説明

反応性ホットメルト接着剤組成物及びそれを用いた接着方法

【課題】 100〜140℃の塗布温度で塗布性が良好で、長いオープンタイムを有し、初期接着強さに優れる反応性ホットメルト接着剤組成物とそれを用いた接着方法を提供する。
【解決手段】 ポリイソシアネート、ポリオール、及び水酸基含有(メタ)アクリレートから合成され、該ポリオールの内、非結晶性のポリオールを少なくとも1種類以上含む、(メタ)アクリロイル基及びイソシアネート基を分子末端に含有するポリウレタンプレポリマーを主成分とし、光重合開始剤を含む反応性ホットメルト接着剤組成物。前記の反応性ホットメルト接着剤組成物を溶融させて被着体に塗布し、接着前に、塗布面にあらかじめ紫外線を照射する接着方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応性ホットメルト接着剤組成物に関し、特に低い塗布温度でも塗布性が良好で、長いオープンタイムを有し、初期接着強さに優れる反応性ホットメルト接着剤組成物とそれを用いた接着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンプレポリマーを主成分とする湿気硬化型の反応性ホットメルト接着剤組成物は、金属材料、木質材料、プラスチックやゴム等の高分子材料、繊維製品、天然及び合成皮革類の製品、紙製品等の接着に使用され、建材パネル、自動車内装材、衣料等の広範囲な分野で活用されている。その特徴は、通常のホットメルト接着剤組成物と同様に無溶剤系であり、冷却固化により初期接着強度が得られ、さらに接着後24〜72時間程度の時間内で空気中または被着体の湿気と反応して、通常のホットメルト接着剤組成物以上の最終接着強さと耐熱性が得られることにある。
【0003】
しかし、ポリウレタンプレポリマーは熱安定性が不足するため、塗布時の温度を150℃以下、好ましくは140℃以下にしなければならない。この温度条件で塗布が可能な粘度の上限、例えば100Pa・s以下にするために、分子量(Mn)を10,000以下に抑制しなければならない。このため、従来のポリウレタンプレポリマーにおいては、初期接着強さを大きくしようとしても、分子量の低さによる限界があった。
【0004】
従来の技術として、ポリウレタン固有の結晶性を利用する手法があるが、一般的にオープンタイムが短く、作業幅が狭くなってしまうことや、結晶化するまでは接着強さが低いため、結晶化するまで大きな負荷をかけないか、強制冷却装置の設置等の設備改善が必要という欠点がある。
【0005】
また、接着剤の初期凝集力を上げ、初期接着強さを大きくする手法として、ポリウレタンプレポリマーと熱可塑性樹脂と粘着付与剤とからなる反応性ホットメルト接着剤組成物が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【特許文献1】特開平06−122860号公報
【特許文献2】特開昭64−054089号公報
【特許文献3】特開昭52−037936号公報
【0006】
しかし、この方法で初期接着強さを大きくする場合、溶融粘度が高くなり、塗布性が著しく劣ってしまう。あるいは、塗布温度を高く(たとえは150〜180℃)することで塗布性は向上するが、熱安定性が著しく劣る欠点がある。また、溶融粘度を低くし、塗布性を確保する場合、接着剤中の熱可塑性樹脂の割合を少なくしなければならず、充分な初期接着強さが得られにくい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、前記の如き、ウレタンプレポリマーを主成分とする湿気硬化型の反応性ホットメルト接着剤の欠点を解消し、適正な塗布温度(100〜140℃)で塗布性が良好で、長いオープンタイムを有し、且つ初期接着強さに優れる接着剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、[1]ポリイソシアネート、ポリオール、及び水酸基含有(メタ)アクリレートから合成され、該ポリオールの内、非結晶性のポリオールを少なくとも1種類以上含む、(メタ)アクリロイル基及びイソシアネート基を分子末端に含有するポリウレタンプレポリマーを主成分とし、光重合開始剤を含むことを特徴とする反応性ホットメルト接着剤組成物である。
【0009】
本発明者らは、前述の課題を達成するために鋭意研究を行った結果、(メタ)アクリロイル基及びイソシアネート基を分子末端に含有するポリウレタンプレポリマーを主成分とし、光重合開始剤を含む反応性ホットメルト接着剤組成物を被着体に塗布し、被着体を接着する前に、あらかじめ紫外線を照射し、被着体上において(メタ)アクリロイル基のラジカル反応で高分子量化させてから接着を行うことで、適正な塗布温度(100〜140℃)で塗布性が良好で、且つ良好な初期接着強さが得られることを見出した。
【0010】
更に、本発明は、[2]非結晶性のポリオールの数平均分子量(Mn)が、1,000〜10,000であり、該非結晶性のポリオールがポリオール全体の20重量%以上であることを特徴とする上記[1]に記載の反応性ホットメルト接着剤組成物である。
該ポリウレタンプレポリマーを構成するポリオールに、数平均分子量(Mn)1,000〜10,000の非結晶性のポリオールを、ポリオール全体の20重量%以上の割合で用いることで、被着体を接着する前にあらかじめ紫外線を照射し、高分子量化した後でも、長いオープンタイムを有することを見出した。
【0011】
また、本発明は、[3]上記[1]または上記[2]に記載の反応性ホットメルト接着剤組成物を溶融させて被着体に塗布し、接着前に、該塗布面にあらかじめ紫外線を照射することを特徴とする接着方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の反応性ホットメルト接着剤組成物は、従来の反応性ホットメルト接着剤組成物では得られなかった、適正な塗布温度(100〜140℃)で塗布性が良好で、長いオープンタイムを有し、且つ、優れた初期接着力が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明で用いるポリウレタンプレポリマーは、イソシアネート基を1分子中に2個以上含有するポリイソシアネート(A)、水酸基を1分子中に2個以上含有するポリオール(B)、水酸基及び(メタ)アクリロイル基を1分子中にそれぞれ1個以上含有する水酸基含有(メタ)アクリレート(C)から合成される。
本発明で用いる(メタ)アクリロイル基及びイソシアネート基を分子末端に含有するポリウレタンプレポリマーを得るには、例えば、ポリオール(B)の末端にポリイソシアネート(A)を反応させ、そのイソシアネート基の一部に水酸基含有(メタ)アクリレート(C)を反応させる方法がある。
【0014】
ポリイソシアネート(A)としては、トリレンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート等の公知のものが挙げられ、単独または2種類以上を併用しても良い。
【0015】
さらに、上記のポリイソシアネートを水と反応させて得られるビウレット型ポリイソシアネート、上記のポリイソシアネートをトリメチロールプロパン等の多価アルコールと反応させて得られるアダクト型ポリイソシアネート、上記のポリイソシアネートをイソシアヌレート化して得られる多量体等の公知のものを使用することができ、単独または2種類以上を併用しても良い。
【0016】
ポリオール(B)としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等の公知のものが挙げられ、単独または2種類以上を併用しても良い。そして、非結晶性のポリオールを少なくとも1種類以上含む必要がある。
【0017】
更に言えば、前述した非結晶性のポリオールの数平均分子量(Mn)は1,000〜10,000であり、配合割合はポリオール全体の20重量%以上で用いることが好ましい。数平均分子量(Mn)が、1,000未満であると、初期凝集力が劣り、良好な初期接着強さが得られにくい傾向にある。また、数平均分子量(Mn)が、10,000を超えると、粘度が高くなり、塗布性が確保しにくくなる傾向にある。また、該ポリオールの配合割合がポリオール全体の20重量%未満であると、オープンタイムが短くなり、作業性に支障をきたす恐れがある。ここで言う数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)で測定し、ポリスチレンを基準物質とした値である。
【0018】
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)による数平均分子量(Mn)の測定は以下の条件で行うことができる。
溶媒:テトラヒドロフラン
基準物質:ポリスチレン
サンプル濃度:0.25重量/体積%
カラム温度:23℃
【0019】
非結晶性のポリオールとは、非晶性(アモルファス)のポリオールとも言い、結晶性を有していないポリオールのことを指す。そのため、明確な融点を有さず、Tg(ガラス転移点)のみが存在するポリオールのことを言う。具体的には、ポリプロピレングリコールやポリカプロラクトンジオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリアルキレンポリオール等が挙げられる。より具体的には、上記ポリエステルポリオールとしては、例えばマレイン酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸に代表される多価カルボン酸と、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール等のグリコールに代表される多価アルコールとの反応により得られる、常温(23℃)で液状のポリエステルポリオール等が挙げられる。
また、上記ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
また、上記ポリアルキレンポリオールとしてはポリブタジエンポリオール、水素化ポリブタジエンポリオール、水素化ポリイソプレンポリオール等が挙げられる。
また、上記以外にアビエチン酸類及びその変性物とそれらと反応しうる官能基、例えばエポキシ基やアミノ基を有するポリエステルやポリエーテル等との反応によって得られる分子末端もしくは途中に分岐してロジン骨格が導入された常温で液状のポリオール等が挙げられる。
【0020】
水酸基含有(メタ)アクリレート(C)としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのカプロラクトン変性物、グリシドールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の公知のものが挙げられ、単独または2種類以上を併用しても良い。なお、本発明において(メタ)アクリレートとはアクリレートまたはメタクリレートのことを指す。
【0021】
ポリウレタンプレポリマーの分子末端にイソシアネート基を残すために、ポリイソシアネート(A)のイソシアネート基の合計を、ポリオール(B)、水酸基含有(メタ)アクリレート(C)の水酸基の合計よりも多くすることが必要である。
【0022】
ポリウレタンプレポリマーを合成する際には、ポリイソシアネート(A)のイソシアネート基の合計と、ポリオール(B)、水酸基含有(メタ)アクリレート(C)の水酸基の合計との比率(以下、NCO/OH比と記す)として、1.2〜3.0の範囲で、さらに好ましくは、1.5〜2.5の範囲となるように反応させる。これは、NCO/OH比が1.2未満では得られるポリウレタンプレポリマーの粘度が高くなり過ぎ、3.0を超えると湿気硬化の際に発泡が著しく生じるという欠点があるためである。
【0023】
また、ポリウレタンプレポリマーの分子末端に存在する(メタ)アクリロイル基とイソシアネート基の比率として、0.1〜0.6の範囲で、さらに好ましくは、0.2〜0.4の範囲となるように反応させる。これは、0.1未満では紫外線の照射に伴う(メタ)アクリロイル基のラジカル反応で高分子量化される割合が少なくなって、充分な初期接着強度が得られず、0.6を超えると高分子量化される割合が多くなり過ぎて、接着に必要な溶融状態での粘着性が損なわれるという欠点があるためである。
【0024】
本発明の反応性ホットメルト接着剤組成物は、紫外線の照射によるラジカル反応を起こしやすくするための光重合開始剤を含む。光重合開始剤としては、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等の公知のものが挙げられ、単独または2種類以上を併用しても良い。該光重合開始剤の配合量は、0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%、更に好ましくは1〜3重量%である。
【0025】
さらに、各種の重合禁止剤を添加することもできる。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ベンゾキノン、p−t−ブチルカテコール、2,6−ジブチル−4−メチルフェノール等の公知のものが挙げられ、単独または2種類以上を併用しても良い。該重合禁止剤の量は、0.01〜1重量%が好ましい。
【0026】
また、必要に応じて、上記以外の各種添加剤を添加することもできる。例えば、可塑剤、酸化防止剤、消泡剤、レベリング剤、造核剤、難燃剤、充填剤、粘着付与樹脂、染料、顔料、紫外線吸収剤等の公知のものが挙げられ、単独または2種類以上を併用しても良い。
【0027】
本発明の反応性ホットメルト接着剤組成物の使用方法は、100〜140℃に加熱溶融し、被着体に両面または片面塗布する。次に、接着剤塗布面に紫外線を照射した後、被着体を重ね合わせ、接着させる。この際、紫外線照射量は10〜1000mJ/cmの範囲が一般的である。ただし限定するものではない。その後、室温(例えば5〜35℃)または加湿加温(例えば35℃、80%RH)状態で養生させることで湿気硬化が進み、最終的な接着強度が得られる。
【0028】
本発明の反応性ホットメルト接着剤組成物の用途は特に限定されないが、例としては、金属材料、木質材料、プラスチックやゴム等の高分子材料、繊維製品、天然及び合成皮革類の製品、紙製品等の接着に使用でき、同種類及び異種類の被着体を接着できる。
【実施例】
【0029】
以下に、実施例及び比較例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。なお、以下「部」、「%」とは、特に断りのない限り「重量部」、「重量%」のことである。
【0030】
(実施例1)
撹拌機、温度制御装置、還流冷却器、窒素導入管、及び減圧装置を備えたセパラブルフラスコに、以下のポリエステルポリオールを仕込み、撹拌しながら加熱を開始して80℃で減圧により脱水処理をした。
結晶性のポリエステルポリオール 80部
[1,6ヘキサンジオール、セバシン酸を主成分とするポリエステルポリオール
(官能基数2.0,分子量5000)]
非結晶性のポリエステルポリオール 20部
[エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、アジピン酸、イソフタル酸を
主成分とするポリエステルポリオール(官能基数2.0,分子量2000)]
窒素雰囲気中で4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート12.3部を添加し、110℃で1時間反応させ、さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート1.1部と、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.11部を添加し、110℃で1時間反応させた。次に、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン2.4部を添加し、よく混合してポリウレタンプレポリマーを主成分とする反応性ホットメルト接着剤組成物(NCO/OH比1.6、活性イソシアネート基含有量1.0重量%、常温(23℃)で固形、120℃での粘度8Pa・s)を得た。
【0031】
(実施例2)
以下の組成にて、実施例1と同様にして反応性ホットメルト接着剤組成物(NCO/OH比1.6、活性イソシアネート基含有量1.4重量%、常温(23℃)で固形、120℃での粘度10Pa・s)を得た。
結晶性のポリエステルポリオール 50部
[1,6ヘキサンジオール、セバシン酸を主成分とするポリエステルポリオール
(官能基数2.0,分子量5000)]
非結晶性のポリエステルポリオール 50部
[エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、アジピン酸、イソフタル酸を
主成分とするポリエステルポリオール(官能基数2.0,分子量2000)]
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート 16.5部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 1.4部
ハイドロキノンモノメチルエーテル 0.14部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 2.4部
【0032】
(比較例1)
以下の組成にて、実施例1と同様にして反応性ホットメルト接着剤組成物(NCO/OH比1.6、活性イソシアネート基含有量0.7重量%、常温(23℃)で固形、120℃での粘度7Pa・s)を得た。
結晶性のポリエステルポリオール 100部
[1,6ヘキサンジオール、セバシン酸を主成分とするポリエステルポリオール
(官能基数2.0,分子量5000)]
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート 9.4部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 0.8部
ハイドロキノンモノメチルエーテル 0.08部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 2.4部
【0033】
(比較例2)
実施例2と同様のセパラブルフラスコに、実施例2で使用した結晶性のポリエステルポリオール50部と、非結晶性のポリエステルポリオール50部を仕込み、撹拌しながら加熱を開始して80℃で減圧により脱水処理をした。
窒素雰囲気中で4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート16.5部を添加し、110℃で1時間反応させてポリウレタンプレポリマーを主成分とする反応性ホットメルト接着剤組成物(NCO/OH比1.9、活性イソシアネート基含有量1.9重量%、常温(23℃)で固形、120℃での粘度10Pa・s)を得た。
【0034】
(比較例3)
実施例2と同様のセパラブルフラスコに、比較例2で使用した結晶性のポリエステルポリオール50部と、非結晶性のポリエステルポリオール50部を仕込み、撹拌しながら加熱を開始して80℃で減圧により脱水処理をした。
窒素雰囲気中で4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート12.3部を添加し、110℃で1時間反応させてポリウレタンプレポリマーを主成分とする反応性ホットメルト接着剤組成物(NCO/OH比1.4、活性イソシアネート基含有量0.7重量%、常温(23℃)で固形、120℃での粘度70Pa・s)を得た。
【0035】
(比較例4)
実施例2で得た反応性ホットメルト接着剤を使用した。
【0036】
実施例1、2で得た本発明の反応性ホットメルト接着剤組成物と、比較例1〜4で得た接着剤組成物について、塗布性、オープンタイム、初期はく離接着強さ、常態はく離接着強さを測定した。測定方法は以下の通りである。
【0037】
塗布性
実施例1、2及び比較例1〜4で得た反応性ホットメルト接着剤組成物を120℃に加熱したロールコータにてプライマー付オレフィンシートに100g/mとなるように塗布した。接着剤が均一に塗布されている場合を「○」、塗布状態が不均一の場合を「×」として評価した。
【0038】
オープンタイム
実施例1、2及び比較例1〜4で得た反応性ホットメルト接着剤組成物を120℃で加熱溶融させ、プライマー付オレフィンシートに100g/mとなるように塗布した。20℃雰囲気下において指触にてタックがなくなるまでの時間を測定した。
【0039】
初期はく離接着強さ、常態はく離接着強さ
実施例1、2及び比較例1の反応性ホットメルト接着剤組成物を120℃に加熱したロールコータにてプライマー付オレフィンシートに100g/mとなるように塗布した。接着剤表面を、メタルハライドランプを用いて紫外線を200mJ/cm照射して、直ちに接着剤面同志を貼り合わせ、プレス機を用いて49KPaの圧力で10秒間圧着した。圧着終了1分以内に初期はく離接着強さを、また23℃、50%RHにて4日間養生した後の常態はく離接着強さを測定した。接着強さの測定方法は、はく離速度50mm/分でT型はく離で測定した。はく離時の破壊状態として、プライマー付オレフィンシートの材料破壊を示した場合はB、接着剤組成物の凝集破壊を示した場合はC、プライマー付オレフィンシートと接着剤組成物との界面破壊を示した場合はAと表した。測定結果を表1にまとめて示した。
【0040】
比較例2〜4で得た接着剤組成物の初期はく離接着強さ、常態はく離接着強さについては、紫外線の照射を行わないこと以外は前述の測定方法と同様に実施した。測定結果を表1に示した。
【0041】
【表1】

【0042】
表1の結果からわかるように、4日間養生した後の常態はく離接着強度は、いずれの実施例、比較例でも同程度の接着強さを示し、オレフィンシートの材料破壊で、接着強さが強いが、非結晶性のポリオールを用いない比較例1は、初期はく離強さにやや劣り、比較例2,3のアクリレートを用いない場合も、初期はく離強さに劣る。そして、NCO/OH比が1.4の比較例3は、NCO/OH比が1.9の比較例2に比べ、120℃の粘度が70Pa・sと比較例2の10Pa・sより高く塗布性に劣る。また、実施例2と同組成で紫外線を接着前に塗布面に照射しない比較例4は、初期はく離強さに劣る。これに対し、非結晶性のポリオールと水酸基含有(メタ)アクリレートを用いた実施例1,2は、120℃の粘度が低く塗布性に優れ、比較例1〜4と比較して、オープンタイムが長く、且つ大きな初期接着強さが得られることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイソシアネート、ポリオール、及び水酸基含有(メタ)アクリレートから合成され、該ポリオールの内、非結晶性のポリオールを少なくとも1種類以上含む、(メタ)アクリロイル基及びイソシアネート基を分子末端に含有するポリウレタンプレポリマーを主成分とし、光重合開始剤を含むことを特徴とする反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項2】
非結晶性のポリオールの数平均分子量(Mn)が、1,000〜10,000であり、該非結晶性のポリオールがポリオール全体の20重量%以上であることを特徴とする、請求項1に記載の反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の反応性ホットメルト接着剤組成物を溶融させて被着体に塗布し、接着前に、該塗布面にあらかじめ紫外線を照射することを特徴とする接着方法。


【公開番号】特開2008−63407(P2008−63407A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−241433(P2006−241433)
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【出願人】(000233170)日立化成ポリマー株式会社 (75)
【Fターム(参考)】