説明

原稿搬送装置

【課題】本発明は、原稿の排出性能を低下させることのない新規な構成の原稿搬送装置を提供することを目的とする。
【解決手段】原稿搬送装置は、一対の搬出ローラ(スイッチバックローラ50およびピンチローラ51)のニップ位置と原稿排出トレイ20の搬送方向上流側端部の位置とを上下方向に相対的に移動させることで、原稿M2を原稿排出トレイ20上の原稿Mの上に順に積層させる第1の排出モードと、原稿M2を原稿排出トレイ20上の原稿Mの下に順に潜り込ませる第2の排出モードとに切り替える排出機構と、前記第1の排出モード時に原稿排出トレイ20に排出された原稿Mを上方から押さえる押さえ部材70と、第2の排出モード時に押さえ部材70を上方に揺動させて退避させる退避機構(出没部材80等)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿を原稿載置トレイから読取位置を経て原稿排出トレイに搬送する原稿搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上段側に原稿給紙部を有し、下段側に原稿排出部を有する原稿搬送装置において、排出された原稿の搬送方向における先端や後端にカールがあっても、原稿が排出された順に積層させることができるように、原稿給紙部の底部に原稿のカールを押さえる押さえ板を取り付けた構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−211814号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した従来技術では、原稿をすでに排出された原稿の上に順に積層するように排出する構成についてしか検討されていない。一方、原稿をすでに排出された原稿の下に順に潜り込ませるように排出する構成も知られているが、この場合に原稿(特に後端)を押さえてしまうと、原稿がすでに排出された原稿の下に潜り込みにくくなってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、原稿の排出性能を低下させることのない新規な構成の原稿搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するため、本発明の原稿搬送装置は、原稿を載置する原稿載置トレイと、原稿が排出される原稿排出トレイと、前記原稿載置トレイと前記原稿排出トレイとを読取位置を経て連結する搬送経路に設けられ、原稿を前記原稿載置トレイから前記読取位置へ搬送するとともに、前記読取位置から前記原稿排出トレイへ搬送する搬送機構と、前記搬送経路に連結される反転経路に設けられ、前記読取位置を通過した原稿の搬送方向における先端と後端とを逆転させて前記読取位置の搬送方向上流側へ戻す反転機構と、前記原稿排出トレイに原稿を排出する一対の排出ローラと、前記一対の搬出ローラのニップ位置と前記原稿排出トレイの搬送方向上流側端部の位置とを上下方向に相対的に移動させることで、原稿を前記原稿排出トレイに排出された原稿の上に順に積層するように排出する第1の排出モードと、原稿を前記原稿排出トレイに排出された原稿の下に順に潜り込ませるように排出する第2の排出モードとに切り替える排出機構と、前記一対の排出ローラの搬送方向下流側において上下方向に揺動可能に設けられ、前記第1の排出モード時に前記原稿排出トレイに排出された原稿を上方から押さえる押さえ部材と、前記第2の排出モード時に前記押さえ部材を上方に揺動させて退避させる退避機構を備えることを特徴とする。
【0007】
ところで、原稿を積層するように排出するモードと、原稿を潜り込ませるように排出するモードとを切り替え可能な原稿搬送装置を検討したとき、従来技術のような押さえ板を取り付けると、原稿を潜り込ませるように排出する場合に原稿の排出性能が低下してしまう。一方、押さえ板を取り付けないと、原稿を上に積層させるように排出する場合、排出された原稿がカールすることで次に排出された原稿が下に潜り込んでしまい、原稿を順に積層できなくなるおそれがあるので、やはり原稿の排出性能が低下してしまう。
本発明に係る原稿搬送装置によれば、押さえ部材と、第2の排出モード時に押さえ部材を上方に揺動させて退避させる退避機構を備えているので、第1の排出モード時には排出された順に原稿を確実に積層できるとともに、第2の排出モード時には押さえ部材が原稿の潜り込みを阻害しない。
【発明の効果】
【0008】
本発明の原稿搬送装置によれば、第1の排出モード時には原稿を上に確実に積層できるとともに、第2の排出モード時には良好な原稿の潜り込みを実現できるので、原稿の排出性能を低下させることなく、原稿の排出モードを切り替える新規な構成を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
<原稿搬送装置の全体構成>
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。参照する図面において、図1は原稿搬送装置の全体構成を示す断面図であり、図2は原稿搬送部の構成を示す断面図である。
図1に示すように、原稿搬送装置1は、原稿載置トレイ10と、原稿排出トレイ20と、原稿搬送部30とを主に備えている。
【0010】
原稿載置トレイ10は、読み取るべき(搬送するべき)原稿を載置する部分であり、図1に示す原稿搬送装置1の右側下部に設けられている。
【0011】
原稿排出トレイ20は、読み取りが終了した(原稿搬送部30から排出された)原稿が載置される部分であり、原稿載置トレイ10の上方に設けられている。原稿排出トレイ20の詳細な構成については後述する。
【0012】
原稿搬送部30は、原稿を原稿載置トレイ10から原稿排出トレイ20に搬送する部分であり、図1に示す原稿載置トレイ10および原稿排出トレイ20の左方に設けられている。この原稿搬送部30は、本体フレーム30Aと、図1の左側下方を中心として本体フレーム30Aに対して回動可能に設けられたカバー30Bとから外枠が構成され、主に本体フレーム30Aおよびカバー30Bによって、搬送経路31と反転経路32が形成されている。また、原稿搬送部30は、搬送経路31に後述する搬送機構と排出機構の一部とを備え、反転経路32に後述する反転機構を備えている。
【0013】
ここで、以下の説明において、原稿が原稿載置トレイ10から搬送経路31を通って原稿排出トレイ20に搬送されるときの進行方向(図1の矢印で示す方向)を「搬送方向」という。また、以下の説明において、搬送方向上流側を単に「上流側」といい、搬送方向下流側を単に「下流側」という。
【0014】
<搬送経路および反転経路の構成>
図2に示すように、搬送経路31は、原稿載置トレイ10と原稿排出トレイ20とを読取位置Rを経て連結する経路であり、略U形状に形成されている。この搬送経路31は、吸入路33、下側搬送路34、湾曲路35および上側搬送路36とから構成されている。
【0015】
吸入路33は、原稿載置トレイ10の載置面10Aから下流側に向かって連続するように略水平に延びている。この吸入路33は、ガイド面が本体フレーム30Aによって形成されている。
【0016】
下側搬送路34は、吸入路33の下流側端部から図2の左斜め下方に向かって延びる傾斜部34Aと、傾斜部34Aの下流側端部から下流側に向かって略水平に延びる水平部34Bとから構成されている。この下側搬送路34は、傾斜部34Aの下側のガイド面が本体フレーム30Aによって形成され、傾斜部34Aおよび水平部34Bの上側のガイド面が原稿ガイド37によって形成されている。水平部34Bの下側は外部に露出しており、この部分が読取位置Rとなっている。
【0017】
原稿ガイド37は、下側搬送路34に対応して主に傾斜部と水平部を有し(符号省略)、水平部が読取位置Rで外部に露出する原稿を押さえる。なお、原稿搬送装置1が複写機や複合機などとともに使用されるとき、原稿ガイド37の水平部の下方には、公知の原稿読取装置(図示せず)のプラテンガラスGが配置されることになる。このとき、原稿は水平部34Bを原稿ガイド37とプラテンガラスGとの間に挟まれた状態で搬送されながら、読取位置Rにおいて、プラテンガラスGの下方に配置されたイメージセンサなどの原稿読取部(図示せず)によって読み取られる。
【0018】
湾曲路35は、下側搬送路34(水平部34B)の下流側端部から上方に向かって弧状に延び、搬送方向を図2の左から右に湾曲させている。この湾曲路35は、ガイド面が本体フレーム30Aおよびカバー30Bによって形成されている。図示はしないが、カバー30Bを回動して開くと、湾曲路35の一部が外部に露出するので、この部分から搬送経路31に詰まった原稿を取り除くことができる。
【0019】
なお、湾曲路35の上流側端部の下面には、プラテンガラスGの下流側端部の上端G1よりも低い位置から、後述する第2搬送ローラ47とピンチローラ48とのニップ位置に向けて傾斜する案内面35Aが形成されている。これにより、プラテンガラスG上を搬送された原稿は引っ掛かることなく湾曲路35に搬送される。
【0020】
上側搬送路36は、湾曲路35の下流側端部から原稿排出トレイ20側に向かって延びている。この上側搬送路36は、上側のガイド面が本体フレーム30Aによって形成されるとともに、下側のガイド面が本体フレーム30Aと後述する第1ガイド部材61によって形成されている。上側搬送路36の下流側端部は、原稿排出口38となっている。
【0021】
反転経路32は、原稿排出口38から図2の左斜め下方に向けて延び、下側搬送路34(傾斜部34A)の上流側端部に連結される経路である。この反転経路32は、本体フレーム30Aと、後述する第1ガイド部材61および第2ガイド部材62によってガイド面が形成される。
【0022】
<搬送機構の構成>
搬送機構は、搬送経路31に設けられ、原稿を原稿載置トレイ10から読取位置Rへ搬送するとともに、読取位置Rから原稿排出トレイ20へ搬送する機構である。本実施形態において搬送機構は、吸入ローラ41、吸入パッド42、分離ローラ43、分離パッド44、第1搬送ローラ45、第2搬送ローラ47、スイッチバックローラ50およびピンチローラ46,48,49,51とから主に構成されている。
【0023】
吸入ローラ41は、原稿載置トレイ10に載置された原稿を分離ローラ43側に寄せるためのローラであり、吸入路33下側の中央付近において上部を露出させて配置されている。この吸入ローラ41は、図示しないモータから駆動力が伝達されて回転駆動する。
【0024】
吸入パッド42は、原稿を吸入ローラ41に押し付けることで原稿を確実に搬送させるためものであり、吸入ローラ41の上方に対向して配置されている。この吸入パッド42は、上下方向に揺動可能に設けられ、吸入ローラ41に向けて付勢されている。
【0025】
分離ローラ43は、原稿を1枚ずつ送り出すためのローラであり、吸入路33下側の下流側端部において上部を露出させて配置されている。この分離ローラ43は、図示しないモータから駆動力が伝達されて回転駆動する。
【0026】
分離パッド44は、原稿を分離ローラ43に押し付けることで原稿を確実に1枚ずつに分離して送り出させるためものであり、分離ローラ43の上方に対向して配置されている。この分離パッド44は、上下方向に揺動可能に設けられ、分離ローラ43に向けて付勢されている。
【0027】
第1搬送ローラ45は、搬送経路31内で原稿を搬送するためのローラである。この第1搬送ローラ45は、傾斜部34A上側の中央付近で下部を下側搬送路34上に露出させ、上側搬送路36下側の中央付近で上部を上側搬送路36上に露出させて配置されている。第1搬送ローラ45は、図示しないモータから駆動力が伝達されて回転駆動する。
【0028】
ピンチローラ46は、傾斜部34A下側の中央付近において、上部が第1搬送ローラ45に当接した状態で配置されている。
【0029】
第2搬送ローラ47は、原稿を読取位置Rから原稿排出トレイ20に向けて搬送するためのローラであり、湾曲路35の上流側端部付近の上側において下部を露出させて配置されている。この第2搬送ローラ47は、図示しないモータから駆動力が伝達されて回転駆動する。
【0030】
ピンチローラ48は、湾曲路35の上流側端部付近の下側において、上部が第2搬送ローラ47に当接した状態で配置されている。
【0031】
ピンチローラ49は、上側搬送路36上側の中央付近において、下部が第1搬送ローラ45に当接した状態で配置されている。
【0032】
スイッチバックローラ50は、原稿を原稿排出トレイ20に排出するためのローラであり、原稿排出口38に配置されている。このスイッチバックローラ50は、図示しないモータから駆動力が伝達されて回転駆動する。なお、スイッチバックローラ50は、後述する反転機構と搬出機構の一部も構成している。
【0033】
ピンチローラ51は、原稿排出口38において、スイッチバックローラ50に対して上方から当接した状態で配置されている。このピンチローラ51には、軸方向両端部のそれぞれに、排出される原稿の搬送方向における後端に当接することで、原稿を押し出す複数の突起51Aが周方向に沿って設けられている。
【0034】
なお、各ピンチローラ46,48,49,51は、図示しない付勢部材により、当接する各ローラ45,47,50に向けて付勢されているので、原稿を各ローラ45,47,50に押し付けることができる。これにより、原稿を確実に搬送することができる。
【0035】
<反転機構の構成>
反転機構は、反転経路32上に設けられ、原稿の搬送方向における先端と後端とを逆転(反転)させて読取位置Rの上流側、詳細には、下側搬送路34(傾斜部34A)の上流側へ戻す機構である。本実施形態において反転機構は、第1ガイド部材61、第2ガイド部材62、スイッチバックローラ50およびピンチローラ52とから主に構成されている。
【0036】
第1ガイド部材61は、原稿排出口38付近のスイッチバックローラ50の上流側に配置され、揺動軸61Aを中心に上下方向に揺動可能に設けられている。この第1ガイド部材61は、原稿の反転を行わない場合には、下方に揺動して(図2の実線参照)原稿をスイッチバックローラ50とピンチローラ51のニップ位置に向けて案内する。このとき、第1ガイド部材61は、上側搬送路36の下側のガイド面の一部を形成している。
【0037】
一方、原稿の反転を行う場合には、まず上方に揺動して(図2の鎖線参照)上側搬送路36の経路を切り替え、原稿をスイッチバックローラ50とピンチローラ52のニップ位置に向けて案内する。そして、原稿の全体が反転経路32に入った後には、下方に揺動して(図2の実線参照)反転経路32のガイド面の一部を形成する。
【0038】
第2ガイド部材62は、反転経路32と搬送経路31(下側搬送路34)の合流部分に配置され、揺動軸62Aを中心に上下方向に揺動可能に設けられている。この第2ガイド部材62は、原稿の反転を行う場合には、下方に揺動して(図2の鎖線参照)反転経路32と下側搬送路34を連通する。このとき、第2ガイド部材62は、反転経路32のガイド面の一部を形成している。原稿の反転を行わない場合には、上方に揺動した状態(図2の実線参照)となって吸入路33と下側搬送路34とを連通している。
【0039】
スイッチバックローラ50は、回転方向を変更できるように、公知の制御方法によって制御されている。原稿の反転を行う場合には、図2の反時計回りに回転駆動してピンチローラ52との間で一度原稿を外部に向けて搬送する。そして、原稿が完全に排出される前に公知の制御方法により停止し、図2の時計回りに回転駆動してピンチローラ52との間で原稿を引き込むように搬送する。このとき、第1ガイド部材61が下方に揺動しているので(図2の実線参照)、引き込まれた原稿は第1ガイド部材61の下面に沿って反転経路32に導かれる。
【0040】
ピンチローラ52は、原稿排出口38の下部において、スイッチバックローラ50に対して下方から当接した状態で配置されている。このピンチローラ52も、他のピンチローラと同様に、スイッチバックローラ50に向けて付勢されているので、原稿をスイッチバックローラ50に押し付けることができる。これにより、原稿を確実に搬送することができる。
【0041】
<原稿搬送部の動作>
ここで、以上のように構成された原稿搬送部30の動作について説明する。図3は片面読取時の原稿搬送部の動作を説明するための図であり、図4ないし図6は両面読取時の原稿搬送部の動作を説明するための図である。なお、図4ないし図6においては、説明の便宜上、後述する押さえ部材70は省略している。
【0042】
[片面読取]
図3に示すように、片面読取時においては、第1ガイド部材61は下方に揺動し、第2ガイド部材62は上方に揺動した状態となっている。読取面P1を下向きにして原稿載置トレイ10に載置された原稿Mは、吸入ローラ41と吸入パッド42により分離ローラ43側に寄せられ、分離ローラ43と分離パッド44により下側搬送路34に搬送される。
【0043】
下側搬送路34に搬送された原稿Mは、第1搬送ローラ45とピンチローラ46により読取面P1を下向きにして読取位置Rに搬送され、公知の原稿読取装置により読取面P1が読み取られる。その後、原稿Mは、各ローラ47,48,45,49により湾曲路35と上側搬送路36を搬送され、スイッチバックローラ50とピンチローラ51により原稿排出口38から排出される。
【0044】
このとき、原稿Mは、読取面P1を上向きにした状態で排出されるので、すでに排出された原稿がある場合、その原稿も読取面が上向きとなっている。したがって、原稿Mを下に順に潜り込ませるように排出することで、原稿を整列させることができる。原稿を下側に潜り込ませるための排出機構については後述する。
【0045】
[両面読取]
図4に示すように、両面読取時においては、まず、第1ガイド部材61と第2ガイド部材62はともに上方に揺動した状態となっている。表の読取面P1を下向きにし、裏の読取面P2を上向きにして原稿載置トレイ10に載置された原稿Mは、各ローラ41,43および各パッド42,44により下側搬送路34に搬送される。
【0046】
下側搬送路34に搬送された原稿Mは、第1搬送ローラ45とピンチローラ46により読取面P1を下向きにして読取位置Rに搬送され、読取面P1が読み取られる。その後、原稿Mは、各ローラ47,48,45,49により湾曲路35と上側搬送路36を搬送され、第1ガイド部材61の下方を通って、スイッチバックローラ50およびピンチローラ52により外部に向かって搬送される。
【0047】
図5に示すように、原稿Mが完全にスイッチバックローラ50とピンチローラ52との間から排出される前に公知の制御方法によりスイッチバックローラ50を停止させることで、原稿Mはスイッチバックローラ50とピンチローラ52との間に挟まれた状態となる。そして、第1ガイド部材61と第2ガイド部材62をともに下方に揺動させることで、反転経路32が形成され、反転経路32と下側搬送路34が連通する。このとき、原稿Mは、表の読取面P1が上向き、裏の読取面P2が下向きとなっている。
【0048】
図6に示すように、スイッチバックローラ50を逆回転させることで、原稿Mは、スイッチバックローラ50とピンチローラ52により反転経路32に搬送され、下側搬送路34の上流側(読取位置Rの上流側)に搬送される。そして、第1搬送ローラ45とピンチローラ46により読取面P2を下向きにして原稿Mが読取位置Rに搬送され、読取面P2が読み取られる。その後、原稿Mは、各ローラ47,48,45,49により湾曲路35および上側搬送路36を搬送され、スイッチバックローラ50およびピンチローラ51により原稿排出口38から排出される。
【0049】
このとき、原稿Mは、裏の読取面P2を上向きにした状態で排出されるので、すでに排出された原稿がある場合、その原稿も裏の読取面が上向きとなっている。したがって、原稿Mを上に順に積層するように排出することで、原稿を整列させることができる。図6に示すように、原稿排出トレイ20の上流側端部Eが、スイッチバックローラ50とピンチローラ51とのニップ位置よりも下方にある場合には、そのまま原稿Mを排出することで、原稿Mをすでに排出された原稿の上に積層することができるので、原稿を順に整列させることができる。
【0050】
<排出機構周りの構成>
次に、本発明の特徴部分となる排出機構周りの構成について説明する。図7はフラップ部およびカムを図2の矢印Xの方向から見た図であり、図8は押さえ部材および出没部材を示す斜視図である。
ここで、以下の説明において、図2の紙面に向かって手前・奥側の方向、すなわち原稿の幅方向(搬送方向に直交する方向)を単に「幅方向」という。
【0051】
図2に示すように、排出機構は、原稿排出トレイ20と、一対の排出ローラの一例としてのスイッチバックローラ50およびピンチローラ51と、切替駆動機構の一例としてのカム53とから主に構成されている。また、原稿排出トレイ20の上流側端部の上方には、原稿排出トレイ20に載置された原稿Mの後端を押さえるための押さえ部材70が設けられている。
【0052】
原稿排出トレイ20は、トレイ部21と、トレイ部21の上流側に配置されたフラップ部22とから主に構成されている。
【0053】
トレイ部21は、原稿載置トレイ10の上方に配置され、幅方向両側がサイドパネル30Cに固定されている。このトレイ部21の上面は、原稿が排出される積層面21Aとなっている。なお、サイドパネル30Cは、幅方向両側に本体フレーム30Aと一体に設けられ、本体フレーム30Aおよびカバー30Bとともに、原稿搬送装置1の外枠(筐体)を構成するパネル状の部材である(図1参照。図1では一方のみ図示)。
【0054】
フラップ部22は、第1フラップ23と第2フラップ24とから構成されている。
第1フラップ23は、下流側端部に設けられた揺動軸23Aを中心として、トレイ部21に対して上下方向に揺動可能に取り付けられており、上流側端部に軸受部23Bが形成されている。第1フラップ23の幅方向における両側面の上部には、後述するカム53(押し上げ部53C)が当接する当接部23Cが幅方向外側に向けて突出するように設けられている(図7参照)。また、軸受部23Bには、上流側に突出した後上方に屈曲するL字状の出没部材80が一体に形成されている。
【0055】
出没部材80は、フラップ部22が揺動軸23Aを中心として上方に揺動した際に、押さえ部材70を上方に押し上げるためのものである。具体的に、出没部材80は、図8に示すように、第1フラップ23の幅方向両側、詳しくは原稿Mの幅よりも外側に1つずつ設けられている(1つのみ図示)。そして、出没部材80の先端面は、その上流側端部および下流側端部から略中央部に向かうにつれて押さえ部材70に向かって突出する山型形状となっており、その上流側の傾斜面によって押さえ部材70を上方の退避位置で良好に支持することが可能となっている。
【0056】
また、押さえ部材70も、一対の出没部材80に対応するように原稿Mの幅方向両側に1つずつ配設されている。押さえ部材70は、スイッチバックローラ50の下流側においてサイドパネル30C等の原稿搬送装置1の筐体に上下方向に揺動可能に設けられている。押さえ部材70の先端部には、出没部材80で押し上げられる部位となる被押圧部71と、被押圧部71よりも揺動軸側に切り欠かれた原稿当接部72が形成されている。被押圧部71は、図2の状態において、フラップ部22の幅方向外側に位置して出没部材80と当接可能となっている。また、原稿当接部72は、図2の状態において原稿排出トレイ20の上面に対向するように配置される。
【0057】
第2フラップ24は、第1フラップ23の上流側に配置され、第1フラップ23の軸受部23Bに受けられた揺動軸24Aを中心として、第1フラップ23に対して揺動可能に取り付けられている。この第2フラップ24には下流側寄りに下方へ折れ曲がる屈曲部25が設けられ、全体として略L形状をなしている。そして、第2フラップ24は、図2のように第1フラップ23が下方に揺動した状態においては、サイドパネル30Cなどに適宜係合することによって、その上面を略水平にした状態に維持される。この際、フラップ部22の上面が、スイッチバックローラ50およびピンチローラ51のニップ位置よりも下方に位置するため、スイッチバックローラ50等から排出される原稿は、原稿排出トレイ20上に下側から順に積層される。言い換えると、第1フラップ23が下方に揺動した状態においては、原稿を原稿排出トレイ20に排出された原稿の上に順に積層するように排出する第1の排出モードで原稿が排出されるようになっている。
【0058】
また、第2フラップ24は、第1フラップ23が上方に揺動した状態においては(図11参照)、第1フラップ23に対して下方に揺動した状態(その上面が下流側から上流側に向かうにつれて斜め下方に傾く状態)となる。この際、第2フラップ24は、その一部(図示せず)が第1フラップ23の一部(図示せず)に当接することで、下方への回動が所定位置で規制される。そして、この状態においては、フラップ部22の上面が、スイッチバックローラ50およびピンチローラ51のニップ位置よりも上方に位置するため、スイッチバックローラ50等から排出される原稿は、原稿排出トレイ20上の原稿の下に潜り込むこととなる。言い換えると、第1フラップ23が上方に揺動した状態においては、原稿を原稿排出トレイ20に排出された原稿の下に順に潜り込ませるように排出する第2の排出モードで原稿が排出されるようになっている。
【0059】
そして、第1の排出モードにおいて、出没部材80の大部分は、図2に示すように、第2フラップ24の上面が略水平となることによって(第2フラップ24が第1フラップ23に対して上方に傾くことによって)、第2フラップ24の上面に対して没入した状態となっている。また、第2の排出モードにおいては、第2フラップ24が第1フラップ23に対して下方に揺動することによって、図11に示すように、出没部材80の大部分が第2フラップ24の上面から上方へ相対的に突出して、押さえ部材70を上方へ押圧するようになっている。
【0060】
スイッチバックローラ50は、原稿を排出するときには、図2の時計回りに回転駆動してピンチローラ51との間で原稿を挟むようにして搬送し、原稿排出トレイ20上に排出する。
【0061】
カム53は、図7に示すように、第1フラップ23の幅方向両側に配置され、軸部53A、連結部53Bおよび押し上げ部53Cとから一体に形成されている。軸部53Aは、サイドパネル30Cに回転可能に設けられ、図示しないモータから駆動力が伝達されて回転駆動する。連結部53Bは、軸部53Aと押し上げ部53Cとを連結する部分であり、サイドパネル30Cに対して略平行に配置されている。押し上げ部53Cは、連結部53Bの一端から幅方向内側に向かって延びる略円柱状の部分である。
【0062】
そして、このカム53は、図2に示す制御装置90によって正回転または逆回転されるようになっており、これにより、フラップ部22が上下に揺動して、第1の排出モードと第2の排出モードとに切換可能となっている。ここで、このカム53と、前述したフラップ部22および出没部材80とは、押さえ部材70を上方に揺動させて退避させる退避機構の一例に相当する。
【0063】
なお、制御装置90は、CPU、ROM、RAMなどを備えた制御装置であり、原稿搬送装置1全体の動作を制御する。また、原稿搬送装置1は、両面読取するか片面読取するか否かを選択する選択手段91、たとえばボタン入力装置や画面からの入力装置あるいは両面に印刷された原稿かどうかを検出するセンサなどを備える。なお、この選択手段91は、原稿搬送装置1自体に設けられていてもよいし、原稿搬送装置1を設置する画像形成装置本体に設けてもよい。そして、制御装置90は、選択手段91での選択に基づいて前述した退避機構(カム53等)を制御して前述した反転機構(第1ガイド部材61等)を使用するか否かを切り替える。具体的には、ユーザから選択手段91を介して両面読取指示を受けた場合に、制御装置90は、反転機構を使用すると決定し、片面読取指示を受けた場合に、反転機構を使用しないと決定する。そして、制御装置90は、反転機構の使用を選択した場合に、前記退避機構を制御することで、押さえ部材70を、原稿排出トレイ20上の原稿Mを上方から押さえることができる状態とするように作動する。すなわち、制御装置90は、両面読取指示を受けた場合には、フラップ部22を下方に揺動させることで、押さえ部材70で原稿Mを上方から押さえることができる第1の排出モードに切り換える制御を行っている。
【0064】
以上のように構成された原稿搬送装置1の作用効果について説明する。参照する図面において、図9ないし図11は押さえ部材および原稿排出トレイの動作を説明するための図であり、図12(a)は第1の排出モード時の状態を示す図であり、(b)は第2の排出モード時の状態を示す図である。
【0065】
図9に示すように、フラップ部22を下方に揺動した状態(第1の排出モードの状態)においては、押さえ部材70の先端が自重で下向きとなった状態で、押さえ部材70の被押圧部71が出没部材80と当接することで、その原稿当接部72が第2フラップ24の上面に位置している。そのため、図12(a)に示すように、読み取りが完了した原稿Mを原稿排出トレイ20上に排出する際には、スイッチバックローラ50とピンチローラ51間から排出される原稿Mの先端で押さえ部材70が押圧されて下流側へ揺動するとともに、原稿Mが押さえ部材70や原稿排出トレイ20の面に沿って下流側へ移動する。そして、原稿Mの全体が原稿排出トレイ20上に載った際には、原稿Mの後端部が押さえ部材70の原稿当接部72で押さえられる。これにより、原稿Mの後端部がカールしている場合であっても、原稿Mの後端部を押さえ部材70によってスイッチバックローラ50とピンチローラ51とのニップ位置よりも下方の位置に押さえることができるので、次に搬送されてくる原稿M2の先端が、原稿排出トレイ20上にある原稿Mの下側に潜り込むことが抑制される。
【0066】
なお、このような第1の排出モードは、ユーザから両面読取指示が出力された場合に、制御装置90によって設定される。そして、このように両面読取時(図6参照)に第1の排出モードが設定されることで、原稿Mは、表の読取面P1を下向きに、裏の読取面P2を上向きにした状態で排出される。そのため、その後、表の読取面P3を下向きに、裏の読取面P4を上向きにした原稿M2が原稿Mの上に積層するように排出されることで、原稿M,M2の読取面を下から順にP1,P2,P3,P4と整列させることができる。
【0067】
また、第1の排出モードから第2の排出モードに切り換える場合には、図9に示すように、カム53を制御装置90によって反時計回りに回転させることで、図10,11の順に示すように、第1フラップ23が上方へ揺動するとともに、第2フラップ24が下方へ揺動する。この際、第1フラップ23の先端に形成された出没部材80が第2フラップ24の上面から相対的に突出していきつつ、押さえ部材70を上方に押し上げてフラップ部22の上面から退避させる。また、この際、第2フラップ24が下方に揺動することにより、屈曲部25の頂部が第2フラップ24の上流側端部24Bよりも上方に位置するとともに、上流側端部24Bが、スイッチバックローラ50とピンチローラ51のニップ位置に対して上下方向で略同じ位置に位置決めされる。
【0068】
そのため、図12(b)に示すように、読み取りが完了した原稿Mを原稿排出トレイ20上に排出する際には、スイッチバックローラ50とピンチローラ51間から排出される原稿Mが押さえ部材70と当接することなく、原稿排出トレイ20上にスムーズに排出される。また、原稿排出トレイ20上に排出された原稿Mの後端部は押さえ部材70によって下方に押さえられないので、次に搬送されてくる原稿M2が原稿Mの下に容易に潜り込むことが可能となっている。ここで、原稿M2の原稿Mへの潜り込みは、原稿排出トレイ20上の原稿Mの後端部が屈曲部25の頂部によって支持されて第2フラップ24から浮いた状態となることによって、良好に実現可能となっている。
【0069】
なお、このような第2の排出モードは、ユーザから片面読取指示が出力された場合に、制御装置90によって設定される。そして、このように片面読取時(図3参照)に第2の排出モードが設定されることで、原稿Mは、読取面P1を上向きにした状態で排出される。そのため、その後、読取面P2を上向きにした原稿M2が原稿Mの下に潜り込むように排出されることで、原稿M,M2の読取面P1,P2を上向きにした状態で整列させることができる。
【0070】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
第1の排出モード時に原稿Mの後端部を押さえる押さえ部材70が、第2の排出モード時においては退避機構(出没部材80やフラップ部22等)で上方に押し上げられることでフラップ部22の上面から離間(退避)するので、第1の排出モード時には原稿Mの潜り込みを抑制して原稿Mを上から順に確実に積層できるとともに、第2の排出モード時には押さえ部材70が抵抗になることなく原稿Mの潜り込みを良好に実現できる。したがって、原稿Mの排出性能を低下させることなく、原稿Mの排出モードを切り替えることができる。
【0071】
フラップ部22の上下動に連動して押さえ部材70を上下に揺動させたので、フラップ部22が下がった第1の排出モード時には確実に原稿Mの後端部を押さえ部材70で押さえることができ、フラップ部22が上がった第2の排出モード時には確実に押さえ部材70をフラップ部22の上面から退避させることができる。
【0072】
第1の排出モードにおいて出没部材80が第2フラップ24の上面から下方に没入するため、第1の排出モードにおいて原稿Mを出没部材80に当接させずにスムーズに排出することができる。また、出没部材80が原稿Mの幅よりも外側に設けられているので、第2フラップ24の上面から出没部材80が突出する第2の排出モードであっても、原稿Mを出没部材80に当接させずにスムーズに排出することができる。
【0073】
反転機構を使用する際(搬送方向を切り換えて原稿Mの先端と後端を逆転させるスイッチバックを行う際;両面読取時)には、制御装置90が退避機構を第1の排出モードに制御するので、押さえ部材70で原稿の後端部を押さえることができる。なお、原稿排出トレイ20に複数枚積層された原稿が押さえ部材70で押さえられていない場合には、各原稿が空気層を介して積層されて、その高さが高くなる。そのため、図5に示すようにスイッチバックローラ50とその直下のピンチローラ52との間で原稿Mがスイッチバックされる際に、積層された原稿の間にスイッチバック中の原稿Mが入り込んで摺接する。そして、このように摺接すると、スイッチバック中の原稿Mに負荷が加わって、原稿Mが折れ曲がる場合があり、このように折れ曲がった場合には、スイッチバックローラ50とピンチローラ52間で原稿Mが詰まってしまうことがある。また、押さえ部材70で押さえられていない原稿の後端部がカールする場合には、この後端部とスイッチバック中の原稿Mとが当接して原稿Mが折れ曲がることで、原稿Mが詰まってしまうこともある。このような問題に対して、本実施形態では、スイッチバック時に押さえ部材70で原稿を押さえることで各原稿間の空気が外に押し出されて積層された原稿の高さが低くなるので、積層された原稿とスイッチバック中の原稿Mとの摺接が抑制され、良好にスイッチバックを行うことができる。また、本実施形態では、スイッチバック時に押さえ部材70で原稿を押さえることで積層された原稿の後端部のカールが押さえられるので、スイッチバック中の原稿Mと原稿のカールした後端部との当接が抑制され、良好にスイッチバックを行うことができる。
【0074】
前記した原稿搬送装置1では、図3などに示したように、原稿Mは読取位置RにおいてプラテンガラスGの中央から端部(図3の右から左)の方向に向けて搬送されるので、原稿読取装置のプラテンガラスG(読取ガラス)を1枚で構成することができる。ちなみに、図3の構造において逆方向(プラテンガラスGの左端部から中央)に向けて原稿Mを搬送すると、プラテンガラスGの上面と原稿搬送装置1の下面との間に原稿Mが入り込んでしまい、原稿Mを右斜め上にある原稿排出トレイ(前記実施形態では原稿載置トレイ10)へ送ることができなくなってしまう。そのため、図3の逆方向で原稿Mを搬送する場合には、読取位置Rの右側でプラテンガラスGを2枚に分断し、これらの間に、プラテンガラスの上面よりも一段下がった位置に下端が配置され、かつ、上端が右斜め上方に位置する傾斜面を設けることで、プラテンガラスGの上面と原稿搬送装置1の下面との間に原稿Mを入り込ませずに、右斜め上方に位置する原稿排出トレイに原稿Mを搬送する必要がある。したがって、このような搬送方向(図3の逆方向)であるとプラテンガラスGを2枚に分断する必要があるが、前記実施形態のような搬送方向(図3の方向)であれば、プラテンガラスGを1枚で構成でき、原稿読取装置の寸法を小さくすることができるので、結果として複写機や複合機などの小型化を実現することができる。
【0075】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記した実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0076】
前記実施形態では、フラップ部22を上下に揺動させることで、一対の排出ローラ(スイッチバックローラ50とその直上のピンチローラ51)のニップ位置と、原稿排出トレイ20の上流側端部の位置とを相対的に移動させたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、一対の排出ローラを上下に移動させることで、一対の排出ローラのニップ位置と、原稿排出トレイの上流側端部の位置とを相対的に移動させてもよい。
【0077】
前記実施形態では、出没部材80を原稿Mの幅よりも外側に2つ配置したが、本発明はこれに限定されず、片側に1つだけ設けてもよいし、原稿Mの幅内に配置してもよい。
前記実施形態では、押さえ部材70を退避させる退避機構を、出没部材80、フラップ部22、カム53などで構成したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、フラップ部の回転軸から押さえ部材の揺動軸にトルクを伝達するギヤ機構を退避機構としてもよい。この場合も、フラップ部と押さえ部材を連動させることができる。なお、フラップ部と押さえ部材を連動させるには、機械的に連結するだけでなく、例えばフラップ部と押さえ部材の駆動源をそれぞれ別々とし、各駆動源を制御することでフラップ部と押さえ部材を連動させてもよい。
【0078】
前記実施形態では、出没部材80を第1フラップ23に一体形成するとともに、第1フラップ23に対して第2フラップ24を揺動可能とすることで、出没部材80をフラップ部の上面(第2フラップ24の上面)から相対的に出没可能としたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、フラップ部に対して揺動可能に出没部材を設け、この出没部材の先端が常時フラップ部の上面から突出するようにばね部材で付勢し、フラップが下方に揺動する際に出没部材の基端がフラップ部を支持する筐体の一部に当接することで、出没部材の先端が下方に揺動してフラップ部の上面から没入するように構成してもよい。
【0079】
前記実施形態では、押さえ部材70の自重によって原稿の後端部を押さえることとしたが、本発明はこれに限定されず、押さえ部材70を常時下方に付勢する付勢部材を設けてもよい。なお、付勢部材の付勢力は、スイッチバックローラ50によって排出される原稿Mの先端で押さえ部材70が押圧されて揺動可能となる程度の付勢力に設定すればよい。
【0080】
前記した実施形態では、原稿排出トレイ20が原稿載置トレイ10の上方に設けられた構成を示したが、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、原稿排出トレイが原稿載置トレイの下方に設けられた構成であっても適用することができる。
【0081】
前記した実施形態で示した搬送機構および反転機構の構成は一例であり、搬送機構および反転機構の構成は、これに限定されず、例えば、各ローラの数や配置などは適宜変更することができる。また、各パッドに代えてピンチローラを採用することもできる。すなわち、搬送機構および反転機構は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲でその構成や採用する部材などを適宜変更することができる。
【0082】
前記した実施形態で示した搬送経路31および反転経路32の構成は一例であり、搬送経路および反転経路の構成は、これに限定されるものではない。すなわち、搬送機構および反転機構の構成は、原稿載置トレイと原稿排出トレイとの位置関係、原稿搬送部の形状や大きさなどにより適宜変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の実施形態に係る原稿搬送装置の全体構成を示す断面図である。
【図2】原稿搬送部の構成を示す断面図である。
【図3】片面読取時の原稿搬送部の動作を説明するための図である。
【図4】両面読取時の原稿搬送部の動作を説明するための図である。
【図5】両面読取時の原稿搬送部の動作を説明するための図である。
【図6】両面読取時の原稿搬送部の動作を説明するための図である。
【図7】フラップ部およびカムを図2の矢印Xの方向から見た図である。
【図8】押さえ部材および出没部材を示す斜視図である。
【図9】押さえ部材および原稿排出トレイの動作を説明するための図である。
【図10】押さえ部材および原稿排出トレイの動作を説明するための図である。
【図11】押さえ部材および原稿排出トレイの動作を説明するための図である。
【図12】(a)は第1の排出モード時の状態を示す図であり、(b)は第2の排出モード時の状態を示す図である。
【符号の説明】
【0084】
1 原稿搬送装置
10 原稿載置トレイ
20 原稿排出トレイ
21 トレイ部
22 フラップ部
23 第1フラップ
23A 揺動軸
24 第2フラップ
24A 揺動軸
24B 上流側端部
25 屈曲部
50 スイッチバックローラ
51 ピンチローラ
52 ピンチローラ
53 カム
70 押さえ部材
71 被押圧部
72 原稿当接部
80 出没部材
90 制御装置
M,M2 原稿

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を載置する原稿載置トレイと、
原稿が排出される原稿排出トレイと、
前記原稿載置トレイと前記原稿排出トレイとを読取位置を経て連結する搬送経路に設けられ、原稿を前記原稿載置トレイから前記読取位置へ搬送するとともに、前記読取位置から前記原稿排出トレイへ搬送する搬送機構と、
前記搬送経路に連結される反転経路に設けられ、前記読取位置を通過した原稿の搬送方向における先端と後端とを逆転させて前記読取位置の搬送方向上流側へ戻す反転機構と、
前記原稿排出トレイに原稿を排出する一対の排出ローラと、
前記一対の搬出ローラのニップ位置と前記原稿排出トレイの搬送方向上流側端部の位置とを上下方向に相対的に移動させることで、原稿を前記原稿排出トレイに排出された原稿の上に順に積層するように排出する第1の排出モードと、原稿を前記原稿排出トレイに排出された原稿の下に順に潜り込ませるように排出する第2の排出モードとに切り替える排出機構と、
前記一対の排出ローラの搬送方向下流側において上下方向に揺動可能に設けられ、前記第1の排出モード時に前記原稿排出トレイに排出された原稿を上方から押さえる押さえ部材と、
前記第2の排出モード時に前記押さえ部材を上方に揺動させて退避させる退避機構を備えることを特徴とする原稿搬送装置。
【請求項2】
前記原稿排出トレイは、トレイ部と、前記トレイ部の搬送方向上流側に配置され、前記トレイ部に対して上下方向に揺動可能に取り付けられたフラップ部とを有し、
前記退避機構は、前記フラップ部が上方に揺動した場合に、前記押さえ部材を上方に揺動させて退避させることを特徴とする請求項1に記載の原稿搬送装置。
【請求項3】
前記退避機構は、前記第2の排出モードにおいて前記フラップ部が上方に揺動した場合、前記フラップ部の上面から相対的に突出するとともに、前記第1の排出モードにおいて前記フラップ部が下方に揺動した場合、前記フラップ部の上面に対して相対的に没入する出没部材を有し、
前記出没部材は、前記第2の排出モードにおいて前記フラップ部が上方に揺動した場合に前記押さえ部材に当接して前記押さえ部材を退避させることを特徴とする請求項2に記載の原稿搬送装置。
【請求項4】
前記出没部材は、搬送方向に直交する原稿の幅よりも外側に設けられることを特徴とする請求項3に記載の原稿搬送装置。
【請求項5】
前記反転機構を使用するか否かを選択する選択手段での選択に基づいて前記退避機構を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記反転機構の使用が選択された場合、前記退避機構を制御することで、前記押さえ部材を、前記原稿排出トレイに排出された原稿を上方から押さえることができる状態とすることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の原稿搬送装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−207054(P2009−207054A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−49453(P2008−49453)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】