説明

収容方法及び収容容器

【課題】現像装置から排出される現像剤を収容する収容容器の小型化を図ることである。
【解決手段】トナー及びキャリアからなる現像剤であって、現像装置から排出される現像剤を収容容器30に収容する収容方法。トナー及びキャリアの帯電量を低減する酸化チタンの微粒子100を、現像装置から排出されてくる現像剤に添加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容方法及び収容容器に関し、より特定的には、現像装置から排出される現像剤を収容する収容方法及び収容容器に関する。
【背景技術】
【0002】
2成分現像剤が用いられた画像形成装置において、トリクル現像方式と呼ばれる現像方式が採用され始めている。従来の現像方式では、トナーのみを現像装置に対して補給していたのに対して、トリクル現像方式では、トナー及びキャリアからなる現像剤を現像装置に対して補給し、一定量より多くなった現像剤を排出する。これにより、キャリアの劣化を抑制している。このようなトリクル現像方式が適用された画像形成装置としては、例えば、特許文献1に記載の画像形成装置が知られている。
【0003】
ところで、トリクル現像方式が適用された特許文献1に記載の画像形成装置は、トナー及びキャリアからなる現像剤を現像装置に補給する際に、現像装置から一定量より多くなった現像剤を排出する。そのため、特許文献1に記載の画像形成装置では、現像装置から排出された現像剤を収容するための容器が必要となる。このような容器の存在は、画像形成装置の大型化につながってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−122368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、現像装置から排出される現像剤を収容する収容容器の小型化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る収容方法は、トナー及びキャリアからなる現像剤であって、トリクル現像方式によりトナー画像の形成を行う現像装置から排出される現像剤を収容容器に収容する収容方法であって、前記トナー及び前記キャリアの帯電量を低減する帯電低減剤を、前記現像装置から排出された前記現像剤に添加すること、を特徴とする。
【0007】
本発明の一形態に係る収容容器は、トナー及びキャリアからなる現像剤であって、トリクル現像方式によりトナー画像の形成を行う現像装置から排出される現像剤を収容する収容容器であって、容器本体と、前記トナー及び前記キャリアの帯電量を低減する帯電低減剤であって、前記容器本体内に収容されている帯電低減剤と、を備えていること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、現像装置から排出される現像剤を収容する収容容器の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】画像形成装置の全体構成を示した図である。
【図2】現像装置の断面構造図である。
【図3】現像装置を上方から透視した図である。
【図4】収容容器の外観斜視図である
【図5】収容容器の後ろ側のカバーを外した図である。
【図6】収容容器の断面構造図である。
【図7】カサ比重と帯電量との関係を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態に係る収容方法及び収容容器について説明する。
【0011】
(画像形成装置の構成)
以下に、本発明の一実施形態に係る収容方法及び収容容器が適用された画像形成装置の構成について図面を参照しながら説明する。図1は、画像形成装置1の全体構成を示した図である。以下では、図1の紙面左右方向を左右方向、図1の紙面上下方向を上下方向、図1の紙面垂直方向を前後方向と定義する。
【0012】
画像形成装置1は、電子写真方式によるカラープリンタであって、いわゆるタンデム式で4色(Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:ブラック)の画像を合成するように構成したものである。該画像形成装置1は、スキャナにより読み取った画像データに基づいて、トナー画像を用紙(印刷媒体)Pに形成する機能を有し、図1に示すように、印刷部2、給紙部15、タイミングローラ対19、定着装置20、排紙ローラ対21、排紙トレイ23及び収容容器30を備えている。
【0013】
給紙部15は、用紙Pを1枚ずつ供給する役割を果たし、用紙トレイ16及び給紙ローラ対17を含んでいる。用紙トレイ16には、印刷前の状態の用紙Pが複数枚重ねて載置される。給紙ローラ対17は、用紙トレイ16に載置された用紙Pを1枚ずつ取り出す。タイミングローラ対19は、印刷部2においてトナー画像が用紙Pに2次転写されるように、タイミングを調整しながら用紙Pを搬送する。
【0014】
印刷部2は、給紙部15から供給されてくる用紙Pにトナー画像を形成し、光走査装置6、転写部8(8Y,8M,8C,8K)、中間転写ベルト11、駆動ローラ12、従動ローラ13、2次転写ローラ14、クリーニング装置18及び作像部22(22Y,22M,22C,22K)を含んでいる。また、作像部22(22Y,22M,22C,22K)は、感光体ドラム4(4Y,4M,4C,4K)、帯電器5(5Y,5M,5C,5K)、現像装置7(7Y,7M,7C,7K)及びクリーナー9(9Y,9M,9C,9K)を含んでいる。
【0015】
感光体ドラム4は、円筒状をなしており、図1に示すように、時計回りに回転している。感光体ドラム4は、静電潜像を周面において担持する静電潜像担持体として機能する。帯電器5は、感光体ドラム4の周面を負に帯電させる。光走査装置6は、制御部(図示せず)の制御により、感光体ドラム4の周面に対してビームBY,BM,BC,BKを走査する。ビームBY,BM,BC,BKが照射された部分の電位は、0Vに近づく。これにより、感光体ドラム4の周面には静電潜像が形成される。
【0016】
現像装置7は、非磁性トナー及び磁性キャリアからなる2成分現像剤を用いて感光体ドラム4に静電潜像に従ったトナー画像を形成する。なお、画像形成装置1では、使用頻度の高い現像装置7Kのみ、トリクル現像方式によりトナー画像の形成を行う。そこで、現像装置7Kを例にとって説明する。なお、現像装置7Y,7M,7Cの構成は、現像装置7Kと基本的に同じであるので説明を省略する。図2は、現像装置7Kの断面構造図である。図3は、現像装置7Kを上方から透視した図である。
【0017】
現像装置7Kは、図2及び図3に示すように、本体70K、撹拌スクリュー72K、供給スクリュー74K、現像ローラ76K、ノズル78K(図3参照)及び排出スクリュー80Kを備えている。
【0018】
本体70Kは、図2及び図3に示すように、現像剤、撹拌スクリュー72K、供給スクリュー74K及び現像ローラ76Kを収容している筐体である。本体70Kは、前後方向に延在しており、左右方向に隣り合う撹拌空間Sp1及び供給空間Sp2を有している。撹拌空間Sp1は、本体70Kにおいて供給空間Sp2よりも左側に設けられている。撹拌空間Sp1と供給空間Sp2とは、前後方向の両端において繋がっている。
【0019】
撹拌スクリュー72Kは、撹拌空間Sp1内に設けられ、前後方向に延在している。撹拌スクリュー72Kは、図示しないモータにより回転させられることにより、現像剤を撹拌しながら後ろ側から前側へと搬送する。これにより、トナーが負に帯電し、キャリアが正に帯電する。撹拌スクリュー72Kにより搬送された現像剤は、撹拌空間Sp1の前側の端部から供給空間Sp2に流入する。
【0020】
供給スクリュー74Kは、供給空間Sp2内に設けられ、前後方向に延在している。供給スクリュー74Kは、図示しないモータにより回転させられることにより、現像剤を前側から後ろ側へと搬送する。そして、供給スクリュー74Kにより搬送された現像剤は、供給空間Sp2の後ろ側の端部から撹拌空間Sp1に流入する。よって、現像剤は、撹拌空間Sp1と供給空間Sp2との間を循環している。
【0021】
現像ローラ76Kは、図2に示すように、供給空間Sp2内に設けられ、前後方向に延在している。これにより、現像ローラ76Kは、供給スクリュー74Kと対向している。更に、現像ローラ76Kは、本体70Kから露出しており、感光体ドラム4Kと対向している。現像ローラ76Kは、磁石を内蔵しており、磁力により磁性キャリアを非磁性トナーと共に吸着して、供給スクリュー74Kにより搬送されてきた現像剤を担持する。
【0022】
センサは、本体70Kに取り付けられており、本体70K内の現像剤の量を検出する。制御部(図示せず)は、センサが検出した現像剤の量が所定値よりも少ない場合には、図示しないトナーボトルから本体70Kに現像剤を補給する。
【0023】
また、現像ローラ76Kは、トナーを感光体ドラム4に付与して静電潜像を現像する。具体的には、現像ローラ76Kには、現像バイアスが印加されている。これにより、現像ローラ76Kの周面の電位は、感光体ドラム4Kの周面のビームBKが照射された部分の電位(略0V)よりも低く、かつ、感光体ドラム4Kの周面のビームBKが照射されていない部分の電位よりも高くなる。現像ローラ76Kが担持している現像剤の内の非磁性トナーは、負に帯電しているので、感光体ドラム4Kの周面のビームBKが照射された部分に付着する。これにより、感光体ドラム4Kの周面には負に帯電したトナー画像が形成される。
【0024】
また、本体70Kには、図3に示すように、撹拌空間Sp1の上面に開口H1が設けられている。開口H1からは、図示しないトナーボトルからトナー及びキャリアが供給される。
【0025】
ノズル78Kは、本体70Kの撹拌空間Sp1の前側に設けられており、円筒状をなしている。ノズル78Kの下面には開口H2が設けられている。排出スクリュー80Kは、ノズル78K内に設けられ、前後方向に延在している。排出スクリュー80Kは、図示しないモータにより回転させられることにより、現像剤を後ろ側から前側へと搬送する。排出スクリュー80Kにより搬送された現像剤は、開口H2を介して現像装置7Kから排出される。
【0026】
中間転写ベルト11は、駆動ローラ12と従動ローラ13との間に張り渡されており、感光体ドラム4に現像されたトナー画像が1次転写される。転写部8は、中間転写ベルト11の内周面に対向するように配置されており、1次転写電圧を印加されることにより、感光体ドラム4に形成されたトナー画像を中間転写ベルト11に1次転写する。クリーナー9は、1次転写後に感光体ドラム4の周面に残存しているトナーを回収する役割を果たす。クリーナー9は、図2に示すように、スクリュー90Kを有している。スクリュー90Kは、前後方向に延在しており、回収したトナーを後述する収容容器30に搬送する。
【0027】
駆動ローラ12は、中間転写ベルト駆動部(図1には記載せず)により回転させられることにより、中間転写ベルト11を矢印αの方向に駆動させる。これにより、中間転写ベルト11は、トナー画像を2次転写ローラ14まで搬送する。
【0028】
2次転写ローラ14は、中間転写ベルト11に接触し、ドラム形状をなしている。以下では、中間転写ベルト11と2次転写ローラ14との間の領域をニップ部Nと称す。2次転写ローラ14には、正のバイアス電圧が印加される。これにより、2次転写ローラ14は、ニップ部Nを通過する用紙Pに対して、中間転写ベルト11が担持しているトナー画像を2次転写する。より詳細には、駆動ローラ12は接地電位に保たれている。また、中間転写ベルト11は、駆動ローラ12に接触しているので、接地電位に近い正の電位に保たれている。そして、2次転写ローラ14には、2次転写ローラ14の電位が駆動ローラ12及び中間転写ベルト11の電位よりも高くなるように、正のバイアス電圧が印加されている。トナー画像は、負に帯電しているので、駆動ローラ12と2次転写ローラ14との間に発生している電界によって、中間転写ベルト11から用紙Pに対して転写される。
【0029】
クリーニング装置18は、中間転写ベルト11に接触しているブレードを有しており、用紙Pへのトナー画像の2次転写後に、中間転写ベルト11に残存しているトナーを除去する。
【0030】
トナー画像が2次転写された用紙Pは、定着装置20に搬送される。定着装置20は、用紙Pに対して加熱処理及び加圧処理を施すことにより、トナー画像を用紙Pに定着させる。排紙ローラ対21は、用紙Pを排紙トレイ23に出力する。排紙トレイ23には、印刷済みの用紙Pが載置される。
【0031】
(収容容器の構成)
次に、収容容器30について説明する。収容容器30は、クリーナー9Y,9M,9C,9Kから排出されてくるトナーを収容すると共に、現像装置7Kから排出されてくる現像剤を収容する。以下に、収容容器30の構成について図面を参照しながら説明する。図4は、収容容器30の外観斜視図である。図5は、収容容器30の後ろ側のカバーを外した図である。図6は、収容容器30の断面構造図である。
【0032】
収容容器30は、図1に示すように、現像装置7K及びクリーナー9Y,9M,9C,9Kの前側に設けられており、図4及び図5に示すように、本体60及びスクリュー64,66を備えている。本体60には、収容空間Sp3,Sp4及び開口HY,HM,HC,HK,H3が設けられている。より詳細には、本体60の内部は、図5に示すように、仕切り62により収容空間Sp3,Sp4に区切られている。収容空間Sp4は、本体60の下面近傍に設けられており、収容空間Sp3は、収容空間Sp4よりも上側に設けられている。開口HY,HM,HC,HKは、本体60の後ろ側の面に設けられており、収容空間Sp3とつながっている。開口H3は、本体60の後ろ側の面に設けられており、収容空間Sp4とつながっている。
【0033】
ここで、クリーナー9(9Y,9M,9C,9K)はそれぞれ、図6に示すように、ノズル90(90Y,90M,90C,90K)(ノズル90Y,90M,90Cについては図示せず)及び排出スクリュー92(92Y,92M,92C,92K)(排出スクリュー92Y,92M,92Cについては図示せず)を有している。ノズル90は、円筒状をなしており、クリーナー9において前側に延びている。ノズル90の先端の下面には、開口H4が設けられている。そして、ノズル90Y,90M,90C,90Kの先端はそれぞれ、開口HY,HM,HC,HKに挿入されている。
【0034】
排出スクリュー92Kは、ノズル90内に設けられ、前後方向に延在している。排出スクリュー92Kは、図示しないモータにより回転させられることにより、トナーを後ろ側から前側へと搬送する。排出スクリュー92Kにより搬送された現像剤は、開口H4を介してクリーナー9から収容容器30の収容空間Sp3に排出される。
【0035】
また、ノズル78Kの先端は、開口H3に挿入されている。これにより、排出スクリュー80Kにより搬送された現像剤は、開口H2を介して現像装置7Kから収容容器30の収容空間Sp4に排出される。
【0036】
スクリュー64は、本体60の収容空間Sp3内に設けられ、左右方向に延在している。スクリュー64は、収容空間Sp3内に収容されたトナーが固まらないように撹拌すると共に、収容空間Sp3内において偏って収容されないように搬送する役割を果たす。
【0037】
スクリュー66は、本体60の収容空間Sp4内に設けられ、左右方向に延在している。スクリュー66は、収容空間Sp4内に収容された現像剤が固まらないように撹拌すると共に、収容空間Sp4内において偏って収容されないように搬送する役割を果たす。
【0038】
ところで、収容容器30は、本体60の収容空間Sp4内に収容されている酸化チタンの微粒子100を更に備えている。なお、酸化チタンの微粒子100は、収容容器30に現像剤が収容される前の状態において既に本体60の収容空間Sp4に収容されている。以下に、酸化チタンの微粒子100が収容空間Sp4に収容されている理由について説明する。
【0039】
現像剤などの粉体は、粉体を構成する粒子間に空隙が存在しているので、粉体の材料が隙間なく詰め込まれた状態の比重よりも小さなカサ比重を有している。そして、粉体のカサ比重は、空隙の量により影響を受け、空隙率は、粉体の状態によって変動する。キャリアに拘束されずに遊離したトナーが存在する場合には、この遊離したトナーがトナー及びキャリアからなる粒子間の空隙に入り込むので、遊離トナーの多少により空隙率は変化する。
【0040】
遊離トナーの多少は、トナー及びキャリアの帯電量(以下、単に現像剤の帯電量と称す)によって変化する。より詳細には、現像剤の帯電量が相対的に大きい場合には、トナーとキャリアとは強くひきつけあう。そのため、多くのトナーがキャリアの表面に保持され、遊離トナーは少なくトナー及びキャリアからなる粒子間の空隙にはトナーは充填されない。この場合には、空隙率は高いままであり、現像剤のカサ比重は小さくなる。
【0041】
一方、現像剤の帯電量が相対的に小さい場合には、トナーとキャリアとは強くひきつけあわなくなる。そのため、キャリアの表面に保持されるトナーの量が少なくなり、多く存在する遊離トナーは現像剤の粒子間の空隙に充填される。この場合には、空隙率は低くなり、現像剤のカサ比重は大きくなる。
【0042】
以上のように、現像剤のカサ比重は、現像剤の帯電量によって、変動する。そして、現像剤の帯電量を少なくすれば、現像剤のカサ比重が大きくなるので、収容容器30により多くの質量の現像剤を収容することが可能となる。換言すれば、現像剤の帯電量を少なくすれば、収容容器30を小型化できる。
【0043】
現像剤の帯電量は、一般的に、トナー粒子母材の帯電性、キャリア粒子の帯電性、トナー添加粒子の帯電性により所望のレベルに制御される。特に、トナー添加粒子による帯電制御は、トナー粒子母材に必要とされる熱特性等とは独立して行うことができる。そのため、現像剤の最終的な帯電調整手段として用いられることが多い。例えば、負帯電トナーの場合、シリカの微粒子を添加すれば帯電量が増加し、酸化チタンの微粒子100を添加すれば帯電量が減少する。したがって、現像剤に添加するシリカの微粒子及び酸化チタンの微粒子100の種類、量及び比率を調整することにより、現像剤において所望の帯電量を得ることができる。
【0044】
そこで、本願発明者は、収容容器30の収容空間Sp4に酸化チタンの微粒子100を収容させた。酸化チタンの微粒子100は、現像剤の帯電量を低減する帯電低減剤として機能する。そのため、現像装置7Kから排出されてきた現像剤には、収容容器30において酸化チタンが添加される。これにより、現像剤の帯電量が低減され、現像剤のカサ比重が大きくなる。その結果、収容容器30により多くの質量の現像剤を収容することが可能となる。
【0045】
また、収容空間Sp4には、スクリュー66が設けられている。スクリュー66は、現像装置7Kから排出されてきた現像剤と酸化チタンの微粒子100とを撹拌する。これにより、現像剤と酸化チタンとが混合されるようになり、現像剤の帯電量がより効果的に低減される。その結果、現像剤のカサ比重がより大きくなり、収容容器30の小型化がより促進される。
【0046】
(実験)
本願発明者は、収容容器30が奏する効果をより明確にするために、以下に説明する実験を行った。より詳細には、酸化チタンの微粒子100(チタン工業社製小粒径酸化チタン「STT−30S」)を200ppm及び600ppmの質量比で現像剤に対して添加し、帯電量とカサ比重を測定した。カサ比重の測定には、JIS Z−2504に準拠した筒井理化学器械社製カサ比重測定装置を用いた。そして、カサ比重の測定を帯電量ごとに5回行い、5回の測定値の平均をカサ比重とした。また、酸化チタンの微粒子100を添加していない現像剤の帯電量とカサ比重も合わせて測定した。現像剤として、印刷開始直後に排出された現像剤、及び、50000枚印刷後に排出された現像剤を用いた。表1は、現像剤の帯電量とカサ比重とを示した表である。図7は、カサ比重と帯電量との関係を示したグラフであり、表1を用いて作成したグラフである。
【0047】
【表1】

【0048】
表1に示すように、酸化チタンの微粒子100の添加量を多くすれば、現像剤の帯電量が減少し、カサ比重が増加していることが分かる。すなわち、酸化チタンの微粒子100を現像剤に添加することにより、現像剤のカサ比重を増加させることができ、収容容器30により多くの質量の現像剤を収容できることが分かる。
【0049】
また、印刷開始直後に排出された現像剤は、劣化が進行していないため、帯電しやすい。そのため、印刷直後に排出された現像剤のカサ比重は小さい。ただし、表1によれば、帯電しやすい印刷開始直後に排出された現像剤であっても、酸化チタンの微粒子100を現像剤に添加することにより、現像剤のカサ比重を増加させることができ、収容容器30により多くの質量の現像剤を収容できることが分かる。
【0050】
また、図7によれば、現像剤の劣化度合いに関係なく、帯電量が決まれば、カサ比重が一義的に決まることが分かる。
【0051】
ここで、50000枚印刷後に排出された現像剤の帯電量が、トリクル現像方式が適用された画像形成装置1において収容容器30に排出される現像剤の平均的な帯電量である。この場合、収容容器30の収容空間Sp4の容量が1000ccであると、収容容器30は、1594gの現像剤を収容することができる。そこで、この現像剤に600ppmの質量比で酸化チタンの微粒子100を添加すれば、収容容器30は、1872gの現像剤を収容できるようになる。すなわち、同じ容量を有する収容容器に比べて収容容器30の交換サイクルを17%伸ばすことができる。あるいは、同じ質量の現像剤を収容する収容容器に比べて体積を17%縮小し、小型化を図ることができる。
【0052】
(その他の実施形態)
なお、本発明に係る収容容器及び収容方法は、前記実施形態に係る収容容器30に限らず、その要旨の範囲内において変更可能である。
【0053】
例えば、酸化チタンの微粒子100は、収容容器30内において添加されるものとした。しかしながら、酸化チタンの微粒子100は、現像装置7Kからの排出後に現像剤に添加されればよい。したがって、収容容器30外において現像剤に酸化チタンの微粒子100が添加されてもよい。
【0054】
また、画像形成装置1は、現像装置7Kのみが現像剤を排出するとしたが、現像装置7Y,7M,7Cも現像剤を排出してもよい。
【0055】
また、帯電低減剤には、酸化チタンの微粒子100以外の物質が用いられてもよい。ただし、酸化チタンの微粒子100は、現像装置7Kが収容している現像剤に含まれている帯電低減剤と同じである。よって、収容容器30では、新たな帯電低減剤を作製する必要がなくなり、収容容器30の製造コストを低減することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上のように、本発明は、収容方法及び収容容器に有用であり、特に、小型化を図ることができる点において優れている。
【符号の説明】
【0057】
Sp3,Sp4 収容空間
7Y,7M,7C,7K 現像装置
30 収容容器
60 本体
62 仕切り
64,66 スクリュー
100 酸化チタンの微粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー及びキャリアからなる現像剤であって、トリクル現像方式によりトナー画像の形成を行う現像装置から排出される現像剤を収容容器に収容する収容方法であって、
前記トナー及び前記キャリアの帯電量を低減する帯電低減剤を、前記現像装置から排出された前記現像剤に添加すること、
を特徴とする収容方法。
【請求項2】
前記帯電低減剤が添加された前記現像剤を前記収容容器内において撹拌すること、
を特徴とする請求項1に記載の収容方法。
【請求項3】
前記帯電低減剤は、予め前記収容容器内に収容されていること、
を特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の収容方法。
【請求項4】
前記帯電低減剤は、前記現像装置が収容している現像剤に含まれている帯電低減剤と同じであること、
を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の収容方法。
【請求項5】
前記帯電低減剤は、酸化チタンの微粒子であること、
を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の収容方法。
【請求項6】
トナー及びキャリアからなる現像剤であって、トリクル現像方式によりトナー画像の形成を行う現像装置から排出される現像剤を収容する収容容器であって、
容器本体と、
前記トナー及び前記キャリアの帯電量を低減する帯電低減剤であって、前記容器本体内に収容されている帯電低減剤と、
を備えていること、
を特徴とする収容容器。
【請求項7】
前記帯電低減剤と前記現像装置から排出されてきた前記現像剤とを撹拌する撹拌手段を、
更に備えていること、
を特徴とする請求項6に記載の収容容器。
【請求項8】
前記帯電低減剤は、前記現像装置が収容している現像剤に含まれている帯電低減剤と同じであること、
を特徴とする請求項6又は請求項7のいずれかに記載の収容容器。
【請求項9】
前記帯電低減剤は、酸化チタンの微粒子であること、
を特徴とする請求項6ないし請求項8のいずれかに記載の収容容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−25224(P2013−25224A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161896(P2011−161896)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】