説明

原稿読取り装置

【課題】簡単な構成で画像を読取る時の裏写りによる影響を低減して、読取り画像の読取り品位の向上を図ることができる原稿読取り装置を提供する。
【解決手段】原稿Gを照明する露光ランプ4Aと、露光ランプ4Aからの照射光を反射して原稿Gの読取り部分に照射する第1の走査ユニット4と、原稿Gから反射した画像光を集光する光学系と、光学系により集光された画像光を読取る光電変換素子7とを有するスキャナ部3と、原稿Gの読取り位置を規制する原稿押え部材90を備え、原稿Gを移動しながら画像を読取ることが可能な原稿読取り装置40Aにおいて、原稿Gを移動しながら画像を読取る時の照射光の原稿Gへの照射位置は、原稿Gが移動する方向に沿って第1の照射位置401と第2の照射位置402との2箇所に設定されていることを特徴とするものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿読取り装置に係り、特に、原稿を移動しながらスキャナにより画像を読取る原稿移動方式による原稿読取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やスキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置において、原稿から画像を光学的に走査して読取る原稿読取り装置が搭載されている。
【0003】
このような原稿読取り装置による画像を読取る手法は、従来技術として、原稿読取り装置を所定位置に固定して、画像を読取る位置に配置された透明のコンタクトガラス(プラテンガラス)に沿って原稿を移動しながらスキャナ(画像読取り手段)により画像を読取る方式(以下説明上、「原稿移動方式」と称する。)と、原稿載置台に固定された原稿に沿ってスキャナを移動しながら画像を読取る方式(以下説明上、「原稿固定方式」と称する。)に大別される。
【0004】
原稿移動方式による原稿読取り装置は、複数の原稿を積載して一枚ずつ原稿を原稿読取り装置に自動供給して連続的に画像読取り処理を可能にした自動原稿搬送装置(ADF)を搭載して、画像の読取りが終了した原稿を排紙トレイに自動排出することで、連続的に画像読取り処理を可能にして高速・大量処理に対応した画像形成装置に広く展開されている。
【0005】
一方、原稿固定方式による原稿読取り装置は、高速処理では原稿移動方式には及ばないが、簡単な構造により安価で構成できるため一般に広く用いられている。
【0006】
上述したような原稿読取り装置において、従来、画像情報が形成された原稿の照射面とは異なる裏面にも画像情報が形成されている時には、照射光が裏面の画像情報まで同時に読取ってしまうため、出力される画像の品位の低下を招来するという問題があった。
【0007】
このような問題に対して、原稿固定方式による原稿読取り装置では、原稿読取り位置に原稿を1枚ずつ載置する時に、ユーザが原稿の厚みを認識できるため、“裏写り”するか否かの判別をして、“裏写り”が生じると思われたときには照射光量を調整して画像を読取るようにすることが可能である。
【0008】
しかしながら、原稿移動方式による原稿読取り装置では、原稿を自動供給して連続的に画像読取り処理を行なう時は、原稿が順次1枚ずつ連続して搬送されるので、照射光量を原稿に応じて変化させることは困難であり“裏写り”が生じることがあった。
【0009】
この原因として、原稿読取り部に配置される原稿押さえ板(シェーディング補正板を兼用している。)が照射面に対し白色で配置されている点が挙げられる。白色を配置する理由は、有色の時に原稿幅以外の部分が照射されると画像情報ありと判断され、印字処理部で不要なトナー消費が行われる恐れがある。
【0010】
そこで、上記問題の対策として、従来では、原稿に形成された画像の濃度を表面側から読取った時の濃度と裏面側から読取った時の濃度を比較して画像補正を行い、“裏写り”の影響を軽減するようにしたものが提案されている(特許文献1,2を参照)
【特許文献1】特開平7−87295号公報
【特許文献2】特開平9−205544号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記従来技術では、読取られる画像情報によって画素の濃度や裏写り率が画像の状態によって異なるため複雑な画像補正処理が必要であり、さらに連続した高速処理における対応が難しいという問題があった。
【0012】
本発明は、上記従来の問題点を鑑みてなされたものであって、簡単な構成で画像を読取る時の裏写りによる影響を低減して、読取り画像の読取り品位の向上を図ることができる原稿読取り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するための本発明に係る原稿読取り装置の構成は、次の通りである。
請求項1に記載した原稿読取り装置は、原稿を照明する光源と、前記光源からの照射光を反射して原稿の読取り部分に照射する反射手段と、前記光源により照明された原稿から反射した画像光を集光する光学系と、前記光学系により集光された画像光を読取る光電変換素子とを有する画像読取り手段と、原稿の読取り位置を規制する原稿押え部材を備え、原稿を移動しながら画像を読取ることが可能な原稿読取り装置において、前記原稿を移動しながら画像を読取る時の前記光源からの照射光の前記原稿への照射位置を、原稿が移動する方向に沿って少なくとも2箇所に設定したことを特徴とするものである。
尚、前記照射位置では、該原稿が移動する方向に対して原稿の表面に沿って略垂直方向に該原稿の幅方向両側端に渡り光源からの光が照射される。
【0014】
請求項2に記載した原稿読取り装置は、請求項1に記載した構成に加えて、前記反射手段を、前記原稿を移動しながら画像を読取る時の前記光源からの照射光を原稿へ照射する位置を少なくとも2箇所に設定したことを特徴とするものである。
【0015】
請求項3に記載した原稿読取り装置は、請求項1または2に記載した構成に加えて、前記照射位置のうちの第1の照射位置には、画像が読取られる原稿を挟んで光源により照射される側の反対側に、有色の原稿押え部材を配置したことを特徴とするものである。
本発明における有色の原稿押え部材は、暗い色が好ましく、特に黒色の原稿押え部材が好ましい。また、前記第1の照射位置は、いわゆる黒シェーディング補正位置とする。
【0016】
請求項4に記載した原稿読取り装置は、請求項1乃至3のうちの何れか一項に記載した構成に加えて、前記照射位置のうちの第2の照射位置を、画像が読取られる原稿を挟んで光源により照射される側の反対側に、白色の原稿押え部材を配置したことを特徴とするものである。
前記第2の照射位置は、いわゆる白シェーディング補正位置とする。
【0017】
請求項5に記載した原稿読取り装置は、請求項1乃至4のうちの何れか一項に記載した構成に加えて、前記照射位置を、前記原稿の種類に応じて選択するようしたことを特徴とするものである。
本発明における原稿の種類とは、原稿の地色、原稿に形成された画像情報の状態(画像情報が片面または両面の何れに形成されているかを含む)または原稿の厚さにより識別されるものを含むものとする。
【0018】
請求項6に記載した原稿読取り装置は、請求項3または4に記載した構成に加えて、前記照射位置を、前記原稿が薄紙原稿である時は、第1の照射位置とすることを特徴とするものである。
【0019】
請求項7に記載した原稿読取り装置は、請求項4に記載した構成に加えて、前記照射位置を、前記原稿が厚紙原稿である時は、第2の照射位置とすることを特徴とするものである。
【0020】
請求項8に記載した原稿読取り装置は、請求項1乃至4のうちの何れか一項に記載した構成に加えて、前記照射位置を、前記光源からの照射光により前記原稿の裏面の情報が裏写りするか否かにより選択するようにしたことを特徴とするものである。
【0021】
請求項9に記載した原稿読取り装置は、請求項8に記載した構成に加えて、前記光源からの照射光により前記原稿の裏面の情報が裏写りすると判断された時は、前記画像読取り手段が、第1の照射位置で前記原稿を照射して画像情報を読取ることを特徴とするものである。
【0022】
請求項10に記載した原稿読取り装置は、請求項8または9に記載した構成に加えて、前記光源からの照射光により前記原稿の裏面の情報が裏写りしないと判断された時は、前記画像読取り手段が、第2の照射位置で前記原稿を照射して画像情報を読取ることを特徴とするものである。
【0023】
請求項11に記載した原稿読取り装置は、請求項1乃至4のうちの何れか一項に記載した構成に加えて、前記照射位置を、前記原稿の表裏両面に画像情報が形成されているか否かで選択するようにしたことを特徴とするものである。
【0024】
請求項12に記載した原稿読取り装置は、請求項11に記載した構成に加えて、前記照射位置を、前記原稿の表裏両面に画像情報が形成されている時は、前記光源からの照射光により前記原稿の裏面の情報が裏写りするか否かにより選択するようにしたことを特徴とするものである。
【0025】
請求項13に記載した原稿読取り装置は、請求項11または12に記載した構成に加えて、前記照射位置を、前記原稿の表裏面のうちの何れか一方の面に画像情報が形成されている時は、第2の照射位置とすることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0026】
請求項1に記載した発明によれば、原稿を照明する光源と、前記光源からの照射光を反射して原稿の読取り部分に照射する反射手段と、前記光源により照明された原稿から反射した画像光を集光する光学系と、前記光学系により集光された画像光を読取る光電変換素子とを有する画像読取り手段と、原稿の読取り位置を規制する原稿押え部材を備え、原稿を移動しながら画像を読取ることが可能な原稿読取り装置において、前記原稿を移動しながら画像を読取る時の前記光源からの照射光の前記原稿への照射位置を、原稿が移動する方向に沿って少なくとも2箇所に設定し、例えば、裏写りし易い原稿と裏写りし難い原稿とにより照射位置を変えて画像を読取るようにすることで、複雑な画像補正等を行なうことなく、簡単な構成で、裏写りによる影響を低減して読取り画像の読取り品位の向上を図ることができる。
【0027】
また、請求項2〜13に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明で得られる上記共通の効果に加え、次の効果を得ることができる。
【0028】
すなわち、請求項2に記載した発明によれば、請求項1に記載の発明で得られる効果に加えて、前記反射手段を、前記原稿を移動しながら画像を読取る時の前記光源からの照射光を原稿へ照射する位置を少なくとも2箇所に設定したことで、容易に光源からの照射光の原稿への照射位置を設定することができる。
【0029】
請求項3に記載した発明によれば、請求項1または2に記載の発明で得られる効果に加えて、前記照射位置のうちの第1の照射位置に、画像が読取られる原稿を挟んで光源により照射される側の反対側に、有色の原稿押え部材を配置し、いわゆる黒シェーディング補正位置とすることで、裏写りの影響が出やすい原稿の画像を読取る場合に、裏写りによる影響を低減して読取り画像の読取り品位の向上を図ることができる。
【0030】
請求項4に記載した発明によれば、請求項1乃至3のうちの何れか一項に記載の発明で得られる効果に加えて、前記照射位置のうちの第2の照射位置を、画像が読取られる原稿を挟んで光源により照射される側の反対側に、白色の原稿押え部材を配置し、いわゆる白シェーディング補正位置とすることで、裏写りの影響が少ない原稿を読取る場合に、読取り画像の読取り品位の向上を図ることができる。
【0031】
請求項5に記載した発明によれば、請求項1乃至4のうちの何れか一項に記載の発明で得られる効果に加えて、前記照射位置を、前記原稿の種類に応じて選択するようしたことで、例えば、原稿の地色の違い、画像情報が片面または両面の何れに形成されている原稿の違い、または原稿の厚さの違い等に応じて、光源からの照射光によって得られる最適な画像光(読取り画像)を得ることができる。
【0032】
請求項6に記載した発明によれば、請求項3または4に記載の発明で得られる効果に加えて、前記照射位置を、前記原稿が薄紙原稿である時は、第1の照射位置とすることで、裏写りの影響が出やすい原稿の画像を読取る場合に、黒シェーディング補正により裏写りによる影響を低減して読取り画像の読取り品位の向上を図ることができる。
【0033】
請求項7に記載した発明によれば、請求項4に記載の発明で得られる効果に加えて、前記照射位置を、前記原稿が厚紙原稿である時は、第2の照射位置とすることで、裏写りの影響が少ない原稿を読取る場合に、白シェーディング補正により裏写りによる影響を低減して読取り画像の読取り品位の向上を図ることができる。
【0034】
請求項8に記載した発明によれば、請求項1乃至4のうちの何れか一項に記載の発明で得られる効果に加えて、前記照射位置を、前記光源からの照射光により前記原稿の裏面の情報が裏写りするか否かにより選択するようにしたで、原稿の画像形成状態に応じて裏写りによる影響を低減して読取り画像の読取り品位の向上を図ることができる。
【0035】
請求項9に記載した発明によれば、請求項8に記載の発明で得られる効果に加えて、前記光源からの照射光により前記原稿の裏面の情報が裏写りすると判断された時は、前記画像読取り手段が、第1の照射位置で前記原稿を照射して画像情報を読取ることで、黒シェーディング補正により裏写りによる影響を低減して読取り画像の読取り品位の向上を図ることができる。
【0036】
請求項10に記載した発明によれば、請求項8または9に記載の発明で得られる効果に加えて、前記光源からの照射光により前記原稿の裏面の情報が裏写りしないと判断された時は、前記画像読取り手段が、第2の照射位置で前記原稿を照射して画像情報を読取ることで、裏写りの影響が少ない原稿を読取る場合に、白シェーディング補正により裏写りによる影響を低減して読取り画像の読取り品位の向上を図ることができる。
【0037】
請求項11に記載した発明によれば、請求項1乃至4のうちの何れか一項に記載の発明で得られる効果に加えて、前記照射位置を、前記原稿の表裏両面に画像情報が形成されているか否かで選択するようにしたことで、原稿の画像形成状況に応じて、光源からの照射光によって得られる最適な画像光(読取り画像)を得ることができる。
【0038】
請求項12に記載した発明によれば、請求項11に記載の発明で得られる効果に加えて、前記照射位置を、前記原稿の表裏両面に画像情報が形成されている時は、前記光源からの照射光により前記原稿の裏面の情報が裏写りするか否かにより選択するようにしたことで、原稿の画像形成状態に応じて裏写りによる影響を低減して読取り画像の読取り品位の向上を図ることができる。
【0039】
請求項13に記載した発明によれば、請求項11または12に記載の発明で得られる効果に加えて、前記照射位置を、前記原稿の表裏面のうちの何れか一方の面に画像情報が形成されている時は、第2の照射位置とすることで、裏写りの影響が少ない原稿を読取る場合に、白シェーディング補正により裏写りによる影響を低減して読取り画像の読取り品位の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1,2は本発明を実施する形態の一例であって、図1は本発明の一実施形態に係る原稿読み取り装置が採用された画像形成装置の全体の構成を示す斜視図、図2は前記画像形成装置の内部の構成を示す側面断面図である。
【0041】
本実施形態は、記録媒体となる所定のシート状の記録用紙(以下、用紙と称する。)を搬送する記録媒体搬送手段と、該原稿読取り装置40Aによって読取られた原稿Gの画像情報に基づき電子写真方式によりトナー(現像剤)を用いて顕像化されたトナー像(現像剤像)を搬送された記録媒体上に形成する画像形成手段と、前記記録媒体に形成された未定着の現像剤像を該記録媒体上に溶融、固着する定着装置(定着手段)と、現像剤像定着処理後の記録媒体が排出される記録媒体排出部としての排紙トレイと、を備えた画像形成装置1において、本発明に係る原稿Gの画像情報を読取る原稿読取り装置40Aを搭載したものである。
【0042】
画像形成装置1は、図1,図2に示すように、装置本体1aの上部側の前面部には、使用者が用紙Pの用紙種類(用紙寸法のほか、用紙の厚み等)、印刷枚数、倍率、濃度等の画像形成条件を設定する操作スイッチ類76が配設され、装置本体1aの上面部には、原稿Gが載置される透明ガラスからなる原稿載置台2が設けられている。
【0043】
原稿載置台2上には、原稿移動方式による両面原稿自動読取装置(R−SPF)からなる原稿押え部(原稿押えカバー)51aを一体とした自動原稿処理装置40が開閉自在に搭載され、一方、この原稿載置台2の下方には、原稿Gの画像情報を読取るスキャナ部(画像読取り手段)3が配置されている。
【0044】
これら原稿載置台2、スキャナ部3及び自動原稿処理装置40等により原稿読取り装置40Aが構成されている。
【0045】
スキャナ部3の下方には、画像形成部10、定着装置30及び排紙部22が構成され、さらに、その下方には、記録媒体たる用紙Pが収容された給紙カセット23が配設されている。
【0046】
スキャナ部3は、図2に示すように、原稿載置台2の下方に配置されて平行に往復移動する第1の走査ユニット(反射手段)4及び第2の走査ユニット(反射手段)5と、光学レンズ体6と、光電変換素子(CCD)7を備えた原稿画像読取りユニットにて構成されている。図2において、スキャナ部3の光路は一点鎖線で示している。
【0047】
第1の走査ユニット4は、露光ランプ4Aと、この露光ランプ4Aからの光を原稿画像表面に露光させるリフレクタ4Bと、このリフレクタ4Bを介して露光され反射される原稿からの反射光像を所定の方向に向かって導くための第1のミラー4Cとを有し、原稿載置台2の下面に対して一定の距離を保ちながら所定の走査速度で平行に往復移動が可能に制御されるようになっている。
【0048】
第2の走査ユニット5は、第1の走査ユニット4の第1のミラー4Cにより導かれた原稿からの反射光像を、更に所定の方向に向かって導くための第2のミラー5A及び第3のミラー5Bを有し、第1の走査ユニット4と一定の速度関係を保って平行に往復移動が可能に制御されるようになっている。
【0049】
光学レンズ体6は、第2の走査ユニット5の第3のミラー5Bにより導かれた原稿画像の反射光の光路上に配置され、その光像を光電変換素子7に結像させるものである。
【0050】
光電変換素子(例えばCCD(電荷結合素子))7は、光学レンズ体6により結像された原稿画像の光像を読取って電気信号に光電変換することによって原稿画像情報(原稿画像データ)を作成するものであり、その原稿画像情報を後述する画像処理部57(図4を参照)に向けて出力する。
【0051】
画像処理部57は、光電変換素子7が出力した原稿画像情報を、解像度や濃度等が印字に適した印字用画像情報(印字用画像データ)に画像処理するものである。画像処理後の印字用画像情報は、レーザスキャニングユニット(LSU)8の画像データ入力部へと転送されるようになっている。
【0052】
レーザスキャニングユニット8は、画像処理部57から出力された印字用画像情報に応じたレーザ光を、画像形成部(画像形成プロセス)10を構成する感光体ドラム11の表面に照射する。これにより、感光体ドラム11に印字用画像情報の静電潜像が書込み形成されるようになっている。
【0053】
画像形成部10は、図2に示すように、主に、矢印方向に回転駆動する感光体ドラム11と、この感光体ドラム11の表面を所定の電位に帯電させる主帯電器12と、感光体ドラム11表面に静電潜像の形成用のレーザ光を照射するレーザスキャニングユニット8と、そのレーザスキャニングユニット8からのレーザ光の照射によった静電潜像をトナーにより現像して顕像化する現像装置13と、この現像装置13にて顕像化された原稿画像のトナー像を後述する給紙カセット23から給紙搬送路25を介して給紙される用紙(「記録媒体」に相当:「転写紙」とも称する)P上に転写する転写ローラ14及びこの転写ローラ14による転写後の感光体ドラム11上に残留する残留トナーをクリーニングするクリーニング装置15とが、該感光体ドラム11の回転方向に沿って順に配置されて構成されている。
【0054】
画像形成部10の主帯電器12は、クリーニング装置15によるクリーニング後の感光体ドラム11表面の電荷を除電する図示しない除電装置の機能を有している。
【0055】
定着装置30は、図2に示すように、加熱ローラ31と加圧ローラ32とを備え、この加熱ローラ31と加圧ローラ32とにより用紙Pを挟持した状態で加熱ローラ31を回転させて、加熱ローラ31と加圧ローラ32との間を通過させることにより、用紙P上に転写されたトナー像を溶融して用紙Pに定着するものである。
【0056】
画像形成装置1の用紙搬送路は、図2に示すように、主に、装置下部に設けられた給紙カセット23から上方に向かい画像形成部10に用紙Pを搬送する給紙搬送路25と、画像形成部10から定着装置30を通って排紙搬送ローラ(搬送ローラ)18に向かい用紙Pを搬送する主搬送路16と、排紙搬送ローラ18から排紙ローラ19に向かい用紙Pを搬送する排紙搬送路(記録媒体搬送経路)17と、排紙ローラ19の逆転駆動と反転ローラ29により用紙Pをスイッチバックさせて用紙反転させる副搬送路28とで構成されている。
【0057】
給紙搬送路25は、用紙搬送方向で用紙ピックアップローラ24の用紙搬送方向下流側に、用紙がダブルフィードされた場合に1枚ずつさばくためのサバキローラ(図示省略)が設けられ、画像形成部10の感光体ドラム11の下側(用紙搬送方向上流側)に近接して設けられたレジストローラ26まで緩やかに湾曲して略直線的に設けられている。
【0058】
主搬送路16は、レジストローラ26の下流側から画像形成部10を通って定着装置30まで略直線的に形成され、定着装置30の出口側(用紙搬送方向下流側)から略上方に向かい排紙搬送ローラ18(図中左方向)に向かって湾曲して形成されている。
【0059】
排紙搬送路17は、排紙搬送ローラ18と排紙ローラ19との間に略直線的に設けられている。
【0060】
副搬送路28は、排紙ローラ19の逆転駆動により用紙Pをスイッチバックさせて用紙反転させて搬送するために、主搬送路16の上部(用紙搬送方向上流側)と連通して、用紙切換えゲート27の切換えにより用紙Pを反転ローラ29によって装置の下方に搬送して再びレジストローラ26に搬送するように構成されている。
【0061】
具体的には、副搬送路28は、排紙搬送路17から逆方向に搬送された用紙Pを装置下方に方向を変えるために、装置上方側から装置下方側に向かい、且つ装置下方側からレジストローラ26側に向かい湾曲して形成されている。
【0062】
感光体ドラム11と転写ローラ14との間に挟持されてトナー像が転写された後の用紙Pは、感光体ドラム11上から剥離されて該感光体ドラム11と定着装置30とを連絡する主搬送路16を経由して、該定着装置30の加熱ローラ31と加圧ローラ32との間に突入する。加熱ローラ31と加圧ローラ32との当接部には所定の押圧力によってニップ部が形成されている。
【0063】
定着装置30において、この加熱ローラ31と加圧ローラ32との間、つまりニップ部に挟持された用紙Pは、加熱ローラ31による加熱と加圧ローラ32による加圧によって当該用紙Pに前記感光体ドラム11から転写された未定着トナー像の定着が行われるようになっている。
【0064】
定着装置30による定着後の用紙Pは、排紙搬送路17に搬送されて排紙搬送ローラ18にて排紙口20側の排紙ローラ19に向け搬送されるようになっている。
【0065】
排紙搬送路17に搬送される用紙Pは、定着装置30の下流側に設けた、加熱ローラ31と加圧ローラ32との間を用紙Pが通過する状態を定着検知スイッチ21Aにて検知される。
【0066】
通常の片面印字の場合には、そのまま排紙搬送ローラ18及び排紙ローラ19の回転駆動により、排紙口20からスキャナ部3の下部空間に設置した排紙トレイ22a上に排紙されるもので、この排紙ローラ19の用紙Pの通過状態は、排紙ローラ19の上流側に設けた排紙検知スイッチ21Bにて検知されるようになっている。
【0067】
用紙Pは、画像形成部10の横方向に排紙され、給紙カセット23の上方で且つスキャナ部3の下方の排紙部22に排出される。
【0068】
排紙部22は、主に、排紙搬送路17、排紙搬送ローラ18、排紙ローラ19、排紙口20及び排紙トレイ22aより構成されている。
【0069】
排紙口20の外側(排紙トレイ22a側)には、満杯検知センサとも称される用紙積載量検出センサ21Dが設けられている。
用紙積載量検出センサ21Dは、主に、排出されて積載された用紙が当接した時に動作する検出体21D1と、検出体21D1の動作に応じて信号を出力するセンサ本体21D2とにより構成されている。
【0070】
検出体21D1は、棒状を呈し、一端部がセンサ本体21D2側に係合され、その一端部を支点として他端部側が揺動可能に設けられ、装置側(排紙口20側)より外側に向かい且つ斜め下方に傾倒して配置されている。
【0071】
そして、用紙積載量検出センサ21Dは、排出された用紙が積載されて所定量(高さ)に達した時に、検出体21D1の他端部が上方に押し上げられることでセンサ本体21D2より検出信号を出力するようになっている。
【0072】
装置本体1aの内底部側には、用紙Pが所定の用紙サイズ毎に積載収容された交換可能な給紙カセット23が配置される。この給紙カセット23の排紙側上部には、半月状の用紙ピックアップローラ24が配置されている。
【0073】
用紙ピックアップローラ24は、給紙カセット23内に積載収容された用紙Pを最上層から1枚ずつピックアップし、下流側に向かって(便宜上の用紙Pの流れ出し側(カセット側)を上流、排紙側を下流とする)給紙搬送路25のレジストローラ(「アイドルローラ」とも称する。)26まで搬送させるようになっている。
図中の符号Paは用紙Pの前端部、Pbは用紙Pの後端部を示す。
【0074】
レジストローラ26の上流側には、レジスト前検知スイッチ21Cが設けられており、このレジスト前検知スイッチ21Cは給紙カセット23から給紙搬送される用紙Pを検知する。その信号を基に給紙タイミングを図りながら、上述した画像形成部10に給紙するようになっている。
【0075】
尚、両面印字を行う場合には、画像形成部10による用紙Pの片面印字後、排紙搬送路17に搬送された定着装置30からの通過後の用紙Pを、一旦、排紙ローラ19側に搬送し、この状態で、定着装置30付近に配置された用紙切換えゲート27を切換え制御して、排紙ローラ19の逆転駆動により用紙Pをスイッチバックさせて用紙反転させる副搬送路28に導入し、この副搬送路28に設けた副駆動ローラ(反転ローラ)29の回転駆動により、再びレジストローラ26の上流側に用紙Pを搬送することにより、用紙Pの他面印字を行うようになっている。
【0076】
次に、本実施形態に係る特徴的な原稿読取り装置40Aについて図面を参照して説明する。
図3は本実施形態に係る原稿読取り装置において第1の走査ユニットにより原稿に光を照射する照射位置を示す説明図である。
【0077】
原稿読取り装置40Aは、従来機と同様な操作で一枚ごとの原稿読取処理を行うことが可能であり、自動原稿処理装置40を搭載することで、原稿Gの両面読取が可能となるとともに、複数枚の原稿Gの自動連続読取処理が可能となっている。
【0078】
自動原稿処理装置40は、図2に示すように、原稿Gが載置される原稿トレイ41を有し、連続的に複数の原稿Gの読取処理を行う場合、この原稿トレイ41上に載置された原稿Gを原稿ピックアップローラ42にてピックアップして、原稿駆動ローラ43を介して原稿Gを原稿搬送路44に導入してレジストローラ(PSローラ)45の上流側に案内搬送されるようになっている。
【0079】
このレジストローラ45の上流側には、原稿Gの原稿サイズが検出可能にするため原稿入紙センサ46が設けられ、この原稿入紙センサ46にて原稿Gの先端及び後端を検知し、その信号を基に搬送タイミングを図りながら、原稿Gを原稿載置台2の片側に隣接させて配置したスリットガラスからなる原稿読取り台9上に向け搬送制御するようになっている。この場合、スキャナ部3の第1の走査ユニット4は、原稿読取り台9の下方に待機し位置するように移動制御されている。
【0080】
第1の走査ユニット4は、図3に示すように、原稿読み取り台9の下方において、該原稿読取り台9の原稿Gが搬送される面に沿ってかつ原稿搬送方向に沿った方向で略平行に第1の照射位置401と第2の照射位置402との2位置に選択的に配置されるようになっている。
【0081】
原稿読取り台9の上方、すなわち原稿Gを挟んで第1の走査ユニット4の反対側には、図3に示すように、原稿読取り台9と所定の間隙をとって原稿押え部材90が配置されている。原稿押え部材90は、原稿読取り台9とともに原稿Gを挟んで該原稿Gの搬送をガイドするとともに、原稿Gの搬送位置を定めて原稿Gと第1の走査ユニット4との距離を規定するようになっている。
【0082】
この原稿押え部材90は、第1の照射位置401において原稿Gが第1の走査ユニット4に照射される部分には、黒色の第1の原稿読取り部91が形成され、一方、第2の照射位置402において原稿Gが第1の走査ユニット4に照射される部分には、白色の第2の原稿読取り部92が形成されている。
【0083】
原稿押え部材90,第1の原稿読取り部91及び第2の原稿読取り部92は、原稿Gの搬送方向に対して略垂直方向に延設され、少なくとも搬送される原稿Gの幅よりも幅広に形成されている。
【0084】
この原稿読取り台9上に搬送される原稿Gは、その移動と共に片面側の第1画像読取り面G1がスキャナ部3の第1の走査ユニット4にて走査される。その他の光電変換素子7での読取り、画像情報の画像処理、印字などの画像形成処理は上述と同様である。
【0085】
本実施形態では、第1の走査ユニット4が、図3の範囲901に示すように、第1の照射位置401において、黒色の第1の原稿読取り部91に対向する原稿Gに照射する時には黒のシェーディング補正を行ない、範囲902に示すように、第2の照射位置402において、白色の第2の原稿読取り部92に対向する原稿Gに照射する時には白のシェーディング補正を行なうようにされている。
【0086】
第1の走査ユニット4による原稿Gへの照射位置は、原稿Gの種類に応じて第1の照射位置401または第2の照射位置402が選択されるようになっている。
本実施形態では、原稿Gが薄紙原稿である時は、第1の照射位置401で第1の原稿読取り部91において照射されて、原稿Gが厚紙原稿である時は、第2の照射位置402で第2の原稿読取り部92において照射されるようになっている。
【0087】
尚、第1の走査ユニット4による原稿Gへの照射位置の選択は、露光ランプ(光源)4Aからの照射光により原稿Gの裏面の画像情報が裏写りするか否かにより選択するようにしたものであっても良い。
【0088】
変形例として、例えば、原稿Gが薄紙原稿である時は、裏写りすると判断して第1の照射位置401において原稿Gを照射して画像情報を読取り、原稿Gが厚紙原稿である時は、裏写りしないと判断して第2の照射位置において原稿Gを照射して画像情報を読取るようにしたものであっても良い。
【0089】
また、その他の例として、第1の走査ユニット4による原稿Gへの照射位置の選択は、前記原稿の表裏両面に画像情報が形成されているか否かで、第1の照射位置401または第2の照射位置402を選択するようにしたものであっても良い。
【0090】
この場合は、原稿Gの表裏面のうちの何れか一方の面に画像情報が形成されている時は、第2の照射位置とし、原稿Gの表裏両面に画像情報が形成されている場合は、第1の照射位置とする。
【0091】
そして、原稿読取り台9上での画像読取り後の原稿Gは、搬送ローラ47を介して原稿排紙路48の原稿排紙ローラ49側に搬送され、片面読取りのみ場合は、原稿切換えゲート50の切換え制御により原稿排紙トレイ51上に排紙されるようになっている。
【0092】
尚、両面原稿読取りを行う場合は、原稿Gを原稿切換えゲート50の切換え制御により、一旦、原稿トレイ41と原稿排紙トレイ51との間に配置された中間トレイ52上に向け排紙した後、原稿排紙ローラ49を逆転駆動させてスイッチバックさせることにより、原稿反転路53に導入し、再び、原稿搬送路44に原稿Gを搬送することにより、原稿Gの裏側の画像読取り面G2の原稿画像の読取りが行われるとともに、上述した片面印字工程と同様に、用紙Pの第1印字面P1に原稿Gの裏面側の原稿画像が印字されるようになっている。
【0093】
この用紙Pの第1印字面P1への印字工程が終了すると、用紙Pは、上述した用紙反転機構にて反転され、再び、画像形成部10に搬送されて、その第2印字面(印字面の裏面)P2に、予めメモリに記憶された原稿Gの表面側の原稿画像が印字される。
【0094】
次に、実施形態に係る画像形成装置1の制御系について、図4に基づき説明する。
図4は本実施形態に係る画像形成装置の電気制御部の構成を示すブロック図である。
実施形態に係る画像形成装置1は、図4に示すように、画像の読取り処理、画像処理、画像形成処理、および用紙Pの搬送処理等をROM(Read Only Memory)55に予め記憶されたプログラムにしたがって中央処理ユニット(CPU)54がRAM(Random access Memory)56等の一時的記憶手段を用いて処理を実行する。尚、ROM55やRAM56に代えてHDD(ハードディスクドライブ)などの記憶手段を用いることができる。
【0095】
画像形成装置1において、スキャナ部(原稿読み取り部)3によって読取った原稿の画像情報(原稿画像データ)、または、図示しない通信ネットワークに繋がれた各端末装置から送信された原稿画像情報は、通信処理部58を介して画像処理部57に入力されるようになっている。
【0096】
画像処理部57は、RAM56等の記憶部に記憶された原稿画像情報を印字(用紙への画像形成)に適した印字用画像に上記のプログラムによって処理するものである。
【0097】
印字用画像情報は画像形成部10に入力される。
画像形成部10、用紙搬送部(給紙搬送路25、主搬送路16、副搬送路28、(これらはペーパーガイドとも称する。)において用紙Pの各種検出・制御を行う。)59、定着装置30、排紙処理部(排紙搬送路17において用紙Pの各種の検出・制御を行う。)60は、各々の駆動制御部62と連動している。
【0098】
用紙搬送部59によって搬送する用紙P上に印字工程(画像形成部10においての画像情報の印字処理)と、その後に、その印字処理された用紙Pに対する定着工程(定着装置30)を経て用紙排出部(排紙トレイ22a)に排出されるようになっている。
尚、用紙搬送部59には、定着検知スイッチ21A、排紙検知スイッチ21B、レジスト前検知スイッチ21C等からの検出信号が入力されるようになっている。
【0099】
画像形成装置1は、運転条件設定部77が設けられる。この運転条件設定部77は、操作スイッチ類76によって使用者が設定して画像形成要求または記録媒体の種類等の画像形成条件にしたがって、画像形成装置1の画像形成、または搬送条件等の運転条件を設定するものである。
【0100】
運転条件設定部77には、オプション構成74として設けられる自動原稿処理装置(自動原稿読取り装置)40により搬送される原稿Gの厚さを設定する機能、例えば、原稿Gが厚紙原稿か薄紙原稿であるかを指定する原稿選択スイッチが備えられている。
【0101】
また、画像形成装置1は、設定された前記運転条件にしたがって、前記読み取り部(スキャナ部3)、用紙搬送部59、画像形成部10、定着装置30および排紙処理部60などの駆動用アクチュエータである原稿読取り駆動部64、用紙搬送駆動部66、印字処理駆動部68、定着駆動部70および排紙駆動部72を、ROM55に記憶されたプログラムに基づく、CPU54の指令にしたがった同期した動作を駆動制御部62の制御によって行うようになっているものである。
【0102】
本実施形態では、CPU54は、上述した機能の他にオプション構成74として設けられる自動原稿処理装置40により搬送される原稿Gの厚さを判定する原稿厚さ判定機能93を備え、運転条件設定部77において選択された原稿Gの種類によって原稿Gの厚さを判定して、原稿Gの厚さに応じて第1の走査ユニット4による原稿Gへの照射位置を設定するようになっている。
【0103】
尚、本実施形態では、原稿厚さ判定機能93による判定は、運転条件設定部77に設けられた原稿選択スイッチの出力信号によって原稿Gの厚さを判定しているが、例えば、原稿搬送路上に原稿Gの厚さを検出するセンサ等を設けて、そのセンサからの出力信号によって原稿Gの厚さを判定するようにしたものであっても良い。
【0104】
排紙処理部60は、印字された用紙を排紙トレイに排出する排紙処理を行うための制御を行うものであり、用紙積載量検出センサ21Dから出力された信号に基づき排紙処理を行うものである。
【0105】
原稿読取り駆動部64は、スキャナ部3の第1走査ユニット4、第2走査ユニット5の駆動用アクチュエータである。
用紙搬送駆動部66は、用紙搬送部59、具体的には、上述の給紙搬送路25上の用紙ピックアップローラ24、レジストローラ26の駆動用モータである。
印字処理駆動部68は、感光体ドラム11の駆動用モータである。
定着駆動部70は、定着装置30の加熱ローラ31および加圧ローラ32の駆動用モータである。
【0106】
排紙駆動部72は、排紙搬送ローラ18、排紙ローラ19などを駆動する駆動用モータ18cである。
これらの各駆動部の駆動用モータは、それぞれ同じまたは異なるモータを駆動源として適宜に動力伝達機構を介して構成できる。
【0107】
また、画像形成装置1には、オプション構成74として、自動原稿処理装置(自動原稿読取り装置)40等が配置可能であり、それらオプション構成74は上記画像形成装置1の制御部とは別に各々のオプション構成74内に制御部74aを持ちながら、前記通信処理部58を介して装置とのタイミング調整を同期するように構成されている。
【0108】
本実施形態では、制御部74aは、自動原稿処理装置40により搬送される原稿Gの厚さに応じて第1の走査ユニット4による原稿Gへの照射位置、すなわち、第1の照射位置401または第2の照射位置402を選択して、第1の走査ユニット4を移動するように制御する機能を備えている。
【0109】
記録媒体検出手段78は、定着装置30または搬出部に記録媒体の先端が到達することを検出するものである。
【0110】
記録媒体検出手段78は、実施形態では、定着装置30および排紙搬送ローラ18のそれぞれに用紙Pが到達する(突入する)タイミングを、後述する搬送タイミング検出手段79bによって検出した記録媒体の搬送タイミングに基づいて検出するようにしている。
【0111】
具体的には、記録媒体検出手段78は、給紙搬送路25入り口において用紙Pを導入するレジストローラ26から用紙Pが送り出された後の用紙Pの搬送時間を計測する搬送時間計測手段79aと、このレジストローラ26から制御対象の定着装置30および排紙搬送ローラ18のそれぞれまでの距離と用紙Pの搬送速度に基づき、主搬送路16および排紙搬送路17における用紙Pの搬送タイミングを検出する搬送タイミング検出手段79bとを有している。
【0112】
また、画像形成装置1は、定着装置30における加熱ローラ31による定着温度を温度制御部80により運転状況に応じて制御するようになっている。
温度制御部80は、加熱ローラ31に設けられた非接触型サーミスター35aおよび接触型サーミスター35bにより検出された加熱ローラ31の表面温度に応じて設定された定着温度となるように制御するものである。
【0113】
次に、本実施形態に係る原稿読取り装置による原稿Gの画像読取り処理についてフローチャートを参照して詳細に説明する。
図5は本実施形態に係る原稿読取り装置による原稿の画像読取り処理工程を示すフローチャートである。
【0114】
本実施形態に係る画像形成装置1において、原稿読取り装置40Aにより原稿Gの画像を読取る場合は、以下のように行なわれる。
原稿読取り装置40Aによる原稿Gの画像読取りは、図5に示すように、原稿読取りが要求されると(ステップS1)、光源である露光ランプ4Aを点灯し(ステップS2)、原稿Gが原稿トレイ41に原稿が載置されたか否かが判断される(ステップS3)。
【0115】
ステップS3において、原稿Gが載置されていないと判断された場合は、原稿Gの載置を促すメッセージを表示部等に表示する(ステップS4)。一方、原稿Gが載置されていると判断された場合は、原稿Gの読取り条件の入力が完了したか否かが判断される(ステップS5)。
【0116】
ステップS5において、原稿Gの読取り条件の入力が完了していないと判断された場合は、原稿Gの読取り条件の入力を促すメッセージを表示部等に表示する(ステップS6)。一方、原稿Gの読取り条件の入力が完了していると判断された場合は、露光ランプ4Aの光量が最適光量になったか否かが判断される(ステップS7)。
【0117】
ステップS7において、露光ランプ4Aの光量が最適光量になっていない場合は、最適光量になるまで、判定が繰り返される。一方、露光ランプ4Aの光量が最適光量になった場合は、第1の走査ユニット4を移動して、第1の原稿読取り部91及び第2の原稿読取り部92において白/黒のシェーディング補正を行なう(ステップS8)。
【0118】
そして、原稿Gを搬送して(ステップS9)、搬送された原稿Gが薄紙原稿であるか否かが原稿厚さ判定機能により判定される(ステップS10)。
【0119】
ステップS10において、運転条件設定部77における原稿Gの厚さの設定(ユーザ設定)により、搬送された原稿Gが薄紙原稿であると判断された場合は、第1の走査ユニット4からの照射光が第1の原稿読取り部91を照射するように、第1の走査ユニット4を第1の照射位置401に移動して(ステップS11)、原稿読取り処理が行なわれる(ステップS13)。
【0120】
一方、搬送された原稿Gが薄紙原稿ではないと判断された場合は、第1の走査ユニット4からの照射光が第2の原稿読取り部92を照射するように、第1の走査ユニット4を第2の照射位置402に移動して(ステップS12)、原稿読取り処理が行なわれる(ステップS13)。
【0121】
そして、引き続き読取る原稿Gが有るか否かが判断され(ステップS14)、引き続き読取る原稿Gが有る場合は、ステップS9に戻り原稿Gが搬送されて、原稿Gの画像読み取り工程が実行される。一方、引き続き読取る原稿Gがない場合は、原稿読取り装置40Aが待機状態となる。
このようにして、原稿Gの厚さに応じた原稿読取り処理が自動的に行なわれる。
【0122】
以上のように構成したので、本実施形態によれば、原稿読取り装置40Aにおいて原稿Gを照射する第1の走査ユニット4の照射位置を、第1の原稿読取り部91を照射する第1の照射位置401と、第2の原稿読取り部92を照射する第2の照射位置402との2箇所に設定したので、原稿Gの厚さに応じて黒シェーディング補正または白シェーディング補正により裏写りを低減して読取り画像の読取り品位の向上を図り、高品位の画像出力を実現することができる。
【0123】
尚、本実施形態では、原稿Gが厚い原稿であるか否かをユーザが運転条件設定部77で選択スイッチ等により選択するようにしているが、本発明は原稿Gの判定方法を限定するものではなく、例えば、変形例として図6に示すように、本実施形態における原稿読取り処理における原稿Gを判断する工程(ステップS10)の変わりに(図5の2点差線の範囲A)、ビームスポット(図示省略)を原稿搬送路上に配置して、該ビームスポットにより原稿Gをピンポイント照射して(ステップS10a)、その原稿Gに裏写りが生じるか否かを判断する(ステップS10b)ようにしたものであっても良い(図6の2点差線の範囲B)。
【0124】
このように構成することで、ユーザが原稿Gを判断して選択することなく自動的に原稿Gが裏写りし易い原稿か否かを判断でき、前述した実施形態と同様に顕著な効果を奏し得ることができる。
【0125】
また、本実施形態では、原稿Gの厚さにより画像の裏写りがし易いか否かを判定するようにしているが、本発明は原稿Gの画像の裏写りの判定方法に限定されるものではなく、例えば、原稿の地色、原稿に形成された画像情報の状態(画像情報が片面または両面の何れに形成されているか)等により、それらを検出可能なセンサを用いたり、ユーザ確認により選択する選択スイッチを適宜に設けるようにすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体の構成を示す斜視図である。
【図2】前記画像形成装置の内部の構成を示す側面断面図である。
【図3】本実施形態に係る原稿読取り装置において第1の走査ユニット(反射手段)により原稿に光を照射する照射位置を示す説明図である。
【図4】前記画像形成装置の電気制御部の構成を示すブロック図である。
【図5】前記原稿読取り装置による原稿の画像読取り処理工程を示すフローチャートである。
【図6】本実施形態に係る原稿読取り装置の変形例による原稿の画像読取り処理工程を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0127】
1 画像形成装置
2 原稿載置台
3 スキャナ部(画像読取り手段)
4 第1の走査ユニット(反射手段)
4A 露光ランプ(光源)
4B リフレクタ
4C 第1のミラー
5 第2の走査ユニット
5A 第2のミラー
5B 第3のミラー
6 光学レンズ体
7 光電変換素子
9 原稿読取り台
40 自動原稿処理装置
40A 原稿読取り装置
41 原稿トレイ
74 オプション構成
74a 制御部
76 操作スイッチ類
77 運転条件設定部
90 原稿押え部材
91 第1の原稿読取り部
92 第2の原稿読取り部
93 原稿厚さ判定機能
401 第1の照射位置(照射位置)
402 第2の照射位置(照射位置)
G 原稿


【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を照明する光源と、前記光源からの照射光を反射して原稿の読取り部分に照射する反射手段と、前記光源により照明された原稿から反射した画像光を集光する光学系と、前記光学系により集光された画像光を読取る光電変換素子とを有する画像読取り手段と、原稿の読取り位置を規制する原稿押え部材を備え、原稿を移動しながら画像を読取ることが可能な原稿読取り装置において、
前記原稿を移動しながら画像を読取る時の前記光源からの照射光の前記原稿への照射位置は、原稿が移動する方向に沿って少なくとも2箇所に設定されていることを特徴とする原稿読取り装置。
【請求項2】
前記反射手段は、前記原稿を移動しながら画像を読取る時の前記光源からの照射光を原稿へ照射する位置が少なくとも2箇所に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の原稿読取り装置。
【請求項3】
前記照射位置のうちの第1の照射位置には、画像が読取られる原稿を挟んで光源により照射される側の反対側に、有色の原稿押え部材を配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の原稿読取り装置。
【請求項4】
前記照射位置のうちの第2の照射位置は、画像が読取られる原稿を挟んで光源により照射される側の反対側に、白色の原稿押え部材を配置したことを特徴とする請求項1乃至3のうちの何れか一項に記載の原稿読取り装置。
【請求項5】
前記照射位置は、前記原稿の種類に応じて選択されることを特徴とする請求項1乃至4のうちの何れか一項に記載の原稿読取り装置。
【請求項6】
前記照射位置は、前記原稿が薄紙原稿である時は、第1の照射位置とすることを特徴とする請求項3または4に記載の原稿読取り装置。
【請求項7】
前記照射位置は、前記原稿が厚紙原稿である時は、第2の照射位置とすることを特徴とする請求項4に記載の原稿読取り装置。
【請求項8】
前記照射位置は、前記光源からの照射光により前記原稿の裏面の情報が裏写りするか否かにより選択されることを特徴とする請求項1乃至4のうちの何れか一項に記載の原稿読取り装置。
【請求項9】
前記光源からの照射光により前記原稿の裏面の情報が裏写りすると判断された時は、前記画像読取り手段は、第1の照射位置で前記原稿を照射して画像情報を読取ることを特徴とする請求項8に記載の原稿読取り装置。
【請求項10】
前記光源からの照射光により前記原稿の裏面の情報が裏写りしないと判断された時は、前記画像読取り手段は、第2の照射位置で前記原稿を照射して画像情報を読取ることを特徴とする請求項8または9に記載の原稿読取り装置。
【請求項11】
前記照射位置は、前記原稿の表裏両面に画像情報が形成されているか否かで選択されることを特徴とする請求項1乃至4のうちの何れか一項に記載の原稿読取り装置。
【請求項12】
前記照射位置は、前記原稿の表裏両面に画像情報が形成されている時は、前記光源からの照射光により前記原稿の裏面の情報が裏写りするか否かにより選択されることを特徴とする請求項11に記載の原稿読取り装置。
【請求項13】
前記照射位置は、前記原稿の表裏面のうちの何れか一方の面に画像情報が形成されている時は、第2の照射位置とすることを特徴とする請求項11または12に記載の原稿読取り装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−60867(P2008−60867A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−234765(P2006−234765)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】