原稿照明装置
【課題】輝度リップルを減少させるために拡散板あるいは拡散フィルム等を用いると、製造コストの上昇、装置の大型化及び原稿の照度の低下を招く。
【解決手段】導光板4の内部には、散乱粒子SPを混入させてある。導光板4の表面S2、裏面S3、右側面S4及び左側面S5は、鏡面の場合に導光板4の光を表面反射させる作用をし、他方、凹凸パターン面の場合に導光板4の光を表面拡散させる作用をする。従って、この表面反射あるいは表面拡散を散乱粒子SPによる内部拡散と併せることにより導光板4の発光面S6における輝度分布をより均一にさせることができる。
【解決手段】導光板4の内部には、散乱粒子SPを混入させてある。導光板4の表面S2、裏面S3、右側面S4及び左側面S5は、鏡面の場合に導光板4の光を表面反射させる作用をし、他方、凹凸パターン面の場合に導光板4の光を表面拡散させる作用をする。従って、この表面反射あるいは表面拡散を散乱粒子SPによる内部拡散と併せることにより導光板4の発光面S6における輝度分布をより均一にさせることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は縮小光学系スキャナ、密着式光学系スキャナ等の原稿読取システムに用いられる原稿照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な原稿読取システムを示す図12を参照すると、原稿読取システムは、原稿照明装置100、原稿照明装置100からの光を受けるコンタクトガラス200等よりなり、原稿照明装置100から発光された光はコンタクトガラス200によって反射されて電荷結合素子(CCD)等よりなる撮像手段(図示せず)に到着する。この場合、原稿照明装置100はコンタクトガラス200に対して45°〜50°程度傾斜しており、コンタクトガラス200からの法線方向成分のみが撮像手段に到着する。また、原稿照明装置100及び撮像手段は一定の距離dたとえば5mm程度で固定され、副走査方向に移動可能となっている。
【0003】
原稿照明装置100においては、コンタクトガラス上200の原稿を高精彩に読取るために、キャノン(Xe)管、冷陰極管(CCFL)等の線状光源を用いていた。これにより、コンタクトガラス200の主走査方向の一定範囲で均一の照度分布を発生できた。
【0004】
他方、最近、省スペース、低消費電力、高輝度等で有利な複数の発光ダイオード(LED)素子の点状光源を列状配列した光源ユニットが用いられている(参照:特許文献1)。
【0005】
しかし、複数のLED素子を列状配列した光源ユニットを用いた原稿照明装置100においては、個々のLED素子のリップル、発光分布のばらつきによってコンタクトガラス200の主走査方向の照度分布むらが発生していた。
【0006】
上述のコンタクトガラス200の主走査方向の照度分布むらを防止するための第1の従来の原稿照明装置は拡散効果を有する拡散板あるいは拡散フィルムを用いることにより、発光面の主走査方向の輝度分布を均一にしていた。
【0007】
また、上述のコンタクトガラス200の主走査方向の照度分布むらを防止するための第2の従来の原稿照明装置はLED素子を封止するポッティング材に光の散乱材を混入させて発光分布を均一にしていた(参照:特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−32996号公報
【特許文献2】特開平7−46376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述の第1の従来の原稿照明装置においては、拡散板もしくは拡散フィルムの追加によって製造コストが上昇しかつ装置が大型化すると共に照度の低下を招くという課題があった。
【0010】
また、上述の第2の従来の原稿照明装置においては、点状光源としてのLED素子自体の散乱効果による発光分布の均一化をできるが、実際に原稿の画像を読取る撮像手段はコンタクトガラス200の法線方向のみの照度エネルギーを電圧に変換するので、反射の高い光沢紙、金属シート等については、複数のLED素子を列状配列した原稿照明装置の発光面の主走査方向の輝度分布が均一でない限り、発光面の輝点の影響によりコンタクトガラス200の主走査方向の照度分布むらが発生して画像不良を引き起こすという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の課題を解決するために、本発明に係る原稿照明装置は、複数の点状光源を列状配列した光源ユニットと、この光源ユニットの長手方向に一致した導光板とを具備し、導光板に散乱粒子を混入させたものである。散乱粒子はたとえば後方散乱粒子である。これにより、拡散板あるいは拡散フィルムを用いずに、導光板内の散乱粒子たとえば後方散乱粒子による導光板の光の内部拡散が輝度リップルの減少に寄与する。
【0012】
また、導光板は、鏡面及び凹凸パターンのいずれか1つを有する入光面と、鏡面を有する表面及び裏面と、凹凸パターンを有する出光面とを具備する。これにより、導光板の入光面に入光した光は鏡面の表面、裏面で反射しながら凹凸パターンの出光面に到達し、出光面から散乱しながら出光する。つまり、導光板の光の内部拡散に加えて導光板の表面反射が輝度リップルの減少に寄与する。
【0013】
他方、導光板は、鏡面及び凹凸パターンのいずれか1つを有する入光面と、凹凸パターンを有する表面及び裏面と、凹凸パターンを有する出光面とを具備し、さらに、原稿照明装置は表面及び裏面の外側に設けられた反射部材を具備するものである。これにより、導光板の入光面に入光した光は凹凸パターンの表面、裏面で反射拡散しつつ表面、裏面を透過した光は反射部材で内部へ戻されて凹凸パターンの出光面に到達し出光面から拡散しながら出光する。つまり、導光板の光の内部拡散に加えて導光板の表面拡散が輝度リップルの減少に寄与する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、散乱粒子による導光板の光の内部拡散によって導光板の輝度リップルが減少するので、高コストの拡散板あるいは拡散フィルムを用いずに、反射率の高い光沢紙、金属シート等に対しても、その主走査方向の照度分布むらを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る原稿照明装置の実施の形態を示し、(A)は全体写真であり、(B)は(A)の筺体断面部分を示し、(C)は(B)のLED素子、導光板、反射部材部分を示す。
【図2】図1のLED素子、導光板及び反射部材の拡大図であり、(A)は断面図、(B)は上面図である。
【図3】図1、図2の導光板に散乱粒子が存在しない場合の導光板の出光面写真及び輝度リップルを説明する図である。
【図4】前方散乱粒子の例を示す写真である。
【図5】図1、図2の導光板に前方散乱粒子が存在する場合の導光板の出光面写真及び輝度リップルを説明する図である。
【図6】後方散乱粒子の例を示す写真である。
【図7】図1、図2の導光板に後方散乱粒子が存在する場合の導光板の出光面写真及び輝度リップルを説明する図である。
【図8】図1、図2の導光板に後方散乱粒子が存在する場合の導光板の出光面写真及び輝度リップルを説明する図である。
【図9】図1、図2の導光板に後方散乱粒子が存在する場合の導光板の出光面写真及び輝度リップルを説明する図である。
【図10】図1、図2の導光板に後方散乱粒子が存在する場合の導光板の出光面写真及び輝度リップルを説明する図である。
【図11】図1、図2の導光板に後方散乱粒子が存在する場合の導光板の出光面写真及び輝度リップルを説明する図である。
【図12】一般的な原稿読取システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は本発明に係る原稿照明装置の実施の形態を示し、(A)は全体写真であり、(B)は(A)の筐体断面部分を示し、(C)は(B)のLED素子、導光板、反射部材部分を示す。
【0017】
図1の(A)に示すごとく、原稿照明装置は光を主走査方向に均一に出光する一方、副走査方向に移動可能となっている。
【0018】
図1の(B)の断面写真に示すアクリル樹脂等よりなる筐体1、2内に、図1の(C)に示すごとく、複数のLED素子3を列状配列した光源ユニット、光源ユニットの長手方向(主走査方向)に一致した導光板4、及び導光板4の表面及び裏面に装着された反射部材5−1、5−2を設けてある。これにより、光源ユニットのLED素子3から光の副走査方向を導光板4で集光させて出光させるようにする。
【0019】
次に、図1の(C)のLED素子3、導光板4及び反射部材5−1、5−2について図2を参照して詳述する。尚、図2において、(A)は断面図、(B)は上面図である。
【0020】
図2において、導光板4はたとえばポリメチルメタクリレート(PMMA)よりなり、その内部には、散乱粒子SPを混入させてある。これにより、導光板4の内部散乱を増大させて導光板4の発光面の主走査方向の輝度分布を均一させる。
【0021】
図2の導光板4の構成について詳述する。
【0022】
入光面S1はLED素子3からの入光効率を上げるために鏡面もしくはプリズム、ブラスト等の凹凸パターン面となっている。
【0023】
表面S2、裏面S3、右側面S4、左側面S5は鏡面もしくはプリズム、ブラスト等の凹凸パターン面になっている。但し、鏡面の表面S2、裏面S3、右側面S4、左側面S5は光を散乱させずに出光面S6に向けさせるのに対し、凹凸パターン面の表面S2、裏面S3、右側面S4、左側面S5は光を散乱させるが外部へも抜けるために光効率が低下する。その外部へ抜けた光を内部に戻すために、反射部材5−1、5−2を少なくとも表面S2、裏面S3の外側に設ける。この場合、右側面S4、左側面S5は小さくかつ製造コストの点で、反射部材を設けていないが、設けてもよい。また、製造コストの点で、表面S2、裏面S3のみを凹凸パターン面とし、右側面S4、左側面S5は鏡面とすることもできる。
【0024】
反射部材5−1、5−2は銀あるいはアルミニウムが蒸着された正反射シートあるいはフィルム、または白色拡散反射シートあるいはフィルムである。
【0025】
出光面S6は拡散効果を有するプリズム、ブラスト等を含む凹凸パターン面である。
【0026】
導光板4の表面S2、裏面S3、右側面S4及び左側面S5は、鏡面の場合に導光板4の光を表面反射させる作用をし、他方、凹凸パターン面の場合に導光板4の光を表面拡散させる作用をする。従って、この表面反射あるいは表面拡散を散乱粒子SPによる内部拡散と併せることにより導光板4の発光面S6における輝度分布をより均一にさせることができる。
【0027】
次に、図2の散乱粒子SPについて詳述する。散乱粒子SPはたとえばシリコーン樹脂よりなる。尚、図3、図5、図7〜図11の各(B)における輝度リップルは輝度の最小値に対する相対変化量で表わしている。
【0028】
図3は導光板4に散乱粒子SPが存在しない場合の導光板4の出光面写真及び輝度リップルを説明する図である。すなわち、図3の(A)に示すように、LED素子3による明部による輝点が明瞭に観察され、また、図3の(B)に示すように、輝度リップルは非常に大きい。従って、導光板4の出光面S6の輝度分布むらが非常に大きいことが分る。
【0029】
散乱粒子SPとして前方散乱粒子を考察する。たとえば、図4に白い形状で示すように、前方散乱粒子は大きさが6〜8μm程度の球体をなしている。
【0030】
図5は導光板4に0.06wt%の前方散乱粒子SPが存在する場合の導光板4の出光面写真及び輝度リップルを説明する図である。すなわち、図5の(A)に示すように、LED素子3による明部による輝点が明瞭に観察され、また、図5の(B)に示すように、輝度リップルは小さくなるが依然として非常に大きい。従って、導光板4の出光面S6の輝度分布むらは小さくなるが依然として大きいことが分る。
【0031】
尚、導光板4内の前方散乱粒子SPを増大させる程、輝度リップルは減少するが、それ程減少しないことが分かった。つまり、前方散乱粒子SPは内部散乱に寄与するがその寄与度は小さいことが分かった。
【0032】
次に、散乱粒子SPとして後方散乱粒子を考察する。たとえば、図6に黒い形状で示すように、後方散乱粒子は大きさが1〜3μm程度の非球体をなしている。
【0033】
図7は導光板4に0.20wt%の後方散乱粒子SPが存在する場合の導光板4の出光面写真及び輝度リップルを説明する図である。すなわち、図7の(A)に示すように、LED素子3による明部による輝点が不明瞭に観察され、また、図7の(B)に示すように、輝度リップルは小さくなる。従って、導光板4の出光面S6の輝度分布むらが小さくなることが分る。
【0034】
図8は導光板4に0.40wt%の後方散乱粒子SPが存在する場合の導光板4の出光面写真及び輝度リップルを説明する図である。すなわち、図8の(A)に示すように、LED素子3による明部による輝点がさらに不明瞭に観察され、また、図8の(B)に示すように、輝度リップルはさらに小さくなる。従って、導光板4の出光面S6の輝度分布むらがさらに小さくなることが分る。
【0035】
図9は導光板4に0.50wt%の後方散乱粒子SPが存在する場合の導光板4の出光面写真及び輝度リップルを説明する図である。すなわち、図9の(A)に示すように、LED素子3による明部による輝点がさらに不明瞭に観察され、また、図9の(B)に示すように、輝度リップルはさらに小さくなる。従って、導光板4の出光面S6の輝度分布むらがさらに小さくなることが分る。
【0036】
図10は導光板4に0.67wt%の後方散乱粒子SPが存在する場合の導光板4の出光面写真及び輝度リップルを説明する図である。すなわち、図10の(A)に示すように、LED素子3による明部による輝点がさらに不明瞭に観察され、また、図10の(B)に示すように、輝度リップルはさらに小さくなる。従って、導光板4の出光面S6の輝度分布むらがさらに小さくなることが分る。
【0037】
図11は導光板4に0.80wt%の後方散乱粒子SPが存在する場合の導光板4の出光面写真及び輝度リップルを説明する図である。すなわち、図11の(A)に示すように、LED素子3による明部による輝点がさらに不明瞭に観察され、また、図11の(B)に示すように、輝度リップルはさらに小さくなる。従って、導光板4の出光面S6の輝度分布むらがさらに小さくなることが分る。
【0038】
このように、導光板4内の後方散乱粒子SPの量を増大させる程、輝度リップルはそれに応じて減少することが分かった。つまり、後方散乱粒子SPは内部散乱に大きく寄与することが分かった。
【0039】
上述の実施の形態においては、導光板4の鏡面もしくは凹凸パターン面の表面S2、裏面S3等による表面反射もしくは表面拡散と導光板4の散乱粒子SPによる内部拡散との重複作用によって導光板4の出光面S6の輝度分布を均一化しているが、導光板4の散乱粒子SPによる内部拡散の単独作用でも少し劣るが導光板4の出光面S6の輝度分布を均一化できる。
【符号の説明】
【0040】
1、2:筐体
3:LED素子
4:導光板
5−1、5−2:反射部材
S1:入光面
S2:表面
S3:裏面
S4:右側面
S5:左側面
S6:出光面
SP:散乱粒子
【技術分野】
【0001】
本発明は縮小光学系スキャナ、密着式光学系スキャナ等の原稿読取システムに用いられる原稿照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な原稿読取システムを示す図12を参照すると、原稿読取システムは、原稿照明装置100、原稿照明装置100からの光を受けるコンタクトガラス200等よりなり、原稿照明装置100から発光された光はコンタクトガラス200によって反射されて電荷結合素子(CCD)等よりなる撮像手段(図示せず)に到着する。この場合、原稿照明装置100はコンタクトガラス200に対して45°〜50°程度傾斜しており、コンタクトガラス200からの法線方向成分のみが撮像手段に到着する。また、原稿照明装置100及び撮像手段は一定の距離dたとえば5mm程度で固定され、副走査方向に移動可能となっている。
【0003】
原稿照明装置100においては、コンタクトガラス上200の原稿を高精彩に読取るために、キャノン(Xe)管、冷陰極管(CCFL)等の線状光源を用いていた。これにより、コンタクトガラス200の主走査方向の一定範囲で均一の照度分布を発生できた。
【0004】
他方、最近、省スペース、低消費電力、高輝度等で有利な複数の発光ダイオード(LED)素子の点状光源を列状配列した光源ユニットが用いられている(参照:特許文献1)。
【0005】
しかし、複数のLED素子を列状配列した光源ユニットを用いた原稿照明装置100においては、個々のLED素子のリップル、発光分布のばらつきによってコンタクトガラス200の主走査方向の照度分布むらが発生していた。
【0006】
上述のコンタクトガラス200の主走査方向の照度分布むらを防止するための第1の従来の原稿照明装置は拡散効果を有する拡散板あるいは拡散フィルムを用いることにより、発光面の主走査方向の輝度分布を均一にしていた。
【0007】
また、上述のコンタクトガラス200の主走査方向の照度分布むらを防止するための第2の従来の原稿照明装置はLED素子を封止するポッティング材に光の散乱材を混入させて発光分布を均一にしていた(参照:特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−32996号公報
【特許文献2】特開平7−46376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述の第1の従来の原稿照明装置においては、拡散板もしくは拡散フィルムの追加によって製造コストが上昇しかつ装置が大型化すると共に照度の低下を招くという課題があった。
【0010】
また、上述の第2の従来の原稿照明装置においては、点状光源としてのLED素子自体の散乱効果による発光分布の均一化をできるが、実際に原稿の画像を読取る撮像手段はコンタクトガラス200の法線方向のみの照度エネルギーを電圧に変換するので、反射の高い光沢紙、金属シート等については、複数のLED素子を列状配列した原稿照明装置の発光面の主走査方向の輝度分布が均一でない限り、発光面の輝点の影響によりコンタクトガラス200の主走査方向の照度分布むらが発生して画像不良を引き起こすという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の課題を解決するために、本発明に係る原稿照明装置は、複数の点状光源を列状配列した光源ユニットと、この光源ユニットの長手方向に一致した導光板とを具備し、導光板に散乱粒子を混入させたものである。散乱粒子はたとえば後方散乱粒子である。これにより、拡散板あるいは拡散フィルムを用いずに、導光板内の散乱粒子たとえば後方散乱粒子による導光板の光の内部拡散が輝度リップルの減少に寄与する。
【0012】
また、導光板は、鏡面及び凹凸パターンのいずれか1つを有する入光面と、鏡面を有する表面及び裏面と、凹凸パターンを有する出光面とを具備する。これにより、導光板の入光面に入光した光は鏡面の表面、裏面で反射しながら凹凸パターンの出光面に到達し、出光面から散乱しながら出光する。つまり、導光板の光の内部拡散に加えて導光板の表面反射が輝度リップルの減少に寄与する。
【0013】
他方、導光板は、鏡面及び凹凸パターンのいずれか1つを有する入光面と、凹凸パターンを有する表面及び裏面と、凹凸パターンを有する出光面とを具備し、さらに、原稿照明装置は表面及び裏面の外側に設けられた反射部材を具備するものである。これにより、導光板の入光面に入光した光は凹凸パターンの表面、裏面で反射拡散しつつ表面、裏面を透過した光は反射部材で内部へ戻されて凹凸パターンの出光面に到達し出光面から拡散しながら出光する。つまり、導光板の光の内部拡散に加えて導光板の表面拡散が輝度リップルの減少に寄与する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、散乱粒子による導光板の光の内部拡散によって導光板の輝度リップルが減少するので、高コストの拡散板あるいは拡散フィルムを用いずに、反射率の高い光沢紙、金属シート等に対しても、その主走査方向の照度分布むらを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る原稿照明装置の実施の形態を示し、(A)は全体写真であり、(B)は(A)の筺体断面部分を示し、(C)は(B)のLED素子、導光板、反射部材部分を示す。
【図2】図1のLED素子、導光板及び反射部材の拡大図であり、(A)は断面図、(B)は上面図である。
【図3】図1、図2の導光板に散乱粒子が存在しない場合の導光板の出光面写真及び輝度リップルを説明する図である。
【図4】前方散乱粒子の例を示す写真である。
【図5】図1、図2の導光板に前方散乱粒子が存在する場合の導光板の出光面写真及び輝度リップルを説明する図である。
【図6】後方散乱粒子の例を示す写真である。
【図7】図1、図2の導光板に後方散乱粒子が存在する場合の導光板の出光面写真及び輝度リップルを説明する図である。
【図8】図1、図2の導光板に後方散乱粒子が存在する場合の導光板の出光面写真及び輝度リップルを説明する図である。
【図9】図1、図2の導光板に後方散乱粒子が存在する場合の導光板の出光面写真及び輝度リップルを説明する図である。
【図10】図1、図2の導光板に後方散乱粒子が存在する場合の導光板の出光面写真及び輝度リップルを説明する図である。
【図11】図1、図2の導光板に後方散乱粒子が存在する場合の導光板の出光面写真及び輝度リップルを説明する図である。
【図12】一般的な原稿読取システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は本発明に係る原稿照明装置の実施の形態を示し、(A)は全体写真であり、(B)は(A)の筐体断面部分を示し、(C)は(B)のLED素子、導光板、反射部材部分を示す。
【0017】
図1の(A)に示すごとく、原稿照明装置は光を主走査方向に均一に出光する一方、副走査方向に移動可能となっている。
【0018】
図1の(B)の断面写真に示すアクリル樹脂等よりなる筐体1、2内に、図1の(C)に示すごとく、複数のLED素子3を列状配列した光源ユニット、光源ユニットの長手方向(主走査方向)に一致した導光板4、及び導光板4の表面及び裏面に装着された反射部材5−1、5−2を設けてある。これにより、光源ユニットのLED素子3から光の副走査方向を導光板4で集光させて出光させるようにする。
【0019】
次に、図1の(C)のLED素子3、導光板4及び反射部材5−1、5−2について図2を参照して詳述する。尚、図2において、(A)は断面図、(B)は上面図である。
【0020】
図2において、導光板4はたとえばポリメチルメタクリレート(PMMA)よりなり、その内部には、散乱粒子SPを混入させてある。これにより、導光板4の内部散乱を増大させて導光板4の発光面の主走査方向の輝度分布を均一させる。
【0021】
図2の導光板4の構成について詳述する。
【0022】
入光面S1はLED素子3からの入光効率を上げるために鏡面もしくはプリズム、ブラスト等の凹凸パターン面となっている。
【0023】
表面S2、裏面S3、右側面S4、左側面S5は鏡面もしくはプリズム、ブラスト等の凹凸パターン面になっている。但し、鏡面の表面S2、裏面S3、右側面S4、左側面S5は光を散乱させずに出光面S6に向けさせるのに対し、凹凸パターン面の表面S2、裏面S3、右側面S4、左側面S5は光を散乱させるが外部へも抜けるために光効率が低下する。その外部へ抜けた光を内部に戻すために、反射部材5−1、5−2を少なくとも表面S2、裏面S3の外側に設ける。この場合、右側面S4、左側面S5は小さくかつ製造コストの点で、反射部材を設けていないが、設けてもよい。また、製造コストの点で、表面S2、裏面S3のみを凹凸パターン面とし、右側面S4、左側面S5は鏡面とすることもできる。
【0024】
反射部材5−1、5−2は銀あるいはアルミニウムが蒸着された正反射シートあるいはフィルム、または白色拡散反射シートあるいはフィルムである。
【0025】
出光面S6は拡散効果を有するプリズム、ブラスト等を含む凹凸パターン面である。
【0026】
導光板4の表面S2、裏面S3、右側面S4及び左側面S5は、鏡面の場合に導光板4の光を表面反射させる作用をし、他方、凹凸パターン面の場合に導光板4の光を表面拡散させる作用をする。従って、この表面反射あるいは表面拡散を散乱粒子SPによる内部拡散と併せることにより導光板4の発光面S6における輝度分布をより均一にさせることができる。
【0027】
次に、図2の散乱粒子SPについて詳述する。散乱粒子SPはたとえばシリコーン樹脂よりなる。尚、図3、図5、図7〜図11の各(B)における輝度リップルは輝度の最小値に対する相対変化量で表わしている。
【0028】
図3は導光板4に散乱粒子SPが存在しない場合の導光板4の出光面写真及び輝度リップルを説明する図である。すなわち、図3の(A)に示すように、LED素子3による明部による輝点が明瞭に観察され、また、図3の(B)に示すように、輝度リップルは非常に大きい。従って、導光板4の出光面S6の輝度分布むらが非常に大きいことが分る。
【0029】
散乱粒子SPとして前方散乱粒子を考察する。たとえば、図4に白い形状で示すように、前方散乱粒子は大きさが6〜8μm程度の球体をなしている。
【0030】
図5は導光板4に0.06wt%の前方散乱粒子SPが存在する場合の導光板4の出光面写真及び輝度リップルを説明する図である。すなわち、図5の(A)に示すように、LED素子3による明部による輝点が明瞭に観察され、また、図5の(B)に示すように、輝度リップルは小さくなるが依然として非常に大きい。従って、導光板4の出光面S6の輝度分布むらは小さくなるが依然として大きいことが分る。
【0031】
尚、導光板4内の前方散乱粒子SPを増大させる程、輝度リップルは減少するが、それ程減少しないことが分かった。つまり、前方散乱粒子SPは内部散乱に寄与するがその寄与度は小さいことが分かった。
【0032】
次に、散乱粒子SPとして後方散乱粒子を考察する。たとえば、図6に黒い形状で示すように、後方散乱粒子は大きさが1〜3μm程度の非球体をなしている。
【0033】
図7は導光板4に0.20wt%の後方散乱粒子SPが存在する場合の導光板4の出光面写真及び輝度リップルを説明する図である。すなわち、図7の(A)に示すように、LED素子3による明部による輝点が不明瞭に観察され、また、図7の(B)に示すように、輝度リップルは小さくなる。従って、導光板4の出光面S6の輝度分布むらが小さくなることが分る。
【0034】
図8は導光板4に0.40wt%の後方散乱粒子SPが存在する場合の導光板4の出光面写真及び輝度リップルを説明する図である。すなわち、図8の(A)に示すように、LED素子3による明部による輝点がさらに不明瞭に観察され、また、図8の(B)に示すように、輝度リップルはさらに小さくなる。従って、導光板4の出光面S6の輝度分布むらがさらに小さくなることが分る。
【0035】
図9は導光板4に0.50wt%の後方散乱粒子SPが存在する場合の導光板4の出光面写真及び輝度リップルを説明する図である。すなわち、図9の(A)に示すように、LED素子3による明部による輝点がさらに不明瞭に観察され、また、図9の(B)に示すように、輝度リップルはさらに小さくなる。従って、導光板4の出光面S6の輝度分布むらがさらに小さくなることが分る。
【0036】
図10は導光板4に0.67wt%の後方散乱粒子SPが存在する場合の導光板4の出光面写真及び輝度リップルを説明する図である。すなわち、図10の(A)に示すように、LED素子3による明部による輝点がさらに不明瞭に観察され、また、図10の(B)に示すように、輝度リップルはさらに小さくなる。従って、導光板4の出光面S6の輝度分布むらがさらに小さくなることが分る。
【0037】
図11は導光板4に0.80wt%の後方散乱粒子SPが存在する場合の導光板4の出光面写真及び輝度リップルを説明する図である。すなわち、図11の(A)に示すように、LED素子3による明部による輝点がさらに不明瞭に観察され、また、図11の(B)に示すように、輝度リップルはさらに小さくなる。従って、導光板4の出光面S6の輝度分布むらがさらに小さくなることが分る。
【0038】
このように、導光板4内の後方散乱粒子SPの量を増大させる程、輝度リップルはそれに応じて減少することが分かった。つまり、後方散乱粒子SPは内部散乱に大きく寄与することが分かった。
【0039】
上述の実施の形態においては、導光板4の鏡面もしくは凹凸パターン面の表面S2、裏面S3等による表面反射もしくは表面拡散と導光板4の散乱粒子SPによる内部拡散との重複作用によって導光板4の出光面S6の輝度分布を均一化しているが、導光板4の散乱粒子SPによる内部拡散の単独作用でも少し劣るが導光板4の出光面S6の輝度分布を均一化できる。
【符号の説明】
【0040】
1、2:筐体
3:LED素子
4:導光板
5−1、5−2:反射部材
S1:入光面
S2:表面
S3:裏面
S4:右側面
S5:左側面
S6:出光面
SP:散乱粒子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の点状光源を列状配列した光源ユニットと、
該光源ユニットの長手方向に一致した導光板と
を具備し、該導光板に散乱粒子を混入させた原稿照明装置。
【請求項2】
前記散乱粒子は後方散乱粒子である請求項1に記載の原稿照明装置。
【請求項3】
前記導光板は、
鏡面及び凹凸パターンのいずれか1つを有する入光面と、
鏡面を有する表面及び裏面と、
凹凸パターンを有する出光面と
を具備する請求項1に記載の原稿照明装置。
【請求項4】
前記導光板は、
鏡面及び凹凸パターンのいずれか1つを有する入光面と、
凹凸パターンを有する表面及び裏面と、
凹凸パターンを有する出光面とを具備し、
さらに、前記装置は前記表面及び前記裏面の外側に設けられた反射部材を具備する請求項1に記載の原稿照明装置。
【請求項1】
複数の点状光源を列状配列した光源ユニットと、
該光源ユニットの長手方向に一致した導光板と
を具備し、該導光板に散乱粒子を混入させた原稿照明装置。
【請求項2】
前記散乱粒子は後方散乱粒子である請求項1に記載の原稿照明装置。
【請求項3】
前記導光板は、
鏡面及び凹凸パターンのいずれか1つを有する入光面と、
鏡面を有する表面及び裏面と、
凹凸パターンを有する出光面と
を具備する請求項1に記載の原稿照明装置。
【請求項4】
前記導光板は、
鏡面及び凹凸パターンのいずれか1つを有する入光面と、
凹凸パターンを有する表面及び裏面と、
凹凸パターンを有する出光面とを具備し、
さらに、前記装置は前記表面及び前記裏面の外側に設けられた反射部材を具備する請求項1に記載の原稿照明装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−38492(P2013−38492A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170889(P2011−170889)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
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