説明

反射体

【課題】 基材上に反射層が形成された反射体であって、反射層が薄く、反射層の強度が高く、かつ550nmにおける拡散反射率が95%以上である反射体を提供する。
【解決手段】 反射層30が、白色顔料を顔料体積濃度で65〜88%含有する樹脂組成物層32と、樹脂組成物層32に埋設された、目開きが100〜300μmの樹脂網状体34とからなり、反射層30の厚さtが、100〜200μmである反射体10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高拡散反射率を有する反射体に関し、特に液晶ディスプレイのバックライト用反射板として有用な反射体に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイのバックライト用反射板としては、高拡散反射率が要求されるところから、高拡散反射率を有する白色のフィルムを金属基材に貼着した反射体が用いられている。しかし、基材への貼着の際、フィルムにしわが寄りやすく、生産効率が低下する問題がある。さらに、高拡散反射率を得るためにフィルムに多くの気泡を含有させているため、フィルムが保温材として作用し、液晶ディスプレイの内部温度が上昇する問題がある。液晶ディスプレイ内部に籠もった熱を排出するためには、排気ファン、ヒートパイプ等の廃熱装置を設ける必要があり、液晶ディスプレイの重量増、消費電力の増大を招く。
【0003】
基材にフィルムを貼着するかわりに、基材に塗工剤を塗工することによって、生産効率を上げることが検討されている。しかし、基材に塗工剤を単に塗工しただけでは、液晶ディスプレイのバックライト用反射板に要求される高拡散反射率を達成することが困難である。
【0004】
塗膜の膜厚が薄く、かつ高拡散反射率を有する反射板としては、例えば、アルミニウム板上に、樹脂100質量部に対し二酸化チタン150〜300質量部を含有する膜厚50〜100μmの下塗り層と、樹脂100質量部に対し二酸化チタン100〜250質量部を含有し、光沢が15以下で、膜厚10〜30μmの上塗り層とが形成された高拡散反射塗装金属板が、特許文献1に開示されている。
【0005】
しかし、特許文献1の方法では、二回の塗工が必要であり、生産効率が低い。また、樹脂100質量部に対し二酸化チタン300質量部を含有する下塗り層における顔料体積濃度は約51%であり、この濃度では550nmにおける拡散反射率を95%以上とすることは事実上困難である。
【0006】
550nmにおける拡散反射率を95%以上とするためには、顔料体積濃度をさらに高くする、または塗膜を厚くすることが考えられる。しかし、顔料体積濃度が50%を超えると、塗膜が脆くなり、充分な強度を確保することが困難である。また、塗膜を厚くしすぎると、塗膜が脆くなり、充分な強度を確保することが困難であり、しかも、液晶ディスプレイ内部の熱が基材に伝わりにくくなり、液晶ディスプレイ内部に熱が籠もってしまう。
【特許文献1】特開2002−172735号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、基材上に反射層が形成された反射体であって、反射層が薄く、反射層の強度が高く、かつ550nmにおける拡散反射率が95%以上である反射体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の反射体は、基材と、該基材上に形成された反射層とを有し、前記反射層が、白色顔料を顔料体積濃度で65〜88%含有する樹脂組成物層と、該樹脂組成物層に埋設された、目開きが100〜300μmの樹脂網状体とからなり、前記反射層の厚さが、200μm以下であることを特徴とするものである。
前記樹脂組成物層は、含フッ素樹脂をさらに含有することが好ましい。
前記白色顔料は、二酸化チタンを主成分とする顔料であることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の反射体は、反射層が薄く、反射層の強度が高く、かつ550nmにおける拡散反射率が95%以上である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、本発明の反射体の一例を示す概略断面図である。該反射体10は、基材20と、基材20上に形成された反射層30とを有して概略構成される。
【0011】
<基材>
基材20としては、金属基材、ガラス基材、樹脂基材等が挙げられる。これらのうち、液晶ディスプレイ内部の熱を外部に放出しやすい点から、金属基材が好ましい。金属基材としては、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金、チタン、チタン合金等からなる基材が挙げられる。これらのうち、成形性の点から、アルミニウムまたはその合金からなる基材(以下、アルミニウム基材と記す。)が特に好ましい。アルミニウム基材は、表面処理されたものであってもよい。該表面処理としては、クロメート処理、プライマー塗装等が挙げられる。
基材20の厚さは、通常、0.6〜2mmである。
【0012】
<反射層>
反射層30は、樹脂組成物層32と、樹脂組成物層32に埋設された樹脂網状体34とから構成される。
反射層30の厚さtは、100〜200μm以下であり、120〜150μmが好ましい。反射層30の厚さtを100μm以上とすることにより、高拡散反射率が得られ、かつ反射層30の強度が充分となる。反射層30の厚さtを200μm以下とすることにより、一回の塗工で反射層30を形成でき、液晶ディスプレイ内部の熱が基材20に伝わりやすく、かつ反射層30の強度が充分となる。反射層30の厚さtは、反射層30を基材20から剥離し、膜厚測定器を用いてフィルム状の反射層30の膜厚を測定し、得られた膜厚を平均した値である。
【0013】
(樹脂組成物層)
樹脂組成物層32は、樹脂と白色顔料とを含有する樹脂組成物からなる層である。
樹脂としては、含フッ素樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。これらのうち、耐光性がよい点、比較的屈折率が小さく、白色顔料との屈折率の差が大きくなり、高拡散反射率が得られる点から、含フッ素樹脂が好ましい。
【0014】
含フッ素樹脂としては、含フッ素単量体と他の単量体との共重合体等が挙げられる。
含フッ素単量体としては、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、ヘキサフルオロプロピレン等が挙げられる。
【0015】
他の単量体としては、ビニルエーテル系単量体、ビニルエステル系単量体、アクリル系単量体、アリルエーテル系単量体等が挙げられる。
ビニルエーテル系単量体としては、アルキルビニルエーテル類、シクロアルキルビニルエーテル類、ヒドロキシアルキルビニルエーテル類等が挙げられる。
ビニルエステル系単量体としては、バーサテック酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル等が挙げられる。
アクリル系単量体としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等が挙げられる。本発明における「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸またはメタクリル酸を意味する。
また、他の単量体の水素原子が部分的にフッ素原子に置換された化合物を用いてもよい。
【0016】
含フッ素樹脂としては、溶剤に可溶であり、かつ実質的に透明である点から、テトラフルオロエチレンまたはトリフルオロエチレン(以下、これらをまとめてフルオロエチレン系単量体と記す。)とビニルエーテル系単量体との共重合体、フルオロエチレン系単量体とビニルエステル系単量体との共重合体、フルオロエチレン系単量体とアクリル系単量体との共重合体が好ましい。
【0017】
含フッ素樹脂としては、後述の硬化剤(ポリイソシアネート樹脂)と併用することにより強靱な塗膜が形成できることから、水酸基を有する含フッ素樹脂が好ましい。水酸基を有する含フッ素樹脂の水酸基価は、30〜130KOHmg/gが好ましい。
【0018】
樹脂の含有量は、後述の顔料体積濃度に応じて適宜決定され、例えば、樹脂組成物(固形分)の100質量%中に10〜20質量%程度である。本発明における「固形分」とは、溶剤を除いた成分を意味する。
【0019】
白色顔料としては、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸鉛、酸化亜鉛等が挙げられる。これら白色顔料のうち、比較的屈折率が高く、樹脂との屈折率の差が大きくなり、高拡散反射率が得られる点から、二酸化チタンを主成分とする顔料が好ましい。本発明における「二酸化チタンを主成分とする顔料」とは、顔料(100質量%)中に二酸化チタンを95質量%以上含有するものを意味する。二酸化チタンを主成分とする顔料としては、塩素法で作られたルチル型二酸化チタンをアルミナ、シリカ、チタニア等で表面処理したものが好ましい。
【0020】
白色顔料の顔料体積濃度は、65〜88%であり、68〜86%が好ましい。白色顔料の顔料体積濃度を65%以上とすることにより、反射層30の厚さを200μm以下の薄さにしても、550nmにおける拡散反射率を95%以上とすることができる。白色顔料の顔料体積濃度を88%以下とすることにより、塗工後の成膜性がよくなる。
顔料体積濃度は、以下の式で求められる。
顔料体積濃度(%)=(樹脂組成物(固形分)100g中の白色顔料の体積)/(樹脂組成物(固形分)100gの体積)
【0021】
樹脂組成物には、必要に応じて、硬化剤、蛍光体、界面活性剤、顔料分散剤、触媒、皮張り防止剤、シランカップリング剤、レベリング剤等、通常、塗料組成物に使用する添加剤等が含まれていてもよい。
硬化剤は、塗工後の成膜性をよくし、反射層30の強度を高めるものである。硬化剤としては、ポリイソシアネート樹脂、アミノ樹脂等が挙げられる。
蛍光体は、波長変換によって拡散反射率の低い波長領域の拡散反射率を上げ、可視光領域全体にわたって高拡散反射率を高めるものである。蛍光体としては、希土類をドープした金属酸化物、たとえば、Y23:Eu(赤色蛍光)等が挙げられる。
【0022】
(樹脂網状体)
樹脂網状体34としては、樹脂メッシュ、紗網等の樹脂繊維を編織した編織体;樹脂シートにメッシュ状の孔を複数設けたもの等が挙げられる。
樹脂網状体34の樹脂としては、ナイロン、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート等が挙げられる。これらのうち、樹脂組成物層32との相溶性の点、柔軟性の点、光の吸収が少なく、反射材の一部として機能する点から、ナイロン、アクリル樹脂が好ましい。また、樹脂網状体34としては、光の吸収が少なく、反射材の一部として機能する点から、無色透明または白色のものが好ましい。
【0023】
樹脂網状体34の目開きは、100〜300μmであり、150〜250μmが好ましい。樹脂網状体34の目開きを100μm以上とすることにより、塗工された樹脂組成物を含む塗工剤が樹脂網状体34と基材20との間に浸透しやすくなり、樹脂網状体34が樹脂組成物層32に完全に埋設され、反射層30の強度が充分高くなる。樹脂網状体34の目開きを300μm以下とすることにより、樹脂網状体34の厚さが実質上200μm以下となり、反射層30の厚さを200μm以下とすることが容易である。また、反射層30の表面に樹脂網状体34が露出して拡散反射率を低下させることがない。樹脂網状体34の目開きは、以下のようにして求められる。
まず、マイクロスコープを用いて樹脂網状体の1インチ当たりの目の数を数え、これをメッシュM(=目の数/1インチ)とする。該メッシュMおよび糸の太さd(μm)から目開きA(=2.54/M−d)を求める。また、開口率e(%)は、e=(A/A+d)2 ×100で求められる。
【0024】
樹脂網状体34の厚さは、30〜200μmが好ましく、70〜150μmが特に好ましい。樹脂網状体34の厚さを30μm以上とすることにより、反射層30の強度が充分高くなる。樹脂網状体34の厚さを150μm以下とすることにより、反射層30の厚さを200μm以下とすることが容易であり、また、反射層30の表面に樹脂網状体34が露出して拡散反射率を低下させることがなくなる。樹脂網状体34の厚さは、計測して求められる。
【0025】
樹脂網状体34は、図1に示すように、樹脂組成物層32に大部分埋設されていることが好ましい。
【0026】
<反射体の製造>
反射体10は、例えば、基材20の上に樹脂網状体34を載置し、樹脂網状体34の上から樹脂組成物を含む塗工剤を塗工し、塗工剤を樹脂網状体34の目開きを通して樹脂網状体34と基材20との間に充分に浸透させた後、塗工剤からなる塗膜を乾燥させて、樹脂網状体34が樹脂組成物層32に大部分が埋設された反射層30を形成することにより製造される。
【0027】
塗工剤は、樹脂組成物を溶剤に溶解または分散させることにより調製される。溶剤としては、トルエン、キシレン、n−ヘキサン等の炭化水素系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤;メタノール、エタノール、n−ブタノール等のアルコール系溶剤;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル等のエーテルアルコール系溶剤等が挙げられる。これら溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0028】
塗工方法としては、カーテン塗工法、ロール塗工法、浸漬塗工法、スプレー塗工法、ダイコート法等が挙げられる。
塗膜の乾燥温度は、室温以上が好ましく、乾燥時間は、溶剤が蒸発する時間以上が好ましい。
【0029】
以上説明した反射体10にあっては、反射層30を構成する樹脂組成物層32が、白色顔料を顔料体積濃度で65〜88%含有しているため、反射層の厚さが200μm以下の薄さであっても、550nmにおける拡散反射率を95%以上とすることができる。また、反射層30を構成する樹脂組成物層32が、白色顔料を顔料体積濃度で65〜88%含有していても、樹脂組成物層32に樹脂網状体34の大部分が埋設されているため、反射層30が脆くなることがなく、反射層30の強度が高い。さらに、樹脂網状体34が樹脂製であるため、金属メッシュのように光の吸収が少なく、樹脂網状体34が反射材としての役割も果たし、拡散反射率がさらに高くなる。
【0030】
なお、本発明の反射体は、図示例のものに限定はされず、必要に応じて他の層を有していてもよい。例えば、反射層上または反射層と基材との間に、蛍光体を含有する蛍光体層を設けてもよく、基材表面に下塗り層を設けてもよい。
【0031】
本発明の反射体は、液晶ディスプレイのバックライト用反射板等として用いることができる。
【実施例】
【0032】
[例1]
固形分50質量%、水酸基価55mgKOH/gのフルオロエチレン系単量体とビニルエーテル系単量体との共重合体(旭硝子(株)製、商品名:ルミフロンLF600X)の10質量部、二酸化チタン顔料(デュポン社製、商品名:チタンセレクト6200)の90質量部、顔料分散剤(BYK−Chemie社製、商品名:BYK−172)の0.005質量部、酢酸n−ブチルの90質量部、ポリイソシアネート樹脂(バイエル社製、商品名:ディスモデュールN3300)の0.2質量部を混合し、塗工剤A(顔料体積濃度86%)を調製した。
【0033】
クロメート処理された厚さ0.8mmのアルミニウム基材上に、厚さ100μm、目開き150μmのナイロン製紗網を載置し、ナイロン製紗網の上から塗工剤Aをアプリケータを用いて塗工し、室温で10分以上放置した後、80℃で20分間乾燥させて、ナイロン製紗網が樹脂組成物層に埋設された厚さ130μmの反射層を形成し、反射体aを得た。
【0034】
[例2]
ルミフロンLF600Xの20質量部、チタンセレクト6200の80質量部、BYK−172の0.01質量部、酢酸n−ブチルの80質量部、ディスモデュールN3300の0.4質量部を混合し、塗工剤B(顔料体積濃度68%)を調製した。
塗工剤Bを用いた以外は例1と同様にして、ナイロン製紗網が樹脂組成物層に埋設された厚さ130μmの反射層を形成し、反射体bを得た。
【0035】
[例3]
クロメート処理された厚さ0.8mmのアルミニウム基材上に、厚さ180μm、目開き258μmのナイロン製紗網を載置し、ナイロン製紗網の上から例1で調製された塗工剤Aをアプリケータを用いて塗工し、室温で10分以上放置した後、80℃で20分間乾燥させて、ナイロン製紗網が樹脂組成物層に埋設された厚さ200μmの反射層を形成し、反射体cを得た。
【0036】
[例4]
クロメート処理された厚さ0.8mmのアルミニウム基材上に、例1で調製された塗工剤Aをアプリケータを用いて塗工し、室温で10分以上放置した後、80℃で20分間乾燥させて、樹脂組成物層のみからなる厚さ130μmの反射層を形成し、反射体dを得た。
【0037】
[例5]
クロメート処理された厚さ0.8mmのアルミニウム基材上に、厚さ100μm、目開き150μmのステンレス製メッシュを載置し、ステンレス製メッシュの上から例1で調製された塗工剤Aをアプリケータを用いて塗工し、室温で10分以上放置した後、80℃で20分間乾燥させて、ステンレス製メッシュが樹脂組成物層に埋設された厚さ130μmの反射層を形成し、反射体eを得た。
【0038】
[例6]
クロメート処理された厚さ0.8mmのアルミニウム基材上に、厚さ240μm、目開き308μmのナイロン製メッシュを載置し、ナイロン製メッシュの上から例1で調製された塗工剤Aをアプリケータを用いて塗工し、室温で10分以上放置した後、80℃で20分間乾燥させて、厚さ200μmの樹脂組成物層にナイロン製メッシュが部分的に埋設され、ナイロン製メッシュが表面に露出した厚さ240μmの反射層を形成し、反射体fを得た。
【0039】
[例7]
クロメート処理された厚さ0.8mmのアルミニウム基材上に、厚さ80μm、目開き75μmのナイロン製メッシュを載置し、ナイロン製メッシュの上から例1で調製された塗工剤Aをアプリケータを用いて塗工し、室温で10分以上放置した後、80℃で20分間乾燥させて、ナイロン製メッシュが樹脂組成物層に埋設された厚さ130μmの反射層を形成し、反射体gを得た。
【0040】
[例8]
ルミフロンLF600Xの25質量部、チタンセレクト6200の75質量部、BYK−172の0.0125質量部、酢酸n−ブチルの75質量部、ディスモデュールN3300の0.5質量部を混合し、塗工剤C(顔料体積濃度51%)を調製した。
塗工剤Cを用いた以外は例1と同様にして、ナイロン製紗網が樹脂組成物層に埋設された厚さ200μmの反射層を形成し、反射体hを得た。
【0041】
(反射体の評価)
反射体a〜hについて、以下の評価を行った。結果を表1に示す。実施例は例1〜3であり、比較例は例4〜8である。
(1)550nm拡散反射率:
島津製作所社製、UV−3100を用い、硫酸バリウムを標準とした、550nm全反射率(鏡面反射+拡散反射)を測定し、これを550nm反射率とした。
(2)耐衝撃性:
デュポン式耐衝撃試験器を用い、ポンチ径1/2インチ、おもり質量500g、落下高さ25cmで試験を行い、反射層の状態を観察し、下記の基準で評価した。
○:剥落なし。
×:剥落あり。
【0042】
【表1】

【0043】
本発明の要件を満足する例1〜3は、550nm拡散反射率および耐衝撃性ともに優れていた。
例4は、樹脂網状体が樹脂組成物層に埋設されていないため、耐衝撃性に劣っていた。例5は、ステンレス製メッシュを用いたため、550nm拡散反射率に劣り、さらに耐衝撃性にも劣っていた。例6は、反射層が200μmを超え、また、樹脂網状体が大部分露出したため550nm拡散反射率に劣っていた。例7は、樹脂網状体の目開きが小さすぎたため、樹脂網状体と基材との間に塗工剤が充分に浸透せず、結果、耐衝撃性に劣っていた。例8は、白色顔料の顔料体積濃度が低すぎたため、550nm拡散反射率に劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の反射体は、反射層が薄く、反射層の強度が高く、かつ550nmにおける拡散反射率が95%以上であり、液晶ディスプレイのバックライト用反射板等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の反射体の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0046】
10 反射体
20 基材
30 反射層
32 樹脂組成物層
34 樹脂網状体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、該基材上に形成された反射層とを有し、
前記反射層が、白色顔料を顔料体積濃度で65〜88%含有する樹脂組成物層と、該樹脂組成物層に埋設された、目開きが100〜300μmの樹脂網状体とからなり、
前記反射層の厚さが、100〜200μmである、反射体。
【請求項2】
前記樹脂組成物層が、含フッ素樹脂をさらに含有する、請求項1に記載の反射体。
【請求項3】
前記白色顔料が、二酸化チタンを主成分とする顔料である、請求項1または請求項2に記載の反射体。

【図1】
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【公開番号】特開2006−227489(P2006−227489A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−43861(P2005−43861)
【出願日】平成17年2月21日(2005.2.21)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】