説明

反射光利用型太陽光モジュールシステム

【課題】
太陽電池は太陽光エネルギーを電力に変える変換効率が13%前後である現在、必要な受光面積が大きくなり、出力電力価格が高くなる。これを抑える技術として集光方式が検討されてきた。しかしながら集光によるセルの温度が上昇するため特殊な冷却装置が必要であり、またレンズ集光方式では太陽光の照射方向を追尾して太陽電池の方角を調整するなどの装置が必要であり、経済性で大きな課題であった
【解決手段】
固定して設置された太陽光電熱モジュールを用い、その南北位置に平板の反射板を設け、該モジュール表面に向けて集光させると同時にセルの温度制御を行う方式及び太陽電池を用いて同様の集光を行いその反射板自体で空気に放熱して太陽電池セルの冷却を行う方式の各種技術について明示した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
現在日本国内はもとより海外でも太陽光発電装置及び太陽熱温水器(太陽光集熱装置)が注目されてきており、石油資源の消費削減、地球温暖化防止、石油資源関連部材の価格高騰の抑制、その他の地球環境的要請乃至は社会的ニーズに合った装置システムとして伸張が期待されている。しかしながらその市場規模は何れも日本国内の家庭用としても年間10万台程度の販売規模で推移してきた。一方ガス・石油給湯装置が400万台規模であり家庭用エアコンが700万台規模であるものと比べ極めてニッチェであり、市場規模は未だ小さい。政府の地球環境改善への緊急投資による補助金が頼りの情勢である。
【0002】
単独機能の太陽光発電装置又は太陽熱温水器自体の市場規模が伸びない理由はその装置への投資価格に対し出力効果が不十分であるためである。即ち初期投資を回収する期間(PBT)が10年以上と長期、即ち家庭用太陽光発電装置では投資の回収に30年もかかったり、逆に太陽熱温水器の耐用年数が10年以下であるなどの問題点が存在するからである。
エネルギー効率の点では、太陽光発電装置に照射される太陽光エネルギーが電力へ変換される変換効率(ECR)は実用化されている装置で12〜14%程度であり、残りのエネルギー量88〜86%は利用できていない。これがエネルギー供給装置として大面積の装置を必要とし、発電された電力コストが商用電力で得られるコストである23円/KWhの2倍近く即ち40円/KWh程度の高価格になってしまい、前述した初期投資の回収期間は30年程度に長期化し、普及が進まない主な原因となっている。このため発電セル自体の変換効率(ECR)の向上のための新しい技術開発が期待されている。
例えば家庭用の3KWの太陽光発電装置では通常30平方メーターの受光面積が必要であり、そのため設置スペース上の制約が大きいばかりでなく、実際の据付工事が極めて大変な作業を伴う事も価格アップ要因であり、且つ普及拡大を妨げている要因である。
その結果、商用の系統電力が日本国内で現在23円/KW程度であるのに対し太陽電池単独の場合の出力電力価格はその寿命を20〜25年と想定すると40円/KWh程度となってしまい、このためにその普及が進んでいない。
【0003】
従って、これらの課題解消を目指して、太陽光発電装置についても最近の研究開発は目覚しいものがある。シリコン結晶のセルを用いたものでも多結晶化、シリコン結晶の薄板化、結晶事体の発電特性向上や結晶表面の受光特性改善などの研究が進展している。
またシリコンアモルファスをガラス面乃至はプラスチックフィルム面に形成したもの乃至はそれをシリコン結晶と積層させてECRを向上させたものも出現している。また銅やインヂュームなどシリコンと異なった材質をセル材料としてガラス基板に極薄で蒸着させたものもシリコン基盤セルの代替として資源不足を回避するものも有望である。セルの電極基板としてアルミニウム薄板を用いた方式の太陽電池も商品化されてきている。これは1mm程度の直径の小さな球状のシリコンを多数のすり鉢状の壺を形成したアルミニウムの基板のこのすり鉢状の穴の中に埋め込んだ構造で、このすり鉢状の穴の表面が球状シリコンに集光させる光反射機能を有し、また電極の機能を有している。
即ち発電セルの基板としてシリコンそのもの、ガラス板、樹脂板、アルミ板など多くの種類のものがある。
【0004】
本発明者は既にこれらの発電セルを用いてさらに太陽光エネルギーを有効に利用するための太陽光モジュールの構造に関する発明を提案済みであり、民生用、特に家庭用、業務用、さらには工業用に使われるものとして、太陽光を受けて発電と温熱供給とを同時に行う太陽光エネルギー複合利用モジュール(以下太陽光コジェネレイションモジュールまたは太陽光電熱モジュールと呼ぶ)として提案してきた。
数十年前から、同じ受光体で電力と温熱を得ることができる太陽光電熱モジュールの研究及び開発が検討されてきている。即ち発電セルの背面にヒートシンクとしての金属板を設置し、その金属板と一体化された配管や媒体通路に水や冷媒を通じて発電セルで生じた温熱を収集するものである。この方式によれば太陽光発電装置と太陽熱温水器を別々に設置したものに比べて全体の受光面積が小型化でき、コストダウンと同時に設置スペースの削減という二つの基本効果が達成でき、また装置の設置工事も簡略化できる。さらに発電セルを強制的に冷却する事により発電セルの温度を低下させることができ、発電セルの発電効果が向上されるという利点が生じる。また家庭や店舗で用いた場合に電力と給湯用温熱や暖房用温熱が同時に得られるという利点がある。
以上の技術分野が目指す太陽光電熱モジュールの出力電力は市販の商用電力より低い価格即ち20円/KWh程度の価格を実現できるという大いなる効果が報告されている。
【0005】
太陽電池と異なり、太陽光電熱モジュールでは集熱機能を持たせるために、セルとヒートシンクの周囲は出来る限り断熱性能の高い材料構造を用いている。この温熱を利用するため、冷却媒体(一般には水、不凍液)をモジュール発電セルの背面に配置した冷却体に導通させて発電セルを冷却しながら集熱し、その温熱を給湯や暖房に利用することが可能である。
【0006】
本発明の技術は上記の太陽光電熱モジュールを用いてそのエネルギー変換効率
をさらに改善、向上させる技術に関し、その技術をさらに太陽電池モジュールの発電効率の改善向上に寄与させようとするものである。
太陽光電熱モジュールの特性は。
1、光照射エネルギーを電力と温熱に変換する上での高い変換効率
電力:10〜15%(太陽電池と同等乃至はより優れた発電特性)
温熱:40%以上(太陽熱温水器と同等な効率)
トータルエネルギー:53〜%程度(最高効率の達成)
以上の変換効率を達成している。
2、コスト目標:太陽電池モジュールに対しコストアップ25%以下のコストを達成
3、太陽電池と同等の運転寿命:20年以上(修理、メンテナンスを含め)を達成
4、以上により太陽光電熱モジュールの出力電力価格として前述した様に商用系統電力価格と同程度、即ち24円/KWhを達成している。
しかしながら、今後この太陽光電熱モジュール乃至は太陽電池モジュールが現在のエアコンやガス給湯機の様に広く普及させるにはさらに一層の性能の向上、コストの低減が必要となる。
【0007】
そこで、本発明では太陽光電熱モジュール乃至は太陽電池モジュールの設置面積を削減しても充分な発電及び温熱出力を確保するための広く共通に使える技術について提示する。
それは集光式であるのに拘わらず太陽光追尾を必要としない経済性に優れた方式が特徴である
即ち、モジュールの外側に張り出した光反射板を設けてモジュールの受光面に光を集光させてモジュール面積当たりの特性を向上させるのは勿論、システムのコスト対出力エネルギー比の改善する技術を提示しようとするものである。この方式の効果を具体的な商品化を実現するための幾つかの重要課題について解決する技術について提示するものである。
【0008】
従来太陽電池モジュールとその応用システムについて集光による特性の画期的な改善についての研究、開発、特許出願が実施されてきている。しかしながら前述した様に集光による発電セルの温度の上昇による特性への悪影響など重要な技術課題について完成されたレベルの技術情報が見られない。以下散発的な技術情報が見られるので、背景技術としてここで紹介する。
【背景技術】
【0009】
その中で特許文献1は集熱特性を向上させるために巧みに反射板を用いて集光による集熱を実現する優れたアイデアである。しかも集光用反射板の傾斜取り付け角度を最適にするというアイデア、上面のガラスカバーに断熱特性を持たせて特性を向上させるというアイデアが提示されている、しかしながらここで提示されている反射板利用の集光の技術はモジュール内部に反射板を設けた改善に過ぎず、モジュールの外部に反射板を設けて集光させ、モジュールを拡大せずに大幅な特性の改善を実現する本発明の方式の範疇外である。この範囲の改善技術は多く見られるが本発明の対象外の技術である。また、反射板の傾斜角度を最適に設定するという説明はあるが、実際に現地に設置した状態での最適な設定は本発明で目指す方向であり、ここでは述べられていない。
【0010】
特許文献2はリニアレンズを用いた集光方式である。この方式は現在商品化されているレンズ集光方式が太陽光追尾装置を必要であるのに比べ、固定設置で済むという点で極めてユニークである。本発明で取り扱う反射板とリニアレンズを用いた集光方式は固定型の集光方式のうち、集光特性に優れていると考えられる。レンズは太陽光モジュールの寸法より大きくまた通常の集光レンズ方式と異なり、太陽光モジュールの小型化を図ることができないという欠点はあるが特性向上への効果は十分に期待できる。課題はレンズと反射板のコストである。
さらには装置全体が立体的になり大きくなるのも実用性の点で課題として残る。
【0011】
特許文献3は太陽光モジュールの外部に反射集光機構が設置されており、モジュールに集光している。この集光による特性向上の効果は十分期待できそうである。しかしながら、集光によって太陽光モジュールが高温度になるため、太陽電池モジュールには適さないし、太陽光の照射角度に対する集光特性を最適化するという概念と技術が不十分である。さらには建物の屋根などに設置する装置としては屋根の傾斜と照射角度の問題があると同時に装置の立体的な形態は実用的とは言えない。
以上、詳細を説明してきたが、従来の技術では商品化を達成するには多くの課題が残されている事がわかる。それは本発明の対象の太陽光モジュールでは大きな面積の多数枚数のモジュールから成るためこれを屋根の上等に設置する上での設置容易性とサービス性が重要であり、且つ太陽光モジュールの特性を向上させるためにその外部の太陽光照射を簡単な構造により実現させるめの集光技術がが確立されなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004−205062号公報
【特許文献2】特開2008−216717号公報
【特許文献3】特開2001−144316号報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
太陽光電熱モジュールは太陽電池の背面に冷却機構を設けてそこに冷却媒体としてプロピレングリコール水溶液などを流して冷却し、太陽電池の発電セルを冷却しながら集熱し、それをモジュールの外部まで運び、給湯や暖房に利用するものである。太陽光発電モジュールが発電する場合の太陽光エネルギーを電力に変換する効率は10〜15%であり、集熱による温熱への変換効率は40〜45%である。従って合わせて50〜60%の変換効率を獲得できる。本発明はこの変換効率を高めるために太陽光電熱モジュールの外部に集光板を設けて、モジュール面積当たり70%以上の変換効率を達成し、太陽光エネルギー利用システムの利用時の経済性を一層高めて普及を促そうとする狙いである。
【0014】
太陽光電熱モジュールの場合には発電セルは最適温度に冷却できるから太陽電池の様に集熱によって発電セルの温度が上昇してしまって、発電特性が低下してしまう欠点を根本的に回避できるものであり、これをたくみに利用して固定型の反射板を設けて平板型のモジュールの上面に集光させて発電特性と集熱特性の双方を向上させようとする技術である。
このためには集熱構造と方式、集熱板の形状、集熱板材料、集熱とモジュール温度制御などにつき集熱効果を最高度に発揮させるための技術を明確にしなければならない。
【0015】
一方、特別な冷却機能を持たないで、自然冷却に頼る太陽電池モジュールの場合、反射板で集光させるとセルの温度が上昇してしまい、発電特性が低下して、反射板を追加して集光させた効果は相殺されてしまう。これを防いで反射板の効果を100%発揮させるには太陽光電熱モジュールで適用される上記の各種技術に加えて、反射板自体によって温度上昇を防いで冷却させる技術が必要となる。
以上が本発明が解決しようとする課題である。

【課題を解決するための手段】
【0016】
以上の課題を解決する手段を順次説明する。発明者は固定して設置された平板状の太陽光電熱モジュールが普及していくと予想している。その代表的な構造の断面詳細を図1に示す。 太陽電池のみではエネルギー変換効率が低すぎて大きな面積を必要とし、経済的に成立しずらいし、太陽熱温水器では変換効率は若干高くても出力する温熱の経済価値は低く、電力と同じKWエネルギーに比べ1/3程度の価値しか無く自然エネルギー装置の主役には成り難いと考えられ、それに対し電熱モジュールは1つのモジュールで発電させ、且つ温熱を出力させる事により、システムとして必要なモジュールの総面積を小型化でき、その結果、システム装置の経済性も優れているからである。
【0017】
一方太陽光利用モジュールの出力を増加させる方式として検討されてきた集光方式はモジュール面積当たりの電力出力を増加させる事が可能であるが、太陽電池セルの温度を上昇させてしまうため、冷却装置を設置する必要があった。そこで、本発明はもともと冷却装置としての温熱回収装置を持った太陽光電熱モジュールについてさらにエネルギー変換効率を増加させる技術についてその詳細を提示している。請求項1では、北半球では南向きに傾斜させて設置される太陽光電熱モジュールの南北両端辺の外側に延長させた形状の反射板を設け、太陽光を反射させてモジュールの表面に集光させる方法を提示している。この時、重要な事は南北両方向に反射板を設置することと、その設置角度の設定である。図2はこの反射板を設置した太陽光電熱モジュールシステムの断面形状を示している
【0018】
図3は北緯35度の東京近郊で平屋根式の建物の屋上に10度南に傾斜した4段のモジュールアレイを設置した反射板付き太陽光電熱モジュールアレイシステムを示す。また図4はそのシステムの太陽光エネルギーから電力と温熱へ変換される効率を、反射板が無い場合を1.0とし平均の改善率を測定乃至は計算したものである。その結果から分かる通り、反射板の設置角度には最適角度が存在する。その角度よりも太陽光迎え角度が狭まると急激に変換効率は悪化する。また迎え角度を広げても反射板を設置しない状態まで変換効率は低下する。
また、反射板を南北の片方のみに設置した場合のその変換効率改善率は図4の改善度の30%程度しかない事が分かっている。それは反射された光のモジュール上面の分布が均一でなくなり、その影響があるからである。
【0019】
請求項1で提示した様に、本発明では南北方向に反射板を設置することを提示している。東西方向にも反射板を設置して全外周囲に反射板を設けることを検討したが、東西方向では固定角度の反射板による集光は効果が生じないことが分かっている。太陽光の直射光は朝方及び夕方は東西方向から入射する。その展開角度は180度に渡るため、反射板の迎え角は180度に開いた状態の反射板となる。これでは反射光はモジュール表面に導かれないので、迎え角は180度より狭くすることが前提となる。その場合その迎え角を90度程度に狭くすれば反射光はモジュール表面にガイドされるが、その角度より外れたところから入射する散乱光は反射板の背面を照射することとなり、却ってモジュールへの入射する射光量は減少してしまうからである。
【0020】
従って実用的には反射板をモジュールを南北方向に延長させた状態に設置することが前提となる。この反射板はほぼ平坦の反射面を持ち、その横幅はモジュールの横幅寸法より大きくする必要がある。東西に傾いた方向からの入射光を反射板で捉えてモジュール表面にガイドする効果を持たせるためである。次に反射板の反射特性が充分高い事が必要である。バフ仕上げなどにより金属の表面に光沢度処理をする事により反射率を高め、その上で酸化防止の透明塗料を塗布することも、高い反射率の確保とその特性を長期に渡って維持することに有効である。他の方法として、平坦な樹脂にアルミニウムを蒸着させて光沢アルミ反射面を確保する方法も有効である。現在、照明器具の反射板、自動車ヘッドライトの反射板形成などの技術を流用する。反射率として80%以上の反射面を確保することが前提となる。
【0021】
次に反射面の設置角度についての技術が重要となる。図2に見られる様に二枚の反射板の太陽光側迎え角範囲(開き角)は太陽光をより多く捉えるためには広角である事が望ましい。しかしながら反射板に捉えた太陽光をモジュール表面に向けて反射させるにはその迎え角範囲を広げる事は得策ではない。この最適値の評価選定はモジュールアレイシステムの設置場所の緯度(地球上の南北方向位置)によって影響を受ける。また夏は太陽は鉛直方向(天頂に近い真上方向)からの入射光量が増え、冬は北半球では南の水平方向に近い方向からの入射光量が増える。太陽の直射方向角度の夏冬での差は太陽光回帰線緯度の角度である23度26分の二倍、即ち、約46.5度である。
【0022】
そこで、発明者は二枚の集光用反射板の迎え角(広がり角)をこの46.5度を基準に
し、その中央の角度をシステムの設置している緯度だけ天頂より南方向(南半球では着た方向)に傾斜させて、計算による評価を行った。これを纏めたものを図4に示す。即ち二枚ノン反射板の広がり角度を46.5度に設定した場合のモジュールシステムのモジュール面積を基準にして計算したエネルギー変換効率を示している。このデータの算定条件はモジュールのトータル面積を50%に削減して設置しそのモジュール間に反射板を最適状態になる様に設置したもので、その状況は図3の様に示される。
【0023】
迎え角を30度狭くした場合は変換効率は反射板無い場合より悪化してしまい、30度広げた場合にも殆どその効果は失われることがわかる。即ちマイナス30度からプラス30度の範囲に変換効率を最大化する最適状態が存在する。その最適角度はモジュール面積の設定により異なり、モジュール面積率が100%に近い、即ち反射板の面積がゼロに近いほど狭い迎え角が良く、その逆で、大きな反射板を使う時は広い迎え角が良い、それはモジュールの設置角度によっても影響を受ける。
【0024】
総合的には請求項1に規定した様に北側の反射板角度は鉛直面(水平と直角面)からその地点の緯度マイナス23.3度(即ち東京であれば鉛直面から35度マイナス23.3度=11.7度南へ傾斜した角度)プラスマイナス15度(範囲として30度)、南側の反射板角度は鉛直面(水平と直角面)からその地点の緯度プラス23.3度(即ち東京であれば鉛直面から35度プラス23.3度=58.3度南へ傾斜した角度)プラスマイナス15度の間の角度に設置することが望ましい。
ここで、反射板を片方の一枚にした場合はその設定すべき角度の最適値の選定はいろいろな意味で影響要素が増えてしまい、設定が出来難いと云えるし、変換効率を高める効果も限定的になる。
以上述べて来た反射板ありの場合のモジュールのエネルギー変換効率とは、出力エネルギーを反射板無しの時のモジュール面積に照射する太陽光エネルギー量で除した見かけの数値である。従ってモジュール面積を減少させて、モジュール間に反射板を設置する手段が変換効率を向上させるための有力な方策となる。
【0025】
モジュールの面積と反射板の面積の割合の最適解も大変複雑な要素がある。両者の面積が同じ場合、反射板の反射率を80%、反射光のモジュール表面照射率を70%、モジュール表面での有効率(反射板を経ない入射光と反射板からの反射光が、モジュール表面から反射されない率の比を70%)とすると、総合効率は約40%となる。その場合総合変換効率は反射板無しの場合と比較して1.0プラス1.0*0.4=1.4となる。即ち反射板により40%変換効率が増加する。同じモジュール面積で比較するなら40%出力が増すことになる。反射板設置による投資額の増加を15%と仮定すると、投資対効果は40マイナス15=25%となる。即ち反射板無しのシステムに比べ25%の利得が得られることとなる。
【0026】
請求項3では反射板の面積について推奨される範囲を提示している。反射板面積をモジュール面積に対し1.4倍を超えると上記の反射光がモジュール表面をヒットする照射率
が著しく低減するし、反射板面積をモジュール面積の60%以下にした場合は、変換効率の向上は20%程度となり投資額の増加である12%程度を差し引くと8%以下の改善効果しか期待できない。従って推奨する反射板面積はモジュール総面積の0.6〜1.4倍の間で設定することが有効となる。
【0027】
反射板の効果をより有効にするにはモジュールの南北方向の辺の長さを小さくして設置する反射板の面積をあまり大きくしない事が実用的である。反射板が大きいと外観と見栄えを悪くし、台風などの強風に晒される強度や耐久性も重点課題となる。従ってモジュールの南北方向の長さを短い辺とし、その分東西の寸法を広げて所要の発電、温熱収集面積を確保することが実用的である。
さらに反射板は正午以外の時間帯には東西から入射する太陽光を有効にモジュール表面にガイドするには反射板の横幅をモジュールの東西幅より広くすることが実用的である。請求項2ではこの実用上の技術について提示している。
【0028】
反射板に要求される機能の主なものは外観デザイン、光反射特性、台風などに対する強度、信頼性などである。優れた光反射特性は金属の表面の特性を利用することが重要であり、アルミニウム、ステンレス鉄鋼、銀、銅などがその候補材料となる。コストと製造性からアルミニウム薄板、アルミニウム蒸着樹脂、SUS薄板などが候補となる。その特性は薄板状で軽量ではあるが強度が低い事である。従って図3に示した様に反射板は折り曲げて三角形の二辺を構成し、支持部材などと一緒に三角形の断面を持った強度部材に仕上げることが実用的である事が分かる。屋根の上などに設置する時の作業性、屋根の耐加重強度の点で、反射板を薄板状に構成させることは重要であり、その薄板構造の反射板の強度を確保する上で三角形形状の2面に反射面を設けることは極めて実用的で合理的な技術である。
【0029】
反射板で集光させてモジュールへの照射光量を増加させる事によりモジュールは発電量と温熱発生量が増える。これにより発電セルを含むモジュールの温度は上昇しようとする。
温度上昇により発電セルの発電量の温度傾斜特性により発電量は減少してしまうため、モジュールの温度制御が重要となる。高い温熱の温度が必要な時と、高い発電量が必要な時とモジュールの温度を変えるべく制御することが望ましい。例えば発電重視の時はモジュールとセルの温度を50℃程度に、温熱の温度を高めたい時は60℃程度に制御することはシステム総合として極めて高い商品性を実現する事になる。
【0030】
モジュールが太陽光電熱モジュールではなくて単機能の太陽電池のときは、冷却機能が無いため前述の制御が出来ない。そこで請求項6はこれまで述べてきた反射板によって直に太陽電池のセルを冷却させる技術を提示している。図5に示す様に反射板はアルミ板で構成されており反射面は反射機能が施されている。この反射板は太陽電池の下面の半分まで延長された構造で、発電セルの基板はこのアルミ板と密着され発電セルの発生熱は基板を通してアルミ板へと伝わり反射板へと伝熱され、アルミ板表面特に切り起された放熱フィン部から外気へと放熱される。この構造により反射板によりモジュールに照射される太陽光量は増えて発電量が増えてもその温度はむしろ低下する。その事により更に発電量は増加するという
効果を発揮する。
【0031】
反射板から延長された反射板は図5で分かるとおり、モジュールの底面部の真ん中近くまで延長されているが、そこで分離されている。これはこのアルミ板の温度変化による熱膨張歪が発電セルにもろに伝わって破損させることを防止するものである。モジュールの基板は発電セルと熱膨張係数が近い材質を用いている。例えば発電セルが結晶シリコンであるならば、その極めて小さな膨張係数にあわせて、実用可能な金属の中で最も膨張係数の小さな鉄板を用いている。外気への熱を放熱させるために図で示される様に随所に放熱フィンが切り起されている。このため反射板の反射面は別ピースの高反射特性を処理したアルミ薄板をその面に貼り付けている。
【0032】
請求項7は以上に説明したモジュールシステムが適用し難い事例に対する技術の提示で、特に平坦な地面乃至はビルの屋上などの平坦面に南向きに傾斜させた多数のモジュールを設置する場合である。この場合には各モジュールはその地点の緯度角度(例えば東京では35度)だけ南向きに傾斜させて設置することが多い。この場合南北に隣接するモジュールは冬季に南側のモジュールの影が北側のモジュールへの照射を邪魔しないようにかなり
離れた位置に設置される事が多い。この場合高い水平位置にある南側のモジュールの北側の辺と低い位置にある北側のモジュールの南側の辺とを結ぶ平面を反射板とする方法が実用的である。この場合はモジュールと反射板の全体がジグザグに連なるように構成される。この場合は南側に位置するモジュールの北側からの反射板による集光は無くなるが、南側からの反射板による集光の効果は大きなものとなる。即ち夏にその効果は増大する事になる。
【0033】
図6にビルの屋上に設置した事例を示す。この図でわかる通り冬の条件を考慮すると南北に連なるモジュールは北側のモジュールを日陰にしないように一定の間隔を空けて設置せざるを得ない。従ってこの部分に反射板を設ける事が合理的である。従って南北に連なるモジュールを一枚の平らな反射板で連結するような構成となる。
請求項8はこの請求項7の状態に設置された太陽電池の事例に対する発明であり、請求項6のケースと同じになる。図5に示した様な太陽電池に対する冷却効果があり、集光による発電量の増加と冷却による発電量の増加の効果が期待できる。
【発明の効果】
【0034】
以上の説明で分かる通り、本発明の効果は以下の様な項目となる。
1、集光により太陽光電熱モジュールシステムでは発電量と温熱収集量が増加できる。
2、太陽電池のシステムでは集光と冷却により発電量の増加が期待できる。
3、集光装置の具体的な設計、設置のガイド指針を提示できる。
4、平板状の簡単な構造の固定式反射板により集光効果が期待でき、反射板の設置に要する費用よりはるかに大きな経済効果が期待できる。
5、集光効果により集熱された温熱の温度が高くなり、且つモジュールの面積の減少によりモジュールの外面からの放熱ロスが低減できその効果は高まる。
6、以上の効果によりその経済効果を高める事が可能となり、自然エネルギーを利用する観点から、当該システムの実用化、普及が進展できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】太陽光電熱モジュールの構造断面図
【図2】本発明の太陽光電熱モジュールに反射板を設置したシステムの図
【図3】複数の太陽光電熱モジュールに反射板を設置したシステムの図
【図4】太陽光エネルギーの変換効率に及ぼす反射板取り付け角度の影響
【図5】本発明の太陽電池モジュールに反射板を設置したシステムの図
【図6】平坦なビルの屋上に太陽光電熱モジュールに反射板を設置したシステムの図
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態を、図1〜図6に基づいて説明する。
【実施例1】
【0037】
図1、2、3、4は太陽光電熱モジュールに反射板を設置した事例を示す。太陽光電熱モジュール1は上面ガラス2の下層の空気層と断熱層8により断熱されているから発生熱量の大部分は冷却媒体用銅管6内を流れる冷却媒体であるプロピレングリコール水溶液により冷却される。従ってこの媒体の温度と循環量を制御すればモジュールの温度即ち発電セル4の温度は制御することができる。従って太陽光を多量に集光し、発電量と発熱量を増しても発電セルの温度を上昇させずに制御することが可能である。本実施例では構造基板5の温度を57℃、冷却媒体の平均温度を55℃を標準条件として制御している。それは出力温熱を給湯、暖房に利用する上で必要な温度から設定されている。
【0038】
そこで、図2の様にモジュールの南北方向の2辺の外側に延長して北側反射板102と南側反射板101を取り付けてそこに太陽光を反射させてモジュール1に集光させる。
太陽の直射光は例えば東京では春分と秋分の昼12時には天頂から南側35度(東京の北緯)水平方向に傾斜した方向から入射する。夏は35度マイナス23.3度(回帰線角度)即ち11.7度南側に傾斜した方向から入射する。冬は35度プラス23.3度即ち58.3度南側に傾斜した方向から入射する。
【0039】
そこで、反射板によってモジュールに集光させるにはまづ、この直射光がモジュールに入射するのを邪魔しない様にしている。このために本実施例では、反射板102は11.7度南に傾斜されて取り付けられている。また反射板101は58.3度南に傾斜されて取り付けられている。この場合の迎え角は標準迎え角である46.6度(23.3度の2倍)となっている。
この状態での年間の太陽光エネルギー変換効率は図4で示す標準迎え角での値であり、それは約1.4である。この設置角度を迎え角が少し狭める様にするとその値は急激に減少し、反射板が無い状態(変換効率1.0)より悪化してしまう。この設置角度を迎え角が広がるようにすると最後は変換効率は1.0に近付く。この迎え角の影響は朝晩及び春夏秋冬の太陽光入射角度の変化の影響の集積であり、その影響の算定は極めて複雑であり、説明が難しい。
【0040】
その影響の算定は、実は太陽光電熱モジュール自体の設置角度によっても大きく変化する。図3には平坦なビルの屋上にモジュールを10度傾斜させた事例を示している。この場合には反射板101と102はその先端で折り曲げられた一体の板厚1.0mmのアルミ板を用いている。このアルミ板の表面は反射率向上のバフ加工が施されて防錆のため透明なフッ素系フィルムで密着カバーされている。モジュール支持106とシステム架台107を含めて反射板は三角形を形成しており、薄板のアルミ板ではあるが十分な強度を有し、例えば台風などに晒されても問題ない強度を有している。
【0041】
図2は単品のモジュールを図にしているが、この場合には反射板101,102は大きな面積にすることは出来ない。台風に対する強度などの点で図3の場合より劣るからである。この場合反射板を単に小型化するのではなくて、モジュールの南北方向寸法を小さくして東西方向に長い形状にして反射板の突出高さを抑えるか、または反射板の背面部に押さえ部材を取り付けて断面が図3の様に三角形となる様に構成するのが実用的である。
【0042】
モジュールの面積に対し、図2は反射板の面積を1.2倍に、図3では1.6倍にして
設計している。この場合、モジュール1の見かけの太陽光ネルギー変換効率はその面積増加割合の40%程度が上乗せされるから図2では1.48倍、図3では1.64倍となると算定されるが、実際は反射板面積を1.0倍以上ではこの40%の数値は少しずつ頭打ち傾向となるから変換効率改善率は最大1.5倍程度と考えて設計する。見かけの変換効率とは直接入射する太陽光エネルギー(即ち反射板の無い状態での入力)に対しての実際の発電量プラス温熱出力量の和(反射板がある場合の出力)の比率である。反射板の大きさは変換効率のみでなく、強度信頼性、据付性、外観デザイン性、価格(含む据付費)など多くの評価要因があるのは勿論である。
【実施例2】
【0043】
図5はモジュール1が冷却機能を持たない太陽電池の場合の事例である。この場合事例1の様な方法で集光してもその効果は半減する。即ち反射板面積をモジュール面積と同じにしても1.4倍の変換効率は得られないで1.2程度となってしまう。それは太陽電池セル4の温度が上昇してしまい発電特性の温度依存性から発電量が減少してしまうからである。1.2倍程度の変換効率向上度では反射板の設置費用が15〜20%増えるため、経済性の改善は殆ど無い。実施例2の図5では反射板の基板を板厚1.5mmのアルミ平板とし、その表面に反射用のアルミ蒸着フィルムを貼り付けてある。さらに基板のアルミ板を太陽電池の基板となるバックシート104の背面をカバーする様に太陽電池の背面まで延長してバックシートと接着している。さらにアルミ基板は図に示した様に切りお越し部を多数設けて図の様に切り起している。この切りお越し部分が放熱フィンとして外界空気に放熱を助長し、アルミ基板内の伝熱によりバックシートをさらには太陽電池セル4を冷却している。
【0044】
反射板101,102は実施例1のそれとは形状も機能も若干異なるが、反射機能で集光してモジュールのエネルギー変換効率を向上させることを目的としている点、及び本発明の根幹を成す反射板の基本構成は同じ技術をベースとしている点で同一である。しかしながら太陽電池電熱モジュールでは電力と温熱の双方に対してその効果があり実用的な効果が高いこと、冷却機能を持たせる必要が無い点で実行には優位である。
【実施例3】
【0045】
図6は平坦な設置面であるビルの屋上に多数のモジュールを35度南側に傾斜させて設置し、南北に隣接するモジュール間を平坦な一枚の反射板で連結した構造にしている。これは設置面が平坦であるにも拘わらず、モジュールの傾斜角度を35度の様に大きくした場合、以上に述べて来た様なモジュールの南北に別々の反射板を設置すると北側に取り付けた反射板の先端が高い位置となり、前述した方法では結果としてモジュール面積に対し反射板の面積が大きくなり勝ちで、その全てはエネルギー変換効率の向上に結びつかないし、先端位置が高い為種々の問題を惹起する。例えば台風などへの強度確保が難しく、先端で風きり音が発生するなどである。
【0046】
このケースでモジュールが太陽電池の場合も同様である。反射板の南北端は図5と同じように太陽電池20の背面までカバーしてセルを冷却するための図5と同じ機構が付いている。この結果、反射板102とモジュール20を含んだ三角形が形成され構造物として安定した構造となっているのがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上の発明による技術は、人類が今後必要とする太陽光エネルギーを地上で利用できるエネルギーに変換するシステムを普及させる上で極めて重要で必要な基本技術である。
これを実用化して、
1、モジュール面積の小型化によりコスト低減し全ての建造物の屋根に設置し易くして装置の普及に貢献できる。
2、野菜工場など、今後必要となる一次産業のエネルギーインフラを担えるなど多くの業務用、産業用のエネルギー需要に対応できる。
3、装置システムは比較的簡単な構造方式であり、多くの事業者が参入し易く、装置の普及に貢献できる。
4、今後、住宅、店舗、農業などに必須なシステム装置として1つの産業を構成するように発展できる可能性が大きい。

【符号の説明】
【0048】
1 太陽光電熱モジュール
2 上面カバーガラス
3 セル上面カバーフィルム
4 発電セル
5 構造基板
6 冷却媒体用銅管
7 配管カバー
8 断熱層
10 冷却配管
11 冷却媒体流路
20 太陽電池モジュール
50 夏の太陽直射光
51 冬の太陽直射光
100屋根
101南側光反射板
102北側光反射板
103切起こしフィン
106モジュール支持
107システム架台


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に太陽光を受けて電力と温熱を出力させてそれを利用する四角い平板状の太陽光電熱モジュールを水平に乃至は南に傾斜させて固定状態で設置して夫々南北の辺から外部に延長させた位置に2枚の光反射板を設置した反射光利用型太陽光電熱モジュールシステムに於いて、
前記光反射板の表面は平板状で光反射特性に優れた金属面乃至は透明な表面処理層にカバーされた金属板乃至は樹脂板からなり、前記太陽光電熱モジュールの北側の一辺に設置した前記光反射板はその表面の角度を鉛直の角度から、その地点の北緯緯度から23.3度をマイナスした角度だけ南へ傾斜させた角度、即ち夏期の正午太陽光角度で乃至はその前後15度の範囲の角度で設置し、南側の一辺に設置した前記光反射板はその表面の角度を鉛直面の角度から、その地点の北緯緯度と23.3度をプラスした角度だけ南へ傾斜させた角度、即ち冬季の正午太陽光角度)で乃至はその前後15度の範囲の角度で設置したことを特徴とした反射光利用型太陽光モジュールシステム。
【請求項2】
上面に太陽光を受けて電力と温熱を出力させてそれを利用する東西に長い辺を持つ長方形の平板状の太陽光電熱モジュールを水平に乃至は南に傾斜させて固定状態で設置して夫々南北の辺から外部に延長させた位置に前期太陽光電熱モジュールの東西幅より大きな幅を持った2枚の光反射板を設置した反射光利用型太陽光モジュールシステムに於いて、
前記光反射板は表面が平板状で光反射特性に優れた金属面乃至は透明な表面処理層にカバーされた金属板乃至は樹脂板からなり、北側の一辺に設置した前記光反射板はその表面の角度を鉛直の角度から、その地点の北緯緯度から23.3度をマイナスした角度だけ南へ傾斜させた角度、即ち夏期の正午太陽光角度で乃至はその前後15度の範囲の角度で設置し、南側の一辺に設置した前記光反射板はその表面の角度を鉛直面の角度から、その地点の北緯緯度と23.3度をプラスした角度だけ南へ傾斜させた角度、即ち冬季の正午太陽光角度で乃至はその前後15度の範囲の角度で設置したことを特徴とした反射光利用型太陽光モジュールシステム。
【請求項3】
上面に太陽光を受けて電力と温熱を出力させてそれを利用する複数の四角い平板状の太陽光電熱モジュールを水平に乃至は南に傾斜させて固定状態で設置して夫々南北の辺から外部に延長させた位置に2枚の光反射板を設置した反射光利用型太陽光電熱モジュールシステムに於いて、
前記光反射板の表面は平板状で光反射特性に優れた金属面乃至は透明な表面処理層にカバーされた金属板乃至は樹脂板からなり、前記太陽光電熱モジュールの北の一辺に設置した前記光反射板はその表面の角度を、鉛直の角度からその地点の北緯緯度から23.3度をマイナスした角度だけ南へ傾斜させた角度、即ち夏期の正午太陽光角度で乃至はその前後15度の範囲の角度で設置し、南の一辺に設置した前記光反射板はその表面の角度を鉛直面の角度から、その地点の北緯緯度と23.3度をプラスした角度だけ南へ傾斜させた角度、即ち冬季の正午の太陽光角度で乃至はその前後15度の範囲の角度で設置すると共に、前記太陽光電熱モジュールの面積に対し二枚の前記光反射板の総面積を0.6〜1.4倍になる様に設置し、且つ南北に隣接する複数の反射光利用型太陽光電熱モジュールの間の光反射板先端でそれらが連続する様に一体に構成したことを特徴とした反射光利用型太陽光モジュールシステム。
【請求項4】
前記光反射板の反射面は高輝度のアルミ乃至はステンレス金属面となし、該光反射板は東西方向から見て断面形状が大略三角形となしたことを特徴とした請求項1、2、3の何れか一項に記載された反射光利用型太陽光モジュールシステム。
【請求項5】
前記太陽光電熱モジュールの発電セルの温度は該セル乃至は該セルの冷却を行うべく構成された冷却体の温度を計測して発電重視のときと温熱温度重視のときと少なくとも2種類の異なった温度で制御を行うべく前記冷却体の冷却特性を制御したことを特徴とした請求項1、2、3、4の何れか一項に記載された反射光利用型太陽光モジュールシステム。
【請求項6】
前記太陽光電熱モジュールに代えて電力のみを出力する太陽電池モジュールを用い、且つ前記2枚の光反射板をアルミの平板により構成し、且つ該光反射板を前記太陽電池モジュールの背面まで延長する乃至は太陽電池モジュールの発電セルを配設した基板となる金属の平板と伝熱関係となる様に取り付けることにより、太陽電池モジュールへの集光板であると同時に冷却装置となる様に構成させたことを特徴とした請求項1、2、3、4の何れか一項に記載された反射光利用型太陽光モジュールシステム。
【請求項7】
平坦な地上乃至は建造物の上面で、上面に太陽光を受けて電力と温熱を出力させてそれを利用する四角い平板状の複数の太陽光電熱モジュールを、設置場所の緯度角度プラスマイナス15度だけ南方向に傾斜させて固定状態で設置し、南北に隣接する二枚の前記太陽光電熱モジュールの夫々の近接する南北の辺を両端とする一枚の平坦な光反射板を設置した反射光利用型太陽光電熱モジュールシステムに於いて、
前記光反射板の表面は平板状で光反射特性に優れた金属面乃至は透明な表面処理層にカバーされた金属板乃至は樹脂板からなり、前記光反射板はその表面の角度を、鉛直の角度からその地点の北緯緯度から23.3度をプラスした角度、即ち冬季の正午の太陽光照射角度で乃至はその前後15度の範囲の角度で設置すると共に、前記太陽光電熱モジュールの面積に対し前記光反射板の面積を0.8〜1.4倍になる様に設置したことを特徴とした反射光利用型太陽光モジュールシステム。
【請求項8】
前記太陽光電熱モジュールに代えて電力のみを出力する太陽電池モジュールを用い、且つ前記光反射板をアルミの平板により構成し、且つ該光反射板を前記太陽電池モジュールの背面まで延長する乃至は太陽電池モジュールの発電セルを配設した基板となる金属の平板と伝熱関係となる様に取り付けることにより、太陽電池モジュールへの集光板であると同時に冷却装置となる様に構成させたことを特徴とした請求項7に記載された反射光利用型太陽光モジュールシステム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−129626(P2011−129626A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285225(P2009−285225)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(308033113)株式会社GF技研 (8)
【Fターム(参考)】