【0022】
以上、第1実施形態の画像読取装置1Aの構成について説明した。つぎに、画像読取装置1Aを用いて、原稿Zの両面を読み取る場合の動作方法について説明する。
まず、図示しない制御部が、分離ローラ22が軸支させるモータを駆動させる。併せて、図示しない制御部が、駆動ギヤ48を軸支する図示しないモータを、駆動ギヤ48が図3に示すA方向に回動するように回動させる。また、ブレード33は、上方向に上がっており、搬送ガイド31から送りだされる原稿Zが排出トレイ60に向かって排出可能になっている。
そして、図示しないモータにより分離ローラ22が駆動し、併せて、ピックアップローラ21が用紙トレイ10に載置される原稿Zを、分離ローラ22と分離パッド23との間に送り出す。送り出された原稿Zは、分離ローラ22と分離パッド23により一枚ずつ、搬送ガイド31に搬出され、搬送ガイド31に沿って移動することとなる。
また、搬送ガイド31に沿って移動する原稿Zは、搬送ローラ41により送り出され、読取部90で、原稿Zの表面の画像が読み込まれる。
そして、排出ローラ43は、原稿Zの先端側を排出トレイ60に送り出すとともに、原稿Zの後端が排出ローラ43と第2プレッシャローラ44と間に来た場合に、駆動ギヤ48はA回転方向への駆動を止め、原稿Zの後端が排出ローラ43と第2プレッシャローラ44とに挟持された状態となる。なお、原稿Zの表面だけを読み取る場合は、駆動ギヤ48はA回転方向への駆動を継続し、排出トレイ60に原稿Zを排出することとなる。
【0023】
つぎに、原稿Zの裏面側を読み取るため、駆動ギヤ48は、図3に示すB方向に回動する。よって、排出用ギヤ50も図3に示すE方向に回動し、排出ローラ43は、原稿Zを反転用搬送ガイド32に向かって原稿Zを搬送する。また、駆動ギヤ48が図3に示すB方向に回動するとともに、ブレード33は下側に下がっている。
ここで、図3に示すように、排出ローラ43に連動する押出部72は、排出ローラ43のE方向に回動により、G方向に移動することとなる。つまり、排出ローラ43の再引き込み動作によって、引き込まれる可能性がある、排出トレイ60に積載された原稿ZをG方向に押し出し、排出ローラ43から離間させることができる。これによって、排出トレイ60に積載された原稿Zが排出ローラ43に引き込まれることを防止することができる。
【0024】
また、排出ローラ43によって、反転用搬送ガイド32に送り出される原稿Zが、搬送ガイド31に搬入した際、原稿Zの裏面は読取部90が設けられた側を向いている。よって、原稿Zの裏面側が読み取られ、排出ローラ43と第2プレッシャローラ44側に送り出される。なお、駆動ギヤ48がB方向に回動しても搬送ローラ41は、常にC方向に回動している。
【0025】
そして、原稿Zの裏面を読取後、駆動ギヤ48はA方向に回動し、原稿Zは、排出ローラ43によって、排出トレイ60に先端側を送り出される。そして、排出ローラ43は、原稿Zの後端が排出ローラ43と第2プレッシャローラ44との間に来た場合、再度、駆動ギヤ48はA回転方向への駆動を止めて、原稿Zの後端を排出ローラ43と第2プレッシャローラ44とで挟持し、駆動ギヤ48は、B方向回動する。
ここで、また、押出部72は、G方向に移動するため、排出トレイ60に載置された原稿Zが排出ローラ43に引き込まれることを防止することができる。
よって、排出用ギヤ50もE方向に駆動し、排出ローラ43は、原稿Zを反転用搬送ガイド32に原稿Zを搬送し、表面側が排出トレイ60において下側を向くように、排出ローラ43によって排出される。これによって、複数の原稿Zは、用紙トレイ10に載置された状態で、排出トレイ60に集積されることとなる。
【0026】
以上、第1実施形態における画像読取装置1Aについて説明したが、画像読取装置1Aによれば、離間手段70の押出部72が、排出ローラ43の再引き込み動作のとき、排出トレイ60内に積載された原稿Zを、排出ローラ43から離れるように押し出すため、原稿Zが引き込まれることを回避するとともに、押出部72が、排出トレイ60に積載される原稿Zを整列することができる。
【0027】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態における画像読取装置1Bについて、図4と図5を参照して説明する。
第2実施形態の画像読取装置1Bは、図示しないが、用紙トレイ10、搬出部20と、搬送路30と、搬送部(排出ローラ)40と、排出トレイ60と、離間手段70Bと、読取部90とを少なくとも備えており、画像読取装置1Bは、離間手段70Bを備える点において、前記説明した第1実施形態の画像読取装置1Aと相違する。以下、相違点である離間手段70Bについて説明し、画像読取装置1Bと画像読取装置1Aとが共通する構成については、説明を省略する。
【0028】
離間手段70Bは、図4に示すように、トルクリミッタ71と、ラック73と、そのラック73に回転自在に支持される可倒板74と、その可倒板74に当接可能に設けられたピン75とから構成される。なお、離間手段70Bのトルクリミッタ71は、前記した第1実施形態の離間手段70Aのトルクリミッタ71と同じ構成であるため、説明は省略する。
【0029】
ラック73は、排出トレイ60に載置される原稿Zを押し出すためのものであり、トルクリミッタ71の図示しない歯に歯合する歯が形成されており、トルクリミッタ71の回動に併せて、図4に示すF方向またはG方向に進退するように設けられている。
また、可倒板74は、排出トレイ60に載置される原稿Zの上面側を押圧し、排出トレイ60の底面側に向かって、原稿Zを離間させるためのものであり、排出トレイ60側に向かって可倒可能にラック73に支持される垂直板である。また、可倒板74は、図示しないバネによって、図4に示すH方向に回動するように付勢されている。
ピン75は、排出トレイ60の側面に設けられた棒状部材であり、ラック73のF方向への移動により可倒板74の下部側を押圧して、可倒板74をI方向に回動させ、可倒板74を垂直にさせるための部材である。
【0030】
つぎに、画像読取装置1Bの離間手段70Bについて、原稿Zの両面を読み取る場合の動作方法について説明する。
まず、原稿Zの表面側を読み込む場合、駆動部の駆動ギヤ48が図3に示すA方向に回動する。この場合、排出用ギヤ50は、図3に示すD方向に回動するため、トルクリミッタ71もD方向に回動し、ラック73はF方向に移動する。よって、ラック73に支持される可倒板74もF方向に移動する。そして、可倒板74は、下部側にピン75が当接し、I方向に回動するようにピン75に押圧され、垂直に起き上がることとなる。
【0031】
一方、排出ローラ43と第2プレッシャローラ44とが挟持する原稿Zを、反転用搬送ガイドに原稿Zを搬送する場合、駆動ギヤ48はB方向に回動する。
この駆動ギヤ48のB方向への回動に合わせ、排出ローラ43がE方向に回動するとともに(図3参照)、ラック73はG方向に移動することとなる。
つまり、排出ローラ43が、挟持する原稿Zを反転用搬送ガイド32に原稿Zを搬送するとともに、G方向に移動するラック73が排出トレイ60に載置された原稿Zを押し出すこととなる。
また、ラック73がG方向に移動する際、ラック73に支持される可倒板74は、ピン75が係止しなくなるため、図示しないバネによってH方向に倒れ、排出トレイ60に載置される原稿Zを上側から押さえ込むことが可能となる。
よって、ラック73がG方向に押し出したとしても、可倒板74が上側から押さえ込むため、原稿Zが上側に湾曲することなく、確実に原稿Zを押し出すことができる。
【0032】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態における画像読取装置1Cについて、図6と図7を参照して説明する。
第3実施形態の画像読取装置1Cは、図示しないが、用紙トレイ10、搬出部20と、搬送路30と、搬送部(排出ローラ)40と、排出トレイ60と、離間手段70Cと、読取部90とを少なくとも備えており、画像読取装置1Bは、離間手段70Cを備える点において、前記説明した第1実施形態の画像読取装置1Aと相違する。以下、相違点である離間手段70Cについて説明する。なお、画像読取装置1Cと画像読取装置1Aとが共通する構成については、説明を省略する。
【0033】
離間手段70Cは、図6に示すように、トルクリミッタ71と、第6伝達ギヤ76と、ラック77と、係止部78a、78bと、可倒板79とを有する。なお、離間手段70Cのトルクリミッタ71は、前記した第1実施形態の離間手段70Aのトルクリミッタ71と同じ構成であるため、説明は省略する。
【0034】
第6伝達ギヤ76は、トルクリミッタ71と、ラック77とに歯合するように設けられており、トルクリミッタ71の回動に併せて回動して、ラック77をJ方向またはK方向に移動させる。
ラック77は、先端側(排出トレイ60側)に突出する突出部77aを有し、第6伝達ギヤ76に歯合して、J方向またはK方向に移動するとともに、可倒板79の下端部を押圧する。
係止部78a、78bは、図6に示すように、ラック77のJ方向またはK方向への移動を制限する部材であり、ラック77に対してJ方向およびK方向に分かれて配置されている。また、係止部78aは、図6に示すように、排出トレイ60に積載される原稿Zに対して、排出ローラ43が設けられている側に移動することを規制する部材でもある。
可倒板79は、排出トレイ60に載置される原稿Zの上面側を押圧し、排出トレイ60の底面側に向かって、原稿Zを離間させるためのものであり、排出トレイ60側に向かって可倒可能に排出トレイ60に支持される垂直板であって、図示しないバネによって、常時M方向に回動するように付勢されている。
ここで、係止部78aと可倒板79との間から、原稿の入り込みを防止するため、係止部78aの上部側と可倒板79の下部側は、櫛状となっており、可倒板79が垂直になった場合には、係止部78aの上部側と可倒板79の下部側に形成された櫛状は、当接しないようになっている。
【0035】
つぎに、画像読取装置1Cの離間手段70Cについて、原稿Zの両面を読み取る場合の動作方法について説明する。
まず、原稿Zの表面側を読み込む場合、駆動部の駆動ギヤ48が図3に示すA方向に回動する。この場合、排出用ギヤ50は、図3に示すD方向に回動するため、トルクリミッタ71もD方向に回動する。そして、トルクリミッタ71に歯合する第6伝達ギヤ76も
ラック77をK方向に移動させるように回動する。そして、K方向に移動するラック77の突出部77aは、可倒板79の下端部を押圧し、可倒板79は、L方向に回動し、垂直方向に起立した状態となる。そして、排出ローラ43によって原稿Zは、図6に示すように、排出トレイ60に送り出される原稿Zの先端側が可倒板79を覆う状態となる。
【0036】
一方、排出ローラ43と第2プレッシャローラ44とが原稿Zの後端側を挟持し、反転用搬送ガイドに原稿Zを搬送する場合、駆動ギヤ48はB方向に回動する。
この駆動ギヤ48のB方向への回動に合わせ、排出ローラ43がE方向に回動するとともに、ラック77はJ方向に移動することとなる。
よって、ラック77の突出部77aによって下端部を押合されていた可倒板79は、図示しないバネの付勢力によってM方向に回動して、図7に示すように、上側に反転用搬送ガイド32に搬送される原稿Zが載る。また、M方向に回動する可倒板79は、排出トレイ60に積載された原稿Zを排出トレイ60の底面側に向かって押圧して、排出ローラ43から離間する。
これによれば、可倒板79が、反転用搬送ガイドに搬送される原稿Zと、排出トレイに積載される原稿Zとの間に介在するため、排出トレイに積載される原稿Zが排出ローラに引き込まれることを防止することができる。
【0037】
なお、本発明は、前記した実施形態に限るものでない。たとえば、第3実施形態において、排出ローラ43の正回動及び逆回転の動作に合わせて、離間手段70の動作を素早く行わせるために、トルクリミッタ71に対して、このトルクリミッタ71の形成された図示しない歯と歯合する第6伝達ギヤ76を、増速するような関係としてもよい。
そのほか、本発明は、実施形態で説明した原稿読取装置の場合に限るものでなく、自動原稿搬送装置や画像形成装置としても用いることが可能である。
【符号の説明】
【0038】
1A、1B、1C 画像読取装置
10 用紙トレイ(原稿載置部)
20 搬出部
21 ピックアップローラ
22 分離ローラ
23 分離パッド
30 搬送路
31 搬送ガイド(正搬送路)
32 反転用搬送ガイド(反転用搬送路)
33 ブレード
40 搬送部
41 搬送ローラ
42 第1プレッシャローラ
43 排出ローラ
44 第2プレッシャローラ
45 第1シャフト
46 第2シャフト
47 駆動部
48 駆動ギヤ
49 搬送用ギヤ
50 排出用ギヤ
51〜55 第1伝達ギヤ〜第5伝達ギヤ
56 レバー
60 排出トレイ(原稿集積部)
70A、70B、70C 離間手段
71 トルクリミッタ
72 押出部
73 ラック
74 可倒板
75 ピン
76 第6伝達ギヤ
77 ラック
77a 突出部
78a、78b 係止部
79 可倒板
90 読取部
Z 原稿Z

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される原稿を排出するための駆動と再引き込みするための反転駆動とを行う排出ローラと、
前記排出ローラにより排出された原稿を集積する原稿集積部と、
前記排出ローラの駆動に伴って前記原稿集積部に積載された原稿と前記排出ローラとを離間させる離間手段とを備えたことを特徴とする自動原稿搬送装置。
【請求項2】
前記離間手段は、前記排出ローラの反転駆動に連動して前記離間させることを特徴とする請求項1に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項3】
前記離間手段は、
前記排出ローラの反転駆動に連動して回動するトルクリミッタと、
前記原稿集積部に集積された原稿側に向かって進退自在に設けられ、前記トルクリミッタの反転回動に連動して前記原稿集積部に積載された原稿に向かって進出して、前記原稿集積部に積載された原稿の後端側を押し出す押出部と、を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項4】
前記押出部は、前記トルクリミッタの反転回動に連動して前記原稿集積部に積載された原稿に向かって進出する側に、前記原稿集積部に集積された原稿に向かって可倒可能な可倒板を備えることを特徴とする請求項3に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項5】
前記押出部は、前記排出ローラの下部側に設けられていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項6】
前記離間手段は、
前記排出ローラの反転駆動に連動して回動するトルクリミッタと、
前記原稿集積部に集積された原稿側に向かって進退自在に設けられ、前記トルクリミッタの反転回動に連動して前記原稿集積部に積載された原稿に向かって進出するラックと、
前記原稿集積部に積載された原稿に向かって進出するラックに押圧されて、前記原稿集積部に集積された原稿に向かって可倒する可倒板と、を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の自動原稿搬送装置と、
前記搬送路上を搬送される原稿に記載される情報を読み取る読取部と、を備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
請求項7に記載の画像読取装置と、
前記読取部で読み取った画像を媒体に形成する画像形成部と、を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−195259(P2011−195259A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−63094(P2010−63094)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】