反応性メソゲン化合物および混合物
【課題】反応性メソゲン化合物および混合物を提供する。
【解決手段】本発明は、新規な反応性メソゲン化合物(RM)、それらを含む重合性液晶(LC)混合物およびポリマーと、装飾、セキュリティーまたは化粧用途において、特に高い光学的分散を有するポリマーフィルムにおいて使用するためで、光学的、電気光学的、電子的、半導体性または発光部品または装置において該化合物、混合物およびポリマーを使用することとに関する。
【解決手段】本発明は、新規な反応性メソゲン化合物(RM)、それらを含む重合性液晶(LC)混合物およびポリマーと、装飾、セキュリティーまたは化粧用途において、特に高い光学的分散を有するポリマーフィルムにおいて使用するためで、光学的、電気光学的、電子的、半導体性または発光部品または装置において該化合物、混合物およびポリマーを使用することとに関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な反応性メソゲン化合物(RM)、それらを含む重合性液晶(LC)混合物、それから得られるポリマーフィルム、および該化合物、混合物およびポリマーフィルムの使用であって、光学的、電気光学的、電子的、半導体または発光部品または装置における、または装飾、セキュリティーまたは化粧用途における使用に関し、特に高い光学的分散を有するポリマーフィルムにおける使用に関する。
【背景技術】
【0002】
その場重合のプロセスを介して、例えば、LCディスプレイなどの光学的または電気光学的装置の部品として使用するために、コンペンセーション、リターデーションまたは偏光フィルムなどの光学的フィルムを作製するためにRMを使用できる。フィルムの光学的特性は、混合物の調合または基板の特性などの多くの異なる要因によって制御できる。また、フィルムの光学的特性は、混合物の複屈折を変化させることでも制御できる。これより、特定の角度において与えられたリターデーションに対して、ならびに複屈折分散を制御するために必要な厚みが決定される。また、高複屈折材料は高い複屈折分散を与え、一方、低複屈折材料は低い複屈折分散を与える。
【0003】
今日までに文献において開示されている通りのRM材料および混合物で達成されるよりも高い光学的分散を有する異方性ポリマーフィルムを調製する要求がある。特に、格別に高い複屈折分散も有することができる「負のC」フィルムの光学的特性を有する異方性ポリマーフィルムに対する要求がある。
【0004】
RMフィルムの分散能は多くの方法で定義できるが、1つの一般的な方法は、450nmで光学的リターデーション(R450)を測定し、これを550nmで測定された光学的リターデーション(R550)によって割り、比R450/R550を得ることである。負のCプレートの光学的特性を有するポリマーフィルムの場合、軸上(on−axis)リターデーションは実質的にゼロとなり、測定角が法線から外れるに従って、フィルムのリターデーションは徐々に負となる。負のCフィルムの分散能は測定角によって僅かに変化し、一般に、角度の増加に従って減少する。図1に、法線より40°外れた角度において測定された、波長に対するリターデーションの典型的なプロットを示し、この場合、商業的に入手可能な反応性メソゲン混合物RMM482(メルク社、ダルムスタット市、ドイツ国)より作製され重合された負のCフィルムについてである。このフィルムについて、光学的分散R450/R550は1.081である。
【0005】
リターデーション分散の原因は、異方性分子の2つの屈折率ne、no(neは長い分子軸に平行な方向における「異常屈折率」であり、noは長い分子軸に垂直な方向における「通常屈折率」である)が異方性フィルムにおいて波長により異なる割合で変化し、スペクトルの青色端に向かってneがnoよりも急速に変化するという事実による。高いリターデーション分散の材料を調製する1つの方法は、noの分散が概して変化しないように維持される一方でneの分散が増加された分子を設計することである。塗工可能な負のCのRMフィルムの光学的事項は、例えば、国際特許出願公開第2004/013666号パンフレット(特許文献1)で開示された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際特許出願公開第2004/013666号パンフレット
【特許文献2】米国特許第5,332,522号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の1つの目的は、商業的に入手可能なRM材料において一般的に見出されるものよりも高いneを有するよう設計され、現在において入手可能なRM混合物より製造されるフィルムと比較して更に高いリターデーション分散を有する光学的異方性ポリマーフィルム、特に、負のCフィルムに加工できる重合性材料、特に、それのRMおよび混合物を提供することである。本発明のもう一つの目的は、専門家が入手可能なRM材料の蓄積を広げることである。他の目的は、以下の記載より専門家には直ちに明らかである。
【0008】
本発明において特許請求される反応性メソゲン化合物および混合物を提供することで、これらの目的を達成できることが見出された。
【0009】
特に、トラン基および末端−NCS基を有するRMを使用することで、高い光学的分散を有する重合性LC混合物およびポリマーフィルムを提供可能であることが見出された。
【0010】
米国特許第5,332,522号明細書(特許文献2)には、側鎖中にキラルおよびアキラルなメソゲン基を含み、アキラルなメソゲン側鎖がトラン基および末端NCS基も含んでいてよいキラルなネマチックコポリマーが開示されている。しかしながら、この文献においては、本発明によるRM、または、重合性LC材料または高い光学的分散を有する光学的フィルムにおいてRMを使用することは、開示も示唆もされていない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、式Iの化合物(イソチオシアネートRM)に関する。
【0012】
【化1】
式中、
Pは、重合性基であり、
Spは、スペーサー基または単結合であり、
A1は、複数出現する場合は互いに独立に、1個以上の基Lにより置換されていてもよい炭素環式、ヘテロ環式、芳香族またはヘテロ芳香族基より選択され、
A2およびA3は、それぞれ互いに独立に、1個以上のCH基がNにより置き換えられていてもよく、1個以上の基Lにより置換されていてもよい1,4−フェニレンまたはナフタレン−2,6−ジイルより選択され、
Z1は、複数出現する場合は互いに独立に、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR0−、−NR0−CO−、−NR0−CO−NR0−、−OCH2−、−CH2O−、−SCH2−、−CH2S−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2S−、−SCF2−、−CH2CH2−、−(CH2)3−、−(CH2)4−、−CF2CH2−、−CH2CF2−、−CF2CF2−、−CH=CH−、−CY1=CY2−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR0−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、CR0R00または単結合より選択され、
Lは、複数出現する場合は互いに独立に、P−Sp−、F、Cl、Br、I、−CN、−NO2、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)NR0R00、−C(=O)X、−C(=O)OR0、−C(=O)R0、−NR0R00、−OH、−SF5、1〜12個、好ましくは1〜6個のC原子を有し置換されていてもよいシリル、アリールまたはヘテロアリール、1〜12個、好ましくは1〜6個のC原子を有し直鎖状または分岐状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシより選択され、ただし、1個以上のH原子はFまたはClで置き換えられていてもよく、ただし、Xはハロゲンであり、
Y1およびY2は、それぞれ互いに独立に、H、F、ClまたはCNを表し、
R0およびR00は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子のアルキルであり、
mは、0、1、2、3または4であり、
ただし、mが0の場合、A2およびA3の一方または両方は、Lにより少なくとも一置換されている1,4−フェニレン、または、置換されていてもよいナフタレン−2,6−ジイルを表す。
【0013】
本発明は、更に、式Iの1種類以上の化合物を含むLC材料に関する。
【0014】
本発明は、更に、式Iの1種類の化合物を含み、および任意に、好ましくは重合性および/またはメソゲンまたは液晶である1種類以上の更なる化合物を含んでいてもよい重合性材料、好ましくは、重合性LC材料に関する。
【0015】
本発明は、更に、式Iの化合物または上記の通りの重合性LC材料を、好ましくは、それの配向状態において薄膜の形態で重合して得られる異方性ポリマーに関する。
【0016】
本発明は、更に、高い光学的分散を有する光学的フィルムにおける上記および下記の通りの化合物、材料およびポリマーの使用に関する。
【0017】
本発明は、更に、電気光学的ディスプレイ、LCD、光学的フィルム、偏光子、コンペンセータ、ビームスプリッター、反射フィルム、配向層、カラーフィルター、ホログラフィック素子、ホットスタンプ箔、着色画像、装飾またはセキュリティーマーク、LC顔料、接着剤、化粧品、非線形光学、光学的情報記憶、電子装置、有機半導体、電界効果トランジスタ(FET)、集積回路(IC)の部品、薄膜トランジスタ(TFT)、無線識別(RFID)タグ、有機発光ダイオード(OLED)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、照明装置、光起電装置、センサー装置、電極材料、光導電体、電子写真記録、レーザー材料または装置における上記および下記の通りの化合物、材料およびポリマーの使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】先行技術の反応性メソゲン混合物より作製され重合されたフィルムについて、波長に対する複屈折のプロットを示す。
【図2】例2〜9によるポリマーフィルムのリターデーションプロファイル(視野角に対するリターデーション)を、それぞれ示す。
【図3】例2〜9によるポリマーフィルムのリターデーションプロファイル(視野角に対するリターデーション)を、それぞれ示す。
【図4】例2〜9によるポリマーフィルムのリターデーションプロファイル(視野角に対するリターデーション)を、それぞれ示す。
【図5】例2〜9によるポリマーフィルムのリターデーションプロファイル(視野角に対するリターデーション)を、それぞれ示す。
【図6】例2〜9によるポリマーフィルムのリターデーションプロファイル(視野角に対するリターデーション)を、それぞれ示す。
【図7】例2〜9によるポリマーフィルムのリターデーションプロファイル(視野角に対するリターデーション)を、それぞれ示す。
【図8】例2〜9によるポリマーフィルムのリターデーションプロファイル(視野角に対するリターデーション)を、それぞれ示す。
【図9】例7および8のポリマーフィルムについて、550nmにおける正規化リターデーションを示す。
【図10】例2〜9によるポリマーフィルムのリターデーションプロファイル(視野角に対するリターデーション)を、それぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<用語および定義>
用語「液晶またはメソゲン化合物」は、1個以上のカラミチック(棒または板/ラス形状)またはディスコチック(ディスク形状)メソゲン基を含む化合物を意味する。
【0020】
用語「カラミチック化合物」または「カラミチック基」は、棒または板/ラス形状の化合物または基を意味する。
【0021】
用語「メソゲン基」は液晶(LC)相挙動を誘発できる基を意味する。メソゲン基を含む化合物は、必ずしもそれ自体がLC相を示す必要はない。それらが他の化合物との混合物中においてのみ、またはメソゲン化合物またはそれらの混合物が重合された場合にLC相挙動を示すことも可能である。簡潔のため、以下において用語「液晶」を、メソゲンおよびLC材料の両方に用いる。定義の概要につては、Pure Appl.Chem.73巻(5号)、888頁(2001年)およびC.Tschierske、G.PelzlおよびS.Diele、Angew.Chem.2004年、116巻、6340〜6368頁を参照。
【0022】
用語「スペーサー」または「スペーサー基」は、下で「Sp」としても言及されるが、当業者に既知であり、文献に記載されている。例えば、Pure Appl.Chem.73巻(5号)、888頁(2001年)およびC.Tschierske、G.Pelzl、S.Diele、Angew.Chem.2004年、116巻、6340〜6368頁を参照。他に明言しない限り、用語「スペーサー」または「スペーサー基」は、上および下で、重合性メソゲン化合物(「RM」)においてメソゲン基と重合性基(1つまたは多数)を接続している柔軟性の有機基を表す。
【0023】
カラミチックメソゲン基は、通常、それぞれ互いに直接または連結基を介して接続された1個以上の芳香族または非芳香族環式基から成るメソゲン核を含み、メソゲン核の端に結合された末端基を含んでいてもよく、メソゲン核の長い側に結合された1個以上の側鎖基(ラテラル基;横方向基)を含んでいてもよく、ただし、通常、これらの末端および側鎖基は、例えば、カルビルまたはヒドロカルビル基、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシなどの極性基、または重合性基より選択される。
【0024】
用語「反応性メソゲン」(RM)は、重合性メソゲンまたは液晶化合物を意味する。
【0025】
1個の重合性基を有する重合性化合物は「一反応性」化合物とも呼ばれ、2個の重合性基を有する化合物は「二反応性」化合物とも呼ばれ、2個より多い重合性基を有する化合物は「多反応性」化合物とも呼ばれる。重合性基を持たない化合物は、「非反応性」化合物とも呼ばれる。
【0026】
用語「フィルム」としては、機械的に安定な、剛直または柔軟な、自己支持性または自立性フィルム、ならびに支持基板上または2つの基板間の被膜または層が挙げられる。
【0027】
用語「カルビル基」は、非炭素原子を一切伴わない(例えば、−C≡C−など)か、またはN、O、S、P、Si、Se、As、TeまたはGeなどの少なくとも1個の非炭素原子が混在(例えば、カルボニルなど)してもよいかのいずれかで、少なくとも1個の炭素原子を含む任意の一価または多価有機基構造成分を意味する。用語「ヒドロカルビル基」は、1個以上のH原子を付加的に含有し、例えば、N、O、S、P、Si、Se、As、TeまたはGeなどのヘテロ原子を1個以上含有してもよいカルビル基を表す。また、3個以上のC原子鎖を含むカルビルまたはヒドロカルビル基は、直線状、分岐状および/または環状でもよく、スピロおよび/または縮合環を含む。
【0028】
液晶または複屈折材料の層の、ある波長における「光学的リターデーション」R(λ)(nmにおいて)は、その波長における複屈折率Δn(λ)および層厚みd(nmにおいて)の積として、式
R(λ)=Δn(λ)・d
に従い定義される。光学的リターデーションRは、複屈折材料を通過する際にS偏光およびP偏光が進む光路長の違いをナノメータで表す。「軸上(on−axis)」リターデーションとは、サンプル表面に対して垂直入射におけるリターデーションを意味する。
【0029】
用語「正の(光学的)分散」は「正常」複屈折分散を示す複屈折または液晶材料または層を言い、即ち、波長(λ)の増加に伴い複屈折率(Δn)の大きさが減少する、即ち、|Δn(450)|>|Δn(550)|またはΔn(450)/Δn(550)>1である。ただし、Δn(450)およびΔn(550)は、それぞれ、450nmおよび550nmの波長で測定された材料の複屈折率である。対照的に、負の(光学的)分散」は、|Δn(450)|<|Δn(550)|またはΔn(450)/Δn(550)<1を有する材料または層を意味する。また、例えば、A.Uchiyama、T.Yatabe「Control of Wavelength Dispersion of Birefringence for Oriented Copolycarbonate Films Containing Positive and Negative Birefringent Units」J.Appl.Phys.42巻、6941〜6945頁(2003年)も参照。
【0030】
ある波長における光学的リターデーションは、上記[R(λ)=Δn(λ)・d]の通り、複屈折率および層厚みの積として定義されるため、光学的分散は、比Δn(450)/Δn(550)により「複屈折分散」として、または、比R(450)/R(550)により「リターデーション分散」のいずれかとして表現できる。ただし、R(450)およびR(550)は、それぞれ、450nmおよび550nmの波長で測定された材料のリターデーションである。波長によって層厚みdは変化しないため、R(450)/R(550)はΔn(450)/Δn(550)に等しい。よって、正または正常分散の材料または層は、R(450)/R(550)>1または|R(450)|>|R(550)|を有する。
【0031】
本発明において、他に明言しない限り、「光学的分散」はリターデーション分散、即ち、比(R(450)/R(550)を意味する。
【0032】
材料のリターデーション(R(λ))は分光エリプソメータ、例えば、J.A.Woollam社製M2000分光エリプソメータを使用して測定できる。この装置は、典型的には、370nm〜2000nmの波長範囲にわたって、複屈折サンプル、例えば、石英の光学的位相差をナノメータで測定できる。このデータより、材料の分散(R(450)/R(550)またはΔn(450)/Δn(550))を計算することが可能である。
【0033】
これらの測定を行うための方法は、2006年10月、N.SinghによるNational Physics Laboratory(ロンドン、英国)、表題「Spectroscopic Ellipsometry、Part1−Theory and Fundamentals、Part 2−Practical Examples and Part 3−measurements」で提示され、J.A.Woollam社(リンカーン市、ネブラスカ州、アメリカ合衆国)によって出版された「Retardation Measurement(RetMeas)Manual(2002年)」および「Guide to WVASE(2002年)」(Woollam Variable Angle Spectroscopic Ellipsometer)に記載される測定手順に従う。他に明言しない限り、この方法を、本発明で記載される材料、フィルムおよび装置のリターデーションを決定するために使用する。
【0034】
本発明の目的のためには、他に明言しない限り、分散の測定を±40°の角度において行う。
【0035】
用語「Cプレート」は、その異常軸が層面に対して垂直である一軸性の複屈折材料の層を用いる光学的リターダーを言う。均一に配向された光学的に一軸性の複屈折液晶材料を含むCプレートにおいて、フィルムの光学軸は異常軸の方向によって与えられる。また、正の複屈折を有する光学的に一軸性の複屈折材料を含むCプレートは、「+Cプレート」または「正のCプレート」とも言われる。また、負の複屈折を有する光学的に一軸性の複屈折材料のフィルムを含むCプレートは、「−Cプレート」または「負のCプレート」とも言われる。
【0036】
<本発明の詳細な記載>
特に、式Iにおいて、
−A2が、それぞれ1個以上の基Lで置換されていてもよい1,4−フェニレンまたはナフタレン2,6−ジイルである化合物、
−A3が、それぞれ1個以上の基Lで置換されていてもよい1,4−フェニレンまたはナフタレン2,6−ジイルである化合物、
−A1が、それぞれ1個以上の基Lで置換されていてもよい1,4−フェニレンまたはナフタレン2,6−ジイルである化合物、
−Z1が、−COO−、−OCO−、−C≡C−または単結合、非常に好ましくは、−COO−または−C≡C−である化合物、
−mが0である化合物、
−mが1である化合物
が好ましい。
【0037】
非常に好ましくは、式Iの化合物は、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0038】
【化2】
【0039】
【化3】
式中、P、SpおよびLは上で与えられる意味を有し、rは、0、1、2、3または4であり、sは、0、1、2または3である。
【0040】
式Iの化合物は、文献および、例えば、Houben−Weyl編、Methoden der organischen Chemie、Thieme−Verlag社、Stuttgart市などの有機化学の標準的な著作に記載されており、それ自身は既知である方法に従うか類似して合成できる。特に好ましくは、下のスキーム1において示される方法に従うか類似して、化合物を調製する。
【0041】
【化4】
2−ブロモ−6−メトキシ−ナフタレン(1.1)をBuLiおよびヨウ素で処理することで、2−ヨード−6−メトキシ−ナフタレン(1.2)を調製する。この材料をBBr3で脱メチル化して、2−ヨード−6−ヒドロキシ−ナフタレン(1.3)を与える。3−ブロモプロパノールおよび炭酸カリウムをMEK中において反応させ、エーテル(1.4)を与える。このエーテルを3−クロロプロピオニルクロリドおよびトリエチルアミンと反応させ、エステル(1.5)を与える。このエステルを4−アミノフェニルアセチレンと薗頭条件下において反応させ、p−アミノトラン(1.6)を与える。例えば、H.A.Staab、G.Walther、Ann.1962年、657巻、104〜107頁に記載される通り、このアミノトランを1,1’−チオカルボニルジアミダゾールで処理して、イソチオシアナト化合物A1を与える。
【0042】
好ましい方法は、以下の工程を含む:
a)例えば、p−ハロゲン置換(好ましくは、6−ブロモ−2−ナフタレノールまたは4−ブロモフェノールなどの、p−臭素化またはp−ヨウ素化)芳香族アルコールのOH基を、ω−ハロゲン置換(好ましくは、例えば、3−クロロプロパノールまたは6−クロロヘキサノールなどの、ω−塩素化)脂肪族アルコールのハロゲン基とエーテル化し、
b)工程a)によって調製されたエーテルの脂肪族OH基を重合性基または保護型重合性基と反応させ、例えば、3−クロロプロピオニルクロリドでエステル化し、
c)工程c)によって調製されたエステルの(芳香族)ハロゲン基をp−アミノアリールアセチレン、例えば、4−アミノフェニルアセチレンと薗頭条件下において反応させて、p−アミノトランを合成し、
d)工程c)によって調製されたトランのアミノ基を1,1’−チオカルボニルジアミダゾールと処理して、p−イソチオシアナトトランを合成し、
e)任意工程として、例えば、トリエチルアミンなどの塩基で処理することなどにより、工程d)のイソチオシアナトトランの保護型重合性基を転化する。
【0043】
本発明のもう一つの態様は、式Iの1種類以上の化合物を含む重合性LC材料である。好ましくは、LC材料は、1種類以上の追加のRMを含む混合物であり、好ましくは、RMは一反応性および二反応性のRMより選択される。
【0044】
特に好ましくは、重合性LC混合物は、
A)式Iの1種類以上の化合物と、
B)式II:
【0045】
【化5】
(式中、
A4およびA5は、それぞれ互いに独立に、置換されていてもよい芳香族またはヘテロ芳香族基より選択され、好ましくは、1個以上のCH基がNにより置き換えられていてもよく、1個以上の基Lにより置換されていてもよい1,4−フェニレンまたはナフタレン−2,6−ジイルより選択され、
Rは、P−Sp−、F、Cl、Br、I、−CN、−NO2、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)NR0R00、−C(=O)X、−C(=O)OR0、−C(=O)R0、−NR0R00、−OH、−SF5、1〜12個、好ましくは1〜6個のC原子を有し置換されていてもよいシリル、アリールまたはヘテロアリール、1〜12個、好ましくは1〜6個のC原子を有し直鎖状または分岐状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシより選択され、ただし、1個以上H原子はFまたはClで置き換えられていてもよく、ただし、Xはハロゲンであり、
m1およびm2は、それぞれ互いに独立に、0、1、2、3または4であり、ただし、m1+m2<5であり、および
P、Sp、A1、Z1、L、R0およびR00は、式Iにおいて与えられる意味を有する。)
の1種類以上の化合物と、
C)任意成分として、成分A)、B)またはD)の化合物から、または、追加の化合物から選択できる、2個以上の重合性基を有する1種類以上の重合性メソゲン化合物と、
D)任意成分として、成分A)、B)またはC)の化合物から、または、追加の化合物から選択できる、1種類以上のキラル化合物と、
E)任意成分として、1種類以上の重合開始剤と、
F)任意成分として、1種類以上の界面活性剤と
を含む。
【0046】
重合性LC材料における式Iまたは成分A)の化合物の濃度は、好ましくは、1%〜60%である。
【0047】
成分B)および式IIの化合物は、好ましくは高い複屈折、非常に好ましくはΔn>0.2の複屈折を有するRMより選択される。特に好ましい化合物は、式IIにおいて、
−A4が、それぞれ1個以上の基Lによって置換されていてもよい1,4−フェニレンまたはナフタレン2,6−ジイルである化合物、
−A5が、それぞれ1個以上の基Lによって置換されていてもよい1,4−フェニレンまたはナフタレン2,6−ジイルである化合物、
−A1が、それぞれ1個以上の基Lによって置換されていてもよい1,4−フェニレンまたはナフタレン2,6−ジイルである化合物、
−Z1が、−COO−、−OCO−、−C≡C−または単結合、非常に好ましくは、−COO−または−C≡C−である化合物、
−m1が0である化合物、
−m1が1である化合物、
−m2が0である化合物、
−Rが、CN、OCH3およびSCH3より選択される化合物、
−Rが、上で定義される通りのP−Sp−を表す化合物
である。
【0048】
式IIおよび成分B)の非常に好ましい化合物は、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0049】
【化6】
【0050】
【化7】
式中、P、Sp、LおよびRは上で与えられる意味を有し、rは、0、1、2、3または4であり、sは、0、1、2または3であり、非常に好ましくは、Rは、P−Sp−、CN、OCH3またはSCH3を表す。
【0051】
重合性LC混合物における式IIおよび/または成分B)の化合物の濃度は、好ましくは、10%〜70%である。
【0052】
好ましくは、混合物は、2個以上の重合性基を含む成分C)の1種類以上の化合物(二反応性または多反応性化合物)を含む。成分C)の化合物は、好ましくは、式IIIより選択される。
【0053】
【化8】
式中、PおよびSpは、それぞれの出現において互いに独立に、式Iにおいて与えられる意味を有し、MGはキラルでもよい棒状メソゲン基である。
【0054】
MGは、好ましくは、式IVから選択される。
【0055】
【化9】
式中、
A11およびA22は、複数出現する場合は互いに独立に、N、OおよびSより選択される1個以上のヘテロ原子を含有していてもよく、上で定義される通りのLによって一置換または多置換されていてもよい芳香族または脂環式基であり、
Z11は、複数出現する場合は互いに独立に、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−S−CO−、−CO−S−、−O−COO−、−CO−NR0−、−NR0−CO−、−NR0−CO−NR00、−NR0−CO−O−、−O−CO−NR0−、−OCH2−、−CH2O−、−SCH2−、−CH2S−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2S−、−SCF2−、−CH2CH2−、−(CH2)4−、−CF2CH2−、−CH2CF2−、−CF2CF2−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR0−、−CY1=CY2−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−または単結合を表し、
R0およびR00は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子のアルキルを表し、
Y1およびY2は、それぞれ互いに独立に、H、F、ClまたはCNを表し、
mは、0、1、2、3または4である。
【0056】
好ましい基A11およびA22としては、限定することなく、フラン、ピロール、チオフェン、オキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イミダゾール、フェニレン、シクロヘキシレン、ビシクロオクチレン、シクロヘキセニレン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、アズレン、インダン、ナフタレン、テトラヒドロナフタレン、アントラセンおよびフェナントレンが挙げられ、これらの全ては1個以上の基Lによって置換されていてもよい。
【0057】
特に好ましい基A11およびA22は、1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2,6−ジイル、インダン−2,5−ジイル、ビシクロオクチレンまたは1,4−シクロヘキシレンより選択され、ただし、1個または2個の隣接していないCH2基はOおよび/またはSによって置き換えられていてもよく、これらの基は無置換であるか、上で定義される通りのLによって一置換または多置換されている。
【0058】
式IIIの特に好ましい化合物は、RがP−Spである式II、または、それの好ましいサブ式IIa〜IIpのものである。
【0059】
式IIIおよび成分C)の更に好ましい化合物は、以下の二反応性化合物から成る群より選択される。
【0060】
【化10】
式中、
P0は、複数出現する場合、互いに独立に、重合性基、好ましくは、アクリル、メタクリル、オキセタン、エポキシ、ビニル、ビニルオキシ、プロペニルエーテルまたはスチレン基であり、
Lは、複数出現する場合、互いに独立に、H、F、Cl、CN、または、1〜5個のC原子を有し、ハロゲン化されていてもよいアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシであり、
rは、0、1、2、3または4であり、
xおよびyは、それぞれ互いに独立に、0または同一または異なって1〜12の整数であり、
zは0または1であり、隣接するxまたはyが0の場合、zは0であり、
ただし、ベンゼン環は、1個以上の同一または異なる基Lで付加的に置換されていてもよい。
【0061】
重合性LC混合物における式IIIおよび/または成分C)の化合物の濃度は、好ましくは、5%〜70%である。
【0062】
式IIおよびIIIの化合物は、それ自身は既知で、例えば、Houben−Weyl編、Methoden der organischen Chemie、Thieme−Verlag社、Stuttgart市などの有機化学の標準的な著作に記載されている方法に従うか類似して調製できる。式IIIの適切な化合物およびそれらの合成方法は、米国特許第6,042,745号明細書にも記載されている。成分Bの適切な化合物およびそれらの合成方法は、例えば、米国特許第6,514,578号明細書、米国特許出願公開第2008/0143943号公報および英国特許出願公開第2 388 599号公報に記載されている。
【0063】
成分D)は、1個以上のキラル基を有する1種類以上の重合性または非重合性キラル化合物を含んでもよい。
【0064】
適切な非重合性キラル化合物は、例えば、R−またはS−811、R−またはS−1011、R−またはS−2011、R−またはS−3011、R−またはS−4011、R−またはS−5011、またはCB15(全て、メルク社、Darmstadt市、ドイツ国より入手可)などの標準的なキラルドーパント、米国特許第6,217,792号明細書に記載される通りのソルビトール類、米国特許第6,511,719号明細書に記載される通りのヒドロベンゾイン類、米国特許第7,223,450号明細書に記載される通りのキラルなビナフトール類、国際特許出願公開第02/34739号パンフレットに記載される通りのキラルなビナフトールアセタール類、米国特許第7,041,345号明細書に記載される通りのキラルなTADDOL類、または米国特許第7,060,331号明細書または米国特許第7,318,950号明細書に記載される通りのフッ素化された架橋基を有するキラル化合物である。適切な重合性キラル化合物は、例えば、下に列記されるもの、または、重合性キラル材料Paliocolor(登録商標)LC756(BASF社、Ludwigshafen市、ドイツ国製)である。
【0065】
非常に好ましい重合性キラル化合物および成分D)の化合物は、以下の化合物から成る群より選択される。
【0066】
【化11】
式中、
P0は、複数出現する場合、互いに独立に、重合性基、好ましくは、アクリル、メタクリル、オキセタン、エポキシ、ビニル、ビニルオキシ、プロペニルエーテルまたはスチレン基であり、
A0およびB0は、複数出現する場合、互いに独立に、1個、2個、3個または4個の基Lで置換されていてもよい1,4−フェニレン、またはトランス−1,4−シクロヘキシレンであり、
X0は、複数出現する場合、互いに独立に、−O−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−または単結合であり、
Z0は、複数出現する場合、互いに独立に、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−CH2CH2−、−C≡C−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−または単結合であり、
R*は、2−メチルブチル、2−メチルオクチル、2−メチルブトキシまたは2−メチルオクトキシなどの、4個以上、好ましくは、4〜12個のC原子を有するキラルなアルキルまたはアルコキシ基であり、
Chは、コレステリル、エストラジオール、または、メンチルまたはシトロネリルなどのテルペノイド基より選択されるキラル基であり、
Lは、複数出現する場合、互いに独立に、H、F、Cl、CN、または、1〜5個のC原子を有し、ハロゲン化されていてもよいアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシであり、
rは、0、1、2、3または4であり、
tは、複数出現する場合、互いに独立に、0、1、2または3であり、
uおよびvは、それぞれ互いに独立に、0、1または2であり、
wは、0または1であり、
xおよびyは、それぞれ互いに独立に、0、または、同一または異なって1〜12の整数であり、
zは0または1であり、隣接するxまたはyが0の場合、zは0であり、
ただし、ベンゼンおよびナフタレン環は、1個以上の同一または異なる基Lで付加的に置換されていてもよい。
【0067】
重合性LC混合物におけるキラル化合物および/または成分D)の濃度は、好ましくは、5〜25重量%である。
成分A)〜D)の化合物に加え、LC混合物は、更なる1種類以上のRMを成分G)として含んでもよい。これらの更なるRMは、好ましくは、カラミチックモノマーである。非常に好ましくは、これらの更なる成分G)のRMは、以下の式より選択される。
【0068】
【化12】
式中、P、SpおよびMGは、上で与えられる意味を有し、
Rは、F、Cl、Br、I、−CN、−NO2、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)NR0R00、−C(=O)X、−C(=O)OR0、−C(=O)R0、−NR0R00、−OH、−SF5、1〜12個、好ましくは、1〜6個のC原子を有する置換されていてもよいシリル、直鎖状または分岐状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシを表し、ただし、1個以上のH原子はFまたはClによって置き換えられていてもよく、ただし、Xはハロゲンであり、および
R0およびR00は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子のアルキルである。
【0069】
重合性LC混合物の追加のRMは、それ自身は既知で、例えば、Houben−Weyl編、Methoden der organischen Chemie、Thieme−Verlag社、Stuttgart市などの有機化学の標準的な著作に記載されている方法によって調製できる。適切なRMは、例えば、国際特許出願公開第93/22397号パンフレット、欧州特許第0 261 712号明細書、ドイツ国特許第195 04 224号明細書、国際特許出願公開第95/22586号パンフレット、国際特許出願公開第97/00600号パンフレット、米国特許第5,518,652号明細書、米国特許第5,750,051号明細書、米国特許第5,770,107号明細書および米国特許第6,514,578号明細書で開示されている。特に適切で好ましいRMの例を、以下のリストに示す。
【0070】
【化13】
【0071】
【化14】
【0072】
【化15】
式中、
P0は、複数出現する場合、互いに独立に、重合性基、好ましくは、アクリル、メタクリル、オキセタン、エポキシ、ビニル、ビニルオキシ、プロペニルエーテルまたはスチレン基であり、
Z0は、複数出現する場合、互いに独立に、−COO−、−OCO−、−CH2CH2−、−C≡C−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−または単結合であり、
R0は、1個以上、好ましくは1〜15個のC原子を有し、フッ素化されていてもよいアルキル、アルコキシ、チオアルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシ、または、Y0またはP−(CH2)y−(O)z−であり、
Y0は、F、Cl、CN、NO2、OCH3、OCN、SCN、SF5、1〜4個のC原子を有し、フッ素化されていてもよいアルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシ、または、1〜4個のC原子を有し、モノフッ素化、オリゴフッ素化またはポリフッ素化されたアルキルまたはアルコキシであり、
R01、02は、それぞれ互いに独立に、H、R0またはY0であり、
Lは、複数出現する場合、互いに独立に、H、F、Cl、CN、または、1〜5個のC原子を有し、ハロゲン化されていてもよいアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシであり、
rは、0、1、2、3または4であり、
uおよびvは、それぞれ互いに独立に、0、1または2であり、
wは、0または1であり、
xおよびyは、それぞれ互いに独立に、0または同一または異なって1〜12の整数であり、
zは0または1であり、隣接するxまたはyが0の場合、zは0であり、
ただし、ベンゼン環は、1個以上の同一または異なる基Lで付加的に置換されていてもよい。
【0073】
重合性LC混合物における式Vおよび/または成分G)の追加のRMの濃度は、好ましくは、5〜50重量%である。
【0074】
重合性LC材料の重合は、好ましくは、化学線照射の波長で吸収のある開始剤の存在下で行われる。この目的のためには、重合性LC材料は、好ましくは、成分E)の1種類以上の開始剤を含む。例えば、UV光を利用する重合の場合、UV照射下で分解し、重合反応を開始するフリーラジカルまたはイオンを生成する光開始剤を使用できる。アクリレートまたはメタクリレート基の重合には、好ましくは、ラジカル光開始剤が使用される。ビニル、エポキシドまたはオキセタン基の重合には、好ましくは、カチオン性の光開始剤が使用される。また、加熱されると分解して重合を開始するフリーラジカルまたはイオンを生成する熱重合開始剤を使用することも可能である。典型的なラジカル性光開始剤は、例えば、Irgacure651、Irgacure907またはIrgacure369などの、例えば、商業的に入手可能なIrgacure(登録商標)またはDarocure(登録商標)(Ciba社)である。典型的なカチオン性光開始剤は、例えば、UVI6974(Union Carbide社)である。
【0075】
好ましくは、成分E)は、例えば、欧州特許出願公開第1 388 538号公報で開示される通りの二色性または液晶光開始剤を含む。成分E)の非常に好ましい二色性光開始剤は、以下の式から成る群より選択される。
【0076】
【化16】
【0077】
【化17】
式中、L”はHまたはFであり、Rは1〜12個のC原子のアルキルまたはアルコキシであり、R’およびR”は1〜6個のC原子のアルキルまたはアルコキシより、非常に好ましくは、メチル、エチルまたはプロピルより選択される。
【0078】
重合性LC混合物における重合開始剤または成分E)の濃度は、好ましくは、0.01〜10%、非常に好ましくは、0.05〜6重量%である。
【0079】
LC分子の特定の表面配向を促進する1種類以上の成分F)の界面活性剤を含む重合性材料が更に好ましい。適切な界面活性剤は、例えば、J.Cognard、Mol.Cryst.Liq.Cryst.、78巻、補足1、1〜77頁(1981年)に記載されている。平面配向のための好ましい配向剤は、例えば、非イオン性界面活性剤、好ましくは、商業的に入手可能なFluorad FC−171(登録商標)(3M社製)またはZonyl FSN(登録商標)(デュポン社製)などのフッ化炭素界面活性剤、英国特許第2 383 040号明細書に記載される通りのマルチブロック界面活性剤または欧州特許出願公開第1 256 617号公報に記載される通りの重合性界面活性剤である。
【0080】
重合性LC混合物における界面活性剤または成分F)の濃度は、好ましくは、0.1〜1.5重量%である。
【0081】
上および下の式において、A1〜5およびA11、12などの芳香族およびヘテロ芳香族基は、単核、即ち、1個のみの芳香族環を有するもの(例えば、フェニルまたはフェニレンなど)、または、多核、即ち、2個以上の縮合環を有するもの(例えば、ナフチルまたはナフチレンなど)のいずれでもよい。特に好ましくは、40個までのC原子、芳香族基の場合、好ましくは6〜40個のC原子、最も好ましくは6〜20個のC原子、ヘテロ芳香族基の場合、好ましくは2〜40個のC原子、最も好ましくは2〜20個のC原子の単環式、二環式または三環式の芳香族またはヘテロ芳香族基であり、これら全ては縮合環を含んでいる場合もあり、置換されている場合もある。
【0082】
好ましい芳香族基としては、限定することなく、ベンゼン、ビフェニレン、トリフェニレン、[1,1’:3’,1”]ターフェニル−2’−イルエン、ナフタレン、アントラセン、ビナフチレン、フェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、テトラセン、ペンタセン、ベンゾピレン、フルオレン、インデン、インデノフルオレン、スピロビフルオレンなどが挙げられる。
【0083】
好ましいヘテロ芳香族基としては、限定することなく、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、フラン、チオフェン、セレノフェン、オキサゾール、イソキサゾール、1,2−チアゾール、1,3−チアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾールなどの5員環、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,3,5−テトラジンなどの6員環、およびカルバゾール、インドール、イソインドール、インドリジン、インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、プリン、ナフタイミダゾール、フェナントライミダゾール、ピリダイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、ベンゾキサゾール、ナフトキサゾール、アントロキサゾール、フェナントロキサゾール、イソキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、キノリン、イソキノリン、プテリジン、ベンゾ−5,6−キノリン、ベンゾ−6,7−キノリン、ベンゾ−7,8−キノリン、ベンゾイソキノリン、アクリジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾピリダジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントリジン、フェナントロリン、チエノ[2,3b]チオフェン、チエノ[3,2b]チオフェン、ジチエノチオフェン、ジチエノピリジン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ベンゾチアジアゾチオフェンなどの縮合系、またはそれらの基の組み合わせが挙げられる。
【0084】
A1およびA11、22などの非芳香族炭素環式およびヘテロ環式基としては、完全に飽和している環、即ち、単結合のみから形成されている環、および、部分的に飽和している環、即ち、二重結合も含んでいる環が挙げられる。また、非芳香族環は、好ましくは、Si、O、NおよびSより選択される1個以上のヘテロ原子を含んでもよい。
【0085】
A1およびA11、22などの炭素環式およびヘテロ環式(非芳香族)基は、単核、即ち、1個のみの環を有するもの(例えば、シクロヘキサンなど)、または多核、即ち、2個以上の縮合環を有するもの(例えば、デカヒドロナフタレンまたはビシクロオクタンなど)のいずれでもよい。特に好ましくは、完全に飽和している基である。更に好ましくは、40個までのC原子、炭素環式基の場合、好ましくは6〜40個のC原子、最も好ましくは6〜20個のC原子、ヘテロ炭素環式基の場合、好ましくは2〜40個のC原子、最も好ましくは2〜20個のC原子の単環式、二環式または三環式の基であり、これら全ては縮合環を含んでいる場合もあり、置換されている場合もある。非常に好ましくは、5員、6員、7員または8員の炭素環式環で、ただし、1個以上のC原子はSiで置き換えられていてもよく、および/または1個以上のCH基はNで置き換えられていてもよく、および/または1個以上の隣接していないCH2基は−O−および/または−S−で置き換えられていてもよく、それら全ては置換されていてもよい。
【0086】
好ましい炭素環式およびヘテロ環式基としては、制限することなく、シクロペンタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフラン、ピロリジンなどの5員環、シクロヘキサン、シリナン、シクロヘキセン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオピラン、1,3−ジオキサン、1,3−ジチアン、ピペリジンなどの6員環、シクロヘプタンなどの7員環、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、インダン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン−1,3−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル、スピロ[3.3]ヘプタン−2,6−ジイル、オクタヒドロ−4,7−メタノ−インダン−2,5−ジイルなどの縮合系、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0087】
基A1およびA11、22は、好ましくは、1個以上の基Lで置換されていてもよいトランス−1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレンおよびナフタレン−2,6−ジイルより選択される。
【0088】
基A2、A3、A4およびA5は、好ましくは、それぞれ互いに独立に、1個以上の基Lで置換されていてもよい1,4−フェニレンおよびナフタレン−2,6−ジイルより選択される。
【0089】
基Z1およびZ11は、好ましくは、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR0−、−NR0−CO−、−NR0−CO−NR0−、−OCH2−、−CH2O−、−SCH2−、−CH2S−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2S−、−SCF2−、−CH2CH2−、−(CH2)3−、−(CH2)4−、−CF2CH2−、−CH2CF2−、−CF2CF2−、−CH=CH−、−CY1=CY2−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR0−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、CR0R00または単結合より、非常に好ましくは、−COO−、−OCO−および単結合より選択される。
【0090】
式IにおけるLなどの環上の置換基は、好ましくは、P−Sp−、F、Cl、Br、I、−CN、−NO2、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)NR0R00、−C(=O)X、−C(=O)OR0、−C(=O)R0、−NR0R00、−OH、−SF5、1〜12個、好ましくは1〜6個のC原子の置換されていてもよいシリル、アリールまたはヘテロアリール、および1〜12個、好ましくは1〜6個のC原子の直鎖状または分岐状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシより選択され、ただし、1個以上のH原子はFまたはClで置き換えられていてもよく、ただし、R0およびR00は式Iにおいて定義される通りであり、Xはハロゲンである。
【0091】
好ましい置換基は、F、Cl、CN、NO2または1〜12個のC原子の直鎖状または分岐状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシより選択されるか(ただし、アルキル基はペルフルオロ化されていてもよい)、またはP−Sp−である。
【0092】
非常に好ましい置換基は、F、Cl、CN、NO2、CH3、C2H5、C(CH3)3、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)C2H5、OCH3、OC2H5、COCH3、COC2H5、COOCH3、COOC2H5、CF3、OCF3、OCHF2、OC2F5またはP−Sp−、特には、F、Cl、CN、CH3、C2H5、C(CH3)3、CH(CH3)2、OCH3、COCH3またはOCF3、最も好ましくは、F、Cl、CH3、C(CH3)3、OCH3またはCOCH3、またはP−Sp−より選択される。
【0093】
【化18】
式中、Lは、それぞれ独立に、上で与えられる意味の1つを有する。
【0094】
アルキルまたはアルコキシ基、即ち、末端CH2基が−O−によって置き換えられている場合、直鎖状でも分枝状でもよい。それは、好ましくは、直鎖状で2、3、4、5、6、7または8個の炭素原子を有し、従って、好ましくは、例えば、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、ヘプトキシ、またはオクトキシ、更に、メチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ノノキシ、デコキシ、ウンデコキシ、ドデコキシ、トリデコキシまたはテトラデコキシである。
【0095】
オキサアルキル、即ち、1個のCH2基が−O−によって置き換えられている場合、好ましくは、例えば、直鎖状の2−オキサプロピル(即ち、メトキシメチル)、2−(即ち、エトキシメチル)または3−オキサブチル(即ち、2−メトキシエチル)、2−、3−、または4−オキサペンチル、2−、3−、4−、または5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−、または6−オキサヘプチル、2−、3−、4−、5−、6−または7−オキサオクチル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−オキサノニルまたは2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−または9−オキサデシルである。
【0096】
1個以上のCH2基が−CH=CH−で置き換えられているアルキル基は、直鎖状でも分枝状でもよい。それは、好ましくは、直鎖状で2〜10個のC原子を有し、従って、好ましくは、ビニル、プロパ−1−、またはプロパ−2−エニル、ブタ−1−、2−またはブタ−3−エニル、ペンタ−1−、2−、3−またはペンタ−4−エニル、ヘキサ−1−、2−、3−、4−またはヘキサ−5−エニル、ヘプタ−1−、2−、3−、4−、5−またはヘプタ−6−エニル、オクタ−1−、2−、3−、4−、5−、6−またはオクタ−7−エニル、ノナ−1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−またはノナ−8−エニル、デカ−1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−またはデカ−9−エニルである。
【0097】
特に好ましいアルケニル基は、C2〜C7−1E−アルケニル、C4〜C7−3E−アルケニル、C5〜C7−4−アルケニル、C6〜C7−5−アルケニルおよびC7−6−アルケニル、特に、C2〜C7−1E−アルケニル、C4〜C7−3E−アルケニルおよびC5〜C7−4−アルケニルである。特に好ましいアルケニル基の例は、ビニル、1E−プロペニル、1E−ブテニル、1E−ペンテニル、1E−ヘキセニル、1E−ヘプテニル、3−ブテニル、3E−ペンテニル、3E−ヘキセニル、3E−ヘプテニル、4−ペンテニル、4Z−ヘキセニル、4E−ヘキセニル、4Z−ヘプテニル、5−ヘキセニル、6−ヘプテニルなどである。5個までのC原子を有する基が一般に好ましい。
【0098】
1個のCH2基が−O−により、および1個が−CO−により置き換えられているアルキル基において、これらの基は、好ましくは、隣り合っている。従って、これらの基は、一緒となってカルボニルオキシ基−CO−O−またはオキシカルボニル基−O−CO−を形成する。好ましくは、この基は直鎖状で、2〜6個のC原子を有している。それは、従って、好ましくは、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、アセチルオキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、ペンタノイルオキシメチル、2−アセチルオキシエチル、2−プロピオニルオキシエチル、2−ブチリルオキシエチル、3−アセチルオキシプロピル、3−プロピオニルオキシプロピル、4−アセチルオキシブチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、プロポキシカルボニルメチル、ブトキシカルボニルメチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(プロポキシカルボニル)エチル、3−(メトキシカルボニル)プロピル、3−(エトキシカルボニル)プロピル、4−(メトキシカルボニル)−ブチルである。
【0099】
2個以上のCH2基が−O−および/または−COO−で置き換えられているアルキル基は、直鎖状または分岐状でよい。それは、好ましくは、直鎖状で、3〜12個のC原子を有する。従って、それは、好ましくは、ビス−カルボキシ−メチル、2,2−ビス−カルボキシ−エチル、3,3−ビス−カルボキシ−プロピル、4,4−ビス−カルボキシ−ブチル、5,5−ビス−カルボキシ−ペンチル、6,6−ビス−カルボキシ−ヘキシル、7,7−ビス−カルボキシ−ヘプチル、8,8−ビス−カルボキシ−オクチル、9,9−ビス−カルボキシ−ノニル、10,10−ビス−カルボキシ−デシル、ビス−(メトキシカルボニル)−メチル、2,2−ビス−(メトキシカルボニル)−エチル、3,3−ビス−(メトキシカルボニル)−プロピル、4,4−ビス−(メトキシカルボニル)−ブチル、5,5−ビス−(メトキシカルボニル)−ペンチル、6,6−ビス−(メトキシカルボニル)−ヘキシル、7,7−ビス−(メトキシカルボニル)−ヘプチル、8,8−ビス−(メトキシカルボニル)−オクチル、ビス−(エトキシカルボニル)−メチル、2,2−ビス−(エトキシカルボニル)−エチル、3,3−ビス−(エトキシカルボニル)−プロピル、4,4−ビス−(エトキシカルボニル)−ブチル、5,5−ビス−(エトキシカルボニル)−ヘキシルである。
【0100】
CNまたはCF3で一置換されているアルキルまたはアルケニル基は、好ましくは、直鎖状である。CNまたはCF3による置換は、任意の所望の位置でよい。
【0101】
ハロゲンによって少なくとも一置換されているアルキルまたはアルケニル基は、好ましくは、直鎖状である。ハロゲンは、好ましくは、FまたはClで、多置換の場合、好ましくは、Fである。結果として生じる基は、ペルフルオロ化された基も含む。一置換の場合、FまたはCl置換は任意の所望の位置でよいが、好ましくはω位である。末端F置換を有する特に好ましい直鎖状の基の例は、フルオロメチル、2−フルオロエチル、3−フルオロプロピル、4−フルオロブチル、5−フルオロペンチル、6−フルオロヘキシルおよび7−フルオロヘプチルである。しかしながら、Fの他の位置が除外されるものではない。
【0102】
R0およびR00は、好ましくは、H、1〜12個のC原子の直鎖状または分岐状のアルキルより選択される。
【0103】
−CY1=CY2−は、好ましくは、−CH=CH−、−CF=CF−または−CH=C(CN)−である。
【0104】
ハロゲンは、F、Cl、BrまたはI、好ましくは、FまたはClである。
【0105】
重合性基Pは、ラジカルまたはイオン鎖重合、重付加または重縮合などの重合反応に関与できるか、または、例えば、縮合または付加により、ポリマーに類似反応においてポリマー主鎖上へグラフトできる基である。特に好ましくは、ラジカル、カチオンまたはアニオン重合などの鎖重合反応のための重合性基である。非常に好ましくは、C−C二重または三重結合を含む重合性基、およびオキセタン類またはエポキシド類などの開環反応により重合できる重合性基である。
【0106】
適切で好ましい重合性基としては、限定することなく、CH2=CW1−COO−、CH2=CW1−CO−、
【0107】
【化19】
CH2=CW2−(O)k1−、CH3−CH=CH−O−、(CH2=CH)2CH−OCO−、(CH2=CH−CH2)2CH−OCO−、(CH2=CH)2CH−O−、(CH2=CH−CH2)2N−、(CH2=CH−CH2)2N−CO−、HO−CW2W3−、HS−CW2W3−、HW2N−、HO−CW2W3−NH−、CH2=CW1−CO−NH−、CH2=CH−(COO)k1−Phe−(O)k2−、CH2=CH−(CO)k1−Phe−(O)k2−、Phe−CH=CH−、HOOC−、OCN−およびW4W5W6Si−が挙げられ、ただし、W1は、H、F、Cl、CN、CF3、フェニルまたは1〜5個のC原子のアルキル、特に、H、ClまたはCH3であり、W2およびW3は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜5個のC原子のアルキル、特に、H、メチル、エチルまたはn−プロピルであり、W4、W5およびW6は、それぞれ互いに独立に、Cl、1〜5個のC原子のオキサアルキルまたはオキサカルボニルアルキルであり、W7およびW8は、それぞれ互いに独立に、H、Clまたは1〜5個のC原子のアルキルであり、Pheは1,4−フェニレン{好ましくは、上で定義される通りの1個以上の基L(P−Sp−の意味は除く)で置換されていてもよい}であり、k1およびk2は、それぞれ互いに独立に、0または1である。
【0108】
非常に好ましい重合異性基は、CH2=CW1−COO−、CH2=CW1−CO−、
【0109】
【化20】
(CH2=CH)2CH−OCO−、(CH2=CH−CH2)2CH−OCO−、(CH2=CH)2CH−O−、(CH2=CH−CH2)2N−、(CH2=CH−CH2)2N−CO−、HO−CW2W3−、HS−CW2W3−、HW2N−、HO−CW2W3−NH−、CH2=CW1−CO−NH−、CH2=CH−(COO)k1−Phe−(O)k2−、CH2=CH−(CO)k1−Phe−(O)k2−、Phe−CH=CH−、HOOC−、OCN−およびW4W5W6Si−より選択され、ただし、W1は、H、F、Cl、CN、CF3、フェニルまたは1〜5個のC原子のアルキル、特に、H、ClまたはCH3であり、W2およびW3は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜5個のC原子のアルキル、特に、H、メチル、エチルまたはn−プロピルであり、W4、W5およびW6は、それぞれ互いに独立に、Cl、1〜5個のC原子のオキサアルキルまたはオキサカルボニルアルキルであり、W7およびW8は、それぞれ互いに独立に、H、Clまたは1〜5個のC原子のアルキルであり、Pheは1,4−フェニレン{好ましくは、上で定義される通りの1個以上の基L(P−Sp−の意味は除く)で置換されていてもよく}であり、k1およびk2は、それぞれ互いに独立に、0または1である。
【0110】
最も好ましい重合性基は、CH2=CH−COO−、CH2=C(CH3)−COO−、(CH2=CH)2CH−OCO−、(CH2=CH)2CH−O−、
【0111】
【化21】
より選択される。
【0112】
重合は、通常の専門家に既知で、文献、例えば、D.J.Broer;G.Challa;G.N.Mol、Macromol.Chem、1991年、192巻、59頁に記載される方法に従い、行うことができる。
【0113】
スペーサー基Spは、好ましくは、P−Sp−がP−Sp’−X’−となるように、式Sp’−X’から選択され、式中、
Sp’は、1〜20個のC原子、好ましくは1〜12個のC原子を有し、直鎖状、分岐状または環状アルキレンであり、ただし、F、Cl、Br、IまたはCNで一置換または多置換されていてもよく、1個以上の隣接していないCH2基は、それぞれの場合で互いに独立に、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないようにして、−O−、−S−、−NH−、−NR0−、−SiR0R00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−NR0−CO−O−、−O−CO−NR0−、−NR0−CO−NR0−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、
X’は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR0−、−NR0−CO−、−NR0−CO−NR0−、−OCH2−、−CH2O−、−SCH2−、−CH2S−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2S−、−SCF2−、−CF2CH2−、−CH2CF2−、−CF2CF2−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR0−、−CY1=CY2−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−または単結合であり、
R0およびR00は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子のアルキルであり、および
Y1およびY2は、それぞれ互いに独立に、H、F、ClまたはCNである。
【0114】
X’は、好ましくは、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR0−、−NR0−CO−、−NR0−CO−NR0−または単結合である。
【0115】
典型的な基Sp’は、例えば、−(CH2)p1−、−(CH2CH2O)q1−CH2CH2−、−CH2CH2−S−CH2CH2−または−CH2CH2−NH−CH2CH2−または−(SiR0R00−O)p1−であり、ただし、p1は1〜20、好ましくは2〜12の整数であり、q1は1〜10、好ましくは1〜5の整数であり、およびR0およびR00は上で与えられる意味を有する。
【0116】
好ましい基Sp’は、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、オクタデシレン、シクロヘキシレン、エチレンオキシエチレン、メチレンオキシ−ブチレン、エチレン−チオエチレン、エチレン−N−メチル−イミノエチレン、1−メチルアルキレン、エテニレン、プロペニレンおよびブテニレンである。更に好ましくは、キラルなスペーサー基、および、シクロアルキル基、好ましくは、シクロヘキサン基、例えば、1−alkyl−4−alkyl’−シクロヘキサン(ただし、alkylおよびalkyl’は、同一または異なるC1〜12アルキル基である)を含むスペーサー基である。
【0117】
スペーサー基Spなしで重合性基Pがメソゲン基に直接結合している化合物が更に好ましい。
【0118】
2個以上の基P−Sp−を有する化合物の場合、重合性基Pおよびスペーサー基Spは同一でも異なっていてもよい。
【0119】
もう一つの好ましい実施形態において、式I、II、III、IVおよび/またはVの化合物は、1個以上の重合性基Pを含むか、または、2個以上の重合性サブ基PXまたはPX−Sp−を含む1個以上の置換基L(多官能重合性基)を含む。この型の適切な多官能重合性基は、例えば、米国特許第7,060,200号明細書または米国特許出願公開2006/172090号公報で開示されている。以下の式から成る群より選択される1個以上の多官能重合性基Pを含む化合物が非常に好ましい。
【0120】
【化22】
式中、
alkylは、直鎖状または分岐状で1〜12個のC原子を有するアルキレン(無置換であるか、F、Cl、Br、IまたはCNで一置換または多置換されており、ただし、1個以上の隣接していないCH2基は、それぞれの場合で互いに独立に、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないようにして、−O−、−S−、−NH−、−NR0−、−SiR0R00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−SO2−、−CO−NR0−、−NR0−CO−、−NR0−CO−NR00−、−CY1=CY2−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、ただし、Y1、Y2、R0およびR00は上で与えられる意味を有する)であるか、または、alkylは単結合を表し、
aaおよびbbは、それぞれ互いに独立に、0、1、2、3、4、5または6であり、
X’は、上で定義される通りであり、および
P1〜5は、それぞれ互いに独立に、上でPに対して与えられる意味の1つを有する。
【0121】
本発明によるポリマーフィルムの一般的な調製は通常の専門家に既知であり、文献、例えば、D.J.Broer;G.Challa;G.N.Mol、Macromol.Chem、1991年、192巻、59頁に記載されている。典型的には、重合性LC材料(即ち、化合物または混合物または調合物)を基板上にコーティングまたはそうでなければ塗布し、そこで均一な方向に配向させ、例えば、熱または化学線照射に曝露して、好ましくは光重合により、非常に好ましくはUV−光重合により、選択された温度において、それのLC相中でその場で重合し、LC分子の配向を固定する。必要に応じて、LC材料をせん断またはアニールする、基板の表面処理、またはLC材料に界面活性剤を添加するなどの付加的な方法により均一な配向を促進できる。
【0122】
基板として、例えば、ガラスまたは石英シートまたはプラスチックフィルムを使用できる。重合前および/または重合中および/または重合後において、コーティングされた材料の最表面上に第2の基板を配置することも可能である。重合後、基板を取り除いても取り除かなくてもよい。2つの基板を使用して化学線照射により硬化する場合、少なくとも一方の基板は、重合のために使用される化学線照射に対して透過性を有していなければならない。等方性または複屈折性の基板を使用できる。重合後に重合されたフィルムから基板を取り除かない場合、好ましくは等方性基板を使用する。
【0123】
適切で好ましいプラスチック基板は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリエチレン−ナフタレート(PEN)などのポリエステルのフィルム、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカーボネート(PC)またはトリアセチルセルロース(TAC)、非常に好ましくは、PETまたはTACフィルムである。複屈折性基板としては、例えば、一軸延伸プラスチックフィルムを使用できる。PETフィルムは、例えば、帝人デュポンフィルム株式会社より商標名Melinex(登録商標)で商業的に入手可能である。
【0124】
重合性材料は、スピンコートまたはブレードコートなどの従来の塗工技術により、基板上に塗布できる。また、従来の印刷技術によっても基板に塗布でき、例えば、スクリーン印刷、オフセット印刷、リール−ツー−リール式印刷、レタープレス印刷、グラビア印刷、ロトグラビア印刷、フレキソ印刷、インタリオ印刷、パッド印刷、熱シール印刷、インクジェット印刷またはスタンプまたは印刷板を利用する印刷など専門家に既知である。
【0125】
重合性材料を適切な溶媒に溶解することも可能である。次いで、この溶液を、例えば、スピンコートまたはプリントまたは他の既知の技術により、基板上に塗工または印刷し、重合前に溶媒を蒸発させる。多くの場合、溶媒の蒸発を促進するために、混合物を加熱することが適切である。溶媒としては、例えば、標準的な有機溶媒を使用できる。溶媒は、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトンまたはシクロヘキサノンなどのケトン類;メチル、エチルまたはブチルアセテートまたはメチルアセトアセテートなどの酢酸エステル類;メタノール、エタノールまたはイソプロピルアルコールなどのアルコール類;トルエンまたはキシレンなどの芳香族溶媒類;ジ−またはトリ−クロロメタンなどのハロゲン化炭化水素類;PGMEA(プロピルグリコールモノメチルエーテルアセテート)などのグリコール類またはそれらのエステル類、γ−ブチロラクトンなどより選択できる。また、上の溶媒の2元または3元以上の混合物も使用できる。
【0126】
重合性LC材料の初期配向(例えば、平面配向)は、例えば、基板をラビング処理する、塗工中または後に材料をせん断する、重合前に材料をアニールする、配向層を塗布する、塗工された材料に磁界または電界を印加する、または材料に表面活性化合物を添加することで達成できる。配向技術の総説は、例えば、I.Sage、「Thermotropic Liquid Crystals」中、G.W.Gray編、John Wiley & Sons社、1987年刊、75〜77頁;およびT.UchidaおよびH.Seki、「Liquid Crystals−Applications and Uses、第3巻」中、B.Bahadur編、World Scientific Publishing社、Singapore、1992年刊、1〜63頁に与えられている。配向材料および技術の総説は、J.Cognard、Mol.Cryst.Liq.Cryst.、78巻、補足1(1981年刊)、1〜77頁に与えられている。
【0127】
また、基板上に配向層を塗布し、この配向層上に重合性材料を塗布することも可能である。適切な配向層は、例えば、米国特許第5,602,661号明細書、米国特許第5,389,698号明細書または米国特許第6,717,644号明細書に記載される通りのラビングされたポリイミドまたは光配向で調製された配向層など当該技術において既知である。
【0128】
また、重合前に昇温、好ましくは重合温度に昇温して、重合性LC材料をアニールすることで、配向を誘発または改良することも可能である。
【0129】
重合は、例えば、重合性材料を熱または化学線照射に曝露することで達成される。化学線照射とは、UV光、IR光または可視光などの光の照射、X線またはガンマー線の照射またはイオンまたは電子などの高エネルギー粒子の照射を意味する。好ましくは、重合をUV照射により行う。化学線照射の線源としては、例えば、単一のUVランプまたはUVランプのセットを使用できる。高いランプパワーを使用すれば、硬化時間を短縮できる。化学線照射のもう1つの可能な線源は、例えば、UV、IRまたは可視光レーザーなどのレーザーである。
【0130】
また、重合性材料は、望ましくない自発的な重合を予防するため、例えば、商業的に入手可能なIrganox(登録商標)(Ciba Geigy社、Basel市、スイス国)などの安定剤または禁止剤を1種類以上含んでもよい。
【0131】
硬化時間は、重合性材料の反応性、塗工層の厚み、重合開始剤のタイプおよびUVランプの出力にとりわけ依存する。硬化時間は、好ましくは5分以下、非常に好ましくは3分以下、最も好ましくは1分以下である。大量生産には、30秒以下の硬化時間が好ましい。
【0132】
好ましくは、重合は、窒素またはアルゴンなどの不活性ガス雰囲気内で行う。
【0133】
また、重合性材料は、重合のために使用される照射の波長で吸収が最大となるよう調整された色素、例えば、4,4”−アゾキシアニソールまたはTinuvin(登録商標)色素(Ciba AG社製、Basel市、スイス国)などの特にUV色素を1種類以上含んでもよい。
【0134】
もう1つの好ましい実施形態において、重合性材料は1種類以上の一反応性の重合性の非メソゲン性化合物を含み、好ましくは、0〜50%、非常に好ましくは、0〜20%の量である。典型的な例は、アルキルアクリレート類またはアルキルメタクリレート類である。
【0135】
もう1つの好ましい実施形態において、二反応性または多反応性の重合性のメソゲン性化合物に代えるか加えて、重合性材料は1種類以上の二反応性または多反応性の重合性の非メソゲン性化合物を含み、好ましくは0〜50%、非常に好ましくは0〜20%の量で含む。二反応性の非メソゲン性化合物の典型的な例は、1〜20個のC原子のアルキル基を有するアルキルジアクリレート類またはアルキルジメタクリレート類である。多反応性の非メソゲン性化合物の典型的な例は、トリメチルプロパントリメタクリレートまたはペンタエリスリトールテトラアクリレートである。
【0136】
また、ポリマーフィルムの物理的特性を修正するために、1種類以上の連鎖移動剤を重合性材料に加えることも可能である。特に好ましくは、チオール化合物類で、例えば、ドデカンチオールなどの一官能性チオール類またはトリメチルプロパントリ(3−メルカプトプロピオネート)などの多官能性チオール類である。非常に好ましくは、例えば、米国特許第5,948,486号明細書、米国特許第6,096,241号明細書、米国特許第6,319,963号明細書または米国特許第6,420,001号明細書中に開示される通りのメソゲン性またはLCチオール類である。連鎖移動剤を使用することで、ポリマーフィルム中の束縛されていないポリマー鎖の長さおよび/または2つの架橋間のポリマー鎖の長さを制御できる。連鎖移動剤の量を増加すると、ポリマーフィルム中のポリマー鎖長は減少する。
【0137】
また、重合性材料は、重合体バインダーまたは重合体バインダーを形成できる1種類以上のモノマーおよび/または1種類以上の分散助剤を含むこともできる。適切なバインダーおよび分散助剤は、例えば、国際特許出願公開第96/02597号パンフレットに開示されている。しかしながら、好ましくは、重合性材料は、バインダーおよび分散助剤を含まない。
【0138】
重合性材料は、例えば、触媒、増感剤、安定剤、禁止剤、連鎖移動剤、共反応性モノマー、表面活性化合物、潤滑剤、湿潤剤、分散剤、疎水化剤、粘着性剤、流動性改良剤、消泡剤、脱気剤、希釈剤、反応性希釈剤、補助剤、着色剤、色素、顔料またはナノ粒子などの1種類以上の添加剤を付加的に含んで構わない。
【0139】
本発明によるポリマーフィルムの厚みは、好ましくは、0.3〜5ミクロン、非常に好ましくは、0.5〜3ミクロン、最も好ましくは、0.7〜1.5ミクロンである。配向層としての使用には、0.05〜1、好ましくは0.1〜0.4ミクロンの厚みの薄膜が好ましい。
【0140】
本発明のポリマーフィルムは、例えば、LCD中において広視野角におけるコントラストおよび輝度を改良し、色度を低減するために、リターデーションまたはコンペンセーションフィルムとして使用できる。それはLCDのスイッチ可能なLCセルの外側で使用するか、または通常、ガラス基板であってスイッチ可能なLCセルを形成し、スイッチ可能なLC媒体を含有する基板間で使用することができる(セル内用途)。
【0141】
また、本発明のポリマーフィルムは、LC材料用の配向層としても使用できる。例えば、スイッチ可能なLC媒体の配向を誘発または改良するため、または、その上に塗工された重合性LC材料の次の層を配向するために、LCD中において使用できる。このようにして、重合されたLCフィルムの積層を調製できる。
【0142】
本発明の層、フィルムおよび材料は各種タイプの光学フィルム用に使用でき、好ましくは、光学的一軸フィルム(Aプレート、Cプレート、負のCプレート、Oプレート)、例えば、ツイスト1/4波長箔(QWF)、色消しリターダ、色消しQWFまたは半波長箔(HWF)などのツイスト光学的リターダ、および光学的二軸フィルム、例えば、二軸性で負のCフィルムより選択する。層および材料におけるLC相構造は、コレステリック、スメクチック、ネマチックおよびブルー相より選択できる。層におけるLC材料の配向は、ホメオトロピック、スプレイ、チルト、プラナーおよびブルー相配向より選択できる。層は均一に配向しても、または異なる配向のパターンを示すこともできる。
【0143】
フィルムは、LCDの視野角増大のための光学的コンペンセーションフィルムとして、または輝度増強フィルムにおける部品として、更には、反射型または半透過型LCDにおける色消し素子として使用できる。更に好ましい用途および装置としては、
−CD/DVD/HD−DVD/ブルーレイ複合装置などで、読み出し、書き込み、再書き込み、データ記憶システムを含む、複数の波長において同様の位相シフトを必要とする光電子装置におけるリターディング部品
−カメラなどの光学的装置用の色消しリターダ
−OLEDおよびLCDを含むディスプレイ用の色消しリターダが挙げられる。
【0144】
本発明のポリマーフィルムは従来のLCディスプレイ中で使用でき、例えば、DAP(deformation of aligned phases:配向相変形)、ECB(electrically controlled birefringence:電気制御複屈折)、CSH(colour super homeotropic:有色スーパーホメオトロピック)、VA(vertically aligned:垂直配向)、VANまたはVAC(vertically aligned nematicまたはcholesteric:垂直配向ネマチックまたはコレステリック)、MVA(multi−domain vertically aligned:複数領域垂直配向)またはPVA(patterned vertically aligned:パターン化垂直配向)モードなどの垂直配向のディスプレイ;OCB(optically compensated bend cellまたはoptically compensated birefringence:光学的補償ベンドセルまたは光学的補償複屈折)、R−OCB(reflective OCB:反射OCB)、HAN(hybrid aligned nematic:ハイブリッド配向ネマチック)またはパイ−セル(π−cell)モードなどのベンドまたはハイブリッド配向のディスプレイ;TN(twisted nematic:ツイストネマチック)、HTN(highly twisted nematic:高度ツイストネマチック)、STN(super twisted nematic:スーパーツイストネマチック)、AMD−TN(active matrix driven TN:アクティブマトリクス駆動TN)モードなどのツイスト配向のディスプレイ;IPS(in plane switching:面内スイッチング)モードのディスプレイ、または光学的等方相においてスイッチするディスプレイである。
【0145】
上述の用途に加え、例えば、マルチプレックスまたはアクティブマトリックスアドレスのツイストまたはスーパーツイストネマチック(TN、STN)ディスプレイなどのツイスト構造を示す他のLCD用か、国際特許出願公開第92/19695号パンフレット、国際特許出願公開第93/23496号パンフレット、米国特許第5,453,863号明細書または米国特許第5,493,430号明細書で記載される通りの表面安定化またはポリマー安定化コレステリックテクスチャディスプレイ(SSCT、PSCT)などのコレステリックディスプレイにおけるか、国際特許出願公開第98/57223号パンフレットで記載される通りのマルチ−ドメインLCDなどのピッチを変えることができるLCD用か、または、米国特許第5,668,614号明細書で記載される通りの多色性コレステリックディスプレイにおけるLC混合物においても式Iの化合物を使用できる。また、例えば、英国特許第2 356 629号明細書で記載される通りのフレキソ電気的ディスプレイにおいても、式Iの化合物を使用できる。
【0146】
式Iの化合物のもう一つの好ましい使用は、重合性LC混合物、異方性ポリマーゲルおよび異方性ポリマーフィルムの調製である。キラル化合物を含む混合物において式Iの化合物を使用する場合、または、式Iの化合物自身がキラルな場合、均一な面配向で螺旋状にツイストした分子構造を示すポリマーフィルムを調製でき、即ち、この場合、配向コレステリックフィルムの様に、螺旋軸はフィルム面に垂直に配向している。それらを含む異方性ポリマーゲルおよびディスプレイは、例えば、ドイツ国特許第195 04 224号明細書および英国特許第2 279 659号明細書において開示されている。配向コレステリックポリマーフィルムは、例えば、ブロードバンド反射偏光子、カラーフィルター、セキュリティーマークとして、または、LC顔料を調製するために使用できる。
【0147】
また、式Iの本発明の化合物は、それぞれ温度変化または光照射によって、それらの色を変えるサーモクロミックまたはホトクロミックLC媒体における使用にも適している。
【0148】
以下の例は、本発明を制限することなく説明することを意図している。また、以下に記載される方法、構造および特性を、本発明において特許請求されているが、先述の明細書または例において明らかには記載されていない材料にも適用または転用できる。
【0149】
上および下において、パーセンテージは重量パーセントである。全ての温度は摂氏度で与えられる。m.p.は融点を表し、cl.p.は透明点を表し、Tgはガラス転移温度を表す。更に、Cは結晶状態、Nはネマチック相、Chはコレステリック相、Sはスメクチック相、Iは等方相である。これらの記号の間のデータは転移温度を℃で表す。Δnは589nmおよび20℃において測定される光学異方性(Δn=ne−no、ただし、noは分子の長軸に平行な屈折率を表し、neはそれに垂直な屈折率を表す)を表す。他に明記しない限り、光学的特性は20℃で測定される。
【0150】
他に明言しない限り、上および下で与えられる通りの重合性混合物における成分のパーセンテージは重合性混合物における固形分の総量を言うもので、即ち、溶媒を含まない。
【0151】
ポリマーフィルムのリターデーションプロファイル(角度に対するリターデーション)を次の通り測定する:フィルムのサンプルをM2000V分光エリプソメータに配置し、M−2000Vを使用して電源とする光源を使用して透過で測定する(これらは全て、J.A.Woollam社より入手可能である)。フィルムのリターデーションは、一般に、−40°から+40°で測定した。
【0152】
これらの測定を行うための方法は、2006年10月、N.SinghによるNational Physics Laboratory(ロンドン、英国)、表題「Spectroscopic Ellipsometry、Part 1−Theory and Fundamentals、Part 2−Practical Examples and Part 3−measurements」で提示され、J.A.Woollam社(リンカーン市、ネブラスカ州、アメリカ合衆国)によって出版された「Retardation Measurement(RetMeas)Manual(2002年)」および「Guide to WVASE(2002年)」(Woollam Variable Angle Spectroscopic Ellipsometer)に記載される測定手順に従う。
【実施例】
【0153】
<例1>
化合物(A1)を以下の通り調製する。
【0154】
<2−ヨード−6−メトキシ−ナフタレン1.2の調製>
【0155】
【化23】
無水のTHF(2L)中の2−ブロモ−6−メトキシ−ナフタレン(49.5g、209mmol)の溶液に、温度が−70℃より低く保たれる速度により(45分にわたり)、滴下漏斗を経由して、n−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、92mL、230mmol)を−75℃において添加する。結果として生じる黄色の溶液を、−75℃において15分撹拌する。ヨウ素の赤色が持続するまで(45分にわたる添加、最高温度−68℃)、滴下漏斗を経由し、無水のTHF(100mL)中のヨウ素(58.3g、230mmol)の溶液を添加する。混合物を室温まで温め、水(1.3L)を加える。分離を助けるために添加される塩水(500mL)と共に、ジクロロメタン(2L)で混合物を抽出する。水性画分をジクロロメタン(1L)で逆抽出する。合わせた有機画分を真空中で約1Lまで減らし、飽和水溶性メタ重亜硫酸ナトリウム(100mL)、次いで塩水(200mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、濾過して、溶媒を真空中で除去する。粗残渣をIMS(1.9l)より再結晶し、氷冷のIMS(150mLで2回)で洗浄し、真空オーブン中で70℃において乾燥し、薄いクリーム色の結晶性固体を与える。46.45g、78%。
【0156】
<2−ヨード−6−ヒドロキシ−ナフタレン1.3の調製>
【0157】
【化24】
−8℃におけるジクロロメタン(3Åモレキュラーシーブ上で乾燥)(1L)中の2−ヨード−6−メトキシ−ナフタレン(45.4g、160mmol)の僅かに濁った溶液/懸濁液に、BBr3(102g、407mmol)を滴下で30分にわたり加える。混合物を20℃まで温め、この温度で1.5時間撹拌する。水(400mL)を注意深く(ゆっくりと滴下により添加を始める)加え、二相混合物を激しく20分撹拌する。層を分離させ、追加の水(400mL)を追加し、水層をジクロロメタン(250mL)で抽出する。合わせた有機画分を水(500mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、濾過し、真空中で溶媒を除去して、銀色がかった紫色の斑な無色の固体(44.7g)を与える。これをIMS/水より再結晶(最初は、100mLのIMS中に溶解する)し、水洗し、真空オーブン中で乾燥し、擬白色の固体(40.3g、94%)を与える。
【0158】
<化合物1.4の調製>
【0159】
【化25】
2−ヨード−6−ヒドロキシ−ナフタレン(117g、432mmol)、3−ブロモプロパノール(45mL、519mmol)およびN−メチル−2−ピロリジオン(12.5mL、130mmol)を5Lの三口丸底フラスコに充填し、2−ブタノン(2.4L)中に溶解する。炭酸カリウム(無水、153g、1.12mol)を加え、反応混合物を還流で3時間、次いで80℃で16時間加熱する。追加の3−ブロモプロパノール(7.5ml、86mmol)を加え、反応混合物を還流で6時間加熱する。更なる量の3−ブロモプロパノール(7.5ml、86mmol)を加え、反応混合物を80℃で24時間撹拌する。混合物を放置して室温まで冷却し、濾過により固体を除去し、真空中で溶媒を除去する。最初に熱ジクロロメタン(1L)中に溶解し、濁るまで石油エーテル(沸点40〜60℃)(30mL)を加え、透明となるまでジクロロメタン(約30mL)を加えて、ジクロロメタン/石油エーテル(沸点40〜60℃)より残渣を再結晶する。氷冷し、吸引濾過で固体を回収し、石油エーテル(沸点40〜60℃)で洗浄(50mLで2回)し、真空オーブン中で乾燥して、淡黄色の結晶性固体(98.2g)を与える。最初にジクロロメタン(100mL)中に溶解してジクロロメタン/石油エーテル(沸点40〜60℃)より濾液(106g)を再結晶し、濾過し、石油エーテル(沸点40〜60℃)で洗浄(50mLで2回)し、真空オーブン中で乾燥して、淡いベージュ色の結晶性固体(21.4g)を与える。
【0160】
全体としての収率120g、84%。
【0161】
<化合物1.5の調製>
【0162】
【化26】
0℃における3−クロロプロピオニルクロリド(40mL、418mmol)およびジクロロメタン(3Åモレキュラーシーブ上で乾燥)(540mL)中の化合物1.4(98.0g、299mmol)の懸濁液に、トリエチルアミン(150mL、1.08mol)を滴下で加える。混合物を40℃で24時間加熱し、放置して室温まで冷却し、ジクロロメタン(1.5L)で分液ロートに移す。混合物を水(1.5L)、次いで塩水(750mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、濾過し、溶媒を真空中で除去する。粗残渣(約150g)をシリカ(600g)上でカラムにかけ、ジクロロメタンで溶出して淡いオレンジ/茶色の固体(111g、97%)を与える。
【0163】
<化合物1.6の調製>
【0164】
【化27】
化合物1.5(15.2g、39.7mmol)および4−エチニルアニリン(5.30g、45.3mmol)を、トリエチルアミン(37mL)/無水のTHF(74mL)中に溶解/部分的に懸濁する。CuI(106mg、556mmol)およびPd(PPh3)2Cl2(390mg、556mmol)を加え、混合物を室温で10分、次いで50℃で19時間撹拌する。反応混合物を放置して室温まで冷却し、次いで、ジクロロメタン(300mL)で分液ロートに移し、水(150mL)で洗浄し、水層をジクロロメタンで逆抽出(100mLで3回)する。合わせた有機画分を乾燥(Na2SO4)し、濾過し、溶媒を真空中で除去する。粗残渣をシリカ(200g)上でカラムにかけ、ジクロロメタン/酢酸エチル(1:1)で溶出する。得られた材料は、ジクロロメタン/石油エーテル(沸点40〜60℃)からの再結晶には純度が低すぎ、シリカゲル上で再度カラムにかけ、ジクロロメタンで溶出して、固体(14.6g)を与える。これを最初にジクロロメタン(50mL)中に溶解してジクロロメタン/石油エーテル(沸点40〜60℃)より再結晶し、ジクロロメタン/石油エーテル(沸点40〜60℃)(1:2、90mL)で洗浄し、40℃の真空オーブン中で乾燥して、淡い茶色の結晶性固体(8.05g、55%)を与える。
【0165】
<化合物A1の調製>
【0166】
【化28】
室温において撹拌されているジクロロメタン(3Åモレキュラーシーブ上で乾燥)(18mL)中の化合物1.6(7.95g、21.39mmol)の溶液に、1,1−チオカルボニルジイミダゾール(9.52g、53.44mmol)を一度に加える。反応混合物を室温で1.5時間撹拌する(TLC 100%ジクロロメタン)。粗混合物をジクロロメタン(50mL)で希釈し、水(50mL)/塩水(10mL)で洗浄し、水層をジクロロメタンで逆抽出(50mLで2回)する。合わせた有機抽出物を塩水(50mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、濾過し、真空中で溶媒を除去して、オレンジ色の固体(16.3g)を与える。これをカラムクロマトグラフィー(160gシリカ)で精製し、ジクロロメタン/石油エーテル(沸点40〜60℃)(2:1)で溶出して、固体(7.09g)を与える。これを最小量の温ジクロロメタン(約20mL)に溶解し、石油エーテル(沸点40〜60℃)(約80mL)を加えて生成物を沈殿させ、吸引濾過で回収し、石油エーテル(沸点40〜60℃)(20mL)で洗浄し、40℃の真空オーブン中で乾燥して、無色の固体(6.47g、73%)を与える。
【0167】
転移温度:K115.5N143.4I、Δn=0.455.
以下の化合物を類似して調製する。
【0168】
【化29】
【0169】
【化30】
【0170】
【化31】
【0171】
【化32】
<例2>
成分A)〜F)の以下の化合物を含む重合性LC混合物を調合する。
【0172】
【表1】
【0173】
【化33】
【0174】
【化34】
化合物B1およびB3は、英国特許出願公開第2 388 599号公報に記載されている。化合物B2は、米国特許第6,514,578号明細書または米国特許出願公開第2008/0143943号公報に記載される方法に類似して調製できる。化合物C1は、Broerら、Makromol.Chem.190巻、2255ffおよび3201ff(1991年)に記載される方法またはそれに類似して調製できる。化合物D1は、米国特許第7,223,450号明細書に記載される方法またはそれに類似して調製できる。化合物E1およびE2は、欧州特許出願公開第1 388 538号明細書に記載されている。化合物F1は、英国特許出願公開第2 383 040号公報に記載されている。
【0175】
混合物は、次のLC相シーケンスを示す:Ch88.4I。
【0176】
混合物をトルエン中の40%溶液に変換し、0.2ミクロンで濾過する。次いで、ラビングされたポリイミド被覆ガラス上に溶液を4000rpmで30秒スピンコートする。未硬化のフィルムを86℃で1分アニールし、次いで、365nmバンドパスフィルターが装着されたEFOSランプ下において、1分間、窒素雰囲気中で60℃の硬化温度および200mW/cm2の硬化パワーを使用して硬化する。結果として生じるポリマーフィルムは、負の光学的リターデーションおよび負のCプレートの光学的特性を有する。リターデーションプロファイルを図2に示す。
【0177】
以下の通り、R450/R550の値を+40°および−40°の角度で測定する:
1.138(+40°)
1.137(−40°)
当該負のCフィルムは、高い正のリターデーション分散を有する。
【0178】
<例3>
成分A)〜F)の以下の化合物を含む重合性LC混合物を調合する。
【0179】
【表2】
【0180】
【化35】
混合物は、次のLC相シーケンスを示す:Ch79.2I。
【0181】
混合物をトルエン中の40%溶液に変換し、0.2ミクロンで濾過する。次いで、ラビングされたポリイミド被覆ガラス上に溶液を4000rpmで30秒スピンコートする。未硬化のフィルムを77℃で1分アニールし、次いで、365nmバンドパスフィルターが装着されたEFOSランプ下において、1分間、窒素雰囲気中で60℃の硬化温度および200mW/cm2の硬化パワーを使用して硬化する。結果として生じるポリマーフィルムは、負の光学的リターデーションおよび負のCプレートの光学的特性を有する。リターデーションプロファイルを図3に示す。
【0182】
以下の通り、R450/R550の値を+40°および−40°の角度で測定する:
1.157(+40°)
1.159(−40°)
当該負のCフィルムは、高い正のリターデーション分散を有する。
【0183】
<例4>
成分A)〜F)の以下の化合物を含む重合性LC混合物を調合する。
【0184】
【表3】
【0185】
【化36】
化合物B4は、本出願または英国特許出願公開第2 388 599号公報に記載される方法に類似して調製できる。
【0186】
混合物は、次のLC相シーケンスを示す:Ch81.3I。
【0187】
混合物をトルエン中の40%溶液に変換し、0.2ミクロンで濾過する。次いで、ラビングされたポリイミド被覆ガラス上に溶液を4000rpmで30秒スピンコートする。未硬化のフィルムを79℃で1分アニールし、次いで、365nmバンドパスフィルターが装着されたEFOSランプ下において、1分間、窒素雰囲気中で60℃の硬化温度および200mW/cm2の硬化パワーを使用して硬化する。結果として生じるポリマーフィルムは、負の光学的リターデーションおよび負のCプレートの光学的特性を有する。リターデーションプロファイルを図4に示す。
【0188】
以下の通り、R450/R550の値を+40°および−40°の角度で測定する:
1.142(+40°)
1.142(−40°)
当該負のCフィルムは、高い正のリターデーション分散を有する。
【0189】
<例5>
成分A)〜D)およびF)の以下の化合物を含む重合性LC混合物を調合する。
【0190】
【表4】
【0191】
【化37】
化合物B5は、英国特許出願公開第2 388 599号公報に記載される方法に類似して調製できる。化合物C2は、本出願または米国特許第6,514,578号明細書または米国特許出願公開第2008/0143943号公報に記載される方法に類似して調製できる。化合物D2は米国特許第6,217,792号明細書に記載されている。
【0192】
混合物は、次のLC相シーケンスを示す:Ch94.5I。
【0193】
混合物をトルエン中の40%溶液に変換し、0.2ミクロンで濾過する。次いで、ラビングされたポリイミド被覆ガラス上に溶液を4000rpmで30秒スピンコートする。未硬化のフィルムを92℃で1分アニールし、次いで、365nmバンドパスフィルターが装着されたEFOSランプ下において、1分間、窒素雰囲気中で60℃の硬化温度および200mW/cm2の硬化パワーを使用して硬化する。結果として生じるポリマーフィルムは、負の光学的リターデーションおよび負のCプレートの光学的特性を有する。リターデーションプロファイルを図5に示す。
【0194】
以下の通り、R450/R550の値を+40°および−40°の角度で測定する:
1.166(+40°)
1.168(−40°)
当該負のCフィルムは、高い正のリターデーション分散を有する。
【0195】
<例6−比較例>
以下の化合物を含む重合性LC混合物を調合する。
【0196】
【表5】
【0197】
【化38】
化合物C3は、Broerら、Makromol.Chem.190巻、2255ffおよび3201ff(1991年)に記載される方法またはそれに類似して調製できる。化合物G1は、米国特許第6,344,154号明細書に記載されている。化合物G2は、米国特許第6,491,990号明細書に記載されている。
【0198】
混合物は、次のLC相シーケンスを示す:Ch66.2I。
【0199】
混合物を7:3のトルエン:シクロヘキサノン中の40%溶液に変換し、0.2ミクロンで濾過する。次いで、ラビングされたポリイミド被覆ガラス上に溶液を3000rpmで30秒スピンコートする。未硬化のフィルムを64℃で1分アニールし、次いで、250〜450nmバンドパスフィルターが装着されたEFOSランプ下において、1分間、空気中、室温で、200mW/cm2の硬化パワーを使用して硬化する。結果として生じるポリマーフィルムは、負の光学的リターデーションおよび負のCプレートの光学的特性を有する。リターデーションプロファイルを図6に示す。
【0200】
以下の通り、R450/R550の値を+40°および−40°の角度で測定する:
1.081(+40°)
1.083(−40°)
式Iの化合物(成分A)を含有する混合物より作製される例1〜5のフィルムと比べ、式Iの化合物を含有していない例6の混合物より作製される負のCフィルムは、著しく低い正のリターデーション分散を有する。
【0201】
<例7>
成分A)〜C)およびF)の以下の化合物を含む重合性LC混合物を調合する。
【0202】
【表6】
【0203】
【化39】
化合物B6およびB7は、米国特許第6,514,578号明細書または米国特許出願公開第2008/0143943号公報に記載される方法に類似して調製できる。
【0204】
混合物は、次のLC相シーケンスを示す:N157.4I。
【0205】
混合物をトルエン中の40%溶液に変換し、0.2ミクロンで濾過する。ラビングされたポリイミド被覆ガラス上に溶液を4000rpmで30秒スピンコートし、次いで、250〜450nmバンドパスフィルターが装着されたEFOSランプ下において、1分間、窒素雰囲気中、室温で、170mW/cm2の硬化パワーを使用して硬化する。結果として生じるポリマーフィルムは、正の光学的リターデーションおよび正のAプレートの光学的特性を有する。リターデーションプロファイルを図7に示す。
【0206】
以下の通り、R450/R550の値を+40°および−40°の角度で測定する:
1.200(+40°)
1.200(−40°)
当該正のAフィルムは、高い正のリターデーション分散を有する。
【0207】
<例8−比較例>
以下の化合物を含む重合性LC混合物を調合する。
【0208】
【表7】
【0209】
【化40】
化合物(G3)および(G4)は文献より既知であり、例えば、Whitcombeら、J.Polym.Sci.Polym.Chem.29巻、251〜259頁(1991年)において記載される通りの方法により、またはそれに類似して調製できる。
【0210】
混合物は、次のLC相シーケンスを示す:N74.7I。
【0211】
混合物をトルエン中の40%溶液に変換し、0.2ミクロンで濾過する。ラビングされたポリイミド被覆ガラス上に溶液を4000rpmで30秒スピンコートし、次いで、250〜450nmバンドパスフィルターが装着されたEFOSランプ下において、1分間、窒素雰囲気中、室温で、170mW/cm2の硬化パワーを使用して硬化する。結果として生じるポリマーフィルムは、正の光学的リターデーションおよび正のAプレートの光学的特性を有する。リターデーションプロファイルを図8に示す。
【0212】
以下の通り、R450/R550の値を+40°および−40°の角度で測定する:
1.109(+40°)
1.110(−40°)
当該正のAフィルムは、高い正のリターデーション分散を有する。
【0213】
図9に、例7のフィルム(a)および比較例8のフィルム(b)について、550nmにおける正規化リターデーションの比較を示す。式Iの化合物を含む例7のフィルムは、式Iの化合物を含有しない例8のフィルムよりも著しく高いリターデーション分散を有することが見て取れる。
【0214】
<例9>
成分A)〜G)の以下の化合物を含む重合性LC混合物を調合する。
【0215】
【表8】
混合物は、次のLC相シーケンスを示す:Ch82.1I。
【0216】
混合物をトルエン中の40%溶液に変換し、0.2ミクロンで濾過する。ラビングされたポリイミド被覆ガラス上に溶液を2000rpmで30秒スピンコートする。未硬化のフィルムを80℃で1分アニールし、次いで、365nmバンドパスフィルターが装着されたEFOSランプ下において、UV直線偏光子を通し、1分間、窒素雰囲気中、60℃で、40mW/cm2の硬化パワーを使用して硬化する。結果として生じるポリマーフィルムは、二軸性の負のCプレートの光学的特性を有する。リターデーションプロファイルを図10に示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な反応性メソゲン化合物(RM)、それらを含む重合性液晶(LC)混合物、それから得られるポリマーフィルム、および該化合物、混合物およびポリマーフィルムの使用であって、光学的、電気光学的、電子的、半導体または発光部品または装置における、または装飾、セキュリティーまたは化粧用途における使用に関し、特に高い光学的分散を有するポリマーフィルムにおける使用に関する。
【背景技術】
【0002】
その場重合のプロセスを介して、例えば、LCディスプレイなどの光学的または電気光学的装置の部品として使用するために、コンペンセーション、リターデーションまたは偏光フィルムなどの光学的フィルムを作製するためにRMを使用できる。フィルムの光学的特性は、混合物の調合または基板の特性などの多くの異なる要因によって制御できる。また、フィルムの光学的特性は、混合物の複屈折を変化させることでも制御できる。これより、特定の角度において与えられたリターデーションに対して、ならびに複屈折分散を制御するために必要な厚みが決定される。また、高複屈折材料は高い複屈折分散を与え、一方、低複屈折材料は低い複屈折分散を与える。
【0003】
今日までに文献において開示されている通りのRM材料および混合物で達成されるよりも高い光学的分散を有する異方性ポリマーフィルムを調製する要求がある。特に、格別に高い複屈折分散も有することができる「負のC」フィルムの光学的特性を有する異方性ポリマーフィルムに対する要求がある。
【0004】
RMフィルムの分散能は多くの方法で定義できるが、1つの一般的な方法は、450nmで光学的リターデーション(R450)を測定し、これを550nmで測定された光学的リターデーション(R550)によって割り、比R450/R550を得ることである。負のCプレートの光学的特性を有するポリマーフィルムの場合、軸上(on−axis)リターデーションは実質的にゼロとなり、測定角が法線から外れるに従って、フィルムのリターデーションは徐々に負となる。負のCフィルムの分散能は測定角によって僅かに変化し、一般に、角度の増加に従って減少する。図1に、法線より40°外れた角度において測定された、波長に対するリターデーションの典型的なプロットを示し、この場合、商業的に入手可能な反応性メソゲン混合物RMM482(メルク社、ダルムスタット市、ドイツ国)より作製され重合された負のCフィルムについてである。このフィルムについて、光学的分散R450/R550は1.081である。
【0005】
リターデーション分散の原因は、異方性分子の2つの屈折率ne、no(neは長い分子軸に平行な方向における「異常屈折率」であり、noは長い分子軸に垂直な方向における「通常屈折率」である)が異方性フィルムにおいて波長により異なる割合で変化し、スペクトルの青色端に向かってneがnoよりも急速に変化するという事実による。高いリターデーション分散の材料を調製する1つの方法は、noの分散が概して変化しないように維持される一方でneの分散が増加された分子を設計することである。塗工可能な負のCのRMフィルムの光学的事項は、例えば、国際特許出願公開第2004/013666号パンフレット(特許文献1)で開示された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際特許出願公開第2004/013666号パンフレット
【特許文献2】米国特許第5,332,522号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の1つの目的は、商業的に入手可能なRM材料において一般的に見出されるものよりも高いneを有するよう設計され、現在において入手可能なRM混合物より製造されるフィルムと比較して更に高いリターデーション分散を有する光学的異方性ポリマーフィルム、特に、負のCフィルムに加工できる重合性材料、特に、それのRMおよび混合物を提供することである。本発明のもう一つの目的は、専門家が入手可能なRM材料の蓄積を広げることである。他の目的は、以下の記載より専門家には直ちに明らかである。
【0008】
本発明において特許請求される反応性メソゲン化合物および混合物を提供することで、これらの目的を達成できることが見出された。
【0009】
特に、トラン基および末端−NCS基を有するRMを使用することで、高い光学的分散を有する重合性LC混合物およびポリマーフィルムを提供可能であることが見出された。
【0010】
米国特許第5,332,522号明細書(特許文献2)には、側鎖中にキラルおよびアキラルなメソゲン基を含み、アキラルなメソゲン側鎖がトラン基および末端NCS基も含んでいてよいキラルなネマチックコポリマーが開示されている。しかしながら、この文献においては、本発明によるRM、または、重合性LC材料または高い光学的分散を有する光学的フィルムにおいてRMを使用することは、開示も示唆もされていない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、式Iの化合物(イソチオシアネートRM)に関する。
【0012】
【化1】
式中、
Pは、重合性基であり、
Spは、スペーサー基または単結合であり、
A1は、複数出現する場合は互いに独立に、1個以上の基Lにより置換されていてもよい炭素環式、ヘテロ環式、芳香族またはヘテロ芳香族基より選択され、
A2およびA3は、それぞれ互いに独立に、1個以上のCH基がNにより置き換えられていてもよく、1個以上の基Lにより置換されていてもよい1,4−フェニレンまたはナフタレン−2,6−ジイルより選択され、
Z1は、複数出現する場合は互いに独立に、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR0−、−NR0−CO−、−NR0−CO−NR0−、−OCH2−、−CH2O−、−SCH2−、−CH2S−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2S−、−SCF2−、−CH2CH2−、−(CH2)3−、−(CH2)4−、−CF2CH2−、−CH2CF2−、−CF2CF2−、−CH=CH−、−CY1=CY2−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR0−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、CR0R00または単結合より選択され、
Lは、複数出現する場合は互いに独立に、P−Sp−、F、Cl、Br、I、−CN、−NO2、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)NR0R00、−C(=O)X、−C(=O)OR0、−C(=O)R0、−NR0R00、−OH、−SF5、1〜12個、好ましくは1〜6個のC原子を有し置換されていてもよいシリル、アリールまたはヘテロアリール、1〜12個、好ましくは1〜6個のC原子を有し直鎖状または分岐状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシより選択され、ただし、1個以上のH原子はFまたはClで置き換えられていてもよく、ただし、Xはハロゲンであり、
Y1およびY2は、それぞれ互いに独立に、H、F、ClまたはCNを表し、
R0およびR00は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子のアルキルであり、
mは、0、1、2、3または4であり、
ただし、mが0の場合、A2およびA3の一方または両方は、Lにより少なくとも一置換されている1,4−フェニレン、または、置換されていてもよいナフタレン−2,6−ジイルを表す。
【0013】
本発明は、更に、式Iの1種類以上の化合物を含むLC材料に関する。
【0014】
本発明は、更に、式Iの1種類の化合物を含み、および任意に、好ましくは重合性および/またはメソゲンまたは液晶である1種類以上の更なる化合物を含んでいてもよい重合性材料、好ましくは、重合性LC材料に関する。
【0015】
本発明は、更に、式Iの化合物または上記の通りの重合性LC材料を、好ましくは、それの配向状態において薄膜の形態で重合して得られる異方性ポリマーに関する。
【0016】
本発明は、更に、高い光学的分散を有する光学的フィルムにおける上記および下記の通りの化合物、材料およびポリマーの使用に関する。
【0017】
本発明は、更に、電気光学的ディスプレイ、LCD、光学的フィルム、偏光子、コンペンセータ、ビームスプリッター、反射フィルム、配向層、カラーフィルター、ホログラフィック素子、ホットスタンプ箔、着色画像、装飾またはセキュリティーマーク、LC顔料、接着剤、化粧品、非線形光学、光学的情報記憶、電子装置、有機半導体、電界効果トランジスタ(FET)、集積回路(IC)の部品、薄膜トランジスタ(TFT)、無線識別(RFID)タグ、有機発光ダイオード(OLED)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、照明装置、光起電装置、センサー装置、電極材料、光導電体、電子写真記録、レーザー材料または装置における上記および下記の通りの化合物、材料およびポリマーの使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】先行技術の反応性メソゲン混合物より作製され重合されたフィルムについて、波長に対する複屈折のプロットを示す。
【図2】例2〜9によるポリマーフィルムのリターデーションプロファイル(視野角に対するリターデーション)を、それぞれ示す。
【図3】例2〜9によるポリマーフィルムのリターデーションプロファイル(視野角に対するリターデーション)を、それぞれ示す。
【図4】例2〜9によるポリマーフィルムのリターデーションプロファイル(視野角に対するリターデーション)を、それぞれ示す。
【図5】例2〜9によるポリマーフィルムのリターデーションプロファイル(視野角に対するリターデーション)を、それぞれ示す。
【図6】例2〜9によるポリマーフィルムのリターデーションプロファイル(視野角に対するリターデーション)を、それぞれ示す。
【図7】例2〜9によるポリマーフィルムのリターデーションプロファイル(視野角に対するリターデーション)を、それぞれ示す。
【図8】例2〜9によるポリマーフィルムのリターデーションプロファイル(視野角に対するリターデーション)を、それぞれ示す。
【図9】例7および8のポリマーフィルムについて、550nmにおける正規化リターデーションを示す。
【図10】例2〜9によるポリマーフィルムのリターデーションプロファイル(視野角に対するリターデーション)を、それぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<用語および定義>
用語「液晶またはメソゲン化合物」は、1個以上のカラミチック(棒または板/ラス形状)またはディスコチック(ディスク形状)メソゲン基を含む化合物を意味する。
【0020】
用語「カラミチック化合物」または「カラミチック基」は、棒または板/ラス形状の化合物または基を意味する。
【0021】
用語「メソゲン基」は液晶(LC)相挙動を誘発できる基を意味する。メソゲン基を含む化合物は、必ずしもそれ自体がLC相を示す必要はない。それらが他の化合物との混合物中においてのみ、またはメソゲン化合物またはそれらの混合物が重合された場合にLC相挙動を示すことも可能である。簡潔のため、以下において用語「液晶」を、メソゲンおよびLC材料の両方に用いる。定義の概要につては、Pure Appl.Chem.73巻(5号)、888頁(2001年)およびC.Tschierske、G.PelzlおよびS.Diele、Angew.Chem.2004年、116巻、6340〜6368頁を参照。
【0022】
用語「スペーサー」または「スペーサー基」は、下で「Sp」としても言及されるが、当業者に既知であり、文献に記載されている。例えば、Pure Appl.Chem.73巻(5号)、888頁(2001年)およびC.Tschierske、G.Pelzl、S.Diele、Angew.Chem.2004年、116巻、6340〜6368頁を参照。他に明言しない限り、用語「スペーサー」または「スペーサー基」は、上および下で、重合性メソゲン化合物(「RM」)においてメソゲン基と重合性基(1つまたは多数)を接続している柔軟性の有機基を表す。
【0023】
カラミチックメソゲン基は、通常、それぞれ互いに直接または連結基を介して接続された1個以上の芳香族または非芳香族環式基から成るメソゲン核を含み、メソゲン核の端に結合された末端基を含んでいてもよく、メソゲン核の長い側に結合された1個以上の側鎖基(ラテラル基;横方向基)を含んでいてもよく、ただし、通常、これらの末端および側鎖基は、例えば、カルビルまたはヒドロカルビル基、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシなどの極性基、または重合性基より選択される。
【0024】
用語「反応性メソゲン」(RM)は、重合性メソゲンまたは液晶化合物を意味する。
【0025】
1個の重合性基を有する重合性化合物は「一反応性」化合物とも呼ばれ、2個の重合性基を有する化合物は「二反応性」化合物とも呼ばれ、2個より多い重合性基を有する化合物は「多反応性」化合物とも呼ばれる。重合性基を持たない化合物は、「非反応性」化合物とも呼ばれる。
【0026】
用語「フィルム」としては、機械的に安定な、剛直または柔軟な、自己支持性または自立性フィルム、ならびに支持基板上または2つの基板間の被膜または層が挙げられる。
【0027】
用語「カルビル基」は、非炭素原子を一切伴わない(例えば、−C≡C−など)か、またはN、O、S、P、Si、Se、As、TeまたはGeなどの少なくとも1個の非炭素原子が混在(例えば、カルボニルなど)してもよいかのいずれかで、少なくとも1個の炭素原子を含む任意の一価または多価有機基構造成分を意味する。用語「ヒドロカルビル基」は、1個以上のH原子を付加的に含有し、例えば、N、O、S、P、Si、Se、As、TeまたはGeなどのヘテロ原子を1個以上含有してもよいカルビル基を表す。また、3個以上のC原子鎖を含むカルビルまたはヒドロカルビル基は、直線状、分岐状および/または環状でもよく、スピロおよび/または縮合環を含む。
【0028】
液晶または複屈折材料の層の、ある波長における「光学的リターデーション」R(λ)(nmにおいて)は、その波長における複屈折率Δn(λ)および層厚みd(nmにおいて)の積として、式
R(λ)=Δn(λ)・d
に従い定義される。光学的リターデーションRは、複屈折材料を通過する際にS偏光およびP偏光が進む光路長の違いをナノメータで表す。「軸上(on−axis)」リターデーションとは、サンプル表面に対して垂直入射におけるリターデーションを意味する。
【0029】
用語「正の(光学的)分散」は「正常」複屈折分散を示す複屈折または液晶材料または層を言い、即ち、波長(λ)の増加に伴い複屈折率(Δn)の大きさが減少する、即ち、|Δn(450)|>|Δn(550)|またはΔn(450)/Δn(550)>1である。ただし、Δn(450)およびΔn(550)は、それぞれ、450nmおよび550nmの波長で測定された材料の複屈折率である。対照的に、負の(光学的)分散」は、|Δn(450)|<|Δn(550)|またはΔn(450)/Δn(550)<1を有する材料または層を意味する。また、例えば、A.Uchiyama、T.Yatabe「Control of Wavelength Dispersion of Birefringence for Oriented Copolycarbonate Films Containing Positive and Negative Birefringent Units」J.Appl.Phys.42巻、6941〜6945頁(2003年)も参照。
【0030】
ある波長における光学的リターデーションは、上記[R(λ)=Δn(λ)・d]の通り、複屈折率および層厚みの積として定義されるため、光学的分散は、比Δn(450)/Δn(550)により「複屈折分散」として、または、比R(450)/R(550)により「リターデーション分散」のいずれかとして表現できる。ただし、R(450)およびR(550)は、それぞれ、450nmおよび550nmの波長で測定された材料のリターデーションである。波長によって層厚みdは変化しないため、R(450)/R(550)はΔn(450)/Δn(550)に等しい。よって、正または正常分散の材料または層は、R(450)/R(550)>1または|R(450)|>|R(550)|を有する。
【0031】
本発明において、他に明言しない限り、「光学的分散」はリターデーション分散、即ち、比(R(450)/R(550)を意味する。
【0032】
材料のリターデーション(R(λ))は分光エリプソメータ、例えば、J.A.Woollam社製M2000分光エリプソメータを使用して測定できる。この装置は、典型的には、370nm〜2000nmの波長範囲にわたって、複屈折サンプル、例えば、石英の光学的位相差をナノメータで測定できる。このデータより、材料の分散(R(450)/R(550)またはΔn(450)/Δn(550))を計算することが可能である。
【0033】
これらの測定を行うための方法は、2006年10月、N.SinghによるNational Physics Laboratory(ロンドン、英国)、表題「Spectroscopic Ellipsometry、Part1−Theory and Fundamentals、Part 2−Practical Examples and Part 3−measurements」で提示され、J.A.Woollam社(リンカーン市、ネブラスカ州、アメリカ合衆国)によって出版された「Retardation Measurement(RetMeas)Manual(2002年)」および「Guide to WVASE(2002年)」(Woollam Variable Angle Spectroscopic Ellipsometer)に記載される測定手順に従う。他に明言しない限り、この方法を、本発明で記載される材料、フィルムおよび装置のリターデーションを決定するために使用する。
【0034】
本発明の目的のためには、他に明言しない限り、分散の測定を±40°の角度において行う。
【0035】
用語「Cプレート」は、その異常軸が層面に対して垂直である一軸性の複屈折材料の層を用いる光学的リターダーを言う。均一に配向された光学的に一軸性の複屈折液晶材料を含むCプレートにおいて、フィルムの光学軸は異常軸の方向によって与えられる。また、正の複屈折を有する光学的に一軸性の複屈折材料を含むCプレートは、「+Cプレート」または「正のCプレート」とも言われる。また、負の複屈折を有する光学的に一軸性の複屈折材料のフィルムを含むCプレートは、「−Cプレート」または「負のCプレート」とも言われる。
【0036】
<本発明の詳細な記載>
特に、式Iにおいて、
−A2が、それぞれ1個以上の基Lで置換されていてもよい1,4−フェニレンまたはナフタレン2,6−ジイルである化合物、
−A3が、それぞれ1個以上の基Lで置換されていてもよい1,4−フェニレンまたはナフタレン2,6−ジイルである化合物、
−A1が、それぞれ1個以上の基Lで置換されていてもよい1,4−フェニレンまたはナフタレン2,6−ジイルである化合物、
−Z1が、−COO−、−OCO−、−C≡C−または単結合、非常に好ましくは、−COO−または−C≡C−である化合物、
−mが0である化合物、
−mが1である化合物
が好ましい。
【0037】
非常に好ましくは、式Iの化合物は、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0038】
【化2】
【0039】
【化3】
式中、P、SpおよびLは上で与えられる意味を有し、rは、0、1、2、3または4であり、sは、0、1、2または3である。
【0040】
式Iの化合物は、文献および、例えば、Houben−Weyl編、Methoden der organischen Chemie、Thieme−Verlag社、Stuttgart市などの有機化学の標準的な著作に記載されており、それ自身は既知である方法に従うか類似して合成できる。特に好ましくは、下のスキーム1において示される方法に従うか類似して、化合物を調製する。
【0041】
【化4】
2−ブロモ−6−メトキシ−ナフタレン(1.1)をBuLiおよびヨウ素で処理することで、2−ヨード−6−メトキシ−ナフタレン(1.2)を調製する。この材料をBBr3で脱メチル化して、2−ヨード−6−ヒドロキシ−ナフタレン(1.3)を与える。3−ブロモプロパノールおよび炭酸カリウムをMEK中において反応させ、エーテル(1.4)を与える。このエーテルを3−クロロプロピオニルクロリドおよびトリエチルアミンと反応させ、エステル(1.5)を与える。このエステルを4−アミノフェニルアセチレンと薗頭条件下において反応させ、p−アミノトラン(1.6)を与える。例えば、H.A.Staab、G.Walther、Ann.1962年、657巻、104〜107頁に記載される通り、このアミノトランを1,1’−チオカルボニルジアミダゾールで処理して、イソチオシアナト化合物A1を与える。
【0042】
好ましい方法は、以下の工程を含む:
a)例えば、p−ハロゲン置換(好ましくは、6−ブロモ−2−ナフタレノールまたは4−ブロモフェノールなどの、p−臭素化またはp−ヨウ素化)芳香族アルコールのOH基を、ω−ハロゲン置換(好ましくは、例えば、3−クロロプロパノールまたは6−クロロヘキサノールなどの、ω−塩素化)脂肪族アルコールのハロゲン基とエーテル化し、
b)工程a)によって調製されたエーテルの脂肪族OH基を重合性基または保護型重合性基と反応させ、例えば、3−クロロプロピオニルクロリドでエステル化し、
c)工程c)によって調製されたエステルの(芳香族)ハロゲン基をp−アミノアリールアセチレン、例えば、4−アミノフェニルアセチレンと薗頭条件下において反応させて、p−アミノトランを合成し、
d)工程c)によって調製されたトランのアミノ基を1,1’−チオカルボニルジアミダゾールと処理して、p−イソチオシアナトトランを合成し、
e)任意工程として、例えば、トリエチルアミンなどの塩基で処理することなどにより、工程d)のイソチオシアナトトランの保護型重合性基を転化する。
【0043】
本発明のもう一つの態様は、式Iの1種類以上の化合物を含む重合性LC材料である。好ましくは、LC材料は、1種類以上の追加のRMを含む混合物であり、好ましくは、RMは一反応性および二反応性のRMより選択される。
【0044】
特に好ましくは、重合性LC混合物は、
A)式Iの1種類以上の化合物と、
B)式II:
【0045】
【化5】
(式中、
A4およびA5は、それぞれ互いに独立に、置換されていてもよい芳香族またはヘテロ芳香族基より選択され、好ましくは、1個以上のCH基がNにより置き換えられていてもよく、1個以上の基Lにより置換されていてもよい1,4−フェニレンまたはナフタレン−2,6−ジイルより選択され、
Rは、P−Sp−、F、Cl、Br、I、−CN、−NO2、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)NR0R00、−C(=O)X、−C(=O)OR0、−C(=O)R0、−NR0R00、−OH、−SF5、1〜12個、好ましくは1〜6個のC原子を有し置換されていてもよいシリル、アリールまたはヘテロアリール、1〜12個、好ましくは1〜6個のC原子を有し直鎖状または分岐状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシより選択され、ただし、1個以上H原子はFまたはClで置き換えられていてもよく、ただし、Xはハロゲンであり、
m1およびm2は、それぞれ互いに独立に、0、1、2、3または4であり、ただし、m1+m2<5であり、および
P、Sp、A1、Z1、L、R0およびR00は、式Iにおいて与えられる意味を有する。)
の1種類以上の化合物と、
C)任意成分として、成分A)、B)またはD)の化合物から、または、追加の化合物から選択できる、2個以上の重合性基を有する1種類以上の重合性メソゲン化合物と、
D)任意成分として、成分A)、B)またはC)の化合物から、または、追加の化合物から選択できる、1種類以上のキラル化合物と、
E)任意成分として、1種類以上の重合開始剤と、
F)任意成分として、1種類以上の界面活性剤と
を含む。
【0046】
重合性LC材料における式Iまたは成分A)の化合物の濃度は、好ましくは、1%〜60%である。
【0047】
成分B)および式IIの化合物は、好ましくは高い複屈折、非常に好ましくはΔn>0.2の複屈折を有するRMより選択される。特に好ましい化合物は、式IIにおいて、
−A4が、それぞれ1個以上の基Lによって置換されていてもよい1,4−フェニレンまたはナフタレン2,6−ジイルである化合物、
−A5が、それぞれ1個以上の基Lによって置換されていてもよい1,4−フェニレンまたはナフタレン2,6−ジイルである化合物、
−A1が、それぞれ1個以上の基Lによって置換されていてもよい1,4−フェニレンまたはナフタレン2,6−ジイルである化合物、
−Z1が、−COO−、−OCO−、−C≡C−または単結合、非常に好ましくは、−COO−または−C≡C−である化合物、
−m1が0である化合物、
−m1が1である化合物、
−m2が0である化合物、
−Rが、CN、OCH3およびSCH3より選択される化合物、
−Rが、上で定義される通りのP−Sp−を表す化合物
である。
【0048】
式IIおよび成分B)の非常に好ましい化合物は、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0049】
【化6】
【0050】
【化7】
式中、P、Sp、LおよびRは上で与えられる意味を有し、rは、0、1、2、3または4であり、sは、0、1、2または3であり、非常に好ましくは、Rは、P−Sp−、CN、OCH3またはSCH3を表す。
【0051】
重合性LC混合物における式IIおよび/または成分B)の化合物の濃度は、好ましくは、10%〜70%である。
【0052】
好ましくは、混合物は、2個以上の重合性基を含む成分C)の1種類以上の化合物(二反応性または多反応性化合物)を含む。成分C)の化合物は、好ましくは、式IIIより選択される。
【0053】
【化8】
式中、PおよびSpは、それぞれの出現において互いに独立に、式Iにおいて与えられる意味を有し、MGはキラルでもよい棒状メソゲン基である。
【0054】
MGは、好ましくは、式IVから選択される。
【0055】
【化9】
式中、
A11およびA22は、複数出現する場合は互いに独立に、N、OおよびSより選択される1個以上のヘテロ原子を含有していてもよく、上で定義される通りのLによって一置換または多置換されていてもよい芳香族または脂環式基であり、
Z11は、複数出現する場合は互いに独立に、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−S−CO−、−CO−S−、−O−COO−、−CO−NR0−、−NR0−CO−、−NR0−CO−NR00、−NR0−CO−O−、−O−CO−NR0−、−OCH2−、−CH2O−、−SCH2−、−CH2S−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2S−、−SCF2−、−CH2CH2−、−(CH2)4−、−CF2CH2−、−CH2CF2−、−CF2CF2−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR0−、−CY1=CY2−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−または単結合を表し、
R0およびR00は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子のアルキルを表し、
Y1およびY2は、それぞれ互いに独立に、H、F、ClまたはCNを表し、
mは、0、1、2、3または4である。
【0056】
好ましい基A11およびA22としては、限定することなく、フラン、ピロール、チオフェン、オキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イミダゾール、フェニレン、シクロヘキシレン、ビシクロオクチレン、シクロヘキセニレン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、アズレン、インダン、ナフタレン、テトラヒドロナフタレン、アントラセンおよびフェナントレンが挙げられ、これらの全ては1個以上の基Lによって置換されていてもよい。
【0057】
特に好ましい基A11およびA22は、1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2,6−ジイル、インダン−2,5−ジイル、ビシクロオクチレンまたは1,4−シクロヘキシレンより選択され、ただし、1個または2個の隣接していないCH2基はOおよび/またはSによって置き換えられていてもよく、これらの基は無置換であるか、上で定義される通りのLによって一置換または多置換されている。
【0058】
式IIIの特に好ましい化合物は、RがP−Spである式II、または、それの好ましいサブ式IIa〜IIpのものである。
【0059】
式IIIおよび成分C)の更に好ましい化合物は、以下の二反応性化合物から成る群より選択される。
【0060】
【化10】
式中、
P0は、複数出現する場合、互いに独立に、重合性基、好ましくは、アクリル、メタクリル、オキセタン、エポキシ、ビニル、ビニルオキシ、プロペニルエーテルまたはスチレン基であり、
Lは、複数出現する場合、互いに独立に、H、F、Cl、CN、または、1〜5個のC原子を有し、ハロゲン化されていてもよいアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシであり、
rは、0、1、2、3または4であり、
xおよびyは、それぞれ互いに独立に、0または同一または異なって1〜12の整数であり、
zは0または1であり、隣接するxまたはyが0の場合、zは0であり、
ただし、ベンゼン環は、1個以上の同一または異なる基Lで付加的に置換されていてもよい。
【0061】
重合性LC混合物における式IIIおよび/または成分C)の化合物の濃度は、好ましくは、5%〜70%である。
【0062】
式IIおよびIIIの化合物は、それ自身は既知で、例えば、Houben−Weyl編、Methoden der organischen Chemie、Thieme−Verlag社、Stuttgart市などの有機化学の標準的な著作に記載されている方法に従うか類似して調製できる。式IIIの適切な化合物およびそれらの合成方法は、米国特許第6,042,745号明細書にも記載されている。成分Bの適切な化合物およびそれらの合成方法は、例えば、米国特許第6,514,578号明細書、米国特許出願公開第2008/0143943号公報および英国特許出願公開第2 388 599号公報に記載されている。
【0063】
成分D)は、1個以上のキラル基を有する1種類以上の重合性または非重合性キラル化合物を含んでもよい。
【0064】
適切な非重合性キラル化合物は、例えば、R−またはS−811、R−またはS−1011、R−またはS−2011、R−またはS−3011、R−またはS−4011、R−またはS−5011、またはCB15(全て、メルク社、Darmstadt市、ドイツ国より入手可)などの標準的なキラルドーパント、米国特許第6,217,792号明細書に記載される通りのソルビトール類、米国特許第6,511,719号明細書に記載される通りのヒドロベンゾイン類、米国特許第7,223,450号明細書に記載される通りのキラルなビナフトール類、国際特許出願公開第02/34739号パンフレットに記載される通りのキラルなビナフトールアセタール類、米国特許第7,041,345号明細書に記載される通りのキラルなTADDOL類、または米国特許第7,060,331号明細書または米国特許第7,318,950号明細書に記載される通りのフッ素化された架橋基を有するキラル化合物である。適切な重合性キラル化合物は、例えば、下に列記されるもの、または、重合性キラル材料Paliocolor(登録商標)LC756(BASF社、Ludwigshafen市、ドイツ国製)である。
【0065】
非常に好ましい重合性キラル化合物および成分D)の化合物は、以下の化合物から成る群より選択される。
【0066】
【化11】
式中、
P0は、複数出現する場合、互いに独立に、重合性基、好ましくは、アクリル、メタクリル、オキセタン、エポキシ、ビニル、ビニルオキシ、プロペニルエーテルまたはスチレン基であり、
A0およびB0は、複数出現する場合、互いに独立に、1個、2個、3個または4個の基Lで置換されていてもよい1,4−フェニレン、またはトランス−1,4−シクロヘキシレンであり、
X0は、複数出現する場合、互いに独立に、−O−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−または単結合であり、
Z0は、複数出現する場合、互いに独立に、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−CH2CH2−、−C≡C−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−または単結合であり、
R*は、2−メチルブチル、2−メチルオクチル、2−メチルブトキシまたは2−メチルオクトキシなどの、4個以上、好ましくは、4〜12個のC原子を有するキラルなアルキルまたはアルコキシ基であり、
Chは、コレステリル、エストラジオール、または、メンチルまたはシトロネリルなどのテルペノイド基より選択されるキラル基であり、
Lは、複数出現する場合、互いに独立に、H、F、Cl、CN、または、1〜5個のC原子を有し、ハロゲン化されていてもよいアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシであり、
rは、0、1、2、3または4であり、
tは、複数出現する場合、互いに独立に、0、1、2または3であり、
uおよびvは、それぞれ互いに独立に、0、1または2であり、
wは、0または1であり、
xおよびyは、それぞれ互いに独立に、0、または、同一または異なって1〜12の整数であり、
zは0または1であり、隣接するxまたはyが0の場合、zは0であり、
ただし、ベンゼンおよびナフタレン環は、1個以上の同一または異なる基Lで付加的に置換されていてもよい。
【0067】
重合性LC混合物におけるキラル化合物および/または成分D)の濃度は、好ましくは、5〜25重量%である。
成分A)〜D)の化合物に加え、LC混合物は、更なる1種類以上のRMを成分G)として含んでもよい。これらの更なるRMは、好ましくは、カラミチックモノマーである。非常に好ましくは、これらの更なる成分G)のRMは、以下の式より選択される。
【0068】
【化12】
式中、P、SpおよびMGは、上で与えられる意味を有し、
Rは、F、Cl、Br、I、−CN、−NO2、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)NR0R00、−C(=O)X、−C(=O)OR0、−C(=O)R0、−NR0R00、−OH、−SF5、1〜12個、好ましくは、1〜6個のC原子を有する置換されていてもよいシリル、直鎖状または分岐状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシを表し、ただし、1個以上のH原子はFまたはClによって置き換えられていてもよく、ただし、Xはハロゲンであり、および
R0およびR00は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子のアルキルである。
【0069】
重合性LC混合物の追加のRMは、それ自身は既知で、例えば、Houben−Weyl編、Methoden der organischen Chemie、Thieme−Verlag社、Stuttgart市などの有機化学の標準的な著作に記載されている方法によって調製できる。適切なRMは、例えば、国際特許出願公開第93/22397号パンフレット、欧州特許第0 261 712号明細書、ドイツ国特許第195 04 224号明細書、国際特許出願公開第95/22586号パンフレット、国際特許出願公開第97/00600号パンフレット、米国特許第5,518,652号明細書、米国特許第5,750,051号明細書、米国特許第5,770,107号明細書および米国特許第6,514,578号明細書で開示されている。特に適切で好ましいRMの例を、以下のリストに示す。
【0070】
【化13】
【0071】
【化14】
【0072】
【化15】
式中、
P0は、複数出現する場合、互いに独立に、重合性基、好ましくは、アクリル、メタクリル、オキセタン、エポキシ、ビニル、ビニルオキシ、プロペニルエーテルまたはスチレン基であり、
Z0は、複数出現する場合、互いに独立に、−COO−、−OCO−、−CH2CH2−、−C≡C−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−または単結合であり、
R0は、1個以上、好ましくは1〜15個のC原子を有し、フッ素化されていてもよいアルキル、アルコキシ、チオアルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシ、または、Y0またはP−(CH2)y−(O)z−であり、
Y0は、F、Cl、CN、NO2、OCH3、OCN、SCN、SF5、1〜4個のC原子を有し、フッ素化されていてもよいアルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシ、または、1〜4個のC原子を有し、モノフッ素化、オリゴフッ素化またはポリフッ素化されたアルキルまたはアルコキシであり、
R01、02は、それぞれ互いに独立に、H、R0またはY0であり、
Lは、複数出現する場合、互いに独立に、H、F、Cl、CN、または、1〜5個のC原子を有し、ハロゲン化されていてもよいアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシであり、
rは、0、1、2、3または4であり、
uおよびvは、それぞれ互いに独立に、0、1または2であり、
wは、0または1であり、
xおよびyは、それぞれ互いに独立に、0または同一または異なって1〜12の整数であり、
zは0または1であり、隣接するxまたはyが0の場合、zは0であり、
ただし、ベンゼン環は、1個以上の同一または異なる基Lで付加的に置換されていてもよい。
【0073】
重合性LC混合物における式Vおよび/または成分G)の追加のRMの濃度は、好ましくは、5〜50重量%である。
【0074】
重合性LC材料の重合は、好ましくは、化学線照射の波長で吸収のある開始剤の存在下で行われる。この目的のためには、重合性LC材料は、好ましくは、成分E)の1種類以上の開始剤を含む。例えば、UV光を利用する重合の場合、UV照射下で分解し、重合反応を開始するフリーラジカルまたはイオンを生成する光開始剤を使用できる。アクリレートまたはメタクリレート基の重合には、好ましくは、ラジカル光開始剤が使用される。ビニル、エポキシドまたはオキセタン基の重合には、好ましくは、カチオン性の光開始剤が使用される。また、加熱されると分解して重合を開始するフリーラジカルまたはイオンを生成する熱重合開始剤を使用することも可能である。典型的なラジカル性光開始剤は、例えば、Irgacure651、Irgacure907またはIrgacure369などの、例えば、商業的に入手可能なIrgacure(登録商標)またはDarocure(登録商標)(Ciba社)である。典型的なカチオン性光開始剤は、例えば、UVI6974(Union Carbide社)である。
【0075】
好ましくは、成分E)は、例えば、欧州特許出願公開第1 388 538号公報で開示される通りの二色性または液晶光開始剤を含む。成分E)の非常に好ましい二色性光開始剤は、以下の式から成る群より選択される。
【0076】
【化16】
【0077】
【化17】
式中、L”はHまたはFであり、Rは1〜12個のC原子のアルキルまたはアルコキシであり、R’およびR”は1〜6個のC原子のアルキルまたはアルコキシより、非常に好ましくは、メチル、エチルまたはプロピルより選択される。
【0078】
重合性LC混合物における重合開始剤または成分E)の濃度は、好ましくは、0.01〜10%、非常に好ましくは、0.05〜6重量%である。
【0079】
LC分子の特定の表面配向を促進する1種類以上の成分F)の界面活性剤を含む重合性材料が更に好ましい。適切な界面活性剤は、例えば、J.Cognard、Mol.Cryst.Liq.Cryst.、78巻、補足1、1〜77頁(1981年)に記載されている。平面配向のための好ましい配向剤は、例えば、非イオン性界面活性剤、好ましくは、商業的に入手可能なFluorad FC−171(登録商標)(3M社製)またはZonyl FSN(登録商標)(デュポン社製)などのフッ化炭素界面活性剤、英国特許第2 383 040号明細書に記載される通りのマルチブロック界面活性剤または欧州特許出願公開第1 256 617号公報に記載される通りの重合性界面活性剤である。
【0080】
重合性LC混合物における界面活性剤または成分F)の濃度は、好ましくは、0.1〜1.5重量%である。
【0081】
上および下の式において、A1〜5およびA11、12などの芳香族およびヘテロ芳香族基は、単核、即ち、1個のみの芳香族環を有するもの(例えば、フェニルまたはフェニレンなど)、または、多核、即ち、2個以上の縮合環を有するもの(例えば、ナフチルまたはナフチレンなど)のいずれでもよい。特に好ましくは、40個までのC原子、芳香族基の場合、好ましくは6〜40個のC原子、最も好ましくは6〜20個のC原子、ヘテロ芳香族基の場合、好ましくは2〜40個のC原子、最も好ましくは2〜20個のC原子の単環式、二環式または三環式の芳香族またはヘテロ芳香族基であり、これら全ては縮合環を含んでいる場合もあり、置換されている場合もある。
【0082】
好ましい芳香族基としては、限定することなく、ベンゼン、ビフェニレン、トリフェニレン、[1,1’:3’,1”]ターフェニル−2’−イルエン、ナフタレン、アントラセン、ビナフチレン、フェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、テトラセン、ペンタセン、ベンゾピレン、フルオレン、インデン、インデノフルオレン、スピロビフルオレンなどが挙げられる。
【0083】
好ましいヘテロ芳香族基としては、限定することなく、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、フラン、チオフェン、セレノフェン、オキサゾール、イソキサゾール、1,2−チアゾール、1,3−チアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾールなどの5員環、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,3,5−テトラジンなどの6員環、およびカルバゾール、インドール、イソインドール、インドリジン、インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、プリン、ナフタイミダゾール、フェナントライミダゾール、ピリダイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、ベンゾキサゾール、ナフトキサゾール、アントロキサゾール、フェナントロキサゾール、イソキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、キノリン、イソキノリン、プテリジン、ベンゾ−5,6−キノリン、ベンゾ−6,7−キノリン、ベンゾ−7,8−キノリン、ベンゾイソキノリン、アクリジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾピリダジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントリジン、フェナントロリン、チエノ[2,3b]チオフェン、チエノ[3,2b]チオフェン、ジチエノチオフェン、ジチエノピリジン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ベンゾチアジアゾチオフェンなどの縮合系、またはそれらの基の組み合わせが挙げられる。
【0084】
A1およびA11、22などの非芳香族炭素環式およびヘテロ環式基としては、完全に飽和している環、即ち、単結合のみから形成されている環、および、部分的に飽和している環、即ち、二重結合も含んでいる環が挙げられる。また、非芳香族環は、好ましくは、Si、O、NおよびSより選択される1個以上のヘテロ原子を含んでもよい。
【0085】
A1およびA11、22などの炭素環式およびヘテロ環式(非芳香族)基は、単核、即ち、1個のみの環を有するもの(例えば、シクロヘキサンなど)、または多核、即ち、2個以上の縮合環を有するもの(例えば、デカヒドロナフタレンまたはビシクロオクタンなど)のいずれでもよい。特に好ましくは、完全に飽和している基である。更に好ましくは、40個までのC原子、炭素環式基の場合、好ましくは6〜40個のC原子、最も好ましくは6〜20個のC原子、ヘテロ炭素環式基の場合、好ましくは2〜40個のC原子、最も好ましくは2〜20個のC原子の単環式、二環式または三環式の基であり、これら全ては縮合環を含んでいる場合もあり、置換されている場合もある。非常に好ましくは、5員、6員、7員または8員の炭素環式環で、ただし、1個以上のC原子はSiで置き換えられていてもよく、および/または1個以上のCH基はNで置き換えられていてもよく、および/または1個以上の隣接していないCH2基は−O−および/または−S−で置き換えられていてもよく、それら全ては置換されていてもよい。
【0086】
好ましい炭素環式およびヘテロ環式基としては、制限することなく、シクロペンタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフラン、ピロリジンなどの5員環、シクロヘキサン、シリナン、シクロヘキセン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオピラン、1,3−ジオキサン、1,3−ジチアン、ピペリジンなどの6員環、シクロヘプタンなどの7員環、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、インダン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン−1,3−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル、スピロ[3.3]ヘプタン−2,6−ジイル、オクタヒドロ−4,7−メタノ−インダン−2,5−ジイルなどの縮合系、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0087】
基A1およびA11、22は、好ましくは、1個以上の基Lで置換されていてもよいトランス−1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレンおよびナフタレン−2,6−ジイルより選択される。
【0088】
基A2、A3、A4およびA5は、好ましくは、それぞれ互いに独立に、1個以上の基Lで置換されていてもよい1,4−フェニレンおよびナフタレン−2,6−ジイルより選択される。
【0089】
基Z1およびZ11は、好ましくは、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR0−、−NR0−CO−、−NR0−CO−NR0−、−OCH2−、−CH2O−、−SCH2−、−CH2S−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2S−、−SCF2−、−CH2CH2−、−(CH2)3−、−(CH2)4−、−CF2CH2−、−CH2CF2−、−CF2CF2−、−CH=CH−、−CY1=CY2−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR0−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、CR0R00または単結合より、非常に好ましくは、−COO−、−OCO−および単結合より選択される。
【0090】
式IにおけるLなどの環上の置換基は、好ましくは、P−Sp−、F、Cl、Br、I、−CN、−NO2、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)NR0R00、−C(=O)X、−C(=O)OR0、−C(=O)R0、−NR0R00、−OH、−SF5、1〜12個、好ましくは1〜6個のC原子の置換されていてもよいシリル、アリールまたはヘテロアリール、および1〜12個、好ましくは1〜6個のC原子の直鎖状または分岐状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシより選択され、ただし、1個以上のH原子はFまたはClで置き換えられていてもよく、ただし、R0およびR00は式Iにおいて定義される通りであり、Xはハロゲンである。
【0091】
好ましい置換基は、F、Cl、CN、NO2または1〜12個のC原子の直鎖状または分岐状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシより選択されるか(ただし、アルキル基はペルフルオロ化されていてもよい)、またはP−Sp−である。
【0092】
非常に好ましい置換基は、F、Cl、CN、NO2、CH3、C2H5、C(CH3)3、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)C2H5、OCH3、OC2H5、COCH3、COC2H5、COOCH3、COOC2H5、CF3、OCF3、OCHF2、OC2F5またはP−Sp−、特には、F、Cl、CN、CH3、C2H5、C(CH3)3、CH(CH3)2、OCH3、COCH3またはOCF3、最も好ましくは、F、Cl、CH3、C(CH3)3、OCH3またはCOCH3、またはP−Sp−より選択される。
【0093】
【化18】
式中、Lは、それぞれ独立に、上で与えられる意味の1つを有する。
【0094】
アルキルまたはアルコキシ基、即ち、末端CH2基が−O−によって置き換えられている場合、直鎖状でも分枝状でもよい。それは、好ましくは、直鎖状で2、3、4、5、6、7または8個の炭素原子を有し、従って、好ましくは、例えば、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、ヘプトキシ、またはオクトキシ、更に、メチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ノノキシ、デコキシ、ウンデコキシ、ドデコキシ、トリデコキシまたはテトラデコキシである。
【0095】
オキサアルキル、即ち、1個のCH2基が−O−によって置き換えられている場合、好ましくは、例えば、直鎖状の2−オキサプロピル(即ち、メトキシメチル)、2−(即ち、エトキシメチル)または3−オキサブチル(即ち、2−メトキシエチル)、2−、3−、または4−オキサペンチル、2−、3−、4−、または5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−、または6−オキサヘプチル、2−、3−、4−、5−、6−または7−オキサオクチル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−オキサノニルまたは2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−または9−オキサデシルである。
【0096】
1個以上のCH2基が−CH=CH−で置き換えられているアルキル基は、直鎖状でも分枝状でもよい。それは、好ましくは、直鎖状で2〜10個のC原子を有し、従って、好ましくは、ビニル、プロパ−1−、またはプロパ−2−エニル、ブタ−1−、2−またはブタ−3−エニル、ペンタ−1−、2−、3−またはペンタ−4−エニル、ヘキサ−1−、2−、3−、4−またはヘキサ−5−エニル、ヘプタ−1−、2−、3−、4−、5−またはヘプタ−6−エニル、オクタ−1−、2−、3−、4−、5−、6−またはオクタ−7−エニル、ノナ−1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−またはノナ−8−エニル、デカ−1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−またはデカ−9−エニルである。
【0097】
特に好ましいアルケニル基は、C2〜C7−1E−アルケニル、C4〜C7−3E−アルケニル、C5〜C7−4−アルケニル、C6〜C7−5−アルケニルおよびC7−6−アルケニル、特に、C2〜C7−1E−アルケニル、C4〜C7−3E−アルケニルおよびC5〜C7−4−アルケニルである。特に好ましいアルケニル基の例は、ビニル、1E−プロペニル、1E−ブテニル、1E−ペンテニル、1E−ヘキセニル、1E−ヘプテニル、3−ブテニル、3E−ペンテニル、3E−ヘキセニル、3E−ヘプテニル、4−ペンテニル、4Z−ヘキセニル、4E−ヘキセニル、4Z−ヘプテニル、5−ヘキセニル、6−ヘプテニルなどである。5個までのC原子を有する基が一般に好ましい。
【0098】
1個のCH2基が−O−により、および1個が−CO−により置き換えられているアルキル基において、これらの基は、好ましくは、隣り合っている。従って、これらの基は、一緒となってカルボニルオキシ基−CO−O−またはオキシカルボニル基−O−CO−を形成する。好ましくは、この基は直鎖状で、2〜6個のC原子を有している。それは、従って、好ましくは、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、アセチルオキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、ペンタノイルオキシメチル、2−アセチルオキシエチル、2−プロピオニルオキシエチル、2−ブチリルオキシエチル、3−アセチルオキシプロピル、3−プロピオニルオキシプロピル、4−アセチルオキシブチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、プロポキシカルボニルメチル、ブトキシカルボニルメチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(プロポキシカルボニル)エチル、3−(メトキシカルボニル)プロピル、3−(エトキシカルボニル)プロピル、4−(メトキシカルボニル)−ブチルである。
【0099】
2個以上のCH2基が−O−および/または−COO−で置き換えられているアルキル基は、直鎖状または分岐状でよい。それは、好ましくは、直鎖状で、3〜12個のC原子を有する。従って、それは、好ましくは、ビス−カルボキシ−メチル、2,2−ビス−カルボキシ−エチル、3,3−ビス−カルボキシ−プロピル、4,4−ビス−カルボキシ−ブチル、5,5−ビス−カルボキシ−ペンチル、6,6−ビス−カルボキシ−ヘキシル、7,7−ビス−カルボキシ−ヘプチル、8,8−ビス−カルボキシ−オクチル、9,9−ビス−カルボキシ−ノニル、10,10−ビス−カルボキシ−デシル、ビス−(メトキシカルボニル)−メチル、2,2−ビス−(メトキシカルボニル)−エチル、3,3−ビス−(メトキシカルボニル)−プロピル、4,4−ビス−(メトキシカルボニル)−ブチル、5,5−ビス−(メトキシカルボニル)−ペンチル、6,6−ビス−(メトキシカルボニル)−ヘキシル、7,7−ビス−(メトキシカルボニル)−ヘプチル、8,8−ビス−(メトキシカルボニル)−オクチル、ビス−(エトキシカルボニル)−メチル、2,2−ビス−(エトキシカルボニル)−エチル、3,3−ビス−(エトキシカルボニル)−プロピル、4,4−ビス−(エトキシカルボニル)−ブチル、5,5−ビス−(エトキシカルボニル)−ヘキシルである。
【0100】
CNまたはCF3で一置換されているアルキルまたはアルケニル基は、好ましくは、直鎖状である。CNまたはCF3による置換は、任意の所望の位置でよい。
【0101】
ハロゲンによって少なくとも一置換されているアルキルまたはアルケニル基は、好ましくは、直鎖状である。ハロゲンは、好ましくは、FまたはClで、多置換の場合、好ましくは、Fである。結果として生じる基は、ペルフルオロ化された基も含む。一置換の場合、FまたはCl置換は任意の所望の位置でよいが、好ましくはω位である。末端F置換を有する特に好ましい直鎖状の基の例は、フルオロメチル、2−フルオロエチル、3−フルオロプロピル、4−フルオロブチル、5−フルオロペンチル、6−フルオロヘキシルおよび7−フルオロヘプチルである。しかしながら、Fの他の位置が除外されるものではない。
【0102】
R0およびR00は、好ましくは、H、1〜12個のC原子の直鎖状または分岐状のアルキルより選択される。
【0103】
−CY1=CY2−は、好ましくは、−CH=CH−、−CF=CF−または−CH=C(CN)−である。
【0104】
ハロゲンは、F、Cl、BrまたはI、好ましくは、FまたはClである。
【0105】
重合性基Pは、ラジカルまたはイオン鎖重合、重付加または重縮合などの重合反応に関与できるか、または、例えば、縮合または付加により、ポリマーに類似反応においてポリマー主鎖上へグラフトできる基である。特に好ましくは、ラジカル、カチオンまたはアニオン重合などの鎖重合反応のための重合性基である。非常に好ましくは、C−C二重または三重結合を含む重合性基、およびオキセタン類またはエポキシド類などの開環反応により重合できる重合性基である。
【0106】
適切で好ましい重合性基としては、限定することなく、CH2=CW1−COO−、CH2=CW1−CO−、
【0107】
【化19】
CH2=CW2−(O)k1−、CH3−CH=CH−O−、(CH2=CH)2CH−OCO−、(CH2=CH−CH2)2CH−OCO−、(CH2=CH)2CH−O−、(CH2=CH−CH2)2N−、(CH2=CH−CH2)2N−CO−、HO−CW2W3−、HS−CW2W3−、HW2N−、HO−CW2W3−NH−、CH2=CW1−CO−NH−、CH2=CH−(COO)k1−Phe−(O)k2−、CH2=CH−(CO)k1−Phe−(O)k2−、Phe−CH=CH−、HOOC−、OCN−およびW4W5W6Si−が挙げられ、ただし、W1は、H、F、Cl、CN、CF3、フェニルまたは1〜5個のC原子のアルキル、特に、H、ClまたはCH3であり、W2およびW3は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜5個のC原子のアルキル、特に、H、メチル、エチルまたはn−プロピルであり、W4、W5およびW6は、それぞれ互いに独立に、Cl、1〜5個のC原子のオキサアルキルまたはオキサカルボニルアルキルであり、W7およびW8は、それぞれ互いに独立に、H、Clまたは1〜5個のC原子のアルキルであり、Pheは1,4−フェニレン{好ましくは、上で定義される通りの1個以上の基L(P−Sp−の意味は除く)で置換されていてもよい}であり、k1およびk2は、それぞれ互いに独立に、0または1である。
【0108】
非常に好ましい重合異性基は、CH2=CW1−COO−、CH2=CW1−CO−、
【0109】
【化20】
(CH2=CH)2CH−OCO−、(CH2=CH−CH2)2CH−OCO−、(CH2=CH)2CH−O−、(CH2=CH−CH2)2N−、(CH2=CH−CH2)2N−CO−、HO−CW2W3−、HS−CW2W3−、HW2N−、HO−CW2W3−NH−、CH2=CW1−CO−NH−、CH2=CH−(COO)k1−Phe−(O)k2−、CH2=CH−(CO)k1−Phe−(O)k2−、Phe−CH=CH−、HOOC−、OCN−およびW4W5W6Si−より選択され、ただし、W1は、H、F、Cl、CN、CF3、フェニルまたは1〜5個のC原子のアルキル、特に、H、ClまたはCH3であり、W2およびW3は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜5個のC原子のアルキル、特に、H、メチル、エチルまたはn−プロピルであり、W4、W5およびW6は、それぞれ互いに独立に、Cl、1〜5個のC原子のオキサアルキルまたはオキサカルボニルアルキルであり、W7およびW8は、それぞれ互いに独立に、H、Clまたは1〜5個のC原子のアルキルであり、Pheは1,4−フェニレン{好ましくは、上で定義される通りの1個以上の基L(P−Sp−の意味は除く)で置換されていてもよく}であり、k1およびk2は、それぞれ互いに独立に、0または1である。
【0110】
最も好ましい重合性基は、CH2=CH−COO−、CH2=C(CH3)−COO−、(CH2=CH)2CH−OCO−、(CH2=CH)2CH−O−、
【0111】
【化21】
より選択される。
【0112】
重合は、通常の専門家に既知で、文献、例えば、D.J.Broer;G.Challa;G.N.Mol、Macromol.Chem、1991年、192巻、59頁に記載される方法に従い、行うことができる。
【0113】
スペーサー基Spは、好ましくは、P−Sp−がP−Sp’−X’−となるように、式Sp’−X’から選択され、式中、
Sp’は、1〜20個のC原子、好ましくは1〜12個のC原子を有し、直鎖状、分岐状または環状アルキレンであり、ただし、F、Cl、Br、IまたはCNで一置換または多置換されていてもよく、1個以上の隣接していないCH2基は、それぞれの場合で互いに独立に、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないようにして、−O−、−S−、−NH−、−NR0−、−SiR0R00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−NR0−CO−O−、−O−CO−NR0−、−NR0−CO−NR0−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、
X’は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR0−、−NR0−CO−、−NR0−CO−NR0−、−OCH2−、−CH2O−、−SCH2−、−CH2S−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2S−、−SCF2−、−CF2CH2−、−CH2CF2−、−CF2CF2−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR0−、−CY1=CY2−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−または単結合であり、
R0およびR00は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子のアルキルであり、および
Y1およびY2は、それぞれ互いに独立に、H、F、ClまたはCNである。
【0114】
X’は、好ましくは、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR0−、−NR0−CO−、−NR0−CO−NR0−または単結合である。
【0115】
典型的な基Sp’は、例えば、−(CH2)p1−、−(CH2CH2O)q1−CH2CH2−、−CH2CH2−S−CH2CH2−または−CH2CH2−NH−CH2CH2−または−(SiR0R00−O)p1−であり、ただし、p1は1〜20、好ましくは2〜12の整数であり、q1は1〜10、好ましくは1〜5の整数であり、およびR0およびR00は上で与えられる意味を有する。
【0116】
好ましい基Sp’は、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、オクタデシレン、シクロヘキシレン、エチレンオキシエチレン、メチレンオキシ−ブチレン、エチレン−チオエチレン、エチレン−N−メチル−イミノエチレン、1−メチルアルキレン、エテニレン、プロペニレンおよびブテニレンである。更に好ましくは、キラルなスペーサー基、および、シクロアルキル基、好ましくは、シクロヘキサン基、例えば、1−alkyl−4−alkyl’−シクロヘキサン(ただし、alkylおよびalkyl’は、同一または異なるC1〜12アルキル基である)を含むスペーサー基である。
【0117】
スペーサー基Spなしで重合性基Pがメソゲン基に直接結合している化合物が更に好ましい。
【0118】
2個以上の基P−Sp−を有する化合物の場合、重合性基Pおよびスペーサー基Spは同一でも異なっていてもよい。
【0119】
もう一つの好ましい実施形態において、式I、II、III、IVおよび/またはVの化合物は、1個以上の重合性基Pを含むか、または、2個以上の重合性サブ基PXまたはPX−Sp−を含む1個以上の置換基L(多官能重合性基)を含む。この型の適切な多官能重合性基は、例えば、米国特許第7,060,200号明細書または米国特許出願公開2006/172090号公報で開示されている。以下の式から成る群より選択される1個以上の多官能重合性基Pを含む化合物が非常に好ましい。
【0120】
【化22】
式中、
alkylは、直鎖状または分岐状で1〜12個のC原子を有するアルキレン(無置換であるか、F、Cl、Br、IまたはCNで一置換または多置換されており、ただし、1個以上の隣接していないCH2基は、それぞれの場合で互いに独立に、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないようにして、−O−、−S−、−NH−、−NR0−、−SiR0R00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−SO2−、−CO−NR0−、−NR0−CO−、−NR0−CO−NR00−、−CY1=CY2−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、ただし、Y1、Y2、R0およびR00は上で与えられる意味を有する)であるか、または、alkylは単結合を表し、
aaおよびbbは、それぞれ互いに独立に、0、1、2、3、4、5または6であり、
X’は、上で定義される通りであり、および
P1〜5は、それぞれ互いに独立に、上でPに対して与えられる意味の1つを有する。
【0121】
本発明によるポリマーフィルムの一般的な調製は通常の専門家に既知であり、文献、例えば、D.J.Broer;G.Challa;G.N.Mol、Macromol.Chem、1991年、192巻、59頁に記載されている。典型的には、重合性LC材料(即ち、化合物または混合物または調合物)を基板上にコーティングまたはそうでなければ塗布し、そこで均一な方向に配向させ、例えば、熱または化学線照射に曝露して、好ましくは光重合により、非常に好ましくはUV−光重合により、選択された温度において、それのLC相中でその場で重合し、LC分子の配向を固定する。必要に応じて、LC材料をせん断またはアニールする、基板の表面処理、またはLC材料に界面活性剤を添加するなどの付加的な方法により均一な配向を促進できる。
【0122】
基板として、例えば、ガラスまたは石英シートまたはプラスチックフィルムを使用できる。重合前および/または重合中および/または重合後において、コーティングされた材料の最表面上に第2の基板を配置することも可能である。重合後、基板を取り除いても取り除かなくてもよい。2つの基板を使用して化学線照射により硬化する場合、少なくとも一方の基板は、重合のために使用される化学線照射に対して透過性を有していなければならない。等方性または複屈折性の基板を使用できる。重合後に重合されたフィルムから基板を取り除かない場合、好ましくは等方性基板を使用する。
【0123】
適切で好ましいプラスチック基板は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリエチレン−ナフタレート(PEN)などのポリエステルのフィルム、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカーボネート(PC)またはトリアセチルセルロース(TAC)、非常に好ましくは、PETまたはTACフィルムである。複屈折性基板としては、例えば、一軸延伸プラスチックフィルムを使用できる。PETフィルムは、例えば、帝人デュポンフィルム株式会社より商標名Melinex(登録商標)で商業的に入手可能である。
【0124】
重合性材料は、スピンコートまたはブレードコートなどの従来の塗工技術により、基板上に塗布できる。また、従来の印刷技術によっても基板に塗布でき、例えば、スクリーン印刷、オフセット印刷、リール−ツー−リール式印刷、レタープレス印刷、グラビア印刷、ロトグラビア印刷、フレキソ印刷、インタリオ印刷、パッド印刷、熱シール印刷、インクジェット印刷またはスタンプまたは印刷板を利用する印刷など専門家に既知である。
【0125】
重合性材料を適切な溶媒に溶解することも可能である。次いで、この溶液を、例えば、スピンコートまたはプリントまたは他の既知の技術により、基板上に塗工または印刷し、重合前に溶媒を蒸発させる。多くの場合、溶媒の蒸発を促進するために、混合物を加熱することが適切である。溶媒としては、例えば、標準的な有機溶媒を使用できる。溶媒は、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトンまたはシクロヘキサノンなどのケトン類;メチル、エチルまたはブチルアセテートまたはメチルアセトアセテートなどの酢酸エステル類;メタノール、エタノールまたはイソプロピルアルコールなどのアルコール類;トルエンまたはキシレンなどの芳香族溶媒類;ジ−またはトリ−クロロメタンなどのハロゲン化炭化水素類;PGMEA(プロピルグリコールモノメチルエーテルアセテート)などのグリコール類またはそれらのエステル類、γ−ブチロラクトンなどより選択できる。また、上の溶媒の2元または3元以上の混合物も使用できる。
【0126】
重合性LC材料の初期配向(例えば、平面配向)は、例えば、基板をラビング処理する、塗工中または後に材料をせん断する、重合前に材料をアニールする、配向層を塗布する、塗工された材料に磁界または電界を印加する、または材料に表面活性化合物を添加することで達成できる。配向技術の総説は、例えば、I.Sage、「Thermotropic Liquid Crystals」中、G.W.Gray編、John Wiley & Sons社、1987年刊、75〜77頁;およびT.UchidaおよびH.Seki、「Liquid Crystals−Applications and Uses、第3巻」中、B.Bahadur編、World Scientific Publishing社、Singapore、1992年刊、1〜63頁に与えられている。配向材料および技術の総説は、J.Cognard、Mol.Cryst.Liq.Cryst.、78巻、補足1(1981年刊)、1〜77頁に与えられている。
【0127】
また、基板上に配向層を塗布し、この配向層上に重合性材料を塗布することも可能である。適切な配向層は、例えば、米国特許第5,602,661号明細書、米国特許第5,389,698号明細書または米国特許第6,717,644号明細書に記載される通りのラビングされたポリイミドまたは光配向で調製された配向層など当該技術において既知である。
【0128】
また、重合前に昇温、好ましくは重合温度に昇温して、重合性LC材料をアニールすることで、配向を誘発または改良することも可能である。
【0129】
重合は、例えば、重合性材料を熱または化学線照射に曝露することで達成される。化学線照射とは、UV光、IR光または可視光などの光の照射、X線またはガンマー線の照射またはイオンまたは電子などの高エネルギー粒子の照射を意味する。好ましくは、重合をUV照射により行う。化学線照射の線源としては、例えば、単一のUVランプまたはUVランプのセットを使用できる。高いランプパワーを使用すれば、硬化時間を短縮できる。化学線照射のもう1つの可能な線源は、例えば、UV、IRまたは可視光レーザーなどのレーザーである。
【0130】
また、重合性材料は、望ましくない自発的な重合を予防するため、例えば、商業的に入手可能なIrganox(登録商標)(Ciba Geigy社、Basel市、スイス国)などの安定剤または禁止剤を1種類以上含んでもよい。
【0131】
硬化時間は、重合性材料の反応性、塗工層の厚み、重合開始剤のタイプおよびUVランプの出力にとりわけ依存する。硬化時間は、好ましくは5分以下、非常に好ましくは3分以下、最も好ましくは1分以下である。大量生産には、30秒以下の硬化時間が好ましい。
【0132】
好ましくは、重合は、窒素またはアルゴンなどの不活性ガス雰囲気内で行う。
【0133】
また、重合性材料は、重合のために使用される照射の波長で吸収が最大となるよう調整された色素、例えば、4,4”−アゾキシアニソールまたはTinuvin(登録商標)色素(Ciba AG社製、Basel市、スイス国)などの特にUV色素を1種類以上含んでもよい。
【0134】
もう1つの好ましい実施形態において、重合性材料は1種類以上の一反応性の重合性の非メソゲン性化合物を含み、好ましくは、0〜50%、非常に好ましくは、0〜20%の量である。典型的な例は、アルキルアクリレート類またはアルキルメタクリレート類である。
【0135】
もう1つの好ましい実施形態において、二反応性または多反応性の重合性のメソゲン性化合物に代えるか加えて、重合性材料は1種類以上の二反応性または多反応性の重合性の非メソゲン性化合物を含み、好ましくは0〜50%、非常に好ましくは0〜20%の量で含む。二反応性の非メソゲン性化合物の典型的な例は、1〜20個のC原子のアルキル基を有するアルキルジアクリレート類またはアルキルジメタクリレート類である。多反応性の非メソゲン性化合物の典型的な例は、トリメチルプロパントリメタクリレートまたはペンタエリスリトールテトラアクリレートである。
【0136】
また、ポリマーフィルムの物理的特性を修正するために、1種類以上の連鎖移動剤を重合性材料に加えることも可能である。特に好ましくは、チオール化合物類で、例えば、ドデカンチオールなどの一官能性チオール類またはトリメチルプロパントリ(3−メルカプトプロピオネート)などの多官能性チオール類である。非常に好ましくは、例えば、米国特許第5,948,486号明細書、米国特許第6,096,241号明細書、米国特許第6,319,963号明細書または米国特許第6,420,001号明細書中に開示される通りのメソゲン性またはLCチオール類である。連鎖移動剤を使用することで、ポリマーフィルム中の束縛されていないポリマー鎖の長さおよび/または2つの架橋間のポリマー鎖の長さを制御できる。連鎖移動剤の量を増加すると、ポリマーフィルム中のポリマー鎖長は減少する。
【0137】
また、重合性材料は、重合体バインダーまたは重合体バインダーを形成できる1種類以上のモノマーおよび/または1種類以上の分散助剤を含むこともできる。適切なバインダーおよび分散助剤は、例えば、国際特許出願公開第96/02597号パンフレットに開示されている。しかしながら、好ましくは、重合性材料は、バインダーおよび分散助剤を含まない。
【0138】
重合性材料は、例えば、触媒、増感剤、安定剤、禁止剤、連鎖移動剤、共反応性モノマー、表面活性化合物、潤滑剤、湿潤剤、分散剤、疎水化剤、粘着性剤、流動性改良剤、消泡剤、脱気剤、希釈剤、反応性希釈剤、補助剤、着色剤、色素、顔料またはナノ粒子などの1種類以上の添加剤を付加的に含んで構わない。
【0139】
本発明によるポリマーフィルムの厚みは、好ましくは、0.3〜5ミクロン、非常に好ましくは、0.5〜3ミクロン、最も好ましくは、0.7〜1.5ミクロンである。配向層としての使用には、0.05〜1、好ましくは0.1〜0.4ミクロンの厚みの薄膜が好ましい。
【0140】
本発明のポリマーフィルムは、例えば、LCD中において広視野角におけるコントラストおよび輝度を改良し、色度を低減するために、リターデーションまたはコンペンセーションフィルムとして使用できる。それはLCDのスイッチ可能なLCセルの外側で使用するか、または通常、ガラス基板であってスイッチ可能なLCセルを形成し、スイッチ可能なLC媒体を含有する基板間で使用することができる(セル内用途)。
【0141】
また、本発明のポリマーフィルムは、LC材料用の配向層としても使用できる。例えば、スイッチ可能なLC媒体の配向を誘発または改良するため、または、その上に塗工された重合性LC材料の次の層を配向するために、LCD中において使用できる。このようにして、重合されたLCフィルムの積層を調製できる。
【0142】
本発明の層、フィルムおよび材料は各種タイプの光学フィルム用に使用でき、好ましくは、光学的一軸フィルム(Aプレート、Cプレート、負のCプレート、Oプレート)、例えば、ツイスト1/4波長箔(QWF)、色消しリターダ、色消しQWFまたは半波長箔(HWF)などのツイスト光学的リターダ、および光学的二軸フィルム、例えば、二軸性で負のCフィルムより選択する。層および材料におけるLC相構造は、コレステリック、スメクチック、ネマチックおよびブルー相より選択できる。層におけるLC材料の配向は、ホメオトロピック、スプレイ、チルト、プラナーおよびブルー相配向より選択できる。層は均一に配向しても、または異なる配向のパターンを示すこともできる。
【0143】
フィルムは、LCDの視野角増大のための光学的コンペンセーションフィルムとして、または輝度増強フィルムにおける部品として、更には、反射型または半透過型LCDにおける色消し素子として使用できる。更に好ましい用途および装置としては、
−CD/DVD/HD−DVD/ブルーレイ複合装置などで、読み出し、書き込み、再書き込み、データ記憶システムを含む、複数の波長において同様の位相シフトを必要とする光電子装置におけるリターディング部品
−カメラなどの光学的装置用の色消しリターダ
−OLEDおよびLCDを含むディスプレイ用の色消しリターダが挙げられる。
【0144】
本発明のポリマーフィルムは従来のLCディスプレイ中で使用でき、例えば、DAP(deformation of aligned phases:配向相変形)、ECB(electrically controlled birefringence:電気制御複屈折)、CSH(colour super homeotropic:有色スーパーホメオトロピック)、VA(vertically aligned:垂直配向)、VANまたはVAC(vertically aligned nematicまたはcholesteric:垂直配向ネマチックまたはコレステリック)、MVA(multi−domain vertically aligned:複数領域垂直配向)またはPVA(patterned vertically aligned:パターン化垂直配向)モードなどの垂直配向のディスプレイ;OCB(optically compensated bend cellまたはoptically compensated birefringence:光学的補償ベンドセルまたは光学的補償複屈折)、R−OCB(reflective OCB:反射OCB)、HAN(hybrid aligned nematic:ハイブリッド配向ネマチック)またはパイ−セル(π−cell)モードなどのベンドまたはハイブリッド配向のディスプレイ;TN(twisted nematic:ツイストネマチック)、HTN(highly twisted nematic:高度ツイストネマチック)、STN(super twisted nematic:スーパーツイストネマチック)、AMD−TN(active matrix driven TN:アクティブマトリクス駆動TN)モードなどのツイスト配向のディスプレイ;IPS(in plane switching:面内スイッチング)モードのディスプレイ、または光学的等方相においてスイッチするディスプレイである。
【0145】
上述の用途に加え、例えば、マルチプレックスまたはアクティブマトリックスアドレスのツイストまたはスーパーツイストネマチック(TN、STN)ディスプレイなどのツイスト構造を示す他のLCD用か、国際特許出願公開第92/19695号パンフレット、国際特許出願公開第93/23496号パンフレット、米国特許第5,453,863号明細書または米国特許第5,493,430号明細書で記載される通りの表面安定化またはポリマー安定化コレステリックテクスチャディスプレイ(SSCT、PSCT)などのコレステリックディスプレイにおけるか、国際特許出願公開第98/57223号パンフレットで記載される通りのマルチ−ドメインLCDなどのピッチを変えることができるLCD用か、または、米国特許第5,668,614号明細書で記載される通りの多色性コレステリックディスプレイにおけるLC混合物においても式Iの化合物を使用できる。また、例えば、英国特許第2 356 629号明細書で記載される通りのフレキソ電気的ディスプレイにおいても、式Iの化合物を使用できる。
【0146】
式Iの化合物のもう一つの好ましい使用は、重合性LC混合物、異方性ポリマーゲルおよび異方性ポリマーフィルムの調製である。キラル化合物を含む混合物において式Iの化合物を使用する場合、または、式Iの化合物自身がキラルな場合、均一な面配向で螺旋状にツイストした分子構造を示すポリマーフィルムを調製でき、即ち、この場合、配向コレステリックフィルムの様に、螺旋軸はフィルム面に垂直に配向している。それらを含む異方性ポリマーゲルおよびディスプレイは、例えば、ドイツ国特許第195 04 224号明細書および英国特許第2 279 659号明細書において開示されている。配向コレステリックポリマーフィルムは、例えば、ブロードバンド反射偏光子、カラーフィルター、セキュリティーマークとして、または、LC顔料を調製するために使用できる。
【0147】
また、式Iの本発明の化合物は、それぞれ温度変化または光照射によって、それらの色を変えるサーモクロミックまたはホトクロミックLC媒体における使用にも適している。
【0148】
以下の例は、本発明を制限することなく説明することを意図している。また、以下に記載される方法、構造および特性を、本発明において特許請求されているが、先述の明細書または例において明らかには記載されていない材料にも適用または転用できる。
【0149】
上および下において、パーセンテージは重量パーセントである。全ての温度は摂氏度で与えられる。m.p.は融点を表し、cl.p.は透明点を表し、Tgはガラス転移温度を表す。更に、Cは結晶状態、Nはネマチック相、Chはコレステリック相、Sはスメクチック相、Iは等方相である。これらの記号の間のデータは転移温度を℃で表す。Δnは589nmおよび20℃において測定される光学異方性(Δn=ne−no、ただし、noは分子の長軸に平行な屈折率を表し、neはそれに垂直な屈折率を表す)を表す。他に明記しない限り、光学的特性は20℃で測定される。
【0150】
他に明言しない限り、上および下で与えられる通りの重合性混合物における成分のパーセンテージは重合性混合物における固形分の総量を言うもので、即ち、溶媒を含まない。
【0151】
ポリマーフィルムのリターデーションプロファイル(角度に対するリターデーション)を次の通り測定する:フィルムのサンプルをM2000V分光エリプソメータに配置し、M−2000Vを使用して電源とする光源を使用して透過で測定する(これらは全て、J.A.Woollam社より入手可能である)。フィルムのリターデーションは、一般に、−40°から+40°で測定した。
【0152】
これらの測定を行うための方法は、2006年10月、N.SinghによるNational Physics Laboratory(ロンドン、英国)、表題「Spectroscopic Ellipsometry、Part 1−Theory and Fundamentals、Part 2−Practical Examples and Part 3−measurements」で提示され、J.A.Woollam社(リンカーン市、ネブラスカ州、アメリカ合衆国)によって出版された「Retardation Measurement(RetMeas)Manual(2002年)」および「Guide to WVASE(2002年)」(Woollam Variable Angle Spectroscopic Ellipsometer)に記載される測定手順に従う。
【実施例】
【0153】
<例1>
化合物(A1)を以下の通り調製する。
【0154】
<2−ヨード−6−メトキシ−ナフタレン1.2の調製>
【0155】
【化23】
無水のTHF(2L)中の2−ブロモ−6−メトキシ−ナフタレン(49.5g、209mmol)の溶液に、温度が−70℃より低く保たれる速度により(45分にわたり)、滴下漏斗を経由して、n−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、92mL、230mmol)を−75℃において添加する。結果として生じる黄色の溶液を、−75℃において15分撹拌する。ヨウ素の赤色が持続するまで(45分にわたる添加、最高温度−68℃)、滴下漏斗を経由し、無水のTHF(100mL)中のヨウ素(58.3g、230mmol)の溶液を添加する。混合物を室温まで温め、水(1.3L)を加える。分離を助けるために添加される塩水(500mL)と共に、ジクロロメタン(2L)で混合物を抽出する。水性画分をジクロロメタン(1L)で逆抽出する。合わせた有機画分を真空中で約1Lまで減らし、飽和水溶性メタ重亜硫酸ナトリウム(100mL)、次いで塩水(200mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、濾過して、溶媒を真空中で除去する。粗残渣をIMS(1.9l)より再結晶し、氷冷のIMS(150mLで2回)で洗浄し、真空オーブン中で70℃において乾燥し、薄いクリーム色の結晶性固体を与える。46.45g、78%。
【0156】
<2−ヨード−6−ヒドロキシ−ナフタレン1.3の調製>
【0157】
【化24】
−8℃におけるジクロロメタン(3Åモレキュラーシーブ上で乾燥)(1L)中の2−ヨード−6−メトキシ−ナフタレン(45.4g、160mmol)の僅かに濁った溶液/懸濁液に、BBr3(102g、407mmol)を滴下で30分にわたり加える。混合物を20℃まで温め、この温度で1.5時間撹拌する。水(400mL)を注意深く(ゆっくりと滴下により添加を始める)加え、二相混合物を激しく20分撹拌する。層を分離させ、追加の水(400mL)を追加し、水層をジクロロメタン(250mL)で抽出する。合わせた有機画分を水(500mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、濾過し、真空中で溶媒を除去して、銀色がかった紫色の斑な無色の固体(44.7g)を与える。これをIMS/水より再結晶(最初は、100mLのIMS中に溶解する)し、水洗し、真空オーブン中で乾燥し、擬白色の固体(40.3g、94%)を与える。
【0158】
<化合物1.4の調製>
【0159】
【化25】
2−ヨード−6−ヒドロキシ−ナフタレン(117g、432mmol)、3−ブロモプロパノール(45mL、519mmol)およびN−メチル−2−ピロリジオン(12.5mL、130mmol)を5Lの三口丸底フラスコに充填し、2−ブタノン(2.4L)中に溶解する。炭酸カリウム(無水、153g、1.12mol)を加え、反応混合物を還流で3時間、次いで80℃で16時間加熱する。追加の3−ブロモプロパノール(7.5ml、86mmol)を加え、反応混合物を還流で6時間加熱する。更なる量の3−ブロモプロパノール(7.5ml、86mmol)を加え、反応混合物を80℃で24時間撹拌する。混合物を放置して室温まで冷却し、濾過により固体を除去し、真空中で溶媒を除去する。最初に熱ジクロロメタン(1L)中に溶解し、濁るまで石油エーテル(沸点40〜60℃)(30mL)を加え、透明となるまでジクロロメタン(約30mL)を加えて、ジクロロメタン/石油エーテル(沸点40〜60℃)より残渣を再結晶する。氷冷し、吸引濾過で固体を回収し、石油エーテル(沸点40〜60℃)で洗浄(50mLで2回)し、真空オーブン中で乾燥して、淡黄色の結晶性固体(98.2g)を与える。最初にジクロロメタン(100mL)中に溶解してジクロロメタン/石油エーテル(沸点40〜60℃)より濾液(106g)を再結晶し、濾過し、石油エーテル(沸点40〜60℃)で洗浄(50mLで2回)し、真空オーブン中で乾燥して、淡いベージュ色の結晶性固体(21.4g)を与える。
【0160】
全体としての収率120g、84%。
【0161】
<化合物1.5の調製>
【0162】
【化26】
0℃における3−クロロプロピオニルクロリド(40mL、418mmol)およびジクロロメタン(3Åモレキュラーシーブ上で乾燥)(540mL)中の化合物1.4(98.0g、299mmol)の懸濁液に、トリエチルアミン(150mL、1.08mol)を滴下で加える。混合物を40℃で24時間加熱し、放置して室温まで冷却し、ジクロロメタン(1.5L)で分液ロートに移す。混合物を水(1.5L)、次いで塩水(750mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、濾過し、溶媒を真空中で除去する。粗残渣(約150g)をシリカ(600g)上でカラムにかけ、ジクロロメタンで溶出して淡いオレンジ/茶色の固体(111g、97%)を与える。
【0163】
<化合物1.6の調製>
【0164】
【化27】
化合物1.5(15.2g、39.7mmol)および4−エチニルアニリン(5.30g、45.3mmol)を、トリエチルアミン(37mL)/無水のTHF(74mL)中に溶解/部分的に懸濁する。CuI(106mg、556mmol)およびPd(PPh3)2Cl2(390mg、556mmol)を加え、混合物を室温で10分、次いで50℃で19時間撹拌する。反応混合物を放置して室温まで冷却し、次いで、ジクロロメタン(300mL)で分液ロートに移し、水(150mL)で洗浄し、水層をジクロロメタンで逆抽出(100mLで3回)する。合わせた有機画分を乾燥(Na2SO4)し、濾過し、溶媒を真空中で除去する。粗残渣をシリカ(200g)上でカラムにかけ、ジクロロメタン/酢酸エチル(1:1)で溶出する。得られた材料は、ジクロロメタン/石油エーテル(沸点40〜60℃)からの再結晶には純度が低すぎ、シリカゲル上で再度カラムにかけ、ジクロロメタンで溶出して、固体(14.6g)を与える。これを最初にジクロロメタン(50mL)中に溶解してジクロロメタン/石油エーテル(沸点40〜60℃)より再結晶し、ジクロロメタン/石油エーテル(沸点40〜60℃)(1:2、90mL)で洗浄し、40℃の真空オーブン中で乾燥して、淡い茶色の結晶性固体(8.05g、55%)を与える。
【0165】
<化合物A1の調製>
【0166】
【化28】
室温において撹拌されているジクロロメタン(3Åモレキュラーシーブ上で乾燥)(18mL)中の化合物1.6(7.95g、21.39mmol)の溶液に、1,1−チオカルボニルジイミダゾール(9.52g、53.44mmol)を一度に加える。反応混合物を室温で1.5時間撹拌する(TLC 100%ジクロロメタン)。粗混合物をジクロロメタン(50mL)で希釈し、水(50mL)/塩水(10mL)で洗浄し、水層をジクロロメタンで逆抽出(50mLで2回)する。合わせた有機抽出物を塩水(50mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、濾過し、真空中で溶媒を除去して、オレンジ色の固体(16.3g)を与える。これをカラムクロマトグラフィー(160gシリカ)で精製し、ジクロロメタン/石油エーテル(沸点40〜60℃)(2:1)で溶出して、固体(7.09g)を与える。これを最小量の温ジクロロメタン(約20mL)に溶解し、石油エーテル(沸点40〜60℃)(約80mL)を加えて生成物を沈殿させ、吸引濾過で回収し、石油エーテル(沸点40〜60℃)(20mL)で洗浄し、40℃の真空オーブン中で乾燥して、無色の固体(6.47g、73%)を与える。
【0167】
転移温度:K115.5N143.4I、Δn=0.455.
以下の化合物を類似して調製する。
【0168】
【化29】
【0169】
【化30】
【0170】
【化31】
【0171】
【化32】
<例2>
成分A)〜F)の以下の化合物を含む重合性LC混合物を調合する。
【0172】
【表1】
【0173】
【化33】
【0174】
【化34】
化合物B1およびB3は、英国特許出願公開第2 388 599号公報に記載されている。化合物B2は、米国特許第6,514,578号明細書または米国特許出願公開第2008/0143943号公報に記載される方法に類似して調製できる。化合物C1は、Broerら、Makromol.Chem.190巻、2255ffおよび3201ff(1991年)に記載される方法またはそれに類似して調製できる。化合物D1は、米国特許第7,223,450号明細書に記載される方法またはそれに類似して調製できる。化合物E1およびE2は、欧州特許出願公開第1 388 538号明細書に記載されている。化合物F1は、英国特許出願公開第2 383 040号公報に記載されている。
【0175】
混合物は、次のLC相シーケンスを示す:Ch88.4I。
【0176】
混合物をトルエン中の40%溶液に変換し、0.2ミクロンで濾過する。次いで、ラビングされたポリイミド被覆ガラス上に溶液を4000rpmで30秒スピンコートする。未硬化のフィルムを86℃で1分アニールし、次いで、365nmバンドパスフィルターが装着されたEFOSランプ下において、1分間、窒素雰囲気中で60℃の硬化温度および200mW/cm2の硬化パワーを使用して硬化する。結果として生じるポリマーフィルムは、負の光学的リターデーションおよび負のCプレートの光学的特性を有する。リターデーションプロファイルを図2に示す。
【0177】
以下の通り、R450/R550の値を+40°および−40°の角度で測定する:
1.138(+40°)
1.137(−40°)
当該負のCフィルムは、高い正のリターデーション分散を有する。
【0178】
<例3>
成分A)〜F)の以下の化合物を含む重合性LC混合物を調合する。
【0179】
【表2】
【0180】
【化35】
混合物は、次のLC相シーケンスを示す:Ch79.2I。
【0181】
混合物をトルエン中の40%溶液に変換し、0.2ミクロンで濾過する。次いで、ラビングされたポリイミド被覆ガラス上に溶液を4000rpmで30秒スピンコートする。未硬化のフィルムを77℃で1分アニールし、次いで、365nmバンドパスフィルターが装着されたEFOSランプ下において、1分間、窒素雰囲気中で60℃の硬化温度および200mW/cm2の硬化パワーを使用して硬化する。結果として生じるポリマーフィルムは、負の光学的リターデーションおよび負のCプレートの光学的特性を有する。リターデーションプロファイルを図3に示す。
【0182】
以下の通り、R450/R550の値を+40°および−40°の角度で測定する:
1.157(+40°)
1.159(−40°)
当該負のCフィルムは、高い正のリターデーション分散を有する。
【0183】
<例4>
成分A)〜F)の以下の化合物を含む重合性LC混合物を調合する。
【0184】
【表3】
【0185】
【化36】
化合物B4は、本出願または英国特許出願公開第2 388 599号公報に記載される方法に類似して調製できる。
【0186】
混合物は、次のLC相シーケンスを示す:Ch81.3I。
【0187】
混合物をトルエン中の40%溶液に変換し、0.2ミクロンで濾過する。次いで、ラビングされたポリイミド被覆ガラス上に溶液を4000rpmで30秒スピンコートする。未硬化のフィルムを79℃で1分アニールし、次いで、365nmバンドパスフィルターが装着されたEFOSランプ下において、1分間、窒素雰囲気中で60℃の硬化温度および200mW/cm2の硬化パワーを使用して硬化する。結果として生じるポリマーフィルムは、負の光学的リターデーションおよび負のCプレートの光学的特性を有する。リターデーションプロファイルを図4に示す。
【0188】
以下の通り、R450/R550の値を+40°および−40°の角度で測定する:
1.142(+40°)
1.142(−40°)
当該負のCフィルムは、高い正のリターデーション分散を有する。
【0189】
<例5>
成分A)〜D)およびF)の以下の化合物を含む重合性LC混合物を調合する。
【0190】
【表4】
【0191】
【化37】
化合物B5は、英国特許出願公開第2 388 599号公報に記載される方法に類似して調製できる。化合物C2は、本出願または米国特許第6,514,578号明細書または米国特許出願公開第2008/0143943号公報に記載される方法に類似して調製できる。化合物D2は米国特許第6,217,792号明細書に記載されている。
【0192】
混合物は、次のLC相シーケンスを示す:Ch94.5I。
【0193】
混合物をトルエン中の40%溶液に変換し、0.2ミクロンで濾過する。次いで、ラビングされたポリイミド被覆ガラス上に溶液を4000rpmで30秒スピンコートする。未硬化のフィルムを92℃で1分アニールし、次いで、365nmバンドパスフィルターが装着されたEFOSランプ下において、1分間、窒素雰囲気中で60℃の硬化温度および200mW/cm2の硬化パワーを使用して硬化する。結果として生じるポリマーフィルムは、負の光学的リターデーションおよび負のCプレートの光学的特性を有する。リターデーションプロファイルを図5に示す。
【0194】
以下の通り、R450/R550の値を+40°および−40°の角度で測定する:
1.166(+40°)
1.168(−40°)
当該負のCフィルムは、高い正のリターデーション分散を有する。
【0195】
<例6−比較例>
以下の化合物を含む重合性LC混合物を調合する。
【0196】
【表5】
【0197】
【化38】
化合物C3は、Broerら、Makromol.Chem.190巻、2255ffおよび3201ff(1991年)に記載される方法またはそれに類似して調製できる。化合物G1は、米国特許第6,344,154号明細書に記載されている。化合物G2は、米国特許第6,491,990号明細書に記載されている。
【0198】
混合物は、次のLC相シーケンスを示す:Ch66.2I。
【0199】
混合物を7:3のトルエン:シクロヘキサノン中の40%溶液に変換し、0.2ミクロンで濾過する。次いで、ラビングされたポリイミド被覆ガラス上に溶液を3000rpmで30秒スピンコートする。未硬化のフィルムを64℃で1分アニールし、次いで、250〜450nmバンドパスフィルターが装着されたEFOSランプ下において、1分間、空気中、室温で、200mW/cm2の硬化パワーを使用して硬化する。結果として生じるポリマーフィルムは、負の光学的リターデーションおよび負のCプレートの光学的特性を有する。リターデーションプロファイルを図6に示す。
【0200】
以下の通り、R450/R550の値を+40°および−40°の角度で測定する:
1.081(+40°)
1.083(−40°)
式Iの化合物(成分A)を含有する混合物より作製される例1〜5のフィルムと比べ、式Iの化合物を含有していない例6の混合物より作製される負のCフィルムは、著しく低い正のリターデーション分散を有する。
【0201】
<例7>
成分A)〜C)およびF)の以下の化合物を含む重合性LC混合物を調合する。
【0202】
【表6】
【0203】
【化39】
化合物B6およびB7は、米国特許第6,514,578号明細書または米国特許出願公開第2008/0143943号公報に記載される方法に類似して調製できる。
【0204】
混合物は、次のLC相シーケンスを示す:N157.4I。
【0205】
混合物をトルエン中の40%溶液に変換し、0.2ミクロンで濾過する。ラビングされたポリイミド被覆ガラス上に溶液を4000rpmで30秒スピンコートし、次いで、250〜450nmバンドパスフィルターが装着されたEFOSランプ下において、1分間、窒素雰囲気中、室温で、170mW/cm2の硬化パワーを使用して硬化する。結果として生じるポリマーフィルムは、正の光学的リターデーションおよび正のAプレートの光学的特性を有する。リターデーションプロファイルを図7に示す。
【0206】
以下の通り、R450/R550の値を+40°および−40°の角度で測定する:
1.200(+40°)
1.200(−40°)
当該正のAフィルムは、高い正のリターデーション分散を有する。
【0207】
<例8−比較例>
以下の化合物を含む重合性LC混合物を調合する。
【0208】
【表7】
【0209】
【化40】
化合物(G3)および(G4)は文献より既知であり、例えば、Whitcombeら、J.Polym.Sci.Polym.Chem.29巻、251〜259頁(1991年)において記載される通りの方法により、またはそれに類似して調製できる。
【0210】
混合物は、次のLC相シーケンスを示す:N74.7I。
【0211】
混合物をトルエン中の40%溶液に変換し、0.2ミクロンで濾過する。ラビングされたポリイミド被覆ガラス上に溶液を4000rpmで30秒スピンコートし、次いで、250〜450nmバンドパスフィルターが装着されたEFOSランプ下において、1分間、窒素雰囲気中、室温で、170mW/cm2の硬化パワーを使用して硬化する。結果として生じるポリマーフィルムは、正の光学的リターデーションおよび正のAプレートの光学的特性を有する。リターデーションプロファイルを図8に示す。
【0212】
以下の通り、R450/R550の値を+40°および−40°の角度で測定する:
1.109(+40°)
1.110(−40°)
当該正のAフィルムは、高い正のリターデーション分散を有する。
【0213】
図9に、例7のフィルム(a)および比較例8のフィルム(b)について、550nmにおける正規化リターデーションの比較を示す。式Iの化合物を含む例7のフィルムは、式Iの化合物を含有しない例8のフィルムよりも著しく高いリターデーション分散を有することが見て取れる。
【0214】
<例9>
成分A)〜G)の以下の化合物を含む重合性LC混合物を調合する。
【0215】
【表8】
混合物は、次のLC相シーケンスを示す:Ch82.1I。
【0216】
混合物をトルエン中の40%溶液に変換し、0.2ミクロンで濾過する。ラビングされたポリイミド被覆ガラス上に溶液を2000rpmで30秒スピンコートする。未硬化のフィルムを80℃で1分アニールし、次いで、365nmバンドパスフィルターが装着されたEFOSランプ下において、UV直線偏光子を通し、1分間、窒素雰囲気中、60℃で、40mW/cm2の硬化パワーを使用して硬化する。結果として生じるポリマーフィルムは、二軸性の負のCプレートの光学的特性を有する。リターデーションプロファイルを図10に示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物。
【化1】
(式中、
Pは、重合性基であり、
Spは、スペーサー基または単結合であり、
A1は、複数出現する場合は互いに独立に、1個以上の基Lにより置換されていてもよい炭素環式、ヘテロ環式、芳香族またはヘテロ芳香族基より選択され、
A2およびA3は、それぞれ互いに独立に、1個以上のCH基がNにより置き換えられていてもよく、1個以上の基Lにより置換されていてもよい1,4−フェニレンまたはナフタレン−2,6−ジイルより選択され、
Z1は、複数出現する場合は互いに独立に、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR0−、−NR0−CO−、−NR0−CO−NR0−、−OCH2−、−CH2O−、−SCH2−、−CH2S−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2S−、−SCF2−、−CH2CH2−、−(CH2)3−、−(CH2)4−、−CF2CH2−、−CH2CF2−、−CF2CF2−、−CH=CH−、−CY1=CY2−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR0−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、CR0R00または単結合より選択され、
Lは、複数出現する場合は互いに独立に、P−Sp−、F、Cl、Br、I、−CN、−NO2、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)NR0R00、−C(=O)X、−C(=O)OR0、−C(=O)R0、−NR0R00、−OH、−SF5、1〜12個、好ましくは1〜6個のC原子を有し置換されていてもよいシリル、アリールまたはヘテロアリール、1〜12個、好ましくは1〜6個のC原子を有し直鎖状または分岐状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシより選択され、ただし、1個以上のH原子はFまたはClで置き換えられていてもよく、ただし、Xはハロゲンであり、
R0およびR00は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子のアルキルであり、
mは、0、1、2、3または4であり、
ただし、mが0の場合、A2およびA3の一方または両方は、Lにより少なくとも一置換されている1,4−フェニレン、または、置換されていてもよいナフタレン−2,6−ジイルを表す。)
【請求項2】
A1、A2およびA3が、1個以上の基Lにより置換されていてもよい1,4−フェニレンまたはナフタレン−2,6−ジイルを表すことを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Z1が、−COO−、−OCO−、−C≡C−または単結合であり、mが0または1であることを特徴とする請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
以下のサブ式から成る群より選択されることを特徴とする請求項1または2に記載の化合物。
【化2】
【化3】
(式中、P、SpおよびLは請求項1において与えられる意味を有し、rは、0、1、2、3または4であり、sは、0、1、2または3である。)
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の1種類以上の化合物を含み、および、重合性および/またはメソゲンまたは液晶である1種類以上の更なる化合物を含んでいてもよい重合性LC材料。
【請求項6】
請求項5に記載の重合性LC材料であって、
a)請求項1〜3のいずれか一項に記載の1種類以上の化合物と、
b)式IIの1種類以上の化合物と、
c)2個以上の重合性基を有する1種類以上の重合性メソゲン化合物{成分a)、b)またはd)の化合物または追加の化合物であってよい}と、
d)任意成分として、1種類以上のキラル化合物{成分a)、b)またはc)の化合物または追加の化合物であってよい}と、
e)任意成分として、1種類以上の重合開始剤と、
f)任意成分として、1種類以上の界面活性剤と
を含むことを特徴とする重合性LC材料。
【化4】
(式中、
A4およびA5は、それぞれ互いに独立に、置換されていてもよい芳香族またはヘテロ芳香族基より選択され、好ましくは、1個以上のCH基がNにより置き換えられていてもよく、1個以上の基Lにより置換されていてもよい1,4−フェニレンまたはナフタレン−2,6−ジイルより選択され、
Rは、P−Sp−、F、Cl、Br、I、−CN、−NO2、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)NR0R00、−C(=O)X、−C(=O)OR0、−C(=O)R0、−NR0R00、−OH、−SF5、1〜12個、好ましくは1〜6個のC原子を有し置換されていてもよいシリル、アリールまたはヘテロアリール、1〜12個、好ましくは1〜6個のC原子を有し直鎖状または分岐状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシより選択され、ただし、1個以上H原子はFまたはClで置き換えられていてもよく、ただし、Xはハロゲンであり、
m1およびm2は、それぞれ互いに独立に、0、1、2、3または4であり、ただし、m1+m2<5であり、および
P、Sp、A1、Z1、L、R0およびR00は、請求項1で与えられる意味を有する。)
【請求項7】
式IIの化合物において、Rが、CN、OCH3およびSCH3より選択されるか、または、請求項6において定義される通りのP−Sp−を表すことを特徴とする請求項6に記載の重合性LC材料。
【請求項8】
式IIの化合物において、A1、A4およびA5が、請求項6において定義される通りの1個以上の基Lにより置換されていてもよい1,4−フェニレンまたはナフタレン−2,6−ジイルであることを特徴とする請求項6または7に記載の重合性LC材料。
【請求項9】
式IIの化合物において、Z1が、−COO−、−OCO−、−C≡C−または単結合であり、m1が0または1であり、m2が0であることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の重合性LC材料。
【請求項10】
式IIの化合物が、以下のサブ式から成る群より選択されることを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項に記載の重合性LC材料。
【化5】
【化6】
(式中、P、Sp、LおよびRは請求項6または7において与えられる意味を有し、rは、0、1、2、3または4であり、sは、0、1、2または3である。)
【請求項11】
成分c)の化合物が式IIIから選択されることを特徴とする請求項5〜10のいずれか一項に記載の重合性LC材料。
【化7】
(式中、PおよびSpは、それぞれの出現において互いに独立に、請求項5において与えられる意味を有し、MGは、キラルであってよく、式IVから選択される棒状メソゲン基である。)
【化8】
(式中、
A11およびA22は、複数出現する場合は互いに独立に、N、OおよびSより選択される1個以上のヘテロ原子を含有していてもよく、請求項1において定義される通りのLによって一置換または多置換されていてもよい芳香族または脂環式基であり、
Z11は、複数出現する場合は互いに独立に、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−S−CO−、−CO−S−、−O−COO−、−CO−NR0−、−NR0−CO−、−NR0−CO−NR00、−NR0−CO−O−、−O−CO−NR0−、−OCH2−、−CH2O−、−SCH2−、−CH2S−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2S−、−SCF2−、−CH2CH2−、−(CH2)4−、−CF2CH2−、−CH2CF2−、−CF2CF2−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR0−、−CY1=CY2−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−または単結合を表し、
R0およびR00は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子のアルキルを表し、
Y1およびY2は、それぞれ互いに独立に、H、F、ClまたはCNを表し、
mは、0、1、2、3または4である。)
【請求項12】
成分c)の化合物が、RがP−Sp−であり請求項10において定義される通りの式IIa〜IIp、および以下の二反応性化合物から成る群より選択されることを特徴とする請求項5〜10のいずれか一項に記載の重合性LC材料。
【化9】
(式中、
P0は、複数出現する場合は互いに独立に、重合性基、好ましくは、アクリル、メタクリル、オキセタン、エポキシ、ビニル、ビニルオキシ、プロペニルエーテルまたはスチレン基であり、
Lは、複数出現する場合は互いに独立に、H、F、Cl、CN、または、1〜5個のC原子を有しハロゲン化されていてもよいアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシであり、
rは、0、1、2、3または4であり、
xおよびyは、それぞれ互いに独立に、0、または、1〜12の同一または異なる整数であり、
zは0または1であり、ただし、隣接するxまたはyが0の場合、zは0であり、
ただし、ベンゼン環は、1個以上の同一または異なる基Lによって追加的に置換されていてもよい。)
【請求項13】
二色性または液晶性光開始剤より選択される1種類以上の重合開始剤を含むことを特徴とする請求項5〜12のいずれか一項に記載の重合性LC材料。
【請求項14】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物または請求項5〜13のいずれか一項に記載の重合性LC材料を配向状態で重合して得ることができる異方性ポリマー。
【請求項15】
電気光学的ディスプレイ、LCD、光学的フィルム、偏光子、コンペンセータ、ビームスプリッター、反射フィルム、配向層、カラーフィルター、ホログラフィック素子、ホットスタンプ箔、着色画像、装飾またはセキュリティーマーク、LC顔料、接着剤、化粧品、診断用材料、非線形光学、光学的情報記憶、電子装置、有機半導体、電界効果トランジスタ(FET)、集積回路(IC)の部品、薄膜トランジスタ(TFT)、無線識別(RFID)タグ、有機発光ダイオード(OLED)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、照明装置、光起電装置、センサー装置、電極材料、光導電体、電子写真記録、レーザー材料または装置における請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物、材料またはポリマーの使用。
【請求項16】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物を調製する方法であって、
a)p−ハロゲン置換芳香族アルコールのOH基をω−ハロゲン置換脂肪族アルコールのハロゲン基とエーテル化し、
b)工程a)によって調製されたエーテルの脂肪族OH基を重合性基または保護型重合性基と反応させ、
c)工程c)によって調製されたエステルの芳香族ハロゲン基をp−アミノアリールアセチレンと薗頭条件下において反応させて、p−アミノトランを合成し、
d)工程c)によって調製されたトランのアミノ基を1,1’−チオカルボニルジアミダゾールで処理して、p−イソチオシアナトトランを合成し、
e)任意工程として、工程d)のイソチオシアナトトランの保護型重合性基を転化する
ことによる方法。
【請求項1】
式Iの化合物。
【化1】
(式中、
Pは、重合性基であり、
Spは、スペーサー基または単結合であり、
A1は、複数出現する場合は互いに独立に、1個以上の基Lにより置換されていてもよい炭素環式、ヘテロ環式、芳香族またはヘテロ芳香族基より選択され、
A2およびA3は、それぞれ互いに独立に、1個以上のCH基がNにより置き換えられていてもよく、1個以上の基Lにより置換されていてもよい1,4−フェニレンまたはナフタレン−2,6−ジイルより選択され、
Z1は、複数出現する場合は互いに独立に、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR0−、−NR0−CO−、−NR0−CO−NR0−、−OCH2−、−CH2O−、−SCH2−、−CH2S−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2S−、−SCF2−、−CH2CH2−、−(CH2)3−、−(CH2)4−、−CF2CH2−、−CH2CF2−、−CF2CF2−、−CH=CH−、−CY1=CY2−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR0−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、CR0R00または単結合より選択され、
Lは、複数出現する場合は互いに独立に、P−Sp−、F、Cl、Br、I、−CN、−NO2、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)NR0R00、−C(=O)X、−C(=O)OR0、−C(=O)R0、−NR0R00、−OH、−SF5、1〜12個、好ましくは1〜6個のC原子を有し置換されていてもよいシリル、アリールまたはヘテロアリール、1〜12個、好ましくは1〜6個のC原子を有し直鎖状または分岐状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシより選択され、ただし、1個以上のH原子はFまたはClで置き換えられていてもよく、ただし、Xはハロゲンであり、
R0およびR00は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子のアルキルであり、
mは、0、1、2、3または4であり、
ただし、mが0の場合、A2およびA3の一方または両方は、Lにより少なくとも一置換されている1,4−フェニレン、または、置換されていてもよいナフタレン−2,6−ジイルを表す。)
【請求項2】
A1、A2およびA3が、1個以上の基Lにより置換されていてもよい1,4−フェニレンまたはナフタレン−2,6−ジイルを表すことを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Z1が、−COO−、−OCO−、−C≡C−または単結合であり、mが0または1であることを特徴とする請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
以下のサブ式から成る群より選択されることを特徴とする請求項1または2に記載の化合物。
【化2】
【化3】
(式中、P、SpおよびLは請求項1において与えられる意味を有し、rは、0、1、2、3または4であり、sは、0、1、2または3である。)
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の1種類以上の化合物を含み、および、重合性および/またはメソゲンまたは液晶である1種類以上の更なる化合物を含んでいてもよい重合性LC材料。
【請求項6】
請求項5に記載の重合性LC材料であって、
a)請求項1〜3のいずれか一項に記載の1種類以上の化合物と、
b)式IIの1種類以上の化合物と、
c)2個以上の重合性基を有する1種類以上の重合性メソゲン化合物{成分a)、b)またはd)の化合物または追加の化合物であってよい}と、
d)任意成分として、1種類以上のキラル化合物{成分a)、b)またはc)の化合物または追加の化合物であってよい}と、
e)任意成分として、1種類以上の重合開始剤と、
f)任意成分として、1種類以上の界面活性剤と
を含むことを特徴とする重合性LC材料。
【化4】
(式中、
A4およびA5は、それぞれ互いに独立に、置換されていてもよい芳香族またはヘテロ芳香族基より選択され、好ましくは、1個以上のCH基がNにより置き換えられていてもよく、1個以上の基Lにより置換されていてもよい1,4−フェニレンまたはナフタレン−2,6−ジイルより選択され、
Rは、P−Sp−、F、Cl、Br、I、−CN、−NO2、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)NR0R00、−C(=O)X、−C(=O)OR0、−C(=O)R0、−NR0R00、−OH、−SF5、1〜12個、好ましくは1〜6個のC原子を有し置換されていてもよいシリル、アリールまたはヘテロアリール、1〜12個、好ましくは1〜6個のC原子を有し直鎖状または分岐状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシより選択され、ただし、1個以上H原子はFまたはClで置き換えられていてもよく、ただし、Xはハロゲンであり、
m1およびm2は、それぞれ互いに独立に、0、1、2、3または4であり、ただし、m1+m2<5であり、および
P、Sp、A1、Z1、L、R0およびR00は、請求項1で与えられる意味を有する。)
【請求項7】
式IIの化合物において、Rが、CN、OCH3およびSCH3より選択されるか、または、請求項6において定義される通りのP−Sp−を表すことを特徴とする請求項6に記載の重合性LC材料。
【請求項8】
式IIの化合物において、A1、A4およびA5が、請求項6において定義される通りの1個以上の基Lにより置換されていてもよい1,4−フェニレンまたはナフタレン−2,6−ジイルであることを特徴とする請求項6または7に記載の重合性LC材料。
【請求項9】
式IIの化合物において、Z1が、−COO−、−OCO−、−C≡C−または単結合であり、m1が0または1であり、m2が0であることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の重合性LC材料。
【請求項10】
式IIの化合物が、以下のサブ式から成る群より選択されることを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項に記載の重合性LC材料。
【化5】
【化6】
(式中、P、Sp、LおよびRは請求項6または7において与えられる意味を有し、rは、0、1、2、3または4であり、sは、0、1、2または3である。)
【請求項11】
成分c)の化合物が式IIIから選択されることを特徴とする請求項5〜10のいずれか一項に記載の重合性LC材料。
【化7】
(式中、PおよびSpは、それぞれの出現において互いに独立に、請求項5において与えられる意味を有し、MGは、キラルであってよく、式IVから選択される棒状メソゲン基である。)
【化8】
(式中、
A11およびA22は、複数出現する場合は互いに独立に、N、OおよびSより選択される1個以上のヘテロ原子を含有していてもよく、請求項1において定義される通りのLによって一置換または多置換されていてもよい芳香族または脂環式基であり、
Z11は、複数出現する場合は互いに独立に、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−S−CO−、−CO−S−、−O−COO−、−CO−NR0−、−NR0−CO−、−NR0−CO−NR00、−NR0−CO−O−、−O−CO−NR0−、−OCH2−、−CH2O−、−SCH2−、−CH2S−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2S−、−SCF2−、−CH2CH2−、−(CH2)4−、−CF2CH2−、−CH2CF2−、−CF2CF2−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR0−、−CY1=CY2−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−または単結合を表し、
R0およびR00は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子のアルキルを表し、
Y1およびY2は、それぞれ互いに独立に、H、F、ClまたはCNを表し、
mは、0、1、2、3または4である。)
【請求項12】
成分c)の化合物が、RがP−Sp−であり請求項10において定義される通りの式IIa〜IIp、および以下の二反応性化合物から成る群より選択されることを特徴とする請求項5〜10のいずれか一項に記載の重合性LC材料。
【化9】
(式中、
P0は、複数出現する場合は互いに独立に、重合性基、好ましくは、アクリル、メタクリル、オキセタン、エポキシ、ビニル、ビニルオキシ、プロペニルエーテルまたはスチレン基であり、
Lは、複数出現する場合は互いに独立に、H、F、Cl、CN、または、1〜5個のC原子を有しハロゲン化されていてもよいアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシであり、
rは、0、1、2、3または4であり、
xおよびyは、それぞれ互いに独立に、0、または、1〜12の同一または異なる整数であり、
zは0または1であり、ただし、隣接するxまたはyが0の場合、zは0であり、
ただし、ベンゼン環は、1個以上の同一または異なる基Lによって追加的に置換されていてもよい。)
【請求項13】
二色性または液晶性光開始剤より選択される1種類以上の重合開始剤を含むことを特徴とする請求項5〜12のいずれか一項に記載の重合性LC材料。
【請求項14】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物または請求項5〜13のいずれか一項に記載の重合性LC材料を配向状態で重合して得ることができる異方性ポリマー。
【請求項15】
電気光学的ディスプレイ、LCD、光学的フィルム、偏光子、コンペンセータ、ビームスプリッター、反射フィルム、配向層、カラーフィルター、ホログラフィック素子、ホットスタンプ箔、着色画像、装飾またはセキュリティーマーク、LC顔料、接着剤、化粧品、診断用材料、非線形光学、光学的情報記憶、電子装置、有機半導体、電界効果トランジスタ(FET)、集積回路(IC)の部品、薄膜トランジスタ(TFT)、無線識別(RFID)タグ、有機発光ダイオード(OLED)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、照明装置、光起電装置、センサー装置、電極材料、光導電体、電子写真記録、レーザー材料または装置における請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物、材料またはポリマーの使用。
【請求項16】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物を調製する方法であって、
a)p−ハロゲン置換芳香族アルコールのOH基をω−ハロゲン置換脂肪族アルコールのハロゲン基とエーテル化し、
b)工程a)によって調製されたエーテルの脂肪族OH基を重合性基または保護型重合性基と反応させ、
c)工程c)によって調製されたエステルの芳香族ハロゲン基をp−アミノアリールアセチレンと薗頭条件下において反応させて、p−アミノトランを合成し、
d)工程c)によって調製されたトランのアミノ基を1,1’−チオカルボニルジアミダゾールで処理して、p−イソチオシアナトトランを合成し、
e)任意工程として、工程d)のイソチオシアナトトランの保護型重合性基を転化する
ことによる方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2011−510915(P2011−510915A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541713(P2010−541713)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【国際出願番号】PCT/EP2008/011035
【国際公開番号】WO2009/086911
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【国際出願番号】PCT/EP2008/011035
【国際公開番号】WO2009/086911
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】
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