説明

反芻家畜に対するプロバイオティック効果をサイレージ調製用乳酸菌に付加する新規酵母菌およびその利用

【課題】乳酸菌と組み合わせることにより、反芻家畜等に対してプロバイオティック効果を発揮する新規微生物の提供。
【解決手段】様々なサイレージ調製用乳酸菌株をウシに投与してそのプロバイオティック効果を検証したが、単独でプロバイオティック効果を有する乳酸菌株は選抜されなかった。そこで、様々な菌株の培養液を組み合わせてウシに給与し、そのプロバイオティック効果を検証した。その結果、新規酵母菌Candida(カンジダ)・エスピーCO119株を乳酸菌とともに投与すると、ウシの体重増加促進および飼料効率改善、粗飼料に対する消化率向上、腸内細菌叢の改善、下痢・軟便防止、液性および細胞性免疫機能向上の各種顕著なプロバイオティック効果が観察された

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規酵母および該酵母を利用して動物にプロバイオティック効果を付与する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、医療現場では抗生物質耐性菌の出現が問題となっている。病原菌が抗生物質耐性を獲得する原因の一つの可能性として、家畜飼料への抗菌性飼料添加物等の添加が指摘されている。EUでは、2006年1月より、家畜の成長促進目的で抗菌性飼料添加物を使用することが禁止された。食に対する消費者の安心・安全志向の高まりと共に、我が国でも抗菌性飼料添加物等の使用量削減が検討されており、抗菌性飼料添加物に頼らない家畜飼養技術の開発が急務となっている。
【0003】
近年、家畜飼養の技術として、生菌剤の利用が注目されている。これは、生菌によるプロバイオティック効果、すなわち家畜の発育促進、腸内細菌叢の改善、免疫機能の向上、下痢の防止等を期待できることによる。
【0004】
しかし現状では、家畜、特に反芻家畜に対して有効なプロバイオティック生菌剤の開発には至っていない。この理由は、反芻家畜の場合、経口摂取された生菌はまず反芻胃に流入するが、そこに共生するバクテリアによる競合的排除や原生動物による捕食によって、投与された生菌の生存性が多大な影響を受けるためと考えられる。したがって、ブタ、ヒト等の単胃動物用に開発された生菌を反芻家畜へそのまま使用しても有効な効果を得ることは困難である。反芻家畜を含む、家畜全般に対して有効なプロバイオティック生菌は、反芻家畜を用いた菌株投与試験によって新たに選抜する必要がある。
【0005】
従来のプロバイオティック生菌剤として、例えば、サッカロマイセス(Saccharomyces)属酵母菌株を単独またはエンテロコッカス属乳酸菌と組み合わせてブタに投与し、抗下痢活性等を確認した例がある(特許文献1)。また、ブタ腸内から単離したエンテロコッカス属乳酸菌をビール酵母等とともに栄養組成物として調製し、該栄養組成物をブタに投与し、飼料要求率などを検討した例がある(特許文献2)。他には、ラクトバチルス属乳酸菌とサッカロマイセス(Saccharomyces)属酵母菌等をブタやブロイラーに投与した例(特許文献3)、各種乳酸菌とサッカロマイセス(Saccharomyces)属酵母菌をラット、ブロイラー等に投与した例(特許文献4)があるが、これらいずれの文献も、反芻家畜に対する生菌の効果を全く検討していない。
【0006】
反芻家畜は飼料として乳酸菌による発酵飼料であるサイレージを給与され、サイレージに含まれる大量の乳酸菌を日常的に摂取している。乳酸菌はプロバイオティック生菌として汎用されている微生物の一つである。よって反芻動物へのプロバイオティック効果を有するサイレージ調製用乳酸菌を選抜出来れば、その菌株は反芻家畜用生菌剤や反芻家畜用発酵飼料などとして利用可能であり、その反芻家畜に対する有用性は飛躍的に高まると考えられる。
【0007】
これまでに様々な特性を備えたサイレージ調製用乳酸菌株が開発されている。このようなサイレージ調製用乳酸菌株の例として、ペディオコッカス・エスピーLA3株およびLA35株を挙げることができる(特許文献5)。上記菌株は、優れた耐酸性および高温耐性を有し、高品質のサイレージの調製を可能とする。また、ラクトバチルス・プランタルム畜草1号株およびラクトコッカス・ラクティスRO50株は、付着する乳酸菌が少なく茎が中空構造のため不良発酵しやすい飼料用稲を用いて高品質サイレージを調製するために開発された(特許文献6)。しかし、上記乳酸菌株は、あくまでもサイレージ調製用として乳酸発酵能を主な指標として選抜されているため、これら菌株がプロバイオティック効果を有するかどうかは検証されていない。
【0008】
また反芻家畜、特にウシに対し、乳酸菌等の菌株給与試験を行った報告も存在するが(非特許文献1−3)、検討された菌株は、ウシの発育促進、腸内フローラ改善、免疫機能の向上、下痢の防止等に対して明確なプロバイオティック効果を発揮していない。
【0009】
【特許文献1】特開2006-101784
【特許文献2】特開2005-168302
【特許文献3】特開2004-329056
【特許文献4】特開2001-149023
【特許文献5】特許第3762826号
【特許文献6】特許第3805727号
【非特許文献1】Ghorbani G.R., et. al.,J Anim Sci., 2002, 80:1977-1985
【非特許文献2】Elam N. A., et. al., J Anim Sci., 200381:2686-2698
【非特許文献3】Nocek J. E., et.al.,J Dairy Sci., 2003, 86:331-335
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記状況を鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、乳酸菌と組み合わせることにより、反芻家畜等に対して発育促進、腸内細菌叢改善、免疫機能の向上、下痢の防止等のプロバイオティック効果を発揮する新規微生物の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決すべく、本発明者らは鋭意研究を行った。本発明者らはまず、牧草等から分離された様々なサイレージ調製用乳酸菌株をウシに投与してそのプロバイオティック効果を検証する試験を行った。しかし、サイレージ調製用乳酸菌株単独の投与試験では、ウシの発育促進、腸内フローラ改善、免疫機能の向上、下痢の防止等のプロバイオティック効果を有する菌株は選抜されなかった。例えば、本発明者らがラクトバチルス・プランタルム畜草1号株をウシに給与する試験を行ったところ、ラクトバチルス・プランタルム畜草1号株の単独給与ではウシの発育促進、腸内フローラ改善、免疫機能の向上、下痢の防止等のプロバイオティック効果は一切観察されなかった。よって、サイレージ調製用乳酸菌を反芻家畜用プロバイオティック生菌として有効利用するには、その機能を補完するための新たな技術開発が必要となることが判明した。そこで本発明者等は、様々な菌株の培養液を組み合わせてウシに給与し、そのプロバイオティック効果を検証したところ、酵母菌の一種であるCandida sp. (カンジダ・エスピー) CO119株をラクトバチルス・プランタルム畜草1号株と組み合わせた際に顕著なプロバイオティック効果が観察された。具体的には、上記菌株の組み合わせは、ウシの体重増加促進および飼料効率改善、粗飼料に対する消化率向上、腸内細菌叢の改善、下痢・軟便防止、液性および細胞性免疫機能向上の各種効果をもたらした。また、意外なことに、Candida sp. (カンジダ・エスピー) CO119株を単独でウシに投与しても、顕著なプロバイオティック効果は得られなかった。すなわち本発明は、乳酸菌と組み合わせることにより、反芻家畜に対してもプロバイオティック効果を発揮する新規酵母に関し、具体的には下記発明を提供するものである。
(1) 乳酸菌とともに投与することにより前記乳酸菌にプロバイオティック効果を付与する、カンジダ属に属する酵母菌カンジダ・エスピーCO119株(受託番号:NITE P-375)および/またはその処理物、
(2) 前記乳酸菌がサイレージ調製用乳酸菌である、上記(1)に記載の酵母菌および/またはその処理物、
(3) 前記サイレージ調製用乳酸菌がエンテロコッカス属乳酸菌またはラクトバチルス属乳酸菌である、上記(2)記載の酵母菌および/またはその処理物、
(4) 前記乳酸菌がラクトバチルス・プランタルム畜草1号株(FERM P-18930)である、上記(1)から(3)のいずれかに記載の酵母菌および/またはその処理物、
(5) 乳酸菌共存下においてプロバイオティック効果を発揮し、乳酸菌非共存下においてプロバイオティック効果を発揮しない、カンジダ属に属する酵母菌カンジダ・エスピーCO119株(受託番号:NITE P-375)、
(6) 上記(1)から(4)のいずれかに記載の酵母菌および/またはその処理物、あるいは上記(5)記載の酵母菌を含む、飼料添加剤、
(7) 下記(a)および(b)を組み合わせてなる、プロバイオティック効果を有する飼料添加剤
(a)上記(1)から(4)のいずれかに記載の酵母菌および/またはその処理物、あるいは上記(5)記載の酵母菌
(b)乳酸菌、
(8) 上記(1)から(4)のいずれかに記載の酵母菌および/またはその処理物、あるいは上記(5)記載の酵母菌を含む、飼料、
(9) 下記(a)および(b)を組み合わせてなる、プロバイオティック効果を有する飼料。
(a)上記(1)から(4)のいずれかに記載の酵母菌および/またはその処理物、あるいは上記(5)記載の酵母菌
(b)乳酸菌、
(10) 上記(1)から(4)のいずれかに記載の酵母菌および/またはその処理物、あるいは上記(5)記載の酵母菌を含む、下痢治療および予防のいずれかまたは両方のための医薬品、
(11) 下記(a)および(b)を組み合わせてなる、上記(10)記載の医薬品
(a)上記(1)から(4)のいずれかに記載の酵母菌および/またはその処理物、あるいは上記(5)記載の酵母菌
(b)乳酸菌、
(12) 上記(1)から(4)のいずれかに記載の酵母菌および/またはその処理物、あるいは上記(5)記載の酵母菌を含む、感染症の治療および予防のいずれかまたは両方のための医薬品、
(13) 下記(a)および(b)を組み合わせてなる、上記(12)に記載の医薬品
(a)上記(1)から(4)のいずれかに記載の酵母菌および/またはその処理物、あるいは上記(5)記載の酵母菌
(b)乳酸菌、
(14) 上記(1)から(4)のいずれかに記載の酵母菌および/またはその処理物、あるいは上記(5)記載の酵母菌を含む、免疫担当細胞活性化剤、
(15) 上記(1)から(4)のいずれかに記載の酵母菌および/またはその処理物、あるいは上記(5)記載の酵母菌を含む、消化改善剤、
(16) 上記(1)から(4)のいずれかに記載の酵母菌および/またはその処理物、あるいは上記(5)記載の酵母菌を含む、整腸剤、
(17) 上記(1)から(4)のいずれかに記載の酵母菌および/またはその処理物、あるいは上記(5)記載の酵母菌を含む、発育促進剤、
(18) カンジダ・エスピーCO119株(受託番号:NITE P-375)および乳酸菌を含む組成物、
(19) 下記(a)および(b)を、同時にまたは別々に投与することを特徴とする、動物の下痢を治療または予防する方法
(a)上記(1)から(4)のいずれかに記載の酵母菌および/またはその処理物、あるいは上記(5)記載の酵母菌
(b)乳酸菌、
(20) 下記(a)および(b)を、同時にまたは別々に投与することを特徴とする、動物の免疫機能を向上させる方法
(a)上記(1)から(4)のいずれかに記載の酵母菌および/またはその処理物、あるいは上記(5)記載の酵母菌
(b)乳酸菌、
(21) 下記(a)および(b)を、同時にまたは別々に投与することを特徴とする、動物の感染症を治療および/または予防する方法
(a)上記(1)から(4)のいずれかに記載の酵母菌および/またはその処理物、あるいは上記(5)記載の酵母菌
(b)乳酸菌、
(22) 下記(a)および(b)を、同時にまたは別々に投与することを特徴とする、動物の発育を促進する方法
(a)上記(1)から(4)のいずれかに記載の酵母菌および/またはその処理物、あるいは上記(5)記載の酵母菌
(b)乳酸菌、
(23) 下記(a)および(b)を、同時にまたは別々に投与することを特徴とする、動物の腸内環境を改善させる方法。
(a)上記(1)から(4)のいずれかに記載の酵母菌および/またはその処理物、あるいは上記(5)記載の酵母菌
(b)乳酸菌、
(24) 上記(8)または(9)に記載の飼料を投与することを特徴とする、動物の下痢を治療または予防する方法、
(25) 上記(8)または(9)に記載の飼料を投与することを特徴とする、動物の免疫機能を向上させる方法、
(26) 上記(8)または(9)に記載の飼料を投与することを特徴とする、動物の発育を促進する方法、
(27) 上記(8)または(9)に記載の飼料を投与することを特徴とする、動物の腸内環境を改善させる方法、
(28) 上記(8)または(9)に記載の飼料を投与することを特徴とする、動物の感染症を予防および/または治療する方法、
(29) 前記動物がヒト以外の動物である、上記(19)から(28)のいずれかに記載の方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によって、乳酸菌との組み合わせにより、反芻家畜に対しても有用なプロバイオティック効果を発揮する新規酵母菌株CO119株が提供された。本発明の酵母菌株と乳酸菌の組み合わせは、体重増加促進および飼料効率改善、粗飼料に対する消化率向上、腸内細菌叢の改善、下痢・軟便防止、液性および細胞性免疫機能向上など、多岐にわたるプロバイオティック効果をもたらし、幼若および成熟反芻家畜の健全な飼養を可能とするのみならず、結果的に反芻家畜への抗生物質および抗菌性飼料添加物の使用量を削減することができる。さらに、発育促進および粗飼料消化率向上の各効果を有することから、畜産物の品質向上、飼料コストの削減、成長目的で使用される抗菌性飼料添加物の使用量削減が可能となる。また本発明の新規酵母菌株は、反芻動物のみならず広く動物全般に対し、プロバイオティック効果を付与できるものと期待される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、乳酸菌とともに投与することにより前記乳酸菌にプロバイオティック効果を付与する、カンジダ属に属する新規酵母菌カンジダ・エスピーCO119株(受託番号:NITE P-375)および/またはその処理物、およびその利用に関する。本発明のカンジダ・エスピーCO119株(以下において、「CO119株」とも称す)は、栃木県那須塩原市の畜産草地研究所にて採取されたウシの直腸内容物から単離された分離株の中から、菌学的諸性質、生理的・生化学的性質の検証、およびウシに対する菌株供与試験を実施し、プロバイオティクス効果を指標として選抜された新規酵母菌株である。
【0014】
反芻家畜の腸管下部に存在する細菌は、反芻胃、第四胃(単胃動物の胃に相当する)、腸管上部を死滅せずに通過して腸管下部に到達している。よって上記の方法で採取・選抜した菌株は反芻家畜の反芻胃液、胃酸および胆汁酸に対する耐性を有しており、その経口投与により反芻家畜の腸内に生きたまま到達すると考えられる。
【0015】
本発明のCO119株の菌学的性質は、後述する実施例に記載のとおりである。該菌学的性質および28SリボゾームDNAのD1/D2領域の塩基配列から、CO119株は新規カンジダ属酵母と判断される。また本発明のCO119株は、酵母培養の常法として汎用される一般的な液体培地(例えば、YM Broth(Difco社製))を用いて培養することができる。あるいは、後述する資化性に基づいて各種栄養成分を含む培地(例えば、廃糖蜜やスキムミルク等を用いた液体培地)を調製し、培養することもできる。
【0016】
カンジダ・エスピーCO119株は、独立行政法人 製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センターに寄託された。以下に、寄託を特定する情報を記載する。
(i) 寄託機関の名称および住所
名称:独立行政法人 製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター
住所:日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 郵便番号292-0818
(ii) 寄託日:平成19年(2007年)6月13日
(iii) 受託番号:NITE P-375
【0017】
本発明のCO119株は、生菌の状態で利用することもできるが、本発明の酵母菌株に対して何らかの処理を施した「処理物」として利用することもできる。本発明の処理物の例としては、微生物を培養した培地、微生物を培養した培地の上清画分およびその他の画分、凍結乾燥微生物、微生物破砕物、を挙げることができるが、これらに限られない。
【0018】
本発明のCO119株は、生菌単独でウシに投与した場合には、プロバイオティック効果が確認されなかったが、乳酸菌とともに投与した場合には、体重増加促進および飼料効率改善、粗飼料に対する消化率向上、腸内細菌叢の改善、下痢・軟便防止、液性および細胞性免疫機能向上など、広範囲にわたるプロバイオティック効果が確認された。したがって、本発明のCO119株またはその処理物を動物に投与する際は、動物体内中に乳酸菌とともに存在するように投与することが望ましい。本発明のCO119株と乳酸菌のそれぞれを同時に投与してもよく、またはCO119株と乳酸菌とを混合して投与してもよい。また、動物の体内で同時に共存しうる限り、CO119株の投与と乳酸菌の投与は、必ずしも同時でなくてもよい。
【0019】
あるいは、動物体内にCO119株と共存させる乳酸菌として、サイレージまたは飼料用植物に付着した乳酸菌を利用してもよい。植物には天然の乳酸菌が付着している場合がある。またサイレージは、サイレージの品質向上を目的として、サイレージ調製時に乳酸菌を添加することがある。このようなサイレージや飼料に人為的または天然に存在している乳酸菌を利用して、CO119株を投与してもよい。
【0020】
さらに別の投与形態としては、CO119株を単独で、または乳酸菌とともに植物に混合し、CO119株を含んだサイレージを製造し、該サイレージを飼料として動物に与えることによって、CO119株を動物に投与してもよい。
【0021】
CO119株またはその処理物とともに投与する乳酸菌としては、CO119株またはその処理物共存下において動物生体に好ましい効果を発揮する限り、特に限定されないが、好ましくはサイレージの乳酸発酵に寄与しうる植物由来の乳酸菌であり、より好ましくはラクトバチルス属またはエンテロコッカス属のサイレージ調製用乳酸菌である。このような乳酸菌の具体例としては、ラクトバチルス・プランタルム畜草1号株を挙げることができる。ラクトバチルス・プランタルム畜草1号株は、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに受託番号FERM P-18930として寄託された乳酸菌である。またラクトバチルス・プランタルム畜草1号株は、雪印種苗株式会社(北海道札幌市)よりサイレージ調製用粉末製剤として既に市販されている。
【0022】
本発明の酵母菌株CO119株またはその処理物が乳酸菌とともに発揮するプロバイオティック効果の例としては、体重増加促進および飼料効率改善、粗飼料に対する消化率向上、腸内細菌叢の改善、下痢・軟便防止、液性および細胞性免疫機能向上を挙げることができるが、CO119株またはその処理物が乳酸菌とともに発揮する生体に有益な効果である限り、本発明におけるプロバイオティック効果は上記に限られない。CO119株の特に優れた点の一つは、反芻動物にさえプロバイオティック効果をもたらす点である。反芻動物(ウシ、ヤギ、ヒツジ、シカ等の反芻亜目、ラクダ、ラマ等のラクダ亜目)の場合、経口摂取された生菌はまず反芻胃に流入するが、そこに共生するバクテリアによる競合的排除や原生動物による捕食によって、投与された生菌の生存性が多大な影響を受ける。そのため、単胃動物に対するプロバイオティック効果が確認された微生物であっても、反芻動物に対する有効な効果を示すとは限らない。逆に、反芻動物にプロバイオティック効果をもたらす微生物は、各種単胃動物に対しても、プロバイオティック効果をもたらすと考えることができる。
【0023】
上記効果の有無は、当業者に一般的な方法で判断することができる。例えば、飼料効率とは、動物の体重増加量を飼料摂取量にて除した値であり、摂取した飼料の利用性の指標として栄養学で汎用されるものである(例えば、小野寺ら著、家畜栄養学、1989年、川島書店、を参照)。また、反芻動物における消化率は、摂取した飼料が反芻胃内で分解される割合のことであり、採取した反芻胃液を入れた試験管内で飼料を消化させることで簡易的に求めることが出来る(例えば、自給飼料品質評価研究会編、改訂 粗飼料の品質評価ガイドブック、2001年、日本草地畜産種子協会、を参照)。腸内細菌叢の改善とは、反芻家畜の腸内に共存する腸内細菌の菌種構成割合が家畜にとって好ましい方向に変化することを意味し、実施例3に示すように動物の直腸内容物における菌種構成を調べることにより求めることが出来る。その好ましい変化とは、例えば乳酸菌数の増加または大腸菌群数、クロストリジウム属数、バチルス属数の減少などが挙げられる(例えば、光岡知足著、「腸内細菌学」、1990年、朝倉書店、を参照)。また下痢および軟便防止とは、これは実施例6に示すように、糞の形状をその外観から1(正常)、2(やや軟便)、3(軟便)、4(水様)の4段階にスコア評価することで求めることが出来る(Larsonら、J. Dairy Sci., 60, p. 989-991, 1977を参照)。哺乳期および育成期の幼若反芻家畜は下痢等に罹患しやすいため、これら幼若反芻家畜に対する下痢および軟便防止効果は、家畜飼養において重要性が高い。また液性免疫機能の評価は、動物体内に侵入した異物に対する動物の抗体産生能力を測定すればよい。例えば、実施例4に示すように、病原菌ワクチンを投与されたウシの血清と、ワクチンとして用いた病原菌体とを混合し、その凝集反応を観察して病原菌に対する抗体価を測定することにより評価できる。また細胞性免疫機能の評価は、貪食細胞による異物処理能力によって判断できる。例えば実施例3に示すように、ウシの好中球および単球に、蛍光色素で標識した大腸菌を取り込ませ、その蛍光強度を測定することにより評価することができる。液性および細胞性免疫機能の概要については、免疫学に関する一般的な教科書に記載されている(例えば、今西著、免疫学の入門、2004年、金芳堂、を参照)。
【0024】
本発明のCO119株は、上記プロバイオティック効果を有することから、飼料、サプリメント、健康食品、食品、医薬品、整腸剤、下痢治療および/または予防薬、感染症治療および/または予防薬、消化改善剤、発育促進剤、等として利用可能である。また、CO119株は、プロバイオティック効果を有するサイレージ調製用資材または飼料添加物としても利用できる。本発明において「飼料」とは、動物用食品であるCO119株、CO119株の処理物、および、これらを含む製剤を意味する他、CO119株を添加して調製されたサイレージも、本発明の「飼料」に含まれる。
【0025】
本発明のCO119株およびその処理物の投与経路は、上記プロバイオティック効果を発揮できる限り特に問わないが、好ましくは経口投与である。本発明のCO119株または処理物は、公知製剤技術を用いて適当な剤型の製剤とすることができる。該剤形は、投与経路にあわせて適宜選択することができる。経口投与であれば、例えば、丸剤、錠剤、顆粒剤、粉剤、シロップ剤、カプセル剤、液剤、等の中から選択できる。該製剤は、必要に応じ、薬学的に許容される賦形剤、保存料、滑沢剤、着色料、安定化剤、結合剤、崩壊剤、等の添加剤を含むことができる。
【0026】
本発明のCO119株および/またはその処理物は、有効成分として単独で製剤化してもよく、または、乳酸菌と混合して製剤化し、CO119株と乳酸菌を含む一つの製剤としてもよい。あるいは、CO119株および/またはその処理物と乳酸菌とを別個に製剤化して組み合わせ、同時に使用可能なキットとして製品化することもできる。
【0027】
本発明のCO119株および/またはその処理物、および乳酸菌の投与量は、投与する動物個体の種類、年齢、体重、投与経路等の各種条件を考慮して、適宜調節することができる。乳酸菌数を動物の体重1 kgあたり108から1010個になるように投与することが好ましく、また、CO119菌株を体重1kgあたり106から108個になるように投与することが好ましい。
【実施例】
【0028】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
[実施例1]新規酵母菌株の選抜
栃木県那須塩原市の畜産草地研究所にて採取されたウシの直腸内容物10 gを無菌的にストマッカ用ビニール袋に入れ、滅菌した生理食塩水90 mlを加えて激しく振とうして10倍から100,000倍の希釈液を作成した。各倍率の希釈液をYM寒天培地(Difco YM Broth(Difco社製))に接種し、30℃で2〜3日間の静置培養を行った。これらの培地から出現した各形状の異なるコロニーを単離して分離株とした。それらの分離株について、菌学的諸性質や生理的・生化学的性質等を調査し、さらにウシに対する菌株給与試験を実施して、酵母菌CO119株を選抜した。
【0029】
本発明の酵母菌CO119株は、以下の菌学的性質を有する。なお、CO119株の菌学的性質に関する試験は、文献1(C. P. Kurtzman and J. W. Fell(ed.),The Yeasts, a Taxonomic Study, 4th revised and enlarged edition, Elsevier, 1997)、文献2(J. A. Barnettら,Yeasts, Characteristics and identification, 3rd edition, Cambridge University Press, 2000)、文献3(厚生労働省監修、食品衛生検査指針微生物編、日本食品衛生協会、2004)の方法に従って遂行した。
(1)形態:楕円(図1)
(2)増殖の形式:出芽
(3)有性胞子形成:なし
(4)炭素源の資化
L-アラビノース:−
D-キシロース:−
D-グルコース:+
D-マンノース:+
D-ガラクトース:−
L-ラムノース:−
L-ソルボース:−
マルトース:−
ラクトース:−
メリビオース:−
セロビオース:−
トレハロース:+
ラフィノース:−
メレジトース:−
白糖:−
α-メチル-D-グルコシド:−
N-アセチルグルコサミン:−
アルブチン:−
エスクリン:−
エリスリトール:−
D-ソルビトール:−
D-グルコン酸塩:−
グリセリン:−
乳酸塩:−
クエン酸塩:−
キシリトール:−
(5)窒素源の資化
硝酸塩:−
尿素:−
L-リジン:−
L-アルギニン:−
L-グルタミン酸:−
上記の菌学的性質はカンジダ属に類似するものであるが、グルコン酸塩、キシリトール、アルギニン、グルタミン酸の資化性が代表的なCandida属の菌株(例えばCandida glabrata(カンジダ・グラブラタ)ATCCMYA-2950株、Candida lusitaniae(カンジダ・ラシタニア)ATCC 34449株、Candida utilis (カンジダ・ユチリス) ATCC 9950株、等)とは異なる。また本発明の新規酵母の28SリボゾームDNAのD1/D2領域の塩基配列を検討したところ、カンジダ属のものと高い相同性を示すことが示された。以上の事から、本発明の新規酵母菌株は、種名までは同定出来ていないもののカンジダ属の一種であると判断し、便宜的にカンジダ・エスピーと表記することとした。
【0030】
[実施例2]培養物の作成
滅菌したYM Broth 液体培地(Difco社製)に酵母菌カンジダ・エスピーCO119株を植え付け、30℃で48時間保温したものを培養物とした。また乳酸菌については、滅菌したMRS Broth液体培地(Difco社製)にラクトバチルス・プランタルム畜草1号株(以下において、「畜産1号株」と称す)を植え付け、30℃で48時間保温したものを培養物とした。これらの培養物には、CO119株は1.4-2.8×108個/ml、畜草1号株は2.7-6.7×109個/mlが含有されていた。
【0031】
[実施例3]菌株投与による体重増加促進、飼料効率改善、腸内細菌叢の改善、細胞性免疫機能向上の各効果
(3−1試験設計)
6ヶ月齢のホルスタイン去勢ウシ8頭を2頭ずつ4試験区に分割した。試験区は菌株を飼料に添加しない区(無添加区)、乳酸菌畜草1号株のみを添加する区(乳酸菌区)、酵母菌CO119株のみを添加する区(酵母区)、畜草1号株とCO119株との両方を添加する区(両菌添加区)とした。実施例2で作成した培養物を、CO119株は9 ml/頭、畜草1号株は100 ml/頭の分量で飼料に添加した。飼料はウシ用市販濃厚飼料と乾草とを乾物比7:3の割合で給与し、1回あたり4週間の菌株添加試験を行った。試験設定はラテン方格法とし、1回の試験が終了する毎に試験区を入れ替え、合計4回の反復試験を行った。
【0032】
ここでいうラテン方格法とは、試験群を複数の組に分割し、試験区を反復して試験を行うことで実験誤差を最小限にすることを目的とした実験計画法である(吉田実、畜産を中心とする実験計画法、1983年、養賢堂、を参照)。ウシは多頭数を確保することが困難であり、また個体間の差異が大きいため、ラテン方格法による試験設計を行った。実施例3におけるラテン方格法の実際を以下の表1に示す。
【0033】
[表1]
(実施例3におけるラテン方格法の実際)

【0034】
(3−2測定項目・方法)
試験期間中に体重および飼料摂取量を測定して、体重増加量および飼料効率を求めた。また直腸内容物を採取して10倍〜100,000倍に希釈し、各種寒天培地に接種してコロニー数を計測し、腸内微生物菌種構成を求めた。また血液を採取し、蛍光色素で標識した大腸菌と混合して37℃、30分間静置して大腸菌を貪食細胞(好中球および単球)に取り込ませ、細胞を洗浄後にその蛍光強度を測定することで異物を細胞内に取り込む能力、つまり細胞性免疫機能を評価した。
【0035】
(3−3)結果
体重増加量は、乳酸菌区および酵母区では無添加区と比較して差がなかったが、両菌添加区で向上した(図2A)。また飼料効率も両菌添加区で向上した(図2B)。また腸内細菌叢の変化では、両菌添加区において腸管内の畜草1号株を除いた乳酸菌数が増加した(図3)。また両菌添加区で好中球および単球の異物取り込みが上昇し、細胞性免疫機能が向上した(図4A、B)。
以上から、本発明の酵母菌CO119株を乳酸菌畜草1号株と同時に飼料添加することにより、体重増加促進、飼料効率改善、腸内細菌叢の改善および細胞性免疫機能向上が認められた。
【0036】
[実施例4]菌株投与による液性免疫機能の向上
(4−1)試験設計
15ヶ月齢のホルスタイン去勢ウシ8頭を4頭ずつ2試験区に分け、無添加区と両菌添加区とを設定した。両菌添加区には実施例2で作成した培養物を、CO119株は9 ml/頭、畜草1号株は100 ml/頭の分量で飼料に添加した。菌添加2週間後に、ウシ用大腸菌ワクチン(商品名ゼンノウ、科学飼料研究所製)を5 ml、全頭に皮下注射した。1ヶ月後に再度、ウシ用大腸菌ワクチンを全頭に皮下注射し、その1ヶ月後に採血して血清を分離した。血清は2倍ずつ段階的に希釈し、そこへワクチンに使用した死菌体の大腸菌を添加して凝集反応を観察し、その時の血清の希釈倍率によりワクチンに対する抗体価を測定した。
【0037】
(4−2)結果
無添加区と比較して、両菌添加区でウシ用大腸菌ワクチンに対する抗体価が上昇した(図5)。以上から、本発明の酵母菌CO119株を乳酸菌畜草1号株と同時に飼料添加することにより、液性免疫機能の向上が観察された。
【0038】
[実施例5]菌株投与による粗飼料消化率の向上
(5−1)試験設計・測定項目・方法
黒毛和種反芻胃より採取した反芻胃液(第一胃液)と人工唾液とを1:4の割合で混合した人工反芻胃液20 mlに、トウモロコシ粉末または乾草粉末を0.2 g加えたものを複数作成した。それらを無添加区、乳酸菌区、酵母区、両菌添加区の4試験区に分け、実施例2で作成した培養物を0.01 mlの分量でそれぞれの試験区に合わせて添加した。それらを39℃で24時間静置培養し、終了後のトウモロコシ粉末および乾草粉末の重量を測定してそれぞれの消化率を算出した。
【0039】
(5−2)結果
乾草粉末の消化率において、乳酸菌区および酵母区は無添加区と比較して差がなかったが、両菌添加区では向上した(図6)。トウモロコシ粉末の消化率は差がなかった。以上から、本発明の酵母菌CO119株を乳酸菌畜草1号株と同時に飼料添加することにより、粗飼料の反芻胃内消化率の向上が認められた。
【0040】
[実施例6]菌株投与による下痢および軟便防止効果
(6−1)試験設計・測定項目・方法
6日齢のホルスタイン哺乳子ウシ8頭を4頭ずつ2試験区に分け、無添加区および両菌添加区を設定した。実施例2で作成した培養物を、CO119株は9 ml/頭、畜草1号株は100 ml/頭の分量で両菌添加区のウシ用ミルクに添加し、4週間飼育した。試験期間中に、糞の形状をその外観から1(正常)、2(やや軟便)、3(軟便)、4(水様)の4段階にスコア評価した数値を糞スコアとして1日3回記録し、下痢の判定を行った。
【0041】
(6−2)結果
無添加区と比較して、両菌添加区で糞スコア数値が低く、下痢の発症が抑制された(図7)。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明により、反芻家畜に対しても有用なプロバイオティック効果を発揮する新規酵母菌株、およびこれらを含有する生菌剤が提供される。その生菌剤は、腸内細菌叢の改善、免疫機能の向上、下痢・軟便の防止の各効果を有することから、幼若および成熟反芻家畜などに投与することでそれらを健全に飼養でき、反芻家畜への抗生物質および抗菌性飼料添加物の使用量削減が可能である。また、その生菌剤は発育促進および粗飼料消化率向上の各効果を有することから、畜産物の品質向上、飼料コストの削減、成長目的で使用される抗菌性飼料添加物の使用量削減が可能となる。
【0043】
また、本発明により、通常の反芻家畜用発酵飼料に上記のプロバイオティック効果を付加する為の添加物が提供される。本発明の酵母菌株を添加した反芻家畜用発酵飼料は、発育促進、腸内細菌叢改善、免疫機能の向上、下痢・軟便の防止の各効果を有する機能性飼料として使用可能であり、国内産飼料の高付加価値化に寄与すると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は、本発明の新規酵母:CO119株の形態を示す写真である。
【図2】A:菌株投与によるウシ体重への影響を示すグラフである。各棒は、菌株を飼料に添加しない区(無添加区)、乳酸菌畜草1号株のみを添加する区(乳酸菌区)、酵母菌CO119株のみを添加する区(酵母区)、畜草1号株とCO119株との両方を添加する区(両菌添加区)の4試験区における、体重増加量(kg)の平均値である。B:菌株投与がウシの飼料効率に及ぼす影響を示す図である。各棒は、無添加区、乳酸菌区、酵母区、両菌添加区の4試験区における、飼料効率((体重増加量kg)÷(飼料摂取量kg))の平均値である。
【図3】菌株投与がウシ腸内環境に及ぼす影響を示すグラフである。各棒は、無添加区、乳酸菌区、酵母区、両菌添加区の4試験区における、直腸内容物中の畜草1号株を除いた乳酸菌数の平均値である。
【図4】菌株投与がウシ細胞性免疫に及ぼす影響を示すグラフである。数値(%)は、菌株を給与する1日前に測定した貪食能(蛍光強度)に対する菌株給与後の蛍光強度の割合を示す。:各棒は、無添加区、乳酸菌区、酵母区、両菌添加区の4試験区における、好中球貪食能の平均値である。B:単球貪食能の平均値である。
【図5】菌株投与がウシ液性免疫に及ぼす影響を示すグラフである。各棒は、無添加区および両菌添加区における、ウシ用大腸菌ワクチンに対する抗体価の平均値である。
【図6】菌株投与による、第一胃内の乾草消失率への影響を示すグラフである。各棒は、無添加区、乳酸菌区、酵母区、両菌添加区の4試験区における、乾草消化率の平均である。
【図7】無添加区および両菌添加区における、糞スコアの平均値を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳酸菌とともに投与することにより前記乳酸菌にプロバイオティック効果を付与する、カンジダ属に属する酵母菌カンジダ・エスピーCO119株(受託番号:NITE P-375)および/またはその処理物。
【請求項2】
前記乳酸菌がサイレージ調製用乳酸菌である、請求項1に記載の酵母菌および/またはその処理物。
【請求項3】
前記サイレージ調製用乳酸菌がエンテロコッカス属乳酸菌またはラクトバチルス属乳酸菌である、請求項2記載の酵母菌および/またはその処理物。
【請求項4】
前記乳酸菌がラクトバチルス・プランタルム畜草1号株(FERM P-18930)である、請求項1から3のいずれかに記載の酵母菌および/またはその処理物。
【請求項5】
乳酸菌共存下においてプロバイオティック効果を発揮し、乳酸菌非共存下においてプロバイオティック効果を発揮しない、カンジダ属に属する酵母菌カンジダ・エスピーCO119株(受託番号:NITE P-375)。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかに記載の酵母菌および/またはその処理物、あるいは請求項5記載の酵母菌を含む、飼料添加剤。
【請求項7】
下記(a)および(b)を組み合わせてなる、プロバイオティック効果を有する飼料添加剤。
(a)請求項1から4のいずれかに記載の酵母菌および/またはその処理物、あるいは請求項5記載の酵母菌
(b)乳酸菌
【請求項8】
請求項1から4のいずれかに記載の酵母菌および/またはその処理物、あるいは請求項5記載の酵母菌を含む、飼料。
【請求項9】
下記(a)および(b)を組み合わせてなる、プロバイオティック効果を有する飼料。
(a)請求項1から4のいずれかに記載の酵母菌および/またはその処理物、あるいは請求項5記載の酵母菌
(b)乳酸菌
【請求項10】
請求項1から4のいずれかに記載の酵母菌および/またはその処理物、あるいは請求項5記載の酵母菌を含む、下痢治療および予防のいずれかまたは両方のための医薬品。
【請求項11】
下記(a)および(b)を組み合わせてなる、請求項10記載の医薬品。
(a)請求項1から4のいずれかに記載の酵母菌および/またはその処理物、あるいは請求項5記載の酵母菌
(b)乳酸菌
【請求項12】
請求項1から4のいずれかに記載の酵母菌および/またはその処理物、あるいは請求項5記載の酵母菌を含む、感染症の治療および予防のいずれかまたは両方のための医薬品。
【請求項13】
下記(a)および(b)を組み合わせてなる、請求項12に記載の医薬品。
(a)請求項1から4のいずれかに記載の酵母菌および/またはその処理物、あるいは請求項5記載の酵母菌
(b)乳酸菌
【請求項14】
請求項1から4のいずれかに記載の酵母菌および/またはその処理物、あるいは請求項5記載の酵母菌を含む、免疫担当細胞活性化剤。
【請求項15】
請求項1から4のいずれかに記載の酵母菌および/またはその処理物、あるいは請求項5記載の酵母菌を含む、消化改善剤。
【請求項16】
請求項1から4のいずれかに記載の酵母菌および/またはその処理物、あるいは請求項5記載の酵母菌を含む、整腸剤。
【請求項17】
請求項1から4のいずれかに記載の酵母菌および/またはその処理物、あるいは請求項5記載の酵母菌を含む、発育促進剤。
【請求項18】
カンジダ・エスピーCO119株(受託番号:NITE P-375)および乳酸菌を含む組成物。
【請求項19】
下記(a)および(b)を、同時にまたは別々に投与することを特徴とする、動物の下痢を治療または予防する方法。
(a)請求項1から4のいずれかに記載の酵母菌および/またはその処理物、あるいは請求項5記載の酵母菌
(b)乳酸菌
【請求項20】
下記(a)および(b)を、同時にまたは別々に投与することを特徴とする、動物の免疫機能を向上させる方法。
(a)請求項1から4のいずれかに記載の酵母菌および/またはその処理物、あるいは請求項5記載の酵母菌
(b)乳酸菌
【請求項21】
下記(a)および(b)を、同時にまたは別々に投与することを特徴とする、動物の感染症を治療および/または予防する方法。
(a)請求項1から4のいずれかに記載の酵母菌および/またはその処理物、あるいは請求項5記載の酵母菌
(b)乳酸菌
【請求項22】
下記(a)および(b)を、同時にまたは別々に投与することを特徴とする、動物の発育を促進する方法。
(a)請求項1から4のいずれかに記載の酵母菌および/またはその処理物、あるいは請求項5記載の酵母菌
(b)乳酸菌
【請求項23】
下記(a)および(b)を、同時にまたは別々に投与することを特徴とする、動物の腸内環境を改善させる方法。
(a)請求項1から4のいずれかに記載の酵母菌および/またはその処理物、あるいは請求項5記載の酵母菌
(b)乳酸菌
【請求項24】
請求項8または9に記載の飼料を投与することを特徴とする、動物の下痢を治療または予防する方法。
【請求項25】
請求項8または9に記載の飼料を投与することを特徴とする、動物の免疫機能を向上させる方法。
【請求項26】
請求項8または9に記載の飼料を投与することを特徴とする、動物の発育を促進する方法。
【請求項27】
請求項8または9に記載の飼料を投与することを特徴とする、動物の腸内環境を改善させる方法。
【請求項28】
請求項8または9に記載の飼料を投与することを特徴とする、動物の感染症を予防および/または治療する方法。
【請求項29】
前記動物がヒト以外の動物である、請求項19から28のいずれかに記載の方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【公開番号】特開2009−44971(P2009−44971A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−211785(P2007−211785)
【出願日】平成19年8月15日(2007.8.15)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度農林水産プロジェクト研究「安全・安心な畜産物生産技術の開発」委託事業産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(501203344)独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 (827)
【Fターム(参考)】