説明

収容物ほぐし治具およびバケットおよびバケット内収容物ほぐし方法

【課題】環境汚染物質に汚染された金属屑を熱処理して無害化しリサイクルする際に用いるバケットにおいて、その内部の収容物をほぐすための収容物ほぐし治具を提供する。
【解決手段】金属製の箱体16内が複数の仕切り板19aで区画20に分割されたバケット15aにおいて、区画20内の底部18に予め配置し引き上げることでその上部に収容される収容物をほぐすための収容物ほぐし治具1aであって、この収容物ほぐし治具1aは、区画20の底部18に配置される棒状体2と、棒状体2の胴部2aに突設される吊り上げ用アーム部3と、アーム部3の胴部2aに接続されない側の端部に設けられ,収容物ほぐし治具1aを引き上げるための引上げ具6に着脱可能に連結させる掛着具4と、を有することを特徴とする収容物ほぐし治具1aによる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PCB含有絶縁油を使用した配電用柱上変圧器に使用されていた金属屑(例えば、銅線等)を無害化してリサイクルする際に用いる金属屑収容用バケット内の収容物をほぐすための収容物ほぐし治具およびバケットおよびバケット内収容物ほぐし方法に関する。
【背景技術】
【0002】
配電用柱上変圧器は、容器、ボルトやナット、アルミナ、碍子、電線、鉄芯、コイル、紙、オイルダクト(木)、パッキンからなり、有害性・低水溶性・高油溶性・難分解性・残留性・粘着性等の性質を有する有機汚染物質であるPCB(ポリ塩化ビフェニル)を含有した絶縁油が用いられていた。
このような、配電用柱上変圧器を廃棄する場合、容器内からPCB含有絶縁油を抜き取った後、各パーツを分解して、PCB含有絶縁油を洗浄又は熱分解して無害化する必要があった。
特に、コイルを構成する銅線(金属屑)は、裁断されオイルダクト(木)を除去した後、仕切り板により区画された金属製の箱体(バケット)に収容して加熱処理することで有機汚染物質であるPCB含有絶縁油を熱により分解除去する手法が用いられている。
この場合、バケットの利用効率を高めるために、バケット内に金属屑を密に収容すると、熱処理後に十分に除熱してからバケットを反転させるだけでは容易に金属屑を取り出すことができず、金属屑の載せ換え作業に手間取っていた。
上述のような金属屑を熱処理により無害化する際に用いるバケット内に収容された収容物(金属屑)をほぐすための治具や方法に関する従来技術は現時点では発見されていない。ただし、従来現場で実際に行われている方法や、配電用柱上変圧器の銅線を無害化する技術としては以下に示すような技術や発明が知られている。
【0003】
図11は従来のバケットの外観を示す概念図である。なお、バケット15aの内部構造が理解されやすいよう、バケット15aを構成する箱体16の側壁17の一部を切欠いて示している。
従来、PCB等の環境汚染物質が含浸した銅線等の金属屑を無害化する場合、図11に示すような、金属製の箱体16からなり,対向する一の側壁17から他の側壁17をつなぐように取設されて箱体16を短冊状に間仕切って区画20を形成する仕切り板19aを複数枚,底部18から立設して備えたバケット15aを使用していた。
この場合、上述のようなバケット15a内に形成される個々の区画20に図示しない銅線等の金属屑を収容物として収容した後、収容物を収容したバケット15aを熱処理してPCB等の環境汚染物質を熱分解して無害化していた。
なお、バケット15aの箱体16に取設される仕切り板19aは金属製で、バケット15aを収容物ごと熱処理する際に、外部から供給される熱をバケット15aの内部にスムースに伝達して環境汚染物質の熱分解を促進するという作用を有している。
そして、バケット15aの利用効率を高める目的で、バケット15a内に収容物である金属屑(例えば、銅線等)を密に収容すると、熱処理が完了した後にバケット15aを反転させても容易に収容物を取り出すことができないため、その都度、作業員がバケット15a内に入って、破砕機等を用いて各区画20内に収容された金属屑を一区画20ずつ丁寧にほぐす必要があった。
【0004】
特許文献1には「変圧器の巻線処理方法」という名称で、変圧器を解体して取り出した変圧器の巻線処理方法に係り、特に、PCBが絶縁油として用いられている変圧器から取り出した変圧器の巻線処理方法に関する発明が開示されている。
特許文献1に開示される発明は、文献中の符号をそのまま用いて説明すると、変圧器を解体して取り出した巻線を,炭化水素系洗浄剤を用いて洗浄する巻線洗浄工程S1と、巻線洗浄工程S1により洗浄された巻線を破砕する破砕工程S2と、破砕工程S2により巻線を破砕して得られた破砕物を、銅線と非金属類とに選別する選別工程S3と、選別工程S3により選別された銅線を炭化水素系洗浄剤を用いて洗浄する銅線洗浄工程S4とを有することを特徴とするものある。
このような特許文献1に開示される発明によれば、変圧器を解体して取り出した巻線を,炭化水素系洗浄剤を用いて洗浄し、洗浄された巻線を破砕し、巻線を破砕して得られた破砕物を、銅線と非金属類とに選別し、選別された銅線を,炭化水素系洗浄剤を用いて洗浄するので、使用済みの変圧器等を解体して取り出した巻線のPCBを十分に除去することでき、その銅線を再利用可能な状態にすることができる。
【0005】
また、特許文献2には「PCB処理方法」という名称で、現在保管状態にあって強い毒性のあるPCBおよびPCB汚染物を確実に無害化するPCB処理方法に関する発明が開示されている。
特許文献2に開示される発明は、トランスの絶縁油を抜き取ってその内部を粗洗浄し、真空下で加熱を行う。続いてトランスを解体し、紙や木などの有機物、トランスコアおよびこれら以外の金属類を分別する。更に、トランスコアは、切断或いは分解され鉄心と銅コイルに分別される。つぎに、銅コイルの分割破砕を行い有機物である紙或いは木と無機物である銅の分離を行う。そして、解体した紙等と分割破砕した紙片等はスラリー化する。一方、解体した金属類、コアの鉄心および分割破砕した銅片は、超音波洗浄される。そして、油抜きした絶縁油、洗浄廃液およびスラリーを水熱分解する、ことを特徴とするものである。
このような特許文献2に開示される発明によれば、電力用トランス或いはコンデンサなどの電力機器の構成材を分割破砕し、この破砕片からPCBに汚染された金属を他の構成材から分離して取り出し、洗浄剤により洗浄後、当該洗浄剤を水熱分解処理または超臨界水酸化処理するようにした。PCBに汚染された洗浄剤を安全・確実に無害化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−257759号公報
【特許文献2】特開2002−143825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図11に示すようなバケット15aを用いて、環境汚染物質である、例えば、PCB等に汚染された金属屑(例えば、銅線等)を熱処理することで無害化し、リサイクル可能にする場合、収容物(金属屑)を収容したバケット15aを反転させる前に作業員が破砕機を用いて全ての区画20内の収容物(金属屑)のほぐし作業を行う必要があること自体が、バケット15a内への金属屑の載せ換え作業の作業効率を低下させる原因になっていた。
また、作業員によるバケット15a内の金属屑のほぐし作業を行ってからバケット15aを反転させても、バケット15aの区画20の底部18にはなおも金属屑が残ってしまうため、作業員は再度バケット15a内において金属屑のほぐし作業を行わねばならず、作業員にとって大きな負担であるだけでなく、バケット15aへの金属屑の載せ換え時の作業効率を向上し難いという課題があった。
【0008】
特許文献1及び特許文献2に開示される発明はいずれも、同じ技術分野に属する発明ではあるが、PCB等の環境汚染物質に汚染された銅線を熱処理により無害化するという技術ではないため、図11に示すようなバケット15a内の金属屑を効率よくほぐすための治具やその方法に関しては、何ら開示されていない。
【0009】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、PCB等の環境汚染物質に汚染された金属屑(例えば、銅線等)を熱処理により無害化する目的でバケット内に収容物として収容した際に、熱処理完了後にバケット内に収容される収容物(金属屑)のほぐし作業を容易にすることができる収容物ほぐし治具およびバケットおよびバケット内収容物ほぐし方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため請求項1記載の発明である収容物ほぐし治具は、金属製の箱体内が複数の仕切り板で区画に分割されたバケットにおいて、区画内の底部に予め配置し引き上げることでその上部に収容される収容物をほぐすための収容物ほぐし治具であって、この収容物ほぐし治具は、区画の底部に配置される棒状体と、棒状体の胴部に突設される吊り上げ用アーム部と、アーム部の胴部に接続されない側の端部に設けられ,収容物ほぐし治具を引き上げるための引上げ具に着脱可能に連結させる掛着具と、を有することを特徴とするものである。
上記構成の発明において、棒状体はバケットの区画内の底部に配置されることで、棒状体が鉛直上向きに引き上げられる際に、棒状体の側面上に堆積した収容物である金属屑(例えば、銅線等)の絡まりや重なりをほぐすという作用を有する。また、この時、棒状体は仕切り板と収容物との密着状態を解除して、バケットから収容物の取り出しを容易にするという作用を有する。
また、アーム部は、バケットの区画内の底に配置された棒状体を外力により鉛直上方側に引上げさせるという作用を有する。
さらに、アーム部に設けられる掛着具は、棒状体を鉛直上方側に引上げる際に、引上げ具とアーム部の着脱可能な連結を可能にするという作用を有する。
【0011】
請求項2記載の発明である収容物ほぐし治具は、金属製の箱体内が複数の仕切り板で区画に分割されたバケットにおいて、区画内の底部に予め配置し引き上げることでその上部に収容される収容物をほぐすための収容物ほぐし治具であって、この収容物ほぐし治具は、区画の底部に互いに平行に配置される複数の棒状体と、複数の棒状体の胴部に突設される吊り上げ用アーム部と、アーム部のうち、少なくとも一対のアーム部の胴部に接続されない側の端部を一体に連結する連結部と、連結部又はアーム部の上端部に設けられ,収容物ほぐし治具を引き上げるための引上げ具に着脱可能に連結させる掛着具と、を有することを特徴とするものである。
上記構成の発明において、棒状体及びアーム部及び掛着具は、請求項1記載の発明における棒状体及びアーム部及び掛着具と同じ作用を有する。
また、請求項2記載の発明において連結部は、アーム部のうち、少なくとも一対のアーム部の胴部に接続されない側の端部を一体に連結するという作用を有する。これにより、複数の棒状体を鉛直上側に引上げる際に必要な掛着具の数を少なくするという作用を有する。
【0012】
請求項3記載の発明である収容物ほぐし治具は、金属製の箱体内が複数の仕切り板で区画に分割されたバケットにおいて、区画内の底部に予め配置し引き上げることでその上部に収容される収容物をほぐすための収容物ほぐし治具であって、この収容物ほぐし治具は、区画の底部に互いに平行に配置される複数の棒状体と、複数の棒状体のうち少なくとも一対の端部を一体に連結する連結部と、連結部又は棒状体の胴部に突設される吊り上げ用アーム部と、アーム部の胴部に接続されない側の端部に設けられ,収容物ほぐし治具を引き上げるための引上げ具に着脱可能に連結させる掛着具と、を有することを特徴とするものである。
上記構成の発明において、棒状体及びアーム部及び掛着具は、請求項1記載の発明における棒状体及びアーム部及び掛着具と同じ作用を有する。
また、請求項3記載の発明において連結部は、複数の棒状体のうち少なくとも一対の端部を一体に連結するという作用を有する。これにより、複数の棒状体を鉛直上側に引上げる際に必要なアーム部の数を少なくするという作用を有する。
【0013】
請求項4記載の発明である収容物ほぐし治具は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の収容物ほぐし治具であって、掛着具は、バケット内に収容物ほぐし治具を収容した際に、仕切り板の上端と同じ位置,又は,仕切り板の上端よりも鉛直上方側に配置されることを特徴とするものである。
上記構成の発明は、請求項1乃至請求項3に記載のそれぞれの発明と同じ作用を有する。
また、先にも述べたが、バケット内に取設される仕切り板は、バケット内に収容される収容物である金属屑を熱処理する際、その上端を収容物上に裸出させておくことで外部の熱をバケットの内部にスムースに伝達するという作用を有している。このため、バケット内に収容物である金属屑を充填する際には、仕切り板の上端が金属屑で埋まらないように配慮されている。
このため、請求項4記載の発明においては、バケット内に収容物ほぐし治具を収容した際に、仕切り板の上端と同じ位置,又は,仕切り板の上端よりも鉛直上方側に掛着具を配置することで、この状態でバケット内に収容物である金属屑を充填した際に、掛着具を収容物上に裸出させた状態にするという作用を有する。
また、特に掛着具及びアーム部及び棒状体を金属により構成することで、請求項4記載の収容物ほぐし治具自体を、バケット内部への熱の伝達手段としても利用可能にするという作用を有する。
【0014】
請求項5記載の発明であるバケットは、収容物を加熱処理するために用いられ、金属製の筐体内が複数の仕切り板で区画に分割されたバケットであって、仕切り板は、請求項3記載の収容物ほぐし治具をバケット内に収容した際に棒状体と連結部により隙間が形成された場合には、その隙間と符合する位置に配設されることを特徴とするものである。
上記構成の発明においては、請求項3記載の収容物ほぐし治具をバケット内に収容した際に、バケット内に取設される仕切り板を、棒状体と連結部により隙間が形成された場合にその隙間と符合する位置に配設することで、棒状体の端部に連結部を備えた収容物ほぐし治具のバケット内への配置(設置)を可能にするという作用を有する。
【0015】
請求項6記載の発明であるバケット内収容物ほぐし方法は、収容物を加熱処理するためのバケットの仕切り板により形成される区画が空の状態において、区画内の底部に請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の収容物ほぐし治具を配置する第1の工程と、この第1の工程の後に、区画内に収容物を充填する第2の工程と、この第2の工程の後に、収容物ほぐし棒及び収容物を収容したバケットを熱処理する第3の工程と、この第3の工程の後に、加熱処理済みバケットを除熱した後、掛着具に引上げ具を掛着させて収容物ほぐし棒を鉛直上方に引き上げて区画内に収容される収容物をほぐす第4の工程と、を有することを特徴とするものである。
上記構成の発明において、第1の工程は、収容物を加熱処理するためのバケットの仕切り板により形成される区画が空の状態において、区画内の底部に請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の収容物ほぐし治具を配置するという作用を有する。また、第2の工程は、バケット内の間仕切り板の上端部が収容物で埋まらない程度に区画内に収容物を充填するという作用を有する。さらに、第3の工程は、収容物及び請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の収容物ほぐし治具を同時に熱処理することで、収容物である金属屑(例えば、銅線等)に付着した環境汚染物質(例えば、PCB等)を熱分解して無害化し、金属屑をリサイクル可能にするという作用を有する。そして、最後の第4の工程において、収容物ほぐし棒を鉛直上方に引き上げて区画内に収容される収容物をほぐすことで、バケットを1回のみ反転させることで、バケット内に収容されるほぼすべての収容物(金属屑)の取り出しを可能にするという作用を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1記載の発明によれば、バケット内に収容物ほぐし治具を設置してからその上に収容物である金属屑を堆積させた後、バケット及び収容物及び収容物ほぐし治具を熱処理し、その後、除熱が完了した際に、請求項1記載の収容物ほぐし治具の掛着具に吊上げ具を連結して収容物ほぐし治具を鉛直上方に一つずつ引上げることで、バケットの各区画内において棒状体の側面上に密に堆積した無害化処理済みの金属屑(例えば、銅線等)をバケットの底からほぐして取り出し易くすることができるという効果を有する。
この結果、上記ほぐし作業を完了した後に、収容物である金属屑を収容したバケットを1回反転させるだけで、バケット内のほぼ全ての金属屑を取り出すことができる。
これにより、バケットから無害化された金属屑を取り出す際に、従来のように破砕機を用いてバケット内の各区画に収容された金属屑のほぐし作業を2度も行う必要がなくなるので、バケットへの金属屑の載せ換え作業にかかる時間を短縮するとともに、作業員の負担を大幅に軽減することができるという効果を有する。
従って、配電用柱上変圧器に使用され環境汚染物質(例えば、PCB等)により汚染された金属屑(例えば、コイルとして使用されていた銅線等)の無害化処理の作業効率を向上することができるという効果を有する。
【0017】
請求項2記載の発明は、別の言葉で言い換えると、請求項1に記載の収容物ほぐし治具を複数平行に並べて、少なくとも1対のアーム部を連結部により一体に連結させたものである。このため、請求項1記載の発明と同じ効果に加えて、一度の吊上げ作業で、複数本の棒状体を同時に鉛直上方に引上げることができるという効果を有する。
この結果、バケット内に収容される収容物である金属屑のほぐし作業を一層効率的に行うことができるという作用を有する。
また、請求項2記載の発明によれば、複数本の棒状体を同時に吊上げる際に最小限度必要な掛着具の取付け数を少なくすることができるという効果も有する。
【0018】
請求項3記載の発明は、別の言葉で言い換えると、請求項1に記載の収容物ほぐし治具を複数平行に並べて、少なくとも一対の棒状体の端部を連結部により一体に連結させたものである。このため、請求項1記載の発明と同じ効果に加えて、一度の吊上げ作業で、複数本の棒状体を同時に鉛直上方に引上げることができるという効果を有する。
この結果、バケット内に収容される収容物である金属屑のほぐし作業を一層効率的に行うことができるという作用を有する。
また、請求項3記載の発明によれば、複数本の棒状体を同時に吊上げる際に最小限度必要なアーム部及び掛着具の取付け数を少なくすることができるという効果も有する。
【0019】
請求項4記載の発明によれば、バケット内に請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の収容物ほぐし治具を設置した後に、各区画内に収容物である金属屑を収容した場合に、掛着具を収容物上に裸出させておくことができるという効果を有する。
この結果、バケット内の収容物である金属屑の無害化処理を完了した後、バケット内の金属屑(例えば、銅線等)のほぐし作業を行う際に、吊上げ具を掛着具にすぐに連結させることができるので、ほぐし作業を一層効率的に行うことができるという効果を有する。
また、特に請求項4記載の収容物ほぐし治具を全て金属製とすることで、この収容物ほぐし治具自体も、バケットの仕切り板と同様に、熱処理時の伝熱体として利用することができるので、バケット内に収容される収容物である金属屑の無害化処理を一層効率的にかつ確実に行うことができるという効果も有する。
【0020】
請求項5記載の発明によれば、請求項3記載の収容物ほぐし治具を設置することのできるバケットを提供することができるという効果を有する。
【0021】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求項4記載の発明を方法の発明として捉えたものであり、その効果は、請求項1乃至請求項4のそれぞれに記載の発明と同じである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例1に係る収容物ほぐし治具の外観及びその吊り下げ状体を示す概念図である。
【図2】本発明の実施例1に係る収容物ほぐし治具をバケット内に収容した状態を示す概念図である。
【図3】本発明の実施例1に係る収容物ほぐし治具を用いたバケット内収容物のほぐし作業の様子を示す概念図である。
【図4】本発明の実施例1に係る収容物ほぐし治具の第1の変形例の外観を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施例1に係る収容物ほぐし治具の第2の変形例の外観を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施例2に係る収容物ほぐし治具の外観を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施例2に係る収容物ほぐし治具の第1の変形例の外観を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施例2に係る収容物ほぐし治具の第2の変形例の外観を示す斜視図である。
【図9】本発明の実施例2に係る収容物ほぐし治具の第3の変形例の外観を示す斜視図である。
【図10】本発明の実施例2に係るバケット内に実施例2に係る収容物ほぐし治具を収容した状態を示す概念図である。
【図11】従来のバケットの外観を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施の形態に係る収容物ほぐし治具を実施例1及び実施例2として詳細に説明する。
【実施例1】
【0024】
図1は本発明の実施例1に係る収容物ほぐし治具の外観及びその吊り下げ状体を示す概念図である。
図1に示すように、実施例1に係る収容物ほぐし治具1aは、中実又は中空体からなる直線状の棒状体2の胴部2aに、少なくとも1本のアーム部3を備え、棒状体2の胴部2aに連結されない側のアーム部3の端部に、この収容物ほぐし治具1aを吊上げる際に用いる引上げ具6に着脱可能に連結するための掛着具4として、例えば、環状具5を備えたものである。
なお、図1では棒状体2の胴部2aに2本のアーム部3を備える場合を示しているが、このように棒状体2に2本のアーム部3を備えることで、実施例1に係る収容物ほぐし治具1aを鉛直上方に引き上げる際の安定性を高めることができる。
また、図1には掛着具4の一例として、環状具5を取設する場合を図示しているが、環状具5以外にもフックやナス環フック等の様々な掛着具が使用可能である。この場合、引上げ具6における収容物ほぐし治具1aとの連結部分を、アーム部3の端部に取設される掛着具4と着脱可能に連結することができるような掛着具を備えておく必要がある。
【0025】
また、図1に示すように、実施例1に係る収容物ほぐし治具1aを鉛直上方に吊上げるための引上げ具6は、例えば、矩形状で剛性を有する枠体12の対向する1対の側面12a,12bのそれぞれに対をなすように掛着具として、例えば、フック11,11(図1には一側面12aのみ図示)を備え、この掛着具に着脱可能に掛着される別の掛着具9として、例えば、環状具10が取り付けられ、この環状具に十分な耐荷重性を有するワイヤー8又はチェーンを連結し、さらに、その下端部に、実施例1に係る収容物ほぐし治具1aの掛着具4に着脱可能に連結される掛着具として、例えば、フック7を備えたものである。
さらに、このような引上げ具6の枠体12の上面四隅に、引上げ具6を、例えば、掛着具24を別途取設しておき、この掛着具24にワイヤー13又はチェーンを通してクレーン等に設けられる、例えば、フック14により鉛直上方に引き上げればよい。
【0026】
図2は本発明の実施例1に係る収容物ほぐし治具を図11に示すバケット内に収容した状態を示す概念図である。なお、図1及び図11に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図2に示すように、実施例1に係る収容物ほぐし治具1aは、従来のバケット15aにおいて仕切り板19aにより形成される短冊状の個々の区画20の底部18に、棒状体2の胴部2aを横たえるように載置するとともに、棒状体2の胴部2aに突設されるアーム部3,3を仕切り板19aの上端側に向けて配置して使用する。
【0027】
実施例1に係る収容物ほぐし治具1aを使用するバケット15aの構成は、先に図11を参照しながら述べたとおりである。
先にも述べたが、バケット15a内に取設される仕切り板19aは、バケット15aに収容物として金属屑(例えば、銅線等)を充填して熱処理する際に、外部の熱をバケット15aの内部の金属屑に伝達するための伝熱体としても作用するため、仕切り板19aの上端部分を収容物である金属屑の中に埋もれさせることなく、裸出させておく必要がある。
このため、実施例1に係る収容物ほぐし治具1aをバケット15aの区画20内に配置した際に、棒状体2に突設されるアーム部3の端部に設けられる掛着具4を、バケット15a内に取設される仕切り板19aの上端と同じ位置,又は,仕切り板19aの上端よりも鉛直上方側に位置するように設けることで、バケット15a内に収容物として金属屑を充填した際に、収容物ほぐし治具1aの掛着具4についても収容物である金属屑の中に埋もれさせることなく裸出させておくことができる。
この場合、バケット15a内の収容物である金属屑(例えば、銅線等)を熱処理して無害化し除熱した後に、実施例1に係る収容物ほぐし治具1aを用いてバケット15aの各区画20内に収容される金属屑をほぐす際に、引上げ具6の掛着具4への連結を容易にすることができるという効果を有する。
また、バケット15a内に設置された実施例1に係る収容物ほぐし治具1aを金属製とした場合、収容物上に掛着具4を裸出させておくことで、熱処理の際に、収容物ほぐし治具1a自体を伝熱体として用いることもできる。この場合、バケット15a内の収容物である金属屑への熱の伝達を向上して、環境汚染物質の熱分解作用を一層促進にすることができるという効果を有する。
【0028】
ここで、図1乃至図3及び図11を参照しながら、実施例1に係る収容物ほぐし治具1aを用いたバケット内収容物ほぐし方法について説明する。
図3は本発明の実施例1に係る収容物ほぐし治具を用いたバケット内収容物のほぐし作業の様子を示す概念図である。なお、図1、図2及び図11に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
実施例1に係る収容物ほぐし治具1aを用いてバケット15a内に収容される収容物である金属屑をほぐすには、まず、図11に示すような空の状態のバケット15aの各区画20内のそれぞれに1つずつ実施例1に係る収容物ほぐし治具1aを図2に示すように設置し(ステップS1)、この後、各区画20内に収容された棒状体2の胴部2a上に、環境汚染物質(例えば、PCB等)により汚染された収容物である金属屑(例えば、銅線等)を、仕切り板19aの上端部分が埋まらない程度に密に堆積させる(ステップS2)。
このステップS2の後、金属屑を収容したバケット15aを実施例1に係る収容物ほぐし治具1aごと熱処理して、収容物である金属屑の表面に付着した環境汚染物質を熱分解して無害化する(ステップS3)。
このステップS3の後に、バケット15a及びその収容物並びに実施例1に係る収容物ほぐし治具1aを十分に除熱してから、バケット15aの区画20内に収容される個々の収容物ほぐし治具1aの掛着具4に、図1に示すような引上げ具6のフック7を連結し、図3に示すようにクレーン等を用いてゆっくりと実施例1に係る収容物ほぐし治具1aを鉛直上方に引き上げればよい(ステップS4)。
【0029】
このように、実施例1に係る収容物ほぐし治具1aを鉛直上方に引き上げた場合、区画20中において棒状体2の胴部2a上に堆積して仕切り板19aに密着する金属屑をほぐすことができ、つまり、収容物である金属屑と仕切り板19aとの緊密な接触状態を解除することで、バケット15aを1回反転させるだけで、バケット15a内からほぼ全ての無害化された金属屑を取り出すことができるのである。
このように、実施例1に係るバケット内収容物ほぐし方法によれば、従来、バケット15aから金属屑を取り出す際に、最低でも2回バケット15aを反転させる必要があったものを、1回にすることができるので、バケット15aへの金属屑の載せ換え作業にかかる時間を大幅に短縮することができる。
また、従来のようにバケット15aへの金属屑の載せ換え作業の度に、作業員がバケット15a内に入って各区画20内に収容された金属屑を、破砕機等を用いてほぐす必要がないので、作業員の負担も大幅に削減することができる。
この結果、配電用柱上変圧器に使用されたコイル等の無害化処理にかかる作業効率を向上することができるという効果を有する。
なお、図1に示す引上げ具6によれば、枠体12を介して複数の実施例1に係る収容物ほぐし治具1aを同時に吊上げて鉛直上方へ引き上げることができるという効果を有する。
この場合、バケット15a内の収容物である金属屑のほぐし作業を一層迅速に行うことができる。
【0030】
ここで実施例1に係る収容物ほぐし治具1aの変形例について図4及び図5を参照しながら詳細に説明する。変形例に係る収容物ほぐし治具は、複数の実施例1に係る収容物ほぐし治具1aを一体に連結したものであり、その作用・効果は実施例1に係る収容物ほぐし治具1aと同じである。ここでは、実施例1に係る収容物ほぐし治具1aとの相違点に重点をおいて説明する。
図4は本発明の実施例1に係る収容物ほぐし治具の第1の変形例の外観を示す斜視図である。なお、図1乃至図3に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図4に示すように、第1の変形例に係る収容物ほぐし治具1bは、上述の実施例1に係る収容物ほぐし治具1aを複数個互いに平行に並べ、対向する少なくとも1つのアーム部3,3を棒状の連結材21aにより一体に連結し、この一体化されたアーム部3を鉛直上方に引き上げる際に最低限度必要な個数の掛着具4がアーム部3上に取設されるものである。
【0031】
図4では、棒状体2の胴部2aに2本のアーム部3を備えたものを3本平行に配置して、それぞれのアーム部3を連結材21aで連結する場合を例に挙げて説明しているが、例えば、棒状体2の胴部2aの中央にアーム部3を1本のみ取り付けたものを複数個平行に並べて、アーム部3をそれぞれ連結材21aにより連結したものに1箇所だけ掛着具4を取設してもよい。
つまり、クレーン等を用いて引き上げる際に、収容物ほぐし治具1bのそれぞれの棒状体2の胴部2aとバケット15aの底面とが略平行となるように維持することができれば、必ずしも対向しながら対をなす全てのアーム部3を連結材21aで連結しなくともよく、また、1つ以上の掛着具4を設けなくともよい。
ただし、第1の変形例に係る収容物ほぐし治具1bにおいて、その引き上げを容易にする目的で、図4に示す収容物ほぐし治具1bに設けられる6本のアーム部3のうち、四隅に配置される4本のアーム部3の先端にそれぞれ掛着具4を取り付けてもよい。
また、第1の変形例に係る収容物ほぐし治具1bにおける全てのアーム部3の端部に掛着具4を備えた場合には、収容物ほぐし治具1bの引き上げ時に、掛着具4にかかる荷重を分散させることができるので、掛着具4部分の破損を防止して収容物ほぐし治具1bの耐久性を向上することができるという効果を有する。
【0032】
次に、図5を参照しながら実施例1の第2の変形例に係る収容物ほぐし治具について説明する。図5は本発明の実施例1に係る収容物ほぐし治具の第2の変形例の外観を示す斜視図である。なお、図1乃至図4に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図5に示す第2の変形例に係る収容物ほぐし治具1cは、図4に示す第1の変形例に係る収容物ほぐし治具1bと同じ作用・効果を有するものであり、特に掛着具4をアーム部3の上端でなく、連結材21a上に備えたものである。
この場合、収容物ほぐし治具1cの引き上げの際に、掛着具4にかかる負荷をバランスよく分散させることができるという効果が期待できる。
上述のような、実施例1の第1及び第2の変形例に係る収容物ほぐし治具1b,1cによれば、図1に示すような引上げ具6を用いなくとも複数本の棒状体2を同時に鉛直上方に引き上げることができるという効果を有する。
【実施例2】
【0033】
実施例2に係る収容物ほぐし治具及びそのためのバケットについて、図6乃至9を参照しながら詳細に説明する。
実施例2に係る収容物ほぐし治具は、実施例1の第1及び第2の変形例に係る収容物ほぐし治具1b,1cと構造が異なっているが、その作用・効果,並びに,その使用方法は同じである。ここでは、実施例1の第1及び第2の変形例に係る収容物ほぐし治具1b,1cとの構造上の相違点に重点を置いて説明する。
図6は本発明の実施例1に係る収容物ほぐし治具の第3の変形例の外観を示す斜視図である。なお、図1乃至図5に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
実施例2に係る収容物ほぐし治具1dは、図6に示すように、中空又は中実材からなる棒状体2を複数本平行に並べて、これらの棒状体2の少なくとも1対の端部を連結材21bにより連結して棒状体2を一体化し、さらに、連結材21bにより一体化された棒状体2群のうちの少なくとも1本の棒状体2の胴部2aに少なくとも1本のアーム部3を突設し、このアーム部3の棒状体2の胴部2aに接続されない側の端部に掛着具4として、例えば、環状具5を備えたものである。
【0034】
なお、図6には3本の棒状体2の全ての端部を連結材21bにより連結する場合を例に挙げて説明しているが、棒状体2の本数は3本である必要はなく、引上げ具6やクレーンに設けられるフック14の耐荷重に応じてその本数を2本以上の任意の数に設定してよい。
また、複数の棒状体2は、必ずしも、図6に示すようなハシゴ状に連結する必要はなく、一体化された複数本の棒状体2を鉛直上方に引き上げる際に、棒状体2を連結材21bにより一体化させたものが変形したり、破損する恐れがなければ、複数本の棒状体2を、ジグザグ形状をなすよう連結材21bにより連結してもよい。
また、図6には、両脇に配置される2本の棒状体2の胴部2aにそれぞれ2本ずつアーム部3を突設した場合を示しているが、一体化された複数本の棒状体2を、後段において詳細に説明するバケットの底部と略並行な状態を維持しながら鉛直上方に引き上げることができれば、アーム部3は、棒状体2の連結体のどこに設けてもよい。なお、棒状体2の連結体に取設されるアーム部3の取り付け数を多くすることで、実施例2に係る収容物ほぐし治具1dを鉛直上方に引き上げる際の掛着具4にかかる負荷を軽減することができる。
【0035】
図7は本発明の実施例2に係る収容物ほぐし治具の第1の変形例の外観を示す斜視図である。なお、図1乃至図6に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
上述の図6に示す収容物ほぐし治具1dは、一体に連結された複数の棒状体2において両サイドに配置される棒状体2の胴部2aにアーム部3を取設しているのに対して、第1の変形例に係る収容物ほぐし治具1eは、一体に連結された複数の棒状体2において中央に配置される棒状体2の胴部2aに少なくとも1本のアーム部3を取設したものである。
なお、図7においては、一体に連結された複数の棒状体2の配置される棒状体2の胴部2aに2本のアーム部3を突設した場合を例に挙げて説明しているが、後段において詳細に説明するバケットの底面と略並行な状態を維持しながら鉛直上方に引き上げることができれば、棒状体2の胴部2aに突設されるアーム部3は1本のみでもよい。この場合も、実施例2の変形例1に係る収容物ほぐし治具1eに設けられるアーム部3の本数を多くすることで、引上げ具6を用いて収容物ほぐし治具1eを鉛直上方に引き上げる際に掛着具4にかかる負荷を軽減することができる。
【0036】
図8は本発明の実施例2に係る収容物ほぐし治具の第2の変形例の外観を示す斜視図である。なお、図1乃至図7に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
実施例2の変形例に係る収容物ほぐし治具1fは、上述の実施例2に係る収容物ほぐし治具1dや、その第1の変形例に係る収容物ほぐし治具1eが棒状体2の胴部2aにアーム部3を備えるのに対して、アーム部3を連結材21bに備えたものであり、このような収容物ほぐし治具1fの作用・効果は、上述の収容物ほぐし治具1d,1eと同じである。
なお、図8においては、収容物ほぐし治具1fの棒状体2が2本である場合を例に挙げて説明しているが、棒状体2は2本以上でもよくまた、連結材21bによる連結方法は、図8に示すような矩形やハシゴ状に限定される必要はなく、ジグザグ状でもよい。
【0037】
図9は本発明の実施例2に係る収容物ほぐし治具の第3の変形例の外観を示す斜視図である。なお、図1乃至図8に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
実施例2の第3の変形例に係る収容物ほぐし治具1gは、例えば、複数本の棒状体2を互いに平行に並べ、それぞれの胴部2aの略中央部分を互いにつなぐように連結材21aにより連結して一体化し、さらに、この一体化された棒状体2のうちの少なくとも1本の胴部2aに、少なくとも1本のアーム部3を突設し、このアーム部3の上端に掛着具4として、例えば、環状具5を設けたものである。なお、アーム部3は棒状体2の胴部2aでは、連結材21b上に少なくとも2本突設してもよい。いずれの場合も、実施例2の第3の変形例に係る収容物ほぐし治具1gを鉛直上方に引き上げる際に、一体化した棒状体2と、バケットの底面とを略平行な状態に維持することができれま、棒状体2の胴部2a又は連結材21bへのアーム部3の取り付け位置、又は、アーム部3の取り付け本数は自由に変更してよい。
このような実施例2の第3の変形例に係る収容物ほぐし治具1gは、上述の収容物ほぐし治具1d〜1fと同じ作用・効果を有し、かつ、その使用方法も上述の収容物ほぐし治具1d〜1fと同じである。
【0038】
最後に、実施例2に係るバケットについて図10を参照しながら詳細に説明する。
図10は本発明の実施例2に係るバケット内に実施例2に係る収容物ほぐし治具を収容した状態を示す概念図である。なお、図1乃至図8、及び、図11に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
実施例2に係るバケット15bは、上述の実施例2に係る収容物ほぐし治具1d〜1fの使用を可能にするためのバケットであって、図11に示す従来のバケット15aとほぼ同じ構造を有するものであるが、仕切り板19bと側壁17の間に隙間23を備え、かつ、実施例2に係るバケット15b内に実施例2に係る収容物ほぐし治具1d〜1fを設置した際に、仕切り板19bは、収容物ほぐし治具1d〜1fにおける棒状体2及び連結材21bにより形成される空隙22(図6乃至図8を参照)と符合する位置に配設されるものである。
このような、実施例2に係るバケット15bによれば、その内部に複数本の棒状体2が連結材21bにより一体化された収容物ほぐし治具1d〜1fを設置することができるという効果を有する。
また、この場合、実施例2に係るバケット15bに、実施例2に係る収容物ほぐし治具1d〜1f、及び、収容物として金属屑(例えば、銅線等)を収容して加熱処理をした後に、例えば、図1に示すような引上げ具6を用いることで、複数本の棒状体2を同時に鉛直上方に引き上げることができるので、バケット15b内の金属屑のほぐし作業を効率的に行うことができるという効果を有する。
【0039】
なお、実施例2に係る収容物ほぐし治具として、図9に示すような第3の変形例に係る収容物ほぐし治具1gを用いる場合、バケットは、図10に示すものと異なる形態にする必要がある。
具体的には、特に図示しないが図11に示す従来のバケット15aと同じ構造に加えて、その仕切り板19aの長手方向略中央に、実施例2の第3の変形例に係る収容物ほぐし治具における連結材21bの収容を可能にするためのスリットを形成しておく必要がある。
このような実施例2の第3の変形例に係る収容物ほぐし治具1gの使用を可能にするバケット(図示せず)も、棒状体2と連結材21bにより形成される空隙22と符合する位置に仕切り板が配置されるため、実施例2に係るバケット15bと同じ技術的特徴を有すると言える。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上説明したように本発明は、環境汚染物質に汚染された金属屑を熱処理することにより無害化してリサイクルする際に用いるバケット内の収容物をほぐすための収容物ほぐし治具およびバケットおよびバケット内収容物ほぐし方法に関するものであり、PCB含有絶縁油を使用した配電用柱上変圧器のリサイクル処理や、資源のリサイクル技術に関する分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0041】
1a〜1g…収容物ほぐし治具 2…棒状体 2a…胴部 3…アーム部 4…掛着具 5…環状具 6…引上げ具 7…フック 8…ワイヤー 9…掛着具 10…環状具 11…フック 12…枠体 12a,12b…側面 13…ワイヤー 14…フック 15a,15b…バケット 16…箱体 17…側壁 18…底部 19a,19b…仕切り板 20…区画 21a,21b…連結材 22…空隙 23…隙間 24…掛着具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の箱体内が複数の仕切り板で区画に分割されたバケットにおいて、前記区画内の底部に予め配置し引き上げることでその上部に収容される収容物をほぐすための収容物ほぐし治具であって、
この収容物ほぐし治具は、前記区画の底部に配置される棒状体と、前記棒状体の胴部に突設される吊り上げ用アーム部と、前記アーム部の前記胴部に接続されない側の端部に設けられ,前記収容物ほぐし治具を引き上げるための引上げ具に着脱可能に連結させる掛着具と、を有することを特徴とする収容物ほぐし治具。
【請求項2】
金属製の箱体内が複数の仕切り板で区画に分割されたバケットにおいて、前記区画内の底部に予め配置し引き上げることでその上部に収容される収容物をほぐすための収容物ほぐし治具であって、
この収容物ほぐし治具は、前記区画の底部に互いに平行に配置される複数の棒状体と、前記複数の棒状体の胴部に突設される吊り上げ用アーム部と、前記アーム部のうち、少なくとも一対のアーム部の前記胴部に接続されない側の端部を一体に連結する連結部と、前記連結部又は前記アーム部の上端部に設けられ,前記収容物ほぐし治具を引き上げるための引上げ具に着脱可能に連結させる掛着具と、を有することを特徴とする収容物ほぐし治具。
【請求項3】
金属製の箱体内が複数の仕切り板で区画に分割されたバケットにおいて、前記区画内の底部に予め配置し引き上げることでその上部に収容される収容物をほぐすための収容物ほぐし治具であって、
この収容物ほぐし治具は、前記区画の底部に互いに平行に配置される複数の棒状体と、前記複数の棒状体のうち少なくとも一対の端部を一体に連結する連結部と、前記連結部又は前記棒状体の胴部に突設される吊り上げ用アーム部と、前記アーム部の前記胴部に接続されない側の端部に設けられ,前記収容物ほぐし治具を引き上げるための引上げ具に着脱可能に連結させる掛着具と、を有することを特徴とする収容物ほぐし治具。
【請求項4】
前記掛着具は、前記バケット内に前記収容物ほぐし治具を収容した際に、前記仕切り板の上端と同じ位置,又は,前記仕切り板の上端よりも鉛直上方側に配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の収容物ほぐし治具。
【請求項5】
収容物を加熱処理するために用いられ、金属製の筐体内が複数の仕切り板で区画に分割されたバケットであって、
前記仕切り板は、請求項3記載の収容物ほぐし治具を前記バケット内に収容した際に前記棒状体と前記連結部により隙間が形成された場合には、その隙間と符合する位置に配設されることを特徴とするバケット。
【請求項6】
収容物を加熱処理するためのバケットの仕切り板により形成される区画が空の状態において、前記区画内の底部に請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の収容物ほぐし治具を配置する第1の工程と、
この第1の工程の後に、前記区画内に収容物を充填する第2の工程と、
この第2の工程の後に、前記収容物ほぐし棒及び前記収容物を収容した前記バケットを熱処理する第3の工程と、
この第3の工程の後に、加熱処理済み前記バケットを除熱した後、前記掛着具に引上げ具を掛着させて前記収容物ほぐし棒を鉛直上方に引き上げて前記区画内に収容される前記収容物をほぐす第4の工程と、を有することを特徴とするバケット内収容物ほぐし方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−64356(P2011−64356A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−213536(P2009−213536)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】