説明

厨芥処理装置用封水装置及びそれを備えた厨芥処理装置

【課題】厨芥処理室内及びこれに接続された排水トラップ管路を容易に清掃することができる厨芥処理装置を提供する。
【解決手段】本発明は、粉砕された厨芥を洗浄水と共に排水管に排出する厨芥処理装置(1)であって、厨芥投入口(6)が上方に形成された厨芥処理室(12)と、投入された厨芥を粉砕する粉砕手段(20、22)と、粉砕手段によって粉砕された厨芥を厨芥処理室から排出する厨芥排出部(18)と、厨芥排出部から下方に向かう下降管部、及びこの下降管部の下端から上方に向かう上昇管部を備えた排水トラップ管路(24)と、清掃時において、厨芥処理室内及び排水トラップ管路内に洗浄水を滞留させるために閉鎖される排水弁(26)と、この排水弁を閉鎖して厨芥処理装置を清掃する際に、厨芥排出部と排水弁との間に空気が滞留するのを防止する空気滞留防止手段(28)と、を有することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封水装置に係わり、特に、厨芥処理装置本体によって粉砕された厨芥及び洗浄水を排水管に流出させる厨芥処理装置用封水装置、及びそれを備えた厨芥処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2001−224976号公報(特許文献1)には、厨芥処理室内に投入された厨芥を粉砕しながら、洗浄水と共に排出する厨芥処理装置が記載されている。この厨芥処理装置では、厨芥処理室内に配置された回転板に取付けられた移動刃及び厨芥処理室の内壁に取付けられた固定刃によって厨芥が粉砕され、処理室内に流入される洗浄水と共に排水管に排出される。一般に、このようなタイプの厨芥処理装置では、粉砕された厨芥が厨芥処理室の内壁等に付着することが避けられず、厨芥処理室の内壁や、厨芥を粉砕するための刃を定期的に清掃する必要が生じる。
【0003】
一方、特開昭62−262716号公報(特許文献2)には厨芥処理機が記載されている。この厨芥処理機では、投入された厨芥を水切りし、水分を取り除かれた厨芥は厨芥収納箱に溜められ、厨芥から流れ落ちた水分は厨芥処理室の排水口から排出される。また、この厨芥処理機は、厨芥処理室の排水口にバルブが設けられており、厨芥処理室内を清掃する際には厨芥処理室内に洗浄水を貯留させ、厨芥処理室内を漬け置き洗浄できるように構成されている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−224976号公報
【特許文献2】特開昭62−262716号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特開2001−224976号公報に記載されたタイプの厨芥処理装置では、厨芥処理室の入口が狭く、また、固定刃、移動刃等の形状が複雑であるため、これらをブラシ等によって清掃することは、非常に時間のかかる作業となる。特に、回転板の裏側の清掃は非常に困難である。
さらに、このような、粉砕された厨芥を洗浄水と共に排出する厨芥処理装置では、厨芥が排出される管路、特に、U字形に形成された排水トラップ管路に汚れが付着しやすいという問題もある。しかしながら、厨芥処理装置に接続された排水トラップ管路の清掃は、厨芥処理室内の清掃よりもさらに困難である。
【0006】
また、特開昭62−262716号公報に記載された厨芥処理機では、厨芥処理室内を漬け置き洗浄することができるので、厨芥処理室内は比較的簡単に清掃することができるが、厨芥処理室に接続された排水トラップ管路を清掃することはできない。この排水トラップ管路の汚れは、粉砕された厨芥を洗浄水と共に排出する特開2001−224976号公報に記載されたタイプの厨芥処理装置において、特に問題となる。
【0007】
従って、本発明は、厨芥処理室内及びこれに接続された排水トラップ管路を容易に清掃することができる厨芥処理装置用封水装置、及びそれを備えた厨芥処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明は、厨芥を粉砕して粉砕された厨芥を洗浄水と共に排水管に排出する厨芥処理装置であって、厨芥を投入する厨芥投入口が上方に形成された厨芥処理室と、この厨芥処理室内に投入された厨芥を粉砕する粉砕手段と、厨芥処理室の下部に設けられ、粉砕手段によって粉砕された厨芥を厨芥処理室から排出する厨芥排出部と、この厨芥排出部に連通して形成され、厨芥排出部から下方に向かう下降管部、及びこの下降管部の下端から上方に向かう上昇管部を備えた排水トラップ管路と、この排水トラップ管路の下流に設けられ、清掃時において、厨芥処理室内及び排水トラップ管路内に洗浄水を滞留させるために閉鎖される排水弁と、この排水弁を閉鎖して厨芥処理装置を清掃する際に、厨芥排出部と排水弁との間に空気が滞留するのを防止する空気滞留防止手段と、を有することを特徴としている。
【0009】
このように構成された本発明においては、清掃時において、排水弁を閉鎖することにより、排水トラップ管路を含む厨芥処理装置に洗浄水が滞留され、漬け置き洗浄を行うことができる。また、このように構成された本発明においては、空気滞留防止手段によって、厨芥排出部と排水弁の間の空気の滞留が防止されるので、排水トラップ管路の内壁面全体を効果的に漬け置き洗浄することができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、空気滞留防止手段が、上昇管部の上部と排水弁の下流側とを連通させるバイパス管路である。
このように構成された本発明においては、排水トラップ管路内に滞留していた空気は、排水トラップ管路内に洗浄水が流入すると、バイパス管路を通って排気される。
このように構成された本発明によれば、簡単な構造で排水トラップ管路内の空気を排気することができると共に、バイパス管路の高さによって厨芥処理室内の水位の上限を規制することもできる。
【0011】
本発明において、好ましくは、空気滞留防止手段は、上昇管部の上部に滞留した空気を排気する排気ポンプである。
このように構成された本発明によれば、上昇管部の上部に滞留した空気は、排気ポンプによって排出される。
【0012】
本発明において、好ましくは、さらに、厨芥処理装置を清掃すべき時を判定する清掃時期判定手段と、清掃時期が到来したことを使用者に報知する報知手段と、を有する。
このように構成された本発明によれば、清掃時期が到来したことが、報知手段によって使用者に報知されるので、厨芥処理装置の清掃を適切な時期に行なうことができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、清掃時期判定手段は、直近の清掃実施後の厨芥処理装置の使用回数に基づいて厨芥処理装置を清掃すべき時期を判定する。
このように構成された本発明によれば、簡単な処理アルゴリズムによって清掃時期を判定することができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、清掃時期判定手段は、直近の清掃実施後の経過時間に基づいて厨芥処理装置を清掃すべき時期を判定する。
このように構成された本発明によれば、簡単な処理アルゴリズムによって清掃時期を判定することができる。
【0015】
本発明において、好ましくは、さらに、厨芥処理室内の汚れを検知する汚れセンサを有し、清掃時期判定手段は、汚れセンサの検出結果に基づいて厨芥処理装置を清掃すべき時期を判定する。
このように構成された本発明によれば、厨芥処理室内の実際の汚れの程度に基づいて、清掃時期を判定することができる。
【0016】
本発明において、好ましくは、さらに、厨芥排出部の下流における管路内を流れる排水の流速を検出する流速センサを有し、清掃時期判定手段は、流速センサの検出結果に基づいて厨芥処理装置を清掃すべき時期を判定する。
このように構成された本発明によれば、厨芥排出部の下流における管路の実際の汚れの程度に基づいて、清掃時期を判定することができる。
【0017】
また、本発明は、厨芥処理装置本体によって粉砕された厨芥及び洗浄水を排水管に流出させ、厨芥処理装置本体と排水管との間を封水する封水装置であって、厨芥処理装置本体の厨芥排出部に連通するように形成され、厨芥排出部から下方に向かう下降管部及びこの下降管部の下端から上方に向かう上昇管部を備えた排水トラップ管路と、この排水トラップ管路の下流に設けられ、厨芥処理装置本体の清掃時に閉鎖される排水弁と、この排水弁を閉鎖して厨芥処理装置本体を清掃する際に、厨芥排出部と排水弁との間に空気が滞留するのを防止する空気滞留防止手段と、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明の厨芥処理装置用封水装置、及びそれを備えた厨芥処理装置によれば、厨芥処理室内及びこれに接続された排水トラップ管路を容易に清掃することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。
まず、図1乃至7を参照して、本発明の第1実施形態による厨芥処理装置を説明する。図1は本発明の第1実施形態による厨芥処理装置を流し台のシンクに設置した様子を示す概略断面図である。図2は、本実施形態の厨芥処理装置の厨芥投入口に装着される蓋体の斜視図である。また、図3は蓋体を装着する厨芥投入口を拡大して示す斜視図であり、図4は厨芥投入口に蓋体を装着した状態を示す断面図である。
【0020】
図1に示すように、本発明の第1実施形態による厨芥処理装置1は、厨芥を粉砕しながら粉砕された厨芥を洗浄水と共に排出する厨芥処理装置本体2と、この厨芥処理装置本体2からの排水を排水管に流出させる厨芥処理装置用封水装置4と、を有する。厨芥処理装置本体2は、その厨芥投入口6が、流し台(図示せず)のシンク8の底面に開口するように設置される。また、シンク8の近傍には水栓8aが設けられており、厨芥処理装置1を作動させる際、及び清掃する際に、洗浄水が水栓8aから供給される。また、厨芥処理装置本体2は、トラップを形成する厨芥処理装置用封水装置4を介して排水管10に接続され、粉砕した厨芥を排出できるように設置されている。さらに、排水管10は、浄化槽(図示せず)を介して下水道(図示せず)に接続されている。
【0021】
本発明の第1実施形態による厨芥処理装置1は、清掃時において、厨芥処理装置用封水装置4の排水弁26を閉鎖して洗浄水を滞留させ、厨芥処理装置本体2の厨芥処理室12、及びこれに接続された管路を漬け置き洗浄することができるように構成されている。
【0022】
ここで、図7は、従来の厨芥処理装置200の排水管202に、単に排水弁204を設けた状態を示す断面図である。まず、排水弁204が開放され、シンクの水栓206からの吐水が停止された状態では、排水管202のトラップ部には、破線で示す水位L1まで排水が滞留している。これにより排水管202は封水され、排水管202に接続された下水道からの臭気等が遮断される。次いで、排水弁204を閉鎖し、水栓206から吐水を行うことによって、厨芥処理室内の水位を一点鎖線で示す水位L2まで上昇させる。ここで、厨芥処理室内を水位L2まで上昇させた後においても、排水管202の内部の水位は、排水管202内に閉じ込められた空気が滞留しているため水位L3までしか上昇しない。この状態では、厨芥処理装置を漬け置き洗浄したとしても、排水管202内の空気が滞留している部分が清掃されないことになる。また、この排水管202内の空気が滞留する部分は、汚れが付着しやすい部分であるため、十分な清掃を行う必要がある。本実施形態の厨芥処理装置では、後述する構成により、この問題を解決している。
【0023】
一方、本発明の第1実施形態による厨芥処理装置1では、図1に示すように、厨芥処理装置本体2は、厨芥を投入する厨芥投入口6を上方に形成した厨芥処理室12と、この厨芥処理室12の中に配置された回転板14と、この回転板14を回転駆動する駆動手段であるモーター16と、厨芥処理室12下部の、回転板14の下側に設けられ、粉砕された厨芥を厨芥処理室12から排出する厨芥排出部18と、を有する。また、厨芥処理室12の中間部の内壁面には固定刃20が取付けられている。さらに、回転板14の上面には、2つのスイングハンマー22がシャフト22aを中心に回転可能に取付けられている。本実施形態において、固定刃20及びスイングハンマー22は、粉砕手段を構成する。また、厨芥処理装置本体2は、厨芥投入口6に設けられた磁気検出素子37(図3)の検出信号に基づいて、モーター16及び排水弁26を作動させるコントローラ23を有する。
【0024】
また、厨芥処理装置用封水装置4は、厨芥排出部18に連通して形成され、下方に向かう下降管部24a及びこの下降管部24aの下端から上方に向かう上昇管部24bから形成された排出通路である排水トラップ管路24と、この排水トラップ管路24の下流側に設けられた排水弁26と、を有する。さらに、厨芥処理装置用封水装置4は、上昇管部24bの上部から分岐して鉛直上方に延びる水位設定管28a及びこの水位設定管28aの上端と排水弁26の下流側の管路とを連通させる戻り管路28bから形成されたバイパス管路28を有する。なお、本実施形態において、バイパス管路28は、空気滞留防止手段及び水位規制手段として機能する。
【0025】
一方、厨芥処理室12は、上方に円形の厨芥投入口6が開口した概ね円錐台状に形成されている。また、厨芥投入口6は、シンク8の排水口を兼ねており、シンク8内の水は厨芥投入口6から厨芥処理室12に入り、厨芥排出部18、排水トラップ管路24、排水弁26を介して排水管10に排水されるように構成されている。
【0026】
また、回転板14は、厨芥処理室12の中間部に水平に支持された金属製の円板である。さらに、回転板14は、その中心がモーター16の回転軸16aにネジ止めされており、モーター16によって回転駆動される。また、回転板14には、それを直角に貫通するように、2本のシャフト22aが取付けられている。シャフト22aは、回転板14の上面側において、金属製のスイングハンマー22を回転可能に支持している。スイングハンマー22は、概ね直方体のブロック状であり、一端にシャフト22aが通されている。また、スイングハンマー22の底面は平面であり、先端に向かって厚さが厚くなり、先端は回転板14の周縁とほぼ同一曲率の円弧状に形成されている。また、スイングハンマー22の長さは、スイングハンマー22が、回転板14の半径方向外方に向けられたとき、その先端が回転板14の周縁とほぼ一致するように設定されている。
【0027】
また、図1に示すように、厨芥処理室12の中間部の内壁には、回転板14を取り囲むように、金属製の固定刃20が取付けられている。固定刃20には、円周方向に等間隔に多数の切り抜き部(図示せず)が形成されている。厨芥は、固定刃20の各切り抜き部(図示せず)のエッジと、スイングハンマー22の間に押し込まれることにより、厨芥処理室12内で粉砕される。
【0028】
厨芥排出部18は、粉砕された厨芥を排出する排出口であり、回転板14よりも下側の、厨芥処理室12の下部に形成されている。厨芥排出部18は、排水トラップ管路24の上流側端部に接続されており、粉砕されて回転板14の下側に落下した厨芥及び洗浄水を、排水トラップ管路24に流出させる。
【0029】
コントローラ23は、厨芥投入口6に取付けられた磁気検出素子37(図3)の検出信号に基づいて、モーター16及び排水弁26を制御して、厨芥処理装置1を厨芥処理モード及び清掃モードで作動させるように構成されている。また、コントローラ23は、厨芥処理装置1の清掃を行なうべき時期を判定する清掃時期判定手段23aを内蔵している。この清掃時期判定手段23aは、厨芥処理装置1の清掃モードが前回実行された後の、厨芥処理装置1の使用回数に基づいて、清掃すべき時期を判定する。清掃時期判定手段23aは、厨芥処理装置1を清掃すべき時期が到来したと判定すると、キッチンの壁面に設けられた報知手段であるブザー40を鳴動させ、使用者に清掃時期の到来を報知する。本実施形態においては、清掃時期判定手段23aは、清掃モード実行後、厨芥処理モードの運転を10回行なうと、清掃時期が到来したと判定する。具体的には、コントローラ23は、マイクロプロセッサ、メモリ及びそれに記憶されたプログラム(以上図示せず)等により構成される。
【0030】
排水トラップ管路24は、その上端が厨芥排出部18に接続された下降管部24aと、この下降管部24aと連通するように一体に形成され、下降管部24aの下端から上方に延びる上昇管部24bによって構成されている。本実施形態においては、排水トラップ管路24は、概ねU字形に屈曲された管によって構成されている。上昇管部24bの下流側には、概ね鉛直下方に延びる管路が形成されており、その下端に開閉可能な排水弁26が配置されている。
【0031】
また、バイパス管路28は、上昇管部24bの上部から分岐して概ね鉛直上方に延びる水位設定管28aと、この水位設定管28aの上端と排水弁26の下流側の管路とを連通させる戻り管路28bから形成されている。水位設定管28aは、上昇管部24bの上部の天井面に連通し、その上端は厨芥投入口6よりも僅かに下側に位置するように構成されている。この水位設定管28aは、オーバーフロー管として作用し、排水弁26を閉鎖して厨芥処理室12内に洗浄水を滞留させた場合における厨芥処理室12内の水位の上限を規制する。これにより、厨芥処理室12内の水位が厨芥投入口6よりも高くなり、厨芥処理室12内の洗浄水がシンク8に逆流するのを防止する。また、水位設定管28aは、排水トラップ管路24内に滞留していた空気を、排水弁26を越えて排水管10に逃がす役割も果たしている。このため、排水弁26を閉鎖して厨芥処理室12内の水位を上昇させたとき、排水トラップ管路24内に空気が、図7に示したように残留することがない。
【0032】
次に、図2乃至4を参照して、厨芥処理装置本体2の厨芥投入口6に装着される蓋体30を説明する。
図2及び図4に示すように、蓋体30は、ドーナツ板状の上板部32と、この上板部32から下方に延びる円筒状の下筒部34と、この下筒部34の内側に、同心円状に形成された内側筒部36によって形成されている。上板部32の中央には、漏斗状の円錐面32aが形成されており、この円錐面32aの底部には、第1流入口32cが形成されている。また、円錐面32aの両側に橋渡しをするように、円錐面32aの半径方向に延びる把持部32bが形成されている。
【0033】
また、下筒部34の上端の円周上には、等間隔に6つの第2流入口34aが形成されている(図2には3つのみ図示)。さらに、2つの傾斜溝34bが、下筒部34の下端から斜め上方に延びるように対称の位置に形成されている(図2には1つのみ図示)。これら傾斜溝34bは、下筒部34の下端からほぼ鉛直方向に延びる鉛直溝部34cと、この鉛直溝部34cの上端から斜め上方に延びる傾斜溝部34dと、この傾斜溝部34dの先端からほぼ水平方向に延びる水平溝部34eから形成されている。さらに、下筒部34の円周上の2箇所には、厨芥処理装置1を起動させるための磁石35が埋め込まれている。
【0034】
また、内側筒部36は、下筒部34の内側に同心円状に形成されており、その下端は、内側筒部36から半径方向外方に延びる環状の環状底面36bによって下筒部34の内側側面に連結されている。この下筒部34、内側筒部36、及び環状底面36bによって囲まれた空間には、厨芥処理装置1の清掃時に、粒状の清掃用薬剤38が入れられる。さらに、内側筒部36の下側の約1/2の領域には、洗浄水に溶解した清掃用薬剤38を拡散させるための多数の薬剤拡散孔36aが形成されている。
【0035】
さらに、図3に示すように、蓋体30が装着される厨芥投入口6は、厨芥処理室12の上端と連通する筒状部6aと、この筒状部6aの上端から外方に延びるフランジ部6bとを有する。厨芥処理装置本体2がシンク8に取付けられた状態では、フランジ部6bの上面のみが外部に露出し、他の部分はシンク8の底面の下側に位置するように配置される。また、筒状部6aの内側面には、円柱状の2つの突起6cが設けられている(1つのみ図示)。この突起6cは蓋体30の傾斜溝34bに受入れられるように構成されている。さらに、筒状部6aの外側面には、蓋体30の下筒部34に取付けられた起動操作用の磁石35の磁気を検知するための磁気検出素子37が取付けられている。
【0036】
次に、図1、図5及び図6を参照して、本発明の第1実施形態による厨芥処理装置1の作用を説明する。図5は蓋体30を厨芥投入口6に装着した状態を示す斜視図であり、図6は厨芥投入口6に装着された蓋体30を回動させ、厨芥処理装置1を作動させた状態を示す斜視図である。
【0037】
まず、本実施形態の厨芥処理装置1によって厨芥を粉砕する際の作用を説明する。厨芥処理装置1によって厨芥を粉砕する場合には、まず、蓋体30を厨芥投入口6から取り外し、処理すべき厨芥を厨芥投入口6から厨芥処理室12内に投入する。投入された厨芥は、回転板14の上に載せられる。また、通常使用時においては、排水弁26は常に開放されている。
【0038】
次に、水栓8aを吐水状態にし、厨芥投入口6から厨芥処理室12内に洗浄水を流入させる。この状態で、蓋体30を厨芥投入口6に装着する。まず、図5に示すように、蓋体30が厨芥投入口6に装着され、厨芥投入口6の突起6cが蓋体30の鉛直溝部34cに受入れられた状態では、蓋体30の上板部32が、厨芥投入口6のフランジ部6bよりも高くなる第1の位置となる。次いで、使用者が、蓋体30の把持部32bを摘んで蓋体30を回動させると突起6cが傾斜溝部34dに沿って摺動し、図6に示すように、蓋体30が下降して、上板部32とフランジ部6bが同一平面上に位置する第2の位置となる。この状態では、水栓8aから吐水された洗浄水は、第1流入口32cを通って厨芥処理室12内に流入する。
【0039】
蓋体30が回動され、突起6cが水平溝部34eの終端まで達すると、蓋体30の下筒部34に取付けられた磁石35の一方と厨芥投入口6の筒状部6aに取付けられた磁気検出素子37の位置が整合し、磁石35の磁気が磁気検出素子37によって検出される。なお、磁石35は下筒部34の2箇所に取付けられているので、蓋体30を何れの向きで厨芥投入口6に装着した場合でも、何れか一方の磁石35が磁気検出素子37と整合し、磁気検出素子37は磁気を検知することができる。磁気検出素子37が磁気を検出すると、コントローラ23は、厨芥処理装置1を厨芥処理モードで起動させる。即ち、コントローラ23はモーター16を起動させ、回転板14が回転される。
【0040】
このように、本実施形態の厨芥処理装置1では、蓋体30の操作によってモーター16が起動されるため、使用者が厨芥処理室12内に手を入れた状態でモーター16が回転されることはない。回転板14が回転されると、回転板14上の厨芥は、固定刃20とスイングハンマー22の間で粉砕され、粉砕された厨芥は、洗浄水と共に回転板14の下側に落ちる。回転板14の下に落ちた厨芥は、洗浄水と共に厨芥排出部18を通って厨芥処理室12から流出し、排水トラップ管路24を通って排水管10へ排出される。モーター16が所定時間回転され、厨芥処理室12内の厨芥が粉砕されると、コントローラ23は、モーター16を停止させる。次いで、使用者が水栓8aからの吐水を停止させ、1回の厨芥処理が終了する。
【0041】
また、コントローラ23に内蔵された清掃時期判定手段23aは、厨芥処理装置1の使用回数の積算値を1増加させる。この積算値が10を超えた場合には、清掃時期判定手段23aはブザー40に信号を送ってこれを鳴動させ、厨芥処理装置1の清掃時期が到来したことを使用者に報知する。
【0042】
次に、本実施形態の厨芥処理装置1を清掃する際の作用を説明する。本実施形態の厨芥処理装置1を清掃する際には、まず、厨芥処理装置1の清掃用薬剤38を、第2流入口34aから蓋体30の中に入れる(図4参照)。次に、使用者は、水栓8aを吐水状態とし、蓋体30を厨芥投入口6に装着する。蓋体30が図6に示すように厨芥投入口6に装着された状態で、使用者が、蓋体30をダブルクリックの要領で素早く二回回動操作すると、磁気検出素子37がこれを検知し、コントローラ23は厨芥処理装置1を清掃モードで起動させる。清掃モードでは、コントローラ23は先ず、排水弁26を閉鎖させる。排水弁26が閉鎖された状態で洗浄水が厨芥処理室12内に流入すると、洗浄水は排水弁26の上流に滞留し、排水トラップ管路24は満水状態となる。この際、排水トラップ管路24に滞留していた空気は、バイパス管路28を通って排水弁26の下流側に排気される。
【0043】
排水トラップ管路24が満水にされた状態で、さらに洗浄水が流入すると、厨芥処理室12内及び水位設定管28a内の水位が上昇する。この水位が水位設定管28aの上端の高さよりも高くなると、厨芥処理室12内に流入した洗浄水は水位設定管28aから溢れ、戻り管路28bを通って排水管10から排出されるので、水位は水位設定管28aの高さに規制される。この水位設定管28aの高さは、厨芥投入口6とほぼ同じ高さに構成されているので、洗浄水が厨芥投入口6から溢れることはない。
【0044】
洗浄水の水位が厨芥投入口6付近の所定の高さまで上昇した後、使用者は、水栓8aを止水状態とする。洗浄水の水位が厨芥投入口6付近まで上昇した状態では、蓋体30に入れられた清掃用薬剤38が洗浄水に浸かり、洗浄水に溶けた清掃用薬剤38は、薬剤拡散孔36aを通って徐々に放出され、洗浄水の中に拡散していく。この洗浄水に溶けた清掃用薬剤38により、厨芥処理室12内及び排水トラップ管路24が漬け置き洗浄される。また、排水トラップ管路24に滞留していた空気は排気され、排水トラップ管路24が満水にされているため、排水トラップ管路24の内壁面全体に洗浄水及び清掃用薬剤が作用し、排水トラップ管路24も隅々まで清掃される。
【0045】
所定時間経過後、コントローラ23はモーター16を作動させ、清掃用薬剤38が溶解した洗浄水に浸かった回転板14を断続的に正回転及び逆回転させる。これにより、回転板14やスイングハンマー22に付着した汚れが効果的に除去されると共に、回転板14の回転により生起される水流により、厨芥処理室12の内壁面に付着した汚れも効果的に除去される。
【0046】
コントローラ23は、厨芥処理室12内及び排水トラップ管路24を所定時間漬け置き洗浄した後、排水弁26を開放し、漬け置き洗浄により厨芥処理室12及び排水トラップ管路24の内壁面から剥がれ落ちた汚れを、洗浄水と共に排出する。このときコントローラ23は、回転板14を断続的に正回転及び逆回転させ、剥がれ落ちた汚れの再付着を防止する。好ましくは、使用者は、水栓8aから洗浄水を吐水させ、回転板14やスイングハンマー22をすすぎ洗いし、これらの凹凸部に汚れが再付着するのを防止する。また、コントローラ23の清掃時期判定手段23aは、厨芥処理装置1の使用回数の積算値を0にリセットする。本実施形態においては、コントローラ23は、約3時間排水弁26を閉鎖させて漬け置き洗浄を実行している。変形例として、コントローラ23が漬け置き洗浄を実行する時間を、使用者がタイマー等により設定できるように構成することもできる。
【0047】
本発明の第1実施形態の厨芥処理装置によれば、清掃時において、排水弁を閉鎖することにより、排水トラップ管路を含む厨芥処理装置に洗浄水が滞留され、漬け置き洗浄を行うことができる。また、本実施形態の厨芥処理装置によれば、厨芥排出部と排水弁の間の空気の滞留がバイパス管路によって防止されるので、排水トラップ管路の内壁面全体を効果的に漬け置き洗浄することができる。さらに、本実施形態の厨芥処理装置によれば、厨芥処理室内の水位がバイパス管路の高さに規制されるので、洗浄時において、洗浄水が厨芥処理室から溢れるのを防止することができる。
また、本実施形態の厨芥処理装置によれば、厨芥処理装置の清掃時期が到来したことがブザーによって使用者に報知されるので、適切な時期に厨芥処理装置を清掃することができる。
【0048】
また、上述した第1実施形態では、厨芥処理装置を清掃モードで運転する場合に、清掃用薬剤38を蓋体30の中に入れていたが、厨芥処理装置の通常使用時には、蓋体30の中に他の薬剤を入れて使用することもできる。例えば、厨芥処理室12や排水トラップ管路24内に雑菌が繁殖するのを防止するためのヌメリ防除剤を、蓋体30の中に入れて使用しても良い。ここで、厨芥処理装置1による粉砕を実行せず、厨芥処理装置がシンク8の排水口として機能している場合には、蓋体30は、図5に示す第1の位置で厨芥投入口6に装着されている。この第1の位置では、シンク8に流された水は、主に、第2流入口34aから蓋体30に流入し、下筒部34と内側筒部36の間に入れられたヌメリ防除剤を溶解して、薬剤拡散孔36aから厨芥処理室12内に流入する。これにより、厨芥処理室12内等に雑菌が繁殖するのを抑制することができる。
【0049】
また、厨芥処理装置1により厨芥の粉砕処理を実行する場合には、蓋体30は、図6に示す第2の位置で厨芥投入口6に装着される。この第2の位置では、粉砕された厨芥を排出するために水栓8aから吐水されている洗浄水は、主に、蓋体30の第1流入口32cを通って厨芥処理室12内に流入する。このため、蓋体30に入れられているヌメリ防除剤は溶解されず、厨芥の粉砕処理時には必要とされないヌメリ防除剤が無駄に溶解されることがない。なお、厨芥処理装置1の清掃に使用する清掃用薬剤38とヌメリ防除剤を兼用にすることもできる。
【0050】
また、上述した実施形態では、戻り管路28bは、排水弁26の下流側の排水管10に接続されていたが、排水弁26とは別系統の、他の排水管に戻り管路28bを接続しても良い。
【0051】
さらに、上述した実施形態では、清掃時期判定手段23aは、厨芥処理装置1の使用回数に基づいて清掃時期を判定していたが、清掃時期判定手段23aが、前回清掃を実行した後の経過時間に基づいて清掃時期を判定するように構成することもできる。或いは、厨芥処理室12内の汚れを検出する臭いセンサ42等の汚れセンサを厨芥処理室12に設けておき、この臭いセンサ42の検出結果に基づいて、清掃時期判定手段23aが清掃時期を判定するように構成することもできる。厨芥処理装置をこのように構成することにより、清掃時期判定手段23aは、厨芥処理室内の実際の汚れの程度に基づいて清掃時期を判定することができる。
【0052】
また、管路内を流れる排水の流速は管路内が汚れると低下するので、排水の流速を検出する流速センサ44を排水トラップ管路24等の管路に設けておき、この流速センサ44の検出結果に基づいて、清掃時期判定手段23aが清掃時期を判定するように構成することもできる。厨芥処理装置をこのように構成することにより、清掃時期判定手段23aは、厨芥排出部の下流における管路の実際の汚れの程度に基づいて清掃時期を判定することができる。
【0053】
さらに、上述した実施形態では、清掃時期が到来したことをブザーによって使用者に報知していたが、変形例として、ブザーの代わりに、或いはブザーと共に、LED、ランプ等を点灯させて報知を行うように構成しても良い。
また、上述した実施形態では、蓋体を一回回動操作することによって粉砕モードが起動され、二回回動操作することによって清掃モードが起動されるように構成されていたが、変形例として、蓋体を時計回りに回動操作すると粉砕モードが起動され、反時計回りに回動操作すると清掃モードが起動されるように構成することもできる。この場合には、蓋体に3つの磁石を埋め込んでおき、蓋体が時計回りに回動操作されたときには、このうちの2つの磁石の磁気が磁気検出素子によって検出され、蓋体が反時計回りに回動操作されたときには、全ての磁石の磁気が磁気検出素子によって検出されるように、各磁石及び各磁気検出素子を配置して、蓋体の操作を識別するのが良い。
【0054】
次に、図8を参照して、本発明の第2実施形態による厨芥処理装置を説明する。本実施形態による厨芥処理装置では、排水トラップ管路内に滞留している空気を、排気ポンプを使用して排気する点が第1実施形態とは異なる。従って、ここでは、本発明の第2実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0055】
図8に示すように、本発明の第2実施形態による厨芥処理装置100は、厨芥処理装置本体2と、厨芥処理装置用封水装置102とを有する。また、厨芥処理装置用封水装置102は、排水トラップ管路24と、その下流に設けられた排水弁26と、排水トラップ管路24内の空気を排水弁26の下流側に排出する空気滞留防止手段である排気ポンプ104と、を有する。
【0056】
排気ポンプ104は、排水トラップ管路24の上昇管部24bの上部に接続されており、排水トラップ管路24内に滞留している空気を吸引し、排水弁26の下流側の排水管10に排気するように構成されている。
【0057】
次に、本発明の第2実施形態による厨芥処理装置100の作用を説明する。なお、厨芥処理装置100の厨芥処理モードにおける作用は、本発明の第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0058】
まず、厨芥処理装置100の清掃モードの運転が開始されると、コントローラ(図8には図示せず)は、排水弁26を閉鎖させる。使用者が水栓8aを吐水状態とすると、排水トラップ管路24内の水位が次第に上昇する。コントローラは、排水弁26を閉鎖させた後、排気ポンプ104を作動させ、排水トラップ管路24内に滞留する空気を排水弁26の下流側の排水管10に排気する。排気ポンプ104を作動させながら排水トラップ管路24内の水位を上昇させることにより、排水トラップ管路24内に空気が滞留することはなく、図8に示すように排水トラップ管路24は満水にされる。
【0059】
コントローラは、排気ポンプ104を所定時間作動させ、排水トラップ管路24が満水にされた後、排気ポンプ104を停止させる。使用者は、厨芥処理室12内の水位が所定の水位に達した後、水栓8aを止水状態にする。さらに、コントローラは、厨芥処理室12内及び排水トラップ管路24を所定時間漬け置き洗浄した後、排水弁26を開放し、漬け置き洗浄により厨芥処理室12及び排水トラップ管路24の内壁面から剥がれ落ちた汚れを、洗浄水と共に排出する。
【0060】
本発明の第2実施形態の厨芥処理装置によれば、排気ポンプにより、排水トラップ管路内に空気が滞留するのを防止することができる。
【0061】
次に、図9を参照して、本発明の第3実施形態による厨芥処理装置を説明する。本実施形態による厨芥処理装置では、排水トラップ管路内に滞留している空気を、2つの排水弁を使用して排気する点が第1実施形態とは異なる。従って、ここでは、本発明の第3実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0062】
図9に示すように、本発明の第3実施形態による厨芥処理装置110は、厨芥処理装置本体2と、厨芥処理装置用封水装置112とを有する。また、厨芥処理装置用封水装置112は、排水トラップ管路24と、その上流に設けられた上流側排水弁114と、排水トラップ管路24の下流に設けられた下流側排水弁116と、を有する。本実施形態において、上流側排水弁114及び下流側排水弁116は、空気滞留防止手段として機能する。
【0063】
上流側排水弁114及び下流側排水弁116は、コントローラ(図9には図示せず)によって所定のタイミングで開閉され、排水トラップ管路24内を満水にするように構成されている。
【0064】
次に、本発明の第3実施形態による厨芥処理装置110の作用を説明する。なお、厨芥処理装置110の厨芥処理モードにおける作用は、本発明の第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0065】
まず、厨芥処理装置110の清掃モードの運転が開始されると、コントローラ(図9には図示せず)は、上流側排水弁114を閉鎖させる。使用者が水栓8aを吐水状態とすると、厨芥処理室12内の水位が次第に上昇する。コントローラは、上流側排水弁114を閉鎖させた後、所定時間経過し、厨芥処理室12内に所定量の洗浄水が貯留されると、上流側排水弁114を開放させる。これにより、厨芥処理室12内から排水トラップ管路24内に流下した洗浄水は、排水トラップ管路24内に滞留していた空気を排水管10に押出し、排水トラップ管路24内を満水にする。コントローラは、排水トラップ管路24内が満水にされた瞬間に下流側排水弁116を閉鎖させ、排水トラップ管路24の満水状態を維持する。
【0066】
使用者は、厨芥処理室12内の水位が所定の水位に達した後、水栓8aを止水状態にする。さらに、コントローラは、厨芥処理室12内及び排水トラップ管路24を所定時間漬け置き洗浄した後、下流側排水弁116を開放し、漬け置き洗浄により厨芥処理室12及び排水トラップ管路24の内壁面から剥がれ落ちた汚れを、洗浄水と共に排出する。
【0067】
本発明の第3実施形態の厨芥処理装置によれば、上流側排水弁及び下流側排水弁により、排水トラップ管路内に空気が滞留するのを防止することができる。
【0068】
次に、図10を参照して、本発明の第4実施形態による厨芥処理装置を説明する。本実施形態による厨芥処理装置では、排水トラップ管路内に滞留している空気を、洗浄水供給装置を使用して排気する点が第1実施形態とは異なる。従って、ここでは、本発明の第4実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0069】
図10に示すように、本発明の第4実施形態による厨芥処理装置120は、厨芥処理装置本体2と、厨芥処理装置用封水装置122とを有する。また、厨芥処理装置用封水装置122は、排水トラップ管路24と、その下流に設けられた空気滞留防止手段である洗浄水供給装置124と、排水弁126と、を有する。
【0070】
洗浄水供給装置124は、コントローラ(図10には図示せず)によって制御され、所定のタイミングで瞬間的に大量の洗浄水を排水トラップ管路24の下流側に流入させるように構成されている。
【0071】
次に、本発明の第4実施形態による厨芥処理装置120の作用を説明する。なお、厨芥処理装置120の厨芥処理モードにおける作用は、本発明の第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0072】
まず、使用者は、使用者が水栓8aを吐水状態とすると共に、厨芥処理装置120の清掃モードを起動させる。厨芥処理装置120の清掃モードの運転が開始されると、コントローラ(図10には図示せず)は、洗浄水供給装置124を作動させ、排水トラップ管路24の下流側に大量の洗浄水を流入させる。これにより、排水トラップ管路24内に滞留していた空気は、洗浄水によって押出されると共に、洗浄水の流れによって排水トラップ管路24内から吸い出され、排水トラップ管路24内は、洗浄水によって満水にされる。コントローラは、排水トラップ管路24内が満水にされた瞬間に下流側排水弁126を閉鎖させ、排水トラップ管路24の満水状態を維持する。
【0073】
使用者は、厨芥処理室12内の水位が所定の水位に達した後、水栓8aを止水状態にする。さらに、コントローラは、厨芥処理室12内及び排水トラップ管路24を所定時間漬け置き洗浄した後、下流側排水弁116を開放し、漬け置き洗浄により厨芥処理室12及び排水トラップ管路24の内壁面から剥がれ落ちた汚れを、洗浄水と共に排出する。
【0074】
本発明の第4実施形態の厨芥処理装置によれば、洗浄水供給装置により、排水トラップ管路内に空気が滞留するのを防止することができる。
【0075】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。特に、上述した実施形態では、洗浄水は、シンクの近傍に設けられた水栓から供給されていたが、水栓とは別に洗浄水を厨芥処理室内に直接供給する給水手段を設けることもできる。この場合には、給水手段の止水及び吐水をコントローラによって制御するように構成するのが良い。
【0076】
また、上述した実施形態においては、厨芥処理装置は、蓋体の操作によって作動されていたが、厨芥処理装置を作動させるスイッチを他の位置に設けることもできる。
さらに、上述した実施形態においては、清掃用薬剤は蓋体に入れられていたが、使用者が、清掃用薬剤を厨芥処理室内に直接投入するように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の第1実施形態による厨芥処理装置を流し台のシンクに設置した様子を示す概略断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態による厨芥処理装置の厨芥投入口に装着される蓋体の斜視図である。
【図3】蓋体を装着する厨芥投入口を拡大して示す斜視図である。
【図4】厨芥投入口に蓋体を装着した状態を示す断面図である。
【図5】蓋体を厨芥投入口に装着した状態を示す斜視図である。
【図6】厨芥投入口に装着された蓋体を回動させ、厨芥処理装置を作動させた状態を示す斜視図である。
【図7】従来の厨芥処理装置の排水管に、単に排水弁を設けた状態を示す断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態による厨芥処理装置を流し台のシンクに設置した様子を示す概略断面図である。
【図9】本発明の第3実施形態による厨芥処理装置を流し台のシンクに設置した様子を示す概略断面図である。
【図10】本発明の第4実施形態による厨芥処理装置を流し台のシンクに設置した様子を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0078】
1 本発明の第1実施形態による厨芥処理装置
2 厨芥処理装置本体
4 厨芥処理装置用封水装置
6 厨芥投入口
6a 筒状部
6b フランジ部
6c 突起
8 シンク
8a 水栓
10 排水管
12 厨芥処理室
14 回転板
16 モーター
18 厨芥排出部
20 固定刃
22 スイングハンマー
22a シャフト
23 コントローラ
23a 清掃時期判定手段
24 排水トラップ管路
24a 下降管部
24b 上昇管部
26 排水弁
28 バイパス管路
28a 水位設定管
28b 戻り管路
30 蓋体
32 上板部
32a 円錐面
32b 把持部
32c 第1流入口
34 下筒部
34a 第2流入口
34b 傾斜溝
34c 鉛直溝部
34d 傾斜溝部
34e 水平溝部
35 磁石
36 内側筒部
36a 薬剤拡散孔
36b 環状底面
37 磁気検出素子
38 清掃用薬剤
40 ブザー
42 臭いセンサ
44 流速センサ
100 本発明の第2実施形態による厨芥処理装置
102 厨芥処理装置用封水装置
104 排気ポンプ
110 本発明の第3実施形態による厨芥処理装置
112 厨芥処理装置用封水装置
114 上流側排水弁
116 下流側排水弁
120 本発明の第4実施形態による厨芥処理装置
122 厨芥処理装置用封水装置
124 洗浄水供給装置
126 排水弁
200 厨芥処理装置
202 排水管
204 排水弁
206 水栓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厨芥を粉砕して粉砕された厨芥を洗浄水と共に排水管に排出する厨芥処理装置であって、
厨芥を投入する厨芥投入口が上方に形成された厨芥処理室と、
この厨芥処理室内に投入された厨芥を粉砕する粉砕手段と、
上記厨芥処理室の下部に設けられ、上記粉砕手段によって粉砕された厨芥を上記厨芥処理室から排出する厨芥排出部と、
この厨芥排出部に連通して形成され、上記厨芥排出部から下方に向かう下降管部、及びこの下降管部の下端から上方に向かう上昇管部を備えた排水トラップ管路と、
この排水トラップ管路の下流に設けられ、清掃時において、上記厨芥処理室内及び上記排水トラップ管路内に洗浄水を滞留させるために閉鎖される排水弁と、
この排水弁を閉鎖して上記厨芥処理装置を清掃する際に、上記厨芥排出部と上記排水弁との間に空気が滞留するのを防止する空気滞留防止手段と、
を有することを特徴とする厨芥処理装置。
【請求項2】
上記空気滞留防止手段が、上記上昇管部の上部と上記排水弁の下流側とを連通させるバイパス管路である請求項1記載の厨芥処理装置。
【請求項3】
上記空気滞留防止手段が、上記上昇管部の上部に滞留した空気を排気する排気ポンプである請求項1記載の厨芥処理装置。
【請求項4】
さらに、上記厨芥処理装置を清掃すべき時を判定する清掃時期判定手段と、清掃時期が到来したことを使用者に報知する報知手段と、を有する請求項1乃至3の何れか1項に記載の厨芥処理装置。
【請求項5】
上記清掃時期判定手段が、直近の清掃実施後の上記厨芥処理装置の使用回数に基づいて上記厨芥処理装置を清掃すべき時期を判定する請求項4記載の厨芥処理装置。
【請求項6】
上記清掃時期判定手段が、直近の清掃実施後の経過時間に基づいて上記厨芥処理装置を清掃すべき時期を判定する請求項4記載の厨芥処理装置。
【請求項7】
さらに、上記厨芥処理室内の汚れを検知する汚れセンサを有し、上記清掃時期判定手段が、上記汚れセンサの検出結果に基づいて上記厨芥処理装置を清掃すべき時期を判定する請求項4記載の厨芥処理装置。
【請求項8】
さらに、上記厨芥排出部の下流における管路内を流れる排水の流速を検出する流速センサを有し、上記清掃時期判定手段が、上記流速センサの検出結果に基づいて上記厨芥処理装置を清掃すべき時期を判定する請求項4記載の厨芥処理装置。
【請求項9】
厨芥処理装置本体によって粉砕された厨芥及び洗浄水を排水管に流出させ、上記厨芥処理装置本体と上記排水管との間を封水する封水装置であって、
上記厨芥処理装置本体の厨芥排出部に連通するように形成され、上記厨芥排出部から下方に向かう下降管部及びこの下降管部の下端から上方に向かう上昇管部を備えた排水トラップ管路と、
この排水トラップ管路の下流に設けられ、上記厨芥処理装置本体の清掃時に閉鎖される排水弁と、
この排水弁を閉鎖して上記厨芥処理装置本体を清掃する際に、上記厨芥排出部と上記排水弁との間に空気が滞留するのを防止する空気滞留防止手段と、
を有することを特徴とする厨芥処理装置用封水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−130552(P2007−130552A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−324936(P2005−324936)
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(000010087)東陶機器株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】