説明

双安定ヒンジ及びそれを使用したシステム

【課題】移動ステーション又は他の電子装置のためのヒンジ設計であって、ヒンジの組み立てを簡単にし、ひいては、よりコスト効率の良い製造製品を形成する改良されたヒンジ設計を提供する。更に、この改良されたヒンジアッセンブリは、折り畳み式移動ステーションの美しい見掛けを補うと共に種々の内部エレメントにかかるストレスを少なくする。
【解決手段】第1の機能的コンポーネントが双安定構造体を経て第2の機能的コンポーネントに結合されたものを有する折り畳み式移動ステーション又は他の折り畳み式電子装置を備えている。双安定構造体は、第1及び第2の機能的コンポーネントを開位置又は閉位置のいずれかにバイアスするように機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、移動ステーションに係り、より詳細には、双安定部材を包囲する折り畳み設計の移動ステーションに係る。
【背景技術】
【0002】
今日の移動ステーション(移動電話、PDA、ページャー、ラップトップコンピュータ等としても知られている)の製造及び設計は、常時、進化している。初期の移動ステーション設計は、当然、大きくてかさばるものであった。無線通信装置及びそれを動作するのに必要なバッテリユニットは、一般に、1つの特大のユニットで携帯されるが、少なくとも1つの初期の扱い難い設計では、ユニットが実際に2つの部片に分割され、それらが電源ケーブルにより接続されていた。集積回路及び蓄電技術の進歩により、移動ステーションの設計者は、益々小型の装置を形成できるようになった。これらの装置は、軽量であるだけでなく、取り扱い難くなく且つ搬送し易いものである。例えば、移動ステーションは、自動車に永久的に搭載したり、又は別々に携帯されるかさばるバッテリパックに接続したりすることがもはや要求されない。本質的に、今日の、より小型で、より有用な移動ステーションが簡単に実現可能となった。
【0003】
不都合なことに、この新規なファッション性及び便利さには多数の欠点が付随する。例えば、今日の移動ステーションの高い移動性は、絶えず増加し続ける潜在的なダメージ環境をこれら移動ステーションに受けさせるという意図しない欠点がある。近代の消費者にとって、これらの環境は、移動ステーションが有害な固体物質や湿気に接触して、移動ステーションの比較的繊細な内部及び操作エレメント(例えば、LCDディスプレイ、マイクロホン及びスピーカポート、キーパッド等)に構造的及び/又は表面的ダメージを及ぼすことのあるポケット、書類かばん、財布、ジムバッグ、グローブボックス、及びツールボックスを含む。従って、移動ステーションは、非常にダメージを受け易い。更に事態を悪くすることとして、市場が移動ステーションの小型化を推し進め続けており、それ故、移動ステーションを保護するような構造上かさばる補強物を追加することは益々困難である。
【0004】
このダメージの危険性は、近代的な移動ステーションに設けられる外部アクセスコンポーネントの数により悪化される。最も目立つこれらコンポーネントの1つは、視覚ディスプレイである。最初、このようなディスプレイは、移動ステーションが「オン」であるかどうか、又は移動電話に関しては、コールが進行中であるかどうか指示する小型の発光ダイオード(LED)に限定されていた。徐々に、ダイヤルした電話番号や、現在時間や、又は他の簡単な情報を表示することのできる、より進歩したLEDディスプレイが開発された。最近では、液晶ディスプレイ(LCD)が一般的となっている。LCDは、電気的に敏感な液晶材料を2枚の非常に薄いガラス又は他の透明材料の部片間にサンドイッチすることにより作られる。それ故、それらは、比較的小さな衝撃でもダメージを受け易い。この傷付き易さを制限するために硬い透明カバー又は同様の保護装置が一般に追加されるにも関わらず、LCDは、近代的な移動ステーションにおいて最も容易にダメージを受けるコンポーネントの1つのままである。
【0005】
近代的な移動ステーションに大きな耐久性を与えることも一部目的として、折り畳み式の移動ステーションが開発された。明らかなように、折り畳み式移動ステーションは、比較的コンパクトなサイズであるために、高い有用性も与える。折り畳み式移動ステーションとは、一般的に述べると、2つの部分を1つのよりコンパクトな部分へと折り畳むことのできるものである。より詳細には、図1A−1Cに示されたように、折り畳み式移動ステーション100は、一般に、第1の機能的コンポーネント101と、第2の機能的コンポーネント102とで構成される。第1及び第2の機能的コンポーネント101、102は、ヒンジアッセンブリ175により互いに機械的に結合され、各コンポーネントが貝殻型アクションで他のコンポーネントの上に折り畳まれる。従って、折り畳み式移動ステーション100は、「開」位置と、折り畳まれた位置即ち「閉」位置とを有する。
【0006】
図1Aは、開位置に方向付けされた従来の移動ステーション100(移動電話)の一例を示す。当業者に明らかなように、移動ステーション100の第1及び第2の機能的コンポーネント101、102は、種々の内部回路及び操作エレメントを備えている。例えば、第1の機能的コンポーネント101は、LCD150を含むものとして示されている。LCD150は、透明なプラスチックカバー151を通して見ることができ、且つそれにより保護される。スピーカポート154は、第1部分101に形成された一連の小さな開口で構成され、これも第1部分101により収容される内部スピーカ(図示せず)に隣接配置される。更に、第1部分101は、通常、LCD150及び内部スピーカ(図示せず)を駆動する回路も含む。
【0007】
従来の移動ステーション100の第2部分102は、一般に、内部マイクロホン(図示せず)に隣接したマイクロホンポート155を備えている。内部に配置されたキーマットから複数の開口を経て延びている一連のキーで構成されたキーパッド160も設けられる。第1部分101と同様に、移動ステーション100の第2部分102も、上記マイクロホン155及びキーパッド160に関連した内部回路を収容している。高周波(RF)通信を容易にするためのアンテナ(図示せず)は、第1部分101又は第2部分102のいずれかに配置されてもよいし、或いはそれらの間に分散されてもよい。移動ステーションのバッテリ(図示せず)は、通常、第2部分102に保管される。というのは、第1部分101は、LCD150及びスピーカ154が配置されるために、限定されたスペースしか利用できないからである。ACアダプタのような外部電源(図示せず)を電源ポート144に接続することができる。同様に、外部ヘッドホン(図示せず)を外部装置ポート145において移動ステーション100に接続することができる。
【0008】
従って、移動ステーションが「開けられる」と、ユーザは、キーパッド160にアクセスすると共に、スピーカポート154及びマイクロホンポート155を音声通信位置に便利に入れることができる。又、移動ステーション100は、第1部分101を、矢印で示すように貝殻アクションで第2部分102に合わすように折り畳むことにより、「閉じる」こともできる。図1Bは、既知の移動ステーション100を閉位置で示している。好都合にも、第1部分101及び第2部分102は、キーパッド160及びLCD150を保護するように閉じる。一般的に述べると、既知の移動ステーション100は、閉じた状態では使用できないが、このような機能は、外部マイクロホン及びスピーカ(図示せず)を使用することにより達成できる。このような装置は、「ハンズフリー」操作にしばしば使用され、外部装置ポート145を経て容易に接続される。上述したように、近代的な移動ステーション100の折り畳み設計は、その敏感な内部コンポーネントに、ベルトやポケットや財布やグローブボックスのような環境においてしばしば遭遇するキー又は他の物体からのダメージを受けさせることなく、それら環境における安全な保管を受け容れることで、それらの先代装置から区別される。
【0009】
ここで明らかなように、折り畳み式移動ステーション100は、消費者にとって有用で且つ望ましい特徴を有している。上述した耐久性及びサイズの改善に加えて、多くのユーザは、他のものに勝る折り畳み設計の審美性を好む。前記改善にも関わらず、図1A及び1Bに示された従来の折り畳み式移動ステーション設計は、最適なものではない。例えば、従来の折り畳み式移動ステーション100は、第1の機能的コンポーネント101を第2の機能的コンポーネント102に結合するために、標準的なドアヒンジと同様の円筒状ヒンジアッセンブリ175を使用している。図1Cに示すように、このヒンジアッセンブリ175は、比較的複雑で、且つより重要なことに、非常に労力を要する組み立て作業を必要とし、ひいては、製造コストがかかる。
【0010】
特に、従来のヒンジアッセンブル175は、第1の機能的コンポーネント101から延びるヒンジ部材176、177及び181と、第2の機能的コンポーネント102から延びるヒンジ部材178及び179とで構成される。これらのヒンジ部材175−179及び181は、各ヒンジ部材に形成された開口(図示せず)を通して延びるヒンジピン180により一緒に保持される。組み立て中に、ヒンジピン180は、ヒンジ部材175−179及び181に設けられた開口に入念に挿入されねばならないと共に、図1Cに示すように、予め組み立てられたスプリング182、輪郭ギザギザ(profile indent)部品(動的)183、輪郭ギザギザ部品(静的)184に通されねばならない。これら後者のコンポーネントは、当業者に良く知られたように、移動ステーション100を開位置又は閉位置に維持するために設けられる。最終的に、第1の機能的コンポーネント101を第2の機能的コンポーネント102に電気的接続するよう確保するために、柔軟な印刷回路又はケーブル束185をピン180の周りに手間をかけて巻かねばならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
当業者に明らかなように、上述したヒンジ設計の複雑さでは、ヒンジアッセンブルは、そのコストがひどく高く且つかさばるものとなる。例えば、前記ヒンジアッセンブリは、高精度のエレメント、多くの部品点数及び比較的長い組み立て時間を必要とし、これらは全て製造コストを高める。更に、複雑な公知のヒンジ設計は、設計者がスタイリッシュな変更を行おうとするのを妨げる。以上に鑑み、移動ステーションの組み立てが比較的簡単で且つ全体的に美しい見掛けを呈するような折り畳み式移動ステーションのための改良されたヒンジ設計を提供することが強く要望される。更に、近代的な折り畳み式移動ステーションの開発により実現される耐久性及びサイズの利益を維持するヒンジ設計を提供することも要望される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、移動電話又は他の折り畳み式電子装置のような移動ステーションのためのヒンジ設計であって、ヒンジの組み立てを簡単にし、ひいては、よりコスト効率の良い製造製品を形成する改良されたヒンジ設計を提供する。更に、この改良されたヒンジ設計は、折り畳み式移動ステーションの美しい見掛けを補うと共に、種々の内部エレメントに加えられるストレスを少なくする。移動ステーション及び他の折り畳み式電子装置は、互いに枢着結合された第1及び第2の機能的コンポーネントを備えている。本発明の多数の実施形態において、これら第1及び第2の機能的コンポーネントは、双安定部材により折り畳み可能な関係で機械的に結合される。双安定部材は、移動ステーションを折り畳み位置及び開位置へバイアスするように機能する。
【0013】
一実施形態において、双安定部材は、折り畳み位置において実質的に平坦な横断面を、そして開位置において実質的にカーブした横断面、例えば、C字型横断面を有する少なくとも1つの折り畳み可能な部分を備えている。別の実施形態では、この折り畳み可能な部分は、一般に、対向する横縁と、それに隣接配置された強化部分とを備えている。これらの強化部分間には中間領域が画成され、強化部分は、折り畳み位置ではこの中間領域に対して実質的に平面に、そして開位置ではこの中間領域に対して実質的に非平面に構成される。
【0014】
一実施形態において、双安定部材は、ポリマーラミネート、メッシュ又はスプリング金属のストリップ、ファイバー補強複合体或いはその組合せより成る弾力性基板層で、開位置に向かってバイアスされるような弾力性基板層を有するラミネート構造を備えている。このラミネート構造は、更に、折り畳み位置において弾力性基板層のバイアスに対抗するように構成された可塑変形可能な層も備えている。従って、折り畳み位置及び開位置は、可逆で且つ安定した位置である。
【0015】
他の実施形態において、双安定部材のラミネート構造は、可塑変形可能な層に隣接配置された複数のプレストレスエレメントを備え、これらプレストレスエレメントは、開位置において張力状態にあり、そして更に、折り畳み位置において張力が少なくとも部分的に緩和されるように構成される。一実施形態において、複数のプレストレスエレメントは、ラミネート構造内で実質的に軸方向に整列される。
【0016】
別の実施形態において、双安定部材のラミネート構造は、弾力性基板層に隣接配置された複数のプレストレスエレメントを備え、これらプレストレスエレメントは、折り畳み位置において張力状態にあり、そして更に、開位置において張力が少なくとも部分的に緩和されるように構成される。一実施形態において、複数のプレストレスエレメントがラミネート構造内で実質的に横方向に整列される。
【0017】
本発明の1つの態様によれば、第1の機能的コンポーネントと、第2の機能的コンポーネントと、第1の機能的コンポーネントを第2の機能的コンポーネントに電気的に接続するための連絡部材と、第1及び第2の機能的コンポーネントを開位置及び折り畳み位置にバイアスするための双安定部材とを備えた折り畳み可能な装置が提供される。双安定部材は、折り畳み位置では実質的に平坦な横断面を、そして前記開位置では実質的にC字型の即ちカーブした横断面を有する少なくとも1つの折り畳み可能な部分を画成する。
【0018】
別の実施形態によれば、本発明は、移動ステーションを製造する方法において、移動ステーションを開位置と折り畳み位置との間にバイアスするための双安定部材を用意するステップであって、双安定部材は、折り畳み位置では実質的に平坦な横断面を、そして開位置では実質的にC字型の即ちカーブした横断面を有する少なくとも1つの折り畳み可能な部分を画成するようなステップと、第1の機能的コンポーネントを双安定部材の折り畳み可能な部分に結合するステップと、第2の機能的コンポーネントを双安定部材の折り畳み可能な部分に結合するステップと、を備えた方法を包含する。移動ステーションを製造する方法は、更に、第1の機能的コンポーネントと第2の機能的コンポーネントとの間に連絡部材を電気的に接続するステップを備えてもよい。更に、この方法は、開及び閉位置において連絡部材をシールドするステップを備えている。
【0019】
本発明の実施形態のこれら及び他の特徴、態様及び効果は、添付図面を参照した以下の詳細な説明から明らかとなろう。しかしながら、添付図面は、本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範囲をそれに限定するものではないことを理解されたい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、必ずしも正しい縮尺でない添付図面を参照して、本発明を詳細に説明する。
本発明の全部ではなく幾つかの実施形態が示された添付図面を参照して、本発明を以下に詳細に説明する。実際に、本発明は、多数の異なる形態で実施できるもので、ここに述べる実施形態に限定されず、これらの実施形態は、適用できる法的要求を満足するように与えられる。全体にわたり同様のエレメントは、同じ参照番号で示されている。
【0021】
本発明の移動ステーションは、双安定構造体を使用する。これらの双安定構造体は、コイルに巻かれた状態即ち引っ込んだ状態から伸びた状態へと進むことのできる1つ以上の伸張可能なコイル型部材を備えている。従来の双安定構造体の最も簡単なものは、通常のスチールテープの巻尺である。好都合にも、テープ巻尺の観点から明らかなように、双安定構造体は、ある状態から他の状態へ進みそして逆に再びコイルに巻かれるのを何回も繰り返すことができる。適当な構造体が、デートン−ロベット(Daton-Lovett)に発行された次の米国特許に開示されている。即ち、2001年4月17日に許された米国特許第6,217,975号、及び2001年7月10日に許された米国特許第6,256,938号。これらは、両方とも、参考としてここに援用する。このような双安定構造体は、ローラチューブ・テクノロジー・リミテッド(英国)及び他の供給者から入手することができる。
【0022】
図2は、従来技術に基づく伸張可能なコイル型双安定構造体200の一例を示す。前記特許、以下の説明及び特許請求の範囲に使用される「双安定」という語は、2つの安定形状に向かって構成又はバイアスされる材料又は複合物を指す。より詳細には、従来の双安定構造体200は、伸びた形状又は状態に向かってバイアスされる材料と、この第1材料とは逆にコイル形状又は状態に向かってバイアスされる付加的な材料とで構成される。図2の双安定構造体200は、上記状態の各々に構成される部分、即ちコイル状部分210と、伸張部分220とを備えている。これらの伸張及びコイル状(又は折り畳み)位置を良好に画成することを期待して、以下の説明及び特許請求の範囲は、一般的に伸張方向を向いた軸方向と、それとは別に、その軸方向に実質的に垂直な横方向とを指す。
【0023】
伸張状態において、従来の双安定構造体200は、図2Aに示すように、カーブした半円形又は円形の横断面を有する。コイル状の状態において、従来の双安定構造体200は、図2Bに示すように、実質的に平坦な横断面を有する。図2及び2Aでは円形断面を有するとして示されているが、双安定構造体200は、良く知られたように、楕円形、カーブ状、C字型、又は他の断面構成を有することもできる。2つの状態の横断面の相違は、双安定構造体が、その伸張状態において占有し得る体積より著しく小さな体積へとコイル巻きされ即ち引っ込められるのを許す。
【0024】
上記幾何学的構成に関連した双安定特性は、適切な材料選択を経て向上させることができる。図2に示す形式の既知の双安定構造体200は、通常、テープ巻尺の場合にスプリング金属のような弾力性基板層で構成され、これは、伸張した形態に向かってバイアスされる(例えば、部材がカーブした断面をもつようにさせる状態に向かってバイアスされる)。この弾力性基板は、可塑変形可能な(即ち、可塑変形を生じることのできる)層でラミネートすることができ、これは、部材を、引っ込んだ形態(例えば、平坦な断面を有する)に向かってバイアスさせる傾向がある。従って、例えば、テープ巻尺の観点では、適切にラミネートされたテープ巻尺(例えば、可塑変形可能な層を含む)は、従来のラッチ又は巻き付けメカニズムを伴わずに、伸張形態又はコイル状形態のいずれかに留まることができる。このような用途では、可塑変形可能な層は、その伸張形態へ戻そうとするテープ巻尺の固有のバイアスに対抗し、おそらく、それを打ち消すことになる。
【0025】
多数の実施形態において、弾力性の層及び可塑変形可能な層の材料特性は、双安定構造体200の性能を向上させるように選択され又は変更されてもよい。例えば、双安定構造体200の弾性係数は、当業者に明らかなように、希望の特性(例えば、エンドストップ、ねじれ剛性、力フィードバック曲線等)を得るように、構造体200の長さ、巾及び/又は厚みにわたって変更することができる。このような設計上のカスタム化は、双安定構造体200の全体的な厚み(及び重量)を減少し、更には、双安定構造体200を伸張し又は引っ込めるのに必要な印加力を変更するのに特に有用である。種々の他の実施形態において、双安定構造体を形成するのに使用される材料は、この技術で知られたように、他の希望の特性(例えば、高いタフネス、高い耐熱変形性、等)を有するように選択されてもよい。
【0026】
一実施形態において、双安定構造体は、種々の構成のプレストレスエレメントが取り付けられるか又は埋設された熱可塑性マトリクスを有する1つ以上のポリマー複合層(例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン)で構成される弾力性の層を有する。例えば、双安定構造体の複合層は、複数のプレストレス入りガラス、炭素、アラミド又はポリマー繊維が配置された熱可塑性層を含んでもよい。これらの繊維は、双安定構造体がコイル位置及び伸張位置に向けてバイアスされるように、双安定構造体の平面において互いに異なる角度に配向することができる。例えば、1組の繊維は、一般的に軸方向に配向されてもよく、そして第2組の繊維は、希望の「双安定」作用を生じるように実質的にその横方向に配向されてもよい。以下、幾つかの形式の双安定構造体を参照して、本発明の種々の実施形態を詳細に説明する。しかしながら、本発明により実施される本発明の概念は、以上に述べた特定の双安定構造体に限定されるものではなく、実際に、この技術で通常に知られた双安定構造体も含み得ることに注意されたい。
【0027】
図3A−3Cは、本発明の多数の実施形態に基づく移動ステーション設計に前記技術を適用した一例を示す。以下の説明及び特許請求の範囲の目的上、「移動ステーション」という語は、移動電話、PDA、ページャー、計算器、ラップトップコンピュータ、又はこの技術で良く知られた他の同様の折り畳み式電子装置を指す。ここに示す実施形態によれば、移動ステーション300(移動電話のような)は、第1の機能的コンポーネント301が第2の機能的コンポーネント302に折り畳み可能な関係で結合されたものを備えている。従って、移動ステーション300は、図3A及び3Bに示す折り畳み位置と、図3Cに示す開位置とを得るように構成することができる。本発明の多数の実施形態において、第1の機能的コンポーネント301は、双安定部材310を経て第2の機能的コンポーネント302に結合される。本発明の多数の実施形態による双安定部材310の形状及び機能を以下に詳細に説明する。
【0028】
図3Cは、本発明の一実施形態に基づく「開いた」移動ステーション300を示している。この開位置において、第1及び第2の機能的コンポーネント301、302は、操作角度αを定義するように結合される。特定の用途に基づき、この操作角度αは、著しく変化し得る。例えば、移動電話の用途では、操作角度αは、150から180度でよいが、他の用途(例えば、ラップトップコンピュータ)では、好ましい操作角度αは、それより著しく小さくてもよい。
【0029】
ここに示す実施形態では、移動ステーション300の第1及び第2の機能的コンポーネント301、302は、各々の第1及び第2の内面303、304を備えている。本発明の種々の実施形態では、複数の比較的繊細な操作エレメント(例えば、ディスプレイ350、キーパッド360、スピーカポート354、マイクロホンポート355、等)が第1及び第2の内面303、304上に又はそれと一体的に配置される。従って、第1及び第2の内面303、304は、折り畳み位置(図3A、3Bに示す)において互いに隣接配置されるので、複数の操作素子は、在外物体との潜在的なダメージ衝撃又は接触から保護される。図3Cは、第1又は第2の機能的コンポーネント301、302に隣接する幾つかの操作エレメントを示しているが、本発明は、ここに示す構成に限定されず、そして実際に、この技術で知られたように、種々のエレメントを第1又は第2の機能的コンポーネント301、302に隣接配置できることに注意するのが重要である。
【0030】
上述したように、本発明の一実施形態によれば、第1及び第2の機能的コンポーネント301、302は、双安定部材310により互いに折り畳み可能な関係で結合される。好都合にも、本発明の種々の実施形態は、コイル状態又は伸張状態を維持しようとする双安定構造体の固有の傾向を、移動ステーション300を各々開状態又は折り畳み状態に向けてバイアスする手段として使用する。一実施形態において、双安定部材310は、移動ステーション300を折り畳み位置(図3A及び3Bに示す)又は開位置(図3Cに示す)に向けてバイアスするように働く。従って、移動ステーション300を開いたり閉じたりするときには、折り畳み位置又は開位置に留まろうとする双安定部材310の固有の傾向に打ち勝つように、ユーザが開く力又は閉じる力を加えねばならない。使用しない期間中に偶発的に開いたり、又は使用する期間中に偶発的に閉じたりするのを保護するために、この機能が特に望ましい。
【0031】
ここに示す実施形態では、双安定部材310は、第1及び第2の機能的コンポーネント301、302をそれらの各々の操作エレメント(例えば、LCDディスプレイ350、キーパッド360、等)と一緒に包囲し且つ保護するようにも機能する。しかしながら、他の種々の実施形態では、このようにする必要がない。というのは、従来のハウジング又は1組のハウジング(図示せず)内に双安定部材を設けることができ、双安定部材がバイアス機能を果たし、そしてハウジングが上記の保護包囲機能を果たし得るからである。
【0032】
図4及び5は、本発明の種々の実施形態に基づく双安定部材410を示す。特に、図4は、双安定部材410を開位置で示し、そして図5は、双安定部材410を折り畳み位置で示している。一実施形態によれば、双安定部材410は、折り畳み可能な部分415により互いに軸方向に離間された第1及び第2の部分411、412を備えている。これら第1及び第2の部分411、412は、第1及び第2の機能的コンポーネント(図3A−3Cに示す)を支持し、そしてそれらに接続されるよう構成される。開位置と折り畳み位置との間を移行するときには、双安定部材410は、第2の部分412が図5に示すように第1の部分411の上に配置されるように折り畳み軸Fの付近で折り畳むことができる。或いは又、双安定部材410は、第1部分411を第2部分412の上に折り畳むように、容易に可逆である。本発明の種々の実施形態では、双安定部材410は、上述した双安定材料で完全に構成されてもよいし、或いはこのような材料で部分的にのみ構成され(例えば、1つ以上の折り畳み可能な部分)そして残りが従来の材料で構成されてもよい。例えば、一実施形態では、第1及び第2の部分411、412が従来の材料で構成され、一方、折り畳み可能な部分415が双安定材料で構成されてもよい。
【0033】
2つの実質的に等しい半部分に折り畳まれるとして示されているが、本発明による双安定部材410は、この構成に限定されない。一実施形態において、折り畳み軸Fは、折り畳み可能な部分415内で中心以外に位置してもよく、従って、第1部分411(又は第2部分412)をそれに対向する第2部分412(又は第1部分411)より大きくしてもよい。別の実施形態では、折り畳み可能な部分415それ自体(ひいては、折り畳み軸F)が、図示されたように中心に位置しなくてもよく、従って、第1及び第2の部分411、412が異なるサイズをもつという同様の効果を得ることができる。別の実施形態では、当業者に明らかなように、多数の折り畳み可能な部分415を設けて、三重折り畳み(2つの折り畳み可能な部分)、四重折り畳み(3つの折り畳み可能な部分)、又は他の同様の多重折り畳み構成とすることもできる。
【0034】
図4に示す実施形態に戻ると、折り畳み可能な部分415は、対向する横縁418により境界定めされている。一実施形態において、これら横縁418の付近に強化部分420が形成され、それらの間に中間領域423が画成される。開位置に構成されるときには、強化部材420は、中間領域423から離れるようにカーブされ、図4Aに示す実質的に非平面の横断面を形成する。強化部材420は、意図されない方向(例えば、意図された折り畳み方向とは逆の方向)折り畳みに対して双安定部材410安定化すると共に、更に、双安定材料の特徴であるカーブした横断面を与えるように機能する。特に、折り畳み可能な部分415の横断面(強化部材420及び中間領域423により画成される)は、図示されたように実質的にC字型でもよいし、一般的にカーブされてもよいし、或いは又当業者に明らかなように、半円形又はおそらく円形でもよい。
【0035】
折り畳み位置(図5に示す)に位置されるときには、折り畳み可能な部分415を構成する双安定材料は、強化部材420を外方に回転させ、実質的に平面即ち平坦な横断面(強化部材420と中間領域423との間に画成される)が、図5Aに示すように、形成される。一実施形態において、強化部材420は、第1及び第2の部分411、412を分離するために複数のノッチ407により軸方向に境界定めされ、これにより、双安定部材410が開位置と折り畳み位置との間で移行するときに、第1及び第2の部分411、412に印加されるストレス及び曲率を減少する。他の実施形態では、これらノッチ407は、任意に除去することができ、従って、強化部材420の曲率が軸方向に第1及び第2部分へと延び、第1及び第2の機能的コンポーネント(図示せず)の少なくとも一部分を保護するように構成される。
【0036】
上記で説明されそして図6、6A及び6Bに示すように、種々の実施形態による双安定部材510、610(又はその一部分)は、種々の双安定材料で構成されてもよい。一実施形態において、双安定部材510は、開位置に向かってバイアスされる弾力性基板層525(例えば、カーブした横断面)と、折り畳み位置において弾力性基板層のバイアスに対抗するように構成された塑性変形可能な層527(例えば、実質的に平坦な横断面を促進する)とで構成される。種々の実施形態において、弾力性基板525は、プレストレスポリマー材料(以下に述べる複合構造体のような)、スプリングスチール又は他の同様の弾性金属、或いはベリリウム銅のような非鉄合金で構成できる(が、後者の材料は、環境的に問題があるので、一般的に望ましくない)。例えば、一実施形態では、弾力性基板525は、厚みが約0.05−0.5mmのスプリングスチールの1つ以上の層が柔軟な樹脂層で離間されたものを含んでもよい。他の実施形態では、弾力性基板525(又はその一部分)は、ポリピロル材料のような電気的に敏感な材料で構成されてもよい。後者の実施形態では、弾力性基板525は、当業者に良く知られたように、電流又は電界を印加することにより開位置又は折り畳み位置に向かってバイアスされてもよい。
【0037】
多数の実施形態において、塑性変形可能な層527は、周囲温度において可塑変形を生じ得るポリマー又は他の材料で構成されてもよい。適当な材料は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド(例えば、ナイロン)、ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、又は他の同様の材料を含んでもよい。或いは又、他の実施形態では、ゴムやシリコーンのような熱硬化性材料を使用してもよい。
【0038】
当業者に明らかなように、双安定部材510が開位置から折り畳み位置へ移動するときには、塑性変形可能な層527は、折り畳み位置の方でバイアス状態となるように塑性変形を受ける。従って、折り畳み位置では、塑性変形可能な層527は、折り畳み中に弾力性基板525に蓄積されたポテンシャルエネルギーに対抗し、又はそれを打ち消すこともある。これは、双安定部材510が比較的安定した折り畳み位置をもつようにさせる。種々の実施形態において、折り畳み位置を更に安定化するために、付加的なラッチ、ロック、又は他のガイド面(図示せず)を設けてもよい。種々の他の実施形態において、この技術で良く知られたように、希望の開位置を安定化するために、強化リブ、支持体、又はロックメカニズム(図示せず)を設けてもよい。
【0039】
別の実施形態では、図6Bに示すように、双安定部材610(又はその一部分)は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリウレタン、等の熱可塑性樹脂628と、この樹脂628内に形成されるか又はその付近にラミネートされた複数のプレストレスエレメント629、629’とを含む少なくとも1つの複合層625で構成されてもよい。樹脂(又はマトリクス)628は、プレストレスエレメント629、629’を互いに所与の位置に懸架する。
【0040】
プレストレスエレメント629、629’は、プレストレス入りガラス、炭素、アラミド、グラファイト、ゴム、金属又はこの技術で知られた他の同様の材料の繊維を含んでもよい。種々の実施形態において、プレストレスエレメント629、629’は、種々の軸を横切る特定の材料特性を有する伸縮性弾力層を形成するように構成される。一実施形態において、複合層625は、複数の軸方向に整列されたプレストレスエレメント629であって、双安定部材610が開位置にあるときに張力状態のもとに構成され、更に、双安定部材610が折り畳み位置にあるときにその張力が少なくとも部分的に緩和されるように構成されたプレストレスエレメント629を含んでもよい。一実施形態において、複合層625は、複数の横方向に整列されたプレストレスエレメント629’であって、折り畳み位置では張力状態のもとにあり、更に、開位置ではその張力が少なくとも部分的に緩和されるように構成されたプレストレスエレメント629’を含んでもよい。更に、このような繊維を互いに90度の角度に配向することは必要でない。種々の実施形態では、実質的に軸方向のプレストレスエレメント629と、実質的に横方向のプレストレスエレメント629’は、図示されたように、単一の複合層625に設けられてもよいし、或いは又、この技術で知られたように、多数の複合層(図示せず)に設けられてもよい。多数の層の用途では、隣接層の樹脂又はマトリクスは、この技術で知られたように、特定の材料特性を得るように異なる弾力性スチフネスを有してもよい。更に、用途に応じて、このような層は、プレストレスエレメントをもたないフィラー層(図示せず)により分離されてもよい。最終的に、設けられたプレストレスエレメント629、629’の各バイアスに対抗するか又はそれを打ち消すために、1つ以上の塑性変形可能な層627を1つ以上の複合層625にラミネートしてもよい。或いは又、他の実施形態では、この技術で良く知られたように、周囲温度において塑性変形を生じ得る樹脂628又はフィラー材料を単に選択するだけで、塑性変形可能な層627を省略してもよい。
【0041】
図7は、本発明の一実施形態による移動ステーション700の分解図である。ここに示す実施形態によれば、移動ステーション700は、第1の機能的コンポーネント701及び第2の機能的コンポーネント702を支持するための双安定部材710を備えている。第1及び第2の機能的コンポーネント701、702は、この技術で知られた種々の固定具を経て双安定部材710に結合されてもよい。例えば、図示されたように、双安定部材710に設けられた穴716を経て第1及び第2の機能的コンポーネント701、702にスクリュー709がセットされてもよい。或いは又、接着剤、リベット、クリップ、スタッド(図示せず)等の他の固定具を使用してもよい。
【0042】
一実施形態において、第1の機能的コンポーネント701は、連絡部材730により第2の機能的コンポーネント702に電気的に接続される。種々の実施形態において、連絡部材730は、第1の機能的コンポーネント701と第2の機能的コンポーネント702を電気的に接続する。従って、連絡部材730は、この技術で一般に知られた柔軟な電気的コネクタ(図示された)で構成されてもよい。しかしながら、他の実施形態では、連絡部材730は、受信又は送信アンテナを形成し又は種々の内部電子回路を容易にするといった他の特定のタスクを担ってもよい。これらの実施形態において、連絡部材730は、柔軟な印刷回路(FPC)に印刷された導電性リードを含んでもよいし、或いは光送信、誘導性近フィールド送信、又はショートレンジ送信、例えば、ブルーツース、RFID、802.11等のための導体又は他の装置を含んでもよい。
【0043】
ここに示す実施形態では、切断、磨耗、打撃、鋭い曲げ等に対して連絡部材730をシールドするために、保護部材740が設けられる。この保護部材740は、種々の形状を含んでもよく、又、種々の材料で構成されてもよい。一実施形態において、図7に示すように、保護部材740は、堅牢なポリマー(例えば、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ABS、等)で構成され、これは、複数の相互接続されたウェッジ状セグメント741に分割され、移動ステーション700が、連絡部材730にダメージを与えない折り畳み半径R(図3Bに示す)を維持するように強制される。例えば、一実施形態では、保護部材740は、8から10mmの折り畳み半径Rを維持するように設計される。或いは又、図1A−1Cに示す従来の設計では、電気ケーブル束185は、細いピン180の周りにぴったり巻かれ、狭いチャンネル(6mm程度)に通された。従って、従来の電気ケーブル束185は、ストレスや磨耗を受け、切断のおそれがあることが分かっている。
【0044】
他の実施形態では、保護部材740は、シリコーン、ゴム、熱可塑性エラストマー、熱可塑性ウレタン、又はその組合せで作られた空気充填成形メンブレーン(図示せず)で構成されてもよい。他の実施形態では、保護部材740は、プラスチック又は他の同様の材料で作られたオープンセルフォーム(図示せず)で構成されてもよい。当業者に明らかなように、保護部材740の正確な構成は、選択された材料及び使用可能なスペースに基づいて用途ごとに変化し得る。
【0045】
当業者に明らかなように、本発明は、多数の利益をもたらす。例えば、本発明は、図7に示す双安定部材の平面に沿ってx−y平面が定義されるとして、z軸組み立てを可能にすることにより、製造コストを著しく制限する。本発明の種々の実施形態によれば、移動ステーション700を形成するように結合されるコンポーネント(例えば、双安定部材710、連絡部材730、保護部材740、第1及び第2の機能的コンポーネント701、702、等)は、組み立て中に単に上下に積み重ねることができる。この比較的簡単なプロセスは、従来技術に基づいてヒンジアッセンブリを形成するのに必要とされる複雑な整列、通し、及びケーブル束巻き付け操作と著しく対照的である。従って、合理化された自動製造プロセスを使用して、よりコスト効率の良い製造品を提供することができる。更に、本発明の上述した実施形態は、必要なヒンジコンポーネントの個数及び複雑さを減少し、従って、コストを更に節減する。最終的に、双安定型のヒンジを組み込んだ本発明の種々の実施形態は、従来技術の比較的かさばる設計ではなく、流線型の、独特のそして審美的に満足な見掛けを与える。
【0046】
前記実施形態は、電子装置の部品の機械的及び電気的な相互接続を例示するものである。当業者が、ここに図示して説明した本発明を理解する上で、電子装置の電子的特徴の細部は必要がないであろう。例えば、電力を接続しそしてケーブルをインターフェイスするのに使用されるインターフェイス708、キーパッド760又は他のそのようなユーザインターフェイス、或いは情報を表示するためのディスプレイ750が存在する。
【0047】
図8及び8Aに示す更に別の実施形態では、連絡部材830(例えば、柔軟な印刷回路)が双安定部材810の折り畳み可能な部分815内に配置され又はそれと一体的にされるので、保護部材は完全に省略されてもよい。従って、双安定部材810は、連絡部材830を少なくとも部分的に包囲し、従って、部材830を、ダメージを生じ得る物体との接触から保護する。一実施形態では、連絡部材830は、この技術で良く知られたように、屈曲部材(例えば、双安定部材810の折り畳み可能な部分815)内の固有の「中性屈曲線」付近に配置される。図8Aの断面図に示すように、双安定部材810の折り畳み可能な部分815は、第1表面813及び第2表面814を含む。「中性屈曲線」812は、上述されそしてこの技術で知られたように、第1表面813と第2表面814との間で折り畳み可能な部分815内に定義された理論的な軸又は平面である。中性屈曲線は、双安定部材810が折り畳まれるときに伸張も圧縮もされない屈曲可能な材料の部分を表わす。従って、図示されたように、双安定部材810の折り畳み可能な部分815の中性屈曲線812に実質的に隣接して連絡部材830を配置することにより、連絡部材830の伸張や圧縮を減少することができる。
【0048】
以上、本発明の幾つかの実施形態を詳細に説明したが、当業者であれば、ここに開示した本発明の教示の範囲内で多数の変更や他の実施形態が明らかであろうから、本発明は、上述した実施形態に限定されないことを理解されたい。又、特定の用語を使用して説明したが、それらは、一般的に且つ説明上使用されたもので、本発明を何ら限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1A】従来技術による従来の折り畳み可能な移動ステーション(即ち移動電話)の一例を示す図で、移動ステーションを開状態で示す斜視図である。
【図1B】移動ステーションを閉状態で示す斜視図である。
【図1C】図1A及び1Bに示す従来の円筒状ヒンジアッセンブリの断面図である。
【図2】従来技術による双安定構造体を示す図で、その双安定構造体の斜視図である。
【図2A】図2の既知の双安定構造体の2A−2A線に沿った断面図である。
【図2B】図2の既知の双安定構造体の2B−2B線に沿った断面図である。
【図3A】本発明の一実施形態による移動ステーションの斜視図で、移動ステーションを折り畳み位置で示す図である。
【図3B】本発明の一実施形態による移動ステーションの側面図である。
【図3C】本発明の一実施形態による移動ステーションを開位置で示す図である。
【図4】本発明の一実施形態による双安定部材を開位置で示す図である。
【図4A】図4の双安定部材の4A−4A線に沿った断面図である。
【図5】本発明の一実施形態による双安定部材を折り畳み位置で示す図である。
【図5A】図5の双安定部材の5A−5A線に沿った断面図である。
【図6】本発明の2つの付加的な実施形態による双安定部材を示す図である。
【図6A】一実施形態による図6の双安定部材の6AB−6AB線に沿った断面図である。
【図6B】別の実施形態による図6の双安定部材の6AB−6AB線に沿った断面図である。
【図7】本発明の一実施形態による移動ステーションの分解図である。
【図8】本発明の別の実施形態による移動ステーションの分解図である。
【図8A】図8の移動ステーションの8A−8A線に沿った断面図である。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動ステーション用の双安定部材において、
第1部分と、
第2部分と、
前記第1部分を前記第2部分に折り畳み可能に結合するように構成された双安定材料より成る少なくとも1つの折り畳み可能な部分であって、該少なくとも1つの折り畳み可能な部分は、更に、移動ステーションを折り畳んだ位置と開いた位置との間にバイアスするように構成され、且つ該少なくとも1つの折り畳み可能な部分は、前記折り畳んだ位置では実質的に平坦な横断面を、そして前記開いた位置では実質的にC字型の横断面を含むような折り畳み可能な部分と、
を備えた双安定部材。
【請求項2】
前記双安定部材の前記折り畳み可能な部分は、更に、
対向する横縁及びそれに隣接配置された強化部分と、
前記強化部分間に画成された中間領域と、
を備え、前記強化部分は、前記折り畳んだ位置では前記中間領域と実質的に平面に構成されると共に、前記開いた位置では前記中間領域と実質的に非平面に構成される、請求項1に記載の双安定部材。
【請求項3】
前記双安定部材の前記折り畳み可能な部分は、更に、ラミネート構造体を備え、該ラミネート構造体は、
前記開いた位置に向かってバイアスされる弾力性基板層と、
前記折り畳んだ位置において前記弾力性基板層のバイアスに対抗するように構成された可塑変形可能な層と、
を備え、前記折り畳んだ位置及び前記開いた位置は、可逆性で且つ安定した位置である、請求項1に記載の双安定部材。
【請求項4】
前記可塑変形可能な層はポリマーで構成される、請求項3に記載の双安定部材。
【請求項5】
前記弾力性基板層は金属のストリップで構成される、請求項3に記載の双安定部材。
【請求項6】
前記ラミネート構造体は、更に、前記可塑変形可能な層に隣接配置された複数のプレストレスエレメントを備え、このプレストレスエレメントは、前記開いた位置では張力状態にあり、この張力は、前記折り畳んだ位置では少なくとも部分的に緩和される、請求項3に記載の双安定部材。
【請求項7】
前記複数のプレストレスエレメントは、前記ラミネート構造体において実質的に軸方向に整列される、請求項6に記載の双安定部材。
【請求項8】
前記ラミネート構造体は、更に、前記弾力性基板層に隣接配置された複数のプレストレスエレメントを備え、このプレストレスエレメントは、前記折り畳んだ位置では張力状態にあり、この張力は、前記折り畳んだ位置では少なくとも部分的に緩和される、請求項3に記載の双安定部材。
【請求項9】
前記複数のプレストレスエレメントは、前記ラミネート構造体において実質的に横方向に整列される、請求項8に記載の双安定部材。
【請求項10】
前記第1部分に結合された第1の機能的コンポーネントと、
前記第2部分に結合された第2の機能的コンポーネントであって、これら第1及び第2の機能的コンポーネントが前記少なくとも1つの折り畳み可能な部分によって互いに折り畳み可能に結合されるような第2の機能的コンポーネントと、
前記第1の機能的コンポーネントを前記第2の機能的コンポーネントに電気的に接続するために前記少なくとも1つの折り畳み可能な部分に隣接配置された連絡部材と、
を更に備えた請求項1に記載の双安定部材。
【請求項11】
前記第1の機能的コンポーネントは、前記折り畳んだ位置では前記第2の機能的コンポーネントに実質的に隣接して配置される、請求項10に記載の双安定部材。
【請求項12】
前記第1の機能的コンポーネントは、前記第2の機能的コンポーネントに対して、前記開いた位置において操作角度を定義するように構成され、そして
前記操作角度は実質的に90度から180度である、
請求項10に記載の双安定部材。
【請求項13】
前記第1の機能的コンポーネントは、前記第2の機能的コンポーネントに対して、前記開いた位置において操作角度を定義するように構成され、そして
前記操作角度は実質的に150度から180度である、
請求項10に記載の双安定部材。
【請求項14】
前記開いた位置において前記連絡部材を保護するために、前記第1の機能的コンポーネントと前記第2の機能的コンポーネントとの間に配置された保護部材を更に備えた、請求項10に記載の双安定部材。
【請求項15】
前記保護部材は最大操作角度を定義する、請求項14に記載の双安定部材。
【請求項16】
前記折り畳んだ位置において前記連絡部材を保護するために、前記第1の機能的コンポーネントと前記第2の機能的コンポーネントとの間に配置された保護部材を更に備えた、請求項10に記載の双安定部材。
【請求項17】
前記保護部材は最小折り畳み半径を定義する、請求項14に記載の双安定部材。
【請求項18】
第1の機能的コンポーネントと、
第2の機能的コンポーネントと、
前記第1の機能的コンポーネントを前記第2の機能的コンポーネントに電気的に接続するための連絡部材と、
前記第1及び第2の機能的コンポーネントを開位置及び折り畳んだ位置にバイアスするための双安定部材であって、前記折り畳んだ位置において実質的に平坦な横断面をそして前記開位置において実質的にカーブした横断面を有する少なくとも1つの折り畳み可能な部分を画成する双安定部材と、
を備えた折り畳み可能な装置。
【請求項19】
前記双安定部材の前記折り畳み可能な部分は、弾力性金属のストリップで構成される、請求項18に記載の折り畳み可能な装置。
【請求項20】
前記連絡部材はアンテナを更に備えた、請求項18に記載の折り畳み可能な装置。
【請求項21】
前記連絡部材は前記双安定部材に隣接配置される、請求項18に記載の折り畳み可能な装置。
【請求項22】
前記連絡部材は前記双安定部材内に少なくとも部分的に包囲される、請求項18に記載の折り畳み可能な装置。
【請求項23】
前記連絡部材は、前記双安定部材の前記折り畳み可能な部分内に少なくとも部分的に包囲される、請求項18に記載の折り畳み可能な装置。
【請求項24】
前記連絡部材は、前記双安定部材の前記折り畳み可能な部分内に定義された中性屈曲線に隣接配置される、請求項23に記載の折り畳み可能な装置。
【請求項25】
前記第1の機能的コンポーネントは、前記折り畳んだ位置において前記第2の機能的コンポーネントに実質的に隣接配置される、請求項18に記載の折り畳み可能な装置。
【請求項26】
前記第1の機能的コンポーネントは、前記第2の機能的エレメントに対し、前記開位置において操作角度を定義するように構成され、そして
前記操作角度は、実質的に90度から180度である、
請求項18に記載の折り畳み可能な装置。
【請求項27】
前記操作角度は実質的に150から180度である、請求項26に記載の折り畳み可能な装置。
【請求項28】
前記開位置において前記連絡部材を保護するために前記第1の機能的コンポーネントと前記第2の機能的コンポーネントとの間に配置された保護部材を更に備えた、請求項18に記載の折り畳み可能な装置。
【請求項29】
前記保護部材は最大操作角度を定義する、請求項28に記載の折り畳み可能な装置。
【請求項30】
前記折り畳んだ位置において前記連絡部材をシールドするために前記第1の機能的コンポーネントと前記第2の機能的コンポーネントとの間に配置された保護部材を更に備えた、請求項18に記載の折り畳み可能な装置。
【請求項31】
前記保護部材は最小折り畳み半径を定義する、請求項30に記載の折り畳み可能な装置。
【請求項32】
移動ステーションを製造する方法において、
前記移動ステーションを開位置と折り畳んだ位置との間にバイアスするための双安定部材を用意するステップであって、該双安定部材は、前記折り畳んだ位置では実質的に平坦な横断面をそして前記開位置では実質的にC字型の横断面を有する少なくとも1つの折り畳み可能な部分を定義するものであるステップと、
第1の機能的コンポーネントを前記双安定部材の前記折り畳み可能な部分に結合するステップと、
第2の機能的コンポーネントを前記双安定部材の前記折り畳み可能な部分に結合するステップと、
を備えた方法。
【請求項33】
前記第1の機能的コンポーネントと前記第2の機能的コンポーネントとの間に連絡部材を電気的に接続するステップを更に備えた、請求項32に記載の移動ステーションを製造する方法。
【請求項34】
前記開位置及び閉位置において保護部材で前記連絡部材をシールドするステップを更に備えた、請求項33に記載の移動ステーションを製造する方法。

【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−525482(P2006−525482A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−513107(P2006−513107)
【出願日】平成16年4月16日(2004.4.16)
【国際出願番号】PCT/US2004/011946
【国際公開番号】WO2004/095717
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(398012616)ノキア コーポレイション (1,359)
【Fターム(参考)】