説明

収容袋

【課題】構造が簡単で製造性に優れ、開口部からの雑菌等の混入を防止できる滅菌収容袋を提供する。
【解決手段】製造後にγ線あるいはEOGにて滅菌された収容袋1の封止部材21の対向突出片23a,23bを反対方向に引っ張ることによって、袋体11の開口部2に触れずに開口できる。開口部2から検体を収容させてから対向突出片23a,23bを反対方向に引っ張って開口部2を閉じた状態で、封止部材21を軸として袋体11の上端側を連続して折り曲げた後に対向突出片23a,23bを内側に折り曲げることによって、開口部2を封止できる。開口部2を開口させる際の引張片、および開口部2を封止する際の止め具として対向突出片23a,23bを兼用できる。引張片と止め具とを別個に設ける場合に比べ、構造を簡単にでき、製造性を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は検体を採取して保存するための収容袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検体を採取して保存するためのサンプリングバックとしては、例えば、下記特許文献1に記載のように、内部が滅菌された袋体の上端側のミシン目に沿って袋体の上端部を切り取ることによって、この袋体の上端側に開口部が形成され、この開口部から検体を袋体の内部に入れた後に開口部を閉じ、この状態で、開口部の下側に取り付けられているワイヤを軸として袋体の上端側を下端側に向けて数回折り曲げてから、袋体の両側部から外側に突出しているワイヤの両端部を内側に折り曲げることによって、この袋体の開口部が封止されるものなどが知られている。
【0003】
ところが、この特許文献1にかかる従来技術によれば、ミシン目に沿って袋体の上端部を切り取って開口部を形成した状態で、この開口部を大きく開口させるためには、開口部の周縁に指等を掛けて外側に引く等する必要がある。このため、開口部の周縁に触れた指等から、滅菌された袋体の内部に雑菌等が入り込んでしまうおそれがある。
【0004】
そこで、例えば、下記特許文献2に記載のように、袋体の両側面に開口部に沿って取り付けられているワイヤの長手方向の中央部に別体のプルタブを取り付けて、袋体の上端部をミシン目に沿って切り取って開口部を形成した状態で、プルタブを摘んで外側に引っ張ることによって、開口部を大きく開口できるものなどが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第2973131号明細書
【特許文献2】米国特許第5180229号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献2にかかる従来技術によれば、袋体の開口部を大きく開口させる際の袋体内への雑菌等の混入を防止するためのプルタブが、袋体の両側面の中央部においてワイヤと別体に取り付けられているため、このプルタブを設けるために新たな部材が必要であり、構造が複雑となるばかりか、製造性の向上が容易ではない等の問題が生ずるものであった。
【0007】
そこで本発明は、従来技術における上記問題を解決し、構造が簡単で製造性に優れ、開口部を開口させる際の雑菌等の混入を防止できる新規な収容袋の構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するため、請求項1にかかる本発明は、対向して位置する一対の側面を有し可撓性を有する袋体と、該袋体の縁部に予め形成される開口部または使用に際して形成される開口部の周縁に沿って周回するように取り付けられた封止部材とを備え、該封止部材は、前記袋体の少なくとも一方の側面の中間部から外側に突出した折り曲げ可能な突出片を有することを特徴とする収容袋である。
【0009】
請求項2は、請求項1の収容袋において、突出片は、袋体の一対の側面の互いに対向する位置において封止部材から外側に突出する一対の対向突出片からなることを特徴とする。
【0010】
請求項3は、請求項2の収容袋において、袋体の一対の対向突出片が設けられている位置には、前記袋体の開口部の周縁に直交した折曲線が設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項4は、請求項1ないし3のいずれかの収容袋において、袋体は、封止部材に近接した地点において該封止部材に沿って周回するように形成された切断可能線を有し、該切断可能線に沿って前記袋体を切断することによって開口部が形成されることを特徴とする。
【0012】
請求項5は、請求項1ないし4のいずれかの収容袋において、袋体の一対の側面の開口部が位置する側とは反対側の縁部の両端が折り曲げられ、これら両端間が連結されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、袋体の縁部に開口部が形成されている状態で、封止部材の突出片を外側に引っ張ることによって、袋体の開口部に触れることなく、この開口部を大きく開口できるため、この開口部を大きく開口させる際の手や指等の接触による雑菌等の混入を防止できる。また、突出片をさらに外側に引っ張って開口部を閉じてから、封止部材を軸に袋体の開口部が形成されている側を折り曲げた後に、突出片を内側に折り曲げることによって開口部を封止できる。したがって、封止部材の突出片を、開口部を開口させる際の引張片、および開口部を封止する際の止め具として用いることができるため、これら引張片と止め具とを別個に設ける場合に比べ、構造を簡単にでき、製造性を向上できる。
【0014】
また、袋体の一対の側面の互いに対向する位置に設けられた一対の対向突出片を相対する方向に引っ張ることによって、この袋体の縁部に形成されている開口部をより大きく開口できるとともに、この開口部をより確実に閉塞できるため、袋体の開口部を開閉する作業を容易にできる。
【0015】
さらに、一対の対向突出片を相対する方向に引っ張った際に、袋体の一対の対向突出片が取り付けられている位置が折曲線に案内されて、袋体の開口部の周縁に直交して折り曲げられるから、袋体の縁部に形成されている開口部をより容易に大きく開口できるとともに、この開口部をより容易に閉塞できるため、この開口部の開閉作業をより容易にできる。
【0016】
また、袋体の封止部材に近接した地点において封止部材に沿って周回するように切断可能性が形成されているため、この切断可能線に沿って袋体を切断することによって、袋体の封止部材に近接した縁部に開口部が形成されるから、この開口部の形成を容易にできる。
【0017】
さらに、袋体の一対の側面の開口部が位置する側とは反対側の縁部の両端が折り曲げられ、これら両端が連結されることにより、袋体に検体を収容させた場合に袋体の底部が平面状になるから、袋体を自立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態による収容袋を示す斜視図である。
【図2】この収容袋の封止部材が取り付けられている部分を拡大して示す図1中のa−a断面図である。
【図3】この収容袋を切断可能線に沿って切断して開口部を形成し対向突出片を引っ張った状態を示す斜視図である。
【図4】この収容袋の対向突出片をさらに引っ張って開口部を閉じた状態を示す斜視図である。
【図5】この収容袋の封止部材を軸に回転させる状態を示す斜視図である。
【図6】この収容袋の対向突出片を折り曲げて開口部を封止した状態を示す斜視図である。
【図7】この収容袋の対向突出片を捩じって開口部を封止した状態を示す斜視図である。
【図8】本発明の他の実施形態による収容袋を示す斜視図である。
【図9】この収容袋に検体を収容して封止した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の一実施形態による収容袋について添付図面を参照して説明すると、この収容袋1は、例えば、食品・水・下水・飼料・肥料・薬品・環境見本・生検見本・病理見本等の固形物、半固形物及び液体である検体を採取・収去・ホモジナイズ・保存等するための滅菌収容袋としてのサンプリングバッグであって、使用に際して開口部2が形成可能な可撓性を有する袋体11と、袋体11の外周部の開口部2の周縁に沿って周回するように取り付けられた封止部材21とを備えて構成されている。
【0020】
袋体11は、対向する下端部および両側部が連結されたシート体12にて構成されており、上下方向に長手方向Aを有する平面視長方形状に形成されている。シート体12は、例えばポリエチレン等にて形成され、筒状に成形されたシート体12を平坦に潰して幅方向Bの両側部を長手方向Aに沿って折り曲げた状態で、このシート体12の長手方向Aの上端部と下端部とが熱圧着等にて連結された封着部13a,13bにて封止されて袋状に形成されている。各封着部13a,13bは、シート体12の幅方向Bに沿った直線状に形成され、シート体12の上端縁および下端縁から所定間隔離間した位置に形成されている。
【0021】
さらに、袋体11において開口部2となる位置、すなわち袋体11のシート体12の上端側の封着部13aから所定の間隔ほど下端側に離間させた位置には、シート体12の幅方向Bに沿った切断可能線としてのミシン目14が形成されている。ミシン目14は、封止部材21に近接した地点において、この封止部材21に沿って周回するように形成されている。すなわち、ミシン目14は、シート体12の対向して位置する一対の側面、すなわち両側面15a,15bのそれぞれに、これら側面15a,15bの幅方向Bに沿った直線状に形成されており、図3に示すように、ミシン目14に沿って袋体11を切断することによって、袋体11に取り付けられた封止部材21に沿って開口部2が形成され、袋体11の上部が開口するように構成されている。
【0022】
ここで、袋体11のシート体12の両側面15a,15bの上端部の幅方向Bの中央部に、これら両側面15a,15bの幅方向Bに直交する長手方向Aに沿って内側に折り曲げられて形成された折り目である折曲線16a,16bを設けてもよい。なお、各折曲線16a,16bは、袋体11の開口部2の周縁に直交して設け、シート体12の上端縁から、シート体12の長手方向Aの略中央部までに亘って形成し、シート体12の幅方向Bの中央部においてシート体12を長手方向Aに沿って容易に折り曲げることができるようにするための補助線として形成するものである。これら折曲線16a,16bは、使用に際して形成される場合や、製造時に予め形成しておく場合がある。
【0023】
また、袋体11のシート体12の一側面15aの外側に、書き込み用印刷を施して平面視長方形状の書込可能部17を設けてもよい。書込可能部17は、例えば鉛筆やボールペン等の筆記具を用いて、袋体11に収容させた検体に関するデータ(情報)等を書き込むためのものであり、シート体12の一側面15aの幅方向Bの中央部であって、この一側面15aの下端寄りの位置に設けることが好ましい。
【0024】
一方、封止部材21は、少なくとも長手方向が変形可能、すなわち折り曲げ可能に構成された帯状部材であって、折り曲げやねじり固定が可能な細長断面円形状の線状部材である一本のワイヤ22を有し、シート体12の両側面15a,15bの外側に、シート体12の幅方向Bに沿って直線状に取り付けられている。封止部材21は、袋体11のミシン目14から下端側に所定距離離間した位置に取り付けられ、ミシン目14に沿って袋体11を切断することによって形成される開口部2に沿って取り付けられている。
【0025】
封止部材21は、シート体12の両側面15a,15bのそれぞれの幅方向Bの中間部である中央部から相対する方向である外側に向けて直線状に突出した折り曲げ可能な一対の対向突出片23a,23bを有している。一対の対向突出片23a,23bは、袋体11のシート体12の両側面15a,15bの互いに対向する位置において封止部材21から外側に突出して設けられ、封止部材21のシート体12の両側面15a,15bから突出している帯状の部分であり、各対向突出片23a,23bが設けられている位置に、袋体11の開口部2の周縁に直交した折曲線16a,16bが設けられている。各対向突出片23a,23bは、シート体12の幅寸法の2分の1より小さな長さ寸法に形成され、袋体11の開口部2を開口させる前の状態においては、図1に示すように、シート体12の両側面15a,15bに沿って位置するように、基端部が折り曲げられて塑性変形されている。
【0026】
そして、対向突出片23a,23bを含めた封止部材21の略全体にワイヤ22が取り付けられている。このワイヤ22は、袋体11の両側面15a,15bのそれぞれの右側部分を介した一方の対向突出片23aの先端から他方の対向突出片23bの先端まで、および袋体の両側面15a,15bのそれぞれの左側部分を介した他方の対向突出片23bの先端から一方の対向突出片23aの先端までに亘って、袋体11の開口部2に沿って取り付けられている。すなわち、ワイヤ22は、このワイヤ22の両端のそれぞれが一方の対向突出片23aの先端に位置するように取り付けられており、この一方の対向突出片23aの先端から基端へと導かれてからシート体12の一側面15aおよび他側面15bのそれぞれの右側部を介して他方の対向突出片23bの基端から先端へと導かれ、さらにこの他方の対向突出片23bの先端からシート体12の他側面15bおよび一側面15aのそれぞれの左側部を介して一方の対向突出片23aの基端から先端へと導かれて取り付けられている。
【0027】
ワイヤ22とシート体12との間には、ワイヤ22によるシート体12の破損等を防止するための帯状の保護テープ24が取り付けられている。保護テープ24の外側面25にワイヤ22が貼り付けられ、保護テープ24の内側面26がシート体12の両側面15a,15bの外側に貼り付けられている。また、保護テープ24は、各対向突出片23a,23bにおいては、各対向突出片23a,23bに配設されたワイヤ22のそれぞれの内側に取り付けられており、これら対向突出片23a,23bにおいて対向して位置する保護テープ24同士の内側面26が貼り合わされて固定されている。
【0028】
そして、ワイヤ22の外側には、ワイヤ22を覆うように帯状の被覆テープ27が貼り付けられている。被覆テープ27は、保護テープ24の幅寸法より大きな幅寸法に形成されており、保護テープ24およびワイヤ22のそれぞれを覆うように取り付けられている。すなわち、被覆テープ27は、ワイヤ22の一端から他端までに亘って、ワイヤ22の長手方向に沿って貼り付けられており、各対向突出片23a,23bにおいては、これら対向突出片23a,23bにおいて対向する被覆テープ27の同士の内側面28が互いに貼り合わされて取り付けられている。
【0029】
したがって、封止部材21は、図2に示すように、被覆テープ27と保護テープ24との間にワイヤ22が配設された3層構造に形成されており、封止部材21を一方の対向突出片23aの先端から、他方の対向突出片23bの先端まで、およびこの他方の対向突出片23bの先端から一方の対向突出片23aの先端までに亘って連続的にシート体12に貼り付けられて取り付けられている。よって、封止部材21のシート体12の両側面15a,15bから外側に突出している部分、すなわち対向突出片23a,23bは、図3に示すように、袋体11の開口部2を開口させる際の取手となる引張片として用い、かつ、図6に示すように、開口部2を密封して封止する際の止め具として用いることができる。
【0030】
この収容袋1は、図1に示すように、袋体11の上端部が閉塞され、封止部材21の各対向突出片23a,23bのそれぞれが袋体11のシート体12の両側面15a,15bに沿って折り曲げられている。また、収容袋1は、製造梱包後にγ(ガンマ)線照射または酸化エチレンガス(EOG:Ethylene Oxide Gas)等によって滅菌処理されている。
【0031】
使用に際しては、まず袋体11の上端部の幅方向Bの端部を摘まむ等して、袋体11の上端部をミシン目14に沿って切り取って開封して、袋体11の上端部に開口部2を形成してから、図3に示すように、封止部材21の各対向突出片23a,23bのそれぞれを摘まむ等して、各対向突出片23a,23bのそれぞれがシート体12の両側面15a,15bから突出するように各対向突出片23a,23bを折り曲げて起立させる。
【0032】
この後、各対向突出片23a,23bのそれぞれを摘んで、袋体11の幅方向Bに直行する相対方向(反対方向)Cに向けて各対向突出片23a,23bのそれぞれを引っ張って、袋体11の開口部2を大きく菱形状に開口させる。この状態で、この大きく開口した開口部2から、袋体11の内部に検体を入れて収容させる。
【0033】
次いで、袋体11の開口部2を密封するに際しては、まず封止部材21の各対向突出片23a,23bのそれぞれを摘んで、各対向突出片23a,23bをさらに反対方向Cに引っ張って、図4に示すように、袋体11の開口部2を閉塞するとともに、袋体11の内部に入り込んだ空気を抜いてから、各対向突出片23a,23bを摘んで反対方向Cにそれぞれを引っ張った状態で、図5に示すように、封止部材21を軸、すなわち回転中心として袋体11を長手方向Aに沿って複数回、例えば3回ほど回転Dさせて、袋体11の開口部2を密閉させることによって、袋体11が略三角錐状となる。
【0034】
この状態で、図6に示すように、封止部材21の各対向突出片23a,23bがシート体12の両側面15a,15bに沿うように、各対向突出片23a,23bのそれぞれを内側Eに折り曲げて、袋体11の開口部2を密閉した状態を保持させる。
【0035】
ここで、必要に応じ、袋体11に検体を収容させる前、あるいは袋体11に検体を収容させた後の段階で、この検体に関する情報等を袋体11の書込可能部17に書き込む。なお、図7に示すように、封止部材21を円弧状に湾曲させてから、封止部材21の対向突出片23a,23bを交差させ、この状態で対向突出片23a,23bの基端部を数回捩じって、袋体11の密封された開口部2を保持させることもできる。
【0036】
前述のように、袋体11のシート体12の両側面15a,15bから封止部材21の対向突出片23a,23bを起し、各対向突出片23a,23bを反対方向Cに引っ張ることによって、袋体11の開口部2を大きく開口できるため、袋体11の開口部2の開口縁等に触れることなく開口部2を大きく開口できる。したがって、開口部2を大きく開口させる際に開口部2の開口縁に触れることによって生じるおそれがある袋体11内への雑菌等の混入、すなわちコンタミネーションを防止できる。
【0037】
さらに、袋体11の開口部2を大きく開口させた状態で、封止部材21の対向突出片23a,23bをさらに反対方向Cに引っ張ることによって、袋体11の開口部2が閉塞され、封止部材21の各対向突出片23a,23bを摘まんで固定した状態で、封止部材21を中心に袋体11を長手方向に沿って連続して回転Dさせることによって、袋体11の開口部2が密閉される。この状態で、封止部材21の各対向突出片23a,23bのそれぞれを内側Eに折り曲げることによって、袋体11の密閉された開口部2が封止される。
【0038】
よって、封止部材21の対向突出片23a,23bを、袋体11の開口部2を開口させる際の引張片(プルタブ)として用いることができるとともに、袋体11の開口部2を封止する際の止め具(バンド)として用いることができ、これら引張片および止め具として兼用できるから、引張片と止め具とを別個に別部材で設ける場合に比べ、収容袋1の構造を簡単にでき、収容袋1を製造するために必要な部品点数を少なくできるため、収容袋1の製造性を向上できる。
【0039】
また、封止部材21の各対向突出片23a,23bを袋体11のシート体12の両側面15a,15bの幅方向Bの中央部から外側に突出させたことにより、各対向突出片23a,23bを反対方向Cに引っ張ることによって、袋体11の開口部2を菱形状に大きく開口できるとともに、この開口部2を大きく開口させた状態で、各対向突出片23a,23bをさらに反対方向Cに引っ張ることによって、袋体11の開口部2をほぼ確実に閉じることができる。したがって、袋体11の開口部2を大きく開口させる作業、および大きく開口させた開口部2をほぼ確実に閉じる作業が容易にできるので、収容袋1の使い勝手をより向上できるとともに、袋体11の開口部2の開口縁等に触れることなく、開口部2をほぼ確実に閉じることができるから、開口部2を閉塞させる際に開口部2の開口縁に触れることによって生じるおそれがあるコンタミネーションを確実に防止できる。
【0040】
さらに、封止部材21のワイヤ22を、連続した一本とし、この一本のワイヤ22を、袋体11の両側面15a,15bの右側部分を介した一方の対向突出片23aの先端から他方の対向突出片23bの先端まで、および袋体11の両側面15a,15bの左側部分を介した他方の対向突出片23bの先端から一方の対向突出片23aの先端までに亘って取り付けたため、ワイヤ22を複数本にする場合に比べ、ワイヤ22を折り曲げることによる開口部2の開閉動作をより容易にできるとともに、封止部材21の構造を簡単にでき、収容袋1を製造するために必要な部品点数を少なくできるため、収容袋1の製造性をさらに向上できる。
【0041】
また、袋体11のシート体12の両側面15a,15bの一対の対向突出片23a,23bが設けられている位置に、シート体12の上端縁から長手方向Aの中間部に亘った直線状の折曲線16a,16bを設けたことにより、封止部材21の各対向突出片23a,23bを反対方向Cに引っ張った際に、袋体11のシート体12の両側面15a,15bの幅方向Bの中央部が折曲線16a,16bに沿って案内されて折り曲げられるから、袋体11の開口部2をより確実に大きく菱形状に開口できるとともに、袋体11の開口部2をほぼ確実に容易に閉塞でき、袋体11の開口部2の開閉作業をより容易にできるため、収容袋1の使い勝手をより向上できる。
【0042】
さらに、製造梱包後にγ線あるいはEOGにて滅菌された袋体11の上端部が封着部13aにて封着されて閉塞され、袋体11の上端部の封止部材21に近接した位置、すなわち開口部2を形成すべき位置にミシン目14を形成したことにより、使用時にミシン目14に沿って袋体11の上端部を切断することによって、袋体11の上端側の封止部材21に近接した縁部に開口部2が形成される。よって、袋体11の上端部に開口部2を形成するまでの間の袋体11内の滅菌状態、すなわち無菌性を確保でき、袋体11の上端部における開口部2の形成を容易にできるため、収容袋1の使い勝手をより向上できる。
【0043】
なお、上記一実施形態では、封止部材21の各対向突出片23a,23bをシート体12の両側面15a,15bの幅方向Bの中央部から突出させた構成としたが、シート体12の両側面15a,15bの幅方向Bの中間部であれば、このシート体12の両側面15a,15bの幅方向Bの中央部以外の位置から各対向突出片23a,23bを突出させた構成とすることもできる。この場合、シート体12の両側面15a,15bの幅方向Bの中心に対して点対称な位置から対向突出片23a,23bを突出させることによって、袋体11の開口部2を点対称な平行四辺形状に大きく開口させることができる。
【0044】
また、袋体11の両側面15a,15bの互いに対向する位置に一対の対向突出片23a,23bを設けたが、袋体11の少なくとも一方の側面15aまたは側面15bの中間部から外側に突出した突出片23aまたは突出片23bとすることもできる。この場合、例えば袋体11の他方の側面15bまたは側面15aの突出片23aまたは突出片23bに対向する位置を摘まむ等して固定しつつ、この突出片23aまたは突出片23bを摘んで外側に引っ張ることによって、袋体11の開口部2を大きく開口できるとともに、この開口部を2大きく開口させた状態から閉塞できる。したがって、袋体11の両側面15a,15bのいずれの位置にも突出片23a,23bが設けられていない場合に比べ、袋体11の開閉作業を容易にできるから、収容袋1の使い勝手を向上できる。
【0045】
さらに、使用に際して袋体11をミシン目14に沿って切断することによって開口部2が形成される構成としたが、袋体11の縁部に予め開口部2が形成されている構成や、袋体11の両側面15a,15bの封止部材21に近接した上側に切り取り線(図示せず)が記され、使用に際し、例えばはさみ等の切断器具を用いて袋体11の上端部を切り取り線に沿って切断することによって開口部2が形成される構成などとすることもできる。
【0046】
そして、一対の対向突出片23a,23bを含む封止部材21全体を折り曲げ可能な構成としたが、封止部材21の一対の対向突出片23a,23bのみを折り曲げ可能な構成とすることもできる。また、封止部材21を、被覆テープ27と保護テープ24との間にワイヤ22を配設した3層構造としたが、折り曲げ可能なプラスチックバンドや、ワイヤ22のみの構成とすることもできる。さらに、封止部材21のワイヤ22は、一本の連続した構成ではなく、複数本で構成することもできる。
【0047】
また、袋体11の下端部を直線状に封着した封着部13bとしたが、袋体11の下端部を円弧状に封着したり、袋体11を自立させることができるマチ付きの構造とすることもできる。さらに、袋体11の内部に、検体を吸い込ませるためのスポンジを予め収容させたり、検体を分離等するためのフィルタを予め取り付けたりすることもできる。
【0048】
そして、封止部材21を中心として袋体11を長手方向に沿って複数回連続して回転Dさせて袋体11の開口部2を密閉させたが、封止部材21を軸として袋体11の上端部を下端側に向けて連続して複数回折り返すことによって、袋体11の開口部2を密閉させてもよい。
【0049】
次に、本発明の他の実施形態による収容袋1Aを図8及び図9に示す。この収容袋1Aは、図1ないし図7に示す一実施形態の収容袋1と略同様の構成を有しており、同一または対応する構成要素ないし部分には同一の符号を付してそれらについての説明を割愛する。
【0050】
この収容袋1Aが一実施形態の収容袋1と異なるのは、袋体11の一対の側面15a,15bの下端部の両端である各角部30a,30bが折り曲げられ、これら角部30a,30b間が連結部材31にて連結されている点である。連結部材31は、収容袋1Aの開口部2から検体を収容させた状態で袋体11を自立可能とさせるものである。連結部材31は、袋体11の幅寸法より小さな長さ寸法、具体的には袋体11の下端側の封着部13bから、袋体11の下端縁までの間の長さの2倍より若干長い長さ寸法の細長い紐状に形成されており、長手方向の一端が袋体11の下端部の幅方向の一端に位置する角部30aに圧着固定され、長手方向の他端が袋体11の下端部の幅方向の他端に位置する角部30bに圧着固定されている。
【0051】
袋体11は、下端部の角部30a,30b間が連結部材31にて連結されていることによって、袋体11の下端側の各角部30a,30bが、シート体12の一側面15a側に向けて略直角二等辺三角形状に折り曲げられた状態とされている。そして、袋体11は、内部に検体を収容させた際に、図9に示すように、袋体11の下端側が略四角形の平面状に折り曲げられて、袋体11を自立可能にさせる底部32が形成され、袋体11を自立できるように構成されている。
【0052】
よって、連結部材31が取り付けられた収容袋1Aを用いた例が図9に示されており、この例も、一実施形態の収容袋1を用いた例(図6)と略同様であるが、袋体11の下端部の各角部30a,30bが折り曲げられ、これら角部30a,30b間が連結部材31にて連結されているため、袋体11の開口部2から検体を収容させた状態で、袋体11の下端部を、例えば机等の平坦な面に設置し直すように数回叩くことにより、この袋体11の下端側が略四角形の平面状に折り曲げられて底部32が形成されるため、袋体11を自立させることが可能となる。
【0053】
また同時に、収容袋1Aの袋体11の下端部の各角部30a,30bを折り曲げて連結部材31にて連結したシンプルな構成であるため、袋体11の下端部に自立用のマチが予め設けられた従来の収容袋に比べ、袋体11の下端部に自立用のマチを設けるための工程が不要となり、収容袋1Aを製造する際の製造工程を簡略化できるから、収容袋1Aの製造性をより向上できる。
【0054】
なお、上記他の実施形態では、収容袋1Aの下端部の各角部30a,30bを予め折り曲げて連結部材31にて連結させた構成としたが、連結部材31の一端部のみを袋体11の下端部の一方の角部30aに予め取り付けておき、使用の際に、連結部材31の他端部を袋体11の下端部の他方の角部30bに貼り付ける等して取り付ける構成とすることもできる。
【0055】
また、収容袋1Aとは別個の連結部材31とし、この連結部材31の両端部に粘着面を設け、使用に際し、袋体11の下端部の各角部30a,30bを折り曲げて、これら各角部30a,30bに連結部材31の両端部を貼り付けたり、さらには、連結部材31を両面テープとし、この両面テープにて袋体11の下端部の各角部30a,30bを折り曲げて先端部を重ね合わせて貼り合わせたり、連結部材31を用いずに袋体11の下端部の各角部を折り曲げて予め接着等して連結させたり等する構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0056】
1,1A 収容袋
2 開口部
11 袋体
12 シート体
13a,13b 封着部
14 ミシン目(切断可能線)
15a,15b 側面
16a,16b 折曲線
17 書込可能部
21 封止部材
22 ワイヤ
23a,23b 対向突出片(突出片)
24 保護テープ
25 外側面
26 内側面
27 被覆テープ
28 内側面
30a,30b 角部
31 連結部材
32 底部
A 長手方向
B 幅方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向して位置する一対の側面を有し可撓性を有する袋体と、該袋体の縁部に予め形成される開口部または使用に際して形成される開口部の周縁に沿って周回するように取り付けられた封止部材とを備え、該封止部材は、前記袋体の少なくとも一方の側面の中間部から外側に突出した折り曲げ可能な突出片を有することを特徴とする、収容袋。
【請求項2】
突出片は、袋体の一対の側面の互いに対向する位置において封止部材から外側に突出する一対の対向突出片からなることを特徴とする、請求項1記載の収容袋。
【請求項3】
袋体の一対の対向突出片が設けられている位置には、前記袋体の開口部の周縁に直交した折曲線が設けられていることを特徴とする、請求項2記載の収容袋。
【請求項4】
袋体は、封止部材に近接した地点において該封止部材に沿って周回するように形成された切断可能線を有し、該切断可能線に沿って前記袋体を切断することによって開口部が形成されることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか記載の収容袋。
【請求項5】
袋体の一対の側面の開口部が位置する側とは反対側の縁部の両端が折り曲げられ、これら両端間が連結されることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか記載の収容袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−1068(P2011−1068A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143375(P2009−143375)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(508075502)安科生物制品(上海)有限公司 (2)
【出願人】(500285060)株式会社アイ・バイオ (3)
【Fターム(参考)】