原稿読取装置、原稿読取装置を装備する画像形成装置
【課題】画像読取り部近傍に詰まった残留原稿の有無を判断する原稿読取り装置および原稿読取装置を装備した画像形成装置を提供すること。
【解決手段】原稿搬送手段と、画像読取手段と、当該画像読取手段と対向する位置に配置されたシェーディング補正用の反射部材とを有する原稿読取装置において、前記反射部材と原稿用紙の反射率の差を利用し、前記反射部材と前記画像読取手段との間に残留する原稿用紙の有無を判断する検知手段を有することを特徴とする原稿読取装置。
【解決手段】原稿搬送手段と、画像読取手段と、当該画像読取手段と対向する位置に配置されたシェーディング補正用の反射部材とを有する原稿読取装置において、前記反射部材と原稿用紙の反射率の差を利用し、前記反射部材と前記画像読取手段との間に残留する原稿用紙の有無を判断する検知手段を有することを特徴とする原稿読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿搬送経路に残留するジャム原稿の有無を判断する検知手段を有する原稿読取装置および原稿読取装置を装備する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高速電子写真複写機には、原稿読取装置を配置したADF(自動原稿搬送装置)を搭載した機種が一般化されている。
【0003】
図2は、本発明に係わるADFの原稿搬送経路を示す図である。
【0004】
ADFの原稿搬送手段によって原稿給紙台から搬送された原稿の読取りは、原稿を1枚ずつ読取り位置であるスリットガラス上を通過させ、通過する原稿を発光体で照射し、原稿からの反射光をCCD(画像読取り素子)上に導く本体スキャナか、または、原稿搬送手段としての原稿搬送経路に、発光部(発光ダイオード)、集光レンズ、受光部(CCD)等を持ち合わせた密着イメージセンサを配置し、通過する原稿に発光部で照射し、原稿からの反射光を受光部に導く画像読取り部であるADF内スキャナで行われている。
【0005】
また、ADF内の原稿搬送経路(以下、単に搬送経路ともいう。)には原稿の通過を確認するための原稿位置検知センサ(以下、単に検知センサともいう。)が複数個配置され、所定の時間内に原稿の先端または後端が前記原稿位置検知センサを通過しないと原稿はジャム(紙詰まり)となり、その旨が表示される。
【0006】
搬送経路内に原稿残留の有無を確認する検知センサには、搬送経路を介して発光部と受光部とが分離され、発光部から照射された光が原稿で遮られて紙の存在を確認する透過型センサや、発光部と受光部とを有する検知センサが搬送経路の上方、または下方の一方側に配置され、発光部から照射された光が原稿で反射され、反射光を受光部で検知し、紙の存在を確認する反射型センサや、発信・受信超音波素子を用いて、発信側と受信側との間に、原稿が存在する場合と存在しない場合の超音波の往復する時間を測定し、残留原稿の有無を検知する方法等が知られている。
【0007】
光照射による紙(原稿)の有無を検知する方法として、転写材に光を照射する1つの光源と、当該光源からの光が転写材で乱反射光および正反射光を検出する検出手段と、この検出手段からの出力に基づいて転写材の有無を判断する方法(例えば、特許文献1参照)等も開示されている。
【特許文献1】特開平8−171312号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ADFの搬送経路には、前述したように複数の検知センサが配置されおり(図2参照)、画像読取り部(ADF内または本体スキャナ)近傍には、シェーディング補正用の機構が並設されているケースが多く、そのため検知センサを配置するスペースを確保するのが困難である。
【0009】
画像読取り部近傍と排紙ローラ間には検知センサが存在しない構成でも機械動作上では特に問題ないが、画像読取り部近傍と排紙ローラ間でジャムが発生した場合、ジャム原稿の位置が分からず残留原稿の除去忘れが発生する可能性がある。また、仮に画像読取り部近傍と排紙ローラ間に検知センサ配置スペースを確保したとしても、更に検知センサを追加する必要がありコストアップとなる。
【0010】
本発明は、画像読取り部のスキャナを活用して、画像読取り部近傍に残留するジャム原稿の有無を判断する原稿読取装置および原稿読取装置を装備した画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、下記の構成によって達成される。
【0012】
(1)原稿搬送手段と、画像読取手段と、当該画像読取手段と対向する位置に配置されたシェーディング補正用の反射部材とを有する原稿読取装置において、前記反射部材と原稿用紙の反射率の差を利用し、前記反射部材と前記画像読取手段との間に残留する原稿用紙の有無を判断する検知手段を有することを特徴とする原稿読取装置。
【0013】
(2)(1)に記載の原稿読取装置を装備することを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0014】
ADFの搬送経路に検知センサを追加することなしに原稿(画像)読取り用のスキャナで残留原稿の有無を検知することができ、コスト低減となり、残留原稿の除去忘れを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の原稿読取装置、及びそれを装備した画像形成装置について説明する。
【0016】
図1は、本発明に係わる画像形成装置の全体構成を示す模式図である。
【0017】
図1において、画像形成装置Aは、装置本体A1、自動原稿搬送装置ADF(以下、単にADFという。)等からなっている。
【0018】
装置本体A1は、本体スキャナ1、制御手段2、画像書込み装置3、画像形成部4、給紙トレイ5、搬送手段6、定着装置7、排紙手段8、再搬送手段9等で構成されている。
【0019】
以下、前記ADFから給送される原稿の搬送経路について説明する。
【0020】
前記ADFは、装置本体A1の上部に配置され不図示のヒンジを介して開閉可能となっており、原稿搬送手段である不図示の搬送ガイド板と搬送ローラ(c、e、f、g)と、一部原稿搬送手段を含む原稿読取装置と、原稿給紙台aと、原稿排紙皿k等から構成されている。原稿Sは表面側を上方にして原稿給紙台aに載置され、給紙ベルトローラbによって1枚ずつ給紙され、搬送ガイド板に沿って搬送ローラcで送られて、レジストローラdで一時停止し、原稿Sの紙曲り等が矯正される。その後、原稿Sは再スタートし、搬送ローラeで送られ、画像読取手段である本体スキャナ1で原稿の表面が読み込まれる。
【0021】
本体スキャナ1は、光源ランプ14Aと第1ミラーを備える露光ユニット14、第2ミラーと第3ミラーから成るVミラーユニット15、レンズ16、CCD(画像読み取り素子)17によりなる光学系で構成されている。
【0022】
本体スキャナ1での原稿読取りは、光源ランプ14Aがスリット露光用ガラス13の下方の初期位置に停止した位置において行われる。また、原稿台ガラス11上に置かれた原稿の読取りは、露光ユニット14及びVミラーユニット15を移動させながら行われる。
【0023】
読取られた原稿Sは、さらに搬送ローラfで搬送され、画像読取手段であるADF内スキャナ1Aを通り、搬送ローラg及び排紙ローラhで原稿排紙皿kに排紙される。
【0024】
なお、ADF内スキャナ1Aは、両面原稿の場合の裏面を読込むためのものであって、図3(a)に示すよう、読取り部Tが、発光素子(例えば、発光ダイオード等)の発光部t1と受光部である取りCCD(画像読取り素子)t2、集光レンズt3等からなっており、いずれも主走査方向(紙面に垂直方向)に配列されている。
【0025】
図3は、図1のADF内スキャナ、反射部材、原稿搬送手段を含む原稿読取装置の断面及びCCDを示す図である。
【0026】
スキャナ1、1Aで読み取られた原稿の画像情報は制御手段2により画像処理が行われ、画像データとして信号化され、一旦メモリに格納される。次に、画像形成部4において、帯電器22により感光体である感光体ドラム21の表面が一様に帯電され、画像書込手段3に含まれる不図示の半導体レーザからの前記画像データの出力光が、前記感光体ドラム21に照射され静電潜像が形成される。
【0027】
次に現像装置23により前記静電潜像がトナーで現像されてトナー像となる。当該トナー像は、給紙トレイ5から搬送された用紙P上に転写器29Aにより転写される。トナー像が転写された用紙Pは、分離器29Bにより感光体ドラム21表面から剥離される。その後、クリーニング装置26により感光体ドラム21上の転写残トナーが除去される。トナー像が転写された用紙Pは、搬送手段6により搬送され、定着装置7で、加熱ローラ71と加圧ローラ72によって定着され、排紙手段8により排紙トレイ81等へ搬送される。
【0028】
なお、両面コピーの場合は、第1面(表面)に画像形成された用紙Pは、搬送路切り替え板82により再搬送手段9に送り込まれ、反転され、再び画像作成部4において第2面(裏面)に画像形成後、排紙手段8により排紙トレイ81へ排紙される。
【0029】
以下、本発明に係わるシェーディング補正用の反射部材を利用した検知手段による残留原稿の有無検知について説明する。
【0030】
前述したが、ADF内スキャナ1A近傍と排紙ローラh間でジャムが発生した場合、ジャム原稿の位置が分からず残留原稿の除去忘れが発生する可能性がある。
【0031】
本発明によると、ADF内スキャナ1Aと排紙ローラh間に検知センサを追加することなく、シェーディング補正用の反射部材を利用して、反射部材の反射基準面の反射率と、原稿面との反射率との差を読取る検知手段によって前記ADF内スキャナ1A近傍と排紙ローラ間hに滞留する残留原稿の有無を確認することができる。
【0032】
図3において、SHはシェーディング補正用の基準濃度の反射基準面を有する反射部材で、搬送経路Gを介して読取り部Tと対向して配置されている。シェーディング補正時には、前記反射部材SH上の白色または黒色の所定濃度の反射基準面からの反射光が前記読取り部Tによって検知され、その出力が制御手段2に送られ、画像書込み装置3の光量やCCDの各エレメントの感度のバラツキが補正される。
【0033】
本発明においては、前記反射部材と前記読取り部Tを残留原稿の有無検知に利用することを特徴としている。
【0034】
以下残留原稿確認の方法について実施の形態に基づいて説明する。
【0035】
<実施の形態1>
ADFの搬送経路でジャムが発生した場合、オペレータがジャム原稿を除去し、ADFを閉じた後、読取り部Tが再起動する際に、搬送経路中の各検知センサのON/OFFを確認すると共にADF内スキャナ1Aの光源(発光部t1)を点灯し出力を確認する。その際に反射部材SHが単色の場合(白または黒)は残留原稿等があれば、原稿幅(主走査)方向のCCD(bit数に対応する。)の一部のみ出力波形(レベル)が図4に示すように上昇もしくは低下する。この現象が検知された場合は除去忘れの残留原稿有りか、または基準反射面に紙粉等が付着かが推察される。前記ジャムエラーは、図4に示す出力波形の変動現象から確認することができる。
【0036】
図4は、図3(a)の残留原稿と反射基準面からの反射光によるCCDの出力波形の変化を示す図である。
【0037】
図3(b)において、CCD上で、全反射基準面の主走査方向に対応する長さ(幅)Xに対して、滞留する残留原稿幅に対応する長さがxとすると、図4に示すように、長さX、xに対応して出力がY、yとなり、反射基準面と残留原稿からの反射光量の出力レベルに上昇(もしくは低下)の差が生じ、残留原稿の滞留を確認することができる。
【0038】
以下、除去忘れの残留原稿確認のプロセスについてフロー図にて説明する。
【0039】
図5は、残留原稿確認のプロセスに係わるフロー図である。
【0040】
図5において、オペレータによるADFの搬送経路(検知センサ配置箇所)でのジャム処理完了後、ステップS1で、ADF内スキャナ1Aの光源(発光部t1)をON(点灯)する。ステップS2で、ADF内スキャナ1A(以下、検知手段または読取り素子または読取り部ともいう。)の出力を確認する。ステップS3で、検知手段の出力波形に変動があるか否か確認する。ステップS3で、変動がない場合はNOで、ステップS4の次の動作である、イニシャル動作(画像形成等)やシェーディング補正動作等に移る。ステップS3で、変動部(x対応域)がある場合は、YESでステップS5に移る。ステップS5で、変動部が用紙幅に対応するnbit以上連続してあるか否かを確認する。ステップS5で、YESの場合はステップS6に進み、残留原稿ありと判断しジャム表示となる。ステップS5で、NOの場合は、ADF内スキャナ1A(CCD)が紙粉汚れもしくはスキャナ故障と判断しエラー表示となる。
【0041】
<実施の形態2>
また、図8に示すのように、ADF内スキャナ1Aに対向する反射部材SHが、反射率が異なる複数の切り替え可能な反射面(例えば、白、黒の六角柱)を有する場合、ADF内スキャナ1Aの光源(発光部t1)を点灯し前記反射面を切り替えて出力波形を確認する方法もある。
【0042】
図8は、回転により切り替え可能な反射部材の反射基準面を示す。
【0043】
図8において、複数(6面)の反射基準面を有する反射部材SHは、パルスモータPMによって所定の角度回転し、白または黒の反射面が読取り部Tと対向した位置に停止する。
【0044】
これは、反射状態によっては出力波形が図6の点線のように原稿と反射基準面との濃度差がなく、出力変動がない場合に、反射率が異なる反射基準面に切り替えて確認する方法である。例えば、白色の反射基準面で、白色残留原稿が存在し出力波形が変動しない場合、黒色の反射基準面では、原稿幅に対応するxの領域で一点鎖線で示す波形のような出力変動を確認することができる。また、同様に、黒色の反射基準面の場合、黒色原稿の反射は、白色基準面で出力が変動するので、その差を確認することになる。ただし、原稿幅に対応するbit数が連続して確認されればジャムエラーと判断され、不連続に確認されれば基準反射面に紙粉等が付着等と判断される。
【0045】
図6は、白または黒の反射面からの出力波形を示す図である。
【0046】
図7は、複数の反射基準面を有する反射部材を切替えて残留原稿の有無を確認するプロセスを示すフロー図である。
【0047】
図7において、オペレータによるADFの搬送経路(検知センサ配置箇所)でのジャム処理完了後、ステップS11で、ADF内スキャナ1Aの光源(発光部t1)をON(点灯)する。ステップS12で、ADF内スキャナ1Aの出力を確認する。ステップS13で、異なる反射率の反射面に移動させる。ステップ14で、ADF内スキャナ1Aの出力を確認する。ステップ15で、白、黒反射基準面による出力波形が変化しているか否か確認する。ステップ15で、全bitの出力に変化がなければ、NOでステップS16の次の動作である、イニシャル動作やシェーディング補正動作等に移る。ステップS15で、変動部(x対応域)がある場合は、YESでステップS17に移る。ステップS17で、変動部が用紙幅に対応するnbit以上連続してあるか否かを確認する。ステップS17で、YESの場合はステップS18に進み、残留原稿ありと判断しジャム表示となる。ステップS17で、NOの場合は、ステップS19でADF内スキャナ1A(CCD)が紙粉汚れもしくはスキャナ故障と判断しエラー表示となる。
【0048】
したがって、複数種類の反射率の反射基準面を配置し、複数回の出力波形を確認すればより明確に残留原稿の有無を確認することができる。
【0049】
<実施の形態3>
ADF内スキャナ1Aで反射部材SHの一部に残留原稿存在の有無を確認する方法として、ADF内スキャナ1A近傍に滞留している原稿を搬送ローラgを回転させ移動させながらスキャナの出力波形を確認する方法である。
【0050】
図9は、ADF内スキャナに残留原稿が滞留した状態を示す図である。
【0051】
この場合、搬送ローラgを回転させ、残留原稿を搬送しながら、出力波形を確認すると、滞留原稿が存在する場合、原稿の副走査(搬送)方向での原稿の濃度が変化し、それに対応して読取り部Tの出力も変動し、出力波形も変化する。この変化を観察する過程で、図4のようなスキャナの長さX、xに対応して出力がY、yとなる現象が複数回出力変動が検知されれば、残留原稿が滞留していると判断する。
【0052】
図10は、原稿移動による残留原稿の有無を確認するプロセスを示すフロー図である。
【0053】
図10において、オペレータによるADFの搬送経路(検知センサ配置箇所)でのジャム処理完了後、ステップS21で、ADF内スキャナ1Aの光源(発光部t1)をON(点灯)する。ステップS22で、ADF内スキャナ1Aの出力を確認する。ステップ23で搬送ローラgを複数回所定時間tだけ回転させる。ただし、複数回、搬送ローラを回転しても、原稿はADF内スキャナ1Aに滞留しているものとする。ステップS24で、ADF内スキャナ1Aの出力を確認する。ステップ25で、出力波形が変化しているか否か確認する。ステップ25で、変化がなければ、NOでステップS26の次の動作である、イニシャル動作やシェーディング補正動作等に移る。ステップS25で、変動部(x対応域)がある場合は、YESでステップS27に移る。ステップS27で、変動部が用紙幅に対応するnbit以上連続してあるか否かを確認する。ステップS27で、YESの場合はステップS28に進み、残留原稿ありと判断しジャム表示となる。ステップS27で、NOの場合は、ステップS29で、ADF内スキャナ1A(CCD)が紙粉汚れもしくはスキャナ故障と判断しエラー表示となる。
【0054】
<実施の形態4>
実施の形態4は、残留原稿の確認を画像形成装置起動時やシェーディング補正動作時に同時に行うことを特徴とする。当然、シェーディング補正動作時に残留原稿が存在すると正確な補正ができなくなるので残留原稿は除去する必要がある。
【0055】
これは実施の形態1のようなタイプの反射部材SHが配置されている構成で説明すると、シェーディング補正時に任意に設定している規定値以上にずれた値の出力波形の範囲がある場合、このずれた出力領域のbit数が連続して存在する場合は残留原稿有りと判断する方法である。
【0056】
図11は、シェーディング補正に当たっての白色反射基準面と黒色反射基準面からの出力波形と残留原稿有り時の出力波形を示す図である。
【0057】
図11(a)において、点線で示す曲線は、白色シェーディング補正時の白色反射基準面からの規定値の出力波形である。この出力波形の時、原稿幅に対応するx領域(nbitに対応)に実線で示すような規定値以下の出力波形が連続して存在すると残留原稿有りと判定することができる。また、図11(b)において、点線で示す曲線は黒色シェーディング補正時の黒色反射基準面からの規定値の出力波形である。この出力波形の時、原稿幅に対応するx領域に実線で示すような規定値以上の出力波形がnbitにわたって連続して存在すると残留原稿有りと判定することができる。
【0058】
図12は、シェーディング補正動作時の残留原稿の有無を確認するプロセスを示すフロー図である。
【0059】
図12において、シェーディング補正動作開始の後、ステップS31で、ADF内スキャナ1Aの光源(発光部t1)をON(点灯)する。ステップS32で、ADF内スキャナ1Aの出力を確認する。ステップS33で、一部分のbitの出力波形が規定値からずれているか否か確認する。ステップS33で、出力がずれていなければNOで、ステップS34でシェーディング補正動作を継続する。ステップS33で、出力がずれていればYSEで、ステップS35で、規定値からずれたx領域が、原稿幅に対応するnbit以上連続してあるか否かを確認する。ステップS35で、YESの場合はステップS36に進み、残留原稿ありと判断しジャム表示となる。ステップS35で、NOの場合は、ステップS37でADF内スキャナ1A(CCD)が紙粉汚れもしくはスキャナ故障と判断しエラー表示となる。
【0060】
以上のADF内スキャナ近傍での残留原稿を反射部材を利用する確認方法によって適正な原稿搬送動作を維持することができ、検知センサを追加する必要もなく、コスト削減ができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係わる画像形成装置の全体構成を示す模式図である。
【図2】本発明に係わるADFの原稿搬送経路を示す図である。
【図3】図1のADF内スキャナ、反射部材、原稿搬送手段を含む原稿読取装置の断面及びCCDを示す図である。
【図4】図3(a)の残留原稿と反射基準面からの反射光によるCCDの出力波形の変化を示す図である。
【図5】残留原稿確認のプロセスに係わるフロー図である。
【図6】白または黒の反射面からの出力波形を示す図である。
【図7】複数の反射基準面を有する反射部材で残留原稿の有無を確認するプロセスを示すフロー図である。
【図8】回転により切り替え可能な反射部材の反射基準面を示す。
【図9】ADF内スキャナに残留原稿が滞留した状態を示す図である。
【図10】原稿移動による残留原稿の有無を確認するプロセスを示すフロー図である。
【図11】シェーディング補正に当たっての白色反射基準面と黒色反射基準面からの出力波形を示す図である。
【図12】シェーディング補正動作時の残留原稿の有無を確認するプロセスを示すフロー図である。
【符号の説明】
【0062】
1 本体スキャナ
1A ADF内スキャナ
13 スリット露光用ガラス
14 露光ユニット
17、t2 CCD(画像読取り素子)
2 制御手段
SH、GH 反射部材
t1 発光部
d レジストローラ
e、f、g 搬送ローラ
t3 集光レンズ
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿搬送経路に残留するジャム原稿の有無を判断する検知手段を有する原稿読取装置および原稿読取装置を装備する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高速電子写真複写機には、原稿読取装置を配置したADF(自動原稿搬送装置)を搭載した機種が一般化されている。
【0003】
図2は、本発明に係わるADFの原稿搬送経路を示す図である。
【0004】
ADFの原稿搬送手段によって原稿給紙台から搬送された原稿の読取りは、原稿を1枚ずつ読取り位置であるスリットガラス上を通過させ、通過する原稿を発光体で照射し、原稿からの反射光をCCD(画像読取り素子)上に導く本体スキャナか、または、原稿搬送手段としての原稿搬送経路に、発光部(発光ダイオード)、集光レンズ、受光部(CCD)等を持ち合わせた密着イメージセンサを配置し、通過する原稿に発光部で照射し、原稿からの反射光を受光部に導く画像読取り部であるADF内スキャナで行われている。
【0005】
また、ADF内の原稿搬送経路(以下、単に搬送経路ともいう。)には原稿の通過を確認するための原稿位置検知センサ(以下、単に検知センサともいう。)が複数個配置され、所定の時間内に原稿の先端または後端が前記原稿位置検知センサを通過しないと原稿はジャム(紙詰まり)となり、その旨が表示される。
【0006】
搬送経路内に原稿残留の有無を確認する検知センサには、搬送経路を介して発光部と受光部とが分離され、発光部から照射された光が原稿で遮られて紙の存在を確認する透過型センサや、発光部と受光部とを有する検知センサが搬送経路の上方、または下方の一方側に配置され、発光部から照射された光が原稿で反射され、反射光を受光部で検知し、紙の存在を確認する反射型センサや、発信・受信超音波素子を用いて、発信側と受信側との間に、原稿が存在する場合と存在しない場合の超音波の往復する時間を測定し、残留原稿の有無を検知する方法等が知られている。
【0007】
光照射による紙(原稿)の有無を検知する方法として、転写材に光を照射する1つの光源と、当該光源からの光が転写材で乱反射光および正反射光を検出する検出手段と、この検出手段からの出力に基づいて転写材の有無を判断する方法(例えば、特許文献1参照)等も開示されている。
【特許文献1】特開平8−171312号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ADFの搬送経路には、前述したように複数の検知センサが配置されおり(図2参照)、画像読取り部(ADF内または本体スキャナ)近傍には、シェーディング補正用の機構が並設されているケースが多く、そのため検知センサを配置するスペースを確保するのが困難である。
【0009】
画像読取り部近傍と排紙ローラ間には検知センサが存在しない構成でも機械動作上では特に問題ないが、画像読取り部近傍と排紙ローラ間でジャムが発生した場合、ジャム原稿の位置が分からず残留原稿の除去忘れが発生する可能性がある。また、仮に画像読取り部近傍と排紙ローラ間に検知センサ配置スペースを確保したとしても、更に検知センサを追加する必要がありコストアップとなる。
【0010】
本発明は、画像読取り部のスキャナを活用して、画像読取り部近傍に残留するジャム原稿の有無を判断する原稿読取装置および原稿読取装置を装備した画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、下記の構成によって達成される。
【0012】
(1)原稿搬送手段と、画像読取手段と、当該画像読取手段と対向する位置に配置されたシェーディング補正用の反射部材とを有する原稿読取装置において、前記反射部材と原稿用紙の反射率の差を利用し、前記反射部材と前記画像読取手段との間に残留する原稿用紙の有無を判断する検知手段を有することを特徴とする原稿読取装置。
【0013】
(2)(1)に記載の原稿読取装置を装備することを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0014】
ADFの搬送経路に検知センサを追加することなしに原稿(画像)読取り用のスキャナで残留原稿の有無を検知することができ、コスト低減となり、残留原稿の除去忘れを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の原稿読取装置、及びそれを装備した画像形成装置について説明する。
【0016】
図1は、本発明に係わる画像形成装置の全体構成を示す模式図である。
【0017】
図1において、画像形成装置Aは、装置本体A1、自動原稿搬送装置ADF(以下、単にADFという。)等からなっている。
【0018】
装置本体A1は、本体スキャナ1、制御手段2、画像書込み装置3、画像形成部4、給紙トレイ5、搬送手段6、定着装置7、排紙手段8、再搬送手段9等で構成されている。
【0019】
以下、前記ADFから給送される原稿の搬送経路について説明する。
【0020】
前記ADFは、装置本体A1の上部に配置され不図示のヒンジを介して開閉可能となっており、原稿搬送手段である不図示の搬送ガイド板と搬送ローラ(c、e、f、g)と、一部原稿搬送手段を含む原稿読取装置と、原稿給紙台aと、原稿排紙皿k等から構成されている。原稿Sは表面側を上方にして原稿給紙台aに載置され、給紙ベルトローラbによって1枚ずつ給紙され、搬送ガイド板に沿って搬送ローラcで送られて、レジストローラdで一時停止し、原稿Sの紙曲り等が矯正される。その後、原稿Sは再スタートし、搬送ローラeで送られ、画像読取手段である本体スキャナ1で原稿の表面が読み込まれる。
【0021】
本体スキャナ1は、光源ランプ14Aと第1ミラーを備える露光ユニット14、第2ミラーと第3ミラーから成るVミラーユニット15、レンズ16、CCD(画像読み取り素子)17によりなる光学系で構成されている。
【0022】
本体スキャナ1での原稿読取りは、光源ランプ14Aがスリット露光用ガラス13の下方の初期位置に停止した位置において行われる。また、原稿台ガラス11上に置かれた原稿の読取りは、露光ユニット14及びVミラーユニット15を移動させながら行われる。
【0023】
読取られた原稿Sは、さらに搬送ローラfで搬送され、画像読取手段であるADF内スキャナ1Aを通り、搬送ローラg及び排紙ローラhで原稿排紙皿kに排紙される。
【0024】
なお、ADF内スキャナ1Aは、両面原稿の場合の裏面を読込むためのものであって、図3(a)に示すよう、読取り部Tが、発光素子(例えば、発光ダイオード等)の発光部t1と受光部である取りCCD(画像読取り素子)t2、集光レンズt3等からなっており、いずれも主走査方向(紙面に垂直方向)に配列されている。
【0025】
図3は、図1のADF内スキャナ、反射部材、原稿搬送手段を含む原稿読取装置の断面及びCCDを示す図である。
【0026】
スキャナ1、1Aで読み取られた原稿の画像情報は制御手段2により画像処理が行われ、画像データとして信号化され、一旦メモリに格納される。次に、画像形成部4において、帯電器22により感光体である感光体ドラム21の表面が一様に帯電され、画像書込手段3に含まれる不図示の半導体レーザからの前記画像データの出力光が、前記感光体ドラム21に照射され静電潜像が形成される。
【0027】
次に現像装置23により前記静電潜像がトナーで現像されてトナー像となる。当該トナー像は、給紙トレイ5から搬送された用紙P上に転写器29Aにより転写される。トナー像が転写された用紙Pは、分離器29Bにより感光体ドラム21表面から剥離される。その後、クリーニング装置26により感光体ドラム21上の転写残トナーが除去される。トナー像が転写された用紙Pは、搬送手段6により搬送され、定着装置7で、加熱ローラ71と加圧ローラ72によって定着され、排紙手段8により排紙トレイ81等へ搬送される。
【0028】
なお、両面コピーの場合は、第1面(表面)に画像形成された用紙Pは、搬送路切り替え板82により再搬送手段9に送り込まれ、反転され、再び画像作成部4において第2面(裏面)に画像形成後、排紙手段8により排紙トレイ81へ排紙される。
【0029】
以下、本発明に係わるシェーディング補正用の反射部材を利用した検知手段による残留原稿の有無検知について説明する。
【0030】
前述したが、ADF内スキャナ1A近傍と排紙ローラh間でジャムが発生した場合、ジャム原稿の位置が分からず残留原稿の除去忘れが発生する可能性がある。
【0031】
本発明によると、ADF内スキャナ1Aと排紙ローラh間に検知センサを追加することなく、シェーディング補正用の反射部材を利用して、反射部材の反射基準面の反射率と、原稿面との反射率との差を読取る検知手段によって前記ADF内スキャナ1A近傍と排紙ローラ間hに滞留する残留原稿の有無を確認することができる。
【0032】
図3において、SHはシェーディング補正用の基準濃度の反射基準面を有する反射部材で、搬送経路Gを介して読取り部Tと対向して配置されている。シェーディング補正時には、前記反射部材SH上の白色または黒色の所定濃度の反射基準面からの反射光が前記読取り部Tによって検知され、その出力が制御手段2に送られ、画像書込み装置3の光量やCCDの各エレメントの感度のバラツキが補正される。
【0033】
本発明においては、前記反射部材と前記読取り部Tを残留原稿の有無検知に利用することを特徴としている。
【0034】
以下残留原稿確認の方法について実施の形態に基づいて説明する。
【0035】
<実施の形態1>
ADFの搬送経路でジャムが発生した場合、オペレータがジャム原稿を除去し、ADFを閉じた後、読取り部Tが再起動する際に、搬送経路中の各検知センサのON/OFFを確認すると共にADF内スキャナ1Aの光源(発光部t1)を点灯し出力を確認する。その際に反射部材SHが単色の場合(白または黒)は残留原稿等があれば、原稿幅(主走査)方向のCCD(bit数に対応する。)の一部のみ出力波形(レベル)が図4に示すように上昇もしくは低下する。この現象が検知された場合は除去忘れの残留原稿有りか、または基準反射面に紙粉等が付着かが推察される。前記ジャムエラーは、図4に示す出力波形の変動現象から確認することができる。
【0036】
図4は、図3(a)の残留原稿と反射基準面からの反射光によるCCDの出力波形の変化を示す図である。
【0037】
図3(b)において、CCD上で、全反射基準面の主走査方向に対応する長さ(幅)Xに対して、滞留する残留原稿幅に対応する長さがxとすると、図4に示すように、長さX、xに対応して出力がY、yとなり、反射基準面と残留原稿からの反射光量の出力レベルに上昇(もしくは低下)の差が生じ、残留原稿の滞留を確認することができる。
【0038】
以下、除去忘れの残留原稿確認のプロセスについてフロー図にて説明する。
【0039】
図5は、残留原稿確認のプロセスに係わるフロー図である。
【0040】
図5において、オペレータによるADFの搬送経路(検知センサ配置箇所)でのジャム処理完了後、ステップS1で、ADF内スキャナ1Aの光源(発光部t1)をON(点灯)する。ステップS2で、ADF内スキャナ1A(以下、検知手段または読取り素子または読取り部ともいう。)の出力を確認する。ステップS3で、検知手段の出力波形に変動があるか否か確認する。ステップS3で、変動がない場合はNOで、ステップS4の次の動作である、イニシャル動作(画像形成等)やシェーディング補正動作等に移る。ステップS3で、変動部(x対応域)がある場合は、YESでステップS5に移る。ステップS5で、変動部が用紙幅に対応するnbit以上連続してあるか否かを確認する。ステップS5で、YESの場合はステップS6に進み、残留原稿ありと判断しジャム表示となる。ステップS5で、NOの場合は、ADF内スキャナ1A(CCD)が紙粉汚れもしくはスキャナ故障と判断しエラー表示となる。
【0041】
<実施の形態2>
また、図8に示すのように、ADF内スキャナ1Aに対向する反射部材SHが、反射率が異なる複数の切り替え可能な反射面(例えば、白、黒の六角柱)を有する場合、ADF内スキャナ1Aの光源(発光部t1)を点灯し前記反射面を切り替えて出力波形を確認する方法もある。
【0042】
図8は、回転により切り替え可能な反射部材の反射基準面を示す。
【0043】
図8において、複数(6面)の反射基準面を有する反射部材SHは、パルスモータPMによって所定の角度回転し、白または黒の反射面が読取り部Tと対向した位置に停止する。
【0044】
これは、反射状態によっては出力波形が図6の点線のように原稿と反射基準面との濃度差がなく、出力変動がない場合に、反射率が異なる反射基準面に切り替えて確認する方法である。例えば、白色の反射基準面で、白色残留原稿が存在し出力波形が変動しない場合、黒色の反射基準面では、原稿幅に対応するxの領域で一点鎖線で示す波形のような出力変動を確認することができる。また、同様に、黒色の反射基準面の場合、黒色原稿の反射は、白色基準面で出力が変動するので、その差を確認することになる。ただし、原稿幅に対応するbit数が連続して確認されればジャムエラーと判断され、不連続に確認されれば基準反射面に紙粉等が付着等と判断される。
【0045】
図6は、白または黒の反射面からの出力波形を示す図である。
【0046】
図7は、複数の反射基準面を有する反射部材を切替えて残留原稿の有無を確認するプロセスを示すフロー図である。
【0047】
図7において、オペレータによるADFの搬送経路(検知センサ配置箇所)でのジャム処理完了後、ステップS11で、ADF内スキャナ1Aの光源(発光部t1)をON(点灯)する。ステップS12で、ADF内スキャナ1Aの出力を確認する。ステップS13で、異なる反射率の反射面に移動させる。ステップ14で、ADF内スキャナ1Aの出力を確認する。ステップ15で、白、黒反射基準面による出力波形が変化しているか否か確認する。ステップ15で、全bitの出力に変化がなければ、NOでステップS16の次の動作である、イニシャル動作やシェーディング補正動作等に移る。ステップS15で、変動部(x対応域)がある場合は、YESでステップS17に移る。ステップS17で、変動部が用紙幅に対応するnbit以上連続してあるか否かを確認する。ステップS17で、YESの場合はステップS18に進み、残留原稿ありと判断しジャム表示となる。ステップS17で、NOの場合は、ステップS19でADF内スキャナ1A(CCD)が紙粉汚れもしくはスキャナ故障と判断しエラー表示となる。
【0048】
したがって、複数種類の反射率の反射基準面を配置し、複数回の出力波形を確認すればより明確に残留原稿の有無を確認することができる。
【0049】
<実施の形態3>
ADF内スキャナ1Aで反射部材SHの一部に残留原稿存在の有無を確認する方法として、ADF内スキャナ1A近傍に滞留している原稿を搬送ローラgを回転させ移動させながらスキャナの出力波形を確認する方法である。
【0050】
図9は、ADF内スキャナに残留原稿が滞留した状態を示す図である。
【0051】
この場合、搬送ローラgを回転させ、残留原稿を搬送しながら、出力波形を確認すると、滞留原稿が存在する場合、原稿の副走査(搬送)方向での原稿の濃度が変化し、それに対応して読取り部Tの出力も変動し、出力波形も変化する。この変化を観察する過程で、図4のようなスキャナの長さX、xに対応して出力がY、yとなる現象が複数回出力変動が検知されれば、残留原稿が滞留していると判断する。
【0052】
図10は、原稿移動による残留原稿の有無を確認するプロセスを示すフロー図である。
【0053】
図10において、オペレータによるADFの搬送経路(検知センサ配置箇所)でのジャム処理完了後、ステップS21で、ADF内スキャナ1Aの光源(発光部t1)をON(点灯)する。ステップS22で、ADF内スキャナ1Aの出力を確認する。ステップ23で搬送ローラgを複数回所定時間tだけ回転させる。ただし、複数回、搬送ローラを回転しても、原稿はADF内スキャナ1Aに滞留しているものとする。ステップS24で、ADF内スキャナ1Aの出力を確認する。ステップ25で、出力波形が変化しているか否か確認する。ステップ25で、変化がなければ、NOでステップS26の次の動作である、イニシャル動作やシェーディング補正動作等に移る。ステップS25で、変動部(x対応域)がある場合は、YESでステップS27に移る。ステップS27で、変動部が用紙幅に対応するnbit以上連続してあるか否かを確認する。ステップS27で、YESの場合はステップS28に進み、残留原稿ありと判断しジャム表示となる。ステップS27で、NOの場合は、ステップS29で、ADF内スキャナ1A(CCD)が紙粉汚れもしくはスキャナ故障と判断しエラー表示となる。
【0054】
<実施の形態4>
実施の形態4は、残留原稿の確認を画像形成装置起動時やシェーディング補正動作時に同時に行うことを特徴とする。当然、シェーディング補正動作時に残留原稿が存在すると正確な補正ができなくなるので残留原稿は除去する必要がある。
【0055】
これは実施の形態1のようなタイプの反射部材SHが配置されている構成で説明すると、シェーディング補正時に任意に設定している規定値以上にずれた値の出力波形の範囲がある場合、このずれた出力領域のbit数が連続して存在する場合は残留原稿有りと判断する方法である。
【0056】
図11は、シェーディング補正に当たっての白色反射基準面と黒色反射基準面からの出力波形と残留原稿有り時の出力波形を示す図である。
【0057】
図11(a)において、点線で示す曲線は、白色シェーディング補正時の白色反射基準面からの規定値の出力波形である。この出力波形の時、原稿幅に対応するx領域(nbitに対応)に実線で示すような規定値以下の出力波形が連続して存在すると残留原稿有りと判定することができる。また、図11(b)において、点線で示す曲線は黒色シェーディング補正時の黒色反射基準面からの規定値の出力波形である。この出力波形の時、原稿幅に対応するx領域に実線で示すような規定値以上の出力波形がnbitにわたって連続して存在すると残留原稿有りと判定することができる。
【0058】
図12は、シェーディング補正動作時の残留原稿の有無を確認するプロセスを示すフロー図である。
【0059】
図12において、シェーディング補正動作開始の後、ステップS31で、ADF内スキャナ1Aの光源(発光部t1)をON(点灯)する。ステップS32で、ADF内スキャナ1Aの出力を確認する。ステップS33で、一部分のbitの出力波形が規定値からずれているか否か確認する。ステップS33で、出力がずれていなければNOで、ステップS34でシェーディング補正動作を継続する。ステップS33で、出力がずれていればYSEで、ステップS35で、規定値からずれたx領域が、原稿幅に対応するnbit以上連続してあるか否かを確認する。ステップS35で、YESの場合はステップS36に進み、残留原稿ありと判断しジャム表示となる。ステップS35で、NOの場合は、ステップS37でADF内スキャナ1A(CCD)が紙粉汚れもしくはスキャナ故障と判断しエラー表示となる。
【0060】
以上のADF内スキャナ近傍での残留原稿を反射部材を利用する確認方法によって適正な原稿搬送動作を維持することができ、検知センサを追加する必要もなく、コスト削減ができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係わる画像形成装置の全体構成を示す模式図である。
【図2】本発明に係わるADFの原稿搬送経路を示す図である。
【図3】図1のADF内スキャナ、反射部材、原稿搬送手段を含む原稿読取装置の断面及びCCDを示す図である。
【図4】図3(a)の残留原稿と反射基準面からの反射光によるCCDの出力波形の変化を示す図である。
【図5】残留原稿確認のプロセスに係わるフロー図である。
【図6】白または黒の反射面からの出力波形を示す図である。
【図7】複数の反射基準面を有する反射部材で残留原稿の有無を確認するプロセスを示すフロー図である。
【図8】回転により切り替え可能な反射部材の反射基準面を示す。
【図9】ADF内スキャナに残留原稿が滞留した状態を示す図である。
【図10】原稿移動による残留原稿の有無を確認するプロセスを示すフロー図である。
【図11】シェーディング補正に当たっての白色反射基準面と黒色反射基準面からの出力波形を示す図である。
【図12】シェーディング補正動作時の残留原稿の有無を確認するプロセスを示すフロー図である。
【符号の説明】
【0062】
1 本体スキャナ
1A ADF内スキャナ
13 スリット露光用ガラス
14 露光ユニット
17、t2 CCD(画像読取り素子)
2 制御手段
SH、GH 反射部材
t1 発光部
d レジストローラ
e、f、g 搬送ローラ
t3 集光レンズ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿搬送手段と、画像読取手段と、当該画像読取手段と対向する位置に配置されたシェーディング補正用の反射部材とを有する原稿読取装置において、前記反射部材と原稿用紙の反射率の差を利用し、前記反射部材と前記画像読取手段との間に残留する原稿用紙の有無を判断する検知手段を有することを特徴とする原稿読取装置。
【請求項2】
前記反射部材は、反射率の異なる複数のシェーディング補正用の反射基準面を有し、任意の反射基準面を前記画像読取手段の対向面に移動可能に構成され、前記反射基準面を前記画像読取手段にて読取りの際、前記検知手段の画像読取り素子の出力の変動により残留する原稿用紙の有無を判断することを特徴とする請求項1に記載の原稿読取装置。
【請求項3】
前記検知手段の出力に対して異なった出力レベルが、前記画像読取り素子で所定のビット間に連続した場合には残留原稿用紙が有りと判断することを特徴とする請求項1または2に記載の原稿読取装置。
【請求項4】
搬送ローラを回転させながら前記検知手段の出力レベルの変化を確認し、前記読取り素子で所定のビット間に連続した変化があれば残留原稿用紙が有りと判断することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の原稿読取装置。
【請求項5】
シェーディング補正動作時に原稿用紙の有無を判断することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の原稿読取装置。
【請求項6】
ジャム処理後に原稿用紙の有無を判断することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の原稿読取装置。
【請求項7】
イニシャル動作時に原稿用紙の有無を判断することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の原稿読取装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の原稿読取装置を装備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
原稿搬送手段と、画像読取手段と、当該画像読取手段と対向する位置に配置されたシェーディング補正用の反射部材とを有する原稿読取装置において、前記反射部材と原稿用紙の反射率の差を利用し、前記反射部材と前記画像読取手段との間に残留する原稿用紙の有無を判断する検知手段を有することを特徴とする原稿読取装置。
【請求項2】
前記反射部材は、反射率の異なる複数のシェーディング補正用の反射基準面を有し、任意の反射基準面を前記画像読取手段の対向面に移動可能に構成され、前記反射基準面を前記画像読取手段にて読取りの際、前記検知手段の画像読取り素子の出力の変動により残留する原稿用紙の有無を判断することを特徴とする請求項1に記載の原稿読取装置。
【請求項3】
前記検知手段の出力に対して異なった出力レベルが、前記画像読取り素子で所定のビット間に連続した場合には残留原稿用紙が有りと判断することを特徴とする請求項1または2に記載の原稿読取装置。
【請求項4】
搬送ローラを回転させながら前記検知手段の出力レベルの変化を確認し、前記読取り素子で所定のビット間に連続した変化があれば残留原稿用紙が有りと判断することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の原稿読取装置。
【請求項5】
シェーディング補正動作時に原稿用紙の有無を判断することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の原稿読取装置。
【請求項6】
ジャム処理後に原稿用紙の有無を判断することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の原稿読取装置。
【請求項7】
イニシャル動作時に原稿用紙の有無を判断することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の原稿読取装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の原稿読取装置を装備することを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−194703(P2009−194703A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−34483(P2008−34483)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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