説明

反射遮光性構造、反射遮光性構造の製造方法および液晶表示装置

【課題】液晶表示モジュールユニットとバックライトユニットとの間に用いた際に、バックライト光の反射、遮光性に優れるため、液晶表示の視認性の向上および消費電力の削減が可能となり、なおかつ、耐衝撃性に優れ、タッチパネルとして用いた場合には、押圧による「にじみ」を生じにくい反射遮光性構造を提供する。
【解決手段】反射遮光性構造2は、黒色発泡体からなる遮光性層および白色又は銀色の反射性層を有し、遮光性層の厚みが0.1〜1.5mmであり、黒色発泡体の平均セル径が30〜250μmであり、黒色発泡体の密度が0.01〜0.2g/cm3であり、反射性層が金属蒸着層であり、少なくとも片面に、厚さが2〜100μmである粘着剤層を有する粘着テープ又はシートである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射性及び遮光性を有する構造、該構造の製造方法および該構造を含む液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タッチパネルや携帯電話などの液晶表示装置においては、表示画面に関する液晶表示モジュールユニットとバックライトユニットとの間に、白色や銀色の反射性層(バックライト側)及び黒色の遮光性層(液晶表示モジュール側)を有する反射部材(特許文献1参照)や粘着テープ又はシート(「テープ又はシート」を単に「テープ」あるいは「シート」と称する場合がある)が用いられている(特許文献2〜15参照)。上記反射性層は、バックライトの光を反射することにより、輝度の向上、光の効率利用による消費電力の低減の効果を発揮する。一方、遮光性層はバックライト光が液晶表示モジュール側にもれることを防ぎ、視認性を向上する効果を発揮する。
【0003】
しかし、近年、これら液晶表示装置には更に高機能が要求されてきており、特にタッチパネル用途においては、指押しの際の押圧による液晶表示面のにじみを低減することが求められてきている。さらに携帯電話用途においても、さらなる小型化、軽量化に伴い、アクリル板などの保護板がなくても高い耐衝撃性を発揮することが求められてきている。このような観点で、従来の液晶表示装置の物性の更なる改良が要求されているのが現状である。
【0004】
また、近年、携帯電話のさらなる薄型化、液晶表示画面の大型化に伴い、部材を装着するスペースが減少し、反射遮光部材や粘着テープ又はシートの線幅を狭くする必要がある。さらに、反射遮光部材を装着する際に、スペースの減少により微小段差が生じてしまう。しかしながら、前述したような従来の反射遮光部材では、微小段差を有した部材に装着するにあたり、線幅が狭くなるにつれて接着力が大幅に低下してしまい、接着信頼性が低下する短所を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−149254号公報
【特許文献2】特開2005−213282号公報
【特許文献3】特開2004−59723号公報
【特許文献4】特開2002−235053号公報
【特許文献5】特開2002−350612号公報
【特許文献6】特開2004−161955号公報
【特許文献7】特開2004−184443号公報
【特許文献8】特開2004−231736号公報
【特許文献9】特開2004−231737号公報
【特許文献10】特開2004−156015号公報
【特許文献11】特開2004−244499号公報
【特許文献12】特開2002−249741号公報
【特許文献13】特開2004−53759号公報
【特許文献14】特開2002−23663号公報
【特許文献15】特開2006−10931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、優れた反射性および遮光性を有すると同時に、押圧によるにじみを低減でき、さらに耐落下衝撃性や微小段差に対して追従可能な接着信頼性などを有する、液晶表示モジュールユニットとバックライトユニットとの間に用いられる反射遮光性構造、および該反射遮光性構造が用いられている液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意検討した結果、液晶表示モジュールユニットとバックライトユニットとの間に好適に用いられる反射遮光性構造として、黒色の樹脂発泡体を遮光性層として用い、さらに白色又は銀色の反射性層を設けた反射遮光性構造を用いることによって、適度なクッション性が得られることにより、押圧による液晶表示面のにじみが改善され、また耐落下衝撃性および微小段差に対して追従可能な接着信頼性を向上させることができることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、黒色発泡体からなる遮光性層および白色又は銀色の反射性層を有し、上記遮光性層の厚みが0.1〜1.5mmであり、上記黒色発泡体の平均セル径が30〜250μmであり、上記黒色発泡体の密度が0.01〜0.2g/cm3であり、上記反射性層が金属蒸着層であり、
少なくとも片面に、厚さが2〜100μmである粘着剤層を有する粘着テープ又はシートであることを特徴とする反射遮光性構造を提供する。
【0009】
上記反射遮光性構造は、少なくとも細長いテープ状部位を有しており、該テープ状部位の幅が0.5〜10mmであることが好ましい。
【0010】
上記黒色発泡体は、ポリオレフィン系樹脂組成物を高圧の不活性ガスを用いて発泡させてなる黒色のポリオレフィン系樹脂発泡体からなることが好ましい。
【0011】
上記ポリオレフィン系樹脂組成物は、着色剤を、樹脂組成物全体の1〜30重量%含んでいることが好ましい。
【0012】
上記不活性ガスは、二酸化炭素又は窒素であることが好ましい。
【0013】
上記不活性ガスは、超臨界状態であることが好ましい。
【0014】
上記反射性層は、白色ポリエステルフィルムであることが好ましい。
【0015】
上記反射遮光性構造では、上記黒色発泡体が難燃剤を含み、上記黒色発泡体が難燃性を有することが好ましい。
【0016】
上記反射遮光性構造では、反射遮光性構造全体が難燃性を有することが好ましい。
【0017】
上記粘着剤層は、アクリル系粘着剤層であることが好ましい。
【0018】
さらに、本発明は、上記反射遮光性構造を製造する方法であって、着色剤を含有する発泡可能な樹脂組成物に不活性ガスを含浸させてから、圧力を解放することにより気泡を形成させて得られる黒色発泡体からなる遮光性層と、白色又は銀色の反射性層とを積層して反射遮光性構造を得ることを特徴とする反射遮光性構造の製造方法を提供する。
【0019】
さらにまた、本発明は、液晶表示モジュールユニット、バックライトユニットおよび上記反射遮光性構造を有する液晶表示装置であって、該反射遮光性構造が液晶表示モジュールユニットとバックライトユニットの間に位置することを特徴とする液晶表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の反射遮光性構造によれば、前記構成を有しているので、タッチパネル等の用途に用いた場合、指押しの押圧による液晶表示面のにじみが起こりにくく、また優れた耐落下衝撃性を発揮できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の反射遮光性構造(反射遮光性部材)は、遮光性層および反射性層を少なくとも有する。該反射遮光性構造は、少なくとも片面(最外面)に粘着剤層を有する粘着性の構造(反射遮光性粘着テープ又はシート)や、両方の最外面に粘着剤層を有する粘着性の構造(反射遮光性両面粘着テープ又はシート)であってもよい。また、反射遮光性粘着テープ又はシート(反射遮光性両面粘着テープ又はシートを含む)の場合には、粘着剤層保護や作業性向上の観点から、粘着剤層上にさらに剥離フィルムが貼付されていてもよい。上記粘着剤層を有しない反射遮光性構造はリワーク性が高い点で利点を有し、一方、反射遮光性粘着テープは組み立て工程が簡略化できるという利点を有する。
【0022】
[遮光性層]
本発明の反射遮光性構造における遮光性層は、黒色の発泡体からなる。本発明において、黒色とは、基本的には、L***表色系で規定されるL*が、50以下(0〜50)[好ましくは47以下(0〜47)、さらに好ましくは45以下(0〜45)]となる黒色系色のことを意味している。なお、L***表色系で規定されるa*やb*は、それぞれ、L*の値に応じて適宜選択することができる。a*やb*としては、例えば、両方とも、−10〜10(なかでも−5〜5)の範囲であることが好ましく、特に、両方とも、0又はほぼ0(−2〜2の範囲)であることが好適である。
【0023】
なお、本発明において、L***表色系で規定されるL*、a*、b*は、色彩色差計(商品名「CR−200」ミノルタ社製;色彩色差計)を用いて測定することにより求められる。なお、L***表色系は、国際照明委員会(CIE)が1976年に推奨した色空間であり、CIE1976(L***)表色系と称される色空間のことを意味している。また、L***表色系は、日本工業規格では、JIS Z 8729に規定されている。
【0024】
本発明の遮光性層に用いられる発泡体は、公知慣用の樹脂発泡体を用いることが可能であり、特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレートなどと比較して加水分解による劣化を起こしにくい等の観点から、ポリオレフィン系樹脂発泡体であることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂発泡体としては、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂のみを樹脂成分として含む樹脂組成物から形成された樹脂発泡体でもよいが、クッション性、柔軟性、高発泡倍率などの観点から、ポリオレフィン系樹脂とゴムや熱可塑性エラストマーの混合物からなる樹脂組成物から形成された発泡体であることが好ましい。
【0025】
本発明の樹脂発泡体に用いられるポリオレフィン系樹脂としては、例えば、α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂及び/又はα−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂を用いることができる。これらはそれぞれ単独で又は2種以上を用いてよく、結晶性、非晶性の樹脂を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂としては、α−オレフィンを主モノマー成分とする結晶性樹脂であれば特に限定されず、α−オレフィンの単独重合体であっても、α−オレフィンと他の単量体との共重合体であってもよい。また、これらの異なる2種以上の重合体及び/又は共重合体の混合物であってもよい。α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂としては、単量体構成単位全体に対して、α−オレフィンを80モル%以上(より好ましくは90モル%以上)含有するものであることが好ましい。上記α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロペン(プロピレン)、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン等の炭素数2〜12のα−オレフィンを挙げることができる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】
α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂が共重合体である場合、この共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれであってもよい。ただし、結晶性を有するために、ランダム共重合体では、α−オレフィンを除く構成単位の合計含量を、ランダム共重合体全体を100モル%とした場合に、15モル%以下(より好ましくは10モル%以下)とすることが好ましい。また、ブロック共重合体では、α−オレフィンを除く構成単位の合計含量を、ブロック共重合体を100モル%とした場合、40モル%以下(より好ましくは20モル%以下)とすることが好ましい。
【0028】
一方、α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂としては、α−オレフィンを主モノマー成分とする非晶性樹脂であれば特に限定されず、α−オレフィンの単独重合体であっても、α−オレフィンと他の単量体との共重合体であってもよい。また、これらの異なる二種以上の重合体及び/又は共重合体の混合物であってもよい。α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂としては、単量体構成単位全体に対して、α−オレフィンを50モル%以上(より好ましくは60モル%以上)含有するものであることが好ましい。上記α−オレフィンとしては、炭素数3以上のα−オレフィンを用いることが好ましく、前記α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂における例示と同様な、炭素数3〜12のα−オレフィンを用いることが好ましい。
【0029】
α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂としては、アタクチックポリプロピレン、アタクチックポリ−1−ブテン等の単独重合体や、プロピレン(50モル%以上含有)と他のα−オレフィン(エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等)との共重合体、1−ブテン(50モル%以上含有)と他のα−オレフィン(エチレン、プロピレン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等)との共重合体等を挙げることができる。なお、上記共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれであってもよい。但し、ブロック重合体の場合、主成分となるα−オレフィン単位(前記共重合体ではプロピレン、1−ブテン)は、アタクチック構造で結合している必要がある。また、前記α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂が、炭素数3以上のα−オレフィンとエチレンとの共重合体である場合、共重合体全体を100モル%とすると、α−オレフィン含量は、50%モル以上(より好ましくは60〜100モル%)であることが好ましい。
【0030】
上記ポリオレフィン系樹脂の温度210℃、引取速度2.0m/minにおける溶融張力は、特に限定されないが、3.0cN以上(例えば3.0〜50cN程度)であることが好ましく、より好ましくは5.0cN以上(例えば5.0〜50cN程度)、さらに好ましくは8.0cN以上(例えば8.0〜50cN程度)である。溶融張力が3.0cN未満の場合には、ポリオレフィン系樹脂組成物を発泡させた場合に、発泡倍率が低く、独立した気泡が形成されにくく、また、形成される気泡の形状が均一になりにくくなる。そのため、高発泡倍率で、独立気泡性が高く、発泡気泡形状が均一である発泡体を得るためには、溶融張力を3.0cN以上とすることが好ましい。
【0031】
本発明のポリオレフィン系樹脂の使用量は、後述のゴム・熱可塑性エラストマー成分100重量部に対して、10〜200重量部が好ましく、より好ましくは20〜100重量部である。ポリオレフィン系樹脂の使用量が、ゴム・熱可塑性エラストマー成分100重量部に対して10重量部未満の場合には、発泡時にガスが抜けやすくなるため高発泡倍率の発泡体を得がたく、また、200重量部を超えると、クッション性が低下しやすい。
【0032】
本発明の樹脂発泡体に用いられるゴム・熱可塑性エラストマーとしては、例えば、天然ゴム、ブタジエンゴム、ポリイソブチレン、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルブチルゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリブテン、塩素化ポリエチレンなどのオレフィン系エラストマー;スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−ブタジエン−スチレン共重合体、それらの水素添加物ポリマーなどのスチレン系エラストマー;熱可塑性ポリエステル系エラストマー;熱可塑性ポリウレタン系エラストマー;熱可塑性アクリル系エラストマーなどが挙げられる。これらのゴムや熱可塑性ポリマーは単独で又は2種以上混合して使用できる。
【0033】
本発明の遮光性層に用いられる上記樹脂組成物には、遮光性を付与する目的で、着色剤を添加する。添加する着色剤としては、顔料、染料などのいずれの色材(着色剤)であってもよいが、顔料を好適に用いることができ、特に限定されないが、黒色顔料が好ましい。本発明で用いることができる黒色顔料としては、樹脂組成物に対する相溶性が高く、発泡特性に影響しない顔料が好ましく、例えば、カーボンブラック(ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなど)、グラファイト、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、ペリレンブラック、チタンブラック、シアニンブラック、活性炭、フェライト(非磁性フェライト、磁性フェライトなど)、マグネタイト、酸化クロム、酸化鉄、二硫化モリブデン、クロム錯体、複合酸化物系黒色色素、アントラキノン系有機黒色色素などが挙げられる。これらの黒系色材は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0034】
本発明の遮光性層に用いられる黒色顔料としては、上記の中でも、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、平均2次粒径が2μm以下のものが好ましい。
【0035】
着色剤の使用量としては、L***表色系で規定されるL*が、50以下(0〜50)となる黒色系色の発泡体を形成することができる限り特に制限されないが、例えば樹脂発泡体全体の1〜30重量%程度(好ましくは2〜20重量%程度)である。
【0036】
本発明の反射遮光性構造または遮光性層に難燃性が求められる場合には、遮光性層に用いられる上記樹脂組成物には、難燃剤を添加することが好ましい。難燃剤としては、ポリオレフィン系樹脂などに用いられる公知慣用の難燃剤を用いることができ、特に限定されないが、金属水酸化物が好ましく用いられる。
【0037】
上記金属水酸化物における金属元素としては、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、ホウ素(B)等があげられる。中でも、アルミニウム、マグネシウムなどが好ましい。金属水酸化物は、1種の金属元素で構成されていてもよく、2種以上の金属元素で構成されていてもよい。本発明では、1種の金属元素で構成された金属水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどが好適に用いられる。
【0038】
また、上記金属水酸化物としては、2種以上の金属元素で構成された金属水酸化物である複合化金属水酸化物も好適に用いることができる。このような複合化金属水酸化物の具体的な代表例としては、sMgO・(1−s)NiO・cH2O[0<s<1、0<c≦1]、sMgO・(1−s)ZnO・cH2O[0<s<1、0<c≦1]、sA123・(1−s)Fe23・cH2O[0<s<1、0<c≦3]等が挙げられる。これらのなかでも、マグネシウムと、ニッケル、亜鉛とで構成された複合化金属水酸化物が最適である。具体的には、sMgO・(1−s)Q1O・cH2O[但し、Q1はNi又はZnを示し、0<s<1、0<c≦1である]で表される複合化金属水酸化物、例えば、酸化マグネシウム・酸化ニッケルの水和物、酸化マグネシウム・酸化亜鉛の水和物が特に好ましく用いられる。複合化金属水酸化物は、多面体形状を有していてもよく、薄平板形状を有していてもよい。多面体形状の複合化金属水酸化物を用いると、高発泡の樹脂発泡体を得ることができる。
【0039】
上記金属水酸化物の平均粒子径(平均粒径)は、例えば、0.5〜10μm程度、好ましくは0.6〜6μm程度である。平均粒径は、例えばレーザー式粒度測定器により測定できる。なお、平均粒径が10μmを超えると、高発泡の樹脂発泡体が得られ難くなる。金属水酸化物の含有量は、例えば、樹脂発泡体全体の5〜90重量%程度、好ましくは7〜70重量%程度である。この含有量が少なすぎると難燃化効果が小さくなり、逆に多すぎると、高発泡の樹脂発泡体が得られ難くなる。
【0040】
さらに、上記金属水酸化物は表面処理されていてもよい。該表面処理方法としては、慣用的に、金属水酸化物に対して用いられている表面処理剤による表面処理方法を採用することができる。表面処理剤としては、例えば、アルミニウム系化合物(アルミニウム系カップリング剤)、シラン系化合物(シラン系カップリング剤)、チタネート系化合物(チタネート系カップリング剤)、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、高級脂肪酸又はその塩、およびリン酸エステル類が好適に用いられる。表面処理剤は単独で又は2種以上混合して使用することができる。
【0041】
上記表面処理剤の中でも、アルミニウム系化合物(アルミニウム系カップリング剤など)、チタネート系化合物(チタネート系カップリング剤など)が好適である。
【0042】
表面処理剤の使用量は、例えば、金属水酸化物100重量部に対して0.1〜10重量部(好ましくは0.3〜8重量部)程度の範囲から選択することができる。金属水酸化物への表面処理方法としては、慣用の表面処理方法(例えば、乾式方法、湿式方法、インテグラルブレンド方法など)を適宜選択して適用することができる。このようにして表面処理された金属水酸化物は単独で又は2種以上混合して使用することができる。
【0043】
このような表面処理された金属水酸化物は、金属水酸化物の表面が有機基等により覆われているので、樹脂の流動性の低下を抑制又は防止しつつ、金属水酸化物による難燃化の効果を発揮することができると思われる。
【0044】
さらに、難燃剤としては、ペンタブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA、ヘキサブロモシクロドデカン等の臭素化合物、塩素化パラフィン化合物等の塩素化合物、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステルや赤リン等のリン化合物なども用いることが可能である。
【0045】
本発明の遮光性層の発泡体に用いられる樹脂組成物には、上記の他にも、必要に応じて、各種の添加剤を含有させることができる。このような添加剤としては、例えば、滑剤、核剤、整泡剤、老化防止剤、熱安定剤、HALS等の耐光剤、耐候剤、金属不活性剤、紫外線吸収剤、光安定剤、銅害防止剤等の安定剤、防菌剤、防かび剤、分散剤、可塑剤、粘着付与剤、充填剤等を挙げることができる。
【0046】
本発明の遮光性層の発泡体に用いられる樹脂組成物の調製は、慣用の溶融混練装置、例えば、開放型のミキシングロール、非開放型のバンバリーミキサー、一軸押出機、二軸押出機、連続式混練機、加圧ニーダーなどを用いて行うことができる。
【0047】
本発明の遮光性層に用いられる発泡体は、上記の樹脂組成物を発泡させて得られる。発泡体の製造方法としては、物理的方法、化学的方法等、発泡成形に通常用いられる方法が採用できる。上記物理的方法としては、例えば、クロロフルオロカーボン類または炭化水素類などの低沸点液体(発泡剤)をポリマーに分散させ、次に加熱し発泡剤を揮発させることにより気泡を形成させる方法が挙げられる。また化学的方法としては、ポリマーベースに添加された化合物(発泡剤)の熱分解により生じたガスによりセルを形成し、発泡体を得る方法等が挙げられる。
【0048】
上記の中でも、発泡体の製造方法としては、セル径が小さく且つセル密度の高い発泡体が得られることから、高圧の不活性ガスを発泡剤として用いる方法、例えば、ポリオレフィン系樹脂などの樹脂中に、高圧の不活性ガスを含浸させた後、圧力を解放する工程(例えば、減圧する工程等)を経て、気泡を形成させて、発泡体を形成する方法が好ましい。特に、発泡剤として二酸化炭素を用いると、環境負荷が少ない、アウトガスが発生せず液晶表示装置内部に使用しても液晶表示部材などの汚染が生じない、不純物の少ないクリーンな発泡体を得ることができるなどの観点から、好ましい。前述のような物理的方法による発泡方法では、発泡剤として用いられる物質の可燃性や毒性、及びオゾン層破壊などの環境への影響が懸念される。また、化学的方法による発泡方法では、発泡ガスの残渣が発泡体中に残存するため、特に低汚染性の要求が高い電子機器用途においては、腐食性ガスやガス中の不純物による汚染が問題となる。なお、これらの物理的発泡方法及び化学的発泡方法では、いずれにおいても微細な気泡構造を形成することは難しく、特に300μm以下の微細気泡を形成することは極めて困難であるといわれている。
【0049】
このように、本発明では、発泡体の製造方法としては、高圧の不活性ガスを発泡剤として用いる方法を利用した製造方法が好適であり、前述ように、樹脂組成物に、高圧の不活性ガスを含浸させた後、圧力を解放する工程(例えば、減圧する工程等)を経て、発泡体を形成する方法を好適に採用することができる。なお、不活性ガスを含浸させる際には、予め成形した未発泡成形物に不活性ガスを含浸させてもよく、また、溶融した樹脂組成物に不活性ガスを加圧状態下で含浸させてもよい。従って、具体的には、発泡体の製造方法としては、例えば、樹脂組成物に高圧の不活性ガスを含浸させた後、圧力を解放する工程(例えば、減圧する工程等)を経て形成される方法、樹脂からなる未発泡成形物に高圧の不活性ガスを含浸させた後、圧力を解放する工程(例えば、減圧する工程等)を経て形成される方法、または溶融した樹脂組成物に不活性ガスを加圧状態下で含浸させた後、減圧とともに成形に付して形成される方法が好適である。
【0050】
上記不活性ガスとしては、本発明の樹脂組成物に対して不活性で且つ含浸可能なものであれば特に制限されず、例えば、二酸化炭素、窒素ガス、空気等が挙げられる。これらのガスは混合して用いてもよい。これらのうち、発泡体の素材として用いる樹脂組成物への含浸量が多く、含浸速度の速い二酸化炭素が好適である。
【0051】
樹脂組成物に含浸させる際の不活性ガスは超臨界状態であるのが好ましい。超臨界状態では、熱可塑性ポリマーへのガスの溶解度が増大し、高濃度の混入が可能である。また、含浸後の急激な圧力降下時には、前記のように高濃度であるため、気泡核の発生が多くなり、その気泡核が成長してできる気泡の密度が気孔率と同じであっても大きくなるため、微細な気泡を得ることができる。なお、二酸化炭素の臨界温度は31℃、臨界圧力は7.4MPaである。
【0052】
本発明の遮光性層に用いられる発泡体の製造は、前記樹脂組成物を用いて発泡成形できる方法であれが特に限定されず、バッチ方式、連続方式等の何れの方式で行ってもよいが、樹脂組成物中に溶解させる発泡剤(不活性ガス等)の量を適切に制御可能で、好ましい発泡体を得られやすい観点から、連続方式が特に好ましい。
【0053】
バッチ方式で樹脂発泡体を製造する例を以下に示す。まず、前記樹脂組成物を単軸押出機、二軸押出機等の押出機を使用して押し出すことにより、あるいは、前記樹脂組成物を、ローラ、カム、ニーダ、バンバリ型等の羽根を設けた混練機を使用して均一に混練しておき、熱板のプレスなどを用いて所定の厚みにプレス加工することにより、発泡体成形用樹脂シートを作製する。こうして得られた発泡体成形用樹脂シート(未発泡シート)を高圧容器中に入れて、高圧の不活性ガス(例えば、超臨界状態の二酸化炭素)を注入し、前記未発泡シート中に該不活性ガスを含浸させる。十分に不活性ガスを含浸させた時点で圧力を解放し(通常、大気圧まで)、シートを構成する樹脂組成物中に気泡核を発生させる。気泡核はそのまま室温で成長させてもよいが、場合によっては加熱することによって成長させてもよい。加熱の方法としては、ウォーターバス、オイルバス、熱ロール、熱風オーブン、遠赤外線、近赤外線、マイクロ波などの公知乃至慣用の方法を採用できる。このようにして気泡を成長させた後、冷水などにより急激に冷却し、形状を固定化することにより樹脂発泡体を得ることができる。なお、発泡に供する成形体はシート状物に限らず、用途に応じて種々の形状のものを使用できる。また、発泡に供する成形体は押出成形、プレス成形のほか、射出成形等の他の成形法により作製することもできる。
【0054】
次に、連続方式で樹脂発泡体を製造する例を以下に示す。前記樹脂組成物を単軸押出機、二軸押出機等の押出機を使用して混練しながら、高圧の不活性ガスを注入し、十分に該不活性ガスを樹脂組成物中に含浸させた後、押し出すことにより圧力を解放し(通常、大気圧まで)、場合によっては加熱することによって気泡を成長させる。気泡を成長させた後、冷水などにより急激に冷却し、形状を固定化することにより樹脂発泡体を得ることができる。なお、発泡成形は、押出機のほか射出成形機などを用いて行うこともできる。発泡体の形状は特に限定されず、シート状、角柱状、円筒状、異型状等の何れであってもよい。
【0055】
前記ガス含浸工程における圧力は、例えば6MPa以上(例えば6〜100MPa程度)、好ましくは8MPa以上(例えば8〜100MPa程度)である。不活性ガスが超臨界状態の二酸化炭素である場合には、二酸化炭素の超臨界状態を保持する観点から、例えば7.4MPa以上(例えば7.4〜100MPa程度)、好ましくは8MPa以上(例えば8〜100MPa程度)である。圧力が6MPaより低い場合には、発泡時の気泡成長が著しく、気泡径が大きくなりすぎて、後述の小さな平均セル径(平均気泡径)を得ることができない。これは、圧力が低いとガスの含浸量が高圧時に比べて相対的に少なく、気泡核形成速度が低下して形成される気泡核数が少なくなるため、1気泡あたりのガス量が逆に増えて気泡径が極端に大きくなるからである。また、6MPaより低い圧力領域では、含浸圧力を少し変化させるだけで気泡径、気泡密度が大きく変わるため、気泡径及び気泡密度の制御が困難になりやすい。
【0056】
ガス含浸工程における温度は、用いる不活性ガスや樹脂組成物の組成や組成比によって異なり、広い範囲で選択できるが、操作性等を考慮した場合、例えば、10〜350℃程度である。例えば、シート状などの未発泡成形物に不活性ガスを含浸させる場合の含浸温度は、バッチ式では10〜200℃程度、好ましくは40〜200℃程度である。また、ガスを含浸させた溶融ポリマーを押し出して発泡と成形とを同時に行う場合の含浸温度は、連続式では60〜350℃程度が一般的である。なお、不活性ガスとして二酸化炭素を用いる場合には、超臨界状態を保持するため、含浸時の温度は32℃以上、特に40℃以上であるのが好ましい。
【0057】
また、減圧工程における減圧速度は、特に限定されないが、均一な微細気泡を得るため、好ましくは5〜300MPa/秒程度である。また、前記加熱工程における加熱温度は、例えば、40〜250℃程度、好ましくは60〜250℃程度である。
【0058】
こうして得られる樹脂発泡体は高発泡倍率で、独立気泡性が高く、発泡気泡形状が均一であり、柔軟性、クッション性に優れる。本発明の遮光性層に用いられる樹脂発泡体の密度は、例えば0.2g/cm3以下(0.01〜0.2g/cm3程度)であり、好ましくは0.02〜0.15g/cm3、さらに好ましくは0.03〜0.12g/cm3の範囲である。
【0059】
本発明の遮光性層に用いられる樹脂発泡体の平均セル径(平均気泡径)は、30〜250μmが好ましく、より好ましくは40〜150μmである。平均セル径が30μm未満の場合には十分なクッション性が得られず、押圧によるにじみ防止効果が十分でない場合があり、250μmを超える場合には、発泡体の薄肉化が困難となる場合がある。
【0060】
本発明の遮光性層の厚みは、0.1〜1.5mmが好ましく、より好ましくは0.3〜1.0mmである。遮光性層の厚みが1.5mmよりも厚い場合には、発泡体の反発によりLCDが歪むおそれがあり、0.1mmよりも薄い場合には、クッション性が低下し、押圧に対するにじみ抑止効果などが低下する場合がある。
【0061】
本発明の遮光性層の波長550nmの光に対する透過率は、0.3(%)以下[0〜0.3(%)]であることが好ましく、より好ましくは0.1(%)以下[さらに好ましくは0.05(%)以下]であり、中でも0.03(%)以下[特に0.01(%)以下]であることが好適である。
【0062】
[反射性層]
本発明の反射遮光性構造は白色又は銀色の反射性層を有する。
【0063】
本発明でいう白色とは、L***表色系で規定されるL*が、87以上(87〜100)[好ましくは90以上(90〜100)、さらに好ましくは92以上(92〜100)]となる白色系色のことを意味している。なお、L***表色系で規定されるa*やb*は、それぞれ、L*の値に応じて適宜選択することができる。a*やb*としては、例えば、両方とも、−10〜10(なかでも−5〜5)の範囲であることが好ましく、特に、両方とも、0又はほぼ0(−2〜2の範囲)であることが好適である。
【0064】
また、銀色とは、L***表色系で規定されるL*が、70〜90(好ましくは72〜88、さらに好ましくは75〜85)となる銀色系色のことを意味している。なお、L***表色系で規定されるa*やb*は、それぞれ、L*の値に応じて適宜選択することができる。a*やb*としては、例えば、両方とも、−10〜10(なかでも−5〜5)の範囲であることが好ましく、特に、両方とも、0又はほぼ0(−2〜2の範囲)であることが好適である。
【0065】
本発明の反射遮光性構造の反射性層は、上記白色又は銀色を呈する層であれば特に限定されず、樹脂層(例えば、フィルム層、印刷層)や金属層(例えば、金属蒸着層、金属箔)により形成することが可能である。上記の中でも、本発明の反射性層としては、白色系または銀色系のフィルム層、白色系または銀色系の印刷層(コーティング層)、金属蒸着層が好ましく、特に好ましくは白色フィルム層である。
【0066】
本発明の反射性層が白色系または銀色系のフィルム層である場合、フィルム層はフィルム形成性の樹脂に白色または銀色系着色剤を添加した樹脂組成物によって形成されることが好ましい。
【0067】
上記反射性層であるフィルム層に用いられる着色剤としては、顔料、染料などのいずれの着色剤(色材)であってもよいが、顔料を好適に用いることができる。具体的には、白系着色剤としては、例えば、酸化チタン(ルチル型二酸化チタン、アナターゼ型二酸化チタンなどの二酸化チタン)、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化スズ、酸化バリウム、酸化セシウム,酸化イットリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウムなど)、炭酸バリウム、炭酸亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、亜鉛華、硫化亜鉛、タルク、シリカ、アルミナ、クレー、カオリン、燐酸チタン、マイカ、石膏、ホワイトカーボン、珪藻土、ベントナイト、リトポン、ゼオライト、セリサイト、加水ハロイサイト等の無機の白色系着色剤や、アクリル系樹脂粒子、ポリスチレン系樹脂粒子、ポリウレタン系樹脂粒子、アミド系樹脂粒子、ポリカーボネート系樹脂粒子、シリコーン系樹脂粒子、尿素−ホルマリン系樹脂粒子、メラミン系樹脂粒子等の有機の白色系着色剤などが挙げられる。白色系着色剤として、蛍光増白剤を用いることもでき、該蛍光増白剤としては、公知の蛍光増白剤から適宜選択することができる。これらの白色系着色剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、銀色系着色剤としては、例えば、銀、アルミニウムなどが挙げられる。銀色系着色剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0068】
上記本発明の反射性層であるフィルム層に用いられる樹脂(フィルム層樹脂)としては、フィルム形成性であれば特に限定されず、例えば、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレートなど)、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体など)、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリイミド、セルロース類、フッ素系樹脂、ポリエーテル、ポリスチレン系樹脂(ポリスチレンなど)、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホンなどが挙げられる。なお、白系色材や銀系色材を用いる場合は、樹脂としては、透明な樹脂を用いることが好ましい。樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0069】
本発明の反射遮光性構造全体を難燃性とする場合には、反射性層に難燃剤を添加してもよい。その場合の難燃剤としては、遮光性層で難燃剤として例示した金属水酸化物のほか、ペンタブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA、ヘキサブロモシクロドデカン等の臭素化合物、塩素化パラフィン化合物等の塩素化合物、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステルや赤リン等のリン化合物なども用いることが可能である。なお、反射性層に上記難燃剤が含まれず遮光性層にのみ難燃剤が含まれている場合であっても、例えば遮光性層に比べて反射性層が薄い場合などには、反射遮光性構造全体として難燃性とすることは可能である。
【0070】
上記フィルム層樹脂中には、必要に応じて、例えば、充填剤、老化防止剤、帯電防止剤、軟化剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、界面活性剤等の公知の添加剤などが含まれていてもよい。
【0071】
本発明の反射性層であるフィルム層は、上記フィルム層樹脂を、押出成型、インフレーション成型、カレンダー成型等の成型方法を利用してシート状に成型させる方法などにより形成することができる。また、フィルム層を遮光性層である発泡体に積層する方法としては、接着剤や粘着剤による積層、熱ラミネート、共押出などが挙げられる。
【0072】
上記、反射性層であるフィルム層としては、コスト、取り扱い性の観点から、上記の中でも、白色ポリエステルフィルムが好ましく、特に白色ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが特に好ましい。このような白色PETフィルムとしては、市場でも入手可能であり、例えば、帝人デュポン(株)製「TU3」、三菱ポリエステルフィルム(株)製「W400C」、東レ(株)製「ルミラー」などを用いることができる。
【0073】
また、本発明の反射性層が印刷層(コーティング層)である場合には、反射性層はインク組成物を遮光性層などの基材上に塗布し、必要に応じて乾燥などを行うことにより形成できる。なお、反射性層が印刷層である場合には、粘着性を有する反射性粘着層とすることも可能である。
【0074】
本発明の反射性層を形成するためのインク組成物(白色系インク組成物や銀色系インク組成物など)は、公知慣用のインク組成物を用いることができ、特に限定されないが、上述の着色剤の他、必要に応じてバインダー、分散剤や溶剤などを含んでなる。バインダーとしては、特に制限されず、例えば、ポリウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素メラミン系樹脂、シリコーン系樹脂、フェノキシ樹脂、メタクリル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレートなど)、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体など)、ポリスチレン系樹脂(ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂など)、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、セルロース類(酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂など)、ポリアセタール等の公知の樹脂(熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂など)などが挙げられる。バインダーは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0075】
上記反射性層である印刷層(コーティング層)の形成方法としては、各種印刷法(グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、凸版印刷法、スクリーン印刷法など)やコーティング法(スピンコート方式、ダイコート方式、バーコート方式、ファウンテン方式など)などが挙げられる。
【0076】
さらに、本発明の反射性層は、銀やアルミニウムなどの銀色系色を呈することが可能な金属成分を遮光性層表面に蒸着することによっても形成することができる。蒸着法としては、減圧蒸着法(真空蒸着法)、物理スパッタリング法、化学スパッタリング法などを採用することができる。
【0077】
本発明の反射性層は、単層であってもよいが、反射性をより一層高める観点から、多層の形態を有していてもよい。反射性層の層数としては、例えば、1〜10の範囲から適宜選択することができる。
【0078】
本発明の反射性層の厚さ(反射性層が多層構造の場合は、多層構造の反射性層全体の厚さ)は、反射性層の種類によっても異なり、特に制限されないが、フィルム層の場合には、4〜70μmが好ましく、より好ましくは10〜50μmである。印刷層の場合には、1〜15μmが好ましく、より好ましくは1〜10μmである。金属蒸着層の場合には、例えば、0.3〜2μmが好ましく、より好ましくは0.4〜1μm、さらに好ましくは0.4〜0.5μmである。
【0079】
本発明の反射性層表面の反射率は、60(%)以上[60〜100(%)]であることが好ましく、より好ましくは70(%)以上、さらに好ましくは80(%)以上、最も好ましくは85(%)以上である。
【0080】
[粘着剤層]
本発明の反射遮光性構造は、少なくとも片側の表面に粘着剤層を有することにより、反射遮光性粘着テープ又はシートとして使用することができる。また、両側の表面に粘着剤層を有することにより、反射遮光性両面粘着テープ又はシートとして使用することができる。なお、上記粘着剤層は、例えば、一方が白色着色剤を有する反射性粘着剤層(反射性層かつ粘着剤層である)であってもよい。上記粘着剤層を形成するための粘着剤としては、特に制限されず、例えば、ウレタン系粘着剤、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、フッ素系粘着剤などの公知の粘着剤が挙げられる。中でも、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤が特に好ましい。これらの粘着剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、粘着剤の形態は特に限定されず、例えば、エマルジョン型粘着剤、溶剤型粘着剤、熱溶融型粘着剤(ホットメルト型粘着剤)などが挙げられる。また、粘着剤層は、単層、多層のいずれであってもよい。
【0081】
上記アクリル系粘着剤は、アクリル系重合体を主成分又はベースポリマーとして含んでいる。アクリル系重合体としては、特に制限されないが、主構成単量体成分(モノマー主成分)として、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル)が用いられていることが好ましい。具体的には、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0082】
アクリル系重合体を構成するモノマー成分としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルをモノマー主成分としていれば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合が可能な他のモノマー成分(「共重合性モノマー成分」と称する場合がある)が用いられていてもよい。なお、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル系重合体を構成するモノマー成分全量に対して50重量%以上の割合で用いることが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの割合が、アクリル系重合体を構成するモノマー成分全量に対して50重量%未満であると、アクリル系重合体としての特性(粘着性など)が発現しにくくなる場合がある。
【0083】
共重合性モノマー成分としては、アクリル系重合体に架橋点を導入させるためや、アクリル系重合体の凝集力を高めるために用いることができる。共重合性モノマー成分は単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0084】
具体的には、共重合性モノマー成分としては、アクリル系重合体に架橋点を導入させるために、官能基含有モノマー成分(特に、アクリル系重合体に熱架橋する架橋点を導入させるための熱架橋性官能基含有モノマー成分)を用いることができる。このような官能基含有モノマー成分としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合が可能であり、且つ架橋点となる官能基を有しているモノマー成分であれば特に制限されず、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イソクロトン酸等のカルボキシル基含有モノマー又はその酸無水物(無水マレイン酸、無水イコタン酸など);(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルの他、ビニルアルコール、アリルアルコールなどの水酸基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのエポキシ基含有モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノ含有モノマー;N−ビニル−2−ピロリドン、N−メチルビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール、N−ビニルモルホリン、N−ビニルカプロラクタム、N−(メタ)アクリロイルモルホリンなどの窒素原子含有環を有するモノマーなどが挙げられる。官能基含有モノマー成分としては、アクリル酸等のカルボキシル基含有モノマー又はその酸無水物を好適に用いることができる。
【0085】
また、共重合性モノマー成分としては、アクリル系重合体の凝集力を高めるために、他の共重合性モノマー成分を用いることができる。他の共重合性モノマー成分としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル系モノマー;スチレン、置換スチレン(α−メチルスチレン等)、ビニルトルエンなどのスチレン系モノマー;(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル[(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、シクロペンチルジ(メタ)アクリレートなど]や、(メタ)アクリル酸ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニルなどの非芳香族性環含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸アリールエステル[(メタ)アクリル酸フェニルなど]、(メタ)アクリル酸アリールオキシアルキルエステル[(メタ)アクリル酸フェノキシエチルなど]や、(メタ)アクリル酸アリールアルキルエステル[(メタ)アクリル酸ベンジルエステル]などの芳香族性環含有(メタ)アクリル酸エステル;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレンなどのオレフィン系モノマー;塩化ビニル、塩化ビニリデン;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどのアルコキシ基含有モノマー;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル系モノマーの他、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレートなどの多官能モノマー等が挙げられる。
【0086】
ゴム系粘着剤としては、天然ゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SISブロック共重合体)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBSブロック共重合体)、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBSブロック共重合体)、スチレン−ブタジエンゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ブチルゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンターポリマー等のゴム成分をベースポリマーとするゴム系粘着剤などが挙げられる。
【0087】
なお、粘着剤中には、必要に応じて、例えば、架橋剤、交叉結合剤、粘着付与樹脂、充填剤、難燃剤、老化防止剤、帯電防止剤、軟化剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、界面活性剤等の公知の添加剤などが含まれていてもよい。また、粘着剤層には、反射遮光性粘着テープ又はシートの放熱機能を高める観点から、熱伝導性化合物を含有していてもよい。熱伝導性化合物としては、熱伝導性を有する化合物であれば特に制限されないが、例えば、アルミナ、シリカ、酸化亜鉛、酸化アルミニウム等の金属酸化物;窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素等の金属窒化物;炭化ケイ素、炭化ホウ素等の金属炭化物;水酸化アルミニウム等の金属水酸化物などが挙げられる。
【0088】
粘着剤層の厚さとしては、特に制限されず、例えば、2〜100μm(好ましくは5〜80μm)の範囲から適宜選択することができる。
【0089】
粘着剤層の形成方法は、特に制限されず、例えば、所定の面上に、粘着剤を塗布し、必要に応じて乾燥乃至硬化させる方法や、セパレータ(剥離ライナー)上に、粘着剤を塗布し、必要に応じて乾燥乃至硬化させて粘着剤層を形成した後、該粘着剤層を所定の面上に貼り合わせて転写させる方法などが挙げられる。なお、粘着剤の塗布に際しては、慣用の塗工機(例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーターなど)を用いることができる。
【0090】
[反射遮光性構造]
本発明の反射遮光性構造は、黒色発泡体からなる遮光性層を有するため、光の透過率が低く、遮光性層側表面を液晶表示モジュール側として用いることにより、バックライトからの「光もれ」を防止し、表示の視認性を向上させることができる。この観点から、本発明の反射遮光性構造の透過率は0.3(%)[0〜0.3(%)]以下が好ましく、より好ましくは0.1(%)以下[さらに好ましくは0.05(%)以下]であり、中でも0.03(%)以下[特に0.01(%)以下]であることが好適である。なお、上記透過率(%)は、日立製作所製の分光光度計(装置名「U4100型分光光度計」)を用いて、波長が550nmの光を反射遮光性構造の一方の面側から照射して、他方の面側に透過した光の強度を測定することにより求められる。
【0091】
また、本発明の反射遮光性構造は、白色又は銀色の反射性層を有するため、反射性層側表面は高い反射率を有する。このため、反射性層側表面をバックライト側として用いることにより、バックライト光を反射することにより輝度を高め、また反射光を利用できるため消費電力を低減することができる。この観点から、本発明の反射遮光性構造の反射性層側の表面の反射率は、60(%)以上[例えば、60〜100(%)]が好ましく、より好ましくは70(%)以上、さらに好ましくは80(%)以上である。なお、反射遮光性構造の反射率(拡散反射率)(%)は、島津製作所製の分光光度計(装置名「MPS−2000」)を用いて、波長が550nmの光を反射遮光性構造の反射性層側から照射して、前記光を照射した面で反射した光の強度を測定することにより求められる。
【0092】
上記の効果に加えて、本発明の反射遮光性構造は遮光性層が発泡体からなるため、適度なクッション性を有しており、例えば、タッチパネルとして用いられる場合は、指押しの際にかかる押圧の応力を分散することができるため、押圧による液晶表示面の「にじみ」が生じにくいため好ましい。また、上記クッション性により、例えば、タッチペンを用いるタッチパネルの場合には、タッチペンの書き味、感触が良好となるため好ましい。さらに、本発明の反射遮光性構造を用いた液晶表示は耐衝撃性が良好となる。
【0093】
さらに、本発明の反射遮光性構造が粘着剤層を有する反射遮光性粘着テープ又はシートの場合には、発泡体からなる遮光性層を有するため、液晶表示モジュールやバックライトユニットに貼着する際に、被着体の形状に対する追従性が高くなり、密着力が向上する。特に、小型の液晶表示装置等に用いられる幅の狭い反射遮光性粘着テープの場合にも、十分な接着力を発揮し接着信頼性が高く保たれるため好ましい。
【0094】
さらに加えて、本発明の反射遮光性構造は遮光性層に黒色の発泡体を用いているため、遮光性層を印刷によって設ける場合と比べて、ピンホールによる色抜けが生じないため好ましい。
【0095】
本発明の遮光性層に用いられる樹脂発泡体が難燃剤を含有する場合には、本発明の反射遮光性構造は高い難燃性を有するため、例えば、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、ゲーム機の液晶表示装置用途などにおいて有用である。難燃性としては、例えば、UL94 V−0、UL94 HF−1の難燃性規格を満たすことが好ましい。
【0096】
本発明では、反射遮光性構造は、シート状のものが積層された形態を有していてもよく、ロール状に巻回された形態を有していてもよい。また、液晶表示装置に組み込まれる際には、額縁状に打ち抜き加工されて用いられる。なお、反射遮光性粘着テープ又はシートである場合には、各粘着剤層の表面は公知のセパレータ(剥離ライナー)により保護されていてもよい。
【0097】
また、本発明の反射遮光性構造は、幅が0.5〜10mm(好ましくは1.0〜6.0mm)のテープ状部位を有していてもよい。このような反射遮光性構造は、細長いテープ状部位においても幅の狭小に伴う微小段差追従性の低下を抑制することができる。つまり、このような反射遮光性構造は、細長いテープ状部位においては、従来追従が不可能であった微小段差(例えば、高さ:2.0〜1000μmの段差)に対しても、テープ状部位での追従が可能である。このため、このような反射遮光性構造が粘着剤層を有するのなら、良好な接着信頼性を有する。
【0098】
本発明の反射遮光性構造は、テープ状部位を、2以上有していてもよい。また、テープ状部位を2以上有する場合、その幅は同一であってもよいし、異なっていてもよい。さらに、反射遮光性構造は、テープ状部位のみで構成されていてもよい。
【0099】
本発明の反射遮光性構造は、いわゆる「携帯電話」や、いわゆる「PDA」等で用いられている液晶表示装置(LCD)(特に、小型の液晶表示装置)などにおける液晶表示モジュールユニットとバックライトユニットに挿入される液晶表示装置用部材として好適に用いられる。さらに、反射遮光性粘着テープ又はシート(特に反射遮光性両面粘着テープ又はシート)である場合には、液晶表示モジュールユニットとバックライトユニットとの固定に好適に用いられる。
【0100】
[液晶表示装置]
本発明の液晶表示装置は、少なくとも、液晶表示モジュールユニット、バックライトユニット、および、本発明の反射遮光性構造を有してなる。以下、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の液晶表示装置における液晶表示モジュールユニット、バックライトユニット、反射遮光性構造の配置を示した概略図である。本発明の液晶表示装置はバックライトユニット1上に、額縁状に加工された反射遮光性構造2が反射性層をバックライトユニット側、遮光性層を液晶表示モジュールユニット側として設けられ、さらにその上に液晶表示モジュールユニット3が設けられてなる。
【0101】
本発明の液晶表示装置は、液晶表示モジュールユニットの下に、クッション性を有する本発明の反射遮光性構造が設けられているため、液晶表示モジュールの上から指やタッチペンで押さえた際(特にタッチパネルなどの場合)に、押圧(応力)が分散されやすく、液晶表示の「にじみ」が生じにくい。また、耐衝撃性にも優れるため、液晶表示モジュールの上にさらにアクリル板などの保護板を設けない表示装置の場合にも、落下の衝撃などによる破損が生じにくい。さらに、遮光層の効果により液晶表示の視認性が良好であり、且つ反射層によりバックライト光が有効に活用されるため、消費電力を少なくできる。
【0102】
本発明の液晶表示装置は、携帯電話、デジタルカメラ、携帯用小型パソコン、携帯用ゲーム機、ハンディターミナル、PDA、携帯型オーディオプレーヤーなどの液晶表示装置、特にタッチパネル付き液晶表示装置として有用である。中でも、押圧に対するにじみ防止の要求の高いタッチパネル用途や小型の液晶表示装置用途に好ましく用いられる。
【0103】
[物性の測定方法ならびに効果の評価方法]
以下に、本願で用いられる測定方法および効果の評価方法について例示する。
【0104】
(1)L*、a*、b*の測定方法
色彩色差計(コニカミノルタ(株)製、装置名「CR−200」)を用いて、L***表色系で規定されるL*、a*、b*を測定した。
【0105】
(2)反射率
分光光度計(島津製作所(株)製、装置名「MPS−2000」)を用いて、波長が550nmの光を反射遮光性構造の反射性層側の面に照射して、前記光を照射した面で反射した光の強度を測定することにより、反射率(%)を求める。
【0106】
(3)透過率
分光光度計(日立製作所(株)製、装置名「U4100型分光光度計」)を用いて、波長が550nmの光を反射遮光性構造の一方の面側から照射して、他方の面側に透過した光の強度を測定することにより、透過率(%)を求める。
遮光性層(黒色発泡体)のみの透過率を用いる場合には、サンプルを遮光性層のみに変更して測定することができる。
【実施例】
【0107】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、実施例1、3、4、5、9、10及び11は、本発明の範囲外であるが、参考例として記載する。
【0108】
実施例1
(遮光性層)
ポリプロピレン45重量部と、ポリオレフィン系エラストマー45重量部と、ポリエチレン10重量部と、水酸化マグネシウム10重量部と、カーボン10重量部とを、日本製鋼所(JSW)社製の二軸混練機にて、200℃の温度で混練した後、ストランド状に押出し、水冷後ペレット状に成形した。このペレットを、日本製鋼所社製の単軸押出機に投入し、220℃の雰囲気下、13(注入後12)MPaの圧力で、二酸化炭素ガスを注入した。二酸化炭素ガスは、ポリマー全量に対して5重量%の割合で注入した。二酸化炭素ガスを十分飽和させた後、発泡に適した温度まで冷却後、ダイから押出して、黒色発泡体を得た。この黒色発泡体において、密度は0.04g/cm3で、平均セル径は70μmで、厚さは0.5mmであった。また、該黒色発泡体のL***表色系で規定されるL*は32、a*は0.39、b*は−0.1であった。
【0109】
(反射性層)
反射性層としては、厚さが13μmの白色ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、商品名「ルミラーE60L」)を用いた。
【0110】
(粘着剤)
アクリル酸n−ブチル96重量部、アクリル酸4重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部、および重合溶媒として酢酸エチル233重量部を、セパラブルフラスコに投入し、窒素ガスを導入しながら1時間攪拌した。このようにして、重合系内の酸素を除去した後、60℃、7時間反応させ、固形分濃度が30重量%のアクリル系粘着剤溶液を得た。なお、この溶液中のアクリル系ポリマーの重量平均分子量は60万であった。
【0111】
上記で得られた黒色発泡体(遮光性層)と白色PETフィルム(反射性層)を、ラミネートした。次いで、得られた積層体の両面に、セパレータ上に上記アクリル系粘着剤溶液を塗布、乾燥して得たアクリル系粘着剤層(厚み:20μm)を貼り合わせ、粘着剤層/遮光性層/反射性層/粘着剤層の層構成を有する反射遮光性構造(反射遮光性両面粘着シート、反射遮光性部材)を得た。
【0112】
(液晶表示装置)
上記で得られた反射遮光性両面粘着シートを、縦39mm×横29mm、幅2mmの額縁状に打ち抜き加工した。
次いで、額縁状の反射遮光性両面粘着シートを、反射性層側を接するように、バックライトユニット上に貼着した。さらに、遮光性層側にLCDモジュールユニットを貼着固定し、液晶表示装置を得た。
【0113】
実施例2
遮光性層は実施例1と全く同様の黒色発泡体を用いた。この遮光性層の一方の面に、アルミニウムを真空蒸着し、厚さ50nmの銀色の反射性層(アルミニウム層)を形成した。さらに、実施例1と同様にして、上記積層体の両面に粘着剤層を設け、粘着剤層/遮光性層/反射性層/粘着剤層の層構成を有する反射遮光性構造(反射遮光性両面粘着シート、反射遮光性部材)を得た。
さらに、実施例1と同様にして、液晶表示装置を得た。
【0114】
実施例3
白色PETフィルム(反射層)の両面に、上記アクリル系粘着剤を塗布して、乾燥し、厚さ20μmの粘着剤層を設けた両面粘着テープを得た。
上記で得られた黒色発泡体(遮光性層)の片面に上記両面粘着テープ(反射テープ)を貼り合わせ、黒色発泡体の他面に、セパレータ上に設けたアクリル系粘着剤層(厚さ:20μm)を貼り合わせて、粘着剤層/遮光性層/粘着剤層/反射性層/粘着剤層の層構成を有する反射遮光性構造(反射遮光性両面粘着テープ、反射遮光性部材)を得た。
そして、該反射遮光性部材のテープ状部位の幅を2mmとした。
【0115】
実施例4
実施例3と同様にして反射遮光性構造を作製し、該反射遮光性部材のテープ状部位の幅を5mmとした。
【0116】
実施例5
実施例3と同様にして反射遮光性構造を作製し、該反射遮光性部材のテープ状部位の幅を10mmとした。
【0117】
実施例6
実施例2と同様にして反射遮光性構造を作製し、該反射遮光性部材のテープ状部位の幅を2mmとした。
【0118】
実施例7
実施例6と同様にして反射遮光性構造を作製し、該反射遮光性部材のテープ状部位の幅を5mmとした。
【0119】
実施例8
実施例6と同様にして反射遮光性構造を作製し、該反射遮光性部材のテープ状部位の幅を10mmとした。
【0120】
実施例9
反射性層にアルミ蒸着PETフィルム(厚さ:12μm、東レフィルム加工(株)社製)を用いたこと以外は実施例3と同様にして反射遮光性構造を作製し、該反射遮光性部材のテープ状部位の幅を2mmとした。
【0121】
実施例10
実施例9と同様にして反射遮光性構造を作製し、該反射遮光性部材のテープ状部位の幅を5mmとした。
【0122】
実施例11
実施例9と同様にして反射遮光性構造を作製し、該反射遮光性部材のテープ状部位の幅を10mmとした。
【0123】
比較例1
白色PETフィルム(反射性層)の片面に黒印刷(厚さ:7μm)を施すことで遮光性層を形成することにより得られる積層体を用いたこと以外は、実施例1と同様にして反射遮光性構造を作製し、該反射遮光性部材のテープ状部位の幅を2mmとした。
【0124】
比較例2
比較例1と同様にして反射遮光性構造を作製し、該反射遮光性部材のテープ状部位の幅を5mmとした。
【0125】
比較例3
比較例1と同様にして反射遮光性構造を作製し、該反射遮光性部材のテープ状部位の幅を10mmとした。
【0126】
(評価)
実施例及び比較例について、段差追従可能な接着性及び衝撃吸収性を、下記の測定方法により評価した。評価結果を表1に示した。
【0127】
[段差追従可能な接着性の測定方法(微小段差を有する被着体に対する90度ピール剥離力の測定方法)]
23±2℃、50±5RH%の雰囲気下にて、反射遮光性部材を24時間以上保管した後(前処理条件:JIS Z 0237に準じる)、同雰囲気下にて、長さ:100mmに切断し、これを輝度向上フィルム(商品名「BEF」、住友スリーエム(株)製)をラミネートすることにより設けた微小段差(高さ:300μm)を有しているポリカーボネート板(三菱レイヨン(株))上に微小段差が反射遮光性部材の中央になるように貼り合わせて(図2参照)、2kgのゴムローラーを1往復させて圧着し、30分間放置した。放置後、引張試験機(商品名「TG‐1kN」ミネベア(株)製)を用いて剥離速度:300mm/分の条件で90度ピール剥離力を測定した。
【0128】
(衝撃吸収性の測定方法)
特開2006−47277号公報に開示された振り子試験機を用いて衝撃力を測定した。
振り子試験機は、直径:19mm、重量:28g重(0.27N)の鋼球からなる衝撃子が支持板(アクリル板)上の長さ:350mmの支持棒により付属されている。そして、支持棒を任意の所定の角度に振り上げて固定後、スイッチにより鋼球を支持板に衝突させることが可能である。このときの衝突した際の衝撃力を圧力センサーで感知して、MULTI−Puropose FTT Analyzer((株)小野測器製)にて測定する。
衝撃吸収性は、支持板のみの衝撃力:F0、及び、20mm角の反射遮光性部材を試験片として、該試験片をアルミニウム板と支持板(アクリル板)との間にセットした際の衝撃力(試験片挿入時の衝撃力):F1を測定し、下記式より算出した。
衝撃吸収性(%)=(F0−F1)/F0×100
【0129】
【表1】

【0130】
実施例の反射遮光性部材は、比較例のものに比べ、テープ幅が狭くなることによる接着性の低減が抑制されていることが確認できた。また、衝撃吸収性も顕著に向上していることが確認できた。このため、本発明は、耐衝撃吸収性および接着信頼性に優れた反射遮光部材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本発明の液晶表示装置における液晶表示モジュールユニット、バックライトユニット、反射遮光性構造の配置を示した概略図である。
【図2】微小段差を有する被着体に対する90度ピール剥離力の測定方法で使用した、微小段差を設けたポリカーボネート板に反射遮光性部材を貼り合わせたものを示した概略図である。
【符号の説明】
【0132】
1 バックライトユニット
2 反射遮光性構造
3 液晶表示(LCD)モジュールユニット
4 ポリカーボネート板
5 輝度向上フィルム
6 反射遮光性部材
2a 微小段差を設けたポリカーボネート板に反射遮光性部材を貼り合わせたものの外観
2b 微小段差を設けたポリカーボネート板に反射遮光性部材を貼り合わせたものの断面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒色発泡体からなる遮光性層および白色又は銀色の反射性層を有し、前記遮光性層の厚みが0.1〜1.5mmであり、前記黒色発泡体の平均セル径が30〜250μmであり、前記黒色発泡体の密度が0.01〜0.2g/cm3であり、前記反射性層が金属蒸着層であり、
少なくとも片面に、厚さが2〜100μmである粘着剤層を有する粘着テープ又はシートであることを特徴とする反射遮光性構造。
【請求項2】
少なくとも細長いテープ状部位を有しており、該テープ状部位の幅が0.5〜10mmである請求項1に記載の反射遮光性構造。
【請求項3】
前記黒色発泡体が、ポリオレフィン系樹脂組成物を高圧の不活性ガスを用いて発泡させてなる黒色のポリオレフィン系樹脂発泡体からなる請求項1又は2に記載の反射遮光性構造。
【請求項4】
前記ポリオレフィン系樹脂組成物が、着色剤を、樹脂組成物全体の1〜30重量%含んでいる請求項3に記載の反射遮光性構造。
【請求項5】
前記不活性ガスが二酸化炭素又は窒素である請求項3又は4に記載の反射遮光性構造。
【請求項6】
前記不活性ガスが超臨界状態である請求項3〜5のいずれか1項に記載の反射遮光性構造。
【請求項7】
前記反射性層が白色ポリエステルフィルムである請求項1〜6のいずれか1項に記載の反射遮光性構造。
【請求項8】
前記黒色発泡体が難燃剤を含み、前記黒色発泡体が難燃性を有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の反射遮光性構造。
【請求項9】
反射遮光性構造全体が難燃性を有する請求項8に記載の反射遮光性構造。
【請求項10】
前記粘着剤層が、アクリル系粘着剤層である請求項1〜9のいずれか1項に記載の反射遮光性構造。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の反射遮光性構造を製造する方法であって、着色剤を含有する発泡可能な樹脂組成物に不活性ガスを含浸させてから、圧力を解放することにより気泡を形成させて得られる黒色発泡体からなる遮光性層と、白色又は銀色の反射性層とを積層して反射遮光性構造を得ることを特徴とする反射遮光性構造の製造方法。
【請求項12】
液晶表示モジュールユニット、バックライトユニットおよび請求項1〜10のいずれか1項に記載の反射遮光性構造を有する液晶表示装置であって、該反射遮光性構造が液晶表示モジュールユニットとバックライトユニットの間に位置することを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−57948(P2013−57948A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−229466(P2012−229466)
【出願日】平成24年10月17日(2012.10.17)
【分割の表示】特願2008−53681(P2008−53681)の分割
【原出願日】平成20年3月4日(2008.3.4)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】