説明

反応カードおよび自動分析装置

【課題】反応カードが指定温度以下で管理されているか否か、および温度が指定された検査が指定温度で実施されたか否かを目視または自動分析装置で容易に確認することのできる反応カードおよび自動分析装置を提供すること。
【解決手段】開口部を有し、該検体と該試薬との凝集反応による凝集塊の大きさによって移動度を変化させて凝集塊を保持する担体Cを収容する反応容器11と、各反応容器11を支持する本体部10と、本体部10に配置され、温度変化に対応して不可逆的に色が変化する変化部16aを有する温度確認部材16とを備えた反応カード1において、変化部16aが温度に対して不可逆的に変化することで、温度管理状態を目視でも容易に確認することが可能であり、自動分析装置で読み取ることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫学的凝集反応を行う反応カードおよび反応カードを用いた自動分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、血漿、血球または血清などの検体を免疫学的に分析する分析方法においては、検査内容に対応した試薬を専用の反応カード内の反応容器で検体と混和して反応させ、必要に応じてインキュベーションを行った後、その反応カードを遠心器で遠心することによって生じる反応像から凝集の有無を確認し、検体と試薬との凝集反応パターンをもとに検体が抗体または抗原に対して陰性であるか陽性であるかを判定する(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
また、上述した反応カードは、抗原または抗体による凝集反応パターンから陰性または陽性の判定を行ってABO式血液型判定を行う他、抗A抗体及び抗B抗体のような規則抗体以外の抗体(不規則抗体)であって、赤血球膜抗原による凝集反応パターンからRh式血液型の判定、および赤血球抗原による不規則抗体の有無を判定することができる。特に、輸血検査においては、輸血副作用を防ぐために検査の精度が重要となる。
【0004】
【特許文献1】特公平8−7215号公報
【特許文献2】特許第3299768号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1,2に示す反応カードは、反応カードの温度管理状態を確認することができないため、指定温度以上の環境で保存されていた反応カードが使用され、正当な分析結果が得られないおそれがあった。また、温度管理状態の未確認によって、分析中の装置異常等による所定温度以外で反応が行なわれた場合においても、分析が継続されて、適切な分析結果が得られないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、反応カードが指定温度以下で管理されているか否か、および温度が指定された検査が指定温度で実施されたか否かを目視または自動分析装置で容易に確認することのできる反応カードおよび自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる反応カードは、開口部を有し、該検体と該試薬との凝集反応による凝集塊の大きさによって移動度を変化させて該凝集塊を保持する担体を収容する1つ以上の反応容器と、各反応容器を支持する本体部と、前記本体部に配置され、温度変化に対応して不可逆的に色が変化する変化部を有する温度確認部材と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる反応カードは、上記の発明において、前記変化部は、少なくとも色相が変化することを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる反応カードは、上記の発明において、前記変化部は、少なくとも輝度が変化することを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる反応カードは、上記の発明において、前記変化部は、所定温度を超えた場合に、不可逆的に変化することを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる反応カードは、上記の発明において、前記変化部は、異なる所定温度に対応して複数設けられることを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記の発明において、1つ以上の反応容器を支持し、温度変化に対応して不可逆的に色相が変化する変化部を設けた温度確認部材を配置した本体部を有する反応カードと、前記反応カードを所定位置に搬送する搬送手段と、前記反応容器内に検体および試薬の分注を行なう分注手段と、前記反応容器に分注された前記検体と前記試薬との反応液を収容した前記反応カードを遠心する回転機構と、前記回転機構によって遠心された前記反応カードを撮像する撮像手段と、前記撮像手段によって撮像された前記変化部の色相変化を確認し、前記反応カードの有効性を判定する判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記の発明において、分析開始前および/または分析終了後の前記反応カードの前記変化部における前記色相変化を読み取る読取手段をさらに備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、反応カードの温度管理状態を色変化によって確認できるようにしたので、各反応カードが最適の温度管理状態にあるか否かを容易に確認できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態である反応カードについて説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。なお、以下の説明で参照する図面は模式的なものであって、同じ物体を異なる図面で示す場合には、寸法や縮尺等が異なる場合もある。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態にかかる反応カード1を模式的に示す斜視図である。反応カード1は、カード状をなす本体部10と、本体部10の上端平面部に開口を有する反応容器11と、本体部10に貼付され、識別用のバーコードやロット番号、有効年月日等が印刷されているとともに、検体の情報や反応結果の記載欄を有するシール14とを有する。反応容器11は、略円筒形状をなし、検体と試薬とを反応させる反応部12と、反応部12の底部に連通して設けられ、反応の結果に応じた凝集の有無を判定するための反応像を生じさせる担体Cとしてゲル、ガラスビーズまたはプラスチックビーズが充填されて、検体と試薬との抗原抗体反応による反応液を遠心器によって遠心したものを保持する分析部13とを有する。反応カード1は、半透明の樹脂を用いて形成されている。分析部13における凝集像は、目視または撮像によって確認される。また、本体部10の上部平面は、封止部材15によって各反応容器11の上部開口部が封止され、各反応容器11内部の密閉性が保たれている。反応カード1を使用する場合は、封止部材15を剥がすか、若しくは開口部分を穿孔することによって、反応容器11内に検体及び試薬を分注して使用する。
【0017】
なお、封止部材15は、弾性材または金属箔によって構成される。弾性材としては、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン等の樹脂が挙げられる。また、金属箔は、アルミニウム箔が挙げられ、その他、穿孔可能な金属であれば適用できる。
【0018】
ここで、本体部10において、反応容器11を反応容器11の軸心方向に支持する面には、温度確認部材16が貼付されている。温度確認部材16は、中央部に変化部16aを有している。変化部16aは、変化部16a周辺温度が所定温度を越えた場合、たとえば、30℃を超えたことを感知すると、図2に示す模式図のように、変化部16aの色が変化する。ここで、変化させる色は、変化を目視で確認できれば如何なる色相でもよく、輝度を変化させてもよい。未使用の反応カード1の保管温度が30℃以下であって、使用前に反応カード1の変化部16aの色が変化している場合は、当該反応カード1が保管温度以上で保管されており、分析の精度が低下しているおそれがあるため、当該反応カード1の使用を中止することで、高い分析精度を維持することが可能となる。なお、使用する温度確認部材として、日油技研工業製メルトマークMK−30等が挙げられる。
【0019】
また、図3は、図1に示す反応カード1の変形例1aを示す斜視図である。本体部10の反応容器11を反応容器11の軸心方向に支持する面には、温度確認部材16と、温度確認部材16と対称の位置に配置される温度確認部材17とが貼付される。ここで、温度確認部材16の変化部16aは、変化部16a周辺温度が保管温度である30℃を超えた場合に色が変化し、温度確認部材17の変化部17aは、変化部17a周辺温度が検体と試薬との反応温度である37℃を超えた場合に色が変化するように設定されている。反応カード使用前において、反応カード1の変化部16aの色が変化している場合は、当該反応カード1が保管温度以上で保管されているため、当該反応カード1の使用を中止し、分析終了後において、反応カード1の変化部17aの色が変化していない場合は、当該反応カード1が37℃で分析処理されていないため、当該反応カード1の分析結果を無効とする。なお、37℃以上における温度管理を行なう場合は、所定温度に設定した温度確認部材を追加してもよく、より厳密に温度管理するために、設定温度範囲内で2,3℃毎に設定された温度確認部材を配置してもよい。
【0020】
上述した反応カードは、温度確認部材によって、分析前後の反応カードの温度管理状態を目視で容易に確認でき、分析の精度を一層向上させることが可能となる。
【0021】
つぎに、本発明の実施の形態にかかる反応カードの変形例2について説明する。図4は、本発明の実施の形態にかかる反応カードの変形例2を模式的に示す斜視図である。図4に示す反応カード1は、本体部10中央近傍に温度確認部材18が貼付され、温度確認部材18は、周辺温度に対応して色が変化する変化部を複数有する変化部群18gが設けられている。
【0022】
ここで、図4に示す温度確認部材18について、図5,6を参照して説明する。図5は、図4に示す温度確認部材18の周辺温度が30℃未満である場合の変化部群18gを示す模式図である。また、図6は、図4に示す温度確認部材18の周辺温度が37℃である場合の変化部群18gを示す模式図である。図5,6において、温度確認部材18は、変化部18a〜18eを有し、各変化部18a〜18eは、下部に記載された数値に対応する温度、たとえば、変化部18aであれば30℃で変化し、変化部18a〜18eは、30℃〜43℃の間で段階的に変化する。なお、使用する温度確認部材として、Wahl社製テンプ・プレートP/N101−4V−037(TEMP−PLATE(登録商標))等が挙げられる。
【0023】
また、図5において、温度確認部材18の周辺温度が30℃未満であるため、各変化部18a〜18eの色は変化しない。使用前に温度変化部18を確認し、各変化部18a〜18e、特に変化部18aに色変化が見られない場合は、保管温度である30℃以下で管理されているため、当該反応カードの使用が可能となる。一方、分析処理においては、検体と試薬との反応処理が37℃で行われるため、図6に示すように変化部18a,18b,18cが色変化する。ここで、分析処理後に変化部18dまたは変化部18eが色変化している場合は、反応処理が37℃より高い温度で行われているおそれがあるため、分析担当者は、当該反応カードにおける分析結果を無効と判定することができる。
【0024】
上述した変形例2にかかる反応カードは、色変化によって段階的に温度管理状態を確認することが可能であり、目視でも容易に確認することができる。また、反応カードを撮像して結果を保存した場合においても、分析が行われた環境温度を色変化によって保存できるため、分析の精度を一層向上させることが可能となる。
【0025】
つづいて、本発明の実施の形態にかかる反応カード1の変形例3について説明する。図7は、本発明の実施の形態にかかる反応カード1の変形例3を模式的に示す斜視図である。図7に示す反応カード1は、本体部10中央近傍に温度確認部材19が貼付され、温度確認部材19は、バーコード19gを有し、バーコード19gの一部の空領域に、周辺温度に対応して色が変化する変化部が複数設けられている。なお、使用する温度確認部材は、上述した温度確認部材より作成される。
【0026】
ここで、図7に示す反応カード1のバーコード19gについて、図8を参照して説明する。図8は、図7に示す反応カード1のバーコード19gの反応処理時の温度に対する変化部19a〜19cの変化を示す模式図である。図8に示す温度確認部材19において、バーコード19gの一部の空領域には、変化部19a〜19cが設けられており、変化部19a〜19cは、下部に示された数値に対応した各温度30℃、37℃、40℃で色変化する。図8(a)は、検体と試薬との反応処理前であって、周辺温度が30℃未満である場合の温度確認部材19を示しており、各変化部19a〜19cは色変化しない。その後、温度が上がり、温度確認部材19の周辺温度が30℃以上37度未満であるとき、周辺温度が30℃に対応して変化する変化部19aが色変化する(図8(b))。反応処理の設定温度である37℃に到達すると、温度確認部材19の変化部19bが色変化する(図8(c))。反応処理が終了し、分析結果の確認時に、温度確認部材19を確認することで、反応処理が適切な温度で行われたかを目視で容易に確認することができ、分析の精度を一層向上させることが可能となる。また、分析処理開始前に、保管温度の確認も可能であり、分析処理前に分析に不適切な反応カードを排除して分析処理を行うことができる。
【0027】
なお、温度確認部材19のバーコード19gは、反応カード情報またはシール14に記載される各種情報の入力が可能であり、バーコードリーダー等の読取装置で情報を読み取ることができる。また、分析開始前に読取装置でバーコード19gの情報を読み取る場合、変化部19a〜19cに色変化があると、当該反応カードの使用中止情報を付加させ、読取装置で読み取った情報から当該反応カードの使用を排除し、分析の精度を向上させることが可能となる。同様に、分析処理後において、変化部19cに色変化がある場合、または変化部19a,19bに色変化がない場合は、読取装置で読み取った情報に、処理温度が異常である旨の情報を付加することによって当該反応カードの分析結果を異常と判定することができる。
【0028】
また、温度確認部材19の変化部を、図9に示す位置に配置してもよい。図9は、図7,8に示す温度確認部材19の変形例3aを示す模式図である。図9に示す温度確認部材19は、バーコード19gに設けられた変化部19d〜19fが並べて配置される。図8に示すバーコード19gと比して、空領域の面積が広いため、変化部の変化を一層容易に確認する事が可能となる。
【0029】
図7〜9に示す温度確認部材は、目視において温度管理状態が確認可能なうえ、バーコードで反応カードおよび分析処理にかかる各種情報と、変化部の変化による分析結果の可否情報とを管理できるため、自動化で行う分析処理においても一層容易で正確な管理が可能となる。
【0030】
なお、本実施の形態にかかる反応カードは、色の輝度を変化させることによって温度履歴の確認を行ってもよい。さらに、色相と輝度とを組み合わせて変化させてもよい。
【0031】
ここで、本発明の実施の形態にかかる反応カード1を自動分析装置で用いる場合について、図10を参照して説明する。図10は、本発明の実施の形態にかかる反応カード1を用いた自動分析装置2の概略構成を示す平面図である。自動分析装置2は、検体および試薬を反応容器11にそれぞれ分注し、分注した反応容器11内で生じる反応を光学的に測定する測定機構3と、測定機構3を含む自動分析装置2全体の制御を行うとともに測定機構3における測定結果の分析を行う制御機構4とを備える。
【0032】
検体搬送機構30は、検体容器30bを配置する検体ラック30cを保持して、搬送方向に対して直交するL字状のアタッチメントを有するキャタピラ30aと、図10右の搬入レーンから測定機構3、図10左の搬出レーンへ検体ラック30cを搬送する搬送レーン30dと、搬送レーン30d上に配置され、搬送レーン30d上を移動して検体ラック30cを搬送するラック歩進ツメ30eとを有し、図示しない駆動機構によって図中矢印方向に検体ラック30cを搬送する。また、検体容器30bには、バーコードが貼付され、図示しないバーコードリーダーによって読み取ることで、検体の情報を管理できる。
【0033】
測定機構3は、大別して試薬庫31、試薬分注機構32、反応テーブル33、カード移送機構34,38、カード取出口35、検体分注機構36、希釈液ボトル37および撮像部39を備える。また、制御機構4は、制御部41、入力部42、分析部43、記憶部44、出力部45および判定部46を備える。測定機構3および制御機構4が備えるこれらの各部は、制御部41に電気的に接続されている。
【0034】
試薬庫31は、反応容器11内に分注される試薬が収容された試薬容器31aを複数収納できる。試薬庫31には、複数の収納室が等間隔で配置されており、各収納室には試薬容器31aが着脱自在に収納される。試薬庫31は、制御部41の制御のもと、図示しない駆動機構が駆動することによって、試薬庫31の中心を通る鉛直線を回転軸として時計回りまたは反時計回りに回動自在であり、所望の試薬容器31aを試薬分注機構32による試薬吸引位置まで移送する。試薬庫31の上方には、開閉自在な蓋(図示せず)が設けられ、試薬の蒸発や変性、コンタミネーションを抑制することができる。
【0035】
試薬分注機構32は、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行うアームを備える。このアームの先端部には、試薬の吸引および吐出を行うプローブが取り付けられている。試薬分注機構32は、試薬庫31上の所定位置に移動された試薬容器31a内の試薬をプローブによって吸引し、アームを図中矢印回りに旋回させ、反応テーブル33上の所定位置に搬送された反応容器11に分注する。
【0036】
反応テーブル33は、反応容器11への検体や試薬の分注を行うための反応カード1を所定の位置に設けられたカード保持部に配置する。反応テーブル33は、制御部41の制御のもと、図示しない駆動機構が駆動することによって、反応テーブル33の中心を通る鉛直線を回転軸として回動自在である。反応テーブル33の上方と下方には、図示しない開閉自在な蓋と恒温槽とがそれぞれ設けられている。また、反応テーブル33では、検体と試薬とを分注して、所定温度及び所定時間でインキュベーションすることで検体と試薬とを反応させた後、図示しない駆動機構によって反応テーブル33を回転させることで反応カード1が従動して回転し、遠心力が付加されることで、反応容器11に収容された検体と試薬とが反応した反応液を分離する。ここで、反応テーブル33のカード保持部は、反応テーブル33の径方向に延びる柱状部材であって、上端平面に開口部を有し、開口部から鉛直方向に形成された内部空間に反応カード1を保持する。また、カード保持部側面であって反応テーブル33の径方向と略平行な側面には、カード保持部の回転軸を取り付ける穴部が設けられ、反応テーブル33とカード保持部とは回転軸によって接触している。カード保持部は、反応テーブル33の回転によってかかる遠心力により、回転軸回りに回動する。反応カード1は、反応テーブル33の回転による遠心力がカード保持部から伝達され、反応カード下方に向かう力を受け、反応容器に収容された反応液がカード下方へ引きつけられるようになる。
【0037】
カード移送機構34は、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行うアームを備える。このアームの先端部には、反応カード1を把持するカード把持アームを有し、カード取出口35に用意される反応カード1を反応テーブル33に移送する。
【0038】
カード取出口35は、取出口下方にカード格納庫を有し、制御部41の制御によって分析に必要な反応カード1をカード取出口35に配置する。また、カード取出口35近傍には、読取部35aが設けられ、読取部35aが、図1〜9に示す反応カード1の各変化部色情報またはバーコードを読み取り、判定部46に送信する。
【0039】
検体分注機構36は、試薬分注機構32と同様に、検体の吸引および吐出を行うプローブが先端部に取り付けられたアームを備える。アームは、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行う。また、検体分注機構36近傍には、洗浄ポッド36aと希釈ポッド36bとが設けられている。希釈ポッド36bでは、上述した検体搬送機構30上の所定位置に搬送された検体容器30bの中からプローブによって検体を吸引し、アームを旋回させて希釈ポッド36b内に検体を吐出し、希釈液ボトル37に収容されている希釈液によって希釈される。希釈液ボトル37は、上方から外部に延びるチューブを有し、希釈ポッド36bに連通され、図示しないポンプまたはシリンジによって希釈液を希釈ポッド36b内に送る。検体分注機構36は、検体または希釈ポッド36bで希釈された検体を吸引し、反応容器11に検体を吐出して分注を行う。また、適宜洗浄ポッド36aでプローブの洗浄を行う。
【0040】
撮像部39は、カード移送機構38によって所定の撮像位置に搬送された反応カード1の反応容器11内の試料の測定を行う。この撮像部39による測定結果は、制御部41に出力され、分析部43において分析される。また、撮像部39は、図1〜9に示す反応カード1の変化部の色、またはバーコードを読み取り、読み取った情報を判定部46に送信する。なお、分析が終了した反応カード1は、カード廃棄部39aに廃棄される。
【0041】
つぎに、制御機構4について説明する。制御部41は、CPU等を用いて構成され、自動分析装置2の各部の処理および動作を制御する。制御部41は、これらの各構成部位に入出力される情報について所定の入出力制御を行い、かつ、この情報に対して所定の情報処理を行う。
【0042】
入力部42は、キーボード、マウス、通信機能等を用いて構成され、検体の分析に必要な諸情報や分析動作の指示情報等を外部から取得する。分析部43は、撮像部39から取得した画像データに基づいて処理を行い、検体の分析を行う。記憶部44は、情報を磁気的に記憶するハードディスクと、自動分析装置2が処理を実行する際にその処理にかかわる各種プログラムをハードディスクからロードして電気的に記憶するメモリとを用いて構成され、検体の分析結果等を含む諸情報を記憶する。記憶部44は、CD−ROM、DVD−ROM、PCカード等の記憶媒体に記憶された情報を読み取ることができる補助記憶装置を備えてもよい。出力部45は、プリンタ、通信機構等を用いて構成され、検体の分析結果を含む諸情報を出力する。
【0043】
また、判定部46は、読取部35aまたは撮像部39が取得した情報をもとに、反応カード1が適切な温度で処理されたか否かを判定し、判定の結果を制御部41に出力する。制御部41は、判定結果をもとに、当該反応カードの使用の中止または分析結果の無効を決定する。
【0044】
以上のように構成された自動分析装置2では、複数の反応カード1に対して、検体分注機構36が検体または希釈ポッド36b中の希釈された検体を分注し、試薬分注機構32が試薬容器31a中の試薬を分注した後、撮像部39が、検体と試薬とが反応した反応液を遠心によって分離された状態の撮像処理を行い、この撮像データを分析部43が分析することで、検体の分析が自動的に行われる。また、カード取出口35から反応カード1を取り出す際に読取部35aの情報を受け取った判定部46が反応カード1の温度管理状態を判定することで分析前に反応カード1の有効性を確認し、分析後に、撮像部39の情報を受け取った判定部46が反応カード1の分析結果の有効性を判定することによって分析にかかる反応カードの有効性を確認する。
【0045】
ここで、図1〜6に示す反応カードにおいて、読取部35aおよび撮像部39には、光学センサ等によって各変化部の色の変化を測定することが好ましく、図7〜9に示す反応カードにおいては、読取部35aおよび撮像部39にバーコードリーダーを配置してバーコードの情報を読み取ることが好ましい。なお、各変化部は、撮像部39によって撮像された反応カードを目視によって確認することも可能である。
【0046】
本実施の形態にかかる反応カードにおいては、目視または自動分析装置によって反応カードが晒された温度履歴を容易に確認することができるため、分析前に、保管温度以上で管理され、分析に影響を及ぼすおそれのある反応カード、または、分析処理において、所定温度での反応が行われなかった反応カードを排除し、一層精度の高い分析処理を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態にかかる反応カードを模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかる反応カードを模式的に示す斜視図である。
【図3】図1,2に示す反応カードの変形例1aを示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態にかかる反応カードの変形例2を模式的に示す斜視図である。
【図5】図4に示す温度確認部材の周辺雰囲気の温度が30℃未満である場合の変化部群を示す模式図である。
【図6】図4に示す温度確認部材の周辺雰囲気の温度が37℃である場合の変化部群を示す模式図である。
【図7】本発明の実施の形態にかかる反応カードの変形例3を模式的に示す斜視図である。
【図8】図7に示すバーコードの、反応処理時の温度に対する変化部の変化を示す模式図である。
【図9】図7,8に示す反応カードの変形例3aの温度確認部材を模式的に示す模式図である。
【図10】本発明の実施の形態にかかる反応カードを用いた自動分析装置の概略構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 反応カード
2 自動分析装置
3 測定機構
4 制御機構
10 本体部
11 反応容器
12 反応部
13 分析部
14 シール
15 封止部材
16,17,18,19 温度確認部材
16a,17a,18a〜18e,19a〜19f 変化部
18g 変化部群
19g バーコード
30a キャタピラ
30b 検体容器
30c 検体ラック
30d 搬送レーン
30e ラック歩進ツメ
31 試薬庫
31a 試薬容器
32 試薬分注機構
33 反応テーブル
34,38 カード移送機構
35 カード取出口
35a 読取部
36 検体分注機構
36a 洗浄ポッド
36b 希釈ポッド
37 希釈液ボトル
39 撮像部
39a カード廃棄部
41 制御部
42 入力部
43 分析部
44 記憶部
45 出力部
46 判定部
C 担体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有し、該検体と該試薬との凝集反応による凝集塊の大きさによって移動度を変化させて該凝集塊を保持する担体を収容する1つ以上の反応容器と、
各反応容器を支持する本体部と、
前記本体部に配置され、温度変化に対応して不可逆的に色が変化する変化部を有する温度確認部材と、
を備えたことを特徴とする反応カード。
【請求項2】
前記変化部は、少なくとも色相が変化することを特徴とする請求項1に記載の反応カード。
【請求項3】
前記変化部は、少なくとも輝度が変化することを特徴とする請求項1または2に記載の反応カード。
【請求項4】
前記変化部は、所定温度を超えた場合に、不可逆的に変化することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の反応カード。
【請求項5】
前記変化部は、異なる所定温度に対応して複数設けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の反応カード。
【請求項6】
前記温度確認部材は、1つ以上の前記変化部を有し、複数設けられることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の反応カード。
【請求項7】
前記所定温度は、30℃以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の反応カード。
【請求項8】
前記所定温度は、30℃であることを特徴とする請求項7に記載の反応カード。
【請求項9】
前記所定温度は、37℃であることを特徴とする請求項7に記載の反応カード。
【請求項10】
1つ以上の反応容器を支持し、温度変化に対応して不可逆的に色相が変化する変化部を設けた温度確認部材を配置した本体部を有する反応カードと、
前記反応カードを所定位置に搬送する搬送手段と、
前記反応容器内に検体および試薬の分注を行なう分注手段と、
前記反応容器に分注された前記検体と前記試薬との反応液を収容した前記反応カードを遠心する回転機構と、
前記回転機構によって遠心された前記反応カードを撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像された前記変化部の色相変化を確認し、前記反応カードの有効性を判定する判定手段と、
を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項11】
分析開始前および/または分析終了後の前記反応カードの前記変化部における前記色相変化を読み取る読取手段をさらに備えたことを特徴とする請求項10に記載の自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−164516(P2010−164516A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−8766(P2009−8766)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【出願人】(510005889)ベックマン・コールター・インコーポレーテッド (174)
【Fターム(参考)】