説明

反射シート

【課題】反射性能に優れ、反射方向を制御しながら、モアレの出ない反射シートを提供すること。
【解決手段】本発明の反射シートは、少なくとも表層部及び内層部の2層から構成される反射シートであって、前記表層部がポリプロピレン樹脂(A)80体積%以上を含み、最大厚みが2μm〜200μmであり、前記内層部がポリプロピレン樹脂(A)とポリプロピレン樹脂に対して非相溶性である少なくとも1種の樹脂(B)とを含み、前記内層部の相分離構造が、ポリプロピレン樹脂(A)で構成された海相と前記樹脂(B)の島相とからなる海−島構造であって、坪量が30〜500(g/m2)であり、密度が0.35〜0.85(g/cm3)であり、前記表層部が、不均一な非平面スペックルによって特徴づけられた微細な3次元構造面を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は反射シートに関し、特に液晶表示装置のバックライトなどに用いられる反射材に適した反射シートに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶はそれ自身が発光しないため、液晶を表示装置として使用するためには光源が必要となる。液晶表示装置は、液晶、配向板、電極、偏光板などからなる液晶パネル、及び該パネルに光を照射する装置、一般にはバックライトと呼ばれる照明装置等からなり、ランプの光を画面に向けて効率よく反射させる等のために反射シートを用いている。
【0003】
液晶表示装置のバックライトは一般にエッジライト型バックライトと直下型バックライトの2種類に大きく分けられる。
【0004】
エッジライト型バックライトは、携帯電話や携帯情報端末などに用いられる小型の液晶表示装置に使用されることが多いバックライトであって、発光ダイオードや冷陰極線管などの光源と、アクリル樹脂などの透明な樹脂を楔形に成形した導光板と、液晶パネルとは反対側の導光板の側面に配置される反射材とから構成されることが多い。エッジライト型バックライトでは、導光板の端面に配置された発光ダイオードや冷陰極線管などの光源からの光が導光板の端面から入射される。導光板に入射した光は導光板を通過する過程で導光板の側面から導光板の外に出る。導光板の液晶パネル側の側面から外に出た光は液晶パネルを照明するが、導光板の液晶パネル側とは反対側の側面から外に出た光は液晶パネルを照明することができないため、導光板の液晶パネル側とは反対側の側面には光を反射する反射シートを設置して、導光板の側面から外に出る光を液晶パネル側に反射させて、光源の光を有効に液晶パネルに照射させることが通常行われている。
【0005】
直下型バックライトは、液晶パネルの表示面とは反対側に冷陰極線管などの光源ランプを複数本並べて設置したバックライトであり、大型テレビジョンなどに使用される大画面の液晶表示装置に用いられる。大画面の液晶表示装置では、エッジライト型バックライトでは輝度を満足する水準にまで上げようとすると光源ランプの明るさに限界があるため、光源ランプを複数使用する直下型バックライトが通常使用されている。光源ランプの光は液晶側とは反対側にも照射されるため、光源ランプの液晶側とは反対側に反射シートを設けることによって光源の光を有効に液晶パネルに照射させることが、直下型バックライトでは一般に行われている。
【0006】
最近ではテレビジョンだけでなくパソコンでも動画を表示させることが多くなり、液晶表示装置はより明るいものが求められている。このため、液晶表示装置に使用されるバックライトでは、反射率が90%以上の反射シートが使用されることが多く、より高い反射性能を求めてシートの反射率のアップ、折り曲げ加工による形状の工夫等の開発が進められている。また液晶表示装置をより明るくするために、冷陰極線管などの光源の出力は増加する傾向にあり、そのために使用中のバックライトの温度はより高温になる傾向が見られる。このため反射シートに使用する樹脂には、液晶物質の耐熱温度に近い概ね80℃の耐熱性が必要となっている。このため液晶表示装置のバックライトに使用される反射シートには、シートに成形しやすく耐熱性にも優れた樹脂組成物の反射シートが求められている。さらに、大型テレビジョンなどの大画面の液晶表示装置に使用されるバックライトでは、大きい面積の反射シートが長期間にわたって強い光に照らされることになる。このため反射シートには、光源の光による変色や変質が少ないことや、温度上昇や吸湿による反りなどの変形が長期間にわたって起こりにくい反射シートが求められている。
【0007】
また、最近では大画面の液晶表示装置の直下型バックライトにおいても、冷陰極線管に替わって多数の発光ダイオードを碁盤の目の如く一面に並べたバックライトも用いられるようになってきた。このケースでは個々の発光ダイオードの輝度が高いために、ダイオードのランプイメージが表示部に残り易いという問題があった。そのため発光ダイオードの直上の拡散板などに一度光を反射させて、その反射光を再度反射シートで反射させる、あるいは発光ダイオードと拡散板の距離を大きくとるなどの工夫を施すことで、このランプイメージを出来るだけ消すような対応がなされている。
【0008】
内部に孔や気泡を含む樹脂のシートは、光を照射すると光が反射されて白く見えたり、真珠様の光沢を示したりすることはよく知られている。内部に孔や気泡を含む樹脂が光をよく反射する理由は次のように考えられる。樹脂の屈折率は概ね1.4〜1.6で、空気の屈折率は約1であるため、樹脂と空気の屈折率の差によって生じる光の反射率は1回の反射あたりでは約4%にすぎない。しかし内部に多数の孔や気泡を含む樹脂のシートでは、内部に樹脂と空気の界面が多数存在するため、シートに照射された光はシートの内部で多数回反射される。この結果、内部に多数の孔や気泡を含む樹脂のシートでは、照射された光はシートの内部で大部分が反射され、その結果、シート全体としての反射率が大きくなると考えられる。
【0009】
また、樹脂の内部に含まれる多数の孔や気泡は、各々の形状や大きさが異なる場合が多いため、孔や気泡の界面で反射される光は一つの方向にまとまって反射されることは少なく、反射する光の方向は各々の孔や気泡ごとに異なる。このため、内部に多数の孔や気泡を含む樹脂のシートに光を照射した場合の反射は、入射した光があらゆる方向に反射する拡散反射となりやすい。内部に孔や気泡を含む樹脂組成物のシートとしては、(1)無機物の粉末を添加した樹脂を延伸することによって、樹脂と無機物の粉末との界面を開裂させて、樹脂の内部に孔を形成させたものや、(2)樹脂に加圧した不活性ガスを溶解させた後、減圧して発泡させ、樹脂の内部に気泡を形成させたものが知られている。(1)の樹脂シートとしては、例えば、特許文献1に、微粒子炭酸カルシウムを5〜30wt%含有させたポリエチレンテレフタレート樹脂を溶融押し出し二軸延伸して、密度から計算されたボイド率が7〜30%である白色ポリエチレンテレフタレートのシートが開示されている。また、(2)の樹脂シートとしては、例えば、特許文献2に、熱可塑性ポリエステルに炭酸ガスなどの不活性ガスを加圧雰囲気下で溶解させた後、常圧下で加熱して発泡させた、内部に微細気泡を含む光反射シートが開示されている。一方、拡散反射に対して、反射面に対して光が入射する角度と反射する角度とが対称である反射は正反射とよばれ、その反射面は鏡面状を呈する。樹脂シートで正反射するものとしては、(3)ポリエステル樹脂のシートの表面を蒸着などの方法によって銀などの反射率が大きい物質で被覆したものが知られている。この例の反射シートは、鏡面状の正反射を起こすシートであるが、大型テレビジョンなどの大画面液晶表示装置に使用される直下型バックライトでは、複数本が配置される光源ランプの光が干渉して液晶画面の明るさに斑が生じやすくなることが知られている。このために、直下型バックライトには拡散反射を起こす反射シートが使用されることが多い。
【0010】
無機物粒子を添加しないで内部に孔を形成させた白色樹脂シートとしては、特許文献3に、ポリプロピレン65重量%〜93重量%と非相溶性樹脂5重量%〜20重量%とを含む白色二軸延伸ポリオレフィンシートが開示されているが、これは印刷用紙やラベルなどに使用される白色シートとして使用することはできるが、液晶表示装置のバックライトなどに使用することができるような高い反射率を得ることは難しい。
【0011】
また、特許文献4には、ポリプロピレン樹脂50体積%以上80体積%未満と、ポリプロピレン樹脂の延伸が可能な温度でポリプロピレン樹脂と相分離する樹脂20体積%以上50体積%未満とを含む樹脂組成物からなる反射シートが開示されている。これには通常の簡便な樹脂延伸製造装置で、無機粉末を含まなくても90%以上の高い反射率を有する反射シートが提供されている。
【0012】
前記の従来の反射シートは、通常平板状で使用されているが、反射効率を上げる目的で、機械的な折り曲げ加工、カット−折り曲げ加工、あるいは2次元の曲面形状に加工されて使用されるケースも多い。しかしながら、より反射性能を向上させるためには、バックライトの使用形態に合わせて反射シートを最適な形状に加工することも提案されている。例えば、発光ダイオード(LED)バックライト方式の場合、反射効率を向上させるために、碁盤の目の如く多数配置されたLEDの配置に合わせて、LED直下を凹状に折り曲げ加工した反射シートも提案されている。形状を工夫し、反射方向を制御することで、反射効率が上がり、LEDなどのランプイメージが消えやすくなれば、ランプと拡散板までの距離を短くすることも可能になり、より薄いバックライトユニットを形成することも出来る。一方、エッジライト型バックライトは、モバイルタイプなどの小型の液晶表示装置に使用されることから、表示装置自体を薄くすることが特に求められ、シート全体を3次元加工した形状では厚くなることから好ましくない。従ってシート表面に微細な3次元構造面を設けることで、反射方向を制御する方法が提案されている。例えば、特許文献5には、導光板の裏面から斜め方向へ出射された光を、表面に金属薄膜が形成された凹凸パターンを有する光学シートに反射させて、導光板の裏面へ垂直に再入射させる光学シートが提案されている。反射方向を制御するための微細な賦形を行うには、例えば、UV硬化樹脂を使用して、基材面にこの樹脂をUV賦形する方法がある。しかしこれは煩雑であることから高価になる上に、基材面との接着性などの問題がある。容易で安価な方法として、シートを熱変形温度以上まで加熱したのち、賦形用金型によるプレス圧縮成形あるいは賦形型を有するロールによるロール圧縮成型する熱圧縮成形の方法がある。しかるに、従来の無機材料とポリプロピレンからなるシートを2軸延伸した反射シートは熱成形温度での熱収縮が大きいために、所望の形状の成形品を得ることが難しい。また圧縮成形することでシートの薄肉化、あるいは延伸によって形成された孔あるいは気泡がつぶれることによって反射性能が低下する等の問題がある。またポリエチレンテレフタレートの2軸延伸、あるいはその微細発泡によって得られた反射シートもポリエチレンテレフタレート樹脂の特性により、軟化温度まで温度を上げると、大きな変形を起こすことなどの問題から圧縮成形による表面微細加工は難しい。また、これらの提案されている表面に金属薄膜が形成された凹凸パターンはプリズムなどの規則性のある微細な賦型構造であり、反射方向を制御することはできるものの、規則性のある表面凹凸パターンは干渉縞(モアレ)の問題が生じることがあるため好ましくはなく、反射方向を制御しながら、モアレの出ない反射シートが求められていた。
【特許文献1】特公平6−89160号公報
【特許文献2】特許第2925745号公報
【特許文献3】特許第3139510号公報
【特許文献4】国際公開第2005/096036号パンフレット
【特許文献5】特許第3928395号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、反射性能に優れ、反射方向を制御しながら、モアレの出ない反射シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の反射シートは、少なくとも表層部及び内層部の2層から構成される反射シートであって、前記表層部がポリプロピレン樹脂(A)80体積%以上を含み、最大厚みが2μm〜200μmであり、前記内層部がポリプロピレン樹脂(A)とポリプロピレン樹脂に対して非相溶性である少なくとも1種の樹脂(B)とを含み、前記内層部の相分離構造が、ポリプロピレン樹脂(A)で構成された海相と前記樹脂(B)の島相とからなる海−島構造であって、坪量が30〜500(g/m2)であり、密度が0.35〜0.85(g/cm3)であり、前記表層部が、不均一な非平面スペックルによって特徴づけられた微細な3次元構造面を有することを特徴とする。
【0015】
本発明の反射シートにおいては、前記内層部のポリプロピレン樹脂(A)が50体積%〜80体積%であり、前記樹脂(B)が20体積%〜50体積%であることが好ましい。
【0016】
本発明の反射シートにおいては、前記内層部のポリプロピレン樹脂(A)の延伸可能な温度における前記樹脂(B)の弾性率が該ポリプロピレン樹脂(A)より大きいことが好ましい。
【0017】
本発明の反射シートにおいては、前記表層部のポリプロピレン樹脂(A)のアイソタクチックインデックス(mmmmペンタッド%)が55モル%〜85モル%であることが好ましい。
【0018】
本発明の反射シートにおいては、前記樹脂(B)としてポリカーボネート樹脂を含むことが好ましい。
【0019】
本発明の反射シートにおいては、前記表層部が0.1g/m2〜5g/m2の無機粒子を含むことが好ましい。
【0020】
本発明の反射シートにおいては、前記無機粒子が酸化亜鉛、二酸化チタン、硫酸バリウム、及び炭酸カルシウムからなる群より選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0021】
本発明の反射シートにおいては、前記微細な3次元構造面が反射方向を制御するための反射面であることが好ましい。
【0022】
本発明の反射シートにおいては、前記微細な3次元構造が複数の凹凸形状で構成されており、前記凹凸形状の高さ及びピッチが不規則であることが好ましい。
【0023】
本発明の反射シートにおいては、前記凹凸形状のアスペクト比が0.01〜10であり、前記凹凸形状の最大高さと最低高さとの間の差が50μm以下であることが好ましい。
【0024】
本発明の反射シートにおいては、前記光透過樹脂層における前記凹凸形状の高さのばらつきが5%以上であることが好ましい。
【0025】
本発明の反射シートにおいては、平均全反射率が90%以上であることが好ましい。
【0026】
本発明の反射シートにおいては、前記微細な3次元構造が熱成形によって得られることが好ましい。
【発明の効果】
【0027】
本発明の反射シートは、少なくとも表層部及び内層部の2層から構成される反射シートであって、前記表層部がポリプロピレン樹脂(A)80体積%以上を含み、最大厚みが2μm〜200μmであり、前記内層部がポリプロピレン樹脂(A)とポリプロピレン樹脂に対して非相溶性である少なくとも1種の樹脂(B)とを含み、前記内層部の相分離構造が、ポリプロピレン樹脂(A)で構成された海相と前記樹脂(B)の島相とからなる海−島構造であって、坪量が30〜500(g/m2)であり、密度が0.35〜0.85(g/cm3)であり、前記表層部が、不均一な非平面スペックルによって特徴づけられた微細な3次元構造面を有するので、反射性能に優れ、反射方向を制御しながら、モアレの発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明について、以下具体的に説明する。
(反射シートを構成する樹脂組成物)
本発明の反射シートは、少なくとも表層部と内層部の2層以上から構成されればよく、例えば、表層部/内層部/表層部の3層構造でもよく、表層部表面にさらに耐光層などの層を有していても良い。また、表層部と内層部の2層から構成される場合、反射シートの光源側に用いられる層を表層部、光源と反対側に用いられる層を内層部とする。さらに、3層以上から構成される場合、3層以上の中に、本発明に記載の表層部、内層部を有していれば良く、たとえば、耐光層を最表層に付与した場合、最表層部(耐光層)/表層部/内層部という構成であってもよい。表層部が微細な3次元構造面を有する本発明の反射シートでは、表層部の構成が重要である。
【0029】
表層部はポリプロピレン樹脂(A)を80体積%以上含み、その最大厚みは、3次元構造の効果及び反射性能を考慮して、2μm〜200μmである。好ましくは10μm〜100μmであり、より好ましくは、20μm〜80μmである。また内層部はポリプロピレン樹脂(A)と、このポリプロピレン樹脂(A)に対して非相溶性である樹脂(B)の少なくとも一種とを含む組成物から構成され、ポリプロピレン樹脂(A)の海相とポリプロピレン樹脂に対して非相溶性である樹脂(B)の島相とからなる海−島構造を有する。この場合、表層部のポリプロピレン樹脂(A)と内層部のポリプロピレン樹脂(A)とは全く同一であってもいいし、下記に例示したポリプロピレン樹脂であれば各々異なった種類のポリプロピレン樹脂であっても良い。なお、本発明は、表層部と内層部の少なくとも2層から構成されるが、この要件を満たすものであれば、その層構成は、3層以上の構成であっても良い。例えば、内層部の外側、即ち裏面部に第3層を設けることも出来る。この第3層は表層部と同一の組成であっても良く、異なる組成であっても良い。
【0030】
(ポリプロピレン樹脂(A))
ポリプロピレン樹脂(A)は、プロピレンの単独重合体やプロピレンと共重合が可能なエチレンなどのモノマーとの共重合体などのポリプロピレン樹脂である。ポリプロピレン樹脂(A)は、JISK7210の方法で温度230℃、荷重21.2Nで、測定されるメルトフローレートが0.1g/10分〜10g/10分であるポリプロピレン樹脂であることが好ましい。メルトフローレートは、ポリプロピレン樹脂を溶融成形するときの押出機の負荷及び樹脂組成物の熱による変色の観点から、0.1g/10分以上であることが好ましく、樹脂の粘度及び成形性の観点から、10g/10分以下であることが好ましい。表層部のポリプロピレン樹脂(A)は微細賦形性、成形品の反射性能の観点から表層部の組成物全体に占める割合は80体積%以上であり、好ましくは90体積%以上、より好ましくは95体積%以上である。また、熱賦形時にシャープな形状が得やすいという観点から、表層部のポリプロピレン樹脂(A)はアイソタクチックインデックス(mmmmペンタッド%)が55モル%〜85モル%のポリプロピレン樹脂が好ましい。より好ましくは60モル%〜70モル%である。アイソタクチックインデックス(mmmmペンタッド%)とは、A.ZambelliらによってMacromolecules,6,925(1973)に発表された方法に従い、同位体炭素による核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を使用して測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクティック分率である。換言すれば、プロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合したプロピレンモノマー単位の分率である。本発明の表層部のポリプロピレン樹脂(A)の好ましい具体例としては(株)プライムポリマー社製「プライムTPO」の透明タイプ等が挙げられる。
【0031】
内層部は樹脂延伸時の張力及び延伸性の観点から、組成物全体に占めるポリプロピレン樹脂(A)の比率は50体積%以上が好ましい。また組成物を押し出したシートを延伸してシートの内部に孔を形成させて90%以上の高い平均全反射率の反射シートを得るためには、内層部の組成物全体に占めるポリプロピレン樹脂(A)の比率は80体積%未満が好ましく、より好ましくは70体積%未満である。ここでいう平均全反射率とは、波長550nmの光についてシートのMD方向とTD方向の各々から入射した時の全反射率を測定し、両方向の平均値をいう。
【0032】
(ポリプロピレン樹脂(A)と非相溶性の樹脂(B))
内層部を構成するポリプロピレン樹脂の延伸が可能な温度でポリプロピレン樹脂と相分離する樹脂(B)(以下、単に「樹脂(B)」ともいう)には、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメチルメタアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリノルボルネン樹脂などのポリシクロオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂などがある。これらの樹脂のなかでポリプロピレン樹脂の延伸が可能な温度における弾性率が、ポリプロピレン樹脂よりも大きい樹脂がより好ましく、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリノルボルネン樹脂などのポリシクロオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられる。これらの樹脂のなかから少なくとも1種類の樹脂をポリプロピレン樹脂と溶融混合して用いることが好ましく、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂を用いることがより好ましく、最も好ましくはポリカーボネート樹脂である。
【0033】
本発明では、内層部を構成する組成物における樹脂(B)の量は、20体積%以上50体積%未満であることが好ましい。樹脂(B)は、延伸張力を小さくするという観点から、樹脂組成物全体の50体積%未満であることが好ましい。シートの孔数及び孔体積を多くしてより高い平均全反射率を得るという観点から、樹脂(B)は樹脂組成物全体の20体積%以上が好ましく、好ましくは30体積%以上である。なお、樹脂組成物を処方する場合、重量%から体積%への換算は、各樹脂の基本特性の密度から計算出来る。例えばポリプロピレン樹脂の密度は0.89g/cm3〜0.91g/cm3、ポリカーボネート樹脂の密度は1.2g/cm3であり、これらの値から容易に換算出来る。
【0034】
本発明の樹脂(B)の好ましい例であるポリカーボネート樹脂は、芳香族ポリカーボネート、直鎖状ポリカーボネート、分岐鎖状ポリカーボネートの中から単独で、又は組み合わせて使用することができる。ポリカーボネート樹脂は、JISK7210の方法で温度300℃、荷重11.8Nで測定されたメルトフローレートが0.1〜50g/l0分であるポリカーボネート樹脂が好ましい。ポリプロピレン樹脂との混合を均一にするという観点から、ポリカーボネート樹脂のメルトフローレートは0.1g/l0分以上が好ましく、延伸時に孔を形成しやすいという観点から、メルトフローレートは50g/l0分以下が好ましい。
【0035】
ポリカーボネート樹脂以外の樹脂(B)の例として、ポリアミド樹脂が挙げられる。ポリアミド樹脂は、ポリアミド66、ポリアミド6、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12、芳香族ポリアミドなどのなかから単独で、又は組み合わせて使用することができる。ポリアミド樹脂は、押し出し機で押し出すときの分散性の観点から、融点が300度以下であるポリアミド樹脂が好ましい。
【0036】
本発明において、内層部には、ポリプロピレン樹脂(A)と樹脂(B)に加えて、ポリスチレン樹脂を使用することができる。ポリスチレン樹脂として、JISK7210の方法で温度200℃、荷重49Nで測定されるメルトフローレートが0.1〜20g/l0分であるポリスチレン樹脂が好ましい。ポリスチレン樹脂を樹脂組成物全体の5体積%以下添加することにより、樹脂組成物全体の透明性を大きく損なうことなく、樹脂組成物全体を溶融混合するための押出機の回転トルクを軽減したり、シートの内部に孔を生成させるためにシートを延伸する時の張力を低下させるなど、反射シートを製造する工程や設備をより簡潔なものにする効果を与える。押出機の回転トルクの軽減やシートの延伸張力が低下する効果を十分に得る観点から、且つ光学的に均一なシートを得るという観点から、ポリスチレン樹脂の樹脂組成物全体に対する比率は5体積%以下が好ましい。
【0037】
本発明では、その反射シートにポリプロピレン樹脂(A)と樹脂(B)と必要に応じてポリスチレン樹脂とを混合した樹脂組成物を使用するが、樹脂組成物には必要に応じて紫外線吸収剤や光安定剤や熱安定剤や造核剤や帯電防止剤などを添加してもよい。
【0038】
(無機粒子)
本発明の反射シートは、表層部に無機粒子を含むことで、新たな機能を付加することが出来る。例えば、反射シートをバックライトの組立装置のローラーやガイドレールと滑り易くさせるために滑剤としてシリカ微粒子などを添加することが出来る。また紫外線によるシートの黄変を防止する目的で酸化亜鉛、二酸化チタンなどの金属酸化物粒子添加することが出来る。シートの黄変防止は液晶表示材料用途では特に重要である。更に、反射性能の向上に寄与する二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなどを添加することで、反射性能をより高くすることも出来る。特に、この反射性能を有する無機粒子を添加することで、内層部での反射と表層部での反射能を有する複合反射能を有する反射シートを得ることが出来、反射能の異方性などを制御出来るという特徴を有する。表層部に無機粒子を含む場合の添加量は、微細成形の加工性などを考慮すると、0.1g/m2〜5g/m2である。好ましくは0.3g/m2〜3g/m2であり、より好ましくは、0.5g/m2〜1.5g/m2である。また、この場合の無機粒子の粒子径は0.01μm〜5μmであり、好ましくは0.015μm〜1μmである。また紫外線による反射シートの黄変防止の目的では、無機粒子以外にも有機系の紫外線吸収剤を添加することも出来る。この場合の添加量は0.1g/m2〜5g/m2であり、好ましくは0.3g/m2〜2g/m2である。
【0039】
また、本発明において、内層部には無機粒子を積極的には添加しないが、成形加工性を損なわない程度ならば添加することが出来る。例えば、紫外線による反射シートの黄変防止の目的では、酸化亜鉛、二酸化チタンなどの金属酸化物粒子あるいは有機系の紫外線吸収剤を0.1〜1重量%程度添加される。さらには必要に応じて光安定剤、熱安定剤や造核剤や帯電防止剤などを添加してもよい。この場合の金属酸化物の粒子径は0.01μm〜10μm、好ましくは0.015μm〜1μmである。また、二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなどの反射性能を有する無機粒子も添加することが出来る。この場合の添加量は1重量%〜30重量%であり、その粒子径は0.01μm〜10μm、好ましくは0.015μm〜1μmである。
【0040】
(反射シートの物性)
本発明の反射シートでは、光の反射は空気と樹脂の屈折率差を利用して、空気と樹脂の界面で起こる。樹脂の屈折率は概ね1.4〜1.6で、空気の屈折率は約1であるため、樹脂と空気の屈折率の差によって生じる光の反射率は1回の反射あたりでは高々約4%にすぎない。しかしシート内部に多数の孔や気泡を含む構造にすることで、その界面を多数存在させることができる。これによってシート内部での反射が多数回繰り返されることになり、高い反射率を得ることができる。したがって、本発明の反射シートでは、その反射性能に関しては、内層部に多数の孔や気泡を含む構造、すなわち相分離構造が重要である。その相分離構造を決める構成要件は、本発明の反射シートにおいて内層部の坪量と密度である。
【0041】
本発明の反射シートにおいては、坪量が、30g/m2〜500g/m2であることを特徴とする。この範囲においては、凸部を有する反射シートを成形する上で、十分な強度、剛性を有し、反射能を得るための充分な数の孔あるいは気泡を形成することができる。このため、反射用の凸部を含む全反射面に渡って高い反射率を得ることができる。好ましい坪量は、50g/m2〜400g/m2であり、より好ましくは100g/m2〜350g/m2である。
【0042】
また、本発明の反射シートにおいては、密度が、0.35g/cm3〜0.85g/cm3であることを特徴とする。この範囲においては、樹脂量が少なくならない状態で孔あるいは気泡の体積を多く作ることができ、高い反射率を得ることができる。また、樹脂量が十分であるので、熱成形時に一部に熱溶融が発生することがなく熱成形が容易となると共に、反射シートとしての強度が十分となる。このため、好ましい密度は0.40g/cm3〜0.80g/cm3であり、より好ましくは0.45g/cm3〜0.75g/cm3である。
【0043】
(微細3次元構造面)
本発明の反射シートの表層部は、不均一な非平面スペックルによって特徴づけられた微細な3次元構造面を有する。表層部の厚みはその最大厚みが2μm〜200μmであるが、その厚みは微細構造面の形状によって決められる。深みの大きい形状では表層部の厚みを大きくとる。表層部の厚みより深い形状の場合、内層部までその形状が及ぶこともあるが、実質的に反射性能に大きく影響を与えなく使用上に問題がなければ特に差し支えない。しかしながら、成形加工性と形状の均一性、均一な反射能を得るためには、内層部までその形状が及ぶことなく、表層部の樹脂で、所望の形状が形成されることが好ましく、微細賦形前の反射シートの表層部の厚みは、それが賦形される形状から適正な値に決められる。即ち、成形前の表層部の厚み(h1)が成形後の賦形部分の平均厚み(h2)以上(h1≧h2)であることが好ましい。この関係を図1に示した。賦形部分の平均厚み(h2)とは、賦形による凸凹を平坦にならしたときの厚みをいう。図1において、(a)は成形前の形状を示し、図1(b)は成形後の形状を示す。同図において、参照符号1が表層部を示し、参照符号2が内層部を示す。
【0044】
不均一な非平面スペックルによって特徴づけられた微細な3次元構造は、光源からの光を、異方性又は等方性を持たせて拡散させる複数の凹凸形状である。この複数の凹凸形状は、その高さ及びピッチが不規則(凹凸形状の高さあるいは深さが一定でない)である。凹凸形状のアスペクト比が0.01〜10であり、凹凸形状の最大高さと最低高さとの間の差が50μm以下であることが好ましい。
【0045】
アスペクト比は、凹凸の高さを山間のピッチ間距離で割った値である。これらの、凹凸形状の高さ、ピッチ、アスペクト比については、光の拡散方向や拡散範囲(例えば、反射光が半値になる角度)により適宜決定することができる。例えば、相対的に広い角度範囲に拡散させる場合には、凹凸形状の高さは、0.1μm〜50μm、好ましくは1.0μm〜20μmであり、凹凸形状のピッチは、0.1μm〜50μm、好ましくは0.1μm〜20μmであり、以下アスペクト比は、0.5〜10である。また、相対的に狭い角度範囲に拡散させる場合には、凹凸形状の高さは、0.1μm〜20μmであり、凹凸形状のピッチは、3.0μm〜100μmであり、アスペクト比は、0.01〜0.5である。
【0046】
また、表層部における凹凸形状の高さのばらつきは、例えば、表面粗さ測定装置ET4000(小坂研究所社製)やレーザ顕微鏡VK−9500(キーエンス社製)により測定することができる。例えば、凹凸面上の任意の点から、任意の方向に断面曲線を測定し、測定した断面曲線のデータから、凹凸高さ、ピッチ、アスペクト比を算出することができる。この測定結果から、断面方向において、所定の間隔内における高さが最大となる位置をh1、h2、・・・hnとした場合の、各位置における高さのデータd(h1)、d(h2)、・・・d(hn)を求める。
次に、得られた高さのデータから、下記式(1)により得られる値
|hn−d(hn)ave| 式(1)
を1μm毎に度数をプロットし、度数分布のデータを得る。具体的には、0〜1μm、1〜2μm、2〜3μm、・・・といった階級を設定し、所定の階級内に含まれるデータの個数をカウントすることで、度数分布を求める。
ここで、d(hn)aveは、下記式(2)によって求められる、高さの平均値とする。
d(hn)ave=(d(h1)+d(h2)+・・・+d(hn)/n) 式(2)
この場合において、度数分布を正確にするために最低100点以上の高さデータを測定することが好ましい。
また、ばらつきが5%以上とは、1μm以上の階級に属する度数が全体の5%以上となることを言うものとする。効果的にモアレ防止することを考慮すると、ばらつきは、5%以上であることが好ましく、10%以上がより好ましく、さらに好ましくは20%以上である。
【0047】
具体的に、凹凸形状としては、図2から図9に示すものが挙げられる。図2(a)は、凹凸形状が等方拡散で光の拡散性が低拡散である場合を示す図であり、図2(b)は、図2(a)に示す凹凸形状の断面プロファイルを示す図である。また、図3(a)は、凹凸形状が等方拡散で光の拡散性が低拡散である場合を示す図であり、図3(b)は、図3(a)に示す凹凸形状の断面プロファイルを示す図である。図4(a)は、凹凸形状が等方拡散で光の拡散性が高拡散である場合を示す図であり、図4(b)は、図4(a)に示す凹凸形状の断面プロファイルを示す図である。図5(a)は、凹凸形状が等方拡散で光の拡散性が高拡散である場合を示す図であり、図5(b)は、図5(a)に示す凹凸形状の断面プロファイルを示す図である。図2及び図3は等方拡散の低拡散であり、図3の形状は図2の形状に比べて、拡散性は広い。同様に図4及び図5は等方拡散の高拡散であり、図5の形状は図4の形状に比べて、拡散性は広くなる。また、図6(a)は、凹凸形状が異方拡散性を有する形状を示す図であり、図6(b)は、図6(a)に示す凹凸形状の高拡散側の断面プロファイルを示す図であり、図6(c)は、図6(a)に示す凹凸形状の低拡散側の断面プロファイルを示す図である。図7(a)は、図6に比べ、低拡散性の部位が高拡散となっている凹凸形状が異方拡散を示す図であり、図7(b)は、図7(a)に示す凹凸形状の高拡散側の断面プロファイルを示す図であり、図7(c)は、図7(a)に示す凹凸形状の低拡散側の断面プロファイルを示す図である。図8(a)は、凹凸形状が異方拡散で図6及び図7に比べて互いに直交する面内の2軸(X軸、Y軸)とも高拡散を示す図であり、図8(b)は、図8(a)に示す凹凸形状の高拡散側の断面プロファイルを示す図であり、図8(c)は、図8(a)に示す凹凸形状の低拡散側の断面プロファイルを示す図である。図9(a)は、図8に比べて低拡散側が同じで、高拡散側がより拡散性を有する凹凸形状が異方拡散を示す図であり、図9(b)は、図9(a)に示す凹凸形状の高拡散側の断面プロファイルを示す図であり、図9(c)は、図9(a)に示す凹凸形状の低拡散側の断面プロファイルを示す図である。上記のような反射光の拡散性は例えば変角輝度計等で測定することができる。また図2から図9の微細な形状のばらつきはレーザ顕微鏡VK−9500(キーエンス社製)で150倍の倍率で反射シートの表面を測定し、X軸、Y軸方向にそれぞれ任意の面で断面を切断して、断面図を作成し、断面解析によりばらつきは5%以上であった。
【0048】
上述したように、表層部が上記のような凹凸形状を有することにより、例えば、モアレを生じさせることなく光源からの指向角度を制御できる反射シートを実現することができる。具体的には、面内の互いに直交する2軸方向においてそれぞれで10°〜90°まで指向角度を制御することができる。
【0049】
(原反シート成形方法)
本発明の反射シートは先ずその積層構造の原反シートを作製する。原反シートの作製には、通常は内層用の主押出機と表層用の副押出機の2台の押出機を用いる共押出法が採用される。各押出機は複数の成分の混練性、分散性を上げるという点で通常は2軸押出機が採用されるが必要に応じて単軸押出機であっても良い。成形ダイは、フィードブロックダイ、マルチマニホールドダイなどの共押出用の積層ダイが用いられ、ダイの中で内層部と表層部が積層されて押し出される。また押し出される樹脂組成物の量を安定させるために押出機とダイの間にギヤポンプを使用してもよい。主押出機では、ポリプロピレン樹脂(A)50体積%以上80体積%未満と、樹脂(B)20体積%以上50体積%未満とを溶融混合し、ポリプロピレン樹脂の海の中に、樹脂(B)の島が分散する、いわゆる海−島構造の樹脂組成物が押出される。この場合、ポリプロピレン樹脂(A)よりも硬い樹脂(B)は、押出機の内部でシリンダーとスクリューの隙間やスクリュー同士の隙間などを通過するときに、スクリューの回転によるせん断力によって、通常の数mm程度の大きさの樹脂ペレットから数μm程度の大きさの分散相にまで細かく分割される。押出機のスクリューの形状やシリンダー温度やスクリューの回転数などを適切に設定することにより、樹脂(B)が分割される大きさの平均値や分布を調整することができる。副押出機では、ポリプロピレン樹脂(A)を80体積%以上含む樹脂と必要に応じて添加された無機粉末とが溶融混合され押し出される。また押し出される樹脂の温度が200℃〜300℃の範囲になるように押出機やダイの運転条件を設定することが好ましい。
【0050】
(2軸延伸の方法)
本発明では、好ましくは、ダイから押し出された積層シートを冷却ローラーなどで冷却固化させた後、延伸機で延伸する。冷却ローラーでは、20℃〜150℃の範囲になるよう冷却ローラーの温度や速度を設定することが好ましい。延伸工程では、反射シート内部に孔を生成させるために、できるだけ低温で延伸を行う方が好ましい。高い温度で延伸を行う場合には、低温で延伸する場合と比べてシート内部に孔の生成が起こりにくい傾向がみられるので、延伸倍率を低温で延伸する場合より大きくすることが好ましい。
【0051】
内層部を形成する主押出機から押し出された樹脂はこの延伸によって、ポリプロピレン樹脂(A)と樹脂(B)の界面が開裂されてシートの内部に孔を生成すると共に、シートの厚みを所望の厚みにまで薄くすることができる。一方、表層部を形成する副押出機から押し出された樹脂は、この延伸によって内部に孔を有する海−島構造は実質的に形成せず、延伸倍率に応じた薄肉化がなされる。
【0052】
本発明では、通常の2軸延伸法を採用することが出来る。即ち、縦横逐次2軸延伸、横縦逐次2軸延伸、同時2軸延伸、さらにこれらの2軸延伸の後に、縦横いずれかあるいは両方の方向に再延伸することも出来る。好ましくは、縦横逐次2軸延伸、あるいは同時2軸延伸である。縦横逐次2軸延伸は、速度差をつけた複数のローラーの間をシートを通過させて流れ方向にシートを延伸する縦延伸工程と、クリップテンターなどを使用してシートの幅方向に延伸する横延伸工程とを含む。また同時2軸延伸は、パンタグラフ延伸機などを使用して流れ方向と巾方向を同時に延伸する方法である。より好ましくは最も汎用的な縦横逐次2軸延伸法である。2軸延伸の延伸倍率はMD方向、TD方向各々1.5倍以上であって、且つ面積延伸倍率が3倍以上50倍以下である。好ましくはMD、TD各々2倍以上、面積倍率が4倍以上30倍以下である。
【0053】
内層部を構成する樹脂(B)のなかで、ポリプロピレン樹脂の延伸が可能な温度における弾性率がポリプロピレン樹脂より大きい樹脂が好ましい。その理由は次のように考えられる。本発明は、樹脂組成物のシートをポリプロピレン樹脂の延伸が可能な温度で延伸して、樹脂組成物中の樹脂(B)相とポリプロピレン樹脂(A)相との界面を開裂させることによってシートの内部に孔を形成させる。シートを延伸する温度で、樹脂(B)の弾性率がポリプロピレン樹脂(A)の弾性率より大きいと、樹脂(B)相の延伸力による変形量はポリプロピレン樹脂(A)相の変形量よりも小さいため、樹脂(B)相とポリプロピレン樹脂(A)相との界面がより開裂しやすくなると考えられる。更に、樹脂(B)のポリプロピレン樹脂の延伸が可能な温度における弾性率がポリプロピレン樹脂より大きいことが熱成形による微細賦形加工性にも大きく寄与していると考えられる。通常の2軸延伸ポリプロピレンはその延伸温度近傍まで温度を上げると大きな熱収縮を起こし変形するが、この延伸温度付近での弾性率がポリプロピレン樹脂より大きい樹脂(B)が内層部に存在することで、その熱変形が抑えられ、熱成形性を向上させていると考えられる。さらに樹脂(B)の存在が、反射材としての使用時の耐熱性をも向上させ、反射シートの強度アップにも寄与している。
【0054】
(微細構造面の形成方法)
2軸延伸されたシートは、熱寸法安定性付与のために必要に応じて熱処理などの後処理が施された後、微細な凹凸形状が表層部に形成される。微細構造の凹凸形状は、次のようにして形成することができる。まず、予め干渉露光によりスペックルパターンを形成したサブマスタ型を作製し、このサブマスタ型に電鋳などの方法で金属を被着してこの金属にスペックルパターンを転写してマスタ型を作製する。光透過性樹脂層に、上記マスタ型を用いて紫外線による腑形を行って光透過性樹脂層の光取り出し面にスペックルパターンを転写する。このサブマスタ型の詳細な製造方法については、特許第3413519号公報(特許文献6)に開示されている。この内容はすべてここに含めておく。
【0055】
スペックルパターンの寸法、形状及び方向を調節することにより、拡散角度の範囲を制御することができる。一般に、拡散角度の範囲は、スペックルの平均サイズ及び形状に依存する。スペックルが小さければ角度範囲が広い。また、スペックルが横方向の長円形であれば、角度分布の形は縦方向の長円形となる。このように、所望する指向角度や拡散角度に応じてスペックルパターンを決定することができる。
【0056】
なお、干渉露光法とは、特定の波長のレーザ光を角度θ、θ’の2つの方向から照射して形成される干渉縞を利用した露光法であり、角度θ、θ’を変化させることで使用するレーザの波長で制限される範囲内で色々なピッチを有する凹凸形状のパターン(スペックルパターン)を得ることができる。干渉露光に使用できるレーザとしては、TEM00モードのレーザに限定され、TEM00モードのレーザ発振できる紫外光レーザとしては、アルゴンレーザ(波長364nm,351nm,333nm)や、YAGレーザの4倍波(波長266nm)などが挙げられる。
【0057】
上述したようなマスタ型を用いて熱成形により微細な凹凸形状が表層部に形成される。この熱成形には、好ましくはプレス成形あるいはロール成形が採用される。これらの成形は枚葉タイプからのバッチ成形、ロール形状から繰り出す連続成形のいずれも対応出来る。
【0058】
プレス成形では、微細構造面が形成された金型をプレス面の片方に固定し、上記シートを金型面上にセットした後、圧縮加工される。この場合のプレス温度は140〜160℃、プレス時間は1秒〜10分、プレス圧力は1kg/cm2〜100kg/cm2であって、これら成形条件は、試料の厚み、成形速度、金型形状、プレス後の冷却方法などから適切な条件に設定される。また、金型がセットされたプレス面を成形温度に加熱し、もう一方のプレス面を冷却しておくと、シートの裏面は冷却状態が保持されるので、プレス後の冷却が速くなり、成形速度を速くすることが出来る上に、プレス加工時の内層部の熱変形を抑えることが出来るという観点から好ましい。
【0059】
図10、図11にロール成形方法の例を示した。図10に示す例において、表面に微細形状が付与され成形温度まで加熱されたロール2と冷却用のロール3からなる一対のロールの間にシート1を通すことで、ロール面の形状がシートに圧縮熱転写される。転写されたシートはさらにロール4で冷却される。冷却ロールは金属あるいは弾性のあるゴムロールであっても良い。図11に示す例においては、冷却ロール3,4,5に冷却用の金属ベルトを通して、この金属ベルト6によって、冷却と圧縮を行う。この方法は冷却と圧縮がロール面に渡って行われるので、より効率よく成形を行うことが出来る。ロール温度、ロール速度、および圧縮圧力は試料の厚み、金型形状、圧縮後の冷却方法などから適切な条件に設定される。
【0060】
反射シート上に微細な凹凸形状を加える方法としては、上記に記載の熱成型による微細な凹凸形状を有するマスタを転写する方法の他に、反射シートにUV硬化樹脂を塗布し、上記凹凸形状を有するマスタを転写、硬化する方法を用いていても良い。その場合は、反射シートにあらかじめコロナ処理などの表面処理をすることが好ましい。
【0061】
以下、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明する。
<評価方法>
反射シートについて評価する物性の項目及びその評価方法についてまず説明する。
【0062】
(1)厚み
反射シートの厚みは、ピーコック社製厚み計を使用して測定した。
【0063】
(2)光全反射率・平均全反射率
反射シートの光全反射率は、島津製作所製分光光度計UV−3150と積分球試料台を使用して、ポリテトラフルオロエチレンの標準白板(ラボスフェア社製スペクトラロン)の反射率を100%とした相対反射率を波長400nm〜700nmの範囲で測定した。平均全反射率は波長550nmの光について、シートのMD方向とTD方向の各々から入射した時の測定値を求め、両者の相加平均値を平均全反射率とした。
【0064】
(3)内層部の坪量
シートを50mm角に切り出し、先ずその重量を測定する。次いで、表層部の厚み、構成する樹脂、添加剤の種類、量から表層部の重量を計算し、全体の重量からこの表層部の重量を引いて、内層部の坪量を計算により求めた。
【0065】
(4)内層部の密度
上記の内層部の坪量を求めたサンプルから内層部の厚みを求め、内層部の体積を計算する。この体積と上記の坪量から密度を計算により求めた。
【0066】
(5)モアレの有無
16本の冷陰極管(CCFL)をその軸方向を揃えて間隔25mmで配設し、CCFLから所定の距離だけ離して上方に反射シートを配設し、CCFLを点灯してCCFLを挟んで反射シートの反対側から目視してモアレの有無を観察した。
【0067】
<実施例で使用した金型及びプレス成形方法>
賦形面の形状は、図7に示すような凹凸形状が異方拡散性を有するものを用いた。マスタ金型には、賦形面が250mm×250mmである平板形状を用いた。
【0068】
プレス面が30cm角の圧縮成形機を用いて、上プレス面を25℃に冷却状態にし、下プレス面を150℃に加熱した。下プレス面に上記成形用マスタ型を設置し、プレス面の熱で充分に予熱した後、マスタ型面に300mm×300mmにカットされた成形前の反射シートをセットし圧縮した。圧縮成形は、圧縮時間は5分、圧縮圧力50kg/cm2の条件で行った。
【0069】
(実施例1)
内層部として、ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー社E−105GM)62体積%(55重量%)と、ポリカーボネート樹脂(旭美化成社ワンダーライトPC110)38体積%(45重量%)とを混合した原料樹脂を、シリンダー口径が25mmでシリンダーと口径の比が48の同方向回転2軸押出機を使って、シリンダー温度を250℃、スクリューの回転数が100rpmの運転条件で溶融し、温度を250℃に調整したギヤポンプを介して、リップの巾が400mmの2種3層積層ダイに導入し、表層部として、ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー社プライムTPO樹脂E−2900)をシリンダー口径30mmの単軸押出機を使って、シリンダー210℃で溶融し、温度を210℃に調整したギヤポンプを介して、上記の2種3層積層ダイに導入した。積層ダイでは2種類の樹脂が積層され、リップクリアランスが2.0mであるシートダイから押し出された。押し出された溶融積層樹脂を80℃に設定した一対の冷却用ピンチローラーで引き取り、押出方向に溶融樹脂を引っ張りながら樹脂を冷却固化させて厚みが1.9mmの積層原反シートを作製した。得られた積層シートは、内層部が1.4mm、表層部が表裏各々0.25mmの3層積層シートであった。なお、表層部に使用したポリプロピレン樹脂の13C−NMR測定によるアイソタクチックインデックス(mmmmペンタッド%)は66モル%であった。
【0070】
得られたシートを、ロール縦延伸機を使って押し出し方向(MD方向)に温度155℃で3倍延伸した後、テンター横延伸を使って巾方向(TD方向)に温度155℃で3倍延伸し、3×3倍に延伸された白色のシートを得た。この白色シートの平均全反射率は97.0%、内層部の坪量と密度は、それぞれ175g/m2、0.46g/cm3であった。表層部を含む全厚みは440μmであり、各層の厚みは、表層部33μm、内層部380μm、裏面表層部27μmであった。
【0071】
得られた白色シートを、300mm×300mm角にカットし、上記マスタ型により圧縮賦形を行い、表層部に賦形面が転写された反射シートを得た。得られた成形品は金型形状通りの成形斑のない均一な成形品であった。
【0072】
得られた成形品の内層部の坪量は175g/m2であり、密度は0.65g/cm3であり、賦形面側の平均全反射率は96.7%であり、賦形成形後も反射シートとして高い反射率を有していた。また、変角高速分光光度計による入射光に対する反射光の反射角度を測定すると、賦形面の形状に沿った方向に強い反射光が観測され、この微細賦形によって反射光の方向制御が出来ることが分かった。また、モアレの発生がなく、輝度ムラが生じなかった。
【0073】
(実施例2)
実施例1で、表層部として、ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー社プライムTPO樹脂E−2900)に酸化チタンを5重量%添加して、予めペレット化しておいた樹脂を使用した以外は実施例1と同様にして、縦方向と横方向に延伸して3×3倍に延伸された白色のシートを得た。この白色シートの平均全反射率は98.4%、内層部の坪量と密度は、それぞれ178g/m2、0.46g/cm3であった。表層部を含む全厚みは445μmであり、各層の厚みは、表層部32μm、内層部390μm、裏面表層部23μmであった。なお、表層部には1.6g/m2の酸化チタンが含まれていた。
【0074】
得られた白色シートを、同様に300mm×300mm角にカットし、上記マスタ型により圧縮賦形を行い、表層部に賦形面が転写された反射シートを得た。得られた成形品は金型形状通りの成形斑のない均一な成形品であった。
【0075】
得られた成形品の内層部の坪量は175g/m2、密度は0.66g/cm3であり、賦形面側の平均全反射率は98.0%であり、賦形成形後も反射シートとして高い反射率を有していた上に、表層部に酸化チタンを含むことで平均全反射率が1.3%向上した。また、同様に変角高速分光光度計による入射光に対する反射光の反射角度を測定すると、賦形面の形状に沿った方向に強い反射光が観測された。また、モアレの発生がなく、しかも指向角度が得られていた。
【0076】
(比較例1)
実施例1の反射シートの内層部と同じポリマー及び組成で、層構成を内層部のみとした厚み1.7mmの原反シートを作製した。次いで、実施例1と同様にして、縦方向と横方向に延伸して3×3倍に延伸された白色のシートを得た。この白色シートの平均全反射率は97.5%、厚みは470μm、坪量と密度は、それぞれ220g/m2、0.47g/cm3であった。
【0077】
得られた白色シートを、同様に300×300mm角にカットし、均一な凹凸形状の賦形面の金型により圧縮賦形を行い、表層部に賦形面が転写された反射シートを得た。得られた成形品は概略金型形状通りの賦形面であったが、樹脂の流れが不十分で、三角形の頂角の周辺が丸みをおび、各辺も一部曲線状になる等がみられ全体に不均一な成形品であった。
【0078】
なお、得られた成形品の坪量は220g/m2、密度は0.7g/cm3であり、賦形面側の平均全反射率は97.0%であり、賦形成形後も反射率としては高い値を有していた。しかしながら、モアレの発生が確認された。
【0079】
(比較例2)
実施例1において、内層部にポリプロピレン樹脂(プライムポリマー社E−105GM)83.4体積%(50重量%)と、平均粒径0.8μmの硫酸バリウム(真比重4.5)16.6体積%(50重量%)とを混合した樹脂を用い、表層部は実施例1と同じにして、実施例1と同じく厚みが1.9mmの積層原反シートを得た。得られた積層シートは、内層部が1.4mm、表層部が表裏各々0.25mmの3層積層シートであった。
【0080】
次いで、実施例1と同様にして、縦方向と横方向に延伸して3×3倍に延伸された白色のシートを得た。この白色シートの平均全反射率は95.2%であった。
【0081】
得られた白色シートを、同様に300mm×300mm角にカットし、実施例1と同じマスタ型により圧縮賦形を行い、表層部に賦形面が転写された反射シートを得た。得られた賦形面は比較的良好な成形面であったが、内部の空孔がつぶれたことによって圧縮が大きく、成形後のシートの厚み220μmであった。また一部熱収縮により皺の発生、賦形面にも一部に不均一な部分もみられた。成形品の賦形面側の平均全反射率は91.5%であり、反射率は大きく低下していた。
【0082】
本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態における寸法、材質などは例示的なものであり、適宜変更して実施することが可能である。その他、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の反射シートは、従来の反射シートに比べてより高い反射性能を有するとともに表面に微細な3次元形状を有するので、液晶表示装置等のバックライトの反射材に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の成形前後の表層部の厚さの関係を示す図であり、(a)は成形前を示す図であり、(b)は成形後のシートの断面図である。
【図2】(a)は、等方拡散の凹凸形状の例を示す図であり、(b)は、(a)に示す凹凸形状の断面プロファイルを示す図である。
【図3】(a)は、等方拡散の凹凸形状の他の例を示す図であり、(b)は、(a)に示す凹凸形状の断面プロファイルを示す図である。
【図4】(a)は、等方拡散の凹凸形状の他の例を示す図であり、(b)は、(a)に示す凹凸形状の断面プロファイルを示す図である。
【図5】(a)は、等方拡散の凹凸形状の他の例を示す図であり、(b)は、(a)に示す凹凸形状の断面プロファイルを示す図である。
【図6】(a)は、異方拡散の凹凸形状の例を示す図であり、(b),(c)は、(a)に示す凹凸形状の断面プロファイルを示す図である。
【図7】(a)は、異方拡散の凹凸形状の他の例を示す図であり、(b),(c)は、(a)に示す凹凸形状の断面プロファイルを示す図である。
【図8】(a)は、異方拡散の凹凸形状の他の例を示す図であり、(b),(c)は、(a)に示す凹凸形状の断面プロファイルを示す図である。
【図9】(a)は、異方拡散の凹凸形状の他の例を示す図であり、(b),(c)は、(a)に示す凹凸形状の断面プロファイルを示す図である。
【図10】本発明の反射シートを製造するためのロール成形法の例を示す図である。
【図11】本発明の反射シートを製造するためのロール成形法の例を示す図である。
【符号の説明】
【0085】
1 シート
2 ロール
3,4,5 冷却ロール
6 金属ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも表層部及び内層部の2層から構成される反射シートであって、前記表層部がポリプロピレン樹脂(A)80体積%以上を含み、最大厚みが2μm〜200μmであり、前記内層部がポリプロピレン樹脂(A)とポリプロピレン樹脂に対して非相溶性である少なくとも1種の樹脂(B)とを含み、前記内層部の相分離構造が、ポリプロピレン樹脂(A)で構成された海相と前記樹脂(B)の島相とからなる海−島構造であって、坪量が30〜500(g/m2)であり、密度が0.35〜0.85(g/cm3)であり、前記表層部が、不均一な非平面スペックルによって特徴づけられた微細な3次元構造面を有することを特徴とする反射シート。
【請求項2】
前記内層部のポリプロピレン樹脂(A)が50体積%〜80体積%であり、前記樹脂(B)が20体積%〜50体積%であることを特徴とする請求項1記載の反射シート。
【請求項3】
前記内層部のポリプロピレン樹脂(A)の延伸可能な温度における前記樹脂(B)の弾性率が該ポリプロピレン樹脂(A)より大きいことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の反射シート。
【請求項4】
前記表層部のポリプロピレン樹脂(A)のアイソタクチックインデックス(mmmmペンタッド%)が55モル%〜85モル%であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の反射シート。
【請求項5】
前記樹脂(B)としてポリカーボネート樹脂を含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の反射シート。
【請求項6】
前記表層部が0.1g/m2〜5g/m2の無機粒子を含むことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の反射シート。
【請求項7】
前記無機粒子が酸化亜鉛、二酸化チタン、硫酸バリウム、及び炭酸カルシウムからなる群より選ばれた少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項6記載の反射シート。
【請求項8】
前記微細な3次元構造面が反射方向を制御するための反射面であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の反射シート。
【請求項9】
前記微細な3次元構造が複数の凹凸形状で構成されており、前記凹凸形状の高さ及びピッチが不規則であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の反射シート。
【請求項10】
前記凹凸形状のアスペクト比が0.01〜10であり、前記凹凸形状の最大高さと最低高さとの間の差が50μm以下であることを特徴とする請求項9記載の反射シート。
【請求項11】
前記光透過樹脂層における前記凹凸形状の高さのばらつきが5%以上であることを特徴とする請求項9又は請求項10記載の反射シート。
【請求項12】
平均全反射率が90%以上であることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれかに記載の反射シート。
【請求項13】
前記微細な3次元構造が熱成形によって得られることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれかに記載の反射シート。

【図1】
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【図10】
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【図11】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−109596(P2009−109596A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−279655(P2007−279655)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(000000033)旭化成株式会社 (901)
【Fターム(参考)】