説明

反転可能スリーブを有する、バルーンが先端に付いた内視鏡システム

留置可能装置を殺菌して送給するための多内腔内視鏡システム。前記システムは、遠位部と外側ルーメンを囲む壁を有する外側カテーテルと、前記外側ルーメン内に可動的に配置され内側ルーメンを有する内側カテーテルと、前記内側ルーメン内に可動的に配置され遠位部と近位部を有するバルーン付きカテーテルであって、前記バルーン付きカテーテルの遠位部はバルーンを有する前記先端にバルーンの付いたカテーテルと、前記外側ルーメン内にある留置可能装置と、外側カテーテルの遠位部に付着した第1セクションと前記留置可能装置に対して近位にあるプッシュメカニズムに付着する第2セクションを有し前記外側ルーメン内にある反転可能スリーブとを有するものである。 前記バルーンは、体液が前記外側ルーメンに流入することを防ぐために、シールを提供するために、前記反転可能スリーブに接触するよう拡張できるシステムである。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体にあるオリフィス(孔)を通しておこなわれる経腔的(transluminal)内視鏡外科手術の際に使用される、バルーンが先端(遠位端)に付いた内視鏡装置に関する。本システムは、治療用装置を留置し、細胞サンプルを得るために使用することができる。
【背景技術】
【0002】
内臓壁や血管壁の開口あるいは孔は、自然に起こるものであり、意図的あるいは反意図的に形成される。これらの開口部は、人体の隣接する構造体にアクセスするのに用いられ、当該技術は、一般的に、経腔的処置と言われている。例えば、クルドスコピーは、70年以上前に開発され、盲嚢に開口部を形成することによって、経膣的に腹腔にアクセスすることができる。腹腔へのアクセスによって、医者は、バイオプシーや卵管結紮術などの手術等多様な手段を遂行するとともに、多くの解剖学上の構造体を視覚的に検査することができる。その他の身体上のルーメンを用いて多様な体腔にアクセスする為の多くの経腔的処置も開発されている。その1つの分野が体にあるオリフィスを通して行われる経腔的内視鏡手術(Natural Orifice Trasnluminal Endoscopy Surgery (NOTES))と言われている。口、鼻、耳、肛門或いは、膣などの体にあるオリフィスは、体腔などへのアクセスを提供することができる。消化管の体腔は内視鏡で調べることが多く、最小限の侵入態様で、腹腔その他の体腔へのアクセスを提供するために利用できる。米国特許公報第2008/0132948号は、当該処置を開示しており、それをそっくりそのまま参考までに本明細書にも組み入れるものである。
【0003】
従来の切開手術や腹腔鏡手術と比較すると、経腔的処置は、腹部切開その他の外部切開や、関連合併症の切開を排除することで、低侵襲性とすることができ、術後回復時間を減らし、痛みを緩和し、美容上の外観を改善する。同時に、開口部や体腔に適切な導管、体腔内に導管を通じて操作可能な強固な医療装置、導管の消毒の提供、体腔への送気、開口部への適切な封鎖及び感染予防の維持等、経内腔処理には課題もある。例えば、腹部や腸等の消化管の体壁に開口部が形成されたとき、胃の内容物、腸内物或いは体液が隣の体腔に流入することもありうる。バクテリアを含んだ液体が消化管の外に流れ出ると、好ましくなく、時には、致命的な感染を引き起こすこともありうる。
【0004】
体にあるオリフィスを通して行われる経腔的内視鏡手術(NOTES)処理における課題の1つに、腹膜内への材料の殺菌送給と無菌状態で組織サンプルを得ることである。
【発明の概要】
【0005】
本明細書では、外側カテーテルと、内側カテーテルと、バルーンが先端(遠位端)に付いたバルーン付きカテーテルと、外側ルーメン内にある留置可能装置とを有する多内腔送給システムが提供されている。外側カテーテルは、遠位部と、外側ルーメンを囲む壁を有している。内側カテーテルは、外側ルーメン内に可動的に配置されており、内側ルーメンを有している。バルーン付きカテーテルは、内側ルーメン内に可動的に配置されており、遠位部と近位部を有しており、その遠位端にバルーンを有している。本システムは、また、外側カテーテルの遠位部に付着する第1セクションと留置可能装置の近位にあるプッシュメカニズムに付着する第2セクションを有する外側ルーメン内の反転可能なスリーブを有することもできる。バルーンは、体液が外側ルーメンに流入することを防止するシールを提供するため反転可能なスリーブに接触するよう拡張することができる。
【0006】
本システムは、また、バルーンに対して近位である第1ポジションを有する外側ルーメン内にあり、そこを貫通するルーメンを有するプッシュカテーテルである、プッシュメカニズムを有することもできる。留置可能装置は、動物体に治療を提供する医療装置であってもよい。留置可能装置は、内側カテーテル付近にあってもよく、内側カテーテルは更に、留置可能装置を留置するためのプッシュメカニズムを有する。
【0007】
本明細書には、送給システムが記述されているが、本システムでは、バルーン付きカテーテルの近位部は、内側ルーメン内では、細長いカテーテルシャフトであり、当該バルーン付きバルーンは、膨張時の第1の所定の直径と収縮時の第2の所定の直径を有する。当該バルーン付きカテーテルは、プッシュカテーテルのルーメン内にある内側カテーテルの内側ルーメンと同心である。内側カテーテルとプッシュカテーテルとは、同心でなくてもよい。反転可能スリーブは、生体適合性布あるいは、メッシュ生地からなることもできる。
【0008】
また、本明細書には、本明細書で述べられた多内腔送給システムを用いた送給方法が記述されている。当該方法は、本システムを体内の管腔(endoluminal vessel)に導入してバルーンを目的位置に送り、バルーンを収縮させ、収縮したバルーンを内側カテーテルの内側ルーメン内に動かし、第2セクションが第1セクションに対して遠位になるように反転可能スリーブを操作し、留置可能装置が外側カテーテルに対して遠位になるように、内側カテーテルに関して外側カテーテルを操作することにより当該留置可能な装置を展開留置することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、膨張したバルーンと反転可能スリーブを有する送給システムの一部切欠き斜視図である。
【0010】
【図2】図2は、バルーンを収縮した状態の送給システムの一部切欠き斜視図である。
【0011】
【図3】図3は、ヘルニアメッシュがプッシュカテーテルによって前進され、また、反転可能スリーブが展開された状態を示す側面図である。
【0012】
【図4】図4は、ヘルニアメッシュが留置され、プッシュカテーテルが本システム内に引き込まれている状態を示す一部切欠き斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
「人工器官」という用語は、体の一部あるいは体の一部の機能の代用品あるいは、生理学的システムの機能を高めたり、生理学的システムに機能を加える装置を意味する。
【0014】
「ステント」という用語は、ステントグラフト等、人工器官に剛性、拡張力或いは、支持を提供する装置を意味する。一形態では、ステントは、複数の不連続装置を示すことも可能である。別の形態では、ステントは、1つの装置を示すこともできる。ステントには、広く多様な形態があり、バルーン拡張型或いは自己拡張型であってもよい。一般的には、ステントは、体腔の通常の環状横断面に一致するように十分に拡張するときに、環状の横断面を有する。一実施例では、ステントは、支柱(細長い部分)と当該支柱が互いに斜めの配置にあり、鋭い曲部で連結されているジグザグ構造で調整されている鋭い曲部(曲線のある部分)を有する。波状の形態が本出願では使用されているが、ステントは、正弦曲線あるいは、ジグザグ形態であってもよい。ステント形態の一例がZステント(Z-stent)である。本開示文書で述べられているステントは、グラフトの外側あるいは、グラフトの内側に接着していている、および/または、グラフト材料の2つ以上の層の間に挟まれているものでもよい。
【0015】
多様な生体適合性材料が、ステントやステントの一部の構成に使用できる。例えば、金属および/または合金、医療上適合性のある高分子物質、および/または、生体吸収性高分子あるいは、生体吸収性材料等がある。その中でも、金属および/または合金には、ステンレス鋼、タンタラム、ニチノール、金、銀、タングステン、プラチナ、インコネル、コバルトとクロムの合金及びイリジウム等を含まれ、これらは全て、医療装置の製造に使用される商業上入手可能な金属あるいは合金である。好ましい形態では、ステントは、ニチノール、ステンレス鋼、および/または、コバルトとクロムの合金から構成される。
【0016】
「グラフト或いはグラフト材料」という用語は、一般的に、人工血管あるいは人工器官として作用する管状あるいはチューブ状の部材を意味する。グラフトは、それ自体あるいは構造体の構成要素等の他の構成要素を加えられ、人工体腔器官(endoluminal prosthesis)であってもよい。グラフトは、単一の材料、材料の混合体、織物、薄板、あるいは、2つ以上の材料の混合物からなる。
【0017】
「カテーテル」という用語は、一般的に、バルーンが先端(遠位端)に付いたカテーテル、ガイドカテーテル及び送給カテーテル等の医療装置を意味する。
【0018】
「留置可能装置」という用語は、一般的に、動物体の医療的に治療可能な領域に治療を提供する医療装置を意味する。留置可能装置には、ヘルニアメッシュ、結紮バレル、空腸マグネットあるいはステントグラフトがあるが、それらに限定されない。
【0019】
図1は、腹膜へのバクテリアの導入と殺菌した留置可能装置の汚染のリスクを最小限にする多内腔送給システム10の実施形態を示している。本システムは、およそ同心で、内視鏡のアクセスチャネルにおける場所にとって大きすぎる留置可能装置を収容するカテーテルからなる。本システムは、口やその他の体にあるオリフィスを通じて、消化管に導入することができる。図1は、患者への導入と標的(例えば留置可能な装置が留置される場所)への進入に相応しい最初の形態の多内腔送給システム10を示している。
【0020】
図1に示すように、本システム10は、外側カテーテル24、内側カテーテル20、プッシュカテーテル22、バルーンが先端(遠位端)に付いたカテーテル26及び反転可能スリーブ9を有する。外側カテーテル24は、外側ルーメン5を囲む壁を有する。内側カテーテル20は、外側ルーメン5内に可動的に配置され、少なくとも部分的に、バルーン付きカテーテル26を収容する内側ルーメン7を有する。内側カテーテル20の遠位部は、潜在的に有害なバクテリアの蓄積が内側カテーテル20の外側に集積したり、殺菌した留置可能装置30に接触しないように外側に向かって広がることもできる。(図示せず)
【0021】
反転可能スリーブは、外側ルーメンの遠位部に付着する第1セクション2とプッシュカテーテル22に付着する第2セクション1を有する。図1に示すように、送給装置10が最初の形態である時、反転可能スリーブ9の第1セクション2は、留置可能装置としてのヘルニアメッシュに対して遠位にある。バルーン付きカテーテル26の遠位部は、第1セクション2の近辺で反転可能スリーブ9に接触するバルーン15を有する。バルーン15と反転可能スリーブ9の接触によって提供されるシールによって、バクテリア或いはその他の潜在的な有害物が外側ルーメン5に流入したり、留置可能装置30を汚染することの防止に役立つ。図1に示される実施形態は、拡張可能なバルーン15を有するバルーン付きカテーテル26を有するが、拡張可能な部材を、内側カテーテル20か反転可能スリーブ9に設けることも可能である。拡張可能部材が、外側ルーメン5の汚染を防ぐのに十分なシールを形成するように構成されているかぎりであるが。
【0022】
バルーン付きカテーテルは、多様な様式で製造されている。バルーン付きカテーテル26は、内側カテーテル20の内側ルーメン7内に可動的に配置している近位の細長いカテーテルシャフト16を有している。バルーン付きカテーテル26の遠位部、つまり、事実上のバルーン15は、膨張時(図1)の第1の直径(大径)と、収縮時(図2)の第2の直径(小径)を有する。図1に示すように、膨張したバルーン15は、外側カテーテル24の遠位端で反転可能スリーブ9と接触することにより、血液や他の体液が外側ルーメン5に流入して留置可能装置30及びその他の外側カテーテルの内容物に接触することを防止するようにすることができる。図2は、内側カテーテル20内でバルーン15が収縮して後退したシステムを示す。
【0023】
バルーン付きカテーテル26は、本分野で通常使用される弾力的に拡張できる材料からできている。例えば、バルーン付きカテーテル26は、シリコーン、ラテックス、あるいはその他の通常本分野で使用するのに適した材料からなる。バルーン15は、先細であったり、球根状であったり、円筒形状であってもよい。バルーン付きカテーテル26は、消化管を通して全システム10を導くのに役立つガイドワイヤを有する。バルーン15は、カテーテルを進行させるのに役立つ先端(図示せず)のようなニップルを有することもできる。バルーン付きカテーテル26の別の適切な形態は、米国仮特許出願第61/141,568号に開示されており、その全内容は、本明細書に参考として組み入れられている。
【0024】
上述のように、反転可能スリーブ9は、留置可能装置と外側ルーメンの汚染を防ぐのに役立つ。バルーン15と外側カテーテル24の遠位部の内壁との接合部分は、当該システムが所要の位置に送られるときに、バクテリアが入った体液と接触する可能性がある。反転可能スリーブ9が無ければ、留置可能装置が体腔内への展開留置のために外側カテーテル24の開口縁(遠位端縁)をとって前進されるときに、当該留置可能装置がそのような体液の残っているものと接触する可能性がある。図1に示すように、反転可能スリーブ9はバルーン15と接触し、バルーン15とカテーテル24の内壁の間に存する。反転可能スリーブ9の第1セクションすなわち遠位部2は、外側カテーテル24の遠位部に付着され、反転可能スリーブ9の第2セクションすなわち近位部1は、留置可能装置30に対する近位点でプッシュカテーテル22に付着されている。別の方法では、近位部1は、内側カテーテル20に付着することもできる。例えば、反転可能スリーブ9の近位部1は、留置可能装置30に対して近位にある内側カテーテル20の場所やその周りに配置するプッシュメカニズムに付着することができる。近位部1は、また、付着されないままであってもよい。
【0025】
上記のいかなる形態でも、バクテリアは反転可能スリーブ9の内側に面して側面に接触することになる。留置可能装置30が図3及び図4に示すように展開留置されるときは、反転可能スリーブ9は、当該反転可能スリーブ9の遠位部2が当該反転可能スリーブ9の近位部に対して近位となるようにその位置が反転され、それまでは内側を向いていた当該反転可能スリーブ9の側面は、外側に向くようになる。プッシュカテーテルは、点線22で図3に示されている。その結果、留置可能装置30は、移植されるときは、バクテリアとの接触が回避される。
【0026】
プッシュカテーテル22は、外側ルーメン内にあり、概ね、留置可能装置30と同じ直径を有する。図面に示される留置可能装置は、ヘルニアメッシュ30である。プッシュカテーテル22は、図1における第1ポジションに示されている。この第1ポジションは、バルーン15に対して近位にある。本システム10が人体に挿入されるとき、第1ポジションは、大体、プッシュカテーテル22の最初の位置である。留置可能装置30がまだ送給されていない、すなわち、外側カテーテルから前進されて留置されていないとき、プッシュカテーテル22は、第1ポジション40にあり、バルーン15が、いまだ拡張して外側カテーテル24の壁に接触している。図2は、収縮して内側カテーテルへと後退したバルーン15を示している。図3に示すように、プッシュカテーテル22が前進して留置可能装置30を送給すると、プッシュカテーテル22が第2ポジション45となる。ここで、第2ポジション45は、ヘルニアメッシュ30が完全に外側カテーテルから取り出されるように、バルーン15と外側カテーテル24に対して遠位にある。留置可能装置30が遠位方向にプッシュカテーテル22によって押されるとき、該装置の送給を妨げないように、内側カテーテル20の遠位端は、外側カテーテルの遠位端と並ぶことができる。別のやり方としては、プッシュカテーテル22と内側カテーテル20を固定して、外側カテーテル24を後退させることで、留置可能装置30を送給することもできる。
【0027】
バルーン付きカテーテル26の近位にある細長いシャフト16は、内側カテーテル20の内側ルーメン内に配置される。一旦、送給装置10が患者の標的に進行して、バルーン15が収縮すると、該バルーンは、内側ルーメン内に後退する。内側カテーテル20内にある時、バルーン15とその周りにある体液は、留置可能装置30から離れた状態に維持される。留置可能装置30とバルーン15の間の接触が最小となり、反転可能スリーブ9もあるために、移植するまで、留置可能装置30の無菌状態を維持する。バルーン15により提供されるシールは、バクテリアや有害と思われるその他の微生物が第1の環境から第2の環境へと移動される可能性を最小限にする。本システム10は、結腸を通り抜けて、切り口から腹膜へと行く。本システム10は、双方の環境において、バクテリアの入った体液にさらされるかもしれない。シールは、結腸で見つかるそのようなものが外側ルーメン5へ流入し、腹膜等の第2の環境へ移動されるの防止するのに役立つ。一旦、バルーン15が内側カテーテル20の内側に後退すると、プッシュカテーテル22を遠位に前進して留置可能装置、つまりヘルニアメッシュ30を外側カテーテル24の外に展開することができる。選択的には、外側カテーテル24を、留置可能装置30を留置する為に、後退することもできる。
【0028】
留置可能装置30とプッシュカテーテル22は、外側カテーテル24よりは小さいが、内側カテーテル20よりは大きい直径を有する。ヘルニアメッシュ30は、留置可能装置として、これらの図面に示されているが、その他の装置は、本システムを用いて送給することができる。例えば、送給システム10は、如何なるタイプのガーゼ、大量の液体や粉末、サンプル、回復バックあるいはスリングなどを送給するのにも用いることができる。留置可能装置は、ステントグラフト、結紮バンドあるいは、空腸マグネットであってもよい。留置可能装置は、内視鏡検査で用いられる如何なる装置であってもよいが、大きすぎると、内視鏡の装具に固定できない。留置可能装置は、送給のためのその他の装具を必要としてよい。例えば、ワイヤの作動がステントグラフトの送給に必要とされる場合、プッシュカテーテル内に運ばれてもよい。同様に、アクティベーションライン(activation lines)は、結紮バンドの送給のためにプッシュカテーテル22内に運ぶこともできる。
【0029】
また、本システム10は、米国特許公報第2010/0168612号に開示されているような、送給に役立つガイドワイヤを有していてもよく、当該公報の全内容は本明細書において参考までに組み入れられている。本システムは、また、ジョイスティック操作の調整に適用することもできる。
【0030】
他の実施形態では、プッシュカテーテル22と内側カテーテル20は、単一構造を有している。あるいは、プッシュカテーテル22は、本送給システム10の全てから排除してもよい。後者の形態に関しては、プッシュカテーテル22の機能は、以下に述べるように、内側カテーテル20に配置されるプッシュメカニズムによって取って代わってもよい。
【0031】
この内側カテーテル20は、留置可能装置30の留置に役立つ為にプッシュメカニズムを有していても良い。プッシュメカニズムは、留置可能装置30の近位端に近位的に隣接する内側カテーテル20の直径よりも少し大きい直径を有する隆起部(ridge)であってもよい。当該隆起部は、留置可能装置30を外側ルーメン5から前進させたり、外側カテーテル24が後退するときに留置可能装置を留めておくために用いることができる。隆起部は放射線不透過性であってもよい。バルーンの先端15は、本システム10を配置するのに役立つようにガイドワイヤを有していてもよい。
【0032】
本システムは、バルーンを膨らませて体液を封じ込めると同時に、口、鼻或いは肛門などの体のオリフィスを通じて留置可能装置を送給するのに使用される。口を通じて、本システムは、上部消化管、腹部、十二指腸、及び、小腸にアクセスすることができる。肛門を通じて、本システムは、大腸や小腸を含む結腸にアクセスすることができる。同等の直径を有するシステムは、鼻を通じて静脈洞にアクセスすることができる。身体の他の領域は、腹部、膣、嚢、或いは大腸における内部切開でアクセスし、虫垂切除術、胃の回復術、結紮或いは、バイオプシー等の処置を行うことができる。
【0033】
本システム10は、人間の肛門に導入され、バルーンの先端15が望ましい位置に到達するまで、直腸を通り抜けて、結腸に入り込む。本システムは、経直腸的に、経膣的に、あるいは、経胃的(transgastrically)に導入することができる。バルーンの先端15は、体液が、外側ルーメンに流入し、殺菌した留置可能装置を汚染しないようにシールを提供する。その柔軟性と曲線性のため、バルーン付きカテーテル26は、本システム10が消化管を望ましい位置まで蛇行していくときに、本システム10に対して、組織を損傷することを防ぐ柔軟性のある先端部として作用する。
【0034】
本送給システム10の組成の追加的詳細と留置可能装置を送給する本システムの具体的使用方法は、米国特許公報第2010/0168612号に開示されており、その全内容が本明細書において参考までに組み入れられている。
【0035】
上記の本発明の様々な実施形態は、説明と解説のために表されたものである。まさに開示された実施形態に本発明を限定するものではない。上記の教示から多数の変更やバリエーションが可能である。上記の実施形態は、本発明の原理を最もよく説明する為に選択され記述されたもので、その実際の応用によって、当業者が、多様な実施形態において特に考察された使用に相応しいように様々変更を加えることで本発明を利用できるようにするものである。そのような変更やバリエーションは全て、公正、適法、公平な権限を有する範囲で解釈されるときに、別紙の特許請求の範囲によって決定される本発明の範囲内にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位部と外側ルーメンを囲む壁を有する外側カテーテルと、
前記外側ルーメン内に可動的に配置され、内側ルーメンを有する内側カテーテルと、
前記内側ルーメン内に可動的に配置されており、遠位部と近位部を有しており、前記遠位部がバルーンを有している、バルーンが前記遠位部の先端に取り付けられている、バルーン付きカテーテルと、
前記外側ルーメン内にある留置可能装置と
前記外側ルーメン内に取り外し可能に配置されており、前記外側カテーテルの遠位部に付着する第1セクションと前記留置可能装置の近位に配置されている第2セクションを有する反転可能スリーブであって、留置可能装置の周りに配置されている前記反転可能スリーブと、
を有する多内腔送給システムであって、
前記バルーンが、前記反転可能スリーブと接触して体液が前記外側ルーメンに流入することを防止するシールを形成するために拡張可能である、
多内腔送給システム。
【請求項2】
前記留置可能装置の近位に配置され、留置の際に前記留置可能装置に係合するように構成されたプッシュメカニズムを更に有する、請求項1に記載の送給システム。
【請求項3】
前記プッシュメカニズムが前記外側ルーメン内に可動的に配置され、前記バルーンの近位にある第1ポジションに位置するプッシュカテーテルを有する、請求項2に記載の送給システム。
【請求項4】
前記内側カテーテルと前記外側カテーテルは同心で、前記内側カテーテルは、前記プッシュカテーテルのルーメン内に配置されている、請求項3に記載の送給システム。
【請求項5】
前記内側カテーテルと前記プッシュカテーテルは同心ではない、請求項3に記載の送給システム。
【請求項6】
前記スリーブの前記第2セクションは、前記プッシュカテーテルに付着している、請求項3に記載の送給システム。
【請求項7】
前記プッシュメカニズムは、前記内側カテーテルの周りに配置され、前記バルーンに対して近位に位置している隆起部を有する、請求項2記載の送給システム。
【請求項8】
前記スリーブの前記第2セクションが前記内側カテーテルに付着している、請求項5に記載の送給システム。
【請求項9】
前記留置可能装置は、動物体に対して治療法を提供する医療装置である、請求項1に記載の送給システム。
【請求項10】
前記留置可能装置が前記内側カテーテルの周りに配置されており、前記内側カテーテルは、さらに、前記留置可能装置に係合するためのプッシュメカニズムを有する、請求項1に記載の送給システム。
【請求項11】
前記バルーン付きカテーテルの前記近位部が、前記内側ルーメン内に可動的に配置されている細長いカテーテルであって、前記バルーンが、膨張時には、第1の特定の直径を有し、収縮時には第2の特定の直径を有し、前記第1の特定の直径が前記スリーブのついたシールに十分接触形成できる、請求項1に記載の送給システム。
【請求項12】
前記反転可能スリーブが生体適合性のある布あるいはメッシュ生地からなる、請求項1に記載の送給システム。
【請求項13】
前記プッシュメカニズムは、放射線不透過性マーカーを有する、請求項1に記載の送給システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2013−508079(P2013−508079A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535244(P2012−535244)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/052444
【国際公開番号】WO2011/049795
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(511152957)クック メディカル テクノロジーズ エルエルシー (76)
【氏名又は名称原語表記】COOK MEDICAL TECHNOLOGIES LLC
【Fターム(参考)】