説明

収容容器

【課題】内容物に対して、抗菌性を効率的に付与するための抗菌性ガラスの収容部を備えた収容容器を提供する。
【解決手段】内容物に抗菌性を付与するための抗菌性ガラスの収容部を備えた収容容器であって、当該収容容器の出口または内部に、抗菌性ガラスの収容部を設けるとともに、当該抗菌性ガラスの収容部の一部に、内容物の通液箇所を設ける。そして、収容容器が、内容物の取り出し口を有するキャップを備えるとともに、当該キャップの下方に、抗菌性ガラスの収容部が設けてあることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容容器に関し、特に、内容物に抗菌性を付与するための抗菌性ガラスの収容部を備えた収容容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建材、家電製品(TV、パソコン、携帯電話、ビデオカメラなどを含む)、雑貨、包装用資材等において、抗菌効果を付与するために、所定粒径の抗菌性ガラスを、樹脂中に所定量混入させた抗菌性樹脂組成物が使用されている。
このような抗菌性樹脂組成物として、樹脂中に、銀イオンを溶出する硼ケイ酸抗菌性ガラスを含む合成樹脂成形体が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
より具体的には、かかる合成樹脂成形体は、SiO2、B23、P25の一種もしくは二種以上の網目形成酸化物と、Na2O、K2O、CaO、ZnOの一種もしくは二種以上の網目修飾酸化物とからなるガラス固形物100重量部中に、一価のAgとして、Ag2Oを0.1〜20重量部含有した硼ケイ酸抗菌性ガラスを合成樹脂中に含んで構成されている。そして、当該特許公報の実施例において、SiO2:40モル%、B23:50モル%、Na2O:10モル%からなる混合物100重量部に対して、Ag2Oを2重量部添加した、平均粒径が20μm以下の抗菌性ガラスを合成樹脂中に含んだ抗菌性樹脂組成物が開示されている。
【0003】
また、抗菌性ガラスの用途として、食器洗浄機、食器乾燥機、冷蔵庫、洗濯機、ポット等の電気製品を例示した抗菌性樹脂組成物も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
すなわち、かかる電気製品を構成する成形樹脂中に、平均粒径が20μm以下のZnO:40〜80モル%、SiO2:5〜35モル%、CaO:5〜30モル%からなる抗菌性ガラスや、同じく平均粒径が20μm以下のZnO:54〜60モル%、B23:25〜32モル%、SiO2:7〜12モル%、アルカリ金属酸化物:5〜8モル%からなる抗菌性ガラスを、それぞれ所定量含む抗菌性樹脂組成物である。
【0004】
さらに、抗菌性ガラスの用途として、貯水槽やクーリングタワー等の水処理装置において使用される硝子水処理剤が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
すなわち、最長径が10mm以上のリン酸系ガラスであって、その重量組成比が、(RO+R2O)/P23=0.4〜1.2、R2O/(RO+R23)=0〜10であり(RはCa、Na等)、かつ、初期溶解速度をAとし、末期溶解速度をBとしたときに、B/A≧1/3であるとともに、金属イオンの含有量が0.005〜5重量%である硝子水処理剤である。
【特許文献1】特開平1−313531号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開平2000−3238号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】特公平7−63701号公報(特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1〜2に開示されている抗菌性樹脂組成物は、いずれも抗菌性ガラスを樹脂中に混合添加して構成されていることから、抗菌性ガラスは、樹脂中に浸透してきた水と、接触しないと銀イオンを放出することができない構成であった。
したがって、かかる抗菌性樹脂組成物を用いた場合、電気製品の部品等に対して所定の抗菌性を付与することはできても、化粧容器等の内容物に対して、迅速かつ安定的に抗菌性を付与することは困難であった。
【0006】
また、特許文献3に開示されている硝子水処理剤は、最長径は比較的大きいものの、重量組成比および銀イオンの含有量が厳格に制限されたリン酸系ガラスであって、銀イオンの溶出量が基本的に少ないという問題が見られた。
したがって、特許文献3に開示されている硝子水処理剤は、特許文献1〜2に開示されている抗菌性樹脂組成物と同様に、化粧容器等に用いた場合であっても、迅速に銀イオンを放出させて、化粧容器等の内容物に対してまで抗菌性を付与することは困難であった。
【0007】
一方、化粧容器等の収容容器の出口は、外気と触れやく、かつ、内容物の取り出しの際に、雑菌が侵入しやすいことから、抗菌性を発揮することが強く望まれていた。
さらに、化粧容器等の内部に収容する内容物は、雑菌が繁殖しないように、防腐剤等を比較的多量に含んでおり、安全性や衛生面での問題が生じやすかった。
【0008】
そこで、本発明者らは、鋭意検討した結果、収容容器において、内容物に抗菌性を付与するための抗菌性ガラスの収容部を所定位置に備えるとともに、抗菌性ガラスの収容部に所定の通液箇所(通過孔)を設けることにより、内容物を取り出す際に、抗菌性ガラスと、内容物とが確実に接触して、所定量の銀イオンを迅速かつ安定的に放出できることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は、抗菌性ガラスが、収容容器における内容物に、直接的または間接的に接触して、所定量の銀イオンを迅速かつ長期間にわたって放出し、内容物が多量の防腐剤等を含まない場合であっても、所定の抗菌性を付与することができる収容容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、内容物に抗菌性を付与するための抗菌性ガラスの収容部を備えた収容容器であって、当該収容容器の出口または内部に、抗菌性ガラスの収容部を設けるとともに、当該抗菌性ガラスの収容部の一部に、内容物の通液箇所を設けた収容容器が提供され、上述した問題点を解決することができる。
すなわち、本発明によれば、抗菌性ガラスが、収容容器における内容物に対して、通液箇所を介して、直接的または間接的に接触して、所定量の銀イオンを迅速かつ安定的に放出することができる。また、収容容器内において、内容物は、気液平衡状態にあるため、保存時に、抗菌性ガラスと直接的に接触しない場合であっても、所定量の銀イオンを安定的に放出することができる。
したがって、内容物が防腐剤等を含まない場合であっても、当該内容物に対して、所定の抗菌性を付与することができる。よって、内容物の安全性や衛生面を保持しながら、内容物の長期保存性を得ることができる。
【0010】
また、本発明の収容容器を構成するにあたり、収容容器が、内容物の取り出し口を有するキャップを備えるとともに、当該キャップの下方に、抗菌性ガラスの収容部が設けてあることが好ましい。
このように構成することにより、キャップ付き収容容器における内容量を著しく低下させることなく、抗菌性ガラスの収容部を容易に設けることができる。また、このような位置に抗菌性ガラスの収容部を設けることにより、内容物を取り出す際に、抗菌性ガラスと、内容物とが確実に接触して、所定量の銀イオンを迅速かつ安定的に放出することができる。
【0011】
また、本発明の収容容器を構成するにあたり、キャップに、収容容器の出口に嵌合する第1の嵌合部と、抗菌性ガラスの収容部に嵌合する第2の嵌合部と、を備えることが好ましい。
このように構成することにより、キャップを収容容器に容易かつ強固に取り付けることができるとともに、抗菌性ガラスの収容部を、容易かつ迅速に取り付けることができる。
また、キャップにおける第1の嵌合部と、第2の嵌合部との間に、内容物を滞留させることできるとともに、かかる内容物を取り出す際に、抗菌性ガラスと、内容物とが確実に接触して、所定量の銀イオンを迅速かつ安定的に放出することができる。
【0012】
また、本発明の収容容器を構成するにあたり、抗菌性ガラスの収容部が、円筒状又は袋状であることが好ましい。
このように構成することにより、抗菌性ガラスの収容部の容積の調整が容易になるばかりか、抗菌性ガラスの収容部をキャップ等に対して、容易かつ迅速に取り付けることができる。
【0013】
また、本発明の収容容器を構成するにあたり、抗菌性ガラスが、配合成分として、着色剤を含むことが好ましい。
このように構成することにより、抗菌性ガラスの減り具合から、内容物に対する抗菌性の付与を推定したり、あるいは、抗菌性ガラスの交換時期を目視にて、判断したりすることができる。
なお、かかる抗菌性ガラスの場合、銀イオンの放出性の調整が容易なことから、原材料として、B23を比較的多量に使用することが好ましいものの、製造条件や使用条件によっては、変色しやすい場合がある。しかしながら、抗菌性ガラスが、着色剤として、酸化コバルト等を含むことにより、かかる変色問題を有効に回避することができる。
【0014】
また、本発明の収容容器を構成するにあたり、抗菌性ガラスが、銀イオンを放出するホウ珪酸系ガラスであって、原材料として、B23と、SiO2と、Ag2Oと、アルカリ金属酸化物と、を含むとともに、全体量に対して、B23の添加量を30〜60重量%、SiO2の添加量を30〜60重量%、Ag2Oの添加量を2〜5重量%、およびアルカリ金属酸化物の添加量を5〜10重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、内容物に対する抗菌性ガラスの抗菌性付与について、容易に制御することができる。
【0015】
また、本発明の収容容器を構成するにあたり、銀イオンの溶出量を0.001〜100mg/(g・24Hrs)の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、内容物に対する抗菌性ガラスの抗菌性付与について、容易かつ定量的に制御することができる。
【0016】
また、本発明の収容容器を構成するにあたり、抗菌性ガラスとともに、非抗菌性ガラスを含むことが好ましい。
このように構成することにより、内容物に対する抗菌性ガラスの抗菌性付与について、容易に制御することができる。
また、非抗菌性ガラスを含むことによって、抗菌性ガラスの凝集を有効に防止し、内容物に対する抗菌性ガラスの抗菌性をさらに容易かつ精度良く制御することができる。
【0017】
また、本発明の収容容器を構成するにあたり、抗菌性ガラスの形状を、多面体、球状、平板状、または繊維状とすることが好ましい。
このように構成することにより、内容物に対する抗菌性ガラスの抗菌性付与について、容易に制御することができる。また、抗菌性ガラスの形状を制御することによって、抗菌性ガラスの凝集を有効に防止し、内容物に対する抗菌性ガラスの抗菌性をさらに容易に制御することができる。
【0018】
また、本発明の収容容器を構成するにあたり、収容容器が、ガラス容器であることが好ましい。
このように構成することにより、収容容器の装飾性や機械的強度を向上させることができるとともに、内容物に対する安全性や、保存性についても向上させることができる。
【0019】
また、本発明の収容容器を構成するにあたり、内容物における防腐剤の含有量を、全体量に対して、0.1重量%以下の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、内容物に対する安全性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の実施形態は、図1に示すように、内容物を収容するための主容器14と、内容物に抗菌性を付与するための抗菌性ガラス50の収容部11と、を備えた収容容器1であって、当該主容器14の出口14aまたは内部に、図2あるいは図3に示すような抗菌性ガラス50の収容部11を設けるとともに、当該抗菌性ガラス50の収容部11の一部に、内容物の通液箇所11bを設けることを特徴とする収容容器1である。
以下、収容容器1と、抗菌性ガラス50の収容部11と、に分けて、さらに詳細に説明する。
【0021】
1.収容容器
(1)形態
収容容器1の形態は特に制限されるものではないが、例えば、化粧ビンや薬用ビン等の用途に対応させて、ボトルネック型のガラスビン、矩形状のガラスビン、円筒状のガラスビン、異形のガラスビン、矩形状のガラス箱、円筒状のガラス箱、異形のガラス箱等が挙げられる。
したがって、例えば、図1、図4(a)〜(b)、および図5(a)〜(b)等に示すような収容容器1の構成であることが好ましい。
【0022】
まず、図1は、内容物を収容するための主容器14の外形が、縦長の直方体であって、頭部にねじ部14aを備えるとともに、そのねじ部14aに合致した溝部12aを備えた、ほぼ正方形の蓋部12を備えた収容容器1の構成である。
また、図4(a)は、水平な底部14dを備えた楕円体状の主容器14と、それに適合する蓋部12と、を備えた収容容器である。
かかる収容容器1であれば、基本的に横置きするために、内容物と、抗菌性ガラスと、が直接的に接触しやすくなって、所定量の銀イオンを安定的に放出することができる。
また、図4(b)は、半球状の底部14eを備えた胴部が直方体状の主容器14と、それに適合する蓋部12と、を備えた収容容器1である。
かかる収容容器1であれば、主容器14が、半球状の底部14eを備えていることから、基本的に蓋部12を下にして、縦置きするために、内容物と、抗菌性ガラスと、がさらに直接的に接触しやすくなって、所定量の銀イオンを安定的に放出することができる。
【0023】
また、図5(a)は、胴部が直方体状である二つの主容器14、14´を、それらに適合する蓋部12を挟んで、対向するように設けてある収容容器1である。
かかる収容容器1であれば、縦置きすることにより、二つの主容器14、14´のいずれかは、内容物と、抗菌性ガラスと、直接的に接触するため、所定量の銀イオンを安定的に放出することができる。
そして、一方の収容部14、14´における内容物が消費された場合には、もう一方の主容器14、14´を下方に置くことにより、内容物と、抗菌性ガラスとを、いずれにしても常に接触させることができる。
【0024】
また、図5(b)は、胴部が楕円体状の主容器14と、それに適合する蓋部12と、さらに、主容器14の一部および蓋部12を固定しつつ、下向きに載置するための台座13を設けた収容容器1である。
かかる収容容器1であれば、台座13によって収容容器1が逆立ち状態で載置されるため、内容物と、抗菌性ガラスとが、常に接触して、所定量の銀イオンを安定的に放出することができる。
【0025】
また、収容容器1あるいはその主容器14の形状に関して、外周部に沿って肉厚部を設けたり、あるいは外周部の一部に面取り部を設けたりすることも好ましい。
この理由は、このような収容容器であれば、硬化塗膜を形成し、収容容器の正面から眺めた場合、外周部の肉厚部や面取り部において干渉光が集光し、より鮮明かつ複雑な色を観察することができるためである。
なお、このような収容容器を構成するガラスの種類についても特に制限されるものでなく、ソーダ石灰ガラス、ホウ珪酸ガラス、鉛ガラス、リン酸塩ガラス、アルミノ珪酸塩ガラス等が挙げられる。
【0026】
また、収容容器1あるいはその主容器14を構成する材料として、無色透明ガラスを好適に用いることができるが、着色透明ガラスや着色半透明ガラスを用いることも好ましい。
この理由は、着色透明ガラスや着色半透明ガラスを用いることにより、金属蒸着層による干渉光に由来するレインボーカラーや玉虫色、さらには鱗粉模様等の複雑な色具合に対して、さらにアレンジを加えることができるためである。
【0027】
(2)キャップ
また、収容容器1を構成するにあたり、図2に示すようなキャップ10を設け、当該キャップ10の頂上に、主容器14における内容物の取り出し口10aを設けることが好ましい。
この理由は、このように構成することにより、取り出し口10aから内容物を取り出す際に、抗菌性ガラス50の収容部11における抗菌性ガラスと、内容物とが確実に接触して、所定量の銀イオンを迅速かつ安定的に放出することができるためである。
【0028】
また、かかるキャップ10は、収容容器1の取り出し口14a´の周囲に設けてあるねじ部14aに嵌合する第1の嵌合部10bと、抗菌性ガラス50の収容部11に嵌合する第2の嵌合部10cと、を備えることが好ましい。
この理由は、このように構成することにより、キャップ10を収容容器1あるいはその主容器14に容易に取り付けることができるとともに、抗菌性ガラス50の収容部11についても、第2の嵌合部10cに嵌め込むだけで、容易に取り付けたり、取り外したりすることができるためである。
また、キャップ10における第1の嵌合部10bと、第2の嵌合部10cとの間に、内容物を滞留させることできるとともに、かかる内容物を取り出す際に、抗菌性ガラスと、内容物とが確実に接触して、所定量の銀イオンを迅速かつ安定的に放出することができるためである。
なお、図2に示すように、抗菌性ガラス50の収容部11を取り付けた際に、強固に圧入できるように、抗菌性ガラス50の収容部11に嵌合する第2の嵌合部10cの先端部に、先が細くなるようなテーパ10dを設けることが好ましい。
【0029】
また、キャップ10および抗菌性ガラス50の収容部11の変形例として、図3に示すように、キャップ10にテーパ10dを設けることなく寸胴状として、図示しないものの、抗菌性ガラス50の収容部11の先端部に、先が広がる方向のテーパを設けたり、すべり止めの凹凸を設けたりすることも好ましい。
そして、抗菌性ガラス50の収容部11の底部11cには通液箇所を設けないかわりに、収容部11の円筒部11aの上部に、複数の大きさが異なる横溝状等の通液箇所11bを設けることが好ましい。
この理由は、複数の大きさが異なる横溝状等の通液箇所11bを介して、内容物が侵入しやすくなって、抗菌性ガラス50と接触しやすくなるとともに、収容部11の底部11cに内容物が残留して、抗菌性ガラス50と常に接触することができるためである。
【0030】
2.抗菌性ガラスの収容部
(1)収容部
また、図1〜図3に示すように、内容物に抗菌性を付与するための抗菌性ガラス50の収容部11を備え、当該抗菌性ガラス50の収容部11を収容容器1(その主容器14の出口または内部)に設けることを特徴とする。そして、当該抗菌性ガラス50の収容部11の一部に、内容物の通液箇所11bを設けることを特徴とする。
すなわち、このように構成することにより、抗菌性ガラスが、収容容器1における主容器14に収容された内容物に、直接的または間接的に接触して、所定量の銀イオンを迅速かつ長期間にわたって放出し、内容物が防腐剤等を含まない場合であっても、所定の抗菌性を付与することができるためである。
【0031】
また、収容容器1が、内容物の取り出し口10aを有するキャップ10を備えるとともに、当該キャップ10の下方に、抗菌性ガラス50の収容部11が設けてあることが好ましい。
この理由は、このように構成することにより、キャップ付き収容容器1における内容量を著しく低下させることなく、抗菌性ガラス50の収容部11を設けることができるためである。すなわち、キャップ付き収容容器1において、内容物が100%充填されることは少なく、その空間を利用して、抗菌性ガラス50の収容部11を設けるためである。
【0032】
また、抗菌性ガラス50の収容部11の形状に関して、図1等に示すように円筒状、又は袋状であることが好ましい。
この理由は、このように構成することにより、抗菌性ガラス50の収容部11をキャップ10等に対して、容易に取り付けることができるためである。また、抗菌性ガラス50の収容部11の形状が円筒状、又は袋状であれば、抗菌性ガラス50の収容量についても、容易に調整することができるためである。
さらに、図6(a)に示すように、抗菌性ガラスの収容部11´を長くして、主容器14の長さと等しくするか、あるいは50〜90%の長さとすることが好ましい。すなわち、円筒状の収容部11´とすることが好ましい。
この理由は、円筒状の収容部11´であれば、主容器14に収容された内容物と、常に、接触して、所定量の銀イオンを迅速に放出できるためである。また、円筒状の収容部11´であれば、抗菌性ガラスの収容部の容量を大きくすることができるため、抗菌性ガラスの収容量や大きさを調整して、所定量の銀イオンを長期間にわたって放出することができるためである。
また、図6(b)に示すように、抗菌性ガラスの収容部を長くするとともに、先端部に向かって細くすることが好ましい。すなわち、テーパ円筒状の収容部11´´とすることが好ましい。
この理由は、テーパ円筒状の収容部11´´であれば、このように構成することにより、主容器14の収容された内容物と、常に、接触して、所定量の銀イオンを迅速に放出できるためである。また、先端部に向かって細くなっていることから、抗菌性ガラスの収容部の容量を比較的小さくすることができるため、主容器14の容量の減少を少なくすることができるためである。
【0033】
また、図7(a)に示すように、抗菌性ガラス50の収容部11の変形として、キャップの下方に連結部20を介して、抗菌性ガラス50の収容部11を垂下させることも好ましい。
この理由は、このように構成することにより、主容器14の収容された内容物と、常に、接触して、所定量の銀イオンを迅速に放出できるためである。また、主容器14を揺らすことによって、銀イオンの溶出量を多くすることができるためである。
さらに、図7(b)に示すように、抗菌性ガラス50の収容部11の変形として、抗菌性ガラスからなる繊維状抗菌性ガラス50´、あるいは、抗菌性ガラスで周囲を被覆した繊維状抗菌性ガラス50´を、キャップ10の下方に取り付けて、これらを垂下させることも好ましい。
この理由は、このように構成することにより、主容器14の収容された内容物と、常に、接触して、所定量の銀イオンを迅速に放出できるためである。また、主容器14を揺らすことによって、銀イオンの溶出量を多くすることができるためである。さらに、このような構成であれば、ガラス容器の装飾性も向上させることができるためである。
【0034】
また、本発明の収容容器の形態として、図8に示すように、抗菌性ガラス50の収容部11を、送液チューブ23の下端部に設けたスプレー容器1´とすることも好ましい。
この理由は、このように構成することにより、主容器14´´に収容された内容物の残量が僅かとなった場合であっても、内容物を有効に抗菌することができる一方で、確実に所定量の銀イオンを含んだ内容物を噴射することができるためである。
したがって、かかるスプレー容器1´は、抗菌液を、例えば、衣服等に対して噴射するための抗菌スプレーにおいても、好適に使用することができる。
なお、図8においては、主容器14´´及びその内部のみを断面図として示している。
【0035】
(2)抗菌性ガラス
また、収容部11に収容する抗菌性ガラス50の形状は特に制限されるものではないが、図9(a)〜(f)に示すように、矩形状50a、多角形状50b、円状50c、楕円状50d、異形状50e、および穴あき状50f等であることが好ましい。
この理由は、抗菌性ガラスを、矩形状や穴あき状等にすることにより、所定箇所に載置し、内容物と直接的に接触させた場合であっても、押し流されたり、所定箇所から流出したりするのを効果的に防止することができるためである。
また、抗菌性ガラスが矩形状等であれば、製造時や使用時等に、抗菌性ガラスが隣接して凝集しにくいため、抗菌性ガラスの製造時における大きさや形状の制御や、使用する際の環境条件の制御についてもより容易となるためである。
ただし、最大径(t1)および銀イオンの溶出量の範囲を満足する限り、抗菌性ガラスを多面体、粒状、球状、楕円体、柱状、粉砕体等の任意の形状とすることができる。
【0036】
また、抗菌性ガラスの最大径(t1)を1〜50mmの範囲内の値とすることが好ましい。
ここで、抗菌性ガラスの最大径(t1)とは、例えば、図9(a)〜(f)に示すように、抗菌性ガラスの形状において、最大箇所に線を引いたときの長さを意味する。
この理由は、かかる最大径が1mm未満の値となると、所定箇所に載置し、内容物と直接的に接触させた場合に、押し流されたり、所定箇所から流出しやすくなったり、長期間にわたって、所定濃度の銀イオンを放出することが困難になったり、さらには、保管時に凝集しやすくなったりする場合があるためである。
一方、かかる最大径が50mmを超えると、取り扱いが困難となったり、安定的に製造することが困難になったりするためである。
したがって、抗菌性ガラスの最大径を8〜30mmの範囲内の値とすることがより好ましく、1〜10mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、かかる抗菌性ガラスの最大径(t1)は、抗菌性ガラスが、例えば平板状である場合には、平面方向の最大径となり、球状である場合には、球の直径となる。
【0037】
また、かかる抗菌性ガラスが平板状である場合、抗菌性ガラスの厚さを0.1〜10mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる抗菌性ガラスの厚さが0.1mm未満の値となると、所定濃度の銀イオンを放出することが困難になったり、取り扱いが困難となったり、さらには安定的に製造することが困難になったりする場合があるためである。一方、かかる抗菌性ガラスの厚さが10mmを超えると、逆に取り扱いが困難となったり、安定的に製造したりすることが困難になったりするためである。
したがって、かかる抗菌性ガラスが平板状である場合、抗菌性ガラスの厚さを0.5〜8mmの範囲内の値とすることがより好ましく、1〜5mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、上述した抗菌性ガラスの最大径や厚さは、例えば、光学顕微鏡写真やノギスを用いて容易に測定することができる。
【0038】
また、抗菌性ガラスの種類に関して、以下の組成からなる抗菌性ガラスを使用することが好ましい。すなわち、原材料として、B23と、SiO2と、Ag2Oと、アルカリ金属酸化物と、を含むとともに、全体量に対して、B23の添加量を30〜60重量%、SiO2の添加量を30〜60重量%、Ag2Oの添加量を2〜5重量%、およびアルカリ金属酸化物の添加量を5〜10重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このようなガラス組成からなる抗菌性ガラスであれば、内容物と直接的に接触して、迅速に所定量の銀イオンを放出することができるためである。
【0039】
ここで、B23は、基本的に網目形成酸化物としての機能を果たすが、その他に、本発明においては抗菌性ガラスの透明性改善機能や銀イオンの均一な放出性にも関与する。
また、SiO2は、抗菌性ガラスにおける網目修飾酸化物としての機能を果たすとともに、黄変を防止する機能を果たしている。
また、Ag2Oは、抗菌性ガラスにおける必須構成成分であり、ガラス成分が溶解して、銀イオンを溶出させることにより、優れた抗菌性を長期間発現することができる。
また、アルカリ金属酸化物、例えば、Na2OやK2Oは、基本的に網目修飾酸化物としての機能を果たす一方、抗菌性ガラスの透明性改善機能や溶融温度の調整機能についても発揮することができる。
なお、アルカリ土類金属酸化物、例えば、MgOやCaOをさらに添加することにより、網目修飾酸化物としての機能を果たせる一方、アルカリ金属酸化物と同様に、抗菌性ガラスの透明性改善機能や溶融温度の調整機能についても発揮することができる。
さらに、CeO2やAl23等を別途添加することにより、電子線に対する変色性や透明性、あるいは機械的強度を向上させることもできる。
【0040】
一方、透明性や抗菌性、あるいは分散性に優れることから、Ag2O、ZnO、CaO、B23およびP25を含み、かつ、全体量を100重量%としたときに、Ag2Oの含有量を0.2〜5重量%の範囲内の値、ZnOの含有量を1〜50重量%の範囲内の値、CaOの含有量を0.1〜15重量%の範囲内の値、B23の含有量を0.1〜15重量%の範囲内の値、およびP25の含有量を30〜80重量%の範囲内の値とするとともに、ZnO/CaOの重量比率を1.1〜15の範囲内の値とした抗菌性ガラスも好ましい。
さらに、ZnOを実質的に含まないものの、Ag2O、CaO、B23およびP25を含み、かつ、全体量を100重量%としたときに、Ag2Oの含有量を0.2〜5重量%の範囲内の値、CaOの含有量を15〜50重量%の範囲内の値、B23の含有量を0.1〜15重量%の範囲内の値、およびP25の含有量を30〜80重量%の範囲内の値とするとともに、CaO/Ag2Oの重量比率を5〜15の範囲内の値とした抗菌性ガラスも好ましい。
【0041】
また、抗菌性ガラスにおける銀イオンの溶出量を0.001〜100mgmg/(g・24Hrs)の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる銀イオンの溶出量が0.001mg/(g・24Hrs)未満の値となると、水と直接的に接触させた場合に、迅速に所定濃度の銀イオンを放出することが困難になる場合があるためである。
一方、かかる銀イオンの溶出量が100mg/(g・24Hrs)を超えると、長期間にわたって所定濃度の銀イオンを放出することが困難になったり、取り扱いが困難となったり、あるいは安定的に製造することが困難になったりするためである。
したがって、抗菌性ガラスにおける銀イオンの溶出量を0.05〜50mg/(g・24Hrs)の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜10mg/(g・24Hrs)の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、抗菌性ガラスにおける銀イオンの溶出量は、後述する実施例1に記載の測定方法に準じて、測定することができる。
【0042】
また、収容部に収容する抗菌性ガラスとして、所定濃度の銀イオンを放出する抗菌性ガラスと、銀イオンを放出しない非抗菌性ガラスと、を含む混合抗菌性ガラスを用いることも好ましい。
この理由は、非抗菌性ガラスを含有した混合抗菌性ガラスを用いることによって、抗菌性ガラス同士の凝集を有効に防止し、長期間にわたって、所定の抗菌効果を発揮することができるためである。
また、非抗菌性ガラスを所定量添加することにより、抗菌性ガラスの変色が生じたとしても、目視による外観変化を少なくすることができるためである。
なお、非抗菌性ガラスの添加量を、抗菌性ガラス100重量部に対して、10〜3000重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような非抗菌性ガラスの添加量であれば、混合抗菌性ガラスとしての所定の抗菌性を発現することができるとともに、混合抗菌性ガラス全体の重量を容易に制御することができるためである。
【0043】
また、抗菌性ガラスに、配合成分として、着色剤を添加するとともに、当該着色剤の添加量を、全体量に対して、0.001〜0.5重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このように構成することにより、抗菌性ガラスの減り具合から、内容物に対する抗菌性の付与を推定したり、あるいは、抗菌性ガラスの交換時期を目視にて、判断したりすることができるためである。
また、このように構成することにより、変色しやすいB23を比較的多量に使用した場合であっても、着色剤として、酸化コバルト等を含むことにより、かかる変色問題を有効に回避することができるためである。
なお、着色剤としては、酸化コバルト、酸化銅、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化ネオジウム、酸化エルビウム、及び酸化セリウムからなる群から選択される少なくとも一つの化合物であることが好ましい。そして、特に、特異的に抗菌性ガラスに対して変色防止効果を付与できるとともに、視覚性に優れているため、酸化コバルトを添加して、ブルー抗菌性ガラスとすることが好ましい。
【0044】
(3)被覆部材または添加剤
銀イオンと錯体を形成することが可能な錯体形成化合物、例えば、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、硫化アンモニウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、酢酸アンモニウム、過塩素酸アンモニウム、およびリン酸アンモニウム等の一種単独または二種以上の組合せを添加することが好ましい。
この理由は、このような錯体形成化合物を添加することにより、抗菌性ガラスの変色や、着色を著しく防止することができるためである。
なお、雰囲気が強アルカリ、例えばpH値が10以上であっても、銀イオンと容易に錯体を形成して、着色防止することができることから、錯体形成化合物として、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、およびチオ硫酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも一つの化合物を使用することがより好ましい。
【0045】
また、錯体形成化合物の添加量を、全体量に対して、0.01〜30重量%の範囲内の値とするのが好ましい。
この理由は、かかる錯体形成化合物の添加量が0.01重量%未満となると、変色を有効に防止することが困難となる場合があるためである。一方、かかる錯体形成化合物の添加量が30重量%を超えると、抗菌性ガラスにおける抗菌性が低下したり、均一に混合したりすることが困難となる場合があるためである。
したがって、かかる抗菌性ガラスにおける耐変色性と、抗菌性等とのバランスがより好ましいことから、錯体形成化合物の添加量を、全体量に対して、0.1〜20重量%の範囲内の値とするのがより好ましく、0.5〜10重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0046】
また、被覆部材として、抗菌性ガラスの周囲に無機物および有機物あるいはいずれか一方の粒子を被覆した形態とすることも好ましい。
この理由は、このように構成することにより、銀イオンの溶出速度の制御を容易にし、また、抗菌性ガラスの凝集防止性を良好なものとすることができるためである。
なお、抗菌性ガラスを被覆する粒子としては、酸化チタン、酸化ケイ素、コロイダルシリカ、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化鉛、ホワイトカーボン、アクリル粒子、スチレン粒子、ポリカーボネート粒子等の一種単独または二種以上の組合せが好ましい。
さらに、抗菌性ガラスを粒子により被覆する方法も特に制限されるものでないが、例えば、抗菌性ガラスと、粒子とを均一に混合後、600〜1200℃の温度で加熱してガラスに融着させるか、あるいは、結合剤を介して、固定することが好ましい。
【0047】
また、抗菌性ガラスに対して、酸化防止、あるいは着色化等の目的のために、分散剤としての界面活性剤、ステアリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸ナトリウム、またはシランカップリング剤等、酸化防止剤としてのヒンダードフェノール化合物やヒンダードアミン化合物等、着色剤としての顔料や染料等を添加することが好ましい。
なお、これらの添加剤の添加量は、添加効果等を考慮して定めることが好ましいが、例えば、それぞれ、全体量に対して、0.01〜30重量%の範囲内の値とするのがより好ましい。
【0048】
(4)製造方法
原材料として、B23と、SiO2と、Ag2Oと、アルカリ金属酸化物と、を使用するとともに、全体量に対して、B23の添加量を30〜60重量%、SiO2の添加量を30〜60重量%、Ag2Oの添加量を2〜5重量%、およびアルカリ金属酸化物の添加量を5〜10重量%の範囲内の値となるように、万能混合機を用いて、回転数250rpm、30分の条件で、均一に混合されるまで攪拌した。次いで、溶融炉を用いて、一例として、1280℃、3時間半の条件でガラス原料を加熱して、ガラス融液を作成し、それを冷却するとともに、ボールミルやクラッシャー等で粉砕して、抗菌性ガラスとすることができる。
なお、原材料の種類や配合比率に応じて、溶融炉における加熱条件については、適宜変更することができる。
【実施例】
【0049】
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明する。但し、以下の説明は本発明を例示的に示すものであり、本発明はこれらの記載に制限されるものではない。
【0050】
[実施例1]
1.抗菌性ガラスの製造
(1)溶融工程
全体量を100重量%としたときに、B23の組成比が52重量%、SiO2の組成比が36重量%、Na2Oの組成比が9重量%、Ag2Oの組成比が3重量%となるように、それぞれのガラス原料を、万能混合機を用いて、回転数250rpm、30分の条件で、均一に混合するまで攪拌した。次いで、ガラス溶融炉を用いて、1280℃、3時間半の条件でガラス原料を加熱して、溶融ガラスを作成した。
【0051】
(2)成形工程
ガラス溶融炉から取り出した溶融ガラスを、製造装置の挿入口に導入し、連続的にチョコレートカット可能な平板状の抗菌性ガラス(矩形状小片、最大径(t1):8mm、厚さ(t2):3mm)とした。
それを、ボールミルを用いて、平均粒径が5mmの多面体形状の抗菌性ガラスとした。
【0052】
2.抗菌性ガラスの評価
(1)銀イオン溶出性評価
得られた抗菌性ガラス10gを、100mlの蒸留水(20℃)中に浸漬し、振とう機を用いて24時間振とうした。遠心分離器を用いて銀イオン溶出液を分離後、さらにろ紙(5C)を用いてろ過して、測定試料とした。次いで、測定試料中の銀イオンを、ICP発光分光分析法により測定し、抗菌性ガラスにおける銀イオン溶出量(mg/(g・24Hrs))を算出した。
【0053】
(2)抗菌性評価
得られた抗菌性ガラス1gを、図1に示す形態の収容容器(ガラス容器、容量:300ml)に設けてある収容部に投入した。
その状態で、収容容器(ガラス容器)の主容器に、水道水を200g投入し、その状態で、室温、1月放置したが、水道水は、腐敗することなく、透明状態を保持することを確認した(以下の評価で、◎となる)。
◎:1月以上放置しても、水道水が腐敗しない。
○:2週間以上放置しても、水道水が腐敗しない。
△:1週間以上放置しても、水道水が腐敗しない。
×:1週間未満で、水道水が腐敗する。
【0054】
[実施例2〜5]
実施例2〜5では、表1に示すように実施例1で使用したB23およびSiO2の組成比を変えたほかは、実施例1と同様に、それぞれ抗菌性ガラスを作成して、評価した。
【0055】
[比較例1〜2]
比較例1では、実施例1において抗菌性ガラスを用いなかったほかは、実施例1と同様に評価した。
また、比較例2では、実施例1において得られた抗菌性ガラスのかわりに、防腐剤として、ホルマリンを0.1重量%添加したほかは、実施例1と同様に評価した。
【0056】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の収容容器によれば、内容物に対して抗菌性を効率的に付与するための抗菌性ガラスの収容部を備えるとともに、抗菌性ガラスの収容部の一部に、内容物の通液箇所を設けることにより、内容物に対して、所定量の銀イオンを迅速かつ長期間にわたって放出することができるようになった。
したがって、内容物として、防腐剤を含まない化粧品や飲料水等を収容した場合であっても、長期間にわたって、保存することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】抗菌性ガラスの収容部を備えた収容容器を説明するために供する図である(その1)。
【図2】抗菌性ガラスの収容部を備えたキャップを説明するために供する図である(その1)。
【図3】抗菌性ガラスの収容部を備えたキャップを説明するために供する図である(その2)。
【図4】(a)〜(b)は、抗菌性ガラスの収容部を備えた収容容器を説明するために供する図である(その2)。
【図5】(a)〜(b)は、抗菌性ガラスの収容部を備えた収容容器を説明するために供する図である(その3)。
【図6】(a)〜(b)は、抗菌性ガラスの収容部を説明するために供する図である。
【図7】(a)〜(b)は、抗菌性ガラスの収容部を備えた収容容器を説明するために供する図である(その4)。
【図8】スプレー容器を説明するために供する図である。
【図9】(a)〜(f)は、第1実施形態の抗菌性ガラスの形状を説明するために供する図である。
【符号の説明】
【0059】
1:収容容器(ガラス容器)
1´:スプレー容器
10:キャップ
10a:取り出し口
10b:第1の嵌合部
10c:第2の嵌合部
10d:テーパ部
11:抗菌性ガラスの収容部
11´:円筒状の抗菌性ガラスの収容部
11´´:テーパ円筒状の抗菌性ガラスの収容部
11a:胴部
11b:通液箇所
11c:底部
12:蓋部
12a:溝部
13:台座
14:主容器
14´:別の主容器
14´´:スプレー容器の主容器
14a:ねじ部
14b:胴部
14c:底部
14d:水平底部
14e:半球部
20:連結部
21:噴射部
22:トリガー
23:送液チューブ
24:固定部
50:抗菌性ガラス
50´:繊維状抗菌性ガラス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物に抗菌性を付与するための抗菌性ガラスの収容部を備えた収容容器であって、
当該収容容器の出口または内部に、前記抗菌性ガラスの収容部を設けるとともに、当該抗菌性ガラスの収容部の一部に、前記内容物の通液箇所を設けることを特徴とする収容容器。
【請求項2】
前記収容容器が、前記内容物の取り出し口を有するキャップを備えるとともに、当該キャップの下方に、前記抗菌性ガラスの収容部が設けてあることを特徴とする請求項1に記載の収容容器。
【請求項3】
前記キャップに、前記収容容器の出口に嵌合する第1の嵌合部と、前記抗菌性ガラスの収容部に嵌合する第2の嵌合部と、を備えることを特徴とする請求項2に記載の収容容器。
【請求項4】
前記抗菌性ガラスの収容部が、円筒状又は袋状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の収容容器。
【請求項5】
前記抗菌性ガラスが、配合成分として、着色剤を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の収容容器。
【請求項6】
前記抗菌性ガラスが、銀イオンを放出するホウ珪酸系ガラスであって、原材料として、B23と、SiO2と、Ag2Oと、アルカリ金属酸化物と、を含むとともに、全体量に対して、B23の添加量を30〜60重量%、SiO2の添加量を30〜60重量%、Ag2Oの添加量を2〜5重量%、およびアルカリ金属酸化物の添加量を5〜10重量%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の収容容器。
【請求項7】
前記銀イオンの溶出量を0.001〜100mg/(g・24Hrs)の範囲内の値とすることを特徴とする請求項6に記載の収容容器。
【請求項8】
前記抗菌性ガラスとともに、非抗菌性ガラスを含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の収容容器。
【請求項9】
前記抗菌性ガラスの形状を、多面体、球状、平板状、または繊維状とすることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の収容容器。
【請求項10】
前記収容容器が、ガラス容器であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の収容容器。
【請求項11】
前記内容物における防腐剤の含有量を、全体量に対して、0.1重量%以下の値とすることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の収容容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−87778(P2008−87778A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−267524(P2006−267524)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000162917)興亜硝子株式会社 (19)
【Fターム(参考)】