説明

収容装置

【課題】蓋体収容部に入り込んだ薄型の物品を掃き出し得る収容装置を提供すること。
【解決手段】蓋体収容部3に設けたケース側櫛部30と蓋体4に設けた蓋側櫛部41とが、蓋体4が少なくとも開位置と閉位置との間を移動する際に噛み合うようにする。そして、蓋体収容部3のなかで開位置における蓋側櫛部41よりも手前側に、内部に向けて開口する切り欠き状の支持棚部31を設け、支持棚部31の底面31bが蓋体4の移動方向と交叉する方向に延びるようにし、支持棚部31の底面31bには、突起状をなす落ち込み防止部32を少なくとも一つ設ける。蓋体収容部3の奥側に入り込んだ薄型の物品80、81を支持棚部31で支持し、支持棚部31に支持された薄型の物品80、81を蓋側櫛部41または蓋体4の他の部分で蓋体収容部3の手前側に掃き出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばカップホルダや灰皿、コンソールボックス等の収容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
収容装置として、ケース体と蓋体とを持つものが知られている。ケース体は開口を持つ。蓋体は、ケース体に取り付けられ開口を閉じる閉位置と開口を開く開位置との間を移動する。より詳しくは、この種の収容装置におけるケース体は、ケース本体部と蓋体収容部とを持つ。ケース本体部は、上述した開口を持ち、箱状をなす。蓋体収容部は、箱状をなし、ケース本体部の外部に形成されている。蓋体収容部は、蓋体を少なくとも開位置において収容する。この種の収容装置における蓋体収容部には、小銭等やカードなどの小型の物品が入り込む場合がある。一般に、蓋体収容部の内壁と蓋体との間には、蓋体の移動を許容する程度の隙間が形成されているためである。しかし、蓋体収容部の内壁と蓋体との隙間は比較的小さいため、蓋体収容部に入り込んだ物品をユーザーが手で取り出すのは困難であった。
【0003】
蓋体収容部に入り込んだ物品を蓋体収容部の手前側(すなわち、蓋体収容部の入り口側)掃き出すための櫛歯構造を収容装置に設ける技術もある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に紹介されている収容装置における蓋体と蓋体収容部とには、それぞれ、互いに噛み合う櫛歯が設けられている。蓋体に形成されている櫛歯(蓋側櫛歯と呼ぶ)と、蓋体収容部に形成されている櫛歯(ケース側櫛歯と呼ぶ)とは、常に噛み合っている。蓋側櫛部およびケース側櫛部が噛み合うことで、蓋体収容部の奥側に物品が入り込むのを抑制できる。蓋体収容部に入り込んだ物品は、蓋体を閉位置に移動させる際に、蓋側櫛部によって掃き出すことができる。
【0005】
しかし、この種の収容装置は、蓋体収容部に入り込んだカードなどの薄型の物品を蓋体収容部の手前側に掃き出せない場合がある。例えば、収容装置の形状によっては、蓋体を開位置に配置した際には、蓋側櫛部とケース側櫛部との噛み合い量が非常に小さくなったり、蓋側櫛部とケース側櫛部との噛み合いが解除される場合がある。これらの場合には、薄型の物品が蓋体収容部のなかで蓋側櫛部の移動領域よりも奥側にまで入り込む場合がある。蓋側櫛部の移動領域よりも奥側にまで入り込んだ薄型の物品は、蓋側櫛部によっても掃き出せない。したがって、蓋体収容部に入り込んだ薄型の物品を掃き出し得る収容装置が望まれている。
【特許文献1】実開平6−32199号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、蓋体収容部に入り込んだ薄型の物品を掃き出し得る収容装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する収容装置は、開口20を持つケース体1と、ケース体1に取り付けられ開口20を閉じる閉位置と開口20を開く開位置との間を移動する蓋体4と、を持つ収容装置であって、
ケース体1は、開口20を持ち箱状をなすケース本体部2と、箱状をなしケース本体部2の外部に形成され蓋体4を少なくとも開位置において収容する蓋体収容部3と、を持ち、
蓋体収容部3は、内部に向けて突出し蓋体4の移動方向に沿って延びる複数のケース側櫛歯30aが蓋体4の移動方向と交叉する方向に互いに離間しつつ配列してなるケース側櫛部30を持ち、
蓋体4は、少なくとも一つの蓋側櫛歯41aを持ち少なくとも開位置と閉位置との間を移動する際にケース側櫛部30と噛み合う蓋側櫛部41を持ち、
蓋体収容部3は、開位置における蓋側櫛部41よりも手前側に形成され内部に向けて開口する切り欠き状の支持棚部31を持ち、
支持棚部31の底面31bは、蓋体4の移動方向と交叉する方向に延び、
底面31bには、突起状をなす落ち込み防止部32が少なくとも一つ形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の収容装置は、下記の(1)を備えるのが好ましく、(1)および(2)を備えるのがより好ましい。
【0009】
(1)前記蓋側櫛部41と前記ケース側櫛部30との噛み合いは、前記蓋体4が開位置に移動すると解除される。
【0010】
(2)前記支持棚部31は、前記ケース側櫛部30の奥側端部よりも奥側に形成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の収容装置は、蓋側櫛部とケース側櫛部とを持つ。そして、蓋体が開位置と閉位置との間を移動している際(以下、移動状態と呼ぶ)には、蓋側櫛部とケース側櫛部とが噛み合う。このため、移動状態においては、蓋側櫛部とケース側櫛部との噛み合い部分(以下、噛み合い部分と呼ぶ)から蓋体収容部の奥側にかけての蓋体収容部の内壁と蓋体との隙間は、実質的になくなる。したがって、移動状態において噛み合い部分よりも蓋体収容部の手前側に入り込んだ薄型の物品は、噛み合い部分で留まり、蓋体収容部の奥側に入り込み難い。
【0012】
また、本発明の収容装置における蓋体収容部は、内部に向けて開口する切り欠き状の支持棚部を持つ。したがって、噛み合い部分が支持棚部よりも奥側に移動すると、薄型の物品は支持棚部に支持される。この支持棚部は、開位置における蓋側櫛部よりも手前側に形成されている。換言すると、支持棚部は蓋側櫛部の移動領域よりも手前側に配置されている。このため、支持棚に支持されていた薄型の物品は、蓋体が開位置から閉位置に移動する際に、蓋側櫛部によって支持棚から蓋体収容部の手前側に向けて掃き出される。換言すると、蓋体収容部に入り込んだ薄型の物品は、支持棚部に支持されるために、蓋体収容部のなかで支持棚部よりも奥側には入り込み難い。さらに、支持棚部に支持された薄型の物品は、蓋側櫛部によって手前側に掃き出される。なお、蓋体の形状によっては、支持棚部に支持された薄型の物品を、蓋体における蓋側櫛部以外の部分(以下、蓋本体部と呼ぶ)によって手前側に掃き出すこともできる。したがって、本発明の収容装置によると、蓋体収容部に入り込んだ薄型の物品を信頼性高く掃き出し得る。
【0013】
さらに、支持棚部の形状によっては、薄型の物品が支持棚部の奥側に入り込む場合がある。この場合には、支持棚部に支持された薄型の物品を蓋側櫛部や蓋本体部によって掃き出せない場合がある。本発明の収容装置における支持棚部の底面には、突起状をなす落ち込み防止部が少なくとも一つ形成されている。この落ち込み防止部は、薄型の物品が支持棚部の奥側に入り込むのを抑制する。したがって、本発明の収容装置によると、蓋体収容部に入り込み支持棚部に支持された薄型の物品を、信頼性高く掃き出し得る。
【0014】
上記(1)を備える本発明の収容装置によると、薄型の物品が蓋体収容部の奥側に入り込むのをより信頼性高く抑制でき、蓋体収容部に入り込んだ薄型の物品をより信頼性高く掃き出し得る。これは以下の理由による。
【0015】
レシートなどの極めて薄型の物品は、蓋側櫛部とケース側櫛部との間に噛み込まれる可能性がある。そして、蓋側櫛部とケース側櫛部との間に噛み込まれた極めて薄型の物品は、蓋体を開位置に移動させる際に蓋体とともに移動して、蓋体収容部の奥側に入り込む可能性がある。上記(1)を備える本発明の収容装置によると、蓋体が開位置に移動すると蓋側櫛部とケース側櫛部との噛み合いが解除される。このため、蓋側櫛部とケース側櫛部との間に噛み込まれた極めて薄型の物品は、蓋体が開位置にまで移動すると、蓋側櫛部とケース側櫛部との間から開放される。そして、開放された極めて薄型の物品は、蓋体を開位置から閉位置に移動させる際に、蓋側櫛部または蓋本体部によって蓋体収容部の手前側に掃き出される。なお、蓋側櫛部とケース側櫛部との間に噛み込まれることで、極めて薄型の物品は3次元的に変形する。3次元的に変形した極めて薄型の物品は、蓋側櫛部とケース側櫛部との間から開放されると、それ以上奥側には入り込み難い。よって、上記(1)を備える本発明の収容装置によると、蓋体収容部に入り込んだ薄型の物品を、より信頼性高く蓋体収容部の手前側に掃き出すことができる。
【0016】
また、上記(2)を備える本発明の収容装置における支持棚部は、ケース側櫛部の奥側端部よりも奥側に形成されている。このため支持棚部は、開位置における蓋側櫛部とケース側櫛部との間に配置される。したがって、蓋側櫛部とケース側櫛部との間に噛み込まれた極めて薄型の物品は、蓋体が開位置にまで移動すると開放され、支持棚部に支持される。このため極めて薄型の物品は、蓋体収容部のさらに奥側(すなわち蓋側櫛部の移動領域よりもさらに奥側)に入り込み難い。よって、上記(2)を備える本発明の収容装置によると、蓋体収容部に入り込んだ薄型の物品を、より一層信頼性高く蓋体収容部の手前側に掃き出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、実施例を基に、本発明の収容装置を具体的に説明する。
【0018】
(実施例)
実施例の収容装置は自動車用のドリンクホルダである。実施例の収容装置は上記(1)〜(2)を備える。実施例の収容装置を模式的に表す分解斜視図を図1に示す。実施例の収容装置の動作を模式的に表す説明図を図2〜図6に示す。以下、実施例において、上、下、左、右、前、後、手前側、奥側とは、図1に示す上、下、左、右、前、後、手前側、奥側を指す。
【0019】
図1に示すように、実施例の収容装置は、ケース体1と、蓋体4と、蓋体駆動手段5と、ロック手段(図略)とを持つ。ケース体1は、ケース本体部2と蓋体収容部3とを持つ。
【0020】
ケース本体部2は、上方に開口する箱状をなす。蓋体収容部3は上方および後方に開口する湾曲板状をなす。ケース本体部2の左側壁には、後述する蓋体駆動手段5が取り付けられている。
【0021】
蓋体収容部3は後方の開口をケース本体部2に向けつつ、ケース本体部2の前方に取り付けられている。したがってケース本体部2の前側には、ケース本体部2の外側壁と蓋体収容部3の内側壁とで区画された蓋体収容空間10が形成されている(図2)。
【0022】
図1に示すように、蓋体収容部3の前側内壁には、ケース側櫛部30と支持棚部31とが形成されている。ケース側櫛部30は、複数のケース側櫛歯30aからなる。各ケース側櫛歯30aは、蓋体収容部3の手前側から奥側に向けて湾曲しつつ延びている。蓋体収容部3の延びる方向は、後述する蓋体4の移動方向と平行である。また、各ケース側櫛歯30aは、蓋体収容部3の内部(すなわち後側、ケース本体部2側)に向けて突出している。各ケース側櫛歯30aの突出高さは、手前側から奥側に向けて徐々に小さくなっている。各ケース側櫛歯30aは左右方向に配列している。隣接するケース側櫛歯30a同士は離間している。
【0023】
支持棚部31は、各ケース側櫛歯30aの奥側端部よりも奥側に形成されている。支持棚部31は断面略L字の切り欠き状をなし、全体として左右方向に延びている。支持棚部31は蓋体収容部3の内部に向けて開口している。支持棚部31の側面31aは上下方向かつ左右方向に延び、底面31bは前後方向かつ左右方向に延びている。換言すると、支持棚部31は、側面31aを後方に向け、底面31bを上方に向けている。支持棚部31の底面31bには、突起状をなす落ち込み防止部32が複数形成されている。各落ち込み防止部32は、蓋体収容部3の前側内壁の一般面35(蓋体収容部3の前側内壁のなかでケース側櫛部30および支持棚部31以外の面)と略面一である。したがって支持棚部31は、落ち込み防止部32によって複数の副支持棚部31cに分断されている。実施例の収容装置における副支持棚部31cの長さ(隣接する落ち込み防止部32同士の間隙長さ)は30〜40mmであり、落ち込み防止部32の長さ(隣接する副支持棚部31c同士の間隙長さ)は4mmである。
【0024】
蓋体4は、蓋本体部40と蓋側櫛部41と回動軸部42とを持つ。蓋本体部40はケース本体部2の開口に対応した略板状をなす。蓋側櫛部41は、複数の蓋側櫛歯41aからなる。各蓋側櫛歯41aは、後述する閉位置において前方に突出する略舌状をなし、左右方向に配列している。隣接する蓋側櫛歯41a同士は離間している。回動軸部42は、蓋本体部40の左右端部に形成され、後述する連結腕部52に枢支されている。蓋体4を後述する閉位置に配置すると、蓋側櫛部41はケース側櫛部30と噛み合う(図2)。
【0025】
蓋体駆動手段5は、蓋側ガイド部50と、ケース側ガイド部51と、連結腕部52と、付勢手段(図略)と、ロック手段(図略)とを持つ。蓋側ガイド部50は、ギヤ状をなし、蓋体4に一体化されている。ケース側ガイド部51は、蓋側ガイド部50と噛み合う歯列を持ち、ケース本体部2の外側壁に一体化されている。連結腕部52は略棹状をなす。連結腕部52は第1枢支部52aと第2枢支部52bとを持つ。第1枢支部52aは、上述した回動軸部42を枢支している。第2枢支部52bは、ケース本体部2の外側壁に枢支されている。したがって蓋体4は、第1枢支部52aを中心として連結腕部52に対して回動するとともに、第2枢支部52bを中心としてケース本体部2に対して回動する。換言すると、蓋体4は第1枢支部52aと第2枢支部52bとの2軸を中心として回動する。図略の付勢手段はつる巻きバネ状をなす。付勢手段の一端はケース本体部2に固定され、他端は連結腕部52に固定されている。付勢手段は、連結腕部52を図2中反時計回りに付勢し、蓋体4を図3に示す開位置に付勢する。図略のロック手段は、ハートカムからなる。ロック手段は、蓋体4の後端部に取り付けられている蓋側ロック部(図略)と、ケース本体部2の後端部に取り付けられているケース側ロック部(図略)と、を持つ。ロック手段は、蓋体4を図2に示す閉位置にロックする。
【0026】
実施例の収容装置の動作を以下に説明する。
【0027】
図2に示す閉位置において、蓋体4はケース本体部2の開口20を閉じている。このとき、蓋側櫛部41はケース側櫛部30の手前側部分と噛み合っている。このため、蓋体収容部3のなかで噛み合い部分70よりも手前側に入り込んだ物品は、噛み合い部分70で留まり、蓋体収容部3の手前側から取り出すことができる。
【0028】
蓋体4の後端部を下方に押すと、図略のロック手段が解除される。上述したように、連結腕部52は図略の付勢手段によって図2中反時計回りに付勢されている。したがって、ロック手段が解除されると、連結腕部52が第2枢支部52bを中心に図2中反時計回りに回動する。すると、連結腕部52に枢支されている蓋体4もまた、連結腕部52とともに移動する。このとき、蓋体4に取り付けられている蓋側ガイド部50と、ケース本体部2に取り付けられているケース側ガイド部51とが噛み合うことで、蓋体4の回動方向が案内されるとともに、蓋体4の回動角が規制される。よって蓋体4は、開口20を開きつつ閉位置から開位置に移動し、蓋体収容部3の蓋体収容空間10に収容される(図3)。なお、ケース側櫛歯30aは蓋体4の移動方向に沿って延びている。このため、蓋体4が閉位置と開位置との間を移動している際には、蓋側櫛部41はケース側櫛部30と噛み合う。このため、蓋体4が閉位置と開位置との間を移動している際には、蓋体収容部3(蓋体収容空間10)のなかで噛み合い部分70よりも手前側に入り込んだ物品は、噛み合い部分70に留まりつつ、蓋体4の移動に伴って蓋体収容部3の奥側に移動する。
【0029】
図3に示す開位置において、蓋側櫛部41はケース側櫛部30の奥側端部よりも奥側に配置される。このため、蓋体4が開位置に移動すると、蓋側櫛部41とケース側櫛部30との噛み合いは解除される。ところで、蓋体収容部3のなかで開位置における蓋側櫛部41よりも手前側には、支持棚部31が形成されている。支持棚部31の底面31bは蓋体4の移動方向と交叉する方向(左右方向および前後方向)に延びている。このため支持棚部31は、薄型の物品80を底面31bで支持できる。したがって、噛み合い部分70に留まっていた薄型の物品80は、図3に示すように支持棚部31に支持される。蓋体4が開位置に配置されている際に蓋体収容部3に入り込んだ薄型の物品80もまた、支持棚部31に支持される。なお、厚型の物品は蓋体収容部3の奥側には入り込まないため、蓋体収容部3のなかで蓋側櫛部41よりも手前側に保持されたままである。
【0030】
蓋体4を図3に示す開位置から図2に示す閉位置に移動させる際には、蓋体4の後端部(図3における上端部)をつかみ、付勢手段の付勢力に抗って上後方に引き出す。すると蓋体4は、蓋側ガイド部50とケース側ガイド部51とに案内されて、閉位置に向けて移動する。このとき蓋側櫛部41は、ケース側櫛部30と再度噛み合う。そして、支持棚部31に支持されていた薄型の物品80は、蓋体4が開位置から閉位置に移動する際に、蓋側櫛部41または蓋本体部40によって手前側(上側)に掃き出される。蓋体収容部3に入り込んでいた厚型の物品もまた、蓋体4が開位置から閉位置に移動する際に、蓋側櫛部41または蓋本体部40によって手前側(上側)に掃き出される。なお、支持棚部31は、図1に示す落ち込み防止部32によって複数の副支持棚部31cに分断されているため、薄型の物品80は、支持棚部31の奥側には入り込み難い。したがって、蓋側櫛部41または蓋本体部40は、支持棚部31に支持されていた薄型の物品80を信頼性高く掃き出し得る。蓋体収容部3の手前側に掃き出された物品は、ユーザーの手で取り出すことができる。
【0031】
ところで、図5に示すように、極めて薄型の物品(レシート81)は蓋側櫛部41とケース側櫛部30との間に噛み込まれる場合がある。この場合、蓋側櫛部41とケース側櫛部30との間に噛み込まれたレシート81は、蓋体4が開位置に移動する際に蓋体4とともに移動して、蓋体収容部3の奥側に入り込む。しかし、蓋体4が開位置にまで移動すると、蓋側櫛部41とケース側櫛部30との噛み合いが解除される。このため、蓋側櫛部41とケース側櫛部30との間に噛み込まれたレシート81は、蓋側櫛部41とケース側櫛部30との間から開放され、支持棚部31に支持される(図6)。このためレシート81は、蓋体4が開位置から閉位置に移動する際に、蓋側櫛部41または蓋本体部40によって手前側に掃き出される。
【0032】
実施例の収容装置は、これらの協働によって、薄型の物品80、81を蓋体収容部3の手前側に信頼性高く掃き出し得る。
【0033】
実施例の収容装置における蓋体4は開位置と閉位置との間を回動するが、本発明の収容装置における蓋体4はスライド移動などの他の方法で開位置と閉位置との間を移動しても良い。この場合にも、蓋体4に蓋側櫛部41を設け、蓋体収容部3にケース側櫛部30を設けることで、蓋体収容部3に入り込んだ物品を蓋側櫛部41または蓋本体部40で掃き出すことができる。そして、この場合にも、蓋体収容部3に支持棚部31を設けることで蓋体収容部3に入り込んだ薄型の物品80を支持棚部31で支持でき、蓋側櫛部41または蓋本体部40で掃き出すことができる。
【0034】
実施例の収容装置における各ケース側櫛歯30aはそれぞれ同じ形状である。しかし、本発明の収容装置における各ケース側櫛歯30aは、蓋体4の移動方向に沿って延びれば良く、それぞれ異なる形状であっても良い。また、各ケース側櫛歯30aは、長さ方向(蓋体4の移動方向)に分断されていても良い。換言すると、各ケース側櫛歯30aは、長さ方向に配列する複数のケース側副櫛歯からなっても良い。この場合支持棚部31は、長さ方向に隣接するケース側副櫛歯同士の隙間に形成されても良い。
【0035】
本発明の収容装置における副支持棚部31cの長さは30〜50mmであるのが好ましく、落ち込み防止部32の長さは2〜5mmであるのが好ましい。名刺、クレジットカード等に代表される一般的なカード類の短尺方向の長さは50〜55mmであるため、副支持棚部31cの長さおよび落ち込み防止部32の長さがこの範囲であれば、カード類を副支持棚部31cによって信頼性高く支持でき、かつ、カード類が副支持棚部31cの奥側に入り込み難い。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施例の収容装置を模式的に表す分解斜視図である。
【図2】実施例の収容装置の動作を模式的に表す説明図である。
【図3】実施例の収容装置の動作を模式的に表す説明図である。
【図4】実施例の収容装置の動作を模式的に表す説明図である。
【図5】実施例の収容装置の動作を模式的に表す説明図である。
【図6】実施例の収容装置の動作を模式的に表す説明図である。
【符号の説明】
【0037】
1:ケース体 2:ケース本体部 3:蓋体収容部
4:蓋体 5:蓋体駆動手段 30:ケース側櫛部
31:支持棚部 30a:ケース側櫛歯 31b:支持棚部の底面
32:落ち込み防止部 40:蓋本体部 41:蓋側櫛部
41a:蓋側櫛歯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を持つケース体と、該ケース体に取り付けられ該開口を閉じる閉位置と該開口を開く開位置との間を移動する蓋体と、を持つ収容装置であって、
該ケース体は、該開口を持ち箱状をなすケース本体部と、箱状をなし該ケース本体部の外部に形成され該蓋体を少なくとも該開位置において収容する蓋体収容部と、を持ち、
該蓋体収容部は、内部に向けて突出し該蓋体の移動方向に沿って延びる複数のケース側櫛歯が該蓋体の移動方向と交叉する方向に互いに離間しつつ配列してなるケース側櫛部を持ち、
該蓋体は、少なくとも一つの蓋側櫛歯を持ち少なくとも該開位置と該閉位置との間を移動する際に該ケース側櫛部と噛み合う蓋側櫛部を持ち、
該蓋体収容部は、該開位置における該蓋側櫛部よりも手前側に形成され内部に向けて開口する切り欠き状の支持棚部を持ち、
該支持棚部の底面は、該蓋体の移動方向と交叉する方向に延び、
該底面には、突起状をなす落ち込み防止部が少なくとも一つ形成されていることを特徴とする収容装置。
【請求項2】
前記蓋側櫛部と前記ケース側櫛部との噛み合いは、前記蓋体が開位置に移動すると解除される請求項1に記載の収容装置。
【請求項3】
前記支持棚部は、前記ケース側櫛部の奥側端部よりも奥側に形成されている請求項2に記載の収容装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−89602(P2010−89602A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−260477(P2008−260477)
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】