説明

反応型ポリオレフィン接着樹脂

【課題】 優れた接着効果を有する反応型ポリオレフィン接着樹脂を提供する。
【解決手段】 シロキサン基グラフト化無定形ポリオレフィンである10〜80wt%の反応型ポリオレフィンと、
石油樹脂、テルペン樹脂又はロジン樹脂である10〜70wt%の粘度増加剤と、
有機錫系触媒、リン酸塩系触媒又は金属錯体触媒である0.1〜3wt%の触媒とを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に優れた接着効果を有する反応型ポリオレフィン接着樹脂に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のポリオレフィン接着樹脂は、物を暫く接着する時に用いられ、優れた長時間の接着効果を有しない。更に、従来のポリオレフィン接着樹脂は、70℃〜160℃の温度範囲で軟化する問題を有する。
【0003】
従来のポリオレフィン接着樹脂の組成成分は、主に、
10〜50wt%の無定形ポリオレフィン(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、エチレン−プロピレン共重合物、プロピレン−ブチレン共重合物又はエチレン−プロピレン−ブチレン三共重合物)と、
10〜50wt%の石油樹脂(例えばC5石油樹脂、C5/C9石油樹脂、C9石油樹脂、水素化C5石油樹脂、水素化C5/C9石油樹脂又は水素化C9石油樹脂)と、
テルペン樹脂(例えば水素化フェノール化テルペン樹脂、フェノール化樹脂、水素化テルペン樹脂)又はロジン樹脂(ロジン樹脂、水素化ロジン樹脂、エステル化ロジン樹脂、水素化エステル化ロジン樹脂)である粘度増加剤と、
0〜30wt%の芳香族系油、環状パラフィン油又はワックス油である軟化油と、を含む。
【0004】
尚、前記ポリオレフィン接着樹脂は、一般によく使用される接着剤であるため、特に特許文献又は非特許文献には記載されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来のポリオレフィン接着樹脂は、接着力の不足と耐熱性の悪いという問題を有するため、高温で接着効果を喪失することがあった。
【0006】
そこで、出願されたのが本発明であって、優れた接着効果を有する反応型ポリオレフィン接着樹脂を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の請求項1の発明は、シロキサン基グラフト化無定形ポリオレフィンである10〜80wt%の反応型ポリオレフィンと、
石油樹脂、テルペン樹脂又はロジン樹脂である10〜70wt%の粘度増加剤と、
有機錫系触媒、リン酸塩系触媒又は金属錯体触媒である0.1〜3wt%の触媒とを含むことを特徴とする反応型ポリオレフィン接着樹脂、を提供する。
【0008】
本願の請求項2の発明は、更に、0〜50wt%の無定形ポリオレフィンと、
スチレン−ブタジエン、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン─イソプレン─スチレン、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン又はスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンである0〜50wt%の合成ゴムと、
0〜50wt%のエチレン酢酸ビニルと、
オレフィンワックス、マイクロクリスタルワックス又は合成ワックス(例えばポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス又は酸系ワックス)である0〜30wt%のワックスと、
芳香族系油、環状パラフィン油又はワックス油である0〜30wt%の軟化油と、
ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール又はエチレン−トリーメチルシロキサンである0〜10wt%の硬化剤と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の反応型ポリオレフィン接着樹脂、を提供する
【発明の効果】
【0009】
本発明は上記の課題を解決するものであり、組成分中に反応型ポリオレフィンを含み、水を含む雰囲気で交差連結反応を起こることにより、優れた連結効果を有する網状のポリマーが形成されるので、一般のポリオレフィン接着樹脂と比べて、優れた耐熱及び連結効果を達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係る反応型ポリオレフィン接着樹脂は、少なくとも以下の成分を含む。
主な成分はシロキサン基グラフト化無定形ポリオレフィンである10〜80wt%の反応型ポリオレフィンと、
主な成分は石油樹脂(例えばC5石油樹脂、C5/C9石油樹脂、C9石油樹脂、水素化C5石油樹脂、水素化C5/C9石油樹脂又は水素化C9石油樹脂)、テルペン樹脂(例えば水素化フェノール化テルペン樹脂、フェノール化樹脂、水素化テルペン樹脂)又はロジン樹脂(ロジン樹脂、水素化ロジン樹脂、エステル化ロジン樹脂、水素化エステル化ロジン樹脂)である10〜70wt%の粘度増加剤と、
有機錫系触媒(例えばDBTL)、リン酸塩系触媒又は金属錯体触媒である0.1〜3wt%の触媒とを含む。
【0011】
又、前記組成分に更に以下の成分を添加しても良い。
0〜50wt%の無定形ポリオレフィン(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、エチレン−プロピレン共重合物、プロピレン−ブチレン共重合物又はエチレン−プロピレン−ブチレン三共重合物)と、
スチレン−ブタジエン、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン─イソプレン─スチレン、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン又はスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンである0〜50wt%の合成ゴムと、
0〜50wt%のエチレン酢酸ビニルと、
オレフィンワックス、マイクロクリスタルワックス又は合成ワックス(例えばポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス又は酸系ワックス)である0〜30wt%のワックスと、
芳香族系油、環状パラフィン油又はワックス油である0〜30wt%の軟化油と、
ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール又はエチレン−トリーメチルシロキサンである0〜10wt%の硬化剤と、を含む。
【0012】
本発明は前記組成分を含み、反応型ポリオレフィンは水を含む雰囲気で交差連結反応を起こることにより、優れた連結効果を有する網状のポリマーが形成されるので、一般のポリオレフィン接着樹脂と比べて、優れた耐熱及び連結効果を達成できる。
【0013】
本発明に係る反応型ポリオレフィン接着樹脂の応用について、主に物体の接着(例えば靴部材の接着、自動車部材の接着、合成布の貼り合い、木材の接着及び製本の接着剤)や、フィルム素材(例えば滑り止めフィルム、物体表面の保護フィルム)や、充填材(例えば運動部材の内部充填材、緩衝材)として用いられる。
【0014】
本発明に係る反応型ポリオレフィン接着樹脂が接着部材との反応機構は、以下の式に示す。

Rはカーボン数1〜12のアルキルである。
【0015】
本発明に係る反応型ポリオレフィン接着樹脂は水を含む雰囲気で下式のように交差連結反応を起こることにより、優れた連結効果を有する網状のポリマーが形成されるので、一般のポリオレフィン接着樹脂と比べて、優れた耐熱及び連結効果を達成できる。

【実施例1】
【0016】
A.動物皮と合成布の接着:
動物皮には接着効果に悪影響を与える大量の油脂を含むので、従来のポリオレフィン接着樹脂は強固に接着することができなく、一方、本発明の反応型ポリオレフィン接着樹脂では、所定の組成分を有することにより、優れた接着効果を達成できる。
本発明の実施例1は以下に示す組成分を有する。
60wt%のシロキサン基グラフト化無定形ポリプロピレンと、34.7wt%の水素化C9石油樹脂と、0.3wt%のリン酸塩系触媒と、
5wt%のスチレン−ブタジエン−スチレンの合成ゴムと、を含む。
【0017】
前記実施例1の製造は、先ず反応タンクで合成ゴムと水素化C9石油樹脂を170℃加熱すると共に、混合し、次にシロキサン基グラフト化無定形ポリプロピレンを添加し、最後にリン酸塩系触媒を添加すると共に混合することにより、本発明の反応型ポリオレフィン接着樹脂を完成する。
【実施例2】
【0018】
B.靴のソールの接着(発泡EVAとゴムの接着):
ソールの発泡EVA素材とゴムの接着面は、少なくとも2.5kgf/cmの接着強度を要するので、従来のポリオレフィン接着樹脂により強固に接着することができなく、更に、靴を使用する際、ソールと地面の接触によって発生する熱もその接着効果に悪影響を与え、従来のポリオレフィン接着樹脂は強固に接着することができなく、一方、本発明の反応型ポリオレフィン接着樹脂では、所定の組成分を有することにより、優れた接着効果を達成できる。
本発明の実施例2は以下に示す組成分を有する。
60wt%のシロキサン基グラフト化無定形ポリプロピレンと、17.7wt%の水素化C9石油樹脂と、10wt%の水素化ロジン樹脂と、0.3wt%のリン酸塩系触媒と、5wt%のエチレン−プロピレン−ブチレン三共重合物の無定形ポリオレフィンと、5wt%のエチレン酢酸ビニルと、2wt%のエチレン−トリーメチルシロキサンと、を含む。
【0019】
前記実施例2の製造は、反応タンクで前記エチレン−プロピレン−ブチレン三共重合物の無定形ポリオレフィン、エチレン酢酸ビニル、水素化ロジン樹脂を170℃加熱すると共に、混合し、更にリン酸塩系触媒とエチレン−トリーメチルシロキサンを添加することにより、A剤を製造する。
更に、他の反応タンクで前記シロキサン基グラフト化無定形ポリプロピレン、水素化C9石油樹脂を170℃加熱すると共に、混合することにより、B剤を製造する。
本発明の実施例2を使用する場合、前記A剤とB剤を夫々予め加熱した後、互いに混合することにより、優れた接着効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明の組成分中に反応型ポリオレフィンを含み、水を含む雰囲気で交差連結反応を起こることにより、優れた連結効果を有する網状のポリマーが形成されるので、一般のポリオレフィン接着樹脂と比べて、優れた耐熱及び連結効果を達成できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シロキサン基グラフト化無定形ポリオレフィンである10〜80wt%の反応型ポリオレフィンと、
石油樹脂、テルペン樹脂又はロジン樹脂である10〜70wt%の粘度増加剤と、
有機錫系触媒、リン酸塩系触媒又は金属錯体触媒である0.1〜3wt%の触媒とを含むことを特徴とする反応型ポリオレフィン接着樹脂。
【請求項2】
更に、0〜50wt%の無定形ポリオレフィンと、
スチレン−ブタジエン、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン又はスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンである0〜50wt%の合成ゴムと、
0〜50wt%のエチレン酢酸ビニルと、
オレフィンワックス、マイクロクリスタルワックス又は合成ワックス(例えばポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス又は酸系ワックス)である0〜30wt%のワックスと、
芳香族系油、環状パラフィン油又はワックス油である0〜30wt%の軟化油と、
ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール又はエチレン−トリーメチルシロキサンである0〜10wt%の硬化剤と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の反応型ポリオレフィン接着樹脂。

【公開番号】特開2007−182502(P2007−182502A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−1510(P2006−1510)
【出願日】平成18年1月6日(2006.1.6)
【出願人】(502162608)誠泰工業科技股▲分▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】