説明

反射器およびこれを備えたキャピラリ電気泳動分析装置

【課題】 電気泳動および電気浸透流に影響を与えず、安価かつ容易に蛍光検出部の検出感度を向上することができる汎用性の高い反射器、およびこれを備えたキャピラリ電気泳動分析装置を提供する。
【解決手段】 キャピラリの一部を外囲して設けられ、励起光が透過する励起光入射部と、前記励起光入射部を経て入射した励起光を反射し蛍光を透過する励起光反射部と、励起光および蛍光を反射する反射部とを含む反射器を、キャピラリ電気泳動装置の蛍光検出部に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャピラリ電気泳動分析装置の蛍光検出器として好適に実施することができる反射器およびこれを備えたキャピラリ電気泳動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
キャピラリ電気泳動分析装置は、化学分野および生物学分野から医療分野に及ぶ広範な研究において、薬物、アミノ酸、神経伝達物質、オリゴ糖以下の糖鎖などの比較的低分子の有機化合物、核酸、タンパク質などの生体高分子、および金属類などの分離分析に用いられる。
【0003】
キャピラリ電気泳動分析装置は、フューズドシリカから成る内径10〜200μm程度の中空のキャピラリ内、キャピラリの一端部に設けられる試料導入側泳動槽およびキャピラリの他端部に設けられる導出側泳動槽を電解質溶液である泳動液で満たし、試料導入側キャピラリの先端に分析対象である試料を導入したのち、各泳動槽間に高電圧を印加して試料内の被分析物を分離する。
【0004】
そしてキャピラリの他端部付近で、キャピラリ内の被分析物を含有する分析対象液体に励起光となる光を照射することによって、前記分離された被分析物を励起して蛍光を発生させ、この発生した蛍光を蛍光検出器にて検出することによって、分析対象液体中に被分析物が存在するか否か、および該被分析物の量を分析することができる装置である。
【0005】
典型的なキャピラリ電気泳動分析装置の蛍光検出部は、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示される技術(以下、「従来技術1」という。)によれば、キャピラリ電気泳動分析装置の蛍光検出部は、励起光を出射する励起光発生手段と、励起光をキャピラリ側へ反射するミラーと、分析対象液体中の被分析物が誘導放出した蛍光を蛍光検出器側へ反射して集光するコレクタと、蛍光を受光する受光部を有し、この受光部によって受光された蛍光の強度を検出する蛍光検出器と、を含んで構成される。
【0006】
ところで、微量物質の分析には、蛍光検出器の検出感度を向上する必要がある。蛍光検出器の検出感度を向上する方法として、励起光がキャピラリ内に入射してから出射するまでの距離を長くし、被分析物に多くの励起光を照射することが考えられる。
【0007】
しかしながら、従来技術1では、励起光は、キャピラリの軸線に垂直に交差する方向に向けて照射されるので、キャピラリに励起光が照射される距離は、キャピラリの内径に依存した長さとなり、キャピラリの形状に支配されてしまう。
【0008】
励起光がキャピラリ内に入射してから出射するまでの距離を長くするための技術が特許文献2に開示されている。特許文献2に開示される技術(以下、「従来技術2」という。)では、励起光が照射される部分のキャピラリをクランク形状とも呼ばれる屈曲した形状とし、これによってキャピラリにおける励起光が照射される区間の距離を長くして、キャピラリ内の被分析物への励起光の照射量を多くしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−119809号公報
【特許文献2】特開平4−363655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来技術2では、融点が1300℃程度のフューズドシリカからなる小径のキャピラリを屈曲させて加工しなければならないので、キャピラリの加工に多大な費用を要し、キャピラリの製造コストが高価になるばかりか、検出窓の形状を変更する必要がある。
【0011】
また従来技術2は、キャピラリの一部を屈曲させる構造であるので、キャピラリの屈曲部において、電気泳動(Electrophoresis、略称;EP)および電気浸透流(Electroosmotic Flow、略称;EOF)に乱れが生じてしまう。これによって被分析物が拡散されてしまうので、蛍光検出器における被分析物のピーク形状が小さくなるばかりか、ピーク形状が乱れ、さらには分離効率が低下するという問題がある。
また高電圧印加時の発熱によって、キャピラリの屈曲部が破損してしまうおそれもある。
【0012】
また、キャピラリの形状に合せてキャピラリ電気泳動分析装置の構造も変更する必要があるため、既存のキャピラリ電気泳動分析装置に容易に用いることができず汎用性が低い。したがって、従来技術2では、安価かつ容易に蛍光検出部の検出感度を向上することができない。
【0013】
したがって、本発明の目的は、電気泳動および電気浸透流に影響を与えず、安価かつ容易に蛍光検出部の検出感度を向上することができる汎用性の高い反射器、およびこれを備えたキャピラリ電気泳動分析装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、被分析物を電気泳動させるためのキャピラリと、
前記キャピラリの一端部が接続され、泳動液が貯留される導入側貯留槽と、
前記キャピラリの他端部が接続され、前記キャピラリから流出した廃液を貯留する導出側貯留槽と、
前記導入側貯留槽および導出側貯留槽内にそれぞれ設けられる電極と、
前記電極間に電圧を印加する電源部と、
キャピラリに励起光を照射し、キャピラリ内の被分析物によって発生する蛍光を検出する蛍光検出部とを含むキャピラリ電気泳動装置の蛍光検出部に設けられる反射器であって、
前記反射器は、キャピラリの一部を外囲して設けられ、
励起光が透過する励起光入射部と、
前記励起光入射部を経て入射した励起光を反射し蛍光を透過する励起光反射部と、
励起光および蛍光を反射する反射部と、を含むことを特徴とする反射器である。
【0015】
また本発明は、前記反射器の内部空間には、屈折液が充填されることを特徴とする。
また本発明は、前記反射器を備えることを特徴とするキャピラリ電気泳動装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明に従えば、反射器は、キャピラリの一部を外囲して設けられ、励起光が透過する励起光入射部と、励起光入射部を経て入射した励起光を反射し蛍光を透過する励起光反射部と、励起光および蛍光を反射する反射部とを含んで構成される。
【0017】
これによって、反射器は励起光入射部から入射した励起光を反射部によって反射することができる。したがって、キャピラリに対して励起光を複数回照射することができるので、励起光のキャピラリ内への入射量を多くすることができ、被分析物を確実に励起することができる。
【0018】
また励起光が照射されることによって被分析物から放出された蛍光は、励起光反射部を透過して蛍光検出器の受光部へと導かれる。したがって、被分析物から放出された蛍光を確実に蛍光検出器の受光部に出射させることができる。
【0019】
このように、本発明に従えば、励起光のキャピラリ内への入射量を多くすることができ、かつ、被分析物から放出された蛍光を確実に蛍光検出器の受光部に出射させることができるので、蛍光検出器の検出感度を向上することができる。
【0020】
また反射器は、既存のキャピラリを外囲するように取付ければよいので、電気泳動および電気浸透流に負の影響を与えることはない。
【0021】
また従来技術のように、キャピラリの形状を変更する必要がないので、安価かつ容易に蛍光検出部の検出感度を向上することができる。また反射器は、既存のキャピラリ電気泳動装置に取付けることができるので、汎用性が高い。
【0022】
したがって、電気泳動および電気浸透流に影響を与えず、安価かつ容易に蛍光検出部の検出感度を向上することができる汎用性の高い反射器を実現することができる。
【0023】
また本発明に従えば、反射器の内部空間には屈折液が充填される。
これによって、励起光入射部からキャピラリへ入射する励起光のキャピラリ表面での反射を低減することができる。したがって、より多くの励起光を被分析物に照射することができるので、蛍光検出器の検出感度をさらに向上することができる。
【0024】
また本発明に従えば、キャピラリ電気泳動装置は、前記反射器を備える。
これによって、検出感度の高いキャピラリ電気泳動装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施の形態の反射器12を備えるキャピラリ電気泳動装置1の構成を示す系統図である。
【図2】蛍光検出部8の構成を模式的に示す断面図である。
【図3】反射器12の構成を示す斜視図である。
【図4】反射器12の製造工程を示すフローチャートである。
【図5】反射器12の取付工程を示すフローチャートである。
【図6】反射器12の設置によってキャピラリ電気泳動装置1の検出感度が向上することを確認するための蛍光検出器13による蛍光受光量の測定結果を示すグラフである。
【図7】本発明の他の実施形態の反射器12Aの構成を示す斜視図である。
【図8】図5の切断面線VI−VIから見た反射器12Aの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明の一実施の形態の反射器12を備えるキャピラリ電気泳動装置1の構成を模式的に示す系統図である。
【0027】
本実施形態のキャピラリ電気泳動装置1は、反射器12を備え、試料中において、定量化が求められる生物学的物質または化学的物質の存在を、蛍光による光学的変化として検出するために用いられる。
【0028】
キャピラリ電気泳動装置1は、被分析物を含有する液状体が電気泳動によって導かれるキャピラリ2と、前記キャピラリ2の一端部が接続され、泳動液が貯留される導入側貯留槽3と、キャピラリ2の他端部が接続され、キャピラリ2から流出した前記液状体の廃液を貯留する導出側貯留槽4と、導入側貯留槽3および導出側貯留槽4内にそれぞれ設けられる電極5a,5bと、前記電極5a,5b間に直流電圧を印加する電源部6と、キャピラリ2の温度を一定に保つ恒温槽7と、前記恒温槽7の下流側に設けられ、キャピラリ2に励起光を照射し、キャピラリ2内の被分析物から放出された蛍光を検出する蛍光検出部8と、を含んで構成される。
【0029】
キャピラリ2は、たとえばフューズドシリカから成り、内径が10〜200μm、外径が150〜400μmの筒状体である。キャピラリ2の一端部は、内部に泳動液が貯留される導入側貯留槽3に接続される。またキャピラリ2の他端部は、キャピラリ2内を流下した液状体を貯留する導出側貯留槽4に接続される。
【0030】
導入側貯留槽3および導出側貯留槽4には、電極5a,5bがそれぞれ設けられる。本実施形態において、電極5a,5bは白金によって形成され、それぞれ電源部6に接続される。各電極部5a,5b間には、電源部6によって5000V〜30000V程度の直流電圧が印加される。
【0031】
キャピラリ2には、被分析物を含む試料が供給される。具体的には、被分析物を含む試料が貯留される試料槽にキャピラリ2の一端部を挿入し、試料槽と導出側貯留槽4との間に電圧を印加して、電気泳動によりキャピラリ2内に試料を数mm〜数cm程度の長さで導入する。またキャピラリ2内への試料の導入はこれに限られず、たとえば、試料槽と導出側貯留槽4との間の設置位置に落差を設け、この落差による泳動液の移動を利用してキャピラリ2内へ試料の導入する方法、あるいはキャピラリ2の導入側貯留槽3側を加圧して試料を加圧注入する方法などが考えられる。
【0032】
キャピラリ2内に試料を導入した後、キャピラリ2の一端部を導入側貯留槽3に再び戻し、前記電極5a,5b間に電圧を印加することによって泳動液および試料が電気泳動によって導出側貯留槽4側へ移動する。
【0033】
このとき、試料から分離した被分析物と泳動液との混合物である液状体がキャピラリ2内を流下して導出側貯留槽4に移動する。以下、被分析物がキャピラリ2内を移動する方向を移動方向といい、導入側貯留槽3を上流側とし、導出側貯留槽4を下流側として説明する。
【0034】
導入側貯留槽3の下流側には、恒温槽7が設けられる。恒温槽7は、一定温度に保たれた電気絶縁性の液体または空気などの気体を強制的に循環させることにより、恒温槽7内の雰囲気温度を10℃〜50℃程度に保つ。これによって、キャピラリ2内の液状体の温度が不所望に変動することを防ぐことができるので、キャピラリ2および該キャピラリ2内の液状体の温度変化に伴う屈折率や電気浸透流速および被分析物の電気泳動速度の変化によって、被分析物の蛍光強度および検出ピークの積算値(面積)にばらつきが生じて、計測精度が低下してしまうことを防ぐことができる。このような恒温槽7の下流側には、恒温槽7に近接して蛍光検出部8が設けられる。
【0035】
図2は、蛍光検出部8の構成を模式的に示す断面図であり、図3は、反射器12の構成を模式的に示す図である。図3においては、理解を容易にするため、反射器12以外の詳細な構成については省略する。
【0036】
蛍光検出部8は、励起光Lを出射する励起光出射手段10と、励起光出射手段10によって出射された励起光Lを集光する集光レンズ11と、反射器12と、蛍光検出器13と、光を蛍光検出器13へ反射するコレクタ14と、ステージ17と、を含んで構成される。
【0037】
励起光出射手段10は、被分析物を励起させるための励起光Lを出射する。励起光Lの波長は、被分析物に応じて選択すればよく、たとえば被分析物が後述するフルオレセインナトリウムである場合、励起光Lの波長は、475nmに選ばれる。励起光出射手段10は、たとえば半導体レーザ装置によって実現される。また励起光出射手段10は半導体レーザ装置に限定されるものではなく、たとえばキセノンランプ、および発光ダイオード(Light Emitting Diode:略称「LED」)などを用いることもできる。
【0038】
前記フルオレセインナトリウムは、蛍光色素である。本発明の他の実施形態では、非蛍光体を蛍光色素により標識して実施することができる。蛍光色素として、フルオレセインナトリウム以外に、アミノメチルクマリン(AMCA);テトラメチルローダミン(TAMRA);ジエチルアミノメチルクマリン(DEAC);カルボキシ−フルオレセイン(FAM);カルボキシ−テトラメチルローダミン(TAMRA);カルボキシ−X−ローダミン(ROX);カスケードブルー(CB);フルオレセインイソチオシアネート(FITC);オレゴングリーン(OG);Alexa488(A488);ローダミングリーン(RGr);カルボキシ−ローダミン 6G(R6G);テキサスレッド(TxR);Cy3;Cy3.5;Cy5;Cy5.5;Cy7;カルボキシナフトフルオレセイン(CNF)およびBodipy(登録商標)染料などの蛍光標識、またはビオチン(BIO);ジゴキシゲニン(DIG);および2,4−ジニトロフェニル(DNP)などのハプテン標識、緑色蛍光タンパク質(GFP)融合タンパク質などの群から選ばれた1種または複数種を選択的に用いることができる。
【0039】
キャピラリ2は、キャピラリ2の内周面にコーティングするなどして、液体の流動が毛細管現象によって高められるように構成されてもよい。毛細管現象によってキャピラリ2の流動性を向上するためのコーティングとしては、キャピラリ2の内周面をコロナ放電処理することによって実現されてもよく、あるいはキャピラリ2自体に撥水性が高い素材、たとえばクリアポリスチレン、ポリエステル(PE)、ポリメチルペンテン(PMP)、およびPETGから選ばれた1種を用いてもよい。
【0040】
集光レンズ11は、励起光出射手段10から出射された励起光Lをキャピラリ2の軸線に集光する。励起光出射手段10としてキセノンランプが用いられる場合、励起光出射手段10と集光レンズ11との間には、光学フィルタ15が設けられる。光学フィルタ15は、予め定められる波長の光を透過する。光学フィルタ15を設けることによって、被分析物に応じた波長の励起光Lだけを透過させて集光レンズ11へ導くことができる。本発明の他の実施形態では、前記光学フィルタ15に代えて回折格子を用いることもできる。
【0041】
光学フィルタ15としては、干渉フィルタを用いることが好ましい。干渉フィルタは、任意の波長帯域に必要な透過や反射特性を有する干渉フィルタを製作することが可能である。このことから、光学フィルタ15として干渉フィルタを用いれば、透過率や反射率の選択も容易であるため、損失無く、かつ、効率良く光を透過および反射することができる。
【0042】
ここで干渉フィルタとは、任意の誘電体薄膜や金属薄膜を所望の透過特性を与えるために任意の順序で積層して構成される多層構造体のことをいう。
【0043】
誘電体薄膜としては、親水性あるいは非親水性の無機化合物であって、例えばTiO2(二酸化チタン)、Ta(五酸化タンタル)、ZrO(酸化ジルコン)、A1(酸化アルミニウム)、Nb(五酸化ニオブ)、SiO(酸化ケイ素)、MgF(フッ化マグネシウム)などが挙げられる。誘電体多層薄膜層の各膜厚は、数十nm〜数百nmに設定される。
【0044】
また、「金属薄膜層」は、例えば金、銀、プラチナのような酸化されにくく、金属光沢を有する金属のごく薄い膜構造体をいう。これらの誘電体薄膜および金属薄膜の成膜方法は、特に限定されるものではないが、蒸着法やスパッタリング法で成膜されることが好ましい。このような干渉フィルタは、透明なガラスやプラスチックなどから成る基板の表面に成膜される。
【0045】
蛍光検出器13は、拡散レンズ20と、受光部21と、信号処理部22とを含んで構成される。拡散レンズ20は、被分析物から放出された蛍光Aを拡散し、受光部21へと導く。受光部21は、拡散レンズ20から導かれた蛍光Aを受光して検出し、これに基づいて検出信号を生成して信号処理部22へ送信する。信号処理部22は、受光部21から検出信号を受信し、この受信した検出信号に応答して検出結果を生成し、図示しない表示装置などに送信し、被分析物を検出画像として可視化された波長に対する受光強度を表すスペクトルとして表示することができる。
【0046】
具体的には、信号処理部22は、受光部21から取得した検出信号をアナログ/デジタル変換し、たとえば8ビットの蛍光画像データを生成して、液晶表示パネルなどによって実現される前記表示装置へ出力して画像表示させる。たとえば被分析物がフルオレセインナトリウムの場合、このように表示される画像には、フルオレセインナトリウムの蛍光を有する染色物が、可視化された波長に対する受光強度を表すスペクトルとして表示される。
【0047】
受光部21の受光面には、拡散レンズ20からの波長λ1の入射光を、背後の受光素子の受光特性に適した、すなわち最も高い受光感度が得られる波長λ2へ波長変換するための波長変換素子が設けられてもよい。この波長変換素子は、波長変換物質と、波長変換物質を分散固定する固定材料とを含んで構成される。
【0048】
波長変換物質としては、ローダミン6G、フルオレセインなどの有機色素、またはセリウム(Ce)をドープしたYAG蛍光体、ユーロピウム(Eu)をドープしたBAM蛍光体などのような無機系の蛍光体が挙げられる。
【0049】
コレクタ14は、励起光Lおよび蛍光Aを全反射して蛍光検出器13の拡散レンズ20へ導くために、拡散レンズ20に開口を向けてステージ17に設置される。本実施形態では、コレクタ14は、内周面に反射層14aが形成される。
【0050】
反射層14aは、励起光Lおよび蛍光Aの波長の光に対して95%以上の反射率を有し、かつ、望ましくは透過率が0%となるように形成される。コレクタ14は、励起光Lが被分析物へ照射されるように、また蛍光Aが蛍光検出器13に反射するように形成される。
【0051】
ここで、本明細書において反射率および透過率は、JIS H 0201:1998で規定される反射率および透過率をいい、JIS−K−7375に準拠して測定することができる。
【0052】
コレクタ14は、反射器12を内包するように設けられる。コレクタ14は、キャピラリ2の挿通部分の軸線に平行な軸線を有し、該軸線に垂直な断面、すなわち図2の紙面に垂直な断面が略U字状とされる。コレクタ14は、内周面が反射器12を介して蛍光検出器13の拡散レンズ20と対向し、反射器12の反射光を拡散レンズ20に導くように構成されている。
【0053】
反射器12は、励起光Lおよび蛍光Aを反射し、断面が略U字状の第1反射部30と、第1反射部30に設けられ、励起光Lを透過しかつ蛍光Aを反射する矩形板状の励起光入射部31と、第1反射部30の一端部から他端部に連なり、第1反射部30に対向して設けられ、励起光Lを反射しかつ蛍光Aを透過する励起光反射部32と、第1反射部30の長手方向両端部にそれぞれ設けられ、励起光Lおよび蛍光Aを反射し、平面視で略矩形状の第2および第3反射部33a,33bとを含んで構成される。本実施形態では、反射器12は中空の四角柱体状に形成される。本発明の他の実施形態では、前記反射器12は、平面視で略半円中状に形成してもよい。
【0054】
第1反射部30は、ガラスを基台とし、その外表面部に任意の誘電体薄膜または金属薄膜を形成することによって実現され、励起光Lと蛍光Aに対して95%以上の反射率を有する。
【0055】
励起光入射部31は、第1反射部30の一部に形成される。励起光入射部31は、第1反射部30が設けられる領域の一部に、誘電体薄膜または金属薄膜を形成しない領域を形成することによって実現することができる。
【0056】
励起光反射部32は、ガラスを基台とし、その外表面部に、誘電体薄膜または金属薄膜を形成することによって実現され、波長が450nm〜485nmの励起光Lに対して99%以上の反射率を有し、波長が495nm以上の蛍光Aに対して5%以下の反射率を有する。
【0057】
第2および第3反射部33a,33bは、ガラスを基台とし、その外表面部に、誘電体薄膜または金属薄膜を形成することによって実現され、波長が450nm〜485nmの励起光Lに対して99%以上の透過率を有し、波長が495nm以上の蛍光Aに対して5%以下の透過率を有する。
【0058】
また第2および第3反射部33a,33bには、キャピラリ2を挿通するための挿通孔34a,34bがそれぞれ形成される。キャピラリ2は、挿通孔34aから反射器12内に挿通され、反射器12の内部空間を通り、挿通孔34bから反射器12外へと導かれる。
【0059】
反射器12の内部空間には屈折液が封入される。屈折液は、キャピラリ2の屈折率にほぼ等しい屈折率を持つものが選ばれる。屈折液としては、たとえばカーギル社製の屈折液(商品名:フェーズドシリカマッチングリキッド)を用いることができる。
【0060】
本実施形態では、キャピラリ2はフューズドシリカによって形成されるので、屈折液は、屈折率が1.4587nd〜1.4592ndのものが選ばれる。
【0061】
反射器12の内部空間に屈折液を封入することによって、キャピラリ2の外周面と反射器12の内部空間との境界面における臨界角が大きくなる。したがって、励起光入射部42からキャピラリ2へ入射する励起光Lのキャピラリ2の表面での反射を低減することができる。これによって、より多くの励起光Lを被分析物に照射することができる。
【0062】
図4は、反射器12の製造工程を示すフローチャートであり、図5は、反射器12の取付工程を示すフローチャートである。以下、反射器12の製造方法および取付方法について説明する。
【0063】
<製造方法>
ステップS0で、基台の母材となる透明なガラスまたは合成樹脂から成る中空の四角柱体を準備し、反射器12の製造が開始され、ステップS1で、前記中空の四角柱体の長手方向両端部に、穿孔装置を用いて挿通孔34a,34bをそれぞれ形成し、基台が作製される。こうして基台が作製されると、ステップS2に移行する。
【0064】
ステップS2では、基台洗浄工程が実施される。この基台洗浄工程では、エアブラシなどを用いて、ステップS1の基台成形工程における挿通孔34a,34bの形成によって生じた穿孔屑を除去し、基台の内周部および外表面部を洗浄する。基台の洗浄が完了すると、ステップS3に移行する。
【0065】
ステップS3では、反射部形成工程を行う。反射部形成工程では、第1反射部30、ならびに第2および第3反射部33a,33bを形成する。また励起光入射部31も形成する。
【0066】
具体的には、基台の4つの主面部のうち、3つの主面部および基台の各端面部に、波長が450nm〜485nmの励起光Lおよび495nm以上の蛍光Aに対して5%以下の透過率を有するように、蒸着法やスパッタリング法によって誘電体薄膜または金属薄膜を形成して、第1反射部30ならびに第2および第3反射部33a,33bを形成する。
【0067】
このとき、第1反射部30が形成されるべき3つの主面部のうちの1つの主面部上であって、予め定める領域にマスキングを行う。このマスキングされた領域には、前述した誘電体薄膜または金属薄膜は形成されない。
【0068】
このようにして第1反射部30ならびに第2および第3反射部33a,33bを形成した後、マスキングを取り除くことによって、前記領域に励起光入射部31が形成される。第1反射部30ならびに第2および第3反射部33a,33bを形成すると、次のステップS4に移行する。
【0069】
ステップS4では、励起光反射部形成工程を行う。励起光反射部形成工程では、励起光反射部32を形成する。
【0070】
具体的には、基台の4つの主面部のうち、第1反射部30が形成されていない主面部に、波長が450nm〜485nmの励起光Lに対して99%以上の反射率を有し、波長が495nm以上の蛍光Aに対して5%以下の反射率を有するように、蒸着法やスパッタリング法によって誘電体薄膜または金属薄膜を形成して、励起光反射部32を形成する。励起光反射部32を形成すると、反射器12の製造工程が終了する(ステップS5)。
【0071】
<取付工程>
取付工程では、反射器12を準備して、反射器12の取付工程が開始される(ステップT0)。
【0072】
ステップT1では、キャピラリ2を、挿通孔34aから挿入し、挿通孔34bから挿出してキャピラリ2を反射器12に挿通する。キャピラリ2を反射器12に挿通すると、次のステップT2に移行する。
【0073】
ステップT2では、反射器12の内部空間に屈折液を滴下する。具体的には、注射器を用いて、挿通孔34aから屈折液を注入して反射器12の内部空間を屈折液で満たす。反射器12の内部空間に屈折液を充填すると、次のステップT3に移行する。
【0074】
ステップT3では、キャピラリ2を移動させて反射器12をステージ17上に移動させ、励起光入射部31が集光レンズ11と対向するように設け、励起光Lの光軸がキャピラリ2の軸線と一致するように調整する。この処理が完了すると反射器12の取付工程が終了する(ステップT4)。
【0075】
本実施形態によれば、反射器12は、励起光Lおよび蛍光Aを反射し、断面が略U字状の第1反射部30と、第1反射部30に設けられ、励起光Lを透過しかつ蛍光Aを反射する矩形板状の励起光入射部31と、第1反射部30の一端部から他端部に連なり、第1反射部30に対向して設けられ、励起光Lを反射しかつ蛍光Aを透過する励起光反射部32と、第1反射部30の長手方向両端部にそれぞれ設けられ、励起光Lおよび蛍光Aを反射し、平面視で略矩形状の第2および第3反射部33a,33bとを含んで構成される。
【0076】
このような構成を採用することによって、反射器12は、励起光入射部31から内部空間に入射した励起光Lを、第1反射部30、第2および第3反射部33a,33b、ならびに励起光反射部32によって反射することができる。
【0077】
これによって、キャピラリ2に対して励起光Lを複数回照射することができるので、励起光Lのキャピラリ2内への入射量を多くすることができ、被分析物を確実に励起することができる。
【0078】
また励起光Lが照射されることによって被分析物から放出された蛍光Aは、第1反射部30、第2および第3反射部33a,33b、ならびに励起光入射部31では反射され、励起光反射部32を透過して蛍光検出器13の受光部21へと導かれる。したがって、被分析物から放出された蛍光Aを確実に蛍光検出器13の受光部21に出射させることができる。
【0079】
このように、反射器12を設けることによって、励起光Lのキャピラリ2内への入射量を多くすることができ、かつ、被分析物から放出された蛍光Aを確実に蛍光検出器13の受光部21に出射させることができるので、蛍光検出器13の検出感度を向上することができる。
【0080】
また反射器12は、既存のキャピラリ2を外囲するように取付ければよいので、電気泳動および電気浸透流を乱すことはない。
【0081】
また従来技術のように、キャピラリ2の形状を変更する必要がないので、安価かつ容易に蛍光検出器13の検出感度を向上することができる。また反射器12は、既存のキャピラリ電気泳動装置に取付けることができるので、汎用性が高い。
【0082】
さらに反射器12の第2および第3反射部33a,33bのうち一方を形成せず、長手方向一端部が開放される四角筒状に形成し、かつ、挿通孔34aまたは34bを形成しなければ、マイクロLC用検出器、ナノLC用検出器などで用いられる通常のセルにも反射器12を用いることができる。したがって、反射器12は、マイクロLC用検出器、ナノLC用検出器、マイクロチップ電気泳動装置、DNAチップなどの蛍光検出部の検出感度も向上することができるので、汎用性が高い。
【0083】
さらにまた、反射器12は、第1反射部30を有するので、コレクタ14の機能も発揮することができる。
【0084】
図6は蛍光検出器13による蛍光受光量の測定結果を示すグラフである。反射器12の設置によってキャピラリ電気泳動装置1の検出感度が向上することを確認するため、蛍光検出器13による蛍光受光量を測定し、その測定結果を図6に示す。図6において、縦軸は蛍光強度を示し、横軸はフルオレセインナトリウム濃度(μM)を示す。
【0085】
<測定条件>
装 置:日本分光 製品名:FP−6200型分光蛍光光度計
測定温度:室温(23℃)
試 料:フルオレセインナトリウム水溶液
励起波長:475nm
蛍光波長:511nm
【0086】
標準セル(東ソークォーツ株式会社製 石英ガラスセルT−3−UV−10)に、真空蒸着法により酸化ニオブ(Nb)と酸化珪素(SiO)を交互に積層し計60層のロングウェーブパスフィルタを形成し、第1および第2反射部、ならびに励起光反射部を形成した。
【0087】
またコレクタ(ミラー)としてセルの受光部に対向する面以外を皺をつけたアルミニウム箔にて外囲した。励起光を透過させるため、アルミニウム箔にて外囲した領域のうち、励起光を入射させる一面において、励起光反射部の一部を7mm×7mmの正方形に切除して励起光入射部を形成した。表1中光沢内側とは、アルミニウム箔の光沢のある側をセルに対向させてアルミニウム箔を外囲した場合の結果を示し、曇り内側とは、アルミニウム箔の光沢のある側とは反対側の面をセルに対向させてアルミニウム箔を外囲した場合の結果を示す。結果を表1に示す。
【0088】
【表1】

【0089】
上記の表1に示す各測定値に基づく通常セルの特性は、次の近似式、
y=117.35x−4.1877 …(1)
ここに、R=0.9991
によって示され、ミラー(光沢内側)の特性は、次の近似式、
y=330.81+4.7047 …(2)
ここに、R=0.9999
によって示され、ミラー(曇り内側)の特性は、次の近似式、
y=436.47x+10.31 …(3)
ここに、R=0.9996
によって示される。
【0090】
表1に示すように、光沢内側では通常セルに比べて検出感度が約2倍となり、曇り内側では通常セルに比べて検出感度が約2.5倍となった。このように、キャピラリ電気泳動装置に反射器12を設けることによって、セルに照射される励起光の光量を増加させ、これによって蛍光の発生量が上昇し、検出感度の向上を図ることができることが確認された。
【0091】
本実施形態の変形例として、第1反射部30を形成しない実施例が考えられる。前述のように、コレクタ14は、励起光Lおよび蛍光Aを全反射する。したがって、第1反射部30を形成しなくても、コレクタ14を設けることよって、第1反射部30と同様の効果を得ることができるからである。この場合、製造工程において、第1反射部30に対応する領域に、誘電体薄膜または金属薄膜を形成しなくてもよい。
【0092】
図7は、本発明の他の実施形態の反射器12Aの構成を示す斜視図であり、図8は図7の切断面線VI−VIから見た反射器12Aの断面図である。なお、前述の実施形態に対応する部分には、同一の参照符を付す。
【0093】
反射器12Aは、励起光Lおよび蛍光Aを反射し、半円弧状の第1反射部40と、第1反射部40の一端部から他端部に連なり、第1反射部40に対向して設けられ、励起光Lを反射しかつ蛍光Aを透過する矩形板状の励起光反射部41と、励起光反射部41に設けられ、励起光Lを透過しかつ蛍光Aを反射する励起光入射部42と、第1反射部40の長手方向両端部にそれぞれ設けられ、励起光Lおよび蛍光Aを反射し、平面視で半円形状の第2および第3反射部43a,43bとを含んで構成される。本実施形態では、反射器12Aは中空の略半円柱状に形成される。
【0094】
第2および第3反射部43a,43bには、キャピラリ2が挿通するための挿通孔45a,45bがそれぞれ形成される。挿通孔45a,45bは、キャピラリ2の外径よりも僅かに大きな形状に形成される。
【0095】
第2反射部43aの内表面部には、反射器12Aの内方に向かって突出する保持部46aが形成される。保持部46aは、その中心軸が挿通孔45aの中心軸に一致する挿通孔47aを有し、円板状の内部空間48aを有する。保持部46aは、内部空間48a内に円環状のシール部材49aを収容し、シール部材49aを第2反射部43aに当接させた状態で保持する。これによって、挿通孔45aとキャピラリ2との間の気密性および液密性が保持される。
【0096】
また同様に、第2反射部43bの反射器12Aの内方に向かって突出する保持部46bが形成される。保持部46bは、その中心軸が挿通孔45bの中心軸に一致する挿通孔47bを有し、円板状の内部空間48bを有する。保持部46bは、内部空間48b内に円環状のシール部材49bを収容し、シール部材49bを第2反射部43bに当接させた状態で保持する。これによって、挿通孔45bとキャピラリ2との間の気密性および液密性が保持される。
【0097】
本実施形態では、第1反射部40は、誘電体薄膜によって実現され、励起光Lと蛍光Aに対して99%以上の反射率を有する。
【0098】
励起光反射部41は、誘電体薄膜によって実現され、波長が450nm〜485nmの励起光Lに対して99%以上の反射率を有し、波長が495nm以上の蛍光Aに対して5%以下の反射率を有する。励起光が蛍光検出器13の受光部21に入射すると、バックグラウンド光の増加となり、蛍光検出器13の検出感度の低下や検出精度低下の要因となる。そのため、励起光反射部41における励起光Lの透過率は0D値が−6以上必要である。
【0099】
第2および第3反射部43a,43bは、誘電体薄膜または金属薄膜によって実現され、波長が450nm〜485nmの励起光Lに対して99%以上の透過率を有し、波長が495nm以上の蛍光Aに対して5%以下の透過率を有する。
【0100】
反射器12Aの内部空間には屈折液が封入される。屈折液は、キャピラリ2の屈折率にほぼ等しい屈折率を持つものが選ばれる。屈折液としては、たとえばカーギル社製の屈折液(商品名:フェーズドシリカマッチングリキッド)を用いることができる。
【0101】
本実施形態では、キャピラリ2はフューズドシリカによって形成されるので、屈折液は、屈折率が1.4587nd〜1.4592ndのものが選ばれる。
【0102】
反射器12Aの内部空間に屈折液を封入することによって、キャピラリ2外周面と反射器12の内部空間との境界面における臨界角が大きくなる。したがって、励起光入射部42からキャピラリ2へ入射する励起光Lのキャピラリ2表面での反射を低減することができる。これによって、より多くの励起光Lを被分析物に照射することができる。
また反射器12Aは、反射器12と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0103】
1 キャピラリ電気泳動装置
2 キャピラリ
3 導入側貯留槽
4 導出側貯留槽
5a,5b 電極
8 蛍光検出部
12,12A 反射器
13 蛍光検出器
14 コレクタ
20 拡散レンズ
21 受光部
22 信号処理部
30 第1反射部
31 励起光入射部
32 励起光反射部
33a 第2反射部
33b 第3反射部
40 第1反射部
41 励起光反射部
42 励起光入射部
43a 第2反射部
43b 第3反射部
45a,45b 挿通孔
46a,46b 保持部
47a,47b 挿通孔
48a,48b 内部空間
49a,49b シール部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被分析物を電気泳動させるためのキャピラリと、
前記キャピラリの一端部が接続され、泳動液が貯留される導入側貯留槽と、
前記キャピラリの他端部が接続され、前記キャピラリから流出した廃液を貯留する導出側貯留槽と、
前記導入側貯留槽および導出側貯留槽内にそれぞれ設けられる電極と、
前記電極間に電圧を印加する電源部と、
キャピラリに励起光を照射し、キャピラリ内の被分析物によって発生する蛍光を検出する蛍光検出部とを含むキャピラリ電気泳動装置の蛍光検出部に設けられる反射器であって、
前記反射器は、キャピラリの一部を外囲して設けられ、
励起光が透過する励起光入射部と、
前記励起光入射部を経て入射した励起光を反射し蛍光を透過する励起光反射部と、
励起光および蛍光を反射する反射部と、を含むことを特徴とする反射器。
【請求項2】
前記反射器の内部空間には、屈折液が充填されることを特徴とする請求項1記載の反射器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の反射器を備えることを特徴とするキャピラリ電気泳動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−7726(P2013−7726A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142353(P2011−142353)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000125347)学校法人近畿大学 (389)
【出願人】(000219738)東海光学株式会社 (112)
【Fターム(参考)】