説明

厨芥処理装置

【課題】節水と配水管詰まりの防止との両立を図ると共に、連通部の詰まりも防止することが可能な厨芥処理装置を提供すること。
【解決手段】この厨芥処理装置1は、コントローラ22は第一制御手段22aと第二制御手段22bとを有し、第一制御手段22aは第二制御手段22bよりも粉砕手段である回転板10の回転数が低くなるように制御するものであり、且つ、第一制御手段22aによる制御が実行された後に第二制御手段22bによる制御が実行されるものであって、第一制御手段22aによる粉砕段階において硬い未粉砕厨芥が粉砕されないように粉砕される厨芥を調整することが可能なように構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シンクの排水口に設けられ、投入された未粉砕厨芥を粉砕し、粉砕された粉砕済厨芥を水と共に排出する給水型の厨芥処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような給水型の厨芥処理装置として、粉砕動作と連動させて水を供給し、供給水量不足による配水管詰まりを起こり難くするものが提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。下記特許文献1では、単に粉砕動作と連動させて水を供給するのみでは、粉砕初期に多量の粉砕済厨芥が排出され、その後、粉砕済厨芥の排出量が急激に減少することに着目している。具体的には、このように粉砕初期に多量の粉砕済厨芥が排出される場合、粉砕初期に供給される水が少ないと配水管詰まりを起こしてしまうため、通常はこの配水管詰まりを起こさないように供給する水の量を多くしなければならないと考えられる。これに対して、そのようないわば無駄な水を使わずに配水管詰まりを起こさないことを目的とし、粉砕手段の駆動態様に工夫することで新たな厨芥処理装置を提案している。
【0003】
下記特許文献1において提案されている厨芥処理装置は、回転駆動されることによって未粉砕厨芥を粉砕する粉砕手段を備えるものであって、粉砕工程の進行に従って粉砕手段の回転数を増やすように構成したものである。このように構成することで、粉砕初期においては粉砕手段の回転数を抑えることで粉砕済厨芥の排出量を抑制し、配水管詰まりを防止するものとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−260380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、未粉砕厨芥としては、柔らかいものや硬いもの、繊維質のものや非繊維質のものといったように、種々雑多なものが含まれる。そのため、低速で粉砕手段を駆動しても、柔らかいものが多く含まれている未粉砕厨芥の場合には粉砕初期に多量の粉砕済厨芥が排出されることになり、配水管詰まりのおそれがある。このような事態に対応するため、粉砕手段の回転数をより抑えて極低速で駆動することも想定されるけれども、未粉砕厨芥には柔らかいものと共に硬いものも多く含まれている場合もあり、あまりに粉砕手段の回転数を抑えれば硬い未粉砕厨芥を噛み込んでしまって、粉砕手段が停止してしまうことになる。また、粉砕手段が停止してしまわない場合であっても、粉砕手段を低速駆動すれば粉砕力が十分ではなく硬い未粉砕厨芥の一部が欠けて飛び散ってしまうようなことも想定され、その十分に粉砕されていない厨芥が連通部を通ることができずに当該部分における詰まりの原因ともなり得る。
【0006】
一方で、粉砕済厨芥によって配水管詰まりを起こさないことのみに着目すれば、粉砕時の供給水量をより多くし、結果として粉砕済厨芥の濃度を下げて流動性を確保し、配水管詰まりを起こさないようにすることも考えられる。しかしながら、未粉砕厨芥の量は様々であって、未粉砕厨芥に含まれる柔らかいものや硬いものの比率を予め想定することも困難であり、粉砕初期に排出される粉砕済厨芥の量を予測することは極めて困難であるため、配水管詰まりを無くすことだけに着目すれば供給水量を非常に多くすることで対応しなければならない。このように従来の技術では、節水と配水管詰まりの防止とを両立させることはできなかったものである。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、シンクの排水口に設けられ、投入された未粉砕厨芥を粉砕し、粉砕された粉砕済厨芥を水と共に排出する給水型の厨芥処理装置であって、節水と配水管詰まりの防止との両立を図ると共に、連通部の詰まりも防止することが可能な厨芥処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明に係る厨芥処理装置は、シンクの排水口に設けられ、投入された未粉砕厨芥を粉砕し、粉砕された粉砕済厨芥を水と共に排出する給水型の厨芥処理装置であって、粉砕するための未粉砕厨芥を投入する厨芥投入口と、前記厨芥投入口に連通し、投入された未粉砕厨芥が貯留される第一貯留室と、回転駆動されることにより、前記第一貯留室内に貯留された未粉砕厨芥を粉砕する粉砕手段と、前記第一貯留室と連通部を介して繋がっており、前記粉砕手段によって粉砕された粉砕済厨芥を前記連通部を介して受け入れ一時的に貯留すると共に、貯留された粉砕済厨芥を排出する排出口を有する第二貯留室と、前記第二貯留室に貯留された粉砕済厨芥を前記排出口から排出させる排出手段と、前記粉砕手段と前記排出手段とを制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は第一制御手段と第二制御手段とを有し、前記第一制御手段は第二制御手段よりも前記粉砕手段の回転数が低くなるように制御するものであり、且つ、前記第一制御手段による制御が実行された後に前記第二制御手段による制御が実行されるものであって、前記第一制御手段による粉砕段階において硬い未粉砕厨芥が粉砕されないように、粉砕される厨芥を調整する調整手段を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明では、厨芥投入口から投入され第一貯留室に貯留された未粉砕厨芥を粉砕し、連通部を介して第二貯留室に送り込んで一時的に貯留する。従って、例え粉砕手段によって柔らかい未粉砕厨芥が最初に一気に粉砕され短時間に多量の粉砕済厨芥が生じたとしても、生じた多量の粉砕済厨芥を第二貯留室に一時的に貯留することで配水管の詰まり発生を防止することができる。このように粉砕工程の初期段階に柔らかい未粉砕厨芥が一気に粉砕されても第二貯留室に一時的に貯留しておくことができるので、粉砕工程の初期段階における粉砕手段の駆動速度を、硬い未粉砕厨芥の噛み込みが無い程度の速度まで落とせばよく、硬い未粉砕厨芥の無用な噛み込みを回避することができる。また、貯留された粉砕済厨芥を第二貯留室から排出するにあたっては排出手段を用いるので、配水管を詰まらせず且つ水の使用を極力減らすように粉砕済厨芥を排出することができる。また本発明では、第一制御手段による粉砕段階において硬い未粉砕厨芥が粉砕されないことに着目している。粉砕手段の回転数が低い初期段階では粉砕力がまだ弱い段階であるため、その初期段階において硬い未粉砕厨芥が粉砕されてしまうと、中途半端に硬い未粉砕厨芥が粉砕され比較的大きな粉砕片が生成され連通部を詰まらせてしまうおそれがある。そのような連通部の詰まりを解消するためには、一つの手段として給水量を増やすことも考えられるけれども、節水を目的とする本発明では、給水量を増やさずに調整手段を設けることにしている。本発明の調整手段は、第一制御手段による粉砕段階において硬い未粉砕厨芥が粉砕されないように、粉砕される厨芥を調整するものであり、粉砕手段の回転数が低い場合に硬い未粉砕厨芥が中途半端に粉砕され、その粉砕片が連通部に詰まってしまうことを回避することができるものとしている。
【0010】
また本発明に係る厨芥処理装置では、前記粉砕手段は遠心力を利用して未粉砕厨芥を粉砕するものであって、回転駆動されることによって相対的な位置関係を変更し未粉砕厨芥を挟み込んで粉砕する第一粉砕部と第二粉砕部とを備え、前記調整手段は、前記第一粉砕部をその一端側を中心として回動可能に設けることで前記粉砕手段の回転数が低く遠心力が小さい場合に未粉砕厨芥を挟み込む力が小さくなるように構成されていることも好ましい。
【0011】
この好ましい態様の粉砕手段は、回転駆動されることによって相対的な位置関係を変更して未粉砕厨芥を挟み込んで粉砕する第一粉砕部と第二粉砕部とを備え、第一粉砕部は自身の一端側を中心として自転するように回動可能に設けられているので、第一粉砕部に作用する遠心力によっては挟み込めないほど硬い未粉砕厨芥は粉砕せずに逃がすことができる。従って、硬い未粉砕厨芥を選別するような別段の手段を設けることなく、粉砕手段の回転速度に応じて第一粉砕部に作用する遠心力の強弱によって挟み込む未粉砕厨芥を選択できるので、簡便な構成で粉砕手段の回転数が低い場合に硬い未粉砕厨芥が中途半端に粉砕され、その粉砕片が連通部に詰まってしまうことを回避することができる。
【0012】
また本発明に係る厨芥処理装置では、前記粉砕手段は、その回転方向によって未粉砕厨芥の逃がし作用が異なるように構成されていることも好ましい。
【0013】
この好ましい態様では、粉砕手段の回転方向によって未粉砕厨芥の逃がし作用が異なるように構成されているので、例えば正回転の場合には未粉砕厨芥を捉えやすく作用し、逆回転の場合には未粉砕厨芥を捉えにくく作用するように構成することができる。このように構成することで、硬い未粉砕厨芥を粉砕したくない段階では粉砕手段を逆回転に回転させることで、硬い未粉砕厨芥を逃がすことができる。従って、粉砕手段の回転方向を変更するという簡便な構成で、粉砕手段の回転数が低い場合に硬い未粉砕厨芥が中途半端に粉砕され、その粉砕片が連通部に詰まってしまうことを回避することができる。
【0014】
また本発明に係る厨芥処理装置では、前記第二粉砕部は前記第一貯留室を囲繞するように設けられた固定刃によって構成され、前記第一粉砕部は前記第二粉砕部に他端側が近接可能なように一端側を中心に回動可能に設けられており、遠心力によって前記第一粉砕部が未粉砕厨芥を前記第二粉砕部に押し付けることで粉砕することも好ましい。
【0015】
この好ましい態様では、遠心力によって第一粉砕部は一端側を中心として他端側が第二粉砕部に近づき、第一粉砕部の他端側が未粉砕厨芥を固定刃によって構成される第二粉砕部に押し付けることで粉砕するので、遠心力の大小によって第一粉砕部が未粉砕厨芥を第二粉砕部に押し付ける力を調整することができる。そのため、粉砕手段の回転速度が低い初期段階においては遠心力が小さく、第一粉砕部が未粉砕厨芥を第二粉砕部に押し付ける力を小さくすることができるので、粉砕手段の回転数が低い場合に硬い未粉砕厨芥が中途半端に粉砕され、その粉砕片が連通部に詰まってしまうことを確実に回避することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、節水と配水管詰まりの防止との両立を図ると共に、連通部の詰まりも防止することが可能な厨芥処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本願発明の実施形態に係る厨芥処理装置の構成を示す概略図である。
【図2】図1に示す厨芥処理装置の厨芥処理室を説明するための図である。
【図3】図2の変形例であるスイングハンマーを説明するための図である。
【図4】図2の変形例であるスイングハンマーを説明するための図である。
【図5】図1に示す厨芥処理装置の一時貯留室を説明するための図である。
【図6】図1に示す厨芥処理装置の動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【図7】図6に示すタイミングチャートに対応するモータの駆動電流を示す図である。
【図8】図1に示す厨芥処理装置から排出される粉砕済厨芥の量を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0019】
まず、図1を参照しながら、本発明の実施形態に係る厨芥処理装置を説明する。図1は、本発明の実施形態に係る厨芥処理装置、及びこれを設置したシンク全体を示す断面図である。
【0020】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る厨芥処理装置1は、厨芥を投入する厨芥投入口2が、シンク4の底面に開口するように設置される。また、シンク4の近傍には水栓6が設けられており、厨芥処理装置1によって厨芥を粉砕する際及び清掃する際に、この水栓6から洗浄水を供給することも可能なように構成されている。
【0021】
厨芥処理装置1は、厨芥投入口2を上方に形成した厨芥処理室8(第一貯留室)と、厨芥処理室8の下方に設けられた一時貯留室9(第二貯留室)と、厨芥処理室8と一時貯留室9とを仕切るように配置された回転板10と、この回転板10を回転駆動する駆動手段であるモータ12と、一時貯留室9に連通して設けられ、粉砕された厨芥を一時貯留室9から排水管(図示せず)に排出する厨芥排出部14(排出口)と、を有する。
【0022】
厨芥処理室8の下部の内壁面には固定刃16(粉砕手段、第二粉砕部)が取付けられている。さらに、回転板10の上面には、2つのスイングハンマー18(粉砕手段、第一粉砕部)がシャフト18aを中心に回転可能に取付けられている。回転板10の下面には、一時貯留室9内の洗浄水を攪拌する羽根20b(排出手段)が取付けられている。
【0023】
厨芥処理室8は、上方に円形の厨芥投入口2が開口した概ね円錐台状に形成されている。また、厨芥投入口2は、シンク4の排水口を兼ねており、シンク4内の水は厨芥投入口2から厨芥処理室8に入り、厨芥排出部14を介して排水管(図示せず)に排水されるように構成されている。更に、厨芥処理室8に自動給水可能なように給水管WF(水供給手段)が設けられている。給水管WFには、給水弁V1と水量センサS1が設けられている。給水弁V1はコントローラ22からの制御信号に応じて開閉するように構成されている。水量センサS1は検出した水量データをコントローラ22に出力する。
【0024】
回転板10は、厨芥処理室8と一時貯留室9との中間に水平に支持された金属製の円板である。さらに、回転板10は、その中心がモータ12の回転軸12aにネジ止めされており、モータ12によって回転駆動される。また、回転板10には、それを直角に貫通するように、2本のシャフト18aが取付けられている。シャフト18aは、回転板10の上面側において、金属製のスイングハンマー18を回転可能に支持している。スイングハンマー18は、概ね直方体のブロック状であり、一端にシャフト18aが通されている。また、スイングハンマー18の底面は平面であり、先端に向かって厚さが厚くなり、先端は回転板10の周縁とほぼ同一曲率の円弧状に形成されている。また、スイングハンマー18の長さは、スイングハンマー18が、回転板10の半径方向外方に向けられたとき、その先端が回転板10の周縁とほぼ一致するように設定されている。
【0025】
回転板10及び固定刃16を上方から見た状態を図2に示す。図2に示すように、厨芥処理室8の下部の内壁には、回転板10を囲繞するように、金属製の固定刃16が取付けられている。固定刃16には、円周方向に等間隔に多数の切抜き部16aが形成されている。投入された未粉砕厨芥は、固定刃16の各切抜き部16aのエッジと、スイングハンマー18の間に押し込まれることにより、厨芥処理室8内で粉砕される。そして、連通部としての切抜き部16aを通って一時貯留室9へと送り込まれる。
【0026】
図2に示すように、本実施形態においては、第二粉砕部として、厨芥処理室8(第一貯留室)を囲繞するように設けられた固定刃16が設けられ、第一粉砕部としてのスイングハンマー18は、一端側がシャフト18aによって貫通されており、他端側が第二粉砕部としての固定刃16に近接可能なように回動可能に支持されている。回転板10が回転され遠心力が作用すると未粉砕厨芥は固定刃16に向って移動する。そして、第一粉砕部としてのスイングハンマー18が未粉砕厨芥を第二粉砕部としての固定刃16に押し付けることで粉砕する。従って、スイングハンマー18が未粉砕厨芥を固定刃16に押し付ける力は、回転板10の回転速度に応じて増減する。具体的には、回転板10の回転速度が低ければ、スイングハンマー18が未粉砕厨芥を固定刃16に押し付ける力は弱くなるため、比較的柔らかい未粉砕厨芥が粉砕される。一方、回転板10の回転速度が高ければ、スイングハンマー18が未粉砕厨芥を固定刃16に押し付ける力は強くなるため、比較的硬い未粉砕厨芥が粉砕される。
【0027】
図2に示すスイングハンマー18は、回転板10の回転方向によらず未粉砕厨芥を固定刃16に押し付ける力は回転速度のみに依存するものであるが、回転板10の回転方向によって未粉砕厨芥を固定刃16に押し付ける力を異ならせるようにすることも好ましい。その好ましい一例を図3に示す。図3に示すスイングハンマー181は、他端側(外側)に傾斜面181aが形成されている。傾斜面181aが形成されていると、固定刃16へ接近した際の距離が遠い部分と近い部分とが形成され、回転板10の回転方向によって未粉砕厨芥を固定刃16に押し付ける力が異なる。図3に示す例の場合、回転板10を矢印D1方向に回転させると未粉砕厨芥を固定刃16に押し付ける力が弱まり、回転板10を矢印D2方向に回転させると未粉砕厨芥を固定刃16に押し付ける力が強まる。このようにすることで、回転板10の回転方向によって未粉砕厨芥の逃がし作用が異なるように構成することができるものである。
【0028】
回転板10の回転方向によって未粉砕厨芥の逃がし作用が異なるように構成する別の例を図4に示す。図4は、回転板10の回転方向によって未粉砕厨芥の逃がし作用が異なるように構成する別の例に係るスイングハンマー182を示す図であって、回転板10を側方から見た図である。図4に示すように、スイングハンマー182は、回転方向における高さが異なるように構成されており、一方の端部182aの高さが低く、他方の端部182bの高さが高くなるように構成されている。このように構成することで、回転板10が矢印D3方向に回転すると、低い方の端部182aが未粉砕厨芥を捉えようとするので、未粉砕厨芥は逃げやすくなる。一方、回転板10が矢印D4方向に回転すると、高い方の端部182bが未粉砕厨芥を捉えようとするので、未粉砕厨芥は捉えやすくなる。
【0029】
上述したようなスイングハンマー18,181,182を採用することで、回転板10の回転速度や回転方向によって硬い未粉砕厨芥は粉砕せずに柔らかい未粉砕厨芥を粉砕するように構成することができるので、硬い未粉砕厨芥が粉砕されずに柔らかい未粉砕厨芥が粉砕されるような調整手段として機能する。
【0030】
続いて、図5を参照しながら、厨芥処理室8の下部に設けられる一時貯留室9、及びそこに形成された厨芥排出部14の構成を説明する。図5は、図1のII−II断面図であり、厨芥処理室8の下部に設けられる一時貯留室9を切断して示す斜視断面図である。
【0031】
図5に示すように、厨芥排出部14は、一時貯留室9の底面近傍に水平方向に向けて形成された円筒状の管路であり、その先端は排水管(図示せず)に接続されている。また、厨芥排出部14は、回転板10を回転させるモータ12の回転軸12aを中心とする円のほぼ接線方向に向くように形成されている。このため、回転軸12aが図5の矢印D5方向に回転されると、一時貯留室9内の洗浄水は羽根20bによって攪拌され、その厨芥排出部14からの排水が抑制される。これにより、洗浄水は一時貯留室9内に滞留されやすくなる。一方、回転軸12aが矢印D6方向に回転されると、洗浄水の厨芥排出部14からの排水が促進され、一時貯留室9内の洗浄水は速やかに排出される。
【0032】
図1に戻り、厨芥処理装置1は、制御手段であるコントローラ22を有し、コントローラ22は、厨芥投入口2に設けられた磁気検出素子24の検出信号に基づいて、モータ12を作動させるように構成されている。さらに、厨芥処理装置1は、所定の場合においてコントローラ22によって鳴動され、使用者に清掃時期の到来を報知する報知手段であるランプ25と、第一制御手段22aから第二制御手段22bへの制御移行を規制するスイッチ28と、を有する。
【0033】
コントローラ22は、磁気検出素子24の検出信号に基づいて、厨芥処理装置1の粉砕運転を実行するように構成されている。また、コントローラ22は、第一制御手段22aと第二制御手段22bとを有している。第一制御手段22a及び第二制御手段22bは、それぞれ異なる態様でモータ12を回転駆動するものである。第一制御手段22aと第二制御手段22bとは、それぞれが選択的に動作するように構成されている。第一制御手段22aと第二制御手段22bとは、モータ12に制御信号を出力してその回転方向と回転速度とを制御し、モータ12の駆動電流を検知する電流センサS2が検出した電流値データを取得するものである。尚、第一制御手段22a及び第二制御手段22bによる具体的な制御態様については後述する。コントローラ22は、具体的には、マイクロプロセッサ、メモリ及びそれに記憶されたプログラム(以上図示せず)等により構成される。
【0034】
続いて、厨芥処理装置1の駆動シーケンスの一例について、図6に示すタイミングチャートを参照しながら説明する。図6に示すタイミングチャートにおいては、横軸に時間をとり、縦軸にはモータ12の回転数を示している。モータ12の回転は、r1,r2,r3,r4,r5が正回転(図5における矢印D6の方向)であって、r1’,r2’,r5’が逆回転(図5における矢印D5の方向)である。また、時刻t1から時刻t11までは第一制御手段22aによる制御が実行され、時刻t11から時刻t12までは第二制御手段22bによる制御が実行され、時刻t12から時刻t17まではコントローラ22による制御が実行されるものとしている。
【0035】
時刻t1から時刻t1までは、回転数r1’でモータ12を駆動する。回転数r1’は、柔らかい未粉砕厨芥を粉砕するのに適した回転数であるので、厨芥処理室8に投入された未粉砕厨芥の内、比較的柔らかいものが粉砕されて、一時貯留室9へと送り込まれる。回転数r1’での回転は、逆回転(図5における矢印D5の方向)なので、一時貯留室9から排出される粉砕済厨芥の排出量は低減されており、一時貯留室9へと送り込まれた粉砕済厨芥が徐々に排出される。
【0036】
時刻t2から時刻t3までは、モータ12の駆動を停止する。モータ12の駆動が停止されている時刻t2から時刻t3においても、水は一定の流量(例えば、6L/min)で供給されている。従って、一時貯留室9に水が溜められている状態である。
【0037】
時刻t3から時刻t4までは、回転数r1でモータ12を駆動する。回転数r1は、柔らかい未粉砕厨芥を粉砕するのに適した回転数であるので、厨芥処理室8に投入された未粉砕厨芥の内、比較的柔らかいものが粉砕されて、一時貯留室9へと送り込まれる。回転数r1での回転は、正回転(図5における矢印D6の方向)なので、一時貯留室9から排出される粉砕済厨芥の排出量は通常の状態(逆回転に比較すれば排出量が高い状態)であり、一時貯留室9へと送り込まれた粉砕済厨芥が排出される。時刻t1から時刻t4までは、低速駆動モードでの運転となっている。
【0038】
時刻t4からt5までは、回転数r2でモータ12を駆動する。回転数r2は、やや粉砕しにくい未粉砕厨芥を粉砕するのに適した回転数であるので、厨芥処理室8に投入された未粉砕厨芥の内、やや粉砕しにくいものが粉砕されて、一時貯留室9へと送り込まれる。回転数r2での回転は、正回転(図5における矢印D6の方向)なので、一時貯留室9から排出される粉砕済厨芥の排出量は通常の状態(逆回転に比較すれば排出量が高い状態)であり、一時貯留室9へと送り込まれた粉砕済厨芥が排出される。
【0039】
時刻t5から時刻t6までは、モータ12の駆動を停止する。モータ12の駆動が停止されている時刻t5から時刻t6においても、水は一定の流量(例えば、6L/min)で供給されている。従って、一時貯留室9に水が溜められている状態である。時刻t5から時刻t6において、一時貯留室9に水が溜められて粉砕済厨芥の濃度が下がって流動性が増すので、次のモータ12の駆動によって効果的に粉砕済厨芥が排出される。
【0040】
時刻t6から時刻t7までは、回転数r2でモータ12を駆動する。回転数r2は、やや粉砕しにくい未粉砕厨芥を粉砕するのに適した回転数であるので、厨芥処理室8に投入された未粉砕厨芥の内、やや粉砕しにくいものが粉砕されて、一時貯留室9へと送り込まれる。回転数r2での回転は、正回転(図5における矢印D6の方向)なので、一時貯留室9から排出される粉砕済厨芥の排出量は通常の状態(逆回転に比較すれば排出量が高い状態)であり、一時貯留室9へと送り込まれた粉砕済厨芥が排出される。
【0041】
時刻t6から時刻t7においては、未粉砕厨芥の有無を判定している。未粉砕厨芥の有無は、モータ12の駆動電流の変化態様に基づいて判断される。モータ12の駆動電流の振れ幅が大きければ未粉砕厨芥がまだ存在し、モータ12の駆動電流の振れ幅が小さくなれば未粉砕厨芥が存在しないと判断する。モータ12の駆動電流の一例を図7に示す。図7に示す例においては、時刻t6から時刻t7の間の領域AR1ではモータ12の駆動電流の振れ幅が大きく、未粉砕厨芥はまだ存在しているものと想定される。一方、時刻t10から時刻t13の間の領域AR2ではモータ12の駆動電流の振れ幅が小さく、未粉砕厨芥が無くなったものと想定される。従って、もしも時刻t6から時刻t7において領域AR2のような振れ幅となった場合には、未粉砕厨芥が存在しなくなったと判断する。時刻t6から時刻t7において、未粉砕厨芥が存在しなくなったと判断されれば、第一制御手段22aによる残りの制御(時刻t7〜時刻t11)と第二制御手段22bによる制御(時刻t11〜時刻t12)を飛ばして、時刻t12からの制御を実行する。
【0042】
図6に戻り、時刻t7から時刻t8までは、モータ12の駆動を停止する。モータ12の駆動が停止されている時刻t7から時刻t8においても、水は一定の流量(例えば、6L/min)で供給されている。従って、一時貯留室9に水が溜められている状態である。
【0043】
時刻t8から時刻t9までは、回転数r2’でモータ12を駆動する。回転数r2’は、やや粉砕しにくい未粉砕厨芥を粉砕するのに適した回転数であるので、厨芥処理室8に投入された未粉砕厨芥の内、やや粉砕しにくいものが粉砕されて、一時貯留室9へと送り込まれる。回転数r2’での回転は、逆回転(図5における矢印D5の方向)なので、一時貯留室9から排出される粉砕済厨芥の排出量は低減されており、一時貯留室9へと送り込まれた粉砕済厨芥が徐々に排出される。時刻t8から時刻t9までの運転によって、引っかかった繊維状の粉砕済厨芥が排出される。
【0044】
時刻t9から時刻t10までは、モータ12の駆動を停止する。モータ12の駆動が停止されている時刻t9から時刻t10においても、水は一定の流量(例えば、6L/min)で供給されている。従って、一時貯留室9に水が溜められている状態である。
【0045】
時刻t10から時刻t11までは、回転数r3でモータ12を駆動する。回転数r3は、粉砕されにくい繊維質の未粉砕厨芥を絡ませずに排出するのに適した回転数であるので、厨芥処理室8に投入された未粉砕厨芥の内、粉砕されて残った繊維質のものが一時貯留室9へと送り込まれる。回転数r3での回転は、正回転(図5における矢印D6の方向)なので、一時貯留室9から排出される粉砕済厨芥の排出量は通常の状態(逆回転に比較すれば排出量が高い状態)であり、一時貯留室9へと送り込まれた粉砕済厨芥が排出される。
【0046】
時刻t10から時刻t11においては、未粉砕厨芥の有無を判定している。未粉砕厨芥の有無は、モータ12の駆動電流の変化態様に基づいて判断される。モータ12の駆動電流の振れ幅が大きければ未粉砕厨芥がまだ存在し、モータ12の駆動電流の振れ幅が小さくなれば未粉砕厨芥が存在しないと判断する。図7に示す例においては、時刻t6から時刻t7の間の領域AR1ではモータ12の駆動電流の振れ幅が大きく、未粉砕厨芥はまだ存在しているものと想定される。一方、時刻t10から時刻t13の間の領域AR2ではモータ12の駆動電流の振れ幅が小さく、未粉砕厨芥が無くなったものと想定される。従って、もしも時刻t10から時刻t13のある段階において領域AR2のような振れ幅となった場合には、未粉砕厨芥が存在しなくなったと判断する。時刻t10から時刻t11において、未粉砕厨芥が存在しなくなったと判断されれば、第一制御手段22aによる残りの制御(〜時刻t11)を飛ばして、第二制御手段22bによる制御(時刻t11〜時刻t12)に移行する。尚、未粉砕厨芥が存在していると判断した場合には、継続的に未粉砕厨芥の存在有無の判定を繰り返す。
【0047】
図6に戻り、時刻t11から時刻t12までは、回転数r4でモータ12を駆動する。回転数r4は、粉砕しにくい硬い未粉砕厨芥を粉砕するのに適した回転数であるので、厨芥処理室8に投入された未粉砕厨芥の内、粉砕しにくい硬いものが粉砕されて、一時貯留室9へと送り込まれる。回転数r3での回転は、正回転(図5における矢印D6の方向)且つ高速回転なので、一時貯留室9から排出される粉砕済厨芥の排出量は多い状態であり、一時貯留室9へと送り込まれた粉砕済厨芥が排出される。
【0048】
時刻t12から時刻t13までは、回転数r5でモータ12を駆動する。回転数r5は、粉砕しにくい硬い未粉砕厨芥を粉砕するのに適した回転数であるので、厨芥処理室8に投入された未粉砕厨芥の内、粉砕しにくい硬いものや粉砕し難い形状(球体)のものが粉砕されて、一時貯留室9へと送り込まれる。回転数r5での回転は、正回転(図5における矢印D6の方向)且つ高速回転なので、一時貯留室9から排出される粉砕済厨芥の排出量は多い状態であり、一時貯留室9へと送り込まれた粉砕済厨芥が排出される。
【0049】
時刻t13から時刻t14までは、モータ12の駆動を停止する。モータ12の駆動が停止されている時刻t13から時刻t14においても、水は一定の流量(例えば、6L/min)で供給されている。従って、一時貯留室9に水が溜められている状態である。
【0050】
時刻t14から時刻t15までは、回転数r5’でモータ12を駆動する。回転数r5’は、粉砕しにくい硬い未粉砕厨芥を粉砕するのに適した回転数であるので、厨芥処理室8に投入された未粉砕厨芥の内、粉砕しにくい硬いものや粉砕し難い形状(球体)のものが粉砕されて、一時貯留室9へと送り込まれる。回転数r5’での回転は、逆回転(図5における矢印D5の方向)且つ高速回転なので、一時貯留室9から排出される粉砕済厨芥の排出量はやや多い状態であり、一時貯留室9へと送り込まれた粉砕済厨芥が排出される。
【0051】
時刻t15から時刻t16までは、モータ12の駆動を停止する。モータ12の駆動が停止されている時刻t15から時刻t16においても、水は一定の流量(例えば、6L/min)で供給されている。従って、一時貯留室9に水が溜められている状態である。
【0052】
時刻t16から時刻t17までは、回転数r5でモータ12を駆動する。回転数r5は、粉砕しにくい硬い未粉砕厨芥を粉砕するのに適した回転数であるので、厨芥処理室8に投入された未粉砕厨芥の内、粉砕しにくい硬いものや粉砕し難い形状(球体)のものが粉砕されて、一時貯留室9へと送り込まれる。回転数r5での回転は、正回転(図5における矢印D6の方向)且つ高速回転なので、一時貯留室9から排出される粉砕済厨芥の排出量は多い状態であり、一時貯留室9へと送り込まれた粉砕済厨芥が排出される。
【0053】
上述したような制御を実行することで、時間の経過に対して排出される粉砕済厨芥の量は、図8のL1に示すように平準化される。一方、従来のように最初から同じような回転数でモータ12を制御すれば、L3のように初期段階で多くの粉砕済厨芥が排出されてしまう。また、排出手段に特段の工夫をしなければ、モータ12の回転数を落としてもL2程度の粉砕済厨芥の排出量低減しかできないものである。従って、本実施形態のような厨芥処理装置1を用いて、上述のような制御を実行することで、L1に示すように粉砕済厨芥の排出量を確実に平準化することができる。
【0054】
尚、本実施形態では、水は一定の流量(例えば、6L/min)で供給されているものとしたけれども、水の供給量を変動させたとしても、その変動量を水量センサS1によって検知し、コントローラ22が第一制御手段22aから第二制御手段22bへの移行判断において、その水量を勘案して未粉砕厨芥の有無の判定に反映させることも好ましい。
【符号の説明】
【0055】
1:厨芥処理装置
2:厨芥投入口
4:シンク
6:水栓
8:厨芥処理室
9:一時貯留室
10:回転板
12:モータ
12a:回転軸
14:厨芥排出部
16:固定刃
16a:切抜き部
18,181,182:スイングハンマー
18a:シャフト
20b:羽根
22:コントローラ
22a:第一制御手段
22b:第二制御手段
24:磁気検出素子
25:ランプ
28:スイッチ
181a:傾斜面
182a:端部
182b:端部
S1:水量センサ
S2:電流センサ
V1:給水弁
WF:給水管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンクの排水口に設けられ、投入された未粉砕厨芥を粉砕し、粉砕された粉砕済厨芥を水と共に排出する給水型の厨芥処理装置であって、
粉砕するための未粉砕厨芥を投入する厨芥投入口と、
前記厨芥投入口に連通し、投入された未粉砕厨芥が貯留される第一貯留室と、
回転駆動されることにより、前記第一貯留室内に貯留された未粉砕厨芥を粉砕する粉砕手段と、
前記第一貯留室と連通部を介して繋がっており、前記粉砕手段によって粉砕された粉砕済厨芥を前記連通部を介して受け入れ一時的に貯留すると共に、貯留された粉砕済厨芥を排出する排出口を有する第二貯留室と、
前記第二貯留室に貯留された粉砕済厨芥を前記排出口から排出させる排出手段と、
前記粉砕手段と前記排出手段とを制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は第一制御手段と第二制御手段とを有し、
前記第一制御手段は第二制御手段よりも前記粉砕手段の回転数が低くなるように制御するものであり、且つ、前記第一制御手段による制御が実行された後に前記第二制御手段による制御が実行されるものであって、
前記第一制御手段による粉砕段階において硬い未粉砕厨芥が粉砕されないように粉砕される厨芥を調整する調整手段を備えることを特徴とする厨芥処理装置。
【請求項2】
前記粉砕手段は遠心力を利用して未粉砕厨芥を粉砕するものであって、回転駆動されることによって相対的な位置関係を変更し未粉砕厨芥を挟み込んで粉砕する第一粉砕部と第二粉砕部とを備え、
前記調整手段は、前記第一粉砕部をその一端側を中心として回動可能に設けることで前記粉砕手段の回転数が低く遠心力が小さい場合に未粉砕厨芥を挟み込む力が小さくなるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の厨芥処理装置。
【請求項3】
前記粉砕手段は、その回転方向によって未粉砕厨芥の逃がし作用が異なるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の厨芥処理装置。
【請求項4】
前記第二粉砕部は前記第一貯留室を囲繞するように設けられた固定刃によって構成され、
前記第一粉砕部は前記第二粉砕部に他端側が近接可能なように一端側を中心として回動可能に設けられており、
遠心力によって前記第一粉砕部が未粉砕厨芥を前記第二粉砕部に押し付けることで粉砕することを特徴とする請求項2に記載の厨芥処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−36850(P2011−36850A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159794(P2010−159794)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】